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1951-02-01 第10回国会 衆議院 懲罰委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月一日(木曜日)     午前十一時五十七分開議  出席委員    委員長 土倉 宗明君    理事 佐々木秀世君 理事 内藤  隆君    理事 田渕 光一君 理事 村瀬 宣親君    理事 猪俣 浩三君       鍛冶 良作君    高橋 英吉君       中川 俊思君    西村 直己君       牧野 寛索君    柳澤 義男君       長谷川四郎君    石井 繁丸君       木村  榮君  委員外出席者         議     員 佐々木盛雄君         議     員 川上 貫一君     ————————————— 昭和二十四年十二月四日  委員井手光治君、木村公平君、佐々木秀世君、  篠田弘作君、中川俊思君福田篤泰君、福田一  君、福永一臣君及び吉武惠市君辞任につき、そ  の補欠として森幸太郎君、山崎猛君、吉田茂君、  小澤佐重喜君、西村久之君、青木孝義君、山口  喜久一郎君、池田勇人君及び高木松吉君が議長  の指名委員に選任された。 同月十三日  委員春日正一君及び林百郎君辞任につき、その  補欠として徳田球一君及び志賀義雄君が議長の  指名委員に選任された。 同月十四日  委員島田末信辞任につき、その補欠として木  村小左衞門君が議長指名委員に選任された。 昭和二十五年二月二日  委員高木松吉辞任につき、その補欠として坂  本實君が議長指名委員に選任された。 同月二十日  委員猪俣浩三辞任につき、その補欠として武  藤運十郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十三日  委員武藤運十郎辞任につき、その補欠として  猪俣浩三君が議長指名委員に選任された。 三月三十一日  委員大西正男君、笹森順造君及び浦口鉄男君が  辞任した。 同日  大石ヨシエ君が議長指名委員に選任された。 五月二日  委員青木孝義辞任につき、その補欠として山  本猛夫君が議長指名委員に選任された。 同日  松木弘委員長辞任につき、同日山本猛夫が議  長の指名委員長補欠選任された。 六月二十四日  委員徳田球一辞任につき、その補欠として川  上貫一君が議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員志賀義雄君は退職者なつた。 七月八日  委員山口喜久一郎辞任につき、その補欠とし  て大橋武夫君が議長指名委員に選任された。 同月十二日  委員大橋武夫君、小澤佐重喜君、坂本實君、内  藤隆君、西村久之君、松木弘君、大森玉木君、  木村小左衞門君、佐々木更三君及び大石ヨシエ  君辞任につき、その補欠として、岡野清豪君、  佐藤榮作君、林讓治君、廣川弘禪君保利茂君、  益谷秀次君、北村徳太郎君、中曽根康弘君、山  口シヅエ君及び増田甲子七君が議長指名で委  員に選任された。 同日  山本猛夫委員長辞任につき、同日森幸太郎君  が議長指名委員長補欠選任された。 同月十六日  委員益谷秀次辞任につき、その補欠として田  中豊君が議長指名委員に選任された。 同月十七日  委員田中豊辞任につき、その補欠として益谷  秀次君が議長指名委員に選任された。 同月十九日  委員林讓治君及び吉田茂辞任につき、その補  欠として山村治郎君及び栗山長次郎君が議長  の指名委員に選任された。 十一月二十一日  委員川上貫一辞任につき、その補欠として苅  田アサノ君が議長指名委員に選任された。 十一月二十四日  委員栗山長次郎君、北村徳太郎君及び中曽根康  弘君辞任につき、その補欠として大橋武夫君、  村瀬宣親君及び三木武夫君が議長指名委員  に選任された。 同月二十七日  委員大橋武夫辞任につき、その補欠として坂  本實君が議長指名委員に選任された。 十二月三日  委員益谷秀次辞任につき、その補欠として井  上信貴男君が議長指名委員に選任された。 同月四日  委員井上信貴男君及び坂本實辞任につき、そ  の補欠として益谷秀次君及び田中啓一君が議長  の指名委員に選任された。 同月五日  委員田中啓一辞任につき、その補欠として坂  本實君が議長指名委員に選任された。 同月十六日  委員苅田アサノ辞任につき、その補欠として  米原昶君が議長指名委員に選任された。 昭和二十六年一月二十六日  委員池田勇人辞任につき、その補欠として土  倉宗明君が議長指名委員に選任された。 同月二十七日  森幸太郎委員長辞任につき、同日土倉宗明君  が議長指名委員長補欠選任された。 同月三十日  委員岡野清豪君、坂本實君、佐藤榮作君、廣川  弘禪君保利茂君、増田甲子七君、益谷秀次君、  森幸太郎君、山崎猛君、山村治郎君及び山本  猛夫辞任につき、その補欠として牧野寛索君、  西村直己君、柳澤義男君、鍛冶良作君、田渕光  一君、佐々木秀世君、塚原俊郎君、内藤隆君、  中川俊思君田中元君及び高橋英吉君が議長の  指名委員に選任された。 同月三十一日  山口シヅエ君及び米原昶辞任につき、その補  欠として石井繁丸君及び木村榮君が議長指名  で委員に選任された。 二月一日  委員三木武夫辞任につき、その補欠として、  長谷川四郎君が議長指名委員に選任された。 同日  佐々木秀世君、内藤隆君、田渕光一君、村瀬宣  親君及び猪俣浩三君が理事に当選した。     ————————————— 一月三十一日  院議をもつて議員川上貫一懲罰事犯の件 の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事互選  議員川上貫一懲罰事犯の件     —————————————
  2. 土倉宗明

