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1951-02-01 第10回国会 衆議院 地方行政委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月一日(木曜日)     午前十一時十一分開議  出席委員    委員長 前尾繁三郎君    理事 河原伊三郎君 理事 野村專太郎君    理事 龍野喜一郎君 理事 藤田 義光君    理事 門司  亮君       池見 茂隆君    大泉 寛三君       門脇勝太郎君    川本 末治君       小玉 治行君    吉田吉太郎君       床次 徳二君    大矢 省三君       久保田鶴松君    立花 敏男君  出席政府委員         地方自治政務次         官       小野  哲君  委員外出席者         専  門  員 有松  昇君     ————————————— 一月三十一日  委員木村榮君辞任につき、その補欠として米原  昶君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方自治に関する件  地方財政に関する件     —————————————
  2. 前尾繁三郎

    前尾委員長 これより会議を開きます。  地方自治に関する件、地方財政に関する件を一括議題といたして、質疑を許します。床次徳二君。
  3. 床次徳二

    床次委員 私は将来の地方財政に関する審議を行いますにあたりまして、あらかじめ当局から説明資料をお願いいたしたい、かように考えておるので、この際注文しておきます。  御承知通り前の国会におきまして、地方財政の確立に対しましては、当委員会におきましても嚴重な警告を政府に発せられておつたのでありますが、それに対する処置に関しましては期待したところのものが現われておらないのであります。しかも来年度の予算を見て参りますると、政府が予定しておりますところの地方歳出の総額に関する見通しにつきまして、地方財政委員会あるいは大蔵省考え方におい、相当差額があるように考えられるのであります。これに対しまして、当局はどういうふうに考えておるかどうか。それぞれの地方歳出見込みについて議論があることと思います。財政委員会等におきましても、それぞれの意見があつたはずであります。こういう問題に対しまして、ひとつ数字をあげまして説明資料をいた、だきたいと思います。  なおこれに関連しまして、地方歳入の問題が当然審議されなければならぬ。地方税法改正の問題にも関連して参りますが、地方歳入見通しにつきましても、地方財政委員会意見自治庁意見、並びに大蔵省意見というものを比較し得るように説明していただきたいと思うのであります。なお当然その結果として生じまするものは、平衡交付金の額の問題でありまして、これが問題になるのであります。平衡交付金の額があまりにも少いということは、いまさら申し上げるまでもないと思うのでありますが、その予算に計上されました、額をもつて適当とするという大蔵省意見、並びにこれに対する地方財政委員会意見、あるいは自治庁意見等もあわせて提出していただきまして、われわれの委員会においては今後この問題を中心として十分審議して参りたい、かように考えております。きようは小野政務次官もお見えになつておりますが、どうかそのつもりにおきまして、資料を御用意の上、詳しく御説明願えればけつこうだと存じます。
  4. 小野哲

    小野(哲)政府委員 床次さんからの御意見まことにごもつともだと思いますので、目下それぞれ資料の調製に当つておりますから、いずれ近くお目にかけまして、またそれによつて説明を申し上げる、かようにいたしたいと思いますので、御了承願いたいと思います。
  5. 前尾繁三郎

  6. 河原伊三郎

    河原委員 今国会請願書を見ますのに、地域給に関する請願が圧倒的に多いようでありまして、非常に関心を集めている次第でありますが、この地域給の問題は人事院の方で扱われるようでありますけれども、その内容的関連からいたしますれば、むしろ地方行政関係の方が重きをなすのではないかと思われるくらいの重要関連を持つものであります。地方自治庁の方では、これに関しどのような連絡、または関與をされておる状態にあるか、一応承りたいと思います。
  7. 小野哲

    小野(哲)政府委員 お答えをいたします。ただいま河原さんが仰せになりましたように、地域給の問題が各所で論議されておりますことはその通りであります。つきましては、この問題は主として人事院において調査いたしまして、何らかの意思表示が出て来るものと思つておるわけでありますが、同時に地方公共団体の職員の給與に関する問題でもありますので、地方自治庁におきましては、これらの点を考慮いたしまして、人事院勧告等が出ます場合におきましては、もちろんその内容につきましても関心を寄せて参らなければならぬのでございますが、地方自治庁公務員課におきましても、人事院連絡をとりまして善処して行くようにして参りたいと考えておるのであります。ただ目下のところは、なお人事院においての調査研究過程に属する問題でございますので、どういうふうな内容のものが提案されて参りますか、今のところは想像いたしがたいのでありますが、さような心組みで対処して参りたいと思つておりますことを申し上げたいと思います。
  8. 河原伊三郎

    河原委員 目下研究調査過程にあるとのことでありますが、およそ案が固まつてしまいますれば、それを直すことは非常に困難な場合が多いのでありまして、むしろその研究過程において、積極的に自治庁から資料なり意見なりも出されまして、地方的に最も関係と知識の深い地方自治庁がこれに参画して、受難な案をつくり上げることに積極的に働きかけられることが最も望ましいのではないか、かように存ずるのでありますが、地方自治庁としては、あくまで消極的にでき上るまで手をこまねいて待つて、その上のことにするというお考えであるかどうか、この点を承わたいと思います。
  9. 小野哲

    小野(哲)政府委員 河原さんも御承知のように、大都市附近であるとか、その他の地域におきましては、今回の地域給の問題が相当重要な関心を寄せられておりますことは、十分承知しておりますし、また関係地方公共団体から私のところへじかに意見の開陳もございますので、私としては目下人事院において調査研究中のものではありますけれども、人事院総裁を初め人事官等にも私から直接連絡をとりまして、かような意向地方にある、従つて人事院調査研究に際しましては、十分にこの間の事情考えるようにという連絡をとつておるような次第でございます。なお事務的にどういうふうになつておりますかは、実は詳細に報告を受けておりませんので、この機会お答えを申しかねるのでございますけれども、私自身としては、全国地方公共団体希望等については、その都度人事院当局にも連絡をとるような措置考えておりますことを御了承いただきたいのであります。
  10. 河原伊三郎

