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1951-05-12 第10回国会 衆議院 地方行政委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月十二日(土曜日)     午前十一時十四分開議  出席委員    委員長 前尾繁三郎君    理事 河原伊三郎君 理事 野村專太郎君    理事 藤田 義光君       大泉 寛三君    小玉 治行君       佐藤 親弘君    福田  一君       牧野 寛索君    床次 徳二君       山手 滿男君    久保田鶴松君       砂間 一良君  出席国務大臣         法 務 総 裁 大橋 武夫君  出席政府委員         国家地方警察本         部長官     斎藤  昇君         国家地方警察本         部総務部長   加藤 陽三君         地方自治庁次長 鈴木 俊一君  委員外出席者         専  門  員 有松  昇君     ――――――――――――― 三月三十日  委員佐藤親弘君及び田中啓一辞任につき、そ  の補欠として西村直己君及び中垣國男君が議長  の指名委員に選任された。 同月三十一日  委員中垣國男君及び西村直己辞任につき、そ  の補欠として田中啓一君及び佐藤親弘君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員佐藤親弘辞任につき、その補欠として島  村一郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員島村一郎辞任につき、その補欠として佐  藤親弘君が議長指名委員に選任ざれた。 同日  委員佐藤親弘辞任につき、その補欠として稻  田直道君が議長指名委員に選任された。 同日  委員稻田直道辞任につき、その補欠として佐  藤親弘君が議長指名委員に選任された。 五月十二日  委員門脇勝太郎君、吉田吉太郎君及び立花敏男  君辞任につき、その補欠として福田一君、牧野  寛索君及び砂間一良君が議長指名委員に選  任された。     ――――――――――――― 五月十一日  警察法の一部を改正する法律案内閣提出第一  四二号) 四月二日  官公署における事務処理等に関する請願(今村  忠助君紹介)(第一六七一号)  地方税法の一部改正に関する請願星島二郎君  外一名紹介)(第一七五〇号)  普通飲食に対する課税廃止並びに遊興飲食に対  する標準税率引下げに関する請願外一件(大石  ヨシエ紹介)(第一七七八号)  同(庄司一郎紹介)(第一七八一号)  遊興飲食税撤廃に関する請願大石ヨシエ君  紹介)(第一七八〇号)  落合汚水処分場設置計画変更に関する請願(  野村專太郎紹介)(第一八〇五号) 同月十三日  特殊喫茶店街対策確立に関する請願松尾ト  シ子紹介)(第一八三一号)  警察法の一部改正に関する請願立花敏男君紹  介)(第一八五一号)  旅館を対象とする遊興飲食税撤廃に関する請  願(小金義照紹介)(第一八七八号)  遊興飲食に対する標準税率引下げに関する請願  (河原伊三郎紹介)(第一九六八号)  公職選挙法の一部改正に関する請願益谷秀次  君紹介)(第一九六九号) の審査を本委員会に付託された。 三月三十一日  国、県の施設に対し町村への寄附金要請禁止に  関する陳情書  (第四七  五号)  平衡交付金算定基準適正化に関する陳情書  (第四七六号)  地方財政平衡概算交付金返還に関する陳情書  (第四七七号)  地方財政平衡交付金等増額に関する陳情書  (第四七八号)  公民館に対する入場税等免除に関する陳情書  (第四八三号)  教育財政確立のため平衡交付金増額陳情書外  七件  (第四八八号)  地方自治合理的運営に関する陳情書  (第五〇二号)  町村行政区設定に関する陳情書  (第五〇三号)  教育財政確立のため平衡交付金増額陳情書  (第五〇七号)  教育財政確立のため平衡交付金増額に関する陳  情書  (第五一四号)  地方行政確立に関する陳情書  (第五一八号)  行政事務配分に関する勧告に対する陳情書  (第五二二号)  同(第五  二三号)  地方行財政確立に関する陳情書  (第五二六号)  同(第五二  七号)  同(第五二  八号)  同(第五  二九号)  同(第五三  〇号)  警察法改正に関する陳情書  (第五三一号)  入場税引下げに関する陳情書  (第五三三号)  町村吏員恩給給与改善に関する陳情書  (  第五四一号) 四月六日  警察法改正に関する陳情書  (第五五八号)  教育財政確立のため平衡交付金増額陳情書  (第五六七号)  同  (第五六八号)  