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1951-02-20 第10回国会 衆議院 地方行政委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月二十日(火曜日)     午前十一時十七分開議  出席委員    委員長 前尾 繁三郎君    理事 河原伊三郎君 理事 野村專太郎君    理事 藤田 義光君 理事 門司  亮君       生田 和平君    池見 茂隆君       大泉 寛三君    尾関 義一君       門脇勝太郎君    川本 末治君       小玉 治行君    田中 啓一君       田中不破三君    吉田吉太郎君       床次 徳二君    山手 滿男君       久保田鶴松君    木村  榮君       立花 敏男君  出席政府委員         国家消防庁長官 新井 茂司君         総理府事務官         (国家消防庁管         理局長)    瀧野 好曉君  委員外出席者         参  考  人         (全国自治体公         安委員連絡協議         会長)     小畑 惟清君         参  考  人         (全国自治体公         安委員連絡協議         会常任理事)  神宅賀壽惠君         参  考  人         (全国市長会         長)     金刺不二太郎君         参  考  人         (全国町村会         長)      白鳥義三郎君         衆議院参事         (法制局第一部         長)      三浦 義男君         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 二月二十日  委員江崎真澄君及び久野忠治君辞任につき、そ  の補欠として田中不破三君及び尾関義一君が議  長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 二月十九日  固定資産税減免に関する請願佐久間徹君紹  介)(第六九七号)  地方公務員法の一部改正に関する請願野村專  太郎紹介)(第六九八号)  普通飲食に対する課税廃止並びに遊興飲食に対  する標準税率引下げに関する請願中島守利君  外三名紹介)(第六九九号)  消防法の一部改正に関する請願河原伊三郎君  紹介)(第七〇一号)  起債額拡大に関する請願坂田道太紹介)  (第七三一号)  平衡交付金配分率是正に関する請願田中伊  三次君紹介)(第七六二号)  公職選挙法の一部改正に関する請願門司亮君  紹介)(第七八六号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  警察法改正に関し参考人より意見聽取  消防に関する件  選挙に関する件     ―――――――――――――
  2. 前尾繁三郎

    前尾委員長 これより会議を開きます。
  3. 門司亮

    門司委員 議事進行について。議事といいますか、委員会運営について、ちよつと委員長と御相談をしたいと思いますが、警察法改正が、今度の国会でなされるだろうということは予測もできまするし、従つて委員長のお考えのもとに警察の問題については、すでにきようを入れますると三日、参考人の方に来ていただきまして、われわれも予備知識を実は與えられておるわけであります。同時に一方においては、警察小委員会を設置いたしまして、同じよう研究が進められております。これも一応私ども時宜に適した一つの仕事とは考えておりますが、当委員会で最も重要なものは、地方財政のことでなければならない、しかも地方財政に対しましては、予算との関係を持つているわけでありまして、予算委員会は、すでに今月の末くらいで遅くとも終了するのではないかというよう予測がつけられてあります。そうすると、あとわずかの日にちになつておりまするので、われわれといたしましては、どうしても地方財政の問題を、ここで相当強く検討をし、さらにこれを掘り下げて考え行つて、そうして地方財政の充実のために、われわれのできるだけの努力をすることが、最も妥当な考え方でなければならないというように、私自身は考えるわけであります。従つて地方財政の問題について、この委員会十分活躍ができるといいますか、審議のできますような態勢をぜひ整えてもらいたい。そういたしませんと、今警察の問題を察議するにいたしましても、今日の警察法にはいろいろな法文上の欠陥はあると思いますが、主として大きな問題となつておりまするものは、自治警察あり方であります。自治警察あり方についての根本の問題は、財政の問題がこれを大体支配していると言つてもさしつかえないほど、重要な問題になつております。財政の問題を考えないで、ここでそれから来る警察法の問題をどんなに審議いたして参りましても、なかなか私どもは名案を得るには至らない、條文の整理くらいはできると思いますが、それ以上に進むわけにはなかなか行かないと思います。従つて地方財政に関する問題をひとつ十分取上げてもらつて、その道に堪能な人であるとか、あるいは造詣の深い人に、われわれはやはり地方財政の今日の状態を十分聞く必要が、この際あるのではないかというふうに、実は考えるわけであります。そういたしませんと、さつき申し上げましたように、予算の方が先に通つてしまつて、ここで予算わくの中で、地方財政がああでもない、こうでもないと議論いたしましたところで、とうてい追いつかぬ話だ。できれば予算の通過しない前に、当委員会としての一番重要な任務である地方財政の問題を研究していただきたいということ、今後の委員会運営をひとつお諮り願いたいということを、この機会に申し上げておきたいと思います。
  4. 前尾繁三郎

    前尾委員長 この警察の問題につきましては、小委員会であるいは議院立法しなければならぬのじやないかというふうな関係で、非常に急がれておりますのと、速記の関係で本委員会を開いてやることになつたので、きよう大体一通りの参考人の方の意見を承ることができたのですから、これで警察問題を本委員会ではあとまわしにして、すぐ今度は財成の問題に移りたいと考えておりますから、御了承願いたいと思います。
  5. 立花敏男

    立花委員 社会党の出された問題は、共産党としても賛成なんですが、第一警察問題を私どもこうやつてつておりましたところ、きのうの新聞では、閣議決定警察法の何がもう出てしまつておる。私ども委員長のお言葉を信じまして、ここで予備審査をやつて議院立法をやるのだと考えておりましたところ、閣議ではすでに決定して発表しております。ああいう問題がなぜこう食い違いが現われて来るのか不可解なんですが、考えてみますと、私どもつておりましたことは、まつたくむだなことをやつてつた。しかもむだなことだけでなしに、最も重要な地方財政問題をちつとも扱つていない。きのうも委員長地方財政問題をきようの議題にしてくれということを要求いたしましたが、やはり加えられなかつた。そういう過程から見ますると、どうも私ども委員長あるいは自由党の方が、故意に地方財政問題を回避されておるのではないかというふうに考えられるわけです。最初地方財政委員会責任者をこの席に呼びまして、共産党の方から質問いたしました場合も、地方財政委員会附記として出ておりますものは、決して予算委員会だけで問題にすべきものではなしに、国会全体として問題にしてほしい。当然この地方行政委員会でも取上げて問題にしてほしい。従つて大蔵省意見地方財政委員会意見がどちらが正しいかというようなことも、われわれの決定しなければならぬ問題だということを、地方財政委員会はつきり言つておるのです。この問題を、私どもは今までこの委員会としてはほつたらかしてあります。しかも予算委員会は今週中に終ると言つておりますのに、この地方行政委員会では警察問題だけを取上げましてれしかもそれをさつき言いましたように、政府に裏切られるような問題の取上げ方をしておりまして、決して財政問題を取上げていない。だからこの際どうしても地方財政問題は、委員会としてはつきりとした結論を出すべき責任がある、そういうふうに考えます。單なる地方財政研究とか何とかいう問題でなしに、地方行政委員会としてあの地方財政委員会の出しました附記、あれに対するはつきりした結論を出すべきときだと思いますが、この問題をそういう形で、委員会決定なさる機会をおつくりになる御意思があるかどうか、委員長にお尋ねいたします。またきようは定足数に満ちておりませんが、お開きになつたのですから、委員会としても、その態度をきめていただくように、私動議を出したいと思います。
  6. 前尾繁三郎

    前尾委員長 決して地方財政の問題を回避しているわけでもなんでもない。御承知のようにすでに外部の人に御足労を願うように通知しておりますから、これを早く片づけて、ただちに地方財政の問題に移りたいと考えているのです。これが済みましたら、ただちに地方財政の問題に移つて、あるいは結論ん出すなり、あるいは皆さんの御意見をいろいろ伺つて、運行したいと考えているわけであります。
  7. 立花敏男

    立花委員 実は大蔵省意見もまだ聞いていないわけです。大蔵省意見を聞こうとしたいときの委員会が流れまして、それから十日にもなりますが、依然として大蔵省意見も聞いておりません。こういうわけで、委員長が回避しているわけじやないとおつしやいますが、事実上回避している形になります。大体委員会を開いても、非常に出席が悪くて、今日はまあ三人、四人、五人くらい出て来ておられますが、いつも二人か三人しか出て来ておられない。こういうことでは、回避しているという事実が、いくら委員長が否定されましても、おおうことはできないと思う。しかもさつき言いましたように、警察法改正案もまだはつきりしていないよう警察問題を毎日取上げて、地方財政の問題はちつとも取上げないという事実は、どういたしましても、回避していると言われてもしかたがない。これをほんとうに回避していないとおつしやるなら、今申しましたような形で、委員会結論はつきり出すよう審議をやつていただきたいと思います。
  8. 前尾繁三郎

    前尾委員長 決して回避しているのではないので、今後は皆さんの御意思従つて運営して参りたいと存じます。
  9. 大泉寛三

    大泉委員 野党側の方から不満のあるのは当然だと思う。與党ですら、こういうよう出席率では、まことに委員会の権威にもかかわると思う。そこで警察問題でありますが、ここで審議中に閣議決定して発表されている。そうすると、今までわれわれがこの委員会で、事前審議をしておつたことは、委員長としてもこの委員会意見なり希望なりは相当反映しているのですか、どうなんですか。これを委員長に承りたい。
  10. 前尾繁三郎

    前尾委員長 閣議決定の問題は私は関知しないのですが、伝え聞くところでは、別にきまつたものだとは、私考えておりません。なおまたどういう閣議決定の方式かもわかりませんが、それでそのまま確定的のものだとも、私実際上考えられないと思つております。従つて実は今後の小委員会でもおやり願うようになつているので、むしろ本委員会としては、その前に――議員立法でなくても、いずれにしても当然やるべきことでありますから、決してむだではない。こちらで引受けてやつているわけですから、その点御了承願います。
  11. 大泉寛三

    大泉委員 そこで私は前にも要望しておきましたが、党のことをここで申し上げてはまずいですけれども、この委員会空気を党の幹部あるいは党に対して十分反映せしめて党の代表として出ている閣僚が、これを採納するようにして行くならば、われわれとしてもけつこうなんです。ところがその審議中に閣議決定されて、しかも一回も主管大臣が出て内容も話をしない。それは小委員会では、そういう一つの方針をとられるという考えもあつたのでありましようけれども、それでは今まで委員会として審議したのはあまりにもむだであつた。もちろん委員会総体のことですから、むだもあるいはやむを得ないかもしれない。反対党の方々は政府を追究するという質問もありましようけれども、われわれの方はそうじやない。政府の立案に対する建設的な意見として質問に名をかりてやつているわけです。それで委員長委員会空気を十分に反映せしめてこそ、われわれはこの委員会審議に当る意義がある。ところがそれが無視されて、けつとばされて、閣議決定なつたならば、委員会でどう審議しても、むだなんだから出て来ないという結果になりはしないか、この点どう考えるか。
  12. 前尾繁三郎

    前尾委員長 そういうわけで御出席にならないのじやないと思います。これは党の内部の問題ですが、警察問題あるいは党としての態度決定するには、政府として司令部に交渉するとかなんとか、いう意味で、一応閣議話合いはできているかもわかりません。しかしこれは絶体的に確定的なものだと私考えておりません。
  13. 立花敏男

    立花委員 警察問題は小委員会でやつていると言いますけれども、小委員会では、私傍聽しておりましたが、ほとんどやらなかつたと思います。あの小委員会の場合も非常に不満なので、なぜ共産党を入れないのか。共産党はどうせ反対するだろうから入れないというのだが、反対する意見を入れないのなら議会なんかやる必要はないので、なぜ入れないのかはつきりしてもらいたい。小委員長は、委員長と相誌して理事会に諮つてやると言いながら、いまだにはつきりしない。どういう意見なのか、この点はつきりしておいていただきたい。  それから警察の問題は、結局財政の問題です。今非常に自治体財政の問題で困つております。町村は困つております。あるいは市も困つております。その困つておる状態から、自治体警察返上意見が起つて来ているのです。もし財政がゆたかであれば、自治体警察返上意見なんか起つて来るはずがない。そういう財政的に困窮状態に陷れておいて、自治体警察返上の声を上げさせておいて、自治体警察とはまつたく逆行した国家警察に取上げようというやり方は、陰謀と言われてもしかたがない。この委員会といたしましても、財政の問題をほうつておきまして、町村長を招いて、財政困窮から自治体警察返上その他の意見が出て来るのだけを取上げておつたのでは、この委員会自体が非常に不公平なやり方をしておると言われてもしかたがない。この二つのことについてお答え願いたい。
  14. 前尾繁三郎

    前尾委員長 小委員会の問題については、理事会に諮つて決定するということを申し上げておるので……。
  15. 立花敏男

    立花委員 もう何日も前から言つておるけれども決定しない。
  16. 前尾繁三郎

    前尾委員長 いや、それはきよう定例日でありますから、理事の方がみなお集まりになつたら話合いをしようと思つております。  それからそのあとの問題は、財政の問題と関連あることはもちろんよく知つております。従つて実体的にそういう審議をしていただくつもりでおるのです。ただこの間から申し上げておるように、すでに通知をして、そうして皆さんにおいでを願つて参考人意日を聞いておるのですから、それをみな済ましてしまわなければどうにも動きがとれないので、御了承願います。  それでは先般来の警察法改正に関ししまして、すでに自治体警察意見を聽取し、さらに政府にも説明を聽取して参りましたが、本日はさらに全国自治体公安委員連絡協議会議長小畑惟清君、同協議会常任理事神宅賀壽惠君、全国市長会長金刺不二太郎君、全国町村会長白鳥義三郎君に御出席を願いまして、参考人として御意見を承ることにいたしました。  公述人各位にこの際ごあいさつ申し上げておきます。本日はどうも御多忙中わざわざ御出席を願いまして貴重な御意見を承りますことを、心からお礼を申し上げる次第でございます。先般来いろいろ各方面意見を聞いておるのでありますが、さらに皆様方の御意見を承りまして、今後警察法改正の善処して参りたいと考えておる次第でありますので、ざつくばらんに遠慮のない御意見をお述べくださいますようお願いする次第であります。  なおおそらく午前、午後にわたると思いますので、参考人各位の陳述が終りましたあとで、御通告によ質疑をしていただこうと思つております。  それではまず小畑参考人より御意見を承ることにいたします。小畑参考人
  17. 小畑惟清

