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1951-03-06 第10回国会 衆議院 地方行政委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月六日(火曜日)     午前十一時三十一分開議  出席委員    委員長 前尾繁三郎君    理事 野村專太郎君 理事 藤田 義光君       池見 茂隆君    大泉 寛三君       尾関 義一君    角田 幸吉君       川本 末治君    黒澤富次郎君       佐藤 親弘君    田中 啓一君       床次 徳二君    久保田鶴松君       松澤 兼人君    立花 敏男君  出席政府委員         地方自治政務次         官       小野  哲君         地方自治庁次長 鈴木 俊一君         総理府事務官         (地方自治庁財         政課長)    奧野 誠亮君  委員外出席者         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 三月五日  委員江崎真澄君及び門司亮君辞任につき、その  補欠として尾関義一君及び松澤兼人君が議長の  指名委員に選任された。 同月六日  委員中島守利君、吉田吉太郎君及び木村榮君辞  任につき、その補欠として佐藤親弘君、黒澤富  次郎君及び中西伊之助君が議長指名委員に  選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員長補欠選任  公述人選定に関する件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  四五号)     —————————————
  2. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それではこれより会議を開きます。  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出、第四五号を議題として質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許します。
  3. 立花敏男

    立花委員 議事進行について……、私たちきよう全国知事会から書類を配られております。すなわち「地方財政に関する特別委員会継続審議に関する件要望」というのでありまして、「昭和二十五年度に於て、地方財政委員会より政府並国会に対し、地方財政に関する勧告が為されたが、政府はこれに対し僅少の申訳的措置を講じたのみで、地方財政の窮乏は些かも緩和しておらない。更に引続き昭和二十六年度予算についても、全国知事会地方財政委員会勧告最少限度として、極力政府にこれが実現を要望しつつあるが、政府地方財政の実状を認識すること甚だ浅く、容易に其の要望を受入れざるを以て、自由党に於かれては客年党内に設置された地方財政に関する特別委員会を、この際再開し現下における喫緊にして且重要問題たる地方財政を深く検討し、以て地方要望に副われんことを期待し且つ懇請する次第である。」こういうよう要望書を私どもは受取つておるのですが、実はこの問題は、この地方行政委員会としても当面問題にしなければならない問題じやないかと思う。きよう公報を見ましても、地方財政の問題は取上げられないで、地方税の問題が取上げられておる。政府並びに自由党の方では、この地方税住民税を取立てる問題ばかりを一生懸命おやりになつているが、かんじんの多年の懸案になつております地方財政平衡交付金増額地方起債増額、こういうもののはつきりした結論出して、すみやかに地方財政の根本的な確立をはかるということは、やつておらないと思うのであります。その問題を私は委員会としてはまず取上げていただきたい、こう思うのであります。具体的な提案といたしましては、地方財政委員会意見書として出しておりますものを、この委員会審議していただきたい、これをひとつ提案いたします。
  4. 前尾繁三郎

    前尾委員長 この前にも地方税法の一部を改正する法律案について御審議を願い、その平衡交付金の問題も関連するので、関連して御質疑願つて、適当の機会平衡交付金の問題を單独に取上げたいというので進行しておりますので御了承願いだいと思います。
  5. 立花敏男

    立花委員 それならば、やはり公報にお出しになる場合も、議題地方税限つて出しにならないで、地方財政として、はつきり出し願いたい。それから地方税に関連して平衡交付金が問題になるのでなしに、平衡交付金の問題あるいは地方起債の問題として、はつきり地方財政委員会意見書出して来ておるのだから、これだけを取上げて審議を願いたい、こう言つておるのです。
  6. 田中啓一

    田中(啓)委員 ただいま立花さんからの御動議でありますけれども、私は地方税改正の方を相当急ぐべきであろうと存じますので、あくまでも、議題地方税一本にしてお進め願いたい。動議には反対であります。
  7. 前尾繁三郎

    前尾委員長 いずれにしましても関連した問題でありますから、全然関連なしに行くことはできませんから…。
  8. 立花敏男

    立花委員 私は地方税が三月中にあげなければいかぬということも知つております。しかし同時に地方にとりましては、平衡交付金の問題は重大な問題で、地方は今予算編成期にございますし、前年度の平衡交付金も返還を強要されておりますし、その上二十六年度の平衡交付金は非常に少くて困つておりますので、地方にとりましては、税金の問題と同様な重大性を持つているわけで、地方税だけやることは片手落ちです。地方税と一緒にやはり地方財政の問題、平衡交付金の問題、起債の問題をやつていただきたい、こういうことを言つているわけです。
  9. 前尾繁三郎

    前尾委員長 いずれも関連した問題でありますから、その審議に当然平衡交付金の問題も入つて来るのですから、どうぞ並行しておやり願いたいと思います。床次徳二君。
  10. 床次徳二

    床次委員 私地方税提案されましたものに対しまして、総括的な質問を二、三いたしたいと思うのでありますが、実はしばらく委員会を欠席しておりました関係上、前に質問せられたことと、あるいは重複するかもしれませんが、その点はあしからず御了承おき願いたいと存じます。なお十分準備ができておりませんので、少し足らないところがありますならば、適当なる機会に、さらにあらためて質問させていただきたいと思います。  まず第一に、この税法提案理由の中にもありますごとく、地方住民負担合理化均衡化を目標として、この前の画期的な地方税改正実施された、これが前の案でありますが、これに対しましてなお現在は多少の改善を要する点があるので、改正案出したいという御説明でありますが、この問題はただいまも立花委員からお話がありましたが、やはり日本の地方財政現状から見まして、はたして改正せられましたところの地方税法案が、予期の通り目的を達しているかどうかというところの見地から立ちまして、今後の改正案に対して臨まなければならないものと私ども考えておるのであります。従来の地方税法のきまりましたものの中から、悪いところだけを直すというのでなしに、やはり同時にこの徴収額というものが地方財政影響して来るということも、私どもは知らなければならないのであります。第一に承りたいのは、今回の地方税改正実施されました結果、各地方の人々が税制に対していかよう意見を述べておるかどうかということに対して、この中にも多少含まれておりますが、実は含まれておらない部分が相当ある。すなわちこの前の地方税改正のときに、いろいろな改正希望があつたのであります。しかしそれが審議の都合上と申しますか、審議いたしました結果が、実現せずに過ぎましたところの改正意見というものが、少からずあるのであります。こういう改正意見を、今回の改正法案の中に何ゆえに織り込まなかつたかということに対しまして、お尋ねいたしたいと思います。
  11. 小野哲

    小野(哲)政府委員 お答えいたします。地方税法の全面的な改正をいたしました際に、国会における御審議に際しましても、いろいろ御意見があり、また実施後各地方団体を初め、各方面からいろいろ希望なり、あるいは要望等が出ておりますことは、おつしやる通りであります。今回地方税法の一部を改正するに至りましたことは、提案理由においても説明申し上げましたように、シヤウプの第二次勧告が出まして、これを取上げてこの法律案の中に織り込むようにいたしましたこと、あるいはまた税の徴収につきまして、改善を要するような点も発見いたされましたので、これらの点も織り込んで行きたい。さらにまた国会の御論議なり、あるいは各方面意見の中で、シヤープの第二次勧告にも指摘されておりますような点をも考慮いたしまして、これを今回の法律案の中に挿入するようにいたしましたような点、あるいはその他雑多な点等につきまして整備をいたす必要があることにつきましては、今回改正をいたしたいという考えを持つてつたのであります。この際に地方税法の全体にわたつて根本的な改正を行うべきではないか、こういう御意見も一応ごもつともだと思うのでありますが、御承知ように新しい税法が施行されまして、まだ日も浅いのであります。従つてその徴税実績なり、あるいは地方財政に及ぼしました影響等の具体的の実情を把握することは、なおちよつと時期が早いのではないか、同時に御承知ように、地方行政調査委員会議から行政事務の再配分に関する勧告も出ておりまして、相当大幅な再配分が行わるべき状態に置かれております。従つてこれらの事情をかれこれ考え合せまして、地方税法の全面的な再検討、あるいは改正につきましては、なお将来に譲る方が妥当ではないか、かよう考えを持つておりますために、今回の地方税法の一部改正は、やや技術的な、また補わなければならぬような点につきまして、これを整備するという最小限度にとどめることにいたしたわけであります。従つてこの実施後の状況に応じまして、たとえば府県等におきましては、その税源配分につきまして、必ずしも府県財政の適正な運営からいつて妥当ではない、こういう意見も出ております。さよう点等につきましても、将来行政事務の再配分等実施いたしまするのと見合つて地方財政地方税制の全面的にわたつて改正について研究をいたして参りたい、かよう心組みを持つておるような次第でございます。
  12. 床次徳二

    床次委員 ただいま御答弁がありましたが、政府シヤウプ勧告によりまする地方税改正を、相当当初の目的通り実施したというお考えのもとに、将来の改正案について御論議なさつておるようでありまするが、私ども感じからいたしまするならば、シヤウプの第一次勧告によるところの地方税自体も、この前の改正によりまして、形式的には一応できておるように見えるのでありますが、その裏づけ、内容等を見て参りますと、決して予想通り実施されておらない。従つて地方税法も私どもが可決いたしましたところの税法の予期したような効果を上げていないんだということが、前提として考えられるのであります。これはいわゆる地方財政の問題と関連しておるので、財政を論じないわけに参らないのでありますが、もしも平衡交付金が本来の法の目的通りに動いておりましたならば、もう少し地方税制改正影響ということも、明確に判断できただろうと思うのでありますが、何分にも平衡交付金が非常な少額であるために、地方財政に大きな圧迫を与えておりますので、せつかく地方税制実施されましても、とうていこの財源だけでは、予期いたしました地方自治確立はできなかつたというのが、現在の実情だと思うのでありますが、この実情に対して政府自体はいかように反省しておられるか。單にこの前可決いたしました新しい地方税制を、その中において少しずつ手直しをするというようなところで済むか、根本的には、やはり新地方税法が確実に運営できるよう基盤をつくるということに、もつと努力する余地があつたのではないかと、私ども考えるのであります。政府はその税制が完全に運用できる基盤をつくらずして、税制だけを今応急に手直しして行こうというお考えよう考えられるのでありますが、これは本来の目的に合わないのじやないか。この冒頭に書いてございますがごとき御趣旨にも沿わないと考えるのであります。もう少しこの点は、地方税法実施されております現状に対して、反省をしていただいたらどうかと思うのですが、この点いかようにお考えになつておりますか。どうも平衡交付金、あるいは起債並びに税制、この三つのものが完全な運用を見ていない。結局におきまして税法にだけ負担がかかつて来ておるというのが、今の実情だと思うのでありますが、これに対して政府はいかよう考えておられるかをまず伺つて、次に、しからば私どもはこの税制をどうするかという問題に移りたいと思うのであります。
  13. 小野哲

    小野(哲)政府委員 お話ように、地方税法を全面的に改正いたしまして後の模様等につきまして、十分に実情を把握するように努めて参つておるのであります。従つて画期的な改革を行いました結果に基いて、なおさらに検討しなければならぬという問題も、私どもだんだんと了承をいたしておるような次第であります。なおまた平衡交付会制度運用の問題、または地方債の問題につきましても、ただいま床次さんが言われましたように、この三者の均衡のとれたよらな地方財源措置をとつておるかどうかということにつきましては、十分に検討を加えなければならぬ問題があることは、私ども同感であります。ただ問題は、シヤウプの第一次税制報告書に基きまして、画期的な改革を行いました以後における実情はもちろん考えなければなりませんと同時に、なお残された問題として、行政事務配分であるとか、あるいは組織の問題であるとか、さような問題が次に残されておりますので、やはりこれらを総合的に考え合せて、財政並びに税制の問題を取上げて、改むべきものは改めて行く。たとえば国税地方税調整の問題であるとか、あるいは地方税の体系の中でも、府県市町村の間の税の配分の問題であるとか、さような点をなお検討して行く機会が来るであろうということを、私ども考えておるわけであります。従つてただいまの状態は決して完全無欠なものであるとは考えておらないので、政府として実情を十分に見きわめ、また判断をいたしまして、反省すべきものは反省し、さらにこれに基いて将来改正いたすべきものは改正して参りたいという心組みをもつてせつかく研究を進めておるような次第であります。
  14. 床次徳二

    床次委員 ただいま御答弁がありましたが、地方税法を一箇年実施いたしました結果に対しまして、今日各方面にいろいろ見方があるわけであります。私どもは、実施いたしました結果につきましては、年度途中であるからという政府の御答弁もさることながら、今日におきまして地方財政がいかよう状態になつておるかということに対しましては、大体予想がつくわけであります。これに対して地方財政委員会その他の、政府以外の立場の人は、ある程度まで現状に対して認識を持つておるように思うのでありまするが、かんじん政府自体が現在の地方財政あり方、同時にこれが地方税制にいかよう影響を反ぼしているかということに対する認識が、はつきりしておらないような気がする。今回提案せられました税法改正の前書きにおきましても、今までやつて来たことは大体間違いなしにやつて来ているのだ、但し予定通り進行するについて、残された問題をある程度直して行きたいというお考えようでありますが、その前提自体に対する認識が、大分違うのではないか。われわれはこの際地方税法改正をいたすならば、まだまだ改正すべき方法があるような気がするのであります。今後もこれは検討しなければならぬと思うのでありますが、現在の地方財政並びに税制実施いたしました結果に対して今までの半年余りの短かい期間の実績に基いてどのようにお考えになつておるかということを、この際あるいは繰返して御答弁願うことになるかもしれませんが、お話くださいますれば、まことにけつこうであります。
  15. 小野哲