治山事業起債全額承認等に関する陳情書  (第  五六九号)  平衡交付金増額に関する陳情書  (第  五七四号)  遊興飲食税普通飲食に対する課税撤廃等に関  する陳情書  (第五七七号)  地方財政平衡概算交付金返還に関する陳情書  (第五八五号)  国、県の施設に対し町村への寄附金要請禁止に  関する陳情書  (第六〇三号)  地方行財政確立に関する陳情書  (第六〇六号)  同(第  六〇七号)  同(第六〇  八号)  同(第六〇  九号)  同(第六一  〇号)  同(第六一  一号)  同(第六  一二号) 五月四日  野球入場税新設に関する陳情書  (第六一五号)  平衡交付金増額並びに地方債わく拡大に関  する陳情書  (第六一六号)  地方税制度の根本的再検討に関する陳情書  (第六一九号)  地方行財政確立に関する陳情書  (第六二四号)  東京都庁主税局設置に関する陳情書  (第六二九号)  地方行財政確立に関する陳情書  (第六四八号)  同(第六六一  号)  同(第六六  二号)  同(第六六三号)  同(第六六四号)  同(第六六  五号)  同(第六  六六号)  都道府県單位に施策を行う場合の北海道の取扱  に関する陳情書  (第六七一号)  を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  公聴会開会要求に関する件  警察法の一部を改正する法律案内閣提出第一  四二号)  地方自治に関する件地方財政に関する件     ―――――――――――――
  2. 前尾繁三郎

    前尾委員長 これより会議を開きます。  まずこの際日程を追加して、去る十一日本委員会に付託されました警察法の一部を改正する法律案内閣提出第一四二号を議題といたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 前尾繁三郎

    前尾委員長 御異議なしと認め、日程を追加し、警察法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず政府よりその提案理由説明を聴取いたします。大橋法務総裁
  4. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ただいま議題となりました警察法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由並びに改正主要事項を御説明申し上げます。  御承知のごとくわが国の警察は、昭和二十三年三月施行されました警察法によりまして、根本的な改革をいたしまして、警察運営民主化とその地方分権を主眼とする民主的な警察制度として、運営せられて参つておるのでございます。政府におきましては、現下治安実情にかんがみまして、この際警察力強化いたしまするとともに、その運営をさらに能率化する必要を認めるに至つた次第であります。このために警察法施行以来の経験にも徴しまして、また関係方面意見等をも参考としまして、この民主警察の精神をあくまでも尊重いたしながら、警察法の一部を改正することに方針を定めまして、慎重に研究をいたしました結果、成案を得て、ここに提案いたした次第であります。  この改正案のおもなる事項を申し上げますと、まず国家地方警察に関しましては、  一、警察力強化のため管区警察学校及び警察学校に在校する警察官の数五千人以内を、警察官基本定員三万人のほかに増置することとしたことであります。  二、治安維持の万全を期すため、自治体警察区域内における治安維持上重大な事案につきまして、やむを得ない事情があると認めるときは、都道府県知事がその事案処理都道府県公安委員会要求し、この場合国家地方警察をしてこれを処理させることといたしたこと等であります。  次に自治体警察につきまして、  一、自治体の本旨に従い、警察吏員定員の総計九万五千人のわくをとりはずしまして、各自治体警察警察職員定員はそれぞれの市町村が、その地方的事情に応じて自由にこれを決定できるようにしたこと。  二、現在人口五千以上の市街的町村は、市と相並んで警察維持することになつておりますが、町村については、その実情にかんがみまして、住民投票によりまして警察維持しないことができ、また一旦警察維持しないことといたしましたる後も、再びこれを維持することができることといたし、あわせてこの場合の警察職員措置警察用財産処分等について規定したことがおもなるものであります。さらに国家地方警察及び自治体警察の両者に共通いたしまするおもな事項としましては、  一、都道府県及び市町村公安委員資格要件を幾分緩和したこと。  二、警察活動の能率を向上いたしますために、次のごとき点を明らかにしたのであります。  すなわち各警察相互間に犯罪に関する情報を交換すること。  