    土倉委員長 会議を開きます。  この際一言ごあいさつ申し上げます。不肖、今回はからずも懲罰委員長の重責をになうことになつたのでありますが、何分にも不敏不才でありまして、はたしてこの重大なる職責を盡し得まするか、懸念いたすものであります。幸いに委員各位の御援助、御協力によりまして、大過なきを期したいと存じます。何分よろしくお願いいたします。  ただいまより理事互選を行います。理事はその数を議院運営委員会の決定した基準により五名とし、委員長において指名するに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 土倉宗明

    土倉委員長 御異議がなければ    佐々木秀世君  内藤  隆君    田渕 光一君  村瀬 宣親君    猪俣浩三君以上君名の諸君を理事指名いたします。  今後の議事の順序その他について、理事会を開き協議いたしたいと存じますので、この際暫時休憩いたします。     午前十一時五十九分休憩      ————◇—————     午後三時十九分開議
  4. 土倉宗明

    土倉委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  昨日院議をもつて付託されました議員川上貫一君の懲罰事犯の件を議題といたします。  まず佐々木盛雄君から動議提出趣旨について説明をお願いすることにいたします。佐々木盛雄君。
  5. 佐々木盛雄

    佐々木盛雄君 ただいま議題となりました共党産議員川上貫一君の懲罰動議につきまして、動議提案理由を御説明申し上げたいと思います。しかし昨日の本会議におきまして、提案理由は一応御説明を申し上げましたので、なるべくこれの重複を避ける意味におきまして、簡單に要点だけを御説明申し上げることにいたしたいと思います。  川上貫一君が二十七日に、衆議院会議におきまして政府施政方針に対して行つたいわゆる質問演説なるものは、実は質問演説に名をかりた共産党テーゼ宣伝以外の何ものでもなく、そこに引用された事実は、日本政府並びに連合軍当局の発表とはまつたく逆のもでありまして、ことごとくが虚構捏造の連続以外の何ものでもないと━考えるのであります。━━━━━━━の手先になつて、━━との戰争のために日本人肉彈にしようと陰謀を企てておるというようなことは、まつたくためにする、政府の威信を傷つけんとするもの以外の何ものでもありません。いわんや松川事件のごときに関しましては、これはまつたく政府政治的謀略にすぎないなどと断定いたしておりますることは、司法権の範疇にまで干渉して神聖なるべき日本裁判をも冒涜するものといわなければなりません。さらに連合国に対しましては、あたかも━━━━がアジア侵略の張本人であるかのごとき事実無根欺瞞宣伝を行い、その他各種の反米的な欺瞞宣伝行つておるのでありまして、かくのごとき連合国に対しまつたく事実に反し破壊的欺瞞宣伝を行い、連合軍に対し不信や怨恨を招くごとき言動を行うことが、もしも国会の外において行われたといたしまするならば、これは明らかに、ポツダム政令第三百二十五号、占領目的阻害行為処罰令適用の対象たるべきことは言をまたないのであります。さらに団体等規正令によりますると、その第二條におきまして、占領軍に対する反抗もしくは反対、または日本国政府連合国最高司令官要求に基いて発したる命令に対する反抗もしくは反対禁止條項が明記されておりまするが、この川上君の発言占領軍に対する反抗もしくは反対であることは、きわめて明らかでありますると同時に、先ほど申し上げましたポツダム政令第三百二十五号占領目的阻害行為処罰令というのは、その次に規定されておりまする日本国政府連合国最高司令官要求に基きそ発したる命令でございますから、この命令に対する反抗もしくは反対禁止條項に照し、団体等規正令適用を受けるべきも、また論をまたないのであります。  その他例をあげますと、非常にたくさんな点を指摘することができるわけでありまするが、要はかくのごとく故意占領軍反抗し、国民を欺瞞し、祖国の再建を妨害するというような、きわめて非愛国的なる言動、これがはたして日本国籍を有する日本人としての自覚の上に組み立てられようとは、われわれは断じて考えることはできないのであります。少くてもこのような、精神的には完全に日本国籍を離脱して、すでに第三国に向つて忠誠誓つた議員が、いかに国敗れたりといえども、新憲法下国会に存在しておりますということは、議院品位を傷つけ、議場の秩序を乱すことは論をまたないのであります。憲法第五十八條院内秩序を乱した議員懲罰と明らかに規定をいたしております。さらに衆議院規則第二百四十五條によりますると「議院秩序をみだし又は議院品位を傷つけ、その情状が特に重い者に対しては、議院は、これを除名することができる。」と規定いたしておるのであります。また川上君は、吉田首相芦田均君を、あたかも国際帝国主義の召使あるいは極端なる軍国主義者のごとくに取扱つておるのでありまして、これは国会法第百十九條において嚴禁しておりまする無礼の言であることは、もとよりのことでありまして、その非礼千万にして不穏当きわまる言動というものは、憲法国会の権威の名においても、われわれの絶対に黙視し得ないところであります。  これを要するに川上君の言動というものは、日本国籍を持つた国民として、あるいは法治国家国民として、さらにまた占領下国民として、何人とても絶対になすべからざるところの言動を、たまたま国家が言論自由の殿堂なるを奇貨とし、議員権利を濫用して、至るところにおいて国法無視発言と、共産党欺瞞宣伝を行い、ことさらに占領国たるアメリカを誹謗し、虚構捏造の事実を流布し、その上無礼の言辞を弄するに至りましては、選良たる議員にあるまじき行為でありまして、議院品位を傷つけること、これより大なるはないであろうと考えます。もしもかくのごとき不穏当きわまる言動を、單にそれが共産党であるからといつて、あるいは議会は言論自由の府であるからというだけの理由によつて放任をいたしますならば、院内秩序はとうてい保持することはできなかろうと考えるわけであります。従いまして議院品位を傷つけ、無礼の言を用い、院内秩序を乱した標本的な人物といたしまして、共産党議員川上君を憲法第五十八條国会法第百十六條及び第百十九條、衆議院規則第二百三十八條及び二百四十五條の各條項に照し、ここに衆議院規則第二百三十五條によつて懲罰動議を提出いたした次第であります。何とぞ議員各位の愼重なる御審議と御賛同を得まして、憲法国会尊嚴擁護のために、秋霜烈日の態度をもつて臨まれんことを要望いたしまして、提案趣旨を御説明申し上げた次第であります。
  6. 土倉宗明

    土倉委員長 それではただいまの趣旨弁明に対する質疑はあとまわしといたしまして、この際引続き規則第二百四十條により、本人川上貫一君の出席を求め、一身上弁明を聽取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 土倉宗明

