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1951-03-17 第10回国会 衆議院 地方行政委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月十七日(土曜日)     午前十一時十分開議  出席委員    委員長 前尾繁三郎君    理事 野村專太郎君 理事 龍野喜一郎君    理事 藤田 義光君 理事 門司  亮君       大泉 寛三君    角田 幸吉君       川本 末治君    佐藤 親弘君       床次 徳二君    久保田鶴松君       立花 敏男君    大石ヨシエ君  出席政府委員         地方自治庁次長 鈴木 俊一君         総理府事務官         (地方自治庁財         政課長)    奧野 誠亮君  委員外出席者         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 三月十六日  旅館を対象とする遊興飲食税撤廃に関する請  願(長野長廣紹介)(第一三〇二号)  同外十件(畠山鶴吉紹介)(第一三三四号)  ニユース映画に対する入場税免除請願川崎  秀二紹介)(第一三〇四号)  同(吉武惠市君紹介)(第一三〇五号)  同(立花敏男紹介)(第一三七一号)  教育映画に対する入場税免除に関する請願(吉  武惠市君紹介)(第一三〇六号)  同(川崎秀二紹介)(第一三〇七号)  同(立花敏男紹介)(第一三七〇号)  遊興飲食税撤廃に関する請願河原伊三郎君  紹介)(第一三三三号) の審査を本委員会に付託された。 同月十五日  入場税引下げに関する陳情書  (第三七八号)  地方財政確立に関する陳情書  (  第三八四号)  公職選挙法第百六十一條第二号の改正に関する  陳情書  (第三八八号)  地方財政危機打開に関する陳情書  (第三九一号)  都市税行政に関する陳情書  (第三九三  号)  平衡交付金の増額並びに適正化に関する陳情書  (第四〇一号)  消防諸経費火災保險会社負担に関する陳情書  (第四〇三号)  地方議会事務局の整備に関する陳情書  (  第四〇四号)  警察法改正に関する陳情書  (第四  二〇号)  同  (第四二一号)  同(第四二二  号)  同  (第四二三号)  同外一件  (第四二四号)  地方税法改正に関する陳情書  (第四二六号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  四五号)  地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案  (内閣提出第九五号)     ―――――――――――――
  2. 前尾繁三郎

    前尾委員長 これより会議を開きます。  地方税法の一部を改正する法律案及び地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案一括議題として、質疑を続行いたします。立花敏男君。
  3. 立花敏男

    立花委員 平衡交付金の問題と一緒にやりたいと思うのですが、現在の地方税法が昨年改正されまして、非常に徴收困難な税になつておるのですが、その際に地方財政平衡交付金改正案が出まして、より一層困難になつたということとは、今度は七〇%から八〇%に基準徴收率を上げているわけであります。これは私どもから考えますと、どうも逆行するように見えるのですが、どういう根拠でこれをお上げになつたのか、お聞かせ願いたいと思います。
  4. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 平衡交付金趣旨は、御承知のように地方団体行政を妥当な合理的な水準で行い得まするように、最小限度のことを保障しようというのがねらいでございます。そういう見地から、歳入方面におきましては、基本的な地方税とさらに平衡交付金、この両者をもつてまかない得まするものと予定いたしまして、そういうものでまかないまするところの経費、すなわち臨時的な経費でありますとか、手数料使用料というような特定財源によります経費でありますとか、そういうものを除きましたものを目標にして行く、その場合にそれを一〇〇%にとりますると、結局一般的な行政経費全体が算定の基礎に入つて参りまして、平衡化趣旨を非常につき進めて参りますならば、それでもいいようでありまするけれども、逆にまた計画全体が非常にきゆうくつになりまして弾力性がなくなる。ことに税の收入を一〇〇%に見るというようなことに相なりますると、結局地方団体徴税努力といいますか、意欲を消磨させるようなことになりまして、これは適当でないというので、大体今までの法律におきましては、百分の七十というところを基本收入にとりまして考えておつたわけでございますが、その後の実際の状況を見ますると、地方の一般的な経費負担がさらにふえて参つておるわけでございます。そういう見地から申しますると、百分の七十の基本的な税の財源をもつて保障しますることは少し無理がある。やはりそういう負担増加等から考えまして、百分の八十くらいの線まで歳入を見て行くことが適当ではないかということを一面考えかたがた歳入面状況とにらみ合せまして、その程度のところで押えるのが、適当であろうというふうに考えたわけであります。
  5. 立花敏男

    立花委員 この基準税率をお引上げになりました裏づけといたしまして、税法源泉徴收の方法がとられたのかどうか。多分私はそうだろうと思うのですが、平衡交付金を減額しなければいけないという至上命令的な問題から発足して地方税法改正され、従つて今度のような源泉徴收という形がとられたのではないかと思うのです。そういう関係はあるのかないのか。また国家財政建前から、平衡交付金を総体的に減額しなければいけないという要請があるのかないのか、もう一度お伺いしたいと思います。
  6. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 税收を一割程度高く見積つて、半面において交付金の額を減らすという意図のもとに百分の七十を百分の八十にしたのじやないかという御心配のようでありますが、そういう意図は全然ないわけでございまして、歳入方面におきまして、交付金標準税率の百分の八十をとるということに相なりますると、それに見合基準財政需要額の方におきましても、結局臨時的な收入——雑收入起債等をもつてまかなう收入とか、あるいは使用料手数料というような特定財源のありますものとか、そういうものを除きましたものをもつてまかないまするもののほかに、さらに今の標準税率の百分の八十の残りの百分の二十で、まかなうべき経費も除きまして、要するに百分の八十の地方税と、平衡交付金をもつてまかないまする経費を一方に立てまして、それと百分の八十の標準税率でとりました地方税交付金歳入を、両方見合つておるわけであります。従つて歳入の方の標準税率を百分の八十に見まするならば、歳出の方の経費で見まする場合にも、百分の八十をとりました残りの百分の二十の税でまかなうべき経費を除くことになつておるわけであります。それは交付金法の十四條でしたかにそういうことがあるわけでございまして、これは両方から見合つておりますから、特にそれを七十を八十に上げたからと申しまして、その結果として交付金がふえる、あるいは減るというようなことはないわけでございます。
  7. 立花敏男

    立花委員 二十六年度の交付金は額がきまつておりますので、この率によつてふえたり減つたりすることはもちろんございませんが、総体的に見まして、平衡交付金というものは收入額と需要額との差額ということになつておりますので、やはり一〇%は減るというのが普通の考え方じやないかと思うのです。そういうような国家財政建前から、平衡交付金を減額せよという要請があるんじやないか、私はこういうふうに考えます。最近の国家財政建前から見まして、地方への支出は非常に削減されており、起債あるいは補助金あるいは平衡交付金のようなものが、だんだん苦しくなつておりますので、この基準率をより一層上げることによつて減らされるのじやないか。そういうことが国家の至上命令的な問題としてあつて、そうして平衡交付金法改正され、しかもそれと見合うような形で地方税法改正された、私はそういうふうに見るのが至当じやないかと思う。そうでありませんと、平衡交付金法提案理由で御説明になつております必要な財源を保障するという地方財政平衡交付金の役割が、むしろ果されないのじやないか。最初に申しましたように、去年の地方税法改正以来、徴收率は非常に悪くなつておりまして、たとえば東京都におきましても、ことしの一月における住民税徴收率は四八%にしか達していないわけです。それを八〇%とらなければいけない、従来七〇%でよかつたものが八〇%を基準とするというふうになつて参りますと、まつたくこれは逆なんです。そういうことでございますと、地方の必要な財源を補償するという平衡交付金法の本来の使命が果されないではないか、むしろ逆行しておるではないか、地方税自体が非常に徴收の困難な方向に行きつつある。この際ほんとう平衡交付金で必要な財源を補償するというのであれば、その基準率をもつと下げるべきが私は至当だと思う。ところがこれを逆に上げておる。これは何といつても私は根本的な矛盾ではないかと思いますが、この問題をどういうふうに御理解になつておるか。
  8. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 基準税率百分の七十を百分の八十にいたしました結果として直接起りますことは、測定單位單位費用というのが上つて来るということになるわけであります。たとえば道路一メートルについて、かりに千円の費用單位費用として従来見込んでおつたといたしますれば、それが千二百円になる、こういうことでありまして、そういう意味においては平衡計算の中に見込まれて参りまする單位費用が上つて来るということであります。そういう意味で、全体としては平衡の中に入つて来る額が広がつて来る。従つて平衡作用がそれだけ強くなる、こういうことだけでありまして、ただいまの御指摘のように、百分の七十を百分の八十にいたしました結果として、それが平衡交付金の総額に響いて来るというものではない、かように考えておるのであります。
  9. 立花敏男

    立花委員 單位費用お話が出ましたが、実は地方におきましては單位費用が非常に寡少である。單位費用はやはり法律できめるべきである、こういう要望が一般的なんです。この改正法案によりますと、依然として單位費用地方財政委員会規則できめることになつておりまして、今お説によりますと上げるのだというふうにおつしやられましたが、私どもは幾ら上るのかもわかりませんし、また私どもの審議の対象にはなつていないわけなんです。そういうふうにこの基準率を上げるのは、單位費用を上げることによつて補うのだというふうにおつしやられるなら、單位費用の妥当な單価の決定を、はつきりとお出しになるべきであり、同時にまたこれは当然法律の中できめるベきだと私思うのですが、私どもが出されておりますのは、ただ基準率を上げるということだけで、單位費用の方は一向問題にもしませんし、お示しになつていないのです。これでは一方的審議になりまして、実際の比較はできないと思う、この点をどうお考えになつておりますか。
  10. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 測定單位費用規則できめるということでは困るではないかというようなお尋ねでございますが、これは測定單位費用をどういうふうにとるか、またその單位費用をどういうふうに定めるかということは、非常にむずかしい問題でございまして、何分二十五年度から新しく始めました平衡交付金制度でございますから、従来の一番基準になりますのは測定單位費用とりかたであるわけでございます。これは地方財政委員会におきまして実施後鋭意研究中であり、二十五年度の財源配分等につきましても、決定するまでの段階におきましていろいろかりに決定をいたしまして、かりの單位でいろいろ計算をして非常に努力をし、検討を加えて来たわけでございますが、それでもなお今日の段階におきまして、これならば法律をもつて確定的に制定できるというような研究の結果にまだ到達していないわけであります。そういう意味におきまして二十五年度は研究段階であるということで、地方財政委員会規則でこれらの費用を定めることにいたしておつたわけでありますか、それをさらにいま一年続けて研究段階を與えてもらいまして、できましたならば二十七年度からはこれを法律化いたしたい、こういう趣旨なのでございまして、もちろんこの法律をもつて定めることが制度の本来の趣旨でございますし、一日も早くそうすべきであるのでありますが、目下段階におきましてはそこまで遺憾ながら到達しておらぬということで、二十六年度におきましてもこのように規則で定めるようにしていただきたい、こういう趣旨であります。
  11. 立花敏男

