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川上貫一君 私の
一身上の
弁明は、昨日も本
会議場において
行つたところでありまして、大要はそれに盡きておるのでありますが、まず第一点は、私の
演説は
共産党を代表した
政府に対する
代表質問であるという点、これはこの
質問をいたしまして
政府にその
答弁を求めるということになれば、具体的事実をあげ、われわれの
考え方を述べ、これによ
つてそれに対する
政府の
答弁を聞いて、そうして
国政を
国会内において十分に
審議する、こういう
建前でなければならぬ。それゆえ私はいろいろな事実をあげ、これに対する
政府の
答弁を求めた。きのう本
会議場でこの
提案の
説明を承
つておりますと、事実を曲げたり、あるいは一方的にこれを判断したり、国際的な
情勢を不利にするようなことを
故意にしたというようなことがあると思いますが、私は少しもそう考えておりません。もちろんいろいろな事案をあげております。しかしこれは今日
国民が聞きたいところ、明らかに
政府の所見を承りたいところ、こういうものをひつさげ、なお
共産党の主張もあり、
人民の
考え方もあり、われわれの
見解もありますから、それのもとに事実によ
つて政府の
答弁を求めようとしたわけなのであります。この事実は私が独断したものでもないし、また
故意にありもしない事実を無理々々にあげて、いろいろな結果を来たそうということを考えたものでもない、このことをまず申し上げておきたい。しかしその
資料は、われわれの
議員団事務局の方で、これはいろいろ整理しております。必要に応じて提出することはできるのでありますが、ここに私は一、二のことを申し上げまして、何も私がいいかげんな事実を掲げて
言つたのではないということを、
弁明しておきたいと思います。
いろいろなことを
質問しておりますけれども、要するに
日本の
政治が、
ポツダム宣言並びに
極東委員会の諸決定に違反しているところがあるのではないかどうかということを
質問したことが、
要点になると思うのであります。このためにもちろん
資料を使
つている。それは
軍事基地の問題もあります。あるいは再
軍備の
問題等にも触れておりますけれども、これは單に私の独断でいたしたのではない。
国民が惑うている。たとえて申しますと、ここに
東京新聞がある。これは一月三十日の
新聞でありますが、この
新聞にはこう書いてある。「原爆が
日本または附近にいつでも使用する用意が整えられていることは今日ではもはや
秘密でもなんでもない」、これは社会でこう言うている。
新聞に書かれている。これはみな
国民が見、外でこういうことが言われている。しますとわれわれは、やはり
国民はこういうことに必ず疑問を持つのでありますから、この事実について
政府のお考えを聞くというようなことは、これは
国会議員として私は当然のことのような気がいたすのであります。ここに
東洋経済新報——私は時間をそう多くとりたくありませんので、一、二、の例を申し上げたいのでありまするが、ここに
東洋経済新報の九月十六日号があります。この十六日号には、「
英米誌は
朝鮮事変をこう見る」という題がついておりまして、こういうことが書いてある。「もし
戰争が起つたならば、
日本の
基地を
前進空軍基地として利用することにより敵の
アジア基地を叩くことができる。」あるいは「
日本にたいしては
米国はこれを
米国の
永久基地とする
計画を押し進めるだろう。」これは「
英米誌は
朝鮮事変をこう見る紹介」ということで、ここに載
つておるのであります。これは
国民がみな見ておることであります。あるいはほかの
記事によりますとこういうことも書いてある。「
米国は
朝鮮へ向けての最初の
軍事的出動を、
日本の
占領軍からさいて
行つた。しかし、今や
増援軍は
米国から直接
朝鮮に到着しつつあるとはいえ、
米国軍と他の
参戰国連国の
派遣軍隊との双方にと
つては、
日本が
前方作戰基地とな
つている。
日本自身の
政治的立場は、
かくして、
朝鮮事変の勃発以前に較べると一層その
重要性を加えてきた。」つまりここに
日本の
政治状態がかわ
つて来たということを書いてある。これはやはり
国民が読んでおる。こういう点については、やはりわれわれは
質問いたしまして、
政府の明快なる
答弁を得て、これによ
つてその
真相を
国民に明らかにしながら
国政を
