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1951-08-14 第10回国会 衆議院 地方行政委員会 第42号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年八月十四日(火曜日)     午前十一時三分開議  出席委員    委員長 前尾繁三郎君    理事 河原伊三郎君 理事 野村專太郎君    理事 藤田 義光君       池見 茂隆君    尾関 義一君       大泉 寛三君    吉田吉太郎君       鈴木 幹雄君    床次 徳二君       山手 滿男君    久保田鶴松君       立花 敏男君    中西伊之助君  委員外出席者         国家地方警察本         部長官     斎藤  昇君         国家地方警察本         部警視長         (総務部長)  加藤 陽三君         地方財政委員会         委員      木村 清司君         地方自治政務次         官       小野  哲君         総理府事務官         (地方自治庁財         政課長)    奧野 誠亮君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 本日の会議に付した事件  派遣委員より報告聴取  地方自治に関する件  地方財政に関する件  警察に関する件     —————————————
  2. 前尾繁三郎

    前尾委員長 これより会議を開きます。  まず警察に関する件を議題といたします。この際質問があればこれを許します。大泉寛三君。
  3. 大泉寛三

    大泉委員 現在の警察状況を承りたいと思います。町村自治体警察国警に切りかえるというような議決をされた町村はどのくらいの数に及んでおるか。またこの十月一日までにどんな数に達する予定であるか。また各自治体警察廃止するにあたつて、どんな要望なり希望が出ておるか。また無理なくこれが転換でき得る見通しがついておるかどうかを承りたい。
  4. 斎藤昇

    斎藤(昇)説明員 お答えをいたします。御承知よう自治体警察を持つています町村の数が、千三百十四あるのでありますが、これらの町村自治体警察は、住民投票によつて廃止することができるという改正を、前国会において御審議願つた次第でありますが、六月十一日であつたかと思いますが、公布即日施行に相なりまして、今日まで報告を受けておりまする数は、すでに廃止住民投票を行いまして、廃止と決定いたしましたのが五十二箇町村であります。廃止をいたしますにつきまして、町村会決議行つて、そうして住民投票廃止をしようという町村会決議だけをやりましたのが四百十五でございます。このほかに五十二がすでに住民投票まで行つてしまつたわけであります。それから町村会廃止住民投票をやろうという決議をいたさなくても、住民が有権者の三分の一以上の連署をもつて廃止住民投票を直接請求することができる規定があるのでありますが、それによりまして直接請求の成立いたしておりまするのが一つ、目下直接請求の署名をとりまとめ中のが、ほかに二箇町村と聞いております。現在の数はそういう状況に相なつております。  廃止住民投票を行いました町村における賛否の数字の割合でありますが、五十二箇町村のうち五十一箇町村までは、廃止賛成が約八、九割、反対が一割前後という数字を、ほとんどどの町村においても示しております。ただ埼玉県の本庄町におきましては、廃止が大体六割、廃止反対を表明しましたのが四割で、廃止反対の比較的多かつたのは、本庄町であつたわけであります。  廃止をいたしますにつきまして、当該町村からの要望希望というものは、いろいろございますが、さきに御通過を願いました法律におきまして、財産処分の点は、町村において必要とする財産は、町村にそのまま残す。町村で不必要であり、警察に必要だというものは、警察引継ぐということになつておりますから従つて建物町村に残すというように話し合つておるのが大部分であります。もちろん町村警察廃止いたしましても、これにかわつて国家地方警察地区警察、あるいは警部派出所というものをやはり置かなければなりませんので、これに必要な建物は、やはり国に引継ぐということで話がまとまつておるようでございます。  町村警察廃止いたしましても、依然引続いてそこに地区警察を置いてもらいたい、警部派出所あるいは巡査部長派出所というのではなくて、独立した地区警察署を置いてもらいたいという要望も相当ございます。もちろん同じ町に地区警察自治体警察と二つありますところにおきましては、さよう要望はありません。すでにある地区警察で間に合うわけでありますから、その場合の現在の町警察建物町村に残すということにいたしております。地区警察存置要望につきましても、各府県国警本部におきましては、できるだけ地方要望に沿うように、無理の行かないように、とりはかろうようにいたしておる次第でございます。また町村警察廃止いたしましても、警察官の数を急激に激減をさせられては困るという要望もございます。この前の御審議の際にも申し上げました通り、外勤の巡査はできるだけ現状を維持したい、かよう考えておりますので、これらも各町村要望に沿い得るものと考えておりますので、今廃止をめぐりまして、そういうような問題で、ごたごたを起しおるところは一つもございません。一部この廃止をめぐりまして、自治体警察国家地方警察が非常に尖鋭に対立しておるがのような印象を与える風説、あるいは風説ようなものがありまするけれども、われわれ実際について見ますると、さほどこれがため警察事務の執行に影響を来すというようなおそれはないのみならず、現実の場合に各府県等におきましては、比較的これらの点は、伝えられているよりも平静に取進んでおりまして、これがため警察に悪影響を来しておるという状況は、ただいまのところないものと信じております。
  5. 大泉寛三

    大泉委員 自治体警察廃止伴つて自治体側要望は、多分現在の人員をそのまま存置してもらいたいとか、あるいは、地区警察を存続してもらいたいというよう要望であろうと私は思うのであります。そこで廃止をされるよう地方は、特に多い少いがある。たとえば埼玉県のよう地方は、非常に自治警廃止が多い、また他方においてきわめて少いところもある。こういうよう自治体警察廃止伴つてその県内国警人員で、配置転換が十分間に合うかどうか、要望にこたえられるだけの配置転換が十分にできるか。また一方きわめて廃止の少い県においては、人員調整ができるかどうか、それがもしできればけつこうなのであるが、できないとすると人員の不足がその県内において出て来るのじやないか、こういうように思うのであります。そうした方面のお考えはいかがでございますか。
  6. 斎藤昇

    斎藤(昇)説明員 町村自治体警察廃止いたしました場合に、できるだけ多くの警察官自治体にとどめて置くようにという希望につきましては、ただいま御質問がありました通り相当強い希望があります。しかしながら現在自治体警察に配置されておる定員より以上の警察官を、新たに国警から配置しなければならないという事情は起りません。従つて今日より以上に自治体警察廃止によつて国警警察官が手薄になるという事態は、全然起らないことは申すまでもないと思うのでありますが、自警廃止いたしましても、しかし内勤とかあるいは国警自警と同じ場所にあるというようなところでは、やはり若干は警察官の数が節約することができまするので、町村要望にまるまるこたえましても若干の余裕国警の方に出て参るわけであります。もちろん町村警察廃止の非常に少いところ、あるいは一つもないというところにおきましてはこれは現状通り、あるいはそれよりも若干ふえるという程度であります。大した機動力の増加には相なりませんけれども、先般五千名の増員を願いましたのと相まちまして、現在よりはなお若干機動力の点におきましても余裕を生じまするので、その点はさしつかえなかろう、かよう考えております。町村警察廃止の非常に多いところでは、その余裕がたくさん出て来るわけでありますから、県全体の警察力といたしましては、機動力その他の点から見ましても非常に能率が上つてよくなるわけであります。また廃止の少いところではそれほどのことが見込めない。それで県間の不均衡を生ずるおそれがありはしないか。たとえば埼玉はほとんど廃止をしてしまう。長野一つ廃止をしない。その場合に埼玉定員長野の方に配分しては、どうかという御質問ようでありますが、現在の考えといたしましては、自警国警を合せた府県定員をそのままその当該府県において維持したいと考えておりまするが、廃止町村が多かつた場合に、その府県定員廃止町村の少い府県にまわす、かよう考えは現在いたしておりません。また今日まだ廃止決議の少い府県におきましても、五月末まであるいはここ一両年の間に、どういう変化を来すかもわかりませんので、ただいま府県間のそういつた理由による定員調整ということは考えておりません。
  7. 大泉寛三

    大泉委員 前回の国会で参議院の方で修正されたあの内容の、いわゆる都市周辺における組合警察存置認めるというよう立場は、今現にどういう状況になつておりますか。そうしたことはありますか、ありませんか。
  8. 斎藤昇

    斎藤(昇)説明員 市に接続しているところ、現在国警地域にある町村を、市の自治体警察組合警察をつくることによつて警察を新たに持つという問題につきましては、ただいま具体的に話がまとまりつつあるというようなところは一つもございません。ある一つの市におきまして、周辺の村に呼びかけて、自分の市と組合をつくらないかということを呼びかけていることがあるやに聞いておりますけれども町村側において、それに応ずるけはいが現在のところないのであります。
  9. 前尾繁三郎

  10. 立花敏男

    立花委員 国民が今一番ふしぎに思つておりますのは、国民平和運動国警が先頭に立つて弾圧していることなのでありますが、あれは何に基いておやりになつておるのでございますか。たとえば広島市に原子爆弾が落ちました日を記念いたしまして再び原子爆弾が落ちないようにという市民集まりがあつたわけであります。これをやはり禁止されておる。あるいは京都におきましても、平和運動禁止される、あるいはきよう新聞で見ますと、大阪におきましても十三日の日にこの市民の平和の集まり禁止されまして、市民側重軽傷者数名を出しておる新聞記事が出ておりますが、なぜ警察はこういうような平和の集まり弾圧なさるのか、これをひとつはつきりしておきたい。
  11. 斎藤昇

    斎藤(昇)説明員 この問題は御承知ように、昨年の六月ごろからであつたと思いますが、示威運動あるいは集会等禁止の措置をとりましたことは御承知通りであります。それ以来同じ方針のもとに臨んでおるのであります。今回新たな方針を打立てて、その方針によつて取締つておるということはないのであります。昨年の六月ごろから行つております取締りは、治安を乱すおそれがあつたり、あるいは反占領軍目的に及ぶようなおそれのある集会示威運動というものは禁止をするということに相なつておるのであります。そうしてその根拠は、当時も御説明いたしました通り占領軍指示に基いてやつておる次第であります。
  12. 立花敏男

    立花委員 どういう指示かひとつはつきりしていただきたい。
  13. 斎藤昇

    斎藤(昇)説明員 ただいま申し上げましたよう指示でございます。
  14. 立花敏男

    立花委員 非常にあいまいでわからないのです。聞きましたところ、今長官のお述べになつたところでは、治安を乱すおそれのあるもの、あるいは占領軍の命令に反するおそれのあるものというのですが、おそれがあるかないか、そんなことはわかつたことじやありません。今お述べになつた範囲では、私ども納得できない。しかも日本が法治国である以上は、はつきりした基準を文書で、成文化されたものでお示しになつて、こうこうだということをはつきり国民にお示しにならないと、何が何だかわからないよう言葉で、しかも重大な平和の集会禁止されるということになりましては、これはまつたく日本は暗黒の世界に落ち込んだのと同じなんだ。こんなことでは納得できないのです。はつきりとどういう根拠だという成文をお示し願いたいと思います。
  15. 斎藤昇

    斎藤(昇)説明員 昨年からこの問題は一、二度にわたつて、ここでも私が御答弁を申し上げたと思いますが、その通りでありまして、いまさら新しくつけ加える点はないのですが、この治安を乱すおそれがあるものとか、あるいは反占領軍目的に及ぶおそれのあるものという判断は、その会合の模様、会合主催者あるいは団体の今までの経歴、そういうものによつて判断いたしておるということも、当時申し上げたはずであります。さようなおそれのある会合につきましては、事前に注意をいたしまして、そうして十分趣旨を徹底させるように、個々の場合に具体的にやるということになつておる次第であります。
  16. 立花敏男

    立花委員 ちつともはつきりいたしません。なぜお示しにならないのか。前にもお示しにならなかつた。今になつて再びこの取締りをやり出しておきながら、なぜお示しにならないのか。示すことができるのかできないのか、示す誠意があるのかないのか、それをひとつ明らかにしてもらいたい。前に六月の十七日にウイロビー書簡が出ましたときには、そのあと一週間で朝鮮事変が勃発しておる。私どもウイロビー書簡朝鮮事変を批判する人民の動きを弾圧するため予備手段としか考えられない。今回それがまた新しく復活されまして、この九月初旬に行われます日本に再軍備をする、講和問題に対しまして、人民の平和の集まり弾圧しておる。これは明らかなんだ。なぜそういう重大なことをやる前に、政府は根拠を明らかにしないのか。
  17. 斎藤昇

    斎藤(昇)説明員 再びやつておるのではなく、当時から同じ方針で、同じようにやつておるのであります。ただそういう方針に触れるものが最近目立つて来たというだけのことであります。十分その根拠等は御承知であると思います。
  18. 立花敏男

    立花委員 そんなことはぼくは知らない。発表しないものを知るはずがない。あなたは発表したことがありますか。
  19. 斎藤昇

    斎藤(昇)説明員 ただいまも申し上げておる通り趣旨は十分お話いたしております。関係団体にはその都度具体的に申し上げておるはずであります。
  20. 立花敏男

    立花委員 関係団体はそれをあなたの言葉として聞いたかもしれませんが、しかしそれはあなたの今言われたようなあいまいな言葉なんで、決して文書そのものによつては示されていないのです。これは示されないのだということを、ある警察の連中は言つておる。そういうことになりますと、国民根拠はつきりしないのに、重大な、自分の国を守り、自分生活を守る運動弾圧されておる。これではどうしても納得できません。  それからもう一つは、去年ウイロビー書簡が出たときに、一時あまりあなたたちに使われないで、最近また特に使われ出した。この新しい段階におけるウイロビー書簡の再利用ということは、やはり政治的な理由が明らかにあると思う。しかもこれに対しましては、新しくGHQの方から、ウイロビー書簡をもう一ぺん生かして使えというようなことを言つて来ておるということまで、責任者は言つておるわけであります。そういうことをなぜはつきりしないのか。あなたたち向うさんの言われる通りやるのはよろしい。しかし、向うさんの言われる通りつておるのだ、こういうことを言つて来て、こうなつておるのだということを、なぜ国民はつきりしないのか。そうして国民がほんとうに敵はどこにおるのだということを、はつきりわかるようにしたらいいじやないか。あなた自身苦しい立場で、全責任を負う必要はない。おれはやりたくないのだが、こんなことを言つておるからしようがないのだということをはつきりしたらいい。なぜ根本的な文書を御発表にならないのか。また最近におけるウイロビー書簡をもう一ぺん復活してやれということを向うから言つて来ておることをなぜ発表しないのか。ただ一年前のウイロビー書簡が漠然と生きておるのだというだけでは納得ができない。何となれば、あなたたち弾圧が再び燃え上つて、今非常に大きな全国的な弾圧をやつておることは周知の事実である。広島京都大阪、これは偶然ではない。この裏にはもう一ぺんウイロビー書簡を生かして使えという強硬な何ものかがある。これをはつきりすることはあなたたち責任だと思う。
  21. 斎藤昇

