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1951-05-17 第10回国会 衆議院 地方行政委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月十七日(木曜日)     午後三時三分開議  出席委員    委員長 前尾繁三郎君    理事 河原伊三郎君 理事 野村專太郎君    理事 龍野喜一郎君 理事 藤田 義光君    理事 門司  亮君       池見 茂隆君    大泉 寛三君       門脇勝太郎君    床次 徳二君       山手 滿男君    久保田鶴松君       梨木作次郎君  出席政府委員         国家地方警察本         部長官     斎藤  昇君     ————————————— 五月十七日  委員池田峯雄君及び砂間一良辞任につき、そ  の補欠として中西伊之助君及び立花敏男君が議  長の指名委員に選任された。 同 日  委員立花敏男辞任につき、その補欠として梨  木作次郎君が議長の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  公述人選定に関する件  警察法の一部を改正する法律案内閣提出第一  四二号)     —————————————
  2. 前尾繁三郎

    前尾委員長 これより会議開きます。  前回に引続き警察法の一部を改正する法律案を議題として質疑を続行いたしたいと思いますが、その前に公述人選定に関し、この際お諮りいたしたいと思います。  すなわち本委員会において明日午前十時より警察法の一部を改正する法律について、公聽会を開くことになつておりますので、その公述人選定いたしたいと思いますが、種々協議いたしました結果、次の方々公述人として意見を開くことにいたしたいと思います。  すなわち弁護士古井喜實君、前崎玉県公安委員長板谷幸太郎君、東大教授宮沢義俊君、横沢市公安委員近藤桂司君、東京都議会議員梅津四郎君、日本労働組合総評会常任幹事塩谷信雄君、大阪警視総監鈴木榮二君、一般の方から坂口三郎君、小田島順次郎君、以上の方々公述人として意見を聽取することにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 前尾繁三郎

    前尾委員長 御異議なしと認め、さよう決します。     —————————————
  4. 前尾繁三郎

    前尾委員長 これより警察法の一部を改正する法律案について質疑を続行いたします。床次徳二君。
  5. 床次徳二

    床次委員 それでは前回に引続いて一部質問を申し上げたいと思うのですが、第一に研究いたしたいのは警察費用の問題であります。  今日地方警察国家警察と両方にわかれておりまするが、実は自治体警察に関しましては、平衝交付金によつて警察費支出が行われておりまする関係上、はたして幾ら警察費を国において持つているかということが、明瞭でないのでありまするが、一応の資料といたしましては、平衝交付金単位費用警察費に対する支出において、大体予想されておるのでありますが、今日の單位費用に計上されましたところの自治体警察経費と、実際に自治体支出しておりまする経費と、相当開きがあるように考えますが、この開きが実は自治体として非常に苦痛を感ずるゆえんであると思います。自治体警察を順調に発展せしむるにためには、かかる費用差額をなくすことが、今日急務であろうと思うのでありますが、政府委員より大体今日の單位費用幾らか、また実際の費用幾らなつているかという実情と並びにその差額に対しまして、いかような考え方を持つておられるか、承りたいと思います。
  6. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 自治体警察を維持いたしますために、平衡交付金をできるだけ増額いたしますることは、自治体警察の健全な発達上、必要不可欠なことだと考えております。われわれの方におきましても、大蔵省並びに地方財政委員会の方に、その趣を大分申し入れまして努力をいたしておるのでございますが、二十五年度におきましては、一人当り單位費用が平均十六万二千五百円ということに相なつております。実際について調べてみますと、市町村警察の全体の総費用を総人員で割りましたものが、十九万二千円と覚えておりますが、この十六万二千五百円の地方財政委員会における基準も、市町村警察の規模によりまして若干開きがあるのであります。小さな自治体警察におきましては、たしか十八万円まで單位費用として計算をしているように思います。大都市警察におきましては、その費用がもつと少いということになつております。大阪管区における実情におきましては十八万円、十六万円、十四万円というぐあいに差別を設けて、実際の場合の財政需要算定をしておる、こういう実情に相なつております。
  7. 床次徳二

    床次委員 今後政府が予想しておりまするところの都市における自治体警察單位費用は、しからば当局としては幾らぐらいあればよろしいというふうに見ておられるか承りたいと思います。
  8. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 私は実際におきましては、やはり二十万円近くは必要であろう、かように考えております。
  9. 床次徳二

    床次委員 実際各自治団体様子を見ておりますと、側面からありました後援会が一応廃止をせられましたが、なおその他の形において相当警察費負担があるのだと思います。ただいま御答弁がありましたように、少くとも今日の時代において二十万円以上のものは、自治体警察費用として必要だと思うのでありますが、今日のような平衡交付金が少いために單位費用が小さく与えられるということになりましたならば、私はこのために自治体警察の育成というものができないのじやないかということを考えるのであります。今回の改正法によりましては、直接には自治体警察影響がないようでありますが、人民投票によつて自治体警察を維持するかしないかということを、決定させるという場合にありましては、この自治体警察に対する單位費用が少いということは、重大なる影響を及ぼすものだと思う。これを安く下げたままにして人民意見を聞くことは、はなはだ当を得ないものだと思うのであります。少くとも今後の自治体警察を維持せしめる分に対しましては、所要額経費だけは当然計上すべきだと思うのであります。これに対して当局はいかようなお考えを持つておられるか。今回弱小の自治体警察がなくなりました場合におきまして、平衡交付金等の余裕ができるならば、むしろその節約額と申しますか、その額をもつて他の残りました自治体警察單位費用の増額に充てるということを、この際はつきり確約されることが必要じやないか。なお国家警察において必要なものは、別個に追加予算でこれをとるというような予算措置が必要だと思うのでありますが、これに対してどの程度のことを当局において考えておられるか、承りたいと思います。
  10. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 先ほども申しました通り、今後もさらにわれわれだけでなくて、むしろ自治体警察人たちを先頭に立てまして、目的の貫徹をいたしたいと考えております。このたびの警察法改正におきまして、町村警察廃止いたしました場合におきましては、それだけ平衡交付金が全体として減じるわけでありまするから、その地域国家地方警察がかわつて行いますために要する警察費は、平衡交付金の一部をさいて、そうして直接国費として用いるという最初大蔵当局意見もあり、われわれといたしましても、りくつとしてはまことにその通りでやむを得ないと考えておりました。その後大蔵当局におきましても、非常にその点について理解をせられまして、町村警察廃止になりましても、平衡交付金は減少しないという建前から、平衡交付金から移用するという規定を削除いたしまして、平衡交付金は減らさたいということだけは、はつきりせられた次第であります。この分は平衡交付金全体のわくとして他の方にまわることと考えまするけれども、警察財政需要平衡交付金算定基準において、あまり少く見積られております実情にかんがみまして、これを警察費財政需要見方の増加の方に持つて行けまするように、大蔵当局及び地方財政委員会ともさらに交渉を続けたいと思います。
  11. 床次徳二

