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1951-02-08 第10回国会 衆議院 地方行政委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月八日(木曜日)     午前十一時二十五分開議  出席委員    委員長代理理事 河原伊三郎君    理事 野村專太郎君 理事 龍野喜一郎君    理事 門司  亮君       生田 和平君    大泉 寛三君       門脇勝太郎君    川本 末治君       吉田吉太郎君    床次 徳二君       山手 滿男君    大矢 省三君       立花 敏男君  出席政府委員         地方財政委員会         委員      木村 清司君         総理府事務官         (地方財政委員         会事務局財務部         長)      武岡 憲一君         地方自治政務次         官       小野  哲君  委員外出席者         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 二月八日  委員加藤充君辞任につき、その補欠として立花  敏男君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方自治に関する件  地方財政に関する件     —————————————
  2. 河原伊三郎

    ○河原委員長代理 これより会議開きます。  委員長は都合により御出席になりませんので、その指名によつて私が委員長の職務を行います。それでは地方自治に関する件、地方財政に関する件を一括して議題といたします。質疑の通告があります。まず床次徳二君に質疑を許します。床次君。
  3. 床次徳二

    床次委員 昨日木村地方財政委員より地方財政委員会政府案との差について、簡單な御説明をいただいたのでありますが、相当数字に大きい開きがありまして、運用上はたしてこれでもつて地方財政が欠陥を生ずるか生じないかという点は、今後重大な問題が起ると思う。なおその点は、実は本年度においても大きな問題が残されておつたのでありますが、地方財政委員会が推定されました本年度赤字が、年度末に行つてどのようになるか。それが来年度に引継がれました場合に、来年度に予想されました赤字に、さらにそれが加わることになるだろうと思うのでありますが、その点は財政委員会ではいかように本年度財源不足を生ずると御算定なつておるか。まずそれから承りたいと思います。
  4. 木村清司

    木村(清)政府委員 おそらく数多い地方予算でありますので、その点については資料收集中でありまして、近く提出することにいたしますが、実は今年度におきましては、市町村府県とを考えてみますと、市町村の方に財源相当に供与されたのです。しかるに府県の方は御存じのようなわけで、財源の供与が非常に少い。しかしながら人件費の圧迫は、教員俸給を持つています府県においては非常に多いという結果が、地方財政に及ぼす影響は、市町村府県とを概観いたしますと、その府県の方に非常に重圧が加わるのではないかというように考え、これは確定的な数字を申し上げる段階に至つておらないことは恐縮でありますが、その点は、大体のところは床次さんのよく御推察のできるところと思いますが、そういたしまして実は今年度におきましては、あるいはいろいろの事業の繰延べとか、あるいは負担金支拂いの延期とかいうような各種の方法を講じて、ある程度あるいは財政つじつまを合せ得るのじやなかろうかと思いますが、明年度におきましては、これのしわ寄せが全部明年度に加わるということになるのであります。  それからもう一つは、今年度のべース・アップは三箇月しか見ておらないのが、来年度においては全額見なければならぬという点が、相当の大きな問題になつて来るのであります。それから来年度の年末賞与は、昨年度給与標準といたしましたが、今年度におきましては、新しい給与ベースアップ標準によらなければならぬという点において、また重圧が加わると思います。それから実はこれは私ども当初これを算定いたしましたときに、政府は千円のベースアップという点を言われたものでありまして、詳細な内容の検討をいたしましてそれが一体職階制で、どの程度になるかということに関する正確な測定方法がなかつたので、かりに従来の基準の高いものについては、その比例によつて行くだろうという考え方を持つて、一応基準にしたので、この程度のものが出て来ておるわけでありますが、実際やつてみますと、今度のベースアップ比例じやないのですね。職階制の下の者が非常に多い場合においては、平均給は千円でよろしいけれども、中間の者が多い場合においては、それが比例じやなしに、もつと上る率が多いというように考えなければならぬのであります。現に私ども地方財政委員会職員だけにつきましても、約千八百円上るという統計が出て来るわけであります。その点につきまして、私ども後ほど御説明申し上げます基礎自身においては、ややあるいは過少見積りじやないかという懸念もしておるのでありますけれども、この点なんかは詳しい確実な資料がない以上は、御説明申し上げ得ませんけれどもベースアップの点において、従来のベースアップ違つて職員構成の差異が大きく響くという点があるのじやないかと思うのであります。ことに教職員は、割合に勤続年数が長く、そういう固定した職員階層を持つておる道府県におきましては、そのベースアップ相当よけいに響くのじやなかろうかと思つております。それで実はこの点は、今年度赤字推計よりも、明年度においては非常になお響くのではなかろうかと私は推察しておりますが、お求めの数字につきましては、全部というわけに行きませんけれども、できる限りの資料を收集いたしまして、すみやかに委員会に提出したいと考えております。
  5. 床次徳二

    床次委員 次に概論的にもう一つお伺いしたいのは、今後地方財政支出に対してできる限り節約を加えなければならぬという問題も、同時に論ぜられて参ると思うのであります。この点に関しましては来年度地方歳出の予想としまして、どの程度に考慮してこの数字を出しておられるかということであります。
  6. 木村清司

    木村(清)政府委員 地方財政の総支出中、人件費を除きました物件費につきましては一割の節約を見まして、八十億ということで私ども予算を推定しております。
  7. 床次徳二

    床次委員 地方歳出節約の問題につきましては、これは個々の項目についているくなお研究をしなければならぬと思いますが、一応こちらにいただきましたところの資料によりまして、政府算定地方財政委員会算定につきまして、昨日委員会から御説明を承りましたが、もう少し詳しい御説明をこの際順次していただいたらいいと思います。一々質疑応答ではなしに、初めから一応全部やつていただきまして、その後でまたお尋ねしたいと思います。
  8. 武岡憲一