    土倉委員長 御異議がなければ、議長を経由して本人出席を求める手続をとることにいたします。     —————————————
  8. 土倉宗明

    土倉委員長 ただいま川上貫一君が御出席になりましたので、これより川上貫一君の弁明を求めることにいたします。川上貫一君。
  9. 川上貫一

    川上貫一君 私の一身上弁明は、昨日も本会議場において行つたところでありまして、大要はそれに盡きておるのでありますが、まず第一点は、私の演説共産党を代表した政府に対する代表質問であるという点、これはこの質問をいたしまして政府にその答弁を求めるということになれば、具体的事実をあげ、われわれの考え方を述べ、これによつてそれに対する政府答弁を聞いて、そうして国政国会内において十分に審議する、こういう建前でなければならぬ。それゆえ私はいろいろな事実をあげ、これに対する政府答弁を求めた。きのう本会議場でこの提案説明を承つておりますと、事実を曲げたり、あるいは一方的にこれを判断したり、国際的な情勢を不利にするようなことを故意にしたというようなことがあると思いますが、私は少しもそう考えておりません。もちろんいろいろな事案をあげております。しかしこれは今日国民が聞きたいところ、明らかに政府の所見を承りたいところ、こういうものをひつさげ、なお共産党の主張もあり、人民考え方もあり、われわれの見解もありますから、それのもとに事実によつて政府答弁を求めようとしたわけなのであります。この事実は私が独断したものでもないし、また故意にありもしない事実を無理々々にあげて、いろいろな結果を来たそうということを考えたものでもない、このことをまず申し上げておきたい。しかしその資料は、われわれの議員団事務局の方で、これはいろいろ整理しております。必要に応じて提出することはできるのでありますが、ここに私は一、二のことを申し上げまして、何も私がいいかげんな事実を掲げて言つたのではないということを、弁明しておきたいと思います。  いろいろなことを質問しておりますけれども、要するに日本政治が、ポツダム宣言並び極東委員会の諸決定に違反しているところがあるのではないかどうかということを質問したことが、要点になると思うのであります。このためにもちろん資料を使つている。それは軍事基地の問題もあります。あるいは再軍備問題等にも触れておりますけれども、これは單に私の独断でいたしたのではない。国民が惑うている。たとえて申しますと、ここに東京新聞がある。これは一月三十日の新聞でありますが、この新聞にはこう書いてある。「原爆が日本または附近にいつでも使用する用意が整えられていることは今日ではもはや秘密でもなんでもない」、これは社会でこう言うている。新聞に書かれている。これはみな国民が見、外でこういうことが言われている。しますとわれわれは、やはり国民はこういうことに必ず疑問を持つのでありますから、この事実について政府のお考えを聞くというようなことは、これは国会議員として私は当然のことのような気がいたすのであります。ここに東洋経済新報——私は時間をそう多くとりたくありませんので、一、二、の例を申し上げたいのでありまするが、ここに東洋経済新報の九月十六日号があります。この十六日号には、「英米誌朝鮮事変をこう見る」という題がついておりまして、こういうことが書いてある。「もし戰争が起つたならば、日本基地前進空軍基地として利用することにより敵のアジア基地を叩くことができる。」あるいは「日本にたいしては米国はこれを米国永久基地とする計画を押し進めるだろう。」これは「英米誌朝鮮事変をこう見る紹介」ということで、ここに載つておるのであります。これは国民がみな見ておることであります。あるいはほかの記事によりますとこういうことも書いてある。「米国朝鮮へ向けての最初の軍事的出動を、日本占領軍からさいて行つた。しかし、今や増援軍米国から直接朝鮮に到着しつつあるとはいえ、米国軍と他の参戰国連国派遣軍隊との双方にとつては、日本前方作戰基地となつている。日本自身政治的立場は、かくして、朝鮮事変の勃発以前に較べると一層その重要性を加えてきた。」つまりここに日本政治状態がかわつて来たということを書いてある。これはやはり国民が読んでおる。