運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-02-07 第10回国会 衆議院 地方行政委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月七日(水曜日)     午前十一時十一分開議  出席委員    委員長 前尾繁三郎君    理事 河原伊三郎君 理事 野村專太郎君    理事 龍野喜一郎君 理事 藤田 義光君       生田 和平君    大泉 寛三君       門脇勝太郎君    川本 末治君       中島 守利君    吉田吉太郎君       床次 徳二君    山手 滿男君       加藤  充君  出席国務大臣         法 務 総 裁 大橋 武男君  出席政府委員         警察予備隊本部         次長      江口見登留君         地方財政委員会         委員      木村 清司君  委員外出席者         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君 二月七日  委員立花敏男君辞任につき、その補欠として加  藤充君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 二月三日  地方公務員給與改訂等に伴う平衡交付金補正  の請願柄澤登志子紹介)(第二九二号)  地方税方の一部改正に関する請願  (野村專太郎紹介)(第三一三号)  行政書士法制定に関する請願椎熊三郎君紹  介)(第三一九号)  地方税法の一部改正に関する請願前田種男君  外四名紹介)(第三四七号) の審査を本委員会に付託された。 同月五日  給與ース改訂に伴なう平衡交付金増額に関す  る陳情書  (第一五六号)  教職員選挙行動制限に関する陳情書  (第一六三号)  地方財政平衡交付金算定基準改正に関する  陳情書  (第一七七号)  地方財政強化充実に関する陳情書  (  第一七八号)  弱小町村自治警察廃止に関する陳情書  (第一八  〇号)  選挙期日の決定並びに議員定数確認に関する陳  情書  (第一八二号)  入場税引下げに関する陳情書  (第一八八号)  行政事務再配分に関する陳情書  (第一九七  号)     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  地方自治に関する件  地方財政に関する件  警察に関する件     ―――――――――――――
  2. 前尾繁三郎

    前尾委員長 これより会議を開きます。  まず地方自治に関する件、地方財政に関する件を一括して議題といたします。  ただいま地方財政委員会より木村政府委員がお見えになつております。政府より、地方財政に関する資料ができたそうでありますから、まずこれについて説明を聽取いたします。
  3. 木村清司

    木村(清)政府委員 お手元に差上げました資料について、御説明申し上げます  「昭和二十六年度地方財政需要増加に伴う地方財源措置案地財委案政府案との比較」という表をお手元に差上げてございますので、これによつて御説明申し上げます。  1の地方財源増加所要額給與ベース改訂による増、年末手当支給に要する経費教職員給與級別格付基準改訂による増、これらの経費につきまして政府案相当大きな差異があるわけでありますが、これの詳細はいずれ他の政府委員より御説明申し上げたいと思います。  給與ース改訂に伴いまして、現在の大蔵省案と申しますかには、政府一般基準によつて一人千円の増加しか認められておらぬのでありますけれども、私どもといたしましては、従来の実績にかんがみまして、各級別にクラスをつくつて増加を認めたのであります。従いまして政府案よりも増加を見ております。  それから年末手当支給に要する経費でありますが、これも大蔵省案は、一昨年すでにこの財源措置をして年末手当を支給しておるから、新たに財源措置をする必要はないというので、基礎額を削つておるという点で差異があるのでありまして、私どもといたしまして、大部分の地方団体といたしましては、政府にならつて年末手当を支給したことは事実であるけれども、これは他の地方経費節約した上で実施したのであつて政府全体として地方財政を見る上において、新たに経費が必要である場合においては、当然地方財源を計上する必要があるという見解から、この経費増額を見ておるわけであります。  その他(3)(4)はそれと見合う経費であります。  (6)の厚生施設費補助その他国の施策に伴う地方負担額の増、これにつきましては、私どもは、法律に基く事務費につきましては、法律通り実施するという見解から出ておりますが、大蔵当局におきましては、これを相当削されておるという事情があります。そういう意味におきまして、約百億の見解相違ができて来るわけであります。  (10)の公共事業費等に伴う地方負担の増につきましては、大蔵当局と大した見解相違はありません。つまり公共事業等に伴う地方負担金失業対策についての地方負担でありますから、これは国の予算を見れば当然出て来るのでありまして、根本的な差異はありません。ただ失業対策事業費につきましての地元負担は、私どもは労働省の実際の経費について算定したものでありますけれども大蔵当局におかれましては、国の予算査定標準によつて査定したので、その程度の差があるだけであります。  以上の財源不足を充足する方法としまして、既定経費節約地方税増收等は大体大蔵当局と同じ考え方でありますが、税外收入増收という点で重大な差異が来ているわけであります。大蔵当局におかれましては、約百六十四億の税外收入を新たに財源として見ておられるのであります。競馬競輪收入、あるいは寄附金負担金その他地方財産收入とかいうようないろいろな経費を、財源充足の方途に考えられておるのでありますが、私どもは、税外收入授業料とかあるいは手数料というような経常的な收入につきましてこれを経営收入に見るのは当然であるけれども、そういう競馬競輪のような浮動的あるいは偏在的な收入を、こういう財源に見ることは不適当である。また寄付金負担金分担金のような、目的税的な性質のものがたくさんあるのでありますが、これは使途を指定したものでありますから、こういうものを一般財源に計上をすることは不適当であるという意味において反対したわけであります。従いまして、約百億に対する経常的な地方財源所要額を、地方財政平衡交付金増額に持つて行きまして、政府との差額が特にそれと対応している約百億の平衡交付金増額を要求しているわけであります。それから起債の点につきまして、政府案と百八十五億の相違があるのでありますが、これは大体税外收入増收に見合うということに相なるのであります。前回藤田さんの御質問に対しまして、地方債増額につきましてお答え申し上げた点が、数字が前年度との比較におきましてはちよつと錯誤がありまして、ここに掲げてある百八十五億ということが正確なのであります。このことを申し添えておきます。
  4. 前尾繁三郎

    前尾委員長 ちよつと今途中でありますけれども、ただいま大橋国務大臣が御出席になられましたので、議事の進行上、地方自治地方財政に関する件をあとまわしにいたしまして、警察に関する件を議題といたします。藤田義光君より質疑の通告がありますので質疑を許します。藤田義光君。
  5. 藤田義光

    藤田委員 法務総裁にお伺いいたします。  まず最初に、法務総裁は現在の内閣におきまして、予備隊に対する最高責任者でありますかどうか、この際確認しておきたいと思います。
  6. 大橋武夫

    大橋国務大臣 警察予備隊令によりまして、内閣総理大臣最高責任者であります。そして私は予備隊令の規定によりまして、総理大臣よりその代理として事務を扱うことを命ぜられております。
  7. 藤田義光

    藤田委員 総理大臣代理として予備隊最高事務を扱つておられる法務総裁にお伺いいたしたいと思います。現在の予備隊国家警察、この間にはいろいろな問題があると思いますが、この両機関の調整に関しまして、法務総裁はどういうふうな方法運営されておりますか。つまり予備隊所管事項国家警察所管事項がややもすれば混淆を来しますが、この点に関しましては、何か定例の幹部会でも開かれて、その間の円滑なる調整を得られておりますか。あるいは法務総裁がすべてやられまして、事務当局連終調整は今のところ全然やられておりませんかどうか、お伺いしたい。
  8. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ただいままでのところでは、特に調整を要するような事態両者の間に起つておりません。しかしながら将来予備隊が現実に出動いたすような事態を予想いたしまして、その際における両者関係等について、予備隊本部並びに国家地方警察の両事務当局の間に話合いを進めさせております。
  9. 藤田義光

    藤田委員 二十五年度の予備隊の諸費は、二百億を別途支出されておりますが、一月末現在、それがはつきりしなければ十二月末現在、どういうふうに使われておりますか、大体予算消費状況を簡單でけつこうでございます、あるいは総額でお示し願つてけつこうであります。お知らせ願いたい。
  10. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ただいま政府委員江口次長からお答えいたさせます。
  11. 江口見登留