    立花委員 お話のように平衡交付金の中でも一番むずかしいのが、單位費用決定の問題であり、しかも今までおやりになつてもまだ法律化するまでには結論が出ないようなむずかしいしかも複雑な困難な問題だと思う。だからこそ私はやはり法律決定する必要があると思う。これは当然国会で民意を反映した形で、審議して決定すべき問題である、こう思います。地方といたしましてもこの問題がわからない。單位費用の問題がありますし、さらにそれに補正計数が何回か乘ぜられまして、どういう形で計算されているのかも一向わからないもわからないままにくれるだけをもらつておるんだ。もらつておればしまいには返せというような形で、非常に不明朗なものが、財政平衡交付金配分にあるわけであります。だから私は、むずかしければむずかしいだけ、当然はつきりと法文で決定すべきではないか、こういうふうに思うのです。平衡交付金ができましたときに、私どもが一番心配いたしましたのは、この金が中央から地方へのひもつきになりまして、結局この金の線を通じまして、中央の支配が地方に及ぶのじやないか、こう考えておつたんですが、單位費用地方財政委員会規則で、地方が十分わからないきめ方できめることによつて、一層その危険があるのではないかと思う。だからこういうものはこの国会で問題にし、当然法律できめるべきだと思うのですが、これを二十七年度からはおやりになるお考えがあり、また見通しがあるかどうか、これをひとつ聞いておきたいと思います。
  12. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 先ほど申し上げましたように、單位費用の問題あるいは測定單位の問題を法律できめよということは、これは平衡交付金法が現に定めておるわけでございまして、ただ目下のところ研究段階でありますので、いま一年これを延ばしてもらいたい、こういう趣旨でございまして、二十七年度からはこれを法律化していただきますように、鋭意研究を進めて参りたいと思います。
  13. 立花敏男

    立花委員 話を元にもどしますが、そうであれば、それが国会で審議されて妥当な線におちつくまでは、私は平衡交付金基準率をかえるべきでないと思う。片方のものがそういうふうにまだ不確定でふらふらしております場合に、基準率の方を先に決定してしまうということは明らかに一方的である、そういうふうに思いますので、二十七年度にそれができますたらば、この基準率の変更を二十七年度におやりになつた方が妥当なやり方ではないか、そう思います。そうでなしに基準率引上げだけをおやりになりますと、私が申し上げましたように、これは地方の軍事予算的な関係から、平衡交付金の減額が必須であり、従つてそのために基準率を変更し、そのために源泉徴收とかいろいろな形の收奪の強化をやつてつじつまを合せよう、こういうふうに考えても、これは決してむりな考え方ではない、むしろそう考える方が事実に即した考え方だ、こうなると思う。だから二十七年度に測定費用などをおやりになる場合まで、この基準率引上げを延ばされるお考えはないかどうか、これを伺いたい。
  14. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 測定單位あるいは單位費用について最終的な結論に到達しない前の段階で、基準税率定め方だけを百分の七十から百分の八十に変更するのは、調子が合わぬではないかというような御指摘でございますが、この点は先ほども申し上げましたように、二十五年度以降におきましても、新たなる事務的な地方団体財政需要が、非常にふえておるわけでございまして、そういうふうに財政需要がふえて参りますと、その経費とり方を非常に低くいたしますと、事務的でないような経費につきまして非常に強い圧力を加えて行かなければならぬ、従つて非常にアン・バランスなことにもなりますので、こういう意味から申しまして、やはり百分の七十を百分の八十の税率でとりました税でもつて、まかなえるところで押えて参りませんと、財政需要増加ということに対応いたしまして、平衡化が困難であるわけであります。また一面税がふえて参りますと、結局におきまして大都市方面、あるいは大都市を控えた府県方面税收入がふえて参りまして、非常に税の偏りというようなことが強くなつて参ります。また大規模な固定資産がありますような市町村等におきまして、税の偏在等が強くなつて参ります。そういうものを平衡的に見て調整して参りますためには、やはり百分の七十よりも百分の八十にとりました方が、より目的、理想に到達しやすくなりますので、そういう面からもこれを百分の八十にいたしたいというわけでございます。先ほど来申し上げますように、これによつて税の方をよけい見たから反面交付金を減らすというような気持は全然ないわけでございますし、また制度上も歳入歳出というものを見合つて計算をいたしておりますから、そういうような結果には相ならぬわけでございます。
  15. 立花敏男

    立花委員 大体百分の八十というような徴收率が可能なのかどうか。これは現実に昭和二十五年度の地方税徴收率から見まして、無理ではないかと私は思うのです。二十三年度、二十四年度、二十五年度とずつと見て参りまして、徴收成績はよくなつていないと思うのです。二十五年度などはずつと下つていると思うのです。こういう状態のもとで、この基準率を上げるということはう事実と逆行するのじやないか。この点を実際問題としてどういうふうに把握なさつておられるか。今までおつしやられたことは、おつしやられたこととしてはわかるのですが、そういう事実と矛盾すると私は思うのですが、事実をどういうふうにつかんでおられるか。さいぜん言いましたように、東京都では一月の初めにおきまして、住民税は四八%しか徴收されていない。全国的に見ましても一月で五〇%少し出たくらいであるというような状態のもとで、徴收率がずつと悪くなつております場合に、基準率を上げるということはおかしいのじやないか。これをどういうふうにお考えになつているかお伺いいたします。
  16. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 百分の八十という標準税率に対する基準税率とり方が、税徴收実情からいつて高過ぎはしないかという御心配でありますが、これは実際の問題といたしましては、徴收状況はそれぞれの税によつて違いますし、また非常に、百パーセントに近いような税收入を上げ得る税もあるわけでありますが、ここで申しておりますのは、要するに徴收見込額に対しましての百分の八十というところで考えておるわけでございまして、総体といたしましては二千八十七億の八〇%、こういうことになるわけでございます。具体的の税についてどういう額で押えるかということにつきましては、これはそれぞれの実際の徴收状況に応じました各種の測定標準をとりまして、それによつて出ましたものにつきましての八〇%というように押えて行くわけであります。
  17. 立花敏男

    立花委員 見込額にしろ予定額にしろ評定額にしろ、基準率を上げたということ自体が、実際の進みつつある方向とは逆じやないか。そうなりますと勢い徴收の面を強化せざるを得ない。強化しなければ平衡交付金基準率との間の穴が明いて参るのでありますから、地方自治体としては極力徴收の面を強化する。その結果といたしまして京都のように給與の差押えをしなければならないような現象が出て来るのだと思うのですが、あれがこういう基準率を上げることによつて、さらに一般化されるのじやないか、こう思うのです。特にこの問題が実は地方税法と非常に関係がありまして、さつきからたびたび申しておりますように、勤労所得源泉徴收という形が出て来るのであります。源泉徴收などをやられますと、勤労者の中には生活ができなくなる連中が私はたくさん出て参ると思います。さいぜん申しましたように五〇%内外のものが住民税が拂えない。これは決して拂いたくないから拂わないのではございませんので、拂おうにも拂えない。善良な市民であり、税金拂おうと思つておりましても拂えないのが五〇%内外の人だろう。それが源泉徴收されて参りますと、ほんとう生活費まで食い込みまして、生活できない。ここにこの平衡交付金基準率引上げと、住民生活の問題とが関連して来ると思うのですが、こういう問題についてお考えなつたことがあるかどうか、関係がないとお考えなのかどうか、承つておきたい。
  18. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 基準税率を百分の八十にいたしましたことの結果といたしまして、徴税強化することになりはせぬかということでございますが、これは私どもといたしましては、やはり税金は百パーセント納めていただくのが理想であります。そうして個々の納税者実情によりましては、納められない人もあるでありましようから、そういう人につきましては、別途に減免の規定があるわけでありまして、それの運用によりまして実情に即した措置が講じ得るわけであります。従いましてこれを百分の八十というふうに基準税率をとりましても、その結果といたしまして特に徴税強化するのだというような特別の意図はないのであります。ただ全体の問題といたしまして、やはり税は納めていただくものであるという基本考え方を持つておるわけでありまして、これも近く政府原案地方税法の一部改正法律案を修正いたしたいと考えて、一両日序にさらに重ねて修正案を提案いたしたいと考えておりますが、その趣旨は、過般の国税徴收法改正案政府決定をいたしましたその趣旨にも即応いたしまして、やはり国税徴收方式地方税の中にも大体同じようなものとして取入れて行きたいという考え方から、今用意をいたしておるのであります。これにつきましては、たとえば徴收猶予制度でございますとか、それに伴います分納の制度でございますとかいつたような、実情に即する徴税方式考えておる次第でございまして、納税基準税率定め方の問題と、徴税の問題とは一応別個のものであつて徴税方式についてはできるだけこれを合理化して参りたい、かように考えておるのであります。
  19. 立花敏男