各警察は、その管轄区域内で行われた犯罪、その管轄区域内に始まりまたは及んだ犯罪のほか、さらにこれらに関連する犯罪についても、管轄区域外職権を及ぼし得ることといたしたことであります。  また自治体警察警察吏員も、国家地方警察または他の自治体警察要求があつたときは、その援助に当り、管轄区域外においても職権行使ができること、これらの点を明らかにしたこと、並びに国家地方警察要求により、及び国家非常事態の布告のあつた場合におきまして、自治体警察警察職員がその区域外に出動したときに、直接に要した費用及びこの場合の自治体警察職員公務傷病の補償について、国庫が負担することを明確にしたことなどであります。  これらの事項のほかに、従来法文の解釈上必ずしも明瞭でなかつた事柄を、明確にいたすことにいたしました等、なお若干の改正事項もありますが、以上が大体この改正案の主要なる事項でありまして、これらはいずれもまことに緊要な事柄と存ぜられる次第であります。何とぞ御審議のほどお願い申し上ます。
  5. 前尾繁三郎

    前尾委員長 次に政府委員よりさらに詳細に説明を聴取いたしたいと思います。齋藤政府委員
  6. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 では私から警察法改正案の内容につきまして、逐次御説明を申し上げたいと存じます。  まず国家地方警察に関する事項について申し上げます。  その第一は第十九条の改正でありまして、国家地方警察警察官の増加であります。国家地方警察警察官は、第四条によりまして三万人以内となつておりますが、このうち約五千人は管区警察学校及び警察学校に在校することとなつておるのであります。さもなくとも現在の警察官定員国家地方警察責任から見まして、十分でないと思つているのでありますが、さらにこのような事情からしまして現在国家地方警察としましては、必要な勤務配置につけ得ない部面もあるのであります。また、自治体警察からの援助要求に対しましても十分に対処し得ないようなこともあるのであります。そこで現下治安実情から考えまして、この管区警察学校及び警察学校に在校することとなつておりまする警察官の数五千人を限りまして、これを国家地方警察警察官の本来の定員である三万人のほかに増置し、国家地方警察警察力強化に資することといたしたいと存ずるのであります。  次は第二十条の二の規定を設けまして、都道府県知事が、治安維持上重大な事案につきまして、やむを得ない事由があると認めますときは、国家地方警察にその都道府県内の市町村警察区域における事案処理させることを、当該都道府県会安委員会要求することができることといたしたことであります。この場合におきましては、国家地方警察はその管轄区域外におきましても職権行使を認められ、当該市町村警察は、国家地方警察から事案処理する旨の通知を受けました際は、警察活動二元化を避け、相互の緊密な連繋によつてその事案を迅速に処理できるよう、その事案処理については、都道府県公安委員会運営管理に服することといたしたのであります。しかして知事のこの要求につきましては、都道府県公安委員会が必要と認めましたときは、知事にこの措置をとることを勧告できることといたし、またこの知事要求が適正に行われることを保障いたしますために、その事案処理の終了後、都道府県議会に報告することをあわせて規定いたしておるのであります。かような規定を置きました理由は、自治体警察がその措置すべき事案処理せず、またはその処理が適切でない場合、これをそのまま放置いたしますときは、治安上憂慮すべき事態であるのにかかわらず、警察法に定める当該自治体公安委員会国家地方警察への援助要求が、何らかの理由によつてなされない場合におきましても、現行法上は適当なる対策が考慮されていないのでありまして、このような場合に備えまして治安維持の万全を期せんがためであります。  第三は、都道府県公安委員会委員資格に関する第二十四条の改正であります。都道府県公安委員はその都道府県議会議員被選挙権を有する者であることが要件なつておるのであります。従いまして住所の移動によつてこの資格を失うことがあるわけでありますが、今回これを都道府県議会議員及び都道府県教育委員会委員と同様の取扱いといたしまして、住所を移しましたために被選挙権を失いましても、その住所が同一都道府県内にありますときは、その職を失わないものとしようとするのであります。  次は第二十条の改正であります。現在北海道には、国家地方警察本部は、下部行政区画によりまして、十四以内置き得ることになつているのでありますが、これが運営管理に当ります道公安委員会はただ一つであります。そこでこの国家地方警察本部と対応いたしまして、この運営管理に当りまする道公安委員会も、下部行政区画によりまして十四以内置き得るようにいたしたのであります。