運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-03-20 第10回国会 衆議院 地方行政委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十日(火曜日)     午後二時十八分開議  出席委員    委員長 前尾繁三郎君    理事 河原伊三郎君 理事 野村專太郎君    理事 龍野喜一郎君 理事 藤田 義光君    理事 門司  亮君       大泉 寛三君    門脇勝太郎君       川本 末治君    佐藤 親弘君       床次 徳二君    久保田鶴松君       立花 敏男君  出席政府委員         地方自治政務次         官       小野  哲君         地方自治庁次長 鈴木 俊一君         総理府事務官         (地方自治庁財         政課長)    奧野 誠亮君  委員外出席者         総理府事務官  鎌田 要人君         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 三月二十日  委員佐藤親弘辞任につき、その補欠として高  橋等君が議長指名委員に選任された。 同日  委員高橋等辞任につき、その補欠として佐藤  親弘君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  四五号)  地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案  (内閣提出第九五号)     —————————————
  2. 前尾繁三郎

    前尾委員長 これより会議を開きます。  前会に引続き、地方税法の一部を改正する法律案及び地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案議題として、質疑を続行いたしたいと思いまするが、本日国会法第五十九條の規定により、本院において地方税法の一部を改正する法律案中の修正について承諾を與えられましたので、これよりその修正部分について説明を聽取いたしたいと思います。小野政務次官
  3. 小野哲

    小野(哲)政府委員 ただいま国会法第五十九條の規定によつて衆議院承諾を得ました地方税法の一部を改正する法律案修正について御説明申し上げます。  政府におきましては、地方税務行政改善地方税負担合理化をはかることを目的として、地方税法の一部を改正する法律案を提案し、目下連日御審議を願つている次第でありますが、本法律案上程後、たまたま国税徴收法の一部を改正する法律案閣議決定を見、近く国会に上程される見込みであります。  しかして国税徴收方法地方税徴收方法とには相関連するものが多く、できる限りその取扱いを一にすることが納税者にも便宜であると考えられますので、国税徴收收法の一部を改正する法律案内容と、ほぼ同様のものを地方税法中に取入れることにする必要があるのであります。よつてここに地方税法の一部を改正する法律案修正してその趣旨を取入れることといたしたのであります。  次に修正内容について説明いたします。修正の第一点は納税者または特別徴收義務者苦痛緩和のために、徴收猶予制度を設けることであります。すなわち納税者または特別徴收義務者が罹災、盗難、廃業、休業、疾病、事業上の甚大な損失等の事由により、または地方団体課税権を行使し得る日から一年以上たつて地方税を課されたことにより、一時に納税することを困難とするときは、地方団体は、その申請に基いて一年以内において徴收猶予することができるものとするのであります。しかして地方団体徴收猶予する場合においては、その税額が二万円以上であり、かつその税額徴收を確保するために必要があると認めるときに限り、担保を徴するものとし、納税者または特別納税義務者が、徴收猶予の期限内に納税しないときは、これを換価して地方税に充当することができるものとするのでありまして、一面において納税者苦痛を緩和するとともに、他面地方団体徴收にも支障を及ぼさないように配慮いたしているのであります。  なお徴收猶予制度は、旧地方税制による地方税、すなわち昭和二十四年度分以前の地方税についても、必要に応じ、これを認めるものといたしております。  修正の第二点は、納税者または特別徴收義務者が、地方団体徴收金滯納した場合において、その所有する同族会社株式または出資が換価できず、かつ滯納者の他の財産について滯納処分をしても徴收できないときは、地方団体においてその同族会社に対し、滯納者の所有する株式または出資時価限度内において納税義務を負わせるものとすることであります。これは、納税者または特別徴收義務者が、脱税目的同族会社設立維持することを防止しようとする趣意に出るものでありまして、反面、この場合においても同族会社財産公売は、滯納者財産公売した後において初めてできるものとし、また同族会社行つた異議申立ないし訴え繋属中は、公売できないものとし、もつてその権利保護に遺憾なきを期しているのであります。  修正の第三点は、納税者または特例徴收義務者が、地方団体徴收金滯納した場合において差押えを免れるために、故意に親族その他使用人等特殊関係のある者または同族会社財産を贈與し、または不当に低い価額で譲渡し、かつ滯納者の他の財産について滯納処分しても、当該地方団体徴收金徴收できないときは、財産の贈與または譲渡を受けた者に対し、その財産時価限度内において、納税義務を負わせるものとすることであります。これは滯納者詐害行為を防止しようとする趣意に出るものであります。  なおこの場合におきましても、財産の贈與または譲渡を受けた者にかかる公売処分は、滯納者財産公売した後に初めて行い得るものとし、かつ異議申立てまたは訴え繋属中はできないものとしてもつて保護に万全を期しておるのであります。  修正の第四点は、納税者または特別徴收義務者納税管理人を定めないで、当該地方団体の区域内に住所、居所、事務所、事業所または業務所を有しないこととなつた場合においても、繰上げ徴收ができるものとすることであります。  修正の第五点は、租税特別措置法改正に伴い、銀行預金利子等にかかる所得税源泉選択したものについては、現下わが国産業界の緊急の要務とされておりますところの資本蓄積に寄與するため、市町村民税を課さないものとすることであります。  以上が修正点内容の概要でありますが、その趣旨とするところは、あくまでも国税徴收法及び租税特別措置法の一部改正に伴い、地方税法との規定の調整をはかり、もつて租税負担合理化と、地方税務行政改善に資することに盡きるのであります。
  4. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは両案について質疑を続行いたします。門司亮君。
  5. 門司亮

    門司委員 今の説明の中でちよつと聞いておきたいと思いますことは、「担保を徴するもの」と書いてありますが、この担保差押えとの関係はどういう関係になるのか。それは單なる担保であるのか、従来の差押え制度とどのくらい違つておるのか、その点をひとつ説明を願いたいと思います。  それからもう一つは、要点になつております五番目でありますが、「銀行預金利子等にかかる所得税源泉選択したものについては、」地方税をかけない、こういうことなんですが、そうすると同じように今の所得税の中で、源泉徴收をされておつたものが、勤労者に対しては源泉徴收することができるという税法改正が行われて資本蓄積を主としたことのために、こちら側の源泉課税はしない、こういうことになつて来ると、少し食い違いが感情的にも大きいように見受けられるが、こういうことをされた原因を、もう少し詳しく御説明願います。
  6. 小野哲

    小野(哲)政府委員 門司さんの御質問に対しましては、相当技術的な面もございますので、鎌田説明員から答弁いたさせますからお聞きとりを願いたいと思います。
  7. 鎌田要人

