運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-02-13 第10回国会 衆議院 懲罰委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月十三日(火曜日)     午後二時三十六分開議  出席委員    委員長 土倉 宗明君    理事 佐々木秀世君 理事 内藤  隆君  理事 田渕 光一君 理事 早稻田柳右エ門君       鍛冶 良作君    田嶋 好文君       中川 俊思君    西村 直己君       牧野 寛索君    長谷川四郎君       田万 廣文君    梨木作次郎君  委員外出席者         議     員 川上 貫一君     ————————————— 本日の会議に付した事件  議員川上貫一懲罰事犯の件     —————————————
  2. 土倉宗明

    土倉委員長 会議を開きます。  議員川上貫一懲罰事犯を議題といたします。梨木委員より出席要求がありました佐々木盛雄君は、目下旅行中でありますので、本日は出席不可能とのことでありますから、さよう御了承願います。  それではこれより川上君に対する質疑を続行いたします。西村直己君。
  3. 西村直己

    西村(直)委員 大体おもなる点は各委員から御質疑いただいておりまして、私あえてたくさんの質問をいたさないでけつこうなのでありますが、特に今回の懲罰事犯は、国会で行われた言動を審議されることでありまして、私からも、それから一応対象になつておられる川上君の方からも、これがいいとか悪いとか、お互いに言い合うことなしに、事実あるいは必要な程度の、私が委員長から許された御意見だけ聞きたいと思いますから、その点はひとつお答えになる方も御了承願いたいと思います。特に川上君のお立場に対して、私も一つ政党に所属をして、自分考え方を特つておりますので、従つてある場合にイデオロギー的な議論をやりますと、急行列車が二本、同じ線路でない別の線を走りながら、つばを吐き合いつこしておるならば、下関へ着くまで、お互いつばを吐き合つていなければならぬということが起ります。それは時間のむだけでありますから、お互いに避けて行きたいと思います。全体の問題を取上げる前に——私の方からは反駁は申し上げませんが、お聞きしておきたい点が一つおるのです。川上議員は、新憲法下における国会というものをどうお考えになつておるか。これはあなたが国会において国会議員として発言をされておりますから、これに対する考え方をなるたけ詳細にお聞かせ願いたいと思うのでございます。
  4. 川上貫一

    川上貫一君 要点ちよつとはつきりわかりかねますが、憲法下における国会は、国の最高立法相関である。国の政治、行政をする中枢で、人民意思がここにおいて表現される、ここで討議されて国の政治が行われる、その中心機構である、こう考えておるのであります。そういう意味合いの答弁でいいかどうかちよつとわかりかねますが……。
  5. 西村直己

    西村(直)委員 そうしますと、さらにもう少しつつ込んでお聞きしておきたいのでありますが、今の憲法は、一応自由国家といわれておる国々の民主憲法というものの範疇に入つて、あなた方の政党その他でいつておられるコンミユーン形態とは違つて一つ憲法で、国会は国の立法機関としての最高機関であつて、これを通して人民意思がすべてきめられて行く、こういうふうにあなたはお考えになつておるのでございますか。
  6. 川上貫一

    川上貫一君 そうです。
  7. 西村直己

    西村(直)委員 そうしますと、さらに敷衍してお聞きしておきたいのは、例の野坂批判の問題があつたときに、あなた方の政党としては、かなり今のお答えとは違つたような説明を受取つておられると思いますが、その点を……(「答弁の要なし」と呼ぶ者あり)われわれ頭が悪いものだから……。ひとつ国会活動において、あなたに影響がありますから、十分納得の行くように御説明を願いたいと思います。
  8. 川上貫一

    川上貫一君 ちよつと御質問要点がのみ込めないのでございますが、どういう点でしようか、ちよつとはつきりしないのですが。
  9. 西村直己

    西村(直)委員 非常に頭のいい、平素御答弁のお上手な川上君として、残念ながらどうも……。おそらくここにいらつしやる渦中数以上の方は、わかつておられると思うのですが、要するに日本憲法は、自由諸国家と同じような形態憲法で、国会国家最高機関であることをあなたは承認されておる。ところがあなたが、りつぱにはつきり自分共産主義者であり、しかも共産党を代表して質問をされておるということになりますと、先般日本共産党の名において、はつきりいわゆるコミンフオルム批判というものを受取つておられる。それとどうも食い違いが起るような気がするのです。ところがあなたは国会議員である。しかも国会においていろいろ発言されておるから、これを見きわめておきませんと、あなたの言つておられることの解釈が違つて来るのですが、どうかその点納得の行くように——あなたもわれわれ同僚議員として、大事な一身上の進退に関する問題に今乗つておるわけでございますから、ひとつ率直に、真剣にお答え願いたいのです。
  10. 川上貫一

    川上貫一君 日本憲法でありまして、これは似ておるところがどこの国のに似ておるとか、どこの国のに似ておらぬということはありましようけれども、やはり憲法日本の国の憲法であつて、似ておるところもあれば、似ておらぬところもあるであろうと思います。それとコミンフオルムの問題がありますが、これは全然別のことであつて、われわれは日本憲法下において、合法政党として共産党は選出もされておるし、活動もしておる、こう考えておりますので、共産党日本憲法のもとにおいて、日本国会のもとにおいて、当然同じような資格で同じような国民の代表として活動しておる。これについては、日本共産党は他国の掣肘を受けることはありませんということだけは、はつきり申し上げておきます。
  11. 西村直己

    西村(直)委員 何か私にはわからないのですが、日本共産党なるものは、もちろん今合法政党です。それからあなた方国会議員団が、確かに合法面活動なさつておることははつきりしておる。うわさに伝うるところでもなかなかそういうふうな振りわけをされておるようであります。ただ問題は、腰から上がそうなつてつたのては——われわれはやはり一つ政党でございます。あなたであれば、あなた自体がやはり足もあり、頭もあるのだから、その全体をよく発見しませんと、この問題の審査のときに、基本がかわつて来るわけです。そこで一応、私はさつきから申し上げている、イデオロギーの争いをするのではない。コミンフオルム批判に基いたものの共産党の受入れの考え方は、あなたが今そこで御説明になつていることと違つておるのです。はつきり言えば、あなたが共産主義者として、あるいは共産党員として発言されておる立場が、どうもこの委員会においてはうそをついておられるのではないか、そうなると、あなたの国会における発言にまたこれが響いて来る。どうかその点は率直簡明におつしやつていただいた方がよいと思います。
  12. 川上貫一

    川上貫一君 日本共産党は、外国のある特殊の指示があれば、それには従う、従わぬというような建前は、全然とつておりません。これはどこの国のどういうものであろうとも、日本共産党政策として、これが人民大衆諸君利益なり、こういうことがほんとう日本の平和と独立のためになるということであれば、いかなる忠告でもこれを受けます。またいかなる国の忠告であろうとも、これが日本独立と平和と、日本共産党建前にはこれはどうも困ると思うことは、受けません。このことをはつきり申し上げておきます。
  13. 西村直己

    西村(直)委員 いかなる国であろうと、日本共産党にとつて大事なことであれば忠告に従う。それを一応抽象的に言えば、自由党であつても、よその国の政党が、あるいは諸外国批判をした場合、それがよいと思えば取上げる。抽象論ならよい。ところがその内容なんです、忠告内容が、議会主義に対して——はつきり言うならば、いわゆる野坂声明に対して、野坂理論に対して、もつと簡単に一般の人にわかるように、愛される共産党としてのあなた方の行き方について、野坂理論が一応示されたのに対して、ぴしやつとやられた。それに対して日共は、はつきり声明になつている。コミンフオルム批判に対して、あなた方の言うことは、全幅的に忠告を支持するのだと——そうするとその内容が問題になつて来る。言いかえますならば、占領軍占領下においての特殊性を強調されて、野坂理論というものは、おそらく平和革命が可能であるというようなことを非常に説いておつたわけです。それに対して、それはいわゆる帝国主義者の召使であつて、そういう行き方は、言いかえますれば、はつきり申しますれば、議会を否認し、暴力革命というものをコミンフオルム批判は言つておられる。それを受入れたということになると、あなた方の党、並びにあなた方のイズムを持つていらつしやる方が、当然それを受取つたということは、議会を否認されたというふうに、少くともわれわれの常識的な論理は行つてしまうわけです。あなた方の論理が飛躍しているならば別ですけれども、普通の人間の使う論理で行くならば……。それは飛躍しておる。
  14. 川上貫一