    河原委員 人事院の案ができ上りますと、国家公務員の方を律することになるのでありますが、そのでき上りましたものが、地方自治庁の方の見解とはなはだしく違う、あるいはまたそれぞれの地方自治団体の実情に合わないようなものであるということになりました場合には、国家公務員地方公務員との間において、地方公務員関係はそれぞれの地方自治団体独自の立場行つてよいという行き方をとられますか、またはそういうふうな場合においても、国家公務員地方公務員はならうべきだという建前をとられるお考えでありますか、この点を伺いたいのであります。
  11. 小野哲

    小野(哲)政府委員 先般御制定を願いました地方公務員法趣旨にのつとりまして、給與情勢にできるだけ適応するように参るべきが筋合いであろうと存じますので、従つて国家公務員地方公務員との間において給與の点につきまして不均衡を免ずることは、極力避けて参らなければならぬかと思つております。従いましてしからば具体的にどの地域において、いかなる地域給の設定をすることが妥当であるかということにつきましては、具体的な問題として十分に検討を要することと思うのでありますが、大要さような考え方情勢に適応するようなぐあいに給與の問題は取運んで行くことが妥当ではないか、かように思つておるわけであります。ただ問題は、国家公務員におきましては、もちろん予算との関係もございますし、また人事院当局考え方がいかなる内容を持つて出て参りますかは、人事院が独立の立場において政府に対して勧告を出す立場にもありますので、今のところはこの間の事情を詳細に知悉することが困難ではありますけれども、ただいま河原さんからの御注意もございますので、御趣旨を十分に体しまして、事務当局に対しましても申し伝え、遺憾のないように処置して参りたいと考えておる次第であります。
  12. 床次徳二

    床次委員 ただいま河原委員から地域給お話がありましたが、地方公共団体として非常な関心を持つておる。結局は平衡交付金にまで関係して来る、そういう考え方でもつて、今日いかよう地域給がきまるかということについて、これは公務員のみならず、公共団体自身関心を持つておるのであります。ただいま河原委員お答えになりましたことによりまして大体了承いたしましたが、ぜひ自治庁におきましても地方公共団体立場から、ひとつ積極的な関心を持つていただきたい。例を申し上げますと、鹿兒島市のごときは県庁の所在地でありますが、たまたま物価の調査をいたしましたところの統計が五月と十一月、これは一年中でもつて最も米の配給の多かつたとき、また鮮魚の一番たくさんとれたとき、年内でもつて数倍に上るところの鮮魚のとれるとき、従つて生活費が非常に安くなつていた。反面におきまして、十一月におきましては颱風のあとを受けて現金がほとんどなく、支出を控えておつたというような特殊なときにあたつてつた。そのためにC・P・Sが非常に下つたというふうな現象もあるのでありまして、これが将来の基準になると、公共団体は非常な影響を受けることをおそれておるのであります。ただいま申し上げましたのは一例でありますが、どうか自治庁におかれましても積極的な御関心を持ちまして、できるだけ公平な地域給を定め得るように御盡力をお願いしたいのであります。
  13. 小野哲

    小野(哲)政府委員 床次さんからも御意見がございましたが、政府におきましても、この点につきましては愼重に取扱つて参りたい、かように考えております。従いまして地方自治庁におきましても、この間の事情を十分考え合せまして善処して行くようにして行きたい。いずれまた他日この問題が具体化して参りましたときにおきましては、種々御論議をいただきたい、かように考えております。
  14. 前尾繁三郎

  15. 大泉寛三

    大泉委員 政府市町村自治体財源として、法人税を課するということが伝えられておりますけれども、今小野さんに聞いてみると、そういう意向もあるというが、その内容を大体承りたいと思うのであります。
  16. 小野哲

    小野(哲)政府委員 お答え申し上げます。地方税法の一部を改正いたしたいという心組みを持つておるのでありますが、この内容につきましては、まだ確定的な成案を得ておりませんので、この機会に具体的に詳細にわたつて申し上げることは差控えさしていただきたいと思うのでありますが、御承知のように、第二次シヤウプ勧告が出まして以来、地方自治庁並びに地方財政委員会におきまして、昭和二十六年度における地方税税収見込み等について、種々検討を加えて参つてつたのでございます。御承知のように、一面国税においてある程度の減税措置を講じて参ります関係上、その影響がやはり地方税においても生じて来ることは見安い道理であります。特に所得を基本として考えられております市町村民税におきましては、二十六年度においてはある程度の税収減考えられるのであります。従つて予定税収額を確保するためには、何らかこの間の調整をはかつて参らなければならない、かような事情にあるのであります。但し御承知のように、地方税法実施されましてなお日が浅いのと、現に徴税過程にありますので、従つてこの間の実績等を的確に把握するということは、困難な事情にあるのでありますが、同時に昭和二十六年度の地方財政計画を立てるにつきましては、予定税收額見込みまして、そして歳出歳入均衡のとれたものにして行かなければならぬことは、これまた申し上げるまでもないところであります。ただ問題といたしましては、たとえば市町村民税において個人負担をこれ以上に加重するというやり方は、極力避けて参りたいという考えを持つているのであります。従いまして市町村民税の予定される税収額に対して何がしかの不足が生ずるという見込みが立ちました場合におきましては、何らかの方法によつてこれを補填して参らなければならないのであります。その場合において、個人に対する税率の増加をはかつて行くという方法をとるか、あるいはその他の方法によつて補償の道を考究するか、いずれかをとらなければならぬのでありますが、私どもの考え方といたしましては、現行の市町村民税賦課率はこれをすえ置きといたしたいという考えのもとに、従いましてこれに対応いたしましては何らか他の方法をとる必要があるのではないか、かような意味合いにおきまして、法人について何がしか負担を願うことにすることによつて個人法人との課税均衡を保持するようにして行くことが妥当であろう、こういう考え方から、法人税のごくわずかな程度の所得割を課する方法目下考究いたしているような次第でございます。もつとも資本蓄積等日本経済自立の上に重要な要件になつておりますので、従つてこれを阻害するがごとき方途に出ることは、極力避けて参らなければならぬと思うのでありますが、許される限度において法人税額の適当な割合の所得割課税する方向目下研究を進め、政府部内並びに関係方面と協議を進めているような次第でございます。
  17. 大泉寛三