    江口政府委員 総額二百億のうち、第四・四半期の一月末期におきまして九十億余り支出いたしております。
  12. 藤田義光

    藤田委員 二十六年度の予算一般会計に計上されておりまして、百六十億になつております。創設されまして実際上予算を使い始めましたのは、昨年度の九月からでございますが、これに比較しまして相当少くなつておりますが、この点を率直にお答え願いたい。
  13. 江口見登留

    江口政府委員 二十五年度の予備隊草創時代におきましては、二百億の予定で出発をいたしたのでありますが、やはり創設期におきましては特別の経費を必要といたしますので、二十六年度に比べますれば、四十億だけよけいになつておるのであります。二十六年度におきましては百六十億で足るかというような御質問でありますれば、大体これでまかなえるかという見当を持つております。
  14. 藤田義光

    藤田委員 そこでお伺いいたしたいのは、二十五年度の一月末現在で九十五億という予算が支出されておりますが、残る百億を二箇月間——実際に現金が出ますのは四月一ぱいと思いますが、残る三箇月間で完全に使われますかどうか、残りました際はどういう予算措置を講ぜらよれうとしておりますか、この点をお伺いしておきます。
  15. 江口見登留

    江口政府委員 この予備隊令を規定いたします際に、そういう財政方面の考慮も拂いました上で、もし二十五年度におきまして二百億が支出できませんでも、三月一ぱい義務負担、つまり契約を終了しておれば、翌年度に入りましても二百億の範囲内において支出できるような仕組みにいたしておりますので、三月一ぱいないし四月一ぱいになお残りが支出できませんでも、違法の処置をとらずにまかなえるように考えております。
  16. 藤田義光

    藤田委員 この予備隊の問題に関しましては、いまだに国内相当の議論があります。従つてこの予算使い方いかんは全国民が非常に注目いたしております。これはちまたのうわさでございますが、二十五年度に予備隊で必要とする石炭は十万トンである。しかるに予備隊におきましては、三十万トンという厖大なる石炭を購入するという計画があつたやに拝聽いたしております。国民の浄財をかかる冗費に充てたというようなことが暴露されました際におきましては、相当大きな問題になるだろうと思いますが、はたしてそういうことがありましたかどうか。あるいは速記録にとどめるのに適当でないかもしれませんが、予備隊員の保健に必要なる衛生器具に関しまして、厖大なる購入を予備隊が要求されておるというような、実に言語道断なうわさを耳にいたしております。かかる事実がありますかどうか。もしあつたとするならば、どういう方策をとられたかを、お伺いいたしたいのでございます。
  17. 江口見登留

    江口政府委員 御承知通り予備隊出発早々におきましては、米軍の従来使用しておりましたキャンプに一時入つたのであります。この米軍の使用いたしておりまするキャンプは、非常に設備が整つておりまして、ヒーターにいたしましても、その他の医療施設にいたしましても、非常に石炭をたくさん使うような建物になつておりますので、あるいは全部がそのままそのキャンプにおるということになりますれば、三月末までに三十万トンくらいいるのではないだろうかという意見もありましたが、われわれ研究いたした結果、十万トンで十分であろうという結論を得まして、目下のところ十万トンでも大体片づくのではないかと考えております。但し部隊相当移動いたしましたので、その際従来買い込みました石炭をそのまま貨車で運ぶかどうかという問題が起つたのでありますが、輸送費が非常に高くつきますので、むしろそのキャンプに残しておいて、そうしてもし特調の方で購入いたしております進駐軍用石炭と交換できるならば、非常に経済的ではないかということを考えておりますので、移動したキャンプには、石炭を残して来ております関係上、多少ダブつた注文が行われておることは事実であります。しかしできるだけ予算の使用につきましては節約を旨とし、いらないものはできるだけ買わないように心がけておりますので、石炭につきましても、三月末までに三十万トンを購入するというようなことは絶対にございません。
  18. 山手滿男

    山手委員 警察予備隊に関する石炭の話が出ましたので、関連して一、二聞いておきたいと思うのでありますが、警察予備隊関係でいろいろな政商的な動きが行われておりまして、たとえて言えば被服、繊維関係のいろいろな業者が、警察予備隊創設に伴いまして非常な暗躍をして、一時ある実力のない業者が一手に引受けて、結局それが手に負えないという事実がわかつて、さらにキャンセルをしたとか、いろいろなうわさが飛んでおりますけれども政府委員の方でそういうことについてどういうようにお考えになつていらつしやるか。巷間ではそういうことについてうわさもあるのでございますから、お聞きしておきたいと思うのであります。
  19. 江口見登留

    江口政府委員 出発早々におきましては、きわめて予備隊職員の人数が少かつた時代がございます。御承知通り予備隊出発に際しましては、現在もそうでございますが、進駐軍の非常な援助指導を受けておりますので、日本人側のわれわれだけの考え方で物事を進めるということも非常に心もとない場合があるのでありますから、その点につきましては十分向う考えておる点も考慮いたしました上で、いろいろな品物注文されたのでございます。もちろんただ行き当りばつたりに、申出のある人だけに注文することはありませんで、見積りとか、あるいはその品物とかを出させました上で、これならば行けると思うものに対して注文を発しておるのであります。しかし何しろ草創時代でありますので、あるいは業者といたしましても見込み違いをいたしたものなどもございまして、多少思つた通り品物が期限までに納まらなかつたという事例もないではありません。しかしこれは草創時代のことで、ございまして、今日におきましてはだんだん予備隊職員隊員もふえて参りますし、その方面の專門家もだんだんできて参りまして、そういう事態は徐々に改善されつつありますので、その点御了承願いたいと思います。
  20. 山手滿男

    山手委員 その点でありますが、相当なトラブルがあつたようにわれわれも聞いておりますし、事実そうのようであります。そういう業者の側にも責任があつたと思うのでありますが、予備隊の中の幹部の方々もあえてそういうのに乗ぜられておつたというような雰囲気があつた。そのために最近、警察予備隊の兵舎というのですか、宿舎、事務所を舞台にいたしまして予備隊員自身が金を持逃げする、業者相当予約金というか運動資金を持つて来させて、そこを舞台にして詐欺のようなことをやつた事件もあつたと聞く。また業者自体がそういうふうなことが可能であるという動きをしておるということが言われておるのでありますが、そういうことについて、もつとはつきりお考えになつていらつしやることか承りたいと思います。
  21. 江口見登留

    江口政府委員 私の承知しております範囲におきましては、一件だけそういう事態がある部隊で起りました。これにつきましては目下部隊調査中でございまして、詳細な報告はまだ得ておりません。そういうスキャンダルが非常にしばしばあるようなお話でございますが、われわれといたしましてはきわめて例外的な件数しかないというふうに考えております。
  22. 山手滿男

    山手委員 よろしいです。
  23. 藤田義光

    藤田委員 ただいま私並びに山手委員から一、二の例をあげましてお伺いしたのですが、これはほんの一、二の例でございます。私たちはこの予備隊ができまして以来、予備隊訓練、補給の問題に関しましては、日本の機構として非常に苦しい中に、かかる厖大予算を使つておりますので、初志を貫徹するような、りつぱな部隊編成の完了を期待いたしておつたのでございますが、残念ながらあらゆる面から見まして、予備隊はいまだに自主性を回復しておらぬ。これは非常に大きい問題であろうと思います。むしろ、極論かもしれませんが、私は現状のままで推移すれば予備隊は必要でない。外国国旗敬礼するような予備隊ならば、われわれの国内に存在を許す必要がない。魂の入らない隊員なれば必要でないというふうに考えております。この予備隊自主性の回復ということは、最高政治折衝にまつところでございます。幸い大橋さんがこの方面最高責任者の代行をされておりますが、この点に関しまして、私たちは国会の権威にかけまして、大橋さんの忌憚のない所信をお伺いいたしておきたいと思います。現在日本にはわれわれの言論を制約する一切の法令はございません。従いまして端的に自主性が確立されていないという、この常識になつておる現状に対しまして、どう考えられておりますか。今後いかにして完全な自主性を回復されようとしておるのか。うわさに聞けば、日本の幾多の商人が、ある国際的なる商人の手先になりまして、国際的なる商人厖大なる産をなしておるといううわさすら耳にするのでございます。こういうことがだんだん表面化して参りました際におきましては、予備隊あるいは間接に予備隊関係する方面に、相当大きな国民的な反撃が起きはしないかということを私は憂慮するのでございます。この点に関しましてこの際率直に御答弁をお願いしたいと思います。
  24. 大橋武夫

