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1951-03-02 第10回国会 衆議院 地方行政委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二日(金曜日)     午前十一時十六分開議  出席委員    委員長 前尾繁三郎君    理事 河原伊三郎君 理事 野村專太郎君    理事 藤田 義光君 理事 門司  亮君       生田 和平君    角田 幸吉君       門脇勝太郎君    川本 末治君       田中 啓一君    吉田吉太郎君       山手 滿男君    久保田鶴松君       木村  榮君    立花 敏男君       大石ヨシエ君  出席国務大臣         国 務 大 臣 岡野 清豪君  出席政府委員         地方自治政務次         官       小野  哲君         総理府事務官         (地方自治庁財         政課長)    奧野 誠亮君  委員外出席者         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 三月一日  委員黒澤富次郎君及び田中不破三君辞任につ  き、その補欠として中島守利君及び生田和平君が議  長の指名委員に選任された。 同月二日  委員上林山榮吉君及び久野忠治辞任につき、  その補欠として小玉治行君及び角田幸吉君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  公聽会開会に関する件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  四五号)     —————————————
  2. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 それでは開会いたします。  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第四十五号を議題といたします。これより質疑に入ります。門司亮君。
  3. 門司亮

    門司委員 先日の大臣提案理由の説明に対しまする質問を行います前に、一応地方財政に関する問題で、お聞きしたいと思うのであります。地方財政の問題はもうすでに大臣十分御存じのことだと思いますし、従つて私は率直に意見だけを申し上げて、そうして大臣のお考えを聞きたいと思うのであります。  今度の税法改正は、内容を見ますると、税法改正という大きな考え方でなくて、主として税の取扱いに対する事務的の改正のように、われわれに考えられるのであります。こういう事務的の改正だけであつて、この程度から来る地方財政に対する影響というものは、私はきわめて薄いような気がするのだが、一体大臣はこの程度改正しかできなかつたのか、あるいはこの程度改正でいいというようにお考えになつておるのか、この点をひとつお聞きしておきたいと思うのであります。そういうことを私が聞きますのは、地方財政というものが、非常にきゆうくつになつておりまして、この前の地方税改正で大幅に財源が委譲されたといつて世間では伝えられておりますが、実際の地方自治体経済的の事情というものは非常に悪いのであつて現状ではいかんともしがたい状態になつておる。従つてこの際地方税改正を行いますと同時に行わなければならなかつたのは、地方財政法改正が必要ではなかつたかということであります。ことであります。この点について先のお尋ねと同時に、あわせてひとつお聞かせを願いたいと考えております。
  4. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。御説の通りに今度の税法改正案は、はなはだ御不満であろうと思います。それは私も御説の通り考え方を持つております。と申しますことは、この地方税改正案を今回出しましたのは、この前に出しましたところの税法のほんの手直しくらいの程度になつたのであります。ただ私自身といたしましては、昨年の夏皆様方の御審議を得まして、あの厖大地方税法改正いたしましたのでございますが、しかし厖大であると同時に相当画期的なものでございまするから、研究もよくしなければなりませんし、また実情にも合せなければならぬということで、もし今国会に間に合いますれば、相当内容についてもいろいろ検討を加えて、税法改正案を出そうという考えをもつて臨んだのでございますけれども、しかしながらいろいろな條件がございまして、御承知通りまだほんとう税法を実施いたしましてから、あまり時日もたつていないということでございまして、またその税法が不幸にして昨年の四月一日から実行することができなかつたものでございますから、税法そのものよりも、その実施が遅れたという点において、またいろいろな困難も出ておつたというようなこともございます。またもう一つの大きな原因といたしましては、地方行政調査委員会議勧告が出ましたものでございますから、できるならばこの地方行政調査委員会議の報告に基きまして、地方制度そのものの、すなわち事務の再配分というものも、今国会で何とか実行したいというようなことも考えております。そういたしますと、それにつきましてはまた税法に、すなわち地方に対する財源措置相当大幅に考えなければならぬということもございましてそういうことを勘案いたしまして大きな税法の本質的の改正というものをつくるのにひまどりもしますし、同時に一つの満たされない條件がございまして、どうしても大きなことをするわけには行きませんでございました。でございますから、この際は一応この前いろいろ皆様方の御審議を願つたときに御忠告をこうむりましたいろいろなことを参考にし、ただ簡單手直しをする、こういう意味税法改正案に落ちてしまいました。でただいま門司委員仰せのごとき感じのものになつて出て来たものでございます。でございますから、私といたしましてはこの地方財政が非常に窮迫しておるということと同時に、将来地方自治行政というものに大幅の変革がある、それを見込んで、その際において相当の大幅並びに根本的の改正案考えてみたい、こう考えております。それを先に延ばしまして、ただいま間に合せの税法を出した、こういうことでございますから御了承願いたいと思います。
  5. 門司亮

    門司委員 それでさつきもちよつとお聞きいたしておきましたが、その次の問題は、この税法は今の大臣の御答弁のように、実際事務的の單なる内容的の整備という程度にすぎないので、これだけは地方財政にほとんど影響がないというように考えるのであります。従つてさつき申し上げましたように、地方財政を今どうするかということは、今度の税法改正ではその実現が見られない、いわゆる地方財政の充実をはかることができないということになれば、あわせて考えられるものは、さつきも申し上げましたように地方財政法改正がどうしてもこの際必要ではないかということであります。特に税法だけの改正をいたしましておりますると、どうしてもこれはやはり重税を課するような形が現われて来ると思う。従つて税法だけをいかに修正しこれを変更いたしましても、現在すでに地方住民担税能力というものが限界に達しております今日、これをいかようにいたしましても、なかなか地方財政を十分にまかなうだけの処置というものは私は困難じやないかと思う。従つて考えられるものは、現在平衡交付金改正地方財政法改正、この二つが地方財政の問題に大きな影響を持つものとして私どもには考えられる。そこで私は具体的に聞いておきたいと思いますることは、例の地方財政法の第五條の一項の五番目であります。この條項を少し政府では改正する意思はないかということであります。この條項は、御存じのように地方公共団体起債をいたしまする場合に、いわゆる公債を請求いたしまする場合に、どうしても普通税に対しましては標準税額をとつていなければ公債許可をしない、こういう規定になつておるのであります。今回の税法改正においては、地方の特色というものがほとんど考えられない。標準税率地方自治体変更することができることは書いてありまするが、しかしこれは單に標準税率変更であつて従つて標準税率変更がいたされるということになつて参りますと、この財政法五條にひつかかつて、そうして最も都市で、あるいはその他で困つておりまする——條項はつきり読みまするならば、戰災復旧事業費、あるいは学校河川道路港湾等公共施設建設事業費に対しましては、どうしても標準税率以下では認可ができない仕組みになつておる。今地方ではこれらの公共施設の問題が一番困つておる問題であります。いわゆる戰災復旧のめたに使いまする費用、さらに学校の問題、あるいは河川が非常に荒れておりまするのを、いかにして直して行くかというような根本的な自治体の問題に対して非常に悩んでおる。これらの起債が、どうしても税を標準額以上とつていなければ許可されないということになつて参りますると、地方実情は非常に苦しくなつて来る。先ほども申し上げましたように、住民税金を納めまする能力は、限界に達しておるということが一つ、もう一つは、今度の税法の中で、ことに住民税均等割というようなものは、われわれの考えられないばかばかしい均等割になつておる。そこでこれの徴收は非常に困難であります。ことに地方実情は、所得税の一割八分という税率標準税率になつておりまするので、これをどうしてもとらなければならないことになつて参りますると、比較的富裕階級のおりまする、あるいは住宅地を中心とした市街地のごときは、割合に楽な徴收ができるかとも考えられますが、多くの勤労階級を持つておりまするいわゆる工場地帯市街等におきましては、この百分の十八という税率は、非常に高い税率になつておる。従つて理事者あるいは当局におきましては、この税率を何とか下げたい、下げることが徴收のためにも技術面にも非常に便利であるし、同時に効果的にもそれの方がいいということが考えられておりましても、地方財政法で、起債認可のことで縛られておりまするので、どうしてもこれは無理だと思つても、結局標準税率までとらざるを得ないという結論が出て来ると思うのであります。従つて地方財政をまかなつて行きまする上には、どうしても地方財政法五條改正をいたしまして、地方住民負担をできるだけ軽くする、一方に恒久的にそういう財源を得る道を講ずることが、この際地方自治体には非常に必要じやないかと考えられる。こういうことが講ぜられない限りにおいては、おそらく地方自治体財源のやりくりはなかなかつかない思う。従つて地方財政法五條に対しまする改正の御意思があるかどうかということをこの機会に聞いておきたいと思います。
  6. 岡野清豪

    岡野国務大臣 門司さんの御質問しごくごもつともでございまして、私もやはりこれは單に地方税法改正ばかりでなくて、極端に申しますれば、平衡交付金の問題、それから地方財政法にも今御指示になつたような点もございます。まだほかにもわれわれ気づいております点がたくさんございまして、どうも過渡期で私も非常に迷つてはおりますけれども、全体を総合してやはり考えなければならないと考えております。ただいま住民税が非常に高いという仰せでございますが、地方財政を確立する上におきまして、住民税を主なる税源として、この前お通し願つたのでございますが、しかしそれかと申しまして、ただいまほかに適当なる財源も実は見つかつておりません。しかしながらただいまお説の通り一般地方住民が非常に税負担に困つておる。これは地方税国税も同じでございまして、おそらく一般情勢を見ますと、ただわれわれは税金だけのために、非常に苦しい思いをして生活して行かなければならぬような国情でございますから、税金はできるだけ軽減して行かなければならぬ。これはわれわれ一同考えておる次第でございます。でございますから非常な無理をしましても国税はできるだけ減税して行くということに今度なつて、先般も予算お通しを願つたようなわけでございます。しかしながらただ問題といたしましては、税金税金でございますが、地方自治を確立するという点において、また地方公共団体がこれからほんとう自分自身自治行政自分の手でやつて行くという意味においては、やはり地方相当財源、また税収入がなければやつて行けぬというような情勢でございますから、ただいまたいへん御無理かとも思いまするけれども住民税とか固定資産税とかは、世間からは少し高過ぎるというような御非難もあるのでございますけれども、そういうようなものもこれでひとつつていていただきたい。しかしそのかわり国税でできるだけ減税をして行くということでございますから、私の考え方向といたしましては、国税はできるだけうんと減して行こう、しかしながら地方財政としましは、その地方公共団体自分の手で自分行政をやつて行く、すなわち自主独立をしてやつて行くという方向へ進んで行きたい。それにはまだ過渡期であつて先ほども申し上げましたように、行政調査委員会議勧告などによつて、まず地方行政内容というものを第一段にきめまして、それに合うようなりつぱな税法を確立して地方財源的にはあまり苦労せずにやつて行ける、しかもそれが楽にやつて行けるというような大きな方向考えて行きたいと思つております。  それから起債の問題でありますが、この起債もお説の通りやはり何とか考えなければならぬと思います。これは起債にとどまらず、地方財政法地方財政平衡交付金なんかにもいろいろ改正を要する点が多々あると私は思いますが、これも鋭意われわれ研究しております。私自身はしろうとでございましてよく知りませんが、その点については地方財政委員会並びに地方自治庁の方で、詳しくいろいろ私の考えておることを研究させておりますから、この次には何か皆様方に御批判を仰ぐような案を立てたいと思つております。
  7. 奧野誠亮

    奧野政府委員 地方債制限の問題につきまして、門司さんからお話がありましたが、その考え方については当然われわれ傾聽しなければならないと思つております。ただ現状について若干御了解を得ておきたいと思うのでありますが、その点はわが国の経済基礎がきわめて脆弱でありまして、何とかこれを安定しなければならないということから、国庫財政の面におきましても、いわゆる健全財政主義を貫いて来ております。このことは、單に国庫財政の面においてその方針を貫いておつただけでは、経済安定の基礎が出て参りませんので、地方財政の面においても同様の方針をとらなければならないというふうな事柄から、この種の規定がつくられたわけでございます。現在起債につきましては、御承知のように非常にきゆうくつわくがございます。どうしてもこの範囲内で起債を押えて参りませんと、いろいろと障害が出て参るわけでございます。そこでかりにある団体標準税率以下の課税を行つているといたします。そこでやはり相当起債を発行したいというふうに考えます。また他面に増税をしておつても、なおかつ財源がないので、さらに起債をして仕事をして行きたいというふうに考えました際に、一体限られたわくを、どの団体にどの程度配分したらよろしいかということでございまして、増税をしてもなおかつ足りない団体におきましては、やはり余裕のある起債わくは、そちらの方にまわさなければならぬのじやなかろうかというふうなことも考えられます。また起債許可方針に関しましても、なるべく恣意的な方針は避けなければならない。最初からわく範囲について限られた方針があるならば、それを立法化して明確にしておいた方がいいのではなかろうかという考え方もございますので、このような方針をとつて来て参つておるわけであります。しかしそれにつきましても、門司さんが指摘されましたように、あるいは災害復旧費でありますとか、あるいは公益事業費でありますとか、こういうふうなものについては、この種の制限を置いていないわけであります。しかしながらもともと経済界が安定いたしまして、地方団体起債を自由に発行できるというふうな段階に立至りましたならば、この種の規定はもとより検討して改正を加えなければならないであろうと考えております。またそうした時期の一日も早く来ますことを、われわれといたしましても希望いたしておるような次第でございます。
  8. 門司亮

    門司委員 次に私は條項について質問しようと思いましたが、今の大臣答弁並び奥野君の話を承りますと、この機会にもう一言この問題についてお聞きしておきたいと思うのであります。なるほどお話のようなことは、われわれも十分承知をいたしております。しかし考えていただきたいと思いますことは、地方自治体財源というものは、財政的に見て、あるいは税の種目等から考えてみましても、彈力性を持つておりますものが割合い少いのでありまして、きわめてきゆうくつ範囲税金がとられるということ、平たく申しますならば、とりいい税金はほとんど国が徴收しておる。そうして割合とりにくい税金地方に課せられておるということが、税の総体の上から見てはつきり言えるのであります。御存じのように本年度は大体二千八十億ばかりの税收入になつております。しかも地方財政をまかないます平衡交付金が、政府の原案によりましても千百億出されておる。地方財政のバランスというものは、税金でまかないますものが二千八十億であつて政府から補給しなければならないものが千百億である。あるいは地方財政委員会の要求によりますれば、千二百億を要求し、さらに地方公共団体意見を総合して参りますと、三百億ぐらいはふやさなければならないような数字が出て参るのであります。こういうことから考えて参りますと、税法改正というものは、單に地方税改正だけではいつまでたつても今日の問題は解決がつかない。地方財源を充実しようとするならば、どうしても国税に対して何らかの処置をとらなければならない、こういうことが考えられて来るのであります。従つて地方が、自主的自律性を憲法で定めておりますように十分に発揮する、それの裏づけとして財政を充実させようとするならば、地方税だけではなくして、国税全体に対する一つ改革がこの際必要ではないかというように考えております。とりいい財源は国がことごとくとつており、比較的とりにくい財源地方に渡しておつて、これで地方財源は非常に充実されたのだというようなことになるとわれわれは非常に迷惑をするのであります。一例を申しますならば、二十四年度に行いました酒の税金等も、国民の消費関係から、全国平均した消費状態を示しておりますので、これはやはり地方に均霑して返すのが正しいのではないかという観点から、二十四年度は、御存じのように酒に対しては、消費税の百分の五というものを地方税として徴收しておつたのであります。ところが二十五年度予算で、これがいつの間にか消えて今日に至つておるのであります。地方財源を充実するといつておきながら、国税の中にせつかく百分の五でも食い込んで行つて、そうして従来国税でとつてつたものを、地方税にまわすという財源措置に対する考え方が、現在の政府はよほど考え方が狭いのではないかと考えておる。今日の酒の税金の額から申し上げますと、百分の五といたしましても、本年度予算でこれが千三十億を見ておりますので、大体五十億以上のものが地方財源として、当然地方に配付されるべき金であつたとわれわれは考えておる。この点は大臣はどういうふうにお考えになつておるかということと、国税地方税を通ずる改革が、さつき大臣答弁からいたしますと考えられるのであります。この点について大臣はどういうふうにお考えになつておるか、もう一度御答弁願いたい。  それからさつき起債の問題でありますが、起債の問題につきましては、先ほどから申し上げておりますように、地方自治体の実態というものが、非常に大きな問題になるのでありまして、奥野君は、標準税率以上とつてつても、なおかつ足りないところに起債をすることが順序ではないかという意味の御答弁であつたと私は解釈いたしますが、先ほど私が申し上げましたように、地方自治体はおのおの性格を持つておりまして、住民自体が非常に担税能力の乏しい町村に参りますならば、とろうといつても実際はとれぬのであります。従つてどうしても税率を下げざるを得ない形が出て来る。比較的担税能力を持つております自治体には、きめられた標準税率あるいは標準税率以上の徴收ができるものと考えられる。ところがそれらの地方におきましては、それ以上の設備の必要が考えられます。戰災の復興であるとか、あるいは学校の建築であるとか、道路改修であるとかいうようなもの、言葉をかえていいますならば、文化施設としてもいろいろの改修の問題が考えられて来る。この間の地方自治体実情というものが、十分に把握できておらなければ、地方財政に対する完璧を期するということは、私どもは困難だと思う。従つて、私が聞いておりまするのは、ただ通り一ぺんのりくつだけでは、今日の地方自治体財政というものは完全に行かないということである。どうしても地方自治体のおのおのの特異性というものがそこに生かされて来なければならない。この考え方が、ちつともこの地方税法の中には現われていないのであります。従つてここに書いてある、あるいは地方財政法の中に書いてあることを、文字通りに解釈して、地方財源処置をして行こうとするならば、私は必ず無理が出て来ると思う。この点については、私どもといたしましては、今の奥野君の答弁だけでさようでございますかと言うわけには参りません。この点はなお政府におきましても、十分、ひとつ考えを願いたいと考えておりまするので、前の質問に対して大臣からこの際はつきり御答弁を願いたいと思います。
  9. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。これは門司委員の御説の通りで、私も同感でございます。でございますから、先ほども申し上げましたように、行政調査委員会議勧告ほんとうに実現されますと、そのときには相当大幅に市町村に事務が委譲されます。そういうことになりますれば、それに対する財源措置を講じなければならぬ。それで、ただいまの地方税財源というものは、みな彈力性がないということも門司委員の御説の通りでございます。それでございますから、私自身といたしましては、将来地方公共団体事務が画然ときめられましたときには、中央地方を通じて税制改革しなければならぬ、こういう考えを持つております。これが先ほども申し上げました大幅の税法改正ということに、私はまだ十分なる踏切りがつかない、同時に決定を要しないで、税法改正が非常に変なことになつており、この程度改正案しか出せなかつた、こういうことでございます。ですから私はあなたの御説の通り考えておりまして、中央地方を通じて税制改革をやらなければならぬ。すなわち端的に申しますれば、地方相当税源を與えたければならぬ、そういう意味地方税法に根本的な検討を加えなければならぬ、こう考えております。同感でございます。
  10. 門司亮