    川上貫一君 これは私の方から言えば、私の懲罰関係がありませんからと、こう答えたいのでありますが、西村さんのせつかくの御質問でありますから、お答えしたいと思うのでございます。日本共産党政策綱領、これは少しもかわつておりません。野坂理論、いろいろなことがありますが、それ以前においても、以後においても、これは党の綱領をごらんくださつたらありがたいと思うのでありますが、少しもかわつておりません。いま一つは、他のあるものがそう言うたら、いやでもおうでも綱領も何もかえなければいかぬ、こういうことは決して考えておりません。それから第三点は、日本共産党議会を決して否定しておりません。そのゆえに私も末席ながら議会に出まして、皆さんと一緒に大衆国民諸君のために闘つておるつもりでありまして、どこにも議会否定政策は出しておりません。これははつきりと申し上げることができると思います。
  15. 西村直己

    西村(直)委員 それは野坂理論というものは、あなた方党内の問題である。もちろんこれは社会的に影響は與えておりますが、問題は、日本共産党綱領と申しますか、マルクスレーニン主義というものをうたつておられますね、そうするとマルクスレーニン主義から参りましても、いわゆる民主議会というものを否定しておるということは、あなた方のバイブル、文献にははつきり出ている。
  16. 川上貫一

    川上貫一君 マルクスレーニン主義は、私の理解しているところでは議会否定しておりません。ロシヤにおいても、レーニンが指導しておるように、議会に確かになつております。少くとも、世界的なことはとにかく、日本共産党議会を決して否定しておりませんということを申し上げられます。
  17. 西村直己

    西村(直)委員 これは順次入つて行けば議論になるわけですが、結局あなた方との並行線議論は、言葉の問題です。あなたの言われる議会と私どもが常識的に——私ははつきり断言するが、おそらく国民の大多数の力が解釈しておる日本憲法議会と、あなた方の頭の中にある議会と、議会意味が違うのです。あなた方と議論をして非常にまずいことは、民主とか、平和とか、解放とか、戦争とか、民族とか、議会とか言われるが、みな言葉意味が違う。盛られておる観念が違うために、あなたはそれを利用して答弁を逃げているわけです。端的に言うと、あなたの言われている議会というのは、ソビエツト型の議会を称して議会と言つておる。従つて今の常識的な日本憲法に基く、自由国家における民主主義、いわゆるわれわれが民主主義と称しておる議会というものと違うことは、野坂さんの理論批判を受取ることによつても、それを確証づけておる、こういうふうに私どもは解釈したいと思います。懲罰関係ないと言われるかもしれませんが、それがやはりあなたの演説に影響があり、基礎になる。
  18. 川上貫一

    川上貫一君 逃げる気ならいつでも逃げます。西村さんの御質問でありますからお答えいたしたいと思います。  議会否定しておらないと申しますのは、それはたとえばソ同盟議会があります、あるいはアメリカ議会があります。しかしソ同盟議会は、これは社会主義国家議会である。日本資本主義なのである。資本主義の中で議会否定するということ、これはおかしい。資本主義には資本主義議会がある、これはあたりまえである。資本主義社会主義議会があるはずはない、これを否定するなどといつたら、頭では否定できましようが、実際は否定できません。われわれは資本主義の中に生きておる、従つてこの資本主義を改革して、革命して、社会主義の方向へ持つて行くという精神共産党は持つております。これは共産党精神であります。しかしながら資本主義の中においてここに議会が存在して、憲法が存在しておる、それゆえにわれわれは憲法擁護議会自主性擁護、この議会を国の立法中枢として、ここで闘うということのためにこそ、われわれは国会へ出て来ておる。闘いはします。そこで日本においては議会否定しないから、当然われわれはここに来てやつておるのであります。ただ議会否定しないということは、政府の言う通り、多数党の言う通り支配権力の言う通り、それの気に入る通りのことを言うのが議会の肯定だとは思つておりません。それゆえ吉田内閣ポツダム宣言に反しておるではないか、極東委員会決定に反しておるではないかということについては、どこまでも闘います。これは議会否定ではない、こう考えております。
  19. 西村直己

    西村(直)委員 あなたのおつしやることは受取れぬ。あなたは現在合法という線において、少くとも共産党国会議員団諸君が、合法という線において国会内で活動されておることはこれは認める。ただ問題は、その基礎になつておるところにおいて——言いかえるなら、あなたの今言つた精神的に考えられるとか、革命をしなければならぬという端的なところに、あなたの基本が置いてあつて、そうして国会を利用して来る場合において——そこが違うのです。国会そのもの、少くとも新憲法下における国会の存続を熱望しておるのではなくて、あなた方のはこれをこわすべく努力している、こういうふうになつて来ると、この言動というものは大きな問題になる。
  20. 川上貫一

    川上貫一君 これはやはり西村さんとのイデオロギーのあれになつて懲罰から離れて参ると思いますが、国会は決して否定しませんし、できるものではない。このことと、資本主義体制に対するわれわれの態度とは別なのです。国会そのものだけを否定するとか、そんなことはない、またこれはアメリカ共産党にいたしましても、イギリスの共産党にしても、フランス、イタリアの共産党にしても、議会否定するのだ、こういうことを綱領に掲げておる共産党は世界中にもないと思います。日本共産党議会否定しないし、またこの議会のうちに、否定しないからこそ——繰返すように、われわれは国会議員としてこの中で政治に加わつておる、こうひとつ御了解をお願いしたい。私の言いますことは少しも矛盾ではないし、またいいかげんなことを言つておるのではないということを、明らかにしておきたいと思います。
  21. 西村直己

    西村(直)委員 なるほどあなたのおつしやることは、しろうとが聞いていると、ちよつとうまい。率直に言われればいいのだが、しかしあなた方はやはり一つ戦略戦術をお持ちだからしかたがないのだが。……あなた方のいろいろな文献の中で、代表的なものは、レーニンの「国家革命」ですね。その中に出て来る議会主義の揚棄という言葉で、議会主義を否認していることがはつきりしている。いわゆる議会政治をアウフヘーベンしよう、こういうことを言つている。「コンミユンは——マルクスは書いた、——議会的団体ではなく、同時に執行し立法する行動的団体であるべきだつた。」……いわゆるあなたの議会主義からいえば、行動的団体でなければいかぬ、こう言つています。さらに「何年かに一度、支配階級のどの成員が議会人民を抑圧しこれを踏みにじるかを決定すること——これが議会制度の真実の本質であつて議会制寸憲君主国でばかりでなく、百パーセントに民主主義的な共和国でも同じことである。一言いかえれば、だから日本憲法の言つておるところの議会——民主主義制度下における議会というものは、これは搾取の機関であり、そうしてそれは人民要求を押える機関にしかすぎないというので、あなたの議会とわれわれの言うところの議会とは大分違う。これこそ野坂理論の仮面を破つて、その本質を暴露したものである。従つてそれが、あなたの今日の段階における国会内の言動基礎になつておる。こういう意味で私は御質問申し上げておる。これ以上はもうイデオロギーの問題になりますから、あるいはお答えをいただかぬでもいいのでありますが、その点を実は確認しておきたかつた。そうせぬと、これはここだけの議論じやありません。速記に載るし、まだ傍聴人を通して外へ出て行く言葉でありますから……。あなたはここであいまい模糊として平清盛のように、衣をおかけになつているが、よろいがちよちよろのぞいたら、たいへんおかしいと思うのですが……。
  22. 川上貫一

    川上貫一君 衣の袖はのぞいておらぬ、共産党は全部むき出しにしております。やはりこういう言葉の問題になりますと、いろいろのことが出て来るると思います。否定という問題もひとつ問題になるのでありますが、議会へ来て、議会の中で活動して、議会の中で日本の平和、独立大衆諸君利益を守ろうとしておる。この事実が否定しておらない事実であります。もし否定しておつた議会に来ません。ボイコツトします。議会を通じて……、選挙をやらない。議会というものはけしからぬものである。こういうところに入つたり、選挙したりすることはだめである、だから大衆諸君議会をボイコツトしなさいという線を出すのがあたりまえである。そんなことは共産党はしておらぬ、あらゆる選挙に全力をあげて闘つておる。これが議会否定していない何よりの証拠だと思います。
  23. 西村直己

    西村(直)委員 あなた方の立場はあなた方の立場で、それを宣伝されておる。だが現在あなた方が、議会の中で非合法をやつておると言うのではないのであります。その本質はつきりさせる意味で言つておるのであります。ここから上の面だけを一生懸命にはつきりさせて、おれはいいのだと思つておる。なるほど顔やおなかは見ればわかるが、ここから下はちよつとわからぬから、それを令部見せてくださいという意味質問した。言葉の行き過ぎがありましたことは失礼ですけれども、その点はそれでよろしゆうございます。ある程度わかりました。  そこで次にお尋ねしたいことは、あなたの革命して行かなければならぬという言葉は、重大なポイントだろうと思います。そこでいただいております速記録に出ておる事柄全体は、何回もあなたはそこでお調べになつておりますが、言われたことについては御否認いたされませんね。全部自分が言つたことだということは間違いございませんね。何か間違いがあれば訂正しておいていただかぬと……。
  24. 川上貫一