    鎌田説明員 ただいま御質問になられました担保の問題でございますが、担保差押えとの相違という問題につきまして、結論から先に申し上げますならば、担保とりますということは一種の差押えにかわる措置である、こういうふうにお考えいただいたらどうであろうか。と申しますのは、結局徴收猶予をいたします場合におきまして、担保として人的担保なり、あるいは物的担保なりをとつておるわけであります。それを結局徴收猶予しておりますところの徴收金を納期になつてとれないということになりますと、人的担保の場合でございますれば、保証人に対して弁済を要求する。あるいは物的担保の場合でございますれば、これを換価して債権に充当する、こういうことに相なりますので、いわば差押えにかわる措置、こういうふうにお考えいただいたらいいのじやないか。なおそれに関連して申し上げておいた方が、御理解が便利になるのではないかと思いますが、差押えをしている場合に、やはり徴收猶予ということはあり得るわけであります。そういう場合におきましては差押えを解除いたしまして、そうして物件を担保としてとりますかわりに、その二重手間を避けまして、差押えをそのままに続けておきまして、いわばその差押えをした担保と同一の効果を発生せしめる、こういうことも法律考えられておるようであります。これは国税地方税も共通の問題であります。そういう制度にもなつております。大体担保差押え関係については、以上のような関係に相なります。  それから第二の源泉選択の問題でございますが、これは租税特別措置法の一部改正によりまして、御案内のごとく源泉選択を認めました。それにつきましては、市町村民税課税の対象に相なりますというと、その五〇%を越えるということに相なりまして、その関係で特に国税関係から切なる要望がございましたので、それを取入れてこういうふうに改めた次第でございます。
  8. 門司亮

    門司委員 そうすると担保関係は、たとえばこういうことでありますか。具体的に申し上げしますと、滯納が一面にある、しかしその人は反面に売掛代金を持つておるというようなことが必ずあると思いますが、それらのものがやはり担保として充当することができるかどうかということであります。これはおそらく技術的な徴税の面で、いろいろ問題を起こしておりますが、もしこれが担保としてとられるということになつて差押えよりもやや緩和された形になるということ、もう一つは、従つてその売掛代金のようなものがかりにあるとすれば、それの取立て税務の方がやる、こういう線が出て来ると思いますが、そういうふうに解釈してよろしゆうございますか。
  9. 鎌田要人

    鎌田説明員 けつこうでございます。
  10. 前尾繁三郎

  11. 大泉寛三

    大泉委員 この追加改正案は、特に同族会社設立した場合に対しての税の処分方——一般法人設立やあるいは組織に対しては触れていないが、特に同族会社に限定しているということは、どういうわけでありますか。
  12. 鎌田要人

    鎌田説明員 今お尋ねになられましたところの同族会社の問題でございますが、特に同族会社目のかたきにいたしまして、責めておるというわけではないのであります。最近特に税負担関係上、個人同族会社組織に移行して参る。その場合におきまして、脱税といいますか、そういつた関係で移するのが、特に多いわけであります。今ここに書いてございますように、財産同族会社株式なり出資なりに換価いたしまして、これによりまして、今度まさに規定いたそうと思つております、こういつた場合におきまして、租税負担を免れようというような動向が、特に顯著なものがございます点にかんがみまして、この改正を企図した次第でございます。
  13. 大泉寛三

    大泉委員 今大蔵委員会でも国税徴收法議題になつておりますが、やはりこの同族会社が、特に個人事業者から移行して法人組織にかえるという場合が、最近きわめて多くなつております。それはなるほど税の滯納に対しては、あらゆる手段を盡されておりますけれども滯納処分に至るまでにおいては、個人法人と比較すると、個人に対してはあまりに酷烈である。今日の場合は、個人事業所得に対しては、もちろん名目所得ともいうべき商品物資値上りも、その所得の中に計算されるというように、個人事業経営に対しては、経営のできないほど過重な負担をさせておる。その結果法人組織を改めて、いわゆる事業法人に改める。ところが法人にしようとしても、一般の全然関係のない方面から出資を求めようたつて求められない。やむを得ずお互いにできるだけの範囲法人にする。いわゆる株式出資に求める。それが自然どうも全然赤の他人の方では出資もしてくれない。やむを得ず同族会社にする。やはり営業の安定面を選んで会社にする。それをまた追捕するということは、あまりにも酷烈な処置であると私は思うのであります。何も好んで同族会社にしたくない。けれどもやむを得ず同族会社たらざるを得ない。出資者がないのだから……。そしてここ二、三年来の同族会社設立は、皆どれもこれもがあまり苛烈な課税のために、しかもインフレによる物価の値上り商品値上りも、所得としてこれを課税しておる結果によるのである。であるから一方において税の負担に耐えられなくて、同族会社設立するのであるから、一方において税の負担をいわゆる一般法人とかわらないような処置をとるならば、これはよろしい。しかし税の負担なりあるいは滯納処分にだけ、同族会社に対してそういう処置をとるということは、適当でないと思いますが、この点はいかがでありますか。
  14. 小野哲

    小野(哲)政府委員 事業税の例をお引きになつたのでありますが、個人法人との税負担関係におきまして、事業税の実情から考えますと、個人負担が相当多い比率を示しておるということは、私どもも同じような見方をするものであります。従いましてなるべくならば個人法人との間の租税負担均衡をはかつて参りたいというふうな点と、応益原則ということをも考えに入れまして、附加価値税のごときものも設けまして、法人個人との均衡を、ある程度維持して行くようにすることが妥当ではないか、こういう考え方も出て参ると思うのでありまして、地方税法はその考え方を取入れているような次第であります。同族会社だけを目のかたきにいたしておらないということは、鎌田説明員も申し上げておるのでありますけれども、税の負担関係から、自然法人組織がえをして行ごうという状況にあることも、承知いたしておるわけでございます。同族会社としての性格から考えまして、ややともすると脱税目的をもつて同族会社設立維持するという傾向も見受けられるのであります。こうなりますと、自然均衡を破るようなことにもなるおそれがある。かたがた今回の徴收方法につきましては、ただいま修正内容について申し上げましたような考え方を取入れた次第でございます。  なお具体的の問題につきましては、鎌田君から御説明申し上げます。
  15. 鎌田要人