審議して行かなければならぬ。こういうことをもちろん考えておるわけであります。あまり多くの例は引きませんが、ここに
東京新聞の一月一日号がありますが、ここにはこういうことが書いてある。「
朝鮮事変に際し
米軍は
アジア大陸に出動し
占領下の
日本を
補給基地として使用した、」これは
はつきり書いてあります。これは公の
新聞記事でありますから、多くの
国民が見ておると思うのであります。最近においては、これはどちらも一月三十一日でありますが、
日本経済と
毎日新聞の
記事——毎日新聞にはこういう
記事が出ておる。「
日米防衛協定が協議されると
日本の
安全保障の具体的な協議の段階に入るが、このなかには
軍事基地貸與の問題が当然含まれてくるものと見られる」
云々これはもう来ておる。仮定の問題ではない、事実こういうことが言われておる。これを
国民が見まするならば、どうしてもその
真相について考える。こういう点をやはり
政府はこう考えておるということを、
国民の前に明らかにされなければならぬ。そのために私はこれを
質問している。また
日本経済新聞にはこう書いてある。前に文句がありまして、「この
建前から必然的に引出される結論は
米軍ないし
国連軍が
日本に必要とする
基地はこれを提供し」
云々と書いております。これも
新聞でありますから
国民の多くが読んでおる。こういう事実がありますから、私はこの問題について
質問いたしておる。ところが
政府がこれに対して
答弁をしない。
総理大臣は、これは
共産党の
宣伝であるから
答弁しないという御
答弁をなさ
つておられる、私はこれは了解ができない。もしわれわれがご指摘しましことが偽りであり、事実を曲げておる、
牽強附会であるというならば、
政府はそれは
間違いである、君の言うところは
うそである、事実は
かくのごとくであるということを明確に
証拠をあげて
答弁されて、
国民の前にその
真相を明らかにしながら
国政を
審議して行くということが、
国会の私は責任であると思う。
私は
警察予備隊についても
質問いたしました。これも何も抽象的ではありません。ここにもありますが、
岡崎官房長官は、実は重機や
バズーカ砲も
予備隊が持
つておるということを
はつきりと言われております。またほかの
新聞には、
バズーカ砲の訓練はもう終えたということを書いておる。
国民はこれをどう考えるか、
バズーカ砲というものは戰車を相手にして使うものだと、
国民は私は常識的に考えると思うのです。そうするならば、
国民は、これは
軍隊ではないか、こう考えるのが常識でありまして、これに対してわれわれが、これは
軍隊ではないかということを
政府に
質問するのは、当然の
権利であり、義務であると思います。またこのことについては、これは長くなりますから述べませんが、
資料は幾らでも出しますが、オーストラリアの
スペンダー外相も、
日本の
軍国主義勢力の復活ということについて非常に心配している。こういうことが
新聞の
記事に出ておる。また
政経特報によりますと、
中国紙はこういうように言うておるということを書いておる。
反共系の
中国通信社、
中央社が十四日「
日本は再び
軍備を有す」と題して
警察予備隊、
海上保安隊の内容を次のごとく推測しておる。こういう推測が行われているとこう書いてある。そういたしますと、どうしてもこういう問題はやはりわれわれ
質問いたしまして、その
真相を
国民の前に明かにされなければならぬことであり、これを明かにして
行つてこそ一切の
国民、一切の
人民、老若男女を問わず、
国会の
審議というものを信頼することができる。にもかかわらず、この
質問に対し、これはお前さんの、
共産党の
宣伝だから
答弁をしないというようにやられますというと、あるいは
国民は、
総理は
答弁をなさらぬ、これはひよつとしたら
共産党の言うことが
ほんとうで、
首相は
答弁ができぬじやないかということを、
国民が思いはせぬかという危險がむしろあるので、もしも
国会が
ほんとうに
審議するならば
——私は私の
立場から言うのではありません。私は今
懲罰にかか
つておるのでありますが、
国会はやはり
政府に対して十分に
答弁せよというこのことを、ひとつ
要求してもらいたいと思う。そのあとで私の問題を取上げることが、
ほんとうに
国政を
審議する
立場ではないかと私は考えるのであります。また私は、
日本の今の
状態、その他
政治の
状態についても
質問いたしておりますが、「
実業之