    立花委員 もちろん形の上では直接つながつておりません。しかし実質上は私は徴税強化となつて現われるじやないかと思うのです。これはまた事実じやないかと思う。そのとられます税金が非常に拂いよい妥当な税金であればとにかくですが、今度の地方税法改正によりますと、拂えない税金になつておるわけです。たとえば扶養控除をお認めにならないとか、あるいは災害控除を認めないとか、あるいは医療控除を認めないとか、こういう形が出ておりまして、たとえば病気になりまして家産を全部療養費に使つておりまして、寝ておる者に対しましても、やはり税金はとる。あるいは百姓が台風に一夜のうちに作物を荒されましてぼう然とせざるを得ない、そういう百姓からも税金はとる。災害控除も認めない、あるいはいくら子供がおりまして扶養に困りましても、扶養控除もいたさない、こういうふうな税金になつておりますので、そういうものはいくら今言われましたように百パーセント納めるのが建前だと申しましても、納められない税金である。しかもそれを百パーセントとるというのでございますから、これはまことに何と申しますか、鬼畜にもひとしい税金だと思うのですが、そういうふうなものが源泉徴收でどしどしとられていく。それをそういうふうにやらざるを得ないように追い込んでおるのが、この平衡交付金基準率引上げである。しかも基準率引上げて、平衡交付金を総体的に減少しなければいけないというのが国家財政建前である、要請であるというように私どもも理解いたしますし、こう理解しなければ一貫してこの平衡交付金あるいは地方税法趣旨を理解することができないのですが、こういうようなひどい税金をなぜおきめになるのか、おそらくこういうような扶養控除も認めない、災害控除も認めない、あるいは医療控除も認めないというような税金は世界にも例がないのじやないかと思うのですが、こういう例が世界にどこかあるかどうか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  20. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 何か所得税の場合ですか、あるいは市町村民税の場合ですか、例をとりましての具体的のお話でありますが、私どもといたしましては、立花さんの考えておられますることとはいささか別個の見地から、先ほど来申し上げましたような趣旨で、百七十を百八十にいたしたのでありまして、これによつて徴税強化しようというような趣旨からいたしたのではないのであります。要するに地方行政が合理的な妥当な水準で行われまするように、現在の財政需要増加状況、また税の偏在の状況をできるだけ平衡化して参つて地方行政の水準を全体として向上するようにしたいという考え方から、基準税率を上げたわけでございまして、今お話のような考え方に立脚しているのではないのであります。実際の徴税の問題として非常に気の毒な事態があるということはあるでございましようが、その点は先ほども申し上げたごとく、たとえば事業をやめました場合でありますとか、あるいは非常に災害にかかつた場合でありますとかいつたような、その他同様ないろいろの事情のあります者については、従来も減免の措置が講ぜられ、あるいは納期限の延長ということが考えられた。今回はさらに徴收猶予制度考えて行きたい、こういうことでありまして、具体的の事情に応じまして、徴税方式は別個に十分考えて行きたい、こういうふうに考えておるのであります。また災害控除とか、扶養控除というようなものは、これは多くの場合所得税額を基礎にいたしました所得割の課税が行われるわけでございまして、この場合におきましては、今御指摘のようなものは当然にすでに所得税額において差引かれておるわけでありますし、あるいは第二方式、第三方式の場合にありましても、原則はやはりそういうものを差引いたものが原則でありますからして、それぞれの当該の地方団体におきまして、地方実情に即するような方針がとられる、かように期待をいたしております。
  21. 立花敏男

    立花委員 ちよつと次長のお考えは違うのじやないかと思う。所得税額を基準にした場合には、すでに控除が差引かれているから、さらに控除をする必要はないとおつしやるのですが、これは問題じやないのです。所得税額のときは、控除する必要はもちろんありません。問題になつておりますのは、総所得を対象とした場合に引かないということをはつきり言つておられるので、所得税額を対象とする場合とは全然違う。総所得を対象とされる場合に、こういう控除をなさらないということが問題なんです。それに対しましては徴收猶予というような問題があるとおつしやられましたが、これは特例として、非常に特殊な場合に徴收猶予を行うという規定は、いずれの税法にもあることはわかりますが、一般的な規定として扶養控除を認めない、あるいは医療控除も認めない、災害控除も認めないというような規定をお置きになること自体が間違いじやないか。これは決して徴收猶予の條文があることによつて、この本質がかえられるものじやないと思う。こういう税法をおつくりになること自体が大きな問題じやないか。これによりまして、実は所得税も納めないようなものに対しまして、数百万人の人が住民税の所得割だけはとられるという結果になる。所得税も納める必要がないという者は、おそらく最低生活を辛うじてやれるか、あるいは最低生活をやるにもむずかしい者だと思う。これが所得税の限界だと思うのですが、その所得税を納めなくてもいいような貧困者、これからさらに三百万人も所得割だけはとるということになるわけであります。こういう税法が正しいかどうか。しかも最近の勤労者生活は一日々々と窮迫の度を加えております。みそ、しようゆの値上り、物価の値上り、医療費の値上り、こういうものから勤労者生活はまつたく前途暗澹たるものなんです。この際に今まで所得税を納めなくていいような者から、さらに所得割だけは三百万人からもよけいとるということが、はたして妥当な税法といえるかどうか、こう点をお聞かせ願いたい。
  22. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 個人の所得割の第二方式、第三方式をとりました場合におきまして、課税総所得金額と申しますのは、原則としては所得税法における課税総所得金額でありますから、従つて今の基礎控除なり、あるいは扶養控除医療控除災害控除、不具者控除、あるいは雑損控除というようなものをいたしました後の課税総所得金額になつて来るわけでありますが、その額によりまして、所得割をとりましたのでは、その市町村の財政需要がまかない得ないというような特別な事情がありますところにおきましては、基礎控除だけをした課税総所得金額を押えて、それを課税標準としてとることができるという規定にいたしたいというのが政府の案でございます。これは今申しましたように、そうすることが例外でございますし、またそういう必要があるかないかということは、それぞれの市町村におきまして、その財政の需要と見合つてやることでありまして、所得税の減税の結果といたしまして、二十四年度に比して二十五年度は、今御指摘のように非常に多くの所得税の納税者納税義務がないことになつておるわけでありまして、従つて前年度においては、所得割を納めておりましたような者でも、今度は法律上は、所得税額だけを基礎にいたします課税標準をとります場合には、当然には納税義務がなくなつて来るわけでありますが、それだけではどうしてもやつて行けないというような市町村においては、それと別個に第二の課税方式をとりまして、しかも基礎控除だけをいたしました課税総所得金額を課税標準とした方式をとるということにしたわけでありまして、そういう道もやはり開いておきませんと、これは市町村の財政計画が成り立たないということになりまするので、そういう意味からこういう例外規定を設けたような次第であります。
  23. 立花敏男

    立花委員 私はそういう道を開いておいたらいけないと思うのです。財政上の必要と申しますと、どの限度をお考えになつておるのか、これは法律か何かではつきりおきめになるのかどうか、この点を伺いたいと思うのです。もしそういうことをはつきりおきめにならないで、單に一般的な言葉として財政上必要という言葉だけを條件としておきますと、私はあらゆる市町村が財政上の必要を現在持つていると思う。だから、あらゆる市町村がこういう方法をとるのではないかと思う。何らの制限がない、何らかの具体的な規定がない、單なる財政上の必要ということでございましたら、扶養控除も基礎控除も医療控除もやらないでいいというような場合が私必ず出て来ると思う。全国一万幾百の市町村は、大部分が財政上の必要を感じておりますのが実情でございますから、單に財政上の必要という観点からだけでありますと、おそらく全部がこれをとるのではないか、もしこれを特殊な場合だけに限定しようというならば、それに対して何らか具体的な規定をなさるお考えがあるのか、また具体的な規定として何か具体案をお持ちになつておるのか、これをお示し願いたい。そうではなしに、單に財政上の必要という観点からこういうものを控除しないという考え方は、明らかに間違いじやないか、こう思うのですが、その点について御答弁を願いたい。
  24. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 個人所得割の第二号課税方式の但書の基礎控除だけをいたしました課税総所得金額の方式によるという場合は、先ほど来申し上げまするように、市町村が財政上特別の必要がある場合ということにいたしておきたい。そうしてその財政上特別の必要があるかどうかということは、それぞれの市町村が自己の條例によつてこれを定めるということで、これは地方自治の本旨から、そういう選択任意の道を開いておきますことが必要であろうというように考えるのでございます。この場合、しからばどういう税率をとるかというようなことにつきましては、第一号の課税方式をとりました場合の累進課税等の関係から考えましても、ある段階を設けまして、累進的な税率をとることが適当であろうと思いまするが、それらのことは、要するに市町村の條例でこれを実施して行くという考え方であります。
  25. 立花敏男

    立花委員 これはもちろん第三番目の方法にも当てはまると思うのですが、これも確めておきたいと思うのですが、その点をはつきりしておきたい。たとい市町村の條例できめる、地方議会がきめると申しましても、私ども現存の地方議会が完全に地方住民の意思を反映するとも考えておりませんし、また自治庁におかれましても、百パーセント地方住民の意思が反映するとはお考えになつていないだろうと私は思う。そういう場合には、やはりある程度国民の生活を守る最低線はやはりおきめになつておく必要があるのではないか。従つて扶養控除というようなものは、これは税法上の常識的な既得権なので、こういうものをはずされるということは行き過ぎである。扶養控除の必要性は最近とみに強調されて参りまして、所得税法におきましても、扶養控除額の引上げが行われているのが実情なのであります。この場合に、こういう中央の傾向と逆行いたしまして、地方では全然はずしてもいいというような規定をお置きになることは行き過ぎではないか。私どもはそれほどまでに地方の議会を百パーセント信用することができないわけであります。それは現行の地方税法地方で実施される場合に、十分地方住民の意向を反映されずに実施されておるという実例を多々知つておりますので、百パーセント私ども地方の自治体、地方議会の運営を信用することはできません。その際にはやはり地方住民生活を守るということを重点といたしまして、最低生活を保障してやるという線を一応引いておくべきじやないか。従つて少くとも所得税法で認められておるような線は、やはりはずすべきではないのではないか、そういうふうに考えるわけです。もちろん所得税法に認められております扶養控除などにも、個々の点では矛盾があるでしようが、これは特別の方法で解決なさればいいのでありまして、扶養控除も認めない、單に地方財政の必要というような漠然たる観点、そういう漠然たる理由から扶養控除のような基礎的なものも認めないということは行き過ぎではないか、こう思うわけですが、これを改められる御意思はないかどうか。これは地方住民にとりましては、大きなシヨツクを與えるような、生活を脅かす重大な問題ではないかと私は思いますので、ひとつこの点に対するはつきりしたお考えを承つておきたいと思います。
  26. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 最初に先ほど来課税総所得金額の解釈の問題が、第二号の方式だけでなく、第三号の方式にも適用があるかというお尋ねでございますが、これはその通りであります。  それから、こういうような第二号方式の但書のようなとり方をすることは、所得税法で定められておる扶養控除、その他の既得権的なものを侵害することで、最低生活保障を失わしめやしないかということでありますが、これは基本的に申しますると、本年地方の自主性というものを考えて参りまするならば、課税標準を自主的に地方団体決定できるようにいたしますることが適当であるわけでありまして、そういう意味から各種の附加税方式というものが、前回の地方税法の制定の際にとりやめることになつたわけでありまして、むしろ課税標準につきまして、できるだけ弾力性を加え、地方団体の自主的な選択の道を開いておくということが、やはり地方自治の自主性、税制の自主性という点から申しまして、適当ではないかと考えるのであります。もちろんそういうふうにいたしましても、それが当該市町村の実情に合いまするように、地方団体が自主的に決定できるわけでございまするから、かりに扶養控除というようなものをいたしませんものを押えましても、下の方は税率を非常に低くとるようなこともできるでありましようし、また減免というような一定の規定の付記も可能でございましようし、そういうふうにかれこれ総合的に見まして、全体としてこういうものを課税標準にとりましても妥当なる負担の結果を見るようになるでありましようし、また地方財政委員会におきましては、こういうような指導をしてもらいたい、かように期待をしているのであります。
  27. 立花敏男