    武岡政府委員 それでは私から、お手元に提出してございます資料に基きまして、昭和二十六年度平衡交付金総額として地方財政委員会政府に勧告いたしました千二百九億七千五百万円の算定基礎、並びにそれと政府案との相違いたしております点を御説明いたしたいと思います。  地方財政委員会におきまして明年度地方財政平衡交付金総額算定するにあたりましてとりました方法は、明年度におきまして地方財政需要がどれくらいふえるかという点を算定いたしまして、それに対するいかなる財源措置が講ぜられるべきであるか、こういう点を検討いたしたのでございます。お手元に一月十一日付をもちまして、地方財政委員会から内閣に提出をいたしました文書の写しを資料として提出してございますが、それによつてごらんを願いたいと存じます。  まず明年度におきまして地方財政需要増加いたしまする総額として地方財政委員会算定いたしましたものは、総額七百十一億六千六百万円に達しております。その内訳につきましての算定基礎を申し上げますが、第一は給与ベース改訂による増でございます。これは既定地方職員の数が百三十一万四千人ございましたが、これに二十六年度新規増加する見込みでございます二万三千人というものを加えて百三十三万七千人の職員もとにいたしましてそのベース・アツプを大体六千三百円ベースに対して千円上げる、大体比率において一割五分ほどになつておりますが、その比率を各職員区分別に現給の給与単価にかけまして、合算をいたしましたものでございます。その総額が百七十六億八千二百万円となつております。  その次は、年末手当支給に要する経費でございますが、これは先ほど申し上げました職員数基礎にいたしまして、その給与月額総額の二分の一を計上いたしたのでございます。  第三の教職員給与の特別俸給表切りかえによる増、昨年の十一月人事院の通達によりまして国家公務員であります教職員について、いわゆる級別格づけの基準改訂が行われたのであります。教育公務員特例法によりまして、地方教育職員につきましても同様の例によることになつておりますため、それによつて地方教職員について、この待遇改善に伴つて要して参りまする財源所要額増加額算定いたしたものでございます。大体算定方法といたしましては、文部省の資料に基きまして計算をいたしたのでございます。これが年間を通じまして二十二億六千七百万円という数字が出ております。  次は給与ベース改訂に伴う共済組合費等の増、これは給与ベースが上るに伴いまして当然その負担額がふえて参りますし、それから一方負担率が今回改正になりましたので、それによる増加を見込んだのでございます。その額が十三億九千七百万円でございます。  五番目は同じく恩給費についての増でございまして、これは給与ベース改訂に伴いまして恩給費増額する分でございまして十億三千百万円でございます。  六番目は厚生施設費補助、そのほか今回国が国家予算に盛つておられます国の施策に伴いましてふえて参ります地方負担額増額分計算いたしたのでございますが、そのうちいわゆる国庫負担金を伴つておりました行政系統、すなわちA系統経費と称しておりますが、この関係のものが三十四億五百万円でございます。これは各省がら要求いたして参りました経費につきまして、地方財政委員会で各省とも十分に協議いたしまして、この行政を執行するのに必要最小限度と考えられます所用経費査定した決果、三十四億五百万円という数字を出したのでございます。  その次は普通補助金を伴う行政系統、すなわちB系統補助金でございますが、これは大蔵省査定いたしました国庫補助金の額をもとにいたしまして、それに伴つて生ずる地方負担額を逐一計算いたしまして結局、六十一億四千六百万円地方負担がふえるという計算が出たわけでございます。合せましてその関係で九十五億五千百万円の増ということになるわけでございます。  第七番目は小学校児童数あるいは人口増加に伴いまして生じて参りますいわゆる自然増でございます。そのうち国の負担金補助金を伴いますもの等については前項においてその計算の中に入つておりますので、その分を除きまして、純粋の地方負担経費において生じまする自然増計算いたしましたものが、二十五億一千七百万円でございます。  八番目の公債費、これは減額でございますが、御承知のように、さき預金部融資貸付条件が緩和せられまして、利子が七分五厘から六分五厘に引下げになりましたり、その他融資条件の緩和に伴いまして明年度においては、公債費は本年よりも減少して参るのでございます。その額を三十二億六千八百万円と算定をいたしたものでございます。  九番目は地方選挙に要する経費でありまするが、これは本年行われまする地方の首長及び議員の選挙に要しまする所要経費でございまして、これを全国選挙管理委員会の要求に基きまして査定をいたしました結果、二十億七百万円と算定をいたしたのであります。  以上がいわゆる経常的な諸経費の増でございまして、その合計が三百八十九億八千五百万円となつておるのでございます。  その次は公共事業等に伴いまするいわゆる臨時的な諸経費地方負担の増でございまして、(イ)の普通、(ロ)の災害一般公共事業及び災害公共事業におきまして合せまして二百四十五億ほどの増加ということになるのでございますが、これは今回計上せられております国の公共事業費に見合いまする、地方負担増加分計算いたしたものでございまするが、この経費は国の公共事業費の各費目別の配分の基礎がかわつて参りますると、多少数字に異動が起つて参るかと存じますが、この点はあらかじめ御了承を得ておきたいと存じます。現在算定をいたしましたところでは、一般公共事業関係で九十六億三千七百万円、災害におきまして百四十九億一千六百万円の負担増ということになつておるのでございます。  なおこの災害に伴いまする地方負担分は、災害復旧国庫負担特例法が二十五年度をもちまして失効いたしまする関係から、二十六年度負担といたしましては、一応いわゆる旧制に帰りまして、三分の二国庫補助、こういう基礎において計算を出しております。この点御了承を願いたいと存じます。  その次は失業応急事業費でありまするが、これは二十六年度失業応急事業国庫補助金が七十七億五千万円計上せられておりますが、それに伴いまする地方負担分計算いたしたものでございます。その算定基礎は大体労働省が地方にこの事業を執行するにあたりまして指導いたしておりまする方針にのつとりまして、事業総額の七〇%を労務費、三〇%を資材及び事務費こういう内訳にいたしまして七十七億五千万円の国庫補助金基礎計算をいたしました結果、地方負担分が四十六億二千八百万円明年度において増加をする、こういう数字が出ておるのでございます。  最後単独公共事業費増加分三十億でございますが、これは従来災害復旧国庫負担事業査定額が一件七万五千円から十五万円に上つております関係から、その足切り関係地方負担増加いたしまするものが大体三十億ほどあるわけでございます。それを見込みまして、来年の新規事業分として三十億をここに計上いたしたのでございます。  母上合せまして公共事業に伴います負担増加分がそこにございますように一青二十一億八千百万円ということになるわけでございます。そこで経営並びに臨時双方合せまして、総額七百十一億六千六百万円が、明年度において地方負担増加分ということに相なるのでございます。  それに対しまする財源措置でございまするが、まず第一に地方税増収百七十八億七千三百万円というものを計上いたしたのでございます。もとより地方財源措置を立てまする場合に、いたずらに地方税増収、増徴に期待するということは、必ずしも適当でないと存ずるのでございまするが、地方財源として最も重要な地方税の確保をはかる、こういう意味合いからいたしまして、今回政府におかれましても、地方税法の一部改正をはかられることになつておりまするので、かたがた国民所得増加に伴いまする自然増の分も合せ見込みまして明年度におきましては、総額二千八十七億の地方税収入額を見込んでおるのでございます。そこで本年度におきまして千九百八億の税を見込んでおりましたので、それに対してふえます分が百七十八億七千三百万円というものをまずここに掲げたわけでございます。  その次は地方債増額でございまするが、これはさき臨時的経費増加分が三百二十一億八千百万円あるわけでございますが、いろいろ起債に関する事情等も勘案いたしまして、そのうち公共事業一般並びに災害分二百四十五億の全額、それに失業応急事業費のうち資材費が大体三十億ございますので、その三十億と単独公共事業費の三十億を合せたものにつきまして、大体半分を起債、半分を一般財源、こういうふうな措置を考えまして三十億を加えまして、合せて二百七十五億を起債に見る。こういう措置を考えたわけでございます。  それから先ほど御指摘のございましたように、地方経費歳出節約の問題でございますが、これも地方におきましてかくのごとき財政需要増加するにいたしましても、この全部の補填を国費あるいは起債に期待するというわけにも参りませんので、できるだけ既定経費節約をはかつて、財源措置つじつまを合せて行くようにするという精神もございますので、物件費の大体一割程度八十億一千四百万円を節約に充てるという計画を立てたのでございます。  それから税外収入——手数料あるいは使用料等税外収入におきまして、これは明年度におきまして本年度よりも一般増収十八億四百万円を見ることができますので、これもここに合せて掲げたのでございます。それによりまして、結局最後に百五十九億七千五百万円、これだけは交付金増額分でまかなつて参りたい。従いまして昭和二十五年度の当初の地方財政平衡交付金一千五十億に加えますると、総額が千二百九億七千五百万円、こういう数字が出て参つたのでございます。  そこで地財委では以上のような計画を立てたのでございまするが、それに対しまして政府案におきまして査定をいたしました案とは、相当開きを生じておるのでございまして、その相違点につきまして、以下御説明申し上げたいと存じます。まず給与ベース改訂によりまする増額分、これは地財委で百七十六億八千二百万円と算定いたしたものに対しまして、政府では百五十九億四千九百万円と見ておるのであります。これはまずその算定基礎におきまして、その基礎となります職員の総数におきまして、その次のところに説明をしてございまするが、八千八百三十九人の相違を来しておるのでございます。これは主として、後ほど申し上げまするが、A系統の諸経費の中で地財委査定をいたしましたものと、大蔵省査定いたしたものとの中に相当開きがございまして、それから出て参つておりまする新規増員分開きでございます。それが八千八百人ほどあるわけであります。それからいま一つは、引上げるべき単価算定方法相違であります。地方財政委員会におきましては、さきにも申し上げましたように、六千三百円ベースが大体千円上る、こういう基準のものを各職員種別ごと給与単価にかけて出したわけでございますが、政府の案ではただ一律に頭割千円というものをかけて出しておるのであります。この点は前国会におきまして三十五年度補正予算算定をいたしました際にも、同じような相違が現われておつたのであります。  その次の年末手当支給に要する経費でございますが、地財委で五十八億百万円を要求いたしましたのに対しまして、政府では七億二千百万円しか計上しておらないのであります。その理由は、対象人員におきまして、先ほど申し上げましたように、八千八百三十九名の違いがあるわけでございます。そのほかその手当算定方法といたしまして、地財委では給与ベース改訂及び職員待遇改善をやりました後における、新らしい給与月額総額の二分のという計算をいたしましたのに対しまして、政府ではただ給与ベース改訂及び待遇改善によりまして増加いたしまする分の二分の一、こういう計算をいたしております。その根拠は先ほど木村政府委員からも申し上げた通りでありますが、要するに昭和二十四年度におきまして、地方団体においてはすでに年末手当支給しておる。従つてその分はすでに既定地方予算額に入つておるわけであるから、新規需要は見ない、こういうのが大蔵省見解であります。それに対しまして地財委といたしましては、二十四年度においてはなるほど年末手当支給はいたしましたけれども、私どもが立てておりまする地方財政計画におきましては、そういう種類の臨時的な経費を除きまして、経常的な諸経費についてのみ算定をいたしまして計画を立てておるのであります。従いまして二十四年度支給をいたしましたその経費につきましては、二十五年度財政計画には算定いたしておらないのであります。その点でどうも大蔵省と私どもとの間における見解相当相違いたしておりまして、その点が食い違いとなつて現われて参つておるのであります。  次に教職員給与級別格付基準改訂に上る増、これも地財委の二十二億六千七百万円に対しまして、政府は十三億四千三百万円、九億何がしの開きが出ておるのでありますが、これは下にもございますように、一人当りの増加単価につきまして大蔵省査定地財委でやりました査定開きがあるのでございます。  四番目の共済組合費、五番目の恩給費、これは一致いたしております。それから国の施策に伴う地方掛額の増につきましては、いわゆるB系統、国の補助金に伴いまする地方負担増額分につきましては、数字も一致いたしておるのでありますが、A系統経費、いわゆる国庫負担金を伴つております、今回平衡交付金に金額計上されます行政系統のものにつきまして、約十七億の相違を来しております。その十七億の内訳は、その説明書の第四枚目のところに出ておりまする各経費種類ごと比較表をつけてございまするから、詳細は資料によつてごらんを  願いたいのでございまするが、おもな点を申し上げますると、その二番目にありまする社会福祉主事事務費、これが地財委案政府案と約四億ほど違つております。これは本国会に提案になりまする社会福祉事業基本法、この法律の施行に要しまする経費でございまするが、地方財政委員会大蔵省との間で、その事業のために新規増員を要しまする人員につきまして、大体千五百人ほど食い違つておりますし、それからその職員給与単価もやはり偉つておりましてそれから出て参つておる相違でございます。それから、大きなところを拾つて申し上げますと、中ごろに食品衛生監視員費、これが約二億二千四百万円ほど違つておりますが、これは食品衛生法施行令改正によりまして、いわゆる採点制が強化せられることになるので、それによつて相当人員がいるということで、地財委におきましては、所管省主張をもつともと考えまして最小限二億程度増加を計上いたしたのでありますが、政府案におきましては、これは既定経費をもつてまかなえということで、新規増を認めておらないのであります。それから主要食糧配給指導職員費、これが三億八千万円ほど開いております。これは食糧管理法施行令改正によりまして、いわゆる食糧配給公団が廃止になるわけでございますが、それに伴いまして、従来公団が行つて参りました事務が、地方団体に移管されるわけでありますが、それに対しまする諸経費地財委で大体五億一千万円ほど査定をいたしたのでありますが、政府におきましては、この事業につきましても従来の職員をもつて処理すればよろしいということで、新規増最小限度査定をいたしておるのであります。大体この関係では人員の差が五千人ほど出ております。そういうところから来ておりまする差額であります。大体大きいところはそういう点であろうと思います。  次に小学校児童その他あるいは人口増加等による、いわゆる自然増についての見解相違でありますが、大蔵省におきましては、この自然増のうち、一部のものは他の、たとえば単独事業費に三十億の増額を認めておる。そうすれば自然増の中の一部は、その増額の中で見ることができるのではないか。従つてこの費目と単独事業の三十億というようなものの中には、重複する部分があるだろう、こういう主張で、地財委で出しました二十五億に対して、七億ほど査定を加えたのであります。しかしながら私ども単独事業費に三十億の新規増を認めましたのは、さきにも申し上げましたように、災害復旧国庫補助いたしまする基本査定額が上つて来たということに伴う自然増加分を見たのでありまして、道路の面積がふえたとか、あるいは河川が延長したとかいうことによる自然増を見ておるのではないのでありまして、この点も政府案地財委案との見解のわかれということになつておるわけであります。  それから公債費の減におきまして若干の開きがございますが、これは二十六年度起債計画相違いたしておりまするし、また二十五年度計算の元になる公債費の推定額が多少見込み違いがございますので、三億ほどの開きなつておるのであります。  地方選挙経費は、これは一致いたしております。それから臨時経費におきまして、普通並びに災害負担分は、いずれも同じ数字であります。ただここでは失業対策事業費におきまして、二十四億ほどの開きが生じておりますが、これは地財委算定方法は、さきに申し上げましたように、総事業費のうち、七割を労務費、三割を資材及び事務費という計算で立てておるのでありますが、それに対して政府案におきましては、国からの補助基本額によつてやればよろしい、こういう計算なつておりますので、二十四億の開きが生じたのであります。以上が大体歳出財政需要増加部面につきましての見解相違であります。  次にそれに対する充足方法につきましての考え方の相違でございまするが、既定経費節約、それから地方税増収、これはいずれも数字が一致いたしております。次の地方債増額でございますが、政府におきましては、二十六年度起債総額を四百億ということにきめましてそれを元として、ことしからの増額分九十億というものだけを起債増額として見、そのほかのものは、他の財源でもつてこれに充てる、こういう計画を立てておるのであります。地方財政委員会におきましては、その四百億という数字をとりませんで、ともかく性質上起債によつて充てるべきであろうと考えられまする地方負担の増が先ほど申し上げましたような数字になりますので、それをそのまま地方債に充てて行きたい、こう考えておりますので、百八十五億ほどの相違が出て参つたのであります。  その次の税外収入増収、これがごらんのように著しく相違をいたしております。この点はさきの臨時国会におきましても同様な問題がございましていろいろ御審議を煩わしたのでございますが、地方財政委員会としての主張は、その説明書にも一応掲げてございますので、詳細はごらんを願いたいのでありますが、要するに手数料あるいは使用料、また繰越金というような税外の収入は、決算の実額から申しますならば、なるほど相当額が現われて参りますけれども、いずれもその使用目的のきまりましたいわば目的税的な歳入でありまして、これをそのまま一般財源に充てるというのは、どうも地方財政計画を立てる上から見ましておかしいのではないかというのが私どもの一貫した考え方であります。それに対して政府におきましては、ともかくもそれだけの歳入が上つておる。別にこれが特別会計というわけでもないから、これがふえて来れば他の一般財源を減らしてもいいのではないか、従つてこれを一般財源に見るべきである。こういう根本的な考え方の相違が、こういつた数字開きに出て参つておるのであります。特に今回政府案におきまして、前年度よりも百八十一億何がしという増額を見ておりますのは、その説明書の中にも書いてございますが、繰越金におきまして二十五年度よりも二十六年度にその程度増額を見ておるのであります。しかしながら繰越金は御承知のように、これは年年前から繰越して来、その前年度のものを次年度に繰越して行くという性質のものでありまして、その繰越金をその年度の歳入として見るならば、それに見合うところのその年の歳出というものを立てませんことには、翌年度への繰越しということが非常におかしな関係なつて参るのであります。どうもこの考え方には私ども納得いたしかねるのでございます。なおこの点につきましては十分御検討願いたいと存ずるのります。そういうような財源措置を考えております結果、交付金増額分といたしましては、昭和二十五年度の当初の財政平衡交付金千五十億に対しまして五十億だけを加えた千百億でよろしい、こういうことで予算が編成されておるのであります。  以上大体両案の相違点を御説明申し上げたのであります。なお御質問によりまして申し上げます。
  9. 床次徳二