    小畑参考人 先般来警察法改正の案については、各方面から承つておりましてわれわれ全自公連においても、この点ついてよりより研究もいたしましたて、協議もいたしておるところであります。それで改正案の全文について申し上げるつもりではありますが、あるいは拔けることもあるかもしれぬと思います。それはまた大阪の公安委員長から補足されると思いますから、順を追つて申し上げたいと思います。  第一番に申し上げますことは、国家地方警察定員を現在は三万人であるのを、二万人増加して五万人になすという項目であります。これについては、元来国家地方警察は、実際から申しますと、農村、漁村、山村、いわゆる村落警察が対象になつておるのが事実であります。ところが御承の知通り人口動勢といいますか、これは終戰後都市に流入、集中するという傾向でありますので、そこへもつて来て二万人地方警察に増加するということは、われわれとしましては、少し変だと思うのです。二万人の増加ということは、予算面から申しますと、精算したわけではありませんが、少くとも五十億円はいるだろうと思うのです。同じ五十億円国費を使うならば、自治体からいえば、今日の警察として大部分を占めている都市警察を充実する意味において、その五十億円を何らかの方法で、特別平衡交付金と申しますか、そういうふうな意味で、都市警察の方にそれを使うようにしたなら、日本全体の警察力というものはよほど強化するかもしれぬ、こういうふうに考えております。  それから次に申しますのは、国家地方警察は、自治体警察管轄区域内に――特定犯罪捜査のためには、自警地域内に職権を行うことができるというよう改正案であります。特定犯罪項目として、承るところによりますと、通貨偽造有価証券偽造、それから公務員犯罪とか、国有に関する施設、通信あるいは鉄道、それらに関する犯罪であるとか、それから内乱罪とか騒擾罪とか、いろいろあげてありますが、とにもかくにもこういう犯罪のときに、国警自警地域内に捜査権を執行することができるというようにすることは、われわれ根本的に考えなくてはならぬことだろうと思います。それはいわゆるマツカーサー書簡、それから現行警察法第四十條によりましても、いわゆる国家地方警察というものと自治体警察というものは、それぞれどちらが主でどちらが従ということもない、まつたく対等の、独立しておるものである。お互いに支配するとか指揮するとかいうことはできぬことになつておる。それをあえてやるということは、第一、今の警察法の大精神にそむき、いわゆる民主警察の大精神にそむくということになると思います。なお進んで、これをもし許すということになれば、同じ自治体警察区域内において捜査が二元的になり、ややもすると功名争いになつて、相当混乱を起す憂いが濃厚であると私は考えます。ただ捜査上において混乱を起すばかりでない。その混乱によつてだれが一番迷惑するか、これはいわゆる善良なる国民が迷惑することだろうと私は思うのです。ところがいろいろ話を承りますと、自治体警察内において、公安委員あるいは警察長というものが麻痺しているといいますか、つまりある勢力から恐喝されるというようなことで、ぜひ捜査せねばならぬ、あるいは検挙もしなければならぬけれども、そういう脅威を受けて麻痺状態になつておるという事実があるという。これはこれまでたびたび承つております。こういう場合には、どうしても国家地方警察行つて、これを捜査あるいは検挙せねばならぬということがこれまであつた。なるほど私どもそういう事実は承つておりますが、そういう特例の場合を考え法文をかえて、国家地方警察自治体警察区域内に捜査権を求めるというふうにしたら、そういう特殊な場合のみならず、平素の場合でも、これが濫用されるおそれが十分にある、私はこう存じております。それで、今申しました麻痺しておるというような特殊の場合のためには、ほかに方法を講じたらいいじやないかしらんと私は思つております。われわれの考えるところによりますと、そういう特殊な場合に応ずるためには、現在の特審局の機構を拡大強化するとでも申しますか、少しかえまして、国警自警から警察員を收容し、これがお互いに緊密なる連絡をして、その方面から捜査権を発動するということにするとか、もう一つは、自治体が麻痺しておるというような場合においては、その当該地方の知事が県の公安委員会に援助を要求して、その国家公安委員会がいわゆる国警の者を捜査に向けるというよう方法を講ずるのも一つ方法じやないかしらん、こういうふうに考えております。そういう方法を用いずしてただ自警区域内に国警捜査権を執行することができるというよう法文をかえるということは、将来非常な弊害を起しはせぬか。のみならず、先ほど申しましたように、マツカーサーからの、お互いに独立しているものである、指揮命令権はないものであるという精神に非常にそむいておるものである。私はこういうふうに考えております。  それから次に、犯罪情報自治体警察国家地方警察に向つて報告せねばならぬ義務を負わせるというよう改正案であります。これも、今マツカーサー書簡のことも申しましたが、現行法の第四十條のあの精神から申しますしも、お互いに独立しているものである。そこへもつて来てこういう改正案ようなことになりますると、国警方面からこういう注文が出る、あるいは自然指揮命令的な、こういう情報を出せというようなことにも相なるかと思うのです。つまりこの問題も、先ほどと同じよう意味において、お互いの独立を侵害し、おがては昔の警察に復元する素因をなすものじやないかしらん、こういうふうに考えられます。しかしながら国警にしろ自警にしろ、情報お互いに知るということは必要なことである。それには何か方法を講ずれば講ぜられぬことはないと思う。どういう方法をとるかというと、これは中央、地方において国家警察自治体警察から委員を出しまして、そして情報連絡委員会とでも申しますか、名前は何でもいいですが、そういう一つの機関をつくつて、必要な情報を蒐集する方法をとれば、りつぱに情報を交換するという目的は達せられると考えております。  ぞれから、問題になつております自治体警察定員わくをはずして、各自治体の力に応ずるだけの定員を、各自治体條例によつてきめることができるというよう意味でありますが、現行法によりますと、ちやんとどこどこの町は何人、どこどこの町は何名というふうにきめられております。それで非常に困つている町があつて、これを増員してくれ、増員してくれという声はたくさんありますから、これを解決する意味において、この定員わくを解くということは、私どもとしては賛成しております。  そうすると、もう一つここに疑問が起ります。定員わくをはずして当該町村の自由にまかせるということになれば、従来七人か八人の警察が、七人、八人はどうも多過ぎて困るから、三人にしよう、四人にしよう、極端なことを言えば一人にしようというても、りくつとしては成り立つことになりますが、あまりに少いということは、何らか制限を設けなくちやいかぬじやないかというような感じを持つております。  次に、従来は何分の一か市街地を構成する人口五千人以上のところは自治体警察を設けねばならぬという問題でありますが、今度の改正案によりますと、市制をしいているところは、必ず自治体警察を設けねばならぬ。そのほかの町村においては、その町村自由意思にまかせると申しますか、従来の自治体警察は解消するとかあるいは何とか、とにかくその町村の自由にまかせるということであります。この点は現状においてはやむを得ないかと思うので、特に反対すべきことじやない、こういうふうに私は考えております。しかしながら現在自治体警察を置いておるところは、これから解消もできるし、何でもできる。その町の意思を現わす方法――方法と申しますと、町民の一般投票によるとか、町会あるいは村会の議会によるとかいういろいろな方法があるだろうと思いますが、実際問題としては相当むずかしい問題で、大いに検討を要する問題だと思つております。同時に従来は五千人以下の町村であつたが、それで自治体警察も設けることができなかつた。そういう町村でも、その周囲のものが組合をつくつて、従来自治体警察がなかつた町村だけでも、合体して組合警察をつくる、あるいはまた従来自治体警察を持つている町村に近接した町村が、それと組合警察をつくるというようなことは、むしろ奨励してこれを置くような規定を設くる必要がある、こういうふうに私は存じております。  次に公安委員の資格の問題でありますが、御承知の通り、これまでの公安委員になるのには、いわゆる官吏であつた者は一切まかりならぬというようなことで、これが二十年前あるいは三十年、四十年前でも、わずかな期間官吏をしておつた者は公安委員になる資格はないというようなことで、実際問題として、公安委員の選択に非常に困つているというのが実情であります。この資格のことについて緩和をすることは、私は最も必要なことだろうと思つて、この点は大いに賛意を表します。のみならずわれわれは以前に、公安委員の資格については、もう少し緩和をするようにというような陳情書を、出したか出さぬか私記憶ありませんが、とにかくそういうことを議案にいたして論じたこともあるくらいであります。  それから国警自警の相互間の援助の問題、自治体警察相互間の援助の問題を、今度改正になるについては、私は大体において賛意を表しておりますが、一歩進んで自治体同士の援助も、はつきり明文化されんことを希望いたします。そうしてもちろん援助のときの費用は、国費で負担するというようなことを明文化される、こういうふうにわれわれ自治体公案委員連合としては考えております。  非常にずさんな陳述をいたしましたが、大阪の公安委員長も見えておりますので、足りないところは補足してくださるだろうと思いますから、私はこれで終ります。
  18. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは次に神宅参考人の御意見を承ります。
  19. 神宅賀壽惠

    ○神宅参考人 自治体公安委員連絡協議会の意見の大体は、今小畑会長が申されたのに盡きるのでありますが、政府改正案として御発表になつておるまする條文の順序を追うて、私補足したいと思います。  国家地方警察定員を二万人ふやされるというのでありますが、国家地方警察は、小畑会長がお話になりましたように、本来の治安維持警察事務を取扱うのは、人口五千以下の農漁山村、いなか警察であります。それで私がこの前大橋法務総裁にお目にかかつたときに、農漁山村の治安を維持するのに二万人もの増員が必要なのですかとお聞きしましたところ、農漁山村すなわち国警の――これは普通地区警察と言うておられるのですが、地区警察の治安は市町村自治体警察の治安よりいいのだとおつしやる。そこで、それじや二万人をどこに配属せられるのかと伺いましたら、国警の本部、管区の本部、都道府県の本部要員としてお使いになるというのであります。私どもは現在でも本部要員の中堅以上の人たちが多過ぎて困つておるのじやないかと、ひそかに考えられますのにかかわらず、まだその上に本部要員を増加されるというお話でありました。これを辻公安委員長、斎藤長官にお聞きしますと、必ずしもそれは大橋総裁のおつしやつたようではなかつた。管区の警察学校に入学するものに五千人くらい、北海道に三千人ほど増員したい、駐在所の巡査の欠員が二割くらいいあるから、それを補充するのだ、その余が幹部というか、本部委員になるようなお話でありましたが、これでも二万人の数と合わぬのであります。配属の詳細な関係は、政府なり国家公安委員会、本部長官からお聞きすることを得なかつたのであります。この二万人ふえるということは、小畑さんが言われましたように約四、五十億の国費が使用されるのであります。国費で支弁しておるのだからとおつしやいますけれども、これはわれわれ国民が負担した税金であります。外国から援助をもらつた金ではないのであります。私どもは相当税金の重圧に苦しんでおります。その上になおかよう方面に四、五十億という金が使用されることについては反対であります。ほんとうの治安を維持しようとするのならば、自治体警察の費用の足らないというておるところの方へ、この金はおまわしを願えば、国家の治安を維持するのには十分であろうと思います。これは後に説明を申し上げまする五十八條の二の特殊犯罪の検挙の方に向けられるのではないかと思いますが、これなればなお混乱を来すことは、あとで申し上げます。  それから五條の国家公安委員の欠格條項中、御改正になつて検事を入れられると言われておる。それから職業的公務員の前歴を十年になさる、これは構成であります。ところが国家公安委員にはそうお困りではないので、実際は町村公安委員にその人を得ないというのが実情であるとするならば、警察法の二十一條の都道府県の公安委員の資格を、都道府県の場合には、詳細に書いてあります。官公庁における職業的公務員の前歴ある者はいけないと書いてある、この点を御改正になると、ついで自治体警察にこの條文は第四十四條で準用になつておりますから、むしろ五條の改正というのは、二十一條の改正も同時に行つていただきたい。あるいは五條の方は改正しなくてもいいのじやないか、こう私ども考えるわけであります。  それから北海道の公安委員がふえるという二十條、これは私ども異議ありません。  それから五千以上の町村警察を、その住民の意思によつて廃止することができる。これを議会にするか、あるいは直接一般投票にするか、これは議論がありましようが、私どもまず一般投票の方がいいのじやないかと思います。といいますのは、最近大阪の布施市という所に、ここでは地方自治庁で問題にされるよう警察に関する決議を、全会一致でやつております。町村会も必ずしも住民の意思を代表しない場合がある。こういうことを考えますと、一般投票の方がまだましじやないか、こういうふうに考えるのであります。  それから九万五千のわくをはずして、その財政能力に応じて増減ができる。これはけつこうだと思います。  それから自治体警察国家警察との応援の関係であります。現行法によりますと、五十四條、五十五條が多少明確を欠くのでありまして、改正せられるのは賛成でありますが、もう一歩を進めて、自治体相互間においても、応援ができるということにしていただいたのであります。それは、一々国家地方警察へ通報をしてやるということになりますと、緊急の場合には間に合わぬことがあります。あるいは将来相当な動乱があつて、交通機麻痺させる、すなわち電信電話の線を切断しておいて、ある地方で騒動の起ることも考えられますときに、直接隣の自体警察に応援を求めた方が、国警を通じて、国警から他の自治体警察の署員を出動さすというよりも手取り早く参ります。それから現在の国家地方警察地方に配属せられておりますものは、たとえば大阪府にしましても六百三十六人という数字です。それが各地にばらまかれ、本部職員となつておるのでありますから、応援に出られる人は非常に少いのです。それよりは大阪市でありますならば、八千六百の警察がおりまして、平常機動力も相当持つておりますので、他府県同様に、自治体警察に直接応援を求めた方が、非常事態を鎭圧するのに便宜なことがあろうと思います。現在三万の国家地方警察の職員は、全国にまかれると、各府県では少いのでありますから、国警を中心とした応援の規定は、不十分であると考えるのであります。  それから五十八條でありますが、五十八條の犯罪の発生し、及んだという規定の中に、関連犯罪について管轄区域外で職権を行うように――犯罪が始まり、終つた、こういうのを拡張しまして、これに関連のある犯罪まで捜査ができるという規定にしようとする案でありますが、現在でも自治体警察国警との間に、権限争議が見受けられます。たくさんではありませんが、あるのであります。これに関連する犯罪というようなことになりますと、非常に広い範囲においてなされることになりますから、相当な混乱が予想される。小畑会長が言われましたように、犯罪捜査の衝に当る者には功名心がありまして、証拠の関係自治体がとる、国警がとる、こういうようなことになりますと、ほんとうの証拠固めができない。犯罪の鎭圧ができない場合があろうと思うのであります。でありますから、この現行二十八條に但書でもつけていただいて、かような場合によく緊密な連絡をとつて、そうして自治体なり国警なりが、相手方の了解を得てこれを処理するようにする、こういうふうにするのが正しくはないか、こう思うのであります。  それから一番問題になりますのは、五十八條の二というので、国家的な特殊犯罪について国警自警内に自由に立ち入つて活動ができるようにする規定であります。これはマツカーサー元帥の五月十六日の書簡に、まつこうから反対するものでありますのみならず、警察法、憲法の精神に反するものであります。この犯罪の種類として書いてありますもの及びこれに関連する犯罪というふうになつておりますから、非常に広汎なものであります。これは法律がなくても自治体警察を侮辱するものだと私は考えるのでありますが、マツカーサー書簡、憲法、警察法精神にまつたく相反するものでる。しかも犯罪の種類に通貨の偽造、有価証券の偽造、銀行その他金融機関に対する犯罪、信用組合の犯罪まで、国警自治体警察に自由に入つて行けるということになります。国有または国の使用する財産及び施設に関する罪というのであります。これでありましたならば、給仕がタイプライター一つぬすんでも、これが国有財産である限り、国警自警の中へ入つて来て、御活動になるということになります。それから国家公務員犯罪及びその職務に関する犯罪、国家公務員自治体の管内に相当お住まいになつておりますが、この犯罪国警が全部おやりになることができるような規定は、すこぶるその当を得ないものでありまして、警察法地方分権の精神に反することはなはだしいのであります。それからそのほか内乱、外患、国交に関する罪及び騒擾罪、団体等規正令違反及び占領目的に反する行為、阿片煙その他という国家的な犯罪です。この点は騒擾罪等について実情を承りますと、自治体警察の貧弱なものは、その土地における大勢のために公安委員も軟禁されるとか、よそへ旅行してしまうとか、警察がその機能を失つてしまうというようなものが、労働争議に関係して起るらしいのでありますが、そういうものは、小畑会長が言われましたように、自治体警察が麻痺しておる事態に対して、公安委員会国警の援助を要求しない。すなわち人手が足りないのにかかわらず要求もしない、要求できないというような場合には、直接国警が入るのではなくして、知事にまず権限を與えて、知事から府県の公安委員会に対して国警の援助を要請する。そうすると府県会安委員会国警にやらす。この場合には知事の援助要請をもつて、当該自治体公安委員会の応援要請があつたものとみなしてつじつまを合す規定にする、こういうことがいいのじやないか。  それからポ政令違反で問題になつておる相当有名な人が出て来ないからというので、国論は沸騰しておるようでありますが、これは小畑会長が申されましたように、特審局の権限を拡大いたしまして、現在の特審局地方要員は少いそうでありますが、これを拡大しまして、そうしてこれも特審局を中心として、但し特審局捜査はやらない、情報を收集する。それに国警なり自警なりが緊密な連絡をして、そうして全般的な協力をするならば足りるのでありますから、時局重大に名をかつて自治体警察の権限を侵すような一般的なこの五十八條の二のような規定をせられることは、絶対に反対するところであります。  それから情報の交換でありますが、情報の交換は現行法五十四條の後段の「これらの警察は、相互に協力する義務を負う。」ということになつておりますから、この情報交換ということは、この協力任務の現われの一つです。これを條文化して義務づけるようにする、あるいはこれに罰則をつけるというお話もあつたそうですが、そういうことをしないで、五十四條後段の活用として、原則規定があるから、これを活用して国警自警相互間にとりきめをするならば、これで十分足りるのであろう、こう考えるのです。  それからこの法案には出ておりませんけれども、この警察法改正の根本思想とも考えられるものは、当初もう少し重大なものだ。東京都を国警管轄区域、すなわち警視庁を国警管轄区域に入れ、国家公務員の中に大臣を入れて、それが委員長になる、こういうような思想もあるのでありまして、この警察法改正改正の根本思想は、警察の中央集権化、国家警察への逆転の一歩でなかろうか、この現われております点は、さほどのものは出ておりませんけれども、これは氷山の一角であるとか、鉱山の露頭のようなもので、内部に包蔵されておる思想は、だんだんこの自治体警察国警の分立でなくして、国家警察への進展であろうと思うのでありまするから、現在時局重大に名をかりて、かよう改正を企図される政府のお考えは私どもに了解できない。四十億、五十億の国帑を貧弱自治体の方へおまわし願い、その相互間に緊密な応援、援助の規定がありまするならばえれで、十分に足りるのであります。そこで国警の方はこう言われる、こういうようなことがあると、辻公安委員長が言われたのですが、御参考のために申し上げたい。自治体警察の十人やそこらのところでは、ひまで困つておる。それで魚つりにも行つたりする、あるいは警察が多いから道のはたで小便したやつも検挙する。多過ぎて困る、こうおつしやるのであります。ところがこれらの警察官は、だれが養成しておるかということをお考え願いたい。これは巡査の採用のときから警察学校、管区学校、警察大学、いずれも国家公安委員会管理のもとに国警でおやりになつておるのであります。警察吏員の素質が悪いということであるならば、これを改めるのは国家公案委員会及びその管下の人の責任であります。自治体公安委員警察長を任命しまして、そうしてその輩下に署員を置きましたが、これは自分が自由に選択をして置いたのでありません。全国の自治体公安委員会は、元の警察部が配属したそれを承認して、形式的には公安委員警察長を選任し、それが署員を任用したということにはなつておりますが、現在の警察官に不適当なものがありとしますならば、これは一に国家地方警察あるいは国家公安委員会責任であります。そのことを十分御了承になりまして、警察官の素質、常識の発達をはかり、円満な公僕としてはずかしくないものにしようと思われるのでありましたならば、人事院が御採用になるとき、それを各府県の警察学校に初任教養をするとき、それから中堅幹部を管区で養成されて、警察大学で御教育になるときに、十分の御配慮をたまわるならば、りつぱな警察官ができると考えるのであります。はなはだ簡單でありましたが、改正案に対する意見を終ることにいたします。
  20. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは金刺参考人
  21. 金刺不二太郎