    立花委員 所得税を納めないものは、大体私一般的に申しまして、最低生活の保障、ここで一つ線が引けるのではないか。所得税を納めなくてもいいようなものは一応やはり貧困階級じやないかと思うのです。それからそういう数百万人の貧困者の中から地方税住民税の所得割をとるということに無理をお感じにならないのかどうか。しかもまだその上に今度は均等割をおとりになるわけですが、こういう所得税も納めないような貧困階級からこの二つの税金をおとりになるということに無理をお感じにならないのかどうか。なぜそこまで税金をとらなければいけないのか。現在でもさつき言いましたように、住民税が納められないでいるのです。それをさらに所得税を納めなくてもいいような貧困階級から所得割も均等割もとるということに無理をお感じにならないのかどうか。しかもシヤウプ勧告によりましても、こういう方法をとる場合は均等割を減らせということが書いてある。ところが、均等割はお減らしになつていない。シヤウウプですらそう言つている。なぜそれをお認めにならないのか、なぜこんなひどい税金をおとりになるのか、それに矛盾をお感じにならないか、單に地方財政の必要という観点からだけでこんなことをやられてはたまらない。地方財政が必要であれば、国家財政から出せばいいので、こういうふうに、ほんとうに貧困階級で、所得税も納まらないようなものからこういうひどいとり方をされる。しかも均等割を今まで通りとられて、ちつとも減らしていない。先ほどから言つているように、シヤウプ勧告でもこういう方法をとる場合には、均等割を減らせと言つている。それを減らしもしないで、なぜこんなひどいとり方をしなければならないのか、ひとつ御説明を願いたい。私どもどうしてもこれは納得できない。
  28. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 どうして一体所得税も納まらないようなものからとるかということでございますが、終戦後非常に地方の自治行政の規模が拡大して参つたわけでありまして、その結果といたしまして、地方に対する義務的な負担、義務的な経費の支出というものが非常にふえておるということは立花さんもよく御承知のところであろうと思うのであります。従来のような状態でありまするならば、これは一種の、行政がまだ分科していない、未分科の時代であつたかもしれませんけれども、従来のような状態で市町村の行政あるいは府県の行政が行われておりましたならば、このような地方税をよけいとるような必要はなかつたと思いまするが、国の法律によりまして地方に対する各種の義務的な経費の支出が非常に多くなつて来ているわけでありまして、そういうものをまかなつて参りますためには、全体の中央の財政計画から申しまして、税によつて二千八十五億というものを期待せざるを得ない。そういう結果といたしまして、それに見合うような税法の御制定を願わなければならぬ、こういうわけでありまして、もしも税を軽減しよう、こういうことでございまするならば、その基本の義務的な経費負担をできるだけ圧縮するようにしていただきたい、そういうようなことが必要であろうと考えるのであります。
  29. 立花敏男

    立花委員 地方経費はふえて来たと申しますが、地方の仕事の三分の二というものが国家の委任事務なんです。国家地方へ仕事をさせているから、費用がふえて参るのであります。これは何も地方住民から税金を取立てて穴埋めすることだけが方法ではない、これは当然国家が出すべきであると思います。国家に金がないかといいますと、最近どんどん使つております。開発銀行に百億円見返り資金から出すようでありますが、右から左に百億くらいの金は出せる、また出しているのであります。あるいは国家警察を増強する、二万ふやすと言つておりますが、二万ふやしますれば、少くとも五十億くらいの金はいるのであります。これをどこからひねり出して来る。こういうような形で、国には金がないわけではない、余つておる。たとえば預金部資金は四百三十億余つている。最近の話によりますと、現在四百三十億だが、さらにそれをふやすと言つている。金が余つているのに出さないでおいて、地方に金がいるからそれは税金だけでまかなうのだということは納得できない。しかも預金部資金は、去年でございましたが、これは地方に還元するのが建前だということを、衆議院でも、参議院でも決議をしているわけです。そういう金が現在四百三十億も余つている。これを地方へまわすことをちつとも考えないで、たとえば地方起債などは預金部からの何は去年よりも減つているのです。こういうことで、どうして地方住民がこの苛酷な税金を納める気になるかどうか、こういう点で政府は矛盾をお感じにならないのかどうか、これをひとつ聞いておきたい。
  30. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、警察をとつてみましても、あるいは教育をとつてみましても、あるいは消防の問題をとつてみましても、従来国が負担をいたしておりましたようなもので地方に移つて参りますものが非常にたくさんあるのみならず、移ります際において、従来国が負担をしておりました額よりもはるかに大きな額を地方負担しなければならぬ、こういうような状態になつて来ているわけであります。要するに、国がやります行政事務と地方がやります地方行政事務の配分が変化して参りますれば——要するに、大きな事務が地方に移つて参りますれば、それをまかないます税收入の面において、地方税の面においても、中央よりも地方税收入がふえて来る、またそういうふうに持つて行かなければならぬというのが当然の事理であるわけであります。将来事務の再配分が行われまして、行政の比重が中央からさらに地方に移るということになりますれば、国税は減るが、地方税はふえるという事態が起ることはまぬがれないわけであります。要するに、負担の帰着するものは地方住民でありまして、すべて国民であるわけでありますから、国税という形でとられようと、地方税という形でとられようと、国税地方税全体として負担の合理化、公平化がはかられますればいいわけでありまして、地方税がふえること自体がはなはだ好ましくないというようなことは、むしろ私どもは逆に考えているわけであります。  なお起債の問題について、資金を地方に還元するということにつきましては、私どももまつたく賛成であるわけでありまして、そういうような努力政府としても今いたしている次第であります。
  31. 立花敏男

    立花委員 地方税がふえるから悪いと一方的に言つているのじやございませんので、地方税のふえ方にも限度がある、扶養控除も認めないようなふやし方は困る、しかも地方税がふえる一方では、中央には遊んでいる金があるのだということです。さいぜんも申し上げましたが、二十四年度の国会では預金部資金は地方へ還元するという両院の決議までやつているわけです。しかもその金が四百三十億余つて、遊んでいる。こういう場合に、その限度を越えた地方税の増徴の仕方がはたして妥当なのかどうか。地方住民は納得されるかどうか、この問題です。しかも預金部資金の地方起債のわくは去年よりも今年は減つている。そういうことで地方住民が納得するかどうかの問題です。この税法のいいか悪いかはそこできまると思う。ほんとに国も困つている。金もない、しかたがないからあんたたちも相してくれというなら話はわかりますが、まだたくさん余つているわけです。変なところへ使つているわけです。この金をほうつておいて——扶養控除もない、医療控除もない、災害控除もないというようなことでは税金も納まらないじやないか。現在でも五〇%そこそこしか納まらないのに、これではおそらく数パーセントしか納まらないじやないかと思うのです。こういう税法をおつくりになつて、これで日本の地方財政を確立し、あるいは地方自治の裏づけをやるというようなことがはたしてやれるのかどうか。これをお伺いしておきたいと思います。
  32. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 この前立花さんにお答えいたしましたので十分御了解をいただいていると思うのですけれども、ただいまの立花さんのお話を承つておりますと、市町村民税の所得割の課税標準の第二方式において、課税総所得金額が常に扶養親族の控除はしないのだというふうに誤解される人も出て来るのではないかと思いますので、重ねてこの関係の説明を繰返さしていただきます。  所得割の課税標準につきまして、第二方式の課税総所得金額をとりました際に、所得税法改正が行われました結果、家業専従者等はすべて扶養親族に扱われるわけであります。そうしますと、町村等におきまして、血気盛りの三十、四十の息子さんたちがおやじと一緒に働いております際に、こういう人たちがみな扶養親族として扱われますために、所得税の納税義務をその人たちが負わないことになつてしまうわけであります。そういう場合に、一方に二十を過ぎた若い娘さんが会社へ通つている。この人は俸給をもらつておりますために、所得税の納税義務がある。その市町村において市町村民税徴收にあたつて、二十を過ぎたばかりの娘さんから所得割も徴收し、三十、四十の血気盛りの息子さんの二人も三人もいる家からは、均等割しか徴收しない、こういうことはやはり市町村民税としての立場から考えました場合には、矛盾がそこに感ぜられるだろうと思います。こういう場合に所得税法の規定でそういう方式をとつているから、やむを得ないんだというふうには、われわれはいたしたくないのでありまして、その際には市町村住民全体が納得するような所得割の課税方法を、その市町村に選ばせるという考えを持つておるにすぎないのであります。しかもこういう方法を全市町村に強制しようというのではないのでありまして、全市町村につきまして、財政收入測定いたします際には、所得割の第一方式に基きまして、その団体の市町村民税の收入見込額測定して行くわけであります。各地方団体平衡交付金制度を運用いたしまして、財源を保障いたします際には、所得割の第一方式に基いて行うというふうにするわけでございますから、財源の上からあえて扶養親族の控除を認めないような方式を強制するということはあり得ないわけであります。ただ市町村が何か特別の仕事をしたい、あるいは何かほかの事情から財政が困難であるという場合には、法定外の普通税を設けてもよろしいわけであります。あるいはまた市町村民税の所得割の第二方式をとりまして、先ほど申し上げましたような矛盾の解決をはかり、かたがた所得割の收入増加をはかつてもよろしいというふうに考えておるわけであります。收入増加をはかります道は、何ら所得に限られておるわけではありませんので、その市町村の最も納得するような、その市町村全体として均衡のとれた方式が選ばれていいと考えております。財源全体といたしましては、やはり第一に、所得割につきまして第一方式に基くところの徴收を行つて、なお不足をする部分について第二方式が行われるわけでありますので、その点はよく御了承願つておきたいと思うわけであります。
  33. 立花敏男