    床次委員 ただいま御説明によりまして地方財政委員会の御要望に対しまして政府の方におきまして相当査定を加えられておるということがわかるのでございまするが、もしも地方財政委員会数字が実情に合つておるのだということになりますると、この大きな開きだけは完全に地方財政赤字になるわけでありまして現状の立場から見て参りますると、平衡交付金は実は地方財政を自立せしめるために考慮され、しかもほとんど地方財政がこれに依存しておるにもかかわらず、実はこれが政府の独断でもつて決定されるという形になつ地方財政の自立ということはまつたく滅却されまして交付金制度の運用そのものも実は意味がないということも考えられるのであります。政府の方が各項目にわたりまして相当査定をしておられますが、査定をされました理由について、一応御見解をお述べいただきたいと思います。
  10. 小野哲

    ○小野(哲)政府委員 私から所見を申し述べさせていただきたいと思います。ただいま武岡部長から地財委案政府案相違点を御説明いたしたのでありますが、地方自治庁といたしましては、地方財政委員会資料並びに意見に基きまして、閣議等を通して政府予算編成の場合において、できるだけ反映させるように実は努力して参つた立場にあるのでございます。従いましてこの政府案査定をした理由はどこにあるかということになりますと、むしろ大蔵当局の方から御答弁申し上げる方がいいのではないかと思いますので、さような機会をおつくり願えればと思う次第であります。
  11. 床次徳二

    床次委員 ただいま自治庁関係から御答弁になりましたが、自治庁としては御答弁が困難のようであります。これは別の機会に、ひとつなるべくすみやかに大蔵当局の意見を一応聞かせていただきたい。しかし最後的には自治庁として相当責任があると私どもは思うのでありますが、ただいまの御答弁によりますと、自治庁自体としては地財委と同じように考えておられる、さように認めてさしつかえないですか。
  12. 小野哲

    ○小野(哲)政府委員 地方自治庁といたしましては、地方財政委員会と常に緊密な連絡をとつております。また地方財政の運営につきましても、重大な関心を持つておりますことは御承知の通りでありまして地財委の御意見なりあるいは資料は十分に尊重いたしたいという心組みで、従来からも参つておるわけであります。国家予算の編成にあたりましても極力地財委の意見を反映するように取運んで来たわけでありますが、予算編成の全般的な方針等と照し合せまして政府案といたしましては、今回国会に提案いたしておりますような政府原案に相なつたのであります。さような事情にありましたことを、私から申し上げまして御了承願いたいと思います。
  13. 床次徳二

    床次委員 自治庁の御意見はわかりましたが、しかし現在すでに予算がただいまのような大きな相違を持つたままにできておるのでありまして、こういうふうな予算が編成されましてこれが平衡交付金なつ地方に交付されるという場合におきましては、地方財政は非常な危機に瀕する。これは本年もそういうような事情があつたのでありますが、来年はさらにこれがはなはだしくなり、こういう状態では平衡交付金の趣旨が完全に没却されるのではないかと思いますが、はたして立案当時の趣旨に沿つてお考えになつておおりますかどうか、自治庁としてのお考えを承りたい。
  14. 小野哲