    斎藤(昇)説明員 たびたび申上げております通り、前にきめました方針は、その後何ら廃止もあるいは死にもいたしておりません。従つてこれをさらに生かすというような問題もありません。ただその方針をそのまま守つており、その方針によつて取締つておる、ただ取締り対象が最近とみに多くなつて来たということにすぎないのであります。御了解を願いたいと思います。
  22. 立花敏男

    立花委員 そうすると、大橋法務総裁言葉はあなたと違うのですが、あなたはウイロビー書簡に対しまして、新しい指示があつたということをお認めにならないのですか。
  23. 斎藤昇

    斎藤(昇)説明員 これをさらに生かせという指示のあつたことは認めません。
  24. 立花敏男

    立花委員 さらに生かせとかいうのではなしに、ウイロビー書簡に関する新しいGHQの方からの指示があつた。これは私ども見せてもらえないので、内容をつまびらかにしてあなたに申し上げることはできませんが、とにかく大橋法務総裁ウイロビー書簡に関して、新しい指示が来ておるということを言つておるが、あなたはその事実をお認めにならないのですか。
  25. 斎藤昇

    斎藤(昇)説明員 そういう意味においては私は認めません。
  26. 立花敏男

    立花委員 どういう意味なら認めないで、どういう意味なら認めるのですか。
  27. 斎藤昇

    斎藤(昇)説明員 この問題は実際の適用の場合に、われわれの方も取締り対象になるかならないかという疑義を持つ場合もあります。実際の運営の場合には絶えずお互いに意思を疏通し合つてつておるわけでありますから、その間にどういうことをどうやつているかという事柄は、一々お話申し上げることではないと考えます。方針につきましては、前にきめられた通りその方針はその後何ら変更も、死んでも、また新たに生かしてもおりません。そういう意味におきまして新たな指示があつたとか、そういうような点は何らございません。
  28. 立花敏男

    立花委員 それは重大なあなたの発言なんで、とにかく大橋法務総裁は新しくそういうことが言われて来ておるということを言つておりますので、この問題はあとで事実によつてあなたの言葉をひとつ改めていただくようにしたいと思います。  それから問題の本質は、実際に平和運動弾圧しておるということです。なぜ平和運動弾圧するのか。どういう理由があつて平和運動弾圧するのか。あなたはおそれがあるからというのですが、何を根拠にして、平和運動自体治安を乱すおそれがあると断定したのか。あるいは反占領軍運動になると、どういう根拠をもつて断定なさつたのか。やりもしない会合治安を乱すとか、あるいは反占領軍行動になるとか、そういうようなことは、これはおそらく断定できないだろうと思う。これはまつたく警察がえてかつてに、こういう国民に示されてもいない一片の何を盾にとつて、恣意かつて人民集まり弾圧する。しかも日本にとりましては、重大な平和を守る憲法に従つた運動だと思うのです。あるいはポツダム宣言従つて、最も日本人がやらなければならない運動だと思うのです。今日本中をまわつて見ますと、日本に軍隊二十万をつくるのだ、あるいは日本軍備をしなければならないのだと言つてまわつている政治家がたくさんいる。そういうものを取締らないで、平和を守る国民運動取締る。何らそれに根拠も示さない。えてかつて警察判断して、これは占領軍に反するおそれがあるから、あるいはこれは治安を乱すおそれがあるからということで、警察がやつてつて、はたしてそれでいいのか。そんな警察を五千もふやして、予算を七十七億も要求しておる。また自治体警察まで国家警察に取上げるようなことは、断じて国民は許すことができないと思います。なぜこういう平和運動弾圧するのか。何の根拠に基いて平和運動弾圧したのか。それをはつきり示しなさい。
  29. 斎藤昇

    斎藤(昇)説明員 主催者団体性格から判断しまして、平和運動といつても、純粋なる平和運動であるかどうか、これは治安影響があるかどうか、これらは主催者団体の過去のいろいろな性格、あるいは経歴、今までのやり方等から判断してやつております。
  30. 立花敏男

    立花委員 もつと具体的に申しなさい。主催者団体性格とは何ですか。これが非合法の団体であり、この日本法律に照して存在を許されない団体であれば、こういうことはいいかもしれない。しかし日本法律に基いて公然と存在しておる団体であれば、これを禁止する理由は何もないと思います。個人だつて過去に犯罪を犯したからといつて、それが完全に償われた以上は、いろいろな公民権も与えられるし、社会人としての生活は許されているわけなのです。現在において公然として合法的に存在しておる諸団体がやります平和運動を、その団体が過去で何かやつたからといつて日本国民が今一番やらなければならない平和運動弾圧する口実にはならないと私は思います。どういう団体をどういう根拠で、平和運動主催者として不適当だとお認めになつているのか、具体的にひとつ示していただきたい。
  31. 斎藤昇

    斎藤(昇)説明員 これらは周囲、前後の事情から判断をいたしておるのであります。私が先ほどから申し上げております以外に、何ものもつけ加えることはございません。
  32. 立花敏男

    立花委員 具体的に話をしなければわからない。今まで国警平和運動禁止した、弾圧した、その具体的な例をあげて、あなたの方で資料があるだろうから、その資料をあげて、こういう団体はこういうことをやつて来て、こういう性格だからやらさないのだ、ということを明瞭にしなさい。
  33. 斎藤昇

    斎藤(昇)説明員 先ほどから御説明をいたしておる通りであります。
  34. 立花敏男

    立花委員 何も説明してないじやないか。そんなのは説明にならない。そういうことを言うから、国民国家警察に対して不信を抱かざるを得ない。そんなことで国家治安を守るとか、あるいは反占領軍行動取締るとか、そんな口はばつたいことは言えない。もつ責任をもつて自分の職責を遂行したらどうです。自分がやつておることをなぜここで発表できないのか。発表できないようなことをなぜやるのか。しかも君らがやることは国民の税金を使つておるのだ。発表しなさい。
  35. 斎藤昇

    斎藤(昇)説明員 先ほどからいろいろ理由を御説明申しております通り、どういう団体といつて固定的にきまつておりません。主催団体はときどきかわつて参ります。もちろん構成分子もかわつて参ります。過去において反占領軍というよう意味合いから、いわゆる政令三百二十五号違反をひんぴんとして犯しているというよう団体、あるいはそれの所属の者というようなものの主催にかかるものが、比較的に多い、あるいは大部分であろうと考えております。
  36. 立花敏男

    立花委員 三百二十五号違反というものは、私ども認められない。たとえばきよう新聞で見ましても、大阪の十二日の平和運動弾圧、これもとうとうやらさなかつた。会場のそばにも近寄せなかつた。そうして何もやらない者をひつぱつて、三百二十五号違反としておると、きよう新聞はつきり書いてある。こうなると三百二十五号違反は何が何だかわからない。演説会をやつて、その内容が三百二十五号違反ひつぱるならばともかく演説会もやらさない。主催者団体性格が悪いのだ、主催者団体がかつて三百二十五号違反をやつたから、今度もまたやるのだろうという推定のもとに禁止しておいて、何もやりもしないのに、三百二十五号違反にひつかけておるということが、きよう新聞はつきり書いてある。だからこんなあいまいな、三百二十五号違反を過去にやつたから、そういう団体には絶対に平和運動をやらさないのだということは、納得できない。一度はつきり聞いておきます。かつて過去に三百二十五号違反をやつた経歴のある団体には、絶対に平和運動をやらさないのかどうか。
  37. 斎藤昇

    斎藤(昇)説明員 三百二十五号違反内容にはいろいろありまして、私の申し上げましたのは、三百二十五号のうちの反占領軍的な言動、あるいは文書の頒布、そういう事柄をさすのであります。過去においてそういうことの多かつたものをさしておるのであります。さよう団体が今後引続いて今まで禁止されたと同様な内容を持つものであるならば、今後も同じよう取締りをいたすつもりであります。内容が異なるならば、またかわつた結果になろうと考えております。
  38. 立花敏男

    立花委員 内容が同じであるかどうか、これはやらしてみなければわからないじやないか。あなたの言われるのは、そうじやなしに、かつて過去に三百二十五号違反をやつたよう団体主催する平和運動は、やらさないと言つたじやないか。内容の問題まで行かないうちに弾圧しておる。  しかしもう一つ聞いておきます。ウイロビー書簡に対する違反は、三百二十五号違反になるのかどうか、私はならないと思うのだが、ウイロビー書簡をけ飛ばしてやつたら、三百二十五号違反になるのかどうか、これを承つておきたい。
  39. 斎藤昇

    斎藤(昇)説明員 お尋ねの点は、私は占領軍の指令第一号違反であろうと思います。三百二十五号違反はそれとは別個であろうと考えております。大阪の場合に、私は新聞で三百二十五号違反と見ましたが、私のただいまの解釈では、それ以外に三百二十五号違反があつたのだ、かように思つております。だから私は、私が解釈を間違えておるかもしれませんけれども、あの違反は、占領軍指令第一号か、二号でありましたか、——昨年そのときにここで御答弁申し上げましたが、それに違反する、かよう考えております。それもさらにめぐりめぐつて、あるいは間接的に三百二十五号違反になるかもしれない、さよう考えております。
  40. 立花敏男

    立花委員 何もめぐりめぐつてまで、三百二十五号違反にくつつけなくてもいいじやないか。なぜめぐりめぐつて三百二十五号違反に持つて行かなければならぬのか。国民平和運動をやつておるのに、なぜめぐりめぐつて三百二十五号違反まで持つて行くのか。
  41. 斎藤昇

    斎藤(昇)説明員 私は率直に申し上げましたので、(「それは率直だよ」と呼ぶ者あり)それは私は、持つて行かなくとも、指令第一号か、二号違反——それに罰則があつたかと思つておりまするが、今ちよつとそこの法的構成は明確に私は記憶いたしておりませんが、場合によれば、三百二十五号には占領軍の命令に違反したものというのが、そこに入つておつたかと思います。そうしますと三百二十五号違反になる。占領軍の指令第一号あるいは二号に罰則がついておれば、直接それで行く、罰則がついていなければ三百二十五号の中の占領軍の命令に違反したというところで入る、かように思います。
  42. 立花敏男

    立花委員 国警長官をやめなさい。自分が全国的に取締つてつて、その取締法律に罰則があるのかどうかわからないようで、一体それで長官の地位が勤まるのですか。そんなばかな態度があるものか。自分が全国の平和運動取締り断圧しておいて、その法律に罰則があるのかないのかわからないような、そんなばかなことを、ここであなたは言えるのですか。
  43. 斎藤昇

    斎藤(昇)説明員 その罰則は、三百二十五号にはありまするから、それには間違いはありません。そのほかに第二号にもあるかもれないと申し上げたのであります。
  44. 立花敏男

    立花委員 これは、三百二十五号違反にはならないということを、法務総裁はつきりいつておる。国警長官がそれを知らないとは、一体どうしたことなんだ。あなたは一体どこの国警長官なんだ。一体何に基いてやつておるのか。そんな不誠意なことで国警長官が勤まると思うのか。もつとまじめにやつたらどうか。とにかくそういう不誠意だということはわかるのだが、そういう不誠意な警察官がおるから、そういうことを君たちがやらないために、国民警察の民主化のために、公安委員会というものをつくつておるのだ。ところが最近ではこの公安委員会というものをなくする、君たちがそんなでたらめをやることに対して監督をしておる公安委員会をなくする、あるいは地方の公安委員会もなくするということが、政府の関係から発表されておるのだが、君たちは一体どう考えておるのか。公安委員会は、目の上のたんこぶだから、こんなものはなくした方がいいと考えておるのか。
  45. 斎藤昇

    斎藤(昇)説明員 公安委員会をなくする、なくなさないの問題につきましては、私は何ら申しておりません。公安委員会はきわめていい制度であると、かよう考えております。
  46. 立花敏男

    立花委員 いい制度であると言うならば、最近発表している政府の公安委員会の廃止というようなことには、反対されるのだろうと、そういうふうに解釈しておきますが、とにかくさいぜんからのあなたの答弁を聞いておりましてもまつたくでたらめで、まつたく外国の手先になつて人民をめつたやたらに弾圧しているということは、何よりも明白なつたと思う。われわれはそういう警察に対して、びた一文予算を出す考えもありませんし、一人といえどもそういう者をふやす考えはありませんが、とにかくあなたたちがそういうことをやつている法的な根拠だけは、国民はつきりする義務があると思いますので、ウイロビー書簡というやつを国民はつきりすることを、ここで要求しておきます。まあ国会委員会ぐらいには、ぜひこれは出していただきたいということを要求しておきます。もうこれ以上あなたと話してもだめだからやめておきますけれども、とにかく人民はあげてそういう警察には絶対反対だ、人民取締つている法律の罰則があるのかないのかわからないような、そんなでたらめな警察は、絶対国民は信用しないということを最後に申し上げておく。
  47. 前尾繁三郎

  48. 河原伊三郎

    ○河原委員 先般改正されました警察法の、適用後の自治体警察廃止の模様について承りたいのであります。  警察法の一部改正の、町村自治体警察廃止して、国警に返上するという問題は、全国町村長会また全国町村会議長会からのたびたびの請願でありましたが、また一面、その改正の案ができます途上におきましては、自治体警察連合会の方で非常な反対運動が起り、そしてその後いろいろな紆余曲折の後に、国警自治体警察ともに一致した、まとまつた意見として提案せられ、そして国会を通過した、こういうふうな径路をたどつて参つたのでありますが、実施後の自治体警察廃止状況はどんなふうになつておるか。全国の廃止対象となる自治体警察のうち、すでに廃止人民投票のあつたものはどのくらいか。または人民投票は終らないが、当該議会の議決を経て、まさに人民投票が行われようとしておるものがどのくらいか。またはその間にあつて、特に取立てて言うような、何か不円滑な事件の起つたことはないかどうかというふうな点等について、でき得る限り詳細に御報告を承りたいと思います。
  49. 斎藤昇

    斎藤(昇)説明員 ただいまの河原さんの御質問は、大泉さんの御質問に対して相当詳しくお答えいたしましたので、時間の節約上、河原委員には後刻別にお答えをいたしたいと思います。     —————————————
  50. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは地方自治に関する件、地方財政に関する件を一括して議題といたします。  御質問があればこれを許します。山手滿男君。
  51. 山手滿男