    小野(哲)政府委員 たとえて申しますれば、府県税源等考えてみましても、ややその税の種類都市偏重になつておるような点も見受けられるわけであります。また税の種類自体につきましても、はたしてこの税で府県財源を培うに十分であるかどうかということにつきましても、実績に徴しまして、なお検討を加えなければならぬような問題もあると私は思うのであります。さらに進みましては、国税地方税との関係におきまして、いかなる税目を国に持ち、またいかなる税目地方に与えることが妥当であるかという総合的な見地に立つて税制の問題も研究しなければならぬと私は考えるわけであります。シヤウプの第一次税制報告書趣旨を全面的に取入れまして、地方税制改革をいたしましたことは、御承知よう市町村に対して税源を極力与えて行きたいという考え方から出発しておるのでありますが、その場合に府県におきましては、その後において法令の制定もしくは改正によりまして、やはり相当の事務を担当しなければならぬような事態も生じておるようなわけで、その間の調整が将来残された問題だろうと思うのであります。さよう意味合いにおきまして、先ほども申し上げましたように、実情はできるだけこれを把握するように努力いたしながら、将来の問題として行政事務の再配分、あるいは府県市町村あり方というものとにらみ合せをした財源の付与の措置考えて行く。従つて地方財政地方税制、両者を通じました検討を加えて行く必要がある、かように私ども考えておる次第でございます。
  16. 床次徳二

    床次委員 ただいま政府委員からお話がありましたが、たとえば都市偏重のきらいがないでもないということを、新税法実施一つ影響としてお述べになりましたが、これは一つの例でありますから、根本的にはどうこうというふうに、あるいは御責任を持てない御答弁かもしれませんが、私はこの一つの現われは非常に重大なものである。これは税制そのものが持つております欠陥もさることながら、同時に税制前提となつておりますところの国の予算というもの、率直に申しますならば、平衡交付金というものが予定通り国予算に計上されておらない。この一つの事実からでもやはりその影響を及ぼしておつて、しかもこれが地方税法を通じまして、非常に激しく現われて来たんだという見方ができると思う。私どもそういう感じを持つておる。従つて今の場合地方税法だけをいじつおりましても、今政府委員がおあげになりましたよう欠陷はなかなか是正できないんだ、なまじつかそういうことをいたすよりも、やはり根本において直すべきもの、あるいは前提となつておつたことを完全に実行しないために、そういう影響が現われて来たというふうに私どもは思うのでありますが、この点は政府としていかようにお考えになるか、お聞きいたしたいのであります。私どもは今の政府予算編成の方針を、そのまま持続するようでありますならば、地方税の中におきまして、たとい相当大きな改正をいたしましても、地方における負担の不均衡は救われないじやないか、もうそういう状態になつて来ておるじやないかということを考えておるのであります。單に税法だけ考えるのは、もうそろそろ意味が少くなつて来ておるのではないか、かようにさえ考えるのでありますが、この点に関して政府の御意見を伺いたいと思います。
  17. 小野哲

    小野(哲)政府委員 御説のように、地方財源につきましては、地方税収入のみによつてまかなわれるということは、今日の段階においてはなかなか困難であることを承知しておるわけであります。従つて地方財政平衡交付金制度を創設いたしまして、その間の財政調整の作用を行わしめるということになつたのであります。従つて地方税の問題と、地方財政平衡交付金運用の問題とは、車の両輪と申しますか、唇歯輔車の関係において取扱うべき問題である。私どもよう承知しております。ただ問題は地方財政平衡交付金の算定なり、あるいは総額の見込みの決定等につきまして、なおいろいろ問題が残されておるのではないかと思つておるのであります。従つて平衡交付金制度自体につきましては、なお今後も持続してこれを運用して参るということは、適当であると考えておるのでありますが、実施にあたつて発見された欠陷等につきましては、これを補つて参らなければならないし、平衡交付金総額を決定する場合における諸般の問題等につきましても、なお今後は検討を加えるものがあると私も思うのであります。従つて床次さんが言われましたように、單に地方税収のみの問題でなしに、平衡交付金と相まつて地方財政の総合的な運用考えるということにつきましては、私もまつたく同感でございます。
  18. 床次徳二

    床次委員 第二点としてお尋ねいたしたいと思いますが、政府は初年度において実施いたしました実績にかんがみまして、ある程度まで手直しをされて実施するという意味において、今度地方税法改正案を出されたのでありますが、こういう修正を加えて参りました結果、地方財政がだんだんと独立し得るような確実な財源を持ち得るようになる見通しをお持ちになつておるかどうか。私どもは單にこの税法改正を行いましただけでは、地方自治確立ということは、とうてい予期できないじやないか、この程度では問題にならないというふうな感じがいたすのであります。この点に関しまして、政府は御提案になりました改正案によりまして、地方自治の基礎が固まりつつある、そういう傾向に向いておるんだということが確信を持つて言えるかどうか。将来の税の収入状態から見て参りましても、大体今の行き方では困難である、よほど増税をしなければだめだ、税率を上げなければならぬというふうな確信を私ども持つのでありますが、この見通しについて、政府のお考えを承りたいと思います。
  19. 小野哲

    小野(哲)政府委員 ただいまお話の今回の地方税法の一部改正によりまして、その所期の目的が完全に達成し得られるかということにつきましては、今回の改正法律案が決して完全無欠な、目的達成に十分に寄与し得るものとは、私ども考えておらないのであります。ただ問題は地方税の性格から考えまして、できるだけその徴収方法なりその他につきまして、簡易化して行くことが適当である。納税者の側からも、あるいは徴税当局の側から申しましても、できるだけ簡易化し、かつその徴税率を確保して行くことが必要である。こういう考え方をもちまして、さよう趣旨を取入れた改正をこの際行つておるわけであります。その他種々の改正が行われておりますが、これをもつて十全であるとは考えておらないのであります。この問題につきましては、先ほど申しましたように、なお十分に研究をいたして参らなければならぬと考えております。地方財源の問題として考えますと、この地方税法の一部改正のみによつて、十分にまかない得るとは考えられないのであります。従つて先どもお話がございましたように、地方財政平衡交付金と相まつて地方財源の培養をして行かなければならぬことはお説の通りであります。ただ問題は全体としての地方財源がその所要の額につきましては足りないという状態にある、全体として財源がなお不足しておるというところに問題の根本的な要素があるんではないか、かように私ども考えるのでありまして、地方税法改正のみによつて、ただいま床次さんが仰せになりましたよう政府としても十分であるとは、考えておらぬのでありますけれども、少くとも現行地方税法運用にあたりまして、少しでも改善をして行く、なお将来全般にわたつて検討を加える機会を得たい、かよう心組みを持つている次第であります。
  20. 床次徳二

    床次委員 ただいまの御答弁によつて大分明らかになりましたが、今度の地方税法改正は、非常な事務的な改善ように承つたし、実際内容から見ましても、これは前に行いましたところの根本的な地方税法改正の実際に合わないところを、ある程度まで合うよう調整せられておる。そういう趣旨から出て来たものも少くないので、この点につきましては提案された趣旨はわかるのでありますが、しかし今の地方税法実情から見て参りますると、この程度だけでは地方住民は満足ができない状態になつておる。もつと根本的に結論出してもらわなければならないという強い希望を持つておるので、私どももぜひそういう結論出したいと思つて努力しておるのでありまするが、政府のお考では、このままの税法実施して参りまして、財源はだんだんふえて来る見込みがありまするか、あるいは財源にはまつたく彈力性がない、まあことしの予算から見まして、今度の改正税法はこれで手一ぱいである、これを少しほかに修正を加えると、新しい財源を持つて来なければ、たとえばほかの税法負担の軽減というものはできないのだ、そういうようあなぎりぎり一ぱいの実情であるというふうに、お考えになつておりますかどうか、この点を承りたいと思います。
  21. 小野哲

    小野(哲)政府委員 この地方税法改正に伴いまして、財源の問題について十分であるかという御意見ように承つたのでありまするが、もちろん今回の地方税法改正と相まちまして、昭和二十六年度の予定税収入額というものは考えておるのでありますが、これらは大体において一般の国民経済における情勢の推移に伴うて、あるものについては、自然増収が考えられるものもございまするし、また徴収方法改正によつて、その徴収の確保も期待し得るものもあるわけでありますので、かたがたこれらの諸要素を総合いたしますと、大体昭和二十六年度における税収見込み額は、確保できるものと考えておるような次第であります。一般の経済情勢の推移と考え合せまして、また国税の取扱い方とも関連いたしまして、二十六年度における地方税収見込み額を立てておるような次第で、この点につきましては、大体われわれといたしましては、確保できる見込みを持つて財政計画を立てておる次第であります。
  22. 床次徳二

    床次委員 ただいまの御説明によりまして大体政府の御意図はわかつたのでありまするが、私はこの地方税法改正法案審議いたしまする場合の考え方といたしまして、先ほど以来御質問いたしましたところによつておわかりと思いますが、この程度改正だけでは、現在の地方実情に合うのには非常に開きが大き過ぎる。やはり改正案提案せられました税目以外に対しましても、なお相当の是正を要する余地があるのではないかと考えております。できるならばかかる不公平なところに対しましてはこれを是正いたしたい、さような立場でもつて研究いたして参りたいと思います。どうか今後審議の際におきましても、政府におかれましては單に提案せられました一部の範囲内にとどまらず、もつと広い見地から地方税法改正に対して御答弁を願い、また考慮をしていただくことを特にお願いして、私の今日の質問はこれで終りといたします。
  23. 前尾繁三郎

    前尾委員長 藤田義光君。
  24. 藤田義光

    ○藤田委員 いずれ機会を改めまして、十分御質問いたしたいと思いますが、今日は簡單に二、三お伺いしたいと思います。  まず第一点は、今回の政府から出されました改正案のうちで、シヤウプ博士の第二次勧告との関係、特に取上げられた点がありましたならば御指摘願いたいと思います。
  25. 小野哲

    小野(哲)政府委員 詳細につきましては関係政府委員から御答弁申し上げまするが、たとえば附加価値税の額の算定方法であるとか、あるいはまた市町村民税の課税標準の問題であるとか、さような点につきましてシヤウプ第二次勧告趣旨を取入れるようにいたした例もあるわけでございます。なお詳細は奥野課長から御説明申し上げます。
  26. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 第一点は附加価値税に関する問題でありますが、そのうちの一つは、附加価値税の課税標準である附加価値額の計算方式につきまして、大規模の複式簿記を備えて経理しておるような企業については、所得、給与、地代、家賃及び利子の合算額をもつてする。いわゆる加算方式による計算方法をとつてはどうかというふうな意見がありましたので、これを若干変更しながら採用しておるわけであります。  さらに附加価値税実施前に取得された固定資産の取得額も総売上金額から控除いたしまして、附加価値額を計算するようなことが意見の中に見えておるわけでありまして、これらにつきましては、減価償却相当額を毎年控除して行くよう方法を採用しようとしておるわけであります。  次に市町村民税につきまして、給与所得者等については、源泉徴収方法を採用してはどうかというよう意見がありますが、これにつきましては、前年の所得を課税標準にしながら特別徴収の制度を今回の案に提案いたしておるわけであります。主要な点はその程度であります。
  27. 藤田義光

    ○藤田委員 今度の予算によりますれば、大体地方税の二十六年度徴収予定額が、二千八十億余りになつておりますが、二十五年度に比べまして、約百八十億の増徴になつております。もちろんこれは新税法に関連しての増徴と思いますが、改正案のうちで、できますれば税目によつて、どのくらいの増徴を予定されておるかをお伺いいたします。
  28. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 主として自然増収の問題でありますが、事業税と特別所得税につきましては百十三億三千九百万円、お手元に昭和二十六年度地方税に関する参考計数資料というのを差上げておりますが、その一ページ、二ページに記載されておりますことを、便宜まとめて申し上げるわけであります。入場税におきましては十三億九千九百万円、遊興飲食税におきましては二十四億四千九百万円、市町村民税におきましては三十三億九百万円、おもな税目はこれらであります。
  29. 藤田義光

    ○藤田委員 先ほど床次委員の御質問に対しても小野政務次官からお答えがありましたが、現在地方行政調査委員会議出しております勧告の線がすつきりと結論を得るのは、時期的に大体いつごろと見込んでおられますか、この点をお伺いいたしたいと思います。  少し補足いたしますが、税法に基く税収の約半額以上を占めまする平衡交付金制度等に関連いたしましても、事務の再配分が完成したあかつきにおきましては、根本的に再検討されるんじやないかと思います。一旦国税として徴収しましたものを、一千百億前後地方自治体に還元するという煩瑣な手続を省略いたしまして、この財源をそのまま地方税源として与えたらどうかという有力な声がございます。こういう問題にも関連して参ります。また事務の再配分が完成すれば、当然現行地方税法は根本的につくり直されるという運命になるだろうと思いますが、そういう問題に関連しまして、地方行政調査委員会議勧告を真劍に取上げようとされております小野さんの、勧告の線を完成したい見通しを、ひとつお伺いしたいと思います。
  30. 小野哲