    大泉委員 まだ詳しいことはわかませんけれども、今ようやく地方税改正されて、実施になつてまだ一年に満たないうちにまたこれを改正されるということは、ありまにも早過ぎるではないか、特に地方において法人税を課することになると、結局国税引上げなり、特に地方において愼まなければならぬことは、どうも財源は最もたやすく求められるところにばかり集中する、いわゆる個人に対しては選挙関係やその他によつて個人増徴はなかなかむずかしいし、抵抗がありますからできないけれども、法人はその抵抗がないから、とかくそこに増徴を求めたがるのが地方民の人情であるかもしれないけれども、こうしたことは、やがて産業界に大きな影響を及ぼすものである。せつかく法人税が三五%でとどめられておるときに、これを地方にまた幾らか認めてやるということになると、これは国税引上げばかりでなく、産業としても大きな問題であると私は思うのであります。そして地方民は、一回それを実行すると、必ずまたその次に税率引上げまた引上げで、やがては以前に行われたような法人税累進課税というような結果にまで及ぶのじやないか、それを私は非常に憂えるのであります。これについては、まだそれほどまでに深い調査をされていないとするならば、なお一層の愼重な態度で、これを取扱つてもらいたいと思うのであります。それからもう一つは、個人所得割に対する課税を、地方税においても源泉課税にしたいというような当局意向があるように聞いております。この地方税源泉課税にするなどということは、技術的にも私は困難であると思うが、また源泉課税そのものが、まだ所得にならないうちに税を課するということは、徴税本質から私は非常にまずいやり方ではないかと思う。どうも渡さない前に税をとるということは、いわゆるその人の收入を差押えをするような一つの傾向さえある。私は国税の、源泉課税でさえも極力これを廃止すべきものであると考えておるやさきに、地方税においてもこれをまたやらんとするに至つては、これは行き過ぎではないか、こう考えておる。当局考えておられる内容を発表できる範囲内において承つておきたい。
  18. 小野哲

    小野(哲)政府委員 お答えいたします。市町村民税につきまして、給與所得について源泉徴收をしてはどうか、こういうふうな意見は、実は過去においていろいろの機会に起つてつたのであります。そのたびごとに、徴税事務能力なりあるいは手続の点から考えまして、なかなか困難であるというふうな考え方から、御承知のように前年度の所得税額課税標準とする賦課徴收方法を現にとつて参つておるのであります。今回地方税法の一部を改正いたしたいという意図のもとに目下研究を進めておりますが、その場合におきましても、徴收方法の改善をやつて行つてはどうか、それについてはいわゆる住民税所得割については給與所得源泉徴收をやることが納税者の側から見ても、妥当なものではないかという意見も実は出て参つておるのであります。この点につきましてはいろいろの意見がございまして、あるいは市の側の意見、あるいは町村側意見、それぞれの立場によつてつた意見が述べられておることは、あるいはお聞き及びかと思うのでありますが、政府といたしましても、この問題は愼重に扱つて行かなければなりませんし、また国税徴收現況等から考えまして、無理のない方法をとつて行くことが必要ではなかろうか、こういう考え方から、あるいは市町村の選択によつてやれるような道も考え得るのではないか、また前年度の所得税額課税標準としての源泉徴收というふうな方法考え得るのではないか、というふうにいろいろの観点から検討を実は加えつつあるわけでありまして、御説のようにこの問題は、慎重た配慮をいたすべき問題であろうと思いますので、目下関係当局の間におきまして十分に研究の上何らかの結論を出して参りたい、かような心組みで進められておるような次第であります。
  19. 大泉寛三

    大泉委員 どうも政府は、税の問題にしてもあるいはその他の法律改正にしても、直接携わつている行政官庁もしくはその自治体理事者、いわゆる行政運営の当覇者の意見のみに片寄つている点が、相当あるのじやないかと私は思う。そこで直接行政に携わつている者の意見よりも、むしろ行政を執行される住民意思を十分ただして、そうして理事者の、いわゆる自治体においては理事者、またその他の執行機関意見を聞くのもよろしいけれども、まず第一に住民の希望するところにやはり法律改正なりあるいは税の改正なりはしなければならぬと思う。財政委員会においても、とかく地方自治体の意見のみを取入れて、住民意見を傾聴するということが少い。私はこの前も大橋法務総裁に言つておいたのだが、やはり国会意思というものは住民意思なのだから、これは至公至平である代表なのであるから、この意見を常に尊重して、法律改正、税制の改正にあたつて重点を置くべきである、こういうふうに述べたが、今度改正意向を持つておられるが、その根拠はやはり地方の府県とか市町村とかの意見を基礎としてやつておられるのか、あるいは今私が申し上げた国会意思を尊重してやつて行かれるのか、その立場を明らかにしてもらいたいと思います。
  20. 小野哲

    小野(哲)政府委員 今回政府考えております地方税法の一部改正法律案につきましては、一面シヤウプさんが二回目においでになりまして、全国の諸地域をまわられて、地方税法実施の状況を見られ、その結果勧告が出て参りました点をしんしやくいたしておりますのと、また国会において、さき地方税法案の御審議の際に、いろいろ御議論のありました点も、あわせてこれを取入れるという気持から、この改正法律案を出したいというのでありまして、ただ単に理事者側、言いかえれば徴税当局意見のみに依存をしておるという意味ではないのであります。たとえば附加価値税の問題につきましては、さき国会において、その課税標準たる附加価値額を算定する場合において、いわゆる控除方式にのみたよつておるということは適当でないから、加算式方法考えてはどうか、こういうふうな御意見もあつたのでありますが、たまたまシヤウプ博士勧告の中にも、この点については考慮する必要があるであろうという意味のことも出ておりますので、今回の改正にあたりましては、控除方式によるほか、加算方式による道も開いて参りたい、こういうふうな点も加味いたしまして、必ずしも理事者側意見のみとは申せないと思うのでありますが、一例を申し上げますれば、そういうふうな考え方も織り込んでおるということを申し上げておきたいと思います。
  21. 前尾繁三郎