こういう点については、やはりわれわれは質問いたしまして、政府の明快なる答弁を得て、これによつてその真相国民に明らかにしながら国政審議して行かなければならぬ。こういうことをもちろん考えておるわけであります。あまり多くの例は引きませんが、ここに東京新聞の一月一日号がありますが、ここにはこういうことが書いてある。「朝鮮事変に際し米軍アジア大陸に出動し占領下日本補給基地として使用した、」これははつきり書いてあります。これは公の新聞記事でありますから、多くの国民が見ておると思うのであります。最近においては、これはどちらも一月三十一日でありますが、日本経済毎日新聞記事——毎日新聞にはこういう記事が出ておる。「日米防衛協定が協議されると日本安全保障の具体的な協議の段階に入るが、このなかには軍事基地貸與の問題が当然含まれてくるものと見られる」云々これはもう来ておる。仮定の問題ではない、事実こういうことが言われておる。これを国民が見まするならば、どうしてもその真相について考える。こういう点をやはり政府はこう考えておるということを、国民の前に明らかにされなければならぬ。そのために私はこれを質問している。また日本経済新聞にはこう書いてある。前に文句がありまして、「この建前から必然的に引出される結論は米軍ないし国連軍日本に必要とする基地はこれを提供し」云々と書いております。これも新聞でありますから国民の多くが読んでおる。こういう事実がありますから、私はこの問題について質問いたしておる。ところが政府がこれに対して答弁をしない。総理大臣は、これは共産党宣伝であるから答弁しないという御答弁をなさつておられる、私はこれは了解ができない。もしわれわれがご指摘しましことが偽りであり、事実を曲げておる、牽強附会であるというならば、政府はそれは間違いである、君の言うところはうそである、事実はかくのごとくであるということを明確に証拠をあげて答弁されて、国民の前にその真相を明らかにしながら国政審議して行くということが、国会の私は責任であると思う。  私は警察予備隊についても質問いたしました。これも何も抽象的ではありません。ここにもありますが、岡崎官房長官は、実は重機やバズーカ砲予備隊が持つておるということをはつきりと言われております。またほかの新聞には、バズーカ砲の訓練はもう終えたということを書いておる。国民はこれをどう考えるか、バズーカ砲というものは戰車を相手にして使うものだと、国民は私は常識的に考えると思うのです。そうするならば、国民は、これは軍隊ではないか、こう考えるのが常識でありまして、これに対してわれわれが、これは軍隊ではないかということを政府質問するのは、当然の権利であり、義務であると思います。またこのことについては、これは長くなりますから述べませんが、資料は幾らでも出しますが、オーストラリアのスペンダー外相も、日本軍国主義勢力の復活ということについて非常に心配している。こういうことが新聞記事に出ておる。また政経特報によりますと、中国紙はこういうように言うておるということを書いておる。反共系中国通信社中央社が十四日「日本は再び軍備を有す」と題して警察予備隊海上保安隊の内容を次のごとく推測しておる。こういう推測が行われているとこう書いてある。そういたしますと、どうしてもこういう問題はやはりわれわれ質問いたしまして、その真相国民の前に明かにされなければならぬことであり、これを明かにして行つてこそ一切の国民、一切の人民、老若男女を問わず、国会審議というものを信頼することができる。にもかかわらず、この質問に対し、これはお前さんの、共産党宣伝だから答弁をしないというようにやられますというと、あるいは国民は、総理答弁をなさらぬ、これはひよつとしたら共産党の言うことがほんとうで、首相答弁ができぬじやないかということを、国民が思いはせぬかという危險がむしろあるので、もしも国会ほんとう審議するならば——私は私の立場から言うのではありません。私は今懲罰にかかつておるのでありますが、国会はやはり政府に対して十分に答弁せよというこのことを、ひとつ要求してもらいたいと思う。そのあとで私の問題を取上げることが、ほんとう国政審議する立場ではないかと私は考えるのであります。