    小野(哲)政府委員 地方行政調査委員会議勧告が出て参りまして、政府においてはこれを受理して、目下検討を加えております。地方自治庁の立場から申しまして、できるだけすみやかに結論を得るように努力をいたしたいと思つておるのでありますが、何分広汎にわたつておりますので、またこれが実施をいたします場合におきましては、相当多数の法制的な措置も伴うというふうな実情から考えまして、なお多少時日を要するのではないか、かよう考えでおるのであります。ただ、ただいま藤田さんが指摘されましたように、この勧告実施に移しました場合においては、地方財政並びに税制にわたつての抜本的な再検討をしなければなるまいと私は考えておるわけでありまして、従いましてその勧告の実行に即応いたしまして、政府といたしましても抜本的な問題を取上げて考慮して参りたい、かよう考えておる次第であります。
  31. 藤田義光

    ○藤田委員 今日の平衡交付金の額の決定にあたりまして、法令その他に基いて、当然国家で義務的支出をしなくてはならぬ点が、ほとんど無視されているという実情になつておりますが、今回の地方税法改正によりまして増徴される分が、当然国家で義務的に支出すべき費用に充当される危険がありはしないかという見方がございます。この点に関しまして、政務次官はどういうお考えでございますかお伺いいたします。
  32. 小野哲

    小野(哲)政府委員 二十六年度の地方財政計画をごらんいただきますと、いわゆる法令に基いて地方が義務的な支出をしなければならない各項目にわたつて政府考え方地方財政委員会考え方との間に、相当開きがあることは御承知通りであります。従いまして平衡交付金の問題につきましても、その間に問題が残されておるということは、御承知のことと思うのであります。従いまして今回の地方税法改正によつて、自然増収その他を考え合せて、二十五年度に比較して増収が見込まれておるわけでありますが、しかしながらこれらは、地方財政運用といたしましては、平衡交付金地方税収入額を総合的に運用して行くという建前になつておりますので、平衡交付金がひもつきでないように、地方税収入も政府としてはひもつきで運用させるということに参りませんので、従つて総合いたした地方財源として、地方自治体が自主的にこれを運用し得るということになりますがために、あるいはお説のように増収分が義務的経費の支出に充当されるということも想像にかたくないところでございます。
  33. 藤田義光

    ○藤田委員 先ほど奥野政府委員から御説明がありましたが、今回の税法改正に基く増収の見積り額でございますが、これによりますと、事業税が百十三億余りの増徴でございまして、府県税が非常に増徴になります。その半面市町村関係の税収はふえておりません。この点から考えますると、二十五年度におきましては、平衡交付金配分にあたり、府県が非常に多くなつております。ところが今度の税法改正が実現したあかつきにおきましては、この数字を十分勘案されまして、市町村分を平衡交付金においてふやすというようなことを考えておられますがどうですか、この点をお伺いいたしておきます。
  34. 小野哲

    小野(哲)政府委員 二十六年度の税収見込額と財政需要の増加の傾向等をにらみ合せまして、必ずしも府県市町村分の地方財政平衡交付金配分の率が、二十五年度並に行くとは考えておりません。従つて二十六年度におきましては、これらの財政需要並びに府県及び市町村地方団体ごとに勘案いたしまして、平衡交付金配分につきましても考えて参りたいと、お説のよう考え方を持つておる次第であります。
  35. 藤田義光

    ○藤田委員 入場税、遊興飲食税等の減税は、各方面から相当強く要望されておりますが、ただいま奥野政府委員から御説明がありました数字だけの減税をやると仮定いたしました場合において、地方財政に大した影響はないのじやないかというふうな直感がいたし、長年の各方面要望を実現するのに、大体妥当な数字が出ているのじやないかというふうに感じますが、この点に関しまして政務次官は、どうお考えでございますか。
  36. 小野哲

    小野(哲)政府委員 お話ように、遊興飲食税並びに入場税の税率が高いということは、私どもも重々承知をいたしておるのであります。ただ税制改革によりまして、入場税、遊興飲食税が府県税収の大部分を占めておるというような点から考えまして、これが税率を下げるということにいたしますると、相当府県に対して財政上の影響があるのではないか、従つて他の何らか適当な財源を捻出いたさなければならないという問題があるわけであります。ただお説のように、入場税なり遊興飲食税は、極力その税率を軽減する方向には持つて参りたい、財源の許す限りはさようにいたしたい、かよう考えております。
  37. 藤田義光

    ○藤田委員 新税法及び平衡交付金法が実施されて一年に近くなりますが、この際平衡交付金の一定のわくというものを確保するために、地方税の総税収額に対するある程度の率を、平衡交付金の額として確保するというような法律の改正をやつたらどうかという意見もございますが、この点に関してはどういうお考えでございますか、御研究になつておりますかどうか……。
  38. 小野哲

    小野(哲)政府委員 ただいまのお話よう意見も私ども聞いておるのであります。たとえば配付税のようなやり方で、国税に対する一定率を法律によつて確保して行く、こういう行き方がよいのではないか。また、ただいまお話よう方法も、一つの案として研究の余地があるのではないかと思うのであります。地方財政平衡交付金そのものは、やはりこれはどうしても存続して行かなければならない問題だろうと思うのでありますが、ただその財源に充当するものをどういうふうにつかんで行くか、またどういうふうにすることが一番地方財政平衡交付金趣旨に適合するかということにつきましては、いろいろの御意見も拜聽しておりますので、これらの点につきましては研究を進めて参りたいと思つております。ただ、今ただちにこれを改正するということは、相当重要な影響もございますので、さしあたりの問題といたしましては、これを存続することとして、その方法なり、運用の上についての適当な改正をやつて行きたい、かよう考えております。
  39. 藤田義光

    ○藤田委員 これは私の推測でございますが、今度文部省が中心になりまして、学童に対する教科書の無償配給という画期的な制度を考え、すでに新学期から実現に移さんといたしておりますが、これが半額の財源、約一億五千万と記憶いたしておりますが、これだけはどうしても地方自治体が負担する、市町村負担するという計画になつておるようでございますが、この財源はあるいはこの税法改正に関連して考えられておりますかどうか、教科書の無償配給に関しまして、文部省から何か自治庁当局その他に御連絡がありましたかどうか、お伺いいたしたい。
  40. 小野哲

    小野(哲)政府委員 小学児童に対しまして、教科書を無償給与するという考え方がありますことは御指摘の通りであります。その場合に、国の補助といたしましては半額、言いかえれば約一億四千万円程度予算に計上されておるわけでありますが、これに対して、地方負担は半額を持たなければならぬということになるわけであります。ただこれが運用のやり方によりましては、相当地方負担を過重にさせるおそれもございますので、この点につきましては、自治庁当局と文部当局との間において、調整をはかりつつあるような次第であります。  ただ財源の付与の問題でありますが、これは結局におきまして、先ほど申しましたように、総合的な財源の中に織り込んで行くということになるわけであります。従いまして私どもとしましては、その計画の遂行なり考え方については、極力地方負担が過重にならないようなぐあいに持つて参らなければならぬということを、主張して参つておるわけでありまして、何らかこの考え方を基礎としての結論が得られるものではないかと期待をしておるわけであります。
  41. 藤田義光

    ○藤田委員 税法に間接関係がございますが、目下大蔵省で資金運用部の計画がございまして、資金運用部資金法という新しい法律もすでに三月二日に国会に提出されておりますが、これによりまして、地方財政にどんな影響がありますか、非常に地方自治体で注目いたしておりますので、この際簡單にお見通しをお伺いしておきたい。
  42. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 資金運用部の問題ですが、政府といたしましては、資金運用部を設置するための法律案を目下国会提案中でございますが、これは御承知ように、それぞれの特別会計等にありまする余裕金を一括して合理的に運用して参りたい、こういうことで、政府としての預金部費命という形で従来統合されておりましたものを、さらに強力に統合して、資金全体の合理的運用をはかろうというのがねらいであるわけであります。そういう見地から申しますならば、地方財政方面に振当てられる資金も、より余裕が出て来ると思うのでありますが、他面運用の範囲も若干広くなるようでございまして、全体といたしましていかような結果になるかわかりませんが、その運用の問題につきましては、資金運用委員会をつくる予定であるわけでございまして、これには地方財政委員会委員長もたしか加えるよう政府案になつておるわけであります。そういうことを通じまして、地方財政方面への運用というものも、十分慎重な配慮が加えられるであろう、かよう考えております。
  43. 藤田義光

    ○藤田委員 この際お伺いしたいのですが、地方自治体の歳入の大宗をなすものは、何と申しましても地方税が多いのでございますが、そのほかに平衡交付金起債、この三者が大体七〇%くらいを占めているというのが現状でございます。この三者に関しましては、地方財政委員会並びに自治庁の責任というものが、非常に重大になつてつておりますが、この三者に関連いたしまして、何かこの際恒久的な体制と申しますか、法律的根拠を考えて、地方自治体が安心して、その健全な発展を期するような活躍のできる道を開く必要があるのじやないかと思います。終戰以来、自治法ができまして、財政的裏づけがなくて非常に不安でありましたところに、シヤウプさんが参りまして、いろいろ新しい制度をつくつて勧告してくれたのでございますが、この新制度のもとにおきましても、自治体の現状財政的に非常に不安定でございます。特に二十六年度の当初予算編成期を控えまして、都道府県並びに市町村は、いかにするか、相当難澁をきわめておるようでございます。大体骨格予算あるいは暫定予算をつくりまして、年度半ばにおける平衡交付金増額等に、多大の期待を寄せておるという現状でございまするが、現在の二十六年度予算編成期にあたり、自治体が根本的な本予算を編成できないという状況にかんがみまして、かかる現状を招来したのはどういうところに根本的な原因があるか、この際政府側の御意見を拝聽しておきたいと思います。
  44. 小野哲

    小野(哲)政府委員 これは私の考え方から申しますと、要は地方公共団体の財政規模をいかにあらしむべきかということに、問題は帰着するのではなかろうかと思うのであります。従いまして、終戰いろいろの制度が改革されまして、従つてそれに伴う人件費等につきましても、相当大幅に増加して参つておるものと私ども見ておるわけであります。こういうふうな状態ではたしてよいかどうかということも、やはり地方財政の一環として考えて行かなければならない重要な課題ではないかと思うのであります。それと同時に、地方税につきましては、地方住民の担税力の限度もございますので、この点につきましては十分な運用上の配慮も考えて行かなければなりませんし、また地方債の問題につきましては、本来これを自由に行うことができる建前にはなつておるのでございますが、御承知ような状況のために今なおわくを定めて許可を受けるというふうなきわめてきゆうくつな状態になつておるので、シヤウプ第一次税制報告書にもございましたように、できるだけ早い機会にこのわくをはずす、言いかえれば許可制度をなくするという方向に持つて行くべきであると、私どもも同様の考え方を持つておるわけであります。なおわが国の経済情勢から判断いたしまして、それが許されないという事情にあるわけであります。地方財政平衡交付金につきましても、シヤウプ第二次勧告趣旨から考えますと、国の財政考えあわせまして、できるだけ地方税の増徴を避けながら、国として地方財政平衡交付金の上において、地方財源の確保をはかつて行くようにというふうな意味のことも出ておりまして、この点につきましても私どもは首肯し得る点であると思うのであります。要はこの三つの地方財源にきわめて重要な要素をなしておるものが、担互に緊密一体、唇歯輔車と申しますか、さよう関係において地方財源を一面培養して行くように努力しなければなりませんが、同時に、先ほど申しました地方における財政規模をいかにあらしむべきであるかということをも考えあわせまして、私どもとしましてはなお研究を続けて参りたい、かよう考えておる次第でございます。
  45. 藤田義光

    ○藤田委員 地方自治体の財政規模の問題は、非常に重大な問題でございまして、これに直接関連して自治体の規模という問題が出て参つているのであります。この際われわれは自治法を一応根本的に検討いたしまして、新しい構想のもとに日本の自治体の規模その他のあり方を、再検討すべきではないかというふうに考えまして、近い将来に国会において自治法の改正をやりまして、国民大多数の熱望である市町村の廃合等を法律の基準によつて実施したらどうであろうかと考えておりますが、この点に関する政務次官のお考えを拜聽したいと思います。現在のごとく自治体が財政的に不安を続けておりますと、どうしても中央依存の弊風が打破できない。むしろ新しい自治法の精神に逆行しまして、だんだん中央に依存しようという傾向が強くなつてつております。これは考え方によりましては、非常に危険な情勢ではないかと思いますので、小野さんが先ほど言われております財政規模を徹底的に再検討ということに関連して、当然自治法の改正を断行しなくてはならぬ。自治体の自発的な意思による財政規模の決定ということは、現在の日本の自治体の情勢からしては、とうてい不可能ではないかというふうに考えます。なるべく法律その他による強制は避けなくてはなりませんが、結局は法律の裏づけがなければ、永久に自治体は財政的にも混乱するという一応の結論をわれわれは見出したのでございますが、この際小野さんの御意見を拜聽したいと思います。
  46. 小野哲