    ○金刺参考人 私は簡單に要点だけを申し上げたいと思います。ただいま自治体公安委員の代表の方からお話がありましたが、大体同意見であります。私は警察法改正するということでありますならば、やはりその根本は警察の機能のいわゆる合理化、能率化でなければならないと思いますが、今自治体公安委員の代表の方から申し上げました内容を、私は一歩飛躍しまして、これを根本的に考えますと、警察国警自警にわかれておること自体が合理的でないと思います。警察の機能を発揮するためには一本にすべきだ。一本にするには、どういう形にするかといえば、これは自治体警察一本にすべきである。そうすればいろいろな問題は解消してしまいます。従つて自治体警察の中で、五千人以下のいわゆる小さい人口町村国警がやつておりますが、たとえば警察区というようなものを設けまして、数箇町村一緒になつてその警察署をつくる。ただいまお話になりましたように、一つの署に六、七人か、あるいは十人ぐらいの警察職員で、しかも非常にその数が足りなくて困つている半面に、仕事がなくて、魚つりに行つているというようなお話が今ありましたが、そういうようなことはこの点において解消される、かよう考えます。そういう意味におきまして、すべての問題は解決すると思いますが、特にもう一つこの改正の上につけ加えておきたいことは、自治体警察の相互の応援の問題であります。これはたとえば甲の自治警から、乙の自治警の応援を求めた。この場合に、そしてこれが凶悪犯罪等の場合に、甲の自治警には公務執行妨害等が成り立ちますが、乙の方の警察は公務執行の妨害にならない。この点が明確になつておりません。そういう意味におきましても、自治警相互の応援については、これを明確に法文化しておくことが最も望ましいと思います。  先ほど申しました一本にするという場合において、どういうように運用するかといいますと、ただいま国警連絡員が各自治警に来ておりますが、自治警においても中央本部というようなものを設けまして、各自治警に連絡員を置いて連絡することによつて、機能は発揮され、しかも経費は非常に少くて済むよう考えます。もう一つの問題は財源の問題でありますが、大体において財源がないことが、自治警の返上論が起きる原因であると思います。しかも地方自治体における財源の問題は、すでに皆さん御検討の通りでありまして、ただ警察職員を増加するということだけでは、今日の考え方からはどうかと思います。もちろん増加も必要でありますが、合理化し能率化するためには機動力を持つことであります。相当科学化された力によつて警察を合理化することによりまして、人員はそう多くを必要としない。私も先般アメリカを視察して参りましたが、シャトル市のごときは五十三万の人口に対して、七百人の警察職員をもつて治安が完全に維持されております。その内容をつぶさに検討してみますると、やはり機動力が非常に完備されておるからであります。ただ警職員だけを増加いたしましても、先ほど来お話がありましたように、国警を二万増加するということをしましても、それに伴う装備、機動力というものがなかつたら、これは意味をなさないのであります。なお自治警の定員わくをはずすという問題もありますが、財源のゆたかなところは、もしわくをはずせば相当に警察の増員ができるでありましようが、財源のないところはできない。この不合理を一体どうするかということも検討する必要があるのでありまして、この点が非常に根本の問題だろうと思います。さもないと、このわくをはずしてそのまま放置しておきますと、全国的に非常にでこぼこが出て、不合理なものがここにでき上るのではないか。そこにおきまして、この警察の職務というものが国家的の仕事である以上は、国費で出すことをわれわれは望むのでありますが、しかし一面われわれ市長の立場から見ますと、われわれは自治の確立を叫んでおります。そういう意味からいいますと、自治体にまず財源を與えてもらう。平衡交付金の制度がありますが、私はこんな制度はもう必要ないと思う。むしろ自治体に財源を與えるということが一番いいのではないか。中央において一々のど首を押えられておるということでは、完全な自治の発達はできないのであります。従いまして、税の問題なんかもありますから、適当な方法、とりあえずは平衛交付金等の制度がありますので、それを活用することは必要だと思いますが、根本的には財源を與えてもらうことによつて運営して行くということが最も望ましい、かよう考えております。  その他はいろいろ詳しい意見がありましたので、私は簡單にそれだけを要望しておきます。
  22. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは休憩にいたしまして、午後一時半から再開いたします。     午後零時二十四分休憩      ――――◇―――――     午後二時八分開議
  23. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは再開いたします。休憩前に引続き、警察法改正に関し、参考人より意見を承ることにいたします。白鳥参考人
  24. 白鳥義三郎

    ○白鳥参考人 お許をいただきまして、私たち全国町村会がこの問題について、しばしば討議して参りましたその経過を御報告申し上げて、御参考に供したいと存じます。この自治体警察が施行されましてから、間もなくのことでございますが、全国町村会では、この現在の法規があまり警察の実際に適合していないというので、反対の決議がされたのでございます。その後何回かの大会が催されましたが、ひとしくこの問題を取上げて参つたのでございます。同じように現在の警察法規を改善してほしいという結論に繰返し繰り返し到達したのでございます。その理由といたしますとまず第一に財政の面におきましては、現在では平衛交付金で、これをまかなつて行くということに相なつておりますが、地方財政委員会の標準の財政需要額が、警察吏員一人当りについて、大体今年度は十八万程度にすぎないのでございますが、実際の経費を調べてみますと、二十三万円から二十五万円くらいにかかつてしまうのでございます。従つて相当の差額を町村の一般の経費の方からまかなわなければならぬという結果に相なるのでございますが、御承知の通りに、現在の町村財政は非常に逼迫しておりますので、この負担が容易でない。ことに一度大きな犯罪事件でも起きますと、その捜査費が、殺人事件が一件起ると、すぐに三十万、五十万円に上るというのが実情でございまして、その並々ならぬ経費を、貧弱な町村が負担して参るということは、とうていできない。そこでぜひとも、自治体警察は、今人口五千以上の町村に置かれているのでありますが、これを三万なり、五万なりに引上げてもらいたいというお願いを、何回となくし続けて参つたのでございます。  もう一つの理由は、人口の比較的小さな自治体警察におきましては、警察吏員も、定員が非常に少くて、六名とか七名とかいうようなところがたくさんございますが、一つ警察署で、かりに六人の警察吏員を擁しております場合に、署長さんが一人、それから署僚が一人、司法主任が一人というふうにとつて参りますと、実際の外で働いていただく方は、ほとんどなくなつてしまうというのが現状でございます。そういうような極端な場合でなしに、かりに人口二万前後の町村にいたしましても、その警察吏員はわずか二十数名でございます。一つ警察署を二十数名で構成いたしておりましても、ふだんはそれほどの吏員は入り用がない。通常の場合であればそれだけの警察吏員は必要でないが、一旦何か騒擾事件でも起きるというようなことになつたら、とうていこれはこれだけの少人数ではどうにもならない。いや、そういうような特殊な場合ばかりでなしに、経済取締りを一回やりますと、一つの電車なら電車を押えるのに、二十人やそこらではとうてい仕事ができないのでございます。つまりふだんはそれほどの人数がいらないが、少し大がかりな捜査でもありますときに、すぐに独立の警察署としての機能を発揮することができないというのが、現在の実情でございます。またその警察権の行使も、小さく限られた自治体の領域にのみとどまつておりまして、他の方面に力が及びませんために、非常に大きな支障を来しておるというのが現状だと考えるのでございます。これはあまりいい例ではありませんが、当地方行政委員会で、二年ばかり前に私はこういうようなことを申し上げたことがございます。自治体警察というのは、まことにこれは性能のいい耕作機械のようなものだ、これが非常に広大な面積に向つて耕作機械を使いますと、その能率もよし、まことにぐあいがいいのだが、これが五畝や六畝の小さな畑へ持つて行つて耕作機械を使おうといつても、それは無理だというようなことを私は申したことがございますが、現在の自治体警察は、貧弱な町村におきましては、まさに非常な大きな馬力を持つた耕作機械だというふうに考えるのでございます。これが人口十万とか二十万とか、百万とか二百万という自治体におきましては、もちろんまことにけつこうでございますが、人口の少い町村においては、これはかえつて使いものにならぬ、かえつて不便だというふうに考えておるのでございます。従つて町村会といたしますと、先ほど申し上げました通りに、何回となくこの改善を要望して参つたのでございますが、最近に至りまして、実は町村会の中で意見が二つにわかれまして、その一つは今まで通りの主張を繰返して、町村自治体警察は返上すべしという一本で進んで参つたのでございますが、他の一部におきましては、どうも自治権の拡充としてわれわれは自治体警察を付與されたのだから、これはできるだけ維持して行くのが当然ではなかろうかというようなことから、自治体警察制度について再検討を行つておるのでございますが、その方の論旨にいたしますと、なるほど今のところの自治体警察というのは、自治体警察とは名をつけても、警察機能全部をやつておる。たとえば国家的な犯罪に対しましても、自治体警察がその捜査に当つておる、たとえば密貿易のごときものの取締りも、自治体警察がこれを、やる、これは自治体警察の本旨に反するのではないか、当然それは国家的な見地から、国家警察が担任すべき業務までも自治体警察がやつておるということに対しては、再検討を加えるべき必要があるというので、いろいろと検討して参つたのでございます。この点については全国町村会としては一致した結論を得るに至つておりませんでした。どこまでも自治体警察を小さな町村では返上せよ、五万ないし三万以下の町村では返上せよという意見が圧倒的に多くて、今申し上げました説を唱えますものは、少数意見として葬られてしまつたのでございます。最近私の方で各自治体警察設置町村に対しまして、輿論調査を行つたのでございますが、その結果をここに御報告申し上げて御参考に供したいと存じます。回答が四百七参つております。全体にいたしますと、千幾つかある町村のうち、約四割ぐらいしか回答が参つておりませんで、その点まことに恐縮でございますが、その結果次のような数に相なつております。現状維持をすべしという回答をして参りましたのが、四百七町村のうち十八でございます。そして設置基準を引上げよという結論に到達いたしましたのが、一万以上に基準を引上げようというのが十三、三万ないし五万以上に上げよというのが百八、組合にすべきだという意見のうち、市町村を含めて組合を結成せよというのが十一、町村だけで組合警察にすべしというのが十、国の方へ委譲せよというのが百七十五、県の方へ委譲すべきだというのが五十六、その他が十六ということに相なつております。その結果から見ますと、基準を引上げるとか、結局国家警察へ委譲すると申しましても、これは全部の自治体警察国家警察へ委譲するというようなことは考えられませんで、結局基準を引上げるということに帰着するのだと考えますと、ここにその基準を三万ないし五万に引上げよというのが二百八十三という多数を占めるのでございます。つまり全体の回答数の四百七のうち七割程度が、こういつたような御意見である、そうして現状維持すべしという結論に到達した町村が、わずかに十八だつたということを、ぜひ皆様方に御記憶いただきたいと考えるのでございます。  まことに簡單でございますが、以上全国町村会におきまして、今まで検討して参りました経過を御報告申し上げまして、御参考にいたす次第であります。
  25. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは、金刺参考人は所用のためにお帰りになつようでありますので、小畑、白鳥、神宅三参考人に対して質問がありますれば、これを許します。
  26. 藤田義光

    ○藤田委員 午前中からいろいろ有意義なる公述をいただきまして、非常に参考になりましたが、どの参考人の方も省略されておりました点に関しまして、二、三お尋ねしたいと思います。  まず第一点は、警察行政の本質に触れた御意見がなかつたと思いますが、一つ警察が理想的な形態で單一警察署としての能力を発揮するのには大、体どの程度の人員を必要とするか。この際自治警の貴重な体験から御意見を拜聽したいと思います。大体何百名以上の警察署ならば、理想的な運営ができるか。ただいまも白鳥さんから公述がありました通り、七名や十名の警察は、これは警察署ではございません。一応日本の自治警察としての過去数年間の体験から、どのくらいの警察官を擁した警察署が單一警察署としての能率を百パーセント上げるのに適当であるか。幸い大阪の公安委員長も見えておられますから、小畑さんか、大阪の公安委員長から御意見を拜聽したいと思います。
  27. 神宅賀壽惠

    ○神宅参考人 要は警察はその管轄区域内における治安を維持するものでありますから、その土地の住民の思想なり行動いかんによりまして、相当多数の人を要する場所もありましよう。あるいは平穏な人が住んでおつて、その土地の資産状態なりも十分でありまして、犯罪の発生が少いというよう地方でありまするならば、警察職員は少くていいということになるわけでありますから、その当該警察の管轄する面積、人口、その住民の生活状況、思想状況等によつてきまるのでありまして、これを一様に、單一の警察署として、幾らの警察職員が必要であるかということは申し上げかねると考えられます。またそういう方面の本質的な調査を私ども十分しておりませんので、この程度のお答えしかできないことをはなはだ遺憾に存じます。
  28. 藤田義光

    ○藤田委員 私たちの寡聞でありますが、大体諸外国の例等を見まして、一つ警察署の構成人員は、大体二百名以上なくてはならぬということを聞いております。二百名以上ないと、一つ警察署としての機能を発揮できない。この説からしますと、どうしても人口十万以上の都市でないと、いわゆる自治警の能力の妙味が発揮できぬというような気がいたしますので、参考のためにお聞きしたのでありますが、大体大阪の公安委員長の御意見はわかりました。  次にお伺いしたいのは、先ほど来の公述におきまして、特殊犯罪、重要犯罪捜査に関しまして、いろいろ御意見が出ております。現在の法務府にございます特審局の機構を拡充してやる方法を、多数の方が述べられておりましたが、これは現在の法務府内の特審局を拡大強化するという御意見と承つてよろしゆうございましようか。それとも別個の、大体特審局的な機関をつくるお気持で述べられたのであるか、お伺いしたいと思います。アメリカにおきましては、御承知の通り、連邦捜査局FBIというのがありまして、相当重要な国家的犯罪に関しましては、国家地方警察が自治警の管轄内に入つて捜査をやつております。先ほど述べられました特審局の機構の拡充というのは、調査だけであるか、あるいは捜査まで特審局を拡充してやらせたいというお気持でありますか。この特審局を拡充する御構想に対し、その権限の限界をひとつお伺いしたいと思います。
  29. 小畑惟清

    小畑参考人 お答え申します。特審局の拡大強化というような言葉を先ほど使いましたが、どういうふうな機構にするか、現在の特審局をそのままにしておいて拡大するか、あるいは別に特審局みたいなものをつくるかということですが、私は現在の特審局をそのまま拡大して、そういう部面をつくつてもよろしい、別につくつてもよろしい。それはただ現在の行政機構のあんばいで、どちらでもいいと思つております。便利な方がいいでしよう。そうして捜査だけにするか、検挙までやるかということは、さしあたりは私は捜査だけでいいと思う。そしていよいよ逮捕という段階に入つたときには、場合によつて自治警にそれを命ずるとか、あるいは地方警察に命ずるというふうな機構にしたらいいのじやないか、漠然とはそう考えております。しかしながら、この点は、われわれ御承知の通りしろうとでありますから、そういう具体的なことは、実際の実務に当つておる警察側のよく研究すべきことだと考えております。
  30. 藤田義光

    ○藤田委員 ただいまの特審局の問題は大体了承しましたが、国家公安委員会の権限と申しますか、構成に関しまして、大阪の警視総監から非常におもしろい意見が出ております。われわれも大体賛成でありますが、現在のごとき、執行機関たる下部組織を持つた国家公安委員会はよろしくない。国家地方警察本部の事務局が、そのまま国家公安委員会の執行機関になつておりますが、この制度を改めまして、たとえば国家済防庁のごとき機関にすることがよろしいのじやないか。執行的な下部組織を持たない国家公安委員会に改組することが国家公安委員会運営上、非常に妙味を発揮できる。そうして国警にも自治警にも所属せざる、たとえば国家警察庁のごときものを設くべきであるという御意見がございましたが、この点に関しまして、お二方の御意見がありましたら、拜聽いたしたいと思います。
  31. 神宅賀壽惠

    ○神宅参考人 ただいまの点でありますが、大体鈴木警視総監が考えておりますように、犯罪の鑑識とか学校とか、そういうふうな――実際に地域を持つて、そこの地域の治安を維持しようというものは別にしまして、そういう特殊なものだけを取扱うのが、国家公安委員の任務にふさわしいんじやないか、かよう考えております。
  32. 藤田義光

