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1951-02-05 第10回国会 衆議院 懲罰委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月五日(月曜日)     午後一時五十一分開議  出席委員    委員長 土倉 宗明君    理事 佐々木秀世君 理事 内藤  隆君    理事 田渕 光一君 理事 村瀬 宣親君    理事 猪俣 浩三君       鍛冶 良作君    田中  元君       牧野 寛索君    柳澤 義男君       田万 廣文君    木村  榮君  委員外出席者         議     員 川上 貫一君     ————————————— 二月五日  委員石井繁丸君辞任につき、その補欠として田  万廣文君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  議員川上貫一懲罰事犯の件     —————————————
  2. 土倉宗明

    土倉委員長 会議を開きます。  議員川上貫一君の懲罰事犯を議題といたし、前会に引続き川上貫一君の一身上弁明に対する質疑を続行いたしたいと存じますので、衆議院規則第二百四十條により、議長を経由して、川上君の出席を求めたいと存じます。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 土倉宗明

    土倉委員長 御異議がなければ、委員長において所要の手続をとることにいたします。
  4. 木村榮

    木村(榮)委員 ちよつと最初にお願いしておきたいと思いますが、実は川上君がかぜのために相当疲労いたしておりますので、時間を二時間くらいのところできようは打切つてただきたいと思いますが、御了承をいただきたいと思います。
  5. 土倉宗明

    土倉委員長 なお議員川上貫一君の要求によりまして、委員長はさようにとりはからうつもりであります。     —————————————
  6. 土倉宗明

    土倉委員長 川上貫一君が御出席になりましたので、前会に引続き一身上弁明に対する質疑を続行いたしたいと存じます。  それに先だつてちよつと一言委員長より申し上げておきます。川上君は感冒のために肺門淋巴腺炎の危険がありますという申出でありまして、長時間引続き出席困難の旨、医師の診断書も添えられて申し出ておられますので、御本人の御都合によりまして、ぐあいによりまして、随時その場合は委員長を通じてお申出がありますれば、御退席を願うことにいたしますから、あらかじめ委員の方もさよう了承を願つておきます。  まず通告順によつて佐々木秀世君。
  7. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 川上君にお尋ねいたしますが、いろいろお尋ねいたします前に、一言私申し上げたいことがあるのであります。先般来川上君は、本会議並びに本委員会におきまして、二回にわたつて一身上弁明をなさつているのであります。その一身上弁明をお聞きいたしますと、自分としては共産党を代表したいわゆる代表質問である、共産党代表質問として、共産党イデオロギーをひつさげて政府質問することが何が悪いのだ、あるいはまたこういう点があるのだ、こういう考えがあるのだということを申し述べて質問する、これは当然じやないかという一身上弁明をなさつております。もちろん私たちは、共産党の代議士が共産党イデオロギーに基いて議会質問なさることは、合法政党としての立場から考えても、それは当然であろうと考えます。同時にまた幾多実例をあげまして、それに対する考え方を聞くことも当然でございましよう。但し議会におきましては、いかに言論は自由であるとは言いながら、條文に示されているごとく、憲法あるいはまた議院運営の諸規則を守つて発言するということは、当然なのであります。ことに本会議場発言等におきましても、第百十六條、第百十九條等諸般條項を見ましても、いろいろその條項の中には、不穏当な言動に対するところの諸規定があるのでございます。たとえば無礼の言を用いたとか、捏造して事実を曲げて発言をしたとか、かつはまた院内の体面を汚したとか、議院品位をそこなつたとか、あるいはまた議院の騒擾をかもしたというような点がありますれば、これは懲罰事犯として取上げられることは当然なのであります。そこであなたの先般本会議場で行われた言動の中には、われわれといたしましては、議院品位を傷つけ、あるいはまた不穏当な言葉として取入れられる点が多くあるのであります。その点につきまして私は十分に川上君のお答えを願いたい。決して私は川上君のイデオロギーを云々するものではございません。その点をひとつ了承の上、お答えを願いたいと存ずるのであります。  私は、いまさら言論の自由でありまする憲法下において、人の言葉のあげ足をとるものではございません。また民主主義国会におきまして、旧帝国議会の例をとつて、それにあてはめようとするものでもない。但しいわゆる議会といたしまして、旧来の議会を見ましても、その言動というものについて、十分お互いが注意し、かつまた他人に迷惑をかけず、あるいはまた議院品位を傷つけないということにおきましては、われわれの各先輩があらゆる努力を傾注して来たことは、川上君御自身も御承知のことと存じます。これを例とするわけではありませんが、たとえば帝国議会のときにおきまして、こういうこともあつたということだけは、ひとつ川上君も御了承願いたい。たとえばいろいろ懲罰にかかつた人たちの過去の例を見ますると、武藤山治君が第四十九帝国議会において譴責を受けております。それはどういう意味で譴責を受けたかと申しますると、無礼言動があつたということであります。その無礼言動とは何かと申しますと、その速記録を調べてみまするならば、「議会は最も非能率的である」という一つ言葉が、議員全体に対して無礼の言であつたというので、譴責を受けているのであります。また永井柳太郎氏は第四十三帝国議会におきまして、「西にレーニンあり、東に原敬あり」という言をもつて出席停止五日間の懲戒を受けているのであります。また七十三議会におきましては、西尾廣議員除名処分を受けております。この除名処分になりました言動の一箇所は、どういうことかと申しますると、「スターリンのごとく、ムソリーリニのごとく」という言葉西尾末廣君の除名に値したいとう記録であります。そういう点から考えまして、私たちはこれを例にとるのではございませんが、かように、民主主義国会といえども、本会議発言あるいは委員発言等においては、十分にお互いが不穏当な言動は愼まなければならないということは、今もかわりがないのではないかと考えます。但しこれをもつて懲罰にあてはめようとするのではございません。ただ、あなたの言われました幾多発言の中におきまして、われわれは納得のし得ざる点があります。同時にまた日本は今日、いかに言論の自由とは言いながら、占領下に置かれております。しかもポ政令あるいはまたポツダム宣言等は、憲法の上に立つとまでいわれております。それはあなたにおいては見解の相違があるかもしれませんが、私はそう考えております。院外において、ポ政令三二五号によつて処罰に値すると思われるような、いわゆる進駐軍に対する有害なる言動、あるいはまた明らかに米軍の不信または怨恨を招来するよう発言があるとするならば、これもわれわれは考えなくてはならぬということは、占領下国民として当然であります。そういう点も後ほどお聞きいたします。  また次に、公安を害すべき発言が十分になされていたと私たちは受取ります。公安を害するということも、これも一つの不穏当な言葉と申し上げなければなりません。まず公安を害すると思われる点の一、二箇所をお聞きいたしますが、あなたは「日本人を中国や朝鮮に対する、━━肉彈にしようとしておる。」とはつきりと断言しております。肉彈になるのではないかというよう想像的な言葉であるならば、われわれはあなたの言葉をそう取上げません。但し「肉彈にしようとしておる」とはつきりとあなたは言つておるのであります。そのことにつきましてのあなたの見解をひとつ承りたいのであります。
  8. 川上貫一