しかしてこの設置につきましては、道知事意見を聞きまして国家公安委員会が定めることといたしておるのであります。  以上のほかに、国家地方警察警察官の階級は、現在警察法上は警視以下五階級でありますが、これを実際の必要に即しまして長官以下九階級といたしまするとともに、警察官指揮監督、宣誓、教育訓練等の関連する事項をあわせまして第十五条の二の規定を設けましたし、また現在「都道府県国家地方警察本部の長」を警察法上「都道府県警察長」と称しておりますが、この実際の職責は都道府県国家地方警察隊を統轄するにあるのでありますから、その実体にかんがみまして、第三十条を改めましてこれを都道府県国家地方警察隊長と称することといたしました。そしてこれに伴いまして、第三十五条、第三十六条、第四十六条、第五十条その他関係の条文にこのため必要な整理を行つたのであります。  次に自治体警察に関する事項について申し上げます。  まず第一に、自治体警察警察吏員定員は、現在は第四十六条によりまして地方的要求に応じて当該市町村が決定するのでありますが、総員におきまして九万五千人を越えてはならないことになつておりまして、従つて、この定員地方自治財政が確立するまでは政令の定める基準により、また地方財政の確立されました後におきましては、国会の定める法律によりまして、配分の調整が行われなければならぬことになつておるのであります。しかしながら、これは自治体警察の建前からいたしますれば、まつたく当該市町村のそれぞれ地方的事情によつて決定されるところにまかすことが適当と存ずるのでありまして、今回このような制限を一切撤廃いたしたのであります。警察吏員以外の一般警察職員につきましても、これに準じて同様の措置をとることといたしたのであります。  次は、町村警察維持に関する事項であります。現在御承知のごとく自治体警察は、第四十条によりまして、市及び人口五千以上の市街的町村において維持せられておるのであります。このうち小規模自治体における警察維持の問題は、財政、人事、警察活動などの面から、関係方面におきまして最も論議せられた問題の一つであります。政府といたしましては、この点について慎重考慮の結果、第四十条の規定を改めまして、市はすべて従前通り警察維持いたしまするが、市街的町村は、その住民投票によりまして警察維持しないことができ、また一旦維持しないことといたしました後再び維持することができることといたすことを適当なりと認めるに至つたのであります。この住民投票手続などの必要な事項につきましては、他の類似の例を参考といたしまして第四十条の二に規定いたしたのであります。なお、このような警察責任転移は、当該町村にとりましても、きわめて重大な問題であり、影響するところも大きいので、この住民投票は一度行いました後は、二年間は行うことができないことといたしたのであります。また市街的町村警察維持しないこととなりますと、その地域警察責任国家地方警察に移ることになりますが、この実施は直接に国家予算とも関連いたしますので、その警察維持責任転移は、毎年四月一日からといたしたのであります。但し、本年は九月末日までにこれを維持しないことについての所要の手続を終りました町村については、十月一日にこの責任転移が行われることといたしました。この旨を付則において規定いたしたのであります。  次にかようにいたしまして警察維持に関する責任転移のありました場合の警察職員及び警察用財産措置でありますが、まず警察職員について申しますと、第六十七条の三をもつて必要な規定を設けました。すなわち、前述のごとく町村警察維持されないこととなりますと、その地域警察責任国家地方警察が負うことになりますので、当該町村警察吏員の数を、前に述べました第四条の警察官定員のほかに国家地方警察警察官として加えることとしました。このようにいたしまして町村警察維持されないこととなりました場合も、その警察吏員については全部を国家地方警察に採用できることといたしまして、これらの者が引続き国家地方警察に移つて勤務するときは、その町村警察における勤務期間恩給法上の年限に通算できることに、附則において規定をいたしたのであります。以上に述べましたところは、警察吏員以外の一般警察職員についてもほぼ同様に取扱うことといたしております。  次にこのような場合の警察用財産措置でありますが、これは従前警察法附則第九条及び都道府県の所有に属する警察用財産等処理に関する法律の趣旨に従いまして、第六十七条の二に規定いたしました。すなわちそれぞれその地域警察責任を免れることとなりまする警察の用にもつぱら今まで供されていました財産で、このため不必要となりましたもので、その警察責任を引受ける方の側において必要と考えまするものは、土地及び共用している建物につきましては無償で使用させ、その他の財産及び物品は無償で譲渡させることといたし、この場合の措置について必要な規定を設けたのであります。  