    川上貫一君 ちよつとこれは間違いは気がついておりませんが、私の言つたことが速記になつております。この速記はどうも違うということは、言おうと思つておりません。この速記通りになつておれば、私の言う通りだと思います。
  25. 西村直己

    西村(直)委員 問題はあなたの御一身上の問題で、この事実が一応証言の対象になるわけです。ですから速記をわれわれは信じてよろしゆうございますな。その点ははつきりしておきたいと思います。  次に御質問申し上げたいことは、あなたがこの中でいろいろ言つておられることについては、ずいぶん各委員からいろいろ御質問があつたわけでありますが、私が一、二聞いておきたいことは、あなたのおつしやつている事柄に相当誇張していることがある。たとえば国民の大多数だとか、全国土だとか、こういう言葉はどういう意味であなたは独断的におつしやるのか、国の全体が軍事施設になつているとか、大多数の国民が再軍備とか単独講和には反対していると勇敢におつしやつておられるが、これはあなたは何か意図があつておつしやるのか。ただそういうふうにあなた自体思つておられるのか。
  26. 川上貫一

    川上貫一君 あまり大きくなかつた日本を、大日本言つたのと同じようなことであります。
  27. 西村直己

    西村(直)委員 私が冒頭に申し上げたように、あなたの一身上の問題に関するのだから、真刺にお答えを願いたい。ここはよせではないのですよ。言葉のあげ足をとつてお互いに愉快がつているなら、この委員会はつくる必要がない。あなたとしては、全国民という言葉を使つた。大多数の国民だとか、全国をあげて軍事基地化していると言われることは、あまりにも独断がはげしいが、あるいは他に意図があつて、たとえばあなたはアジテーシヨンの意味があるとか、あるいは院外に響かせる意味があるとか、こういう意図があつたかどうか、その点だけはつりきしておきたい。
  28. 川上貫一

    川上貫一君 私は具体的の事実をあげているのです。こういう事実がありますから、たとえば大多数の国民、こう信ずるから大多数の国民、こういう事実を私はたくさんあげておるのです。私は、日本の全体がこういう形なら兵器工場になつておる、こういうように見ておりますので、何も特別に大きな言葉を使つておるとは、私は考えておりません。
  29. 中川俊思

    中川委員 私の質問をしようと思つてつたことが、たまたま同僚によつて指摘されたので、ちよつと関連して質問を申し上げますが、あなたの質問速記の二ページの最初の行にも一国民の大多数は單独講和に反対しておる。」さらに「国民の大多数は再軍備に反対しておる。」それから次にも、とにかくそういう文句が非常にたくさん使つてある。いやしくも大多数という以上は、ほんとうの大多数でなければならない。この大多数というものを決定ずけるのには、国民投票とか、あるいは権威ある新聞、雑誌が、パブリツクな投票をやるとか何とかして、何か根拠がなければ大多数ということは言えないと思う。しかるにかかわらず、あなたはこういうふうに、今同僚の御質問のように断定しておられるのだが、一体その根拠を私ははつきり聞いておきたい。これは重大な問題でありますから……。
  30. 川上貫一

    川上貫一君 国民の大多数は再軍備に反対しております。兵隊になりたいと思うておりません。また国民の大多数は単独講和に反対しております。これは大衆の声だと思う。声だと確信しておる、確信しているから言いましたので、いいかげんなことではありません。
  31. 西村直己

    西村(直)委員 私もあなたがそう信じておられるなら、何をかいわんやであります。信ずることはかつてでありますから……。しかしながら問題は、あなたは事実があるから言うんだ、これは、おれは誇大なことを言つていないんだ、虚構を言つていないんだというと、何かそこに大多数とか、あるいは全土という言葉説明がつかなければならぬ。信ずるだけではいけない。たとえば最近選挙をやつておる。昨日福島県でやりました。そうすると福島県の参議院の選挙で、大多数の県人が共産党に圧倒的に入れているならば、これも一つの例証になりましようが、片方は三十万なり二十万なりとつているのに、共産党の票というものは八千しか入つていない。この事実を、あなたは大多数と主張ができるかどうか。そうなると、これが虚構ではないか。
  32. 川上貫一

    川上貫一君 戰争反対、再軍備反対占領軍撤退——これは言つたり言わなかつたりしましたが、少くとも戰争反対、これで千葉選挙は勝つております。自由党が負けております。また広島選挙も、池田大蔵大臣が行かれてお骨折りになつたのでありますが、大敗北しております。これは明かに、日本の多くの人々が反対しておる証拠だと私どもは確信をしております。     〔発言する者多く、議場騒然
  33. 土倉宗明

    土倉委員長 静粛に。
  34. 西村直己

    西村(直)委員 おそらく私の方が福島をあげたから、あなた方の方は反射的に広島とか千葉をあげたと思うが、その実体をよく見ていただかねばならぬと思うのであります。これは広島有権者分析とか、千葉有権者分析とか、申し上げれば私どもさらにいくらでも時間がとれますが、それはやめまして、端的に言つて、ごく新しいきのうやつた選挙でさえも、少くとも單独講和に反対ということならば、私はああいう選挙の結果は出ていないと思う。あなた方が詭弁でいかにこういうことを言われても……。ただあなたに私は率直に御説明願えればと思う。演説だから誇張して言うのだ、はつたりをきかせるのだというなら、むしろ率直なんですが、そこをあなたはぼやかしておるような感じがする。次の議論に入ります。  次はこのうちの一つ、二つについて私はお聞きしておきたい。たとえばあなたは警察予備隊は陸軍だと断言しておられます。これもあなたの断定でございますが、事実をあげて、追撃砲云々とかおつしやいますが、実際追撃砲とかあるいは対戰車砲などを持つておらないのです。あるいは大橋法務総裁は━━━には占領下だから基本的人権はないのだと、大橋法務総裁は法務総裁の資格において断言した言つておられます。これは法務総裁をお呼びになればわかりますが、こういう事実もない。それをあなたは勇敢にも、国会の議席を通して全国民に訴えておる。こういうことはどうですか。
  35. 川上貫一

    川上貫一君 法務総裁の問題ははたしてそうであるか、そうであるならば責任ある答弁を願いたいと、はつきり書いてある。だからそれが言つておらぬのならば、言つておらぬということを言えばいいのに、あのときにこれは答弁しない。それからいま一つは、警察予備隊が陸軍である、軍隊の胎兒である、こういうことは外国の新聞がちやんと書いている。これは私先日の答弁の時分にも読んだ。(「取寄せろ」と呼ぶ者あり」)それはアメリカの新聞、先日明らかに言つてある。明らかに言つてある。(「そういうでたらめなことを言つておる」と呼ぶ者あり)一つもでたらめを言うておらぬのです。先日の私の答弁の時分に、こういうことがあるということを、明らかに私は言うておるのであります。  それから警察予備隊の中におる人が、一体に軍事訓練反対というようなことを言つている。(「それはだれが言つた」と呼ぶ者あり)これは先日国会に三人の人が来た時分に、これは証人にも出ておると思うのでありますが、あの人たちもそういう訓練を受けておるということをはつきりつておるのであります。この前の国会で、これは法務委員会その他でも相当問題になつたと思うのであります。それゆえに私は、警察予備隊は性格的に軍隊であるかということを質問したのであります。軍隊でないというなら、政府は答弁したらよろしい。国会議員はいろいろなことを質問します。その質問がもし間違つておるというのならば、私は身上弁明でも言つたのでありますが、政府が、間違つておるということを明らかにして、共産党はこう言つておる、これは事実に違うのだ、こうこうなんだということを政府は答弁する。それによつて十分な審議ができる、それによつてどちらが正しかということを国民が判断することができる、私はこれが民主政治だと思う。ところが私の質問に対しては、吉田総理大臣はこれは共産党の宣伝である。こんなものは答弁する必要がないと言つて答弁しておられぬ。私はこれでは民主政治ができないと思う。また質問しましたことに、これは確信がどうか、数を数えたか——そういうことを一々言うことになりますと、政党一つ考えを持つて国会内で完全に審議することはできないと思う。これは国会内でありまするからには、いろいろな発言もできます。それが間違つておれば、質問でありますから、政府がこれに対して答えるのが当然であると思います。
  36. 西村直己