    ○山手委員 財政委員会の方からも、自治庁の方からもいらつしやつておりますから、二、三お伺いしたいのでありますが、きよう新聞あたりを見ておりますと、例の教育平衡交付金制度というふうなものを創設するのだというふうな議論が出てみたり、それから行政事務の再配分について、相当つつ込んだ答申を各委員会の方からされているようなふうに新聞が報道しておりますが、新聞は非常に漠然とした報道でありますし、誤解も相当あるように私は思うのでありますが、その辺のことについて、自治庁並びに財政委員会の方から、ひとつ詳細な現在の段階の御意見を承りたいと思います。
  52. 小野哲

    ○小野(哲)説明員 まず私からお答えをいたしたいと思います。第一の、本日の新聞でごらんになつた教育に関する平衡交付金の問題であろうと思いますが、この点につきましては、実は地方自治庁並びに地方財政委員会に対しましては、いまだ十分連絡したわけではないのでありまして、従つて新聞がどういう方面からこれがニュースを取材いたしましたかは、私どもとしてははつきりと申し上げかねるわけでございますが、具体的に政府部内において、この点について打合せが進んでおるという段階にまでは至つておらないわけであります。従つてこの問題についてどういう考え方を持つておるかということは、ここで申し上げかねるわけでございますが、私どもといたしましては、従前通り地方財政平衡交付金制度の運用によつて、教育費の問題につきましても今後もやつて参りたいという考えにはかわりはないわけであります。  第二の行政事務の再配分につきまして、これまた本日の新聞に出ておるわけでありますが、地方行政調査委員会議におきましては、従前から行政事務の再配分につきまして、まず第一次的な勧告を国会並びに政府に出しましたことは御承知通りであります。昨年の暮れであつたと記憶いたしております。その後なお北海道であるとか、あるいはまた府県の組織の問題であるとか、その他の点につきましてこれが勧告をいたすべく、研究を進めておるということは私も承知いたしております。しかしながら新聞紙上に出ておりますよう内容を織り込んだ勧告が出て参るかどうかということにつきましては、実は詳しく承知しておりません。この点につきましても新聞の報道を裏づけするようなお答えをすることは、ただいまのところは実は困難なわけでございます。たいへん簡単でございますけれども一応申し上げておきます。
  53. 山手滿男

    ○山手委員 教育平衡交付金制度の問題がただいま出たのでありますが、平衡交付金の問題とからんで、現在県の財政は非常に困窮をしております。ある府県のごときは、現在すでに八億余りの赤字を抱えて、そう大きな府県にもないのに、四苦八苦しておるというような状態であります。どうしてもこういう状態ではやつて行けないということで、今日も緊急の知事会議を開いておるようでありますが、先般大蔵省の方から府県の財政の実情について、それぞれ係員を派遣して、いろいろ調査をして、実際のその内情を把握するように努めておる、こういうことが私どもにわかつておるのでありますが、地方財政委員会あるいは自治庁の方は、大蔵省と連絡をとつて、その間平衡交付金その他の件について、大蔵省とどういう話合いを進めておられますか、お話を伺いたいと思います。
  54. 木村清司

    ○木村(清)説明員 大蔵省の現地の調査につきましては、地方財政委員会としても共同で行つておりまして、調査には当事務局の職員も同道しております。  それから、なるほどお説のよう地方団体、特に東京とか大阪等は格別といたしましてその他の一般の府県、ことに貧弱な府県が教育費の重圧ないしは公共事業費の地方負担分の増加及びこれに伴う起債が十分行かない、去年よりも割合が非常に少いというようなことからいたしまして、本年度は道府県の財政が特に困つておることは、周知の事実であろうと私は思うのであります。これにつきまして、せつかくただいまのところ大蔵省と事務的な折衝等もいたしておりまして、できる限り大蔵省の認識も改めていただきまして、平衡交付金の補正予算における増額及び起債のわくの増大ということについて努力をしておりますが、今のところまだその結論に対する見通しはありません。
  55. 山手滿男

    ○山手委員 この平衡交付金は、あなたの方から勧告をされた勧告案から政府が実際に出された金というものは、御承知通り非常に少ないのです。そういうことから府県が困つて来ておるということがいえるのでありますが、地方の知事、裕福でない県の知事は、もうこうなつたら教育費に手をつけなければいかぬ、教育費はその人件費が約九割あまりを占めておる実情であるから、どうしても何千という教員を馘首しなければいかぬというようなことで、いろいろ議論が紛糾して来ておる。そういうふうないろいろなことから、さらに進めて教育の六・二制というふうなものが、今日自由党の中でも議論として持ち上つておるように聞いておるのです。政府の方でもそういう意見が一部にあるように思うのであります。要するにこれは地方財政委員会や自治庁あたりが、地方財政の実情というものを、政府の中で政治的にうんと問題にされて、この地方要望を政治的に取上げて実現されておらないというところに私は問題があるのではないかと思う。予想以外のところにまでどんどん今そういう問題が発展をして行つておるのでありますが、そのことについて自治庁なり地方財政委員会の方はどういうふうにお考えでありますか。政府と打合せておらぬとかいうことでなしに、自治庁なり財政委員会のお考えを承りたいのであります。
  56. 木村清司

    ○木村(清)説明員 六・三制があるいは国力に不相応であるとか、あるいは現在の都市の持つている警察力が、都市の財政に不相応であるとかいうような御意見は、あるいは人によつて成り立ち、批判的な立場があり得ると思うのですが、私どもといたしましては、現在政府の施策によつて六・三制がしかれ、あるいは自治体があるならば、これに必要な財源は供与すべきものであるという見解であります。私ども自身としても六・三制そのものがどうかという批判については、あるいは個々の委員としてもいろいろな意見があろうと存じますけれども委員会自身としては、やはり現行の制度を保たれる以上は、これに十分な財源を供与すべきものである。もちろんこれに対して、あるいは新聞紙の伝えるところによれば、もう少し義務教育そのものを短縮したらどうかという御意見があり得ると思いますが、これは教育制度そのものに関する認識の問題ではないかという気もいたします。むろん私ども微力であつて地方財政の財源の供与が足らぬという点については、あるいはそういう御批判もあるかと思いますけれども、その批判というのは、つまり教育制度に関する認識の問題ではないかというようにも考えられます。
  57. 山手滿男

    ○山手委員 私はもちろん認識の問題ではあると思うのでありますけれども、制度としてこれを存続して行くか、あるいはまたこれを朝令暮改して行くかというようなことは、やはり地方の非常にきゆうくつな財政のわくの中の目から見ようとするからそういうことになる。しかし現在すでにそういう制度を実施しているのです。その実施しつつある制度を円滑に運営させるというところに非常に大きなねらいがある。そこに地方財政委員会のお役目があるのではないかと私は思うのです。だからただ単にそういうような議論として、認識の問題として各方面に出て来るのだというふうなことでなしに、地方財政委員会としては実際にこれを円滑に運営させるような財源を与えるという努力、これを政治的にもうちよつと推し進めて行くという努力が足りないと、私は地方自治庁と財政委員会との両方が、一口に言えば大蔵省にしてやられるということになると思うのですが、その辺のところをどういうふうにやつておられるか、地方もずいぶん困窮しておるのですから、もつとお話を願いたいと思うのです。ああいう新聞が毎日のように出るものですから……。
  58. 木村清司

    ○木村(清)説明員 今の六・三制そのものをどうしようという御批判に対して意見をわれわれがどうというわけではないのでありますが、いやしくも現行制度を維持する以上は、これに十分な財源を供与すべきものである、しかして今年度に関する限りは、少くとも現行制度が維持されておりますから、これに対する十分な財源を供与することは当然であろう、こういうふうに考えております。将来の問題として政治家としていろいろお考えになりますことは、これは当然であります。私どもといたしましては、この制度を維持される限り十分な財源を供与する。この意味におきまして、これに対しましては地方団体の御協力と御認識を得まして、関係政府部局の認識を深めていただきたいというふうに、せいぜい努力いたしておる次第であります。
  59. 山手滿男

    ○山手委員 どうも満足できないのでありますが、今いただきました二十六年度の地方財政計画のプリントの御説明をひとつしていだきたいと思います。
  60. 奧野誠亮

    ○奥野説明員 昭和二十六年度の、現在において考えられますところの地方財政計画を、昨年度の当初計画と比較してまとめたものであります。そうしますと財政需要の増加いたしますものとしては、給与改訂による増として五百八十四億八千百万円というものが見込まれるのであります。そのうち第一次分としては三百五十四億二千九百万円。これは今年の一月から一人当り月千円ずつ引上げられるという案が出ておつたわけでありますが、その計画に基くものであります。この方も最初は二百億円ぐらいに考えておつたわけでありますけれども、給与改訂の関係法令を実施してみたところ、一般職員で千五百円内外、学校の先生になりますと二千円から二千六、七百円もふえるという結果になつて参りましたので、百五十億円くらい増加して参つたわけであります。月千円の引上げと言われておつたものが、法令の中身と、予算をつくる上において言われておつたこととが食い違つておるということを発見して、非常に困つております。第二次分というのは、この八月からさらに給与改訂を行いたいという計画がございますので、その計画が一人当り千五百円ずつ実施されるとした場合の、地方公務員における財政需要の増加額であります。すなわち千五百円に、地方公務員の給与単価を、国家公務員の給与単価で除したものを乗じまして算定いたしております。  二番目は政府施策に伴う増四百六十億三千百万円でありまして、これは大体さきに国会に提案しておりましたところの教字を、そのまま使つておるわけであります。ただ災害復旧費国庫負担に関します法律は、さきの国会地方財政の計数として出しておりましたときとは、中身がかわつて参りましたので、成立いたしました法案に従つて数字に改訂を加えております。その結果若干の動きがあるわけであります。そのうちの一つが国庫補助公共事業にかかる増であります。第二は法令の改廃、普通補助金の増減等の政府施策に伴う増であります。こういうふうな政府施策に伴う増に対しましては、右側に書いてありますように国庫補助金の増加もあるわけであります。国庫補助金の増加として国庫補助公共事業に対しますものが、公共事業の関係の補助金の増加として五十億五千三百万円、その他は法令の改廃、普通補助金の増減等の政府施策に伴う増に対応するものが百三億八千八百万円ということになつておるわけであります。この財政需要の増加額から財政収入の国庫補助金の増加額を差引きましたものが、地方負担の純増になるわけでありましてこの政府施策に伴うものだけでも、約三百億円の地方負担の純増を来しておるわけであります。  次に財政需要の増加額の三でありますが、単独公共事業にかかる増を百億円見ております。これはさきの国会には地方財政委員会としては三十億円という数字を出しておつたわけであります。ところが御承知ように昭和十二年以来起債抑制政策というものを強行いたして参りまして、小学校の校舎の建築でありましても、二部教授できる範囲においては増築は認めない。三部教授をしなければならないようなところにおいてのみ、起債の詮議をするという、非常に強い方針をとつて参りました関係上、われわれが予想しないほど、たくさんな単独起債の要求額が出て参つておりまして、現在単独の公共事業費につきましては五百二十五億円という起債の申請がございます。これに対しまして約四十五億円——九%程度しか起債が許可できないという状態になつておるわけであります。四十年以上経過いたしました、かなり老朽した小学校の校舎だけでも、百六十万坪に達しておるようであります。坪当り二万円を要するといたしましたならば、それだけでも三百二十億円という巨額な資金を要するような状態になつておりますので、三十億円というよう数字を、そういうような実情から改訂をしてみたいというよう考えたわけであります。  四番目が物価騰貴による物件費の増二百億円余りであります。これは現在の地方財政の計画は、昭和二十四年度を基礎にして考えておるわけであります。ところが昨年朝鮮事変の勃発から物価が非常に上つてつております。そういうような状態を勘案いたしまして、また地方財政の計画の一般物件費の中に占めておりますところの、あるいは資材費でありますとか、あるいは運賃でありますとか、あるいは電気代、そういうようなものを分析いたしまして、現在の物価で加重平均をとつて参りますと、二四%ばかりの増になるわけであります。そこで一般物件費に二四%を乗じますと、四百億円余りになるのでありますけれども、補正予算として考えておるわけでありますので、その二分の一の二百億円くらいと見ております。逆に比率で言いますと、一二%増くらいを見込んだということにもなるわけであります。  五番目は富裕団体における通常規模超過経費四十七億九百万円、これは右の一番上を見ていただきますと、地方税の増として昨年度よりも四百六十一億四千七百万円というものを見込んでおるわけであります。さきの国会に出しておきました数字は約百八十億円くらいであります。それがその後の法人の増収等の状況から勘案いたしまして、百八十億円ではなしに、四百六十億円余りも増収が得られるというように、われわれは最近の経済情勢から見直して参つておるわけであります。ところがこれらの増収は、たとえば八幡市でありますとか、あるいは川崎市でありますとか、従来から平衡交付金の計算におきましては、基準財政収入額が基準財政需要額を超過しておるよう団体にも、さらに相当の増収が得られて参つておるわけであります。言いかえれば、通常の財政経理を行つて行くなら、独立税収入がむしろ余つて来るというよう団体において、非常に多くの増収が得られて参つておるわけであります。昨年度の平衡交付金の配分の結果に徴しますと、昨年度の地方税の収入見込額が千九百八億円であつたわけであります。ところが今申しましたような、税収入が財政需要に超過しておりました団体の超過税収入額が約五十三億円であります。しかしながら今年度におきましては、市町村民税につきまして、新たに法人税割を創設しております。従つて昨年固定資産税が非常にたくさん入つた。従つて収入が余るくらいになつておつた団体において、かえつてまた市町村民税の法人税割の増収が相当入つて来るのじやなかろうかと考えられるわけであります。もう一つは四百六十一億円と見込んでおります増収分のうちに事業税の法人分が非常に大きな額を占めておるわけであります。いずれも偏在するよう状況にあります関係上、歳入額が歳出額を超過するような額というものは非常にふえるのじやなかろうか。大体百億円くらいに達するのじやなかろうかというよう考えておりますけれども、そのうち昨年度の規模の中に五十三億円入つておつたわけでありますから、差額の四十七億円をこういう形で上げたわけであります。ある団体に非常にたくさんの収入が入つて来る、それはやはり通常の財政支出以上に支出を上げて利用されて行くということになるわけでありますが、そういうような財政需要の増加は見ておらぬわけでありますので、右の一番上の増収額から、一般的な財政需要の増加額に充当し得るような額を差引きませんで、左の方の財政需要額の五番目に掲げてありますような形で上げることにしたわけであります。六番目がその他の経費の増加として八十五億円ほど見込まれておるわけでありますが、この中に大きなものとして、たとえば保健所の職員費について、国が二分の一の補助金を出します場合にも、かりに一人当り十万円かかるものでありましても、六万円か七万円しかかからない。その二分の一というふうなかつこうでしか補助金を出していないのであります。そこで六万円か七万円だと、十万円かかりますとそれより三万円ほどよけいかかるわけであります。そういうものもこの中に六十億円内外含めてあるわけであります。しかしながら財政支出はそれだけ紙の上で計算がふえて参るわけでありますが、国の補助金もそれだけ増額されなければなりませんので、裏の欄の一、二の同上措置の一番上に、国庫補助金の増加四十四億六千四百万円というものを掲げております。従つて地方の事務負担は、その他の経費の六十億内外のものと、この補助金の四十億内外のものとの差額の十数億円というものを掲げたという結果になつて参るわけであります。そのほかこの中には前の国会のときからあげております選挙費の増というようなものも掲げられておるわけであります。あるいは反面公債費の減というようなものも入つておるわけでありますが、差引きましてそういうよう数字になるわけであります。右側の財政収入の増加額については、地方税の増は今申しました通りで、また国庫補助金の増も今申し上げた通りでございますが、三番目の地方財政平衡交付金の増が、昨年当初は千五十億円でありましたのが千百億円になつておりますから、当初から比べますと五十億円だけ増加しておるわけであります。地方債の増が昨年の当初に比べますと九十五億円、その他収入の増が四十一億八千四百万円、使用料、手数料等の増加額であります。その結果財政需要は千四百七十七億九千万円ふえるわけでありますが、財政収入は八百二億七千二百万円しかふえません。裏のページに行きまして差引きますと財源としては六百七十五億一千八百万円が不足して来るわけであります。これに対する措置として国庫補助金の増加所要額は四十四億六千四百万円、地方債の増加所要額は二百五十五億円となつております。そういたしますと、差引財源の不足いたしますのが三百七十五億五千四百万円という大きな数字になるわけであります。これにつきましては、四の同上措置のところに、国税総額に対し地方財政平衡交付金の占めていた割合だけを国税の増収分から地方財政平衡交付金に増額するものとし、なお不足する額は地方団体の節約にまつものとするという考え方をとつておるわけであります。現在地方財政の歳出を支えております大きなものといたしましては、地方税がありますし、また地方債がありますし、地方財政平衡交付金、さらに国庫補助金、こういうような四つのものをあげることができるわけであります。物価が高騰いたして参りまして、給与費等も増額しなければならないことになつて来るわけであります。言いかえれば、歳出の自然的な増加というものが相当巨額に上つて来ておるわけであります。それに伴つて国の税収入にも相当大きな増収が得られるわけでありますし、地方税につきましても四百六十億円からの増収を見て参つたわけであります。歳出を支えるものといたしまして地方債、地方税を見ております。また国庫補助金もございます。国庫補助金も相当増額になつてつて来ておりますが、平衡交付金全体の二十二、三パーセントを占めておるわけであります。この平衡交付金と地方債がまた増額にならなければ、伸びて参りましたところの地方財政の歳出を支えるわけには行かないという考え方を持つておるわけでありまして、地方財政平衡交付金は国税からわけられて来るものでありますので、国税の伸びた割合だけは、やはり増収分を地方財政平衡交付金に増額して参りたい、同じように国庫財政と地方財政は苦しみをわかち合い、また増収分をわけ合つてつて行きたいという考え方を、この財政計画の骨子にいたしておるわけであります。
  61. 山手滿男