    大橋国務大臣 この警察予備隊創設につきましては、日本政府の自発的な意思によつたものではなく、マツカーサー元帥書簡に基く指令によつて創設せられたものであります。かような意味におきまして、予備隊創設それ自体が、日本政府の自主的な行動ではなかつたということが言い得ると存ずるのであります。しかしながらこのマツカーサー元帥書簡そのものの内容は、警察予備隊創設指令はいたしておりますが、それは日本政府に対してそういう権限を與えるという形で出たものでございます。そうしてその後の警察予備隊に関しまする司令部指導といたしましては、創設せられよる警察予備隊運営管理は、これは日本政府が自主的に行うべきものである、これが根本精神となつておるわけであります。従いまして政府といたしましては創設せられましたる警察予備隊管理運営につきましては、自主的にこれをを行うべきものであるという司令部側精神にのつとりまして爾後自主的にすべての運営をいたしておるのであります。ただ、しかし創設の際におきましては、創設の際の隊員の募集が先に行われまして、これを指揮監督すべき幹部任命ということが、時期的に遅れておつたのであります。これがために募集いたしましたる隊員の揮、監督訓練、こういう面におきましては、こちら側にそれを担当すべき幹部がいまだ準備できなかつた関係上、一時司令部関係当局好意的援助によつて、この訓練援助をしてもらつたという事実はあります。従いましてときには英語の号令によつて訓練を受けた、そういうこともなきにしもあらずであつたと存ずるのでありますが、これはしかしまつた外国人がこの部隊に対して指揮をとつたという意味ではない。日本側が自己の任命いたしましたる幹部によつて監督指導訓練を行うべきであるにもかかわらず、その準備が整つていない、その間の空白を補うという好意に基く援助措置であつたわけであります。幸いにいたしまして昨年の十二月末に至りまして全国各部稼につきましては、それぞれ適当なる幹部任命を終りましたので、司令部関係当局におかれましては、その本来の任務でありまする援助という面のみにその働きを局限せられまして、今日においてはすべての部隊指揮管理監督というものは日本人によつて行われている。そうしてそれは予備隊本部長官並びに予備隊総監指揮監督によつて、一切が自主的に行われているわけであります。先ほど藤田君は外国国旗に対して敬礼をする、こういうことを申されましたが、この点は部隊というものは、日本国旗に対してはもちろん敬礼をいたすべきでありまして、ただ友好的な外国国旗が、その権限に基き翻つております場合におきましては、これに対しても国際的な儀礼として敬礼をするということは、何ら部隊自主性を害するものではない。かように私は確信をいたしておる次第であります。
  25. 藤田義光

    藤田委員 法務総裁当局者でございますから、悪い情報が耳に入りにくいだろうと思います。私たちに関しましては、悪い情報だけ入つて参ります。従いまして、ただいまの法務総裁の御答弁では、どうも私たちが聞いておる感覚と相当なずれがあります。私たちが聞いておるような予備隊であるならば、この創設の当時に責任を持つたの大橋法務総裁であるという悪名を、日本の歴史に残すおそれがありはしないかと、私はそういうことまで、実は友情から心配いたしておるのでございます。昨年末なるほど幹部が一応リスト上は整備されたのでございますが、ただいま大橋さんの言われたのと違いまして、この幹部の発令に関してすら、関係方面へ逐一連絡したような事実はないかということを、私たちは想像するのでございます。配置の問題につきましても、これは実例でございます。どこに何万の部隊配置されておるか——もちろん現在軍紀も何もございません。これは私たちはつきり知る権利を持つているわけでございますが、たとえば九州の北端の方に厖大なる部隊が駐屯いたしております。何のためにかかる辺鄙なところに大部隊を置いておるかということは、これは常識をもつては理解できません。あるいはまたがつて海軍の大基地でありました鹿児島県に相当部隊がいる。どういう意味でこういう配置をしているか。日本人の悪党を持つている人ならば、ああいうばかな配置はしないと思います。こういう一事をもつてしましても、訓練、裝備はもちろん、配置に関してすら主体性大橋さん自身失われていやしないかということを、私は指摘したいのでございます。  また昨日管区本部所在地が確定いたしたと私は聞いております。この管区本部所在地に対しましても国民の輿論、地元の大勢を支配する意向というものはほとんど考慮されないで、もつぱら国内以外の観点から設置されたというような解釈をなす人もあることでございますが、配置に関しましても主体性がないという私の意見に関しまして、大橋さんはどうい御意見でございますかお伺いします。
  26. 大橋武夫

    大橋国務大臣 予備隊国内におきまする配置についてのことでございまするが、実は予備隊創設に際しましては、御承知通り七万五千人という大きな部隊收容いたすということに相なりましたので、これが收容に適当な建物が非常に得がたかつた次第であります。従いましてとりあえずの措置といたしましては、さしあたりただちに駐屯せしめ得る建物にこれを收容して行く。時期を見てなお調査をいたし、適当なる箇所に適当なる建物があれば、そこへ移動をいたして参りまして、そうして全国的なまとまつた配置にして行く。こういうふうな行き方をとらざるを得なかつたのであります。そこで現在におきましては全国約三十箇所に配置に相なつておりまするが、このうちにはただいま申し上げました通り、とりあえずの応急的な措置として駐屯せしめておるものもありまするし、またここは恒久的な駐屯、国内のいろいろな実情から見まして、きわめて適切なる配置である、こういう意味において恒久的な配置になつているものもございます。そこで今御質問のありましたるがごとく、ほとんど不必要であると認められるにもかかわらず、そこに大きな部隊がいるではないかというような結果に相なつているのでございます。これは建物をでき得る限り既設のものを利用いたして参る。そうしてそれもただちに使えるものをさしあたりは利用する。かような理由から参りましたるやむを得ざる暫定的措置であるということを、御承知願いたいのであります。
  27. 藤田義光

    藤田委員 大橋さんは非常に頭脳明哲ですから、御答弁が私の質問と一致しないながらも、なかなかはつきりと結論が出るようなかつこうになつておりまして、この主体性の問題に関しまして多く申し上げる必要もないと思いますが、いずれにしましても私がただいま申し上げていることは、私個人の意見でなく予備隊内、特に幹部間においても熾烈なる要望でございます。朝晩身をもつて悲惨なる、自主性を持たざる予備隊指揮者が、涙をのんでわれわれに訴えた言葉を代弁しているということも御承知願いたいと思います。ぜひとも関係方面に対しましてこういう重大なる誤解、誤解であることを私は期待いたしますが、誤解があるということを、一刻も早く伝えていただきたい。当委員会における私の名前をはつきり申し上げられてもけつこうでございます。真相がはつきりしたならば、おそらく国民の大部分が私と同じようなことを申し上げるだろうということを、私は自信をもつてこの機会に申し上げておく次第でございます。  この予備隊創設されまして、昨年の八月末に第一回の部隊が入つたのでございますが、その後予備隊をやめた人、あるいは予備隊関係の犯罪の動向に関しまして、具体的なこまかい数字でなくともけつこうでございますが、大体の傾向がおわかりでございましたならばお知らせ願いたいと思います。朝鮮に参りました占領軍にかわりまして、その部隊所在地を利用した関係もありまして、予備隊員の風紀が非常に紊乱している地区があるということも耳にいたしております。それから、昨年の暮れの新幹部任命に伴いまして、従来仮幹部でありました人格識見ともに優秀なる人がやめたために、たとえば岡山の部隊のごとく、非常に混乱したところもあつたやに拝聽いたしております。この点に関しましては、うわさが大きいことを私は期待しておりますが、実情はどういうふうになつておるか、お伺いしたいと思います。
  28. 江口見登留