    ○小野(哲)政府委員 お答え申し上げます。問題はもちろん地方財政平衡交付金制度の本質的な目的を達成すべく、われわれも期待いたしておりますし、またそうでなければならないと考えておるわけであります。今回の地財姿並びに政府案、両案の内容を検討いたしますると、要はその根拠となるべき算定基礎に、いろいろ相違点があるように思うのであります。たとえて申しますると、先ほど木村地方財政委員並びに武岡部長からも説明がありましたが、給与ベース改訂にあたつての給与額の単位のとり方いかんというふうな点につきましても、相当相違点があるように思うのであります。この点につきましては、平素から地方財政の実体を十分に把握して行くことが適当である。従つて二十六年度におきましては、地方財政委員会地方財政の調査に必要な人員もある程度整備いたしましてその方向に進んで参るように、政府も要望いたしておるような次第でありますが、同時にこの政府予算案の直接の当局である大蔵当局においても、単にその立場においてのみ地方財政について検討を加えるというばかりでなしに、地方財政委員会と協同してそして現実の実情を把握して行くということが必要ではないか、こういうことで寄り寄り相談をいたしまして、さような方向をとつて参りたい。それによつてできるだけ大蔵当局と地財委当局との間の意見の相違点を発見いたしますとともに、これをできるだけ是正して行くということによりましてただいま床次さんがお話になりましたような、地方財政平衡交付金の本来の目的を達成するように、少しでも進めて行きたい、かような考えを私どもは持つておりまして地方財政平衡交付金の目的が、完全にこれによつて遂行されるように期待すると同時に、今回の地財委案並びに政府案相違点があるから、ただちに地方財政平衡交付金制度自体の使命が、没却されておるというところまでは考えておらないのでありますけれども平衡交付金制度が実施されましてなお日が浅いのでありますので、平衡交付金制度自体の内容の問題並びにこれが総額の決定についての取運びの問題等につきましては、なお改善を要する点があるように考えられ参ますので、地方財政委員会と協力いたしまして御趣旨のようなぐあいに取運びたいと考えておる次第であります。
  15. 床次徳二

    床次委員 ただいまの御答弁を承つておりますると、現在の地方財政委員会が、地方財政の実体をまだ完全に把握しておらない、人間等も足らない関係上、充実ができていないというお話もありました。しかし地方財政委員会は、常時地方財政に接触いたしましてでき得る限り実際に近い数字を出された。その努力のもとにやられたのだと思います。この点は大蔵省の考え方とは相当開きがあるのですが、どちらが実際に即しておるかということを論じましたならば、むしろ地財委の意見の方が実際に近いのではないか。なお今年の実績等を考えてみますると、大蔵省の意見と、地方財政委員会の意見と、はたしていずれが実情に浩つておつたかということは、過去の実例においても、現在の事例によつても、大体結論が出し得られるのではないか。従つて明年度におきましても、地財委の推計が必ずしも全部が全部確実であるとはいえないと思いまするが、大体の趨勢は地財委の考え方が正しいのではないかというふうに、私ども認めておるのでありまするが、地財委が十分な職責を尽すことができなかつたのだということになりますと、これは非常に大きな問題だと思います。これは地財委自体のために、もう少しお考えになる必要があるのではないかと思います。なお大蔵省目体が調査いたしますることは、従来から努めておりましたが、しかし何分にも大蔵省はやはり專門の立場がありまするので、大蔵省地方財政を完全に把握することはできない。過去においては、大蔵省がいろいろ調べましたところの地方財政に対する調査は、相当興味のあるものではありまするが、しかしこれをもちまして地方財政の全般を判断するというには足らない資料だと、私どもは考えております。かような立場において、大蔵省地方財政をできるだけ把握したいと、自分みずから把握することに努力いたしますことは、今日の行政機構の立場からいつて、少し行きすぎではないか。今日地方財政委員会というものをつくりましたものは、大蔵省地方財政を把握する一つの材料として地方財政委員会をわざわざつくつたのである。その地方財政委員会の存在を無視してさらに別個に大蔵省地方財政を把握しようという考え方を、過去においてやつておりましたが、これは明らかに誤りなのではないかと思います。この点に関しまして自治庁の立場としては、いかようにお考えになつておりますか。
  16. 小野哲

    ○小野(哲)政府委員 私の言葉づかいが多少不十分でありましたために、あるいは誤解を招いたかと思うのでありますが、先ほどの答弁の中で申し上げましたように、地方自治庁といたしましては、地方財政委員会資料を尊重し、かつまた地方財政委員会の意見に基きまして、できるだけこれが政府に反映するように努力して参つております。従つて地方財政委員会がその自主的な立場において、また権限においてやつておりまする点につきましては、地方自治庁は十分にこれに対して尊重して行くという態度をとつておりますことは、重ねてここに私の所見を申し述べておきたいと思うのであります。ただ問題は地方財政の実態を把握する程度が少し低いのではないかどうかということになりますと、これはいろいろと見解相違もございましようけれども、とにかく地方財政委員会の設置されました趣旨から考えまして、またその努力のあとをたどつてみまして、決してその点については完全とは言いがたいけれども、われわれといたしまして、とかくの批判を受ける必要はないかと思うのであります。ただ問題といたしまして私が先ほど指摘いたしましたのは、かりに政府、言いかえれば大蔵当局と地財委当局との間において相違点が起つたという場合におきまして、これを是正し、この間の調整をはかつて行くという方法一つとして、実態について両当局がこれを見て行くという方法も考えてしかるべきではなかろうか。大蔵当局が地方財政の実態をその立場においてのみ把握するということを、望んでおるわけではないのでありまして、相違点の生じたような問題につきまして、これを当該地方公共団体の実態について調査をして行くという場合に、単に大蔵当局のみの手によつて調べるというのではなしに、むしろ地財委が主体的な立場をとつてやる必要がある。その場合に大蔵当局も参加する、共同してやるということも一つ方法ではないか、こういう私の気持でありますので、御了承願いたいと存じます。
  17. 床次徳二

    床次委員 なおこの問題に関しましては、地方税の問題が関連し、さらに起債の問題が関連しておるのでありまして、平衡交付金は一応水面の上に現われた形にすぎないというように認められるのであります。政府財政方針というものは、現在の状態におきましては、まつたく地方財政を犠牲にしておるというような印象を、私ども受けておるのでありまして、どういう立場において政府地財委算定されました資料に対しまして査定されたか、ただいま仰せによりますと、政府としては各方面をよく勘案して結論を出されたようでありますが、私どもはあまりにも相違が多いために、その相違地方財政の窮迫の大きな原因になつておるように考えられるのでありまして、ひとつ大蔵当局のこの政府案をつくられました立場においての意見を、すみやかに聞かしていただくように、委員長においておとりはからいをお願いする次第であります。私は一応これで終ります。
  18. 河原伊三郎

    ○河原委員長代理 よく了承いたしました。次に山手滿男君。
  19. 山手滿男

    ○山手委員 ただいま床次君からのいろいろの質問に対しまして、一応概略的な御説明を承つたのでありますが、私ども考えますのは、今小野次官から御答弁がございましたが、できるだけ地財委の案をプッシュして行くようにして、政府案の中に盛り込ますように努力したというお話でありまして、それは多とするのでありますが、現実にはそれでやつて行けるかどうかということが、問題であろうと思うのです。昨日もこの委員会に群馬県の知事さん、県会議員さんが出て参られまして、きわめて悲痛な陳情があつたのでございまするが、そういうことは、ただ一群馬県の問題だけではないのでありまして、全国的な現象として、公選知事がこれからどうなつて行くかというふうなことで、非常に不安を持つておるようであります。現実の問題において、地方財政というものが、どういうふうな見地に立たされる結果に終るかということを、はつきり見きわめて行かなければならぬと思う。そういうことからいたしますと、現にこうした概略的な資料が出ておりますが、単に通り一ぺんの質問をしたり、答弁をお願いしたりするということではいかぬのでありまして、これはあらためて大蔵当局も出てもらつて、大蔵省の方の見解も聞きつつ、並行してこの案を処理して行くべきではないかと思うのですが、この点、委員長はどういうふうにお考えでありましようか。
  20. 河原伊三郎

    ○河原委員長代理 ただいまの山手君の御発言に対してお答えいたします。この点は床次君の御意見に対して答えましたのと同じでありまして、いずれ日を改めまして大蔵省の責任ある者を呼びまして、よく聞くことにとりはからいます。
  21. 山手滿男

    ○山手委員 できれば次会には必ず大蔵省関係関係官を呼んでいただきたいと思うのでありまするが、地財委の方のこうした算定基礎そのほかについて、一応御説明を承りまして、大体わかるのでありまするが、もう一度もう少し詳細な資料をプリントにして、この次の委員会までに御提出を願いたいと思うのでありますが、その点を私今日要求しておいて、質問を留保しておきます。
  22. 武岡憲一

    武岡政府委員 できるだけ詳細のものを調製いたしまして提出いたします。
  23. 河原伊三郎

    ○河原委員長代理 大泉寛三君。
  24. 大泉寛三

    ○大泉委員 私の質問しようと思つたことを、山手さんからつつ込んで質問されたから簡単に申し上げます。まつたくこの地方財政問題も論議を進めて行けば、結局大蔵省の問題にからんで来る。そこで私はもう一歩進めて、国家公務員給与ベースが引上つたので、それに引続いて地方公務員も当然引上げなければならぬという建前から、地方においてもいやおうなしに国家財政の線に沿つて、どうしても地方財政を膨脹さして行かなければならない。こういう結果になつておるのであるから、できるならば、人事院に対して私どもは質問もいたし、また立場もよく申し上げておきたいと思うのであります。この際地方財政委員会として、人事院との関係については、どういう連絡があつたかなかつたか。いわゆる地方財政に及ぼす影響というものは、国家公務員給与ベースの引上げ、その他予算の膨脹に対しても、当然起つて来る問題である。財政のことであるから、人事院とは全然交渉がなかつたかどうか。地方財政をになつておるところの財政委員会として何ら交渉を受けないということは、あまりにも怠慢であると思うのでありますが、そのいきさつはどうでありましたか、この際承りたいと思います。
  25. 木村清司