また私は、日本の今の状態、その他政治状態についても質問いたしておりますが、「実業日本」の六月十五日号にはこういうことを——これはずいぶん前のものであるが、書いてある。「日本軍事基地化米英ソはどう見ているか。」前に文章がありまして、「駐日米軍が当初の占領任務から、内外の情勢が変るとともに、その性格を変え今では占領軍よりもむしろ米国第一線に立つ防衛軍的なものになりつつあるのは事実である」これは前後に文章がありますけれども、国民はこういう文章を見ますというと、必ず疑問を持つであろうとわれわれは考える。また事実疑問を持つております。「米国は現在の意図にかんしては何らの秘密もない。米国はソ連との戰争可能性がある限り、日本に、空、海、陸軍を維持しようとしている。横須賀の海軍基地大型爆撃機用の四つの空軍基地ならびに四個師を收容でき得る宿舎が日本本土に作られるはずである。」これは「実業日本」の六月の十五日号でありまして、やはり国民は見ております。また国民はこれはどうだろうか、えらいことになるではないかということの疑いを、これを見たら私はやはり持つと思う。これはやはり国会の中で、そうであるならばそう、それがまつたく間違いであるならば、まつたく間違いであるということを、私は政府証拠をあげてこれを答弁し、もし共産党の申しますことが事実無根であり、間違つているということであれば、それがまるきりうそであるということを、国民に納得させることが私は政治であると思うのであります。ところが政府答弁しない。そうして私が懲罰にかかる。私はこれはほんとうに前代未聞のことではないかというような気がいたしております。  單独講和の問題についても私は質問いたしておりますが、これはたくさんの資料がありますから、ほんの一部ででありますけれども、「ダイヤモンド」の九月の下旬号にはこういうことが書いてある。「ロンドン消息筋では、すでにこの方針は、」「この方針」というのはアメリカ方針と思いますが、「米英両国間で非公式に検討されていると語つている。なお、もしこれが事実だとすれば、この計画は、連合国が第二次世界大戰の諸敵国と、單独講和條約を結ぶことを禁止した一九四二年の連合国宣言および、一九四五年のポツダム協定のワクを越えることになる。」と、はつきり書いてあります。これは国民が見ております。こういう問題は、やはり私は国民の前に明らかにしなければならぬと思う。国会議員といたしましては、政府並びに日本政治が行われているこのことに、それと見解が異なり、それと判断が違うことは質問もできないし、発言もできないということになりまするならば、私は国会国民の意思を代表する最高唯一の立法機関であり、民主的な、日本人民の意思の代表機関であるという性格は失われてしまうと思うのであります。また昨日の趣旨弁明によりますと、外に国に対し信用を害するようなことを言つた。特にダレス氏が来られておるときにこういうことを言うことは、はなはだよろしくない。これは議院品位を傷つけ、国会の威信を失墜したものであるというように言われたと存じておりますが、われわれは反対に、講和問題についてわざわざダレス氏が来られておるとすれば、その資格がどういう資格でおいでになつておるかは私よく知りませんが、そういうことであるならば、いよいよますます国会においては、国民の意思を代表し、国民の意思を明らかに述べ、それは違うということを政府答弁され、十分に国会審議が行われ、これを外国に聞いてもらうことこそが、日本の民主政治であり、国民の意思を真に政治と外交に反映させるものだと思うのです。もしこういうときに、包み隠しさえすればいいというのであれば、国会というものは一方的なものになる、人民の意思を代表せず、ある特定機関の道具になつてしまう危險が十分にあると私は思います。こういう立場で私は質問いたしました。私の質問につきましては、繰返して申しますが、共産党政府に対する代表質問であります。軽率に、單に国政に害になり、国際的な状態に悪影響を及ぼすであろうというようなことを毛頭考えてやつておりません。これこそが日本人民の利益であり、民族の利益であり、日本の独立と平和のために、こういうことを審議することは必要であると感じ、また審議しなければならないと感じまして、代表質問をいたしております。これが簡單でありますけれども、私の一身上弁明であります。
  10. 土倉宗明