    川上貫一君 吉田内閣政治は、必然的に日本人民ソ同盟並びに中国人民に対する肉彈にするという方向をとつた政治であると思います。
  9. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 思うということは、あなたの独断による主観的な見方ですか。それともいろいろな客観情勢から判断して、あるいは実例をあげ、証拠をあげて、そういう「肉彈にする」ということを断言なさつたのですか。
  10. 川上貫一

    川上貫一君 社会ではたくさんこう言つております。
  11. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 社会ではたくさんという言葉でありますが、どのくらいたくさんの人ですか。その実例をあげなければ、国民の何%が言つておるということでなければ、断言されないだろうと思う。ただ一、二の者や少数の者が言つたことを、いやしくも国会議員たるものが、国民の多数がそう言つているというようなあいまいな言葉では、われわれは了承はできません。もし数字的なことがあなたの頭にありましたら、お知らせ願いたい。
  12. 川上貫一

    川上貫一君 数を数えて歩いたことはありません。何人おるかというようなことはわかりません。なおその資料がいるというのでありましたならば、今は持つておりませんが、あとで提出いたします。
  13. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 そうすると、その言葉表現は、常識で考えても、国民の中にはそう考えておる者もあるという言葉表現することが、当然だろうと思うのであります。しかし今お聞きしますと、数を数えたこともないというような、まことにあいまいな、一つの主観的な考え方から申した言葉だろうと私は解釈いたしまして、それ以上追究しようとは考えません。  その次は、たとえば「総理大臣は、ポツダム宣言極東委員会の諸決定に━━━━━しておる。」こうあなたは演説しております。ポツダム宣言に━━━━━しているものであるならば、吉田総理大臣は当然いわゆるポツダム宣言違反者として、連合国ないし極東委員会において処罰されなければならないということは、私から申し上げるまでもありません。その吉田総理大臣が、今総理大臣として国政を預かつているのであります。何らの処罰を受けておりません。またそのことに対して何らの取調べも受けておりません。それを実際に違反したという完全な事実がないのに、総理大臣ポツダム宣言並び極東委員会の諸決定に━━━━━した——この「完全」という言葉を使うまでの違反した実例がありまするならば、お答え願いたいと思う。
  14. 川上貫一

    川上貫一君 私はこの演説の中で事例をあげて、これはポツダム宣言に完全に違反するものであると思うかどうかと質問した。例をあげてあります。
  15. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 違反したと思うがどうかというのならば、私たちは問題にいたしません。それは質問でありますから、当然なさつてけつこうですが、完全に違反していると断言しています。その断言していることを私たちは取上げているのであつて総理大臣に対する質問の中の言葉が、違反しているかどうかをお聞きしたいというのであるならば、何ら懲罰事犯にもなりませんし、あるいはこれは不穏当な言葉とも解しません。ただあなたが独断的に、総理大臣は完全に違反しているという言葉を使うからこそ、これは問題になるのであります。だから完全に違反しているというその事実をおあげ願いたいと思うのであります。
  16. 川上貫一

    川上貫一君 事実は私の質問演説の中にあげてある。これは違反しておると思う。なお私は以上の点において総理大臣答弁を願いたいということをいつでも言うてある。(「そんなことはない」「それはごまかしだ」と呼ぶ者あり)ちつとも、ごまかしていない。だからこれは質問である。質問の仕方がいいか悪いかということは、懲罰の対象にはならぬ。
  17. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 質問の仕方がいい悪いを問題にしているのではないということは、当初において申し上げた通りであります。要するに言葉の言いまわしにおいては御自由であります。御自由でありますけれども、自由の中にも、議院体面をけがし、品位を傷つけるとか、あるいは無礼言動があつたとか、そのことがひいては国会の諸規定に反するようなことは、それ自体がいかに自由であつても、懲罰事例になるということを、私は申し上げておるのであります。あなたが総理大臣に対して断言せられたポツダム宣言に━━━━━だということは、あなたのいわゆる主観的な、單なる想像的な言葉から出たものであるということを私は了承して次に移ります。  次は「日本全土作戰軍兵器工場になつておる」ということになつております。これはあなたの質問内容にありますから、ページのことは申し上げませんが、ないことをここに取上げたのではありませんから、そのことは御了承を願いたい。日本全土作戰軍兵器工場になつておる——日本のいずれかの箇所がなつているといつて実例をあげる、あるいはこういう工場があるのじやないかということであるならば、私たちもそうかなということを考えます。しかし日本全土、この全土ということになりますと、われわれの乏しき知識から考えまするならば、想像からいたしまするならば、日本全土兵器工場になつているということに解釈するのは私一人ではないだろうと思う。そういう点から考えまして、あなたが日本全土兵器工場になつていると断言せられましたそのことについて、ひとつお答えを願いたい。
  18. 川上貫一

    川上貫一君 事例をあげて質問しております。こういう形であるから日本全土兵器廠になつておるのではないか、こういうことを演説した。これはちつとも違うことはない。
  19. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 私たちもいろいろの工場に関係しておりますが、われわれの経営している工場は、決して兵器工場でもなし、あるいは戰争に使うための品物もつくつておりません。そういう工場が、私たちの関係している工場ばかりでなく、全国至るところで、いわゆる戰争に関係のないいろいろな品物をつくりつつあることは、私ははつきりとあなたに申し上げることができる。しかるにもかかわらず、あるいは一、二箇所の例をあげたというならば、日本全土ということを使わずに、日本のある箇所においてはということになれば、これは不穏当の言葉とは見受けられません。しかるにあなたが、ことさらに日本全土作戰兵器廠になつていると言つたことは、今あなたのおつしやつた言葉だけでは、納得できないのであります。一、二の例をあげたところで、それは一、二の工場がそうなつている、一、二の箇所がそうなつているというならば、これは何ら不穏当な言葉とは解しませんが、「全土が」とあげたところのその言葉内容につきまして、もう少し私たち納得の行くように御説明が願いたい。私はあなたと議論するのではありません。私は質問しているのですから、質問者納得のされるお答えであればそれでけつこうなのでありまして、あなたとそうじやない、そうであるということを議論するのじやないのです。ただ私は今の言葉だけでは、日本全土兵器工場になつているということには了解しがたいのであります。その点をひとつお答え願いたい。
  20. 川上貫一