    門司委員 もう一つつつ込んでさらに聞いておきますが、今の大臣答弁からいたしまするならば、地方財源に充てられておるものが彈力性がないということは、地方税金になつておりまするものが、ほとんど固定財源を充てておるというところに、大きな欠陷があると私は思う。中央には消費財源がかなり與えられておる。ここに地方税国税との運営の上に、非常に大きな相違が出て来ておると思う。従つて国税といたしましては、消費財源を多く充てております関係から、非常に大幅な彈力性を持つておる。従つて大蔵大臣がこの前の議会でも答弁されましたように、税金は予定よりもよけいとれるのだというようなばかばかしい答弁が私は簡單にできるのだと思う。ところが地方財源御存じのように、固定財源というものを、税金の基本に充てております関係から、なかなか予定されただけの税金というものがとれないということは、これは税法の建前の上から、私ははつきりしておると思う。国税にはゆとりがあるが、地方税には全然ゆとりがない。あるいはきめられ、考えられたことよりも、財源からは少くしか徴收できないのだということは、地方税に関する限り私ははつきり言えると思う。これは固定財源消費財源とのいわゆる税の根本的な考え方が、非常に誤つた物の考え方をしておりますので、そのままの姿で地方税がどんなに改革されましても、この観念をかえない限りにおいては、地方財源というものは私はなかなかゆたかにならないと思う。従つて税制改革の際には、そういう單なる地方中央を通ずる改革というようなことでなくして、もう少し幅のあると言いますか、言いかえますならばたとえば税金の種目にいたしましても、地方財源の種目というものは、ほとんど固定財源である。中央財政の方は所得税を中心とし、あるいは法人税にいたしましても、あるいは酒税にいたしましても、專売益金にいたしましても、かなり大きな彈力性を持つておる、当初予算からあるいは補正予算をいたすにいたしましても、地方的には非常にむずかしいが、国の方は割合ゆとりを持つておる、こういう形を実際面から示しておりますので、どうかもし政府の当局に税制改革国税地方税を通じて、大幅に行われるお考えがありますならば、その辺は十分考慮に入れて、ほんとう地方自治体が自立のできるように、とりはからつていただきたいということを、これは岡野国務大臣よりも、現在の政府自体に私は強く要求しなければならない、こう考えておる。  その次に聞いておきたいと思いますことは、税制改革がそうなされるといたしましても、次の問題は現在の平衡交付金法の改正を、この際政府ではなぜ考えられなかつたかということであります。で、今の地方財政で中心になつておりますものは、この平衡交付金をめぐる一つの論争であります。政府では平衡交付金はこれでいいと言うし、地方団体はこれでは非常に少いと言うし、その中間を歩いております地方財政委員会も、なお政府の原案に服しかねるという意見を実は持つておりまして、先ほど比率を申し上げましたように、地方税金の半額以上の平衡交付金地方財政というものは調整が行われておる。この調整費に対する論争が、今日非常に続けられております。従つてこの調整費が地方住民の納得の行くような税法に——税法と言いますか、法律にかわつて来なければならない。地方平衡交付金法ができました当初の趣旨は、一応理論といたしましてはシヤウプさんのお話のように、標準財政需要額と、收入額とのアンバランスを埋めるのだということで、りくつだけは一応わかつておりますが、しかしそれの算定の基礎というものは、今の日本の状態では非常に私は困難な状態だと考えておる。同時に法律だけはできて参りましたが、その法律に基いてこしらえた算定の基礎となるべきいろいろの調査の資料というものは、政府にはまだ集まつていないと思う。この際私は少し意地の悪い質問をするようでありますが、一体地方財政委員会といたしましても、自治庁といたしましても、平衡交付金法に基いて出されましたあの算定の基礎となるべき財政需要額が、全国から一体ほんとうに集まつてこれが集計されておるかどうか、どの程度まで集まつておるか、もし集計された数字等がありますならば、それを明確にお示しを願いたい。これがはつきりしておりますならば、地方財政委員会意見と、大蔵省の意見とが食い違うはずがないのであります。法律に基いて行いますことについては、国の法律が一本であります以上は、食い違いのあるはずがない。また地方公共団体もこれで少いという理由は立たぬのであります。従つて私は当然あるべき調査資料が、今政府にまとまつておるかどうかということを聞いておきたい。もしまとまつておれば、この際御発表を願いたい。
  11. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。御説の通りに非常にむずかしい問題でございまして、大蔵省の方面の計数というものは、大体実態が早く反映するようなことになつております。しかしながら地方公共団体の計数と申しますものは、御承知通りに非常な複雑な——複雑と申しますよりも、多種多様の自治体がございまして、しかもそれが一万数百もある自治体から、計数をとるわけでございますから、遅れがちでございまして、まつたく大蔵省が考えるような実態的な計数が集まるのが非常に遅れますから、そこでいろいろ平衡交付金並びに地方財政委員会の規則によりまして、大体のことを推計いたしまして、予定を立てるわけでございます。そこにいろいろ食い違いも出て来るかと思います。でありますから、私は平衡交付金の理論といたしましては、非常にいい理論だと思います。しかしながらただいま御説の通りに、それではしつかりした基礎が出て、その実態そのものを反映して、地方財政委員会が推計をしておるかどうか。これはむろん一番有力なる推計標準をもつてつておると思うのでございますけれども、これがほんとうの報告が遅れておるものですから、実態とは申せないのであります。けれども過去の経験によりますれば、大体地方財政委員会の推計が当つておるように感じますが、それにいたしましても推計と実態調査とは違いますから、そこに食い違いが出て来るのではないかと思うのでございます。それでございますから、私自身といたしましては、平衡交付金の理論そのものは非常にいいことでありますけれども、しかしその理論を突き通して行くのには、やつと昨年の春から出発いたしたものでありまして、仕事のやり方とか、また地方財政委員会基礎とかいうものが、相当考えてできてはおりますけれども、実際の調査にうまく当つておるがどうかということも、はつきりした断定はつかないと思います。でございますから、今政府委員からお答え申し上げさせますけれども、ただいまの地方公共団体財政を勘案いたしまする数字は推計であるということだけは申し上げておきます。その推計であるがために、これがときによると、大蔵省と食い違いが出て来るということになつております。では政府委員からその推計に当る数字がいかに集まつておるか、ひとつ答弁いたさせます。
  12. 奧野誠亮

    奧野政府委員 地方財政の実態については門司さんは非常にお詳しいので、大体お考えになつておるその通りと思いますが、さらに私につけ加えさせていただきますと、御承知のように、一万有余ある地方団体の中には、農業を主といたしました地方団体もございますし、工業を中心とした地方団体もあるわけであります。また輸出産業を中心にいたしておる地方団体におきましては、特に学校におきましても、そうした職業教育を行つて行かなければなりませんでしようし、またそうした試験場等も設置して行かなければならないだろうと思うのであります。そういたして参りますと、同じ地方団体といいましても、人口とか面積とかだけでは割切れないところの地方財政の需要があると考えて行かなければならないだろうと思うのであります。そこで一体地方財政の必要額が幾らであるかということになつて参りますと、個々の地方団体について、一々検討を加えて行かなければならない。またそれがあまり、微に入り細をうがつて参りますと、自治干渉にわたることにもなつて参るだろうと思うのであります。大体地方財政の需要がどれくらいふえるだろうかということは、国がどういう施策を行うであろうかということ、あるいは一般的に考えて、地方団体にどういう財政需要の増加があるだろうか。たとえば給與ベースの引上げでありますとか、あるいは生活困難な者の救済の費用がふえて参りますとか、こういうふうな問題があるだろうと思うのであります。それと地方税收入なり、あるいは地方債なりとの相殺で、国が出して行かなければならない交付金の額を考えて行くよりしかたがないのじやないかというふうに思つておるわけであります。従いまして今ただちに地方団体の現実の財政需要を集計したものが、そのまま地方財政平衡交付金基礎になし得るものではない、かように私は考えておるのでありまして、今後地方財政平衡交付金の配分にあたりまして、單位費用等をきめて参るわけでございますが、その單位費用等のきめ方というものが、個々の地方団体にあてはめてみまして、大体無理のない財政需要の測定の仕方であるかどうかというような、絶えず観測的なところから適否の判断が生れて来る、かようになるのじやないだろうか。さしあたりは、一体前年度と比較して、どういう財政需要の増減があるだろうかというふうなことを基礎にいたしまして、交付金額を決定して行くよりしかたがないのじやないだろうか、かように考えるのであります。
  13. 門司亮

    門司委員 私が聞いておりますのは、そういうことを聞いておるわけではありません。それなら私ははつきり言いますが、この地方財政平衡交付金法に基いて出ておりまする、地方団体に交付すべき昭和二十五年度分の地方財政平衡交付金の仮決定額の算定に関する規則というものがありますが、これは法の五條ですかあるいはさらに十二條に基いたものであります。しかもこの内容におきますると、地方公共団体は昨年の九月の十五日までに都道府県知事に申請して、都道府県知事は九月の二十日までに地方財政委員会にこれを報告せよということをはつきり書いてある。この報告があるかないかということであります。これが完全にできておれば、おそらく私はそういう推定といいましても、大きな間違つた推定はないはずであると思います。しかもその内容とするところは、非常にこまかくできておる。これは実に私はこの規則ができましたときに、そう考えたのでありますが、これは規則でありますので、議会にかけられておりませんから、政府がかつてにこしらえられた。かつてというと悪いかもしれませんが、とにかくかつてにこしらえられたものでありまして、この規則に基いては、地方公共団体は非常に困難だと思う。このときの内容を全部検討して参りますると、おそらく日本の今の行政区画にわかれておりまする一万有余の町村にこれを持つて行つても、これのこなせる町村が一体幾つあるかということは、私ども疑われる。村長さん以下五人くらいの町村が、日本にはたくさんあるのでありますから、そういうところに、この測定單位なんというようなむずかしいものを持つて行つて、そうしてきめるということ自体が、非常に無理だと思いまするが、無理であろうとなかろうと、法律に基いてできた規則において、政府にはこれの集計がなければならない。これに対して一体どういう集計がまとまつておるかということを、実はお聞きをしたのであります。従つてこの規則に基いた十分なる統計表がありましたらひとつお出しを願いたいと思います。  それからついででありまするから、さらにつつ込んで聞いておくのでありますが、私がこういうことを聞きますることは、本年度地方予算の上から現われて参りました現実の姿として出て参つておりまするものは、小学校の教員に対する定員の問題であります。従来小学校の教員の定員は、学級数に対して一・二の割合で定員を定められておつた。ところが今年はそれがそういうことではなくして、学級数一ぱいの定員で行く、いわゆる十分の十で行く、こういうことになつておる。そうすると学級を持たないのは校長先生だけであつて、あとは全部の先生が学級を受持つことになつておる。今日の教育の状態は、病人その他の関係から、学校におきましては、相当数の教員の不足を来しておるということは御存じ通りであります。一・二の割合行つても、なおかつ教員の不足を来しておりますときに、これが十分の十になつて、一体教育ができるかどうかということである。こういうことが、現実の姿として、今年の地方予算の上には現われて参つておりまするので、私は特にこの平衡交付金の査定については、こういうことが一体考えられておるかどうか。だからこの点について、そういうはつきりしたものがあるならば、ひとつお示しを願いたいと思いますることと、それからこれは文部省の方に聞く方がいいと思いますが、平衡交付金にむろん関連を持つておりまするから、自治庁としてのお考えは、そこまで地方財政を切り詰めて、平衡交付金の方の増額ができないというふうな理由になつておるかどうかということを、あわせてひとつお聞きをしておきたいと思います。
  14. 奧野誠亮

    奧野政府委員 ただいまお話になりました種々の点につきましては、府県分は、たしか十二月末でございましたが、そういうことでこまかく集計したものがございますので、資料として出したいと思います。ただ町村につきましては、何分数が多くてなかなか集まりませんので、今いろいろ努力しておりますけれども、この次に、どのような段階に至つておるかということを御報告をさしていただきたいと思います。  それから教員の問題につきまして、たいへんうがつたお話がございましたが、御承知のように結核等で倒れております先生につきましては、全体の一・三三%というものを、仮定学級に対する先生数のほかに、財源を組むということにいたしておるわけであります。しかしながらこの割合以上結核で倒れておる先生も多いようでございまして、それだけまた理論学級に対する定員数に食い込んでおるといつたような実情もあるようでございます。ただ平衡交付金の配分に当つては、義務教育というものは、特に重視しなければならないことは言うまでもございませんので、こうした理論学級に対する先生の数だけは、全額を基準財政需要額に織り込むというような方針をとつてつておるわけであります。しかしながら他の財源が非常にきゆうくつでございますので、今門司さんが指摘されましたような問題も、若干の県においては起きておるわけでございまして、われわれとしてはできるだけ地方財政一般において、そうした無理の起きないように解決をはかつて行きたいと思いまして、苦慮いたしておるわけであります。
  15. 門司亮

    門司委員 次にきわめて簡單でありまするが、地方財政平衡交付金法の改正が、さらにこの際私は要求さるべきだと考えておりまするが、この点について大臣は何かお考えなつたことがあるかどうか。もしお考えになつておりまするならば、その構想をこの機会に聞かしていただきたいと思います。
  16. 岡野清豪

    岡野国務大臣 平衡交付金の問題では、昨年補正予算の時代から、いつもいろいろ問題が起きておりますが、先ほども申し上げましたように、理論としては非常にいいと思う。また日本の公共団体が都市初め地方の農村、漁村なんかと非常に差がありますものですから、やはりこの平衡交付金制度というものは存続して行かなければならぬということは、これまた一つの鉄則でございます。だが、しかし昨年以来の私の経験によりますと、このままでは平衡交付金というものが、ほんとうの趣旨の活動ができないんじやないかというような考えも出て来るのでありまして、これもやはり先ほど申し上げましたように、税法改正の場合に相当つつ込んで検討を加えなければならぬ。でございますから、ただ簡單にこの平衡交付金がこのままでいいという考えを持つておりません。結局総括いたしまして、国税地方税改正と同時に、平衡交付金に対しても検討を加える、こういうことを考えております。
  17. 門司亮

    門司委員 具体的な内容は聞かれなかつたのでありますが、平衡交付金に対するものの考え方と、地方財政に対するものの見方と、さらにこれから来る税法改正については、地方平衡交付金について私は二つの方法があると考えておる。同時に地方財政関係から行きますれば、平衡交付金法などというふうな形でいつまでも非常に多額なものが補給財源としてあるいは調整財源としてとられるということは、できるだけ私どもは避けなければならぬと思つておる。これはきわめて少数な部分に限られて運用されるよう税制改正をなさることが私は正しいことだと思う。しかし私は国税地方税との関係が大幅に修正されなければ、なかなか問題の解決はつかないと思つている。従つて今までのいろいろな争いといいますか、地方財政委員会と大蔵省との間の問題、あるいは地方公共団体との間の意見の食い違い等を考えてみますと、これはこの前ちよつと小野政務次官にも聞いたことがあるのでありまするが、平衡交付金の中に従来の配付税的な性格を織り込んで行くというようなことが、この際私はとらるべき一つの手段じやないかというふうに考えておる。そうして地方公共団体がやはり一定の財政を確立いたしますることのために、安心して予算が組めるような制度にして行きますると同時に、單に地方公共団体の中で非常に貧弱な財政に対してのみこれを支給するという相互扶助の関係だけを考えて参りますると、私は現行の平衡交付金法は、その関係からいうならば、一応理論は通ると思います。しかしこれも地方自治体というものが、必ずしもそうは行かないのでありまして、たとえば財政的には割合にバランスはとれておりましても、おのおのの地方にいたしましては、都市の性格から来ることや、都市の発展性というものを十分考えなければなりません。従つてそれらのものを考えて参りますると、どうしても旧法にありました配付税的な性格をそれに持たせて、そうして地方から納めたあるいは所得税あるいは法人税あるいは專売益金その他等の均霑されて納めております国税の中から、やはり一定の基準においてこれを地方に均霑して、これを拂いもとして行くというような制度を講じられることの方が、地方の実態に沿うものであるということが強く私は考えられるのでありますが、こういう考え方が、今大臣の、單に改正をすべきたという言葉だけでなくして、内容的にお考えになつておるかどうか。
  18. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。私は地方自治の確立ということをほんとうに理想的にやりまするならば、平衡交付金というものはよけいなことだと考えております。しかしながら先とほど申し上げましたように、日本の実情といたしましては、経済界の非常に発展しておる都市もありましようし、いくら税源を探しましても、税源のないような農村、漁村もあるわけでありますから、そういうところに、日本の国民全体に対して生活水準をある程度確保して、安易なまた幸福な生活を暮して行くというためには、相互扶助の関係上国民全体が寄與しなければなりませんから、やはりその意味におきまして、平衡交付金がある地方には存続されなければならぬということも私は事実だと思います。でございますから、この平衡交付金法というものは、私のただいまの考えといたしましては、やはり存続して行くことが日本全体のためにいいことだと思つております。  それから配付税的なものをやるかどうかということにつきましては、これは平衡交付金法をつくりますときに、いろいろ配付税に関する検討もされてできたのでございますけれども、またこの平衡交付金というものを検討する際には、やはりお説の配付税式のものも考えなければならぬということも考えております。いずれにいたしましても、ただいまのままでは私は十分でないということを考えております。
  19. 門司亮