  22. 野村專太郎

    野村委員 政府は本国会地方税法の一部を改正せられる意図を持つておられるようですが、まだ全貌がわからぬのでありますけれども、前回から本委員会においても問題になり、また請願にも提出されておつた固定資産税の中の公営住宅使用者に転嫁する分でありますが、都道府県の公営住宅というものは、その性格は社会政策的な見地から建設されておるのであつて、税の本旨からいいますれば、また別の見解もあろうかと思いますが、これらはその本質から見て使用者に転嫁すべきでない。かように考えておるわけであります。今回の税法改正するにあたつて政府としてはどういうふうに考えておりますか、その点を伺いたい。
  23. 小野哲

    小野(哲)政府委員 お答えいたします。野村さんの御指摘になりましたように、固定資産税、特に庶民住宅と申しますか、公営住宅使用者課税につきましては、いろいろ請願、陳情なり、また国会において御審議もあつたのでありまして、この点についても、今回の法律改正については、何とかいたしたいという心組みを持つております。できれば庶民住宅のような特殊な事情におる固定資産税につきましては、課税を廃止するようにして行つたらどうか、こういう考え方目下研究を進めておるような次第で、いまだ最後的な結論にまではなつておりませんけれども、関係方面とも何とか折衝をいたして参つて、できれば課税廃止方向に持つて行つてはどうか、もつとも運用の点で使用者の支拂う料金の上で何らかの措置を講じ得るとは思いますけれども、国会の御論議なり、あるいは各方面の御希望等もありますので、できうるならば法律の上に明らかにして参りたいという考え方を持つておるわけでありますが、終局的には、まだ確定の段階には至つておりません。そのような心組みを持つておるということを一応申し上げておきたいと思います。
  24. 野村專太郎

    野村委員 ただいま小野政務次官の御答弁によりまして、大体了承するのでありますが、今の御答弁によりまして、庶民住宅についてはこれを撤廃して行くというお話でございましたが、この住宅は相当家賃も高額に及んでおります。公営住宅は社会政策的な見地から建つておるものでありまして、私はこれらに転嫁すべきでない。かように考えておるのでありまして、せつかく政府側の御努力を願いたいと思います。  それから国税については政府側努力によつて相当減税を見たわけですが、地方税については、いわゆる地方自治の確立するという意味においてのねらいはあつたのですが、法人との均衡上において相当考慮すべきものがあろう。この点は同僚大泉委員からも御質疑があつたようですが、日本法人は、外国の法人性格が大分違うと思う。税の問題は均衡が最も大事だと思う。こういう点から個人地方自治体を運営するために重税を最もよく理解し、これを忍んでやつているときにあたりまして、この法人との均等割は理解し得ないところである。この点に対して政府の所見を伺たいと思うのです。
  25. 小野哲

    小野(哲)政府委員 御説のように均等割につきましては、個人法人につきまして、地域別一定制限額範囲内における課税標準がきめられておるのでありますが、均等割の制度が応能原則による建前でなしに、一応均等的ないわゆる負担分担と申しまするか、一種の会費的な意味をも込めております関係上、この均等割資本に応じて累進的な増額をするとかいうことは、適当ではないであろうという考え方をもつてつたのであります。今回の地方税法改正研究する過程におきまして、ただいま野村さんの言われましたように、法人均等割を相当大幅に増額することが必要ではないか、こういうふうな意見も出ないことはなかつたのでありますけれども、しかしながら法人につきましては、むしろ他の見地から均等割の問題ではなしに、いわゆる法人の配当所得等の点について検討をして行く方が妥当ではないか、この際均等割自身についての変更をすることは一応見合してはどうか、こういう意見も出て参りまして、いろいろ議論をいたした結果、ただいまのところは法人税額の一定割合によつて所得割の上において個人との均衡をはかるように、適正な法人課税を設定して行く方が妥当であろうということになつておるような次第でありまして、かような考え方から目下研究を進めておるような次第でございます。
  26. 野村專太郎

    野村委員 私の申し上げているのは、あえて法人増徴せよというのではないのでして、個人住民税負担がかなり限度まで行つているときにあたりまして、この均衡というものが、相当考慮されなければならぬということを考えております。そういう点から個人住民税は極力これを軽減し、法人との均衡の上に立つて、今の小野さんのお話の、いわゆる所得割なりこれらを考慮するということは、私は一つの進歩であろう、かように了解をするのであります。なお他の各党の諸君ともだんだんと談合して、議会が委員会の権能の上に立つて、議員立法をもつて考慮されねばならぬ、かように私は考えておるのでありますが、たとえば今日日本の再建のために非常に寄與し、困難の上に立つております中小業者が、ほとんど遊興飲食の名のもとに飲食店と総称されておる喫茶店の人たちでありますとか、また旅館でありまするとか、料理店、こういうようなものは、徴税の面から見ても非常に困難でもありますし、しかも非常に不合理な無理解な税率がきめられておる。これらはよろしく納得して納められる税率減税をされなければならぬということは、前会までの各党の御意見を伺つても一致しておるところでございます。また入場税等につきましても、今日都会のみと言いませず、地方を通じましても、文化生活をする上において切離しのできない対象であろうと思います。そういう点から今日の税法というものはこれまたまことに妥当でない。こういうものも総称して、私は地方税法改正すべき見解に立たなければならぬと考えております。こういう点に対しまして、少くとも今伝えられまする政府案に対しては、その用意凍まだつまびらかにいたさないのであります。これらに対しまして、今御答弁をいただかなくてもけつこうでございまするが、やがて提案を見んとする地方税法改正にあたつては、それらと関連した見地に立つて地方税法改正せられんことを期待いたしまして私の質問を終ります。
  27. 前尾繁三郎