    川上貫一君 例をあげて私は演説質問しておる。こういう形になつておれば日本全体が兵器工場になつておるのではないかということを質問しておる。「全土」ということにおこだわりになりますけれども、これは日本全土が荒廃したと言う人がある。それならみんながみんなかつえておるかと言えば、資本家はかつえておらない。日本全土が飢饉になつて来たと言えば、みんながみんなかつえておるかという、天皇陛下はかつえていない。こういう問題を例にしても……。
  21. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 あなた今兵器工場になつているのではないかと質問したのだと言うが、そうじやない。あなた速記録を見てごらんなさい。「日本全土作戰軍兵器工場になつておる」とはつきり断言している。あなたは自分の言われた言葉に責任を持たなくちやならぬ。ことに国会議員たる者が、言論が自由だからといつて、どんな表現でもいいということは許されるものではない。兵器工場になるのではないかと心配しているという点から考えて、総理大臣兵器工場になりつつあるのではないか、それに対して総理大臣はどう考えられるかということであるならば、これはりつぱな質問であります。しかしながら日本全土作戰軍兵器工場になつているという断定を下したことに対しては、ただいまのよう発言説明では、われわれ委員としてはこれは妥当な言葉とは解せない。いわゆる不穏当な言葉であると解するよりしかたがない。われわれの納得の行く、日本全土兵器工場になつているという実例をあげて説明をしていただきたい。
  22. 川上貫一

    川上貫一君 実例演説であげておるということを、繰返して先ほどから申し上げております。
  23. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 いや二、三しかあげておりません。
  24. 川上貫一

    川上貫一君 質問じやない、質問じやないと言われるが、私には全部質問です。
  25. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 はつきりしております。あなたの質問の中には言つております。
  26. 川上貫一

    川上貫一君 ぼくは質問なんだから、その言い方が質問になつておらぬとか、質問になつておるというようなことは皆さん方の御解釈のしようである。これは全部が質問である。だから日本兵器工場になりつつあるがどうなんだと言つておる。
  27. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 なつていると言つておる………。
  28. 川上貫一

    川上貫一君 なつている。これはどうですかと言つている。
  29. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 それが不穏当な言葉なんだ。
  30. 川上貫一

    川上貫一君 だから不穏当だというのなら、あなたの方でかつてにそうおきめなさい。
  31. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 そうすると、やはりこの日本全土作戰軍兵器工場になつているということも、川上個人の独創的な捏造の言葉であるというふうに結論されるのであります。
  32. 川上貫一

    川上貫一君 それは……。
  33. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 お答えは願わなくてもけつこうです。私は次に移ります。
  34. 川上貫一

    川上貫一君 はなはだ迷惑いたします。
  35. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 迷惑じやない。われわれはお聞きしておるのですから、聞かないことをあなたから答えられる必要はありません。  「武装警官鉄道保安官━━━━のもとに、おびただしい━━━━が行われておる。」おびただしい━━━━が行われておると言つておりますが、その「おびただしい」という文字はすでにこれは容易ならざる言葉であります。そういう点があつたというのなら、私たちはこれは全国を調べたわけでもございませんが、またこれもそうかなと考えるかもしれません。しかし「おびただしい━━━━が行われておる。」というところのこの表現は、決して容易な表現ではございません。その容易な表現でないこの表現を、われわれが納得の行くよう実例をあげてお答え願いたいのであります。
  36. 川上貫一

    川上貫一君 共産党はきよう予算委員会でかなり詳細に、時間がありませんでしたから、十分に資料を全部使いませんでしたが、質問しております。おびただしい━━━━が行われております。これは一、二の実例ではない。労働者に行つて聞いてみれば、どんなひどい強制労働が行われているかわかる。これをおびただしいと言わずして何という言葉を使うたらいいか。ちよつぴり行われておる、われわれはそういうことは言えない。おびただしい━━━━が行われておると私は信じておる。
  37. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 ちよつぴりとか何とかいうことではない。われわれはそういう言葉のあれじやない。あなたの言つたおびただしいという言葉を、私に納得させてくれればいいのだ。決して議論して、言葉をどう使えと言つているのではない、あなたの使つた言葉をわれわれに納得させてくれれば……。
  38. 川上貫一

    川上貫一君 ぎようさん。ぎようさんということです。
  39. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 そういう矢礼言葉でごまかそうとしてもだめだ。その点はそれで、事実は事実として——これがある程度ということならば、私どもは納得するかもしれませんが、しかし、ぎようさんぎようさんという、その人をばかにしたよう言葉では、私は納得しませんから、それでけつこうであります。次に移ります。  大橋法務総裁が、「━━━なるがゆえに基本的人権はないのであると明言しております。これは政府自身が、━━━だから━━━━の奴隷だと言うたことにひとしい。」こうあなたはおつしやつている。大橋法務総裁がはたしてこのことを言われたかどうか。あなたはだれからお聞きになつたのか。それともどこかからお調べになつたのか。それをお聞かせ願いたい。
  40. 川上貫一

    川上貫一君 東日本重工下丸子工場労働者代表に対して大橋法務総裁が言うておる。これを質問した。はたしてそうであるかと質問した。大橋法務総裁返事をしない。これは大橋悪い。私は質問をしている。またこれは私の方の証人が必要なら出します。
  41. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 あなたは大橋法務総裁に対しての御質問に、そういうことを言われたと言われているが、大橋法務総裁どうだというならば、これはわれわれも納得行きます。この速記録を見てごらんなさい。「東日本重工下丸子工場労働者に対して、━━━なるがゆえに基本的人権はないのであると明言しております。」はつきり言つておる。そうして大橋法務総裁が明言したのであるならばどうかしれませんが、あなたは明言したとはつきり言つている。私は本日大橋法務総裁にこのことが事実がどうか調べました。大橋法務総裁は、こうした明言をしたことはないとはつきり言つている。あなたはそれを直接聞かれたのか。今承ると労働者の一部から聞いたというが、どういう方に聞かれたのか言つてみなさい。明言しておるとはつきりあなたが明言しておるにおいては、相当な事実としてこれを取扱つたものであろうと思う。しかしこういうことが、ほんとうに單なるある人から聞いたというようなことで、基本的人権はないのだということになれば、日本人全体がこの演説を聞いてどう動揺するか。いろいろな想像ができ、あるいは幾多の不安を感ずるということは当然であると思う。だからこそ、国会における言論というものは、みずからお互いが愼まなければならないということにおいて、諸般規定があるということを先ほどから申し上げている。ただ人言つたのだからと、かつてにそれを言つても、聞いたのだからいいじやないかということことであるならば、これは本会議発言じやない。これが独断的に正しいといつて——個人の場合は、こうあつた、こうあつたというようなことがもし事実であつたとしても、本会議場においてこれを発言し、そのために個人に非常な迷惑を及ぼすようなことがあるならば、これをもお互いは愼まなければならない。ことに品位を傷つける無礼な言は十分に愼まなければならない。少くとも本会議場発言においては、事実を取上げたとしても、その及ぼす影響も考慮しないということは、これは民主主義国会といえども、国会議員発言としては十分に考えなければならないことじやないかと思う。本人はそう言つてはいないと言う。あなたは一労働者から聞いたという先ほどお答えでありました。あなた御本人が聞いたものでない、聞きようによつてはいろいろとられただろうと思います。その言いまわしのいい悪いでなく、そう言つたことによつて及ぼす影響を考えないで、あなたは明言した。こう断言したあなたの言葉に、いわゆる問題になる点が出て来ているのであります。
  42. 川上貫一