    ○山手委員 ちよつと初めにお尋ねしますが、この計画についての大蔵省との話合いは、どういうふうなことになつておりますか。
  62. 奧野誠亮

    ○奥野説明員 大蔵省にこの財政計画を出しまして、地方財政平衡交付金の増額を要求しておりますが、大蔵省としてはなお検討中のようでありまして、まだわれわれの方にその考えは正式には伝達されておりません
  63. 山手滿男

    ○山手委員 平衡交付金の五十億増加とか、あるいはそのほかのいろいろな起債のわくの拡張というふうな問題、これは大蔵省の裁断にまたなければならぬのでありますが、大蔵大臣が知事会議そのほかで、しばしば言明しておりまするのは、平衡交付金は絶対に増加しないというふうに言明して、つつぱねて来ておるのでありますけれども、その点についてあなた方の方はどうなんですか。
  64. 奧野誠亮

    ○奥野説明員 大蔵大臣がそう言つておられることは、われわれも間接には聞いております。しかし、さきの国会に大蔵省からの資料も出ましたし、地方財政委員会資料も出ました。また地方財政委員会は、当時の計算に基きまして百九億円だけさらに平衡交付金を増額してもらいたいという勧告をして参つたわけであります。ところが、千円だけしか引上げないと言われておつた給与の改訂額が、現実に法令を実施してみました結果は、千五百円あるいは二千円以上も増額になつてつておるわけであります。その数字というものは、地方財政委員会も間違つておりましたし、いわんや大蔵省はもつと間違つておつたわけであります。おそらく大蔵大臣は、さきの国会に提出されました大蔵省の資料を基礎にしてそういう発言をしておられるのではないかと考えております。計数の再検討が行われましたら、地方財政委員会の計数も十分に考慮して適当な措置をしていただけるだろうと期待し、かつまた努力いたしておるわけであります。
  65. 山手滿男

    ○山手委員 地方税の自然増というようなものが、収入増の一番大きなものになつているのでありますが、これは今お話がありましたように、法人関係の自然増収というようなものを、非常におきく見ておられるように思うのであります。最近の下半期における法人関係の業態というものは非常に悪いのでありまして、上半期において百八十億ぐらいを見込んでおられたのが、下半期において四百六十一億というような厖大なお見込みをなさつたことについては、多大な疑義があるように私は思うのですが、どうですか。
  66. 奧野誠亮

    ○奥野説明員 法人の所得の増加については、何を基礎にしてわれわれは考えているかという問題でありますけれども、大体国税の法人税がございますので、法人税の収入の状況、あるいはまた、法人税について大蔵省がどういうふうな見込みを立てているかということを、基礎にせざるを得ないわけであります。そういうものを基礎にして参りますと、当初の予算に計上したものの倍額くらい収入が得られるのではなかろうかというふうな計算も出て参つているようであります。国税についてどれだけ増収が得られるかという数字を、まだ公にはされておりませんので、この数字があるいは多少動くかもしれませんけれども、現在大蔵省が見込んでおりますものを基礎にして、法人の収入の増加額を算定いたして参つたわけであります。
  67. 山手滿男

    ○山手委員 上半期におきましては、相当有力な会社は何十億というような税を納めております実情はよく知つておりますし、相当の自然増があつたことは確かに事実でありまするが、しかし計算上からはそういうふうに納めることになつておりましても、現実にはそれがもう滞納になりつつあるような実情であります。しかも下半期における状態は急激に悪化して来ておるのでありまして、私はこういうようなきわめて安易な計算の基礎の上に立つて、実際の財政需要を簡単に片づけておおきになるということについては、きわめて不安な気がするわけであります。ことに地方債の増加の問題もあるのでありますが、かつては起債のわくを五百二十五億というような申請があつたのに、わずかに四十五億、九%しか許可しなかつたのに、今度は、この計画によると相当大きく起債のわくを広げて行くような計画になつておるのであります。その点あたりについても、大蔵省と十分な話合いなり意見の交換を遂げての上で、いろいろおやりになつておられるかどうか、その点をよくお聞かせ願いたいのであります。
  68. 奧野誠亮

    ○奥野説明員 起債を増額するということについては、大蔵大臣もたしか前の国会で、しばしば言明されていたようであります。大蔵省の事務当局も地方財政平衡交付金を増額するということにつきましては、非常に神経質になるようでありますけれども地方債の増額ということにつきましては、むしろ大いに努力したいぐらいの気持を持つているように、私には見受けられているわけであります。ただドツジ・プランをなお継続して行くというようなことになつて参りますると、国の予算の立て方から見ましても、かなり多くの問題があるわけなんでありまして、これをどう考えて行くかということとからみ合せて行かなければならぬわけであります。しかし現実の地方財政の問題を考えて参りますると、先ほど少し申し上げましたように、すでに昭和十二年から十数年にわたりまして、地方債につきましては極端な抑制方針を続けて来ておるわけでありますから、たとえば橋のかけかえの問題にしましても、建物の復旧の問題にしましても、放置いたして参つておりましただけに、今やせきを切つてそういう要求が流れ出して来たというようなことも言えるような状態になつておりますし、こういうような臨時的な事業につきましては、小さい団体でありましても、相当巨額のものを必要とするようになつて来ておりますので、こういうものにつきましては、やはり地方債を認めるという方針が、地方財政の運営においては適当であろうというよう考え方も持つておるわけであります。そういうよう意味合いから、いろいろな考え方があるわけでありましようけれども、われわれとしては地方債をこの際相当大幅に認めて行くことが、必要ではなかろうかというよう考え方をいたしているわけであります。一応二百五十五億円の増加を見込んでおります内容につきましては、個々の事業につきましてどの程度まで地方債を認めて行きたいというような計画もあるわけでありますけれども、また他面に地方債によりまして負担しておりますところの利子の総額が、地方の一般財源の一〇%になるぐらいまではよかろうじやなかろうかというよう考えも持つておるわけなんでありますが、そういたしますとなお二百五十五億円くらいは、当初の一般財源においてもまかなつて行けるという計算になりますので、この程度の地方債の増額計画というものを立てたわけであります。
  69. 山手滿男

    ○山手委員 あなたの方でこういう計画を立てられて、これが大蔵省の方でも承認されて実際に動いて行けばよいのでありまするが、私はこれは非常にあやふやではないかと思う。大蔵省とがつちり組んで、もつと政治的に解決するような態勢を整えてやつて行かないと、従来の経験からしても、財政収入増という問題の中には、相当あやふやな点ができて来て、いいかげんな数字になるんじやないかというような気がするのでありまするが、けつこうでありまするから、ぜひがんばつていただきたいと思うのであります。しかしこれは私は非常に残念に思つているのでありまするが、知事会議あたりでもずいぶんがんばつており、陳情また陳情というようなかつこうでありながら、ほとんどこれは取入れられておらない。この間あたり、さつき木村さんから、大蔵省と地方財政委員会の方とが共同で、府県の台所あたりを調査をしたというふうなお話がありまして、私は大蔵省だけだと思つておつたのですが、共同しておやりになつたというのでありまするから、けつこうでありまするが、そのときも、府県ではこういうふうに実際はいつているんだということを言つても、中央の方から来た大蔵省の係員は、こちらの方の実際の需要額を、ことさらに小さく評価しようとして意見が対立して、ものわかれのようなかつこうになつてつて来たところも相当あつたように、私は聞いておるのでありまするが、その点を十分報告を受けておられるかどうか。たとえて言えば給与改訂による増加の問題でありまするが、三百五十四億というふうに、非常に百五十億もふえて、こんな数字なつたというのでありまするが、これは地方に行きますと、やはり出張旅費も払わなければならない、上げるべきものも上げておらないというような実際に苦しい実情が生れておるのでありまして、そういうものについて、この間あたり全国に派遣されて、モデルの県を調査された結果、実際の需要額というものを、正式に報告を受けて把握されておるかどうか、これを私はお聞きしたいのであります。
  70. 奧野誠亮

    ○奥野説明員 しつかり大蔵省と組んで地方財政の計画を進めて行かねばならないという御意見、非常にありがたく拝聴したのであります、一生懸命にそういう方向に努力いたしておるのでありますけれども、なかなかそういう形がとれませんので、非常に残念に感じておるわけであります。なお今後もいろいろとお教えを願いながら、そういう方向が実現できるように努力いたして行きたいと思つております。なお給与の問題につきまして、実情を十分調査したかどうかという御質問でありますが、お話のように各県にわたりまして実績も調べたわけであります、また学校の先生につきましては、学歴別、経験年数別の構成も調査ができたわけでありまして、そういうものを基礎にしてここに、給与の額というものをかなり理論的にまた実際的に出しているつもりであります。
  71. 木村清司

    ○木村(清)説明員 大蔵省との関係については、これはもちろんわれわれ共同してやつているのでありますが、ただ認識の出発点が大分違つておるのであります。その点は今御指摘になつような事態が、実地調査の関係であつたということは、私も承知いたしておりますが、その点はなおよくわれわれの方の——たとえば給与の点等につきましては、派生的に地方の給与が高いというようなものも絶無でないことは言うまでもありませんが、われわれの出す資料というものは、そういう派生的に高いとかいうようなことではなしに、できる限り理論的に、たとえば教員についてはただいま奥野課長から申し上げたよう数字を出す。それからまた吏員等につきましても、東京、大阪というようなごく高いところのものは除外して出すというようにして、妥当性のある数字に基いておるのであります。ただもちろんこの数字につきましては、大蔵省といわば事務的な折衝の過程にあるものですから、地方財政委員会として正式に政府に勧告する際に、このままの数字によるか、あるいはもう少し他の考慮を加えるかということについては、なお検討の余地はあろうかと思いますけれども、ただいまのところは、できる限り大蔵省の認識もあらためていただいて、そうして地方の運営に資する。ことに私は、国家公務員の千円ベース・アップ自身も、具体的にはもつと高く上つているんじやないかというふうに推察できる節が多々あるのであります。これは地方財政委員会の職員あるいは他の官庁の職員等の実績等を調べましても、そういうふうに思われるのであります。地方職員につきましても、一般の都道府県において千五百円程度、教員については二千円ないし三千円も上つておるということは、職員構成が国家公務員よりも高いのであります、しかしこれは違つているのでありますから、当然じやなかろうかと考えております。それを一律に千円というふうに計算したところに問題があるのではなかろうかというふうに考えております。
  72. 山手滿男

    ○山手委員 これは地方の知事あたりは非常に困つている問題なんですが、私はここで小野さんに聞いてみたいと思うのであります。知事は猛烈に平衡交付金をふやせとか起債のわくをふやせとかいうことを陳情しておるのでありまするが、政府の方ではずいぶん最近暴言をはいた者がおるという話を私も承つておるのであります。その暴言というのは、こういうようなことで、泣き言ばかり言つて来るということでは、公選知事なんというのはけしからぬ、公選知事は今度限りで、もうこの次はこういう制度はやめだというようなことを一、二の連中が放言したという話がありますが、そういうことはどうですか、小野さんひとつはつきりしてもらいたい。
  73. 小野哲

    ○小野(哲)説明員 山手さんからいろいろ御質問がございまして、ただいま答弁があつたのでございますが、ただいまお話になりましたように、各知事諸君が現下の財政事情を訴えて参つておるということは、私ももちろん直接その会合等にも出ておりますので、十分承知いたしております。ただその場合に、公開の席上でか、あるいは他の場所であるか存じませんが、ただいま御指摘になつような発言をしたことは、私ども耳にいたしておりません。少くとも私としては、地方自治の振興なり、あるいは地方公共団体の財政運営が円滑になるようにということを念願して、政府におきましても、特に地方自治庁においては、地方財政委員会と連絡をとり、かつまた知事会議の意向をも十分にしんしやくいたしまして、政府部内において連絡をいたしております関係上、さよう考えは持つておらないわけであります。従いまして、どのような場所で、いかなる人がさようなことを言つたかということは、私記憶にございませんが、少くとも地方自治庁においては、さよう考えを持つておらないということを、ここにはつきりと申し上げておきたいと思います。
  74. 前尾繁三郎