    前尾委員長 門司亮君。
  28. 門司亮

    ○門司委員 政府の方も少いようでありますから簡単にお伺いいたします。自治庁としての地方財政に関する考え方をこの機会にひとつお聞かせを願つておきたいと思いますが、それは自治庁から出されました、あるいは地方財政委員会から勧告されておりまするものと、大蔵省との間に非常に大きな開きをもつておる、その大蔵省とそれから財政委員会との間のおのおの算定された基礎を、ひとつはつきりお示しを願いたい。これは一例をあげてみますならば、たとえば地方財政委員会は、手数料、使用料というようなものを大体十八億くらいしか増額は見込んでない。大蔵省はこれを百八十億見込んでおる。地方財政委員会考え方と、大蔵省考え方というものには非常に大きな開きがある、こういう開きが一体どこから出て来ておるかということ、われわれは地方の財政の問題でも手数料あるいは使用料というものが、そんなに大きくふえるとは考えておらないが、しか大蔵省予算説明書を見るとそういうことが書いてある。従つてこういうものを十分研究することのために、ひとつ資料をこの機会に出してもらいたい。  それからもう一つは、地方財政が非常にやりにくいということは、十分政府も知つておられるようでありますが、これの調和をして行くことのために、設けられておる例の平衡交付金法の現在の行き方というものは、御承知のように標準財政需要額と税牧とのアンバランスを、これで埋めて行くというだけであつて、これの間には何らはつきりした基準を持つておらない。今日の段階におきましては地方の財政需要というようなものがはつきり集積されて、そうしてその上で平衡交付金がこのくらいいるんだということが私は明確になつていないと思う。おそらく大蔵省あるいは自治庁財政委員会、各関係においても、この地方財政需要額というものが、一体どれだけはつきりしたものが集約されておるかどうかということは疑わしいと思う。約一万に余る地方のおのおのの自治体から、標準財政需要額がこれだけで、それからその税收がこれだけだというようなものが、的確に、正確に集約された上で、私は今日は議論されていないのではないかと思う。従つて大蔵省の單なる見積り、と同時に国家予算との均衡の上から、平たくいうならば地方財政平衡交付金というものは、ほとんどつかみわけのような形で、今日支給されておるというのが現実ではないか。そしてその数字に当てはめるように数字をこしらえて行くというのが、現実の姿ではないかと私は考えておる。こういう姿であるといたしますならば、これはいつまでたつてもこの問題の解決はつかない。従つて平衡交付金法を改正して、そして地方財政平衡交付金の交付の額というものに対して、一定の基準を與えて行く。たとえば前には地方配付税法の基準というものがあつたはずであります。その配付税法の基準で、かりに、本年度の所得税と法人税を合算いたしますると、大体二千八百億を越えると思う。これの三三・一四を出して参りますと、大体九百四十九億という数字が出て参るのであります。こういうもので一応補助金その他を除いたほんとうの財政バランスをとるために支給される基礎的な数字が出される仕組みになつておれば、そう毎年毎年平衡交付金の増額でわれわれも悩み、地方も悩むようなことは私はないと思う。従つてそういう基本的な数字というものを、これに織り入れて行くというようなお考えがあるかどうかということであります。そういうことにすることが、税法建前から行けば私は正しいと思う。地方自治体で所得税をよけいに納め、あるいは法人税をよけいに納入いたしておりまする地域は、それだけその地方自治体はやはり道路の設備であるとか、あるいは衛生の関係であるとか、学校の施設であるとかというようなことで、よけいな出費をしておるということも言い得ると思う。従つて所得税あるいは法人税の何パーセントかを、必ずこれを地方にもどさなければならないというようなことが、税の本質建前の上からも正しい一つの理論だと私は考えております。そういうはつきりしたものを織り込んで行くことがいいのではないかと考えておりますが、この点に対する当局のお考えをひとつお聞かせを願いたい。これは必ずしも地方財政平衡交付金法の改正でなくても、あるいは地方財政法の改正にいたしましても、いずれかの法律でそういうものをはつきりしておく。そうして必ずこれだけは補助金その他を除いたものとして、地方に配分しなければならないというようなことにして行けば、国家予算もそれにおいて組んでもらえる。地方予算もそれにおいてやつて行ける。なおその内容は配付税法と似たような形で、そのうちの四〇%というものは、地方に還付されるということになつて参りますれば、地方予算の編成の上にも非常に都合のいいものができて来る。地方自治体の予算の執行の上においても、まな十分それらが考慮されてやつて行けるというようにわれわれは考えておりますが、その点に対する当局のお考えを一応知つておきたいと思います。
  29. 小野哲