    床次委員 ただいまの御答弁によりまして、政府委員のお考えはわかつたのでありますが、自治体警察單位費用を増額せずして、今回警察法改正案を出されたということに対しては、先般来総裁初めいろいろな方から御答弁になりましたが、委員からの意見にもちろん同感の意を表しておられるようでありますが、しかし実際において單位費用が増額されなければ、自治体警察に対してこれを理解して、自治体警察の長所を尊重しておるというふうには、どうしても見られないのでありまして、その点についてはどうも片手落ちだという感を私たちは免れない。口の上ではいかにも自治体警察を尊重しているとおつしやいますが、その実が上らなければ、自治体警察に対して非常な差別待遇をしておる、むしろ圧迫をしているのだということを私たちは感ずるのであります。この点はよくひとつお考えおきを願いたいと思う。  次に承りたいのは、今回地方行政事務の、再配分の問題が出ておりますが、警察事務に対していかようなお考え警察当局として持つておられるか、承りたいのであります。行政調査委員会議の報告の中には、国家警察については国家負担するということは入つておるようでありますが、この国家警察というのは国家的警察事務という考え方で書いておられるのだと思うのです。従つて現在の自治体警察の中には、いわゆる国家警察に入るものもあり、また元来のいわゆる自治体警察事務と両方あるのだと思いますが、行政事務配分という立場から見まして、費用負担のぐあいはいかように将来持つて行かれるお考えであるか、当局の御意見を承りたいと思います。
  12. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 警察事務の国と自治体とにおける再配分見地から、事務自身を再配分できないといたしましても、費用負担において何らか考えることはないかという御質問かと存じます。大体警察仕事国家的事務であるか、あるいは地方自治団体固有事務であるかという問題は、非常にむずかしい問題だと考えます。ある見方によりましては、あるいは観念論ということに相なるかとも考えます。要は警察仕事の中にもいろいろありますけれども、国家の存在あるいは存立、国としての必要性というものと、それから地方団体をつくつているその住民から見た必要性というものから判断すべきものであろうと考えます。かように考えますと、警察事務国家的な事務でありますると同時に、また地方的な事務でもある、かように申し上げるよりほかないのじやないかと考えるのであります。一つ事件をとらえましても、たとえば殺人犯人をつかまえるのは、これは地方的事務であるか、国家的事務であるか。おそらく普通の殺人犯人をとらえるということは、これは互いに集団生活をしておるということだけから来る、安寧秩序を維持するという意味からいえば、地方的事務であるかもしれないが、非常に国の重要な人たちの暗殺ということに相なりますと、これは見方によりましては、国家的に非常に重大な事柄であり、これは国家的な事務であるというように考えなければならないかもしれないのであります。また次から次へと殺人事件が起きて、そして非常に広い範囲において国全体が不安になるという場合には、やはりこれも国家的というように言わなければならないかもしれません。しかしながら自然犯的な犯罪でなくて、特に法律である事柄をきめ、それに違反した場合に処罰されるという、この法律執行につきましては、これはおそらくその法律執行する責任は国が持つている。すなわち議会で議決をし、それを執行するという場合、その責任は国であるわけでありますから、これを確保するのは国、従つてその警察事務は国の事務、こう見なければならぬであろうと考えます。しかし警察事務をそれじやはつきりと地方事務、国の事務、こうわけられるかと申しますと、先ほど殺人事件について例を申し上げましたが、これはきわめてむずかしい。従つて費用負担をどういうようにするのが望ましいかというのも、これは常識的に考えるよりないのじやないか。かつての府県警察の際におきましては、半額国庫負担半額は県の負担ということに相なつておりましたが、まあその辺が大体いいところではないか、かように考えます。しかしながら、今日の地方財政あり方は、その各費目ごと財政を国と地方でどう負担するかということを見るのでなくて、その自治団体財政能力というものと、そこの財政需要というものをにらみ合せて、そうして不足の分を平衡交付金支出をする。そうして平衡交付金を含めました自治団体の総歳入をどういうふうに支出するかということは、自治団体のまつたく自由であるという立て方、この立て方がとられておりまする以上は、明確に平衡交付金の中におきまして半額国費で持つ、半額地方費で持つという建て方にいたしましても、実際使用されまする際には、どういうようにそれだけを各自治団体において、その費用に充てるかどうかということが保障されないわけでありまするから、そういう面から申しますると、今日の平衡交付金制度というもの自身も再検討を要するのではないか。平衡交付金にはそれ自身の持つよさ、今日の地方自治地方分権という見地から見ました地方財政あり方というものにも理由があろうと考えられますので、これらの点は單に警察だけの見地から判断するわけにも参らないだろうと思います。
  13. 床次徳二

    床次委員 ただいま御答弁がありましたが、平衡交付金に対する考え方は、一応もつとものようでありますが、今後の地方行政におきまして、行政事務を再配分いたしまして、そうしてそれにふさわしい財源を与えながら、地方財政考えて行くということを考えますると、やはり警察そのものに対しましても、この事務をいかように分担するかということは、はつきりと考えていただく必要があるのであります。われわれも考えなければなりませんが、当局としましても、この点は明確にしておいていただかないと、今後において処理が非常に困るということを、この際申し上げたいのであります。なおかような実情でありまするので、今日の自治体警察と、それから国家地方警察との場合を比べてみますると、国家地方警察になりまするならば、地方自治団体が全然費用負担しないという形になるわけであります。ただいまのお話にありましたごとく、警察の中に一部は自治体固有費用負担義務があるかもしれぬというお考えだと思うのでありますが、国家地方警察に移管してしまいますると、その地方団体は全然警察に対して負担がないという結果になる。ところが自治体警察を残しておるところに対しましては、今日少くとも計数上から見まして、実際に十九万円かかるのが十六万円しかない、少くとも一人当り三万円ほどのマイナスをしよつているということが言えるのでありまして、これでははなはだ不公平だと思うのであります。この不公平を一日も早く是正するということが、今日とりあえず警察法改正において大きな問題だと思います。これが是正されなければ、いかにも不公平なままでもつて今後進んで行くということを私はおそれるのであります。とにかく国家地方警察になりましたならば、政府の方はその場合には一人当り相当多額経費支出されるということになるのでありまして、政府としては金がないわけじやないのですが、ここに一つ問題があると私は思う。その点で先ほど申し上げましたように、この際はむしろ警察費必要経費だけは完全にカバーできるだけのものを、平衡交付金において出すという建前を今日はとるべきじやないか、私はそういうふうに考えるのであります。政府においては善処していただくということになりまするが、この点は地方自治団体としては、もう焦眉の問題でありまして、こういう警察法改正機会等におきまして、はつきりとした財源確保を私どもは講じたいというのが、先ほどからいろいろ申し上げる点でありまして、特別にこれは当局においても考えていただきたいと思います。  それから次に伺いたいことは、今日までしばしば論ぜられましたが、国家地方警察におきましては、中央との連絡が非常に緊密である。自治体警察におきましては、自治体警察の特色かと思いまするが、しかしこれの連絡協調というものが足らぬというところに、大きな欠陷があるということを指摘せられております。今回の改正法におきましては、自治体警察国家地方警察との連絡協調というものを、情報連絡あるいは援助義務という形において、一応解決しておられるのであります。しかし全般の国家治安という立場から見まして、何らその間に両者連絡提携をはかる、協調をはかるということには考慮が払われておらないのであります。まつたく縦割になつておる。しかしこれでは自治体警察欠陷というものが、救いがたいのではないかと思う。末端において救われたという形では、本質的に警察治安確保という立場から申しますると、なお遺憾の点が残る。やはり自治体警察に対しましても、よく連絡をはかる——指揮とは申しませんが、連絡をはかるところの機関があることが必要ではないか。過般も意見が出ましたが、たとえば国家消防庁のごとき、国家地方警察あるいは自治体警察ということにとらわれない、いわゆる治安という立場において連絡をするところの機関が必要ではないかと思うのでありますが、この点に対しまして、当局はいかように考えておられるか承りたいと思います。
  14. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 治安の面からいたしまする自治体警察国家地方警察連絡につきましては、ただいま、末端においては今度の改正によつてよくなるであろうが、上の方においてはたしてどうかというお尋ねだと思うのであります。この自治体警察のいわゆる行政管理面におきまする問題につきましては、ただいまお述べのように消防について消防庁がありますがごとく、また自治体側におきましても、現在は自治体警察連合会等運営をいたしておりまするが、これをさらに伸ばして行くということが、私は非常に必要なことではないかと考えております。運営の面におきましては、これは絶えず自治体国家地方警察、あるいは自治体にいたしましても、近い地域のものがお互い連絡し合うということが、最も必要なことでありまして、自治体同士運営面において連絡し合うというよりは、むしろ自治体国警とがずつと基礎面から連絡をし合つておりませんと、自治体自治体連絡をし、国警国警連絡し、上の方で連絡をするということでは、運営面が迅速に行かないのであります。従いまして今日の警察法におきましても、自治体警察国家地方警察連絡責任は、府県警察隊長が負うように定めておりますが、この線を中心といたしまして、しかし現実の問題といたしましては、大都市自治体警察長は、そこの管区本部長あるいは警察隊長と直接一々連絡をとる。また大都市警察部長の集まります際には、国家地方警察管区本部長なりあるいは本部部長、あるいは長官等も一緒に出て協議をするというようにいたしております。これは事実問題といたしまして適切なる運営面連絡をはかつておるような次第であります。今後もこの連絡を密にいたして参りたいと考える次第であります。
  15. 床次徳二

    床次委員 ただいま御答弁もありましたが、たとえば自治体警察のいわゆる連絡協議会というものが、すでに設けられておるということは、やはり自治体警察におきましても、ある程度までの連絡また協調という面が必要だという、その必要からこそ生じて参つたものと思う。今日警察法改正する場合にありましては、やはりこういう種類の必要に応じた改正を行うことが必要なんじやないか。今日やはり中央におきましても自治体警察協議会がありまするが、これを法制化と申しますか、正式に認めるところの代表機関というものを設けましたならば、むしろ国家地方警察の系統との連絡もうまく行くのではないかということを私感ずるのであります。政府自体においても、その点に対して、たとえば先刻以来問題となつておりまする二十條の二項に入つております、都道府県知事というものが、ここに新しくひつぱり出されて参りまして、治安の重大な案件に対しましては、特別な役割を果すようになつておる。この考え方を受けて参りますると、府県公安委員会でも処理できない、そうかといつて自治体警察に対しましては適出な者がおらぬのでやむを得ず、ここに都道府県知事というものが持ち出されて来たと推測されるのでありますが、むしろこういう取扱いをなさるよりも、自治体警察国家地方警察両者が互いに連絡協調することのできる機関を、初めから置いておかれることの方が、警察機能全体から申しまして、より能率的ではないかというように考えるのでありますが、これに対しての御意見を伺いたいと思います。特に国家的犯罪等に関しまして、国家公安委員会は一応国家地方警察を通じて知り得るのでありますが、自治体警察に関する限りは、国家公安委員もこれはわからぬという状態である。こういうことがあつたのでは、国家治安から申しましても適当でないと思いますから、自治体警察現状についても、国家地方警察両者立場を通じまして、国家治安という全体から見たところのはつきりした認識を持つ必要があるのじやないか、その上に立つて連絡提携ということも意味があろうと思いますが、こういうことをお考えにならなかつたかどうか承りたいのであります。
  16. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 確かにただいまお述べのような考え方で、自治体警察側からも提案があつたわけでございまして、お互いによくその案につきまして、研究をしく合つた次第でありますが、この一時を争います警察権執行につきまして、そういつた連絡協議会を開いて、そうしてそこで協議をする。協議がまとまりますれば、みなそれに従うというような行き方では間に合わないことが多いのではないかと思います。むしろわれわれの考えておりまするように、第二十條の二を必要とするような場合は、即刻解決を要するような問題でありまして、事が迅速にとりはこばれるということが、まず第一に必要である。かように考えましたときに、そこにいろいろな協議機関のようなものがありますると、かえつて実際の役に立たないと思います。今日の警察法一つの盲点を改正をしようと思つて、そういつた事柄にとらわれて、かえつて何の役にも立たないということであれば、むしろ改正さしてもつまらないというような結論に達しました。府県知事は、とにかく今日は警察権というものを持つていないにいたしましても、府県という自治体責任者でありますから、治安面につきましても無関心ではあり得ないのであります。また府県自体治安維持という権能は潜在的には持つておるはずでありますから、民主的に選ばれたその機関の長の判断によることが、一番適切な方法ではないかということで、ここに府県知事を持ち出した次第でありまして、法務総裁も述べられましたように、あるいは検事正の判断というものも、考えてみたことがあるのでありますが、府県知事が一番適当であるという結論に落ちついた次第であります。
  17. 床次徳二

    床次委員 実際の事務取扱いとしましては、府県知事を出して来るということも便宜はあると思うのでありますが、国家全体という立場考えてみますと、自治体警察に対しましての総合的な様子は、中央政府においてもわからないと思うのであります。やはり国家地方警察に今日中心がありますると同じように、自治体警察に対しましてもある程度連絡をして、自治体警察立場から、自治体警察範囲内の治安状況に対して、はつきりとした情報を持つているということが国家的に必要ではないかと思うのですが、今日その点に対して国家としてあまり不自由を感じておられないかどうか、現状についてお伺いします。
  18. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 お説のように、自治体警察の区域内における治安状況をよく知つているいとうことは、最も必要なことであります。今の警察法におきましても、非常事態の勧告を国家公安委員会がするという建前なつており、またその場合の統制の仕方、動かし方も普段から国家地方警察が立て、それに基いて訓練するようなことになつております関係からいたしまして、日常自治体警察における治安状況というものも絶えず知つておらなければ、そういつた責任が果せないわけであります。従いまして、自治体警察側からも、絶えずそういつた治安に関する必要な情報をいただいているわけでありまして、この点をさらに強化したいというので、このたびの改正に及んだような次第であります。しかしただいまの二十條の二のごとき場合は、自治体警察の区域内における全体の治安状況を絶えず把握しておるということはもちろん必要ではありまするが、実際事柄が起つてそれを処理しなければならぬという二十條の二のごとき場合におきましては、これは自治体警察の事情をよく知つている自治体の代表者と、国家地方警察の代表者とがよく話し合つてみなければ、その事態を処理すべきか、すべからざるかわからないというような問題ではないかと考えております。これは普段から自警、国警情報網との連絡等によつて、知り得ておる知識で十分であると考えます。必要があると考えますれば、ただちにその現場に人を派遣いたし、当該自治体から実情を聞くこともできれば、また自分みずからも調べることができるわけでありますから、今提案をいたしておりまするやり方で、十分効果があげられると思います。
  19. 床次徳二

    床次委員 次に、今回の改正によりまして定員が増加されまするが、増加せられました定員はいかように配置される御意向か、予定がありましたならば予定を承りたいと思います。
  20. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 ただいまといたしましては、この定員外に置き得まする警察官は、管区学校及び警察大学に入つておるものを定員外にするとするという考え方でありますから、現在の警察力の不足二万五千に対する五千の割合でふやすというのが、大体適当なやり方であろうと考えます。しかしながら、現在人員の不足によつて困つておりまする部面に相当厚薄がございまするので、それらの点を勘案いたしまして実際の配置をいたしたい、かように考えておる次第であります。従いまして、現在欠員になつておる駐在所でありますとか、また新たに設けなければならぬ駐在所、派出所というようなものに充てる部分も、この五千人の中から見て行かなければならい、かように考えておる次第であります。われわれ主眼を置きたいと考えておりますのは、実際の治安面において有効に働き得るように配置いたしたいということであります。
  21. 床次徳二

    床次委員 現在の治安状況から見まして、これが重点的に配置せられるということは、当然必要だと思います。むしろこの点に遺憾な、配置をしていただきたいと思うのですが、過般来、たとえば北海道等においては、非常に手薄であるというように説明しておられましたが、当然今度の定員増加におきましては、そういう足らぬところに、むしろ重点的にやられることが当然だろうと私は思つております。これははつきりとどういうところに置くのだということの説明がおできになるのじやないかと思うのでありますが、おさしつかえがなければお漏らしいただいた方が、警備態勢を強化する意味において必要だと思います。
  22. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 ただいまの計画といたしましては、普通の外勤の方面に二千余りを充てたい、これは駐在の新設あるいは現在の欠員の補充、また特別の警邏要員の増員に、二千人余りを充てたいと考えております。あとの三千人足らずは内勤でありますが、犯罪の捜査要員に大部分充てることになりますが、その約半数は犯罪の各種の情報要員に充てる、それから半数は犯罪の現実の捜査要員に充てる、かように考えております。地域的なものにつきましては、今こまかく検討中でございます。これは自治体警察廃止の部分とあわせて考えなければならぬ点もありますので、ただいま申し上げました案も、自治体警察廃止をせられて、国家地方警察に移管される分とあわせて考えまする際には、また若干の変更を来さなければならぬかと考えております。
  23. 床次徳二

    床次委員 従来の国家地方警察の職員の構成状態を見ますと、非常に幹部職員が多い。これはもとより国家地方警察の職分が、地方自治体警察と違いまして、かなり基本的のものがあることは当然でありますが、増員いたしました職員その他が、ますます本部に片寄つて来るというような傾向があつたのでは、ほんとうの警察力の強化にはならないではないか、いたずらに費用がふえるだけにとどまるのではないか、むしろその経費をもちまして装備を充実するという方が、警察力拡充という意味から申しましても、効果が上るのではないかと思うのでありますが、その人員構成等に関しまして、どのように考えておられるか、承りたいと思います。
  24. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 五千人の配分案としてただいま考えておりますのは、五千人のうち、国警本部に置きまするのは三十八名、管区本部には全国で百二十一人、管区の学校に三十四人、それから都道府県警察隊にあと全部をまわすわけでございますが、都道府県警察隊の本部に千八百四人、以下あとの約二千人は全部地区駐在所にまわす、かように考えております。大部分を第一線に配置しております。
  25. 前尾繁三郎

    前尾委員長 大泉寛三君。
  26. 大泉寛三

    ○大泉委員 住民投票に至るまでのあり方を伺いたいと思う。それは自治体の首長がそういう発意をして、議会の議決を経てから住民投票に移すことになると思うが、それは財政上の問題やその他に関連もあるので、その点がはつきりわからぬというと、住民投票に至るまでに、住民の了解を得るに困難な状況にあると思う。投票を執行するまでもあり方について、当局はどういうように考えておられるか。
  27. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 自治体警察廃止の手続を現実に踏み出すまでに、そこの住民にどういうことを知らしなければならないかというお考えが主であるかと思いますが、これはどうも国家地方警察の方でさような事柄をいたしますと、いかにも廃止に持つて行く結論を出すような宣伝をするのではないだろうかといろ気を起すだろうと考えます。従つてこれは当該自治体におまかせをいたしまして、国家地方警察といたしましては、自治体警察の置かれてありまする当該町村の財政状況とか、その警察状況とか、いろいろな点については、個々に調査しなければ宣伝もしない方がよろしい、当該自治体の自由の判断で必要と思う資料、材料を町村で集められて、そして町村会で検討し、その結果について結論をお出しになるということが適当であろう、さように思う次第であります。
  28. 大泉寛三

    ○大泉委員 その点については地方自治庁の責任者に聞いてみなければわからないことでありますが、しかし国家地方警察自治体警察の利害得失を明確にしなければ、住民としてもまつたくわからぬ。ただ財政上の責任者、あるいは行政上の責任者である首長あるいは議長が、自治体警察をやめた方がよろしいというのでは、住民は不安だろうと思う。これを廃止した場合には、これに対する平衡交付金のわくがどうかわるかというようなことがわからぬと、利害得失はわからぬ。そこでこれは自治体自身考えだけでは、住民に訴えられないと思う。国警ではどういう考えており、廃止した後においてどういう取扱いをして行かれるかという内容を示していただかなければ、自治体としても腹がきまらぬと思うわけであります。これは国家地方警察の方ばかりでなく、地方自治庁において担当される部面であろうから、はつきりお答えができないかもしれぬが、それに対する国警としての考え方は、どうであるかというのであります。  それから住民投票のやり方でありますが、これはもちろん自治体の長が責任者として住民投票を求めるのですが、選挙管理委員会責任においてこれをやられるのか、つまりどういう方式でやられるのか、こういう点はお考えなつておりませんか。
  29. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 第一点のお尋ねとしましては、先ほど申し上げました通り、お前のところの自治体警察廃止した方がよいだろう、存続してない方はがよいだろうということは、国家地方警察としては触れられないと考えております。廃止した後に、それでは国家地方警察はどのくらいの定員を置いて、そしてどういうやり方をするかということに対しましては、これは詳細お示しすることができ、またしなければならないと考えております。  それから住民投票のやり方でありますが、一つは市町村の議会におきまして、廃止の住民投票をやろうという決議をいたしました場合には、その決議に基いて市町村長は選挙管理委員会にそれを通告するわけであります。そういたしますると選挙管理委員会は、住民投票に対する手続を始めるわけであります。もう一つは、町村議会がそういう立場をとりません場合に、住民の選挙権を有する者三分の一の連署をもつて、選挙管理委員会に住民投票をやるべしという申入れをするわけであります。これが的確に三分の一になりまするならば、選挙管理委員会はその手続を始めなければならぬ、こういうことになります。
  30. 大泉寛三

    ○大泉委員 そうすると、正式なやり方としては、市町村長がまず議会の同意を得て、それから住民の連署、同意を得て、選挙管理委員会の手に移して、そして利害得失を説いて投票を求めるという順序になりますね。そういたしますと、住民が実際どうも何が何だかさつぱりわからぬで、ただ町村のいわゆる責任を持つている人が議会できめて、そして住民投票に至るまでの署名運動をするとしたら、これはもう決定的に廃止が実行されるということで、あえて住民投票まで持つて行かぬでもよろしいように思うのですが、こういう煩雑な手数をかけてまで一旦与えた既得権を解消せしめるのは、御丁寧な話だと思うのですが、やはり必要なんですか。  それからもう一つ、官公庁の職業的な官吏ということがありましたが、この公安委員の選任に対する緩和というものはどうなるのでありますか。前に町村長をしておつた、あるいは町村長の下に助役をしておつたというような前歴者は、職業的官吏公吏に該当するのですか、しないのです。
  31. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 住民投票の手続について、私の申し上げ方が悪かつたかもしれませんが、町村会の議決がありましたら、それを選挙管理委員会に町村長が通告をする。そこで住民投票の手続が始まります。住民の連署を求めるという必要はないのです。町村会でそういう議決をしない、何ら発動をしないという場合に、住民の方から解消してくれというのには、三分の一の連署をもつて選挙管理委員会に申込む、こういう形になります。町村会でそういう決議をいたしまして、選挙管理委員会に住民投票の手続を開始するように通告をいたしましたあとは、おそらく廃止をしたいというので、その町村会で決議をしたについての理由というものを、かくかくこういう理由で廃止をしたいという選挙運動と言いますか、啓蒙運動がそのときに始まる。これに対して反対する者は、そうではない、こういう利益の点があるから存続した方がいいという運動をやる。この二つの運動は相当その選挙運動中に徹底してその後に投票をやるということになつております。通告を受けましてから、現実に住民投票をやりますまでの期間は、六十日以内ということになつております。  それから公安委員の資格の点につきまして、職業的公務員と申します中には、従前の古い制度の名誉職の町村長、助役は入りません。有給のものは入ります。
  32. 前尾繁三郎

  33. 梨木作次郎

    ○梨木委員 先ほど床次委員質問の中で聞き漏らした点を、はつきりお伺いしておきたいのですが、今度ふえる五千人の定員のうちで、犯罪の捜査に従事する者が半数、犯罪の諜報に従事する者が半数というように聞いたように思うのですが、その通りでありますか。
  34. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 犯罪情報でありまして、諜報ではありません。
  35. 梨木作次郎

    ○梨木委員 そうすると犯罪情報の收集に従事する者が半分ということになると二千五百人、犯罪捜査に従事する者が半分の二千五百人というふうに伺つてよろしうございますか。
  36. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 約半分弱は外勤にいたしまして、半分強は内勤であります。その内勤のうちで犯罪情報に従事いたしまする者が、今のところ千人と考えております。
  37. 梨木作次郎

    ○梨木委員 この犯罪情報の收集というのは、最近われわれが経験しておるのは、大体元の特高警察のようなことに従事する者が非常にふえておるのでありますが、こういう方面に使う趣旨でありますかどうか、伺つておきたいと思います。
  38. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 これは必ずしもそうではございませんので、広い意味におきましては、一般の犯罪の捜査員でありまして、従前の特高要員というような考え方ではございません。しかし治安状況いかんによりましては、犯罪が起るであろうという意味における情報收集という仕事相当多くなるであろうと考えます。
  39. 梨木作次郎

    ○梨木委員 それでは現在国警の三万人の定員の中で、犯罪情報收集に当つておる要員は、どのくらいですか。
  40. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 これは的確にはわけられませんけれども、しいて申しましたら、まあ二千五百人くらいでしようか。しかしこれらはいろいろな仕事を兼ねておりますし、的確に申し上げるわけには参らぬのであります。
  41. 梨木作次郎

    ○梨木委員 犯罪情報の收集に従事する警察員は、大体私服でありましようか。この点を伺つておきたい。
  42. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 これは私服もおりまするし、制服もおります。
  43. 梨木作次郎

    ○梨木委員 ただいまの御説明だと、ふえる五千人のうち外勤が二千人、内勤が三千人、こういう話でありますが、すると、午前中の質問に対する政府答弁から見ますと、今後ふえる五千人というのは、警察大学や警察学校にいるんだ、だから実質上はふえないんだというふうに聞いたのでありますが、今の御説明だとやはり外勤と内勤、実際の捜査に従事するということになると、結局はやはりさつきの私の質問に対しては、私の算術は少し違つておるというふうなことでございましたが、実質上はやはり四万人になりはしませんか。
  44. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 これは先ほど法務総裁がお答えにたりました通り、実動の警察官が三万人、今日は実動の警察官は二万五千人、五千人は警察学校に入つておりますから、その五千人が定員外に置かれますと、実動の者が三万人に相なります。それで定員外が五千人というので、どこまでも最大三万五千人であります。
  45. 梨木作次郎

    ○梨木委員 ただいまの自治警の定員は九万五千人ということになつておりますが、実際はどれくらいおるのでありましようか。
  46. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 実際はほとんど充員されております。しかし大きな警察になりますと、絶えずランニングな欠員というものがございますので、これを全部集めますと、あるいは千人前後あろうかと思いますが、しかしこれは絶えず補充はされて行きますけれども、きよう二人やめたらすぐ補充するというわけには参りませんから、そういつた暫定的な欠員というものは、絶えず千人くらいは全部を集めますと、あると一考えております。
  47. 梨木作次郎

    ○梨木委員 九万五千の定員のわくがはずされるということになりますと、相当財政的な余力というと語弊がありますが、大都市におきましては、自治警の数がふえる可能性が相当強いと思うのでありますが、そういうものに対する見通しは、どのようにお考えですか。
  48. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 私は大都市におきましては、さしてふえないであろう、かように考えます。今日まで警察吏員の増員を要求をしておられた自治体は、主として中の警察であります。川崎でありますとか、尼ヶ崎でありますとか、あるいは姫路でありますとか、そういうところでありまして、少くとも六大都市は不足であるから増員をしてほしいという要求は、今まで聞かなかつたのであります。今度定員のわくがはずれましても、私は急激に大きな増員は六大都市では起るまい、かように考えております。
  49. 梨木作次郎

    ○梨木委員 この九万五千のわくをはずした理由というのは、どういうところにあるのでありましようか。
  50. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 一つは技術的な面でありまして、ただいま申しましたように尼ヶ崎とか、あるいは川崎とか戦災都市で、この警察法が施行されました当時は、人口が非常に少なかつた。それが人口が非常にふえて来た、またいろいろな重要な施設も多くなつて来たというので、現在の警察官では手が足りないから増してほしいという要望が、相当多く起つて参つたのでありますが、九万五千のわくがありまして、これは全国千六百の自治体警察に割振つておりますから、ふやすためにはどつかからか削つて来ませんとふやせない、さてどこを削るかと申しますと、他から見て余力があると考えましても、当該自治体ではこれを一向減らすわけには行かないというようなことから、なかなかこれがうまく参りません。そういつた意味からいたしましても、どうしてもわくがありますと、増員が非常に困難であるという技術的な面もありまするが、しかしながら自治体警察が、その自治体警察官の数をきめるということは、これはその当該自治体の自由に決定さるべきものという自治の本旨に従つたのであります。現在の警察法におきましても、地方財政が確立したならば、その自治体警察警察官の数は、自治体の必要に応じて自由に決定すべきものであるということになつておりまするので、今日の改正におきまして、今までのわくをはずしてしまうのは当然の行き方であろう、かように考えておる次第であります。
  51. 梨木作次郎

    ○梨木委員 そういたしますと、六十七條の三で地方自治体警察廃止されました場合に、これを国警に委讓する、そういうところが相当出て来る。そういたしまするたらば、九万五千というわくをはめておきましても、そういう方面からの余剰ができて来まして、必ずしも九万五千のわくをはずさなくとも、中小都市の、特に増員を必要とするようなところの要求を満たすことができるように思うのでありますが、そこはどういうぐあいにお考えですか。
  52. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 町村の自治体警察が、御説の通り廃止されるといたしまするならば、九万五千のわくがありましても、その廃止された分だけの余力がそこに出て来て、新たに他の方にその余剰のものを割当てることができるということに相なりますけれども、自治体警察がはたして廃止されるかどうかわかりませんし、またされるといたしましても、増加を要求しているだけの数字が廃止されるかどうかもわからないのであります。しかしわくをはずしました理由は、これは自治体警察の本質に従つて廃止をいたしたのであります。私がさきに申しました技術的な面というのはとるに足らない、ただ経過的な今まで困つておつた理由を申し上げたにすぎないのであります。
  53. 梨木作次郎

    ○梨木委員 どうも御説明では、自治警が廃止されるかどうかわからない、そういう面もあつてということでありますが、これは実際あなた方がよく御承知なんでありまして、事実陳情も来ておりまして、とうてい今の地方財政実情では、自治警を維持することができない。これはもつとも政府地方に対する政策一般から来ていると、われわれは考えておるのであります。ですから廃止されるであろうということは、これはもうほとんど既定の事実と見てよろしい。またそういう方針で、この警察法改正が計画されたということは、これは今日常識になつております。そういう観念的なことで九万五千のわくをはずしたということの根拠にするということは、私はそれよりも重要なことを考えなければならぬことは、大体九万五千の自治警のわくをはめたということは、日本が警察国家として復活することを防止するという大きな観点から、ふような定員を特に法律できめたと、われわれは了承しておるのでありますが、この観点からいたしましても、わくをはずすということは、対外的にも日本の警察国家の復活を非常に印象づけるような、不利益なことになりはしないかという点を憂慮するのでありますが、そこのところはどういうように政府はお考えになりますか。
  54. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 地方財政のたえられる限度における程度の増員は、私は今梨木委員のお述べになりましたようなおそれを抱かせるような結果には全然ならない、かように考えております。
  55. 梨木作次郎

    ○梨木委員 この今度の警察法改正された事項を一貫して貫いておるものは、国家地方警察の機能を非常に拡大強化する、そうすて一方におきましては、自治体警察に優越するような思想が、一貫して各條項に現われて来ております。しかもかように国警の定員を三万五千にふやし、さらに地方自治警察は、地方住民の意思によつて廃止することができるということになり、その廃止された自治体警察の職員は、すべてこれは国家地方警察に吸收されて行く。この方面から国家地方警察の定員は、三万五千以上に幾らでもふやすことが可能になつて、そうして自治体警察の方は、さらに九万五千のわくをはずしてしまう、こういうことになりますならば、これは往時の中央集権的な警察国家の復活だということは否定することができない、論議の余地のない事実となつて現われて来るということを、われわれは心配するのでありますが、この点はどういうように政府において考えておられるか、聞きたいと思います。
  56. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 政府考え方はまつたく逆でありまして、自治体警察を存続しながら、治安の重要な仕事を完全にやつて行けるように改めたいというのが、今度の改正の主眼でございます。自治体警察の持つております欠陷をできるだけないようにいたしまして、自治体警察が本来の姿として発達して行ける、そうして自治体警察の持つ欠陷がありましても、それは国家地方警察の存在によつて応援、援助の形によつて、完全に治安が保たれて行けるようにいたしたいのが今度の改正の根本でございます。自治体警察をそれぞれ完全独立なものに仕上げるということは、実際上できないことでありますから、その足らないところは国家地方警察で補う。しかも行政的に国家地方警察が優位に立つて補うのではなくて、自治体警察からの応援要請によつて、しかも当該公安委員会の管理下で、援助するというわけでありますから、これは何ら自治体警察の自主性を減殺するものではありません。また二十條の二の規定は、自治体警察の区域内の警察権執行は、全部自治体警察に包括して委任をしておる形でありますから、その場合に国家的な広い立場から見て、捨ておきがたいという万一の場合の救済の規定も入れておかなければ、そういう万一の場合がどこかで起つたときに、これは自治体警察欠陷であるということに相なりましては、かえつて自治体警察の維持存立に悪い影響を与えると考えますので、自治体警察はどこまでも自治体警察として存立して行き、そうして国の治安が全うされるという行き方をとることは、私は自治体警察を今後といえども伸ばして行く行き方であろうと考える次第であります。町村警察廃止する道を開きましても、たとい全部廃止すると仮定いたしましても、その警察官は一万九千人弱でありますし、私どもの考え方といたしましては、全部廃止するということは、とうてい起り得ないと考えております。国家地方警察の強化を目ざしたのではなくて、警察力全体の強化を目ざしておるわけであります。国家地方警察自治体警察が互いに助け合い、補い合つて治安の維持をはかるというのが、この考え方であります。
  57. 梨木作次郎

    ○梨木委員 これは私不案内でわからないのでありますが、市町村の自治警は一万九千というのですが、これはどういう意味ですか、九万五千ではないですか。
  58. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 九万五千は市も、六大都市も含めて九万五千、そのうち町村警察に属しておるのが一万九千であります。
  59. 梨木作次郎

    ○梨木委員 この二十條の二をもう一ぺん伺つておきますが、これは結局都道府県知事が、当該都道府県公安委員会にこれこれのことを要求すれば、都道府県会安委員会は、その通りしなければならぬ、手取り早く言えばそういうことになるわけでありますね。
  60. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 要求があればそうしなければならぬわけであります。要求いたします場合は、治安上重大な事案であります。そうして国家地方警察をして処理せしめなければ、ほかに方法がないという場合であります。これは希有な場合であります。
  61. 梨木作次郎

    ○梨木委員 今度の警察法改正につきましては、いろいろ新聞などの報道によりまして、紆余曲折をたどつて来たように聞いておるのでありますが、警察法改正は、これ以上は当分なさる意思はありませんか、それともこれは暫定的で、なお続々改正する意思があるのですか。
  62. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 先般法務総裁政府の所見として述べられましたように、警察法改正は、現在の状況下におきましては、この改正が一番適当であると考えております。この改正をやつてみて、その後さらに運営上予期しないような点が出て参りますれば、これはまた新たな話でありますけれども、現在といたしましては、これ以外の改正考えていない、かように考えております。
  63. 梨木作次郎

    ○梨木委員 最後にもう一点伺いますが、先ほど今度の五千人の定員の増加によつて、予算は大体十億ぐらい、こういうお話でありましたが、ところでこの自治警が廃止された場合に、これは国警に吸收することになりますが、その場合の予算的な措置、これが適切に行われないと、廃止された自治警の区域の警察事務のいろいろな荒廃という問題が起ると思いますが、その辺のところはどういうように措置されるおつもりですか。
  64. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 まつたくお説の通りでありまして、それには遺憾のないようにいたしたいと思います。
  65. 梨木作次郎

    ○梨木委員 それはどういうような方法をおとりになるのか、もうちよつとはつきり。
  66. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 予算措置を必要とするわけでありますが、廃止をいたしましたその定員を充足するに必要なだけの予算は、確保いたさなければならぬということを申し上げておきます。
  67. 床次徳二

    床次委員 この際追加して質問したいと思うのでありますが、政府の方は今度の弱小自治体警察を、今度の処置によりまして相当減少することを予想しておられますか。自治体警察そのものに対しましても、警察制度として相当長所を認めておられることは事実であります。従つて、今後自治体警察がもつと数が多くなることを望んでおられるかどうかということを伺つてみたいのです。現状のままで参りますならば、少くとも私が質問いたしましたように、経済的に申しまして、国家地方警察と比べまして五万円くらいも損な立場に置かれております自治体警察であれば、でき得るならばこれを肩がわりして国家警察に持つてもらうという気持になると思う。財担の関係からいいますならば、そういうおそれがあるのでありますが、しかし負担関係におきまして十分政府が考慮されるならば、必ずしもそういうことにはならないのだと思う。やはり自治体警察の長所をやはり自治体警察の長所を生かして行くという気持にもなり得ると思うのでありますが、政府の方はこの際今後において自治体警察を維持する区域が多くなる方を望んでおられるかどうか、このことを伺つてみたいと思います。
  68. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 自治体警察を維持する区域が多くなるということは、今国家地方警察の区域である農村の区域にまで、自治体警察をつくつて行くことを望むかどうかということと思うのでありますが、政府といたしましては、自治体警察の小さなものをつくつて行くということは、警察の能率の面から見ましても、財政の面から見ましても、あまり芳ばしいことではない、かように考えておりますが、現行法の五千の市街的というものを、もつと小さなものにまで持つて行くという考え方は持つておらないのであります。
  69. 床次徳二

    床次委員 ただいまのお話によりますれば、弱小の自治体警察に対しては、これを望まないという御意向のように伺うのでありますが、この弱小という程度が問題なんでありまして、町村が数箇村、組合でもつて置いて行くということにしましたならば、相当の規模になり得る。ただいま言われた弱小という欠陷は、それによつて是正し得ると思うのでありますが、さような自治体警察というものを、政府は望まれるかどうかということを伺いたいと思います。  なおでき得るならば、市が近接町村を合せまして、自治体警察をつくつて参るということになりますならば、これは経営から申しましても、必ずしも不可能ではないと思うのであります。あるいは昔の郡單位において自治体警察を置いて行くということも考えられると思いますが、こういう行き方に対しましてこれを望まれるか望まれないかということも伺いたいと思います。
  70. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 大体諸外国の例等を見ましても、やはり自治体警察は都市警察と一面呼んでおるくらいでありまして、市街的なところは自治体警察を持つというのが、大体の行き方のように考えます。人口の稀薄なばらばらに点在している農村が、自治体警察を持つということには、私はまだよほど研究の余地があると考えます。現行法の建前をさらに広めるという考え方を今持つておらぬと言いましたのは、そういうわけであります。よほどこれは研究の余地がある、かように考えております。従いまして現在自治体警察の存在している自治体と、近接をしている農村とが組合警察をもつて、そして新たに農村が自治体警察を持つという行き方も、同様によほどこれは検討をすべきものである、かように考えております。市街地が連担をしておりますような場合は、あるいは別かとも思いますが、これらの場合にはやはり町村合併ということをしてからやる方がよろしい、かように考えておつたのであります。自治体警察のよさという点ももちろんございます。民主的な考え方という点もございますけれども、農村の点在したところに自治体警察を持つということには、よほど検討を要しますので、ただいまといたしましては、さような考えは持つていない、かように申し上げます。
  71. 床次徳二

    床次委員 ただいまの御答弁によりますと、これは自治体警察の本質の問題でありますが、相当市街的でないと都合が悪い、農村部分を含んでおると困るというように受取れるのでありますが、今日の自治体警察でも相当農村部分を含んでおるということが見受けられると思うのであります。本質的に非常に困られるという点は、どういうところにあるか、その理由をなお御説明いただきたいと思います。
  72. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 たとえば英国の例にいたしましても、自治体警察建前といたしておりますが、これは郡と市でありまして、そして市も小さな自治体警察はつくれない、こういうことになつております。郡の警察は、これは完全な自治体警察とはいえない性質のものであります。りくつの上から申しますと、今床次委員のおつしやる通りだと考えますが、しかし何分人口が非常に稠密で、市街的をなしておるという所では警察事務も多く、従つてそこが独立して一つ自治体警察を持つということもいいと考えるのでありますが、日本ではきわめて希薄である。警察事務も少いというような場合に、それが自治体警察を持つということは、私は能率の面から非常な冗費が出て来るのではないか、かような点が諸外国におきましても、農村の方には自治体警察をつくつておるところが少い、かような結果を見ておるのではないか、かように考えております。
  73. 床次徳二

    床次委員 外国の例はよくわかりませんが、その場合に自治体警察国家地方警察との間に、著しく職務権限において差があるかどうかという点を伺いたいのです。今の警察法そのもので参りますならば、職務権限の範囲は、ほとんど対立平等のような形になつておりますが、あるいは先ほど議論いたしました国家事務に属しておるものを片方はとつて、片方はいわゆる地方事務自治体固有事務、そういうふうに職務をわけてある場合は別といたしまして、同じ警察事務をおのおの分担するとうい場合にありまして、やはり外国も同じような扱い方をしておるのでありますか、その点を伺つてみたいと思います。
  74. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 私も外国のこまかい制度の内容はよく存じないのでありますが、御承知のように、アメリカでは連邦は連邦捜査局というものを持ちまして、これは一種の警察でありますが、連邦の必要な法律執行して行く。これは自治体の区域にも、州の区域にも、農村の区域においても権限を持つのであります。州警察は州によつて非常に違いますが、大体は全体的には州の法律を一切執行する権限を持つておる。町村の区域におきましても、市の区域におきましても、そういう場合にありましても、市の警察が非常に完備しておる。州の警察は、この中で州の警察官としての権限を行使しなくても十分やつて行けるといううところでは、事実上は権限を行使いたしておりません。小さな所になつて参りますると、自治体警察がありましても、むしろ州警察が出て行つて処理をするという場合の方が多い、同じ一つの州でも自治体警察の大きさ、それから力というようなものに相違がありまして、実際上の運用としては適当に州警察が必要に応じて出て行く、こういう行き方をしているように思います。それから自治体警察を持つている市でありましても、何らか特別な理由で、これは州警察でそこの治安の維持をやつてもらうという決議をやつて、その決議に基いて州警察に委託をするというやり方をやつている所もああります。
  75. 床次徳二

    床次委員 ただいまの点は日本の警察法によりまするならば、そういう職務権限の差はなしに、一様に縦割になつているのじやないか、そういうところに日本の特色があるので、従つて先ほど申し上げましたような経費負担の問題についても、いろいろ考慮すべき点があるのじやないかということを私ども考えている、この点はさらに研究を続けていただきたいと思うのです。なお一言伺いたいのでありますが、今度の改正法によりまして、弱小自治体警察廃止し得るという道が開かれたのでありますが、今年決議しなかつた町村は来年でも、また適当なときに決議すれば、何どきでも国家地方警察に移すことができるわけであります。従つて今年はつきりと国家地方警察に移してしまつたところの自治体警察は、職員といたしましても、すぐに身分が安定いたします、この次には国家地方警察に入るのだということがわかりますが、現状のままで自治体警察をもう少しやつて行こうという町村がありますと、その自治体警察の職員は非常に身分が不安定である、何どきか決議されましたならば、その決議によりましてこれが国家地方警察に移らなければならぬという不安定な気持を持つて職に当らなければならぬと思うのです。これはそういういわゆる弱小自治体警察署におる者は、まことに不安な立場である。従つてむしろこの際はつきりと存続するものかしないものかをきめさした方が、職員自身立場に立つてみるとはつきりするのじやないか、やめるものは決議しろというのではなしに、存続するという場合にもあるいは意思表示が必要なのじやないかと思うのでありますが、これは職員の立場なつて、どういうふうにお考えになるか、その点お伺いしておきたい。
  76. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 ただいまの御意見はまことにごもつともでございまして、私どもといたしましても、その立場から考えますると、まさしくそういう結論なつたのであります。しかしながら、ことしすぐどちらかにきめてしまつて、そうしてあとは永久にそれを存続するということも一つの方法ではありまするし、今おつしやるような理由からは、きわめて私は適切な方法だと考えまするが、一度廃止をいたしましても、また持てるということにもやつぱりしておかないと、自治体一つの大きな権能とも考えるべきものでありまするから、一度廃止をしたものはもう永久ということも、おそらくそういつた見地からひどかろうかと考えます。今度持つた場合に、ではまた今度は何年目ということを法律で書くか、あるいはどうかするか、そのときのものはまた持つたら、ずつと永久に持つかということも、当該自治体の自由意思を認めるという面から考えますると、どうであろうかと考えます。従つて職員の不足という点から考えますると、床次委員のおつしやる通りでありまするが、自治体自身の大きな権能という点から申しますると、この案はやむを得ざるものだと考えるような次第であります。実際問題といたしましては、今まで三年間やつてみて、ここに相当考えるべき材料も集まつておるわけでありまするから、この際ことし廃止をするという決議をいたさないところは、私は当分何らか特別なことがないならば、ない以上はずつと続けて行くものというふうに考えてしかるべきだと思いますし、また当該の町村の警察吏員も、ことし廃止がないならば、当分これは続くものだという考え方になるだろう、また実際そう行くのではないだろうかと考えております。
  77. 床次徳二

    床次委員 ただいまの御答弁大体わかりましたが、今年決議しなかつたところは、来年廃止されるかもしれんという危険にさらされておるわけであります。この点はできるだけひとつ職員の安全性を考えていただきたいと思います。  なお重ねてお願いしておきますが、自治体警察経費というものを確保するということは、自治体警察の機能を完全に発揮せしむるかどうかという上に、非常に大きな影響があるのであります。従つて今後も平衡交付金算定におきまして、自治体警察経費を十分に確保しまして、自治体警察が十分能率を発揮できる、従つて自治体警察の職員も安心して仕事ができるということを確信し得るがごとく、当局は十分考えていただきたい。この点は適当な機会に法務総裁に、はつきりした今後の御所見を伺いたいと思います。今度の制度において、一応数字的には警察力の拡充が行われ得たように見えるのでありますが、実質面においては自治体警察というのは、いよいよ今日よりも窮迫をつげるかもしれんというおそれは、依然として解決されておらない。少くとも自治体警察を持つておる間は各市町村とも少くとも一人当り四、五万円、あるいはそれ以上の金額を負担しておるのが今日の実情なのであります。この点はまことに不合理だと思いますので、十分ひとつ当局考えていただきまして、この法案の結論を出すまでにお考えいただきたいということを、特に繰返して御注文申し上げておきます。
  78. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十八分散会