    江口政府委員 予備隊発足以来、退職いたしました者は最近までで四千名ほどございます。その内訳を申し上げますると、三千名ほどは自発退職でございます。これは当初御承知通り、なかなか給與がきまらずに、こういうような給與ではとうてい持ちこたえられないというような考え方からやめた者もございますし、また中に入りまして自分の考え方に合わないでやめたとかいう者もございまするし、あるいはただいまお述べになりましたように、試験の結果落ちて見込みがないからやめたという者もございますし、そういうものが大体三千名程度ございます。あとは身体的な事由によりましてやめて行つた者が四、五百名ございます。それから残りは不都合な行いがございまして、たとえば官歴を詐称する、経歴を詐称する、あるいは犯罪を犯すということでやめさせられた者で、それが四、五百名ございます。大体の数はそのくらいでございます。  一部風紀が非常に悪い部隊があるというようなお話でございますが、われわれもたまにそういう隊員がありますことを耳にいたしまして、はなはだ遺憾に存じておるのでございまするが、ただいま法務総裁からお答えいたしましたように、幹部も漸次充員して参りましたので、その幹部による監督も今後は十分厳重にやつて行けるものと心得ておりまするし、この際われわれといたしましても風紀の点につきましては、規律の維持の点につきましては、大いに努力をするようにということを、しばしば繰返して示達しておりまするので、今後はそういう風紀を乱すというような事例はたくさんは出て来ない、りつぱな風紀を持ち、規律を持つた部隊になるものと、われわれは信じております。  それから試験が、いわゆる幹部試験と士補の試験というのが、二回行われたのでございます。幹部試験に落ちた者の中には、それまで仮部隊長の役目をやつてつた者もございまして、試験の結果一般の警査級に落ちたということになりましたために、本人も非常に落胆をし、あるいはその部隊内における納まりもおもしろくないというふうな事例も耳にいたしております。ただ試験は御承知通り普通の常識試験的なものでございますので、この試験の問題で何十点以上かを取れなかつた人は、たとい実技ができましても、その人の普段の常識の涵養が足らなかつたということになるのでありまして、はなはだ仮部隊長などをしておつた人人にはお気の毒でありますが、これは今のところ何とかしたいとは考えておりますが、ちよつと困難ではないかと存じております。ただ士補の方につきましては、士補試験に落ちて今後一般の警査として行かなければならないということは非常につらいというので、やめようかどうかということで迷つておるという者も相当あると聞いておりますので、士補につきましては幹部と違いまして、これは主として常識試験よりも実技の方を重んじて上げた方がいいのではないかと考えまして、一般警査に落ちておる人たちの中から、何か適当な方法で選んで、その人の勤務成績、実技方面を考慮いたしまして、一等士補、二等士補、三等士補に上げられるようにいたしたいものだと考えて、ただいま諸般の研究をいたしておるような次第であります。
  29. 藤田義光

    藤田委員 先ほど江口さんから御答弁があつたことに関しまして、総裁の御意見を拝聽したいのでございます。それは一月末現在で、本年の予算二百億のうち九十五億が支出済みである。そうすれば三月末に相当の余剰ができるが、三月一ぱい義務負担行為をしておけば、支拂いは翌年度にできるという御答弁がございまして、相当予算が二十六年度に持ち越されるということを前提にされました御答弁がございました。そうしますると、政府の国会に付議せざる非常に緊急な措置によりました二十五年度の予備隊費というものに、大蔵省当局等の大きな誤算があつた、少し出し過ぎておつた、むしろ二十六年度で本年のただいま国会に提出されておりまする百六十億をふやして、二十五年度は相当少額で済んだのではないかというふうに解釈されますが、いずれ大蔵大臣にもこの点はつきり所見を伺いたいと思いますが、大橋さんのお考えはどうでございましようか。予算を計上した当時の見通しとしては、大体二百億はどうしても三月中に支出を終るという予定で計上されたのでございますか、あるいは創設当時でございまして、一応この限度で出されまして、実際やつてみたら意外に餘つたというのが真相でございますか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  30. 大橋武夫

    大橋国務大臣 予備隊予算につきましては、創設の当時におきまして、何分予備隊関係の本年度の経費の見積りのうちには、多量の車両であるとかあるいは通信機械であるとかいうように、相当金額を要します裝備もございまするし、また宿舎その他の工事でありまするとか、こういうものも相当な金額に上るのであります。しかもこれらの車両、通信機あるいは宿舎といつたようなものは、契約をいたしましても相当これが工事、あるいは物の生産に期間を要しますので、自然支拂いをいたしまする時期は、翌年度になることが当初から予定をされておつたわけであります。しかしながら御承知通り、たとい翌年度に支拂いがなるというものでありましても、これが契約を今年度においていたしまするためには、どうしてもこれに相当する予算、あるいはこれにかわるべき予備隊経費についての適法な措置が必要となるわけであります。さようなことを予想いたしまして、今年度におきましては合計二百億、そのうち一部は、本年度においては契約のみであるが、翌年度においてこれが支拂いをなすというものも、初めから見込まれておつた次第でございます。従いまして、特に予算につきまして見込み違いをやつたとも考えておりません。
  31. 藤田義光

    藤田委員 二つの点を一度にお伺いしたいと思いますが、総裁の意図されますいわゆる配置の理想的な形態は、いつごろ完成する予定でございますか、これが第一点でございます。  第二点は、現在配置されております全国三十箇所の地方自治体におきましては、相当大きな有形無形の負担があるだろうと思います。幸い木村地方財政委員も見えておりますが、この点に関しまして地元相当誘致運動をやりまして、誘致に成功したところもあるのでございますが、そのほかに誘致運動をやりながらも、負担に非常に苦しんでいるところが多数ございます。地方財政が苦しい中に予備隊の負担が相当増加されておりますが、この点に関しまして地方財政委員会当局と何か御相談があつてつておりますかどうか。この点も地方関係自治体で、非常に期待をしている問題でございますが、お伺いいたしておきたいと思います。
  32. 大橋武夫

    大橋国務大臣 この配置が完了いたしまするためには、まず配置についての全国的な理想的な計画が立ち、そうしてその計画に従いまして実行を完了するということになるわけであります。この計画につきましては、大体現在八分通りは私どもとして考えを持つております。なお他の部分につきましても、目下調査を進めつつあるような次第であります。次にこれが完全に完了いたしまする時期でございまするが、これは新しく建物を立ててまでこれをすることが、今の場合に適当であるか、あるいは理想的な配置とはいえなくとも、既設の建物で、ある時期までがまんするがいいか、こういう問題もございますわけでございます。なるべくすみやかに完了いたしたいとは考えておりまするが、実行上はそういう点におきまして相当制約されるものだろうと思つております。
  33. 木村清司

    木村(清)政府委員 これは予備隊に限つたわけでございませんで、国家的施設につきまして地元で負担をすることは、原則として地方財政計画上は全然見ておりませんから、平衡交付金の上におきましても、あるいは起債の上におきましても見ておりません。ただ法令に基く義務負担におきましては、見ることにいたしておりますが、法令に基かないものは見ないことにいたしておりまして、これは地方団体側において、むりに競争的に位置を争うということは、嚴に戒しめたいと思つている次第であります。また国家施設側におきましては、中央ではそう思つておられるが、出先等におきましてそういうような競争をさせることはしていただかない方がいいと考えておる次第であります。
  34. 加藤充