    木村(清)政府委員 これは多少あるいは私の個人的見解になるかと存じますけれども、人事院は国家公務員に対する給与ベースの件を勧告するのであります。但し私は政府におかれまして、一般国家公務員給与ベースを引上げるに際しましては、地方職員が当然政府ベース程度には上るということを考慮されて、決定さるべきものでなかろうかと私は考えております。従つて大蔵当局において今の給与ベース引上げということが決定されたときには、その資料等をちようだいたしまして、できる限りこれに順応いたしまして、少くとも地方においも国家公務員並の給与の最低だけは保障する。もちろんある団体におきましては、国家公務員以上のところがありますから、そういうぜいたくなところまで線を上げるという意味では毛頭ありませんけれども地方財政予算というか、こういう予算の全体の財源を付与する推定をいたします際におきましては、給与ベース国家公務員並にやるべきものであると、私は考えておるのであります。従いまして政府の方において、国家公務員給与が上ります際におきましては、私どもといたしましては、それに関連して地方予算をその程度財源を付与すべきものであるという見解でおるのであります。私の考え方といたしましては、政府におかれまして国家公務員給与を引上げる際には、当然地方公務員についてもお考えになつておることと思います。
  26. 大泉寛三

    ○大泉委員 私のお聞きしたいのは、財政委員会としてそうした給与べース引上げ問題に対して、政府から、あるいは人事院から、あるいは大蔵省から直接相談があつたかなかつたかということなんです。そうすると、地方財政委員会は、結局国家の財政に自動的に何でも従つて行くという結果になつてしまつて地方の立場を代弁する立場でないということになるのじやないか。どこまでも地方財政委員会は、やはり地方財政の立場をよくしつかりと把握して、自主的な立場で私は邁進されるということがよろしいのじやないか。であるから、国家公務員給与べースが引上げられるとすると、当然地方公務員の給与ベースも引上げなければならない。従つて地方財政は膨脹する。そういう建前から、ただ人事院がそれを政府に勧告するだけではなかろうと思うのであります。やはり地方財政のことを考慮に入れてこれをやられたと思う。そうした場合に、相談を受けたか受けなかつたか、あるいは大蔵省との連絡を何らかとられたかどうかということをお聞きしたのです。今後においても私は相当この問題は地方においても——今度は地方における人事委員会ができるが、これはその地方だけにとどまらず、やはり地方は総体的に地方財政委員会に何らかの連絡があるものと思う。今後も地方公務員の給与ベースの引上げとか、国家公務員についてそういう行動に出た場合には、財政委員会に何らかの連絡があると思う。またなければならぬと思う。今国家公務員法と地方公務員法との二本建になつておるわけです。これをどういうような調整をつけられるかということもまたこの際お開きしたい。
  27. 木村清司

    木村(清)政府委員 特別に相談という意味の連絡はございませんでした。ただ私ども見解といたしましては、地方団体におきまして、国家的な措置において——つまり地方団体が特別の法定以外の税目を起すとか、あるいは制限外課税をするとか、そういう任意的な措置によつて地方団体が個々別々の措置によつてやることは、自主性を持つてやることは当然でありますが、国家が一律にこういう財源措置をするについては、やはり国家的な見地から見て必要なものだけはやるが、不必要なものは財源措置はできないという建前じやないかと私は思います。ただ地方自治でありますから、財源を付与するだけでありまして、その財源がはたしてそのままわれわれが財源措置した程度において使われるということまで、強制することはないのでありまして、これはたとえて申しますると、国家公務員の団体の財源措置をいたしましても、年末手当を半月分上やらなければならぬということは、必ずしも強制してはおらぬわけであります。ただやる場合にはその措置をとる、あるいはそれを道路に使うか、教育に使うかということは、地方団体の自由であろうと思う。その意味において自治体の自主性はあるものと考えております。ただ国家において、その財源措置をする場合には、義務教育の関係であるとか、あるいは生活保護法の関係であるとか、あるいは国家公務員にならつた職員ベースアップも必要であるという全般的な見地から見て、必要限度のものは財源措置でもやる。ただそれを使用する方法については、特別に法律上の義務がない限りにおいては、自治団体たる自由をもつておるというふうに考えております。それ以上のことをやります場合にはその措置をとりますし、あるいはそれ以下の場合で住民の負担を軽くするというならば、標準率より低い税率を課して行くということに、地方団体としての自主性というものは地方自治法によつて認められ出ている。また平衡交付金法においても使途を指定してはならないということが書いてあります。税法においてはもちろんの話、平衡交付金におきましても使途は指定してはならぬということが、法律上明記されておるゆえんのも満は、われわれは財源措置はするけれども、その使途は一々指定していないという趣旨において、地方の自主性というものがあると考えるのであります。ただ私ども見解といたしましては、国家公務員程度財源措置は、一般的にする必要があるという見解に立つておるわけであります。
  28. 大泉寛三

    ○大泉委員 今地方財政の困つておるのは——きのうの群馬県の陳情でも中央に右ならえして人件費予算にも追い込まれておるというような苦衷を述べられておりました。これは中央で国家公務員給与ベースが引上げになつて、地方がそれにみんな並行して行つたから、地方予算がただでさえ苦しいところに、そういう中央の措置によつて苦しめられておる。だから中央としても何とかこれに財政措置をとつてもらいたいというような陳情が多いのであるから、これに対してやはり自治体はどこまでも自主性によつて消極面にのみ自主性をまかせるというのでなく、どこまでもやはり国家のやられたことが地方にそれが波及して来るという立場に立つて、いつも考えておかなければならぬと私は思うのであります。今回のことはとにかく六千三百円のものを一律に千円というのであるから、大きいには違いないのですけれども、今後においても経済界の変動とかそういうことがあつた場合に、今度は中央からでなく地方からいろいろの問題が起つたときの措置はどうされるのか、それは当然中央にも及ぼされる事柄であると思う。そういう場合に単に今の御答弁のようなことでは、まことに地方財政委員会として、地方財政状況にあまりにも関心がなさ過ぎる、無責任とは言わないけれども、このままではあまりたよりなさ過ぎるのではないかと思う。中央で膨脹したものは必ず地方にもそれが及んで行くという建前からその点において人事委員会もしくは大蔵省の立場において、その間に介在してしつかりと地方を見守つてもらいたいと思う。こういう点、もう少し積極的に地方財政委員会の活躍を要望しておきます。私は別にそれ以上のことは質問いたしませんけれども、あまりにも新しい機関が次から次へと出るので、私どもはそれに対する法律的な立場、あるいはその実際的な処置については、まだ完全にのみ込んでいない。今後また起る問題に対しても、やはりたとい完全でなくても、とにかくできるだけの処置は、この機関においてなさるべきだと私は考える。その点地方財政委員会は強い立場に立つて、地方財政を指導してもらいたい。また地方財政があまり放漫に流れたならば、他の府県と比較対象して、こうした点は君の方の県においてはあまりにも放漫であるとか、あるいは人事等にわたつても給与が多過ぎるとか、あるいは少な過ぎるとかいう点にまで、積極的に指導をされたいと、私は要望しておきます。
  29. 河原伊三郎

    ○河原委員長代理 立花敏男君。
  30. 立花敏男

    立花委員 ベースの問題なんですが、実際意見が二つあるということは、資料の上で明らかなのですが、このどちらの数字が正しいかということは、ベースの問題をとりましたならば、た、だちに結論が出て来るのではないかと思うのですが、地方公務員に対しましても、国家公務員並のべースアツプをやるということでございますと、国家公務員にやりましたことは明らかでありますし、それは数字相違は出て来るはずはないと思うのでありますが、自治庁におかれては、この地財委が発表しておられます地方の公驚員の予算単価にかける六千三百七円分の一千円という考え方が、国家公務員並として正しいのかどうか、あるいは政府の言うように一律に千円というのが、国家公務員並として正しいのか、どうか、ひとつ自治庁にはつきり御答弁が願いたいと思います。これは非常に明瞭な簡単なことでございまして、ここですぐに結論が出て来るのではないかと思います。自治庁の御見解をひとつ承りたい。
  31. 小野哲

    ○小野(哲)政府委員 この資料にもありますように、国家公務員並の給与改訂をして行くという立花さんのお話通りで行くならば、それはきわめて明明白々の問題であろうと思うのであります。ただその場合に、しからば職員の構成の問題であるとか、あるいは職員の人数の問題たとか、またそれに対してどういうふうな計算の根拠を求めるか、というふうな点についての意見の相違があるわけでありますので、従いまして地方財政委員会が、従来から考えられておりますような計算基礎によつて算出された数字が、ここに出ておるような次第であります。この点についてはむしろ地方自治庁という立場で、いずれが正しいか、いずれが正しくないかというよりも、むしろなぜ大蔵当局が、一律に千円の国家公務員並の引上げをやつたかということについて一応の説明をお聞きとりの上で、この問題については御検討を願う方がよいのではないかと考えております。
  32. 立花敏男

    立花委員 国家公務員並にやるということは、私が言つたのではございません。さいぜんからも地方財政委員会の方のお言葉にありましたので、そういう原則が建前だとすれば、どの方法国家公務員並だということは、おのずからわかるのではないかという点からお聞きしておりますので、誤解があるのではないかと思いますから、もう一度ひとつ。
  33. 小野哲