    川上貫一君 一つもならない。
  43. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 懲罰事犯になるとかならないとかいうことは、われわれ委員がきめるべきであつて懲罰に付されている御本人がそれを判断される必要はありません。私たちがきめればよいわけですから、あなたが懲罰になるかならぬかということは、たとえばいわゆる裁判において、被告がおれは罪にならないんだと言うことと同じであつて、それをきめるのはわれわれなのである。だからよけいな発言は承りたくありません。
  44. 川上貫一

    川上貫一君 それなら質問しなければいい。
  45. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 だから判断を聞いているのではない。
  46. 川上貫一

    川上貫一君 判断も何も答えさせない。あなたはかつてにそこで演説している。質問していろんなら答弁させなければならない。(「すてばちになるな」と呼ぶ者あり)すてばちでも何でもない。質問なら質問らしく聞いてくれ。
  47. 土倉宗明

    土倉委員長 質問はいくらでも許可します。またその答弁も許しますから、秩序を不規則なる発言お互いになさらないように、委員長は警告をいたしておきます。
  48. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 お互いにそうやりましよう。それからまたこういう言葉があります。日本政治は「人民に対しては軍事植民地的━━━━を実行しておる。」ということをうたつておりますが、現在日本政府をお預かりしているのは、御承知の通り自由党であります。自由党の政策の中には、軍事植民地的政策を行うという條項は一項だにありません。それをあなたが、現政府は軍事植民地的━━━━を実行していると言うことは、どういう点から割出されたのか。單なる想像から割出されたのか。それが自由党のいわゆる現在握つている政党の政策綱領の中に入つておるのかどうか。政策綱領に入つておらぬものを自由党が行うはずもないし、またそういうことを行うということであれば、これは当然いわゆる自由党の党議に反するものであります。御承知の通り、政党政治は政党の主義主張、政策を実行することをモツトーとして内閣をお預かりしているのであります。その点に対しまして、あなたのいわゆる━━━━を実行しているというところの点につきましてのお答えを願いたい。
  49. 川上貫一

    川上貫一君 これも私は実例をあげて、私の演説質問しているのであります。こういうことが行われておる、これは今あなたが指摘された━━━━ではないか。自由党の方がどんな政策をもつて、どんなことをしているかということは問題ではない。一体自由党の政府がやつておるのだから、これを自由党がやつておるとは言えないが、自由党の政策はまことにけつこうだとは、ちよつと言えないじやないか。しかしそういうことを私は問題にしているのではない。ここで実例をあげて、これはたくさんの事実のうちの一つで十分だ。私は弁明のうちにこう言つておる。これは今指摘されたような状態になつておるのではないか、これを政府質問した。これは当然の質問であつて、しなければならぬ質問だ。
  50. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 川上君は事ごとに、断定しておきながら、そういうことについて質問した。もちろんこれは全部あなたの質問演説には違いない。ところがまだ私の言うのがわからぬかもしれませんが、質問が悪いとかいいとか、言葉の言いまわしがどうだとか言つているのではない。ただそれらをおつしやつたあなたの言葉そのものが、いわゆる先ほどから言うような諸條項に反するように結果的になつて来るんだ。その結果的のことを私たち言つている。ただ言いまわしが悪いとかいいとか、それは質問だからいいんじやないか、ということであれば、どんな質問でもいいかということになりますが、そうじやない。みなお互い国会の諸規定を守つて行くという、いわゆる愼重なる態度で臨まなくてはならぬということを私は繰返し申し上げている。ただいまも、そうなるんじやないかということで質問したと言つているが、速記録を見るとそうじやない。あなたははつきりと断定している。断定しておきながら、いまさらそうなるんじやないか、ああなるんじやないかと質問したんだということでお逃げなさることはどうかと思う。しかしそういうことで議論をしたくありませんから質問を続けます。  また次にこういうことを言つております。「予備隊は、━━━━━━━━━━━━━━の人的資源に提供する政策の具体的現われであります。」予備隊を設置するときはいわゆるポ政令によりましたが、あの政令の中に、人的資源にするんだということがうかがわれるような、そんなことは常識に従つてポ勅に書くはずはない。しかしながら、そういうような方向に持つて行くということがうかがわれるような、われわれの納得するような点をあなた御承知であるならば御説明願いたい。
  51. 川上貫一

    川上貫一君 これは何ぼでもありますが、簡單に言えば、この二十五日に民主婦人協議会の代表が来て、国民民主党の芦田君に会つたときに、芦田君は、警察予備隊は鉄砲を持ち、タンクを持つているじやないか、これが何で軍隊でないかということを言うておられると聞いている。これは本会議場の外に出たここのところの廊下である。これは民主党の芦田君もこう言うておる。事例はいろいろたくさんありますけれども、これははつきりしていると思う。どうもこれは警察じやない、これは軍隊だ。それだからアメリカの新聞にも軍隊の赤ん坊の警察予備隊ができているとはつきり書いておる。また警察予備隊それ自身が軍事教練ばかり、そういうことをやつている。それから警察予備隊の言葉を見ると、みな軍隊言葉です。警査とか教練とか、何何訓練、これは一つ一つ例をあげれば何ぼでもあげられる。われわれはこれを警察と思うとらぬ。警察でない、軍隊である。そこで私はそういう形から、この警察予備隊というものは今あなたが指摘されたような性格を持つているのだと、こう質問をした。違うなら違う、そういうものではないということを答弁すればいい。どうもこれはちと話がおかしいのです。ついでに言わしてもらいますが、先の大橋法務総裁の問題にいたしましても、私は質問する前にわざわざ請求して、大橋法務総裁答弁してもらいたいからあそこにおいでを願いたいということを要求してある。だから、大橋法務総裁が来ておられなければならない。ところが、大橋法務総裁のことを言うたといつて佐々木君は言われるけれども、これがそうでなかつたのなら、断固としてそうでないことを明らかにして、われわれがこれを主張する、大橋法務総裁はそうでない、こうだと言う、これを判断するものは国民だ。ぱつちがほんとうかということを明らかにするのが国会の仕事であるが、返事もしない、答弁をしない。しかもその答弁の仕方は、共産党質問はすべて宣伝でありますから答弁いたしません、こういう総理大臣答弁である。これではさつぱりわけがわからぬ。私は質問して、そうして答弁してもらわなければ、国民はこの真相を明らかにすることができない。人の名前をあげたら、じきにこれは侮辱になるじやないかとか、人の名前を言うたら品位を傷つけるじやないかとか、こんなことを言つてつたら、政策の討議はできません。きようもある所で、ある人の名前をあげたところが、それは無礼だとか何とかいうことでありましたが、人の名前が一つもあげられず、また労働者が実際言うていることを、それを国会の中で、こういうことを言うておるが、これはどうかという質問ができぬということになつたら、国会議員は人民の意思を代表する……。
  52. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 そんなことは聞いておらぬ……。(発言する者多し)
  53. 川上貫一