    門司委員 どうも答弁が非常に押象的でありますが、私がこういうことを心配して言つておりますのは、この前の委員会で大蔵大臣に聞きましたところが、大蔵大臣は、国家予算の都合によつて、あの金額はもう少し削るかもしれないというようなことを平気で予算委員会で言つているのであります。この平衡交付金法にそうした算定のはつきりした基礎がないから、大蔵大臣はかつてなことを言うのであります。同時に、自治庁といたしましても、あるいは地方財政委員会にいたしましても、この平衡交付金法に基くさつき申し上げました測定單位による、はつきりした資料をお持ちになつておらない。どこまでも大蔵省の推定であり、あなた方の方も推定である。推定同士で争つておりますから、これはおそらく解決はつかないのが当然だと思う。もし解決をつけようとすれば、これ以外にないことである。従つて、この平衡交付金法の中には、そういう大蔵大臣がかつてに放言をしないように、きまつただけは必ず支拂いますという一つわくを入れておかないと、国の財政の都合で、地方財政がどんなにでもきゆうくつに追い込まれて来る。これは先ほど大臣お話のように、事務配分が行われて、そうして地方の権限が非常に大幅に委譲され、従つてそれの裏づけとなる財源が非常に必要になつて来るという事態が目の前に来ていると思う。その際に依然としてこういうことで、国の財政のいかんによつて地方財源なり財政というものが、左右されるというようなことは、形だけはいかにも民主的のような形になつておりますが、財政的にどこまでも官僚の持つ中央集権というものが、地方を支配するという形は、私はこの際ぜひ避けなければならないと思う。この点についてはもうこれ以上私は答弁は求めませんが、ひとつ大臣は十分お考えを願つておきませんと、さつきの大蔵大臣のような放言が行われる。しかもそれが政府内部でどういうふうに私は考えられておるか存じませんが、もし大蔵大臣のあの言葉そのままが政府のお考えであるとするならば、地方公共団体はこの際少し考え直さないと、えらい目に会うということがわれわれには考えられる。従つて私は以上の質問をしたわけでありますが、その点については特に御留意願つていただきたいと思つております。  それからその次に聞いておきたいと思いますることは、今度出て参りました改正の中には、当初に私は大体の理念だけをお聞きいたしましたので、これ以上は内容の説明について一々條文関係において質問をすることがいいと思いますので、それに譲りたいと考えておりますけれども、最後に一点だけ聞いておきたいと思いますことは、この税法改正において考えられますのは、徴收の方法その他がかわつて参りますことにおいて、地方公共団体に、何と申しますか、一つの混乱とまでは行きませんが、せつかく今まで、一年といいますか、第一回だけでも徴收いたしておりまするのが多少かわつて参ります。従つてこれに対してはそういう混乱はないというようにお考えになつておるかどうかということ、固定資産の面は実行いたしておりませんからさしつかえないと思いますが、その他の面については多少そういう面が出て来やしないかということ、もう一つは、これもこまかい問題でありますから、逐條審議の際に聞けばいいと思いますが、渡泉徴收が行われまする場合に、事務経費が今までよりも余計かかるのじやないかというように考えられまするが、その辺は十分お考えになつておるかどうかということ、それから最後の国民健康保險の問題でありますが、国民健康保險の問題は、私は現在の国民保險の保險費の徴收状況から見ますると、こういう形で行くことが一応いいという理論は成り立つと思う。しかし現実の姿として、はたしてこれが税金として課せられた場合に、保險金でありまするからかけることが当然ではありまするが、現状は非常に納付の成績が悪いのであります。そこでこういう形で法律できめられて、そして税金の形でとられることがいいという議論は、一応成り立つのでありますが、しかしこれは実際面の議論であつて、保險金が法律で税金と同じように取立てられることが、一体税というものの本質から考えて、正しいものであるかどうかということの御説明を、この機会に伺つておきたいと思います。
  20. 小野哲

    ○小野(哲)政府委員 私からお答え申し上げます。まず第一に今回の地方税法の一部改正にあたりまして、徴收方法等について改善を加えて来た。しかしながら徴税方法を改正いたすにつきましては、ただいま門司さんが言われましたように、当該課税団体の徴税事務の上に混乱を生ずるというふうなことは、極力避けて参らなければならぬということを考えて参つておるのであります。たとえて申しますると、事業税につきましては、法人については申告納税制度をとる。従つてさような場合に個人についてもとつてはどうか、こういう意見も実は出ないこともなかつたのであります。しかし現実の徴税機構なり、あるいは徴税能力の点等から考えまして、また事業税が附加価値税にかわるという前提のもとに考えましても、なるべく混乱を避けた方がよいというふうなわけで、法人のみに申告納税制度を認めるというふうな方法をとつたの一つの例であります。極力混乱を避けて参るように措置をして参つたということを申し上げておきたいと思うのであります。またやはり徴税の方法といたしまして、源泉徴收すなわちこの法律案におきましては特別徴收という名称を使つておりますが、これをとる場合においては、目的は徴收率の向上ということがねらいでありまして、従つてこの方法をとることによつて徴收義務者等において非常に手間がかかるというようなことは、極力避けて参りたい。また当該関係地方公共団体その他においきましても、あまりに煩雑にならないように、できるだけ簡易な方法をとるようにして参りたいという考え方から、経費の増嵩等に極力避けて参る、こういう方針を実は持つてつておるわけであります。  最後に国民健康保險税を今回創設いたしましたのは、ただいま門司さんが言われましたように、できるだけこの種施設の運用が適正に行われて行くように、財源措置を講じて参るということが基本的な考え方でありますが、国民健康保險そのものの状況が、きわめて困難な状態に立ち至つておりますので、しかしながらこれを放置いたしておきますと、保險料によつてまかなつて行くということは、一層問題がむずかしくなるではないか、従つて目的税としてのこの種新税を創設することが妥当である、こういう考え方から、今回創設いたしたいという考えを持つておるような次第であります。
  21. 門司亮

    門司委員 そのりくつは私はよくわかるのであります。一つの目的税としての考え方はよくわかるのでありますが、ただお聞きしておきたいと思いますことは、私も実はこれに反対しておるわけでも何でもなくて、いいと思いますが、現実の国民健康保險をどう財源的に処置して行くかということは、これで私はいいと思いますが、ただ片方は、目的税ということに当てはまるかどうかということであります。いわゆる国あるいは地方公共団体が行います総体的な保險であるから、対象が地方公共団体だから、これが一つの目的税になるという解釈をしていいのかどうかということに、私は多少疑問を持つておるわけであります。いわゆるこれは保險法という一つのほかの法律が実はできておりますので、その保險法でもし直せるならば直すのがよかつたのじやないか、徴收することが現在の保險法では困難だから、税金で取立てることがいいという議論になると思いますが、税金になつて参りますと、滞納いたしますと、それに処分がくつついて来るわけであります。ここをわれわれは考えるのと、もう一つさつき言いましたように、公共団体の行う事業ではありますが、しかしいずれにいたしましても保險という制度がこれについておりますので、保險金を徴收いたします者が、税金というわくの中で徴收することが、理論上一体成り立つかどうかということが、私のまだはつきり割り切れないところがありますので、もう一応お聞かせを願いたい思います。
  22. 小野哲

    ○小野(哲)政府委員 国民健康保險税を創設いたしましたのは、社会保障制度の一環としてこれを許可して参りたいという考え方から出ておるのでありますが、地方公共団体がその施設として健康保險を行うという場合におきましては、これはやはりその独立の財源を付與することによつて適正な運営が可能となる、こういう考え方から申しますと、一般の税目として考えないで、やはり目的税の性格において取扱うことが、事業の性質からいつて妥当である。また税体系から申しましても理論上も可能であろう、こういうふうな考えを持つておるわけであります。従いましてただいま御質問がございましたように、国民健康保險税を創設すべきかいなかということについては、実は前々からいろいろ議論もあり、また研究もして参つたのでありますが、今回の改正にあたりましては、これを創設するという結論に到達をいたしたような沿革的な事情もあるわけでございます。
  23. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 大石ヨシエ君。
  24. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 私は長い間病気をいたしまして休んでおりましたので、あるいは他の議員の方が質問されたことと重複するかとも存じますので、すこぶる簡單岡野大臣にお聞きしたいと思います。  実は平衡交付金政府は返却せよとおつしやつていらつしやいますが、市町村は全部平衡交付金はもう使つてしまいました。その点は一体どういうふうになつておりますか、この点を詳細岡野国務大臣にお聞きしたいと思います。
  25. 岡野清豪

    岡野国務大臣 平衡交付金はは御承知通りに、昨年の十月に仮決定をいたしました。その仮決定は実情に沿わないということもございましたので、最近に至りまして本決定をいたしました。その本決定をいたしましたにつきましては御承知でもございますが、この前の交付をいたしましたときには税法が通過しておりませんで、四月一日から七月の三十一日まで、地方は收入の道がまつたくなくなつたという情勢があつたときに、とつさの場合に一応各地方公共団体に配分をしたわけであります。それをあとからいろいろ検討いたしました結果、少し向うへ行き過ぎたというようなところもございまして、返していただかなければならぬというような結果が出て来ておるものもございます。そこでその方面に対しましてはお返しを願いたいという通牒を出しておるわけでございます。詳しいことは私よく存じませんので、政府委員から御答弁申し上げますが、私の伺つております程度では、いろいろもう使つてしまつて返せないからということで、たいへん困つていらつしやる地方自治団体もおありのようでございます。しかしもしそれを今お返しが願えないと、ほんとうにあげなければならない地方公共団体の方へまわせませんから、われわれとしては非常に心苦しい立場にございますけれども、これをぜひ返していただかなければならぬということは考えております。しかし返す点において非常に御困難があるという地方公共団体に対しては、私も内心何とかこれを救済する道を考えなければならぬと思つて、一応の自分の心づもりはなしておるわけであります。詳しいことは政府委員から御答弁申し上げます。
  26. 奧野誠亮

    奧野政府委員 還付の問題は二種類あるわけでございまして、一つは新しい地方税法が昨年八月に成立するまでの便宜な方法といたしまして、預金部資金を一時融通を受けるのも一つの方法なのでありますけれども、せつかく予算に組まれている地方財政平衡交付金を早く配分してほしいというふうな問題が生じまして、これを一時融資的に、前年度地方配付税の額を基礎にいたしまして、概算交付した額がございます。これは一時融資的な性格のものであるということは、全地方団体十分承知しておられるはずだと思つております。その後に地方税法が成立いたしまして、税收入のあり方というものが非常にかわつて参りましたし、地方財政平衡交付金がそれを基礎にして定まつて参りましたので、返さなければならないという団体が出て参りました。この金額が、府県では仮決定のときを基礎にいたしますと三十億円、市町村では七十億円に及んでおります。でありますから、この大きな額を、そのまま返さなくてもよろしいというわけにはちよつと参らないのではなかろうかと思つておるわけあります。  第二の問題は 仮決定をいたしましてから、配分をより合理化いたしますために、最近本決定をいたしました。この数字は府県の分は集まつておるのでありますが、市町村のはきよう明日に集計ができるのではないだろうかと思つております。それを待ちませんと、どの程度かわかりませんけれども、仮決定よりも本決定が下つてつた年度の終りになりましてから急に財源を削られても、財政の運営はできませんので、これは十分考慮しなければならないだろうと思つております。  それでどのような方法で考慮するのかと申しますと、一つは特別交付金の配分の問題がございます。特別交付金を配分いたします際には、仮決定よりも本決定の方が下つておりました場合には、これを十分しんしやくいたしたいと思つております。  もう一つは、結果において返さなければならないにいたしましても、その団体にあまり無理なことをしいることは穏当ではございませんので、その団体として非常に困難な状態に置かれております際には、昭和二十六年度分を四月早々には概算交付をしたい。概算交付をした額でどうしても返さなければならぬものは返してもらつたらどうであろうか、そういたしますと、交付を受けなければならない団体が、元来三月中に受けるべきものを、四月早々まで待たなければならないという問題が生じて参るわけでありますけれども、この辺はがまんしていただけるのじやないだろうか、こういうふうに思つておるのでありまして、大石さんが御心配になつております点は、今申し上げました特別交付金の操作の問題、一つは四月早々に概算交付することによつて返すべき金は、その団体に與えてから返してもらいたい、こういうふうな方法を考えております。
  27. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 それから岡野国務大臣にお尋ねしたいと思いますが、接客人税、その中に芸者、ダンサー——芸者及びダンサーに対して接客人税をかけることは妥当だろうと信じます。「その他」の中には、いわゆる特殊飲食店に働いておる俗に言う接客婦——今は日本の国は公娼制度が全廃されておりますが、こうした婦人に対して接客人税をとることは、日本の国は男女同権で婦人の人格はまさに男の人と同じように、婦人参政権が與えられて、私たちのごとくここに婦人の代議士も男と同じように国会に席を有しております。こういう時代に接客婦に対して、こうした接客人税をとるということは、日本の国はまさに公娼制度を認めておるということと同じになりますが、岡野国務大臣はこれをいかにお考えになるか、この点について私はお聞きしたいと思いす。
  28. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。接客人税なるものの対象が芸者、ダンサーまたはその他ということで、実は内容をよく存じませんから政府委員より申し上げます。
  29. 奧野誠亮

    奧野政府委員 接客人税の課税客体なりますものは「芸者、ダンサーその他これに類する者」と書いてございますが、大体客からチツプを得ておるような者だけを課税の対象にしたいと思つております。その課税は、接客人がどういう行為をしているかということにはとらわれないで、今申し上げましたように、お客さんからチツプの類を得ておる人々だけに納めてもらう、こういう考え方であります。それで開き直つて大石さんのような御質問をされますと、そこに問題があるのでありますが、現在地方自治庁地方財政委員会において接客人税そのものの存廃について検討を加えております。根本的には接客人税そのものに存する問題ではないだろうかというふうに考えております。
  30. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 奥野さんにお尋ねします。それでは日本の国で淫売をしてもいいのですね。その点詳細にお答え願いたい。
  31. 奧野誠亮

    奧野政府委員 今お話がありましたように、接客人税の課税客体になつておるのは、その人がお客さんからチツプの類を得ておるのかどうかということでありまして、どういう、行為をしたためにチツプの類を得ておるかどうかということまでは、税務吏員は検討することは穏当でないというふうな考え方を持つておるわけであります。
  32. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 チツプとはどんなものですか。
  33. 奧野誠亮

    奧野政府委員 普通の料金でございましたら、ある一定の行為の対価といたしまして、一定の金額が定められておるわけでありますけれども、お客さんの志次第でいただけるようなものがチツプの類だと思います。
  34. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 あなたはアメリカにいらつしやいましたが、そういうことも御研究になつたのですか。ちよつとここで教えてください。アメリカに行つて来たんじやないですか、聞かせてください、奥野さん。
  35. 奧野誠亮

    奧野政府委員 接客人税の実態につきましては、どの範囲まで課税されておつて、今大石さんの指摘されておりまするように、どのようなところに無理があるかということは、なお研究させていただきたいと思います。それでこの次の機会にこの辺の状況につきましても、こちらの考え方はつきりいたしてお答えするようにさせていただきたいと思います。
  36. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 岡野国務大臣にお尋ねしますが、接容入税をとつて、東京では、洲崎、吉原、それから京都では島原、安井祇園みなそういうところで公然と淫売をやつておる。しかし日本の国は公娼制度を全廃しておるのに、接容人税はとつておる。これはまさに公娼制度を廃止したつて、やはり淫売をしてもいいということになる。これに対して岡野国務大臣の詳細なる御返答を願いたい。
  37. 岡野清豪

    岡野国務大臣 私は実は内容もよく知らなかつたわけでございましてまことに恐縮でございます。しかし接容人税という常識から考えまして、お客様にサービスをして好感を持つて慰安を與えてあげる、こういうことが接容人の性格だろうと思いますが、しかしこれは公娼を認めるとか、淫売をするとかいうこととはわれわれは考えておりません。そういうことは日本の法律として絶対に禁止されておることでもございますし、われわれの税法の解釈といたしましては、先ほど奥野政府委員から申し上げました通りに、人さまにサービスをして慰安を與える、そしてチツプでももらえば收入がある。税法は收入のあるところから税金を納めていただくということでございますから、この税法の中に接容人税があるということは、公娼制度を認めておるということではございません。またわれわれも公娼に対して税をかけておるという感じを持つておりません。その辺のところは御了承願います。
  38. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 岡野国務大臣答弁は非常に苦しい答弁です。たびたびこのことを繰返しても同じですからやめておきますが、私の質問に対して、奥野さんはいつごろ詳細な返答をしてくださいますか。
  39. 奧野誠亮