    ○小野(哲)政府委員 私が申し上げたの、は、国家公務員並ということについては、立花さんの御意見に同感なんですが、その場合に引上げ単価算定方法の問題があるわけであります。従つてこの算定方法の問題についての検討を加える必要があるのではないか、地財委のとつております算定方法は、私の記憶によれば、この前からもかような算定方法計算されておるように思つておりますということを、申し上げておるようなわけで、ただこの算定方法相違点について詳細に御検討願うということになりますと、大蔵当局の方の意見も一応お聞き願う方がよいのではないか、こういうことを申し上げた次第であります。
  34. 立花敏男

    立花委員 地方自治庁とされましても、やはり自治庁の長官も閣議に列席されて、政府案を支持されているのですから、一応御説明があるのは当然だと思う。自治庁としてこれを回避することはできないのじやないか。これは大蔵省案ではございませんで、政府案でありますから、自治庁は当然責任があると私は考える。国家公務員並ということが原則であれば、ここに二つの算定方法が出ているので、どちらが正しいか、どちらがほんとうに国家公務員並であるかということは、国家公務員法でやつているので、これは明らかなことですから、それを御答弁できないということはないと思う。
  35. 小野哲

    ○小野(哲)政府委員 これはだんだんと審議をお進めくださいまして、十分に御検討願えばけつこうだと思いますが、地方自治庁の見解はどうかというお話でありますけれども、これは実は、さつき床次さんからの質問もありましたように、地方自治庁としては、地方財政委員会資料並びに意見を尊重して参つたということでおわかりだろうと存じます。
  36. 立花敏男

    立花委員 非常に一般的なお答えですが、では自治庁としては、この地方財政委員会予算単価に掛ける六千三百七円分の一千円というのが正しいのだ、これが国家公務員並に地方公務員のべースを算定する方法であるというふうにお考えなんですか。
  37. 小野哲

    ○小野(哲)政府委員 国家公務員の問題、あるいは地方公務員の給与の問題等につきましては、もちろん地方自治庁といたしまして、地方公務員関係の所管をいたしております立場上、常平生から連絡をとることになつておりますし、また地方公務員法が施行されましたあかつきにおきましては、その精神にのつとつて運用して行かなければならないと考えておるわけであります。ただ現実の問題として、いずれが正しいか正しくないかというよりもむしろこの相違点についてこれをどう扱つて行くか、この問題が私はあると思うのであります。地方自治庁は先ほど申しましたような考え方で従前から参つておりますので、ことさらにこれが正しいとか正しくないとかいうことを、ここで申し上げる必要はなかろうと考えております。
  38. 立花敏男

    立花委員 どちらが正しいかわからなければ、解決の方法はわからないのじやないかと思う。単に両者の間の中間をとるというような考え方では、現実に即さないものが出て来るのじやないか。地方自治庁といたしましては、べースの問題につきましては、地方でもたしか通達なんかもお出しのはずなんでありまして、決してこれはどちらが正しいかわからずに、そういう通達が地方へ出されるものではないと思います。当然どちらが正しいかという見解は持つておられなければいけないのでありまして、そういうことは、やはり率直に言つていただく方が、委員会としても審議の上に非常に必要じやないかと思うのです。特に次官が現実の問題としてと言われますと、なおさらその必要性が起つて来るわけでございまして、地方はどういうベース・アツプの解決を現実に行いつつあるか、現実の問題として、どういうベースアップ地方でただいま組まれつつあるかということは、もう現実の問題になつておるのでございますから、現実の問題であると言われる以上は、やはり現実の問題として解決されなければいけないと思うのですが、現在の地方予算は、この二つのシステムのどちらをとつて、地方予算に組みつつあるか、自治庁の方でどういうふうに把握されておるか。
  39. 小野哲

    ○小野(哲)政府委員 たいだまの問題につきましては、実態を十分に調査いたしてみなければ、各地方公共団体は数多くございますので、一律にこうだということは、まだ申し上げる時期ではないと思つております。
  40. 立花敏男

    立花委員 自治庁としては、どういうふうな通達なり指示なりをお出しになつたのですか。
  41. 小野哲

    ○小野(哲)政府委員 これは国家公務員と違いまして、政府がただちにこれを実施して行くというのではなしに、財源付与の問題になつておりますので、従つて立花さんのおつしやるように、潔癖に、こうだからああだというぐあいには、答弁いたしかねる次第であります。なお財源措置の問題でありますので、木村政府委員からもお答えがあろうかと思います。
  42. 木村清司

    木村(清)政府委員 平衡交付金のわけ方の問題といたしまして、給与べースの点をやはり参酌しておりますから、そういう点において、地方にどの程度財源が付与されるかということはわかるわけであります。その程度でありまして、あとそれをどう取扱うかということは、地方の自治にまかすということに相なつております。財政需要の測定は、私どもといたしましては、要求して来てわれわれが正当と認めておるところによつて、財政需要を測定しておるということを、大体申し上げておきます。
  43. 立花敏男

    立花委員 地方財政委員会とされましてはそうかもしれませんが、現実に給与をもらう者といたしましては、六千三百七円分の一千円が上るのか、一律に一千円だけ足らない金として上げられるのか、これは非常に重大問題なんです。言葉の上から申しましてもにベースアップなんでございまして、一律に千円ではないはずで、六千三百七円分の一千円というのが正しいと思う。これは大泉さんの質問の中にもベースアップという言葉を使われておりますし、あなた方自身もベースアップという言葉を使われておるのであります。ベースアップという上は、そういう考え方ではないと思います。これはもらう者の立場から申しますと、平衡交付金がふえようとふえまいと、実際もらうものがふえないならば何にもなりませんので、来年のシステムがどうきまるかというのは重大問題でもります。こういう根本的な考えをお持ちにならずに、どうして地方の、財政が指導でき、また地方財政予算概算ができ上るか。あるいは地方の人事といたしましても、地方職員給与に対して、具体的なお考えもなしにやれるはずはないと思うのですすが、こういう点はやはり率直に言つていただきたいと思います。私がこの問題を問題にいたしますのは、これは一つの問題、一つの意見の相違点をとつただけなんですが、こういう問題がやはり全般的にあるのではないか。さいぜん小野さんは、意見の相違があるのをどう解決して行くかが問題だと言もれましたが、どういう方法政府の意見と地方財政委員会の意見の相違を、調整されようとするのか。これが自治庁の仕事だというふうに言われました。大蔵省地方財政委員会との間の相違を調整し是正して行くのが、地方自治庁の仕事であるというふうに言われましたが、それをどういう方法で調整されようとするのか。これはすでに時が過ぎましては間に合いません。現在国家予算の審議が進行中なんですが、これにやはり間に合うように、両者の意見を調整是正いだしませんと何にもなりません。前に地方財政委員会のお出上になつた八十八億ですかの平衡交付金の問題は、予算がきまつてしまつたからというので、握りつぶされてしまつたのですが、ああいう形が起りましては、いくら私ども審議いたしましても手遅れになります。この点どういうふうな方法でこの相違を調整是正して行くか、その方法と、いつごろまでにこれをおやりになるつもりであるか、これをひとつあわせてお尋ねいたします。
  44. 小野哲

    ○小野(哲)政府委員 お答えいたしますが、予算案としてすでに国会に提案されておりますので、もちろんその以前において、地方自治庁という立場で、この間の調整あつせんと申しますか、地方財政委員会資料、意見に基きまして努力して参つたことは、再三申し上げた次第であります。今日すでに二十六年度政府原案が国会に提案いたされておりまするし、また地方財政委員会の意見も出ておりますので、もちろん政府部内においてただいまでも努力はいたして参りましたが、なお先ほど来御説明がありますような相違があるわけでございますので、従つて今の問題といたしましては、国会においてこの間の内容について、十分に御審議を願う機会が来ておるのではないか、かように思つておる次第であります。
  45. 立花敏男

    立花委員 財政委員会の方の意見はありませんか。
  46. 木村清司

    木村(清)政府委員 小野政務次官と全然同意見でございます。
  47. 立花敏男

    立花委員 私どもなるほど本年度予算案には、付記として地方財政委員会の意見が付記されて来ておるということは承知しておりますが、しかし大きい観点から言いますと、やはり付記があるということ自体が、すでに政府が出して参りましたものに附加する意見があるというふうに考えていいじやないか。それに対してはもちろん主体的には国会に責任がございますが、やはり地方財政委員会政府の機関に違いありませんので、地方財政委員会の意見を付記して出して来たというところから見ましても、やはり政府自体にもその間の意見をまとめるために国会に協力する責任があるじやないかと思う。そういう観点から、どういう方法でこれを調整するのが、一番妥当とお考えになるかということなんです。この点は国会に付記を付して出して来てあるのだから、国会がかつてにきめろという考え方だけでは、やはり問題が残るじやないか、その点でのお考えをもう一度明らかにしていただきたいと思います。
  48. 小野哲

    ○小野(哲)政府委員 再三繰返し申し述べておりますように、すでに予算案とし提案されておりますので、従いまして、この問題については政府部内として調整をする、地方自治庁の力によつてこの間の調整をはかるという時期が、すでに来ておるのではないか、かように思うのであります。従来から政府原案のとりまとめに際しましては、地方自治庁は地方財政委員会と十分連絡をとつて、これ寒たびたび申し上げておりますような経過をたどつて来ておるわけでありまして、現在の問題といたしましては、この政府の意見と地方財政委員会の意見との相違の点につきまして、国会において十分審議をされましてこの間の内容を明らかにするということが残されておる問題ではないか、かように思つておる次第であります。
  49. 立花敏男