    ○藤田委員 私たちの考え方としまして、警察法改正に関しまして、大体七つのことを考えております。これは質問でございませんが、御参考に申し上げて質問をしたいと思います。第一は、終戰前の警察の長所と、現行法の短所を勘案すること。第二番目は、白鳥さんの言われました地方財政の観点から研究する。第三番目は、地方自治の本質、地方分権の建前から考えなくてはいかぬ。第四には、現下の政情ももちろん考えなくてはならぬ。第五番目には、当面緊急な、講和後の治安ということを考えなければならぬ。第六番は、現行法制定当時の不備欠陷がありましたら、その不備欠陷と、その後の実績を考えなくてはならぬ。最後には、外国の反響も十分注意しなくてはならぬ。国家地方警察の試案といわれる斎藤国警長官の談話が、先般新聞に発表されまして、ニユージランド、オーストラリア等におきましては、ものすごい反対の報道の連日掲載されております。こういう点から、われわれとしては警察法改正を冷静に研究しておるわけでございますが、先ほどもちよつと大阪の安委員長が述べられましたので、この際お伺いしたいのでございます。それは今度国家地方警察が増員せんとする二万は、大体私服警察官であるというふうに言われておりますが、公安委員長の御見解もそうでございますか、ちよつとお伺いしたいと思います。二万人の増員は、大体私服の警察官を増員せんとする計画であるというふうに聞かれておりますかどうか。
  33. 神宅賀壽惠

    ○神宅参考人 お答えいたします。その点につきましては、斎藤長官と辻公安委員長から私が承りましたのでは、必ずしも私服という点は明らかにせられなかつたのであります。先ほども申し上げましたように、五千人は管区学校の方へ常時入つております。これは一定の期間でありますけれども、繰返されますから、結局常に五千人は入つております。それから北海道の方面が非常に手薄であるので、それに三千人を要すると思つておる。それから現在農山漁村の警察において、駐在所の二割ほどが、教養その他の関係で欠員になつておるが、その欠員をなくするようにしたいというお話でありました。その駐在所が幾らあるかはお話がなかつた。私ども、二万人というのは、ただ天井をにらんでお考えなつた数字でないのだろうから、それをどこへ配置せられるということの案を聞かしていただきたい、こういうことを申し上げたのですが、それ以上はお答えがなかつたのであります。大橋法務総裁は、二万人の増員はどこに配置せられるかとお伺いしましたときに、地区の警察では現在の人員で、治安が十分維持されておるから、これは本部要員だ、こう漠然と言われただけであります。それ以上国警側のお考えを承つておりません。
  34. 藤田義光

    ○藤田委員 国家地方警察の原案と称せられるものの中に、犯罪情報の報告という件がございます。これは幾多の方から拜聽したところによりますと、大体現実にはすでに犯罪情報連絡しておるということだそうでございます。そうすれば、現実に犯罪情報連絡があるのだから、その表現を、報告とか何とか、義務的な強い表現を使わなければ、法文化してもいいという意味に解釈してよろしゆうございますか。現実に犯罪情報連絡があるという点からしまして、それを明文化する方がかえつてすつきりしやしないか。報告という表現は支障があるかと思いますが、表現を弱く、やわらかくしたならば、明文化してもいいかどうか、この点お伺いしておきたいと思います。
  35. 神宅賀壽惠

    ○神宅参考人 その点に対してお答えいたします。現に情報の交換はやつておるのでありますが、これは五十四條の後段に、「これらの警察は、相互に協力する義務を負う」という規定がありまして、この規定の運用でやつておると考えられるのであります。これを法文化いたしますと、また違反というような問題も起つて来ますし、情報をおとりになろうとする側は、おもに国家地方警察方面であるようになろうと思うのであります。現在の改正案條文は相互主義のようになつておりますけれども、実際はそういうことになると思いますので、これは国家地方警察当局と、自治体警察当局、あるいは国家公安委員会と、自治体公安委員の方には連合協議会がありますが、この方面で緊密な連絡協調をする申合せとか、あるいは一つの約束をするならば、法文化するよりもその方が実効が多かろう。何か報告を義務づけられるような規定ができますと、またそこに妙な感情の問題も起つて来ますので、これは双方が誠心誠意治安維持に当るという上から行きまして、協定といいますか、そういうふうな方法で片づける方がいいのじやないか、こう考えます。これは辻公安委員長、斎藤長官とも御相談したのでありますが、その席上では、それでもよかろうというお話でありました。ただ、きよう新聞で拝見いたしますと、これが法文化されておるようでありますが、実際はそういうふうな話合いであるのであります。
  36. 藤田義光

    ○藤田委員 現在の警察法には、犯罪統計と鑑識に関しましては報告の義務を規定しております。従いまして、現実に情報連絡をやつておられるならば、法文化してもいいんじやないかというりくつが出る可能性がございますので、私の観測として、実は御参考までに申し上げたわけですが、この点に関しまして、小畑さんの御意見があれば承りたいと思います。
  37. 小畑惟清

    小畑参考人 今のお話ですが、これを法文化というのは、自治体警察国家地方警察に対して、情報を提出せねばならぬ義務で負わされるのだというふうに、初めわれわれは承つておりました。もしそういうふうに法文化されますと今度は国警の方からどんどん注文が出るだろう。その注文も必ずしも正当でない――正当でないとか、不正当というと、言葉が悪いかもしれませんが、かつてな注文が出る。それでも一々報告せねばならぬというようなことになつたら、それこそいよいよ国家地方警察は、自治体警察を支配下に置いておるというようなことをますます増強させる。これはいわゆる昔の国家警察に移るものである。そういう意味において、これを法文化するということはよろしくない、こういうことをわれわれは論じて来ているわけです。
  38. 藤田義光

    ○藤田委員 最後にもう一点お伺いしたいのですが、政府の原案に出るかどうかわかりませんが、首都警察国警移管の問題であります。これに関しましては、すでに皇居の警察国警に入る。それを拡大解釈して、警視庁も入るべきであるという説がございます。またアメリカの首都警察も、国家警察でやつておるというような生きた証拠を示される向きもございます。もちろんアメリカにおいては御存じの通り首都には自治体がございません。従つて警察運営すべき自治体がないために、いやでも国家警察に入つておりますから、アメリカのワシントンの首都警察は、日本において参考にならないわけでありますが、これを生きた例として、警視庁を国家警察にせよという意見もございますが、この点に関しまして、われわれも首都の特殊性からして一般自治警とはかわつた扱いをすべきであるという気持も強く動いておりますが、この点に関しまして小畑さんの忌憚ない、冷静な第三者としての御意見をお伺いしておきたいと存じます。
  39. 小畑惟清

    小畑参考人 その問題を私に答弁せよということは、私には非常に困ることなんです。ようやく今この問題が解消しておるところで、この際私の意見を述べるということは、ますます紛糾させるような気持がいたしますから、どうかこの答弁はお許しを願いたいと思います。
  40. 神宅賀壽惠

    ○神宅参考人 東京都特別区でない自治体から、これをかれこれ申し上げるのは、はなはだ行き過ぎではないかという御非難もあろうと思いますが、この改正案に流れておる思想から行きまして、一番大きな自治体警察である警視庁を国警に、小さな自治体である町村警察国警に編入しようとなさるのは、結局全体を国家警察一本になさるという前提でないか、あるいはまたそれを一方からくずして行こうとしている考え方の現われではないか、これは私の邪推かもしれません、私の言い過ぎかもしれませんが、さようにも考えられますので、これは地方自治の本義に反し、警察法制定の連合軍司令官からの書簡等にも反するのであつて、警視庁には直接関係がないようであります。自治体全体としておもしろくない行き方ではないかと考えております。御参考までに……。
  41. 前尾繁三郎

    前尾委員長 立花敏男君。
  42. 立花敏男

    立花委員 たくさん御意見を承つて政府案と称せられるものに対する反対の意見もたくさん承つたわけでありますが、それをまとめまして、根本的にお聞きしたいのですが、今度の改正案と称されるものの本質は一体どこにあるのか。個々の点でいろいろな御意見もございますでしようが、全体としての本質をどういうふうにおつかみになつておるか。たとえば神宅さんの御意見ですと、今度の改正の根本思想は中央集権化だ、そういう点で賛成できないと言われたのですが、そういう点までつつ込んだ御意見の発表がなかつた向きもございますので、皆さんその本質をどういうふうにおつかみになつておるか、承らしていただきたいと思います。
  43. 神宅賀壽惠

    ○神宅参考人 お答えいたします。辻公安委員長の御説明によりますと、警察法ができましてから後、各方面から寄せられる現行法の不備欠点に対する改正意見、国家公安委員が各地に御出張になつて調査せられた結果、現行警察法の不備欠点のある点も知り得たので、それをまとめて改正案の要綱ができたのだというお話を承りました。要するに根本思想は、私どもが邪推しておりますように、中央集権化の現われだとは、政府当局はおつしやいません。大橋法務総裁は、自分が独自の考えでこの改正要綱をこしらえておるので、国家地方警察にも、自治体警察にも、検察庁側にも相談をしていない。独自の考えをまとめたものがこれである。但し條文の起案は、国家地方警察の方に整理さしておるのだ、こういうお話を承つたのでありまして、その間に辻委員長と大橋法務総裁との意見の食い違いがあるように私どもは思いましたので、重ねて辻委員長にお伺いしますと、大橋さんは、いろいろな報告を基礎とせられて、独自の見解でこの改正をしよう考えておるのだとおつしやつたのだろう。大橋さんのお考えとしては、それか三至当なんだ。しかし実情はさきに申し上げましたような実情から出発したのだ、こういうお話でありました。それ以上、この根本理念がどこにあるか、政府当局のお話は承つておりません。中央集権化そのものではないかというのは、私ども考えであります。さよう御承知を願います。
  44. 立花敏男

    立花委員 政府の見解を聞いておるのではありませんで、あなたたちの御解釈を聞いておるのです。それでけつこうだと思います。さいぜん、根本思想は中央集権化なので、そういう改革には賛成できないとおつしやつたのですが、公安委員長あるいはその他の方には、そういう明白な御見解の発表がなかつたのです。そういう点でどういうふうにお考えなのか、その点を承りたい。この間大阪の警視総監が参りましたときに、総監ははつきりと、今度の改革はフアツシヨ的な改革である、断固反対するということを表明された。その際私は、それは鈴木総監個人としての意見なのか、全国の組織的な意見かということを聞きましたところ、これは千六百自治警察全部の意見である、同時に全国の公安委員意見でもあり、あるいは間接にではあるが、自治体の首長の意見でもある、こういうふうにおつしやつたわけでありますが、きようは神宅さんの発言を除いては、ほかにはそういう御発言がなかつたようでありますが、きようの朝刊にも反対の意見が載つておりますが、そういう点でもつとはつきりした意思表示をお願いいたしたい。
  45. 白鳥義三郎

    ○白鳥参考人 先ほどのお話の中に、自治体の首長の意見ということがございましたが、そういたしますと、結局町村会の意見もそうだということにとられるようでありますが、それにつまして町村会の方の意向をはつきり申し上げておきたいと思います。私たちは今度の改正をそういうふうには考えておりません。結局、当然国家が掌握すべき警察事務を国家がやる。警察事務の再給分の線に沿つているものだ、そういうふうに考えておるのでございます。決してフアツシヨ化などとは考えておりません。
  46. 立花敏男

    立花委員 公安委員会の方はどうですか。
  47. 小畑惟清

    小畑参考人 私どもは別にこれをフアツシヨとか何とかいうふうには考えませんが、ただ全般的にもとの原案を通観いたしますと、何かしらやはりここに中央集権化するおそれがあるものなりというふうに、私どもは認めております。それ以上のことは、理念はどこにあるかということについて明確な答弁は私はしかねます。
  48. 立花敏男

    立花委員 わからない点がありますので、最初の方にもう一度伺つておきたいと思いますが、警察事務の再配分だと御解釈になつておるということはけつこうなんですが、再配分の方向の問題なんです。現在すでに警察事務の配分は、ある程度警察法によつて新しい方向が生み出されておるはずなんで、それはいわゆる新しい警察法の形で、警察の民主化、自治体警察の方向という形が出ているわけです。この際すでに新しい警察事務の再配分は方向づけられておるはずですが、これと今回の改正との間の関係、これをどういうふうにお考えなのか。
  49. 白鳥義三郎

    ○白鳥参考人 お答え申し上げます。私たち今まで、自治権の拡充ということについては、初めからそういう方向で主張し続けて参つたのでございます。また当地方行政委員会におかれましても、常に私たちを指導御鞭撻くださいまして、自治権の拡充についてお働きいただきましたことを常日ごろ感謝いたしておるのであります。しかし自治の拡充と申しましても、そこには一定の限度がございまして、すべての警察事務を自治体にまかせるなら、それが自治権の拡充だとは、ゆめさら考えておりません。今までの警察法によりますと、先ほど申しました通りに、当然国家警察として働くべき仕事までも、自治体警察に分担させられているわけであります。これはちようど今までの他の行政方面におきましても同じような傾向がございます。御承知の通りに、私たちが町村の事務としてとり行つておりますものの七割は、実は国家の事務なんであります。こういうようあり方が、自治権の拡充には不適当だというので、行政事務の再配分ということを、非常に力強く私たちは叫んで参つて来ておるのでありますが、あながちすべての業務を自治体に委讓するのが地方分権だとは考えておりません。そういう意味で、今回の改正警察事務の再配分の線に沿つたものだというふうに考えておる次第でございます。
  50. 立花敏男

    立花委員 大阪の鈴木総監の意見によりますと、国家警察という考え方自体が間違つている。あれは国家地方警察だ、国家警察ではないのだ。ここに大きな錯覚があるのではないか。国家警察自体も地方警察だ。戰争時代の国家警察の弊害を、自治体警察あるいは国家地方警察にすることによつて、初めて警察の民主化が行われるのだ。だから国家警察という考え方は、一つの錯覚なんだというふうに大阪の警視総監は言つている。私も本質的にはそうだと思う。だから国家警察のやるべき仕事が何かあつて、それを自治体に押しつけるのはおかしいので、その間の混淆があるから再配分をやるのだ、こうなつて参りますと、根本的な考え方をもう一度考えなければいかぬのじやないかと思うわけなんです。現在政府がいつております行政事務の再配分も、地方でやるべき仕事を国家がやつているものがたくさんあるので、それを地方にどんどんやらすというのなら、行政事務の再配分だと思う。だから警察事務の再配分を行います場合も、むしろ警察事務を現在地方がやつておりますものを、いわゆる中央集権的に中央に逆もどりさすのではなくて、行政事務の再配分と同じように、やはり地方にやらすということが、警察事務の再配分ということが言われていたとしても、その方向に行かなければならない。ところが逆に地方自治体警察の仕事を、国家警察がやるという方向に行つているわけで、これは單に警察事務の再配分という言葉でごまかし切れないのではないかと思うのです。そこにもう一度根本的に考えていただかなければならぬ問題があると思うのですが、この点はどうですか。
  51. 白鳥義三郎

    ○白鳥参考人 まことに恐縮でございますが、たとえば密貿易の取締りというようなことも、これは自治体警察が当然やるべき仕事だとお考えになつていらつしやいましようか、お伺いしたいのでございます。自治体警察がやつている仕事でも、当然国家警察として国家の警察力運営しなければならないようなことまでも、一切合財現在では自治体警察がやらされているという点について、先ほど私が申しましたような実例があるのでございますが、それはいかがお考えでございましようか、お教え願いたいと思います。
  52. 立花敏男

    立花委員 そういう個々の問題につきましてはいろいろな点もございましようが、根本的な考え方について、やはり本質的なものは、大阪の警視総監あるいは東京の警視総監が指摘されたような方向に行つているんじやないか。密貿易の問題などは海上保安庁がありますし、適当な方法を講じますれば、現在の国家警察でもある程度行い得る余地がございますし、そういう個々の問題があるからというて、全体的な警察あり方の方向を根本的にかえる必要はない。これも大阪の警視総監の言葉を引きますが、たとい第三次世界大戰が勃発いたしましても、現在の警察の根本的なあり方をかえる必要はない、こういうことまで極言しております。ましてや、第三次大戰がまだ勃発していない現在におきましては、現在の警察あり方で十分なんだということをはつきり申しておりますので、その点に非常な意見の食い違いがあると思うのですが、その点ひとつ……。
  53. 白鳥義三郎

    ○白鳥参考人 私この議事法をよく存じません、参考人から議員に御質問を申し上げ、まことに恐縮いたしております。そういつたことは許されないということでございます。まことに失礼なことを申し上げましてお詫び申し上げます。それにもかかわりませず、私のぶしつけな御質問を快く御答弁いただきましたことを厚く御礼申し上げます。
  54. 立花敏男