    小野(哲)政府委員 お答えいたします。まず第一の地方財政委員会勧告内容と、大蔵省意見との相違点でありますが、これは先ほど資料の御要求もございますので、むしろ資料によつてお話を申し上げる方が適当でないかと思います。たとえば御指摘になりました手数料等の雑牧についての意見の相違のあることも承知いたしております。この点は適当の機会資料によつてお聞きとりを願いたいと思います。  次の地方財政平衡交付金制度の問題でありますが、門司さんの御意見は、根本的に将来一体地方財政平衡交付金制度を現行のような姿でやつて行くかどうかというところの問題になろうかと思うのであります。平衡交付金制度を実施いたしました本年度の状況から判断いたしまして、必ずしも完全無欠であると言えない点も、私たち発見し得るのであります。ただ問題は、いわゆる所得税あるいは法人税の一定税率を配付税の形式のごとき方法によつて地方にこれを移しかえるというふうな方法が、地方財政平衡交付金の現行制度と考え合せまして、はたして可能であるかどうか。この問題がまず第一に起つて来ると思うのでありまして、一部におきましては、やはり配付税のような、ああいう制度の運営がよいのではないか、こういう意見地方公共団体側からも出ておる向きがあるわけであります。従つてその基準を法律で定め、機械的にこれが運用できるよつな方法ならば、地方公共団体側としましても、予算の編成その他財政計画の策定についてきわめて便宜である、こういう意見のあることは、御指摘の通りであります。ただ問題は、地方財政平衡交付金制度を実施いたしまして、まだやつと本年度を越すか越さないかの時期でありますので、さしあたり政府としましては、地方財政平衡交付金制度を根本的に立てかえて、立て直しをいたしまして、新しい制度を打立てるという考えは、目下のところは持つておりません。それよりも、さしあたりの措置といたしまして、現在実施されておる平衡交付金制度自体に、なお改善を加える必要があるのではないか、この点をまず取上げてみたい、こういうので研究を進めておるわけでありまして、平衡交付金制度の実施の経過にかんがみて、いろいろ意見なり、あるいはふぐあいなところがあるものを是正して行きまして、根本的な問題としては、さらに将来研究をするという方向に進んで行きたい。かように考えておる次第であります。
  30. 立花敏男

    ○立花委員 いろいろ具体的な、詳細な質問が出ているのですが、私どもまだ資料もいただいておりませんので、もう少し根本的なことを最初に委員会として、問題にしておく必要があるのではないかと思いますので、その点をひとつ申し上げたいと思います。  と申しますのは、私自治庁にあまり誠意がないと思うのです。もうすでに、本国会でも予算委員会が始まつております。また地方におきましては、各地方自治体予算の編成が進行しておるわけです。この際に、地方行政委員会地方予算に関する資料一つも出て来ないということは、私大問題じやないかと思う。その点で政府は、少くとも自治庁は、地方予算に関して非常に冷淡である。また予算行政の裏づけであるとすれば、地方行政に関しても、そういう観点から非常に冷淡である。そういう点が実際上この委員会に現われておるのではないかと思いますので、これは私すぐ改めていただきたいと思う。また委員会としましても、私委員長に申し上げておきたいのですが、前の委員会では、委員長が雲隠れなさるというようなことが起つたのでずが、ああいう苦杯を再びなめないように、おそらくこの平衡交付金増額の問題も、またぞろ今度の国会では起つて来るのではないか、またこの委員会に起つて来るのではないかと思いますので、自治庁の方から資料を出させまして、今からそういう問題をこの委員会で十分検討いたしまして、そうして予算委員会に間に合うように申し込まなければ何にもなりませんので、そういう手続を政府並びに委員会としてはとる必要があるのではないかと思うのですが、その点ひとつ自治庁の御意見を承らしてもらいたいと思います。
  31. 小野哲

    小野(哲)政府委員 地方自治庁が、地方の財政計画に対して冷淡であるか冷淡でないかは、立花さんの主観的な御意見で、承つておく程度にいたしておきますが、必要な資料はとりそろえまして、本国会にも提出いたしたいと思つて目下準備を進めておるわけであります。
  32. 立花敏男

    ○立花委員 これは小野さんと私とが口争いをしようと思つて申しておりませんので、主観だと申されますが、さいぜん申しましたように、すでに国会予算委員会では、予算審議に当つておるわけであります。そこで地方に出します平衡交付金の問題も、補助金の問題あるいは地方起債の問題も、議論になつているわけであります、現在進行しておる。地方では、地方予算の編成が行われておる。その際に、この委員会はきようで五回開かれておりますが、五回もたつておりますのに、何らそれに関する資料があなたの方から出されていないということは、主観じやないと思う。その点で何と申されましても、資料が出てないのですから、あなたの方が地方自治また地方財政地方行政に関して誠意がないということは、客観的に責任をおとりにならなければいけないと思う。これは決して主観でもございませんし、あなたと私と、ここで口争いをする意味で申しておるのでもございません。委員会としては、それをやらなければいけないと思いますから要求しておるのです。ぜひ早急にやつていただきたいと思います。そういう点から考えまして、今までの国会における予算の問題の扱い方が、非常に一方的じやないか。たとえば予算委員会では、平衡交付金あるいは補助金あるいは地方起債の問題を扱いますが、やはりそれは国家の予算のわく内においての観点からしかつていないのです。国家の予算——六千何百億という小さいわく内でしか平衡交付金の問題も、その他の地方関係のある問題も扱われておりません。やはりこの地方行政委員会としては、国家予算という観点からだけでなしに、総体としての地方予算の中における平衡交付金、補助金、地方起債という観点から、言葉をかえて言いますれば、予算委員会が扱う平衡交付金のみの見方じやなしに、地方行政委員会としての平衡交付金に対する見方の角度があると思うのです。そういりやつをやはり地方行政委員会で取上げまして、国家予算審議する際に、予算委員会に反映して行くということが必要ではないか。これは地方予算の編成の基礎になりますあらゆる問題について私言えると思います。平衡交付金だけの例をとつたのですが、こういう観点から、やはり私どもは、予算委員会が進行すると並行いたしまして、この地方行政委員会におきましても、地方予算の問題を准行させて行かなければならぬ、こう思うのですが、そういう点で、自治庁の方はどういうふうにお考えでございますか。そういうことは必要がない、予算委員会審議が済んでから、ぼつぼつ資料を提出して来て、何とかすればいいのだとお考えになるか、やはりそういう観点から並行的にやつて地方の実情に即した意見地方行政委員会として反映させて行つた方がいいとお考えになるか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  33. 小野哲

    小野(哲)政府委員 資料はできるだけすみやかに整えて提出いたしたいと思います。ただ国家予算地方予算、言いかかえれば国家財政と地方財政との審議の関連性につきましては、委員会としてさようなお取扱いを願うことが望ましいと私は考えております。
  34. 立花敏男