    奧野政府委員 一応東京都の実情ども聞いてみたいと思いますから、この次に地方行政委員会が開かれますときに申し上げます。
  40. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 一週間以内にお答えをいただきたい。  それから奥野さんにお聞きしたいのは、地方自治体を研究するために渡米されたわけですが、その渡米の目的はいかなるものであつたか、それを詳細に聞かせていただきたい。  それから巷間伝うるところでは、日本の国の三府四十三県、これは明治四年でしたか、確かなことは忘れましたが、そのころにできた。それを昭和の今日に存続させるということは、時代遅れもはなはだしいことである。ゆえに将来は日本の国に道州制をしかんがために、あなた方はアメリカへ御研究にいらつしやつたというのです。それで地方へ参りますと、人心が非常に動揺しておる。あなた方がアメリカにおいでになつた真の目的は、日本の国の三府四十三県、これは敗戰によつて沖繩がありませんが、とにかくそれを将来廃止して、日本に道州制をしかんがためにアメリカに御見学にいらつしやつたのではないですか。今後日本の国を現状のままにするつもりであるか、もしくは道州制をしくか、そのことについてはつきり御答弁願いたいと思います。
  41. 奧野誠亮

    奧野政府委員 地方財政一般を視察する目的でアメリカへ参りましたので、それ以外に特定の目的は何も持つていなかつたわけであります。地方財政一般を見ました結果、日本の地方財政についても、いろいろ考ることもございますけれども、それは何ら当初から予定されておつた目的でも何でもないわけであります。向うに参りましても、向うから特定な意図の協力といいますか、あるいは説明といいますか、そういうことを受けておりませんということをお答えいたします。
  42. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 それではぶらつとニユース映画を見るように、アメリカを御見物においでになつたのですか。日本の将来は現状のままであつて、やはり将来も道州制をしかないのですか。人心が動揺しておるから、それを聞いておるのです。
  43. 奧野誠亮

    奧野政府委員 向うの地方税制の運営でありますとか、あるいは地方団体財政の運営状況とかをしさいに見て参つたわけでありますけれども、何ら特定の結論を最初から持つてつたわけではありません。今後の日本の地方行政制度をどうするかということは、今後の国会においておきめになる問題ではなかろうかというふうに考えております。
  44. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 何でもアメリカ式にすることがはやつておるのですが、それでは日本は現状のままで道州制をしかないのですか、この点を岡野国務大臣に聞きたいと思います。
  45. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答えを申し上げます。道州制をしくかしかぬかということは、私は将来の問題であろうと思います。しかぬとも言い得ないし、しくとも言い得ない、こう考えます。と申しますことは、御承知通り地方行政調査委員会議勧告が出ております。その趣旨としますところは、市町村に大幅に行政事務を委譲するということであります。そういたしますと、市町村のあり方いかんによつては、今の府県のあり方は相当大幅に変改を受けることになります。それからもう一つ考えなければならぬことは、私が先ほど門司委員の御質問にお答え申し上げました通り地方公共団体に追つて大幅な財源措置もしなければならぬと思います。現状におきましては、府県の中には税收が非常に少くて、立つて行けぬというような訴えがたくさんあるのであります。でございますから、どうしても府県のあり方というものに対しては、十分なる検討をしなければならぬと思います。そういたしますと、道州制というものがいかなるものであるか、すなわち今ある府県の上に、もう一つ道とか州とかいう総合機関を設けて道州制をつくるか、もしくは今の府県を併合して道州制にするか、この道州制というものにつきましても、いろいろ解釈があろうと思います。しかしながら結局私の考えといたしましては、将来市町村に事務再配合が確定いたしました後に、府県のあり方というものに十分なる検討をしなければならぬ。そのときには府県の合併というものも、一応は問題になつて来る、こう考えております。
  46. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 これは何度答弁してもらつても同じことですから、一つ最後にお尋ねしたいのは、二、三日前の「夕刊京都」に出ておつたのですが、先日京都の市長高山氏が神戸正雄氏に会つた。ところが神戸氏は、五大都市に特別市制を断行する、ことに京都市にはモデル特別市制を断行するということを確言した。そうしますと、現在でも京都の財政力は破綻を来そうとしておるときに、京都市に特別市制がもし断行されるときには、わが京都市民は一体いかなることになるか。岡野国務大臣は五大都市に特別市制を断行し、ことにわが京都市にモデル特別市制を断行せんとするお考えがありますか、この点については、私は京都府第二区を代表して出ておる代表士でありますし、京都府民にとつて最も重大なる問題でありますので、詳細なる御答弁を望む次第であります。
  47. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お管え申し上げます。先ほども申し上げましたように、これは特別市制をしく、しかぬにかかわりませず、財政的に非常に苦しい立場にあるという府県があるわけであります。お説の京都市に特別市制を断行するということは、神戸議長と高山市長との間に、どういう話合いがあつたか存じませんけれども、これは軽々にただいま論断すべきものではないと思います。この特別市制というものを実行し得ることは、法的根拠がありますけれども、しかしただいまの段階におきましては、私はもう少し検討をしなければ実行に移すわけには行かぬ、こう考えております。
  48. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 それでは岡野国務大臣に特にお願いしたいと思いますが、高山市長がそういうことを言つて参りましたときには、ちよつと私にも御相談を願いたい。軽々にあなたが高山市長と二人で話合いをされることは非常に困りますから、私をちよつと呼んでいただきたい。ここで返事をしてください。
  49. 岡野清豪

    岡野国務大臣 私はそういうやみ取引をすることはきらいでございますから、法の命ずるところに従つてつて行きます。
  50. 門司亮

    門司委員 この際議事の進行上伺いたい思いますが、今政府から出たされ正誤表をを見ますと、これは実際正誤表ではないのであります。法律の案文の脱落です。こうことになると、これは出されたそれ自体が何もならないということになるのです。これはひとつ刷りかえて出してくれませんか。委員長から政府の当局に要求してもらいたいと思います。全然脱落です。單なる正誤ではないということです。第二行目などは全然これは字句のないものが入つているものであつて、これをわれわれは正誤として認めるわけに参りまん。ひとつ至急ほんとうのものとして出していただきたい。このままで審議したらえらいことになつてしまいます。
  51. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 門司さんどうですか。これを全然刷り直すということになりますと、たいへんなものになりますから、一応間違つたところを直させるか何かそういうことでやつたらどうですか。
  52. 門司亮

    門司委員 これはここはそれでも私は済むと思いますが、全議員にこれは配布されておりますから、おのおのの政調会その他がおありになると思いますが、やはり政調会その他党で審議をされる場合になりますと、全然條文がないのがあります。一ページの二行目に書いてある字句は正誤どころではない。成文か、一つの條文か、挿入しなければならないことになつている。こういうようなことは大した手間でもありませんから、至急はつきりして、全部の議員に配つてもらいませんと、われわれがかりに党に帰つて、政調会に説明することにいたしましても、このままでは説明できないのであります。委員長からこういうお間違いのないようにしていただきたいと思います。
  53. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 これは議会の事務局の問題になるのだろうと思いますけれども、もちろんこれはやはり印刷したものを出すことは出すのでしようが、それの前に何か委員会だけでもちよつと考えてもらおうかとも思いますが、いずれまたよく相談しましよう。立花君やりますか。
  54. 立花敏男

    ○立花委員 大臣が晝から来られるならば、晝からやります。
  55. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 来られます。
  56. 立花敏男

    ○立花委員 ちよつとその問題ではなく……。この間の理事会の模様を御報告願いたいと思います。晝からでもけつこうですから……。それから公聽会なんかやる予定があれば、至急決定してもらわなければならないのであります。     —————————————
  57. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 これは至急お諮りしなければならないのですが……。  この際公聽会開催承認要求の件についてお諮りいたします。一昨日の理事会におきまして、地方税法の一部を改正する法律案についてその審議の愼重を期し、公聽会を来週に開くことに意見が一致いたしましたので、本案に対し公聽会を開きたいと思います。つきましては公聽会を開くことにあらかじめ議長の承認を得ることになつておりますので、衆議院規則第七十七條により、公聽会開催承認要求書を議長に提出したいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 御異議なしと認め、委員長よりただちに手続をとることにいたします。  なお引続きお諮りいたしまするが、ただいま議長に対し公聽開会の承認を求めることに決しましたが、議長より承認がありますれば、さらに本委員会において正式に決議をして開会報告書を提出することになりまするので、もし承認がありますれば、ただちに委員長より開会報告書を提出いたしたいと思います。その内容手続等は、委員長に一任として報告書を提出することに御異議はございませんか。
  59. 立花敏男

    ○立花委員 委員長一任をあなたが求められておりますが、委員長に一任いたしまして非常にらちが明かないことがたくさんあるのであります。委員長一任の場合は、やはり委員の総意をまとめていただくという手続をとつていただけるかどうか。
  60. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 その点はこの前にすでに理事会でお諮りしておるのです。あなたの方はそばにおられたから御存じかと思つたのですが、公述人等について適当の人を出していただく。大体八名ということにしております。
  61. 立花敏男

    ○立花委員 理事会で問題になつております共産党を小委員会に入れるかどうかの問題の結論を……
  62. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 先ほどの点について御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  それから共産党を小委員に入れる点は理事会にお諮りしたのでありますが、なお党に帰つて相談するということで、最後的には決定を見なかつたのであります。その点御報告申し上げます。
  64. 木村榮

    ○木村(榮)委員 大蔵委員会などの小委員会を見ますと、大蔵委員会にはやはり私の方の委員が二人いる。ところが二人とも社会党と同じように小委員に入つている。ここだけがわれわれを除外しているのはどういうわけですか。それは委員長がそうした線でやつているのですか、理事諸君がそういう線でやつているのですか。
  65. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 理事会に諮つて全部やつているので、私個人の意見では全然ありません。
  66. 木村榮

    ○木村(榮)委員 とにかく警察法の改正は共産党を彈圧する目的を持つているので、それでわれわれを小委員から除外しようとしているものとこう解釈してさしつかえないか。
  67. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 私個人の考えではございませんから……。
  68. 立花敏男

    ○立花委員 そういたしますと、委員長としてはいつごろまでに決定されるつもりか、その見通しを承つておきたい。
  69. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 党に帰つて相談をするということになつておりますから、えう長くかかることはないと思いますが……。
  70. 立花敏男

    ○立花委員 委員長としてはどういう見通しでどう御決定なさるか。私どもとしては荏苒日を待つわけに行きません。きのうすでに共産党は参加せずして、地方行政委員会が警察の見学に行つておられる。私ども案内も受けませんから何も参加できない。そういう形が今後幾日も続くということでは、私ども納得行きません。委員長としての見通しを承りたい。
  71. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 見通しについてはわかりませんけれども、そう長い間でなしに決定したいと思つております。  それでは暫時休憩いたしまして、午後一時半より再開いたします。     午後零時四十七分休憩      ————◇—————     午後二時四十二分開議
  72. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 再開いたします。  休憩前に引続き地方税法の一部を改正する法律案を議題として質疑を続行いたします。質疑の通告によりまして立花敏男君。
  73. 立花敏男

    ○立花委員 これは質問の前提になるので、最初にお尋ねしておきたいと思いますのは、国家財政地方財政との関係です。これは緊密な関係があると思うのですが、この点を大臣はお認めになるかどうか、これをまず最初にお尋ねしておきたい。
  74. 岡野清豪

    岡野国務大臣 まさにその通りでございます。
  75. 立花敏男

    ○立花委員 これはだれも認めざるを得ない点であります。そういう観点からひとつ質問を進めて行きたいと思います。  最近国家財政が非常に窮迫して参り、その結果地方財政にいろいろなしわ寄せが行われておる。これもまた動かすことのできない事実だろうと思うのですが、この点について大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  76. 岡野清豪

    岡野国務大臣 納税するのはやはり国民でございますから、そういうことになつて参るわけであります。
  77. 立花敏男

    ○立花委員 この問題も、やはりだれもいなむことはできない。国家財政の窮迫に従つて地方財政にそのしわ寄せが行われておることも事実です。そうでありますならば、国家財政のあり方と申しますものが、実は地方財政を論じます場合に、まず要点になると思うのでございますが、そういう観点から地方財政と関連する国家財政の問題を少しお尋ねいたしたいと思うのであります。その問題につきまして国家財政と申しますものは、国の政治の裏づけをなすものでございまして、財政と政治とは表裏一体なのですが、そういう面で非常に特徴的なことが最近起つておるのであります。この国家財政のあり方に関して、特に特徴的な問題についてお尋ねいたしたいと思います。最近日本の状態を見に参られたダレスが、帰りましてトルーマンに報告を出しておりますが、日本の財政経済に関して非常に重大な報告がなされておるのです。この問題を岡野国務大臣はどういうふうにお考えになつておりますか、お聞きしておきたい。
  78. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お尋ね申しますが、具体的にどういうことでございましようか。
  79. 立花敏男

    ○立花委員 岡野さんは最初の二つの前提をお認めになりました。国の財政地方財政影響がある。同時に国の窮迫した財政地方財政にしわ寄せになるということをお認めになつた。そうすると国の財政経済が、どういう方向に行こうとしておるか、現在の日本の財政経済は、アメリカの考え方に左右されるものが非常に大きいということは、これまた周知のことですが、ダレスの日本の財政経済に関する報告がどういうものであつたかということを御存じないとは、これは非常に困つたことなのでありまして、そういう観点でおられますと、地方財政の問題も、結局は根本的に解決できないのではないかと思うのであります。地方財政を担当なされる以上は、やはり国家財政の根本的なあり方について、ダレスがどういう報告をしておるかということを、はつきりつかんでおいていただきたいと思います。御存じないようでございますので、私の方からお示しいたしたいと思いますが、たとえばダレスは——これはあとでお示しする問題とは別なのですが、商業新聞にもはつきりあの当時伝えられておりました通り、駐兵は日本みずからが要請したのだということを、表題にはつきり掲げております。これは朝日新聞が第一面のトツプに数段抜きで掲げているのですから、御存じだろうと思う。しかもその後日ならずして、日本に、二箇師団の兵隊が送られて来る。これも新聞の報道によりますと、これは占領軍ではなしに、安全保障軍であるということがはつきり書かれておるのですが、一体こういうことを政府がダレスに要請されたのか、この問題と、日本みずからが駐兵を要請したならば、この二箇師団が占領軍ではなしに安全保障軍として送られて来た場合に、一体どうなるのか、これの費用などは終戰処理費から出るのか、あるいは別の形で出るのか、こういう問題は非常に重大な問題であります。この問題をひとつお答え願いたいと思います。
  80. 岡野清豪

    岡野国務大臣 私はこの委員会では、そういうことに対して御答弁申し上げる責任と権限を持つておりませんから、これは御容赦願いたいと思います。
  81. 立花敏男

    ○立花委員 それはどうもおかしなことです。国家財政地方財政と不可分である。国家財政の窮迫が地方財政にしわ寄せされておるのだということをお認めになつた以上は、国家財政の根本的な問題についてお答がなければ、私どもはそれと不可分の関係にある地方財政を論ずることはできないと思います。私は決して地方財政関係のないことをお尋ねしておるのではなく、地方財政関係のあることをお尋ねしておりますので、それについてはどうしても主管大臣としての御答弁を願いたいと思います。しかしこれはお答えがなければ、やむを得ませんので次へ進みたいと思いますが、それならばもつと具体的にダレスの報告を御紹介したいと思うのですが、これは朝日新聞の二月二十八日、わずか二日ばかり前の新聞ですが、これにダレスのトルーマンに対する報告の内容が載つておるわけです。しかもこの内容の七項目についてはアメリカ政府は満足した、こういうふうにつけ加えている。七項目の第四番目ですが、こういうことが書いてある。「マツカーサー元帥は西欧の再軍備計画に役立つために、ただちに日本が何を生産できるかを示すリストをできるだけすみやかに作成し、これを米政府に提出する必要についても意見が一致した、たとえば砲の照準器、双眼鏡、パラシユートなどを製造するために、日本の労働力と生産設備を利用することは、西ヨーロツパにとつて重要なことであり、このような日本の軍事的寄與の基礎となる日本の経済力はできるだけすみやかに復興させるべきである」こういうことが実は報告の中の第四項目に書かれておるわけなのです。このことは、日本の財政経済がどういう方向方向づけられようとしているかということを、私はつきり示しておると思うのですがこういうふうな日本の国家財政、あるいは日本全体の経済的な行き方、これは地方財政に重大な影響があると思いますが、こういう具体的な問題については、大臣はどういうふうにお考えになりますか、これをお聞かせ願いたい。
  82. 岡野清豪

    岡野国務大臣 立花さんの御説は非常に頭のいい将来の日本の経済の見通しについての御議論のようでございますが、私自身といたしましては、そういうことは新聞に出たからとかなんとかいうことで、すぐ取上げて、われわれが国家財政がどうなるということをまず突きとめることもむずかしいことでありますし、従つて地方財政にどう影響するかということもまたむずかしいと思います。そういうように、新聞に出まして、日本の経済がどうなつて行くだろうかということを御想像になつて、その想像の上で地方財政のことを御論じになるのは、ただいまの委員会の何じやないと思います。
  83. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 立花敏男君、それは関連はあるかもしれませんけれども、なるべく直接関連あることについて御質問願います。
  84. 立花敏男