    小野(哲)政府委員 地方公共団体が合理的に行政運営をして行くということ、あるいは能率的な行政の遂行をするということは、きわめて望まいしことであります。しかしながら現状のままにおきましては、なかなかその目的を達成することが困難じやないか、かように私も考えておりますので、お説のように、たとえば町村の規模をもう少し合理化して行く、それによつて地方財政力あるいは住民負担能力及び行政運営、この三者をかみ合せました合理的な、地方自治体の運営の健全化をはかつて行くということが、きわめて望ましいと思います。従いまして、もし国会においてこれらの点を御考慮になりまして、適当な立法をおやりになるということにつきましては、私どもといたしましても望まいところであろうと思うのであります。地方自治庁といたしましても、立法の措置によらないで、とりあえずの考え方としては、できるだけこれを推し進めて行くよう方法をとつておるわけでございますので、国会におかれまして、十分にこの間の情勢を御判断願いまして、御検討をいただくことはけつこうだと考えております。
  47. 藤田義光

    ○藤田委員 最後にいま一点お伺いしたいと思います。言うまでもなく、民主主義の基盤は、地方自治の振興にございます。従いまして、今後永久的に自治をいかに発展させ、いかに健全化して行くかということが、国家としても重大な問題であろうと思います。従いまして、この際講和会議も非常に迫つておりますので、私は今地方自治体の相談相手と申しまするか、いろいろごめんどうを見てもらつておる官庁、たとえば地方行政調査委員会議地方財政委員会、全国選挙管理委員会あるいは国家消防庁、それから地方自治庁、そのほかにもいろいろございますが、こういうものを一本にまとめまして、たとえば自治省のごときものを置きまして、常に地方一万数千の自治体のよき相談相手となり、しかもたとえば平衡交付金の決定に際しましても、十分発言ができるような機構をつくる。これは決して増員をする意味ではございません。むしろ現存の分散せる機構を縮少しても、これを一つのミニストリーに集約すれば、現在以上の十分なる威力を発揮できると考えております。そういう問題に関しまして、治安に関しましては、先般外務委員会においても、治安省の設立という問題も出ておりましたが、自治に関しましてこそ、この際強力なと申しますか、一万二千の自治体の安心して相談できるような、分散せざる、一体化せる官庁の設立が必要じやないかというふうに考えておりますが、この点に関しましては、将来非常に重大な研究問題になると私は信じておりますが、この際小野政務次官の御意見をお聞きして私の質問を終りたいと思います。
  48. 小野哲

    小野(哲)政府委員 お説のように、講和の実現等の情勢から判断いたしまして、わが国における内政の問題はきわめて重要な問題であると私も確信いたしております。その場合において、地方自治の振興あるいは確立と矛盾しないように、また地方公共団体は健全な運営ができますような方向に向つて、適当な助言を与えるとか、あるいは勧告をするとか、こういうふうな目的を持つような何らかの機関を整備することが必要じやないか、こういうふうな御質問であり、またさよう意見も折々聞くわけでございます。今後の情勢の推移に伴いまして、これに対処して参るように私ども研究を進めて参りたいと存ずるのでございまするが、同時にかような内政の運営についての重要な問題といたしまして、国会においても、真剣にこれをお取上げ願いまして、適当な結論をお出し願うことが、私どもといたしましても望ましいことである、かよう考えております。
  49. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは午前の会議はこの程度にいたしまして、午後一時半から再開いたします。  それまで暫時休憩いたします。     午後零時四十一分休憩      ————◇—————     午後二時十八分開議
  50. 前尾繁三郎

    前尾委員長 休憩前に引続きまして会議を開きます。  地方税法の一部を改正する法律案について、質疑を続行いたします。立花敏男君。
  51. 立花敏男

    立花委員 地方財政委員会の方のおいでを願つておるのですが、ぜひお呼び願いたいと思います。
  52. 前尾繁三郎

    前尾委員長 今呼んでおります。
  53. 立花敏男

    立花委員 と申しますのは、地方財政委員会意見書の中に、重大なことが書かれてありますので、これは一体どういうお考えなのか、予算が通過した以上、この問題が問題になつて来るだろうと思いますが、これの善後措置について財政委員会はどうお考えになつておるか聞きたいと思います。この問題は小野さんどうですか、あなたの方から御答弁願えますか。
  54. 小野哲

    小野(哲)政府委員 内容によつてはお答えいたします。
  55. 前尾繁三郎

    前尾委員長 内容によつて小野さんからお答えが願えます。
  56. 立花敏男

    立花委員 これは自治庁に関係がないことではありませんので、問題のあり場所をお示しして、御答弁を願いたいと思いますが、この一月十一日付で、地方財政委員長代理から吉田総理大臣にあてた意見書なのですが、それの最後にはこういうことが書いてあります。もしこれを計上せられないときは、明年度の地方財政の窮乏は著しく、ひいては地方住民負担に混乱を来し、あるいは政府諸施策の遂行の障害たらしめることが憂慮される、こういう重大な結論意見を付しまして、平衝交付金の増額起債の要求、こういうものをあわせてやつているわけなのですが、意見書が国家予算へ入れられなかつた結末になつているわけなのですが、これが善後措置をどういうふうに自治庁ではお考えなのか。ここに書いてあるように、政府諸政策の遂行の障害たらしめることが憂慮されるというふうに、実際に末端にわたつて政府諸施策が行われなかつたとお考えなのか、そうではないとお考えなのか、これを一つ伺いたい。
  57. 小野哲

    小野(哲)政府委員 お答えいたします。地方財政委員会から意見書が出まして、政府におきましてもいろいろ検討を加えたのでありますが、結果におきましては、地方財政委員会の、たとえば地方財政平衡交付金の所要額を予算に計上するということが困難となり、国会に対し政府原案を提案いたしたわけであります。まだ予算審議は完了されておりませんので、国会としてどういいうふうに決定されますかは、ここで申し上げかねるわけでありますが、かりに政府原案の通り予算が成立するとした場合におきまして、しからば地方財政委員会意見書の中にあるように、地方財政に対して大きな影響がある、その場合にどういうふうにするか、これは地方財政委員会においても、この事態に対処するよう研究しておることと思うのでありまして、地方財政委員会の当局から答えることにいたしたいと思うのでありますが、私の考え方といたしましては、さような場合においては、地方財政規模の上において、また財政運用の上において、相当くふうをして行かなければならない問題が出て来ると思うのであります。たとえば、あるいは計画されておる事業の一部を繰延べをするとか、あるいはとりやめるとかいよう方法考えなければなるまいかと思うのであります。また相当の節約を行うことによつて、できるだけ財源を見出すという方途も講じなければならない場合も起つて来ると思うのであります。なお詳細にわたりましては、地財委の方からの御説明をお聞き取り願いたいと思います。
  58. 立花敏男

    立花委員 これは最初に申し上げましたように、内閣総理大臣に対する意見書なんですが、こういう形だけではなしに、地方財政委員会国会に対する意見書と申しますか、勧告書と申しますか、そういうものを出し得る道も開かれておるのでございますが、この総理大臣あての意見書にとどまらずに、これが予算の上に実現されなかつた場合に、さらに国会に対して勧告なり意見書をお出しになるお考えがあるかどうか、これをひとつ承りたいと思います。
  59. 小野哲

    小野(哲)政府委員 ただいまの点につきましては、私よりもむしろ地方財政委員会からその考え方を申し述べた方がいいじやないかと思います。
  60. 立花敏男

    立花委員 ではこの問題は、地方財政委員会の方が来られましたときにいたします。  で、午前の審議でも問題になりましたように、地方税だけを取上げて問題にすることは、私ども片手落ちじやないかと思う、と申しますのは平衡交付金の問題、あるいは起債の問題、あるいは災害国庫補助金の問題、こういう問題は相互に関連いたしておりまして、こういうものが一つ欠けましても、実は地方財政は成り立たない、そういう上に組立てられた地方税法だと思うのです。これらの問題はいずれもこの政府のお出しになりましたこの地方税のもとになつておりますシヤウプ勧告の中に含まれておりまして、シヤウプ勧告では平衡交付金の額まで相当詳細にきめてございますし、あるいは地方災害費の国庫負担の問題にいたしましても、きめてあるわけなんです。あるいは起債の問題も額をきめてあるわけなんです。そういう問題と関連的に地方税法が決定されておるわけなんです。ところがそういう地方税を除く他の問題は一応ほうかむりでほうつておいて、地方税法だけを審議するということは非常に一方的である。私どもそう考えるのですが、この点で自治庁はどういうふうにお考えになるか。
  61. 小野哲

    小野(哲)政府委員 お答えいたします。本委員会の御審議の模様を拜見いたしておりますと、單に地方税のみならず、起債の問題あるいは平衡交付金の問題も、合せて御審議になつておるものと見ております。
  62. 立花敏男

    立花委員 実はそうは参つておりませんので、地方財政を問題にいたします場合も、地方税法と関連のある問題としてだけしか問題にしてないわけです。たとえば金曜日の地方行政委員会では、私どもが要求いたしまして、地方財政の問題という議題を上げておりますが、きよう議題には地方財政の問題は消えておりまして、地方税法の問題しか出ていない。それで地方財政の問題はどうするのだと委員長にお尋ねをいたしますと、地方税と関連のあるものとしてやつてくれ、そういうお答えでございまして、真正面から地方財政を扱つておるという形ではないわけなんです。そこに非常に地方財政そのものの根本的な考え方をはぐらかすようなものがある、私どもといたしましては住民から取立てます地方税だけを問題にいたしまして、国家が負担すべき平衡交付金あるいは災害の補助金あるいは地方起債、こういうものを抜きにしないで、住民負担に転嫁される二百億の増徴を含みます地方税だけを審議するわけには参らないと思います。片一方がどうでも出ない、国から出るものはどうしても出ないという見通しはつきりすればまた別でございますが、それが私どもの見ますところでは少しもはつきりしていない、かえつてまだ相当出せる部分があるのじやないかと考えます場合に、そういう問題を拔きにいたしまして、地方税法だけを審議することはできない。ところが実際の審議地方税審議になつてしまう、こうなつておりますので、次官の言われました実際委員会がやつておるとお考えになるのは非常に甘い考え方で、たとえばさいぜんから申しておりますように、地方財政委員会意見書そのものすら、私どもは十分に審議しておりませんし、これに対する結論出していないのです。このこと自体が具体的に当然われわれが取上げなければいかぬ地方財政の問題をネグレクトしているということが現われておりますので、こういう事態からいたしまして、十分審議しておるとは思えないのですが、こういう形で地方税法審議することは、非常に誤つた結論を導き出すと思いますし、私どもといたしましても、何か初めからわくにはめられたものを押しつけられたよう感じますものですから、こういう審議の仕方に対して小野政務次官はどういうふうにお考えかお尋ねいたします。
  63. 前尾繁三郎

    前尾委員長 立花君、議事の進行は政府委員にお聞きになつてもしかたがないことなのですから、それは私から御答弁申し上げます。金曜日は御承知ように——あなたは先ほどそうおつしやいましたが、地方税だけしか議題にあげておりません。地方税に関連して平衡交付金もおやり願うのは、この前の国会でもずつとそうやつていただいておるのです。だから別に新例でも何でもない、税と平衡交付金とは非常に関連が深いのですから、その関係において地方税法審議と一緒に平衡交付金もおやりになるのは、私は別にさしつかえないと思つておりますし、その方が審議の進捗がいいというふうに考えておりますから、その点は十分御了承願つて政府委員に議事の進行について意見を聞かれましても、これはお答えする限りではないと思います。
  64. 立花敏男

    立花委員 ここで委員長がお取上げになつたかどうか知らぬが、金曜日の公報にははつきり財政税法と別に載つておりまして、今日のには財政は載つていないわけです。そういう形でやはり財政の問題が非常に影が薄い、税法だけが主体になつて来るという形がありますので、その点をひとつ御注意願いたい。
  65. 前尾繁三郎

    前尾委員長 影が薄いというのはあなたの御趣意だけのことであつて、私は決して影が薄いとは思つていませんから……。
  66. 立花敏男

    立花委員 それはあなたのお考えでいいのですが、私は私の意見を申し上げておるのであります。そういう意味税法審議と申しますものも、私どもとしては非常に一方的な結論にならざるを得ないと思うのですが、そういう点でどう思うかということを、自治庁にお尋ねしておりますので、これは自治庁としてもおのずから意見があろうと思います。税法の具体的な質問に入ります前に、やはりそういう問題を承つておきませんと、自治庁の根本的態度というものは、了解いたしがたい点がありますので、お尋ねをしたわけであります。もちろん御答弁がなければよいのですが、委員長はおとめにならないで、自治庁より御答弁があれば承りたい。
  67. 前尾繁三郎