    前尾委員長 ちよつと質問の途中ですが、ちようど今の話に関連して知事さんたちが陳情したいというお話ですから、ここで速記を中止して、陳情を聞くことにいたしたいと思います。     〔速記中止〕
  75. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは速記を始めてください。  暫時休憩いたします。午後は二時より開会いたします。     午後一時七分休憩      ————◇—————     午後二時五十四分開議
  76. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは再開いたします。  この際まず派遣委員より報告を聴取することにいたします。本委員会におきましては、地方行政の健全なる発展に資するため、北海道地方、近畿地方及び九州地方の三方面に委員を派遣いたしまして、地方税法及び警察法改正後の実情並びに地方自治に関して調査いたしましたので、これより順次各班よりその報告を聴取することにいたします。第一班の河原伊三郎君。
  77. 河原伊三郎

    ○河原委員 御指名によりまして、北海道班の調査の概要を私から御報告申し上げます。  北海道班は 床次徳二君、山手滿男君、河原の三人が丸山調査員を伴いまして、六月十四日から満十日間、北海道ほとんど全道にわたりまして国政調査を遂げたわけであります。調査の主要項目といたしましては、地方財政治安事情でございましたが、さらに北海道が終戦後非常に重要性を増しまして異常な発展を遂げております関係もありますので、その他産業経済いろいろな面にわたりましても、かたわら調査をして参つたのであります。まず地方税法改正の結果の影響として、各地より一様に聞きましたことは、新地方税法が、税収入の面からいたしまして、商工業地帯の方は有利になり、農村地帯の方は非常に税収入が減るという関係上、北海道のような土地におきましては、非常な税収入の減少を来しておる。従いまして以前には標準税率を上まわつて三倍も四倍も徴収しておつたものが、新税法によつてこれを抑制せられた結果、財政上非常な欠陥を来すことになつた。しかもその欠陥は、地方財政平衡交付金でまかなわれる建前にはなつておるが、実情に沿うだけの措置が講ぜられていない結果、北海道としては非常な財政難に陥つている。この点を、早急に最も有効適切なる措置を講じてもらわなければ、北海道は一様に非常な窮地に陥る。さらに北海道の後進性、未開発地という関係から、ある程度の水準に達している内地の府県に比べてなすべき仕事が非常に多い。そういうふうな二重の面から、北海道に関しては特別の考慮を払われたいということが共通した支庁、自治体要望でございました。  次に治安関係でございますが、治安関係については、内地で予想いたしておりまするよりも人心は安定し、治安に対する安全感が見られた。海外からの圧迫侵略等が起りはしないかというふうな不安は、きわめて軽微でありました。ほとんどそういうような不安を持つていないで、安心した気持でその業にいそしんでおるというふうに観察して参つたのであります。しかしながら、警察の手薄ということは、一様に強く言われたことでありました。人口は少いが、土地が非常に広いので、人口割合をもつて警察の数を律せられるということは北海道には適合しない。そこで、今度の警察の増員で一千名が増員されたということは、十分ではないが北海道としては歓迎する状態である。こういうふうに聞かされて参つたのであります。なお、警察法の一部改正によりまして、自治体警察国家警察に返上する道も開かれたのでありますが、何分北海道におきましては、ただいま申し述べましたよう警察の数が足りない、警察官が足りないということが、一種の定論になつております関係上、これを国警に返上して、その結果自治体警察を置く場合よりも、その地方警察の員数が減るということは好ましくないということが、おもなる原因のようでありまして、大体において国警に返すという機運は動いていない。将来どういうふうになるかわからないが、返上する向きができても、それは少いであろうというような観測でございました。なお行きがけに青函連絡船の機雷の脅威というような点について、直接船中におきましても、また小樽において海上保安庁をたずねましてそこにおいても調査し、またその観測を聞いたのでありますが、機雷はいかにも流れてはいるが、実質上の危険という点については、双方ともあまり重視いたしてはおりませんでした。これはよほどの不運でなければ容易に当り得ない。また現在の状態として、大体において安全な方途を講じて航路の安全をはかつている、こういうお話でありましたが、委員の意見といたしましては、当時夜間は航行しない、その結果非常に運搬の能率が低下いたしておりましたので、かようなことは好ましくないことであるから、運輸の能率を平常に回復するように、何らかの措置を講ぜられたいということを、強く要望しておりましたが、行きがけに要望しておりましたところ、帰りますときには、船の運行の回数を増加いたしまして、その意見をただちに用いた結果か、またはそれ以外の事情か知りませんが、とにかく行きがけと帰りがけとでは、非常に運輸の量を増加する結果になつておつたのでございます。いずれ詳しくは別の文書によりまして委員長まで、報告書を提出するはずでございます。なおその報告書を委員各位の御賛同を得て、全文速記録に登載するよう委員長の御配慮を願いたい次第でございます。簡単ながらこれをもつてその概要御報告といたします。
  78. 前尾繁三郎

    前尾委員長 次に第二班の野村專太郎君。
  79. 野村專太郎

    ○野村委員 私は近畿班を代表いたしまして、調査の概要を御報告いたします。  近畿班は委員の鈴木幹雄君、久保田鶴松君と私と、それに調査員の曽根隆君を加えた一行四名でありまして、去る六月十三日京都府庁を振出しに京都市役所、大阪府庁、大阪市役所、和歌山県庁、和歌山市役所、新宮市役所等を歴訪いたしまして、それぞれの自治体につき財政事情、特に地方税法の改正に伴う地方財政の動向、並びに警察法改正の影響などを中心として、各地方の特殊事情を調査視察して参つたのでありますが、各地とも十分な用意と熱意とをもつて調査に応ぜられましたため、短時日ではありましたが地方行財政の生きた動きに触れ、かつ地方当局の要望、意見を親しく聴取する機会を得て裨益するところ少くなかつたのであります。私の班も別に報告書を作成して委員長あてに提出いたすことにしておりますので、各位の御了解を得てこれを速記録に登載してそれによつて、詳細をごらんいただきたいと思うのでありますが、調査中に感じました点二、三を申し添えて御参考に供したいと存じます。  近畿班の調査は、自然京都市、大阪市というような大都市を中心とする調査になつたわけでありますが、ここで最も問題と考えられる点は、大都市とこれを包摂する府との関係の問題であると思うのであります。御承知ようにシヤウプ勧告に基く今回の税制改正の結果、従来都市の税収の大宗であつた入場税、遊興飲食税のごとき都市的な税目が府県の独立税となりました結果、都市としては弾力性のある、従つてうま味のある税収を失い、しかもその大部分は郡部のために使用されて、都市自体にはほとんど還元せられないという不合理があるのであります。さらに府県の側から見ましても、都市の財源で農村の施設をまかなうといつたような自治行政上おもしろからぬ事態が生じているのであります。加うるに府県住民税のごとき普遍的な税収を持たないため府県民との密接なつながりを欠くという不都合が感ぜられているのであります。これは全国的な問題でありますが、特に大都市と府県の間では、深刻な問題となつているのでありまして、早急な解決を必要とすると思うのであります。  さらにこの問題とも、関連して、京都大阪では特別市制の問題が、相当大きな動きを見せているのでありまして、特に大阪市の動き、これに対する大阪府側の都制の提唱は、両者の深刻な対立を招来しているように見受けられたのであります。この二重行政の弊、高い行政費の問題は何らかの解決を与えなければならない緊急な案件であることを痛感して参つたのであります。本委員会としても慎重に研究しておくべき事案と考えられます。  なお近畿地方はジエーン台風等による風水害の復旧、大阪の地盤沈下による防潮堤の築造など、巨額の資金を要する関係もあつて、起債のわくの拡大が強く要望されておつたのでありますが、大体都市的な自治体は平衡交付金よりはむしろ、起債に重点を置く傾向にあるのでありまして、まことにもつともな点であると考えられるのであります。和歌山県に参りますと、平衡交付金の増額並びにその配分方法に大きな関心がかけられておりまして、算定基準の合理的な改正が強い要望となつておつたのであります。ここで一つの顕著な例として、東牟婁郡四村という戸数四百戸の僻村が四百万円すなわち一戸当り一万円の平衡交付金が配付されていることが話題となつていたのであります。かような不合理は当然是正されるべきであると考えたのであります。警察法改正の影響一つとして、自警存廃の問題につきましては、近畿地方は概して存置論が表面上強いように思われたのであります。  以上、感じられました二、三の点を申し上げまして、御報告にかえる次第であります。
  80. 前尾繁三郎

    前尾委員長 第三班吉田吉太郎君。
  81. 吉田吉太郎

    ○吉田(吉)委員 九州班につきまして私から簡単に御報告を申し上げます。  前の二班と同様に、調査の詳細は委員長あての報告書を速記録にお載せ願つて、それによつてごらんをいただきたいと存じます。ここでは二、三気づいた点を申し上げるにとどめたいと思います。  今回私どもがまわりましたのは北九州でありまして、一週間にわたつて福岡県、長崎県、熊本県、大分県の四県について、それぞれ県庁をたずねまして、県財政の調査を行い、市は八幡市、福岡市、大牟田市、長崎市、熊本市の五市について同じく主として財政税制の調査を行い、この間随所で警察問題にも触れて参つたのであります。  御承知のごとく北九州はわが国でも有数の工鉱業地帯でありまして、財政的にも比較的恵まれた地方考えられるのであります。事実八幡市のごとき、また大牟田市のごときは種々問題はありましても、税源がゆたかであり、将来性をも併せ考えますならば、典型的な中都市として比較的健実な財政を営んでいると思われるのであります。ただこれらの都市は工鉱業の復興再建過程の進展に伴う人口の急激なる増大など、動的な要素を持つ自治体でありますが、平衡交付金の算定の場合に、かような要素が考慮されていない点に、大きな不合理が認められているのであります。  以上の二市のほかの市、主として県庁所在地の市におきましては、財政の困難は相当のものがあるのであります。福岡市のごときは二十六年度は四箇月の暫定予算しか組めなかつたといい、また長崎市のごときも二十五年度決算は、市始まつて以来初めて赤字になつたと言つております。熊本市のごときも同様に苦境にあることがうかがわれたのであります。県に至つてはさらに困難の度が強く、いずれも本年度の後半はまつたく見込みの立たない状態が、一般的であつたのであります。福岡県の例として、二十六年度の予算の審議にあたつて、教育費中、教員定数をめぐつて執行部と議会とが対立いたしまして、議会は修正議決をして、これに対しまして知事は地方自治法の百七十九条の拒否権を行使して、原案に復帰したというような事例をも耳にしたのでございます。  ただいま近畿班の御報告にありましたように、県の財政が極度の窮乏にあることは、九州地方におきましても同様でありまして、それの対策として、酒消費税の返還、タバコ益金の還付、揮発油税、鉱産税の移譲、県民税の創設等が叫ばれておるのであります。一方遊興飲食税のごときは、税率を引下げて納得の行く、とりやすいところの税にすべきであるという声が多かつたのであります。  今回の調査旅行におきまして特に深い感慨を覚えましたのは、かつて殷賑をきわめました港都長崎市が、今は原爆の長崎として、船のない港を擁しながら、廃墟の中から立上るべく懸命の努力を続けている姿であります。原爆の破壊力のきわめて深い浸透力の結果、外見上健在するかに見える建造物も、その内部深く損傷の及んでいるものが少くなく、学校の校舎もそのため使用を禁止しているもの七校に及んでおり、住宅、工場施設等も同断でありまして、そのため住宅難はきわめて深刻であり、固定資産の評価額も予想外に低からざるを得ない実情のようであります。加うるに、造船所等についても未稼動部分が大きく、従つて施設中、遊休、陳腐化として取扱われる部分が多きを占めており、これが固定資産税の収入に大きなマイナスとなつているという気の毒な状態にあるのであります。市当局が戦災都市に対する国の援助をなおしばらく続行してほしいと要望しているのは、まことに無理からぬところであると感じて参つたのであります。  以上思いつくままを二、三申し上げて私の報告を終りたいと思います。
  82. 前尾繁三郎

    前尾委員長 ただいま各班の派遣委員よりその報告を聴取いたしましたが、委員長あての報告書は会議録に掲載することにいたします。なおこれら各班の調査の結果につきましては、今後の委員会において順次反映して行くことにいたしたいと思います。     —————————————
  83. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは午前中に引続きまして、地方財政の問題を議題といたします。野村專太郎君。
  84. 野村專太郎

    ○野村委員 この際、地方財政に関しまして、特に都道府県地方財政が非常に困離であるということは、知事会、いろいろな点からも、またわれわれが国政調査の折からも十分うかがわれますが、その都道府県税の中におきましても、主要な税目であるいわゆる入場税と遊興飲食税、これは現実は非常にその税率なり、税法が困難であるというにもかかわらず、地方財政の現実の面から非常な犠牲になつておるようなわけです。これに関しては、先般地方税制改正に伴う税制懇談会で、これは国税に移すとか、いろいろなことが巷間伝わつているわけですが、これに関して政府側では、この両税に対しては、あるいはこれを国税に移管するとかいうようなことも言われているわけですが、どういうぐあいにお考えになつておりますか。この点をまず先に伺つておきたい。
  85. 小野哲

