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1951-02-17 第10回国会 衆議院 懲罰委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月十七日(土曜日)     午後一時四十四分開議  出席委員    委員長 土倉 宗明君    理事 佐々木秀世君 理事 内藤  隆君    理事 田渕 光一君 理事 石井 繁丸君       鍛冶 良作君    田嶋 好文君       塚原 俊郎君    中川 俊思君       牧野 寛索君    長谷川四郎君       猪俣 浩三君    梨木作次郎君  委員外外出席者         議     員 佐々木盛雄君         議     員 川上 貫一君 二月十七日  委員田廣文君辞任につき、その補欠として猪  俣浩三君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  議員川上貫一懲罰事犯の件     —————————————
  2. 土倉宗明

    土倉委員長 それでは会議を開きます。  議員川上貫一懲罰事犯の件を議題といたします。前会において申し上げました通り、本日は川上君に対する委員長質疑と、佐々木君に対する梨木君の質疑のみが残つておるのであります。
  3. 内藤隆

    内藤(隆)委員 議事進行について、……。去る十三日の委員会で、委員長から川上君に対する質疑はこれで一応打切るという御宣告がありましたが、その後二、三川上君にお伺いしなければならない問題が生れて参りましたので、特に川上君に対する質疑をお許し願いたいと思います。
  4. 土倉宗明

    土倉委員長 ただいま内藤君から要求がありまして、川上君に対する質疑がその後必要になつたからという御意見でありますが、これを許してさしつかえありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 土倉宗明

    土倉委員長 それでは、ただいまお諮りいたしました内藤君の特に川上君に対する質疑は、前会すでに委員長を残すほかは打切られておりますが、あらためてその必要性認められた質問のように委員長は心得ますし、きわめて簡單なる点のみについての御質疑であろうと思いまするから、内藤君に質疑を許します。但しこれは川上君に対する手続その他出席関係もありますので、まず佐々木盛雄君の動議提出理由に対する質疑を許します。
  6. 田渕光一

    田渕委員 内藤さんの議事進行に関連して……。これは補助質問といいましようか、さらに追加質問は、あに内藤君のみならんやであります。たくさんあります。でありますから、内藤君だけという前提には異議があります。私もあります。おそらく他の委員にもあるだろうと思う。でありますから、この点は内藤君だけに許すということでは困るのであります。この点一応お諮り願います。
  7. 土倉宗明

    土倉委員長 田淵君にお答え申し上げます。すでに皆さん同意を得て、一応打切られた形になつておりますので、あらなめて委員長から皆さんにお諮りをいたしたところ、内藤君の簡單なる質疑に対してはさしつかえなしとの御同意を得ましたから、お許しいたしたわけで、もしそれ田淵君にして、緊急にしてまた妥当と思われる質疑がありまするならば、きわめて簡單なる点にのみ委員長はお許しをするつもりでおります。各委員の方々におかれましても、随時さようなことが出た場合においては、委員長はさような質疑をお許しするつもりでおります。  梨木君。
  8. 梨木作次郎

    梨木委員 提案者佐々木さんに、少しばかり提案理由の中でわかりにくい点がありますので、お尋ねいたしたいと思います。  第一番目に、提案理由演説の中にこういう点がありました。「川上君の前後五十分間にわたる演説は、実は質問演説に名をかりた共産党テーゼ宣伝以外の何ものでもなく、そこに引用された例示はことごとく虚構控造連続以外の何ものでもないのであります。」こう言われておるのであります。これが懲罰理由の大きなものの一つとして掲げられておるのであろうと思うのであります。私たちの考えでは、川上君の演説は、愼重な調査や的確な資料に基いて、議員として可能な限りの努力をいたしました結果得たものを基礎にいたしまして、質問いたしておるのであります。これを簡單虚構捏造連続以外の何ものでもないというように言われておるのでありますが、この演説の中ではたくさんの事実があげられております。この具体的な事実について、これはどう、あれはどうということについては、ここであなたと質疑応答を重ねても、結局は水かけ論になるおそれがある。私は本来ならば、これはあなたの方が虚構裡造とおつ上やるのだから、当懲罰委員会において実地にこれを調査すべきものであつて、調査した上で、これが裡造であつたか、あるいは虚偽であつたかということを判定しなければならぬと思うのでありますが、その点はあとまわしにいたしまして、あなたが虚構捏造連続以外の何ものでもないとおつしやる点について、それは事実に相違しておる。川上君の演説の中で取上げておる事実のうち、公文書において政府関係当局認めておる事実が相当あるのであります。こういう点までもあなたは虚構捏造だとおつしやるのかどうか、この点についてこれからあなたに聞きたいのであります。  第一点、これは川上君の演説の四ページでありますが、「福岡県の板付、神奈川県の厚木、千葉県の木更津、すべて飛行基地であります。」それから飛んで、「そもそもこの飛行基地は、すべて国民税金でつくつたものです。終戰処理費によつてつくられた飛行場であります。」こうなつておるのであります。
  9. 鍛冶良作

    鍛冶委員 議事進行についてちよつと……。梨木君の発言を聞いておりますと、提案理由に対する質問だと思つておつたらそうじやない。川上君の演説の再演説をここでやろうとする、そんなことはいけません。委員長中止してもらいたい。
  10. 梨木作次郎

    梨木委員 これから質問する箇所をあげておるのだ。  ここでお伺いいたしたいのは、川上君が、これらの飛行基地終戰処理費によつてつくられておると言つておる。これもあなたは虚構捏造とおつしやるように受取れるのでありますが、これは二十四年度の決算報告によりますと、終戰処理費によつてこれらの飛行基地がつくられておる。この点も虚構捏造だという御主張ですか、どうですか。これをまず伺いたい。
  11. 佐々木盛雄

    佐々木盛雄君 川上君の五十分間にわたる演説は、実は質問演説に名をかりた共産党テーゼ宣伝以外の何ものでもないと私が申したことは、あるいは一、二の点につきまして事実の通りのことがあるかもわかりません。しかしこの全体を通じて五十分間前後というものを通読いたしましたときに、そこから発見されるものは虚構捏造以外の何ものでもないということを私は特に強調いたしたのでありまして、小さな、たとえば用語の一つ一つがどうのこうのという問題は、私は取上げたことはない。
  12. 梨木作次郎

    梨木委員 川上君が政府に対して質問を試みたのは一、二のことではありませんよ。これらの飛行基地終戰処理費によつてつくられておる、これは国民税金であるのだ、こういうことでありますよ。これは非常に重要な質問であります。これは單なる言葉の端くれとかいうような簡單なものではありません。この点について、あなたは終戰処理費から飛行基地がつくられておるということについては、事実だとお認めなりませんか。
  13. 佐々木盛雄

    佐々木盛雄君 飛行共地の問題を川上君が読み上げましたのは、その前後におきまして、━━中国や新鮮に対する━━━にしようと政府がたくらんでおる、こういうことの説明川上君がこの点を敷衍されたのであります。私の特に強調いたしたいことは、今日本政治家が、━━中国朝鮮に対する━━にしようなどということは毛頭考えておらない、こういうことはことごとく虚構の事実だということを強調する点で申し上げたのであります。なおさらにまた、終戰処理費をもつて基地がつくられておるかどうかということは、私は本委員会において答弁する限りではなかろうと思います。
  14. 梨木作次郎

    梨木委員 あなたはこの提案理由の中で、川上君がこういう重要な問題につきまして、つまりこれらの飛行基地終戰処理費によつてつくられておる——これは国民にとつて非常に重要なことだ、このことだけを質問しておるのですよ。ところがあなたは、これは虚講捏造だとおつしやる。そうしてこれが懲罰理由の重要な一つなつておる。だからこの点あなたは事実だとお認めになるのですかどうなのです。(「枝葉夫節だ」と呼ぶ者あり)これは枝葉末節ではありません。まことに重要な点です。国民が非常に関心を持つておる重大な点です。これをあなたは虚構だとおつしやるのですが、おつしやるならおつしやるでいいのです。この点は事実でございます。それならそれでいいのです。簡單に答えてもらえばいいのです。
  15. 佐々木盛雄

    佐々木盛雄君  この点については、私は本委員会において申し上げる筋ではないと考えます。私の申し上げておるのは、繰返し申し上げますように、この五十分間の演説全部を通読いたしまして、ことごとくが虚構と摸造であると私は断定いたしておる。私の断定いたしたことがはたして虚構な力やいなやということは、皆様方の良識に訴えて、本委員会においで決定いたされたいと思います。
  16. 梨木作次郎

    梨木委員 あなたはことごとく虚構捏造とまたおつしやる。だから私は聞いておるのです。この事実についてはどうなんです。これは昭和二十四年度の決算検査報告書ですよ。ここの八十一ページには、立川基地西地区維持管理工事として七千五百六十四万三千円支出されておる。それから三沢地区維持管理工事として一億二千四十万円支出されておる。また芦屋空軍基地維持管理工事として四百九万二千円、板付基地補修工事として一千二百十五万円、これらの金が出ておる。まだ幾らもあります。これは二十三年度の決算報告書でありますが、ここにやはり青森県で、昭和二十一年九月ごろから二十三年十一月ごろまでの間に、西松建設株式会社に請負い施行させた三沢地区連合国軍兵舎新築工事のうち、第二期工事外十四件の代金として五億四千五百十七万七千四百円を支出したものがある。この施設工事費についてのいろいろな不在な問題を取上げております。しかもここの中には、本件工軒のうち、滑走路建設第一期工事施行にあたり云々として、やはり支拂いについての金額過拂いの点を指摘しておるのでありますが、これらの事実に徴してみるときに、三沢地区飛行場建設終戰処理費が支拂われておるということは公文書認めておる。この点をあなたは否定なさるのかどうか。
  17. 佐々木盛雄

    佐々木盛雄君 あなたが御指摘になりましたそれらの基地は、私は正しい意味における軍事基地であるとは考えません。日本ポツダム宣言の無條件降伏下にある今日でありまして、占領軍当局占領上必要なことに対してそれぞれの施設を施しておるのでありまして、私はこれをもつて軍事基地であるとは考えておりません。
  18. 梨木作次郎

    梨木委員 あなたの方が軍事基地とお認めになるかどうか。これは客観的にそれがどういうふうに使用されておるかによつて決定されるのでありますが、とにもかくにもこれらの飛行基地終戰処理費によつてつくられておる点はお認めになるでしようか。
  19. 佐々木盛雄

    佐々木盛雄君 認めるか認めないかは私の主観の問題でありまして、本委員会においてそのようなことを申す筋合いではないと思います。
  20. 梨木作次郎

    梨木委員 これはおかしなことだ。あなたはとにかく川上君の演説が、ことごとく虚偽捏造によつて貫かれておるということを理由に、懲罰委員会に付しておるのですよ。そこで私はこれが事実であるか、ないかということを聞いておるのです。この点をあなたが答えなければこの提案理由は何ら根拠のないものだということになるのです。これでよろしいのですか。あなたが提案理由で言われておることは、事実と相違しておるのじやないか、だからこの点はどうかということを私は聞いておるのです。それについてあなたがお答えにならないということは、この懲罰提案理由というものは何ら根拠のないものだということになるのですよ。それでもよろしいかどうか。
  21. 佐々木盛雄

    佐々木盛雄君 私は根拠なり得ると考えるわけでありますが、根拠なり得るかなり得ないかということは、当委員会皆さん方で御決定をいただきたいと思います。
  22. 梨木作次郎

    梨木委員 それでは次に移りましよう。二十三ページでありますが、私は事実をあげましよう。「久留米の警察予備隊は戰車を持つておる、裝甲車を持つておるといわれておる。北海道、八戸、久里浜の予備隊は、対戰車砲や追撃砲の訓練をしておるといわれておる。しかも、その教典━━━━教典であり、その各部隊最高指揮官━━━━であります。」こう言つておるのであります。この点につきましても、やはり公文書によつて政府当局がこれらの事実を肯定するような答弁をしておるのであります。この点もあなたは事実と違う、つまり捏造あるいは虚偽とおつしやるのですか。
  23. 佐々木盛雄

    佐々木盛雄君 ただいまの御質問の点に対しまする答弁も、先ほど申し上げたことを繰返す以外にございません。要は、私はそれらの片言隻句を取上げるのではなくて、この演説内容全部を通読いたしまして、その中に流れておりまするもの、その趣旨、その演説内容そのものが、私は虚構捏造以外の何ものでもないと考えたのであります。(「そうだそうだ」と呼び、その他発言する者多し)
  24. 猪俣浩三

    猪俣委員 ちよつと議事進行について……。私は自由党諸君態度ははなはだ不可解だと思うのであります。諸君川上君に対しては一こま実に一週間にわたり川上君が倒れるくらい追究したでしよう。しかるにもかかわらず、提案者に対してそうすれば——君、弁護士でわかるじやないか。検車に対し、あるいは提案者に対して、その提案理由について詳細な質問をするということは当然のことだ。そうでなければ、われわれまた判断ができないですよ。虚構の事実があるかどうかということを確かめることは当然なことじやないか。それをあんた妨害する必要はないじやないか。(発言する者多し)そんな不公平な態度はやめたまえ。
  25. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 これはおかしい。川上君に対する質問は、川上君がやつた演説全体に対して質疑をしている。同時に佐々木君は一つ一つを取上げてこれを懲罰に付しているのではない。この趣旨を読んでもらえばいいのです。佐々木君自体が一々例をあげて、これを虚構の事実だ、これは捏造の事実だと言つてあげたならば、この條項に対する質問は当然だ。しかし佐々木君は全体をあげたのだから、要するに佐々木君の趣旨の範囲内の質問をあなた方がするならいざ知らず——佐々木君のその目的、趣旨は、全体が虚構の事実だと言うのだ。それに対して梨木君が一々例をあげたことに対して等えられないということは当然で、これが事実であるか、事実でないかはわれわれが判断をすればいいのです。だから勢い提案者に対する質問と、本人に対する質問と違つて来ることは当然のことである。
  26. 猪俣浩三

    猪俣委員 ことごとくということは、全部含むわけだろう。ことごとく虚構だというから、こつちはどこどこが虚構であるか確かめんとして質問をしているのだ。われわれもことごとく虚構ならば、価値判断が違わなければならぬ。その中に事実であるかもしれぬものがある。こと、ごとくというから、これは事実だろうかということを確かめているわけです。ことごとくでないならばいいんだ、ことごとくといえば全部だろうが……。全部がうそだということになるならば、承服できない点があるから尋ねているんだ。そんな試論はないじやないか。
  27. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 今梨木君の質問しているのは、根本的な——川上君が━━━をいわゆる朝鮮や中共の━━にしようとしていると言つておることに対し、佐々木君は根本的に━━にしていないじやないかということで、虚構だ、捏造だと言つている。梨木君があげた個々の例に対して懲罰に付しているのではありません。そういう意味でなら議論を闘わせますが、さような意味提案趣旨でありますから、一々梨木君のあげたことを、これが事実か捏造かということは、提案趣旨に反すると考えるので、申し上げるのであります。
  28. 土倉宗明

    土倉委員長 ちよつと皆さんに申し上げます。本委員会は他の委員会とその性格が非常に異なつているもののあることは、委員各位がよく御承知のはずであります。従いまして提案者に対し、また川上君に対する質疑は、できるだけ広汎に皆さん発言の機会をお許しいたしておるわけでありまするがゆえに、わずか言葉じりが多少ずれたり、あるいはゆがんだりいたしますることも間々あり得ることでありますから、できるだけ委員各位は冷静に、なるだけ冗長にわたらないように、また質問趣旨に該当するお答えをされる場合も必要であろうし、また聞かれる場合も多少遠慮してお聞きになるというような態度をもつて、どうぞ質疑をお重ね願いたいと私は希望いたします。
  29. 鍛冶良作

    鍛冶委員 私は猪俣君から、私をさしてお前も弁護士じやないかと言われたが、われわれは質問であるならば緊張して承ります。そうしてそれに対して答弁佐々木君にしてもらうことをこいねがう。今聞いておると、佐々木君からりつぱに答弁しておる。そのあとで、この点が虚構であると言うが、それは單なる材料として出ておるのだから、そんなことは一々問題でないと言うのだ。なぜかというと、あとはみな討論です。佐々木君に対するそういうものは許してはいかぬと言うのだ。質問らしい質問ならわれわれはどこまでも聞く。猪俣君が討論をここでやることを認めろとおつしやるならばわれわれとしても……。君も弁護士だという、そんなことを言うのは……。
  30. 猪俣浩三

    猪俣委員 君ら今までの態度を反省してもらいたい。あれはそれではどういう態度だ。あまり不公平だよ、取扱い方が……。もつと公平に論ずることは論じてやる。たとえば私どもが懲罰の価値ありやいなやを判定する場合に、虚構の事実だということになると、それは非常に価値判断が違つて来るのだ。であるから、どの点が虚構であるかということを明らかにすることは、われわれが懲罰価値判断をする上において有力な参考になる。それは今のこの討論によつて明らかになると私は思う。だから諸君が根掘り葉掘り川上君に質問したごとく、検察官の立場にある佐々木君の提案趣旨というものに対して、やはり十二分に了解を得るように明らかにしてもらいたい。そうしてわれわれが両方の言い分をよく聞いて、そこに公平なる価値判断をすることになる。それを君、一方だけを徹底的にやつて、一方の方は何だかわあわあと言つてうやむやにしてしまう態度は公平じやないぞ。傍聽者はみんなわかつている。そういう不公平な態度はやめたまえ。
  31. 土倉宗明

    土倉委員長 猪俣君に御注意を申し上げます。当委員会は第一回の開会以来、いまださような、猪俣君の指摘されるような不公平をいたしたことは、ただの一度もございませんから御安心願います。
  32. 梨木作次郎

    梨木委員 そこでこれは昭和二十五年十二月八日の第九国会衆議院法務委員会議事録でありますが、ここでこういうような問答が大橋法務総裁委員との間に行われておるのであります。これは梨木委員ですが、「その次にお伺いいたします。広島県の海田市町キヤンプにおける今度の一斎検診の結果、免職処分を受けた隊員の人たちの話によりますと、キヤンプにおるときに、米軍のいわゆる政府のいう指導、この指導官から免職の言い渡しを十一月二十日に受けた、こう言つておるのであります。」中を飛んで、「警察予備隊施行令第八條によりますと、「職員の休職、復職、退職及び免職は、長官又はその委任を受けた職員が行う。」というようになつておりまして、長官人事権限を持つておるのであります。ところが長官が全然知らないうちにこういう人事が行われたという事実がここに出て来ておるのであります。そこで私はこれは長官部下がかつてにやつたものだとは考えられません。部下はそういうことを知らない。ということになると、どうしても米軍指揮官人事権を実質的に握つておるということになるのでありますが、」云々ということで、このキヤンプにおける米軍、いわゆる指導宮というものが、実質的に人事権を持つておるのではないかという点を質問しておるのであります。それに対しまして江口政府委員が答えておるのであります。「海田市町の例をおあげになりましたが、確かに本部のわれわれのところにおきまして、それらの退職せしめる人たちに対しまして適当な措置を講じない間に、現地ではそういうことが行われたというふうに聞いておりますが、それはもちろん出発早々のことでございまして、各方面に事務上の不連絡という点もあつたのであります。その一つの例として今のような問題が起つたのでございます。」こう答えております。中を飛んで、経理の面も聞いておるのであります。「経理の面につきましても早々の場合でありますので、米軍士官指導援助をどうしても受けなければならなかつたのであります。それらも逐次高級幹部が任命されるに従いまして、実質的にそのキヤンプ内におきまする上級の日本人の指揮官が、その権限をもつて隊を運営し、人事行い経理を行うという方向に逐次改めつつあります。」こういうふうに答えておる。こういう公文書で……。     〔発言する者あり〕
  33. 土倉宗明

    土倉委員長 梨木君、質問だけを願います。
  34. 梨木作次郎

    梨木委員 だから最初に私の方で「その教典━━━━━━教典であり、その各部隊最高指揮官━━━であります。」こういうような事実を━━━━言つておるのであります。そこであなたはこれはそうではない、これは虚偽だ、これは虚構だとおつしやるのですか、こう言うのです。
  35. 佐々木盛雄

    佐々木盛雄君 私が川上君の五十分間にわたる演説は、其産党テーゼ宣伝以外の何ものでもなく、そこに引用された例示はことごとく虚構捏造連続以外の何ものでもない、と申しましたのは、川上君の演説内容趣旨は、ことごとく虚構捏造以外の何ものでもないと申しておるのでありまして、そのゆえに特に私は指摘いたしまして「たとえば、占領軍━━━━━のための作戰軍であると断定」するとか、あるいは「アメリカは国連を━━━━━の道具にし、アメリカ━━━━を実現する機関に」しようとしているとか、あるいはまた「朝鮮━━の名による帝国主義者━━━によつて人民は殺され、家は焼かれ、全朝鮮焼野原と化した」というような逆宣伝を行つている事実や、あるいはまた「今日の日本政治は、━━━━帝国主義━━としてソ連との戰争に━━━━━━━━にしようとたくらんでおる」などと——その他もありますが、申しておりますのは、特にその虚構捏造のはなはだしきものであるということを、私は例をあげて申したのであります。その他の問題につきましては、私は言及をいたしていないのであります。従つてそれらの点がはたして虚構なりや、事実なりや、皆さまの賢明なる御判断を願いたいと思うのであります。
  36. 梨木作次郎

    梨木委員 あなたは私の質問一つも答えていない。私はこの事実をあげておる。「教典━━━━━━教典であり、各部隊最高指揮官は━━━━━━━であります。」この点をあなたがことごとくうそだとおつしやるなら、これはどうなのかということを聞いておる。それなのにあなたはこの質問に対して顧みて他を言う、そういう答弁をなされておる。あなたは簡單にこれに答えてもらいたい。あなたがお答えにならないから、私は、政府がこういうことを言つているがどうなんだというように、質問を発展さして行つた。だからこの点はどうなのです。これをまず伺いましよう。この点だけを答えてもらいたいと思います。
  37. 土倉宗明

    土倉委員長 梨木委員に申し上げますが、先ほどから承つておりますところによれば、佐々木君は十分あなたの質疑お答えなつております。但しあなたのお聞きになつた点はお答えはしません、こう拒否されておるのでありまして、これはもう明快、これ以上に進み得ないと私は考えますが、他の点について御質疑がありますなら継続を願います。
  38. 梨木作次郎

    梨木委員 今委員長はそういうように言われましたが、そうすると、あなたは私の今尋ねたことに対しては答えないというわけですか。委員長の今の補充的な説明によりますと、答えないと答えておられると、こういうわけなんですが、これはどうなんです。
  39. 土倉宗明

    土倉委員長 それは本懲罰事犯に関連のない、また佐々木君に聞かれる必要が、あなたとしてはおありかもしれないけれども、委員会としてはさほど重大性認めませんので、かように申し上げておるわけでありまするから、どうぞ懲罰事犯に関する限り、また佐々木君にお聞きになります範囲は、大体において限定されておることをお認め願いたい、かように申し上げておるわけであります。
  40. 梨木作次郎

    梨木委員 それでは総括的に伺いますと、あなたの方が最初に川上君の五十分にわたる演説は、虚構捏造連続以外の何ものでもないと言われた、これは形容詞であるのか、事実をおつしやつたのですか。その中に事実もあるとおつしやるのですか。その点をひとつ確めておきたい。
  41. 佐々木盛雄

    佐々木盛雄君 繰返し繰返し申しますように、演説内容はことごとく捏造虚構であると私は考えております。
  42. 梨木作次郎

    梨木委員 内容の中に今私が聞いた点があるのですよ。この点についてはあなたはお答えにならない。お答えのない分については、これはわれわれが適当に判断しますが、そうすると、最初に虚構捏造とおつしやつたことは、これは形容詞で、いささか……。     〔「誘導尋問をするな」と呼びその他発言する者多し〕
  43. 土倉宗明

    土倉委員長 私語を禁じます。
  44. 梨木作次郎

    梨木委員 あなたはこの内容虚偽であるとおつしやつた。ところが私は内容の具体的な事実をとらえてあなたに聞いているのだ。だからこれについてお答えにならないとするならば、この点についてはやはり虚構であるとは、あるいは虚偽であるとは御主張にならないことになるように思われますが、そこのところを聞きたい。
  45. 土倉宗明

    土倉委員長 再び梨木君に申し上げますが、梨木君の聞かれておる事柄と、佐々木君が答弁されておりまする事柄とまるきり食い違つておるのです。これはとうてい結ばれざる平行線でありまして、私の考えまするところによりますと、そういう事実はあるかもしれない、さりながら、本委員会においては川上君の懲罰事犯に関連性がないから答えない、こう佐々木君が言われておるのでありまして、佐々木君の重点として主張されることは、演説全体において虚構と架空の事実を羅列して、そして国会の権威を汚す、もしくは議院の体面を汚す、こういう点に重点を置いておられるのでありまして、それらの言葉の、佐々木君が懲罰に付すべしとの動議を出されましたその核心についてのあなたの御質疑を、委員長は希望いたしておるわけなのでありまするが、どうもその点は、佐々木君の動議の精神をあなたはおのみ込みになつておらないのじやないか、かように思いますが、いかがでございましようか。
  46. 梨木作次郎

    梨木委員 委員長のおつしやることはわかりました。わかりましたというのは、御趣旨はわかつたという意味なんです。あなたはこの演説全体を問題にしておるとおつしやる。しかし演説全体というものは部分々々が集まつて全体をなしておる。これは間違いないことです。     〔「説明じやないか」と呼びその他発言する者多く、議場騒然〕
  47. 梨木作次郎

    梨木委員 静かにしていてくださいよ、せつかく今委員長から言われて頭を整理してこれから質問しようとしておることがわからなくなる。
  48. 土倉宗明

    土倉委員長 しばらくごしんぼう願います。梨木君。雅量をもつてどうぞごしんぼう願います。
  49. 梨木作次郎

    梨木委員 そうすると、今委員長から御説明がありましたのを聞いておりますと、こういうふうに私は受取れたのです。私が質問したことは、懲罰とは直接関係のないことだから、お答えをしないのだというように聞かれたのであります。そうするとあなたはこの提案理由の中で、川上君の演説虚構捏造以外の作ものでもないと言われておる。これを一つ懲罰理由にされておる。しかしこの点は懲罰とは関係ないのですか、そういうふうに受取れる。
  50. 土倉宗明

    土倉委員長 ちよつと委員長から補足申し上げます。あなたの言われることは、どこまでもこれが懲罰事犯に該当しないものだ、こういう前提のもとに質疑されておるので、あなたの今聞かれることは、質疑というよりは、むしろ討論の範囲に属するというふうに委員長は先ほど来承つておりまするから、再三注意を申し上げた次第なのであります。どうぞその点について御質疑がありますれば、またの機会には必ず討論を行わねばならぬ段階に到達しますから、その際に十分なされる方がしかるべしだと考えます。
  51. 中川俊思

    ○中川委員 議事進行について……。先ほどから梨木君の御質問の要旨を伺つておりますと、全然速記録を読んでおられない。たとえば今いろいろ梨木君が例をあげられたが、この前提をひとつ読んでもらいたい。梨木君、読んでみてくれ。「第二は、これらの諸国の人民を━━━━━国際帝国主義者━━━をつくるのであります。」という前提のもとにこれを並べておる。それをそういうことを言つておるから、いつまでも議事は進行しない。だから議事進行関係がある。梨木君の演説は、こういうことはやつていないと言つて、それに付随した大事なところを聞いていない。先ほど第一の質問でも、「国際帝国主義の━━━なつて、單独講和を推し進めながら、日本軍事基地にしようとしておる。その上に、━━━中国朝鮮に対する━━━━━にしようとしておる。」こういうことをやつていないという前提のもとに、佐々木君はああいう演説をやつたんだ。そこを君読んでくれなければ、ただ枝葉末節だけを読んで、君が大事なところだけを拔かしておるのはずるいやり方なんだ。さつきから聞いていると、そういうやり方をやつておるから議事は進行しない。
  52. 鍛冶良作

    鍛冶委員 たとえて言えば、ここに桜の造花がある。佐々木君は川上君の演説はこれは造花なんだ、ほんものじやないのだ、こう言つた。ところがその造花の先に、ほんとうの花びらもついておつたり、葉もくつついておつた。そこで梨木君はこの通り枝にほんものがあるじやないか、葉がほんものじやないか、これでも造花と言うのかと言う。これならどこまで行つても切りがない。演説全体がうそだ。間にはほんとうの葉も一枚加わつているかもしれない。花びらもくつついていたかもしれない、そんらことを問題にしていたら切りがない。今後そういうことはやめようじやないか。
  53. 梨木作次郎

    梨木委員 鍛冶さんは妙なことをおつしやる。ちよつと私はこの点にお答えしないとぐあいが惡い。ちよつと許してください。あんたはあの演説は造花だとおつしやる。妙なことをおつしやるから……。造花というものは一部分からなつておるんだろう。その一つ一つ上実ということがはつきりすればいいんでしよう。
  54. 土倉宗明

    土倉委員長 梨木君、議事進行ですか、質疑ですか。
  55. 梨木作次郎

    梨木委員 質問です。これから根があることをちやんと聞いて行こうとしているわけです。委員長がうまく助け舟を出されるので困るのです。あなたは演説の冒頭において、川上君の演説は、全部虚偽捏造だとおつしやる。そこで私は具体的な事実をあげて、この点はどうかとお聞きいたしましたが、この点にお答えにならないのは、これは懲罰とは関係がないからお答えにならないという趣旨なんでありましようか。その点をもう一ぺんお伺いいたします。
  56. 佐々木盛雄

    佐々木盛雄君 私の懲罰に値するであろうと考えて提案いたしました理由は、先ほど来何回となく繰返しているところであります。冒頭に申しました虚構捏造以外の何ものでもないということについて、あなたは私に対して、これは形容詞であるかどうかというようなお話でありますが、あなたがこれを形容詞ととられましようと、何ととられましようとけつこうでありますが、私は私の演説のエツセンスであると考えております。私はここで五十分間の演説を取上げまして、そうしてわずかに十分か十五分かの間で、懲罰に値するであろうという提案理由説明したにすぎないのでありまして、その他のこまごました問題につきましては、私は触れておりません。少くとも私が壇上で申したことにつきましては、本席上におきまして責任をもつてお答えをいたしたいと考えますが、あなたと私との、共産主義者とそれに反対する者との理論闘争をここで繰返すということは、無意味であろうと考えますので、私は答弁を避けているのであります。
  57. 梨木作次郎

    梨木委員 九ページの「第二点として私は、日本全土が作戰軍の兵器工場になつておる事実を質問したい。二つ、三つの実例をあげましよう。元の横須賀造兵廠は、二万人の労働者で兵器をつくつております。九州の小倉工廠は、一万人の労働者で軍用の車両修理をしております。元の横須賀軍港は、明らかに軍港として再建されておる。」云々とあります。これも虚構捏造とおつしやるのですか。
  58. 佐々木盛雄

    佐々木盛雄君 川上君は「第二点として、私は、日本全土が作戰軍の兵器工場になつておる事実を質問したい。」と申しております。この川上君の指摘いたしましたことは、私はことごとく捏造虚構であると確信いたしております。
  59. 梨木作次郎

    梨木委員 この点につきましては、私の方は的確な資料を持つているのであります。この点は、あなたの方は川上君の演説捏造虚偽だとおつしやる。これが一つの重要な理由なつている限りにおきましては、やはり実体を調べるということによつて、あなたの御主張が正しいか、川上君の主張が正しいかが、客観的に明瞭になると思うのでありますから、これはこの程度にいたしまして、その次に進みます。
  60. 田渕光一

    田渕委員 議事進行について申し上げます。すべて占領軍当局が公的に発表したものでない限りは、われわれは権威ある証拠とは思いません。その工場に勤めている共産党員がいいかげんなこと言つたのを、事実だ事実だと言うのは、議事の進行上非常に重大でありますから、愼んでもらいたい。すべて川上君の言うたことは、連合軍当局、最高司令官の権威ある発表、あるいは確認されたものではありません。それをもつて一つの例をこうだ、ああだと言つてこれをどんどんやるということは、大いに議事進行を妨げることと思います。こういうことは梨木君に愼んでもらいたいということを、委員長から御忠告を願いた。
  61. 梨木作次郎

    梨木委員 その次に伺います。ページですが、それだけではない。横浜、東京都下の立川、横田には明らかに高射砲陣地がつくられておる。」こういう点も虚構捏造とおつしやるのですか。
  62. 佐々木盛雄

    佐々木盛雄君 私は、日本政府並びに連合軍当局の発表と共産党の発表とを比べましたときに、そこは非常な食い違いがありますときは、連合軍並びに日本政府の発表が正しいものと考えております。従つて共産党の宣伝をもつて私は事実とは考えておりません。従つてこれは虚構であると考えております。
  63. 梨木作次郎

    梨木委員 そこなんですよ。その点政府は発表しておらない。だからこういう事実があるかということを聞いておる。  次に十一ページであまりますが、「第三の問題は、朝鮮の戰争協力で労働者が受けておる奴隷的待遇について質問します。」とありまして、「今日、いわゆるPD工場、これは米軍の管理工場でありますが、その他至るところの軍需工場、これはもちろんのこと、鉄道で、船舶で、港湾で、ある者は━━をもつておどかされ、ある者は武裝警官や鉄道保安官の━━━━━のもとに、おびただしい━━━━が行われておる。」その例をあげまして、「東日本重工の川崎製作所では、保安課が、労働者に━━━━ために小銃の訓練をしておる。また日本精工七千名の労働者は、十時間労働を強制され、浅野船渠では一箇月平均百七十時間の残業が行われております。」という事実もことごとく虚構だとおつしやるのですか。
  64. 佐々木盛雄

    佐々木盛雄君 ことごとく私は事実無根であると考えております。
  65. 梨木作次郎

    梨木委員 その事実無根だとおつしやるのは、あなたはこれをお調べになつたのでしようか。
  66. 佐々木盛雄

    佐々木盛雄君 繰返して申しますように、私は、少くとも日本政府並びに信頼すべき連合軍当局の発表をもつて事実と心得えております。従つてただいま共産党の諸君の指摘されましたようなことは、ことごとく事実ではないと私は考えております。
  67. 梨木作次郎

    梨木委員 その点ちよつと伺いますが、今質問いたしました点について、日本政府は、いつ、どんな発表をしたのですか。その点を伺いたいと思います。
  68. 佐々木盛雄

    佐々木盛雄君 ただいま御質問の点につきまして、政府がいつ発表したか、どうしたかということは、私は知りません。知りませんが、私の主観に基いて——主観というものは、もとよりそれには客観的な事情があつて初めて成り立つのですが——これが事実無根であると判断するのであります。無根でありやいなやということを、この委員会において決定してもらえばけつこうだ。
  69. 梨木作次郎

    梨木委員 わかりました。今のは政府発表で知つたのではなしに、主観だ、こうあなたはおつてやるわけですね。  次にこういうことをあなたはおつしやつている。「このような、少くとも精神的には完全に日本の国籍を離脱し、第三国に対して忠誠を誓つた議員が、いかに国敗れたりとはいえども、新憲法下の本院に存在いたしますことは、議院の品位を傷つけ、議場の秩序を乱することは論をまたない」こうおつしやつております。そこで伺いたいのでありますが、第三国に忠誠を誓つた、この第三国とはどこです。
  70. 佐々木盛雄

    佐々木盛雄君 共産党の梨木君とも思えません御質問でございまするが、それはむしろ私があなたにお聞きした方がよいかと考えます。
  71. 梨木作次郎

    梨木委員 私が何を考えているかはあなたにわからないはずだ。私はそんなことを問題にしているのではなくて、あなたがここで第三国とおつしやつたのだから、一体第三国というのはどこか、私に聞いたつてわかりませんよ。あなたに聞いておるのだから答えてもらいましよう。
  72. 佐々木盛雄

    佐々木盛雄君 明らかに共産党の祖国をさしております。
  73. 梨木作次郎

    梨木委員 そうすると日本共産党の祖国は日本であります。日本に忠誠を誓つた議員、こういうことに解釈してよろしいのですか。
  74. 佐々木盛雄

    佐々木盛雄君 私はそのようには考えません。
  75. 梨木作次郎

    梨木委員 じや、あなたのおつしやる日本共産党の祖国つてどこです。私は日本共産党員なのです。日本共産党が祖国と言つておるのは日本以外にありません。で、あなたはどこだとおつしやるのです。
  76. 佐々木盛雄

    佐々木盛雄君 もとより法律上の国籍はあなたも日本国民でありましよう。私は特にその際指摘いたしておりまするごとく、特に精神的には、少くとも日本国籍を離脱して第三国に忠誠を誓つたとしか、私には考えられないのであります。
  77. 梨木作次郎

    梨木委員 そうすると、あなたはこの第三国というのはおつしやれない——これはおつしやらなくちやわかりませんよ、アメリカであるかもしれませんし……。あなたは少くとも議場で堂々とこういうことをおつしやつて、これを懲罰理由にされているのですよ。その場合に具体的にあなたがこれを言えないということは私はおかしいと思うのだ。
  78. 佐々木盛雄

    佐々木盛雄君 第三国と申します以上は、日本国でないことだけは明らかであります。共産党のしつかりした理念の上にお立ちになつております共産党員の梨木君が、そんな愚問を私に発せられるとは私には考えられないのであります。共産党の祖国をさしておるわけであります。
  79. 梨木作次郎

    梨木委員 私はこの点についてはあまり繰返してあなたと議論をするつもりはありませんが、あなたは日本共産党の文献を少しもお読みになつておらないらしいですね。一体日本共産党の文献に、日本以外を祖国と言つておりますか。だが、あなたはこの点を懲罰理由にしているのですからね、だからこれをはつきり言つてもらわなければ問題になりませんよ。こういう議員が国会におること、これが懲罰理由だ、つまり国会の権威を傷つけ、議院の品位を傷つける、こういうことになつておるのですよ。この点をあなたはお答えできない。そういうお答えできないようなことを理由に、あなたは懲罰にしようとしておるものと見られます。これは重大な問題ですけれども、お答えになれないなら、なれないでよろしい。第三国とは日本以外の国だという、そんなことは常識でわかつておりますので、そんなことはあなたに聞かなくてもよろしいのです。具体的にどこをさしておるか、それを伺いたいのです。
  80. 佐々木盛雄

    佐々木盛雄君 共産党員を除くすべての国会議員も、おそらくは今日の共産党の祖国がどこであるかということにつきましては、良識をもつて判断をいたしておることと考えます。従いまして少くとも漠然と申しました第三国が、日本国以外であるということだけはきわめて明らかでありますし、それ以上は各人の良識によつて判断をしていただけばけつこうであると思います。
  81. 梨木作次郎

    梨木委員 それでは、日本共産党は日本を祖国として闘つておる、あなたは私の心に聞いてごらんなさいというような趣旨のことをおつしやつたから、ここで第三国というのは日本だ、こういうように理解してよろしいのですね。
  82. 佐々木盛雄

    佐々木盛雄君 前言で再三申し上げた通りであります。
  83. 梨木作次郎

    梨木委員 精神的には完全に日本の国籍を離脱する、これはどういう意味ですか、私にはわからないのですが、少しわかりやすく言つてもらいたい。
  84. 佐々木盛雄

    佐々木盛雄君 川上君の演説は、日本国民として——祖国の再建を愛しておる真の日本人として、とうていわれわれには受取ることができないのであります。
  85. 梨木作次郎

    梨木委員 降伏後の日本国民のよるべき行動の基準は、私はポツダム宣言だと思つておるのであります。このポツダム宣言の嚴正なる実施ということが、真に日本人の精神的な支柱でなければならないし、また行動の基準でなければならないと私は考えておりますが、このポツダム宣言の嚴正な実施という精神で、あらゆる政治とあらゆる行動、あらゆる日常の生活の基準を立てて行くということと、こういうことが日本国民の精神でなければならぬと思つておるのでありますが、あなたはそれをどういうぐあいに理解しておりますか。
  86. 佐々木盛雄

    佐々木盛雄君 今日まだ独立国とならずして、占領下に置かれております日本国民といたてましては、ポツダム宣言によつて規定された條項に対して忠実であるべきことは当然のことであります。
  87. 梨木作次郎

    梨木委員 そこで川上君のこの演説を一貫しておる建前というものは、これは吉田内閣の政策というものがポツダム宣言に違反していはしないか、あらゆる━━━━の政策が行われておりはしないかという点をとらえて、要するに平和と自由、これをこいねがう、その観点から日本の民主的な再建、平和国家の建設、この誠意のほとばしりとしてこの言葉が出ておるのです。これが精神的には完全に日本の国籍を離脱するということになるのでありますか、私はその点がわからない。
  88. 佐々木盛雄

    佐々木盛雄君 私は御質問に対して再三お答えをいたしたつもりであります。私はあなたのお考えとは遺憾ながらまつたく逆であります。
  89. 梨木作次郎

    梨木委員 これはあなたの考え方からそうおつしやつたのだろうと思いますが、ここにあなたは、精神的には完全に日本の国籍を離脱した議員が国会におる、このことが議院の品位を傷つけるということを言われておるわけでありますが、あなたはここで、精神的には日本の国籍を離脱した者が国会におるということが、国会としての権威と、議院としての品位を傷つけるというぐあいにお考えになつておるのですか。
  90. 佐々木盛雄

    佐々木盛雄君 私の考えをもつていたしましては、少くとも精神的には日本人とも考えられない態度をもつて議場内において虚構の事実を流布し、捏造の事実を伝え、もつて院内の秩序を乱すというような、そのような人々が存在しておるということは、まことに嘆かわしいことであるということを申したのであります。
  91. 梨木作次郎

    梨木委員 そうすると、あなたは川上君の精神をここで問題にされておるのでありますか。
  92. 佐々木盛雄

    佐々木盛雄君 先ほど来繰返し申しまするように、五十分間にわたる演説内容全体を私は問題にして申し上げておるわけであります。
  93. 梨木作次郎

    梨木委員 だからあなたが、川上君のこの今問題になつておる演説を問題にされておるのならば、私はまだ了解できますけれども、しかしここに書いてありますことは、精神的に完全に日本の国籍を離脱したこういう議員が国会におること自体が、本院の秩序を乱し、議院の品位を傷つける、こういうことになつておる。こうなりますと、こういう精神である人間が国会におること自体が、議院の秩序と国会の品位を傷つけるということでありますが、そういうことを問題にされておるのかどうかということをお尋ねいたします。
  94. 佐々木盛雄

    佐々木盛雄君 川上君のような、事実無根のことを流布したり、われわれから考えますなれば、きわめて非愛国的な人が院内に存在するということは、まことに嘆かわしいということを申したのであります。
  95. 梨木作次郎

    梨木委員 だからここは非常に問題だと私は思うのであります。つまり現われた演説そのものでなくして、精神そのものを問題にするということは、これは少くとも憲法を否定することです。(「そうでないと言つておるじやないか」と呼ぶ者あり)そうでないならこの点は撤回されるのですか。(「そういう精神の演説そのものがいかぬのだ」と呼ぶ者あり)演説がいかぬというならよいが、精神まで問題にしておるのではないか、その点はどうですか。
  96. 佐々木盛雄

    佐々木盛雄君 私は、あなたが共産主義者であつて共産主義を信奉されようとも、われわれが自由主義を金科玉條として信奉いたしましようとも、思想の範囲において、各人が自由な思想を持つことは自由であろうと考えます。しかしながら、少くとも川上君のごとき、虚構の事実を流布し、そして捏造の事実を流布するというような言動をする人々の存在するということは、まことに国会の権威を傷つけるということを申したのでありまして、精神そのものが懲罰の対象となり得ないことは、良識ある梨木君の千万御承知のことと考えます。
  97. 梨木作次郎

    梨木委員 大体わかりました。そこで、精神を問題にしていないというならば、私はわかるのですが、どうもこの表現では、川上君の精神そのものが懲罰に値するというように受取れるので、私は質問したのだが、そういう意味ではないのですね。そこのところをひとつはつきりしてください。
  98. 佐々木盛雄

    佐々木盛雄君 先ほど答弁した通りであります。
  99. 梨木作次郎

    梨木委員 これで私の質問を終ります。
  100. 土倉宗明

    土倉委員長 これをもつて佐々木盛雄君に対する質疑は終了いたしました。
  101. 土倉宗明

    土倉委員長 川上君がお見えになりましたので、川上君に対する質疑を許します。内藤隆君。
  102. 内藤隆

    内藤(隆)委員 川上君の演説を再三再四読んでみましたが、その最後から七枚目のページに、「これらの事実は、日本において今日ポツダム宣言の違反が━━と行われ、日本の民主化が根底から破壊されておるという明らかな証拠である。私は、日本人民の名において、かような無法に抗議します。私は、こういう事実を、全世界の民主的諸国と民主的諸勢力に告発する。」という一節がありますが、あなたはこういう告発をどこかへされましたか。
  103. 川上貫一

    川上貫一君 これはこの前の御質問に対して私が答えているところでありまして全世界の民主的諸国と民主的諸勢力に訴えるということでありますということを、この前答えておいて、これは速記録にもさように残つていると思います。
  104. 内藤隆

    内藤(隆)委員 そうすると、あなたの今の御答弁だと、告発ということは、国会を通じて訴えるという意味なのですか。
  105. 川上貫一

    川上貫一君 訴えるという考えを共産党は持つているということを、吉田総理に対して演説をしたのです。
  106. 内藤隆

    内藤(隆)委員 一体訴えた事実があるのかどうかと聞いておるのです。訴えた事実がなければ、ないとおつしやればよろしい。議論ではないのだから……。
  107. 川上貫一

    川上貫一君 それ以外にどこにも訴えた事実はありません。
  108. 内藤隆

    内藤(隆)委員 それでひとつお尋ねいたしますが、去る十四日の午前十時から、丸ノ内の明治生命ビルで対日理事会が開かれたそうであります。この対日理事会の席上で、ソ連の代表キスレンコというお方が発言されておるということを新聞で見ましたが、その新聞の記事によりますと、こういうことが書いてあります。これはソ連の代表にシーボルト議長がお答えなつた第二項でありますが、「ソ連代表今回の声明書はさる一月二十七日国会で行われた共産党代議士川上貫一氏の演説とその内容、調子を同一にしており、国内共産勢力を援助し、川上氏を懲罰に付そうとする国会の懲罰委員会に対する威嚇行為である、」かように新聞は伝えておるのであります。そうしますと、今あなたは告発したことも訴えたこともないとおつしやいましたが、このソ連代表者の演説は、あなたの発言内容と調子がすべて同一であつたということも伝えておりますから、何かその間連絡がなかつたのでしようか。
  109. 川上貫一

    川上貫一君 何も連絡はありません。
  110. 内藤隆

    内藤(隆)委員 連絡がないとすると、世界を二分しているようなあのソ連の大国の、しかも代表者が、一共産党の党員のテーゼ的宣伝をしたその演説を材料にして、そうして最も権威がなければならぬ対日理事会の席上において、こういうことを述べられるということは、ソ連の権威を私は疑わざるを得ないのであります。しかも国会の言論の自由に名をかりて、あなたの演説そのままを向うがやつているとすれば、おそらく良識のある国民はそこに何らか共謀するところ、通謀するところがあつたと判断せざるを得ない。しからばこのソ連代表の演説の結果が、日本に対してどういうような影響があるとあなたは考えになりますか。
  111. 川上貫一

    川上貫一君 ソ連代表がどういう演説をしたかということは、私にはさつぱりわかりません。それからそれに対して対日理事会でどういう議論があつたかは新聞紙で拝見いたしましたが、その内容は具体的には私にはわかりません。またこれが国内にどういう影響があつたかということについては、私のこの演説懲罰になるかならぬかには、全然関係がないと思いますから、お答えできません。
  112. 内藤隆

    内藤(隆)委員 あなたは懲罰になるかならぬかということにのみ御心配の様子ですが、懲罰の問題はきよう、あすのうちに決定するのですから、そう御心配には当らない。ただ私の言わんとするのは、あなた方は全面講和を主張しておいでになる。ところが全面講和を主張されるあなた方が、連合国の一国であるソ連にこういう惡影響を與えたとすれば、すなわちあなた方の全面講和という一つの議論が、まつたく架空の、ためにせんとする漫画であるということをここに明瞭に現わしている。この点を聞いているのです。
  113. 川上貫一

    川上貫一君 日本共産党の全面講和の主張は、世界各国の民主労力に対して、まことによい影響を與えていると考えます。
  114. 内藤隆

    内藤(隆)委員 それは君の考えだ。その点を議論すれば一晩でもやるが、そこで君のやつた演説がソ連の某新聞にも連載され、ラジオを通じてまたこれが放送されたということを聞いているから、君の国会でやつた演説の目的は、この対日理事会に取上げられたことによつてほとんど目的を達していると思うが、その君の目的を達した反面におけるわが国の影響は実に甚大なものがあると思う。そこで私は日本共産党の君がおやりになつ演説の目的がどこにあるか、共産党の本然性を私はここに明らかに発見し得たと思います。  それからもう一つお伺いするが、この委員会が始まつてから、この委員会が一体日本委員会か、━━━委員会か、まことに錯覚を起さざるを得ない現象がある。それは何かというと、品を開けば、これは演説にもあるが、愛国心だとか、愛国者だとかいうことを——今も梨木君がよく言つた。ところが愛国心、愛国者という言葉は、吉田総理も議会を通じ、あるいは新聞を通じて述べておいでになる。そうするとここで愛国心が二つ現われて来る。一体共産党の、あなたの言う愛国心というものはどういうものか、それを少し述べていただきたい。
  115. 川上貫一

    川上貫一君 日本の中和と独立を保つために闘うことが愛国心であります。
  116. 内藤隆

    内藤(隆)委員 さいぜん梨木君も祖国という問題に大分触れておられた。私も愛国心は祖国の上に基礎がなければならないということはよく考える。ところがあなたの——祖国について今非常な論戰がありましたが、しかし愛国心というものは、これは單にその瞬間に出るものではないのだ。少くとも愛国心が生れるまでには時間がなければならぬ。祖国という観念がなければならぬ、祖国というものは歴史がなければならぬ。あなたは一体この日本の歴史を肯定するかどうか。われわれの言う真の愛国心と、共産党の言う虚偽の愛国心とを混同されては大問題である。その点において私は聞いているのであります。どうですか。
  117. 川上貫一

    川上貫一君 質問の要点がわかりませんので、もう一度お願いします。
  118. 内藤隆

    内藤(隆)委員 要するに、愛国心というものを盛んにあなた方は演説を通じて唱えておいでになる。ところが一方吉田総理も愛国心ということを叫んでおられる。自主あるいは独立という観念は、愛国の精神から出発せざるを得ないということを、口をきわめておつしやつている。そうすると国民は共産党の愛国心と、吉田総理のおつしやる愛国心と——一体愛国心とは何ぞやという非常なここに疑問を持たざるを得なくなる。この意味において、あなた方のおつしやる愛国心とはどういうものかということをここで簡單に答えてもらいたい。
  119. 川上貫一

    川上貫一君 愛国心という言葉だけをとりますと、いろいろあると思います。東條英機も愛国心ということをやつぱり言つている。日本の軍閥も愛国心ということを言つている。しかし私はこれ以上問題にしようとは思わない。共産党の申しております愛国心というものは、民族の平和と独立を保つために全力を盡すことが、愛国心だと思つております。
  120. 内藤隆

    内藤(隆)委員 そうすると、祖国の問題にまた入つて来るのだが、要するに愛国心というものは、單に口先で瞬間に出るものではなく、ほんとうの愛国心が生れるまでには、そこに非常な歴史がなければならぬ、時間がなければならぬ、生れた赤ん坊はすぐ愛国心を持たない。この点においてあなたの今の説明の、祖国を守るとか、平和にするとかいうことでは、われわれの愛国心とそこに何らの相違も発見できない。ところがあなた方は日本の歴史を否定している。歴史を否定して、そして時間の観念も忘れた愛国心——これは愛国心の名をかりているにせの愛国心であると私は考えざるを得ない。これは答えなくてもよろしゆうございます。  それからもう一つお伺いいたしますが、それは先日西村委員質問に対してあなたがお答えなつたと思います。速記録を見ればわかるでしようが、こう答えておられる。ソ連にも中共にも議会がある。しかしソ連、中共の議会は、社会主義を根本としたる議会である。ところが日本はこれに反して、資本主義を基調としたる議会組織である。こうあなたはおつしやつておられるが、どうですか。
  121. 川上貫一

    川上貫一君 その通りです。
  122. 内藤隆

    内藤(隆)委員 そうすると、あなたがこの演説を通じて議会を守り、憲法を守るということは、資本主義を守るということですか。
  123. 川上貫一

    川上貫一君 資本主義機構の中においては、資本主義機構に適合する議会よりない。これを否定するというようなくだらぬことは、われわれはいたしませんという答弁をしておる。これはソ同盟の議会とは違うということを言つておる。だから、資本主義の中において、今日のこの議会というものを否定せぬからこそ、われわれは選挙闘争もやるし、選挙運動もやるし、議会に入つて来て、議会で国政の審議に参加しておる、こういう説明をしたのです。
  124. 内藤隆

    内藤(隆)委員 そうすると、私はそこに非常な大きな一つの矛盾があると考えざるを得ない。資本主義を基調としたる日本の議会において、あなた方はどういうことをしようというのだ。これはおそらく議論になるから多く申しませんが、言論の自由、その他行動の自由を保障されておるこの議会を通じて、あなた方の目的を達するためにこれを利用しておるとしか考えられない。そうでなければ、資本主義に共産主義は、降伏するものである。この点を聞きたい。
  125. 川上貫一

    川上貫一君 利用するとか利用しないとかいうことはおかしいと思う。共産党には共産党の政策と主張がある。この主張を国会の中でひつさげて闘うことが、これが民主主義だ。これが政党政治であり、議会政治である。これをやらなかつたら国会はいらない。自由党の方は自由党の政策と主張をひつさげて闘うておられる。一つも利用していない。皆様は利用ということをよく言われますが、利用々々といつて、国会の言論をじやまをするようなことはいけない。利用ではない。国会の中でわが党が主張を掲げ、政策を掲げ、大衆の利益のために闘うということは、これは政党の義務であり、権利である。
  126. 内藤隆

    内藤(隆)委員 あなたの今の話を承つておりますと、利用ではないとおつしやる。しかしながら、ここで闘争を議会において開始すると今あなたはおつしやつておる。その闘争の目的は一体何ですか。
  127. 川上貫一

    川上貫一君 日本の平和と民族の独立であります。これが目的であります。
  128. 内藤隆

    内藤(隆)委員 これ以上ここで、共産党の仮面をひきむいて議論をする必要はないと思いますが、最後に一点、私はこういうことを聞きたい。共産党は昨年最高幹部というか、あなた方のおえら方がパージになつてから、二十何名というまことにさびしき陣営になつた。それにだんだん国際上の関係もかわつて参りまして、共産党の議会における存在たるや、まことに風前のともし火のようなかつこうになつておる。そこであなた方はやけを起して、二十何人か知りませんが、その人々が、言論の自由に名をかりて、かつてな共産党の宣伝をやつて、そうして懲罰委員会にもかかつて、これが新聞にわんわん書かれて、ジヤーナリズム上におどつて国民の人気をとり、自分は小見病的な英雄気取りで下ろうという申合せがあつたということを聞いておるのですが、その点はどういうことになつておりますか。
  129. 川上貫一

    川上貫一君 そういう申合せはありません。
  130. 田渕光一

    田渕委員 私が川上議員に伺わんとするところは、大体二月十三日で終了しておつたのであります。ところがこれは、先ほど内藤委員から質問がありました通り、非常に重大な問題であるのであります。この点一応申し上げて、川上さんに簡單に伺いたいのであります。それは先ほど内藤委員から新聞を例にとつて申されました。少くともわれわれが最も権威ある新聞と認めておるのは、朝日あるいは毎日でありますが、しかもこの東京朝日新聞の夕刊朝日新聞に、十五日付で十四日の記事が出ておるのであります。これはこの委員会ではわからなかつたのであります。そこでこれに関連して伺いたいのでありますが、「国会の懲罰委を威嚇」というような見出しで、先ほど同僚内藤委員から言われた通り、少くともこの国会は、ポツダム宣言によつて認められたところの、一切の民主政治の機構においてやつておるのでありますが、それを国会が嚴重に審議をしているときに、極東委員会で、その占領下にある日本の国会を威圧するようなことが行われたということについては、私は納得できないのであります。対日理事会に言うのではありません。少くともわれわれが、ここに一月二十七日の川上君の演説に対して、提案者趣旨によつて審議をしているときに、連合国の一部——ソ連も連合国でありますが、その連合国の一部が、連合国が認めているところの日本の国会の懲罰委員会の審議を威嚇するというようなことは、はなはだ遺憾なことである。これについて内藤委員の、何ら関係がなかつたかという先ほどの質問に対して川上君はないとおつしやつておりまするけれども、あの一月二十七日の国会の本会議議場における外交官の傍聽席に、ソ連の大使館の二十幾多が来て、川上君の質問━━して川上君の質問が終るやいなや、ただちに議場から引揚げたということをわれわれはこの目で認めておるのであります。かような意味で、ソ連の━━なつてすべてのことを言うたように——この新聞記事の、極東委員会のキスレンコ代表の言葉によりまして、何らか関連があると、これははつきりうなずけるのであります。ここで私の伺いたいことは、かような意味から二月十五日付の夕刊朝日新聞——その他の新聞にもみな出たのでありますが、少くとも対日理事会で行われた審議というものが、日本の国会の懲罰委員会を威嚇する目的であつたかどうかということに関連して、川上君の当時の質問というものは、ソ連の━━なり、あるいはソ連の指示、あるいはソ連以外の共産主義を支持する第三国から、何かこういうことを言えというような威嚇、あるいは指示があつたのではなかつたろうかということを、はつきり伺いたい。おそらくないとおつしやるでありましようけれども、あの議場の空気、それからあの外交官席にいた二十何名のソ連大使館員、そのソ連大使館員の━━において、こういうことを言われたのであるかどうかということは、川上君のことについて判定を下す上ににおいて重大でありますから、伺つて おきたい。
  131. 川上貫一