次は国家地方警察自治体警察の双方に関係する事項について申し上げます。  その第一は、都道府県及び市町村公安委員会委員資格要件の緩和であります。現在はこの資格として御承知のごとく、警察職員または官公庁における職業的公務員前歴のない者であることが必要とされておりますが、この公安委員選考範囲を拡張することについては従来多くの要望もあり、適切なるものと認められますので、今回第二十一条を改正いたしまして、警察職員検察職員及び旧職業陸海軍軍人であつたものを除きまして、官公庁における職業的公務員前歴のある者でも、その前歴が任命前十年間にないならば公安委員資格を認めることにいたしたのであります。  次は、各警察管轄区域外における職権行使規定についての改正であります。現在は第五十八条によりまして、国家地方警察及び自治体警察は、それぞれの管轄区域内で行われました犯罪またはその管轄区域内に始まり、もしくは及んだ犯罪についてのみ管轄区域外においてその職権行使を認めておりますが、警察活動の迅速をはかり、犯罪事件処理便宜を考えまして、今回同条を改め、これらの犯罪のほか、これらに関連する犯罪についても、各警察はそれぞれ管轄区域外において職権を行うことを認めることといたしたのであります。そしてかように管轄区域外での職権行使範囲を拡張いたしますと、今までより一層関係警察間の緊密なる連絡協力が必要に相なりますので、各警察は、このような場合には原則といたしまして事前にこれを関係ある警察に通知し、かつその職権行使につきましては当該警察と緊密な連絡を保つべきことを明確にすることといたしたのであります。  第三は、犯罪に関する情報の交換に関する事項であります。犯罪はいよいよ複雑巧妙となりまして、かつ広い範囲にわたつて実行される傾向にあるのであります。これに対処いたしまして警察活動をさらに一層有効ならしめますためには、関係の各警察の間に必要なる情報連絡されなければならぬことは申すまでもありません。現在のごとく警察が多数分立しておりますときにおきましては、このことは特に熱意をもつてなされなければならぬのでありまして、これは各警察相互協力義務規定した第五十四条からしても当然のことでありますが、今回、国家地方警察自治体警察並びに自治体警察相互間におきまして、犯罪に関する情報を交換し合うべきものであることを特に第五十五条の二として規定し、この点についてさらに一層の成果を期待せんとするものであります。  その第四は、第五十五条を改めまして、自治体警察吏員が他の警察に対して援助する場合の職権行使について規定したことであります。現在は、警察応援につきましては、国家地方警察自治体警察援助する規定があるのみでありますが、従来、この規定によるところの自治体警察に対する国家地方警察援助が間に合わぬ場合あるいは、国家地方警察警察力がいろいろな事情でその援助などに十分でないというような場合に、自治体警察国家地方警察や隣接の自治体警察援助に事実上出動したようなことがあつたのであります。このような場合、その自治体警察警察吏員援助行為として、その区域外におきまして有効に職権行使できるかどうかということにつきまして、警察法上何等規定がございませんので解釈上疑問の余地もあり、現在といたしましては一応積極的に解釈をされておりまするけれども、今回改正の機会において、この点を明確にいたしたのであります。すなわち自治体警察警察吏員国家地方警察警察官と同様に、他の公安委員会から援助要求がありましたときは、その要求をした公安委員会管轄区域内で、その運営管理のもとに職権を行うことができるという規定を設けることといたしたのであります。この場合において自治体警察が他の自治体警察援助要求をしようとするときには、あらかじめ必要な事項国家地方警察連絡するものとしております。これは国家地方警察自治体警察補完的性格をもつものと考えておりまするし、国家地方警察自治体警察が相協力して治安維持にあたるにつきましては、都道府県内の各警察連絡の責に任ずる国家地方警察に、関係警察の全体の警察力配置が分明になつておりますることが適当であり、また事情によつてはこのような場合、国家地方警察が他の自治体警察に出動を要請することとする方が、費用負担その他からして便宜の場合があるからであります。  第五は、費用負担に関する第五十五条の二の規定を設けたことであります。現行法によりますと、自治体警察要求があれば、国家地方警察警察官援助を行うこととなつておりますが、この援助を行つた場合に要した費用につきましては、これは当然国庫が負担すべきか、または要求をした当該市町村負担すべきか、法文上明白でありませんので、今回これを国庫の負担とすべき旨を明確にいたしたのであります。