    前尾委員長 答弁はないそうです。
  68. 立花敏男

    立花委員 私はその点が重大な問題だと思いますので、どういたしましても政府から出すべきものに対する結論はつきりつけないで、とるべき税金の問題だけをおやりになるということは、絶対反対いたします。この点を明らかにして質問に移りたいと思います。一般的質問はこの間岡野国務大臣にいたしましたので、具体的な問題で質問いたしたいと思います。まず第一問題になりますのは、今回の税法改正勧告所得者に対する非常に苛酷な負担になるということ、政府は單に技術上の、あるいは税の徴収上の事務的な改正だというように言つておられますが、実質上はそうではなしに、税の負担は勤労階級に非常に重課されて来るということが、はつきり現われておるわけであります。しかも勤労階級と申しまてしも、いわゆる勤労農民まで含めまして、特に重課されて来ておるということが言えると思いますが、こういう点を意識的におやりになつたのかどうか、たとえば農民に対しましても国民健康保険税の新設、これは勤労農民にとりましては非常に寢耳に水のような話で、今でも困つております税金の上に、さらに国民健康保険税というようなものを新しくとられるということは、これは耐えられないことであると思うのであります。こういうものをなぜ突如としてお出しなつたか、それから労働者に対する源泉徴収の問題、こういう問題をなぜ突如としてお出しになつたのか。御承知ように勤労者は現在でも市民税を払えない人が多うございまして、困つておるわけであります。これを払えないものをこんどは無理やりにとつてしまうという形が出ておるのでありますが、なぜこういうふうに農民あるいは労働者に対する、ことに重圧になるよう改正をお考えになつたのか、これをひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  69. 小野哲

    小野(哲)政府委員 今回提案しております地方税法改正は、ただいま立花さんがお話になりましたように、技術的な問題に重点を置いているわけであります。地方財政の現況から考えまして、できるだけ財源を強化して行くということから出発いたしますと、なお地方住民の皆さんに御負担を願わなければならぬという筋合になるわけでありますが、それではあまりに負担が過重になるというので、できるだけ税率等はすえ置きの方法をとりまして、徴税方法であるとか、そういうふうな点についての改善を加えて行こうというのが大体の趣旨であります。従いましてただいまのお話ように、勤労者に対しておしなべて過重な負担をさせようというような意図は持つておらないのでありまして、むしろ徴収の簡易化あるいは徴収率を上げる、同時にまた納税者としても便利になるように、こういうふうな考え方が織り込まれておるわけでありまして、この点について御了承願いたいと思います。
  70. 立花敏男

    立花委員 徴収の率を上げるということがねらいになつておるようです。しかし徴収の率を上げるということは、払えるだけの税金にいたしまして、喜んで払えるという形にいたしまして、徴収の率が上るならいいのですが、払えないものを、法の強制力によつて無理に取上げて、徴収率の向上をはかるのだということはどうかと思うのですが、今度の税法はそうなつているわけです。徴収率を上げるということが、あなたのお言葉のように、ほんとうの眼目でございまして、決して負担均衡考えたり、負担合理化をはかつたり、あるいはむしろ負担の軽減をはかつたりするのではなしに、どうして徴収率を上げるかということが、今度の税法のねらいだと思う。だから、実際は納まらないものも百パーセント取上げる。あるいはまた国民健康保険の納まらない医療費、こういうものも今度は税金として徴収率を高めて行くということがねらいなので、徴収率と申しますものをそういうふうにお考えになつては、非常に因るのではないか。たとえばもし百パーセントの源泉徴収をやるのであれば、税率の一八%は一〇%に下げるとか、そういう問題をお考えにならないで、現在払えないものをどうして徴収率をよくするかということをお考えになつておられまして、源泉徴収というような、まことに首つりの足をひつぱるよう方法をお考えになるのですが、こういうことでは私どもはどうしても納得できないと思うのです。そういう意味で今度の税法改正は、払えない者からも無理に徴収いたしまして、徴収率を高めるという観点からおつくりになつたのかどうか。ひとつはつきりお答え願いたいと思います。
  71. 小野哲

    小野(哲)政府委員 ただいま立花さんが言われましたよう考え方で立案しておるわけではございません。
  72. 立花敏男

    立花委員 そういたしますと、現在たとえば市民税などは非常に納められない者が多いわけです。そういうものを今度は百パーセント源泉徴収でとつてしまうというのですが、納められない原因は一体どこにあるとお考えになるか。税負担の限界が参りまして、もう納められないよう状態になつておるとお考えなのか、そういうものを無理に百パーセント源泉徴収でとるとすれば、これはあなたが何と言われようとも、首つりの足をひつぱるという税制改正になるのですが、一体今納めらるべき地方税、特に市民税、こういうものがなぜ納まらないとお考えになつておるのか。もしそのお考えがあるとすれば、それを裏づけるような資料をも、ひとつあわせて御説明願いたいと思います。
  73. 小野哲

    小野(哲)政府委員 税金はなるべく安い方がけつこうでありまして、われわれもその点については別に異論をさしはさむものではないのでありますが、同時に地方公共団体の財政確立の点から申しまして、ごしんぼう願わなければならぬ場合もあるわけでありまして、ちようど今立花さんも詳しく御承知よう地方公共団体の財税の状況にあることにかんがみまして、地方住民の各位に御協力を願いまして納税をしていただくという考えで、われわれは期待を持つておるようなわけであります。
  74. 立花敏男

    立花委員 だから私は問題になると思うのです。地方財政確立という言葉を、小野さんはお使いになりまして、地方財政確立をはからなければいかぬ。だから住民出してくれ、払えない者も出してくれというふうに言われたと思うのですが、地方財政確立地方税だけの問題ではないと思うわけです。だからそこに問題がありまして、最初に問題を出しましたように、地方財政確立はやはり税以外の要素が多分に入つて来る。しかもそれはこのシヤウプ勧告で一定のわくをはめられたものすら守られていないというよう状態のもとに、地方税だけが問題にされようとしている。しかも地方財政確立という言葉を掲げまして、今納まつていない地方税を百パーセント取上げるというやり方をやられておるのじやないか、そう思うわけです。地方財政確立が必要だから、全部地方民が負担しなければいけない、納められないものを源泉徴収でみなとるのだというりくつは、どこにも成り立たないわけです。これは明らかに私は飛躍ではないかと思う。だから地方財政確立の必要はわかりますが、地方財政確立しなければいかぬから地方税を百パーセントとらなければいかぬ、払えないものも払えというりくつには参らない。このことを私どもは言つておるのですが、小野さんは地方財政確立が必要だから、どうしても払えない者からもみんなとるのだ。これは地方民が地方税負担して、地方財政確立をやらなければいかぬのだ、そういうふうにお考えなのか、他に方法は全然ないとお考えなのか、それをひとつ承りたいと思う。
  75. 小野哲

    小野(哲)政府委員 地方収政の運営は、立花さんもお話よう地方税収入だけではなくして、あるいは平衡交付金とか、臨時的な経費につきましては、地方起債の問題もあるのであります。総合勘案して地方財政の運営の全きを期することが常識となつておることは、申すまでもないのであります。しかしながら一面地方自治の運営が行われて行くためには、やはりその団体の財政をまかなつて行くのは、その住民の手によつてつて行くことが本筋になつております。従つて地方税の問題も相当大きな要素、言いかえれば一般財源としての使命を持つておるわけでありますので、決して單なる税を取上げるのだという思想ではなしに、お互いが持ち寄つて地方団体の運営をよくして行くというふうな基本的な考え方から、問題の批判をして行くべきが至当ではないか、かよう考えておる次第であります。
  76. 立花敏男

    立花委員 だからお互いに持ち寄るのはけつこうですが、お互いに持ち寄る場合に、政府がちつとも持ち寄らない、国家がちつとも持ち寄らないで、住民だけが持ち寄らされるということになつているわけです。このことは私どもだけの意見ではございませんので、地方財政委員会自体がはつきり意見出しております。あるいはシヤウプ勧告ようなものすら、はつきり数字まで出しておりますのに、それを政府がお出しになならないで、税金の問題だけはこういうふうに一方的にお出しになつておる、ここに大きな矛盾があるのじやないか。この矛盾を解決しない以上は、税法審議もむだだと私は思う。この点は自治庁の方でも十分お考え願いたいと思う。この問題はどういたしましても、地方住民が納得いたしません。国が出すものは出さないで、とるものだけはとろうとするという考え方は、地方住民はりくつじやなしに直接感じます。事実私ども、けさも全国知事会議の意見書、要請書をもらつておりますが、知事自体がはつきりそういう意見を持つておりますから、これはいかに強弁なさろうと、いかにごまかそうとなさろうと、これは問題にならない、明々白な一方的な処置だと思います。この答えは地方選挙にはつきり出て来るだろうと思うのですが、そういう点をごまかされずに、はつきりつていただきたいことをお願いしておきます。  それからこの税法改正なさつたのは、実際やつてみて、どうもいけなかつた点があつたから改正なさつた。ところが附加価値税などの場合は、実際やつてみたのじやないわけです。実際やつてみないでしかも附加価値税などは重大な変更が加えられておる。前の審議の場合におきましても、資本家側から要望が出ておりました重大な変化が、今度の改正には出て来ているわけであります。だからやつてみて手続上困つたから、かえたという問題は、附加価値税の場合は起らないと思うのですが、附加価値税の問題で、改正をお加えになつた根拠をお示し願いたい。
  77. 小野哲

    小野(哲)政府委員 これはシヤウプ第二次勧告をお読みになれば明らかな問題でありまして、加算法のよう方法をとつてはどうかということが一つ、もう一つはさきの国会でもやはり加算方式をとつた方がよいのではないか、こういうふうな論議もあつたわけでありまして、実際にこれを施行しておらなくても、取入れるべきものは進んで取入れる、こういう考え方から今回加算方式を取入れることにいたした次第であります。
  78. 立花敏男

    立花委員 前の国会にも資本家側の方から、加算方式の要求という問題が出ておりましたのは知つております。しかしそれを今回取入れるかどうかはおのずから別問題でございまして、加算方式そのものが、資本家の負担を軽くするか重くするかの問題になつて来るだろうと思うのですが、自治庁では加算方式によれば、資本家の負担がどういうふうになるとお考えになるのか、これをひとつお答え願いたい。
  79. 小野哲

    小野(哲)政府委員 これは軽くなるか重くなるかというふうな観点からの問題ではなしに、そういうふうな方法をとることが、便宜であるかいなか、またそういう道を開くことが適当かいなか、こういう問題であろうと思うのでありまして、單にただいまお話ように、資本家側からそう言つたから取入れるというのではなくて、シヤウプ第二次勧告にも指摘されておりますので、これは適当である、こういう考え方から取入れることになつた次第であります。
  80. 立花敏男

    立花委員 便利不便利の問題はもちろんあります。しかし私どもはやはり、これは資本家の負担が適当かどうか、額がふえるのか減るのか、これはやはり重大な問題です。何となれば地方税全体のわくは大体きめられておりますし、その中で資本家の負担が減りますれば、それだけ勤労者の負担に何らかの形でまわつて来ることは当然なのでありまして、資本家の負担が減るか減らないかは、これは重大な問題です。單に私便宜上の問題ではないと思う。特に最近資本家側が資本の蓄積あるいは固定資産の再評価、こういう問題を非常に考えておりまして、違法行為をやつても、あるいは脱法行為をやりましても、利益部分の隠匿あるいはあらゆる形の社内留保、こういうものを企てております場合に、今度の加算方式をとるか、あるいは控除方式をとるかということは重大な関連を持つて来るわけです。日本の産業の基本的な資本の蓄積、こういう問題に対しましては、外国の独占資本が非常に興味を持つておりまして、シャウプ税制自体が、日本の資本蓄積を促進するものであると言われておつたのですが、今度はそれが徹底的に露骨だ現われておりまして、やはり資本の蓄積をねらつておる。それがこの加算方式、あるいは償却費の課税対象からの免除ということになつて現われておると思うのですが、これは決してあなたの言われるように、技術的に便利だからというような問題ではないし、それは一つのごまかしにすぎない。アメリカの資本あるいは世界の資本が、日本の資本に望んでおりますところは、やはり日本が資本蓄積をやりまして、そうしてそれで日本を極東の軍需工場、あるいはヨーロツパのための軍需品の生産、こういうところまで考えておるということは明らかだ。これはダレス報告ではつきりしておる。私前の委員会で大臣に読み上げて聞いてもらいましたが、ダレスが西ヨーロツパのために日本で軍需品をどんどんつくるのだ、大砲の照準眼、パラシユート、こういうものを日本の工場でどんとんつくるのだ、そのリストを要求しておるのだということを、トルーマンに報告しておるわけです。そのための資本の蓄積、こういうものがねらわれておることは明らかなんです。その線に沿つて、今度の税法改正もやはり加算方式にいたしまして、資本の蓄積、利益の隠匿を容易にする、あるいは償却費を課税対象から除きまして、資本の蓄積を容易にするということがやられております。これでおそらく莫大な、何十億、何百億という資本が課税の対象から除かれまして、資本家の手によつて人民の目からごまかされるという結果が起ると思うのですが、そういう問題を政府はお考えになつておられないのかどうか。この問題はもうすでに産業界では再々評価の問題として問題に上つておりますし、これは子供だましのように、そんなことは考えていないのだ、單に技術的な問題だということでは済まされない問題でありますが、ほんとうにこれは技術的な問題だとお考えになつておるのか、そういう点も含んでお出しになつているのか、これをひとつ御当局に伺いたい。
  81. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 立花委員は、今の附加価値税につきまして、今回の政府の案におきまして加算方式をとることを認めたことにつきまして、資本蓄積をより容易ならしめる手段の一つであるというような御見解のようでございますが、政府といたしましては、そのよう見地からこれを取入れたわけではございませんで、ただいま政務次官から申し上げましたように、まつたく企業の実際上の便宜のためという見地からなのであります。この点は現に大企業におきましては、所得の計算を青色申告によつてつておるのが非常に多いのでありまして、青色申告をいたしまして、正確に記帳いたしておりますものにつきまして、いわゆる控除方式によつていたしますよりも、やはり所得計算がすでにできておるわけでございますから、その所得を基磯にいたしまして、それに給与なり地代、利子、家賃を加えました加算方式による方がより有利である、二つの帳簿をつくらなくて済むという便宜があるのであります。実際の利不利という点は長期にわたつてこれを考えます場合には、無に帰するわけでございますし、また附加価値税の控除方式自体が、むしろ資本蓄積を促進する意味において、固定資産を買入れました場合には一時に差引くというようなことになつておるわけでございますから、そういうよう見地から申しますと、むしろ従来からあります控除方式の方が有利の点もあるわけであります。そういうようなことでありまして、加算方式を認めたことは、決して資本蓄積を容易ならしめるというねらいから出たわけではないのでありまして、全体として企業の納税上の都合がいいように、会社経理上の都合がいいようにいたすことがねらいであります。
  82. 立花敏男