    立花委員 そんなことはわかつている。そんなことを言つておるのじやない。扶養控除にそういう欠点があれば、それはそれとして別個に是正すべき方策を講ずべきであつて扶養控除全体をはずしてしまうというようなやり方は、明らかに間違いだということを言つておるにすぎない。それから他の事情から財源が必要な場合にはそういう方法をとるとおつしやいましたが、他の事情から財源が必要な場合には、第一に考えられることは平衡交付金だ。平衡交付金はそのためにあるのだ。平衡交付金をその場合には考えるべきであつて、特に扶養控除をはずしてしまうような考え方だけをまず最初に考えて、それだけで解決しようとする考え方が間違つておるということを言つておるわけなんです。あるいはそのほかには地方起債の問題もあります。そういう問題を考えるべきであつて、特別の事情から財源が必要であるならば、扶養控除をはずしてしまつてもいいんだ、そこにすぐ持つて行くような考えが間違いだということを言つておるわけなんです。現在の地方住民生活からいたしましても、それはむりだ。特に所得税も納められないような者からとるような形は、行き過ぎだと言つておるにすぎないのであつて、あなたの言われることは、この間も言つておりますのでわかつております。しかしそういうものすごい税金を百パーセントとるということが、今度の平衡交付金基準率を上げたということと関連しておる。前には平衡交付金法改正案が出て来ておりませんでしたが、たまたまこれが出て参りましたので、ここに原因があるのだということがわかつたわけです。こういうことを考えておるから、今言うような鬼にもひとしいような税金を百パーセント取上げるという形が出て来ておるので、こういうところに原因があり、こういうことを直そうとしない限りは、どうしても今言つたようなことが起つて来る。今でも拂えない、生活に困つておる者からさらに税金をとる。シヤウプさんの言つておるような均等割の軽減もやらない、こういうことが出て来ておる。あなたはまだ若いのだから、よく考えていただきたいと思う。  それからこれが裏づけられておりますのは、最近東京都では悪税反対の会合をやらせない。警察がとめて来る。悪税反対の会合をなぜやらせないのか。これは悪税はどうしても悪税だと思うので、むりやりにとつておるから、悪税反対の会合を禁止する。今度はほんとうに文字通り悪税に地方税はなつてしまうのですが、これをやはり会合を禁正してまでおとりになる政策をおとりになるつもりであるかどうか。これは東京の築地警察がとめて参つておりますので、実際に事実があるわけですか、自治庁としてはそういうお考えはあるのかどうか。この税法に対しましては、おそらく各自治体で徹底的な反対が起ると思うのでありますが、悪税反対の会合あるいは演説会を禁止されるお気持があるのかどうか、これをお聞きしておきたい。  それから最近各地方では地方公務員に対しまして、お前さんたちはこんなひどい税金をとつてはだめじやないかというビラをまきますと、地方公務員法でこれらを逮捕しておるが、こういうことを今後も続けられるお気持かどうか。あの地方公務員法をきめる場合には、この問題は重大な問題だつたわけです。地方公務員法は地方公務員に対する法律かと思つておりますと、何人といえどもという文句がございまして、地方公務員に対する宣伝、煽動の罪は何人がやつても、地方公務員法で罰せられるという條文があるのですが、それが現在生きて来ておるわけです。お前さんたち、こういう悪い税金をとるのをやめろと書いたビラをまきますと、三十七條かで逮捕されるのですが、こういうことを矛盾とお考えにならないですか、どうですか。この二つをお伺いしておきます。
  34. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 悪税反対の運動あるいは演説会というようなものをやることが、いいかどうかというお話でございますが、これはそういうこと自体を特に押えたものはないと思いますが、今の集会の届出あるいは許可に関しまするそれぞれの地方団体の集会の届出、あるいは示威行進の届出というような條例の適用はあるわけでございますから、そういうものに触れないのならば、地方公務員以外の一般のものでありまする場合におきましては、そのこと自体はいいと思います。  それから地方公務員が悪税反対をやつた、悪税反対ということは具体的にいつて、どういうことをやつたのでありますか、その具体的な内容を見ませんと、一概には申し上げられませんが、要するに特定の内閣なり、特定地方団体の執行機関に反対するという目的を持つておるかどうか、公の選挙または投票において、悪税反対というような一つのそういう事件を支持するか反対するかどうかという二つの事柄から、政治目的を有するかどうかということをまず第一に判定しまして、さらに地方公務員法で列挙しておりますような、具体的な政治的行為に触れるような行為をいたしました場合におきましては、その地方公務員は懲戒処分の対象になるわけであります。
  35. 立花敏男

    立花委員 地方公務員がやられるのはいいのですが、ビラをまいた第三者がやられる。これで地方公務員法をおつくりになつ意図が、非常にはつきりして来たと思う。地方公務員はわくに入れてしまつて、わくの中の羊のように外からえさをやつた者は全部しばつてしまうような形が出て来たことは非常に困つたものだと思う。地方公務員法自体が全部を奴隷的なわくの中に入れてしまつたということになりまして、非常に困つたものだと思うのです。しかしまた逆に考えますと、政府地方公務員をどう使うかという意図がより一層はつきりいたしましてけつこうだとも思つておるのですが、これはこのくらいにしておきます。  それから次にお伺いいたしますが、百八十億の税外收入の問題ですが、これは税金に転嫁されるおそれが多分にあると思うのですが、地方財政委員会と大蔵省との意見の食い違いは、百八十億の税外收入は実際上地方が手数量、使用量等を増徴いたしましてまかなう見通しがあるかどうか。これがもし予定通り入りません場合は、何らかの名目の税金に転嫁されて来るのじやないかと思うのでありますが、これをちよつと聞いておきたいと思います。
  36. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 最初の悪税反対の運動の問題でありますが、これはちよつと私申し落しましたので、つけ加えて申しておきますが、要するに国税犯則取締法にひつかかりまする行為をいたしますれば、それはそちらの方でひつかかつて来るわけであります。ただ地方公務員法によりまして、何人も公務員に制限されたような政治的行為をやつてはならないということにつきましては、政府の原案では罰則の規定があつたわけでありまするが、たしか国会の御修正によつて、その罰則の規定は落ちておりまするから、公務員法からは参りませんけれども、今の国税の犯則取締法の規定が動いて来ることになると思います。なお税外收入の問題は財政課長から申し上げます。
  37. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 地方財政委員会といたしまして、昭和二十六年度の税外收入を、一般会計におきましては三百六十七億ほど見込んでおるわけであります。これは御承知のように、学校の授業料も入つておりますし、あるいはその他の道路占用料でありますとか、あるいは河川敷の使用料でありますとか、あるいは特別な器具に対しまする手数料等を包含しておるわけであります。この程度のものは、従来の経緯から見まして、増收できると思つておりますが、ただ問題になりますのは、予算に付記されましたように、二十六年度において財政需要増加する、その財政需要増加する部分に充てられるべき財源として一挙に百七、八十億円の税外收入増加する、こういうことが私にはちよつと理解できないわけであります。
  38. 立花敏男

    立花委員 私には理解できないということは、どういうことなんですか。そういうことになつて参りますと、理解できないようなものが予算に出ておりますと、これは税金の形か、寄付の形か、何らかの形でとられざるを得ないと思うのですが、その理解できないという根拠を御説明願いたい。
  39. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 これは考え方の相違によるものだろうと思うのであります。競輪收入でありますとか、競馬收入でありますとか、あるいは宝くじの收入でありますとか、そういうものもやはり税外收入の中に入つて来るわけであります。こういうものが一挙に全地方団体にわたつて行われるようになりまして、各地方団体の必要といたしますところのベース・アップの財源に充てられるとか、あるいは新しい教科書を市町村が買つて交付する、そういう財源に充てられるというふうな事態が来れば、財源も見込めるのかもしれませんけれども、やはり考え方には若干相違があるのではなかろうかというふうに思つております。
  40. 立花敏男

    立花委員 それでは競馬、競輪というような、ばくちみたいなことをやつて金が入らなければ、何ともしようがない、つじつまを合わすためには税金でとらざるを得ないかもしれない、こういうふうに解釈してよろしゆうございますか。
  41. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 立花さんの御質問は、予算に付記されておる百八十何億の数字であろうと考えましたので、私がそう答えたわけでありますが、百八十何億の税外收入昭和二十六年度の増加財政需要に充てられるという数字をつくりましたのは大蔵省でございますので、そちらの方にお尋ね願いたいと思います。
  42. 立花敏男

    立花委員 大蔵省が来ておりませんので、あなたが知つておるだろうと思つて尋ねたのですが、結局あなたはわからないのですね。それならいいです。  それから奧野さんについでに聞いておきますが、この間あなたが御説明になつた場合に、附加価値税の資本家の部分の申告納税の場合には、更正決定はやらないのだ、更正決定はやる必要がないので、やらないのだというふうに聞いたのですが、そうなんですか。
  43. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 附加価値税の概算納付につきましては、従来更正決定の権限を認めておりませんでした。それが概算納付の内容を二つにわけまして、当該年の見込みに基きまして納めますものを、概算申告納付と呼ぶことにいたしました。これは当該年の見込みに基くものでありますから、更正決定の権限は認めなければならない。前年の実績に基きまして納めますものは、やはり従来通り概算によることといたしまして、更正決定の権限は認めないことにいたしております。
  44. 立花敏男

    立花委員 ちよつと鈴木君に忘れないうちに念を押しておきますが、現在私ども地方公務員法第三十七條で検束されておる者を知つているのですが、鈴木君の言葉によりますと、公務員法では罰則がないからそれはやれない、またやらないとおつしやつたのですが、間違いございませんか。
  45. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 その点は政府原案におきまして入つておりました罰則を、国会において御修正に相なりましたので、その結果として公務員以外の者に対しまする、何人も職員に禁止された政治的行為をやるようにそそのかしたり、あおつてはならぬという規定は、道徳的な——道徳的と申しますか、法律的な義務でありまするが、ただその義務に違反した場合、これを制裁する規定がないという結果に相なつております。
  46. 立花敏男

    立花委員 私どもその事実を持つて参りますから、ひとつそれが違法であるかどうかということを、はつきり自治庁の方から御連絡願いたいと思います。  それから固定資産税の問題ですが、たとえば神戸におきまして、固定資産税は大体年間五億を見込んでおるわけです。ところが約二億近くの金が中央できめるようになつておりまして、たとえば三菱化成とか何か大きいものがあるわけで、こういうものが全然未收になりまして、しかもその額も確定していないということになると、地方財政が非常に困るのですが、なぜこういう方法をおとりになるか。一方、土地家屋に対する零細なる部分は、ぴしぴしやつております。家屋の差押えもやつているくらいなんですが、こういう巨大な、中央できめる部分については、一向にほつたらかしだということが出ておるのですが、これは一体どうなつているのか。
  47. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 立花さんのお話は、少し内容がわかりかねたのでありますけれども、御承知のように鉄軌道とか、船舶とか、発送配電施設、こういうものにつきましては、地方財政委員会が価格を決定いたしまして、それを関係市町村に配分するわけであります。そのほかに、たとえば工場等につきましては、その工場施設から上りますところの固定資産税收入というものが、当該地方団体財政需要をオーバーするというような場合には、その地方団体にその收入を独占させるということは穏当ではないと考えられますので、こういう部分につきましては、地方財政委員会が評価いたしまして、これを関係市町村に配分するという方式をとつております。従いまして、一つはその地方団体に財政收入を独占させるということが穏当ではないというものであります。もう一つは、それらの固定資産が多数関係市町村にまたがつて所在いたしますために、個々の地方団体が評価するよりも、地方財政委員会がまとめて評価をして、価格を配分する方がよろしい、こういうふうに考えられるものであります。大体この二種願でありまして、今申し上げましたような必要から、価格を配分することにしているわけであります。しかしながら、鉄軌道等でありましても、関係市町村が一都道府県内にとどまりますものは、二十六年度からはその権限を都道府県知事に持たせるようにしたいと思います。
  48. 立花敏男