    川上貫一君 発言を許されておりますから……。
  54. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 質問の範囲外の発言だ。答えるだけの……。
  55. 川上貫一

    川上貫一君 そういうわけでありますから、私は、今の質問でもちとおかしいと思う。そこで私のお願いしたいことは、私は議院品位を傷つけ、無礼の言を用い、院内の秩序を乱したというのが私の懲罰理由になつておりますので、いろいろな御意見や御忠告はありがたく頂戴いたしますが、どこが議院品位を傷つけ、どこが無礼の言を用いて院内の秩序を乱しているかということを、具体的に御質問願いたい。
  56. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 それは川上君から指導されて、懲罰委員会は運営するのじやございません。ただいまは質問中でありますので、どこが懲罰に該当するか、どこが何々に該当するかは、おのずからわれわれがこの委員会を続行しつつ結論に到達いたしまして、あなたがはつきりわかるような結論を、後刻あるいは時期をかえて後ほど申し上げますから、まあそんなに急がぬでも……。今結論を言えと言うが、どこが懲罰に値するかしないかを今調べている。それであなたにお聞きしている。だから、こういうことを言つているが、こういう事実があるか、それじやこれは不穏当じやなかつたかというような解釈を、今私たち一つ一つ判断ようと、そのために御質問しているのであつて、あなたに対して、全体的にこれが懲罰に値するのだなどという結論は、今のところまだ全体的には結論づけられる時期ではございません。そういうわけでございますから、質問を継続いたします。  先ほどあなたは警察予備隊のことに対しても、いろいろお答えがありました。人的資源に提供する政策の具体的現われであるということについて、これは完全な軍隊だということでありましたが、われわれは軍隊になるかどうかはまだ想像つきません。しかし嚴として警察予備隊は警察予備隊という名称のもとに設置されたものでありまして、その内容によつて、あなたが警察は軍隊であると想像されることは、これはごかつてでありましよう。そのことについて私どもは議論はいたしません。  次に移りますが、「━━━━と━━━━━をかみ合せ、両民族を━━し、やがて中国や朝鮮を━━する準備であるといわなければならぬ。」これは非常に重大な言葉であります。たとえばこういういわゆる━━━━━と━━━━━━━━━━━とがかみ合わされて、それがやがては朝鮮、中国への━━の準備であるとするならば、これは国際的に及ぼす影響は大なるものであります。これが事実であるとするならば、これは容易な言葉ではございませんし、またこれが事実でないとするならば、これ以上の不穏当な言葉はないと断言せざるを得ないのであります。われわれといたしましては、今朝鮮や中国に対して━━━━━━をしつつあるとは考えておりません。また国民の中にはそう考えている人もあるかもしれませんが、国会議員の大半の人たち、大部分の人たちは、日本の政策というものは、━━━━や━━━━━とかみ合わされて、そうしてやがては朝鮮、中共に━━して行くというよう日本人でないことだけは、お互いが自他ともにこれは信じているのではないかと思う。そのことに対しましてあなたがはつきりと「━━━━と━━━━━をかみ合せ、両民族を━━し、やがて中国や朝鮮を━━する準備であるといわなければならぬ。」とはつきりと断言せられたことは、これは重大なる言葉であります。これが懲罰に該当するかしないかはあなたはどう言われるかしれませんが、やがてわれわれが考えますけれども、こういう国内的にもあるいは国外的にも大きな影響を及ぼす発言に対しては、十分に御注意があつてしかるべきではなかつたかということは、私のこれは親心とでもいいますか、考えを申し上げるのですが、どういう根拠に基いて、どういう事実に基いてこういう御発言をなさつたのか、これを伺いたい。あなたが先ほどまで言つた通り、そういうことを質問したのだというようお答えでは、私は満足できません。そうなりつつあるのではないか、で総理大臣はどう思うのだ、こう言うのならば、確かにあなたの質問として私たち了承しますが、準備しつつあるといわねばならぬ、こうはつきりと断言したその根処を御説明願いたいと思う。
  57. 川上貫一

    川上貫一君 速記録の通りであります。演説した速記録の通りであります。
  58. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 通りですか。まあ川上君は故意に申し上げた通りだと言うのですから、それをそうか、ここが悪いとかなんとかということは言いません。議論はしないのですから……。それじやこれはあなたの発言の通り私たち了承いたします。  それから吉田内閣の講和態度は「明らかに━━の態度である。」こう言つております。日本憲法戰争を放棄いたしました。いやしくも今戰争を放棄した日本憲法が嚴然として存在しているのでありますが、但し自衞権の問題につきましては、いろいろ人々により考えが違うようであります。現在の憲法によつて自衞権があるのだと言う人もあり、あるいは自衞権がない、憲法改正をしなければならないと言う人もありますが、そういうことに私は触れるのではございません。吉田内閣の講和態度は「明らかに━━の態度である。」ということならば、この戰争とさされた戰争は、いわゆる侵略戰争をさしてのお話でありますか、あるいは自衞権的な、いわゆる他から攻められたから戰争するのだというようなお考えか、どちらか、その戰争内容についてのあなたのお考えをひとつ説明願いたいと思う。
  59. 川上貫一

    川上貫一君 日本戰争憲法で放棄しておる。それなのに吉田内閣は、戰争の方向をとる單独講和の政策を推し進めておる。これを私は言うた。日本憲法戰争を放棄しておる。こういうのにかかわらず——このことは私が言うだけじやない。社会党の鈴木君もちやんと言つておる。一々読むのは長いから私はいたしませんが、共産党だけではありません。あるいはこれは社会党のほかの人も言うておる。單独講和をやるならば戦争になるのだと言つておる。またこれは人民もみんな言うておる。戰争の危険があるということを言うておる。第一にこの戰争は、おそらく中国並びにソ同盟に対する━━、このことが考えられる。政府が出しておる経済白書などを読んでみましても、まつたく中国並びにソ同盟に対しては━━を持つて書かれ━と同じような書き方をしておる。経済白書などを見ましても、まさにこの吉田内閣考え方は、ソ同盟並びに中国を━として全体の政治を立てておると私は考える。それゆえにこういつたやり方をやるならば、戰争の危險が十分ある。これは一向弁明する余地はないと思う。
  60. 土倉宗明