    西村(直)委員 あなたは多くうわさを持つて来てやつでおるのだと、最後は逃げ道を持つておられるが、言葉の抑揚から言いますと、東日本重工下丸子工場の労働者に対して、大橋法務総裁は、「━━━なるがゆえ基本的人権はないのであると明言しております。」こう言うておる。それからたとえば「これは明らかに陸軍である。」これは確認を求めるのなら別ですが、こういうふうに断定をしておられる。さらに、私ははつきり聞いておる、証拠を持つておるが、しかしそういうことをあなたの口から言つておるということになれば、質問形態になる。あなたはそれを質問だと言つて逃げますけれども証拠を持つておる、こういうことを言われておる。しかしこれは意見になりますから、私は差控えます。あとの審議の段階で出て来る問題だ。国会の中の、しかも本会議における施政方針演説に対する質疑というものは、どの政党のどの議員でも相当勉強し、確実な材料を持つて出て来るのが従来のしきたりだと思う。單に町のうわさやデマを拾つて来て、それを誇大に放送するのなら、これはこつけいなものになる、私は先般あなたにたいへん失礼な言葉を申し上げたが、人を興奮させる妙な絵がある、あれと同じ絵を国会の中でまかれては困る、これと同じことなのです。その点はあなたはいくらでも弁解はなさるでありましようが、どうも私らには納得の行く点がない。  いま一つはこういうことであります。たとえば警察予備隊の問題でも、警察予備隊に対するマツカーサー元帥の、いわゆる最初の指令を御研究になつていただけば、この点もある程度はつきり出ておるのであります。マツカーサー元帥の指令には、民主社会における公共の福祉を守るに不可欠な程度の勢力に増強されてよいと信ずる——いわゆる公共の福祉を守るということで、何ら戰という考えを前提にした指令ではないのであります。こういう指令が出て予備隊ができておる。この指令を越えた行動をあなたがいかにも断言することは、言いかえれば、占領軍最高司令官の指令そのものをも、あなたの言動が踏みにじつておるという結果を生ずる。言いかえれば、それがすぐあなた方の今やつておる反帝闘争の形態国会内に持ち込んだということになるのですが、その御意見を聞きたい。
  37. 川上貫一

    川上貫一君 まつたく違うと思います。吉田内閣がむちやなことをしておらぬかということを私は質問した。吉田内閣が━━をつくつておると質問した。それをしたのだが、これは軍隊をつくることは吉田内閣はできない。ところが外国の新聞にも軍隊として計算いたしてある、また警察予備隊自身も軍事訓練を受けておる。かなわんと言つておる、事実言つておる。それだからこれはポツダム宣言極東委員会決定と違うじやないか。こういうことを私は吉田内閣質問した。これは当然質問しなければならぬ。  それからいま一つ共産党はいいくらかげんなことを言うと言われますが、共産党は私は一番よく調べて、基礎のあることを言うておると自信しております。     〔発言する者多し〕
  38. 土倉宗明

    土倉委員長 私語を禁じます。
  39. 川上貫一

    川上貫一君 いいくらかげんなことを言うておらぬ、一番本気で熱心に、共産党は事実を調べておる、こう私は信じております。
  40. 西村直己

    西村(直)委員 あなたの最後の言葉は、あなたの立場からの弁解であり、あるいはまたあなた方としては、非常に国会を宣伝活動に使つておるというわれわれの解釈から見るならば、あなた方はいくらでもそういうことを言えばよいと思うでしようが、われわれは委員としてあなたの言動をいずれ判定しなければならぬ、だからいくら言われてもそれはそれとしてけつこうであります。しかしながらわれわれはこれから見ると——「これは明らかに陸軍である。」「大橋法務総裁は明言しておる。」こう言つておる以上は、あなた方は、そこをどうも信じてはいないのだけれども、どうでしようかと聞いているのとは違つて、あなた方がこれを通して宣伝しておるとしか受取られないのですが……。
  41. 川上貫一

    川上貫一君 明言しているのですということを言うておる者があるから、先日も言うておる通り、もしいけなければ、ここにその人を証人として呼んでもらいたいということを言つておる。いいくらかげんなことを言うておらぬ、はつきり聞きましたという人がおるのです。それでここにその人を呼んでくださいと前から言つておるのです。(「それは共産党だろう」と呼ぶ者あり)共産党であろうと、たれであろうと、証人たることに間違いない、共産党の証人がいかぬということを国会はきめておらぬ。
  42. 西村直己

    西村(直)委員 おそらく最後の段階になると、川上君の立場から、たとい千人の中から一人何か違つたことを聞いておる人があるとしても、それを証人に呼びたいという考えはわかる。これは考え方の相違であります。それを少しでも有力に展開したのでありましようが、われわれはそれは認められない。われわれは文章とか、議場で受けた感じとか、それからあなた方の背後にあるところのあなた方の議会に対する認識、考え方というものを基本にして、いずれ判定して参らなければならぬと思う。  最後にもう一点お伺いしておきたい。実は私はあなたの演説は、少くとも議長の手元において適当に処置された、言いかえれば、速記録から相当削除されておるのではないかと思うのであります。ところが世田谷その他の方面において、国会情報の名において相当べたべた張られておる。これに対しであなたは、どんな感じと責任をお感じになるかという点をひとつお聞きしておきたい。
  43. 川上貫一

    川上貫一君 これは私の演説に対する懲罰問題に関係がないと思います。私は懲罰に関する限りにおいては何の責任も持ちません。
  44. 西村直己

    西村(直)委員 それは法理論としてはあなたの言われることも一応うなずける面がありますが、問題は、あなたが政治家として考えた場合に、どういうふうにお考えになるか、これを非常にけつこうなことだとお考えになるか、それだけ聞きます。
  45. 川上貫一

    川上貫一君 私の心理状態は懲罰事犯関係がないと思います。私がどうものを考えておろうと、それは私の演説が懲罰になるかならぬかという問題には何の関係もない。
  46. 西村直己

    西村(直)委員 それは確かに川上君の院内の行動というものについては、憲法によつて責任を問われないことになつておる。従つてそこに議員同士の、お互いの秩序を乱したいあるいは云々によつて相互の制裁権ができているだけで、その委員会も認められておる。私は院外における責任をあなたに対して今持ち込んで行こうというのじやないけれども、参考までに聞きたいと思つた。私はその程度が一応川上君に対する質問はけつこうであります。
  47. 土倉宗明

  48. 中川俊思

    中川委員 私が質問しようと思うことは大分同僚によつて指摘されましたから、私はごく簡単に一、二のことについてお尋ねいたします。先ほどちよつと同僚から御質問がありましたが、もう一応私が聞いておきたいと思うことは、あなたが演説を通してしばしば繰返されておるところの「大多数」あるいは「全土」——こういう断定的な根拠はどこに求められたか、それとも單にあなたがそういう自分の自主的な考えからそれを述べられたのか、主観的に述べられたのか、もし根拠があればその根拠を簡単に御説明を願いたい。
  49. 川上貫一

    川上貫一君 今まで数回答弁いたしておりますから、速記録で御判断を願います。
  50. 中川俊思

    中川委員 今までのあなたの答弁を承つておると、国民の大多数ということは結局あなたの主観的の問題である、何ら根拠のないということが私には決定づけられておるが、それはあなたのためによろしくないと思うから、慈悲心を持つて今聞いてやつておるが、しかしお答えがなければそれでよろしい。  それから次でありますが、あなたの演説の四ページ、「特にその中の青森県の三沢には、━━━━が配置されておるといううわさがあります。」こう言つておられる。これは単なるうわさであるか、それともこれも何か根拠があつておつしやつたことか、これをはつきり聞いておきたい。
  51. 川上貫一

    川上貫一君 うわさはどこまでもうわさであります。ここに述べてある通りであります。
  52. 中川俊思

    中川委員 あなたが一身上の弁明をなさつたときに言われたことに、こういうことがある。「いやしくも一党を代表して質問する場合、事実をあげずして質問することができるか。しかも私が質問のためにあげました事実は、人民が聞きたいたくさんの事実の中のほんの一部分でありまして、これは非常に多くの事実がいくらでもある。」こういうように、あなたは事実と言つてはつきり一身上の弁明のとき述べられておる。事実である以上は、単なるうわさだといつてこれをごまかすことはできない。これは今後あなたを審判する上におけるところの大きな問題であるから、はつきりと……。
  53. 川上貫一

    川上貫一君 そういうわさがあるという事実があるのです。(「じようだんじやない」と呼ぶ者あり)これはちつともじようだんやない。
  54. 中川俊思

    中川委員 川上君の答弁を聞いておりますと、すてばちでありますから、私はこの問題はこれで打切ります。  それから十八ページの「その上に━━━━の使用を言明したのはトルーマン大統領であります。」ということをあなたは明言されておるが、トルーマン大統領が今回の朝鮮事変に対して━━━━を使用することを、いつ言明されましたか。そのはつきりした日にちと場所を御指摘願いたいと思います。
  55. 川上貫一