    立花委員 それはわかつておるのですが、なぜ地方收入が遅れておるのかということを聞いておるわけです。
  49. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 地方財政委員会が価格を決定して配分いたしましたものが、特に遅れているという事情がわからないのです。あるいはたまたま若干のものにつきまして、価格の決定が遅れたというものがあるかもしれませんけれども地方財政委員会が価格を決定いたしまして配分いたしましたものは、むしろ大企業でありましようから、確実に收入が入るはずではなかろうかというふうに考えております。なお立花さんの疑問に思つておられる点を具体的に教えていただきましたら、さらにそれについて調べました上で答弁をしたいと思います。
  50. 立花敏男

    立花委員 ぜひこれは調べてもらいたいと思う。そうでないとその大きなやつが入りませんので、その肩がわりが地方の小さい固定資産に来るというわけなんです。神戸で特に大きいのは船舶です。こういうものは一文も入つていないのです。幾らになるかも、数字が来ておらないわけであります。船舶、それから阪神、阪急、山陽、神有、こういうものがわからないわけであります。しかも五億の固定資産のうち、二億くらいある。これが完全にわからない。しかたがないから、財政のつじつまを合すために、地方の小さいものを一生懸命取立てるという形が出ておるので、建前はわかるのですけれども、なぜ地方收入にならないのかということを、事務上で追究していただきたいと思います。それではあとでまた質問します。
  51. 前尾繁三郎

    前尾委員長 大石君。
  52. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 鈴木さんに質問いたします。私は立花さんのように長くいたしません。すこぶる簡單にいたしますから、どうぞお答え願います。自転車税、荷車税、接客人税は、一体いかほど年額おとりになつておりますか。ちよつとお知らせ願います。
  53. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 自転車税は十四億三千九百万円であります。荷車税は十二億六千六百万円、接客人税は一億五千万円であります。
  54. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 来年度からこの自転車税、荷車税、接客人税な撤廃するお考えは、持つておられないでしようか。
  55. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 自転車税、荷車税、接客人税等につきまして、来年度から撤廃する考えなきやというお話でございますが、大石さんの御意見は、こういう零細なものに課税するようなことは、なるべくやめた方がよくはないかということだろうと思いますが、来年度につきましては、大体全体の地方税といたしまして、二千八十七億というものを一応計画の上で予定しております。二千八十七億のわくの中に、今御指摘の三つの税も入つておるわけでございまして、来年度からこれをただちに廃止するということは困難であります。しかしながらたとえば接客人税というものにつきまして、将来これを廃止するということは、政府としても検討いたしていいと思いますし、自転車税、荷車税等につきましては、地方の財政の需要とにらみ合せまして、将来もこれをいかようにするか、税率を下げるとか、その他のことも検討を加えて参りたいと思つております。
  56. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 ただいま鈴木さんは将来とおつしやいましたが、将来ということは何を意味しておるのですか、ちよつとお教え願いたいと思います。
  57. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 二十六年度は困難であるということを、今申し上げましたので、要するに二十七年度以降におきまして、いかようにするかということを考えて参りたいということであります。
  58. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 それから接客人税ですが、この接客人税は、たとえて言いますと、洲崎、吉原、ああいうところは一時間何ぼでいわゆる婦人が肉を売つている。あそこは一晩に幾らでとめるのですが、あれは旅館業ですか、それとも特殊飲食店なのですか、その区別をはつきり教えていただきたい。
  59. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 特殊飲食店として許可を受けないで、あるいはカフエーとか料理店というようなかつこうで許可を受けておるようであります。
  60. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 それだつたら、自転車税とか荷車税とか、こういう零細なものをとらぬで、一晩幾らで人をとめているのですから、旅館業として旅館の営業税をおとりになるお考えはございませんか。
  61. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 税法は、宿泊について課税するということになつておりますので、いわば宿泊ということでありましたら、税法土は課税できるわけであります。しかしその実態はもともと脱法的な行為を行つておるわけでありますから、的確に把握することは困難でありますために、あるいは大石さんのお考えのようには税法が運営されていないかもしれません。しかしながら税法建前は、旅館として許可を受けておるかいなかということでなしに、料金をとつて宿泊させるという事実があれば、遊興飲食税対象になるものだと考えております。
  62. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 鈴木さんも奧野さんも、あなた方アメリカを御観察になつて、こういうところまでごらんにならなかつたのですか、それについてお尋ねいたします。
  63. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 アメリカに行きました際に、そういうところまで見たかということでありますが、遺憾ながら勉強不十分でございまして、そういう方面は経験しなかつたのであります。ただいま財政課長から申し上げましたように、現在の遊興飲食税は、遊興飲食税という名前についてもいろいろ御議論もあるようでございますが、戰時中にできましたようなそういう色彩を今日でも持つておるわけでございまして、そういう点から申して、将来これを逐次改善して行かなければならぬと思つておりますが、現在の状態におきましては、宿泊という事実に対して、あるいは飲食という事実に対して、そういう事実がありますならば、その料金を課税標準として一定の税額をとる、こういう建前になつておるわけでございます。
  64. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 せつかくあなた方お二人アメリカを御視察になつて、表面を見て来ただけでは、まるでニユース映画を観賞しているのと同じことだと思います。アメリカにもこういうところがあるはずだと思います。おいでになつたら、こういうところまでごらんになつて、アメリカはこういうふうなところをどういうふうな税率でとつているかというところまで視察しなかつたら、何にもならないじやありませんか。あなた方何しにアメリカに行つて来たのですか。表面ばかり見て来たつて何にもなりません。裏面もやはり見て、そうしてこういうふうなところがある、こういうふうなところは、どういうふうな税率をとつているかということまで見て来てこそ、アメリカを視察した値打がある。あなた方は何しにアメリカに行つて来られたか、それをあなた方に聞きたい。
  65. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 アメリカにおけるこういう遊興あるいは飲食に対する課税の状況がどうかということであると存じますが、これはあるいは大石さんの方かよく御承知であろうと思いますけれども、いろいろ売上税といいますか、小売税といいますか、そういう売買の事実がありました際に、数パーセントの税金をとつている。あるいは市がとり、州がとるというようなこともある。それから映画館等に入場いたしますものにつきましても、同様に低額のものをとるという事実はあるようでございます。はたして特殊飲食店における狭義の遊興について、課税をしておるかどうかは、おそらくこれはしておらぬと思いますが、そういうアメリカの状態に比較いたしますれば、私ども遊興飲食税が率が高いということは、十分承知いたしておるのでございます。これは要するに、先ほど申し上げましたように、全体の地方行政の規模を圧縮できるか、あるいは何らかこれにかわるべき適当な財源があるかどうかという問題でありまして、私ども遊興飲食税がこれだけとるのが当然だというような気持は全然持つていない。やむにやまれない、背に腹はかえられないという考え方であるのであります。
  66. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 私は奧野さんにお尋ねしたいのですが、奧野さんはこの接客人税を来年度から廃止するとおつしやいましたが、ここに速記にとつておきたいと思いますから、はつきりしておいていただきたいと思います。
  67. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 接客人税を廃止するということを言うたということでありますが、ちよつとお話の内容がわかりかねるのでありますけれども、かりにそう考えましても、私の一存だけで廃止するというわけには参りません。しかしながら、個人的に考えますれば、接客人税というのは人頭税でありますので、接客人に対してだけこの人頭税を残しておくことは、将来の税制を考えました際に、よほど考慮しなければならぬ問題じやなかろうかというふうに従来から考えておるわけであります。将来さらに地方税制の改正にあたりましても、この考え方は持ち続けて行きたいと思います。
  68. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 私は去年からここでたびたび申し上げておるのですが、一体接客人税をとつておるところは、世界広しといえどもおそらく日本しかないと私は思うのであります。先日自由党の野村先生も御発着くださつたそうですが、おそらくこういうものに税金をかけておるところは日本しかないと思う。婦人が一時間何ぼで肉を売つた。その肉に対して政府税金をかけておる。これだつたら公娼制度を認めておるのと同じことである。一時間何ぼでその肉を売つた者に対して接客人税をとつておるとすれば、日本にはいまだ公娼制度が残つておるということを是認してもよいというわけになる。だからこの接客人税は来年度からぜひとも廃止していただきたい。ここにいらつしやる先生方も、おそらく私と同意見であると、私は思つておるような次第でございますが、ぜひともこれに対しては来年度から廃止していただきたい。そしてあなた方はどういうふうな御見解を持つていらつしやるかということについで、私は再度お聞きする次第であります。
  69. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 接客人税につきましては、確かにいろいろ問題があるわけでございまして、従来古くからの娼妓賦金というような形で出ておりましたようなものの一種の変形でありまするので、そういうものは確かに好ましくないわけであります。ですから税額といたしましても、先ほどの自転車税、荷車税に比較いたしますれば、少い額でありますので、将来適当な時期にぜひ改正をして、廃止いたすような方向に持つて参りたいと考えております。
  70. 床次徳二