    鎌田説明員 ただいま御指摘になられました問題につきましては、私ども自身これが実施にあたりましては、十分地方団体に通達いたしまして、運用上遺憾のないようにいたしたいと思います。特に十一條の二の條文を読んでいただいてもわかりますように、同族会社に対して、納入または納入責任を負わしめる場合には、要件を非常に限定しております上に、なおかつそのような條件に該当する場合に、こうこうしなければならないということでございませんので、そういう場合においてなおかつ地方団体納入または納入義務を負わせることができる、こういうふうにいたしております。従いまして地方団体がその権限を行使するわけでありますので、その実際の発動にあたりましては、地方議会がこれに介入して参ります。従いましてそのような意味合いから、地方団体なり地方議会の良識ある運営によつて、問題は解決されるのではなかろうか。きわめて悪質なものだけに限定いたしまして、この規定がとられて行く、こういうふうに御理解願いたいと思うのであります。
  16. 大泉寛三

    大泉委員 この問題は大部分国税に関しての内容であつて、いわばこれは地方税だから、大した問題ではありませんけれども、どうも一般法人とありますと、国税徴收法でも地方税でも、金額の大小納税者苦痛大小はあつても、とにかく法人は同じだから、論議されるのでありますが、同族会社の場合、一つ血縁関係とかその他家庭事情のつながり以外に、あるいは友人関係というような場合には、これは全然適用にならないようになるのではないか、これに対してはどんな考えを持つておられますか。
  17. 鎌田要人

    鎌田説明員 同族会社がたとえば友人関係というような場合には適用がないではないか、そういつた場合はどういうふうにするつもりか、こういうお尋ねでございます。こういつたことにつきましては、実は正面から規定いたしておりませんけれども、この十一條の三の規定が働く場合があり得るわけであります。たとえば私が非常に近しい関係のものに対しまして、滯納になりました場合におきまして、財産差押えをまぬがれるために、財産を贈與する、あるいは非常に低い価格で売つた、こういうような場合におきましては、十一條の三で取締規定があるわけであります。
  18. 大泉寛三

    大泉委員 この問題は将来相当紛争をまぬかれない。また裁判等事件が発生しやすいと思うのです。この際特にそうしたところまでも聞いておきたいと思いますが、同族といつても、いわゆる物に対する立場を取扱つているので、物はなんでも、必ずしも同族、血族のみに限られているものでなく、やはりその人に対する信頼があれば、全然他人である友人であるとか、あるいはその他友人のまた友人とかいうような立場に、みな及ぶものであつて、そうした場合には、やはりこの同族という一つの輪郭から離れてしまうと、この適用がまぬがれるということになりはせんか。こうした場合はもう悪質とは見ないで、單なる一つ一般法人会社というような立場に見られることになりますが、こう考えてよろしゆうございますか。
  19. 鎌田要人

    鎌田説明員 ちよつとただいま御質問になられました意味を、私はあるいは誤解しておるかもしれませんけれども同族会社出資いたしましたり、あるいは同族会社株式を取得した場合においては、こういういわばひどい責めの手がある。ところが親しい友人とか同族会社の範疇に入らないようなものに対しては、いかに悪質なものであつても縛る手がない。こういうようなお尋ねかと、私理解しておるのでありますが、そういつたお尋ねでございますれば、これにつきましては、先ほど申し上げましたところの十一條の三の規定が働く場合がある。こういつたものによつて締めて参りますし、あるいは滯納処分の場合におきましては、俗に申しております詐害行為の取消しというような制度もありまして、そういつたものは、十分取締る手がある。こういうふうに考えておる次第でございます。
  20. 大泉寛三

    大泉委員 この問題はこの程度にしておきますが、しかしこうした一面に、個人経営同族会社はきわめて、密接な関係もあるので、個人法人との段階のない立場において、あるいは公平を保つ意味において、こういう法文が必要になつて来るのでありましようが、私は根本的に、個人とかあるいは同族とかいう事業経営者は、やはりその出資ばかりでなく、自分の資本から離れたところの、肉体的な労働、あるいは責任というような立場においては、他の一般法人違つた行動をする。ほとんどどこからどこまでが資本であるか、あるいは労力であるかということさえ、わからないような立場に立つておる。最近はどうも八百屋あるいはお医者に至るまで、法人にしているような状態である。こういうものを一々あまりに冷酷に、同族会社として、いわゆる税の負担をのがれるためだというような考えをもつて臨むとするならば、まつたくこれは中小企業に対するより以上な冷酷な攻勢じやないかと私は思うのであります。こういうことは、法文の上では一応よろしいとしても、やはり税の負担に耐えられなくて、同族会社同族法人にするのであるから、この点は徴税行政実施にあたつて、どうも今までのような考え方でなく、どこまでも業者の納得の行くような手段によつて、これの運営よろしきを得てもらいたいという念願で、私は申し上げているのであります。ただ法文の上に現われていることは、きわめて冷酷のようであるけれども、そのやり方によつては、十分に保護される一つ立場になるのでありますから、この点十分政府はこの法律実施にあたつては、万全の注意をもつて、臨んでいただきたいと私は思うのであります。  そのほかに別に、国税の方に対して聞きたいことがありますけれども、どうも地方税国税はいわばまるで上着ど外套みたいなものですから、国税は適当な機会に、大蔵委員会において聞くことにいたします。要は徴税方面において、善意ある行政措置をとつていただきたいということを希望しておきます。
  21. 小野哲

    小野(哲)政府委員 大泉委員からいろいろ御注意を承つたのでありますが、先ほど鎌田説明員からも申し上げましたように、特にまた中小企業維持育成という大きな施策の上からも考えまして、今回の徴收方法実施にあたりましては、地方団体に対しましても、十分にその趣旨を伝えまして、遺憾のないようにいたしたいと考えております。
  22. 門司亮

    門司委員 もう一ぺんこの問題で聞いておきたいと思います。さつきの答弁で大体わかりましたが、少し心配をし過ぎると、一応債券の取立てが、税務行政というか、税務署の方に移ることになつて参りますと、この取立て権利は單なる取立て権利であるか、その先について何らか処置考えられておるのか、私はおそらくそういうことはなかろうとは思いますが、もし売掛代金というものが入らないという場合には、その売掛代金支拂うものは、納税者側からみると第三者になるわけですか。それに対しての税務の働きかけというものは、今度はそこまで差押えができるのかどうか、その点をひとつつておきたいと思います。
  23. 鎌田要人

    鎌田説明員 ただいまのお尋ねでありますが、担保の種類、並びにこれをいかなる手続によつて提供するかという点に関しましては、実は法律案にもございますように、政令にこれを讓つておりまして、現在なお私どもの手元において検討中でございます。ただいまお尋ねになりました売掛代金担保としてとるとした場合において、その売掛代金がとれない場合にどうなるか、こういう問題でございます。これにつきましては、現在国税滯納処分なり、地方税滯納処分の場合におきまして、債権差押えという規定があるわけであります。債権差押えますと、いわゆる民法規定と同様でございますけれども、本来の債権者に代位して地方団体債権を行使できる、こういうことに相なつております。その場合におきましてこれが取立てができない場合においては、民法上におきましては民事訴訟法において、強制執行ができるわけでありますが、この担保の場合におきまして、そこまで手の込んだ手段を講ずるかどうか、あるいはそういつた売掛代金のような債権でなしに、動産なり不動産といつたようなものを、いわゆる質権抵当権範囲担保範囲を限定すべきじやないか、こういうふうにも考えておる次第であります。この点につきましてはなお研究いたしまして、はつきりしたところを御説明申し上げたいと思います。
  24. 門司亮