    立花委員 そうむずかしくならぬでも、お互い意見は交換させていただいた方が、かえつていいんじやないかと思います。委員長さえよければ……。
  55. 前尾繁三郎

    前尾委員長 いや、別にとめたというわけではないのですが、そういうことになつておるから、適当なところでやつてもらいたいという意味で……。
  56. 立花敏男

    立花委員 あまり問題がこまかくなりますので、今の問題はこの程度でとどめておきたいと思いますが、しかしやはり私どもは個々の現象にとらわれるんじやなしに、ずつと動き方自体の本質を見なければいけないんじやないかと思う。大阪の警視総監の意見は多少行き過ぎがあるかと思いますが、大体全国の公安委員長も反対の意思表示をされておりますし、警察の方は明らかに反対されておりますし、こういう形がずつと出ているのですが、それにもかかわらず、政府はきのうか、ああいう案を新聞に発表しております。しかもこの委員会事前審議の形で、私ども皆さんに来ていただいて審議をしておりますのに、まだ結論もできていないにかかわらず、政府がすでにああいう案を発表しているというふうに、何か上からどんどん押しつけられる形が出て来ているわけです。神宅さんのお話にも、辻公安委員長は全国の改正意見をまとめて出すと言つているにかかわらず、大橋法務総裁は独自の見解で改正案を出すのだと言つておる。ここにやはり意見の食い違いがありまして、全体として見ますと、どうしてもやはりどこか雲の上から改正案が出て来たという感じがするわけです。これに対してダレス・吉田会談で警察問題が触れられておりますが、どこまで触れられたか、つまびらかにされていないので、私どもはつきりいたしませんが、どこか変なところから改正案が出ているんじやないかという感じがするわけです。辻公安委員長自体この改正案をおつくりになること自体が、少し私はおかしいのではないか。自治体警察の存廃の問題まで国家公安委員長である辻さんがおやりになることはおかしい。むしろ辻さんをお加えになるのであれば、全国の公安委員長の代表をお加えになつてやるのが私は至当であろうと思う。そういう形で、今度の改正案が、何か国民の知らない間に、国民のわからないところから出て来ているという感じがするのですが、そういうところに改正案の本質があるのじやないかと思う。それでせつかくあなたたちに来ていただいて御意見を承つておるのですか、しかし片一方には政府改正案決定しているわけで、あなたたちに来ていただいているのは、何のために来ていただいているのかわからない。もつと極言いたしますと、議会の民主主義の仮面を装うために、あなたたちに来ていただいて、みんなの意見を聞いているのだという形をつくり上げる。実質はそうじやなしに、もう政府閣議決定で、あなたたちの反対にかかわらず改正案をつくつて、実質はそれを強行して行く、こういうところにこの案の改正の本質があるのではないかと思うのですが、そういう点で、どういうふうな御批判なり御意見をお持ちであるか、承つておきたい。
  57. 小畑惟清

    小畑参考人 何もお答えすることはございません。
  58. 前尾繁三郎

    前尾委員長 答弁ないそうです。  それから立花君、政府が呼んでいるわけではないのです。この委員会参考人を呼んでいるのですから、そのつもりで……。
  59. 立花敏男

    立花委員 私どもはせつかく国会へ代表として来られた参考人の方から、忌憚のない御意見をやはり聞かしていただきたいと思うのです。部分的な御意見だけですと、本心がわかりませんので、やはり根本的な点に触れての忌憚のない御意見をお吐き願うようにお願いしておきます。国会の自主権はこういうところに私は守られるのではないかと思う。ほんとうに忌憚のない御意見をひとつはつきりお出し願うようにお願いしたいと思います。  それでは具体的なことに入りたいと思います。町村国家警察が独立して入つて参ります場合に、公安委員会との関係あるいは首長との関係が、水に油をまぜたような形になつて来るのではないか。これは公安委員はなくなるかもしれませんが、首長との関係がはたして円滑に行くかどうか。そういう点で御疑念をお持ちになつたことはないでしようか、これをひとつ伺います。
  60. 白鳥義三郎

    ○白鳥参考人 私その点について今まで全然疑念を持つたことはございません。今までの警察法によりましても、私たち町村長警察事務については何らタツチしておらないものでして、ただ経費の予算化の場合にのみ、公安委員あるいは警察の署長等の意見を聞いているだけでございまして、警察の直接の事務につきましては全然タッチしておりません。従つて今後、自治体警察のありました町に国家警察が入つて参りましても、今までと何ら事情はかわらないというふうに考えております。
  61. 立花敏男

    立花委員 警察の事務にタツチしておられないのはこれは当然だと思うのですが、全般的な警察行政そのものには、やはり首長の意見が取入れられなければいけないと思うのです。そういう点で、今後この警察が独自な形で、町村に入つて来るということについて、私は当然これは問題が起ると思う。と申しますのは、これは一昨日のこの委員会でありましたが、斎藤国警長官が参られまして、現在すでに公安委員会が麻痺してしまつているところがある。署長を国家警察に軟禁してやらないと、やみの取締りもできないというような形で、現在の警察機構、公安委員会の機構そのものが末端で非常に麻痺しておるところが多分にあるという報告があつたのですが、こういう事態が起つたのは、これは一体どこに原因しているのか。もしこういう事態が多かれ少なかれ、日本の町村にあるとすれば、こういう問題に対してどういう態度をとるかということは、これは非常に大きな町村行政の問題になつて参りまして、これは自治体の首長とされましても、それにどう対処するかということは、大きな問題になつて来なければいけないと思うのです。その際に地方の首長の上における独立した国家警察やり方が、はたして町村意見を合致するかどうか、どういう形でそれが保障されるか、こういう問題をお考えになる必要はないでしようか。これは切実な問題になつて来るのじやないかと思うのです。
  62. 白鳥義三郎

    ○白鳥参考人 どうも私御意見を承つておりまして、ぴんと来ないのでございます。自分のことは私たち一番よくわかつておりますから、自分のことを申し上げますと、私は今まで警察の署長とか、あるいはその他の警察吏員に会うことさえも努めて避けております。私が警察署にしばしば出入りいたしますと、そうでなくてもない腹を探られるというようなこともあると考えますので、何か催しごとでもなければ私警察署の門はくぐらないように、努めて自分でそういうふうにやつて来たつもりであります。警察の署長がどのような職権を行使しようと、それは私の考えを署長の方に影響を及ぼすべきものではないというふうに考えてやつて参りましたために、ただいまお話のありましたようなことは、どうも私にはあまりかけ離れていることなんで、何ともお答えができない。私首長といたしまして、町村長といたしましては、今までそのようなつもりで三年間やつて参りました。その点おくみとりいただきたいと思います。
  63. 立花敏男

    立花委員 公安委員会の方はどうですか。
  64. 小畑惟清

    小畑参考人 私はただいまのお話の意味がよくわかりません。従つて私は答弁もいたしかねます。
  65. 立花敏男

    立花委員 具体的な例をあけると非常によくわかるじやないかと思うのですが、たとえばこの間神戸事件というのがありまして、住民は地方税の問題、それから生活保護法の適用の問題、それから職業紹介の問題、こうい問題で区役所、首長に要求したわけです。これに警察権が介入して参りましてああいう事件になつたわけですが、そういう場合に、これはやはり首長は警察の問題とは全然関係がないのだというふうにほつておけない場合が、多分に起つて来るじやないか。その場合に、自治体警察であれば、自治体公安委員を通じてやはりある程度の緊密な連絡は首長と議会とにあるはずです。しかしこれが国家警察になつて参りますと、その間の連絡なり、意思の疎通なり何なりが、非常に不十分になつて来るじやないか。そういう点で何らの不安もお感じにならないかどうか、そういう点なんです。
  66. 白鳥義三郎

    ○白鳥参考人 その点についても私今のところ不安に感じておりません。というのは、具体的にどういつた事件であつたのか私よくわかりませんが、かりに失業救済の労務者が越年資金をもらいたいというので、私のところに押しかけたと仮定いたしました場合にも、そこに警察が介入するというのは、何かやはり介入するだけの原因があつて介入するのでございましようし、もしも権限を逸脱して介入した場合には、私それをお断りするだけであります。また正当の理由があつて介入して来るなら、それはまた受入れるだけでありまして、その点について私何ら不安を感じておりません。
  67. 立花敏男

    立花委員 介入するだけの理由があつて介入したならもちろんいいんですが、そういう場合だけに限つておりませんので、また限らないことも予想できますので、そういう場合に、やはり自治体が持つておる公安委員会、あるいは自治体が持つておる警察があれば、連絡は――もしそこに問題が起りましても解決が簡單でしようし、また問題が起らないようにする余地はあるわけですが、それが国家警察になつて参りますと、そのことがやはり相対的にではありますが、非常に困難になるのであります。そういう点でこの困難をお感じにならない理由はないと思うのです。そういう意味であれば、この国家警察地方警察都市警察を区分した理由は全然ありませんので、なるべく地方の実体に即した、住民の要望に応じた、住民の生活に即した警察をつくれという意味で、国家警察から自治体都市警察の方向に移動しておりますので、その差異が何らないと言われるなれば、根本的な警察法改正、新しい警察法精神はどこにも見出されないわけなんですが、ほんとうに地方住民のための行政を、警察行政をも含めておやりになろうとするなれば、その間の矛盾をお感じになるのが私当然だと思うのですが、そういう点もちつともお感じにならないのですか。
  68. 白鳥義三郎

    ○白鳥参考人 別に矛盾を感じておらないのでございます。と申しますのは、警察事務も含めたと申しますけれども、私ども自治体の首長は決して警察事務までタツチしておりません。そこに何か食い違いがあるのだと思うのでございます。これは何も警察ばかりではございませんで、教育の方面におきましても、校長なら校長に対して私たち教育の内容について決してとやかく申しません。校長にこれはもうまかせつきりでございます。警察事務のことにつきましては警察署長に、あるいは公安委員会にまかせつきりなんでございますから、その点首長として何ら不満も感じませんし、何回も御質問がございますが、どうもこれ以上申し上げようがないと考えておるのでございます。
  69. 前尾繁三郎

    前尾委員長 立花君、ほかにもまだ質疑者があるのですから、簡單にやつてもらいたいと思います。
  70. 立花敏男

    立花委員 よろしうございます。これは裏返しにしてみればわかると思うのですが、住民の方から見れば、やはり自分たちが持つている公安委員会、自分たちが持つている警察という建前と国家警察という建前とは相当違うのでございまして、そういう点から考えていただければ、單に市長あるいは町村長としての事務の面だけからお考えにならないで、そういう点からお考えになれば理解していただけると思うのですが、この問題は今後の問題になるだろうと思いますので、このくらいにしておきます。  それから最後にお聞きしておきたいと思いますのは現在の地方状態からいたしまして、警察力の増強を望んでおられるという御意見があつたように思うのですが、それは全体としての自治体の意向なんでしようか、それとも特に急激に人口が増加したところの意見でしようか。その点をはつきりしておいていただかないと、非常に誤解が生じますので、全体としての、全国一万幾つに達します町村が、すべて警察力の増強を望んでおるのかどうか、また客観的に警察力を増強する必要があるのかどうか、また言いかえますと、市町村の治安がそれだけ乱れておるという御認定を持つておられるのかどうか、その点をひとつ……。
  71. 神宅賀壽惠

    ○神宅参考人 全体の自治体警察吏員の増強は望んでおりません。ただ急激に人口が増加しまして、自治体警察に九万五千人制当られました政令制定当時の人口と非常に違つておりまして、そこに治安の不安を感ずるという都市においては増加を望んでおるようでありますが、私の聞いております範囲では、大阪市では別にこれを増加あるいは減少しようとする考えはなく、まず現状維持のようでございます。大阪市の人口割できめられました警察吏員と布施市とは違うのであります。布施市は人口五百人にたしか一人だつたと思います。大阪市は百五十人に一人という割になつておりますので、布施市と大阪市とは、その間に道路をへだてておるだけで接しておりますから、布施市は警察法の制定せらました当時から、その増強を望んでおられます。尼ケ崎市もこのよう意見があるということを、直接ではありませんが、間接に聞いたことがあるのであります。要するに、そういうふうに急激に人口の増加した都市におきましては、治安関係で増加を望んでおるものが少しあるやうに聞いておりますが、非常にたくさんあるというようなことは、まだ聞いておりません。
  72. 立花敏男

    立花委員 公安委員長にお尋ねしたいのですが、公安委員長は現在の改正案にあります市町村警察の設定をまかすという何があるのですが、そういう場合に全国的な見通しはお持ちでしようか。
  73. 小畑惟清

    小畑参考人 今度の改正案が通りましたならば、どうなる見込みかという御質問でありますが、それは私はよくわかりません。そう申すよりほかにありません。
  74. 前尾繁三郎

    前尾委員長 参考人でありますから、そのつもりでやつていただかないと……。
  75. 立花敏男

    立花委員 そうすると、最後にお尋ねいたしますが、警察の問題ではさいぜん金刺さんですか御意見がありましたが、全国の警察を全部自治体警察一本にするという御意見があつたのですが、あの問題は、そういうことを主張されます裏には、多分に警察予備隊の問題があるじやないかと思うのですが、警察予備隊についての見解と申しますか、警察予備隊はどういうものだというふうにお考えになつているのか、それをお伺いしたいと思います。
  76. 神宅賀壽惠

    ○神宅参考人 警察予備隊は、政令できまつておりますように、非常に制限された範囲で活動するのであります。一般の治安関係状態においては、警察予備隊は活動しないのであります。私ども公安委員としましては、警察予備隊の活動するような事態が日本にないのじやないかというくらいに想像しているのでありまして、あの制限を予備隊側で十分お守りくださるならば、国内治安のためには直接関係はないというふうに考えております。
  77. 門司亮

    門司委員 もう大体聞き盡されているので、ほとんど言うことはないのでありますが、ただ一つ自治体責任者がおいでになつているのでお聞きしたいのです。今度の改正案一つのポイントは、やはり自治体の弱小という言葉を使うと悪いのでありますが、事実上弱小であります。弱小の自治体警察の存廃に関して相当議論がかわされている、こう考えております。しかしこの問題の解決は警察法の欠陥であるのか、あるいはそれは別として、財政的の処置の欠陥であるのか、いずれかということがやはり問題となつていると思う。従つて理事者の方からこれをお考えになりますときに、自治体警察としては、財政さえあれば今の警察でいいというお考えなのか。あるいは財政はあつても、自治体警察自体が警察法改正してもらいたいというよう意見であるのか、それをはつきり伺つておきたいと思います。
  78. 白鳥義三郎

    ○白鳥参考人 先ほど私公述をいたしました通りに、これについては二通りの理由があるわけであります。町村会で今自治体警察の返上を唱えて参つたのでございますが、それには先ほど申しました通り、一つ財政上の問題、それからもう一つは今の町で持つている自治体警察というのは、警察吏員がたかだか二十三名か二十五名でございます。これでは一つ警察署としては小さ過ぎるということ、従つて警察能力を十分発揮し得ないのではないかというようなことから返上論を唱えて参つたのであります。お説にあります二つの点があてはまるというふうに考えております。
  79. 門司亮

    門司委員 結論としてどうお考えでございますか。政府はいずれこの法律案を出して来ると思いますが、そのときにわれわれの参考として、これを処置するについて結論としてどちらをとるべきかということであります。私がこういう質問をいたしますのは、これは国警長官にも聞いたのでありますが、もし財政が許して今の警察制度でいいという見通しがつくのなら、財政だけの問題を解決すればいいはずである。これが両方ともどうも困るのだというなら、あるいはこれを廃止しなければならない。両方悪いなら廃止しなければならないということになるのであります。警察法というものは財政の問題であると考えますると同時に、治安の維持が主でありまして、どうしても自治体警察で十分だという意見が立つなら、財政の方をやはり強く主張しなければならない、こういう考え方が二つだと言われただけでは、私ども判断に苦しむ。ちよつとむずかしい問題だとは思いますが、ひとつ警察法自体がそういうデリケートな関係を持つております。その辺をもう一つつつ込んで忌憚なくお話を願いたいと思います。
  80. 白鳥義三郎

    ○白鳥参考人 重ねてお答え申し上げますが、私たち町村会といたしますれば、政府原案の通りに三万ないし五万あるいは市に限つて必置機関とし、町村においてはこれを任意機関とするというような線でおとりはからいをいただきたい、こういうふうに考えております。
  81. 門司亮

    門司委員 大体それでわかりましたが、これは便宜なものの考え方だと私は思つております。今日の問題にちつとも触れていないと思うのでありまして、ただそういうよう財政局にもあるいは今の警察法の中にも折衷したようなあたりさわりのないお考えだと思いますが、私どもの方といたしましては、意見を言うようでありますが、警察治安自治体についてもう少し考えてみたいと思います。  その次に、もうひとつ聞いておきたいと思いますことは、この警察法の修正案の中にもありますが、公安委員の選任について、この警察法に修正と並んで書いてありますのは、この前の辻さんのお話の中にこの通りのことがあつたのでありますが、選任に非常に苦しむから、現在の公安委員の選定範囲を広げていただきたい、こういうことであります。いわゆる官公吏の前歴のある者はすべていけないということになつているが、今日から十年くらい前にやつた者に官吏の経験の時効といいますか、そういうことでひとつこれだけはがまんしてもらいたい、そうしないと選考に非常に困るということでありましたが、事実やはりそういうことが町村においてはあるかどうかということであります。私ども考え方から言いますると、そこにやはり地方の官尊民卑のものの考え方が出て来るのじやないかと考えます。従つてせつかく警察法でできておりますので、人選に多少の困難があつてもわれわれはそういう昔の官尊民卑の思想はひとつできるだけ避けたい、そういう考え方を持つているのであります。そういう点についての御意見でももしありましたら、お伺いしておきたいと思います。
  82. 白鳥義三郎