    ○立花委員 大体御同意願いましたので、そういう観点でこれから一緒にやつて行きたいと思いますが、たとえばさいぜんから地方税法改正の問題が問題になつております。住民税をどうするか、固定資産税の倍率はどうするかということが問題になつておりますが、地方税法というものの内容考えます前に、やはります平衡交付金の問題が国家予算の中でどうきまつて来るか、あるいは地方起債のわくがどうきまるか、こういうことの方がまず問題でございまして、そのあとで地方税法内容に触れて行く手続になるだろうと思う。そういう意味で、やはり地方税法考えます場合も、そういう観点から地方税法をまず大きくつかんで行く、その中でどういうふうに地方税の個々の内容を変更して行くかという問題に入つて行きませんと、最初から地方税法にとつかかつておりますと、非常にひずんだ地方税法考え方になつて来ると思う。もつと具体的に言いますと、国家予算のわくできめられた地方税のわく、それに縛られた改正ということになつて参りまして、こうなつて参りますと、国家予算の方から下に押しつけられた地方税法を私たちがいじくるという程度にしか出ないと思うんです。そういう意味しか今まで地方税法改正考えられていなかつたじやないか。たとえば平衡交付金はあまり増加しないという原則、国家予算建前からのそういう原則に立つて平衡交付金がこれだけくらいしか出ないのだから、それをどうして地方税の穴埋めをして行くか、そういう観点でしか地方税法の運営が考えられていないのですが、これは住民に対して非常に過重なものを押しつける結果になる。その前にやはりもつと大きな観点から国家予算の中で平衡交付金をどうするか、補助金をどうするか、地方起債をどうするかということを、もつと私たちは予算委員会に反映させる必要がある、こう思うのです。その点で、地方税法改正に関してそういう点を御考慮になつておるかどうかお聞かせ願いたいと思います。そうでありませんと、私どもが今聞いております地方税法改正、たとえばさいぜんも問題になつておりましたが、源泉徴收とか、あるいは法人の、課税とか、あるいは標準税率引上げとか、あるいは住民税賦課率引上げとかいうものは、やはり一定の国家予算がきまつたあとでその穴埋めを地方税法でどうするかというような点でしか扱われていないと思うのです。そういう点で困るのは私たちです。そういうふうに、すでに上からきめられたわくの中で地方税法をどうするかということになつて参りますと、非常に審議が困難になつて参ります。そういう前に、やはり予算委員会地方としての平衡交付金の要求なりあるいは地方起債の要求なりを、十分審議した上で、反映させる必要があると思うのです。地方税法改正に関してそういう観点からお考えになつたかどうか、ちよつとお聞かせ願いたいと思います。
  35. 小野哲

    小野(哲)政府委員 地方財政もまた国家財政と総合的に考えなければならない問題であるということは、税制におきましても、国税地方税を通じて考えて行かなければならぬこの精神と符合するものであろうと思うのであります。従いまして、この委員会において御方針としてさようなお取扱いを願うことは、政府としては何ら異存がないところでございますので、委員会の運営上の問題としてお取扱いを願うことにつきましては御審議を願つてけつこうだと思うのであります。今回の地方税法の一部を改正して参りたいと申しますのも、また決して單に地方税のみを取上げての問題ではないので、国税地方税を通じ、また国家財政地方財政等を勘案いたしました上での改正であり、さような考え方から出発いたしておるのでありますので、この点を申し上げておきたいと思います。
  36. 立花敏男

    ○立花委員 もちろん私どもといたしましては、委員会でそういう観点からやりたいと思つておりますので、今のようなことを申したのですが、私どもが実はやりたいと思いましても、やれないのです。と申しますのは、政府の方からそういうお考えになつてその準備をしていただきませんと私どもではこれはやれません。第一資料の問題、それから政府自体の気構えの問題そういうものがありませんと、私どもだけではやれないわけです。なぜなれば、平衡交付金の問題にいたしましても、地方財政委員会といたしまして、あるいは地方自治庁といたしまして、来年度はどれだけ必要額と見なしておるのか、その客観的な根拠はどうなるのかということ、それから当面問題になつております平衡交付金の返還の問題がどうなつておるのか、その実情がどうなつておるのかということが私どもにはちつとも知らされていないわけです。だから、やろうと思つても、委員会だけではやりようがないので、そういう具体的な報告なり、調査なり、資料なりをどんどんこの委員会に出していただきまして、そうして本委員会として審議できるようなおぜん立てをしていただきたい、そういうことなのであります。たとえば、現在すでに教育費の問題は重大な問題になつておりまして、教育費の問題は地方予算の中の四分の一ないし五分の一を占めておる重大な問題ですが、やはりこれを平衡交付金に繰入れることが反対で、教育費の全額国庫負担というような動きが、ずつと市町村あるいは学校の先生たちの間からさえ起つておるわけであります。こういう問題に関して、教育の実情はどうなつておるのか、教育費の地方における予算はどうなつておるのかということを、やはりこちらへ資料を出していただきませんと、問題が十分私どもは審議できませんので、こういう準備をひとつどんどんやつていただきたい。  それからたとえば補助金の問題で申しますと、補助金は昨二十五年度よりも二十六年度は数百億ふえておりますが、どういうわけでこの補助金をふやされるのかわからない。シヤープ勧告によりますと、補助金はこれを整理し、縮減する方向に行くようなことが示唆されておりますが、どういうわけで二十五年度より二十六年度の方が数百億も補助金がふえておるのか、こういう問題をどう整理しようとされておるのか、こういう点を私たち具体的な資料をいただきませんと、私どもだけでは審議できません。だから、そういう点を具体発に至急に出していただきまして、次官が御賛同くださつたこの委員会のこれからの行き方について、十分私どもが具体的に審議できますように御配慮願いたいと思います。
  37. 小野哲

    小野(哲)政府委員 申すまでもなく、国会の御審議をいただくための資料政府からもできるだけ十分に提出するようにとりはからいたいと思います。なおまた地方財政委員会の方もすでに二十六年度の予算につきましては勧告も出ていると思いますので、この点についても何かと御審議を願えれば幸いかと思つております。
  38. 立花敏男