    川上貫一君 新聞に出ておりました。
  56. 中川俊思

    中川委員 いつの、どこの国の、どういう新聞に出ておるかをおつしやつていただきたい。
  57. 川上貫一

    川上貫一君 覚えておりません。
  58. 中川俊思

    中川委員 むろん、今覚えておられないということも、あるいはあるかもしれません。ゆえにこれはひとつ参考のため資料として御提出を願います。  次に二十五ページの終りから四行目、「それは対日全面講和が特定国の拒否によつて行われず」と、こうありますが、特定国とはどこなんですか。
  59. 川上貫一

    川上貫一君 ソ同盟、中国は全面講和を主張しております。そのほかの国は、あまり全面講和を主張しておりません。これを言うたのです。
  60. 中川俊思

    中川委員 すると、特定国というのは、ソ同盟と中国ですか。
  61. 川上貫一

    川上貫一君 を除いたものです。
  62. 中川俊思

    中川委員 除いた他の国を全部特定国というのですか。特に定めた国というのは、一箇国を言うのじやないですか。
  63. 川上貫一

    川上貫一君 一国を言う場合もあれば、多数国を言う場合もある。
  64. 中川俊思

    中川委員 それから、三十一ページから三十二ページにわたる松川事件の問題です。これは先般同僚鍛冶委員より御質問になつたのでありますが、私はもう一度あなたの心情を聞いておきたい。というのは、「日本の支配者は、民主主義勢力に対する恐怖政策のために裁判所を圧迫し、この無実の労働者二十名に対し、五名を死刑にし、十五名を無期懲役その他の重刑に処する未曽有の判決を下している。これは憲法と人権に対する冒涜であります。だからこそ、この陰謀は、今や中国を初め、全世界の民主勢力の一大抗議運動一となつて摘発されている。われわれは政府に対し、即刻松川事件に関する全被告を無罪釈放することを要求する。」こう言つておられるが、一体政府が司法部に対して、こういう干渉をすることができるというふうにお考えになつておるのかどうか。これをはつきり聞  いておきたい。
  65. 川上貫一

    川上貫一君 干渉することができるかどうかは問題じやなく、政府に対してわれわれが松川事件に対する被告の無罪釈放、これを要求するということは当然だと思います。
  66. 中川俊思

    中川委員 先般鍛冶委員よりも御指摘になつたのでありますが、あなたは日本憲法を御存じですか。行政、司法、立法の三権が分立しておるということを御存じで、今のような御答弁をしておられるのかどうか。
  67. 川上貫一

    川上貫一君 私が憲法の條文を知つておるか知つておらぬかということは、懲罰事犯関係がありません。
  68. 中川俊思

    中川委員 今川上君は詭弁を弄して答弁をしておられますが、それがもし懲罰事犯関係がなく、あなたの言われたことに責任がないとすれば、こういうことは言えないはずです。政府が裁判所に対してどうこうということが、できるかできないかということを、あなたが十分に認識しておられるならば、こういうことは言えないはずだ、そこを聞いておる。だからあなたが、憲法の條文を一々知つておる知つておらぬということは問題でない。いかに憲法学者といえども憲法の一條から最後まで暗記しておる者はありはしない、その点を聞いておる。
  69. 川上貫一

    川上貫一君 言えると思うから言うたのであつて、言えないと思うのは、あなたが言えないと思うだけです。私は言えると思うから発言したにすぎない。
  70. 中川俊思

    中川委員 わかりました。あなたは政府が司法部に対してそういうことを言えるというふうにお考えになつておる、こういうふうに解釈いたします。うまり川上君のお考えは、議会人として憲法を守らなければならぬという気持は、あなたには全然ない。それではつきりしたのですから、それでよろしい。あとは今まで同僚が、私の質問せんとすることに対して、ほとんど質問なさつておりまするから、私はこれ以上質問を続けることはいたしませんが、要するに、あなたの速記の全文を通じて看取されることは、日本共産党議会を利用して、議会を濫用して、そうして暴力革命を企図しておられること、さらにでたらめのことを言つて、多くの国民を扇動しておること、これらのために、いわゆる共産主義の宣伝のために議会を利用して、こういう演説をなさつておるということであつて、単なるうわさであるとか、あるいはどこの新聞がどういつたとか、こういうような、何ら根拠のないことに基いて、あなたは質問しておられる。この点に対してあなたは十分に反省をなさらないと、あなたの将来のためにならない。ゆえに私はあなたが率直に、この速記をもう一度熟読なさつて、そうして多少これは言い過ぎであつた、こういうようにあなたが謙虚な気持で対処されるならば、私どもといたしましても、十分考慮を拂う余地はあると思う。しかしながら、あなたがこれはあくまでも事実である、事実に立脚してやつておるので、当然のことであるというふうに、反省の色が一つもないとするならば、あなたのために非常に不幸な結果をもたらすのではないかということを、老婆心ながら一言申し上げます。答弁はいりません。
  71. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 私はこの間総括質問をしておつて、それから具体的にやろうと思つたら、同僚各位が言われるから、大体いいと思つたが、ただいまのことはまことに聞き捨てならぬ言葉であります。もう一ぺん重ねて私は川上君の本心を伺いたいと思う。あなたは松川事件に対する被告全体の無罪釈放を要求するのは当然であると言われたが、どういう意味で当然なのか、それをまず聞いておきたい。
  72. 川上貫一

    川上貫一君 これは松川事件関係の弁護士ことごとくが、声明まで出して、これは事実無根であり、架空である。無罪であるということを主張しておる。またこの無罪釈放の運動が労働者並びに人民の間に広汎に起つておる。これは人民の声なんだ。それゆえに私は政府に対して、これは無罪であると考えるから、これを即時釈放するようにしてもらいたいということを要求した。これは国会議員として私はあたりまえだと思う。
  73. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 一体罪無であるとか、有罪とかいうのは——犯罪をとりきめるのですよ。犯罪をとりきめるのは、だれがやるべきものだとあなたは考えているか。
  74. 川上貫一

    川上貫一君 裁判に対する批判は自由であります。
  75. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 裁判を言われたが、裁判でなければやれぬということは知つているでしよう。
  76. 川上貫一

    川上貫一君 知らぬかもわかりません。
  77. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 有罪、無罪をきめるものは、裁判でやるものか、どこでやるものか、知らぬのか、それならば議論の余地がない。
  78. 川上貫一

    川上貫一君 君の質問はあたりまえの質問じやない。それは侮辱した質問だ。
  79. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 侮辱せざるを得ないじやないか。裁判でやるかやらぬか知らぬなんて……。日本国民として裁判できめるものかどうか知らぬなどと言うことは、侮辱せざるを得ないじやないか。
  80. 川上貫一

    川上貫一君 知つておるか知つておらぬかは、君の方で判断したらよろしい。
  81. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それを知つておるというなら、あとで質問する。知らぬというなら、日本国民の中に入らぬ。だからはつきりしてください。
  82. 川上貫一

    川上貫一君 これを知つておる知つておらぬということは、私の懲罰事犯関係がない。
  83. 田万廣文

    ○田万委員 ただいま鍛冶委員川上君との間に、非常にこうもつれた話が出ておるのでありますが、この裁判によつてやるとかやらぬという問題、これは常識的にわからなければいかぬと思う。これは川上君としても、いろいろ感情的な点があるかないかは知りませんけれども、少くとも国会に席を持つているあなたとして、その点の答弁だけは、ひとつ感情に走らずにやつていただきたい。また鍛冶さんの方としても、興奮されるような言葉ではなくて、質問質問として、またあなたはまじめな態度で答弁してもらいたい。これを私は議事進行としてお願いしたいと思います。
  84. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 ではあらためて答弁を願いましよう。
  85. 川上貫一

    川上貫一君 答弁は今まで繰返した通りでありまして、これ以上の答弁は私にはありません。
  86. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 有罪無罪の決定は、裁判所でやらなければ、ほかにやるものがないということは、これはいまさら言うまでもない。いかなる者でも、少くとも文字を覚えた者なら、それを知らぬ者はおそらく日本国民ではなかろうと思う。しこうして弁護士が裁判所で弁論として、これは無罪であるべきものである、だから無罪を要求するというならば、これは聞える。そういう言はあつたでしよう。あつただろうけれども、そういう言をかりて来て、国会において政府に対して無罪矛要求する。そういうことが通ると思つておられるかどうか、それを聞きたい。
  87. 川上貫一