    立花委員 地方自治庁の政治的責任は、これはもちろんであろうと思うのですが、そういう問題はまた別にいたしまして、小野さんの言われるこの問題は、国会で解決しなければいかぬということはもちろんなんですが、その解決の仕方として、どういう方法が一番いいのかということにつきましては、やはり専門家である地方財政委員会あるいは地方自治庁で、相当な御意見があるはずです。それを私どもに聞かせていただきたい。もちろん私どもが主体になつて解決するのですが、その場合にやはりあなたたちも協力していただかなければいけませんので、どういう方法が一番現実に即した解決方法であるかという問題についての御意見を求めておるのです。地財政委員会あるいは地方自治庁の無力というか、そういうものの結果、正しいと思われる資料が実現できなかつたのは、私どもは遺憾に思いますが、そういう問題はむしろ小野さんのお言葉の通り、政府がああいう形できめておりますのでいたし方ないといたしまして今後それを解決する方法としては、やはりおのずから問題は別に残つておるはずだと思う。その方法をお聞かせ願いたい。
  50. 小野哲

    ○小野(哲)委員 いろいろな方法が考えられると思いますが、目下国会において御審議中でございますので、国会の自主的のお立場で、御審議を願うことが一番望ましい、かように思つております。
  51. 立花敏男

    立花委員 これは小野さん自身のさいぜんのお言葉の中にありましたので、いい御答弁が願えるかと思つてお聞きしたのですが、あらたまつて尋ねてみますと、いい御意見もお出しにならない、大体おわかりになつているようですが、お出しにならないのですが、やはり私は地方財政の問題を現実に即して決定して行くのが、一番正しいのではないか。それにつきましては、やはり何と申しましても、当面の特別な機関であり、責任の機関である地方財政委員会あるいは地方自治庁が、最も地方の現実をよく把握なさつておられまするので、その意見をもとにして、そこから出発して問題を解決して行くという方法をおとりになるのがいいのではないか。そういう問題で地方の現実が、大蔵省あるいは政府の言つている問題と合致するのか、地方財政委員会がお出しになつ資料あるいは地方自治庁の指示される資料が、現実に合致しているのかどうか。この問題がやはり問題のキー・ポイントになるのではないかと思いますが、そういう点でどちらの数字が、どちらの考え方が地方の現実に合致しておるかどうか。そういう点ではどういうふうにお考えになつているのですか。
  52. 小野哲

    ○小野(哲)政府委員 はなはだ恐縮ですが、立花さんから私どもにそういうことをお聞きになると、はなはだ答弁がしにくいのでありまして、すでに地方財政委員会からの意見も出しておりまするし、また政府予算案として提案いたしておりますので、あまり私どもからとやかく申し上げるよりも、この資料によつて十分御検討願つて、何らか打開の道を、むしろ国会側からお教え願うことが、望ましいのではないかと思つておる次第であります。
  53. 立花敏男

    立花委員 両方の意見の相違数字だけで現われているわけなのでござまして、これが地方の現実かどうか、私どもは把握しておりません。もちろん部分的には私ども把握しておりますが、全国的な規模で行われている問題としては、やはり私どもは不十分にしか把握しておりません。そういう点で、政府がこの数字をお出しになる以上、自治庁がこの数字が正しいと思われるならば、地方の現実がこうなんだという数字を把握して出していただく必要があるのではないか。さいぜん申しました地方公務員ベースの問題にいたしましても、これはすでに予算に組んでありますので、そのべースはどちらの数字予算を組んでおるのだということを、事実をもつて示していただきたいということが、全般にわたつての問題ですが、単に数字だけの相違しか出ておりませんので、現実はどうなつておるかという点に、非常に疑問一残るわけでありますので、その点をやはり出していただくのが、一番問題解決のキー・ポイントではないかと思つております。
  54. 小野哲

    ○小野(哲)政府委員 まことにごもつともな御意見でありまして、それにつきましては私どもも同感でございます。従いまして今具体的な資料等も収集中でありますので、追つて提出することになると思います。その際にひとつ御検討願いたいと思つております。
  55. 立花敏男

    立花委員 政府案地方財政委員のこの相違は、単に数字の上だけの相違ではないと考えております。数字だけの相違ではございませんので、もつと本質的な相違があるじやないか。この問題を切り開いて行くのが地方の現実じやないか。大蔵省数字は非常に天くだり的に決定されております。これはたとえば平衡交付金数字一つもとりましても千百億、前年度より五十億増、あるいは地方起債のわくをとりましても百億増というふうに、ほんとうにこんなきれいな数字は出て来つこありませんので、これはやはり国家予算というわく内で、左右された数字であるということは明らかであります。こういうようなものを上から押しつけて来る。それに対して地方財政委員会の方は、地方の現実の状態から出発して行く、これが本質的な差異でございまして、この差異はなるほど数字の多少になつて現われますが、これは本質的の差異じやない、こう思うのです。だから、この差異を埋めますためには、やはり地方の現実というようなものを出していただきませんと、ただ数字の上だけで争つていますと、これは一律に千円でいいのだ、あるいは地方財政委員会のこの数がいいのだということになりましてこれはりくつの上ではどちらでもいい、こういうことになるのでございまして、あくまでも日本の一万以上に達します自治体の現実に立脚して上からの天くだり的な案をはね返すというだけの資料を出していただく、それによつて正しい解決の方向へわれわれが審議できますに、御協力願いたいと思います。
  56. 小野哲

    ○小野(哲)政府委員 立花さんの御意見はごもつともだと思います。地方財政委員会といたしましても、いろいろの資料等によつてできましたのが、この意見書でありますけれども、さらに現実の問題として、できるだけの資料を整えまして、地方自治庁、地方財政委員会協力いたしまして作成の上、お目にかけるようにいたしたいと思つております。
  57. 立花敏男

    立花委員 方法はそれで御了解願つたと思うのですが、時期の問題なんですが、これはやはり重大な問題だと思う。木村さんは前に出て来られません。野村さんが前に出て来られたのですが、野村さんは悲壮な決意で八十八億の問題を問題にされたのですけれども、遂に泣寝入りになつたのですが、今度の木村さんはそういう轍をおふみになることがないように、今言われましたような正しい方法をいつごろまでに、どういう形でおやりになるお考えがあるのか、これをひとつ承らしていただきたいと思います。
  58. 木村清司

    木村(清)政府委員 ただいま申し上げました資料のうち、実はおそらく市町村の分までとるということは、これは非常にむずかしいと思います。それで私どもは実は府県の分のベースアップの実情はどうであるかという点について調査中でありますから、これは近く関係課長が平衡交付金関係上、上京いたしますのでそれまでにべース・アツプの実情はどうであるかということを、府県の分をとつて、できる限り、部分的にしろ御参考に供したい、こう思つておるのでありまして、全般的な資料までは、とてもこれは一万有余の町村からとるということは数箇月かかるので、できかねると思いますので、府県の分についてピック・アツプできるものだけしたい。財源もなくて計算のできないというものも、あるいはあるかもしれませんがとにかく計算のできるものだけはとりまして、できるだけの資料を整えて御参考に供したい、こう思つておるのでありますので、部分的なものであることを御了承願いたいと思います。
  59. 立花敏男

    立花委員 前の場合も野村さんは、相当決意をなさつて辞表をふところに入れて、あの意見書を出したのだというように、私ども承つておつたのですが、今度の問題はまた大きいのでございますし、さらにこの意見書の最後にもこういうことが書いてあります。「若しこれを計上せられないときは、明年度地方財政の窮乏は著しく、ひいては、地方住民の負担に混乱を来たし或いは政府施策遂行の障擬たらしめることを憂慮するものである」。これは相当最大級の御意見なんですが、これがいれられないとすると、地方財政委員会は、どういうふうな方法があるとお考えになるか、これは私重大な問題だと思うのですが、どの程度の御決意を地方財政委員会が持つておられるのか、これをあわせて承つておきたい。
  60. 木村清司

    木村(清)政府委員 地方財政委員会の決意ということを、実は申し上げるべきかどうかと思いますが、結果においては、たとえば地方におきましては制限外課税をやるとか、あるいは地方において負担すべき、あるいはいろいろな公共事業等において負担すべきものであつて、起債を認められる額というものが相当額あるはずですが、それの負担が、国庫納付金ができなくなる、あるいはそういう従来やつておつたサービス的な仕事ができなくなるというような事業の縮小が当然起るのじやなかろうか。その事業の縮小のうちに、地方団体としてはあるいは行き過ぎのぜいたくなものでありますれば、これは当然でありますが、この程度ならば当然やるべきものであるというように思われるものも、あるいは縮小されるのではなかろうかという結果を招致するのじやないかと思つております。
  61. 立花敏男