    ○床次委員 平衡交付金法改正理由の第三点として、標準財政需要額の算定に対する單位費用の問題が上つておりますが、これが現在なお研究段階にあるということと、将来の行政事務の再配分がまだ確定していないということが理由として上げられておりまするが、今日までの法律建前から申しますならば、この範囲は法律で定め得るように政府当局においても準備が進んでおるのではないかと思うのであります。そこで私どもの感じから申しますならば、この平衡交付金單位費用というものの定め方いかんは、将来の地方財政に非常に大きな影響があるので、一日も早くこれを確立いたしたいという要望を持つておるのでありまして、できるならば、従来のような財政委員会の規定でなしに、法律でこれをきめておく。これは一日も早くそうありたい。これが不十分なために、今日の地方財政の基礎を怪しくいたしておると、私ども懸念いたしておるのでありますが、今日どのような程度までこれが研究されておりまするかどうか、それを承りたいと思います。
  71. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 平衡交付金測定單位單位費用法律化することは、現在の平衡交付金法の要求でもございまするし、政府としても一刻も早くそういうふうに持つて行きたい、またそれが法律化せられますることは、御指摘のごとく平衡交付金の算定の基礎を的確にするものでございまするから、そうありたいと思うのでございまするが、何分にも非常に広汎の測定單位を用いて、財政全体の規模を測定するわけでございまして、たとえばアメリカ等において行われておりまする学区についての平衡交付金方式のように、教育費一つだけの問題でありまするならば、これは比較的簡單でございまするけれども、すべての経費についてこういうような測定をいたしますことは、実は世界に類例のない非常にむずかしい問題であるわけでありまして、それだけに軽々に決定することについては、いささか躊躇せざるを得ないわけであります。しかも政府の各省にも関係のあることでありますので、いま一年地方財政委員会を中心として、十分研究してみたいと考えております。
  72. 床次徳二

    ○床次委員 非常に複雑な研究を要することにつきましては、私どもももつともと思うのでありまするが、この研究されました結果が、今日採用しておりまする数字と、その趨勢におきましてはたして大体合致しているかどうか。私の考え方から申しますならば、ほんとうに調べて参りまするならば、現在地方財政委員会で使つておりまする單位費用というものを、相当上まわるのであろうと推察されるのであります。單位費用に相当の開きがあるのを、依然として委員会規則でそれを採用して参るとなりますならば、これが地方財政に非常に影響があるのであります。今日まで御調査なさつた段階におきまして、ある種目でもよろしいのでありまするが、現在採用しておられるものと、法律の規定に採用せられようとしたところの基礎單位と、数字がどのようだ傾向を示しておるかどうか。すでにおわかりになつたものがありますならば、そのおわかりになつたものにつきまして、大体の趨勢でよろしゆうございますから、お聞かせくださればけつこうでございます。
  73. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 單位費用をきめますにあたりましては、各地方団体を通じまして、どの程度標準的な支出をしているかということを調査しなければならないわけでございますが、その標準的な支出を満たすに足りる單位費用であるかどうかということも問題はあるわけであります。もともと税收入は七割しか算定の基礎に入れておりませんし、また平衡交付金の総額の中でも、一割を特別交付金として除外しておりますので、この部分は標準的な財政需要をそれだけ圧縮して、單位費用計算しなければならないということは、御了解いただけると思うのであります。従つて現在の地方財政平衡交付金制度における基準財政需要額というものは、行政の最低規模を保障するという形において運用されているわけであります。標準的な規模を保障するというよりも、最低限度を保障するという形において運用されて参るわけであります。最低規模ということになりますと、たとえば小学校費を考えました場合に、小学校の先生の給與を拂つて行かなければならないが、その給與というものはやはりあるべき給與額を下まわつて、きめるわけには行わないだろうと思うのであります。大体支出すべき額そのものが最低規模になるだろうと思うのであります。標準と最低とが大体マッチしてしまうということになるだろうと思うのであります。これに反しまして、道路費などになつて参りますと、三・六メートルの幅員にするか、あるいは八メートル以上の幅員にするかというような問題もございましようし、あるいはまた鋪装道路にするか、あるいは砂利道路にするかという問題もございますし、あるいはまた舗装にいたしましても、コンクリート道路にするか、あるいはアスファルト道路にするかという問題もあるわけであります。従いまして、こういうような部分につきましては、標準的な財政需要あるいは最低限度を保障する財政需要との間には、かなりなギヤツプがあつてしかるべきであろうと思います。こういう意味合いにおいて、大体標準的な財政需要の八割近いものが、基準財政需要として單位費用の中に含めて、算定されておるというように考えていただけばよろしいのではないかと思います。
  74. 床次徳二

    ○床次委員 ただいまの御答弁がありましたが、さような立場から今日の地方財政を見て参りますと、地方財政は少くとも二割くらいは、標準の規模よりも少いということが明らかに言えると思う。こういう立場におきまして地方財政が運用されることは、はなはだ好ましくない。結果におきましては、たとえば教育費につきましては、標準教育費を確保するための單行法律も出さなければならぬ。あるいは警察の問題につきましても、それぞれそういう必要が生じて来るのではないかと思う。本来の平衡交付金がその目的通りにと申しますか、地方の財政を確保する目的に役立つような配分方法をとるべきではないかと思うのでありまするが、あまりにも不自由がありますならば、どうしても個々の費目に対してこれを確保する法律案を出さざるを得ないことになるのではないか。今日まで私どもは、平衡交付金法が一日も早くりつぱなものになりまして、個々の費用につきましては、財源確保の方法をとらなくても、これによつて間に合わせることができるのではないかということを期待しておつたのでありますが、非常に手間がかかるならば、私どもの期待は著しく裏切られるので、やはり個々のものに対しましては、確保の方法を講じなければならぬということにもなると思うので、その点に関しまして、お見通しを伺いたいと思います。
  75. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 平衡交付金の中にできるだけ暫定的な補助金あるいは交付金の類を入れまして、一本の形において地方団体に財政調整の意味で交付するということが、地方自治の自主性という見地から考えますと——個々の費目につきまして、補助金とかあるいは平衡交付金というような形にいたしまして、それぞれ色々のひもをつけて交付いたしまするよりも、やはりより地方自治の自主性に即応するものであるというふうに私ども考えておるのであります。これがなかなかきまらないで、今のような状態で持続して行くよりは、むしろばらばらにして、ひもつきになつてもその方がよいではないかというお尋ねでございまするか、私どもといたしましては、やはりこれだけの新しい制度でございますので、いま一年この研究を重ねまして、できるだけ合理的なものにいたしまして、それでやるようにして行きたい。せつかくここまで参りました努力を中途にして放棄いたしまして、また従来の方式にもどるということは、たとえば大都市等につきましては、不当に多くの金が補助金という名において行くというようなことになりまして、財政の均衡を保つことが困難であり、行政基準を全体として引上げる方法から申しましてやはり適当でないというふうに考えております。
  76. 床次徳二

    ○床次委員 終りにもう一つ伺つておきたいのですが、この問題が未解決のために、今日地方で要望いたしておりまするところの平衡交付金が、予想通りに予算において獲得できないということに関係して来るのではないかと思うのです。予算の方の問題は別個の問題とお考えになると思うのでありますが、実質においてはこの單位費用がこの問題の大きなかぎになつておると思うのであります。自治庁の立場におきましても、従来平衡交付金の金額の少いことに対しては、すでに意見を表明しておられますし、財政委員会その他におきましても、たびたびそういう意見を聞いておるのであります。原因はこの單位費用の問題から発しておるのだと思いますが、当局においてもさようにお考えになるかどうか、この際承つておきたいと思います。
  77. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 平衡交付金測定につきましては、結局見込額をとるようになつておるわけでございますが、御指摘のように、單位費用なりその基礎の測定單位法律で明確に定めまして、機械的に算出できるような形になりまするならば、そういう際におきましては、交付金の増額の要求というものはより客観的な動かしがたい基礎に立つわけでございます。そういう意味ではこれを法定するということは望ましいことと考えておるのであります。ただ先ほど来申し上げますように、どういうふうにするか——標準的な経費の八〇%程度という概略のことはわかりましても、中には義務的な経費もありまするし、また比較的程度の薄い経費もあるわけでございますから、個々の費目の單位費用をどうするかということにつきましては、非常に問題があるわけでございまして、その研究を見た上でございませんと、今ただちに法定基準についてどうということは困難である、かように考えるのであります。
  78. 門司亮

    ○門司委員 全体についてちよつとふに落ちないところがありますから、聞いておきたいと思います。  この前も聞きましたが、法の三百五十條が削除されておりませんことは——この間のお話のようなことで、削除してもしなくても、こういうものはあつてもなくてもよい條文ですから——私はない方が目ざわりでなくてよいと思つたが、置いておいてもじやまにはならないと思うのですが、ただここで考えますのは、これから来ております今年の地方財政の見積り額であります。参考資料を見ますと、これはやはり賃貸価格を基礎としたということになつている。ところがこの三百五十條をのぞいてみますと、当然法の精神であります時価ということが考えられて来る。われわれは賃貸価格の九百倍が必ずしも時価でないということは、はつきり申し上げられる。予算の面だけは賃貸価格をやはり基礎にして勘定されて、ほとんど前年度と同額が算定されているが、一体政府は今の賃貸価格の九百倍が正しい時価であるとお認めになつているかどうか。この算定に狂いがありますと、地方財政全体に非常に大きな狂いを持つて来ると思う。土地、建物に対する総額は四百億でありますが、この四百億が、かりに半分に測定されると二百億に減らなければならぬことになる。あるいは三分の二になりましても、やはり百億余りが当然減らなければならぬことになる。ここに今年の地方財政に大きな歳入欠陷を来すがんがあるではないかと考えるが、この点政府は現在の九百倍が正しいと考えて、予算を組まれているかどうか、はつきりさしておいていただきたい。もし正しいという確信があるならば、その事実をはつきり示しておいてもらいたい。
  79. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 固定資産の土地、家屋につきまして、二十五年度においては賃貸価格の九百倍というところで押えたわけでありますが、本年度もそれと同じような九百倍で固定資産税の見込額をはじき出すのは、危険ではないかということでございます。これは先般も申し上げましたように、個々の具体的な土地なり家屋なりの倍率ということになりますと、これは千差万別なのでございます。山林等のごとく非常に高いものもございましようし、あるいはこれとまつたく逆のものもあるでありましよう。それで個々の具体的な問題としては九百倍ということは正確でございませんので、これは時価によつて評価をいたすわけでございますが、しかし総体の額を押えます一つのめどといたしましては、大体今まで地方財政委員会等におきまして研究をした結果といたしましては、九百倍ということではじき出すのが、最も妥当であるという結論に到達したわけでございます。従つて総額計算といたしまして九百倍の数字をとりましたことは特に無理がない、かように考えているのであります。
  80. 門司亮