    門司委員 あなたの方で研究されておるなら、こちらもそれ以上追究することもどうかと思いますが、ただ問題となりますのは、さつきも私が申し上げましたように、当然支拂うべき義務は持つておるが、しかしそれがたまたま債権者との間に税務署関係で、担保に提供されたということで、支拂い義務は持つておるけれども、しかし税務署から直接とりに来られて差押えされるまでの義務が、一体あるかどうかということが——ないとは言えないでしよう、一応あると思いますが、同時に個人保証の場合等におきましては、ことさらそういうことが考えられる。従つてそういうものについてもどういう処置をとるかということについて、問題が起らぬように万全の処置を講じていただきませんと、案外問題を起すことになりはしないかと考えております。  それから議題が二つになつておりますので、この際平衡交付金のことを、ちよつとお聞きしたいと思います。平衡交付金法の改正で、今まで七〇%であつたものを八〇%にするということになつて参りますと、地方の財政需要額というものは、あと二〇%残つておりますから、全部ではありませんが、全部と言つてもいいほど、今度は査定を受けるようになつておる。そうすると地方の行政というものは、まつたく財政上の余地がなくなると思いますけれども、一体こういうことになつていいのかどうかということであります。われわれから考えて参りますと、やはり国が平衡交付金でめんどうを見ます範囲というものは、できるだけ範囲を狹くして、そうしてそれを大体国が見てやるという態度をとつて行きませんと、この範囲が広くなれはなるほど、地方の財政は苦しくなると思う。苦しくなればなるほど実際の仕事というものはできなくて、このままの姿で行きますと、地方の自治体は事務団体になつてしまいはしないか。おのおのの地方団体は、やはり発展をするという考え方を十分持つておりますし、ことに日本のように戰災で荒らされております都市等におきましては、どうしても新しい事業というものが考えられて来る。ところがその余裕はあと残りの二〇%の中からだけしか考えられない。八〇%というものは通常経費というものに入れられておるということになつて参りますと、都市の発展性というものがなくなつて来て、従つて地方の自治体というものは、まつたく事務を処理すればいいということであつて、具体的に言えば道路の新設というようなことは考えられない。道路の維持管理だけすればいい、こういうことになつて参ると思います。そうするとそれの及ぼしまする影響というものは、地方議会などというものはあつてもなくてもいいということになりはしないか。あてがわれた財政だけでやつておればいいということになつて、発展性はまつた考えられない。そういうようなことか考えられますが、一体自治庁として平衡交付金法を改正するということについて、この前もちよつと私は聞いたのでありますが、あの案はほんとうに自治庁のものの考え方で、あれでいいというようなお考えで出されたのか、あるいは露骨に言えば、国の財政の都合でああいうことがなされておるのか、この点をひとつ明確に知らしておいていただきませんと、われわれといたしましては、これを判断する上において非常に困ると思いますが、その辺の当局の考え方をこの機会にひとつはつきりしておいていただきたいと思います。
  25. 小野哲

    小野(哲)政府委員 地方財政平衡交付金の算定をいたします場合に、基準財政收入額を基礎といたしまして、標準税率の七〇%を採用いたすのが現行法の建前であります。これはただいま門司さんも御指摘になりましたように、地方財政にできるだけ自主性と彈力性を與えたい、こういう趣旨から七〇%ということを、一応きめて参つたのであります。しかし地方財政平衡交付金制度を運用して参ります場合において、従来七〇%が適当であるという考え方につきましても、検討を加えた方がよいのではないか。と申しますのは、地方団体相互間の財政の平衡化をはかつて行く場合において、基準財政需要額の問題をやはり考えなければならないわけであります。さような場合において、地方財政平衡交付金の総額を、基準財政需要額並びに基準財政收入額を基礎として配分をいたします場合において、基準財政收入額を八〇%程度にいたした場合どうなるか。言いかえれば、基準財政需要額にどんな影響が及んで来るだろうかということを念頭に置かなければならないわけであります。それらの場合を検討いたして参りますと、もちろん基準財政收入額を一〇〇%にするということは、弾力性を全然失うことになりますので、これは極力避けなければならないと思いますし、また地方財政の基準財政需要額との関連から申しましても、これはとるべき策ではないと思うのであります。ただ八〇%にいたしますことにつきましては、これに伴うて基準財政需要額自体の算定が、これに応じて考え得る状態に置かれて参る。言いかえれば七〇%を八〇%とした場合におきましては、基準財政需要額自体においても、これに伴うた増額と申しますか、これを計算上の基礎として取入れて来るということになつて参ります関係上、妥当な線といたしまして、今回はこの率を八〇%程度に変更して行くのがよいではないか、こういうことになつたような次第であります。  なおこれが八〇%にいたします基礎等につきましては、適当の機会にさらに詳細にわたつて関係事務当局から御説明をいたさせたいとは存じますが、概略のところを申しますと、地方団体相互間の財政の平衡化を、八〇%にすることによつて一層確保して参りたいというのが、私どもの根本的な考え方になつておるわけであります。
  26. 門司亮