    ○加藤(充)委員 ちよつと関連してお許しを願いたいと思います。先ほど大橋法務総裁は理想的計画がどうかと藤田君から質問があつたときに、八分通りの腹案は持つておる、とこう言うのですが、私は言葉のあげつらいをするのではございませんけれども、八分通りの腹案を持つておるならば、十分通りの腹案というものがあるはずだと思います。十分通りの腹案があるから八分通りの腹案というものが概念的に成立つのだろうと思います。それはいずれにいたしましても、十分の理想的計画でもけつこうですし、あるいはその八分通りの腹案でもけつこうでありますが、それを明確にお示し願いたい。私がこういう質問を関連で、あつかましくいたしますのは、どういうような仮面を口実に行われようとも、警察予備隊の設置は、軍隊とそれから司令部の設置と準備に関する施策を大いに思わせるものがある。かつて存在した六軍管区と地域的に合致する国内六地区にわたる日本警察予備隊の組織は、かつて存在した軍事行政区分を存続する基礎ではないかと思われる。それから一九二五年には総兵力約二十万からなる歩兵十七箇師団を有した日本が、五箇年後には満州に侵略戰争をぶつかけた、こういうようなことが言われているのでありまして、そういう点から私は連合各国に対しても、ないしは日本の、藤田君がいろいろ言われたような危惧を持つております全国民に対しても、先ほどお尋ねしましたような理想的計画、その百パーセントにもせよ、八分通りにもせよ、おわかりになつている限り、明確にこの際出していただきたいと思います。
  35. 大橋武夫

    大橋国務大臣 まだ申し上げる時期ではないと考えます。
  36. 藤田義光

    藤田委員 木村さんの御答弁でございましたが、実は現実の問題としまして、予備隊の候補地に部隊が入ります前に、部隊外の人が参りまして、そこの自治体の幹部を集めまして、こういう施設をしろという命令をいたしております。敗戰国でございますから、それを拳々服膺して実施いたしている。こういう現実の例がたくさんございました。これは法令に基いているかどうか、私ははつきりわかりません。しかし現実に地方自治体が公的指令によりましてかかる施設をしている。喜んでしているわけじやございませんが、それを受入るためにはそれだけの施設が必要だというのでいたしております。これに対して、これは木村さんにお伺いしてもしかたのないことでありますが、これが創設に全責任を持つておられます法務総裁が、こういう財政的考慮をしない国家機関の設立というようなことを強行されるということは、私は想像いたしませんが、二百億のうち本年度に含まれております約六十億の裝備の中に、相当かかる施設費も計上されておりますが、なかなかこの施設費が出されないという現状でございます。もしこの施設費が出ない場合におきましては、何とか特別平衡交付金その他の方法によつて一部でもまかないまして、国の親心を示すという熱心を持つたらどうかということでございます。あの土地は希望しておつたからあのくらい負担させても、苦しんでも自業自得というような冷淡な態度では、部隊そのものに対する地元の態度にも、相当悪影響を及ぼすのではないかと私は想像しますが、この点に関しまして、ひとつ財政的な見地から、これは大橋さんの今後の再配置にも重大な関連がありますので、この際一言所見を伺つておきたいと思います。
  37. 大橋武夫

    大橋国務大臣 予備隊に関する設備、ことに宿舎の建設につきましては、すべて国の費用でやることになつております。しかしながら、地方の自治体において自発的に協力をされることに対しましては、御好意はありがたくお受けをいたしているという次第であります。
  38. 藤田義光

    藤田委員 私はもうこの辺で打切りたいと思いますが、これは一般の政策とは違いまして、予備隊はなかんずく敗戰下に全国民が注目している組織でございますので、どうかひとつ法務総裁におかれては、この運営管理に関しまして名実ともにすつきりした自主性のもとに、りつぱなものをつくつて行くという心構えを、この際はつきりとわれわれに示してもらいたいと思います。警察法の問題に関しましても、いろいろお伺いしたいことがございますが、私が質問時間を独占しても悪うございますから、この辺で打切りまして、最後に以上の要望を申し上げまして、私の質問を終りたいと思います。
  39. 山手滿男

    山手委員 私は若干最近起つておりまする事態について、法務総裁から見解をお伺いしたいと思うのでありますが、第一に数日前に例の「平和のこえ」そのほかについて、いろいろな処置をされております。相当な、四百数十名というふうな共産党の関係者あるいは「平和のこえ」の関係者、そういう者を逮捕されておるようでございますが、これは新聞でも発表しておられまするように、全国的な規模でこの捜査が行われており、全国的な規模の上に立つて、これを見ておられるように思うのでありまするが、これについて大橋総裁のお考えを、この議場を通じて明確にしてもらいたいと思うのであります。どういう規模のものであるか、その背景、そういうふうなものについて承りたいと思います。
  40. 大橋武夫

    大橋国務大臣 「平和のこえ」という出版物は、その内容から見まして私どもはかつての共産党の機関紙でありました「アカハタ」の後継紙ないしは同類紙であると考えておるのであります。御承知のように「アカハタ」の後継紙ないし同類紙というものは、これは司令部指令によりまして、これが刊行を禁止されておる。この禁止に違背いたして発行されておるという点におきまして、これは一つの刑事事件となるものであります。かつまたその記事の内容を見ますと、連合軍に反対もしくは反抗するというような内容を持つておりまするので、この点におきましては、いわゆる勅令三百二十五号に違反するという、これまた刑事事件に該当するわけであります。私どもはこの事件は一つの刑事問題でございますから、これが取調べを進行いたし、またこれが関係者を逮捕するという目的をもちまして、最高検察庁に対しまして、かくかくの関係者があるという旨を告発いたしたのであります。この告発いたしましたる理由は、現に検挙せられましたところの四百数十名の方々は、いずれも「アカハタ」後継紙あるいは同類紙でありまするところの「平和のこえ」の頒布を、事実上担当いたしておつたのでありまして、これは結局この一つの刑事事件に共犯関係があるわけであります。かようなる見地をもちまして、これらの関係者を逮捕いたし、ただいま各検察庁において、それぞれ、取調べをいたしておる次第であります。
  41. 山手滿男

    山手委員 逮捕に向われましたときに、相当資料が出て来たとか、あるいはまた武器、凶器、そういうようなものも押收されている。あるいは地下組織そのほかについての相当参考になるものを手に入れたというふうなお話でございますが、特にそうした凶器、たとえていえばダイナマイトとか、そういう非常な危險物を相当に持つてつたというような事実があるようでございますが、それは事実でございますかどうか。
  42. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ただいままでに報告せられておりますところでは、北海道の某所におきまして、ダイナマイトの雷管三十本が発見せられて押收せられました。それからたしか九州の某所であつたと思いますが、ピストルの彈丸二十五発、爆発物といたしましてはこれだけでございます。このほか各地において合計十数振にわたる日本刀ないしこれに類する凶器があつたということも事実であります。しかしこれはまだ詳細なる報告は受けておりませんが、大体今日までに想像いたしておりますところでは、おそらくダイナマイトは鉱山用のダイナマイトでありまして、国内において入手されたものであろう。それも一箇所だけであります。それから日本刀のごときものは、現在の状態から見まして、五百箇所から捜査をいたしますれば十数振の日本刀が出て来るということは想像できることであります。特にこの関係者が他の犯罪者以上に武裝を強化いたしているというような特異な傾向とは私考えておりません。
  43. 山手滿男

    山手委員 最近旧朝連の未接收財産の処理が急いで行われておるように私は思つております。まだ未接收の旧朝連の財産が全国で数十箇所ある。それでその接收を急いでおられるために、各地でトラブルが相当起きておる。それには朝鮮人の人たちが大挙して動員されて、反抗デモをやるというようなことで問題が起きておる。名古屋でも起きておるようであります。あるいは三重県の四日市市でも、おそらく現にきようあたり地方事務所の所長以下がなぐられたり、硫酸をぶつかけられたりした事件が起きておると思いますが、旧朝連の未接收財産の接收というようなものは、今どういうふうになりつつあるか、その点お伺いしたいと思います。
  44. 大橋武夫