    ○門司委員 それならば私は聞いておきます。財政研究会の発表を見ましても、大体東京だけ九百十九倍という数字が出ておつて、大阪は、商工会議所の報告を見ますと六百六十六倍という数字があげられております。国税庁が発表いたしておりますものを見ますと、関東から北信越の土地は二百五十倍から三百五十倍くらいの程度ではないか、こういうふうに考えられます。たまたま山林等においては二千から七千倍というものがあるように考えられるが、しかし山林の二千倍から七千倍の数字が出て来るのは、地租改正のときに、明治二十年から三十年の賃貸価格は当然かえられなければならなかつたのに、かえられずにそのまま放つてつた結果今日そういうことになつているので、必ずしも時価がそうなつたのではないと思う。こういう面から考えてみますと、政府の言う九百倍が正しいということはどう考えても当らぬので、はつきりしておきたいと思いますのは、ことに農地であります。農地に対しましては一体どのくらい見込まれているかということである。かりに農林省の決定事項を見てみましても、小作料を三倍に上げました策定の基礎となる一反の收益というものは、大体四百九十八円五十三銭というような数字が出ておつたので、これに国債利子五分五厘をかけて逆算して参りますと、大体九千六十三円くらいの数字が出て来る。税金は一体どのくらいかけているか、自作農創設特別措置法で買上げた価格の二二・六倍ということになると、これは御存じのように全国平均いたしまして七百六十円になります。そうすると、これは一万八千円になり、現存税金は一万八千円にかけられている。ところが数字の面からみて、この特別価格九千六十三円というのは正しいので、どこをつかれて九百倍というような勘定をされているのか、はたしてそういう時価を見積ることができるかどうか、理論的にはつきりした根拠を示しておいていただきたい。
  81. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 農地の価格をどう評価するかという問題も、地方財政委員会が評価基準をきめなければならない大切な問題でありますけれども、現在地方財政委員会と農林省との間におきましても、この算定の方式につきまして寄り寄り相談いたしておるわけであります。しかしながらその結論としては、大体昨年行いましたところの評価額程度に評価してさしつかえないのではなかろうか、個々の農地についても違いますから、なお多少結論は違つて来るかもしれませんけれども、大体において大同小異の話合いになつておるわけであります。一般の土地、家屋の評価につきまして、大阪の例をあげられたのでありますけれども、土地、家屋につきまして特に深い関係を持つております勧銀の調査によりますと、これはまた家屋などにつきましては、多少上のところもあるわけでありますけれども、昨年行いました賃貸価格に対する一定倍数をかけた金額というものが、全体を通じましてはそれほど大きな差を生じて来ないのではなかろうかという見込みが立つておるわけであります。
  82. 門司亮

    ○門司委員 そうするとこういう結論でよろしゆうございますか。実は私はそういうことに承服はできないのでありまして、一体一反が一万八千円で売れるところがあるならひとつはつきり示しておいていただきたいと思う。おそらく私はないと思う。畑の一千八十倍という数字が出ておりますが、一千八十倍に勘定して売れる畑がはたしてあるかどうか、おそらく日本全国探してもなかろうと思う。従つて大体考えて、それくらいでよかろうということでは、私どもは法の建前からいうと承服できないのであります。従つて政府見積つておりまする価格に、先ほどから申しまするように非常に大きな歳入欠陷を来すであろうということ、もしそこに歳入欠陷が出て来るということになつて参りますると、地方の財政は今でもどうにもならないので、なおどうにもならなくなる。ただ税金であるから、時価であろうとなかろうと、大体それくらいの時価に見積つてかければよいということになつておるのでありますが、それでは私は済まされないと思う。ことしは一体土地に対しまする課税台帳というものが、いつごろ地方の自治体で完成される予定を政府は見込まれておるか。これが大体算定の基礎にならなければならないと思う。この課税台帳はいつできる見通しになつておるのか、その辺り見通しが大体わかつておいでになりましたらお示し願いたいと思う。
  83. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 課税台帳の問題は、市町村が価格を算定いたしますのは九月三十日となつておりますので、九月三十日までには個々の固定資産についての価格をきめてしまわなければならない。従つてまた固定資産台帳にその価格を登載しなければならないということになるわけでございます。たまたま固定資産課税台帳はあるいは土地台帳の副本あるいは家屋台帳の副本等を使います関係上、課税台帳の作成そのものにはそれほど手数はかからないわけであります。ただ門司さんの心配になりますように、個々の固定資産の価格を算定いたしますことは、これはたいへんな仕事であります。それで土地や家屋につきましては、標準的な地域におきますところの時価と賃貸価格の開きを見ながら、ある程度類似の地域につきましてはこの倍数を利用いたしまして、簡易な評価方法もとつて行かなければならないのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  84. 門司亮

    ○門司委員 私は承服できませんが、できないならできないなりにあとはもう質問はいたしませんが、ただこれと関連いたしておりまする平衡交付金法改正で、先ほどから私が心配しておりますような事柄が、もし地方歳入の上に現実の姿として出て参りますれば、財政需要額の八〇%にするということとの間に、非常に大きな溝ができて来る危険性を多分に持つていると私は思う。そういうことではおそらく地方の財政は安心ができないと思う。一体政府は責任を持つて、もし税額が不足した場合には、その穴埋めだけは平衡交付金を増額するというような御確信があるかないのか、その点を一応伺つておきたいと思います。
  85. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 御指摘固定資産税の税額が予定の額に達しないという場合、あるいはその他の税につきましても同様でございまするが、逆に予定の額を上まわるような税も出て来るであろうと思います。あるいはその他全体の財源の上において、当初見込みました額とちぐはぐが出て来ることもなきを保しがたいのでありますが、そういうことのためにとにかくプラス、マイナスいたしました結果において、欠陷が出て来たという場合におきましては、あるいは平衡交付金なり、あるいは税制なり、あるいはその他の補助金とか、起債とかいつたような全体の財政のわくの上におきまして、何らかの調節をいたさなければならぬと思つております。
  86. 門司亮

    ○門司委員 それで一応いいと思いますが、もう一つ念のために聞いておきたいのであります。私がさつき申し上げましたように、約倍くらいのものが見積られておりますので、地方自治体は非常に困る。同時に従来税務署にありました土地台帳法あるいは家屋台帳法による賃貸価格、これはすぐわかりますが、今の登記役場にありますものを、たとえば市町村が写して来るといたしましても、そのときに登録されておりますものは、個々のものについて非常に違うわけであります。最近譲渡されたものは最近の価格が出ておりましようが、前に譲渡されたものは古い価格が出ております。これに何らかの倍率か何かをかけておそらく算定されるだろうと私は思います。従つて非常にひまどると思います。私が心配いたしますのは、政府がこういうことで一応予算の目安を立てて、これが地方の現在とつておりまする固定資産税に対して割当のような形で、前年度と大体同じような税收入がなければならないというような観念が植え込まれておりて、算定をいたします場合にこれに合せて逆算する——政府はこういうことは上手でありますが、逆算いたしまして物の価格をきめて行くような危険性がありはしないかと思う。地方では去年と同じように、とれないと穴埋めができないということから、実際の価格は安いが、価格を上げないでおくと税金がとれないということで、無理な価格をここにきめる危険性が出て来るじやないかと思う。そういうことはないように政府地方に禁令というか、そういう指示をされておるのか、あるいは去年通りとれという指示をされておるのか、どつちにしてもそういう指示をされたことがあるかないかということをもう一度この際聞いておきたいのであります。
  87. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 税に期待いたします税額の方から逆算いたしまして、課税標準になります固定費商の時価をきめて参るというような考え方は、政府としては全然持つておりません。あくまでもこれは法律に規定いたしてあります通り、時価を適正に判定いたしまして、それを課税標準にしなければならぬと思いますが、これは今財政委員会で、先ほど来申しましたように、土地なり家屋なり償却資産なり、それぞれにつきまして、鋭意合理的な妥当な評価の基準を作成中でありまして、それによつてできるだけ適正なる評価ができるように指導いたして参りたい、かように考えております。
  88. 立花敏男

    立花委員 そうすると、その地方で時価で評価いたします場合に、九百倍ということは全然問題にしなくてもいいということなんですか。
  89. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 九百倍それ自体には何ら特別の意味はございません。
  90. 立花敏男

    立花委員 今おきめになつておる基準とは全然別に、まつたく事実的な面から時価に評価をしなければならぬ問題になるので、九百倍というわくにはめないでいいというふうに理解してよろしゆうございますか。
  91. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 その通りでございます。
  92. 立花敏男

    立花委員 もしその場合に九百倍というような数字が、実際上一つのわくとして地方に出て参りました場合には、これは固定資産評価委員会でございますか、あそこへ苦情の申込みができるわけですか。
  93. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 先ほど申し上げましたような客観的な合理的な評価基準で評価いたしました結果といたしまして、あるいはちようど九百倍になるところもございましようし、あるいは九百倍より下まわることも上まわることもあるだろうと思います。
  94. 立花敏男

    立花委員 実は平衡交付金についての資料をいただいておらぬのですが、地方が一番知りたがつておりますのは、二十六年度に大体幾らくらい平衡交付金が来るかという割当ですね。これを非常に知りたがつているわけですが、この資料をぜひ私どもの方に出していただきたい。これが手元にありませんとこれから一般的に審議することがむずかしいので、この資料を次の委員会にぜひ出していただきたいと思います。出していただけるかどうかちよつとお聞きしておきます。
  95. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 二十六年度の地方財政平衡交付金計算いたします際には、やはり二十六年度において個々の地方団体がどれだけの財政需要を負うことになるかということを考えなければならないわけであります。これにつきましては、たとえば社会福祉事業法とか、あるいは生活保護法とかいろいろな法律改正されます結果、個々の市町村、個々の府県の財政需要の額にも、相当大きな変化があるわけであります。そこで昭和二十六年度の地方財政平衡交付金は、八月三十一日までに決定しなければならないという建前をとつております。従つてこれに近い時期に個々の地方団体財政需要測定するような方式をきめるわけであります。このことはまだいろいろな法律が通過いたしておりませんので、ただちにきめることは困難であろうと思つております。しかしながら地方団体におきましては、平衡交付金がありませんと、財政上にも困難を来しますので、さしあたり四月には昭和二十五年度の方式によつて算定いたしました額に基いて概算交付をいたしたい、かように考えておるわけであります。昭和二十五年度の地方財政平衡交付金配分方式は、本委員会に資料として提出したいと思います。
  96. 立花敏男

    立花委員 大体昭和二十五年度に配付した実額によつて配付をすることによつて、二十六年度の予算を地方は組むからいい、そういうように考えてよろしゆうございますか。
  97. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 二十五年度に基きまして、二十六年度を推定していただくことはさしつかえないわけであります。ただしかしながら税制の改正もございまして、その団体の財政收入にも異動がありますので、財政收入に異動があればおのずから交付金の額にも異動が生じて来ることは考えておいていただかなければならぬと思つております。
  98. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは本日はこれにて散会いたします。     午後一時十三分散会