    立花委員 減価償却の問題についてはお答えがなかつたのですが、これは明らかに資本蓄積になると思う、これはあとでまたお答え願いたい。加算方式と控除方式の問題ですが、私どもは控除方式が資本蓄積の役に立たないと申しておるのではございませんで、この前の地方税審議の場合に、共産党が地方税法に反対いたしましたのも、実はこれが資本の蓄積であるという建前から反対したわけなんです。ところが今度の改正では、それが一層ひどくなつておるということを指摘いたしまして、反対いたしておりますので、控除方式が資本の蓄積に役立つということはもちろんなんです。それ以上この加算方式が、より一層資本の蓄積に役立つ、しかも最近特徴的に現われております資本のあらゆる形での内部蓄積、非合法的な手段まで使いましての内部蓄積、こういうものをより一層容易にする、これを税法の上で援護しようとするのが、今度の地方税改正であるよう考えて、共産党はこの加算方式こそ日本の資本の蓄積であり、日本の軍需産業の強化である、こういうよう考えるわけです。そうではないとおつしやるのですが、そういたしましたならば、控除方式の場合と、加算方式の場合と、課税対象がどう違うか。まつたく同じではないと思うのですが、どう違うかということをお示し願いたい。
  83. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 加算方式、控除方式でどういうふうに違うかということでございますが、加算方式の場合には、所得というものを所得税法の方針による計算によつてはじき出しまして、それに給与なり、地代なり、家賃、利子という附加価値を現わすものをさらにプラスして行く、こういう計算方式であるわけであります。一方控除方式の方は、事業に直接必要な、外部に支出いたします支出金額を一方に押えますとともに、事業のいわゆる売上高と申しますか、そういうものを押えまして、この総売上金額と一定の支出金額との差額を算出いたしまして、その差額を附加価値額といたすわけでございまして、従つてたとえば固定資産を取得いたしたような場合を考えてみますと、外部に直接支出いたしました経費として、そういうものが全部一どきに差引かれてしまうわけであります。またいろいろ商品を買入れましたような場合、半製品を買入れましたような場合におきましても、そういうものが、たなおろし計算というようなめんどうくさいことをやらないで、一どきに全部差引かれてしまうわけです。そういうふうになつておりますが、加算方式の方になつて参りますと、結局仕入れましたものを売りましたその残りの、評価益といいますか、そういうものが附加所得の関係で加わつて来る。また固定資産を買入れました場合におきましては、結局その年々の減価償却だけが差引かれて行く。こういうようなことでその辺は企業の実態に応じて違つて来るわけでございます。しかしそれを全体として見て参りますと、たとえば固定資産を買入れましたという場合におきましては、結局においてその買入れた額というものが、支出金額として差引かれるわけであります。ただ一時に来るか、年々引いて行くかというだけの違いでありますから、総体の計算としては、その間に差異がないと考えておるわけであります。
  84. 立花敏男

    立花委員 どうもかんじんの点に触れていないと思うのです。たとえば加算方式によりますと、所得と、給与と、利子と、地代及び家賃、大体この五つがおもな要素でございまして、そのほかにはほとんどないと思うのであります。ところが控除方式の場合におきましては、交通費、交際費、雑費、あるいは所得税、法人税、市町村民税、こういうのも課税の対象になつて来ておつたわけなのでありますから、ここに非常に大きな差異があるわけなのであります。加算方式ではたつた五つ、控除方式では、その五つのほかに、今述べましたたくさんのものが加えられましたものが課税の対象になつておる。ところが加算方式で行くと、こういうものが全然課税の対象から除かれておる。こういう問題なのでございまして、ここに大きな相違がある。しかも今述べました、交通費、交際費雑費、こういうものが、実は資本家にとりましては、大きな利益の隠し場所になつておるわけであります。この隠し場所を課税の対象から除いておる。交際費などは、最近の料理屋の繁栄を見ますれば、軍需産業、特需産業の交際費が、莫大な額になつておることは御存じのことと思います。こういうものが課税の対象から除かれておる。加算方式によれば、こういうものが課税の対象にならないというふうなところに、大きな問題があるわけであります。あるいは雑損の問題にいたしましても、当然資本の蓄積として適当に評価されなければならないものを、修繕費であるとか、あるいは何とかいう雑損の形で落しております。こういうものも課税の対象になつて来ないということで、現在資本家連中が血眼になつて利益を隠匿しようとしている。それが加算方式によれば全然除外されて来る。ここに私は問題が残つておるのではないかと思うのですが、こういう具体的な問題について、どういうふうにお考えになつておりますか。
  85. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 今の、雑費とか、交際費、交通費というような問題でありますが、これは加算方式において、結局所得税法による、あるいは法人税法による所得の計算上、必要経費として落されるかどうかという問題であります。これはものによつて、それぞれ認定の問題になつて来るわけであります。一方控除方式の場合におきましても、その雑費なりあるいは交通費というような名目におきまして支出いたしましたものが、真に事業を行つて行きますために必要な、外部に支出せられました金額であるということでありますならば、これは差引かれることになるでありましようし、要するに個々具体的な支出の認定の問題でございますから、ただ一概にそういう名目で呼ばれておるからといつて、すべてこれをその通り見て行くということには相ならぬと思います。いずれも実態を見ての問題である、そういうふうに私ども考えております。
  86. 立花敏男

    立花委員 私が言つておりますのは、事実を申しておりますので、加算方式でやれば、こういう形で実は脱税の方法考えられているということを、事実で言つておるのであります。認定の問題だと言われましたが、それならば、自治庁といたしましては、こういうような加算方式の場合も、全部課税の対象にするのだというふうに、認定なさる基準がはつきりしておれば私けつこうだと思いますが、そもいうお考えはつきり貫く用意がありますか。
  87. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 これは立案当局といたしましても、加算方式と控除方式によることの結果といたしまして、そこに、利、不利が出て来るというようなことを前提として考えているわけではないのでございまして、ただいま御指摘のような、たとえば交通費、交際費というようなものが、所得の計算において、必要な経費に落されるものであるというようなものでございまするならば、一方控除方式においてこれを算定いたします場合におきましても、事業の運営に必要な、外部に直接支出した金額として、これは控除して考えるべきであろう、かよう考えております。
  88. 立花敏男

    立花委員 そういたしますならば、これは実際上資本家が脱税ができないようにすればいいので、不当な資本蓄積を許さないようにすればいいので、そういうことを自治庁がお考えになつて、單に技術の上だけの問題で、ほんとうに、加算方式にしたのは、資本の蓄積をいたずらに助長するためではないというお考えを貫かれる用意があれば、私はけつこうだと思います。しかしこれはなかなか困難なことだと思いますが、そういうお気持があるそうでございますから、この点は一応やめておきたいと思いますが、念のためにお尋ねいたしておきますけれども、今の加算方式と控除方式によつて、税収の額の上での相違はお認めになつていないのでありますか。
  89. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 この点においては、全然差異を認めておりません。それから今の資本蓄積の問題でありますが、政府といたしましては、国税地方税全体を通じて、資本蓄積というような面も、いろいろな政策の面において出ておるのでありまして、資本蓄積を必ずしも助長しない意味において、加算法を採用したという考えではないのであります。
  90. 立花敏男

    立花委員 私も資本蓄積そのものが決して不当だとは申しておりません。不当な資本蓄積、しかも蓄積された資本が人民のためにならないような方向に使われるような資本蓄積を助長するよう考え方はやめていただきたい。こういうことを言つておりますので、資本蓄積そのものは、必ずしも私は反対ではありません。  それから減価償却の問題ですが、これは非常に重大な問題で、これは明らかに大資本擁護——資本が幾らでもあつて、金を出して買えるような会社、アメリカから幾らでも政府が予定した機械が買えるような会社、こういうところは非常に有利になる。しかもこれは青色申告に限つて認めておりますので、青色申告のできないような小さなところは、減価償却も税金がかかつて来る。青色申告をやつているようなところは、課税対象から除外される。こういうような非常に不当な結果になつて、大企業のみにこの恩典が行くようになると非常に困ると思いますが、この問題をやはり技術的な問題だとお考えになるのか。これをひとつ承りたいと思います。
  91. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 中小企業が青色申告制をとつていないから、中小企業に不利益であるというお話でありますが、先ほど来申し上げますように、加算法が決して恩典であるとか、特典であるとかいう考え方ではないわけでありまして、企業の経理、記帳の便宜上、現に所得税法なり、法人税法でやつておりますその所得計算を、そのまま持つて来て使えるようにしようという便宜上の問題でありますので、そういう見地考えておるわけではないのであります。  なお中小企業の関係でございまするが、これは私どもといたしましては、むろん中小企業でも青色申告をとれば、それに越したことはないわけでございますが、附加価値税自体といたしましては、従来の事業税というものよりも、むしろかえつて附加価値税の方が中小企業にとつては非常に負担が軽くなる面が多々あるということは、昨年の夏の国会で、附加価値税についていろいろ御論議がありました際に申し上げた点であります。これはその後の数字等もいろいろございますが、中小企業につきまして、附加価値税をとりますことは、私どもといたしましては、決して事業税にかける負担金に比較いたしまして、過重になるというようなことはない、かよう考えております。
  92. 立花敏男

    立花委員 この場合は、おそらく前の附加価値税の場合と違つて相当税の軽減が予想されるわけなんですが、減価償却を課税対象から除外することによつて幾らの減税になるのか、これをひとつ承りたいと思います。
  93. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 減価償却を課税対象から除外すると言われました意味は、附加価値税実施前の固定資産につきまして、減価償却相当額を爾後の各事業年度の附加価値税の計算上差引いで行くという問題だと思いますが、これにつきましては、主として附加価値税実施後におきまして固定資産税をとりますと、それを一度に差つ引くということで、附加価値税実施前と実施後におきまして、いかにも負担が不均衡になるので、減価償却額を差引く建前をとつたわけであります。このことにつきましては、先般の国会地方税法提案いたしましたときの資料におきましても、実は加算方式による計算方法をとつておつたわけであります。と申しますのは、こういう方式によりまして、全体の計算をいたしますことが、現在の事情におきましてはなかなか困難でありまするので、国民所得を基礎にいたしまして、それを加算方式によつて計算した資料をこの前出して、二十七年度におきましてたしか四百十九億という附加価値税の一応の目標を立てておつたわけであります。そういうわけでございまして、特にこの方式をとりましても、税額の上におきましては減らすという必要はないよう考えておるのであります。
  94. 立花敏男

    立花委員 大体再評価された減価償却の対象になる固定資産は幾らくらいでございますか。
  95. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 今ここに数字を持つておりませんので、その点はまた後刻あらためて申し上げます。
  96. 立花敏男