日本」の六月十五日号にはこういうことを
——これはずいぶん前のものであるが、書いてある。「
日本の
軍事基地化を
米英ソはどう見ているか。」前に
文章がありまして、「駐
日米軍が当初の
占領任務から、内外の
情勢が変るとともに、その性格を変え今では
占領軍よりもむしろ
米国第一線に立つ防衛軍的なものになりつつあるのは事実である」これは前後に
文章がありますけれども、
国民はこういう
文章を見ますというと、必ず疑問を持つであろうとわれわれは考える。また事実疑問を持
つております。「
米国は現在の意図にかんしては何らの
秘密もない。
米国はソ連との
戰争の
可能性がある限り、
日本に、空、海、陸軍を維持しようとしている。横須賀の
海軍基地、
大型爆撃機用の四つの
空軍基地ならびに四個師を收容でき得る宿舎が
日本本土に作られるはずである。」これは「
実業之
日本」の六月の十五日号でありまして、やはり
国民は見ております。また
国民はこれはどうだろうか、えらいことになるではないかということの疑いを、これを見たら私はやはり持つと思う。これはやはり
国会の中で、そうであるならばそう、それが
まつたく間違いであるならば、
まつたくの
間違いであるということを、私は
政府が
証拠をあげてこれを
答弁し、もし
共産党の申しますことが
事実無根であり、
間違つているということであれば、それがまるきり
うそであるということを、
国民に納得させることが私は
政治であると思うのであります。ところが
政府は
答弁しない。そうして私が
懲罰にかかる。私はこれは
ほんとうに前代未聞のことではないかというような気がいたしております。
單独講和の問題についても私は
質問いたしておりますが、これはたくさんの
資料がありますから、ほんの一部ででありますけれども、「ダイヤモンド」の九月の下旬号にはこういうことが書いてある。「
ロンドン消息筋では、すでにこの
方針は、」「この
方針」というのは
アメリカの
方針と思いますが、「
米英両国間で非公式に検討されていると語
つている。なお、もしこれが事実だとすれば、この
計画は、
連合国が第二次世界大戰の諸敵国と、
單独講和條約を結ぶことを禁止した一九四二年の
連合国宣言および、一九四五年の
ポツダム協定のワクを越えることになる。」と、
はつきり書いてあります。これは
国民が見ております。こういう問題は、やはり私は
国民の前に明らかにしなければならぬと思う。
国会議員といたしましては、
政府並びに
日本の
政治が行われているこのことに、それと
見解が異なり、それと判断が違うことは
質問もできないし、
発言もできないということになりまするならば、私は
国会は
国民の意思を代表する最高唯一の立法機関であり、民主的な、
日本人民の意思の代表機関であるという性格は失われてしまうと思うのであります。また昨日の
趣旨弁明によりますと、外に国に対し信用を害するようなことを言つた。特にダレス氏が来られておるときにこういうことを言うことは、はなはだよろしくない。これは
議院の
品位を傷つけ、
国会の威信を失墜したものであるというように言われたと存じておりますが、われわれは
反対に、講和問題についてわざわざダレス氏が来られておるとすれば、その資格がどういう資格でおいでにな
つておるかは私よく知りませんが、そういうことであるならば、いよいよますます
国会においては、
国民の意思を代表し、
国民の意思を明らかに述べ、それは違うということを
政府は
答弁され、十分に
国会で
審議が行われ、これを外国に聞いてもらうことこそが、
日本の民主
政治であり、
国民の意思を真に
政治と外交に反映させるものだと思うのです。もしこういうときに、包み隠しさえすればいいというのであれば、
国会というものは一方的なものになる、
人民の意思を代表せず、ある特定機関の道具にな
つてしまう危險が十分にあると私は思います。こういう
立場で私は
質問いたしました。私の
質問につきましては、繰返して申しますが、
共産党の
政府に対する
代表質問であります。軽率に、單に
国政に害になり、国際的な
状態に悪影響を及ぼすであろうというようなことを毛頭考えてや
つておりません。これこそが
日本人民の利益であり、民族の利益であり、
日本の独立と平和のために、こういうことを
審議することは必要であると感じ、また
審議しなければならないと感じまして、
代表質問をいたしております。これが簡單でありますけれども、私の
一身上の
弁明であります。