    川上貫一君 全体の検察権を持つている政府に対して、これを釈放することを要求する、これは言えると思います。
  88. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 もう議論の必要のないものだ。検事といえども、起訴して裁判所にかかつている、裁判所の持つておるものを、行政権によつて釈放させろ……。それは一体先ほどから言われた、行政で司法が動くと思つていますか。
  89. 川上貫一

    川上貫一君 繰返して答弁した通りでありまして、検察当局に対しては政府はやはり責任を持つております。
  90. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 裁判所に行つているものを——検察当局が信念を持つて起訴している。それを政府が行つて、裁判所待つてくれ、釈放してくれ、そんなことができるかできないか、わからぬことはない。そんなことがわからぬ川上君ではなかろう。これだけのりつぱなことを言うのだから……。それをわかつておるにもかかわらず、かようなことを言う、その魂胆を私は聞きたい。
  91. 梨木作次郎

    梨木委員 今鍛冶さんは妙な質問を続けておられる。今刑事訴訟法の中では、いつでも検事は公訴の取消しができる。これは公訴係属中いつだつてできる。ほんとうに検察庁が自分の公誹の提起について、これは不当だと思つて反省すれば、いつでもこの取消しはできる。取消したならば、いつでも釈放できる。これはちやんと刑事訴訟法の規定できまつておるにかかわらず、あなたは無理な質問をしておる。だからそういう無理な質問はおよしなさい。(「三権分立だ」と呼ぶ者あり)三権分立を混淆しておるから、その点問題がある。
  92. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 川上君は今の梨木君のような考えで言われておるのですか。それならばそれで議論を進める。
  93. 川上貫一

    川上貫一君 私の答弁は繰返しておる通りであります。
  94. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 私の言うのは、裁判所にかかつておるものを、内閣から無罪として釈放せよと言えるか言えないか、あなたは言えるとほんとう考えておるならば、その論拠を聞かしていただきたい。
  95. 川上貫一

    川上委員 何べん言うても繰返した通りでありまして、検察庁に対しては政府は責任がある。
  96. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 政府とは、あなたはだれをさすのか知らぬが、かりに法務総裁といたしましよう。法務総裁は法務府におる。そうしてこの事件は福島県の松川で、福島地方裁判所でやつておる。実際に調べた現職の検事が福島でやつてつて、單に法務総裁に報告するだけのものであります。その報告を聞く法務総裁が、実際に現地で現職官が調べておるものに対して、これは無罪だから釈放せよと言うことができるかできないか。もしかりに言つたとしたならば、一体日本の検察庁というものはどういうことになるか。あなたはこの事件だからそういうことを言うのか知らぬが、かりに共産党がけしからぬ、もう一ぺんあれをやつてくれ、と法務総裁が法務総裁室から現地の検事局に言つたならば、諸君は何と鼓を鳴らして言うか。それにもかかわらずこれだけはそういうことが言えると思うのかどうか。
  97. 川上貫一

    川上貫一君 繰返して答弁した通りであります。(「できないならできないと言え」と呼ぶ者あり)できないことはちつともない。できないならできないと言えというような、無乱な言葉を使つてはいかぬ。無礼だ。
  98. 土倉宗明

    土倉委員長 私語を禁じます。
  99. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 まつたくどうも川上君の答弁を聞いておれば、いわゆる不遇の徒の言と言うよりほかない。ここにいる梨木君もああいうことを言うているけれども、梨木君もさようなことはできないと信じている。君だつて、そんなことを知らずに言うておられる川上君でないと私は信じている。しかるにかかわらずこういうことを言うて、今またここで、要求するのはあたりまえだと言う。その君の本心のねらいがどこにあるかということを、われわれは聞きたい。もしこういうことができるものとしたならば、日本憲法は破壊される。日本政府は行政権をもつて司法権を圧迫し得るものだと君は断言しておるのである。いやしくも国会議員の地位において、議場において、日本政府が憲法を破壊しておるものであると君は断言しておることにほかならない。それで一体あなたは議院の品位を傷つけないと思つておるかどうか。
  100. 土倉宗明

    土倉委員長 お諮りします。だんだんと質疑が白熱化して進みますので、ややともいたしますと、会議の席上、はなはだ不穏当な言葉を用いるきらいがありますのは、はなはだ遺憾でありますから、どうか質問者も、また答弁される川上君におかれましても、十分用語に御注意を願います。と同時に、各委員会におかれましても、随時発言はどなたにもお許しをするつもりでありますから、不規則なる私語をなさらないようにお願いいたします。
  101. 川上貫一

    川上貫一君 松川事件は架空な事件であり、無実な事件であり、捏造の事件であるということは、関係している弁護士それ自身一同が言つている。また広汎なる労働者もこれを言うている。これを国会で問題にして、そうして架室の事実とわれわれは確保しているから、政府に対してこれを質問した。一向さしつかえない、どこまで言うても同じことだ。
  102. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 要求するなんていう質問はないですよ。全被告を無罪釈放することを要求すると言つた。かような質問はありやしません。もうこれ以上私は言いません。まつた議会みずからにおいて、議員みずからが、日本議会憲法破壊の行為をなしておるものであるということになる。さらに憲法の破壊をやれという要求にほかならないものだ。これだけでは私は申しておきます。
  103. 田渕光一

    ○田渕委員 一昨日伺いました残りを  一つ気がつきましたので、川上君にお尋ねいたします。それはあなたの速記の写しの七ページの三行にありますが、「総理大臣は、ポツダム宣言極東委員会の諸決定に━━━━━しておる。」と断言されておるのであります。こういう点はたくさんありますが、あなたは、吉田総理大臣はポツダム宣言に━━しておる、そう断言されております。ことに三十三ページの初行から、「日本人民は、このことを忘れてはならない。それにもかかわらず、周恩来総理兼外交部長は、中国四億七千万の人民を代表して、日本国民に対し、誠実な、公正な講和の締結を呼びかけておるのであります。この中国人民の同情と信頼にこたえることは、日本国民の道義である。」こうあなたは発言されておるのでありますが、少くともポツダム宣言に違反しておるというあなたの解釈で行くならば、ポツダム宣言は当時の中国——蒋介石政権によつて結ばれておるのであります。しかも国民政府が台湾におるとはいえ、まだ国民政府は現存しあおるのであります。そうしてその後に中国自身の変革によつてかわつた中国共産党を認めておるものは、国際連合の中にイギリスだけであります。(「インドも認めているよ」と呼ぶ者あり)インドでもよろしい。たとい認めておつても、日本が全面降伏いたしました当時の連合国の全部は、この中共を認めておらぬ。それに吉田政府に、何とかして周恩来の言うことを聞けとあなたがかりに言われても、今日の国際情勢下、全面降伏をしてしまつた日本として、これを聞けるかどうかということについて、私は中共の発言というものに疑義を持つものであります。そうすると、吉田政府だけがポツダム宣言に━━して、おるのか、今あなた方の言う、中共の言うことを聞けということもポツダム宣言に違反しておるのじやないか、これをひとつ伺いたい。
  104. 川上貫一

    川上貫一君 これは、中国四億七千五百万の大人口に対して責任のある政府として、中華人民共和国は、インド、ソ同盟、イギリス等によつて承認されておる。連合国の四大国は中国とアメリカとイギリスとソ同盟である。この四大国のうち、はつきりとイギリスとソ同盟は、中華人民共和国を中国人民の正当な政府として認めておる。ことに日本が今度の戦争をしたのはどこで戦争したか。中国へ攻めて入つた。そして前後八年にわたつて中国人民に対して莫大なる損害を加えたのが日本の天皇制軍国主義である。これだけ莫大な損害を加えておいても、これに対して向うが公正な講和を申し入れて来ておる。これにこたえることこそ、日本人民の道理であるということを私は述べた。ちつとも誤つしおらぬ。こういう道義を踏み破りまするならば、これは必ず━━が戰争なるのはわかりきつている。東峰軍閥と同じことなんだ。私は周恩来外交部長が言うたと思つておらぬ。これは四億七千万の厖大なる中国人民を代表して言うておる。これに対して敵対しているじやないか。これを私は言うておる。だから甲兵の貿易なんかはちやんと禁止している。どうして禁止したのか、だれのさしずがあつたのかと聞いたら、わしがかつてに禁止したと総理ははつきり答えた。これは━━行為である。その結果をごらんなさい。日本の産業界はどうなつておりますか。中共貿易禁止の結果、日本の産業は壊滅しようとしている。中小企業がどうなろうとしているか。かくのごときが私は中国人民に対する━━であるというのである。これははつきり言える。省みて俯仰天地に恥じない。日本人民ならこれを言うのはあたりまえである。中国を━にしていいという日本人は一人もおらぬということをはつきり私は言いたい。
  105. 田渕光一