    門司委員 きわめて事務的なものの考え方であり過ぎはしないかと、実は考えるのです。なるほど收入がふえて参りますと、従つて收入の方を多く見れば、財政需要額の方にそれだけ影響が多く入つて来ますから、あるいはそれで埋め合せがつきはしないか、これは一応だれが考えても考えられるのでありますが、しかし今日の日本の地方財政というものは、必ずしも同じような形は示しておりません。地方公共団体というものは、決して完成したものではないのでありまして、やはり幾多の改良が必要でございましようし、それからまた地方の公共団体が、ことに市町村などにおきましては、いろいろな施設等が考えられて来る。私は全国の市町村の財政需要というものをならすことのために、八〇%でならして行こうということについては、行政の上で非常な無理が生じはしないかと思う。でき得ればこういうことでなくして、やはり無理のない——地方の公共団体が、先ほど申しましたように、自主的に行政の面で住民の要望を入れられるような形は、十分残しておいてやらぬと、きまり切つた仕事だけするのだということになりますと、さつき申し上げましたように、ほんとうに事務的の仕事だけをすればいいということになりますので、私どもとしては自治庁の考え方は、事務的にこれを処理するという面においては、あるいはそういうことも一応考えられるかとも思いますが、実際の運用の面においては、ほとんど妙味がなくなるのではないかというふうに考えられる。ことに地方の公共団体の最近の財政の需要は、非常に逼迫いたしておりまして、現実の問題として財政平衡交付金が、ああいうふうに非常に少くなつて来ている一面、給與ベースは上つて来ておるというようなこと、さらに事務の配分による地方のいろいろな行政面の仕事がふえて来ておる。言いかえますならば、国の施策に応じて地方の財政というものの必要度が、非常に高くなつて来ておる。その際にこういうことが行われて参りますと、なおさら仕事ができなくなる形であつて、自主性というものが完全に失われて来る傾向が強くなるように考えておりますので、この点事務的にのみ処理する政府のお考えについては、われわれはただちに賛成しがたいのであります。今詳細な資料はあとで出したいというようなお話でございますが、われわれが知りたいと思いますことは、七〇%を八〇%にした場合、平衡交付金がどういう形でただちに影響して来るかということを、ごく大ざつぱでもよろしゆうございますから、おわかりになつたらこの際お話が願いたい、こう考えております。それはさきの委員会でも申し上げましたように、大蔵大臣が国の予算の都合によつては、平衡交付金をもつと減らすかもしれないということを実は言われております。平衡交付金の算定の基礎になるものが、こういう形で変更されて来るということになりますと、地方財政はあまり安心していられないような形ができ上つて参りますので、どれくらいの需要額が——たとえば本年度の予算を七〇%で計算した場合は、大蔵省の方で出しております千百億であるが、これを八〇%にした場合は一体平衡交付金はどのくらいになるかということを、もしお示しが願えるなら、この際お示しを願いたいと思います。
  27. 小野哲

    小野(哲)政府委員 門司さんの御質問の、七〇%方式によつた場合と、八〇%方式によつた場合において、平衡交付金がどういうかつこうになつて行くかということにつきましては、実はただいま私の手元には御説明するに値する的確な資料を持つておりませんので、いずれの他の機会に関係の当局から、詳細にお話を申し上げたいと思います。しばらく猶予を願いたいと思います。
  28. 立花敏男

    ○立花委員 実は今までこの委員会で、地方税法改正案をやつておりまして、十五日ごろに上げるとかいうことを理事会できめたといつてしたが、それが遅れまして二十日ごろに上げるとかいつておりましたが、二十日になりまして突如こういうものが出て参りまして、これを一緒に上げるということなのですが、そういたしますと、最初の予定を大分おかえになつたのかどうか、これをひとつ委員長に聞いておきたい。これはこれだけでも厖大な修正案で、これ一項が一つ改正案になるべきものだと思うのですが、こういうものもあわせて、委員会の初め予定しておりました計画でやるのかどうか、その辺のことをちよつと聞いておきたい。
  29. 前尾繁三郎

    前尾委員長 これは地方税法改正案の修正案でありますから、これに対する質疑はできるだけやつていただいて、そのあとで一括して地方税法一部改正の案としてやりたいと思つております。従つてできるだけ御質問を促進してやつていただきたいと思います。
  30. 立花敏男

    ○立花委員 促進するのはするのですが、口がありませんし、地方税法改正を待つておりますので、これは参議院のことを考えますと、本日上げましても、参議院の方の審議はやはりぎりぎり一ぱいで、四月一日から実施いたしますには、もう日がないのではないか、そういうことは当然言えると思う。その場合にこういう厖大な修正案をお出しになつたということは、私ども幾ら審議をやれと言われましても、そう急速やるわけには参りません。これをおやりになるのであれば、私は別の改正案でお出しになつて、自然休会が済んでから、十分審議をおやりになるのが当然であると思う。そうでなければ、地方が予算編成期を控えて、持つております地方税改正が間に合いませんし、また従つて予算の編成上にも種々の混乱を来すことになるので、私としてはこういうものが突然出て参りまして、審議されることにつきましては、反対なのであります。そのことを最初に申し上げておきます。  それから今そこに来ておられる説明員の方は、大蔵省の方か、自治庁の方か、ちよつとお聞きしておきたい。
  31. 小野哲