    ○立花委員 直接関連あると思いますので私聞いておるのです。大臣は将来のことだから仮定の上に立つて推測をしてやつているのだと言われますが、実はこのことはすでに現在の予算と関連があるわけです。二十五年度予算ももちろん関連がありますし、二十六年度予算とも重大なる関連があるわけなのです。私どもは二十六年度予算は、この方針によつて組まれておる。従つて二十六年度予算のしわ寄せを受けております地方財政の問題を論じます場合にも、こう問題を解決しなければ解決はできない。こういうふうに考えておる。これは決して仮定のことでも架空のことでも将来のことでもございません。まさに、衆議院においても、この間の本会議あるいは予算委員会におきまして、私たちが問題にしております予算そのものの性格の問題なのです。その中に、地方関係があります平衡交付金あるいは補助金あるいは起債、こういうものが一切含まれておりますので、これは決して夢のような話でも、遠い将来の話でもございませんので、この問題を解決しないと、地方財政の問題は解決いたさない。またあなたがさきに御説明になりました地方税増徴の問題にいたしましても、ここから出発いたしておりますので、この地方税の技術的な問題だけを問題にいたしましても、決して私どもは解決しないと思う。だから本資的な問題をおそらしにならないで、はつきりとひとつ答弁願いたいと思う。たとえて申しますと、平衡交付金の問題につきましても、地方財政委員会と大蔵省の間に大きな開きがありますし、地方起債の問題につきまして開きがあります。主管大臣とされましては、これをどう解釈されるかということは重大な責任問題だと思う。ところがこれは予算委員会ではああいう影で押し切られてしまつておりますが、まだこの地方行政委員会としては結論が出ていないわけです。岡野国務大臣のこれに対する御意見を十分私承つておりません。しかもそういう起債の問題あるいは平衡交付金増額の問題、こういう問題も来年度の国家予算の性格と非常につながつております。私どもはこういう国家予算の組み方そのものの、この報告書に書いてありますように、西欧の軍需品を生産させるために、日本の経済をつくり上げて行くといつたような方向をやめていただけば、私ども平衡交付金の問題も片づし、あるいは地方起債の問題も片づくと考えておる。現実に困つております地方財政を解決するかぎが、実はここにあるのではないかと考えておる。しかも考えるだけではなしに、具体的にもその数字まではつきりしておるわけなのです。だからこの問題につきましては、單に将来の問題だとか言わずに、どうかまじめに率直にひとつお答え願いたいと思います。
  85. 岡野清豪

    岡野国務大臣 率直に申し上げますれば、ただいまは国家財政の御批評だろうと思います。国家財政の御批評は、ひとつ国家財政を担当しておる大蔵大臣からお聞き願いたいと思います。
  86. 立花敏男

    ○立花委員 だから私は岡野国務大臣としては、国家財政地方財政との関係をどうお考えになつておるかということを最初にお尋ねしたわけなのです。それは重大な関連があるということをお認めになつておる。さらにその次には、国家財政の現在の窮迫せる状態が、地方財政にしわ寄せになつておるじやないか、それもお認めになつた。だからこれをお認めになるならば、やはりどういうわけで国家財政地方財政にしわ寄せするのか、国家財政がどういうわけで窮迫して来るとか、この問題を解決いたしませんと、地方財政は実は解決できないわけなのです。たとえて申しますと、私ども大臣がお出しになりました地方税法改正、これはやる必要はないと考えております。と申しますのは、それくらいの金は現在の国家財政の中で、どうしてでも出せる金でありまして、出せないはずはない。現実に資金運用部の金にいたしましても、見込り資金の金にいたしましても、たくさん金が余つておりますし、あるいは終戰処理費の金にいたしましても、インヴエントリー・ファイナンスの金にいたしましても、予算の組み方によりましては地方にまわし得る金が十分あるというふうに考えておるわけなのです。だからこの問題を解決せずには、ただ地方税を二百億ふやすのだというようなことには納得できないわけなのです。地方税に入ります前に、まずこういう根本的な問題を解決する必要があると考えるから御質問をしておるわけなのです。
  87. 岡野清豪

    岡野国務大臣 どうも私としてはお説の骨子がしつかりわかりません。と申しますことは、国家財政というものに対していろいろ御批判があるようでございますが、国家財政から地方に対して何らの要請をしたことはございません。とにかく地方にいたせ、国家の財政にいたせ、今国民が納税にあえいで、非常に苦しんでおることは事実でございます。でございますから、国家財政の方から地方財政にやる平衡交付金が少かつたからと言つて、これが何もあなたの先ほどおつしやつたような長い先の見通しを織り込んで、そうしてその中に何かからくりがあるのじやないかといというようなことは、私は想像したこともございません。どうもちと御質問の要点が私にはわかりません。
  88. 立花敏男

    ○立花委員 あなたは国家財政地方財政と関連ないとおつしやるのですか、どうなんですか。最初に認められたのじやないか。
  89. 岡野清豪

    岡野国務大臣 関連はございます。
  90. 立花敏男

    ○立花委員 そうすると平衡交付金の額を決定いたします場合も、地方起債を決定いたします場合も、国家財政のあり方ということから、その額が決定されると思うのですが、そうじやないのですか。
  91. 岡野清豪

    岡野国務大臣 国家財政がきゆうくつてございますから、地方に対して交付する平衡交付金も少かつたということであります。
  92. 立花敏男

    ○立花委員 だから、きゆうくつだからきゆうくつにならないような方法があればできると思うのです。この点はどうなんですか。
  93. 岡野清豪

    岡野国務大臣 その点はどうぞ大蔵大臣にお願いいたします。
  94. 立花敏男

    ○立花委員 大蔵大臣大臣でございましようが、あなたも大臣なんで、そういう建前からお答え願えないことは私はないと思うのです。国家財政の編成にはあなた自身も御参加なさつているのだし、あなた自身のお考えをお聞かせ願えないことはないと思いますので、これはそうお逃げにならないで、はつきり御答弁願いたいと思います。明らかにこれは数字の上でも関連がありますので、こういう問題が納得できませんと、たびたび言うようですが、地方税を二百億ふやせと言われましても、これはどういたしましても、その大前提となるものに対する政府のお考がはつきりしない以上は、結論が出せないと思います。あなたのお答えを聞いておりますと、最初私がお尋ねいたしました地方財政と国家財政関係があるんだという言葉を、実際の何では認めておられないようなんですが、それはどうなんですか。
  95. 岡野清豪

    岡野国務大臣 もう一ぺんはつきりとあなたの御質問の要点を知らせてくださいませんか。私にはわかりません。
  96. 立花敏男

    ○立花委員 どういう点がおわかりにならないのか、ひとつ御説明願いたいと思います。
  97. 岡野清豪

    岡野国務大臣 先ほどからダレスがどう言つたとか、新聞にどう出たとか、それがどうとかいうお話ですが、結局問題は何でございましよう。平衡交付金の問題でございましよう。そうじやありませんか。
  98. 立花敏男

    ○立花委員 地方起債の問題もあるんです。
  99. 岡野清豪

    岡野国務大臣 じや平衡交付金はすでに何じやありませんか、あなたが国会として御意思を決定されて、参議院におまわしになつたじやありませんか。そのときになぜおつしやつてくださいませんでしたか。
  100. 立花敏男

    ○立花委員 たれが言わなかつたかというんですか。
  101. 岡野清豪

    岡野国務大臣 申し上げますが、それは国家財政予算の問題でしよう。平衡交付金を幾ら出すということは、中央政府一般予算から出しているのです。その一般予算はすでに衆議院で御可決になつて、参議院に送付になつている問題でございます。でございますから、平衡交付金の問題なんかは、おそらく予算委員会で一般会計を御決定になる前に、問題になさることではないかと思います。
  102. 立花敏男

    ○立花委員 非常に心外な言葉を承るのですが、私ども予算が決定するまでに委員会としても問題にする必要があるということをたびたび申し上げましたし、委員長はそういうとりはからいをなさいませんので、委員長の不信任案まで出したわけです。私どもは絶えずその問題をやつております。しかしたといこの予算通りましたといたしましても、地方行政委員会で平衡交付金の問題を問題にできない、あるいは地方起債の問題が問題にできない、あるいはそれに関してあなたの意見が伺えないという問題では私はないと思う。そんなことを申しますと、予算が通つた以上は国会審議はもう全部必要はありませんので、やめてしまつた方がいいんじやないか。結局予算委員会がきめましたすえぜんを各委員会はとればいいので、予算に関する一切の言論は、もう国会では必要ないのだ。御承知のように、予算は各政策を裏づけております。従つて各政策の審議はもう必要がないということになつて来るような御意見だと思うのですが、それは私どもは納得できない。なるほど自由党あるいは政府といたされましては、そういうふうな考え方予算を一瀉千里にお通しになり、地方行政委員会におきましても、平衡交付金問題あるいは起債の問題を故意に問題になされずに、警察の問題だけを問題にされてちつとも委員会を開かずに、遂に予算が通つてしまつた。通つてしまつたから、問題にしないというような態度じや、国民は納得しないと思う。私どもはいくら国会で通つた後におきましても、問題にすべき問題は問題にできると思う。大臣もまた予算委員会において通つたから問題にしないのだ、意見を述べないのだというのじやなしに、問題にすべきところは問題にし、——補正予算つて参議院でまだいくらでも出ます。予算そのものがまだ参議院を通じての全体の国会を通過していないのですから、これは当然私は問題にすべきだと思う、あなたの御非難は少くとも共産党に対しては当てはまらない。私ども予算委員会であれが通ります前に、地方行政委員会でも予算委員会と並行的にこの問題は予算と一緒に出して審議すべきだということを絶えず主張して来た。だから、そういう観点から、予算委員会が通つたから問題にしないという問題じやなしに、やはり率直に意見をお述べ願いたいと思います。
  103. 岡野清豪

    岡野国務大臣 私も予算通ります前に、その問題についてこの委員会で御質問があるだろうと予期して、おつたのでありますけれども、お呼出しがなかつたので出なかつたのであります。そのうちに予算委員会は通つてしまつたということですが、問題は、平衡交付金の問題をこの地方行政委員会で問題にするなとか、しちやならぬとかいう問題じやございません。ただ今おつしやることは中央財政のことをおつしやるから、中央財政のことについては私はお答えできませんと申し上げたのです。
  104. 立花敏男

    ○立花委員 私は関連的に最初からお尋ねしております。だから、ぽかつとこの税の問題あるいは地方財政のこまかい問題に入りましても、かんじんなところから問題をお尋ねしておきませんと、解決できない問題があると思いまして、根本的な問題からお尋ねしておるわけであります。だから、最初に国家財政と他方財政との関係からお尋ねしておるわけです。そういうわけで、何もそれだけをやろう、それだけが地方財政のすべてだと言つておるわけじやございませんので、そういう意味で、前提となる根本的な問題についてお答え願いたい。
  105. 岡野清豪

    岡野国務大臣 それじや根本的な問題として、もう一度あなたの御質問を承りたいと思います。
  106. 立花敏男

    ○立花委員 今まで言いましてもおわかりにならないのでは、もうこれ以上私はやる必要ないと思います。  では、税金の問題だけちよつと聞いておきますが、この税金の問題はこの間通りました地方税法の性格よりも、さらに露骨になつて参りまして、資本家、大企業の擁護が一方に非常にきつく出ております。同時に、勤労大衆に対する收奪が非常に強く出ております。この点で非常に特徴的な改正案だと思うのですが、そういうように大臣はお考えになつておるかどうかひとつ……。
  107. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。私は立花君とはこの税法について感じが違つております。今度の税法はあなた方にたいへん喜ばれると思つて実は出しているので、むしろ逆襲されるとは思わなかつた。ごらんになればおわかりの通り、今度法人税割というのをとることにしました。これはとにかく市町村民税が法人割以外の部分において約八億何がし減りまして、そうして法人から四十一億くらいよけいとることになつております。それからまたもう一つの例をあげますれば、庶民階級が固定資産税をとられて今まで苦しんでおつた。それを、これこそ非常な困難を冒して、そうして同時に最後まで、私は自分自身で申し出ていたことが、返事を受けずに、やつとあけてみたら、どうやら私の言つたことが通つてつたという苦心をして、庶民住宅の使用者課税というものをはずしたわけであります。そのほか刑罰も軽くしたり、いろいろなことをやりました。お読みくだされば、私はちようどあなたのおつしやることと反対の、よい法律を出したという感じを持つております。
  108. 立花敏男

    ○立花委員 そういうふうに人民を、ごまかすための点も多分にありますが、根本的にはこれはやはり資本家擁護の——片方では資本家擁護の税制であり、片方では大衆收奪の税金であるということが、これほど露骨に出た改正案はないと思う。非常に露骨に出ております。これは客観的に見まして、恐しいほど露骨に出ておると思います。そうして先年地方税法を根本的に改正いたしました際には、シヤウプ氏が来て非常に急だつたので、あわてたからああいう形で出たのでしようが、実際やつてみると、これは資本家のために直さなければならぬ点がたくさん出て来た。労働者の方に負担を重くするようにしなければならぬ。こういう点が一年間の経験で、はつきりして参りました。そういう観点から非常に露骨な改正案が出て来ておると思う。資本家擁護の点を申し上げますと、附価価値税の改正ですが、これが大企業の脱落を容易にする加算方式をとられたということ、それから実施以前の償却資産の償却部分が課税対象から差引かれるということ、これが非常に露骨に出て来ておるわけです。これは資本蓄積の問題ですが、資本蓄積が一番はつきり今度の税政改革では現われて来ておると思います。資本家の資本蓄積、自分の企業の中に資本を残しておくということ、これは岡野さんは銀行屋さんで、企業に金をお貸しになる場合に企業がやはり金を蓄積しておつた方が安全だから、こういう法律をおつくりになつたのでしようが、その点が非常に露骨に現われているわけです。これは名前をかえて申しますと、資本蓄積税法といつてもいいくらいで、資本の蓄積を極度にお考えになつておる。しかもそれが私がさいぜん読み上げましたダレス氏の報告と方向を一にしております。ダレス氏が、さいぜん申しましたように、日本の工場は西ヨーロツパへ送るための大砲の照準器、双眼鏡、パラシユートなどを生産するために日米の生産設備を使用する。これがヨーロツパにとつて重要なことであると、ちやんと書いてあるわけです。だからこの方面へ日本の工場、大企業の資本蓄積をやつて行くための税制であるということは明らかなのです。そういう点がまず片方で非常に強く出ているのですが、岡野さんはこれをお知りにならないのか、あるいは何らかの、さいぜん言つたように庶民住宅の使用者税は課さないということでこれをごまかそうとされておるのか、この点をひとつお聞きしておきたい。
  109. 岡野清豪

    岡野国務大臣 どうも私、言葉は存じませんが、收奪とか何とかおつしやるけれども、資本蓄積ということは、資本主義経済では大事なことでございますから、その点はおそらくいつまで議論しても、あなたと意見が一致するという点はなかろうと思います。蓄積は私はいいことだと思います。しかしながら附価価値税を加算式にしたら蓄積に非常に役立つのだということは、私は当らぬと思うのです。と申しますのは、先ほどもおつしやつたが、加算式にしたら脱税が便利になる……。しかしそういうことは、私どもはそれほど国民を悪く考えておりません。あるいは加算式にするには青色申告をする、りつぱに公開して、そうして証明のできるように、事業経営内容を開放する、こういうような開放した人に、非常に便宜な税の課し方をするという意味において、そうして今までやつております附加価値税の控除式は、いかにも附加価値税をとらんがために、非にむずかしい煩雑な手続を事業家に課すというのが不便でございますかほぼ控除式と同じ結果で、しかも正々堂々と法人が計算して、また收税吏もそれで納得できるという形式の会社に対して課する便宜の方法でございますから、私はあの点において脱税がなおよくできるだろうというようなことは、想像もしたことはありませんし、またまことに公明正大な税のとり方であると同時に、それによつて脱税を助成するというようなことは私は考えておりません。予測もしておりません。ですからあの制度によつてあなたのおつしやるような御非難は、受ける筋合いはないと思います。
  110. 立花敏男

    ○立花委員 非常に楽観的な御返事ですが、そういうことが言われますならば、しかもそれが事実であるとするならば、大企業には脱税はないはずなんですが、現在でも三菱化成一つで何億も脱税をやつておることは御存じ通りです。決してあなたの言うようにうまくは参りませんし、今度の改悪は、なおさらそういう、脱税のできるように改正した跡が歴然としております。  それから今お答えがなかつたのですが、償却資産の償却をずつと課税対象から除いて行くということは、これこそ根本的に資本蓄積になるのですが、これが資本蓄積ではないということについて、これはまた次のときに答弁してください。  それから資本蓄積の問題でありますが、資本蓄積そのものは決して悪いとは申し上げません。資本蓄積が、さいぜん言いましたように日本を軍需工場にする、西ヨーロツパのために軍需製品をつくるための資本蓄積であつてはたまらないということを私言つておりますので、日本の人民の生活をゆたかにするための資本蓄積であるならば私はいいと思う。そうではなくダレスがはつきり報告しておりますように、西ヨーロツパの大砲の照準器、パラシユート、こういうものをつくるのだ、これはヨーロツパにも必要なのだということを、はつきりアメリカは言つておるわけであります。だからそのための資本蓄積、そのための資本家階級に対する税金の軽減、こういうものには賛成できない。しかもその反面には、勤労者に対しては多大の負担をかけておる。一方に、そういうふうに外国のための軍需品をつくる工場への資本蓄積を許しながら、しかも日本人のための生活に対しては何ら考えないで、しかもそれをより一層取上げようとしておる。これは勤労階級に対しましては一〇〇%の税金をとる法律なんです。あなたにお聞きいたしますが、現在市民税は、幾ら徴收率があがつておりますか、おそらくこれはその何十パーセントかが市民税の税金を納めていないと思う。ところが今度は、それを源泉徴收にして、本人に渡さないうちに給料からとつてしまう、こうなりますと勤労階級だけが一〇〇%税金をとられるわけなんです。現在何パーセントが納めていない。勤労者階級は、これは決して故意に、共産党が扇動したから拂えるものを故意に拂わないのじやない。これはもう生活の苦しさから、賃金の低さから、物価の高いところから拂えないのが、そういう何十パーセントかの形で現われておるわけなんで、これを源泉徴收にしてとつてしまうということは、これは勤労階級が食えようと食えまいと、勤労階級だけからは一〇〇%税金をとつてしまうということなのです。だからこの二つを照し合せてみますと、外国のために軍需品をつくる工場の税金を安くする、しかも日本人の、働く人たちの税金は一〇〇%とつてしまう、こういうのが今後の改正案なんだ、非常に露骨に現われております。少くとも大臣ともあろうものが、これにお気付きにならないとは言えないと思うのでありますが、お気付きにならなかつたならば、今お気付きになつたならばこれを改める意思があるか。
  111. 岡野清豪