    ○立花委員 そういう意味地方財政委員会委員長もこういう場合には、できたら出席していただくようにお願いしたいと思います。地方財政委員会からおいでにならないで、地方自治庁だけが出て来られて——地方財政委員会ができまして、地方自治庁の方は影が薄くなつたと申しますか、ほんとうの地方の問題を問題にされずに、この方は地方財政委員会にまかせぱなしで地方自治庁は何だか従来の官僚的な態度にお返りになつたような気がいたしますので、ぜひ地方財政委員会の方も一緒に御出席願いたい。  それから実は地方予算の編成の実情でありますが、もう昨年末におきましても、地方の財政は非常に切迫しております。兵庫県におきましても、蘆屋は、御存じのように別莊地帶といわれたような非常に裕幅な地帶であります。それで今地方予算の編成に当つているのですが、非常に困つているわけです。去年末にも困つておりましたが、予算の編成にあたりまして非常に困つております。大体二十五年度の予算の二割天引き予算が二十六年度の予算にされようとしている。ひどいところは五割天引きのところがこございます。こういう状態でまつた予算が組めないわけです。その上にさいぜん言いましたように、地方起債のわくがどうなるかとか、予算の編成期にあたりまして着々やつておりますのに、それもわからないような状態で、まつた予算が組めないのですが、こういう問題をやはり十分お考えになられまして、こういう実情もお調べの上で、ひとつ資料を出していただきたい。  それからこれは政府とされましても重大な問題だと思うのですが、たとえば予算を編成する前に、大体起債のわくはどうなるかぐらいは、地方のためにはぜひ知らしてやつていただかなければならぬことだと思うのです。そういう面でどうお考えになつているか。これもあわせてひとつ聞かせていただきたいと思うのです。そういう観点から実際地方予算の編成に当つているのですから、これに対して公聽会のようなものをお持ちになる必要があるのじやないかと思うのです。これは地方からいたしますと、今までの慣習上、国家の予算がきまるまでまつているのだというのが建前ですが、これは非常に困りますので、いろいろな点で国会に対する要望なり、あるいは地方行政委員会に対する要望なりあると思うのですが、こういうような問題に対して、地方の総意を広く聞くために公聽会のようなものをお持ちになる必要があると思うのですが、こういう点で政府はどうお考えか、あるいはこれを地方行政委員会でやつてもいいのですが、委員長はどういうふうにお考えか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  39. 前尾繁三郎

    前尾委員長 ただいまのお話、なるべく広く一般の意見を聞きたいと考えますが、いずれまた具体的な方法については理事会なりなんなりでお諮りいたします。
  40. 小野哲

    小野(哲)政府委員 委員長の御意見はただいまの通りでありますので、政府としましては何分広汎な地方財政関係でございますので、公聽会を開く場合におきまして、はたして的確な意見が聞けるかどうかわかりませんが、幸い地方自治庁には付属機関として地方自治委員会議がございまして、学識経験者を初め、各地方団体の代表も出ておりますので、それに必要な事項は付議いたしまして、十分に意見を聞く機会を持つておりますので、立花さんの御指摘になりましたような目的は、あるいは十分ではないかもしれませんが、とにかく達成しつつある、かように申してよいかと思います。なお法律案その他の企画、立案につきましては、地方自治庁がこれを担当してやつておるのでありまして、もちろん財政委員会と緊密な連絡はとつておりますので、決して地方自治庁が、財政委員会地方財政のことはまかせつばなしで、知らぬ顔をしているという意味ではないということを、この際私からも申し上げまして御了解を願つておきたいと思います。
  41. 立花敏男

    ○立花委員 政府はそうやつていただくとして、私はこの委員会としてはぜひそういう機会を持つ必要があると思いますので委員長にお願いを申し上げておきます。  それから二、三ちよつとこまかい点なんですが、この間関西方面に有松專門員が御出張になつて調査なさつたそうですが、その報告はぜひ私どもは文書でも口頭でもいいからいただきたい。  それから地方行政調査委員会議から勧告が出ております。あれは政府並びに国会に出ているはずなんですが、あれについての取扱いをどうするのか、どの程度実施しようとするおつもりなのか、この二つを最後に聞きたいのです。
  42. 前尾繁三郎

    前尾委員長 有松君の報告書については御趣旨従つて考えます。
  43. 小野哲

    小野(哲)政府委員 地方行政調査委員会議が昨年の十二月二十二日付で行政事務の再配分の勧告を出しております。政府は内閣が中心となりまして、これに対する各省の意見をとりまとめて出しておりまして、それによつて政府としては取扱いをきめて参りたい、さような心組みで準備を進めておるわけであります。
  44. 立花敏男

    ○立花委員 これは国会にも出ておりますのですが、あの勧告国会に出ておるわけですね。
  45. 前尾繁三郎

    前尾委員長 出ておるそうです。
  46. 立花敏男

    ○立花委員 そうしたならばこの委員会として当然責任があるわけですが、これをどうなさるおつもりか。
  47. 前尾繁三郎

    前尾委員長 いずれ審議の対象にして参りたいと思います。
  48. 立花敏男

    ○立花委員 いずれまたとおつしやいますが、これは重大な問題をたくさん含んでおりまして、これがどうなるかということは地方予算にも非常に重大な関係がございますし、もう三月に迫つております地方の選挙につきましても、議員の定数の問題なども第三次勧告に含まれるというようなことも聞いておりますし、至急この委員会としても対策をお立て願いたいと思う。
  49. 前尾繁三郎

    前尾委員長 あす地財委と、それから行政調査会議と両方呼びますから、そのときに御審議を願います。
  50. 立花敏男

    ○立花委員 それではこれで終ります。
  51. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでほ明日は午前十時から開会いたしますから、なるべく時間を厳守していただくようにお願い申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時二十六分散会