    ○小野(哲)説明員 私からまずお答えいたします。入場税並びに遊興飲食税が府県税の中の重要な税目になつておりますことは、御承知通りであります。かねてから地方税制の改革について税制懇談会を中心として論議されておりますことも、御承知通りでありますが、いまだ税制懇談会としての意見のとりまとめが行われる時期にまでは至つておりませんがために、政府としては、これに対していかなる態度をとるかということについては、結論的なお話を申し上げる機会ではなかろうかと思います。ただ問題は、遊興飲食税が徴税の上で非常にむずかしいということが、従来から言われておりまして、これがために新地方税法においては、徴税の確保のための方法等も考案いたして参つたのであります。入場税につきましても新しい考え方で徴税の確保ができますようにと心掛けて、地方税法の改正も行つて来たわけであります。ただこの場合に一部の意見としては、この種税目はむしろ国税に移してはどうか、こういう意見もあるやに聞いております。しかしながら地方税制の問題は、単純に地方税制のみの範囲内において考えるということは、はたしていかがなものであろうかと私は考えておるのでありまして、要は地方財政の円滑な運営に資するための税源として、またこれが確保の上において、適当であるかどうかということを、綜合的に判断して行く必要があるのではないか、かよう考えておる次第であります。特に府県の財政が今日非常に窮迫して参つたという事実も、私どもは看過できないと考えておるわけであります。従つて地方財政、税制全体として、現行のものがはたして妥当であるかどうか、さらに出直しをする必要があるものがあるのではないかという点を慎重に考えて参りたい、かような心組みを持つておるのであります。それにつきましては、目下のところ、税制懇談会において、何らかの結論を出しまして、政府に答申をいたしたいという考えのもとに、せつかく検討を加えられておりますので、この答申がどういうふうな内容を持つて出て参りますか、これによつて政府も考えて参りたい。従つてただいまのところは、現行地方税法の趣旨に沿いまして、遊興飲食税なり入場税は、府県税としてこれを存続するという考え方のもとに、意見の変更はいたしておらない次第でございます。さような点を一応御了承を願つておきたいと思います。
  86. 野村專太郎

    ○野村委員 シヤウプ勧告が全面的に地方税制の画期的な改正をされて、しかも問題の附加価値税等が現実に、これを実施できないような現実から見て、これはごもつともだろうと思うのですが、しかし反面においては、専売益金であるとか、酒、タバコの還付税、こういう財源をもつて補填をして、この両税は府県税に持つて行く、こういうようなことも言われ、この両税は現実にまつたく陳腐な考えで実際行われておらないので、これはこの委員会においても各党とも大体考えを同じうして、いわゆる五割減税ということに対しましては一致いたしているのです。どうか近い国会においては、他の財源を考慮しながら、これを政府提案として出されるようにお考えを願いたい。これについてもう一回お尋ねいたします。
  87. 小野哲

    ○小野(哲)説明員 野村さんの御意見はごもつともな点もあるわけでありまして、これに対して積極的に反対を申し上げる意思は持つておりません。ただ、先ほど申しましたように、税制懇談会でも、遊興飲食税、入場税その他の税につきましていろいろ検討を加えておられるようでありますので、財源等の関係をも勘案いたしまして、その御意見の内容をも十分に検討して、その上で政府としては態度をきめたいという考えを持つておりますので、いましばらく状況の推移にかんがみて善処いたしたいという程度で御了承を願つておきたいと思います。
  88. 大泉寛三

    大泉委員 府県税に関する附加価値税の問題についてお尋ねしたいと思います。附加価値税の税制は、昨年の国会において相当議論を尽されて、二会期にわたる国会審議によつてようやく通過したような議案であります。それがたまたま私ども新聞その他に伝えられておるところを見ると、あれを実施しないでそのまま廃止してしまうとかあるいはまた延期するとか、ほとんど実施に至らないうちに、あの重要な税制の改革案がやみからやみに葬られてしまうというようなことでは、われわれ非常に長い間審議に携わつた者として遺憾にたえない、こう思うのであります。これはもちろん地方財政当局においても、単に各政党の意向、あるいは税制懇談会等からの意見を聴取されたものが、そのまま発表されておると思うのでありますけれども、地財委として、あるいは自治庁としてどんな考えを持つておられるか、やはり廃止した方がよろしいというよう考えを持つておられるか、またはある程度の修正をして実施に至らしめるか、それともまた各府県要望があつて、そうした傾向になつておるのか、どういう内容によつて、ああした報道をされたのであるかわかつておる範囲内において承つておきたいと思います。
  89. 小野哲

    ○小野(哲)説明員 お答えいたします。附加価値税の問題につきましては、地方税法の改正案の御審議を願いました当時から、いろいろと論議いたされましたことは御承知通りであります。最近この税が廃止さるべきであるというふうな意見も新聞紙上に出ておりまするし、あるいはまた実施を延期してはどうか、こういうふうな意見も出ておることは、私どもも見ておるわけであります。ただ政府といたしましては、新地方税が実施されまして、かつまたその税法中に附加価値税につきましても明らかに規定がございますので、この法律の建前から申しますと、実施さるべきものである、かよう考えておるわけでございます。ただ問題は、先ほども申し上げましたように、税制懇談会でいろいろ議論が出ておりますために、政府としての諮問的な機関に相なつております税制懇談会の意見が、どういうふうな形で現われて来るかということを一応見なければなるまいかと、かよう考えております。従つてどんなふうな答申が出て参りますか、それによりまして今後の措置につきましては十分研究をいたしたい、かよう考えを持つております。
  90. 大泉寛三

    大泉委員 私はこの際、一旦きまつてしまつたものはもう実行されるということを前提として、今までに伝えられる報道に対しては確かめたいという、ただそれだけでありますけれども、今自治庁としても、なお再検討したいというような御意見のようでありまするが、少くとも国会において、しかも実地にあたつて相当期間をこれに与えて、そうして万全を尽して実行するという方針に決定しておきながら、その中間において税制懇談会等において、あるいは議会の決議を無視したような報道をされるということは、議会の権威のために私ははなはだ遺憾にたえない。どうしてもこれは実行して、そうして万一にも欠陥があつたならば、これはあるいは是正しなければならぬということになりますけれども、実施もしないうちに、政府当局の関係者からどうも再検討を要するというようなことでは、議会の権威においてはなはだどうも遺憾にたえないと思う。その点について私どもはあのもみにもんでようやく成立した法案はどうしても実行してもらいたい、こういう要望をしておるのであります。またあれは負担する方の立場から見ては、きわめて公平なものである。あるいは地方税としては適当でないような点もあるかもしれないけれども、附加価値税そのものの性質からいつて、現在の事業税と比較してきわめて妥当な、きわめて公平なる課税である、こういうふうに私は当時から信じて、あの附加価値税の一日も早く実施されんことを要望しておつたのであります。たまたまああしたわれわれの意に反するような報道をされてはまつたく遺憾千万である、こういうふうに考える。自治庁当局としても、どうかあれを実施に移すべく努力していただきたい。また府県要望を今お伺いしたのですが、府県要望はどんなことでありましようか。府県の方から、あるいは廃止してもらいたいというような意見があるのですか、ないのですか。
  91. 小野哲

    ○小野(哲)説明員 府県の側としましては、税制の改革につきまして、いろいろの意見を持つておるのでございまするけれども、附加価値税につきまして、これを存続するか、あるいは廃止するかということにつきましては、明確な一致した見解にはまだ至つておらないように見ておるわけであります。従いまして政府としては、地方税法に明らかに定められております税でございますので、国会の御意思に沿いまして、これが実施等につきましても、実は万般の措置をして参つておるようなわけで、先ほど申しましたような税制懇談会においていろいろの議論もあるようでございますので、その結果に基きまして、なお研究すべき点があるならば、研究して参りたい、かような心組みを持つておる次第であります。
  92. 藤田義光

    ○藤田委員 私、遅刻しましたから、質問が重複するかもしれませんが、二、三お伺いしたいと思います。  本年度の地方財政の窮況を打開するためのいろいろ議論が出ておりますが、結局、地方財政委員会から出されました地方財政の問題点についての反駁意見にもあります通り、起債のわくの拡大と平衡交付金の増額以外に、当面の緊急対策はないということは、識者の一致した結論でございます。そうしますると、大体どのくらいの数字を計算されまして、いつ、どういう方法で、この緊急対策を実行に移すかということが一番大きい問題でございます。起債のわくの問題は、あえて国会に付議する必要はございませんが、平衡交付金の増額の問題は、国会の関係もありますので、秋に予定される臨時国会に出されるとは想像いたしておりますが、全国一万有余の自治体は非常に心配いたしております。こういう機会に、実はきようも午前中知事代表の陳情があつたそうでございますが、国会委員会の席上で、現段階ではどの程度の準備ができておりますか、数字的なものもお示し願つたら非常に好都合ではないか。国会としましても、この問題は真剣に取組んで参りませんと、せつかく軌道に乗りました地方自治というものに対する一般大衆の不安、疑問というものが深刻になりまして、民主主義の基盤が危険になりはしないかというふうな、最悪の事態も予想されますので、この際はつきりと数字をお示し願い、どういうふうな手を打たれようとしておるか、この際小野政務次官、木村財政委員からお話願いたいと思います。
  93. 木村清司

    ○木村(清)説明員 実は数字につきましては、午前中お手元に差上げました資料によつて、財政課長から詳細申し上げたのであります。その数字に基いて、目下実は大蔵事務当局と折衝中でありまして、その折衝の成果については、御報告する段階にまだないことを、はなはだ遺憾に存ずる次第であります。実は本日も知事会の代表者が来られて、本委員会においてるる衷情を訴えられたのであります。私どもの出しました数字そのものは、これをあるいは全面的に大蔵当局としては認めていただかなくても、たとえば国税が千億の増収があるといたしますと、地方団体にも当然のわけ前があるべきものだというような、配付税的な考え方から見ましても、数字を出しますれば三百七十億以上のものを私ども考えておりますが、これが二〇%なり二五%なり、国税総額に対する二割なり、二割五分なりという一定の割合から見ますと、この程度、理想的に申しますれば三百七十億程度出していただきたいというよう希望になるわけであります。こういう程度につきまして目下せつかく大蔵当局と折衝中でありますけれども、まだ見通しも何も確実なところを申し上げる段階に達しておらないことを非常に遺憾に存じます。幾ばくが足らぬかということについては、これは人の見解によつて、当委員会の計算する通り足らぬというように見ない人もあるかもしれませんが、とにかく足らぬことは絶対確実だと思うのであります。われわれの出した数字は実は最低限度と私どもは信じておりますけれども、いずれにせよ相当の金額が足らぬことは確実なことでありますから、この点については委員各位におかれましては、補正予算の決定に際しまして、特別の御高配をお願いしたいと思うのであります。
  94. 藤田義光

    ○藤田委員 実は今財政委員会で、大蔵省と折衝中というお話でございましたが、うわさでは大蔵大臣が大体十五億円だけ増額することを承諾したというような、実に情ない情報を聞いておりますが、この点はどうでございますか。それから財政委員会から出ております反駁意見は、もちろんわれわれは全面的に賛成でございます。その中にもあります通り、給与改訂に伴う経費とか、年末手当、こういうものを含まぬで、今年は五百億くらいの地方自治体の穴ができる。これを加えましたならば、相当厖大な数字に上りはしないか。今財政委員会で打たれております手は、こういう年末手当とか給与改訂を除いた穴の補填のためのことを考えられまして、こういう問題はさらに今後研究具体化される予定でございますかどうか。一緒にこれも考えて大蔵関係と折衝中でございますか、お伺いしたいと思います。
  95. 木村清司

    ○木村(清)説明員 大体政府の見込んでおります千五百円程度の給与ベース改訂を、大ざつぱに見込んで考えております。
  96. 藤田義光

    ○藤田委員 先ほど大泉委員の意見と大分違つたことになりますが、私はこの二十五会計年度終りの、五月末現在の二十五年度の地方税の徴収成績等から見まして、新税法の実施が遅れた関係その他がありまして、致命的な欠陥がありはしないか。それから災害復旧の金額国庫負担という点も大分修正されてしまつております。起債のわくもなかなかシヤウプさんが意図されたところの何十パーセントか不足しておる。事務の再配分はまあどうにか具体化しそうでございますが、なかなかひまどるようでございます。いわゆるシヤウプ勧告の線というものがほとんど破壊されておるこの際、幸か不幸か、シヤウプ勧告というものを一応御破算にするのでなくて、この線に沿いながら根本的に地方財税制を考え直す絶好のチャンスではないか。そのためにはどうしても統一的な中央の官庁が必要である。いろいろな面からしましても、現在の地方財政、税制、行政に関する中央官庁の分散状況は、いずれの面から考えましても非常なマイナスではないか。先ほど小野さんが税制懇談会のお話もされておりましたが、この懇談会なんかでもこの問題を研究され、また田中一郎教授の政令審査委員会の結論も、きようあたり出るようでございますが、この点に関しまして地方財政委員会、自治庁方面の発言、動きが非常に弱いというような印象を受けております。この行政整理に関連した地方財税制担当の中央官庁の強化という問題は、相当大きく財税制の建て直しに影響するのではないかと思いますが、この点に対し何か今まで動きがありましたならばお知らせ願いたいと思います。
  97. 小野哲

    ○小野(哲)説明員 私からお答えいたします。ただいま藤田さんが指摘されました地方財政における中央機関の整備の問題についてでありますが、この問題につきましてはただいまお話のように田中一郎氏が担当者となつて、例の委員会においていろいろと相談をされておるということは私も聞いておるのであります。また地方自治庁の付属機関であります地方自治委員会議等におきましても、話題に上つておることは事実であります。各方面においていろいろとこの問題についてはお話が出ておるわけでありまして、全然私ども政府側において無関心であるということはございませんけれども、さような機関においていろいろな論議が出ておる最中でありますので、一応どういうふうな結論が政府の方へ送り込んで来られるであろうか。これにつきましてまた政府が政府として研究し結論を出すようにして行つた方がよいのである、そういう意味合いから、一応ごらんになればきわめて不活溌のように見えるかと思うのでありますけれども、各方面においてそういうことを論議しておることにつきましては、私ども常に関心を持つておるということを申し上げておきたいと思います。
  98. 藤田義光

    ○藤田委員 この問題に関しましては、たとえば厚生省のごときは、行政管理庁の長官が厚生大臣を兼務しておりますが、われわれの親友であります一課長が、この問題に関連して左遷されるというふうな重大な問題を引起しておるくらい真剣に各方面とも研究いたしております。政令審査委員会の原案なるものを新聞で拝見しますと、自治庁と地方財政委員会を統合して、総理府の一外局にするというような、非常に微温的な機構対策が計画されておるようでございます。地方自治を進展させるためには、強力な相談機関がどうしてもなくてはいかぬということは、平衡交付金の問題、その他ですでに全国民が周知の事実であります。この際どうしてもしつかりした機構を確立いたしまして、新しい事態に対処することが絶対必要ではないかと思います。近く政務次官や委員長の更迭があるというようなうわさも聞いておりますが、この問題解決までは、ぜひとも終戦後の地方自治に長く政務官をされ、しかも熱心に研究を続けられておる小野さんにとどまつていただいて、明快なる機構改革の実を上げていただきたいと私は思つております。政令審査委員会の案というものは、国会でまた再検討して修正はできますものの、なかなか一旦きまつたものをひつくり返すということは困難ではないかというふうにも考えますので、この点特に岡野大臣、小野政務次官の政治的な手腕をわれわれは期待いたしております。  この際お伺いしたいのは、地方財政の規模の問題でございます。戦争中は統制がありまして、国家財政がふくれて参りました。その前は大体地方財政が歳入、歳出とも国家財政より大きいわくを占めております。終戦後は価格調整費と終戦処理費でわくがふえ、二十六年度におきましてはインベントリー・ファイナンス等の関係もありまして、国家財政の方が予算が大きくなつておりますが、大体講和後の新事態に地方財政のわくと、国家財政のわくをどの程度に押えて行くかということが、国全体の財政運営上非常に大きな問題になつて来るのじやないか。ただ行き当りばつたりに歳入歳出を決定するということよりも、国民所得の実力から割出しまして地方の行政規模、国家行政規模を勘案して、地方財政国家財政のわくの一定の比率というものを、この際はつきりさせる機会ではないかというふうに私は考えております。この点に関しましては木村さんは長らく知事もやられて、戦争前の状態もよく御存じと思いますが、妥当の線を、まず結論を先に出すというような方法をお考えになつておりますかどうか、この際お伺いしておきたい。もしそのわくがきまりますと、今の大蔵省と地財委の意見の相違というものも、自然に解消して行くのではないかというふうに考えておりますので、お答えを願いたいと思います。
  99. 木村清司