    土倉委員長 川上君にちよつと申し上げますが、提案者の佐々木君の趣旨弁明と、あなたの一身上弁明とは——十分とは認められないのでありますが、大分食い違いがあるようです。補足してさらにお述べになることはございませんか。
  11. 川上貫一

    川上貫一君 ありません。
  12. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 先ほど佐々木君からの、いわゆる懲罰にした説明、また昨日の佐々木君の説明に対して、今川上君が言われたことは、軍事基地をどうだ、こうだ、新聞に出ておるからこうだと言われたが、そういうことを言つたのがいいとか悪いとかいうことを言つておるのではないのです。それで、懲罰にかけられている川上君自身から、あと申し上げることがないと言われるならけつこうなんですが、われわれはこれから議員一身上に関する調査を十分にし、しかもその結論をつけなければならない重大なる使命を持つている当懲罰委員会でありますから、一身上弁明にいたしましても、十分に提案者の申されたことに対する川上君自体の考え方をお聞きしたいのです。しかしこれ決してわれわれが委員としてこれを要求したり、あるいはこれを強く川上君に押しつけるものではございません。ただ委員の一人として、そのことを委員長の考えておることにつけ加えて一言申し上げて、今後のわれわれの審議の上に便宜をはかつていただくことが、かえつていいのではないかという親心から申し上げておるのであります。
  13. 木村榮

    木村(榮)委員 関連して……。今川上君が委員長質問に対して、申し上げることがないと言いましたのは、さつき佐々木君が提案者を代表して説明されましたが、それは昨日提案理由説明されたのと幾分違つた面の御説明のあつたの本人はまだ知つておらない。知つておりませんから、従つて大体別に言うことはないと言つたのであつて、このことを本人にもわからしめ——たとえば松川事件の例をあげられまして、これは裁判権を冒涜するものであるといつたようなことは、きのうは全然述べられておりませんが、きようは述べられております。そういつた新たなことも相当ありますから、この要点をもう一ぺん、印刷なさつたものを川上君に渡して読んでもらつて、その上で審議を進めていただきたいと思うのであります。従つて今後この委員会を継続いたしますためには、提案者である佐々木君はむろんお出かけになつておるわけですが、同時に川上君も同席の上で審議を進めてもらいたいと思います。
  14. 土倉宗明