    ○白鳥参考人 私の個人的な体験だけからとやかく言うことは、あるいは不当かとも、穏当でないかとも思いますが、私の町だけについて申しますれば、今のままで一向さしつかえございません。しかし数多くの町村について調べて参りますと、あるいは政府考えておりますようなことがあるのじやないかとも思います。というのは一体今の町村の規模というのが、御承知の通りにあまり小さ過ぎます。今後私ども町村合併をやつて行きたいというのも、結局そういうよう委員の人選等に非常に支障を来しておるというのが実情でございますので、私の町だけから申しますれば、今のままでも一向さしつかえございませんが、広く全国的に見ればそういつた考慮があるいは必要になつて来るのじやないかとも考えるのであります。
  83. 門司亮

    門司委員 もう一つ開いておきたいのであります。これはちよつとピントがはずれるかと思いますが、念のために聞いておきたいと思います。この警察法の主とした目的、大きなねらいの一つであろうと考えられるのは、国警の増員であります。これについては国家警察の所管しておりまする現在の自治警を持たない範囲の治安状況が、きわめて私ども悪いとは実は考えられないのであります。従つてこれについては実際上の問題としてはどうかと考えてみまするが、町村長としての立場からお考えになりまして、現在の自警を持たざる国家地方警察の所管の中において、犯罪その他の関係から、どうしても今の警察官では足りない。これをふやさなければならないというような事実があれば、事実でけつこうでありますから、御感想でもあるなら承つておきたいと思います。
  84. 白鳥義三郎

    ○白鳥参考人 私千葉の人間でございますので、千葉県の実情について申し上げますが、千葉県におきましては、国家地方警察のあります警察署が主として海岸地方にだけ配置されておるのでございます。もつともそこが一番交通の便がよいところであるには違いございませんが、海岸地方にだけ配置されております。従つて房総半島の背骨に当ります山岳地帯に参りますと、相当警察吏員が足りないという声を、そちらの方の村長さん方からよく聞くのでございます。これは私はつきりした数字を存じませんから、あるいは間違つておるかもしれませんが、自治体警察におきましては、ところによつて多い少いがあるもしれませんが、大体人口八百人に対して一人以上ということになつているようでございますが、国家地方警察の方は人口に三千人について一人というようなことになつておると聞くのであります。はつきりした数字はあるいは違うかもしれませんが、従つて今申しましたような山岳地帯などに参りますと、相当国家地方警察の吏員が不足しておるのじないかというようなことも想像されるのでございます。
  85. 床次徳二

    ○床次委員 先ほど尋ねられた残りでありますが、白鳥さんにお尋ねしたいと思うのであります。自治体警察に対しまして財政上の裏づけが弱いから、また規模が小さくて警察としての機能が十分発揮できないからという二つの理由から、自治体警察を大きくしたい、あるいは国に返上したいというお考えに伺えるのですが、現実に今までの経験からして自治体警察という組織自体がお気に入らないのかということを承りたい。国家警察でやつておられるところは、それぞれの立場もおありでしよが、自治体警察というものの組織において相当経験されたことと思います。だから規模において相当大きくなり、あるいは予算の裏づけにおいて確保されましたならば、従来の自治体警察でよろしいか、先ほどの輿論調査もありましたが、ちよつとその辺がはつきりいたきなかつたので、その辺をもう一度お伺いしておきたい。
  86. 白鳥義三郎

    ○白鳥参考人 お答え申し上げます。私自治体警察というのは決して思わしいものでないというふうには考えておりません。結局これも自治権の拡充の一つの現れでございますので、自治体警察力を持つということは当然のことだというふうに考えております。しかしその自治体の運用に当つてみますと、先ほど申し上げました通りに、現在の町村というのはあまりに規模が小さ過ぎまして、他の行政機関についてもしばしばそういう経験があるのでございますが、これはもつと大きな地方にしなければならぬと、しみじみ考えて、おるのでございます。ことに警察事務におきましては、今のままではとうていしようがない、これが署長が五十人なり六十人なり百人あれば、これはりつぱに警察機能を発揮することができると思いますが、たかだか二十人や二十五人の警察署におきましては、とうてい警察機能を発揮することができないのじやないかというふうに考えております。私どもの町は幸い人口二万三千ばかりで、警察吏員も二十三人おりますが、これも経済事犯取締りでもございますと、すぐに他の隣接の自治体警察から応援を求めなければならぬというふうなことになるのでございまして、ごくありふれた経済取締りなんかについてもすでに支障を来す、これをそれじや増員したら問題は解決するのでございますが、私の町で二十三人を雇つておりますのが精一ぱいでございまして、これを三十人にし五十人にするというようなことは、とうてい望み得ないことなのでございます。それからまた人員の増加はかりでなしに、警察の機動力をふやす、あるいは捜査のいろいろな機械等を購入するというようなことになりますと、私の町でもある程度の設備をしなければならぬ。隣の町でもまたそれだけのものをやらなければならぬというようなことになつて、小さな自治体警察がそれぞれ整備をいたしますれば、警察の面についてはけつこうでございますが、しかし国家的な財政面からいつて、大きな冗費が出て来るのじやないかというふうにも考えるのでございます。私たちは大蔵大臣からよく町村には冗費があると言われておるのでございますが、大蔵大臣の言うよらな冗費は夢さらないと思つております。しかし一方におきましてさきにも申しました通り、町村があまりに小さ過ぎるという面で大きな冗費を持つている。その点今後一生懸命になつて規模を大きくし、冗費を省いて参りたいというふうにも考えておるのでございます。結局私たちの町村の立場から申しますと、今の自治体警察というのはあまり規模が小さ過ぎて、冗費がかかり過ぎるというふうに考えております。
  87. 床次徳二

    ○床次委員 大体わかりましたが、ただいまのお話を承りますと、結局郡單位のような相当町村の数を集めてやりましたならば、自治体警察でもよろしいという結論が出るかと思うのであります。しかしこういう農村地帯のよう町村が幾つ集まつても、自治体警察のりつぱなものはできないのだというお考えか、あるいは都市のよう人口の密集したところ、こういうところだとすれば自治体警察はうまく行くのだ、こういうふうなお考えがあるかどうか承りたい。もう一回繰返しますると、たとえば郡單位に組合町村をつくつて行きましたならば、大都市というものはその中に入つておらなくても、やはり自治体警察として運用がうまく行くかどうか、相当の人口があり、規模の持てまする町村でありますれば、自治体警察としてよろしいかどうか、その点を伺いたい。
  88. 白鳥義三郎

    ○白鳥参考人 組合警察のことは、実はこの自治体警察が発足する当時から、私主張して参つた一人でございますが、実際の運用を見ますと、あながち組合の警察がうまく行つているところだけとは限らないようにも考えております。幸いに気性のあつた町村で組合をつくるなら、それは結果もうまく行くと思いますけれども、そうでないところで、ただ隣接しているからというだけで組合をつくつたのでは、うまく行く道理がないのじやないかというふうに考えております。従つてどうしても自治体警察を現在の町村区域まで広くやるというのならば、町村合併をどこまでも強力に押して行く、それで自治体警察を持つべきだというふうにも考えるのでございます。また一面先ほど御指摘がありました通りに、農村地帯に参りますれば人口が非常に少い、財力も比較的弱い、そこへもつて来て警備する範囲も非常に大きいのでございますから、そういうようなところこそ、機動力を十分に持つた警察をつくらなければならぬ。その費用が並たいでいではないのじやないかというふうにも心配いたします。
  89. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それではこれをもつて本日の参考人意見の聴取については、全部終了いたしました。  この際参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。最初にも申し上げました通りに、非常に御多忙の中をおいでくださいまして、しかも非常に長時間にわたりまして、忌憚のない御意見をお聞かせ願い、また質問にもお答え願いまして、今後の委員会としまして、まことに参考になるところが多々ありましたことを、一同にかわりまして厚く御礼を申し上げる次第であります。
  90. 神宅賀壽惠

    ○神宅参考人 ざつくばらんに話をせよというお話がありましたので、あるいは私が申しましたことは過激であり過ぎた分があるかもしれませんが、お許しを願います。どうもありがとうございました。     ―――――――――――――
  91. 前尾繁三郎

    前尾委員長 これより消防に関する件を議題といたします。  ただいま消防に関する小委員長川本末治君より発言を求められておりますのでこれを許します。川本消防に関する小委員長
  92. 川本末治

    ○川本委員 これより、さきに本委員会に設置せられました消防委員会の経過並びに結果を御報告申し上げます。本小委員会は、昨年十二月十一日十三名の小委員を本委員会において選任せられまして、不肖私が小委員長なつたのでありますが、爾来小委員会を開くこと二回、もつぱら先般来問題となつておりました消防組織法の一部改正について、研究を遂げ、各方面とも連絡の上、改正法律案を作成いたしました。この改正案は、過日全国都市消防会議において決議せられた事項、事業関係者から寄せられた陳情等のうち、おもなものを摘出しまして、これを消防議員連盟の常任幹事会にかけましたところ、ぜひすみやかに法文化しようということになりまして、採択せられたものを取上げた次第であります。改正案の内容は、これを大別しますと、次の三点であります。  すなわち第一点は、現行消防組織法第九條の規定を整備いたしまして、その意義を明瞭にし、消防組織の根幹たる各種の消防機関に対して法的根拠を與えるとともに、現行法がこれら消防機関の全部または一部を設けることができるとしてありますのを、設けなければならぬとして、市町村に必置の義務を命ずることにしようとすることであります。けだし消防団、消防署、消防本部、消防団員及び消防職員の訓練機関は、消防組織の中核であり、火災に対して貴重な人の生命財産を防護し、その災害を最少限度にとどめ、あるいはあらかじめ災厄の発生を防止し、その消防目的を達成するために有効な現実の消防活動をするか、あるいはその能率を向上するための消防関係者の教養訓練をなす機関でありまして、これらを包括的に組織法上において明定するとともに、これら重要なる消防機関は全部または、一部を、市町村はその市町村の実情に即しつつ義務として設置しなければならぬこととしたのは、これら消防機関の重要性を法の上に強調しようとするものであります。  もとより消防団は全国至るところ、いかなる山村僻地といえども設置せられております。たとえ法律にこれを義務づけずとも、自衛のためにも自然発生的に組織せられる必要性のあるものであつて、その伝統より見るも、その数量及び消防活動の実際から見ても、その重要なことは言うまでもありませんが、現行法上その立場は必ずしも明らかではありません。人口やや集中して市街地的な場所になりますれば、消防団のほか常備消防の施設も置かれるようになり、さらに人口稠密、家屋連檐の都市となりますれば、火災の危険度も増大し、一般生活関係も複雑となりますので、常時訓練を行い、相当の設備をもつた専門的な消防施設が必要であります。  いやしくも市と名のつくようなところになりますれば、今日大多数消防署を設置しており、法律上もかかる市街地は、近代的科学的な消防施設を必置しなければならないとすることが望ましいと考えられるのであります。よつてこれらの消防機関のいずれを重しとし、いずれを軽しとすることなく、すべてこれらを包括的に組織法の上に明かにし、これらの機関の全部または一部を設置すべき市町村の義務を明示いたしまして、その重要性を法律上に強調するとともに、以上の意味を含めて、当該市町村の規模、能力、性格、環境等各般の具体的実情に即せしめようとするのであります。  改正案の第二点は、消防団員の災害補償制度の確立に関するものであります。一身を犠牲にして、水火の難におもむく使命を帯びております消防職員が、後顧の憂いなく思う存分の活動をなし得るためには、災害補償制度の確立の急務なることは申すまでもないことでありまして、先般地方公務員法が制定せられまして、その第四十五條の規正によりますれば、この制度は一応確立いたしたのでありますが、非常勤の消防団員は特別職であります関係上、地方公務員法の規定は適用せられませんから、特に本法において、これが規定を新しく設けて、その欠陥を補わんといたしたものであります。  改正案の第三点は、消防団長を含めた消防団員の公職立候補禁止の解除に関するものであります。公職選挙法及びこれに基いて発せられました施行令によりますと、消防団員は現職のまま公職の選挙は立候補することはできないことになつております。しかしながら非常勤の消防団員は、一般の公務員とその性格は相当相離れるものでありまして、実状におきましては、地方において消防団員の職にある者は、その土地における有識階級の者が多く、これらの人が報酬の少い義勇的に奉公している消防団員の職にあるのゆえをもつて、立候補できないといたしますことは、ただに本人に対しまして酷であるばかりでなく、広く人材を網羅して、民主政治を行つて行こうとする趣旨にも反し、適当でありませんから、消防団員は現職のまま立候補できるようにするものであります。  その他はこの機会におきまして数箇所字句の整備及び事項の合理化をはかろうとするものでありまして、たとえば消防吏員の階級の基準は、従来一定のものがなく、各市町村で区々であつたものを、国家消防庁の定めた準則によつてこれを定めるとか、消防団長の任命形式を整備するとか、消防事務組合町村の規定を完備するとか、地方公務員法の施行によつて、法の字句を整理したいというのが、改正案のおもなる内容であります。これからだんだんと大火災季節に入ります折柄、少くともこれくらいの最小限度の消防組織法の改正は、ぜひともすみやかに達成し、もつて消防の充実を期せんとするものであります。  以上消防委員会の活動並びに消防組織法の一部改正について、成案を得た次第及びその内容の概要を申し上げた次第でありますが、本委員会においてすみやかに適当に御審議あらんことを望みます。これをもちまして私の報告といたします。
  93. 前尾繁三郎

    前尾委員長 ただいま川本委員長より、消防組織法の一部を改正する法律案の起草並びに結果について報告がありましたが、お手元に配付しておりまする同法案について、御質疑なり御意見があれば、この際これを許します。
  94. 立花敏男

    立花委員 ちよつとお尋ねいたしますが、第九條の問題ですが、これは現行法では「設けることができる。」という規定になつておりますが、これが「設けなければならない。」となつたのですが、これに対しましては、ただいままで私どもはこの委員会審議いたしました警察の問題につきましても、すでに財政関係から警察返上論が起つておるわけなんです。ところが消防がまた新しくこれを上から義務づけるということが、この消防法一つ改正として出て来ておるのですが、こういう点について矛盾をお感じになりませんか。それとも義務づけた以上は、これに対しまして相当財政的な裏づけが、当然義務づけた方の義務として課されるわけですが、こういう点で何か具体的にお考えになつているかどうか。なお、もう一点つけ加えることにいたしますが、地方財政の建前から見ましても、こういうふうにある仕事を地方に義務づける場合には、地方意見を聞かなければいけないということが出ているわけなんですが、その点に関して地方意見なり、あるいは地方財政委員会なりの意見を、どういう形でお聞きになつておるか。どういう答えがあつたか。これをお伺いしたい。それから最後に、これはいつから実施になるわけでありますか。現在地方予算は編成期にございまして、消防団の問題がこう上から義務づけられて参りますと、当然予算上の措置をしなければいけない。そういう点でどういう情勢を把握されているか。以上四つ……。
  95. 川本末治

    ○川本委員 立花君は私どもと同じに第五国会以来、地方行政委員会に籍を置いておられて、常によく御質問になつておられますので、よく御承知のことと思つておりましたが、意外なお尋ねにあずかりますので失望したのでありますが、現在の第九條に対しまして、これを必置機関にしたということに対して、財政上の裏づけがどうこうというお話がありましたが、今でも全国どこでも消防はほとんどやつている。ただ、それが現在のところではいろいろな面においてはつきりしていない点があるから、それを整理したというにすぎないのでありまして、総括して答弁いたしまするが、財政上の問題などについて、さよう御心配になることはおそらくあるまいと思つております。それからいま一つは、現在でもやつている問題でありますが、これを必置機関にしたことは、少し従来の建前と違うのじやないかというようなお話がありますが、今までのものでも、ほとんど必置機関にひとしいような現状にありましたので、私どもとしましては、今までの法文よりもこういうふうに直して行く方がよかろうという気持でやつたことで、全部これを設けろ、こういうことを言いますれば、ただちに財政上の問題も伴つて参りましようが、今まであるものを法文の整理をしたことと、最後の文句では、全国の市の中にもいまだに五十以上も実際において機関を何も持つていないという所もありますので、少くともそういうところに、全部持つてもらうようはつきりすることが必要じやないか、こういう考えから第九條の或案は、大体各委員の御意見をとりまとめて成案を得た、こういう次第であります。
  96. 立花敏男

    立花委員 非常に不十分ですが、財政法との関係、そういう点にはお答えがなかつたのですが、これは次のお答えのときにあわせてやつていただきたいと思います。  それから、なるほど消防のことはどこでもやつているんだ、しかしない部分もある、と言われておりますが、ない部分は問題ないと思いますが、ある部分にいたしましても、自分の好きなように自分の好みに応じてやつておりますので、これがこういう形で義務づけられた場合とは、非常に違つて来ると思うのです。費用の出どころの問題も出て参りますし、費用の出し方も違つて参ります。たとえばこの中には消防団員の訓練、礼式及び服制に関しては国家消防庁の定める準則にのつとり市町村規則でこれを定めるこういうふうになつて参りまして、訓練とか服制とかいうことまで法文できめられて参ります。今までは火事がありましたら自分ののら着で消してもよかつたのですが、こういうように訓練とか服制とかがきめられて参りまして、それをやらなければならないというようになつて参りますと、この費用は大分あなた方の言われるように簡單なものじやないのです。あるいは消防団員の給與の問題にしても、あるいは災害に対する扶助の問題にいたしましても、やはりこれは地方公務員に準じましてやるということがうたわれて、おりますので、相当莫大な費用になつて来ると思う。こういう点で財政の問題を軽視されることは非常に困るのじやないか、さいぜん申しましたが、自治体警察すら、財政上の困難から返上するという声が出ておる事態で、こういうものをこういうふうに義務づけるようになれば――消防こそ国家費用でおやりになればいいと私は思う。現在の困難な地方財政の上に、こういうものを義務づけるという行き方は、私は看過できないのですが、今言いましたいろいろな点を義務づけている点があるのですが、こういう点の費用等に関しましては、どういうふうにお考えになりますか。
  97. 川本末治