    小野(哲)政府委員 自治庁です。
  32. 立花敏男

    ○立花委員 自治庁ですか、この修正案を見ますと、どうもこれは自治庁がお出しになつたものではないんじやないか、大蔵省の修正案じやないかというふうに思われるのです。だから覇然大蔵省の方が出て来られたのかと思つてつたのですが、自治庁だとすると、自治庁はもはや非常に性格がかわつて来ておる、大蔵省の立場に立つてものを言つておるのじやないか、大蔵省の立場に立つてこんな修正案を出して来たのではないか、そういうふうに思われるくらいなのです。根本的な点を申し上げますと、私どもは現在でております地方税改正の場合にも、非常に大きな疑問を持つております。それはあの改正案が、片一方において資本蓄積の擁護であり、片一方においては、人民に対する收奪である。人民があまりに收奪を受けるために、生活が破壊されて、納税ができない。結局地方自治体は非常に困窮して来るということから言いまして、あの改正案自体に不満を持つてつたのですが、さらにこの修正案を見ますと、その心配を一層深めるものがはつきり出て来ておるわけです。修正の第一点ですが、これは徴收猶予の問題が書かれてありますが、一箇年徴收を延期するということとなつております。従来におきましても、所得税ども資本家が勤労者から源泉徴收いたしました場合に、その所得税を国家に納めないで、資本家の運転資金にまわしているということが常識です。ところが今度は住民税も源泉徴收いたしまして、資本家の運転資金を増加せしめる、しかもさらに必要な場合は、一年間徴收が延期されるというようになつておるわけです。これはどういたしましても地方住民の立場に立ち、あるいは地方自治体の立場に立つておるとは言えないと思う。事業上に厖大な損失等があつた場合は、徴收を延期するというのでありますが、これは資本家自体がその利潤の中から拂う税金であれば、そういうことはいいかもしれませんが、勤労者所得から預かつて資本家が持つておる金です。それを資本家の事業が損害をこうむつたから、その金の徴收を延期するということは、私は成り立たないと思う。この点が私一番ふしぎで、ふに落ちない点であります。徴收猶予を認めるのであれば、直接納税者徴收義務者を別に考えるべきである。しかるにこの二つを一緒にしまして、徴收猶予の理由も同じ理由でやつておる。これはまつたくおかしいと思う。片一方は自分の生活費の中から当分の給與の中から拂うべきものを、特別の事由によつて延期猶予してもらう、これは話はわかります、しかし片一方は、人から預かつたものである、預かつたものを、これを同じ理由で徴收猶予するということは、これはまつたく不合理である。しかもさいぜんから申しておりますように、従来におき出しても、所得税自体をそういうふうに運転しておる資本家が大多数である。この事例から見まして、さらにそういう資本家のずるいやり方を助長するのが、この修正案なのである。そういう点から考えますと、私はこれは自治庁のお出しになつたものではなしに、大蔵省のお出しになつたものではないか、だから説明されておる方も、自治庁の方でなく、大蔵省の方だと思つておたつら、そうじやないと言われるのだが、そうでなければ、自治庁の心構えを、ひとつかえていただきたいと思います。  それからもう一つ重要なことは、これと関連しておるのですが、源泉徴收がありまして、莫大な税金を資本家が握り、しかもそれもいろいろな事由によつて徴收の延期ができることになつて参りますと、自治体と大資本家との間に、いろいろな紛争が起こるわけです。いろいろな取引といろいろな情実関係が出て来るわけです。最近のように自治体が資金上あるいは金融上困つております場合には、特にその納めます莫大な税金を手元に抑えております資本家と、その村あるいはその町、その市の大企業の資本家との間には、いやが応でも取引関係が起るわけです。そうなりますと握つている方が強いので、たださえ従来におきましても腐れ緑があります土着の資本家あるいはその地域の大産業と、その自治体の理事者との間に、悪因縁関係が生れることは当然なんです。悪因縁関係が生れないといたしましても、多かれ少かれ、そういう面からの行政に対する干渉と申しますか、あるいは容喙と申しますか、陰に陽にの作用あるいは圧迫が加わることは、当然考えられるわけです。こういう状態を自治庁は予想されないのかどうか。従来におきましても地方の財政の困窮から、地方起債等の不如意から、地方金融機関に金融を仰いでおる自治体は、やはり地方のこの資本家階級に頭が上らない。それに左右されておるわけです。これはもうはつきり出て来ております、こういう場合に、それをまた税金の面で助長するような形が、この修正案ではつきりとられておる。これは地方自治を確立するといいながら、かえつて資本家の手に地方の政治をゆだねるものである。地方の自治がここから腐敗するのではないか、こう考えるのですが、常日ごろ地方自治を口になさつておる、地方自治の拡充の先頭に立つておられる地方自治庁といたしましては、こういう問題をお考えにならないのか、この二点を小野さんに承つておきたいと思います。
  33. 小野哲

    小野(哲)政府委員 今回の修正説明の中にも申し上げましたように、国税徴收方法地方税徴收方法とが、相関連しておるものが多いから、できるだけ納税者の便宜もはかり、かつまた徴收の円滑なる方法考えて行きたい、こういう趣旨から出ておるのでありまして、これを国税徴收法との関連があるから、地方自治庁がタッチすべきもの、ないということにはなるまいと思うのであります。従いましてこれに関連した点につきましては、地方自治庁においても地方税法改正を行うことが妥当であると、かように考えております。  なおまた、この種方法によりまして、一部いわゆる立花さんのおつしやる資本家が利得を得て、またそのために地方公共団体の運営上おもしろくない結果になるという御心配もあるようでありますが、しかしながら要はお互い地方住民としての企業家であるわけでありまして、その間双方にお互いが持ちつ持たれつの関係において、地方公共団体の財政運営に寄與して行くということが、これまた地方団体の財政の関係において、効果をあげるゆえんではないかと思うのでありまして、必ずしも立花さんのおつしやる御所見につきましては、その通りであるとは私ども考えられないのであります。ただ先ほど大泉さんからも御質問がございましたように、この種の徴税方法改正につきましては、地方公共団体ができるだけ誤りのないように運営して行くことが必要でありますので、この点につきましてはその衝に当つておる地方自治庁といたしましては、財政委員会と協力して、運用上遺憾のないように努力はして参りたいと思つております。
  34. 立花敏男

    ○立花委員 これは急に出て参りましたし、資料も何もついておりませんので、こまかい点には触れられないので、これで終りたいと思うのですが、も、一つ二つ、大きな筋だけ聞いておきます。大泉さんのお触れになつ同族会社の問題ですが、これは私はどうもやはりふに落ちない。同族会社であろうが何であろうが、直接税金の問題と関係のない他の法人あるいは個人に対しまして、税金の負担を増して行くということは困ると思うのです。特にこの修正案がつくられましたのは、何か故意に脱税とか、そういうことを意図した場合というふうに限定されておりますが、そうであるなればそういうことを法文にお書きになるべきだと思うのです。故意にこういうことをやつた場合、あるいは犯罪行為としてそういうことをやつた場合、そういり場合には関係した同族会社、あるいは個人に対しまして、その納税の一部の責任を負わすということがけつこうだと思いますが、何ら関係のないものに対しまして、そういう責任を負わすとしことは行き過ぎではないか、これはあまり税金を取る方に急ぎまして、基本的な人権あるいは法人のなにをそこなうものではないかと思います。悪いことをやつているやつからおとりになるならいいのだから、そういうことを明確にした上で、それだけに限つておやりになるように修正をなさるべきだと思います。これは小さいようでございますが、私は基本的な権利に対する侵害の一つだと思いますので、この点は明確にされる必要があると思うのですが、小野さんはどういうふうにお考えになるか、ひとつ聞かしていただきたいと思います。
  35. 小野哲

    小野(哲)政府委員 この点につきましては先ほど申し上げたのでありますが、さらに鎌田説明員から、もう一度繰返し申し上げることにしだいと思います。
  36. 鎌田要人

    鎌田説明員 ただいまのお尋ねの問題でありますが、この規定條文におきましては、故意にそういうことをいたした場合に限るというふうに條件を限定すべきである、まことに仰せの通りであると考えるのであります。ただこの條文をごらんになつていただきましてもわかりまするように、結局こういつた行為をいたします。たとえば同族会社出資をするというような行為、それからそのような行為をして、しかも本来その人間が納めるべき税金は一文も納められておらない。また滯納処分をしても、そういつた財産はどこに行つたかわからない、こういつた條件にいたしておるわけであります。従つてそういうような場合には、これは明らかに立花委員の意図されておられるようなことと同じ結果になるのではないか、こういうふうに考えておるのであります。従いまして決して無垢の全然そういつた悪意のないものまで追究して行こうという趣旨でないことは、先ほどから大泉委員の御質問に対しまして、再三申し上げておるところでおわかりになつていただいておるだろうと思います。
  37. 立花敏男