    岡野国務大臣 日本の産業が発展するならば、西欧諸国のために軍需品とか何とかいうことは、少しうがち過ぎたことではないかと思います。われわれは、終戰後八千万の国民を擁して、資金がなく、食糧がなく非常に経済的に困つております。でございますから、何でも仕事があれば仕事をして、そうして経済界が発展して、われわれの生活がゆたかになることを念願しておる次第でございます。でございますから、どんなものであつても外国から注文があれば、その原料を確保し、これを生産してわれわれの経済界を発展さして行く方が得じやないか、軍需品をつくるから軍国主義だとかいいますが、御承知通りに、昔チエコスロヴアキアなんかは軍需品ばかりつくつて、そうして自分自身は戰争せずに、やはり自分の国民の経済を安定し、同時に発展させて行つております。今日本が、これはよその軍需に役に立つから仕事をしないとか、いやこれはどこやらの国を助けるから仕事をしないとかいつて、仕事のより好みしておつたら、われわれは食つて行くことができません。でございますから、どんな注文であろうと、われわれの能力に応じて働きをするのがほんとうだと思います。それから、先ほど、勤労者ばかりが源泉徴收で苦しむとおつしやつたけれども、しかし源泉徴收ということは、地方公共団体の徴税上の便宜でもありますと同時に、われわれ勤労者としては、たつぷりふところへもらつておいて、それからあとで課税されてそんなことなら使うのじやなかつた思つてもしかたがない。使つたあとから市民税を出すということよりも、なるべく源泉徴收してもらつた方がいいという、こういう勤労者の希望をも認めておるのです。しかも一年分を一時にとるわけじやなく、わざわざあれを一箇月一箇月均分してとるようにもしております。それからもう一つ、非常にさかねじみたいなことになりますけれども、勤労者ばかりとおつしやるが、法として国会が御審議になつて納税の義務が発生したものを拂うのは国民の義務だと思います。それを、ほかの人がとにかく拂つておらぬということをあなたが是認なさるから、勤労者ばかりという言葉が出るのじやないかと思います。もしそうでございますならば、勤労者ばかりが源泉徴收されて非常に弱つているんだから、お前たちも納めてやつてくれとほかの人にお勧めくださつた方がいいと思います。あなたに片方に脱税を認めているから、勤労者から源泉徴收するのは悪いということになるのであります。
  112. 立花敏男

    ○立花委員 先ほどの軍需産業の問題ですが、これは重大な問題ですからちよつとお聞きしておきます。岡野国務大臣は、日本の工場で軍需品を生産しても、それが利益になるならよいというお考えですか。
  113. 岡野清豪

    岡野国務大臣 私は、軍需品であろうと何であろうと、とにかく外国から注文がありますれば、それにどんどん応ずるのが日本の経済の発展に資し、同時に八千万国民の生活の安定のよすがになるということで喜んでおります。
  114. 立花敏男

    ○立花委員 日本の工場で軍需品をどんどんつくつてもいいということはどうなんです。これが利益になればかまわないとおつしやるのかどうか。
  115. 岡野清豪

    岡野国務大臣 私は、先ほども申し上げましたように、日本に向く仕事があれば何でも外国から注文を受けた方が、日本経済界の発展のためになると思つております。
  116. 立花敏男

    ○立花委員 それでは軍需品でもつくつてよいと解釈してよろしゆうございますね。
  117. 岡野清豪

    岡野国務大臣 一体需要品というのは何ですか、軍需品という定義をひとつ教えてください。
  118. 立花敏男

    ○立花委員 さいぜんから三回ばかり——あなたはあまり年が寄つていないので覚えていると思いますが、たとえば双眼鏡、パラシユート等さつきから何回も読んでおります。軍需品は読んで字のごとく戰争に使うものなんです。ポツダム宣言によれば、日本の工場では軍需品をつくつてはいけない、軍需産業はあつていけないということを規定されておる。ところが大臣が、ほかの国から注文があればもうかるからよいとおつしやることは大問題なんで、私は聞いておるのです。
  119. 岡野清豪

    岡野国務大臣 逆説的に申しますれば、ポツダム宣言によりまして、われわれは被占領下になつておりますから、何ぼ注文しようと思つても、向うもできませんし、こちらも応ずるわけに行きません。
  120. 立花敏男

    ○立花委員 そうなれば、あなたのお言葉は少し矛盾なんで、つくれないということにもなります。あなたはさいぜんから……。
  121. 岡野清豪

    岡野国務大臣 ですから、つくれないけれども、つくり得るならばつくつてもうけた方がよいというのです。
  122. 立花敏男

    ○立花委員 もう一つ最後にお聞きしておきます。人民の負担の問題ですが、岡野国務大臣は、現在住民税が納まつていないという問題はどういうふうにお考えなのか。あなたは、国会税法がきまつて納税義務が生じたら、これは納めなければいけないのだと言われております。なるほど納税義務は生じております。あなたたちが無理やりに地方税法を通してしまいましたから納税義務は生じているかもしれません。しかし納められない現実をどうお考えになつているか。これは国民がサボつて自分勝手のことをやつて税金を納めないとお考えになつておられるのか、実際上若しくて納められないとお考えになつているのか、この点はどうなんです。
  123. 岡野清豪

    岡野国務大臣 事務当局からよく結果を聞きまして、そうして納められていない人があつたら、それに対して納められない事情をよく検討したいと思います。
  124. 立花敏男

    ○立花委員 納められない事情なんか個々の問題ではありませんで、何十パーセントというものが納められていないのです。これはなぜ納められてないのか、サボつて納められないのか、酒を飲んで納められないのか、あるいは生活が困窮して納められないのか、これがわからないようでは政治ができないと思う。ただ單に、多数で押切つて地方税法を通した。それを地方でまる写しをして條例をつくつた。だからこれを国民は納めるべきだ、それを納めないやつは源泉徴收でみなとつてしまうというのでは、これは強圧的な政治なんです。だから今莫大なものが納まつてないのです。これをあなたはどういうふうに理解されているか、これは事務当局の問題じやないのです。
  125. 岡野清豪

    岡野国務大臣 納められておるそうです。
  126. 立花敏男

    ○立花委員 そんなばかなことがあるのですか。納められているかいないかということを言つておるのではなしに、納められていないものが何十パーセントかあるということを私は言つておるのです。
  127. 岡野清豪

    岡野国務大臣 それはおそらく地方自治団体の方で手心していろいろやつておることだと思います。私は、税法といたしまして国会審議を経て法律になつた以上は、やはり納税者は納税すべきである。しかしながら税法にも特例がございまして、非常に困つた人には免除するとか減免するというようなこともありますから、個々の地方団体において、適当にそれを処理してやつていることだろうと思います。
  128. 川本末治

    ○川本委員 もう立花君と国務大臣だけで質問だが問答だかもからぬようなことをやつておられるようですが、ごらんのようにあまりにも委員の数が少にすぎるので、本日はこの程度で散会せられるよう希望いたします。
  129. 立花敏男

    ○立花委員 数が少いのは初めからわかつている。数が少くて途中からやめるなら初めからやめ方がよい。今から数が少いからやめろというようなそんなばかなことはありません。
  130. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 質疑を続行してください。
  131. 立花敏男

    ○立花委員 国民健康保險税の問題ですが、突如として国民健康保險税が目的税として出て参りましたので、非常にまごつくわけなんですが、一体国民健康保險はどういうわけで現在行き詰まつておるのか。どれくらいの赤字があるのか。根本的な点をひとつ御説明願いたいと思います。
  132. 奧野誠亮

    奧野政府委員 ただいまの問題については資料を持つておるのですが、別の機会に国民健康保險の現状について、厚生省から話をいただきました方が審議の参考になるのではないかと思います。
  133. 立花敏男

    ○立花委員 きようは大臣提案理由の説明に対する質問で、できるだけ大臣に御答弁願いたいと思います。どういう点で、こういう国民健康保險税を特におつくりになる必要があるのかお伺いします。
  134. 岡野清豪

    岡野国務大臣 国民健康保險というものは御承知通りに、あなた方のたいへんおすきになる社会保障制度の一環であります。ところが保險でお医者さんを利用するとかなんとかいうことはどんどんやられておるけれども、保險料の滯納が多うございまして、どうしても地方公共団体でやつて行けないということがあります。やつていることはいい。いいと同時にまた利用者が多いというわけでございますから、やはりこれは発展させて行かなければならぬと思いまして、それならどうせ料金で拂うのも税金で拂うのも同じことですから、税金としてとつた方がいいだろうということで、厚生省と話し合いましてやることにしました。
  135. 立花敏男

    ○立花委員 どうも料金で拂うのも税金で拂うのも同じたということなのですが、これは決して同じじやないと思うのです。どういう点で同じだと言われるのですか。
  136. 岡野清豪

    岡野国務大臣 出す方は同じでありますけれどもほんとうを言えば税金とつた方が、公共団体としてはとりやすいのでございます。また税金と思えば納税する方でもしやすいだろうと思います。保險料ではついうつちやらかしておくということになるのではないかと思います。
  137. 立花敏男

    ○立花委員 この問題はさいぜんの市民税、住民税の問題と同じでありまして、やはり医者に見てもらえば拂わなければいけないというつもりはあるのですが、保險料だからほつたらかしておく、悪意ではないがそうなると思うのです。こういう点で、大臣は最近の勤労者の負担します医療費と賃金を比較して御研究になつたことはありますか。
  138. 岡野清豪

    岡野国務大臣 賃金の問題ではないと思います。国民健康保險という制度をとつておる地方公共団体といたしましては、その公共団体内におるところの住民の健康を保險するためにある施設をする。そうすれば自然公共団体としてはそれをしなければならない義務があり、維持しなければならない財政上の需要があります。それを保險料で今までまかなつてつたのだが——今悪意じやないと言われましたが、とにかく保險料としてはなかなか納まりが悪く、地方公共団体が困つておる。今地方公共団体はどうなつているかというと、自治能力でやつて行く。すなわち住民自身能力でやつて行く。それならば住民から税としてとつた方が、收入も確保されていいのではないかという建前から、税金にしたわけであります。
  139. 立花敏男

    ○立花委員 これもさいぜんの地方税の場合と同じなので、保險料が納まらない。だから税金にして取立てる。住民税が納まつていない。だから源泉徴收で取立てる。やはり收入の確保ということが一番の眼点なんです。住民の生活の問題はやはり考えていない。あなたは賃金の問題と関係ないとおつしやれますが、勤労者は賃金で生活している。その中から保險料も拂わなければならないし、税金も拂わなければいけない。だから賃金の問題と関係がないとおつしやられることは、これは根本的に間違つた考え方ではないですか。賃金以外に何もないのです。賃金以外に何か、保險料を拂うとか、医者にかかつた金を拂う特別な財源があるわけじやない。賃金との関連なしに、国民健康保險税をきめられては困ると思うのですが、その点どうなんですか。
  140. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。どうも立花さんのおつしやることに対して、私ちよつと不満なんです。と申しますことは、自治の精神ということを頭に置けば、住民は喜んでそのサービス行政に対する対価は出さなければならぬと思います。いわゆる昔風の考え方自分自身は人民であつて、そうして上に何が偉い人があつて、それが税金をとつてつてなことをやつておるという頭があるからそうなるのでしようが、とにかく国民健康保險をやれば住民は喜んでおる。また水道とかガス、電気を公営すれば住民は喜ぶでしよう。喜ぶような施設をすることについては、やはり住民自分自身で自発的に喜んで出してこそ、初めて自治の精神が生きるので、いつまでも政府と人民というものが治者、被治者の関係におつて税金をとつては困る、保險料ならいいが、税金なつたら強制されるからいやだというのは、精神が違つておると思います。でありますから、もしほんとう地方自治の精神を生かして行くならば、地方公共団体でいる費用は、税金でなくても喜んで出すべきものであると思う。喜んで出すべきものであるのに、それを忘れたりなんかして出さないようなことになるから、ひとつ規則で出すようにしたらいいじやないか、これがごく平易な考え方です。
  141. 立花敏男

    ○立花委員 喜んで出さないと言うが、実際出せないのです。税金が出せないのですよ。それから国民健康保險料も出せないのです。あなたの言うように喜んで出せれば出すのです。忘れておつて出さないのではないのです。生活難で出せないから出さない。だからその数字が、市民税が何十パーセントかになつておる。国民健康保險でも三十億近い赤字が山出ておる、そういう形になつて現われております。これは決して忘れて出さないのではなしに、また拂えるのに拂わないのでないのです。それを取立ての面だけ強化いたしまして、無理に取立てるいう考え方はどうかと言うのです。ほかに方法があるのじやないか。賃金をふやすなり、あるいは国家負担にするなり、その面を考えないで、ただ取立ての面だけをお考えになつておる。この点で住民考えておりますことと、政府のお考えになつておることとは、根本的な食い違いがある。その点をお聞きしているのです。
  142. 岡野清豪

    岡野国務大臣 私の考えといたしましては、賃金の問題とか何とかでなくて、先ほども申し上げましたように、地方自治団体としてこれだけのことをするのには、やはりその財政需要をどうして確保するかということが、まず根本問題だと思います。その点において税法によつてきめたのであります。しかしもし住民が拂えなくて、もうそういうことをしてもらわなくてもいい、金がないから医者に見てもらわぬで死んで行くというならば、住民一般的にこういう国民健康保險などはよそうということになるのではないかと思います。
  143. 立花敏男

    ○立花委員 あなたは住民が医者にかからないで死んで行つていいとおつしやるのですか。
  144. 岡野清豪

    岡野国務大臣 そういうように言葉じりをおとらえになるから問答したくないのです。あなたはすぐそういうように変にとるでしよう。もし地方公共団体が、自分自身が厚生施設とか、水道とかガスでも道路でもよろししい、そういうものを自分負担にたとえなくて、とてもやつて行けぬということになれば、山の中へ道をつくるのもつくらずに置こうということになるじやありませんか、結論として。そういうあげ足をとるものではありません。
  145. 立花敏男

    ○立花委員 あなたの考え方はすべておかしい。地方団体財政上、できないと思えば、やらなくてもいいのだとおつしやつておられますが、地方財政をまかなうために中央から地方財政平衡交付金を出しておるわけです。あるいは起債に許しておるわけです。あるいは補助金を出しておるわけです。地方財政だけでまかなえなければまかなえつくても、地方住民の生活に不可欠なものは必ずしも地方住民負担でなしに、そういう形で国家から援助ができる道が開かれておるわけです。そういう問題をお考えにならないで、地方民が負担するのがきらいならやめて、医者にかからぬで死んでしまつたらいいのだというようなことは、地方財政の責任者としては重大な失言だと思うのです。地方住民負担が限度にまで来て、これができない場合は、ほかの方法を考えるということをお考えにならないで、地方住民負担をきらうのならそんなものをやめてしまつて、医者にかからないて死んでしまつていいのだ、これは大蔵大臣の放言と同じです。だからあなたはそういうふうに地方住民負担限界考えずにとる方だけ一年懸命にやつて、国から出すべきものをちつとも考えていない、だから問題があると言うのです。
  146. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。国から出す税金とか平衡交付金はだれからとるのですか。
  147. 立花敏男

    ○立花委員 これは金持からとつたらいい。
  148. 岡野清豪

    岡野国務大臣 そういうようなイデオロギーの相違のある人とは、私は議論したくないのです。
  149. 立花敏男

    ○立花委員 それはどういう意味ですか。イデオロギーの相違があれば議論したいとおつしやるのは、共産党の質問には応じないということなんですか、どうなんですか。
  150. 岡野清豪

    岡野国務大臣 金持からとればいいじやないかというのは暴論です。
  151. 立花敏男

    ○立花委員 だから税法の問題で最初に言いましたように、この附加価値税の点におきましては明らかに資本家擁護の改正である。特に日本の方向づけられておる軍需産業の資本蓄積のための税軽減である。だからこういうものをどんどんとるようにして、そうして国民健康保險税などはおやめになつて、病気のときには自由に国民が喜んで医者にかかれるようにすべきである。こういうことを言つているわけなんで、現在でも拂えない医療費をもつと強制力を持つた税金で取上げよう、そういう考え方自体が私は間違つておるということを言つているわけです。あなたはさつきから賃金問題は関係ないとおつしやつておりますが、賃金から拂うのです。賃金が関係ないとはどういう建前から言えるのですか。賃金が少くてそうして食つて行くのにようようだという場合に、これは医療費が拂えないのは当然なんです。賃金がふえれば医療費は拂えます。しかし食うだけの賃金しかもらえない。それでどうして医療費が拂えますか。だから賃金が国民健康保險税と関係がないということは私は言えないと思う。もつと数字的にはつきりいたしましよう。数字的にはつきりいたしますと、大体昭和二十二年から十一年までを基準といたしまして、昭和二十三年、二十四年度と比較いたしますと、賃金は百五倍になつております。しかし国民の負相いたします医療費は、四百五十倍になつておるわけです。賃金が百五倍で国民の負担します医療費は四百五十倍になつておるのです。だからここに国民健康保險の根本的な矛盾が出て来ているわけです。賃金は上らない、医療費が上つておる、だから医者にかかつても医療代が拂えない、ここから国民健康保險の赤字が出て来ているわけです。国民健康保險事業の行き詰まりが出て来ているわけなんです。だから賃金問題を解決しなければ、実は国民健康保險の問題も解決しない。ところが賃金と関係はないんだといつて、ただ納まらない赤字だけを税金の形で埋めようとする。ここに根本的な矛盾がある。あなたの考え方には私は根本的な矛盾があると考えます。
  152. 岡野清豪