    ○川本委員 第一段のお尋ねは、訓練機関などを條例によつて規則づけて行くことは、今までのように自由にやれないから困るじやないかというお話、それはすべて財政上の問題のように承つておりますが、町村條例はおのずからその町村の実情に即した方法によつてつて行かれることは申し上げるまでもないわけでございますし、なお全国の一番大火災の多い都市は、どの程度のものに多いかということは、私が申し上げなくしても立花君、よく御承知のはずだと思いますが、これは中小都市であります。消防は申し上げるまでもなく警察の仕事とは違うのです。警察は自分が行わなくて人をして行わしめる。消防はみずからがその災害に向つて身を挺して行わなければならぬ。これに訓練をさせなくて烏合の衆をもつてして、はたして実績が上げられるかどうかということは、私が貴重な時間を費すまでもないと思うのです。こういう意味合いからいたしまして、私どもはどこまでも消防というものに対しては、相当今後科学的の訓練をさして行かなければならぬ。これには訓練をしなければ、ほうつておいて大勢さつと出て行つてみたつて、それではたして火事が消えるかどうか、初期防火ということが消防の使命であるということは、よく御承知だと思いますから、この点について重ねて申し上げる必要はないと思います。  それから災害補償の制度を設けたことは、非常に困るじやないかというお説でありますが、現在でも非常勤の消防職員は公職におりまして、それぞれの犠牲を受けましたときは、各地において相当な補償をいずれにおいてもいたしております。しかしこれが規定されていないために、場所によつて人によつては非常に迷惑をし、ところによつては過分な補償を受けておるところもあるというような現状で、きはめて不明確な状態にあつて、かえつてそのために今日いろいろな問題が起きてることも御承知だと思いますが、そういうような点からいたしましても、なお最初に報告のときに申し上げましたように、実際の面から見て非常勤のあの犠牲的にやつておられる消防団員が、公職にいて災害をこうむつたとき、何もこれを保障する規定を持たないというようなことが、はたしていいか悪いかというようなことは、多く申し上げなくても御承知だと思う。またその財政の裏づけはどうかとおつしやるけれども、別にこの規定を設けたから災害がふるえるわけではない。常に共産党の諸君が言つているように、下の方の人たちを救つてやらなければならぬという共産党の諸君が、そういうことを設けることはどうかというような御質問を受けることすら、私は意外に感ずる、こういうことから私どもは一般の犠牲的にやつておられる人に、ひとしくその災害に対する補償を設けることは当然過ぎるほど当然だ、かよう考え地方公務員法制定の当時にも、われわれはその意味において賛成しております。ところが特別職であります非常勤の消防団員が抜けておりますので、これを新たに設けたというにすぎないのでありまして、ほかに私どもは深い考えは持つていないということを申し上げます。
  98. 立花敏男

    立花委員 まつたくピントのはずれた御答弁で困るのですが、私は訓練をやるのがいいか悪いかを言つてはいない。訓練をやることに義務づけることに伴うところの財政的な問題、これをどういうふろにお考えになるか、また災害補償の問題も同様なのですが、災害補償をやつてはいけないというようなことは言つておらないのです。災害補償を義務づけた場合には、地方自治体としての財政支出をどう考えるか、それに対する対策をどうするかという、ことを言つているわけなのです。
  99. 川本末治

    ○川本委員 同じことを繰返してもしようがありませんが、要はさつきも申し上げたように、二段目の災害補償をやる場合の財政の裏づけはどうかというお話なのですが、これはみずから規定を設けても、その町村において今までもそういうことはやつておるのです。規定を設けたから急に災害補償がふえるわけではないのです。そういう点につきましては、私が御答弁することが少しピントはずれかもしれぬが、聞かれる方のあなたもピントはずれではないかと私は思う。現に災害補償を設けたから、災害補償の額がふえるというなら、それはおのずから別だけれども、従来もあり、現在もある、ただそれを規定づけてやるということの方が、実際に消防団員が非常に安心して、動けるだろうという意味から設けただけでありまして、別にこれが設けられたから特別にそういう経費がいるとは、私ども考えておりません。現在も出しておるのですから、こういう訓練に対しまする費用の問題でも、訓練するからといつて地方財政が、警察署を設けるほどの大きな費用がいるとは考えていないのであります。従いまして町村條例によつて設けさして行く自由を認めておりますから、設けてあつても年に五回やるとか十回やるとかいう規定は設けてないのでありますから、それはおのずからその町村財政の現状において行つて行かれるもりだ。やり得る程度において最大の効力を発揮せられるように、それぞれの町村理事者がこれに対して御決定をされるべきだ、かよう考えておりますから、さして財政の問題については、私どもは心配をいだしでいないのであります。
  100. 立花敏男

    立花委員 あなたのお話では設けてないところもあるというふうに言われたのですが、設けてないところはどういう理由で設けてないのか、設けてないところは私は多分財政的な理由が多いと思うのですが、そういうところに例をとるとはつきりするのですが、そういうところで設けなければならないというようなことを言つて、はたして今まで財政的な理由で設けられないところが、一挙に設けられる財政的な余裕ができて来るかどうか、この問題は多かれ少かれ現在設けているところにも起りますので、この問題はやはり今必要があるのじやないか、そういう建前から実は地方財政法の精神からいたしましても、こういうふうに国家が地方に仕事を義務づける場合には、財政的な措置を考えなければいかぬということがうたわれておりますから、そういう考慮が拂われなければいけない。またそういうことを上から押しつけられました場合には、財政的に困りますから、地方財政法の規定もありますので、私どもはやはり審議をいたします以上は、そこまで考えるのが、地方に対する親切だと思うのです。だから財政上大したことはないとおつしやられますが、その点はやはり財政上大したことじやないという根拠をお持ちになればけつこうですが、それをお持ちにならずに、ただ財政的に大したことじやないだろうと言われることは、これはあまり親切じやないのじやないか、だからその点をひとつ承りたい。たとえば地方財政委員会なり何なりの意見は、当然お聞きにならなければならぬと思うが、お聞きになつたのか、お聞きになつたならばどういう意見が出ておるか、お聞きになつていないとすれば、お聞きになる意思があるのか、お聞きにならずにやろうとされるのか、これは非常に重大なことであるから聞くわけですが、その点もう一度……。
  101. 川本末治

    ○川本委員 重ねてお答えいたしますが、今のお話の消防を置いていない都市などは、財政上から置いてないのじやないかという御意見でありますが、必ずしも困るからおいてないと断定もしかねる点もあるのであります。なぜかと言いますと、東京都の中にも小さな町でこういう話を聞くのであります。これは隣の町の消防署長さんが幾度も来ての陳情を私は聞いておりますが、隣の町に消防があるから、おれのところなんか、隣の町の消防が来て、火事を消してくれるから、そんなものは設けなくてもいい、その町の人がこういうことを言つておる。人のもので自分がいいことをしようという考え方をしておる人が、はたしていいか悪いかということも一応考えなければなりません。  それから今の御心配の財政上々々々というお話でありますが、第九條の規定から見ましても、全部を一時に設けろというのじやないのですから、必要の限度において設けて行かれればそれでさしつかえない。一つの町を形成しております以上、一つの村を形成しております以上、その自治体が火事が起つてから、消防を設けて見たところで始まりますまい。それがとかく理事者の中にわからぬ考えを持つておる人がある、そういう理事者のおるところが、現在日本に四十幾つあるのでありますから、そういう人たちには言つてわからなければ、やつてもらうようにするより仕方がない、これは町民なり市民全般の幸福のために、そのくらいのことはしてもらわなければならぬという考えであります。  また地方財政委員会などの意見を聞いたことがあるかどうかというお話でありますが、委員会としては聞いたことがありませんが、私はこういう問題については国政調査に全国に参りましたときにも、少くともあらゆる方面の人に聞いておる。ところが消防を設けぬでもいい、消防を置かぬでもいいと言う人は一人もいなかつた。これは常識として、おそらくここにおられる委員各位――共産党委員はどうであるかしらぬが、消防を設けることが必要ないというようなことをおつしやる人は、おそらく一人もあるまいと思う。これは国民の常識なんです。常識り問題を取上げて、財政の問題がどうのこうのと言われたつて、ただいたずらにむだな時間を費すだけですから、この辺でこういう質問は打切つていただくよう委員長から……。
  102. 立花敏男

    立花委員 川本さんはピントがはずれていると言うのは、私は消防を設けてはいかぬということをちつとも言つてない、場合によつてはいいと思う、設ける必要もあると思います。しかし設ける場合には、それには金がいるのですから、金の問題をどうするかということを考えなければいけないのではないかということを、言つておるのであります。消防を置かぬでもいいというようなことは、決して言つてはおりません、その点はやはり十分お考えにならなければならぬと思います。だからそうピントをはずさずに、まともにお答えを願いたい。その問題は盲点だと思いますが、今お答がないのだからこのくらいにしておきます。  その次は、二十條の問題でありますが、第一国会消防組織法ができましたときには、消防は各町村責任を持つて町村独立のものを持つというのが、消防組織法の根本精神であつたと思う。ところがこの二十條の改正によりますと、国家消防庁が市町村に勧告を発し、また都道府県知事は町村消防を指導し、助言するという言葉があるのですが、こうなつて参りますと、消防組織法をつくりました第一国会の根本精神が非常にゆがめられて来るのであります。これは私どもがただいま審議しておる警察法改正の反動的傾向と軌を一にしておりまして、非常にこれは興味深い問題なんです。この点はなぜこういうふうに消防組織法の根本的精神をお曲げになるのか、この点を御説明願いたい。
  103. 川本末治

    ○川本委員 二十條の市町村長または市町村消防長から要求があつた場合ということがあることは、おそらく御承知だろうと思いますが、国家消防庁が必要に応じということは、何でもかんでも命令を発するといううのでもなければ、消防組織法制定の根本精神に反するような規定の改廃だとは私思つておりません。あなたは思つておるかもしれないのでありますが、私どもは思つておらないということをはつきり申し上げます。
  104. 立花敏男

    立花委員 消防組織法の根本精神は、町村消防を独立させ、他のいかなるものからの指揮命令系統もないということが建前なのです。ところがこの第二十條には府県が町村消防を指導するという言葉があるわけなのです。警察の場合においてすら、現在問題になつております警察捜査権の問題におきましても、自治体警察の独立ということを、自治体警察あるいは自治体公安委員会が主張しております。まして消防の場合において、なぜ府県知事が町村消防を指導しなければいけないのか、これは私重大な問題だと思う。しかもこれは決してここに偶然に出て来たことでありませんけれども、さいぜんも言われましたが、警察法改正と本質的につながつております。こういう点でなぜこういうものをお入れになる必要があるのか、私はこの勧告あるいは指導という言葉は、あなたが他に考えているというように強調されただけでは、解決できない問題なのです。これはぜひとつていただきたいと思うのですが、そういう御意思はございませんか。
  105. 川本末治

    ○川本委員 立花君はここのところを抜かして言つておられるようですが、「市町村長又は市町村消防長の要求があつた場合は、消防に関する事項について指導し、助言を與え、又は設備、」云々と、こう出ておりまして、市町村の方からこういうふうにいろいろなことをしてもらいたいという要求があつた場合に、指導をし勧告をするということであります。私どもは再三さつき申し上げたように、あなたとは見解を異にしております。なおこれをとつてもらいたいがどうかという御希望でございましたが、私どもといたしましてはとる意思は毛頭ないとお答えいたしておきます。
  106. 立花敏男

    立花委員 重ねて警察の場合の例を引きますが、警察の場合でも、自治警から要求のあつた場合に、国家警察は出動いたします。その場合も指導指揮関係はないわけであります。むしろ国家警察自治体警察の指揮系統下に入るというのが原則なのです。ところがこれは逆でございまして、府県の方が指揮するということになつておりまして、この点が警察ですらそういう建前になつておりますのに、なぜ消防がこういうふうな形をとらなければならぬか、これが非常に問題だと思う。やはり消防組織法の原則から言いまして、町村消防は独立である、いかなる場合にも独立である。それが原則なのです。ところが要求のあつた場合には指導することができる。指導するということはこういう條件が出ておるといたしましても、原則をやはり離れておる。こういうことをしなければならぬ必要はないと思うのですが、非常に主観を強調されますので、これ以上申し上げても仕方がないと思います。  その次は地方公務員法との関係なのですが、地方公務員法を適用しないで、地方公務員に準ずるとか、地方公務員法精神にのつとるとか、地方公務員法に基きとかいうように、非常にあいまいな言葉があると思うが、私どもこれで非常に今まで苦労して参りました。準ずると言いましても悪いところだけを準ぜられまして、いいところは準じない点が多い。たとえば現在起つております選挙権の問題にいたしましても、あるいは給與の問題にいたしましても、たとえば具体的な例をとりますと、漁業調整委員会の書記などは、やはり地方公務員に準ずるということになつておりますが、給與の問題などは一向準じてなくて、仕事だけは準ぜられております。こういうようにあいまいな規定がありますと、下の者とりましては、悪い面だけが準ぜられる危険がありますが、これをもつとはつきり明確な規定にする御意思はないでしようか。川本さんは、さいぜん災害補償の問題につきましても、非常に下の消防隊に対する愛情の深いところをお示しになつたのですが、こういうあいまいな規定ではそれが実現できないと思うのですが、これを明確な規定になさるお考えはないかどうか。
  107. 川本末治

    ○川本委員 立花君は小委員じやなかつたかしら。小委員会において御出席の上、そういう御意見を承ると非常によかつたのでありますが、そのときにはさつぱり御発言がなく、こういう成案が出てからいろいろは御意見があり、まことにごもつともな点もあるよう考えられますが、遺憾ながらどうも私は、今あなたの御意見を御意見として承つておくにすぎないのであります。私どもは小委員会決定をいたしました案を、ここにおいてかえようという意思はいまさらございませんで、いろいろ御質問はございましようが、時間の関係で、討論会でございませんので、この辺で御了承を願えればけつこうだと思います。
  108. 立花敏男

    立花委員 ちよつとそれは困ります。私小委員じやございませんし、小委員会は二回お開きになつただけで、あまり大したなにもなかつたようでありまして、やはり小委員会結論を出して、本委員会で十分審議するのが当然でございましよう。その意味から委員長審議をやれとお言いになつたと思いますので、十分ひとつ審議をやらしていただきたいと思います。  もう一つ選挙権の問題ですが、この地方行政委員会にも選挙委員会がありまして、選挙委員会で、実は地方公務員選挙権の問題が、問題になつているわけです。遺憾ながらそれがまだ明文化されておりません。ところが消防の問題につきましては、消防団長も非常勤である以上は現職のまま立候補ができる。団員も現職のまま立候補できるという規定が、この中に盛られておるのでありますが、これは非常に一方的に片手落ちになるわけです。なぜ公務員あるいは公務員に準ずる者に被選挙権を與えないかと申しますと、これはやはりその職を利用する。職を利用して選挙運動をやるということなんですが、こうなりますと消防団長というような職は、地方におきましては村、あるいは町におきましては、やはり相当重大な、何と言いますか、署長さんあるいは村長さん、校長さん、お寺の坊さん、こういうふうなものと同格に並ぶような非常に重要な職なんですが、これが常勤であろうと非常勤であろうと、そういう職を利用するという点においては、私かわりはないと思うのです。そういう点でさつき言つたような、片方において、まだ地方公務員の多くの部分の被選挙権が明確にされておらない場合に、これだけをやることは不満であるし、また消防団長というような職は、職を利用する、被選挙権の建前から申しましても、非常にこれは不適当だと思いますが、この点でなぜこういうような規定を、特に消防団長に限つてお置きになつたのか、これをひとつお聞きしておきます。
  109. 川本末治