    土倉委員長 佐々木君の発言は許可いたしますが、その前に委員長より一言申し上げておきます。本日の会議の性格は、御承知の通り川上貫一君が懲罰事犯ありとして、その一身上弁明に対する質疑を継続しておるのでありまして、それが本日の会議の目的であります。ゆえに聞く人と聞かれる人との会議にすぎないのであります。この懲罰事犯内容懲罰に該当するとかしないとかいう論議を、今日の会議においてはなすべきではないと委員長は考えております。ゆえに本日の会議に性格づけられておりますこの本筋を、どうかはずさないように、各自いま一層御努力を願いたいと存じます。佐々木君。
  61. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 今委員長の言われた通り、これが懲罰事犯になるかならないかなどということを私は言うのじやない。先ほど申し上げた通り、ただあなたの質問内容についていろいろ御質問申し上げておるので、その点委員長の考えと私は同感であります。ただいまの私の質問いたしましたことにつきまして、川上君は單独講和は戰争講和だという結論をつけられたのでありまして、これはわれわれと意見が違うのですが、しかし違つていても、そうあなたがお考えになれば、これを追究して、そうじやないという議論をするのじやございません。ただ私の申し上げました質問と、あなたのお答えちよつと違つておるのじやなかと思うのは、吉田内閣の講和の態度は、明らかに━━の態度であるということなのですが、戰争にも、いわゆる自衞権を守るための戰争と侵略戰争と、この二つがあると思うのであります。あなたの演説内容をいろいろ読んでおると、日本は帝国主義の━━となつて、朝鮮や中共に━━する準備があるのだという言葉がありますから、この戰争は、あなたはどういう戰争とお考えになつて発言なさつたのかと聞いておる。吉田内閣は單独講和がいいのであつて、それが戰争講和だというのはあなたのお考え方でありますから、それをかえてくれということを私は言うのでありませんので、それは御自由です。けれどもこの戰争がどういう内容戰争とお考えで御発言なさつたのか、こういうことを私は聞いておる。
  62. 川上貫一

    川上貫一君 これは私の質問演説の中に出ておると思うのです。單独講和は、單独講和を結ばない方面を敵と仮定しなければやれないのではないか。ここに鈴木君がこう言つておる。念のために私は読んでみたいと思います。鈴木社会委員長は「單独講和ということになると、講和後において軍事同盟による軍事基地の提供は必至となり、日本を国際紛争や内乱や戰争にたたき込み、そうして憲法の中立、平和、独立が蹂躙されて、連合国による国連の安全保障がむずかしくなるからであります。」吉田内閣は單独講和と言うていろいろ「馬から牛へ乘りかえるという言葉はございまするが、総理大臣は、馬と牛から、戰争のにおいのする戰車に乗りかえようとせられておる。」こう言うておる。これは私だけの言つておることじやない。
  63. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 私は鈴木社会党の委員長がどう言われようと、あなたがどう言われようと、いいとか悪いとかいうことを言つておるのではなくて、人がこう言つたから、あなたがこう言つたというのか、それとも今の戰争内容において、鈴木さんがそう説明されたから、そういう内容を持つ戰争だと言われるのかわからないのです。私はいい悪いを言つているのではない。あなたはあなたの立場において御解釈されることはけつこうだと言つておる。だから、戰争というものにおいては、二つの戰争があるが、それは侵略戰争に該当するものであるか、あるいは自衞するための戰争に該当するものであるか、どつちの方の戰争と御解釈なさるのか。人が言つたから、おれが言つて何が悪いのだ。そういうことを聞いておるのではない。ただそのことを私はお聞きしたい。
  64. 川上貫一

    川上貫一君 繰返して言つておる通りに、中国、ソ同盟、これを━━━━━━━であります。
  65. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 先般鍛冶委員から松川事件のことについて御質問があつたようですが、あのときのお答えで私まだ納得しておりません。憲法第七十六條の第三項に裁判官、司法官の規定があります。あれをいまさらここで繰返す必要もないと思いますが、やはり司法権は司法権として、嚴然として三権分立の一つとしてその権限が認められている。そうして裁判の結果としてこの松川事件の判決があつた。そのことをあなたは架空の事実である、捏造であるということをこの演説内容の中に入れているのですが、私たちがこのことについてまだ了解を得ないのは、あなたの説明だけで言いますと、裁判官が架空の、まるで捏造して、政府の指令によつてああいう事件をこしらえたのだというようなことにしか聞き取れません。それならば、そのようにわれわれもそのことに対する考えを十分に研究しなくちやなりませんが、もう少しこの松川事件が捏造であると断定されたことについての根拠を御説明が願えれば、われわれの判断が非常に容易でないか、こう考えるのであります。それに対するお答えを願いたい。
  66. 川上貫一

    川上貫一君 ここに弁護士団からの公開状がありますが、非常に長いもので、これをここでやると時間ばかりとりますから読みませんが、弁護士団は……。
  67. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 それはあとからでも資料として提出してください。
  68. 川上貫一

    川上貫一君 弁護士団はこれは無罪であるということを主張しておる。また多くの人々もこれは事実無根であり、架空のことであるということを主張し、言うておる。これは私は活動的、進歩的労働者の声であると思う。国際的にも私の演説しました通りに、この問題には抗議が出ておることは事実である。さらにこの問題についてきのうの放送討論会で問題になつてつた。おそらく放送討論会をお聞きになつた人は知つておられるだろうと思いますが、三宅正一君は、往々こんなことは政府がやるのである。言葉はどうであつたかわかりませんが、どうもそういうことをやる。だから、国会においてこれを問題にして、政府にそれを質問することはあたりまえだ。これが言えぬようなことでは、国会はたいへん困つたものであるということをはつきり言つておるが、これは全国の多くの人々が聞いておる。私もそれと同じ考えだ。その人民の声を代表して政府に対してこれの答弁を求めることは、国会議員の権利であると思う。何もこれは最終の判決が下つたのではないし、これは司法権の冒涜だとか何とかということを考えておらない。やはり裁判に対するわれわれの批判だと思う。
  69. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 それだけではどうも納得できないのです。これは議論じやありませんが、弁護士は問題になつた事件を無罪にするように、いずれの弁護士も努力するのであります。また多数の国民がそう言つているといつて——いつもあなたは多数々々と言うが、その多数の限度が私たちにはわからない。たとえば單独講和にしても、今のよう戰争遂行に進みつつあると言う。そんなことをしていないのに、多数の国民は單独講和に対しては反対しているのだ、こう言うておる。多数だけではない、これには大多数とまで書いてある。そうすると、その数的な根拠がなければ、われわれはどうも納得できないのだ。ただあれが言つているとか。進歩的な労働者言つているというだけでは、大多数じやない。やはり一部の人の言葉なんです。それでは私たち納得できないので、ほんとうにあなたが、進歩的な労働者の一部が言つているとか、あるいは国民の中にはこういう声があるのではないかと言うならば、これは納得できますが、今の松川事件にしても、弁護士団はこう言つている、それから進歩的な労働者はそう言つている、だから、これは架空の事実である。これは捏造であるということに断定されることについては了解できないのです。仮定のことにおいてあなたがこういう問題を質問したと言いますが、仮定じやなくて架空の事実である、捏造であるとあなたは断定しておるのである。それに対してもしわれわれに了解がつく程度のお言葉で御説明ができるならば、はなはだけつこうだと思うのであります。
  70. 川上貫一