これとともに、国家地方警察要求によつて市町村警察が、その市町村区域外において援助を行いました場合に直接要しました費用並びに国家非常事態の布告がありました際に、自治体警察職員がその区域外に出動しました場合に直接要した費用も、これを国庫の負担とすることにいたしたのであります。その負担範囲は第六十九条をもつて定めてあるのであります。さらに自治体警察職員がこのような場合におきまして公務傷病を受けましたときは、同様の趣旨をもつて国家地方警察の職員の場合に準じまして国庫から補償することにいたし、第六十四条にこのため必要なる規定を加えたのであります。  最後に、この改正法律案は公布の日から施行することといたし、その他附則に若干の事項を定めておるのであります。  以上今まで述べましたところのほか、そのおもな事項を申しますと、まず現在の北海道公安委員会は、今回の改正によりましてその存立の基礎を失うことになりますが、これを特に改正法に基いて道公安委員会設置されるまでの間、なお引続き存続してその事務を行うものといたしました。  次に、国家地方警察の職員の増加及び前に述べましたごとく、都道府県警察長都道府県国家地方警察隊長と称することに基きまして、行政機関職員定員法、経済調査庁法などを改正したのであります。  以上今回の改正案につきまして、その内容を御説明申し上げた次第であります。何とぞよろしくお願いいたします。
  7. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは本案に対する質疑は、次会月曜日より行うことにいたします。     —————————————
  8. 前尾繁三郎

    前尾委員長 この際公聴会開会に関する件についてお諮りいたします。警察法改正につきましては、一般国民にとりきわめて重大なる関心を有するものであり、すでに提出前から種々論議せられておつたのでありますが、今回警察法の一部を改正する法律案が本委員会に付託され、審議することになりましたので、その審議の慎重を期し、本案に対し公聴会を開きたいと存じます。つきましては公聴会を開くときは、あらかじめ議長の承認を得ることになつておりますので、衆議院規則第七十七条によつて、公聴会開会承認要求書を議長に提出いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 前尾繁三郎

    前尾委員長 御異議ないものと認め、委員長よりただちに手続をとることにいたします。  なお引続きお諮りいたしますが、ただいま議長に対し公聴会の承認を求めることに決しましたが、議長より承認がありますれば、さらに本委員会において正式に決議をし、開会報告書を提出することになりますので、もし承認がありますれば、ただちに委員長より開会報告書を提出いたしたいと思いますので、その内容手続等は委員長に御一任願つて、報告書を提出することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 前尾繁三郎

    前尾委員長 異議なしと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  11. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは地方自治に関する件、地方財政に関する件を一括議題といたしまして、質疑があればこれを許します。
  12. 河原伊三郎

    ○河原委員 本委員会におきましては、入場税、遊興飲食税、電気ガス税の一部に関しまして減免の措置を講ずる問題、並びに地方財政の非常な窮乏に対しまして、地方財政平衡交付金増額の問題、それらのものが従来強く論議され、また強調されて参つたのでありますが、財源の関係等によりまして、思うにまかせなかつたのであります。ところが大蔵省当局の発表として新聞の伝えるところによりますると、さらに大蔵省におきましては、大幅な減税を企画しているようであります。かような際にこそ、これらの地方行政委員会としての、かねての懸案解決を当局としてはからるべきであると存ずるのでありますが、これらの点に対しまして、当局としてはどういうふうなお心構え、またはこの点につきまして大蔵省当局と御折衝等のことがありましたら、それらの点についてのお考え並びにこれらに関連する点でお聞かせ願い得る限りのことを、この際拝承いたしたいと思います。