    立花委員 相当厖大な数字に、上るはずなんです。一方ここで法人に対する住民税の課税というようなことが取入れられておりまして、多少法人にかかるように思いますが、この減価償却の面で、それよりもさらに多いような額が大経営から軽減される。しかもそれは青色申告のできますような大資本家、特に政府から資金を融資してもらつて、特に定められた外国の機械を購入し得るような特定の産業である。御承知ように、現在では特定の産業しか資金がまわりませんので、機械を買おうにもそういうところしか買えないわけですが、こういうようなところだけが、莫大な負担を軽減されるということになつて来ると思うのです。減価償却による附加価値税の免除は大体五十億あるいは百億になるのじやないかと思うのです。こういうものがそういう特殊な産業だけ、いわゆる特需産業、こういうようなものにだけ軽減されるということは、どうも、納得できないのですが、そういう結果になるということをお考えにならないのかどうか。減価償却の恩典を受けるものは、現在の状態ではそういう特殊な産業だということをお考えになつておられないのかどうか。またそういうふうな一般的な特需産業に、そういう恩典を与える必要がなぜあるのか。現在でも民間におきましては、そういう特需景気でもうけておるやつにこそ、特別税を課けろとういような要求がありますのに、そういう特需産業だけが恩典を与えられるよう改正をなぜお考えになつたのか、これをひとつ御説明願いたいと思います。
  97. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 今の資産の再評価あるいは再々評価で減価償却が非常にふえて来ることは、お話ように資本の蓄積という面が一つあるわけでございますが、同時に、再評価を非常に大きくいたしますれば、固定資産税の万がふえて来るというようなことで、両者相抑制いたしまして適切なる評価が行われるであろうということがねらいでございます。しかしながら、そういうふうな適切なる評価が行われませんと、結局各企業は自己の足を食つて、資本を食いつぶして行くということになるので、将来の日本経済にとつてゆゆしいことでありますから、そういう再評価あるいは再々評価が行われますことが、非常に望ましいと思うのであります。そういう点税法の上に反映して参りますことは、これまた日本の経済の上から申しまして、当然考えるべきことであろうと思うわけでありまして、かたがた附加価値税の実施前後における負担の不公平ということをなくしますために、実施前に取得いたしました固定資産につきましても、これを調整いたしました額によつて減価償却の相当額を爾後の各事業年度に控除することを認めようということでございますので、政府といたしましては、こういう方式が適当であろうと考えているのであります。
  98. 立花敏男

    立花委員 現存日本の経済、日本の産業がだれのためにどの方向に動かされているかということを、根本的にお考えにならないで、資本蓄積もかまわないのだ、減価償却もやらすのだということで仕事をおやりになると、結局考えを違つた方向に行くことになると思いますので、日本産業の根本的なあり方、根本的な方向というものを、やはり十分考え税法をおつくりにならなければ、結局変な税法ができてしまうのではないかと思うわけです。再評価の税金の問題一つをお取上げになつても、再評価をあまりたくさんやつても、税金を納める金がなくて困るのだから、そうやらないのだとおつしやられますが、そういう莫大な再評価の税金に対しましては——そういうような大企業に対しましては、政府は特に納税融資を考えているわけで、そういうような莫大な固定資産を持つております企業は、ちつとも困らないようにちやんともう税金を納めるための資金までも用意されております。ですから、もうそういうよう特需産業、巨大産業に対しましては、至れり盡せりなんで、さらにその上にこの税法で減価償却まで、そういうものだけが恩典に浴するという形で出て来ていることは、どうも納得ができない。これ以上はあるいは議論になるかもしれませんが、結局こういうような形で一資本家の負担すべき部分が減らされている。また減らし得る可能性があるように、税法が仕組まれておるということは、結局これは勤労者の負担に転嫁されて来るのではないか。附加価値税の数字的な減少は見込んでおらない、加算法によつて附加価値税の減少は見込んでおられないと言われたことから、その結論が出て来るのではないかと思いますと申しますのは、加算方式によりますと、所得と給与、そのほかに利子、地代、家賃がございますが、これは問題にならないと思います。所得と給与だけが二本残るわけです。ところが企業によりましては、給与が絶対的に多いものがたくさんございますが、少くともこの二つに限られまして、あとのこれ以前につけ加えられておりました交際費とか、交通費とか、雑費とか、所得税というものが全部なくなつてしまいまして、全体の額が同じであるとすると、給与に対する負担がどうしても重くなつて来るのではないか。そういたしますと、現在の税法自体に反対しておりました労働者が、三重に収奪を受ける。すでにもらわない以前に、資本家の手にまだ給与があるのに、税金がかかつて来るという矛盾がさらに増大して来るのではないか。自分がもらつた場合は所得税としてとられ、また自分がもらつて生活をする場合には、これは市民税としてとられる、こういうふうに三重の税金が勤労者にかかつて来るのですが、そのかかつて来る圧力が第一歩の附加価値税の場合に、今までよりも重くなるのではないか。と申しますのは、資本家の附加価値税の中で負担すべき率がどんどん減つて参りますから、どういたしましても残されました給与の方に、その負担が転嫁されて来るのではないかと思うのです。こうなつて参りますと、勤労者は、あとで問題になります市町村民税の百パーセント源泉徴収という問題の前に、資本家の手に自分の給与があります場合に、すでに大きな重圧を受けて来るということが言えると思いますが、この問題をお考えなつたことがあるかどうか、お聞きします。
  99. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 附加価価税の本質の問題については、学者間にいろいろ論があるわけでありますが、私どもといたしましては、附加価値税のあるべき姿におきましては、この附加価値税というものは、やはり原価計算の中に織り込まれて参りまして、そしてこれに転嫁をして行くというのが建前であろうと考えております。ただ実際の経済の運営の上におきまして、必ずしも常に転嫁できるとは限らないわけでありますが、最近のように景気が逐次上昇いたしておりますような段階におきましては、やはり転嫁がだんだんと容易になつて来るというのは事実であろうと思います。立花さんは常に前転をしないで後転をして行く。従つてそれぞれの企業における賃金労働者がそれぞれこれを負担して行かなければならぬということのみを前提としてお考えになつておるようでございますが、この附加価値税自体の本質からいたしましては、今申し上げましたようなことで、むしろ前転し転嫁して行くということを建前として考えておるのでございまして、ことに最近のような経済情勢をにらみ合せて考えますと、どうもそのことが実際行われる可能性が非常に多い、かよう考えておるのであります。
  100. 立花敏男

    立花委員 転嫁される場合には二つのものに転嫁される。物価と労賃、二つにしか転嫁されないわけです。あなたの言われるのは物価だけに転嫁される場合をお考えなのですが、私どもは労働者の賃金に転嫁されるという問題が重大なのです。事実労働者の賃金に転嫁されわけです。と申しますのは、最近の社会情勢から申しまして、労働者の購買力がどんどん減つて来る。物価を上げても購買力が追いつけない。そういう場合には物価は上げられない。やはり品物を売りますためには他の企業よりもコストを下げて来る。こういうことが絶対命令になりて参ります。どういたしましても、物価に転嫁されます場合よりも、労働者の賃金に転嫁される場合の方が多くなつて来るわけです。だから私どもは転嫁の問題には意味ございませんが、物価に転嫁されるのではなくて、労働者の賃金に転嫁される、こういう問題がまず起つて来るのではないか。もちろん物価に転嫁されました場合も、最終的にはこれは最終消費者に転嫁されて参るのでございますが、やはり転嫁という問題を考えます場合、現在の社会情勢におきましては、大衆の購買力の枯渇しつつある状態におきましては、物価に転嫁する前にまず労働賃金に転嫁される。労働賃金の引下げ、あるいは労働強化、こういう形で労働者に転嫁されて来るのが常識でございまして、そういう転嫁が起る可能性があるから、私は労働者の賃金の圧迫になるということを言つておるわけなんです。こういう面から、あなたが転嫁自体をお認めになるのであれば、明らかにこれは労働者の賃金に対する転嫁であると言えると思うのですが、その点はどうなんですか。
  101. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 その点になりますと若干見解の相違になります。賃金に常に転嫁されるというふうには考えておらないことは、先ほど来申し上げた通りでございます。ことに企業内における勤労者、従業者というものに転嫁されることは、むしろ最近のいろいろな情勢から申しまして少いであろう。やはり原価構成の中に織り込まれて転嫁されて行く可能性の方が多いし、またそういうことを法としては予想いたしたいと考えております。
  102. 立花敏男

    立花委員 あなたが賃金に転嫁しないと思つておられるだけでは、私どもは安心しておれませんから、ひとつそうならないというなら、そうしないような法律をお出し願いたい。明らかにこれは労働者の賃金に転嫁されます。そういうわけで、今度の税法改正は附加価値税の問題の場合から、労働者の賃金に非常に重圧になつて来る。さいぜん申しましたように勤労者は自分の勤労に対する賃金に対して、三重の課税を受けるわけなのです。附加価値税の段階において第一回、それから所得税の場合に第二回、それから市民税の場合に所得税の一八%として第三回、この三重の課税を受けるわけです。これが今度の税法改正で極端に加重されて来ている。附加価値税の場合について今申したのですが、次には市民税の源泉徴収です。この場合には最後の第三番目の段階としての市民税が百パーセント源泉徴収でとられる。これはもはや市民税でなしに、ある意味では所得税です。所得税が今よりも一八%よけいとられるということと、ちつともかわらないわけです。これはとられるときもそうなんです。給料袋をもらいます場合に、今までは所得税だけ天引きされていたのですが、これからは市民税も引かれるから、形の上ではまつたく市民税も勤労所得税も同じことになりまして、労働者にとりましてはまつたく形の上でも区別ございません。こういうふうに、今までは、払えなければ払わぬでもいい——払わぬでもいいというと語弊があるかもしれませんが、ないものは払えない、ないそでは振れないで払わなかつたのですが、それも今度は自分の手に入らない前にとられてしまうということなので、たださえひどい労働者の勤労所得に対する三重課税というものが、とことんまで、百パーセントとられてしまうという形になりますが、なぜ労働者、勤労者にこういうようなひどいことをお考えになつたのか。そういうことにならないという御意見があれば、ひとつ詳細に承りたいと思います。
  103. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 私どもといたしましては、国税地方税も、ひとしく国なり地方団体のサービスをやつて行きますために、必要なる経費をまかなう財源といたしまして、いずれもこれは同じような重要性を持ち、同じように必要なものであると考えておるのであります。国税を必ず納めていただかなければならぬと同じように、地方税も本来なら百パーセント納めていただかなければならぬと考えております。今の立花委員お話の中には、所得税とこれはまつたく同じになる。所得税も源泉で収奪され、地方税もそういうことになるということで、いかにも何か所得税の方はやむを得ぬが、地方税の方は納めぬでもいいのだというよう感じがする御発言でありましたが、私どもといたしましては、やはりこれは地方税地方団体を維持して行きますために、絶対必要なものでございますから、国税と同じように納めていただきたい、そういう見地で今回の改正案の中にも、国税地方税徴収順位というものは、まつたく同一にする、こういう建前にいたしておるわけでございます。この市町村民税の源泉徴収につきましては、国税の所得税と同じような方式、源泉徴収の方式は企業の経理の負担から申しましても困難でございますので、前年度の実績によりまして税額の方は市町村当局が計算して通知をいたしまして、それに基いて各企業の当局で差引いてもらう、こういうことにいたしたわけであります。これは納税する側から申しましても、一時にどかつととられるよりもその方が楽でございますし、また市町村といたしましても、毎月一定の額が入つて来るわけでございますから、市町村の事業を経営して行くという面からも、非常に適当であるわけでございまして、そういうような方式をとりますことは、地方自治を強化して行くためにも、やはり適当な方式であろう、かよう考えておるのであります。
  104. 立花敏男

    立花委員 所得税を軽減するすると、政府並びに自由党は一枚看板のように宣伝しておるわけですが、所得税を減ずると言いながら、所得税と同じものを一八%ふやすということは矛盾しておるということを言つておるわけです。それを市町村民税という名前でとろうが、何という名前でとろうが、片方で所得税を少し減して、すずめの涙ほど減しまして、減したしたと宣伝しておる連中が、同じ性質のものを一八%ふやすということは矛盾じやないか、ごまかしじやないかということを言つておりますので、私は地方税国税の間に差等があるというようなことを言つておるのではない。これはおかしいです。所得税を軽減するすると言つておるが、これが一枚看板ではないか。これでもつて労働者の遅れた部分のごまかし政策を片一方でとつておる。その連中が、所得税と同じ取り方で、持つてない者からも、払えない者からも、がむしやらにとるというとり方で、市民税をとろうということ自体が、おかしいということを指摘しておりますので、私は国税地方税の軽減を云々しておるわけではありません。勤労者にとりましては、実質上所得税が一八%ふえたことと同じである。形の上でも同じである。給料袋をもらつたときに市民税をとられてしまつておるのだから、今までの所得税をとられたと同じ形でとられるからまつたく同じだ。こういうことではたして市民は生活が維持できるかどうかということを言つておるわけなんです。この問題で最初私が小野次官に、今市民税が納まつていない、これはなぜ納まつていないとお考えになるか、市民がなまけて払わないのか、地方税というものは払わなくてもいいと考えて払わないのか、あるいは生活が苦しくて払えないのか、どちらだとお考えになつているのだとお伺いしたのは、ここにあるわけであります。ほんとうに市民がなまけて市民税を払わないのなら、百パーセント源泉徴収でおとりになつてもいいと思う。しかし現在何十パーセントかの市民税を納められない方は、やはり善良な市民として、近所つき合いといたしましても税金を納めたい、苦しい中からでも納めたい、着物を売つても納めたいと思つて納めておる。そういう善良な市民でも、納めら気ない方が何十パーセントかあるというのが実情なんです。だからなぜそういうものまで百パーセント源泉徴収でとらなければいけないのか、ここに私は問題があると思うのです。
  105. 小野哲