    ○木村(清)説明員 非常に困難で、私は実はお答えできぬと思うのですが、ただアメリカの国税と地方税との関係を見ますと、数年間にこの一九五〇年度では三対七のものが、七対三ぐらいまで上つておるというようなことをある雑誌で見たのですが、そういうようにおそらくフエデラル・ステートのアメリカの政治の関係から見ますと、中央政府の機構——中央政府というものには外交とか軍事とかがありまして、日本政府は、ちようどアメリカのステートと同じような作用をなしておるのあります。そういう意味において、完全な平衝交付金制度というようなものが考えられるならば、現在の農村と都市との税負担の、富の集中の程度が、現在または将来はなお一層烈しくなるであろうということを考えますと、財政規模というか、国家通り抜け勘定を平衡交付金式通り抜け勘定の地方税だというふうなことに考えますれば、地方というものはもつと重く見ていいのじやないかというようにも考えられるのであります。これは平和国家というようなことに相なりますればですが、日本でもし軍備方面に重点が行きますれば、その程度が違つて来るのじやないか。平和国家的の考え方から行きますればそういうことが考えられるのですが、ただ私は地方団体がアメリカのように全般的に富の程度が平均して上つておらないで、地方によつて非常に税の偏在しておるということがあるといたしますと、酒、タバコのような比較的普遍的な税源を持つてしても、十分な平衡交付金的な考え方を持つて行くわけには行かないということになりますと、これは純然たる地方税形態によつて地方の組織をまかなつて行くということは、非常に困難ではなかろうかと思うのであります。やはり平衡交付金式ないしは配付税式考え方によつて地方財政をまかなうということになる運命じやないかと思う。そういう点に関しまして地方団体というものは地方税、自分の税でもつて自動的にまかなうべきである、これは本則からいえば、ごもつともの説ではあるけれども日本の国情から見ますと、必ずしもそうは行かないのじやないか、しからばたとえば義務教育費の教員費を全額国庫で持つということになりますと、全国普遍的な地方の負担が国家の負担になるということになりますと、また相当に考え方がかわつて来ると思います。そうなりますとまた富んだ地方において現在のように税が行き過ぎになると思う。実はお答えにならぬようなお答えばかりいたしまして、相済みませんが、明確に七・三で行けるとか、六・四で行けるとかいうお答えはできない。たとえば今の生活保護法の八割を国庫が負担しておる、これがやはり地方行政のおそらく重要な役目を果しておる、これを地方行政費と見るか、国家行政費と見るかということにも関係して来るのでありますが、これはあるいは地方行政費の通り抜け勘定と見る見方もあるのじやなかろうか、そういう意味において地方行政費の本来のあり方をどういうふうに見るかということについては、相当税源の付与、地方平衡交付金制度がどの程度完全に行われるかということに関連して、実施の範囲がきまつて来るのであつて日本の国のように中央集権的な思想の強い国においては、なかなか本質的に地方団体の事務が、全部地方自治に移るということは、困難な点もあるのじやないかと思います。これは私一個の考えであります。
  100. 藤田義光

    ○藤田委員 実は先般大蔵大臣が旅行の途上で、来年から軍事費的なものを歳出予算の四%くらいを予定しておるというようなことを言われたことがございます。大体終戦前の日本の軍事費は三割から四割七分まで上つたことがございますが、現在アメリカは六六%を越えておるという状態でございます。どうも大蔵省では、大体国民所得と国の予算、それからいろいろそれに関連した講和後の新しい事態に対処する新規費目の比率というようなものも計算済みではないかと思われる節がございます。それでこの際お伺いしたいのは、自治警察が廃止になりまして、それだけの分が浮くことになりました場合に、もちろん総わくでは不足しておりますが、千百億のうち、平衡交付金の運営上一つの問題が起るだろうと思いますが、自治警廃止した町村に予定せる平衡交付金はどういうふうに運営されますか。それから、明年度からことし廃止せる自治警の分は、総わくの決定で多少不利になりはしないかというふうな心配もございますが、この点に関しまして、何かお考えがありましたならばお伺いしたいと思います。
  101. 木村清司

    ○木村(清)説明員 今年分については、当然半年分は見なければならぬ。但し当該地方における住民投票の選挙費用とか、あるいは警官の退職費用ということを見なければならぬので、今年度においては、おそく財政需要としては大した変動はないのではないかと思つております。明年度はなくなりますから、財政需要は当然町村は少くなると考えられます。これは総わくの問題としてそう考えます。
  102. 前尾繁三郎

  103. 立花敏男

    立花委員 問題がどうも核心へ行かないようですが、このいただいた資料に、起債と補助金とを差引きました残りの不足額三百七十五億についてはちやんとはつきり財源が書いてあるのですが、補助金の増加、それから地方起債の増加等、合計三百億ばかりについては、どこからどういうふうにして出されるのかということを書いてないのですが、なぜこれをお書きにならないのか、ちよつとこれを御説明願いたい。
  104. 奧野誠亮

    ○奥野説明員 起債のわくをどの程度までにするかということについては、いろいろ考え方があるわけでであります。午前中ちよつと御説明いたしましたように、地方債の利子総額が地方団体の一般財源の一〇パーセントくらいまでは発行してもいいのではないかということが、一つ考えられるわけであります。そこから考えて参りますと、現在の地方債のわくからなお二百五十五億円だけ拡張することができるわけであります。そこで一応地方債のわくの拡張としては、二百五十五億くらいをなお充てられるというよう考え方から、この数字を出しておるわけであります。
  105. 立花敏男

    立花委員 お答えのピントがはずれております。二百五十五億をどういうそろばんではじき出したかということでなしに、二百五十五億をどういう財源でまかなえる見通しがあるのか。地方財政委員会としてはこういう要求を出しつぱなしではなしに、政府のどこそこに、こういう二百五十五億の金があるから、それを出せという見通しがあるはずだと思う。さつきも申しておりましたように、政府は出そうと思えば出せるのだ、出せるやつを出さないのだと知事が言つております。地方財政委員会の方では、この二百五十五億をどうかしろという要求なんですが、しかし財源は政府のどこにあるという考えでお出しになつておるのか。これは課長でなしに、委員長に聞きたい。これは根本的な問題につながつておりますので、決して数字の問題ではないと思う。だからこういうものを現在の国家予算の中から、どうしたら出せるというふうに現在の地方財政委員会ではお考えになるのか、これをひとつお聞かせ願いたい。
  106. 木村清司

    ○木村(清)説明員 あるいは私ども方的な見方になるかもしれませんけれども、預金部運用資金の運用方法によつても、この程度のものはくふうによつて出し得るのではないかというよう考えております。
  107. 立花敏男

    立花委員 ところがその預金部運用資金を出さないわけなんです。それはどこに原因があるとお考えになりますか。その問題がおわかりになつて御答弁できないと、しようがないと思う。なんぼ数字を並べましても、ここに金があるじやないかということを——あなたが言われるように、私どもも預金部資金が余つておるということをちやんと知つております。預金部資金が余つておるということを国会への政府の予算の報告書にちやんと書いてあります。これがなぜ出せないのかということを問題にする必要があると思う。これは全国民が不満だし、わからない。なぜこれが使えないのかということをはつきりする必要がある。これが問題の核心だと思う。これは補助金の問題も、地方起債の問題も、あるいは平衡交付金の問題も、ここに問題が集中されないと困る。これを奥歯にものがはさまつたり、こわいものにさわらないようにして、この問題をほつといては解決できない。だからこれについてどうお考えであるか、はつきりしてもらいたい。
  108. 木村清司

    ○木村(清)説明員 当財政委員会の見解といたしましては、この程度あるいは他の方の支出を減らしてもくふうし、あるいは市場の資金も一部公募ということを認めていただくことが至当ではなかろうかというふうに考えております。
  109. 立花敏男

    立花委員 もつと具体的に承りたい。大分はつきりいたしましたのですが、どの費用をどのように切り詰めたらいいというふうにお考えなのか、お聞かせ願いたいと思います。
  110. 木村清司

    ○木村(清)説明員 その点について、実は具体的には意見がありませんが、私どもの方の地方債というものは重要であるということをぜひ認識していただいて、くふうあんばいしてほしいということを要求しておるわけであります。
  111. 立花敏男

    立花委員 私その問題は、要求される方でもやはりはつきり持つてつていただきたいと思います。その点をごまかしておきますと、この問題は解決しない。まわせませんと言われれば、はい、そうですがと言うよりしようがないので、これはまわせるじやないか、なぜまわさないのかというところまで追究しないと問題は解決しない。問題が解決しないということは、今までの例で明らかだ。何回も地方財政委員会はこういう要求をお出しになつたが、その都度だめだつたでしよう。その問題をほおかむりしているから問題は解決しない。この問題をほおかむりしておつたら、おそらく今度だつて解決しないと思う。結局客観的な見解といたしましては、地方財政委員会は、地方自治体の要求をごまかしている。通すような顔をしていながら通さない。何となれば痛いところをつかない。だから地方財政委員会は、ほんとうに地方の知事の要求を入れて、地方生活地方財政の破綻の状況を真剣に解決してやろうと思えば、どこそこに金が余つているじやないか、この金がまわせないはずはないじやないかというところまで、はつきり言う必要があると思う。そういう観点に立つて、どういうお考えをお持ちか。これは大村委員長に御意見がないようでしたら、小野さんからでも伺いたいと思う。とにかく地方財政責任者としましては、その問題をほおかむりして問題は解決しない。ほおかむりして地方の要求を取上げたような顔をしても、それはごまかしだと思いますので、はつきりこの際お答え願いたい。
  112. 小野哲

    ○小野(哲)説明員 私も木村委員と大体同じ意見でございます。
  113. 立花敏男

    立花委員 今の御答弁まことにあれで、そういうことだから結局はごまかしだと思うのです。結局政府は大蔵省にけられたから、はいさようですか……、問題にならないのです。だからその点はやはり全部の国民の問題であり、全自治体の問題である。午前中も知事さんがここに来られて、あれだけ言つておられるのだから、よほど真剣に取上げていただきたいと思います。そういう返答をするような態度でなしに、真剣に取上げていただきたい。それを取上げる勇気がないのなら、おやめになつた方がいいだろうと思う。やめた方が地方もつはつきりしていいだろうと思います。だからこの問題は真剣に取上げていただきたいと思う。私どもがいただいております予算の何を見ましても、これは政府が出しました二十六年度予算の説明書ですが、来年度への繰越金が二十六年度で四百三十億、明らかにあります。来年度への繰越分はどこで使うという当てのない金なのです。こんなものがありますのに、なぜここに要求なさつておるわずか二百五十五億くらいの金が出せないのか。これは遊んでおる金だといつてもいいわけです。それだけではありません。政府はそのほかに二千億以上の金をたくさん余しておるわけです。これは二十個師団の軍隊をつくるのに、必要なのかどうかしりませんが、そういうことをはつきりと問題にしないと、問題は解決しないということなのです。だからこの予算書だけを一つ見ましても、四百三十億の翌年度の繰越金はなぜ出せないのだ。どこで使う目当なのか。なぜこんなものを予備金として繰越しとして置いておいて二百五十五億は出せないのだということを、はつきりなさる必要があると思いますが、委員長はそれをはつきりなさるお考えがあるのかどうか、最後にひとつ委員長の腹を聞いておきたい。
  114. 木村清司

    ○木村(清)説明員 その点は内閣でおきめになる事項でありまして、私どもは私ども立場から見て、ぜひいるということで要求しておる次第であります。
  115. 立花敏男

    立花委員 どうもやろうという気がないらしいのですが、困つたことだと思います。  ほかの問題を聞きます。税制懇談会の問題でありますが、税金の問題とか、地方税の問題とか、そういうものにつきましては、地方財政委員会があるのですから、特別にあんなわけのわからぬものを——税制懇談会はわけのわからないものだと思いますが、あんなものをなぜ地方財政委員会はお認めなつたのですか。あんなものをつくることになぜ反対されないのか。地方税の問題で、地方財政委員会がありながら、あんなものをなぜお認めになつておるのか。官僚の人はなわ張り争いが好きなのですが、これは明らかにあなた達のなわ張りが侵されておると思う。重大な問題でなわ張りが侵されておると思う。しかも藤田君が言つたように、シヤウプ勧告がひつくり返つたような案を出して来ておるのですが、この問題に対しで黙つて見ておる。小野さんの意見を聞いておりますと、向うが何を出して来るか、待つておるのだと言うのですが、そんな態度ではたして責任が果されるか。あれは一体どういうものですか。税制懇談会というのを、一体どういうふうにお考えになつておるか。
  116. 木村清司

    ○木村(清)説明員 その問題は直接お答えするわけには行きません。お答えする必要がないと思いますが、当地方財政委員会といたしましては、すでに適当な機会に、この税制懇談会の意見に対しまして、当委員会としての意見を決定いたしまして、税制懇談会にも申し入れてあります。地方財政委員会としては、かくあるべしという地方税に関する意見は申し入れてあります。
  117. 立花敏男

    立花委員 何で地方財政委員会は税制懇談会に申入れをしなければならないか。あんなものはどこの長屋の裏にもあるものと同じものであります。法制上権利もないあんなものを、だれがつくつたか知らないが地方財政委員会が申入れをする必要はないと思います。しかもああいうものが、客観的には地方財政委員会を踏みつけて、地方財政委員会の今までやつて来た努力を踏みにじるようなことをやつておるのだから、そういう問題は当然大きい問題にしなければいけませんので、かかる問題もほおかむりしておつてはいけないと思う。だから木村委員がほんとうに地方財政委員会の使命をお感じになり、その責任をお感じになるならば、あんなえたいの知れないものが出て来て、えたいの知れない案を出して来ることに対しましては、やはり根本的に究明すべきだし、究明する必要があると思うのですが、そういうお考えをお持ちにならないのですか。
  118. 木村清司