    ○川本委員 消防団員だけを他の者より先んじて、公職選挙法の事務の規定から抜いたことが不公平だというような御意見でありましたが、これは消防組織法でございますが、消防団員以外のものまで抜くわけには参りませんで、今選挙委員会の方で御研究になつておりますように、他の職務の職業に対しましては、公職選挙法改正で論議されて、抜くべきものはおとりになる。たまたまこの消防組織法は、これはあなたが御承知のように、消防議員連盟などでは、昨年からやかましく言つて幾度も論議された問題でありまして、消防委員会を開きました回数は少かつたのでありますが、広く消防に関心を持ち、消防関係しておられる衆参両院の議員の諸君を網羅したこの消防議員連盟に幾度も論議された結果、公職選挙法から消防団員の非常勤の者は抜く方がいいじやないかという御意見が非常にありまして、当時は満場一致で、これをすみやかに法文化せよという御希望がありましたので、公職選挙法改正が行われます以前において、この法の制定を見たのであります。お説のようにこれをほかの職と同時に、公職選挙法の中で抜いて行くのも一つの見方でありまして、この方があるいはすつきりするかもしれませんが、遺憾ながらこの方が先に歩いておるわけです、待つていてやるわけには行きませんので、先に行つたものは先にやりまして、ほかのものを抜く場合には、あなたは選挙法の小委員会委員であらせられますので、その方で十分御意見を述べていただきまして、他の業務に対しまして云々ということは、消防組織法でありますから、遺憾ながら消防団員以外のことにはこれを及ぼしません。その点御了承を願つておきます。
  110. 立花敏男

    立花委員 団長はどうですか。
  111. 川本末治

    ○川本委員 同じことです。
  112. 立花敏男

    立花委員 それは違う。特別職と一般職とありまして、団長は特別職に属するので同じというわけには行きません。だからこれは当然消防団長というような者は非常に特殊な地位なんだから、これは選挙権を與える場合でも被選挙権を與える場合でも、特別にひとつ考慮していただきたいと思います。それから消防団員の任命の問題なんですが、消防団員という範囲は、具体的に申しまして現在の町村でどれくらいの範囲が、消防団員となつておるのか。またこれを任命するという場合に、現在あるものをそのまま任命するおつもりなのか、どういう形式で任命をおやりになるのか。また任命されました場合に、どういう義務的なことが生ずるのか。これは任命される者にとりましては一身上の重大な問題なんですから、詳細にひとつ聞かしていただきたいと思います。
  113. 川本末治

    ○川本委員 立花君の質問にもどうも困つたもので、消防団長は消防団員でなければ団長になれない。だから団長と団員というものは、団員なるがゆえに団長となる。そこのところをあなたは御存じなくて、団長と団員が違うというのでは説明に困るのですが、これは……。
  114. 立花敏男

    立花委員 なぜわけて書いたのでありますか。
  115. 川本末治

    ○川本委員 わけているのは職制があるからわけて書いただけで、同一のものなんですから、団員を抜く場合は、当然団長も抜かなければならぬでしよう。団長という名前があつて、団長という名前を入れたというにすぎないのであります。  それからもう一つ任命の方はどういうふうにしてするか。人数はどうするかというような問題は、その市町村自治体消防上の必要によつて、それだけのものをきめたりすべてのことをやるのですから、そういう事務上のこまかい問題は、幸いに事務当局の消防の方の人も来ておりますので、専門の方にゆつりお聞きになつた方が、私がお答えするよりもよくわかると思いますから……。
  116. 立花敏男

    立花委員 団員の義務です。
  117. 川本末治

    ○川本委員 そういう事務上のいろいろこまかいことは、事務当局がおりますから、事務当局の者にお聞きする方がはつきりすると思うのです。
  118. 立花敏男

    立花委員 団長と団員といろものは別々のものではない、そういう考えを持つておるから……。
  119. 新井茂司

    ○新井政府委員 これは従来からもそうでありまするし、また消防団だけに限つた問題ではございませんが、任命をする場合には任命を受ける者の意思というものは当然予想される問題でございまして、消防団の場合におきましても私は同一の関係だと思います。無理押しに本人のがえんじないところを任命するというようなことは、あらゆる方面においてできないのが、現在の建前だと思います。
  120. 河原伊三郎

    ○河原委員  議事進行について……。質疑を打切つて議事の進行をはかられんことを望みます。
  121. 前尾繁三郎

    前尾委員長 ただいまの河原君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  122. 前尾繁三郎

    前尾委員長 御異議なしと認めます。  門司亮君、質疑でなしに、発言があればこの際これを許します。
  123. 門司亮

    門司委員 それでは、実はこれはさつきの討論のときに申し上げる意見でありますが、委員長のお許しを得て一応意思表示をしておきたいと思います。  本案に対しましてはほかに異議はございませんが、ただ最後に書いてあります附則の二でありまするが、非常勤の消防団員の諸君に対して立候補のできるようにするというこの條項であります。もとより非常勤でありますので、公職選挙法、あるいは地方公務員法等によりましても、非常勤はこれを別に取扱つているのは御存じの通りでありますから、われわれこれに対して法文上の解釈としては異議はございませんが、実際上の問題といたしますると、地方町村におきましては、大体消防団の団長であり消防団の役員というような人は、従来のわれわれの観念から申し上げますと、言葉は少し悪くはありますが、地方のボス的存在の人が比較的多いということは、私はつきり言い得ると思う。それがそのまま立候補するということになつて参りますと、これはやはり相当政治的に影響がないとは私は断じで言えない。必ず私は影響があると思う。しかし公務員の非常勤であるという建前から申し上げますならば、先ほど申し上げたことで、この二つの現実の問題と理論上の問題との調和をいかにはかるかというこの問題は、やはり相当研究を要する問題だと考えております。同時にはつきり申し上げておきますが、過般の岐阜県の選挙において、揖斐郡以東の消防団員の諸君が、特定の候補者を応援することのために結社届をして、この消防団が政治結社と化したというよう情報を実は得ておるのであります。これは確かにそうなつておるかどうかということを、私が消防庁に頼んで調査をしていただいておりますが、まだ今確答を得ておりませんので、私はここではつきり申し上げるわけには参りませんが、本年一月の十三日の新聞かと考えておりますが、十二月でありましたが、あの地方の新聞にそういうことが実は書かれておつたのであります。こうなつて参りますと、これは一方においてはこれを非常勤として公職選挙法の中から除く、しかもその所属する団体は政治結社になり得る可能性を持つておるということになつて参りますと、私は必ず将来これは選挙の上にいい影響は及ぼさないというよう考えます。ことに御承知のように、一たび選挙で争いますると、敵、味方にわかれてなかなか融和がとれない。従つて村の、あるいは町のそれ以後の消防団の組織にも、これが非常に大きな影響を及ぼす可能性を持つているというよう考えられる。こういうよう考えて参りますと、実質上の問題といたしましては、きわめて考慮しなければならない問題があると考えまするので、特にこの條項につきましては、ひとつ起案者並びに関係当局におきましては、そういう間違いのないように、十分御注意を願いたいということを、この機会に私は強く要望いたしまして、一応私の意見を終りたいと思います。
  124. 床次徳二

    ○床次委員 この機会に一言希望を述べたいのでありますが、この法案の趣旨はごもつともで私どもは賛成でありますが、今日の消防の実情から見まして、先ほどいろいろ御議論がありましたが、財政的基礎を一日も早く充足いたしまして、この消防の充実に資するようにする必要があると思う。特にこれは地方財政の一般交付金の問題に関連して充実しなければならないのでありますが、しかしさしあたつて消防の起債の問題に関しましては、当局も相当考慮していただきたい、今日の時代におきましてはほかのものよりも優先して、この消防資材の充実に対する起債に対しましては許可せられるように、当然努むべきだと思います。また水道に関しましてもこれと密接不可分でありまして、これに対しましてもやはり優先的な起債許可の配意をせられるように、特に要望しておく次第であります。  なお地方財政一般平衡交付金等の問題に関しましては、警察の問題あるいは消防の問題に同じく関連しておるのでありますから、当委員会におきましてもこの充実方に対しましては、特に政府に対して厳重に要望いたしまして、この法案を成立せしめたいと考えます。
  125. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それではこの際お諮りいたします。本案を本委員会の成案として、これを委員会提出の法律案とするに賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  126. 前尾繁三郎

    前尾委員長 起立多数。よつて本案を本委員会の成案とし、委員会提出の法律案とすることに決しました。     ―――――――――――――
  127. 前尾繁三郎

    前尾委員長 続いて選挙に関する件を議題といたします。ただいま選挙に関する小委員長生田和平君より報告したい旨の申出がありましたので、これを許します。生田選挙に関する小委員長
  128. 生田和平

    ○生田委員 この際選挙に関する小委員会における公職選挙法の一部を改正する法律案の起草の経過並びに結果に、ついて御報告申し上げます。  本小委員会は昨年十二月十一日に設置され、私が小委員長に選任せられたのであります。去る一月三十一日最初の小委員会を開会し、小委員会運営等について協議いたしたのであります。その結果公職選挙法改正は来る四月の地方選挙に必要な限度において改正すること、従つて四月の選挙に間に合せるためには、ぜひとも二月中に衆参両院を通過させるようにしたいこと等意見の一致を見ましたので、各党において、改正意見があれば小委員長まで提出することにいたしたのであります。爾来数回にわたり開会いたしまして、公職選挙法改正について慎重に協議を重ねました結果、昨日ようやく小委員会の成案を得た次第であります。その改正のおもなる点について御説明申し上げたいと存じます。  一、都道府県の議会の議員の選挙は三十日前に告示することになつているのを二十日前にすることに改めること。なお都道府県の議会の議員の選挙と、都道府県知事または、都道府県の教育委員会委員選挙を同時に行う場合は、従来通り三十日前とすること、投票所の開閉時刻は、特別の事情のある場合に限り、都道府県の選挙管理委員会の承認を得て、二時間の範囲内において市町村選挙管理委員会が、これを繰上げまたは繰下げることができるものとすること。  三、全国選挙管理委員会の指定する交通至難の島その他特別の事情のある地域については、同一郡市の区域内においても不在者投票ができるものとすること。  四、地方公共団体の選挙における不在者投票について、投票用紙の様式は当該選挙管理委員会が定める旨の原則を政令で例外を設け得ることとすること。  五、公務員の立候補制限を、臨時または非常勤の嘱託員またはこれに準ずる職にある者で政令で指定する者、及び非常勤の水防団員に対し緩和すること。  六、自動車、拡声機及び船舶の使用制限を新たに都道府県の議会の議員、市の議会の議員、市長及び市の教育委員会委員についても行うこととし、この場合において選挙運動用自動車のために要した費用は、五大市の市長の選挙の場合を除いて、候補者の乗用する分も含めて選挙運動費用に加算することとすること、  七、都道府県の議会の議員、市の議会の議員、市長及び市の教育委員会委員選挙についても、新たに一定枚数の通常はがきの頒布を認めることとし、その費用は有料とすること。  八、長の決選投票の場合のポスターの枚数を規定すること。  九、選挙管理委員会の行う選挙当日のポスターの撤去は、選挙の前日及び当日においてすることに改めること。  十、市町村選挙について、公営立、会演説会を條例の定めるところにより開催し得る道を開くこと。  十一、五大市の市長の選挙について條例の定めるところにより、選挙公報を発行し得る道を開くこと。  十二、都道府県の議会の議員、市町村の議会の議員、市町村長及び市の教育委員会委員選挙についても、新たに候補者の氏名等の掲示を行うこととし、その場所は一般投票区につき一箇所とすること。  十三、立候補を辞退した場合の燃料、用紙の返還義務の規定に通常はがきを追加し、新たにはがき、乗車券、燃料、用紙等の讓渡禁止の規定を設けること。  十四、はがき、乗車券、燃料、用紙等の讓渡禁止の違反に対する罰則を設け、その他罰則規定中、所要の整備を行うこと。  十五、五大市の選挙管理委員会と、その区の撰拳管理委員会との職務権限の限界を、政令で定めるところにより明確化すること。  十六、選挙に関する届出、請求、申出その他の行為は執務時間中にするために、午前八時から午後五時半までの間にすることとすること。  十七、附則において、鹿兒島県大島支庁管内(大島郡)十島村のうち黒島、竹島及び硫黄島の選挙区の所属についての特例を設けること。  十八、地方公共団体の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律の規定により行う地方選挙の期日の告示は、昭和二十六年四月三日に統一して行うこととすること。  十九、その他これらに関連する必要なる規定の整備等を行うこと。でありました。  小委員会は多数をもつて以上の成案を認めたのであります。  なお本案に対しまして意見がございましたので、この際あわせて申し上げておきます。社会党の門司委員より、船員の基本選挙人名簿に対する船員の補充選挙人名簿調整規定を設けるべきである等の御意見がありました。また立花委員より、軍事裁判により刑を受けた者の選挙権の問題、選挙権の拡充並びに選挙運動に関する一切の制限の撤廃等、種々御意見がありましたこと、この際御報告申し上げておきます。  以上公職選挙法の一部を改正する法律案の起草の経過並びに結果について、御報告いたしましたが、本案はさきにも申し上げました通り、来る地方選挙に必要な限度において改正いたしましたので、本案の両院通過成立が遅れますと、地方選挙に相当の混乱を與えることとなるのであります。何とぞすみやかに本委員会において成案を決定せられるより希望いたします。以上をもちまして御報告を終ります。
  129. 前尾繁三郎

    前尾委員長 ただいま生田小委員長より、公職選挙法の一部を改正する法律案の起草の経過並びに結果について報告がありましたが、同法案に対し質疑なり御意見があれば、これを許します。
  130. 門司亮

    門司委員 委員長の報告の中に、ひとつ考えてもらいたい点がある。ちよつとおりしやつた点だと思いますが、海員の補充人名簿、並びに海員が地方選挙に十分投票のできるようにしてもらいたいということは、現行法では御存じのように、ほとんどこれが不可能になつておりますので、これをぜひ入れてもらいたい。この海員の問題につきましては、二つの形がございます。  一つは船員法による船員でありまして、いわゆる船舶法の適用を受けておる二十トン以上の船の諸君の基本名簿はあるが、補充人名簿がないということ。もう一つは、それ以下の港内船舶あるいは少し大型の漁船というものに従事しておる者が居住の関係で、法の運用で適宜行われるということも、一面考えられるのでありますが、法文の中に明記してございません関係から、御承知のように家族は陸に置いておいて、自分の生活根拠といいますか、配給を受けます面が船の中にあるということで、居住の関係がきわめてあいまいな面があるわけであります。しかし実際はそこにいることは間違いがないわけであります。こういう者に対しましても、明確に法文化し、できるだけ選挙権を與えるということが、正しい行き方ではないかと考えておりますので、法案の起草にあたりましては、なおこの点を十分御考慮を願いたいと考えておるのであります。  もう一つは、報告の中で私漏れておると思いますことは、地方公務員法が制定をされまして、附則の二十項になつております地方財政法第六條の規定による業務、ガス、水道、電気、軌道というような、地方公務員法におきましては一般職から除かれることになつておりますもの、これらの諸君に対して、公共団体に対する公企労法といいますか、それらの法律ができ上つて参りますれば、当然これらの諸君は現在の国鉄あるいは船舶と同じような形で、立候補または兼職等が許されるようなことになるかと存じますが、現行法によりますと、なお従前の例によるということになつておりまして、政治活動の面は政令二百一号ではずされておりますが、立候補の点は、公職選挙法で縛られておりまして、立候補できないという形になつております。その間のきわめて時間的の微妙な関係を持ち合せておりますので、従つてこれを当然はずされるべきのものが、現行法によつて、法律の制定の時期によつてこれが制約されるということは、われわれとしては非常に不本意でありますので、ぜひこの間の事情を十分にひとつ調査をしていただきまして、いずれかによつてこれらの諸君がやはり被選挙権を得るように、ぜひお運びを願いたいと考えておるのであります。  さらに同法附則第二十一号に規定されております例の單純労務の問題でありますが、これは法律が間に合いませんで、政令で一応わくがきめられて、單純労務として、一般職からはずされる範囲が定められておるのであります。従つてこれらに対しましては政令で、あるいは一般公務員としての取扱いでなく、これが現職のまま立候補のできるように定められるような今の御報告を聞いておりますが、これは政令である関係から、政府がこれを決定すればよし、政府がもし、われわれはそういう気持で法律をこしらえたが、しかし政令でこれは規定しなかつたということになると、法律だけができて、実質上の問題としては何にもならないというようなことができないとも限りませんので、従つてこの法案の制定に対しましては、その間われわれも十分努力はいたしますが、委員長もひとつ努力をせられて、遺漏のないようにしていただきますことを、この機会に希望いたしておきます。
  131. 立花敏男

    立花委員 その点に関連して、実は私どもの方でもいきさつを調査したのですが、昨日でしたか、参議院の方で、労働大臣並びに局長が、地方公務員の公共企業関係労働法あるいは單純労務に関する労働法、これは多分五月にも出せないのじやないか、本国会には間に合わないのじやないかということを言つているわけです。私ども選挙の小委員会においては、そちらの方で規定するのがいいじやないか、一応そちらの方とにらみ合せて考慮しよう、というところまで話が来ておつたのですが、実は調べてみますと、労働省の方ではもう本国会に間に合わないというようなことを、所管省のおえら方が言つておりますので、これは一度お打合せ願つてもけつこうだと思いますが、こちらの方は向うの方を待つている、向うの方はやらないということになりますと、結局今度の地方選挙は、今言つた関係の候補者が選挙に関して非常な制限を受けますので、この点は至急御調の上、はつきりした対策を立てられることを要望いたすのであります。
  132. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは後刻よく協議していただくことにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。     午後四時十四分散会