    川上貫一君 人間の数を非常に問題にされますが、政治を論じ、政治をするという時分には、人間の頭数を数える問題から言わなければ発言できないものであるということでは、問題にならぬと思う。  第二の問題は、将来の日本政治を論議する根拠は何が大事か。進歩的な労働者が最も大事だ。進歩的な人民が最も大事である。明治維新をたれがやつたか。個々の意見をよく聞いて、十分検討して政治をしなければ、進歩的な政治というものはできないと思う。数の問題ではない。われわれはこういう見地に立つている。だから、多くの国民諸君がというようなことも言うことはあるが、それは頭数を数えて言うのじやありません。われわれの見解で、これは真の日本人民の心からの声であるということをひつさげて、多くの国民とか、国民諸君とか、人民とかわれわれは言うている。これが政治のやり方だと私どもは考えてやつているのであります。
  71. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 川上君のりつぱな御所見で、それに対する反撥はいたしません。ただわれわれの見解としては——進歩的な労働者の言うのがほんとうの国民の声ということであり、また民主主義政治においては頭数や何かでないと言われますが、ぼくらの考えではやはり頭数で、多数の国民の声を尊重して政治をやることが、民主主義政治の行き方であり、また国会の運営においても、多数決政治そのものがいわゆる民主主義政治の行き方であると考えるのであります。但し見解の相違について、ここであなたと、進歩的な労働者の一部の者が言うことが絶対正しいというようなことに対して、論争はいたしません。
  72. 川上貫一

    川上貫一君 それは誤解がありますから、ちよつと……。
  73. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 それは御質問はいたしません。質問じやないですから……。  そこでもう一つお聞きしたいことは、ポツダム宣言とカイロ会談ということに対して、あなたはポツダム宣言、それからカイロ宣言という言葉を使つたのでありますが、このカイロ宣言が非常に重要であつてポツダム宣言できめたこういうことも、カイロ宣言に違反するというようなことをおつしやつておられるようです。たとえば千島列島、ハボマイですか、ハボマイ諸島の返還というようなことについても、いろいろあなたの御意見があるようです。われわれ国民としては、カイロ宣言というものに対しての公の発表を得ておりませんので、ほんとうはやはり講和條約にあたつても、ポツダム宣言を履行していただく、われわれもポツダム宣言を履行して行くということが、ほんとうじやないかというような点から考えて、少し疑問があるのです。これは私個人の疑問です。たとえばポツダム宣言條項には、日本の領土というものは北海道、本州、四国、九州——言葉ちよつと違うかもしれませんが、それに連なる一連の小島、これを日本の領土と認めるとポツダム宣言に書いてあります。じやポツダム宣言にはそう書いているが、カイロ会談ではそういうことを規定していないから、そういう小島の返還を望むというようなことは、とんでもないのだというような意味の演説をあなたはしておられますが、そういう考え方についてわれわれが納得行くよう説明を願いたい。
  74. 川上貫一

    川上貫一君 佐々木議員ちよつと間違うておられる。
  75. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 間違えているかもしれません。だから聞かせてくれと言つているのです。ぼくが正しいと言つているのではない。
  76. 川上貫一

    川上貫一君 カイロ宣言は千島のことを言うてはおりません。千島を規定したのはヤルタ協定であります。これは秘密協定になつておりますが、秘密協定は当然です。この協定はアメリカがソ同盟日本に参戰させるために、またソ同盟が参戰するということが、民主国家が勝利することで、日本の軍国主義をつぶすことであるという建前から、当時のルーズヴエルト大統領がソ同盟のスターリン首相に対し、こういう條件で君の方は賛成しないか、どうだということを慫慂された事実が、アメリカの高官の手記でも発表されておる。これがなぜ秘密協定になつているか。戰争中の協定ですから、もちろん秘密です。三箇月以後にこうするという協定ですから……。これはいかなる国際協定でも、こういう協定が発表されたことはありません。この協定の事実の上に立つてポツダム宣言が行われておるのだ。これはもう当然のことであつて、国際的にわれわれはこれは認められていると思う。それゆえに、われわれがポツダム宣言を受諾した以上、これが秘密協定であるとか、秘密協定でないとかいうことは問題じやなくて、連合国の間でとりきめられたところの国際條約は、これは完全に守らなければ国際信義に反する。そこで千島列島の問題は、これはヤルタ協定においてアメリカとソ同盟の間にりつぱに取結ばれた国際條約でありますから、この條約のその精神は、ポツダム宣言によつて引継がれるものであつて、これによつてわれわれが国際的な信義を守らなければならぬということは、敗戰国の私は当然の義務であろうと思う。これを云々するというようなことは、結局ポツダム宣言の精神にもとるものであるとわが党は考えておる。
  77. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 いろいろ教えていただいて感謝にたえません。ヤルタ協定による島のいろいろな協定が、いわゆるカイロ宣言になつて、このカイロ宣言に難くせをつけるとあなたが表現しているので、私はカイロ宣言ということを申し上げた。その前にヤルタ協定ということも書いてありますから、それはわかりましたが、私たちは、いわゆるポツダム宣言を條件としての無條件降伏と、こう考えておる。だから、そこにおいてあなたの解釈でわかるのですが、まあわれわれ考え方は幾分違つているということを申し上げます。その点についても私は決して議論はいたしません。ただあなたの考えをお聞きしただけであります。  そこで、いわゆる国際條約あるいは国際間においてきめた諸般の協定あるいは宣言というものは、国際人として当然これを守つて行くのが、いわゆる日本人としての立場でもあるということを今あなたが明言されました。その通りだと思う。われわれといたしましても、占領治下におきまする日本人は、連合国のいわゆる指令、命令に服して行かなくてはならないことは、これは国際條約を守る上からいつても当然ではないかと思うのです。そういたしますと、アメリカが日本を今占領しおる。これもアメリカひとりできめたのではないということは、いまさら申し上げるまでもありません。諸般の国際條約に基いて、国際協定に基いて、日本の最高司令官にはマツカーサー元帥がその任につかれていることは、私から申し上げるまでもないのであります。しからばマツカーサー元帥から発せられるところの諸般の、いわゆるポ政令なるものの重大なることも当然でありまするし、また日本人として占領下におきましては、これは憲法の上に立つとまでいわれているのであります。そうした占領政策にいろいろ疑念の点、それに災いするような言があつた想像される点もありますので、われわれはいろいろとあなたに御質問申し上げたのであります。ただこれ以上私は聞こうとはいたしませんが、大体川上君の考えておられまするところの大半はお聞きいたしました。私たち了承するしないは別といたしましても、お答えつたわけであります。あなたの今度の演説は、国内ばかりでなく、国際的にも相当重大な問題になつている演説であろうと思うのであります。昨日の東京の新聞を見ましても、モスクワ放送が三日の夜、同日付のソ連政府機関、これは何というか、向うのことは私はわかりませんが、イズヴエスチヤに掲載された日本共産党代表川上貫一君の第十国会における質問演説は大要放送したということが、きのうの新聞に載つております。これほど重大なる演説でありますので、われわれも愼重にあなたの演説されました内容については十分検討して行きたいと考えております。  ただ一つ申し上げたいことは、繰返すようでありますが、決してあなたの思想的なものをどうこうしているのでもありませんし、あるいはまた、言いまわしがよかつた悪かつたと言うのでもありません。先ほど申し上げましたように、いわゆる不穏当な言辞に該当するものであるか、あるいは議院品位を傷つけたものであるか、あるいは国会の秩序を乱したものであるかという点でありますが、国会の秩序を乱したという点におきましても、決して暴力行為だけが国会の秩序を乱したとはわれわれは考えておりません。そういう諸般規定に違反したものがいわゆる秩序を乱したというように考えておるのであります。そういう点をひとつ申し上げまして、私の質問を終りたいと思います。
  78. 土倉宗明