    ○田渕委員 私の伺いたいのは、吉田内閣だけをポツダム宣言違反だとあなたは独断されますが、逆に私たちから見れば、あなたの中共を内れて早く講和をせいということが、すでにポツダム宣言違反になりはせぬかということになる。ポツダム宣言を発したのは、御承知の通りアメリカ、イギリスあるいはフランス、後にソ連も参加いたしましたけれども、当時の中国というものは蒋介石政権である。それはまだ壊滅しておらぬし、まだ残つておる。国民政府というものは極東委員会にある。そうすると中国に二つの形態が現われている。これはポツダム宣言として大いに考えなければならぬ。それを一方的に、あなたが言うように、ソ同盟、中国というものから見れば、確かに英米あるいはその他が違反かもしれませんけれども、一方反対の立場から言えば、それは中国あるいはソ連だと言える。国民政府はまだ解消しておらぬ。蒋介石もまだ残つている。それになぜこれを聞かぬ、なぜ聞かぬと言われても、現在置かれているわが国の客観情勢からして聞けるか、聞けないかということを私は伺いたい。
  106. 川上貫一

    川上貫一君 ポツダム宣言には、アメリカの言うことだけ聞けということは、一つも書いてない。ソ同盟、中国、イギリス、アメリカの四大国を中心にする連合国、これがポツダム宣言の主体なんだ。アメリカの言うことだけ聞けばいいということは、一つも書いてない。ソ同盟はこれを認めておる。イギリスは中華人民共和国というものを正式政府として認めておる。連合国の半分が認めておる。インドも認めておる。アジア・アラブ十二箇国は、中国に侵略国としての制裁を加えることに反対している。中華人民共和国こそ、四億七千万の人口を代表する唯一の最も正当な政府であるとわれわれは思つておりますから、それゆえにこれを除外するのはポツダム宣言違反だと考える。
  107. 田渕光一

    ○田渕委員 いわゆる今日の周恩来政権というものに対して、円億七千万を代表していると言われますけれども、すでに中国、いわゆる中華人民共和国の中にも、台湾と呼応してゲリラ戦術に出る者が何千万もあるということは、これはあなたがこう言われるのとちつともかわらぬ。こういう論もあるのです。ことに蒋介石政権が残つておる。ポツダム宣言に効力ある位置にあるものが残つている。一方何ら承認されておらぬものが何と呼びかけてみてもむだである。今現在日本は保障占領されている。ことにその占領軍は連合軍である。その連合軍に対して指令するものは極東委員会である。極東委員会の大多数というものはどういう国か。だからこれを忠実に守つておるとこそ言えるが、違反しているのではない。共産党の、吉田内閣ポツダム宣言に違反しているのだというのは、私には共産党から見た一方的な独断としか見られないのです。これ以上論議してもしかたがありますまいが、あなたの言う吉田内閣ポツダム宣言違反なら、われわれも諸君の言う中共を入れろ、ソ連を入れろ——ソ連は連合国に違いないが、中共の周恩来政権はポツダム宣言に何の関係もない。これを入れろということは、すでにポツダム宣言違反ではないかとわれわれは考える。ここにわれわれは疑問を持つ。そういうことで一方的に吉田内閣が違反だということは、私は独断じやないかと思いますので、この点についてもう少し私の納得の行くようなお答えはないですか。
  108. 川上貫一

    川上貫一君 ポツダム宣言は、日本軍備を置いたり、戦争の準備をしたり、単独講和をしたり、講和の取引をやつたり、そんなことは全部禁じておる。日本に軍需工場を起す、こんなこともポツダム宣言は許しておらぬ、あらゆる面で吉田内閣ポツダム宣言に違反しておるということを私は言うたのであつて、何も周恩来外相にどうこうしたというのが、ポツダム宣言に違反したということではない。
  109. 田渕光一

    ○田渕委員 川上委員の今のお説でありますが、吉田内閣が軍事基地をつくる、そういうことは何も吉田内閣がやつておるのではありません。連合軍がやつておるか、やつていないか、われわれは見たことがない。しかも連合国その他の公式な、確認されたところの資料がないので、われわれが見る余裕もないし、信じておりません。それをあなたは信じておる。けれども吉田内閣は一九四五年九月二日、全面降伏以来、連合軍最高司令官の占領下、制限下に置かれている。このことは三歳の童子といえどもわかつておる。それをあなた方があえてそういうことを言うておる。要するに連合軍が日本を保障占領上必要な手段をとることは、これは連合軍のかつてである。何をいたしてもいたし方ございませんというて、ミズーリ号で全面降伏に判を押しておる。私が言いたいのは、この間も言うたことであるが、この連合軍の最高司令官がほんとう民主政治をしかんがために、諸君を刑務所から解放したが、そのとき諸君は何と言うたか。これは全共産党員が知つている。マツカーサー司令官の前に、民主解放軍よ、聖なる解放車上と涙を流して喜んだ。それを忘れたか、その大恩も忘れるくらいだから、ミズーリ艦上で全面降服をして、一切いたし方ないということになつておるのがわからぬのだ。たとい共産党が天下をとつても、マツカーサ上元帥がちやんと来ておる以上、連合軍のすることにどうすることもできない。それをポツダム宣言違反だとか、軍事基地をつくるとか言つて吉田内閣をつつくことは、要するに私は知識の低いためだと思う。そういう根も葉もないうわさを事実のごとく言うて、そこで何をつくることはいかぬと言う。先ほど川上君は西村委員中川委員質問に対してもそうです。うわさが事実であるとすれば、われわれはこういう夢を見た、ああいう夢を見た、という夢にたとえた事実に対して答弁をしろ、これとちつともかわらない。こういう点は国会議員としてはなはだ遺憾に思う。ただポツダム宣言違反だということについて、実際今日われわれもポツダム宣言の効力というものに対して疑義を持つております。とにかく一九四五年七月二十六日のポツダム宣言発布当時とあらゆる国際情勢がかわつて来ております。ことにポツダム宣言に対して、われわれから見るならば、蒋介石がなくなつて国民政府が解消してしまえば、ポツダム宣言から脱落するから、これに対する抗議がある。国民政府を代表する蒋介石とそれが加盟したところのポツダム宣言に降伏したので、中共の周恩来政府に何ら降伏したものでないということが言える。この点が解釈違いでありましようけれども、どうしてもポツダム宣言違反という点がなかなか納得できないのであります。けれどもあなたがそういうぐあいに解釈されて言われたというなら、そういうように伺つておきます。ただ私はそういうふうに解釈しておるということを申し上げておきます。
  110. 中川俊思

    中川委員 関連質問をいたします。川上君に質問しますが、先ほどから田淵君に対するお答えの中で、軍事基地を吉田内閣がつくりつつある、いろいろ例をたくさんあげてありますが、それはあなたは今でもそういうふうに信じておられるのですか。
  111. 川上貫一

    川上貫一君 質問意味がどうもはつきりわかりませんが、この演説をした通りであります。
  112. 中川俊思

    中川委員 もう一度反復いたしましよう。吉田内閣が軍事基地をつくつており、またあなたがいろいろ述べておられるような軍事施設を、吉田内閣がやつておるとあなたは言明せられるのですか。
  113. 川上貫一

    川上貫一君 ここに書いてある通りであります。
  114. 中川俊思

    中川委員 それならお尋ねいたしますが、一体軍事基地であるとか、その他いろいろ軍事施設をやつておるとすれば、それはどういう費用で吉田内閣はやつておるとお考えですか。
  115. 川上貫一

    川上貫一君 ここに書いてある通りであります。
  116. 中川俊思

    中川委員 ここに書いてある通りだとすれば、終戦処理費ですね、間違いありませんか。
  117. 川上貫一

    川上貫一君 私の懲罰事犯はこの範囲のことであります。ほかに私が何と考えておろうとも、懲罰関係はないのです。
  118. 中川俊思

    中川委員 それではあなたはここにはつきり言明しておられるんだから、終戦処理費によつてつくられたものだと解釈をいたします。  しからばお尋ねをいたしますが、終戦処理費は日本の政府でかつてに使うことができるとお考えですかどうですか。
  119. 川上貫一