    ○立花委員 そういう悪意のないものにやらないというのであれば、それをやはり條文の上で保障しておく必要があると思うのです。そうでないと、いくらあなたがここで悪意のないものにやらないと言われても、法文の上でそなつていないから、悪意のないものもやられることになる、だからそういう前例がないなら、法文の上ではつきりと前例がないということを、おやりいただく必要がある。あまりとる方から文句をつけずに、とられる方からもおやりにならないといけないと思います。そういう点をぜひ改めていただきたい。これは税金徴收の根本的な問題だと思います。  それから第三の場合もそれと同じことです。一体日本の親族で物のやりとりや贈與をやらないことはないと思います。それを何か脱税のために物を贈與したとか何とかいうことで、それだけでぴしやぴしややられましては、たまつたものではありません。累がどこまで及ぶかわからない。これでは家族制度そのものを認めない税法になると私は思います。この点を一体どこまで限度をお置きになるのか、これはもうさつきの人権の問題と同じように、最も人間として美しい親族間の贈與ですら、そういうように見られるということになりましては重大問題で、人心をそこなうものこれよりひどいものはないと思います。だからこれに対しては最も愼重に法文をおつくりになるべきであつて、少くともはつきりとこの点は明文にする必要があると思うのですが、この点をどうお考えになつているか。
  38. 鎌田要人

    鎌田説明員 あとの問題につきましても、この條文の表現はもとより完全であると申しているわけではありませんけれども、これらのものがこの財産差押えを免れるために、故意に親族その他特殊関係があるもの、または同族会社に対し贈與し、または著しく低い額の代価で譲渡した財産があるときで、かつ本人について徴收すべき徴收金徴收することができない場合に限る、こういうふうに條件をつけているわけであります。従いまして本人が財産差押えを免れるためにやつたかどうかということを認定する場合には、地方団体がはつきりしなければならない。従いましてそのような認定なしに軽々しくやられますと、ただいま立花委員のおつしやいましたように、権利の侵害ということで逆に訴追せられるおそれがありますので、地方団体がこの條文をたてにとつて、行き過ぎになるということはないだろうと思います。
  39. 立花敏男

    ○立花委員 ないだろうと思うのですが、これはさつき言いましたように、人間の基本的な問題になつて参りますので、簡單なものではなしに、やはりここまで税金を取立てるには、それに相当したもつと嚴密な規定をおつくりになるべきじやないか。こういう簡單なことだけでやられますと、おそらく罪九族に及ぶと申しますか、一家親戚全部が、ほとんど税金におびえなければいけないということになつて来るのじやないかと思う。しかもこれは悪意でもつてつたのならいいですが、その当時は善意で贈答し、あるいはもらつたりやつたりしたものが、時の経過によつてそうなつて来るというような場合には認定が非常にむずかしいのでありまして、こういうものをこういう簡單な規定で決定すべきじやない。特別な審議の機関をつくるなり、そういうことを規定した上で、こういうことはやるべきであると思うのですが、そういう御用意があるかどうか承つておきたいと思います。
  40. 鎌田要人

    鎌田説明員 この点につきましては御指摘になられましたような懸念があることは予想いたされますので、これの実施につきましては十分留意いたしまして、御心配になられるような事例が絶対に起らないように、責任をもつて善処いたしたいと思います。
  41. 立花敏男

    ○立花委員 あなたに責任を持つてもらうだけでなしに、責任を持つてもらう機関をつくつていただきたい。しかもそれをはつきり明文にして條文の中に加えていただきたい、こう思うのです。  それからもう一つ最後に聞いておきますが、修正の第五番です。ただいままで私どもが審議して参りました地方税改正案におきましても、資本蓄積という言葉はあまり露骨に使つてありませんでしたが、資本蓄積をねらつて、おつたことは事実なんです。私どもが指摘して参りましたように、資本蓄積を非常にねらつておりまして、その穴埋めを住民税でやつておるという形が、最も露骨に現われておるのですが、ここでは資本蓄積ということをはつきりお書きになつておる。「現下わが国産業界の緊急の要務とされておりますところの資本蓄積に寄與するため」と、今度はつきりと最も露骨にお書きになつた。私どもは現在日本で必要なことは、資本蓄積よりも人民の生活の安定だと思う。税金のために、私どもがこうやつてしやべつております間でも、一家心中あるいは親子心中が日本のどこかでは行われておるのです。この税金をいかにして拂える税金にするか、これをいかに軽くするか、これが税金では一番問題なんです。私は税金の面では資本蓄積はあまり考える必要はないと思うのです。一体今度お出しになつた税金の中で、この重要な今日の税金の問題、これをどこでお考えになつておるか。これをお考えにならずに、ここでは資本蓄積が一番大事だから、資本の利子には税金はかけないのだというばかなことを公然と言つておられる。これこそは自治庁の立場ではなしに大蔵省の立場なんだ。これは私がさつきつた根本的な問題なんです。自治庁の立場でお出しになれば、私は地方住民の生活の安定、そのための税金をどうするかということを、まずお書きになるべきであつて資本蓄積のために、資本の利子に税金をかけないというようなばかなことを、お書きになるはずがないと思うのです。どこから一体こういうことが出て来たのか、小野さんにこれを承つておきたい。
  42. 小野哲

    小野(哲)政府委員 資本蓄積の問題が出たようでありますが、これは今ここで活字にして書いたのは初めてではないのでありまして、地方税法の一部改正法律案の審議にあたつても、この点につきましては申し上げ、立花さんからも御質問があつたことは御記憶になつておられることであろうと思います。これが大蔵省の立案であるか、あるいは地方自治げの立案であるかということではなしに、わが国の経済の現況、また再建の道程におきまして、資本蓄積というものが必要な要件になつておるということは、万人の認めるところでありまして、従いましてこれがどこから提案しようとも、そういうふうな問題ではなしに、かような方法によつて資本蓄積を進めて行くということが、わが国の現況において必要である、こういう観点から出ておることを申し上げておきたいと思うのであります。
  43. 立花敏男

    ○立花委員 小野さんにお聞きいたしますが、日本の資本蓄積は万人の要望するところだといわれておりますが、これは決して日本の万人が現在のような形の日本の資本蓄積を求めておりません。やつてもらいたくないと考えておる。ポツダム宣言で禁止されておりますところの軍需産業の資本蓄積、こんなことはやつてもらいたくないのです。あなたは日本の万人が、今日本の資本蓄積を望んでおると言われましたが、日本の大部分の人は望んでいないということをはつきりお考えになるべきだと思う。單なる言葉や頭の中でごまかされずに、私は現実を見て税法はおつくりになるべきだ、これは根本的な問題でございますので、ここであなたと議論をいたしましても、どうにもならない問題だと思いますが、この点だけは最後に小野さんに御忠言を申し上げておきたいと思います。こまかい点はあとで資料が出ましてから、詳細に質問したいと思いますので、きようはこれでやめます。
  44. 床次徳二