    ○木村(清)説明員 政府の方で、どういう形式で、またどういう手続で、そういうものをお設けになるかということに関する批判は、個人としてはいろいろあると思うのですが、当地方財政委員会としては、格別批判はいたしません。ただし実質的に相当政府部内において有力であるおそれ——おそれと申しますか、有力であるように思われますから、われわれの意見があまりに間違つて行われないように、われわれの意見は申し入れて、なるべくわれわれの意見に沿うようにしていただきたいというように思つて努力しております。
  119. 立花敏男

    立花委員 ワン・マンだ、ワン・マンだといわれておりますけれども、政府機構全体がワン・マンの個人的なものになろうとしているわけであります。あれはもう法制上も職制上も何もないもので、委員長自身が、あれは非公式なものだというようなことをいつておるくらいなんで、ほんとうにああいうものが、あなたの言われるように、政府部内に大きな力があるというようなこと自体がおかしい。だからやはり正式の機関である地方財政委員会は当然、あれの性格なり、あれの出して来る案に対して、徹底的な批判をなさるのが、責任上ほんとうにやらなければならぬことだと思う。あれが出て参りまして、どれだけ地方が混乱しておるかわからない。国民の頭がどれだけ混乱されておるかわからない。それをあなたたちが、あれは力があるものだから皆認めて行こうというのでは、まつたくめちやくちやなんです。政府機関自体が私有化されておる。個人の私有物のような感じがして来るのです。これでは日本国民は納得できませんので、この点はひとつ徹底的にあなたの責任において究明していただきたいと思う。  それから、やつこさんたちの出して参りました案の内容ですが、これはさいぜん藤田君も触れておりましたように、本質的に申しますと、地方の税制を今度は中央集権的に改めるのだということを、新聞の発表までやつております。こうなつて参りますと、とんでもないことなんで、地方税の中央集権化ということを公然と言つているわけだし、個々の案の内容を見ましてもそうなつておるのですが、この問題をどうお考えなのか。私個々の問題は聞きませんが、今度は地方税を中央集権化するのだ、その結果として入場税、遊興飲食税を国税にする。あるいは市町村の税金である固定資産税を県税にするというようなことが、はつきり具体的に出て来ておるわけです。この地方税の中央集権化という根本的なやつらの考え方に対して、どうお考えなのか。
  120. 木村清司

    ○木村(清)説明員 私としては大体税法のおよその建前は、現行税法の方がよろしいと考えております。ただ課税標準は、似たものは少くとも同一にした方がよかろう、いたずらに国民に類似なもので迷惑をかけるという点が多多あるように思われますから、その点において是正すべきものは是正することについては同意見であります。たとえば事業税の課税標準の利益の点を、国税の所得税の事業所得における利益によるというようなことは、これは自他ともに便宜とするところではなかろうかというよう考えて、それには同調しておる次第であります。原則的に全部中央集権的にやるべきものであるとは考えておりませんけれども、課税標準を単純化して、一方できめたものは一方によるということは、実は日本国民全部の利益ではなかろうかというよう考えておる次第であります。
  121. 立花敏男

    立花委員 小野さんにお聞きいたしますが、これもやはり地方税制懇談会が行政機構改革の問題を出して来ておるわけであります。この中に地方議員の数を半分にするという意見があるのですが、こういう問題を含めまして、地方税制懇談会の出しておる地方行政の改革案、これは今申しました税制の改革案が裏づけしておる地方行政の根本的な改革案なんですが、この方針のこまかい点は、なおあとからお聞きいたしますが、一般的な方針をどういうように御認識になるか、どういうようなお考えを持つておるか、聞かせていただきたい。
  122. 小野哲

    ○小野(哲)説明員 地方税制の改正につきましては、いろいろと意見が出ておりますことは御承知通りで、また木村委員からもお答えがあつたわけであります。地方制度の問題につきましても、これは一面、地方行政調査委員会議からの勧告もあるわけでありまして、将来なお今朝御質問がありましたような点についても、地方行政調査委員会議から勧告が出るものと、私どもは思つておるわけであります。税制懇談会において税制の改革を論議されるにつれて、あるいは行政機構の問題であるとか、そういう点についても、自然に触れて来ることも予想にかたくないわけであります。ただしかしさような意見が出ておるからといつて、それがただちに政府の意見として、あるいはまた国会において法律その他の御審議願うことになるというわけでもないのでありまして、政府としても中央における行政機構の問題に検討を加えたいという考えも持つておりますから、自然それと関連した地方制度の問題にも触れて来るわけでありますので、従つて税制懇談会において、こういう問題が取上げられておるから、それがただちに政府の意見として実現されて来るということには、必ずしもなるまいというふうに私は考えておる次第であります。
  123. 立花敏男

    立花委員 非常に楽観的なお考えなんですが、そういうお考えをなさつているから足元からくずれて参りますので、きようの朝日新聞のトツプの、地方行政機構改革の案をごらんになりましたか。
  124. 小野哲

    ○小野(哲)説明員 私は新聞を毎日見ておりますので、けさもその新聞の問題で御質問があつたのでお答えしたわけでありますが、新聞が一体どういう方面から取材して書いておりますか、私責任つてお答えする必要はなかろうと思います。ただ政令審査委員会等においては、行政機構の問題を取上げられておるということは事実であります。ただし税制懇談会においては、国と地方における税制の問題が主たる論議の対象になつておるわけでありまして、今日の新聞に出ておりますことが、はたしてどの程度まとまつた意見であるかどうか。これは私としては十分に、ここであれが結論的な政府に対する申入れの案であるということは言うだけの確信は持つておりません。
  125. 立花敏男

    立花委員 けさの朝日新聞の記事は、どこの案だとお考えになりましたか。
  126. 小野哲

    ○小野(哲)説明員 とにかくそれは新聞が書いたわけでありまして、私が書いたわけではありませんので、それに対して御答弁を申し上げる必要はないと思います。
  127. 立花敏男

    立花委員 あまりごまかさぬ方がよいと思います。やはり読んでなかつたらなかつたで、簡単に言つていただけばよいので、あれはあなたに重大な関係のある、あなたの政府内部から出た意見なのであります。税制懇談会のような政府内部の機関ではない、わけのわからぬようなところから出たのではなしに、地方行政調査委員会議の正式な意見として発表されておつた。それがうそだと言えば別問題でありますが、あなたの身内である政府内部の機関である地方行政調査委員会議の最後の勧告として出ておるのであります。まあひとつこれは勉強しておいてください。そういう問題がはつきり出て参りまして、その内容が、しかも前々から私たちが心配しておりました税制懇談会の地方行政機構改革案そつくりのものが出て来ておるのです。だから問題なのであります。だからそんなものはまだ政府に出して来ても、政府が処理できるのだといつておる間に、それが政府機関の意見として堂々と発表されて来ておる。しかもそれが地方自治の完全な蹂躪であり、今まであなた方が努力されて来たものと逆行した形で出て来ておる。ここに私は問題があると思う。そういう根本問題をどうしてもほおかむりで過こすのではなく、どういうところからこういう地方自治——憲法にもうたわれました地方自治、そうしてまたそれを裏づける地方財政の確立、こういうものがどこからくずれて来ておるか、その根本的原因は、それはくずすための機関がどういう形で、どういう活動をしておるかということも、やはりはつきり調べておいていただかないと、あなた方に地方自治を守り、地方財政を守つてつていただく何がなくなると思います。だからこの税制懇談会が出して参りました地方行政の改革につきまして、やはりもつと深く御認識願いたい。その一つを取上げますと、地方議員の数を半にするとか、あるいは教育委員を任命制にするとか、公安委員会を廃止するとか、そういう重大なる地方自治と逆行する面が非常に多く出ております。そんなものはまだ知らないんだ、それは何とかなるんじやないだろうか、そういうあいまいな考え方でなくもつはつきりしたお考えで御対処願いたいと思います。この問題は次の機会でもけつこうでありますから、税制懇談会が出す地方改革案のようなものに対して、自治庁としてどういうお考えでありますか、ひとつはつきり御答弁願えるように御勉強願いたいと思います。あまりこれをお尋ねしてもあいまいな返答なので、これはこのくらいにしておきます。
  128. 床次徳二

    ○床次委員 簡単に二点ばかりお尋ねいたします。第一はこの委員会におきましても昨年以来地方財政の確立のために非常に努力して、平衡交付金あるいは税制問題について審議しておるのでありますが、政府においてはいろいろ説明せられました事柄が、現実になつて参りますと、非常に当初の目的と違つて来ておる。先ほどお話がありましたように、平衡交付金のごときも、必要と認められる額が与えられていない。あるいは地方財政委員会と大蔵省の意見の差異ということもありましようが、現実においては地方が非常に疲弊しておつて、今日においても財政的窮迫に立至つておるということは争えない事実であると思います。かような事実が今日出ておるということに対して、遺憾ながら私は地方財政委員会あるいは自治庁などの意見が十分政府においては反映しないのではないかということを恐れておるのであります。今日地方の問題に限らず、中央においても行政機構の整備その他の問題が論ぜられております。結局無力なものは整理されるということになるのではないかと思います。木村さんは委員として非常な重責におられるのでありますが、今日まで地方財政委員会が働かれた方向というものは完全に無視されたに近いのではないかと思います。本日提示されました資料等によりまして、来るべき平衡交付金の増額について十分善処されることとは思うのでありますが、今日までの実績から見まして、さらに今後を予想しまして、これには本質的の欠陥があるのではないか、地方財政委員会が意見を述べられましても、これが地方の行政のあり方の中に反映しないということがあるのではないかと思いますが、これは行政機構の簡素化、その他の見地から見まして地方財政委員会ではいかようなお考えを持つておられるか、また自治庁においてもこれに対する御所見があつたらお伺いいたします。  第二の点は、今年度の平衡交付金の問題であります。さきに当委員会におきまして、本年度の暫定措置について決議いたしました。一応本年度の暫定措置につきましては地方財政委員会におまかせするが、しかしあの決定については法律にかわります以上、十分共同研究のもとに当委員会の了解を得まして実施していただくようにお願いしておるので、大分時間的に差迫つておるのでありまして、すでに御成案も出ておると思うのでありますが、この点に関しては、なるべく早い時期においてお示しを願つて、たとえばわずかな不足の平衡交付金だと思いますが、その額が少いだけに配分が公平当を得ていなければいかぬということを私は信じております。一面においては平衡交付金の増額に対してできるだけ努力をすると同時に、その配分を公平にいたしたいというのが、私ども考え方であります。どうかひとつぜひこの点について、御説明がいただきたいと思うのであります。  なお先ほど警察費の問題についてお話がありましたが、警察費のいわゆる節約というか、国警移管による残額の配分等についても、これは同時にすでにお考えになつておると思うのであります。地方の財政の独立のために、できる限り有益に使用するように、当委員会においても声明せられておるのでありますが、大体のお考えがありましたならば、これもまたなるべく早い時期に平衡交付金の配分方法の一環として、ひとつ御説明をしていただくようにお願いしておる次第であります。以上二点についてお尋ねいたします。
  129. 木村清司

    ○木村(清)説明員 第二点につきましては、なるべく御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。  第一点につきましては、たいへんむずかしい問題だと私は思つております。地方財政委員会を代表してお答えするようなこともできかねると私は思います。但しなかなか地方団体というものが、国会や政府部内に発言力が弱いという点もあるのではなかろうかと思うのであります。私ども地方財政委員会は実は地方団体を基盤として構成されておるというのが、地方財政委員会の構成の特色であるわけであります。従いまして地方財政委員会委員個人々々としての優劣というようなことはもちろんでありましようが、基本的にはやはり地方団体自身の上に立つた団体というところに、非常に意味があるのだと思つておるのであります。従つて、つまり地方団体自身の有する国政に対する政治力というものの中に、われわれ自身の基盤があるのじやなかろうかと思う。その点で私ども自身の力が非常に足りなかつたというものもありましよう。逆に言えば地方団体の中央政府に対する政治力が弱いということにもなるのじやなかろうか、これは私の個人的意見であります。要するに地方財政委員会というものが、地方団体を基盤として構成されておるところに特色がある。その特色の意味が十分発揮されておらないのじやないか。これはいずれの罪になるかということは、私が批判する立場ではないという気がいたします。但しこれは私個人の意見でありますから御了承を願いたいと思います。
  130. 小野哲

    ○小野(哲)説明員 地方財政委員会の運営につきましての御質問でありますが、木村さんから今その立場の御意見があつたわけであります。地方自治庁の立場においては、地方財政委員会地方公共団体を基盤として成り立つておる機関であるという点に十分思いをいたしまして、その御意見等については十分これを尊重して、政府に反映するように努力して行くという点が一つの役割ではないか、かように思つておりますので、ただいま床次さんが言われました御好意ある御注意に対しましては、十分にその御趣旨に沿うように一層努力して参りたいと考えております。
  131. 藤田義光

    ○藤田委員 これは質問じやありませんが、委員会の運営に関してお願いがございます。実は五月二十八日と記憶しますが、地方財政委員会のいわゆる財政白書が出ております。それに前後して大蔵省の地方財政の問題点という見解が発表され、それに対する地財委の意見も出ておりますので、十六日から臨時国会が召集されます機会に、大蔵省の主計局関係と地方財政委員会関係の方に当委員会に御出席願いまして、非常に緊急を要する問題でありますから、この委員会の席上を拝借して忌憚のない意見の開陳を求めたい。ぜひとも十六日ごろ当委員会を開いていただきまして、問題の核心をつくような機会をつくることが、全国民要望に沿うゆえんではないかというふうに考えております。これは単なる両官庁の意見の相違とか何とかいう問題よりも、もう少し深刻な緊急を要する問題であります。それから先ほど床次委員から質問がありました地財委の事務局の案も、そのころには大体できるというふうな非公式のお話もありますので、その際その草案についてもお話を願うということで、ぜひとも委員長においてさようはからつていただきたい。
  132. 前尾繁三郎

    前尾委員長 今度の臨時国会中に、そういう機会をぜひ持ちたいと思つておりますが、これはあとでよく相談してきめたいと思つております。
  133. 藤田義光

    ○藤田委員 その点に関しては参議院の地方行政委員会が連日真剣な審議をやつております。衆議院の委員会に対する批判もございます。ぜひとも会期中に開くことが、委員の出席率もよろしいし、ぜひともさようとりはからつていただきたい。
  134. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十分散会