    川上貫一君 日本政府のつくつた予算であります。アメリカのつくつた予算でもないし、連合軍がつくつた予算でもありません。
  120. 中川俊思

    中川委員 日本政府がつくつたのでありますが、そのつくるにつきましては、終戦処理費は連合国からこれだけのものを要求する、という要求に基いてつくつたことも御承知でしよう。しからばこの終戦処理費が日本の政府によつてつてに使われないということは、これが考えてもわかることである。しかるに吉田内閣が軍事基地をつくつたとか、あるいは工場をつくたとか、そういうことにすこぶる矛盾がある。なぜならば、終戦処理費は日本政府によつてつてに使われない。使われないものを吉田内閣が使うわけがない。ここで私はあなたにお聞きしたいことは、終戦処理費でつくつたということが、あなたが言うた通りだとおつしやるるならば、連合国が使うところの金を日本政府がかつてに使つたことになる。そこに矛盾がある。そういうでたらめなことを言うことがいけないと言うのです。あなたの演説の中に「福岡県の板付、神奈川県の厚木、千葉県の木更津、すべて飛行基地であります。その他このような基地は、日本の国の中に十八箇所もあるといわれておりますが、特にその中の青森県の三沢には、━━━━が配置されておるといううわさがあります。これは日本国民にとつて重大な問題です。そもそもこの飛行基地は、すべて国民の税金でつくつたものです。終戦処理費によつてつくられた飛行場であります。」ということを言明されておる。こういう言明は、終戦処理費がどういうふうに使われ、たれの手によつて使われたかということを十分調査の上でなければできないと思うのです。こういうでたらめなことを言つて、あなたは大衆をごまかそうとしておる。だから私は今終戦処理費によつて吉田内閣がそういうものをつくれるものかどうかということを聞いておる。
  121. 川上貫一

    川上貫一君 終戦処理費は日本の予算であります。これはよその国の予算ではありません。終戦処理費は日本にはもうどうにもならぬものだ、外国がかつてに使うものだということは私は聞いておりません。これはもう明らかなことです。もし終戦処理費は日本がどうすることもできぬというようになつたら、終戦処理費は日本の予算ではない。こんな予算の編成はない。これは大蔵大臣を呼んで来ても、終戦処理費というものは日本で指一本させぬものだということは一つも言つておらぬ。そんなことを言つたら、これは日本の予算ではない。もしそういうことを言われるならば、私は次に、これは日本の予算じやないのかということを聞かなくてはならぬ。これは大問題だと思う。日本で予算をつくつて、GHQも通つて日本の政府が予算をつくつて、これは日本の予算ではありません、こんなことになるのであつたら、これこそ私は重大問題だと思う。
  122. 中川俊思

    中川委員 それじや川上君に聞きますが、今の日本はどういう立場であるかということをおわかりになつておるのか、何べんもこれは同僚が聞いておりますが、今日本はあなたも十分おわかりのように占領されておる。予算をつくるにしても、御承知の通りたびたび大蔵省から司令部に通つて折衝しなければ予算がつくれない。今のあなたの見解をもつてするならば、日本の予算であるから、日本人がかつてにできるじやないか、こういうことになる。ところがこれはかつてにできないんだ。なぜかならば、日本は今完全な独立国でないからできない。ミズーリ号の艦上において日本は全面的な降伏をしておる。従つていかに日本政府が予算をつくつたといつても、この予算は先ほど来言うごとく、大蔵省が司令部と非常な折衝をして、やつと了解を得てつくる予算だということは御存じのはずだ。その予算を、日本人がつくつた予算だから、かつてに使えなくてどうするということは、川上君は現在の日本立場を認識しておられないからそういうことが出る。それとも現在の日本は完全に独立国になつて、予算を編成するにあたつても、またこれを執行するにあたつても、司令部と折衝をやらないでかつてにできるというふうにあなたにはお考えになつておるのか。
  123. 川上貫一

    川上貫一君 そういうことを言われたら私は政府が困るだろうと思う。われわれはたびたび大蔵大臣に質問しておる。この予算はだれがつくつたのですかと質問した。政府がつくつたのである。こうはつきり答えておる。この予算は責任はだれが持つのですかという質問をすると、政府が責任を持つておりますと言うておる。あなたのようなことを言うと大蔵大臣は困りますぞ。政府が全部責任を持つておると政府ははつきり言うておる。わしには責任がないのだ、これは外国に責任があるのだというようなことを言つたら、たいへんなことになる。われわれは日本に責任があるのだと政府が言われるから、あなたに責任があるのでしようと質問しておるのです。いや、わしには責任がないのだ、日本の予算なんというものは、まるで、もうひもがついてしもうておつて外国のために、どないもならぬのだとお答えになるなら、それならそれで別に質問しなければならぬ。私はそう思つて質問してはおらぬ。日本の予算は日本の政府が責任があるのだろうと思つて親切に質問しておる。これをあなたがひつくり返して言うたら大蔵大臣は困ります。
  124. 中川俊思

    中川委員 私もたいがいけんかがすきなんですが、これ以上質問を継続する勇気がありません。あなたの根本的な考え方が違う。大蔵大臣はちつとも困りやしない。日本の政府も困らない。考えようによつては困るどころか、むしろ助かつているかもしれません。全体あなたのそういうようなお考えのもとにこの演説がなされておる。私は先般来議員の一身上に関する重大な問題でありますから、何とかしてあなたに好意を持つて、そしてみなが納得行くような御答弁を願いたいということを念願しておつたのですが、あなたの今日までの意見を拜聴しておりますと、われわれの質問に対する答弁はうまく抜けられて、そうしてなあたのかつて議論を繰返しておられるにすぎないのでありまするから、私はこれ以上質問を継続する勇気が、ことにまつたく抜け去つたことを申し上げます。
  125. 田渕光一

    ○田渕委員 川上君の演説の中に周恩来総理のことが出ておりますので、この際ちよつと申し上げておきますが、一九四五年九月三日の全面の降伏には、蒋介石の中華民国の代表者としては徐永昌が立ち会つて判を押しておるのです。このことをひとつこの際申し上げておかないと誤解を招くおそれがあると思うから申し上げるのですが、周恩来の言うことを聞かぬから、ポツダム宣言に違反しておるということは、成り立たないのであります。と同時に、これは御存じであつても、一つ私は念を押しておきたいことは、またこれはあとで出ましようけれども、降伏文書の一番末尾にある項のことであります。これまでも最高司令官は、日本国家の再建に寄與し、連合軍の占領政策に好意ある協力をして来たと数回ほめております。また今日の本会議においても、吉田総理は、講和が非常に有利に向つて来たということも、そのことに大いに力があるのだということを明言されております。われわれはこれを認識しておつたが、ただ共産党諸君だけは、ここ数年間、この降伏文書の末尾の項を無視してかかつて来たと思うのです。はつきり申し上げるけれども、降伏文書の最後には、「天皇及日本国政府ノ国家統治ノ権限ハ本降伏條項ヲ実施スル為適当ト認ムル措置ヲ執ル聯合国最高司令官ノ制限ノ下ニ置カルルモノトス」ということがはつきりと書いてある。この制限のもとに置かれて、われわれは忠実にこれをやつて来た。それを片つぱしから破壊して、国家再建を妨害しておるのが共産党である、このことだけははつきりと申し上げられる。これを認識するかどうかにおいて、こういう論が出て来るだろうと思います。この点だけ申し上げておきます。
  126. 土倉宗明

    土倉委員長 これにて川上君に対する質疑は終了いたしました。  なお梨木君より動議の趣旨弁明者佐々木盛雄君に対する質疑の申出がありましたので、次会は佐々木君の出席を求めて質疑を行いたいと思います。  次会は明後十五日木曜日午後一時より開会いたします。なお川上君に対して私から多少お尋ねいたしたいと存じまするので、同日はぜひ出席を願います。
  127. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 ちよつと議事進行について……。ただいまの梨木君の提案者に対する質問の件ですが、なるほど梨木君は質問されておらないので無理はないと思いますが、梨木君の前委員であつた委員からはくどくどしいほど聞いておられる。こんなことをして、委員がかわつてはまた質問がある、またかわつて質問があるということになると……。
  128. 土倉宗明

    土倉委員長 ちよつとお待ちください。佐々木君に対する梨木君の発言は初めてでありますのと、それから川上君に対する質疑はもう十分希望された方には令部お許しを申し上げたわけで、一応川上君に対する質疑はこれで終つておる。但し委員長から一、二承りたいことがありますので、次会も川上君の御出席を煩わしておるわけであります。なお梨木君から要請されておる提案者に対する質疑は、委員長は許可する方針でありますから、佐々木君には連絡をとりまして、同日は梨木君に限つて提案者に対する質疑を許す考えであります。  川上議員の御退席を求めます。
  129. 梨木作次郎

    梨木委員 議事進行について……。次会が十五日でありますと、法務委員会が十五日にありますので……。
  130. 土倉宗明

    土倉委員長 時間の差繰りをお願いしたらどうですか——では時間の差繰りをお願いいたします。  それでは本日はこれにて散会いたします。     午後四時九分散会