    大橋国務大臣 旧朝連は一昨年の秋に解散せられまして、当時この解散団体の残余財産というものは、一切政府に接收されておるわけであります。しかるに地方によりましては、その当時法律的には接收いたした形になつてつたのでございますが、その管理を事実上従来の関係者にまかせるというようなことを容認いたしておつた向きもありましたので、かような財産はただちに処分することができなかつたわけであります。しかしながら、解散団体の財産の処分ということは、法令の規定によりできるだけすみやかにいたさなければならぬ。ことに旧朝連の残余財産につきましては、政府といたしましては、でき得る限り在日朝鮮人諸君の福祉厚生のために使つて参りたい、こういうふうに考えをきめまして、関係方面とも了解を得ておる次第でありますが、さような朝鮮人のための厚生福祉という有益なる用途をすでに予定いたしておりまする以上は、できるだけすみやかにこれを換価いたしたい、こういうふうに考えまして従来の関係者に引続き管理を委託しておりましたこれらの財産について、その引渡しを求めて、これを急ぎ換価いたしつつあるわけであります。その引渡しを求めるに際しまして、多少地方によりまして事件の起つたことは、ただいまお述べになつ通りでありますが、政府としては、さような次第でございますから、これは急速に完了いたしたいと考えております。
  45. 山手滿男

    山手委員 私は共産党じやないのでありますが、しかし旧朝連の未接收財産の接收を急がれるために、何かことさらに地方に波瀾を起しておるような向きがあるんじやないか。そのために貧弱な市の自治体警察あたりが、非常呼集をいたして、おりまして、ずつと待機しているというようなことで、地方自治体の警備費というようなものが、非常に困つた状態に陥つておるように思つています。これは私は円滑なる接收を推し進めてもらわなければ、いたずらに紛争を起すのではないかというような気がいたします。ちようど年末——十二月十五日でありましたか、全国の検事長会同をおやりになつて、年末の治安対策、あるいは検察庁の非常防衛態勢というようなものを、協議されたように聞いておるのでありますが、ああいう年末、あるいは年始を控えて、特に旧朝連の財産接收というようなことで、地方の県では、県下の全警察官を一市に集中動員しなければ、これが対策上対抗できないというふうな状態に持つて行かれることについて、私はどうももう少し考える余地があるのではないかと思います。時期あるいは方法その他についてもう少し——ただ單に事務的に接收を強行するというふうなことではしに、いろいろ考慮を拂つた上で接收してもらわないと、地方も困るのではないか、私はその点を要望しておきたいと思う。地方と打合せた上でやつていただかなければ、ただ單に地方に接收を押しつけたようなかつこうで、事務的にこれを処理すると、思わぬ波瀾が起きて来るように私は思う。  それから大橋法務総裁が車中談を発表されました中に出ておりました点で、私ども非常にお尋ねしてみたいと思つておりますことは、例の朝鮮人が現在相当北海道方面に向つて移動しつつあると、談話の中で見解を述べられておるのでありまするが、その点はどうでありますか、ひとつお伺いをしたい。
  46. 大橋武夫

    大橋国務大臣 さような車中談をいたした事実はございません。それで車中談と離してその問題についてお答えをいたします。そういうことにつきましては、多少の情報を聞いておる程度でございます。
  47. 山手滿男

    山手委員 北海道方面相当そういうふうな問題が伝わつて行きまして、動搖ではないでしようが、いろいろ揣摩臆測が行われておるようでございますが、けつこうでございます。私は法務総裁からそういう言明を聞いたことは、非常に喜ばしいと思つておりますが、こういう点はどうですか。昨年の暮れに徳山の検察庁あるいは徳山の裁判所が、前後いたしまして、放火事件によつて焼失をいたしました。これはそういう関係の連中が、いわゆる警備力の薄いウイーク・ポイントに向つて波状攻撃を加えたその一環ではないかというふうな見解が吐露されております。神戸事件そのほかでもそうでありますが、こういう暴動そのほかの神経戰というようなものが、計画的に警備の手薄なウイーク・ポイントに対して集中されるというようなことになると、さつきの警察予備隊に対しましても、理想的な配置というふうな問題そのほかについて、十分検討して行く必要ができて来ると思うのでありますが、そういうことについてどういうふうにお考えでございましようか。
  48. 大橋武夫

    大橋国務大臣 徳山の検察庁の火災でございますが、これはすでに犯人を逮捕いたしました。これは明らかに放火事件でございました。しかし御心配になるような性質の人たち行動ではなく、いわゆる單純な放火事件にすぎなかつたことが判明いたしたのであります。そこで神戸事件あるいは大津事件その他等から見まして、共産主義者の背景を持つところのああした事件が、警備力の手薄なところに起るのではないか、この問題につきましては、さような点もあるかと存じまして、警備力の強化ということにつきましてはいろいろとくふうをこらしておる次第でございます。
  49. 山手滿男

    山手委員 旧朝連系の青年行動隊というふうな秘密組織が訓練されておるのじやないか、五人か六人くらいで一班をなし、さらにそれが小隊、中隊組織というふうなものになつて訓練を急がれているんじやないかというふうなことも、一部発表されておるのでありますが、「平和のこえ」このほかのああいう全国的な組織網、そういう旧朝連のいろいろな組織網、そういうものについてのその後の取調べ情報というものについて、もう少し明らかにしていただきたいと思う。
  50. 大橋武夫

    大橋国務大臣 その点は私手元にただいま詳細な記録を持つておりません。後日適当な機会にお答えさせていただきたいのであります。
  51. 山手滿男

    山手委員 けつこうです。あとから私はよくお聞きしたいと思います。  それでは、今度改正されました出入国管理令というのがあつて外国人の登録令違反者の強制立ちのき等の権限が、従来は地方長官にありましたのを、今度管理庁に移すことになつた。これが改正を延期して、しばらく地方長官の権限の中に残しておくというのは、どういう理由でそういうふうにされたのか、お伺いしたいと思います。
  52. 大橋武夫

    大橋国務大臣 これは改正の内容が、主として強制退去についての手続の点でありましたが、この手続の点をいろいろ研究いたしました結果、再考を必要とする部分を発見いたしましたので、ただいまその点を再考いたしつつある次第であります。
  53. 山手滿男

    山手委員 そうしますと、出入国管理庁ですか、あそこはできましたけれども、そのまままだ全然事務を持つていない、こういうことになるのかどうか。あるいはまたさらにこれを無制限に延ばされるようなことになるのかどうか。その点ひとつ見通しとしてお伺いいたしておきたい。  それから第三国人の登録が行われておるのでありますが、これはある情報によると五十数万と言われ、ある情報によると六十数万、もつと多いのだというふうなことが言われておるのでありますが、この登録令違反と、今後の治安の問題とが非常に関係があると思うのであります。登録の進行状況、あるいは違反者の送還状況、そういうようなことについてもう少し承りたい。
  54. 大橋武夫

    大橋国務大臣 出入国管理庁は、外国人登録令の施行官庁といたしまして、現在仕事を行つております。それから不正人国者の強制退去につきましては、九州にこれらの收容所を管理いたしております。そして実際強制送還の命令の執行の事務を現実に行つておるのであります。出入国管理令の改正が遅れましても、従前から法務府及び外務省等において行つておりました事務を引続き行つておるわけでありまして、この点は別に支障がないと考えております。  それから登録の状況でございますが、これもただいま手元に数字を持つておりませんが、朝鮮人の登録が約五十五、六万でないか。そのほか中国人が三万くらいその他の外国人は今ちよつと記憶いたしておりません。それで大体一応の登録は終つておるというふうに、私どもは観察いたしております。
  55. 山手滿男