    岡野国務大臣 国民健康保險というものは、あなたのお説から行けば、ちようど私は反対だと思います。病気になつているときに、個人が自分自身で医者にかかるというと、なかなかそれで立つて行けぬから、インシユアランス、すなわち保險の意味です。その意味において国民健康保險ができているのです。われわれもきゆうきゆうと言つて生活に苦しんでおります。これは日本全国民みな同じだと思います。自分自身で医者にかかつて、そうして健康を保つということは今なかなかむずかしいから、社会保險の意味において国民健康保險をつくつて、そうして施設して行けば、個人個人が楽に——大して楽でもないかもしれませんが、少くとも非常に楽に医者にかかることができる。こういうのが国民健康保險の趣旨でございますから、賃金が百五倍になつていて、医療費が四百五十倍になつておる、これはあなた方から何の御説明を伺わなくなつて統計が出ていることですからはつきりわかることであります。そういうようなことがあつて個人が困るからインシユアランス、すなわち保險制度の国民健康保險を今実行しているのです。しかし要はあなたと私とは見解が違うのですから、こういうことで押問答しても何にもならないと思います。
  153. 立花敏男

    ○立花委員 おかしいことを承る。これは意見が違うから質問したり、意見の交換をしておるんで、それが必要ないとおつしやるならば、あなたはここに出て来られる必要はない。そんなことを言わずと、ひとつ心からまじめな答弁を願いたい。私は決して社会保障制度そのものに反対しておるものじやございませんので、社会保障制度にいたしましても、国民の負担の限度を考えないといけないということ、それから負担という問題も考えたらどうだ。また賃金の問題も考えなきやならぬということ、現在の賃金がどの程度のものであるか、勤労者の生活を保障しておるような賃金であるかどうか、そういうことをまず考えないと、社会保險だからといつて医療費をこの上住民負担さすことが、はたして適当かどうかの問題があるわけであります。現在の国民健康保險制度の社会保險としての適不適の問題ではなく、これと住民の賃金との関係だとか、負担力の問題、その問題をお考えになる必要があるのじやないか、その問題をお考えにならないで、保險料では忘れて拂わないだろうから、税金にしてしまうのだということは、一方的な解決の方法でしかないので、これは人民から拂えないものを取上げる解決の方法だということを言つておるわけなんで、社会保險制度そのものに反対しておるわけではありません。
  154. 岡野清豪

    岡野国務大臣 社会保險制度に対して御賛成を得ましてありがとうございました。では国民健康保險もひとつ社会保險制度の一部としてやりたいと思いますから、どうぞ御賛成願いたいと思います。
  155. 立花敏男

    ○立花委員 非常にふまじめな答弁なんですが、そういうことを聞いておるんではありませんので、社会保障制度として国民健康保險をおやりならば、名実ともに社会保障制度の恩恵にあずかる人を、より一層苦しめない方法でおやりなさい、やる意思はないかということを聞いておるのです。
  156. 岡野清豪

    岡野国務大臣 もしそれに対して御名案がありますれば、ひとつ御名案を承りたい思います。
  157. 立花敏男

    ○立花委員 やる意思があるならば教えますが、やる意思があるのかどうか。
  158. 岡野清豪

    岡野国務大臣 承つた上でいいと思えばやります。
  159. 立花敏男

    ○立花委員 そうしましたならば一番最初の話にもどるのですが、金は国の予算の中に幾らでも余つておるわけなんです。たとえば、今度また警察法の改正が出て参りまして、何万人かの国家警察がふえる。こういう場合に一体予算はどうするんだ。それは岡野さんどういうふうにお考えですか。
  160. 岡野清豪

    岡野国務大臣 承つておりますと、結局直接住民からとらないで、国家から出したらいいじやないかというような御意見と伺いますが、そうでございますか。
  161. 立花敏男

    ○立花委員 そうです。
  162. 岡野清豪

    岡野国務大臣 そうしますと国家の金も、やはり八千万日本国民から出た税でございますから、やはり結果は同じことになるんじやありませんか。
  163. 立花敏男

    ○立花委員 そうではございません。たとえば預金部資金の余つております金、こういうものを当面の国民健康保險の赤字を埋めるため、あるいは国民健康保險の運用を、ほんとうに人民が喜んで行けるような組織といたしますために出していただきましても、国民の直接の負担はふえないわけです。ところがそうではなしに税金の形でとられますと——当面四月一日から税金をとられますので、これは重大な負担になる。これは決して机上の論議じやございません。四月一日からたちまちさいふの中の金が減るか減らないかの問題で、具体的な問題です。こういうことを單に何も関係がない、国家の金も税金で納めた金なんだから、これは同じ税金だから国民健康保險税でとつてもかまわないじやないか、こういうことには貧乏人の家計は参らないのです。
  164. 岡野清豪

    岡野国務大臣 どうもおかしなことを伺います。預金部資金で赤字を埋めたらいいだろう、これは私はまつたくあなたの常識を疑う。預金部資金というのは何んですか、零細な預金ですよ。この国民の預金を政府が大事に預つて、そうしてそれをいつでも必要なときたは拂いもとしてやらなければならない義務がある金なのです。それを健康保險が赤字が出たからといつて赤字に使つてつたら、それじや預金部資金、郵便貯金はだれがどうして返すのですか。
  165. 立花敏男

    ○立花委員 あなたの常識を疑います。それじや預金部資金はどこへも貸していないのですか。またいつでも拂えるように全部政府が握つておるのですか。
  166. 岡野清豪

    岡野国務大臣 貸すことは貸しますけれども、これをもつて赤子埋めにはできません。
  167. 立花敏男

    ○立花委員 私はさいぜん申しましたように、国民健康保險をほんとう政府の支出によつて住民が安んじて病気の場合には医者にかかれるような組織にするために、預金部資金の金を使えと言つておる。しかも現在数百億の預金部資金の余剰金があるわけです。ですからこれをお使いになれば、今税金をおとりにならないでもやつて行ける。これだけでも国民の負担は非常に軽くなる。ほんとうにあなたが庶民階級の生活を守るための社会保險としての国民健康保險を確立なさろうとするならば、今でもとれないような金を税金の形で取上げるというようなことをなさらずに、そういう方法をお考えになるのが、ほんとう意味の社会保險としての国民の金を生かす道ではないか、そういうことを言つておる。
  168. 岡野清豪

    岡野国務大臣 不幸にして、立花さんの御意見には賛同できない、と申しますことは、はつきり申し上げれば、預金部資金に余剰金があることは事実です。けれども預金部資金は、御承知のように、われわれも月十円とか百円とか預けて、そうしてわれわれが病気になつたときにはそれを引出して医者にかかる。こういうような自分自身ほんとうのとつておきの命から二番目の財産です。その財産は政府としては十分確実にに返してもらえるという見込みがつかなければ、貸出しも何もできるものではありません。でございますから、預金部資金はなるほどたくさんございますけれども、これはみなごく零細な資金が集まつておるのです。国民が血の汗を出してかせいだものをためておるのですから、それを返す見込みのないところにつぎ込んで赤字埋めにせよということは、これは私は常識的には賛同できないのです。
  169. 立花敏男

    ○立花委員 あなたのおつしやるように、預金部資金の金は国民の零細な金だから、勤労階級が何十円か何百円かずつ集めた金だから、勤労階級の困つておるときには、勤労階級のためにお使いなさい。特に国民健康保險のような社会施策の困窮しておる場合には、この金をこそお使いなさい、そういうことを言つておるのです。たとい国民健康保險に百億や二百億の金をまわしましても、決して預金をした人の拂いもどしができないというわけのものではございません。と申しまして、国民健康保險がそう危險な経営かと申しますと、そう危險な経営でもないわけなんで、現在預金部資金がどんどん金を貸しておりますが、これよりも国民健康保險の方が危險だということは、どこにも論証されておりませんし、また事実そうではないと思います。たとえばここに預金部資金の金は、住宅金融公庫あるいは銀行——銀行にも大分貸しておるようですが、銀行へ貸したら確かで、国民健康保險に貸したら不確かだということはどこにもないわけです。だから預金部資金の金はあなたの言われるように、零細な金だから、そういうものが集まつた金であればあるほど、貧乏人が困つている場合には、医者にかかれないで死んで行くかもしれない、そういう状態にまで貧乏人が困つているときには、そういう余つている金があれば貸せばよい、こういうことを言つているわけです。
  170. 岡野清豪

    岡野国務大臣 これは私が先ほど申し上げましたのでよくわかつたと思います。とにかく零細な、政府が預かつている預金部資金を、健康保險の赤字埋めにせよ、こういうことは私としては絶対できない相談であります。またそうすべきものじやないと思います。もしあなたのおつしやるように、これが返せる金だというならば、今赤字が出ようはずがないのです。どうしても困つてつていけないから税にでもしてとつて、そうして健康保險の財政を充実して行こう、こういうことなんですから、私はあなたとは相当意見が違うのです。少くとも預金部資金を使つて、そうして助けてやれということは、これはもう議論にならないと思います。よくひとつ考えください。
  171. 立花敏男

    ○立花委員 どうもおかしい、国民の零細な金を集めた——貧乏人が出した金なんです。だから貧乏人が困つているときにこれを使えばよい。たといそれが返されなくてもそれは納めた国民が納得すればそれはそれでよい。ところが国民の出した金を銀行屋へ貸しておるじやありませんか。あなたは銀行屋さんだから銀行へ貸したいかもしれませんが、国民から集めた金を銀行屋へ貸す必要はない。ところが銀行屋へは四百億円も貸しているじやありませんか、そうして実際この金を出した人が医者にもかかれないで死んで行くというような場合に、なぜこの金をお出しにならないのか、ほんとうにそういうところへ金を使つてほんとうにそれが人民のために役立つて、その上でたとい返つて来なくてもそれは人民は納得いたします。しかし自分たちが困つているのに貸してくれないで、銀行屋へ四百億円も貸している、こういうことでは人民は納得しない。
  172. 岡野清豪

    岡野国務大臣 それはやはり経済上の情勢をあなたはあまり御存じないからそういう議論が出て来るのであつて、預金部資金を運用しますのには、どこへ貸そうとよろしゆうございましよう。とにかく私自身としましては、零細な資金をいつでも返せるような準備をしておいて、そうしてその元手がなくならぬようにして行くというのが、預金部を運用して行くところのわれわれの方針でございます。でございますから、銀行へ貸しているのが幾らあるか私は存じません。しかしあちらこちらへ預金部資金はまわしておりましよう。これはしかし預金部資金の運用委員会で、これならば国民の汗水出してためた金を預かつているが、それがなくなりつこはない。いつでも国民に御迷惑をかけずに返して行けるという見込みが立つ事業並びに会社あたりへ預金部資金は運用しているのでございます。でございますから、預金部資金は一つの銀行みたようなものですから、そのお金を慈善とは言いませんけれども、慈善とかもしくは赤字とかいうものにつぎ込んで、そうして一体ほんとうに国民が納得しますか、筋が通りません。預けた人間というものは不要でしようがありません。確実に運用してくれていつでも拂つてもらえると思えばこそ、郵便貯金をするのであります。郵便貯金をそんな方にかつてほうだいに政府考え方国会意思でどこへでもほうり込んでしまつて、困つている人間を助けるのであるからよいじやないか、それはなるほど私個人の金なら——私がもしここに百円持つていて、たれかが困つた、けがをした、百円やる、それは自分だけの意思さえ決定すればよいのですけれども、しかし預かつている方の政府にしては、そういう考えにはなれませんから、これは御議論がちよつと飛躍していると思います。
  173. 立花敏男

    ○立花委員 議論が飛躍しているのではなしに、岡野さんはあまり貸したくないからそう言つておられるのだろうと思いますので、この問題はこれくらいにしておきますが、やはりさいぜん言いました、根本的な問題を岡野さんはまじめに考えていただきませんと、たとえば今問題になつております税法改正の問題でも、国民健康保險一つとりましても、やはりそういうふうに国家財政と非常に緊密な関連がありますし、当面問題になつておりました預金部資金の金の問題にいたしましても、これがなぜ貸してもらえないのかという議論が非常に大きくあるわけです。今国民健康保險と税の問題になりまして、国民健康保險は返してもらえないから貸さないのだとおつしやいましたけれども、そうしたら返してもらえる見通しのあるところへは貸すのかという問題も起つて来るわけです。だからそういう観点に立ちますと、たとえば地方の公共事業、こういうものは返せる見通しがありますので、そういうものにはお貸しになるつもりがあるのかということにもなるわけです。たとえば今度の地方起債は四百億に限定いたしておりますが、そのほかに返せる見通しのあるところであれば、お貸しになるのかどうか、あるいは災害等の場合にも、特別にこの起債を四百億のほかにお認めになるつもりなのかという問題も起つて参ります。従つてどういたしましても、具体的に地方財政の問題と、国家財政の問題とは、からみ合つているわけです。ですからやはりそういう問題をもつと真剣にお考え願いたい。国家財政の問題だから大蔵大臣に聞いてくれと言われるのじやなしに、あなたは、やはり最初私の質問にお答えになりましたように、国家財政地方財政の結びつきを十分お認めになつているのであるし、ことに最近の国家財政の窮迫から、それは地方財政にしわ寄せされて来ているということもお認めになつている。すなわち国民健康保險の税金なんかは、その最も端的な現われだ。最後にはそういうふうなところにおちついて来るのだから、そういうものをなくしようとするには、やはり国家財政の問題を問題にしなければいかぬ。何とかして預金部資金の金を地方に出すことはできないものか、あるいはその他の金を地方にまわすことはできないものか、そういう問題をまずお考えくださいませんと、結局あなたがおつくりになつた、もうしようがない、最後には国民健康保險の税金も取つちまおう、これはにつちもさつちも行かないものだというふうに話がおちつきまして、議論の余地も何もなくなつあしまうわけです。あなたがおつくりになつたものを、委員会としてはうのみにしなければならぬような状態になる。私どもはそれをうのみにするのではなしに、ここまで処置をおとりになる前に、国家財政との関係において、もう少し考えるべき問題があるのではないか。それをあなたは、もうそういう問題は関係ないのだ、大蔵大臣に聞いてくれ、おれが出した案が最良だ、これで行つちまえというのでは、これは議論にも何にもなりません。あなたはだてや酔狂でそこに来ておるのではないと思う。私たちの意見をお聞きになり、とるべきところはとつて、国民のためにいいものをおつくりになるために、私は来ておられるのだろうと思う。ですから、でき上つたものを委員会に押しつけるという態度じやなしに、やはり関連のある国家財政のあり方の問題についても、十分愼重にお考え願いたいと思うのです。その態度をとつていただきませんと、いくらこれはやつておりましても並行線で、議論の余地がありません。あなたが、自分の出して来た源泉徴收あるいは国民健康保險の税金の創設、こういうことだけで、ほかに絶対に余地はないのだというふうにお考えになられましては、私どもは議論をする余地も何もありませんので、そういう態度でなしに、やはりこれからお互いに具体的な問題で議論をいたし、意見を交換して、改められるところは改め、撤回するところは撤回してより以上の案をつくればいいのじやないかと思うのですが、どうなんですか。これからも一方的に上から案を押しつけて行くというお考えでお臨みになるのか、もつと率直に私たちと意見を交換なさるおつもりなのか、イデオロギーが違うから意見をお述べにならないというおつもりか、それを最後にひとつはつきりしておいてもらいたい。
  174. 岡野清豪

    岡野国務大臣 政府といたしましては、法案を出しますまでには、相当検討を経ておりますから、とにかく井戸のかわず何やらを知らずというように、自分自身検討だけはやつてしまつたものですから、出しました法案はやはり一番いい案だと私は考えております。しかしそれはわれわれ提案者の意見でございます。その提案者の意見が、はたして国民の代表者であられる国会の御審議が願えて、いいか悪いかを判別していただき、また悪ければ直していただき、よければほめていただく、こういうことのために国会へ出すわけでありますから、あなたのような御心配はいらぬと思います。ですから十分御議論なさることはけつこうでございます。けつこうでありますが、ただいま申し上げましたように、国民健康保險の問題につきましても、預金部資金をやつたらどうかという御議論がありますが、そういう御議論を伺いますれば、われわれといたしましては、預金部資金というものは、そういう赤字埋めには使うことはできませんと申し上げるわけです。  第二段といたしましては、先ほど地方公共団体に貸すことができるかできないかというお話でありますが、御承知通りに、ただいまほとんど市場で起債の操作ができませんから、預金部資金で引受けのような形で応じておるわけであります。それが四百億で足りるか足らぬかということは別な問題であります。もしこれが国家の金融財政政策その他いろいろな観点から見まして、このわくを広げて預金部資金を利用するということがいいとおぼしめして、また皆様方がそういうふうに御決議なされば、またそれも一つの方法でございましよう。しかし要するに私がこの国民健康保險の問題について申し上げることは、先ほども申し上げましたように、一つの社会保險でございますから、少くとも個人々々が医者にかかるよりはいい制度だと思います。それからそれに対して、今まで何も庶民階級ばかりからとつておるわけでもありません。金持ちからもとつておる。また金持ちに対しては応分、すなわち金がたくさんあればよけいとり、少なければ少くて済ませる、こういうような社会主義的の徴收方法もちやんと講じておりますから、私はこの案でけつこうだと思います。どうせ今まで保險料として拂つておられたものを税にかえただけのことであります。
  175. 立花敏男

    ○立花委員 これは具体的に申すのではございませんが、預金部資金の問題が、大分最近問題になつて参りまして、これは地方といたしましては当然なことだと思う。地方から集まつた金だから、地方が困つているからこれを貸してくれというのは当然だと思う。だからこの問題が大分問題になつて参りまして、最近は資金運用部の運用のための特別の委員会ができるというようなところまで、機が熟して来ておるようです。だから赤字埋めだから使わないのだというような、非常に限定された狭い考え方で問題になるのじやなしに、さいぜん言いましたように、ほんとうに社会保險制度として国民健康保險制度を確立するのだという建前から、その基金として何がしかの金を資金運用部をら出して、その基礎的な確立をはかるのだという建前であれば、この資金運用委員会の方の意見としても、これはあながち頭から拒絶するような問題でもないと思います。そういうふうにいろいろな角度から、あるいはもつと大きな角度から問題を御検討なさつて、私が言つておりますことを、單に十七億赤字があるから、それを預金部資金から持つて来て、あと返さないでそれで埋めるのだというように狭く解さないで、ほんとうにあなたの言われているような、国民の健康を守るための社会保險制度を確立するのだという建前から、何らかの手はないかということを、ひとつ検討願いたいと思う。
  176. 岡野清豪