    土倉委員長 それでは猪俣浩三君。
  79. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 一月二十七日の本会議における川上君の質疑というこのプリントになつておるものにつきまして——川上さんそれをごらんになつてただきたい。その一枚目の裏から三枚目の表にかけて、一枚目のまず第一「川上貫一君中国や朝鮮、ソ同盟戰争をするようなことを喜んでおる者は一人もありません。しかるに」——それからです。「日本の今日の政治は、国民の大多数の要望を明らかに踏みにじつております。力づくで国民の意思を圧迫しようとしております。国際帝国主義の━━になつて、單独講和を推し進めながら、日本を軍事基地にしようとしておる。その上に、日本人を中国や朝鮮に対する━━━━━にしようとしておる。私は、ここに日本国民の名において、かよう政治を即時中止して、日本憲法を守つてポツダム宣言に基く全面講和を実現する一切の政策を実行することを、日本の支配者に要求するものであります。(拍手)」こうなつております。この読み上げました文句の中で、日本の今日の政治という言葉と、日本の支配者という言葉があるのでありますが、そこで第一にお聞きいたしますことは、日本の今日の政治という内容であります。結局日本の今日の政治をやつているものの範囲であります。これは抽象的な言葉でありますために、具体的にお聞きするのでありますが、これは現政府を言うのであるか。その中に国会も含むのであるか、なおマツカーサー司令部までも含むのであるか。なおそれと関連いたしまして、日本の支配者というものの範囲いかん。ただいま申しましたようなものを全部言うのであるか。あるいはその中に裁判所までも含むのであるか。抽象的な言葉でありますので、これを具体的にしていただきたい。この言葉はこのプリントの八枚目にも、それからまたあとから勘定して六枚目にも、その他にも出ているか知りませんが、私が見たところ、そういうところに日本の今日の政治日本の支配者という言葉が使われておりまするので、その内容を明らかにしていただきたいと思うのであります。
  80. 川上貫一

    川上貫一君 日本の今日の政治を担当しておるものは、吉田内閣であると思うのであります。また国民全体の生活、日本政治に対して責任を持つておるものは、吉田内閣であると思います。私の質問は最初から吉田総理大臣並びに関係閣僚に対する質問でありまして、一切の日本政治の責任は当然政府が負うべきものである、こう考えております。
  81. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 そうしますると、日本の今日の政治という意味は、吉田内閣政治を意味するのであるし、日本の支配者というのは吉田内閣を意味するのである、こうお聞きしてよろしゆうございますか。
  82. 川上貫一

    川上貫一君 さようでございます。
  83. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 なぜこれをお聞きするかと申しますると、懲罰事犯の動議を出しました佐々木委員から、国会全体を侮辱しておるような意味の提案理由の説明があつた。それと関連するので、これをお聞きいたしたのであります。  それからいま一点は、今読みました二枚目の劈頭に、国際帝国主義の━━という言葉がありますが、これも国際帝国主義という一つの抽象的概念であります。これはどういう意味でありまするか、御説明願いたいと思います。
  84. 川上貫一

    川上貫一君 帝国主義ということについて、いろいろな定義その他のものをここで述べるつもりはありませんが、これは御承知の通り、一つ政治上の概念であります。ある一国をさすとか、あるどの国をいうとかいう概念では、帝国主義という概念はないのであります。資本主義の一定の段階に発展した時分に当然にできて来るところの、資本主義の特殊の段階なんであります。そういう社会的な、政治的な、世界的な勢力があるわけでありますので、これはどこの国のどうという境目は、国際帝国主義という概念の中には、つかないはずなのであります。しかしこの中にソ同盟並びに中国がないことだけは、明らかにしておきたいと思います。
  85. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 帝国主義の定義、意味につきましては、私も多少知つておるのであります。ただ国際帝国主義という言葉は、そう古い言葉ではないと思います。私の聞かんとするところは、国際帝国主義の意味であつたのでありますが、今の説明でわかりました。
  86. 土倉宗明

    土倉委員長 それでは川上君の弁明に対する質疑は、本日はこの程度にいたしたいと存じます。  川上君の御退席を願いますが、なお明日午後一時から委員会を開会して質疑を続行いたしたいと存じますので、川上君も明日午後一時に本委員会に御出席を願いたいと思います。御承知を願います。では御退席を願います。     —————————————
  87. 土倉宗明

    土倉委員長 明日は午後一時より委員会を開き、弁明に対する質疑を続行したします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時四分散会