    川上貫一君 ただいま円淵君から、ソ同盟の方が二十何人おつたいということを言われましたので、初めて私はそれを知つたのであります。一向私は存じておりません。またよその国からさしずを受けてやるほど、日本の共産党は弱くはございません。また私の答弁には関係はないと思いますけれども、少くとも日本の国会の皆さんは、よそから威嚇を受けて左右されるような懲罰委員会ではないと私は確信して、おります。
  132. 土倉宗明

    土倉委員長 ほかにありませんか——これをもつて川上君に対する質疑は終了いたしました。  先ほど委員会において、最後に委員長として私から川上君にお聞きすることのお許しを得ておりまするので、これから委員長として川上君にきわめて重要な一、二の問題をただしたいと存ずるのでありますから、どうぞ率直にお答えを願いたいと思います。  まず川上君は懲罰事犯にかかられたその内容を御承知であろうと思いますが、それはあなたの演説にあるわけであります。暴行や器物破壊その他の懲罰事犯でなくして、演説そのものが懲罰に該当するというので、その演説内容によつてこの委員会に付託されたわけであります。そこで第一点は、この演説懲罰にかかられた点について、そういう演説はしなかつたとか、あるいは言わなかつたとかいうことに対しては、数回の各委員質問に対して、率直に川上君は、そう言われたことを認められております。これについて私からも重ねて承りますが、お認めなりますか。
  133. 川上貫一

    川上貫一君 ここに配られておるこのものが、私が演説をし、それを速記課で速記をとりましたものと寸分違わないかどうかは、引合わしておりません。おりませんが、私のいたしました演説が速記に残つておるはずであります。それは私の演説通りに速記に残つておると考えておりますので、これは私のした演説と思います。
  134. 土倉宗明

    土倉委員長 それに間違いがなければ、佐々木盛雄君の懲罰動議の内容を見ますると、先刻梨木君が指摘せられたような内容の検討にはあらずして、きわめて穏やかでない点が多くの議員の刺激となり、多数をもつて懲罰事犯が成立したわけであります。ゆえに川上君におかれては、国会の秩序を維持なさるお気持がありますか。はたまたこの秩序はどうでもよい——とお考えになつてはおられまいけれども、一応この点も承つておきたいと思います。
  135. 川上貫一

    川上貫一君 われわれ国会議員として、また国民の一員として、国会の自主性を守り、国会が国の立法の最高機関である権威を守り、この秩序を十分に維持しなければならぬということは、何人にも劣らず考えておるつもりであります。
  136. 土倉宗明

    土倉委員長 まことにみごとな御決心であり、りつぱな態度であると考えます。しからばたとい不法でなくとも、不当な言辞を弄することも秩序の破壊であり、妨害であるとはお考えになりませんか。
  137. 川上貫一

    川上貫一君 不当な言辞を弄すれば、それはよくないと思うのです。
  138. 土倉宗明

    土倉委員長 しからば伺いますが、川上君が吉田総理、日本政府、国会に対して売国奴呼ばわりの言動をなされたことは、私ははなはだ穏やかではないと存じますが、さような穏やかならざる言辞に対して、率直にお取消しになる御意思はございますか、いかがですか。
  139. 川上貫一

    川上貫一君 私のいたしました演説は、議会の秩序を乱し、議院の品位を傷つけたものであるとは考えておりません。
  140. 土倉宗明

    土倉委員長 はたしてそのようにお考えになりましようとも、多数が認めて、あなたに不穏の言動があり、はなはだしきはある第三国の代弁者のごとき言動を弄した、かように提案者佐々木君が指摘いたしておりす。ここに合法的、合理的に選ばれた国会の多数によつて、あなたを懲罰に付すべしとの動議が成立しておる。こういうことも御承知でありますか。
  141. 川上貫一

    川上貫一君 よく知つております。
  142. 土倉宗明

    土倉委員長 御存じであれば、この場合においてすみやかにその行き過ぎをお認めになるか、ならないか。主義の問題を追究しておるのではありません。
  143. 川上貫一

    川上貫一君 私は議会における多数によつて懲罰に付せられておりますが、この懲罰に反対しておるのは共産党だけではありません。数だけの問題ではないと私は思います。私がこの演説をいたしましたのは、日本共産党を代表してしたのでありますが、このいたしました私の演説が間違いである——国会に対して秩序を乱し、国会の権威を傷つけるという意味において、これは間違いである、行き過ぎであつたと考えておりません。
  144. 土倉宗明

    土倉委員長 川上君はきわめて主義に忠実であり、またお年を召されておりますにもかかわらず、今日まで数回の委員会において御健闘されたことはけなげとして、むしろわれわれから見れば悲壯な考えを持つておりますが、秩序を尊重されるという意味から、多数において動議が成立しておる以上は、この秩序を乱されたという判定に服されない——共産党のみではない、多数の人が川上懲罰事犯は不当なりとせられざる限りは、多数において合法的に懲罰事犯が成立しておるわけであります。これを率直にお取消しになるかならぬかをお聞きしておるのであります。この点について明快なる御答弁を願いたいと思います。
  145. 川上貫一

    川上貫一君 私の答弁は、過去数回にわたるこの懲罰委員会においていたしておるのでありまして、これ以上は懲罰委員会において適当に御処置くださることが結論だと思います。
  146. 土倉宗明

    土倉委員長 懲罰委員会において適当に処理せよと言われます。その処理せよと言われて処理しなければならぬ委員会において、やはり川上君の一身上の重大問題でありまするがために、特に秩序を重んじられる方ならば、不法ならずとも、不当な不穏な言動については、反省されてしかるべきではないかというのが委員長の考え方でありまするが、各委員の考え方もさようであろうと思います。従いましてあなたの一身上の重大な段階に立つておる、そう委員長は考えまするがゆえに、重ねてこの不穏当な言葉に対して、秩序維持の精神から、国会の権威を高めるという高度な精神から、謙虚にお取消しになる御意思がおありかどうかをお伺いいたします。
  147. 川上貫一

    川上貫一君 委員長の御質問は非常に御親切な心持であると私は考えます。しかしながら私のいたしました演説は、私のみならず、日本共産党が責任を持つて演説したのであります。その演説が不穏当と思えば初めから演義いたしません。私はこの演説を取消さないことが、国会の秩序を維持するゆえんであると考えます。
  148. 土倉宗明

    土倉委員長 なお一言川上君に御注意を申し上げたいと思いますのは、私の質問はあなたの主義上のことをついておるわけでもなし、あなたのなされた演説内容の個々の問題を取上げておるのではないのです。いやしくもいずれの国家においても、秩序のなき国はありません。この秩序の維持な法によつてのみ生きるのであります。この法を認めないというあり方であつては相ならないという考え方から、再三重ねて——川上君のこの演説内容を取消せと申すのではありません。演説になされた不穏なる言葉をお取消しになる御意思があるかどうかを再三勧告いたしておるのでありますが、これをお取上げになるかどうかという御注意を一応申し上げておきます。
  149. 川上貫一

    川上貫一君 私の演説は、演説中において議長上り一言も注意を受けておりりません。最後まで議長は一言も私に不穏当な言辞であるという注意をいた止しておりません。最後になつて私は懲罪にかかつたのであります。私の考えでは、議場内における発言の責任は議長にあると思います。議長は私の演説中に何らの注意を與えてくれておらぬ。この演説をさせておいて、演説あとにおいて私を懲罰に付しておる、私はこういうことこそ議会の秩序を乱すものと思う。議長はこれが不穏当であるならば、なぜ私に注意を與えなかつたか。これは議長の責任であると思う。私の演説は繰返して申しますが、私の演説ではありません。日本共産党を代表し、日本人民の声を代表しておるという自信を持つております。このことについて私は決して不穏当ではない、これは当然国会において討議すべきことを演説しておると考えておるので、これが不穏当であり、どうであるということの処断は、懲罰委員会、国会において御決定くださることであろうと私は考えております。
  150. 土倉宗明

    土倉委員長 御注意を重ねて申し上げます。ただいま議長の責任だとお述べになりましたが、議長ははつきり、あなたの不穏なる言辞と不当なる言葉に対しては速記録から抹殺するということを寸宣言いたしております。あなたのただいま申されたこととは事実とまつたく相違していることを、委員長はここではつきりいたしておきます。  以上をもちまして提案者並びに川上君の一身上の質疑に対する応答は全部終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。次会の開会は公報をもつて御通知申し上げます。     午後三時三十四分散会