    土倉委員長 ただいまの木村君の御意見ももつともだと私は考えます。提案者の趣旨川上君に徹底しなければ、これはどうしても食い違いが将来とてもあつて審議を進めて行く上に支障があろうと思いますから、川上君に昨日の本会議趣旨弁明、あわせて委員会における佐々木君の提案の補足された面、全部をなお一応よく読んでいただいて、了承してもらつて、あらためてまた、御出席を煩わすことにいたしたいと思います。
  15. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 ただいま共産党木村君からの、本日佐々木盛雄君の述べられたことの内容を川上君に知らせるということは、十分親切を盡す上においてけつこうだと思います。ただ私たちが本日川上君から一身上弁明を聞くということは、佐々木盛雄君が言われた趣旨、内容、言葉の点において問題にするのではない。川上君自体が去る本会議議場においてやられた演説の内容が懲罰として現われた行為になつておる。だからその説明の言葉に、きよう幾らかつけ足しがあつたと言いますが、川上君自体が去る本会議においてやられた演説の内容に対しての一身上弁明にしては、あまりに一方的ではないかと言いたいのです。たとえば軍事基地の問題とか、御注意申し上げればいろいろあります。たとえば松川事件のことも言われたし、あるいは━━アジアの侵略者であるというようなことも言われたし、日本人を━━━━にかり立てておるのだということを申されたのが、川上君の演説の内容であります。ただ、ただいまの川上君の一身上弁明は、新聞軍事基地とかいうことが出ておる。だから決してこれは懲罰にかけられる理由はないという説明、それはありましたが、その演説の内容の一部分のことだけの一身上弁明でした。私は決してそれが悪いというのではないが、ただ一身上弁明ということには、十分にその演説の各般にわたつて考え方お聞きしたかつたというだけであります。
  16. 土倉宗明

    土倉委員長 委員長は今佐々木君の言われました通り、十分提案者の趣旨川上君の趣旨とぴつたりピントを合せたいという考え方で、補足的説明がないかという発言をいたしたのでありすが、川上君はもはや申すことはない、こういうことでありまして、衆議院規則二百三十九條によりまして、この審議の際には本人は退席することになつておりますので、ここで一応川上君の御退席を願います。
  17. 鍛冶良作

    鍛冶委員 佐々木君の趣旨川上君に示して、川上君から答弁を伺うことはこれはけつこうですが、それが、それが出るまで審議を待つという意味じやないでしよう。
  18. 土倉宗明

    土倉委員長 そういう意味ではない。
  19. 鍛冶良作

    鍛冶委員 ただいまの佐々木君の趣旨に対しての答弁ではなく、川上君の演説自身が問題なのですから、それを聞けばおのずからそこに出て来るのですから、それはやることはかまわぬわけですが、それまで待たないで、進んで……。
  20. 土倉宗明

    土倉委員長 委員長はこの際川上君の御退席を願い、そして多数の提案者に対する質疑、川上君に対する質疑等も提出されておりますが、一切あとまわしといたしまして、本日は大体この程度にとどめておいて、明日再開いたしたい、こういう考えであります。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  21. 木村榮

    木村(榮)委員 それで賛成なんですが、たださつき佐々木委員が言われました演説の内容が問題であるから、従つて云々ということはむろんそうであります。しかしその内容というのは、提案者の佐々木君が出しておる点が、場合によつては考え違いの場合もあるかもしれない。従つてそういうふうにわれわれの討論の過程おいて不明の点というものがあれば、やはり本人に聞かなければはつきりして来ないわけです。
  22. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 私は親切に言つておるのですよ。質問はします。しかし一身上弁明というものは、そう何回もあるものではないのです。
  23. 木村榮

    木村(榮)委員 だから私の方もいろいろ準備もありますから、ある程度時間をかけてやつていただきたい。そうしないと、さつさとやられたのでは、なかなかあなた方の方は猛者ぞろいなんだから、その点は……。
  24. 土倉宗明

    土倉委員長 本日はこの程度において終了し、明日は午後一時から委員会を開きます。  これで散会いたします。     午後四時二分散会