    岡野国務大臣 やつとわかりました。赤字があるのだが、しかしこれは社会保險制度でいいことである、たまたまどうも金がないのだ、預金部資金が余つている、では預金部資金を持つて来て一時流用したらいいじやないか、こういう後意見のように伺いました。私自身といたしましては、それはまた別に方法があると思います。と申しますことは、ある公共園体において保險料が滞つて、どうしてもやつて行けぬ。保險料は、これからとろうと思つてもとれないかもしれないけれども、その公共団体財政としては、将来この金は何年か後には返せるという見通しでもあれば、その地方公共団体がある意味において起債をしてそれを国民健康保險の赤字埋めにする。しかしその起債に対する責任は、すべての事業を一にした公共団体がこれに対して返すというような見込みを立てる、こういうことなら、また方法も出て来ると思います。先ほどから伺つていたのは、国民健康保險は今徴收ができなくて、非常に赤字になつてしまつている。この救無策として預金部資金を寄付のような意味で出したらどうか、こう私は受取つてつたものですから、御答弁がちぐはぐになつたと思います。
  177. 立花敏男

    ○立花委員 大分わかつていただいたようで、非常に嬉しく思います。それから国民健康保險の問題ですが、国民健康保險が行き詰まりました原因の一つは、さいぜんから申し上げておりますように賃金が少いということなんですが、もう一つは病人がやたらに多くなつたということです。この問題も、やはり国民健康保險の問題を、ほんとうに社会制度として確立する場合には、お考えにならなければならない問題だと思うのです。病人が最近急激にふえております。国民健康保險医のところに参ります思考が急激にふえておるわけです。これは、決して日本人が何か不攝生をやつたり、あるいは特にけがをするような生活をしているためとは、私には思えないのですが、病人が特にふえたという問題を、大臣はどういうふうに理解なさつておられるのか。これは私は社会的な問題だと思うのですが、この問題を大臣はどういうふうにお考えになつておるか。それによつて国民健康保險のあり方も非常に違つて来ると思います。
  178. 岡野清豪

    岡野国務大臣 私は病人も少しふえたのだろうと思いますが、しかし衛生思想が国民に非常に普及しまして、早めに早めに医者にかかるようになつたということ、それからまたもう一つは、健康保險に入つておれば、普通で出す医療費よりも安く行くからということで、普通の町医者にどんどん行くよりは健康保險の方を利用するということが多くなつた、そういう意味で健康保險の方に患者がたくさん集まる、こう私は了解しております。
  179. 立花敏男

    ○立花委員 私どもの統計では、患者がふえましたのは最近の労働強化による傷害、それからそれに伴います罹病、こういうものが特に目立つてふえているわけなのです。こうなつて参りますと、やはりこれは軍に個人的な責任ではありませんので、明らかに日本経済のあり方、日本社会の構成の仕方、こういうところから罹病率がふえて来ておる、患者その他がふえて来ておる。従つてそこから国民健康保險の破綻する大きな原因が出て来ておる。だからこういう問題を本質的におつかみになりますと、そういうところから出て来ておるこの国民保險経済の破綻、こういうものを救う解決の方向は、国民健康保險税の創設の方向ではなしに、やはり国家的な負担ということが考えられなければならないのじやないか、こう考えております。だから国民健康保險税をお考えになる場合も、どういう点で現在の国民保險経済が破綻して来たのか、その根本的な原因はどこにあるのか、それをカバーするためには個人的な負担を強制する形で解決するのか、あるいは国家的な社会的な規模で解決するのが正しいのか、こういう問題にまで関連して参りますので、病人がふえて来たということ、それから賃金の問題、これをもう少し詳細にお調べ願いたいと思いますし、私たちに対しましても、それに関する私どもが判断できます資料を、ひとつ次の委員会までに御提出願いたいと思います。
  180. 奧野誠亮

    奧野政府委員 立花さんから受診率の問題があつたわけでありますが、同じように国民健康保險組合をつくつておりましても、被保險者一人当りの受診率というものが非常にますますであります。その理由は地域的な風土の関係にもよるわけでございますし、あるいはまた衛生思想の普及の点にも関係いたしますし、あるいは国民健康保險組合が設立されてから、日が浅いかどうかという点にも関連すると思うのであります。御参考に昭和二十四年度の実績を申し上げますと、全国平均が被保險者一人当り七九・五七であります。これが受診率の一番高いところになりますと、佐賀県では一四四・九というような数字が出ております。低いところになりますと、たとえば北海道あたりでは三七・八であります。あるいはまた岩手県では五四・六というふうな数字を示しておるわけでございます。従いまして單に労働強化ということだけでは、この問題を説明し盡されないのではないかと考えております。なおまた保險料を国民健康保險税というような形にかえます結果、いたずらに苛斂誅求されるのではないかというふうな気持も、お持ちになつておるようでありますけれども、税にかえますことによつて、各個人の負担というものを、総合的に市町村の議会において判断されるのではなかろうかというふうに考えておるわけであります。現在の国民健康保險組合法におきましても、保險料というものをある程度応能的にとるようにいたしておりますし、さらにまたこの保險料につきましては、税に次ぐ優先順位を與えておりまして、強制徴收の制度を認めておるわけであります。ところが保險料という言葉のせいでありますか、必ずしも貧しくなくても、ゆたかでありましても、この保險料か簡單に支拂つてくれないというふうな実情もございまして、この税という名前に切りかえることによつて、相互扶助の精神というものが、もつと徹底して来るのではなかろうかというふうな考え方を持つておるわけであります。言いかえれば、国民健康保險組合の相扶共済の精神というものを、組合員にもつと徹底させながら、ゆたかな人たちもまたその能力に応じまして、正確にこの費用を分担して行つてもらいたいという考え方を持つております点も御了解願いたいと思います。
  181. 立花敏男

    ○立花委員 ではこの国民健康保險税というのは、累進でできるのですか。
  182. 奧野誠亮

    奧野政府委員 御承知のように、この保險税の課税の仕方につきましては、資産割と、それから所得割と被保險者均等割と世帶別平等割の四つの方法をとつております。従いまして資産割と所得割は、おのずからそれぞれの資力に応じて課税されるということになつて参るわけであります。
  183. 立花敏男

    ○立花委員 私どもは現在の賃金ベースの額あるいは最近の社会的な労働強化あるいは勤労階級に対する社会的、経済的圧迫、こういうものから考えますと、現在ではむしろ全額国庫負担が妥当ではないか考えておるのであります。あなたの言われる相互扶助というのは、これは国民全体の最低生活が保障されてほんとうに文字通り明るい文化的生活をしておる場合は可能でありますが、そういうことがない場合に、相互扶助ということを申しましても、それは貧乏人同士が集まりましても、よけい苦しい結果になりますので、これは現状を無視した課税である。私どもはこういうふうに考えております。これはあなたと議論するわけではありませんが、あなたのあげた資料から必ずしも労働強化ではないという結論はまだ出て来ないと思います。あなたのあげた資料では佐賀県が非常に多い、それから北海道と岩手県が少い。これはなぜ佐賀県に多いか、なぜ北海道に少いか、これはお調べになつたかどうか。
  184. 奧野誠亮

    奧野政府委員 これは受診率の差を、もう少し申し上げますと、大阪では八九・五三%、兵庫県が七九・五%というような数字になつておるわけであります。受診率の問題は、この国民健康保險組合の制度を利用する程度が高まつて来るか、高まつて来ないかという問題であつて一つはやはりこの制度が十分に住民に理解されておるかどうかということが根本になつて、この受診率の差を来しておるだろうと思います。さらにあとは衛生思想でありますとか、風土の條件というような問題が、大きな影響をなして来るだろうと思います。労働強化のことをおつしやるのでしたら、私はむしろこれは国民健康保險の問題ではなく、健康保險の問題をお調べになつた方がよろしいのではないかと考えております。労働強化の結果、受診率が加つて参りますならば、それは、健康保險組合においてはあるいはあるかもしれませんが、国民健康保險組合の実績だけでは、今おつしやるようなことはすぐに数字の上に現われて来ないのではないかと思つております。
  185. 立花敏男

    ○立花委員 私は労働強化と申しましたが、労働強化だけを取上げたわけではありません。労働強化を典型的なものとして申し上げたのでありまして、労働條件の悪化、生活の窮迫というものが、いろいろな病気をより一層多く発生させておる、こういうことが私は言えると思う。だから單に工場における傷害という問題——それは典型的に現われますが、そうではなしにやはりいろいろなところにおける労働條件の悪化、それは言いかえれば賃金になつて来るわけですが、賃金の問題から結局はいろいろな病気が多数に発生して来る。今賃金がたくさんもらえまして、薬がすぐ買えましたら、医者にかかりますと簡單になおるのですが、そうでなしに買い薬で間に合わす、それでなおらない場合には医者に行く。医者に行きます場合も、二日でなおります者が、やはり無理をしておりますから、一週間もかかるというふうに、そういうところから罹病率が多くなつて来ているのじやないか。賃金を典型的に低くして生活が非常に苦しくなつて来ておる、そこから医者にかかる必要がどんどんふえて来ておるわけです。
  186. 奧野誠亮

    奧野政府委員 国民健康保險組合の受診率が、だんだんと高くなつて来ております。これは厚生省関係の人たちは、保健衛生の思想が普及して来た結果であり、また国民健康保險組合の制度というものが、十分に理解されて来た結果である、現在でも受診率は不足である。現在の衛生状態から考えて、もつと受診率が上がるように、この組合の制度が利用されなければならない。おそらくそういう意味合いにおいて平均率が百パーセントを越えるようになるだろう、また越えることを目標にして、われわれはこの制度の精神というものを、住民に理解させるように持つて行かなければならない、こういう考え方の行われておりますることを、御了解願つておきたいと思います。
  187. 立花敏男

    ○立花委員 それはお役所的な見方で、それではもつと広めて言つておきますが、労働者の労働條件だけじやなしに、農村における生活の窮迫、こういうものが、やはり国民健康保險の受診率を高くしでいる最も大きな原因じやないか、だから、そういう原因が根本的にはどこにあるのか、国民健康保險を利用したら得だという考え方が普及して来たから、受診率が高くなつて来たのだというふうなことでは、根本的な対策が出て参らないと思います。やはり農村における生活條件、あるいは労働者の生活條件の窮迫という問題をお考えにならないと、根本的な本質がわからないし、従つて対策も違つて来るのじやないかと思いますので、私どもが納得できます資料をひとつお示し願いたいと思います。
  188. 奧野誠亮

    奧野政府委員 受診率の資料は差上げるようにいたしたいと思います。なお国民健康保險税をつくりますことによつて先ほどしばしば大臣お話になりましたように、せつかく国民健康保險組合が設けられておつても、十分に医者に見てもらえない、こういうことでは困りますので、国民健康保險組合が成り立つように、保險料の徴收の制度を改めまして、国民健康保險税として徴收して行く、かたがたこの相互共済の精神というものを、税の形においてもつと徹底して、設定さして行きたいというふうな考え方を持つているわけであります。なおしばしばこれを市町村單位の組合にしないで、むしろ国民單位の組合にした方がいいのじやないかというようなお考えをお持ちになるように、私には想像されるわけですが、もとより考え方はいろいろあるだろうと思うのであります。ただ、ただいま考えておりますのは、税制の面でございまして、この国民健康保險組合法というものは、市町村の区域を基礎にして組合をつくることにいたしております。将来これがどういう形になつて参りますかは、一つの問題があるわけでありますけれども、国がこれに関與いたしますものも、従来は事務費の一部だけを負担しておつた。それを二十六年度からは事務費の全額を負担しようとしているわけでございます。こういう制度を順次発展さして行かなければならぬのでありますけれども、その発展させる方法は、国民健康保險組合法の検討を通じまして、いろいろと進歩させられて行くであろうということを期待しているわけであります。
  189. 立花敏男

    ○立花委員 私は何も村でつくつちやいけない、国家でつくつた方がよろしいということを言つておりませんので、そのやり方です。現在もうすでに医療費が拂えないところに来ているのだから、そういう拂えないものを、より一層法的な強制をもつてとるという解決の方法は間違つておるということを言つておるだけであります。しかもこの考え方はそれだけに出ているのではなくて、住民税の問題も出ているわけです。住民税はもうすでに何十パーセントも拂えない。これは拂おうと思つても拂えない。それを今度は源泉徴收で無理にとつてしまう、こういう考え方が国民健康保險税にも出ておるし、住民税にも出ておる。これでは実情に沿わないのではないか、住民の生活を圧迫することになるのではないか、事実上は、拂えないものを無理にとられるのだから、これは何といつても圧迫なんです。だからこういう解決の方向ではなしに、拂えないものはそのまま事実を認めてやつて、ほかの方法で解決して行くというふうに、考え方をかえてもらわなければならない。これを国家的な規模でやろうと、町村的な規模でやろうと、規模の問題が問題ではなしに、解決の方向が重大な問題だと私は思うのです。
  190. 奧野誠亮

    奧野政府委員 国民健康保險組合に、もつとたくさんの補助金を国から出したらどうかというふうな御意見をお持ちかもしれませんけれども、国家予算案の問題に、その問題はおちつくのじやないだろうかと思います。ただいま国民健康保險税の創設の形において提唱しておりますのは、国民健康保險組合法のうちの中で運営されることを期待しながら、その保險料を單に税の形に切りかえるだけの問題であります。ただその際に医療費の拂えない者から税の形でとるのじやないかというふうに、お考えになつているのじやないかと、私思われるのでありますけれども、もとよりそうじやございませんで、名世帶主から国民健康保險税を納めてもらいたい。医療にかかる人たちが医療費に困ることのないように、組合がありますれば、医療費の一部を負担するだけで済むわけでございますので、そういう制度が円滑に行われますように、国民健康保險組合の財政的な基礎を、この形において確立して行きたいというふうに考えておるわけであります。
  191. 立花敏男

    ○立花委員 わくの中でお考えになつているのはわかるが、わくをはずしてもう一度お考え直しになつたらどうかということを言つているわけであります。医療費の拂えない者からとるのじやないとおつしやいますが、これは体よく言えば五人組制度、責任を一般に転嫁するというやり方と同じなんで、決してこれは富裕階級、今の支配階級が負担するという方向行つていないことは明らかであります。だからそういう形で解決することは、收奪を一般化するだけなんで、決してこれはほんとう意味の解決の方法じやない。だからそういうところまでわくを広げて、お考え願えないのかどうかということを聞いておるわけなんで、わく内の操作だけでは、私どもは納得できないということを言つているのであります。
  192. 奧野誠亮

    奧野政府委員 地方税法の一部を改正する法律案として提案しているわけなんで、もとよりこのわくをどうするかという問題はあると思います。あると思いますけれども、それは国家予算案の検討なり、あるいは国民健康保險組合法の検討なりにおいてやつていただきたい、かような気持で申し上げていることを御了解願いたいと思います。
  193. 立花敏男

    ○立花委員 だから最初から奥野さんに国家財政地方財政関係、国家財政地方財政へのしわ寄せ、こういうことをお認めになるかどうかということをお聞きして、そういう建前の上でこういう問題を既定の事実として私たちに持つて来られるのではなしに、そういう面で解釈の方法手段をお考えになる余地があるのかどうか、お考えになつておられるかどうか、見通しがあるかどうかということを、お尋ねしているのであります。
  194. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 立花君。関連はありますけれども、関連といつたら、全部に関連があるのだから、健康保險で検討すべきものは健康保險でやつてもらうのでなければ、国政全部をここでやらなければならぬことになりますからね。関連ということをよくお考え願わないと困ると思います。
  195. 立花敏男

    ○立花委員 決して私、国政全部をやつているのではなくて、健康保險の問題だけをお聞きしたわけなんですが、そういう観点からやはり関連がある問題は、やはり可能性の問題に関連のある限りさかのぼつて、可能性があるかどうかを私は検討する必要があると思う。その点をごまかしておいて、その点に触れないでこれはここらで打切りなんだから、このわくにはまつただけでやるのだというのでは、もうすでに地方財政は解釈のできないところまで来ているのじやないか。早い話が平衡交付金の問題ですが、平衡交付金のような、はつきりした問題になつて参りますと、これは明らかに解決の方法があると私ども考えております。少くとも前の国会におきましては、この委員会全体が一つの決議をいたしまして、国家財政から出してくれということをきめたのですから、現在のわくの中で考えるのではなしに、国家財政も考慮して解決の方法があるという結論が出ているのですから、必ずしも国家財政と切り離した小さいわくの中で考えなければならないということはないと私は思います。そういう観点から、やはり広く可能性のある限りは追究して、議論をやる必要がある。そういう建前に立つていただきませんと、何だかこの委員会がわくにはまつたものを押しつけられて参りまして、質疑応答をやりますのも形の上だけでやつて、日をつぶして、十日になればすぐ上げてしまうのだというようなことになりますと、国民の声は議会に反映できないと思います。そういう観点から質疑はやつていただきたい。
  196. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 しかしその関連という意味は、常識的にお考え願わぬと、どんなことでも開通はあるのですよ。だから私は関連があつてもやるなというのじやないけれども、関連の限度を常識的に考えていただかぬと、あらゆるものが関連があるのだから、そのつもりでやつてください。
  197. 立花敏男

    ○立花委員 そのつもりでやつているので、そのつもでお答えになつているだろうと思いますが、きようはこれくらいでやめておきたいと思います。次にはそういう観点から、私たちは質問を続行するということを御了承願いたいと存じます。
  198. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 それはいいのですが、この問題についてもですか。この問題は一応終つたのですか。
  199. 立花敏男

    ○立花委員 国民健康保險はいいです。
  200. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 それでは本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十一分散会