    ○床次委員 先ほど門司委員から平衡交付金の問題について、注文がありましたが、この機会に私あわせて資料をお願いしておきたい。なお御意見が承れればこの機会に承つておきたいと思うのでありますが、基準財政需要額の問題であります。明年度におきましてこれをいかように決定されるかということをお聞きいたしたいのであります。当然相当基準財政額は増加して参りました。もちろんこれはいわゆる單位費用におきまして増加を見るべきものだと思うのでありますが、政府は大体いかように財政需要額を見ておられるかということを承りたいのであります。  なお、今日におきましてはすでに予算額が出ておるのでありまして、政府におきましてはあるいはこの平衡交付金額を決定されるときに使われた資料を、そのまま使われるかと思うのでありますが、この資料そのものにつきましても大分問題がある。すなわち地方歳出の見積額総額におきましては、地財委の考え方政府の査定されましたものとは、非常に開きがあるのでありますが、この場合におきまして今後財政需要額を算出される場合に、地財委の出しました資料がもとになるのか、あるいは予算において政府が採用された数字をもとにするかによりましても、これは大きな問題があると思いますが、それはいかように取扱われるか、この基準財政需要額がいかように決定されるかということは、平衡交付金法の使命にも関係することでありますので、この点ひとつ説明をいただきたい。なお今後できるだけ早い機会におきまして、前年度と今年の数字の比較をお示しいただきたい。これを合せでお願いしておきたいと思います。
  45. 小野哲

    小野(哲)政府委員 地方財政平衡交付金の二十六年度における基準財政需要額の算定につきましては、地方財政委員会において検討を加えなければならない問題でありますので、この点につきましては、私からここで詳細に申し上げる資料を本日持つて参りませんでしたので、はなはだ遺憾と存じますが、先ほど門司さんから御質問の点もございますから、機会をつくつて説明いたしたいと思います。御了承願います。
  46. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 今度の修正案の中に徴收猶予方法を認めておることは、けつこうでありますが、徴收猶予を認めた場合も、その期間中における延滯金及び延滯加算金を免除することができるとあります。徴收猶予と認めるのは認めるだけの理由があつて認めるわけでありますから、従つて徴收猶予を認めた場合には、かかる延滯金とか延滯加算金を免除することが当然であろうと思いますが、何ゆえに免除することができるとされたのであるか、こういうふうにできるということにしてありますると、自治団体はえらく困るのであります。どうしていいかわからぬということになります。当然理由があつて徴收猶予をするわけでありまして、この際はつきりしているんだから免除するというふうに、書くべきじやないかと思いまするが、そこの理由をひとつ承りたいと思います。
  47. 鎌田要人

    鎌田説明員 ただいまの御質問の点でございまするが、一般の私人間で金の貸借関係がありまして、今月末日までに借りた金を返すと約束する。ところが今月の末になりまして、やむを得ない事由によつて返せない。たとえばここに書いてありますように、災害にあつたり、家が火事で焼けたというような場合に、その返済の期限をかりに半年延ばすといたしますと、この場合におきまして、個人の間の契約におきましては、ある場合には、あなたたいへんだから利息をまけてやろう、こういうこともありますし、六箇月間の利息を拂いなさい、こういうこともあり得るだろうと思います。それと同じ関係がこの場合において考えられるのじやないかと思うのです。徴收猶予をするということは、現在の地方税法にありますところの納期限の延長という制度とは、おのずから異るわけでありまして、納期限そのものは動さないで取立て時期を延ばしてやる。こういう趣旨のものでございます。御質問の通り、やむを得ない場合がここに列挙されてありますので、そのような場合におきましては、いわば利息とも申すべき延滯金なり、延滯加算金というものは、負けてやる場合が多いと思いますが、先ほど御説明申し上げました通り、個人間の貸借関係を例にとりまして、場合によつては負けてやらない、こういう場合も考えられるのじやないか、従いまして、猶予することができる、こういう含みを持たした規定にいたした次第であります。
  48. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 個人間の場合は、自分の金をたくみにまわすということが大事なことで、従つて負けてやるというのは一つの恩惠であり、返済を延ばしてやるということは一つの恩惠であるけれども、しかし利殖の関係からいうて、利息までは負けられぬということがあり得るのでありますが、公共団体は何もとつた金をほかにまわすようなことをして、利殖をはかるというようなものではなかろうと思う。一つの公の制度として徴收猶予という制度を設けたならば、しかもその徴收猶予をする場合は、法律で明確に限定しているので、やたらに徴收を猛予することのできないことは、はつきりしているのでありますから、徴收猶予をした場合は、そのもともとの理由を大幅に認めて、延滯金を加算すること自体非常におかしいではないか。公共団体で徴收猶予した場合に、とるとらぬは自由だということが法律にありますが、そういうふうにできるとかいう法文をつくられると、非常に自治体が困るのです。第一実際徴收する公吏が困るのです。負けてもよいということになつているのに負けないということになれば、いらぬ摩擦を生ずる。おそらく徴收猶予をしてもらいたいというような場合は、貧乏人が多かろうと思うのですが、その場合、ある者はとられある者は負けてもらうということになりますれば、税務公吏は非常に悩まされるではないかと思う。そういうような場合は大所高所から見て、これはとらないのだというふうに明確にしなければ、せつかく皆さんが自治の円満なる発達というようなことを考えておりましても、こういう点から対役所との関係が思わしくないことが起つて来はしないかと思う。個人の例をとつて説明されるけれども個人の場合とは全然性質が違うではないかと思いますので、重ねてもう少し納得の行く説明を願いたいと思います。
  49. 鎌田要人

    鎌田説明員 ただいまの場合でありますが、この徴收猶予の場合におきまする延滯金、延滯加算金の問題は、ちよつと話がわき道にそれるかもしれませんが、個人の場合のいわゆる金利という観念と延滯金の観念は、国税の場合におきましても利子税という言葉を使つてありますように、非常に類似しているわけであります。従いまして、ただいま個人の例をとつて説明申し上げたのでありますが、その点はさておきましても、この條文が、延滯金なり延滯加算金を徴收しないという場合は、「地方団体は、」という書き出しになつておりまして、これは当然條例においてきめる。従いまして、條例においてきめまする場合におきましては、とらないという條件を明確に規定するわけであります。従いまして徴税吏員が困ることはない。問題は、條例をつくる場合におきまして、地方団体議会なり理事者がいかなる判断をするかということにかかつて来るだろうと思います。
  50. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは本日はこれにて散会いたします。     午後三時三十九分散会