    小野(哲)政府委員 先ほど来申しましたように、税は低いほどけつこうなのでありますけれども、しかしそれでは地方公共団体が適正なサービスを提供して、市民に奉仕するということもできなくなりますので、これは要するに持ちつ持たれつのよう関係にあるのと、税というものに対する考え方をどこにおくかということも、やはり一つの重要な問題ではないかと思うのであります。いたずらに地方住民から税を収奪するというよう考え方から見ますると、何でもかんでも取上げるというふうな結論になるわけでありますが、自分たちが、住んでおる村なり、町なり、市なりをよくして行こう、そのために何がしかを出して行こうというよう考え方になりますと、おのずからそこに気分的にもまたなごやかなものが出て来るのではないかと思うのであります。全然税を払えない、言いかえると生活の実態から考えまして、担税力がないのだというふうな方々に対しましては、また地方税法において適切なる方法を講じ得ることになつておりますので、要は直接住民につながつておる地方公共団体が、その地方住民の生活の実態を把握して、全然税をとることができないよう状態にあるかいなかの判断によつて、きまる問題であろうと思いますので、一概に抽象的には議論はできないのではないかと思うのであります。
  106. 立花敏男

    立花委員 抽象的に議論しておるのではございません、地方税徴収率については、統計がすつかりでき上つているわけなんです。この統計をどうごらんになつているかということが問題だと思う。それとまた物価指数、賃金指数、実質賃金指数なんかがはつきりできておりますので、こういう賃金指数で、はたして税金が出せるかどうか、あるいは市民税を百パーセント源泉徴収にされまして、そしてはたしてその残りで生活ができるかどうか、この問題なんです。八千円ペースで食べられないということは明らかなんで、その証拠には政府つて毎年越年資金をお出しになつておられます。毎月の給与で食えるのなら、越年資金は出さなくてもいいようなものなのに、毎年越年資金を出しておられる。来年の予算にもお組みになつておる。これでは毎月の給与では決して食えないのだということを、政府自体がお認めになつているのと同じことではないか。現存の給与自体では生活できないのだということは明らかなんで、そういう事態だから、何十パーセントかは市民税が払えないのです。ところがその払い得ない市民税を、今度はがむしやらに百パーセント源泉徴収でとろうというのであるから、こういう方法が妥当であるかどうかは議論の余地はないと思うのです。その場合にも次官はあくまでもこれは実際に即した意見でないのだ。何か議論のための議論だとお考えになるのであるか。これは非常に問題だと思うのですが、そういう意味で、もう現在はつきり数学的に出ております地方税徴収成績——その納まらない部分は、どういう理由で納まらないとお考えなのか、これをひとつはつきり答弁願いたいと思います。
  107. 小野哲

    小野(哲)政府委員 ただいまも申しましたように、納められない人には、納められない正当の理由がある場合が予想されると思うのであります。そういう場合において、その人個人の生活の実態がどうなつておるかということは、最も身近にある当該地方団体が判断をするわけであります。ただ問題は立花さんのお立場から言いますならば、この地方税改正自体に、すでに反対の考え方を持つておられますので、さようなお立場から批判されますとすべでの問題が、要はこの税法の中に、織り込まれておること自体に、御反対をされるわけでありますので、この点につきましてはどうも見解の相違ということになるのではないかと思うのであります。
  108. 立花敏男

    立花委員 だから私どもはこの地方税法に関連いたしまして、平衡交付金の問題なり、地方融資の問題なり、あるいは補助金の問題なりを考えないと、これだけを論ずることは無意味だということを申し上げたわけなんです。この現在納められない事実、これに即しまして、それをどうしてとるかという問題だけに問題が、限定されて来ようとするわけなんで、私どもはそこの問題に行く前に他に方法はないものか、これを考える余地があるのではないかと言つておるのです。この問題をほつたらかしておいて、納まらないのだから徴収率を上げるために源泉徴収にして、百パーセントとるのだという考え方には納得できない。それはいかに小野さんがおきらいでも、大衆収奪という言葉を使う以外には使う方法ありませんので、これこそは明らかに大衆収奪なんです。住民は安い生活費、安い賃金、これで税金が払えなくなつたという事実が数字の上に現われておりますので、徴収率を高めるという建前で百パーセント源泉徴収をするというやり方は、片手落ちだ。だからそういうことにならないように、もう少しほかの方法をお考えになる必要があるのではないか。これが私が最初に平衡交付金の問題、あるいは地方財政全般の問題として提起したわけなんですが、その問題にお触れにならずに税法の問題だけで入りますと、どうしても大衆収奪の方向に行かざるを得なくなると思うのであります。
  109. 小野哲

    小野(哲)政府委員 地方税関係と相まつて地方財政平衡交付金の問題であるとか、その他の財源措置の問題を、全然念頭に置かないというわけではないのでありまして、それでこそ地方財政委員会から、いろんな意見が出ておるのは御承知通りであります。ただ全般的に見まして、財源が不如意である、こういう点は隠れない事実であろうと思うのでありますが、かりに地方財政平衡交付金総額をふやすという場合におきましても、やはりこれは国民の税から出ておることになりますので、結局は国民各位に御負担を願わなければならないということになるわけであります。ただ問題は地方財政の運営について、現状においては全体として財源がきゆうくつになつておる。こういうことにありまするので、單に財源だけの問題のみならず、あるいは先ほども藤田さんからの御質問に対して答えましたように、行政運営の能率化であるとか、あるいは財政規模の問題であるとか、そういういろいろの観点から検討を加えまして、合理的な線にまで持つて行くという努力が必要ではないかと思うのであります。
  110. 立花敏男

    立花委員 地方財政委員会意見書によりましても、いろんな平衡交付金その他の問題に関する数字的の要求が出ておりまして、地方税に関しましても数字が出ております。地方税に関しましては、地方税法では地方財政委員会の数字は充足されておるようです。しかし全体的に見ますと、地方財政委員会意見書が必要としておりました総額、これのうちで充足されましたのは地方税だけなんです。そのほかの問題は放つたらかしなんです。この場合に客観的に眺めてみますと、地方財政の充足の方法はたくさんあるにかかわらず、地方税だけにとどめられているという結論になつて来ておるわけです。しかもその地方税改正が今言いましたように、資本家の負担の軽減であり、逆に言いますと勤労者の百パーセント徴収であり、あるいは農民にとりましては国民健康保険税の収奪であり、こういうふうに現われて参りますと、地方財政委員会自体が認めておりました要求額の全額を、こういう大衆負担において全部まかなわされるという結果に結論が出ておるわけなんで、こういうことでは大衆は納得して改正された税金を納めるわけには参りません。これをとろうとすれば、どういたしましても大衆と正面衝突することは明らかなんです。それをなお強行なさろうとするならば、警察を動員し監獄を用意してとらなければとれない税金になつて来るわけです。そういう方法でどうしてもとろうとお考えなのかどうか、ひとつ決意を承らせていただきたいと思います。
  111. 小野哲

    小野(哲)政府委員 地方自治確立いたしまして、わが国の民主化をはかつて行くという大きな目的に向つて進んでおることは御承知通りであり、またこの一環として地方財政なり、地方税制の問題も取上げておるわけなのでありますので、立花さんにおかれましても、その大きな目的を十分に御了承いただきまして、地方住民が納税について協力するよう、ひとつこの際御協力をお願いしたいと思うのであります。
  112. 立花敏男

    立花委員 大きな問題ならみんな寄つてやればいいんで、やらなければならないことがあれば、政府もやらなければいけないんで、それを今言いましたようにほかのことは放つておいて税法だけを改正する、しかも税法改正住民の全面的な負担になるよう改正であるという形では納得できない。言葉をかえて言いますと、大衆から収奪することによつてのみ、地方財政確立ようという目的すら実現できないのじやないか。なんとなればもうすでに地方住民は税金が納められません。しかもそれを源泉徴収でとろうというのでは、どうして住民の生活が保護できますか。住民の生活が保護できないのに、どうして地方財政確立できますか。あるいは国民健康保険の問題にいたしましても、すでに医者にかかつた金すら払えないのに、その上税金でとられまして、どうして住民が納得して大きな観点から自治体を守つて行くんだという気持になれますか。こういうことでは、これは題目かもしれませんが、あなたたちが掲げられておられます地方財政確立地方自治の拡充をするということすら行われないんじやないかと思うのですが、こういうひどい税金をおとりになつて、こういう税法の改悪をおやりになつて、それでなお地方財政確立できるとお考えなのかどうか。前の地方税審議の場合におきましても、やはり政府の方では地方財政確立するんだ、地方自治を拡充するんだと言われました。ところがごらんのように、あの地方税法実施されまして、約一箇年近くなりますが、地方財政は一向に確立できません。あの税法によつて住民税が払えない人が、どんどん出て来ておる実情で、決して地方財政確立しておりませんし、従つて地方の行政も確立していないわけであります。もう現在までの経験で明らかじやないか、それを改悪いたしまして、はたして地方財政確立し、地方の自治が拡充されると言えるかどうか、これは疑問と申しますよりも、絶対にできないと言つた方がいいのじやないかと思うのですが、あえてそういう美名を掲げて、こういう苛酷な金税をおとりになるお考えなのかどうか、もう最後ですからお答え願いたい。
  113. 小野哲

    小野(哲)政府委員 いろいろ立花さんの御意見を伺つたのでありますが、中にはわれわれの立場と立場を異にし、かつ見解を異にする点もありますので、私からはその辺のところはお答えは差控えたいと思いますが、政府が今考えておりますことは、決して政府が独善的な立場において考えておるのではなしに、あるいはシヤウプの第二次税制報告書により、あるいはまたその他の国会における論議等をも取入れまして、できるだけ改善の方向に持つて行きたいということから出ておるわけであります。今回の法律の改正によつて地方自治が立ちどころに確立されるということは、なかなか望み得ないことかと思いますが、單に税制改正ばかりでなく、その他のいろいろの要素をも取交えまして、初めて地方自治確立というものが望み得ると、私は思うのであります。従いまして、立花さんのお立場もおありになろうかと思うのでありますが、この辺のところを御了承願つて国会におきましても十分に御審議を煩わしたいと思うのでございます。
  114. 立花敏男

    立花委員 もう一人しかおられませんので、やる必要もないと思いますが、最後に一つ次の委員会でやつていただきたいことをお願いしておきます。国民健康保険税の問題ですが、これはひとつ厚生委員会と合同審議をお願いしたい。これは日本の農村にとりましても、農民にとりましても、重大な問題なのであります。おそらくこれは農民は寝耳に水だろうと思うのです。供出で困つておる、税金で困つておる上に、さらにこういう国民健康保険税というような税金をおつかぶせられますことは、農民にとりましても寝耳に水の重大な問題だと思いますので、これはひとつ厚生委員会と合同審議をお願いいたしたいと思います。
  115. 前尾繁三郎

    前尾委員長 申込みがあれば考慮いたします。
  116. 立花敏男

    立花委員 こららから申込んでもらいたい。
  117. 前尾繁三郎

    前尾委員長 こちらから申し込む考えはないのです。
  118. 立花敏男

    立花委員 そうしたら、厚生大臣と関係政府委員をお呼び願いたい。
  119. 前尾繁三郎

    前尾委員長 そのうち適当なときに……。     —————————————
  120. 前尾繁三郎

    前尾委員長 この際御報告申し上げますが、去る二日の委員会において、地方税法の一部を改正する法律案について公聽会を開くことにし、その旨議長の承認を求めたのでありますが、本日議長より承認がありました。また同日の委員会の決定に基き、委員長より来る九日午前十時より開会する等の開会報告書を議長に提出しておきましたので、以上御報告申し上げます。  次に本公聽会の公述人の選定についてお諮りいたしますが、一般から申出の時日は、八日午前中まででありますので、これらの方々の選定につきましては八日の午後行いたいと思いますが、その他の公述人につきましては次の方々にいたしたいと思います。すなわち名古屋市理財局長大原霞君、神奈川県総務部長矢柴信雄君、立教大学教授藤田武夫君、一つ橋大学教授井藤半彌君、関東地区鋸協同組合理事長松沢隼人君、日本農民組合総本部中央委員中村迪君、日本自治団体労働組合総連合副委員長泰平国男君、全国国民健康保険中央会專務理事江口清彦君、以上の方々を公述人に選定いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 前尾繁三郎

    前尾委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
  122. 立花敏男

    立花委員 公聽会にはぜひ小野さんも御出席して聞いてください。
  123. 小野哲

    小野(哲)政府委員 私もぜひ出たいと思うのでありますが、参議院との関係もありますので、時間の許す限りは出席したいと思います。     —————————————
  124. 前尾繁三郎

    前尾委員長 この際選挙に関する小委員長補欠選任についてお諮りいたします。すなわち小委員長の生田和平君が去る二月二十七日委員を一度辞任いたされましたので、小委員長が欠員となつておりますので、その補欠選任を行いたいと思いますが、これは先例により委員長より指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  125. 前尾繁三郎

    前尾委員長 御異議なしと認め、川本末治君を小委員長指名いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時五十分散会