    立花委員 地方財政はほんとうにとんでもないところへ参つております。私けさ神戸から帰つて来たのですが、神戸の予算も非常に混乱をきわめておりまして、これはきのうの神戸新聞に載つておりますが、本年度予算は大体七十億、そのうち新規事業が三十億ですが、新規事業は全然やれない、しかも残りの四十億ですら、三十億の財源の見通しがないというようなことで、ほんとうに何と申しますか、半分の予算も組めない、四苦八苦の状況なんです。そこへ平衡交付金の返還の問題がありますし、これは重大問題でございまして、こういう現実が地方の現実なんです。だからこれはやはりはつきりつかんでいただきまして、せつかくお出しになつたこの意見書を、ほんとうに職を賭してでも、がんばつていただく必要があるのじやないか、こう私は思います。お聞きいたしますと、これがいれられない場合は、制限外課税をやるのだ、一体どこに住民に制限外課税の負担能力があるとお考えになるか、これは特定のものに課するというお考えでございましようが、はたしてそれが一般住民の負担に転嫁されないような見通しがあるかどうか、そういうものがはたして地方にあり得る見通しが、どれだけ地方財政委員会にあるのか。これが一般住民の負担にならないなら、とつていただいてけつこうだと思うのですが、そういうけつこうな財源が、はたしてあるのかどうか、また地方の議会が、一般住民の負担にならないもので、そういうものをとるような構成に現在なつておるかどうか、これは私重大問題だと思う。あるいは制限外課税、あるいは事業の縮小と申されましたが、新しい事業はさいぜん申しましたように、神戸市でもほとんど全部が禁止です。しかも現現在やつております事業につきましても、どんどん禁止縮小の問題が起つております。たとえばこの間、神戸で朝鮮人事件が起りましたが、あれの発端と申しますのも、実は朝鮮人に渡しておりました生活保護法の援護資金等の急激な圧縮による生活の貧困が、一つの大きな直接的な原因であつたわけでございまして、事業の縮小と申しますと、必ず民生関係事業、住民の直接生活に対する事業が圧縮されて来るのは、現在の地方行政のあり方から見まして、当然予想されることなんです。だから税金がよけいとられるような形になつて来るわ、自分たちに対してサービス・センターとしての地方自治体から与えられる仕事は、だんだん削減されて来るわ、こういうことが、結局この意見書がいれられない結果として起つて来るのでございますが、そういう余地が地方にあるかどうか、地方の住民の生活は、そういう現在以上の税負担にたえ、あるいは事業が縮減されるのを、自分らの力でまかのうというような余地があるというお考えであるのかどうか、この点をひとつお漏らし願いたい。
  62. 木村清司

    木村(清)政府委員 私の申し上げたのは、団体によつて措置方法が違いますけれども、おそらくそういうあらゆる方法を申し上げただけであつて、現実に負担能力があるかどうか、そういう税目があるかどうか。制限外課税とさつき申し上げたのを、あるいは非常に強くおとりになつたかもしれませんが、おそらく制限外課税というものは最後の手段だろうと思います。おそらく事業の縮小の方がまず第一に行われて、制限外課税というものを行い得る団体は、おそらく例外的なものであつて、非常に少いのじやないかと思いますが、これは地方議会の議決を必要とすることは御存じの通りであります。現在の税収からいいまして特別な人から税をとるというような財源も、非常に少いのでありますから、私が申し上げた制限外課税というのは、冒頭に申し上げたので原則的のようにおとりになつたのは、言葉の順序としてあるいは適当でなかつたと思いますけれども、ただ私といたしましては、あらゆる場合のことを想像して申し上げただけのことであつて、現実の問題といたしましては、きのう群馬の県会議員の方が陳情されたように、おそらく事業の縮小という方面に行くのじやなかろうか、こう考えております。
  63. 立花敏男

    立花委員 委員長がおあげになりましたのは、事業の縮小の問題にいたしましても、とことんまで行つているのじやないかと思いますので、それは非常に特殊な場合で、これを望むことは不可能な場合が多いのじやないか。原則といたしましては、やはりお出しになつている意見書のところが、私はぎりぎりのところじやないかと思いますので、そういう意味で、ぜひこれの実現に万全の方策を講じていただきたいと思います。そういう建前から、私は地方自治庁あるいは地方財政委員会といたされまして、この際国会等と一緒になりまして地方財政問題に関する公聴会をおやりになるお考えはないか。きのう群馬の代表が来たと申されますが、それは国会の正式な資料には、何ら残つていないわけなのでございましてやはり正式な公聴会として現実の意見なり、現実の声をはつきりした形で聴取するということが、ぜひとも私は必要じやないかと思います。こういうことも、ほんとうに正しい、せつかくの御意見書を実現する有力な方法じやないかと考えるのですが、こういう問題で今公聴会をおやりになることは、最も時機に適した、これこそ地方の自治団体の全体の要望じやないかと思うのでありますが、こういう方法をおとりになるお考えはないかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
  64. 小野哲

    ○小野(哲)政府委員 地方自治庁並びに地方財政委員会といたしましては、特に公聴会を開くような考えは持つておりません。ただ何らかの機会に、国会においてお開きになるような場合におきましては、十分にわれわれ書見を聞くようにいたしたいと考えております。
  65. 立花敏男

    立花委員 私は委員長を通じて、委員会にもひとつ公聴会の問題を御審議願いたいと思いますが、さいぜんから申しておりますように、この資料には地方の現実的なものがほとんど出ておりません。これをおつくりになると言つておられますが、財政委員会の方の話では非常に部分的なものしかできない。おそらく国会予算の審議は、もうあと二週間くらいで終つてしまうのじやないか、その場合に今から資料をおつくりになる、しかも出て来た資料は現実的な資料が、一部分であるというようなことでは、私どもは全般的な地方の現実を把握して理論を立てることができませんので、やはりそういう不足を補いますためにも、この際地方行政委員会として公聴会をお開きなつて、できるだけ多数の地方自治体の意見を聴取して、現実の姿を把握するという方法をおとりになるのが、一番妥当じやないかと思いますが、そういう点で、ひとつ委員長の方から委員会の意見をまとめていただきたいと思います。
  66. 河原伊三郎

    ○河原委員長代理 公聴会を開く開かぬにつきましては、委員長の独断できめるわけにも参りませんので、その点につきましては、またよくそれぞれの機関に相談することにいたします。
  67. 門司亮

    ○門司委員 私きわめて簡単に、お聞きするというより注文しておきたいと思います。最初に聞いておきたいと思いますことは、例の地方税法の三百五十条の規定であります。一体税率を変更するのが必要であつたかなかつたかということを、ひとつお示しを願いたい。そういうことを私が申し上げますのは、この予算書の財政の中で地方税増収だけは、大蔵省の意見と財政委員会の意見が一致しておるのであります。従つてこの点はひとつ明確にどういう状態であつたかということをお示し願いたい。これはできるなら資料でお知らせを願いたい。  その次に聞いておきたいと思いますことは、平衡交付金算定されます基礎は、御承知のように法律ではつきりきめられております。従つてこれが大蔵省と食い違いがあるのはおかしいと思う。おそらく法律できめられたことが正しく励行されておるならば大蔵省といえどもこれを反駁する余地はないと思う。ところが大蔵省の意見と非常に食い違つておるということは、財政平衡交付金法の趣旨がまつたく蹂躪されておるのか、あるいは出された資料がきわめてずさんであるのか、どつちかに基因しておると思う。従つてこの食い違いのできた原因を一応御調査願いたい。  その次は、例の平衡交付金の中で、これは特に大蔵省に要求したいと思いますが、従来の配付税的の性格を持つものが、一体この中にどのくらい含まれておるか、それと財政平衡交付金法による部分が一体どのくらいあるか、この中にはおそらく従来の補助関係相当含まれておると思う。それとの区分をひとつ数字的にはつきりしてもらいたい。  それからもう一つ、これは委員長にお願いしておきたいと思いますが、次の会議にはぜひ大蔵省からこれらに対するはつきりした資料を出していただきますと同時に、大蔵省の責任者にここへ来ていただきまして、以上私が申し上げましたような点について、十分聞きただしたいと思う。今もらつております参考書を読みますと、実におかしいのでありまして、さつき申し上げましたように、平衡交付金法というものがあつて、財政需要額との関係で、当然出されておるこの平衡交付金であるなら、両者の意見というものは私は致しなければならぬと思うのであります。  もう一つ聞いておきたいと思いますことは、同時に資料を出していただきたいと思いますことは、この中の税外収入であります。いわゆる手数料その他が、大蔵省地方財政委員会の見積りに対して十倍に見ておる。これは少し開きがあり過ぎる、一つのものに対して、地方財政委員会の見方が大蔵省の見方の十分の一というような大きな開きを持つということは、私どもには考えられない。ところがこの資料を見ますると、そう書いてある。一体これはどういうところからそういうものが出て来ておるのか。少しくらいの開きは、見方によつて多少違うとも言えますが、財政委員会の見積つております十八億と、大蔵省の百八十億というのは全然けたが違つておる。私はこれは印刷の誤りじやないかと思うのだけれども、誤りでないとすれば、その点をはつきりできまするように資料を出していただきたい。これは答弁は特に要求はいたしませんから、そういう点を十分資料を出していた、だきまして、検討したいと思います。
  68. 河原伊三郎

    ○河原委員長代理 門司君の御発言にお答えいたします。その点につきましては、先刻床次徳二君並びに山手滿男君から要求がありまして、さようとりはからうようお答えしておいた次第でございます。御了承願います。  本日の会議はこれにて散会いたします。     午後一時十八分散会