    山手委員 出入国管理庁の方へ引継がれることになつてつて延期されておるのですが、登録令違反の者はこれは強制的に退去さす、こういうことでありますが、一方で暴動なんかに参加をいたしました朝鮮人、治安撹乱者としてこれを国外に追放する云々ということを、官房長官も昨年末に言われておりますが、これについて明春早々政令を出すということが、相当大きな記事にもなつてつたように思います。この点はどうなつておりますか。
  56. 大橋武夫

    大橋国務大臣 これにつきましては、すでに関係方面と根本方針については了解がついたわけであります。これを実施いたしますについての立法の作業も今いたしておるわけでありますがこれはいま少しく時期を要するかと考えます。
  57. 山手滿男

    山手委員 そうしますと時期の問題で、いわゆる治安撹乱者、あるいはそういうふうなことに関係をして連坐をした者は、送還をするという建前になることが、そのうちに実現するというふうに了解していいわけですか。
  58. 大橋武夫

    大橋国務大臣 これは時期及び方法の問題であると考えております。帰すという根本方針はすでに固まつておる、こう私は了解いたしております。
  59. 山手滿男

    山手委員 こういう問題は非常に御答弁がしにくいようでありますが、さつきから藤田君からもいろいろ話がありましたが、最近になつて警察予備隊が新規にできる、海上保安隊がああいうふうなことになる。それから国家警察とか自治体警察とか、あるいはそれにからんで、公安委員会とか、いろいろ警察法の改正、そのほかについて議論が行われております。この三国人そのほかの問題にいたしましても、事が單なる偶発的な事件でなしに、全国的な規模で行われておるように思う。それが海上保安庁のごときものは運輸大臣によつて指揮されておる。あるいは警察予備隊総理大臣に一応直接の責任が来ておる。それを法務総裁が代行しておられるということで、治安関係事務がばらばらになつておる。従つて責任の帰趨が明確でなくて、問題が起きたときに非常に困る事態が起きるのじやないかというふうなことが想像されるのですが、われわれはできれば治安関係、保安関係、そういうようなものを一体にして、責任の帰趨をはつきりさすような行政措置がとられることを望んでおるのでありますが、そのことについて大橋法務総裁は、どういうふうにお考えになりますか。
  60. 大橋武夫

    大橋国務大臣 この点はいろいろ御意見のあるところで、今山手君のお述べになりましたような御意見についても、十分に承つております。しかしこれらの関係の仕事というものは、いずれも従来からそれぞれの沿革がございまして、現在のようにきまつておるわけであります。また一つには、治安係関のすべての仕事を一つところへ集めてしまうということが、いわゆる国民の権利及び自由を擁護するという上から申しまして、はたして得策であるかどうかという点につきましては、また別の観点から相当意見もあるわけでありまして、私どもとしましても、事は治安に関係いたします重要な問題でございますから、大きな関心を持つて研究はいたしておりますが、ただいまのところ、これについていまだ結論を得るまでに至つておらないような次第であります。
  61. 山手滿男

    山手委員 これは委員長に一応お伺いしておきたいと思うのでありますが、今度警察予備隊関係の議論は、国会内では内閣委員会でやるというふうな話であります。いろいろ問題も多いのでありますから、国会としても、治安関係について常任委員会を一つ持つか、何かそういうふうなことに持つてつて、この治安関係を統一して、はつきりさして行くような態勢を整える必要はないかどうか、この点についてどういうふうなお考えですか、委員長の御所見る伺います。
  62. 前尾繁三郎

    前尾委員長 ただいまそういう案がありまして、盛んに検討されて、近く具体化するように聞いております。それは山手委員の今おつしやるような方向だろうと思つております。
  63. 山手滿男

    山手委員 旧朝連関係の財産の接收そのほか治安のことについて、総理が言われるいわゆる神経戰的な空気が、地方相当あるのです。それでどうしても私はこの治安関係を一丸とした強力な、国民が安心するような態勢を国会もつくらなければいかぬし、政府自体考えてもらいたい。この点大橋法務総裁に、特に私は要望しておきたいと思うのでありますが、それにつけましても、年末あるいは年始のようなときに、財産の接收なんかをやつて、ことさらに波瀾を起さないように、單に事務的にこれを指令で解決しようというような措置をとらないように、私はお願いしておきたいと思います。まだほかにも質問があるようでありますから、私はこの程度で打切つて、おきます。
  64. 床次徳二

    ○床次委員 関連してちよつとお伺いしておきたいのでありますが、今日国内自衛態勢を確立する意味において、警備を拡充するということはきわめて緊要でありますが、先ほどお話のありました予備隊配置の問題であります。私どもはこの際建物その他にとらわれずに、必要な場所に対しましては、やはり新設いたしましても予備隊配置考えることがいいのではないか、先ほどのお話では、本年度の予算におきまして、相当未執行のものが残つておるようでありますが、必要な場所につきましては、ぜひ新築してでも治安に遺憾のないような処置をおとり願いたいということを、特にこの際要望しておきます。  なおこの機会に、さらにお尋ねしておきたいと思いますのは、予備隊が設置せられましたときには、これはポツダム政令によつて設置されたのでありますが、今日の事態から見まして、予備隊の職責というものは、きわめて重要であり、隊員自体がほんとうに職務と責任を自覚して行動することが必要、なことは、先ほど来いろいろ議論のあつたところによつて明らかでありますが、場合によりましたならば、警察予備隊の定員を増加するということも、警審の定員の増加とあわせて考慮する余地があるのではないか、かかる必要も出て来るのではないかと思うのであります。かりに警察予備隊が増員を要するという場合において、法務総裁は、この予備隊の定員の増加は、やはりポツダム政令でなければ増加できないものかどうか、法律をもつて増加する道があるかどうか、こういうことについて、どういうような御見解を持つておられるか、お尋ねしておきたいと思います。
  65. 大橋武夫

    大橋国務大臣 既存の建物にとらわれずに、国内事情に印して必要な土地には、宿舎を新築するということを考えてはどうかという点でございますが、この点につきましては、これは結局予算との見合いでございまして、予算にゆとりが明らかにあるということがわかりました場合におきましては、その範囲におきまして、ただいまお述べになりましたような考え方もいたして行きたいと存じます。  次に増員の点でありますが、私はただいまの段階といたしましては、警察予備隊の人員を増加するというよりは、むしろ現在の隊員訓練を充実いたしまして、その力を強化いたすということが適当ではないかと考えております。
  66. 前尾繁三郎

    前尾委員長 加藤充君。
  67. 加藤充

    ○加藤(充)委員 さつき私は藤田君の関連質問で、質問申し上げましたところが、申し上げるべきではないということでした。しかし国会に秘密にして行くという民主政治があるかどうか。大体大臣だつて人民の公僕にすぎない。国会の権威の方が、はるかにあなたよりは上の方にある。そこで八分通りないし十分通りの理想案があるならば、いろいろな問題でそのことを聞きたい。その真相を知りたいと藤田君も少くとも言つてつたし、皆が言つておるときに、そういうものをあえて秘密にするというようなことを、あなたはどうお考えになつているか。そして警察のことについて秘密にするということであり、国民に知らさないということである。そうしてしかも予算の問題が問題になりましたが、着々やつておるということになれば、まさしくこれは秘密警察である。少くとも軍隊であるというようなことを言われてもしかたがないと思うが、一体どうする。そうして一九四七年六月十九日付の日本の一切の秘密警察組織の解散に関する決定という極東委員会の嚴重な通達、こういうようなものに対し、大橋法務総裁答弁は矛盾するのかしないのか、御見解を聞いておきたいと思う。
  68. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ただいまはまだ申し上げるべき時期ではないと私は考えております。
  69. 加藤充