  13. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 入場税、遊興飲食税の軽減引下げの問題、平衡交付金増額の問題等にわたりましての政府側のその後の動き、考え方はどうかというような趣旨のお尋ねのようでございますが、入場税、遊興飲食税に関しましては、先般休会前の当委員会におきましても、いろいろ御熱心な論議を承つておりまして、政府といたしましては、将来入場税、遊興飲食税の問題に関しましても、地方税法を再検討いたしまする場合におきましては、その最も重要な項目の一つとしてこれを取上げて検討いたしたい、こういう考え方を持つておるわけでございまして、その信念におきましては、今日といえどもかわりはないのであります。ただ御承知のごとく、地方行政調査委員会議の事務再配分の勧告に関しまして、それが実現措置をただいま政府として考究中でございまして、関係各省と目下相談している最中でございまするので、事務の配分がどうなるかということに関連をいたしまして、税源の問題もこれをどういうふうに振当てをするかというような問題が起つて参りまするし、また財源の総体の問題といたしましても、地方に対してどれだけの行政事務負担が加わつて行くかというようなことと、にらみ合せて行かなければなりませんので、そういうものとにらみ合せて研究をして参りたい。その結果事務配分というものが確定をいたしましたならば、それに即応するように地方税の体系、税源の配分というようなことも考えて参りたいということで進めておるのであります。その際には今の入場税、遊興飲食税の問題等に関しましても、政府といたしましては十分考慮をいたしたい、かように考えております。ただ全体の大勢といたしまして、講和を控えましていろいろの考え方があるようでございますが、行政事務の再配分のあの勧告の趣旨をできるだけ生かして参りたい、かように考えておりまするので、あの勧告を尊重して行く趣旨から参りますると、地方の行政事務の分量というもの、従つてこれを処理いたしますための財源というものは、ふえこそすれ減るというようなことはまず考えられないのではないか、かように考えておるのであります。そこでそういうふうな地方の財源というものを、何によつてまかなつて行くか、あるいは税自体の問題として考えることもいたさなければなりませんが、交付金の問題もありましようし、あるいは起債の問題もありましよう。要するに地方財源全体として新たに加わつて参ります地方行政事務を、十分に処理して行けるような措置を講じて行かなければならぬというふうに考えております。その全体の背景の中におきまして、今の税の問題等に関しましても十分考慮を加えて参りたい、かように考えておる次第であります。
  14. 河原伊三郎

    ○河原委員 自治庁としてのお考えはよくわかつたのでございますが、しかし従来の例からいたしまして、地方財政委員会でこれだけは必要である、またはこうすべきであるというふうになりましても、また本委員会におきまして、かくあるべきだというふうなことになりましても、いつも問題になりまするのは財源の問題、国家財政、全体的な財政との関係におきましていろいろ左右されるわけであります。そこで事務の再配分の問題が解決すれば、それに従つて財源がいかほどいろうとも、それらの点に顧慮なく解決できるのであれば、今のお考えでけつこうだと思いますが、やはり大蔵省関係の影響を非常に強く受ける状態にかんがみまして、国税において大幅な減税をしよう。すなわち財源に余裕のあるときにこそ、それらの地方税関係を解決すべき絶好のチャンスではないか。そのチヤンスを逸して新しい状態において正しくそれらができるかという点を、私は危ぶむわけでありまして、この点に対する当局のお考えを重ねて承りたいと存じます。
  15. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 国の財源を地方の財源の補填のためにどの程度持つて行くかということは、国税の減税をどの程度するかというようなこととにらみ合せまして、要するに国の余裕財源と申しますか、その財源をどういうふうに使うかという問題でありまして、政府としてもどれに第一の重点を置いてこの財源を配分すべきかということに相なるであろうと思うのであります。地方自治庁といたしましては地方財政委員会と十分連繋をとりまして、地方の財源を現在よりもさらに改善するようにできるだけ獲得するよう努力を続けて参つて来ておりますが、今後さらに努力を増して行きたい、かように考えておるのであります。ただ政府といたしましてはこの点につきまして、政府としての方針はまだ何ら決定いたしておりません。それぞれ大蔵省の財務当局と地方財政委員会の財務当局との間において、話合いを進めておるのであります。その具体的な問題といたしましては、従来地方財政が非常に窮乏しておるという事実に対しまして、大蔵省の側と地方財政委員会の側とにおきまして、基礎といたします数字等が違う、事実の認識において若干相違があるというようなこともございましたので、できるだけ両方の機関が一緒になつて、地方財政の実態を調査いたしまして、同じ資料に基いて、同じ数字に基いてこれをいかに打開するかということを研究し、対策を立てて参りたい、こういう考え方で、過般もこれは全国知事会議の肝いりでございましたが、その肝いりによりまして、大蔵省と地方財政委員会の当局が、一緒に数府県を実地視察いたしまして、そういうようなことでできるだけ考え方、また財政の見方を合せて参りまして、そうして実際足らないものをいかにして措置するかという対策を立てて参りたい、かように考えておるのであります。
  16. 前尾繁三郎

    前尾委員長 ほかに御質疑ございませんか——山手滿男君。
  17. 山手滿男

    ○山手委員 今の質問に関連して、私ちよつと聞いておきたいと思つておりますが、今日警察法改正の問題が提起されておりますが、この警察法改正の問題ともにらみ合して、われわれが大いに考えさせられる問題は、この間のリツジウエイ声明、そのほかにからみまして、政令で出されたもの、そのほかこれを順次日本側が自主的に改廃をして行くというふうなことが許される、自主性を回復することができるという傾向ができて来たのでありますが、この地方行政事務の再分配に関する勧告というのは、いわゆる占領下においてこういう勧告がなされたのでありますが、近く講和が締結されることとにらみ合せまして、警察法改正地方自治の本旨を徹底するような方向において行われたのが、警察法改正というもので、幾分これがもとにもどされるというような傾向が今できて、地方行政事務の再配分の問題につきましても、政府はどういう考えでどの程度の熱意をもつてこれをプツシユして行くお考えか。あるいはまたこれを逆に幾分地方自治というものを、今までの構想とはかわつた考えの構想、あるいはそのほかこの勧告案は勧告案として受取つておいて、ほかにいろいろな考えをやるというふうなことがあるのではないか、そういうことについてお伺いをしたいと思います。
  18. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 警察法改正の問題で、若干自治についての考え方がかわつて来たのではないかというような御疑念、また事務再分配につきましても、勧告通りに政府は受取つてやるのであるか、そうでないか、それらの点につきまして、若干御疑念を持つてのお尋ねのようであります。政府といたしましては、警察制度の改革あるいは事務の再配分に関しまして、いずれも現在の日本の置かれておりまする国情から申しまして、また実際の自治運営の現状から申しまして、現状のままでは確かにこれは適当でない点があるというふうに考えておるわけでありまして、警察法改正につきましても、治安の確保という見地と一面また憲法が保障しておりまするところの地方自治の本旨をそこなおないという二つの原則を立てまして、一方の地方自治の本旨をそこなうというようなことがないような限度におきまして、できるだけ治安の確保をはかつて行く、こういうような考え方に立つたわけでございまして、今回の警察法改正提案いたしました政府案によりまして、自治体警察維持するか維持しないかということは、住民全体の総意に基いて最終的に決定する、こういう建前になつておるわけでございます。また国家警察と地方警察とが、それぞれ両々相まつて対等の立場に立つということで、いろいろ両者の交渉の関係規定しておりますので、これによつて地方自治の本旨がそこなわれるというようなことはないと考えておるのであります。  また事務再配分の勧告でございますが、これは市町村に第一次の優先性を持たせ、県に第二次的な優先性を持たせまして、地方分権の趣旨から事務の再配分をやろうというのが、シヤウプ勧告の精神だございまして、その精神を受継いで、地方行政委員会において勧告を出されたわけでございます。この勧告の考え方に対しまして、御承知のように一方におきましては、社会保障制度審議会というような、やはり総理府の中にあります審議機関がございまして、ここなどにおきましては、その地方分権の考え方とやや相異なりました見地から、社会保障制度の改革案というものを勧告いたしておるわけであります。政府といたしましては、これらの勧告案につきまして、両者の考え方の調整ということが必要であると考えておりまして、そういう見地から地方自治の本旨は憲法が保障しております通りに、あくまでもこれは確保して行かなければならないけれども、日本の今置かれておりまする国力の現状というような点から、どういうふうにすれば一番地方自治も伸びるし、またそれぞれの専門分野の行政も能率的に運営できるかということを、検討いたしておるわけでありまして、両方の行政の能率化という要求と、地方自治の本旨の実現、あるいは地方行政民主化、こういう線を両方できるだけ全うするような行き方で、今後の地方自治制度の処置に当つて行きたい、こういうふうに考えているわけであります。
  19. 前尾繁三郎

    前尾委員長 ほかに御質疑はありませんか——なければ本日はこれにて散会いたします。     午後零時四分散会