    ○加藤(充)委員 それから大体先ほどの総裁の答弁で明らかになつたことなのですが、「平和のこえ」の検挙の報道に伴つて、ダイナマイトが出た、武器、銃器が出たというようなことがある。しかし今大橋さんの話を聞けば、それは坑夫のうちから鉱山用のダイナマイトが出た、あるいは五百人、それ以上もの家宅捜索をやつて日本刀ないしはそれに類するというようなものが出たといつても、日本の状態としては普通のことである、こういうようなことが言われたと思うのであります。それで私はいろいろな仕事の関係で知つたことですが、ある百姓の人がほかの事件で家宅捜索を受けました。これはやみの関係でしたが、そうしたところが小さい刀が出たということで、別個の起訴を受けたのでありますが、その実情を見ますと、菜切りぼうちようのかわりに使つてつたようなものがあつたことを私経験したのですが、日本刀ないしそれに類似するというものの中には、そういうようなものが含まれておると思う。たいへん前置きが長くなりましたが、そういうふうなことが少くとも共産党の暴力革命というようなことに関連があるというような新聞の報道でありましたが、ああいう新聞記事は大橋さんが大体指示を與えて発表したことを、そのまま新聞が発表したのですか。
  70. 大橋武夫

    大橋国務大臣 新聞記者諸君の取材につきましては、私の関知するところではございません。
  71. 加藤充

    ○加藤(充)委員 ダイナマイトとか日本刀、それに類するものというようなことは、共産党の暴力革命というようなことで、「平和のこえ」の彈圧の発表をやりましたときに、あなたが言われたことであるかどうか。
  72. 大橋武夫

    大橋国務大臣 私は当時旅行いたしておりまして、その問題については承知しておりませんでした。東京へ帰つてみたら、そういう新聞記事が載つてつた
  73. 加藤充

    ○加藤(充)委員 車中放言ということが問題になつて、朝鮮人が続々北上していると言つたのじやないかということを質問されたところが、そういうことを言つた覚えがないというのですが、こういうふうなことをこの際私は大橋さんに嚴重に警告をしておきたい。治安の総元締の任にある者がいい加減なことを言うこと自体が、治安の総元締の職務怠慢であり、反則はなはだしきものがあるということである。このことはあなたは留守で発表したことはないと言われるけれども、車中談とかどこかで勝手なことを言われたのでは、東京におらなくてもどこでデマの総本山をやるのかわからないのであります。平和の声のことについてはこれで終りますけれども、この際厳重に今申し上げたようなことを大橋さんに要望しておきます。  それから朝鮮人の資産の問題について、ごく簡單に触れたいと思うのですが、先ほど在日朝鮮人の福祉のために利用するように心がける方針であると承つた。私は先般大津に行きましたときに聞いたことですが——大津というのは、いわゆる朝鮮人の騒ぎのあつたところでありますが、あそこの近所の石山というところに、旧朝連の建物があつたのですが、それを含めて滋賀県においては大体一括して、一人のいわゆる地方のボスということを言つていましたが、そういう者に皆下渡し、売渡しして、どうも在日朝鮮人の福祉に使つておるというふうには認められないという事実を、たくさんの人が訴えておりました。旧朝連の人も訴えておりました。こういうふうな事柄が地方において行われますと、騒ぐのは悪いですが、結局こういうふうな地方官庁や、あるいは地方の方針の行き過ぎや行き足りなさがありますると、必要以上に摩擦を生じて騒ぎを起す、そうすると騒いだ者が悪いというようなことになつて、他に責任をぶつかけるというようなやり方が出て来ると思うのであります。私はこのことを質問するために出て参つたのではありませんけれども、先ほどのお答えに関連して、この点だけ実情を訴えるとともに、こういう措置は妥当なのかどうか、先ほどお答えになつた方針と反するのかどうか、そのことをお聞きしておきたい。
  74. 大橋武夫

    大橋国務大臣 私の申し上げましたのは、旧朝連の残余財産は、朝鮮人諸君の福祉のために使いたい、こういうことを申し上げたのであります、そこで旧朝連は積極財産のほかに、旧朝連としての負債すなわち消極財産もあるわけでありまして、この旧負債に対しましては、旧朝連の積極財産を処分いたしまして、換価して得た金銭をもつて弁済をして行かなければならぬ。従いまして、財産を従来の形においてそのまま朝鮮人諸君の福祉厚生に使うということは不可能でありまして、これは第三者に法定の手続によりまして、競売の手続をとりました上で換価いたしまして、その金銭で旧負債を拂いました残りの金銭は、これを在日朝鮮人の福祉厚生に使いたい、こういう趣旨でございます。従いまして、今仰せられましたるごとく、今までの建物を朝鮮人諸君に使わせないじやないかと申されましたが、しかしこれはそういうことがありましても、私の申し上げましたる根本精神に背馳するということは言えないわけであります。
  75. 加藤充

    ○加藤(充)委員 なるほど利用させるということは、換価した金の方で利用させるということもあるのですが、粒々辛苦して建てたものを、あるいは認定がきわめて不当であつて、しかもその認定に対しては一切の合法的な争う手段を封殺されて、涙ながらにとられて行つたような財産もある。しかもその財産は大方は不動産が多いようでありますし、不動産については現実にそのものが残つているのです。そのまわりで生活している関係上、朝晩そのことが目につくのであります。しかもその接收に不当なものがあつて合法的に争いを残さずに閉ざしてしまつて、強制的に接收したものが物件の形のままでそこに残つておる。朝鮮人が朝夕そこを通るということになりますと、金銭に換価したものを利用させるというだけでなく、現実にそこに残つている建物を私は利用させるという方針がとられなければ、これが徹底しないと思うのです。また人間はそういうものなのですから、金にかえてやるというようなことでは不徹底だと思うのですが、どうでしようか。
  76. 大橋武夫

    大橋国務大臣 団体等規正令によりますと、団体が解散せられました際におきましては、その財産はすべて国有に帰属するわけでございます。従いましてこれは旧朝連財産と便宜上呼んでおりますが、それはまつたく国有の財産であります。従いまして国といたしましては、この国有の財産を処分いたしまして、国の恩惠的な措置といたしまして、旧朝鮮人諸君の福祉にできるだけ使うようにいたしたい、こういうふうなはからいをいたしておるわけであります。
  77. 加藤充

    ○加藤(充)委員 私は質問しようと思うようなことも持つて参りませず、またお話の間で質問を拾うような形になりまして、たいへん不見識でもあり、恐縮に存ずるのでありますが、一点お願いいたしたいと思うのです。それは大津の朝鮮人の騒ぎの問題ですが、私はあの問題について裁判所側の方の意見を、いろいろ聞いてみたりしたことがあるのです。それは正式なものではありませんが、そうするとずつとここ二年来、あそこの警察と検察庁がずいぶん無理な検挙と、起訴をやつておる、勾留をやつておる。こういうような事実が判明したのですが、これの詳細はここで申し上げませんが、そういうふうなことは、このたび政府でもあなたの手元で、大津の事件などにつきまして、いろいろ報告があつたと思いますが、あの騒ぎの原因の少くとも一つの中に——そういうふうな情報があなたの方に入っていますか。
  78. 大橋武夫

    大橋国務大臣 全然聞いておりません。
  79. 加藤充

    ○加藤(充)委員 それではこれはきようしてもしようがありませんから、そういう重大な問題があるので、これを個人的にも、また個人でなく議員としてでも、大橋さんにぜひそのことを申達しなければならない義務を私は持つておると思うのです。その機会をつくつていただきたいと思います。
  80. 河原伊三郎

    ○河原委員 関連して……。私は滋賀県出身で、相当滋賀県のことには詳しいつもりでありますが、滋賀県の朝鮮人連盟は、長年にわたりまして、全国でも暴力的な面におきましては、その最先端を行くと言うても過言でないくらいに、非常に県民の顰蹙を買つてつたものでありまして、ただいまの質問の要旨とは実情は大分違うように、私どもは看取しておるのであります。
  81. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは暫時休憩いたします。     午後零時五十三分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた