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1951-03-14 第10回国会 衆議院 大蔵委員会郵政委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月十四日(水曜日)     午後二時二十九分開議  出席委員   大蔵委員会    委員長 夏堀源三郎君    理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君       島村 一郎君    清水 逸平君       塚田十一郎君    苫米地英俊君       西村 直己君    三宅 則義者       宮幡  靖君    宮腰 喜助君       竹村奈良一君    深澤 義守者   郵政委員会    委員長 池田正之輔君    理事 飯塚 定輔君 理事 風間 啓吉君    理事 白井 佐吉君 理事 受田 新吉君       石原  登君    高木 松吉君       坪川 信三君    降旗 徳弥君       荒木萬壽夫君    椎熊 三郎君       土井 直作君    柄澤登志子君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 池田 勇人君  出席政府委員         大蔵政務次官  西川甚五郎君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      佐藤 一郎君         大蔵事務官         (銀行局長)  舟山 正吉君         郵政政務次官  山本 猛夫君         郵政事務次官  大野 勝三君         郵政事務官         (監察局長)  成松  馨君         郵政事務官         (貯金局長)  白根 玉喜君         郵政事務官         (簡易保險局         長)      金丸 徳重君  委員外出席者         大蔵委員会専門         員       椎木 文也君         大蔵委員会専門         員       黒田 久太君         郵政委員会専門         員       稻田  穰君         郵政委員会専門         員       山戸 利生君     ————————————— 本日の会議に付した事件  資金運用部資金法案内閣提出第七一号)  郵便貯金特別会計法案内閣提出第七三号)  資金運用部特別会計法案内閣提出第七六号)     —————————————
  2. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 これより大蔵委員会郵政委員会連合審査会を開会いたします。  本日の委員長の職務は、慣例によりまして主管委員会委員長である私が勤めさせていただくことになりましたので、御了承願いたいと存じます。  それではこれより資金運用部資金法案郵便貯金特別会計法案及び資金運用部特別会計法案の三案を一括議題として、まず政府当局より提案趣旨説明を聴取いたします。西川政府委員
  3. 西川甚五郎

    西川政府委員 ただいま議題となりました資金運用部資金法案外法律案提出理由を御説明申し上げます。  今回政府におきましては、国の会計に属する積立金及び余裕金等政府資金及び政府に準ずるものの資金統合管理の実をあげるため、預金部預金法を廃止し、新たに資金運用部資金法制定し、その統合した資金を確実かつ有利な方法運用することにより、公共利益の増進に寄與せしめることといたしたいと存じまして、この法律案提出した次第であります。  この法律案の要旨を申し述べますと、次の通りであります。  一、郵便貯金及び郵便振金貯金のうち、常時の拂いもどし資金以外のものは、資金運用部預託すべきものとすること。  一、簡易生命保險及び郵便年金特別会計契約者貸付金を除いた政府特別会計歳入歳出決算上の剰余から生じた積立金は、すべて資金運用部預託すべきものとすること。  一、国庫余裕金は、資金運用部預託し得るものとし、米国対日援助見返資金特別会計以外の政府特別会計余裕金は、資金運用部への預託方法による以外に運用してはならないものとすること。但し、国債整理基金特別会計における国債の保有を除くこと。  一、資金運用部は、他の法律または政令によつて資金運用都に預託される資金をも受入れるものとすること。  一、資金運用部預託金は、定期預託金のみとすること。  一、預託金條件は、三月以上とし、それぞれの約定期間に応じて利率は四段階にわけ、最低年三分五厘から最高年五分五厘まで五厘刻みとし、法定すること。  一、貸金運用部資金運用の対象は、国、地方公共団体、国または地方公共団体に準ずる法人及び金融債に限定することとし、特に金融債に対する運用については、資金運用部資金総額の三分の一、一の金融機関の発行する金融債の五割、一の金融機関の一回に発行する金融債の六割を越えてはならないこととすること。  一、資金運用部資金運用審議会を設置し、その組織及び権限について規定すること。  一、各特別会計積立金で、現に預金部預金以外の方法運用されているものについては、この法律施行の際、資金運用部にその資産を引継ぎ、その資金資金運用部預託されるものとすること。但し、簡易生命保險及び郵便年金特別会計積立金のうち、預金部預金及び契約者貸付金となつているもの以外の運用資産は、それが償還される都度、資金運用部預託金に受入れることとし、当分の間は、同特別会計積立金に属する運用資産として保有せしめること。  一、債券収入金預金は、四月一日に全部日本勧業銀行拂いもどし、同銀行に管理させること。  一、簡易生命保險及び郵便年金支拂いは、政府が保証する旨法制化すること。  以上であります。  次に郵便貯金特別会計法案提出理由を御説明申し上げます。  郵便貯金につきましては、従来郵政事業特別会計において経理いたして参つたのでありますが、本国会におきまして別途御審議を願つております資金運用部資金法制定に伴いまして、資金運用部資金の大宗であります郵便貯金事業につきまして、その健全な経営をはかるとともに、その経理を明確にいたしますため、新たに特別会計を設置して経理する必要を認めましたので、この法律案提出いたしました次第であります。  次に本法律案内容の概略を申し上げますと、第一に、郵便貯金事業経理は、前に述べましたように本会計において行うこととなるわけでありますが、その業務は従来通り郵政事業特別会計において行うことといたします関係上、業務の取扱いに関する諸費及び業務に必要な営繕費は、郵政事業特別会計歳出として支出することとし、その財源につきましては、本会計から郵政事業特別会計に繰入れて経理することにいたそうとする点であります。  第二に、この会計歳入歳出につきましては、資金運用部預託金利子借入金及び付属雑収入をもつてその歳入とし、郵便貯金利子郵政事業特別会計への繰入金、一時借入金利子借入金償還金及び利子並びに付属諸費をもつてその歳出とすることといたそうとする点であります。  第三点は、この会計において、郵便貯金利子支拂い上、一時現金不足を来しました場合には、郵便貯金受入金当該年度内に限り繰りかえ使用することができる道を開き、専業運営の円滑をはかろうとする点であります。  第四点は、この会計におきましては、当分の間毎会計年度歳入不足することが予測されますので、その歳入不足を補填するため、当該年度において、予算の定めるところにより、一般会計からこの会計繰入金をすることができる道を開きますとともに、後日この会計財政状況がゆたかになりましたあかつきには、この会計から当該繰入金に相当する金額を、予算の定めるところにより、一般会計に繰りもどすことにいたそうとする点であります。  以上、本法律案の主要な点について概略申し述べましたが、その他予算及び決算作成及び提出等、この特別会計経理に必要な規定を設けるとともに、この法律制定件つて郵政事業特別会計法及び郵政省設置法の一部を改正する必要がありますので、これらを附則で規定しようといたした次度であります。  次に資金運用部特別会計法案提出理由を御説明申し上げます。  今回政府におきましては、政府資金統合管理目的をもちまして、別途今国会資金運用部資金法提出いたし、御審議を願つているのでありますが、この資金運用部資金法を実施いたすことになりました場合には、資金運用部資金運用に伴う歳入歳出一般会計と区分して、その経理状況を明確にいたしますため、資金運用部特別会計を設けて経理することが適当と考えられますので、この法律案提出した次第であります。  その内容の要点を御説明申し上げますと、第一点は、この会計大蔵大臣が管理することといたし、その歳入歳出につきましては、資金運用部資金運用利殖金一般会計からの繰入金及び付属雑収入をもつてその歳入とし、資金運用部預託金利子資金運用部資金運用損失金運用手数料事務取扱費、繰越し損失補填金、繰りかえ使用金償還金及び付属諸費をもつてその歳出とすることといたそうとする点であります。  第二点は、資金運用部資金運用資産保全をはかりますために、運用資産に価額の減損を生じた場合には、この会計決算上生じた剰余をもつて償却し、それをもつて償却できないときは、積立金をもつて償却し、なお償却できないときは、これを翌年度に繰越して整理し、一般会計から予算の定めるところにより必要な金額を繰入れて補填することといたそうとする点であります。  第三点は、この会計決算剰余を生じた場合に、原則としてはその二分の一を積み立て、残余を一般会計へ繰入れることといたしますが、当分の間は積立てを行わずに、剰余の全額を一般会計へ繰入れることといたそうとする点であります。  第四点は、決算不足を生じた場合には、積立金から補足することとし、なお不足する金額一般会計から補足することといたしまして、第二点とあわせ資金運用部資金運用資産保全に資せしめようとするものであります。  第五点は、この会計において支拂い現金不足があるときは、資金運用部資金を繰りかえ使用することができるようにいたそうとする点であります。  第六点は、その他予算及び決算作成及び提出に関する手続等特別会計に必要な規定を設けることといたそうとする点であります。  以上の理由によりましてこの三法律案提出いたした次第であります。何とぞ御審議いただかんことをお願いいたします。
  4. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 次に右三案を一括議題として質疑に入ります。質疑は通告順によつてこれを許します。受田新吉君。
  5. 受田新吉

    受田委員 大蔵大臣は……。
  6. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 大蔵大臣は間もなく出席すると思います。その次にいたしますか。——それでは土井直作君。
  7. 土井直作

    土井委員 私も受田君がやれば……。
  8. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 大臣が出なければどなたも質問はありませんが……。大臣は今参議院で会議中でありますので、間もなく出席すると思います。大臣以外の政府委員答弁ができる問題でありますならば、御質疑をお願いいたします。
  9. 石原登

    石原(登)委員 実はこの問題ではすでに郵政委員会銀行局長出席を求めまして、銀行局長にいろいろ質疑をしたのでありまするが、全然答弁になつておりません。従つてわれわれは少くともこの答弁には、大臣以外の答弁はまつたく無用だと私は考えますので、大臣から全般的な、根本的な問題の解明がないと、私はいくら質疑してもむだであると思う。私は先般の委員会において、おそらく三時間近くやりましたけれども、まつたくこれは骨折り損のくたびれもうけのような結果になつておりますから、すみやかに大臣出席されることを要望いたします。
  10. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 それでは暫時休憩いたします。     午後二時四十二分休憩      ————◇—————     午後三時十一分開議
  11. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  資金運用部資金法案外二案を議題として質疑に入ります。質疑は通告順によつてこれを許します。受田新吉君。
  12. 受田新吉

    受田委員 大蔵大臣出席されたので、さつそくただいま提出されております資金運用部資金法案について、伏蔵大臣みずからの責任ある御答弁を要請したいと思います。第一に、この法案がただいま政府委員より御説明ありましたるごとく、国会に突如として提出せられ、特にこの法案については、歴史的に見て、すでに第五国会において国会決議となり、またその次に閣議決定を得、昨年またあらためて閣議決定を得て、当然これは郵政省の所管の運用とすべきであることを、国民代表政府もこぞつて支持したものでありますが、わずかにドツジ書簡によつてその解釈が非常に積極的に、大幅に、むしろこれを大蔵省の独善的な解釈へこじつけるごとくにして、この法案提出されたという感じをわれわれは受けるのであります。  この法案について第一に伺いたいことは、大蔵大臣としてそもそもこの簡易保險事業といもうのを、民間保險などとかわつた立場で、その資金運用面だけは大蔵省がとつてもよいのだ、君たちはその加入者との契約及びそれを必要な場合に貸付金その他保險料支拂い等の事務をすればいいのだという、大事な保險事業のうちの運用面だけを抜き去るということが、保險事業として本質的に成り立つかどうか。大蔵大臣保險事業民間保險の形態よりも特別なものに切りかえようとして、こういう法案を出されようとするのか、あるいは保險事業そのものは、実質的に見て本質を失わしめないように考えようとするのか、この問題を伺いたいと思うのであります。
  13. 池田勇人

    池田国務大臣 ただいま御質問の問題は、重要な問題でございまして、しばらく時間を借りまして、経過を御説明申し上げたいと思います。  御承知のごとく太平洋戰争前におきましては、お話のように、簡易保險集めました金は、逓信省運用いたしておつたのでありまするが、戰争中郵便貯金その他と一緒運用する方が、資金効果的使用ができるという考えのもとに、一括することに相なつたのであります。しこうして終戰後昭和二十一年一月に総司令部指令が出まして、これは今まで通り合同して運用しなければならぬ、こういう指令が来たことは御承知通りであります。その後におきまして、衆参両院決議もあり、また閣議において議論した上に、簡易保險等性質から考えまして、運用におきましても、單に資金面運用ということばかり考えるのもいかがなものかというので、戰前にもどすという一応の決定を見たのであります。しかし何と申しましても指令が出ておりますので、関係方面に相談しなければ実行できないことは、あなたも御承知通りだと思うのであります。しこうして、昨年秋、予算の編成にあたりまして、また預金部資金運用にあたりまして、とにかく新機軸を出し、不足した民間資金に対しまして潤いを與えなければならないという考えのもとに、預金部運用につきまして国会決議を参酌してわれわれの気持も申し述べまして、運用につきまして改革をしようといたしたのであります。しかるところ御承知通り預金部資金は、今まで公債あるいは地方債にしか許されておりません。その他への運用は許されていない。しかし一昨年の暮れ、非常に金詰まりの問題が起りましたので、とにかく例外的に預金部資金を、一般市中銀行並びに無盡信用組合等金融機関に、特別の預託を許してもらいたいというので、今までの規定にない、いわゆる預金部指定預金を一昨年の十二月にして、年末の金詰まりをしのいで来たのであります。その後におきましても、預金部資金運用につきましては、十数回あるいは数十回といつていいほど、関係方面と折衝したのでありますが、今の状態からいつて、やはり簡易保險等特別考慮を拂うという気持はわかるけれども、実際資金を合同して運用する方が、日本の今の状態としては、当然考えなければならない、しかも零細な預金を預つておる以上は、今までのような預金部資金運用というのではいかぬ。これは郵便貯金特別会計を設け、簡易保險あるいは郵便年金の各特別会計を改組して、そうして資金運用部という別のものを設けて、それから借用証書を出しまして、全部資金運用部においてこの資金運用しなければいけないという、強い示唆があつたのであります。従いまして、私は諸般の情勢を考え、なるべく現状から大なる変化を起さないようにというので、初めは六十九條のみならず、今まで郵政省でおやりになつている三十数億円の貸付のものも、大蔵省へ持つて来るという話があつたのを、折衝いたしまして、この分は郵政省に残すようにいたしたのであります。この点につきましていろいろな議論はございましようが、われわれとしては今の資金運用につきまして、できるだけ効果を上げる考えのもとに、しかもまた郵政省でお集めになつた金でありますので、この運用について万全を期するために、特に総理大臣会長とし、郵政大蔵大臣を副会長とする審議会を新たに設け、そうしてお集めになつた郵政省気持十分運用に反映するようという気持でやつておるのであります。しこうして私がこの問題につきまして折衝の経過は、今まで国債あるいう地方貸付金にのみ限られておつたこの郵便関係資金が、金融債へ流れることになつて、しかも早急に流す必要があるというので、資金運用部資金特別会計を設けることを條件に、今年度におきまして二百億円の金融債引受けの話ができ、また来年度におきまして資金運用部資金特別会計を設けることを前提にいたしまして、四百億円の金融債引受け議がまとまつたのであります。関係方面考えでは、今までのようなやり方ではいけない、とにかく零細な大衆の預金であるから、政府が一手に引受けて、そうしていわゆる信託勘定と申しまするか、そういうかつこうで、この資金運用につきましては、どこから見てもいわゆる磐石の構えで行かなければならぬというので、こういう法案提出するに至つたのであります。
  14. 受田新吉

    受田委員 私は今大蔵大臣から御説明をいただいて、この法案を出すに至つた経過を、政府側立場から了解するのでありますが、今お尋ねした根本的問題は、保險事業そのもの本質的な性格を抹殺してまでも、これをあえて大蔵省ひつぱろうとしたその理由、特に保險事業民間保險立場比較検討をして、保險事業そのものはすべて契約者との間におけるところの約束を履行するところにその使命があるのでありますから、それを果すためには契約をしたその瞬間から、契約者事業主体者とは特別の大きな拘束を受けることになる。その拘束を果すためにはいろいろの費用がいる。たとえば受入れの監査をするとか、そのほか保險契約者保健施設を設けるとか、そういうようなものはすべて積立金によつてこれをまかなければならない。ところがその大事な積立金をごつそり持つて行くということになると、ただ事業経営のうちで、加入することと、契約者の死亡した場合に保險料支拂うとか、あるいは保險証券担保貸付をやるとかいうような、單なる事務的処理だけを郵政省がやつて、そうした大事な積立金はごつそりよそに持つて行くということは、保險事業そのものから見て、特に官営の保險事業から見て、わけて社会保險との大きな性格相違である本質を、この簡易保險立場より奪い去ろうとするのか、あるいはその本質的なものは残して、このことを考えようとするのかをお尋ねしたのでありますが、御答弁がなかつたのでこれをお伺いします。
  15. 池田勇人

    池田国務大臣 先ほど答弁の中に簡單にその気持を申し表わしたつもりでございますが、簡易保險あるいは郵便年金性質から申しまして、契約者貸付等、特殊の事情も考えなければならないので、一応閣議では私は残すことに賛成したのであります。しかるところ大きい問題、すなわち資金を合同運用して効果を現わす必要があるという大きい目的のために、今御審議願うような法案になつたのであります。しこうして契約者貸付等を全然否定するものではございません、私はたとい大蔵省運用いたしますにしても、そういう点は考えて行かなければならぬ問題でと思つております。
  16. 受田新吉

    受田委員 私がお尋ねしておるのは、この保險事業のうちで、積立金という重要な運用の面を持つて行かれて、あとに残る事業の今申し上げた加入とか、もしくはその保險料支拂いとかいうことだけを郵政省に残しておるというそのものが、いまだかつて世界の保險事業界を見ても、その運用の面を奪い去つたものはないと、われわれはいろいろの方面からこれを知ることができるのであるが、今度初めて大蔵省の独善的なこの法案の実施によつてその保險事業本質を奪い去ろうとするものではないかということをお伺いしておるのであります。
  17. 池田勇人

    池田国務大臣 大蔵省が独善的とおつしやつても、私は閣議決定をいたして出したのであります。しこうして従来も簡易保險あるいは郵便年金の金は、御承知通り大蔵省預金部に来ておつたのであります。ほとんど大部分来ておつたのであります。しこうして契約者貸付金も先ほど申し上げましたように、郵政省に残すことにいたしております。しかも今まで簡易保險郵便年金で集まつた金は、ほとんど大部分大蔵省預金部に来ておつたのでありますが、今後は一定の利子証券にいたしまして、そうして郵便年金簡易保險につきましては、相当の利潤が出るような利子を持つておると私は記憶いたしておるのであります。郵便貯金の方は原価が高くなりますので、五分五厘かの利子では赤字が出ますので、一般会計から補給することにいたしておるのであります。実際面といたしまして郵政省がそうお困りになるというふうなことのないように、私は考慮をいたしておる考えでおるのであります。
  18. 受田新吉

    受田委員 今大臣は軽くこれを扱われておるのでありますが、それは今まででも大蔵省預金部が握つてつたんだということでありますが、簡易保險事業三十年の歴史から見て、それは本質的なものでなくして、この簡易保險法の第六十九條の問題であつて本質的なものは郵政省が握つておるのである。それを便宜的、一時的な措置をしているにすぎないのですが、その本質的なものを今度大蔵省に移すということになるのでありますから、今の御意見と私がお尋ねしようということとは、本質的に相違があると思う。すなわちこの簡易保險法の六十九條に掲げてあるあの運用の問題を、原則として郵政省が握つておるこの規定が削除されようとする、その本質的なあなたの御意見を伺いたいのであります。
  19. 池田勇人

    池田国務大臣 これは議論のあるところでございまして、郵便貯金簡易保險、あるいは郵便年金をわけて使う方がいいか、あるいは一緒にして合同運用的な使い方をした方がいいということになりますと、かなり議論があるのであります。財政金融面から申しますれば、指令が出ましたように、またドツジの覚書が出ましたように、一緒にして運営することが効果的と考えられましよう。しこうしてまた保險自体性質から申しますれば、これを別個に運用して行き、ある程度は契約者貸付に向け、ある程度は一般財政金融に使うというような考え方もありましよう。しかるところ先ほど申し上げましたように、戰争中かと一緒にするようにいたしまして、しかもあの六十九條は司令部指令によつてストツプしておるのであります。しこうして向うの司令部考え方としては、ぜひともこれを制度化せ、こういうふうな考え方が強いのでございまして、先ほど申し上げましたように話合いがそういうところにおちついたのであります。議論のあるところでありますが、私はこういうようにするのがすつきりした考えてあると今のところは考えております。
  20. 受田新吉

    受田委員 そうすると大臣のお説では、大蔵省にこれが移された場合において、その運用利益は、これは当然その積立金運用部証券となり、さらにあなたの方でこれを金融債として取扱うことになるのですが、金融債というものは運用部証券よりも高利であろう。そうするとこの多額の利ざやというようなものを——すなわち郵政省であるときには、積立金運用そのもの郵政省がこれを掌握しておるのでありますから、その利ざやというものを大蔵省がごつそり利用するというようなことでなくて、それを契約者の便益に供するように分配する。この保險事業本質的なものが見られるのですが、この点、その一部のあてがい扶持を郵政省に與えて、いいところの汁を大蔵省が吸おうという、こういう譬喩が十分ここで表現できると思いますが、いかがでしようか。
  21. 池田勇人

    池田国務大臣 これはこの制度そのものの問題でなしに、運用利ざやと申しまするか、そういうことになると思うのでありますが、今までの簡易保險の面につきましては、大体利回りを三分五厘か四分くらいではじいておるのではないかと思います。しかして今後は五年以上のものにつきましては、預かり証書に対しまして五分五厘の利子をつけることに相なつております。だから簡易保險の方では相当の積立金ができることと思つております。しかして郵便貯金の方につきましては、先ほど申しましたように十数億円の金を一般会計から出すことになつておるのであります。ただこれを大蔵省所管の特別会計に置くから大蔵省が専断するのだ、郵政省はまま子になるのだ、こういうセクシヨナリズムの気持ではいかぬと思います。従つてこの金の運用につきましても、大蔵大臣の専管にはいたしません。特別の例をこしらえて、総理大臣のもとに郵政大蔵大臣が副会長になつて運用しようとしておるのであります。何も大蔵省の財政ではありません。郵政省あるいは運輸省、全部の国民の財政でありますから、大蔵省が独断をしたとか何とかいう気持はない。財政金融の立場から、また保險事業立場考慮して、私はこの制度が一番いいと考えておるのであります。
  22. 受田新吉

    受田委員 今の御意見では、どうもこの積立金運用大蔵省が独断でやるわけでなく、郵政省その他とも連絡をして、常に総理大臣が適当な調節をしてやれるようになつておるのだから、この資金大蔵省へ移管されることによつて、何ら不当な現象は起らないではないかというお説でありますが、実際問題として簡易保險積立金地方利益のたみに還元せられ、地方公共団体そのほかの地方における公益団体にこれが散布されて、その地方が自分たちがかけた保險料のうちで、その積立金をわれわれは利用することができるのだという非常な喜びをここに失わしめて、われわれがかけた保險料は、大蔵省が独自の計画で運用されて行くのだ。地方のわれわれの郵益に、今までのような本質的な立場からこれが供與されるものではなくして、われわれ加入者の意思を離れて、特定の統一的な運用をされるものであるという印象を、多分に與えると思うのであります。従つてこの保險加入者たちが、あれほどたくさんの陳情書を持つて来、あれほど強力な運動を展開し、全逓二十六万の従業員が、五千万の保險の加入者が、こぞつてこの問題に対して郵政省に存置する六十九條削除を絶対反対するところのこの大きな動きに対して、大蔵大臣はあつさりそのような輿論を無視してかかるおつものがあるのでありますか。
  23. 池田勇人

    池田国務大臣 今までの運用状況をごらんくださいましても、大蔵省が独断的にどうやつておるのではございません。今預金部資金二千億円につきまして、どういうところへ運用しておるかということをごらんになればわかると思いますが、国債並びに地方債が主であるのであります。しこうして現地の方に還付するということ、まことにけつこうな話です。しかし郵便貯金の多いところに必ずしも行つていない。郵便貯金が多いからあなたの県の地方債はたくさん引受けましよう。あなたの県はあまり貯金がない貧乏県だから、災害があつても引受けません、こういうことは言つておりません。しかも地方債の引受けにつきましては、地方自治庁がニシアチーヴをとりまして、そうして大蔵省は出して行つておるのであります。ところがお話のように、この保險契約者の多いところに金を出そうといつて、どういうふうにしておるか、今のところはやはり国債地方債あるいは公共団体の短期貸付、これに限られておるのであります。そこで私といたしましては金融債を引受けることを新たに認めてもらつて、これをできるだけ農林中央金庫あるいは商工中金に出して、現地還付をやろうとしておるのであります。もちろん私は優先的には、国債を発行いたしませんから、地方債の方に出したい。余裕金は食糧証券の方に使う、こういうのであります。私は郵便局の仕事に三、四十年来携つておる。私の中学、小学校の友達もかなり郵便局関係の人がおりまして、いろいろな事情を二、三年来聞いております。そういう事情であなたに劣らないようにやつておる。私も郵便局長の子供でありますし、今の郵便局長の叔父でありますが、実際のことを知つている。そこでいろいろなことを考えてみて、これよりほかにただいまのところはない、こういう結論に立ち至つておるのであります。数回親友から陳情を受けておることも知つております。非常に手紙が来ておることも知つております。私は自信を持つてこの措置をとつておるのであります。
  24. 受田新吉

    受田委員 今大臣は、郵政職員の家庭に生れ、現に郵政職員が親類にあるという、従つて非常に下情に通じておるというお説でありますが、下情に通じておればおるほどこの問題は真剣に、あつさり自分は自信を持つてやられたと言われたけれども、現に二十六万の従業員と加入者たちが、こぞつての猛運動をやつておる。私どもこれはあなたのお説とずつと違つておると思うのでありますが、あなたの方にはこれを大蔵省に切るかえるようにしてもらいたいというような陳情をされておるのでありますか、こういうことについてちよつとお尋ねしたい。
  25. 池田勇人

    池田国務大臣 いろいろなことがありまして、私のところに来る最近の手紙や電報は、私の考えに反対の人々の方が全部であります。しかし私はいろいろな事情を考えて、この際としてはこうやるのが適当であるという結論に立ち至つたのであります。
  26. 受田新吉

    受田委員 私はここで一つ重大な問題を大臣に投げかけたいと思うのですが、先ほどからとかく関係方面の言葉を盛んにお出しになるのでありますが、ドツジ書簡なるものが昨年の十一月二十日出された。このドツジ書簡なるものを、大臣は非常に強く積極的解釈をされておると思うのです。今資金の統一の問題でありますが、このドツジ書簡を見ましても、あの中には資金運用部に受入れる資金とあつて、受入れる資金の財源については、どういうふうになければならぬかということは一切触れておりません。従つてこれはわざわざ大臣が、積立金をこつちにまわすというような積極的解釈をされておるのではないか。またあちらと折衝をされる場合に、この輿論を十分向うに反映させて、実はこの簡易保險積立金運用郵便年金積立金の問題は、こういう輿論があるのだ、こういう輿論の動向を十分に向うに示していただかなければならぬ。私はマ元帥を最高司令官とする占領政策は、国の輿論を無視してまで強く当られることはないと思います。民主主義的に占領政策を行つておられると思う。従つて輿論の動行を無理やりに切りかえるような、そうした強いあなたの政策が行われようとは私は思いません。従つて大臣自身が大蔵省預金部資金運用立場から、常にあちらさんとの折衝に強く当られて、郵便省所管のこの問題については、とかくこれを軽視しておるのではないか。その一、二の現われとして、郵政大臣が先般このわれわれの委員会に出て来られて答弁された中にも、われわれはあくまでも最後まで努力する、六十九條の存置はあくまでもがんばる。こういうことを最後まで言うておられる。しかしこれが最後に閣議でこうして郵政大臣大蔵大臣に同調されたということは、おそらく大蔵大臣が強力な押しの一手で、温厚なる田村さんに圧力を加えて承服せしめたのではないかと、私は非常な危惧を抱いておるのであります。閣議の実態を十分つかむことはできませんけれども、あの従来から温厚な田村大臣が守り来つた誠意ある努力に対して、池田さんは非常に豪腹なお方であるから、おそらく田村さんを遂に威伏せしめたという結論を私は持つておる。こういう問題に対して少くとも池田さんは占領軍と折衝されるときに、政府の最高者としてあなたが当つておられる場合に、そういういろいろな省の実態をつかんで、自分の一人よがりにならないように折衝されたかどうか。この問題についてドツジ書簡には、国民的な運動として、保險金の積立金をあくまでも郵政省に守つて地方還元をせしめてもらいたいという、この熱心なる願いは何ら現われておりませんが、ドツジ書簡が出されるに至つた大臣のセクト的なお考えで置かれたか、広い立場から常に公平な立場で置かれたか、この点については特に大臣の責任ある答弁を願いたいのであります。
  27. 池田勇人

    池田国務大臣 答弁は常に責任をもつてつております。関係方面の折衝の点につきまして、一部始終を申し上げるわけに行きませんが、そのドツジの覚書をごらんになりますとおわかりになると思うのでありますが、覚書が出る前に話をつけ、結論に到達いたしたのであります。しかし私は参議院、衆議院並びに閣議に今のことを話しまして、自分としてはなかなか引受けかねるというところまで行つたら覚書が出たのです。これでおわかりだろうと思います。しこうして閣議で問題になりまして、初め郵政省大蔵省との間では、この三十数億円のあの貸付につきましても、関係方面は強力に大蔵省に持つて来い、こういうことであつたのでありますが、私は特にお願いして、それはいけません、こういうので郵政省に残るようにしたことは、田村君も知つておると思います。私は田村君がこの問題について、自分で何回司令部に行かれたか存じませんが、私としては数回も話をしております。特にまた両方とも六十九條の問題、あるいは簡易保險貸付三十数億円をこつちに置いておくために、何回事務当局に行かしたか。結局ようやく三十何億の貸付の分は、とにかくそういうことならばこの分だけは折れようということで折れたのであります。私は決してあなたたちの気持を知らずにやつたわけではない。私が覚書を出してもらうことが適当だということは、その前にこういうようにしなければならぬということを強く指令せられたから、行つたのであります。それでそういうあなたの強い考えなら、証拠をもらいたい、こういうので覚書が出たのであります。その辺のことは大蔵省事務当局も知つておりましようし、郵政省事務当局も知つておりましよう。この点について三十数億円の貸付をもどすことについて、いろいろ微力ながら私は努力をしたことは、田村君も御承知だと思います。何も私は威圧的にどうこうしたわけではないのであります。私も政治家として、どのくらい皆さんの気持があるかということは、十分知つてつたことであります。
  28. 受田新吉

    受田委員 今の御説明で、大臣立場はわかるのでありますが、しかし大臣としてちよつと考えていただかなければならぬことは、どうも今のあなた方の政府がやられることは、あの電力問題を中心として国会審議権をいつも無視して、どんどんと国会がきめたことでも、また国会が開かれておらないときをねらつて、実にその時間の利用が巧妙に、日曜日を利用するとかいう方法で、突如として閣議でいろいろなことを決定される傾向がある。こういう点は、国権の最高機関を無視するということは占領政策ではないのでありますから、その最高機関の決議を尊重する、国会審議権を尊重するという点で、少くとも最大多数を握つておられる自由党の政府は、必死になつてこの審議権を守るために闘わなければならぬ。その国権の最高機関である衆参両院できめられたことが、あたかも弊履のごとく捨てられる。そして閣議でもきめられたことが、たちまち半年を出でずしてこれをかえられる。かような朝令暮改の政府の政策で、どうもあなた方の折衝されるときにおいて努力が足りない。これは国会決議されたのだから、国会審議権を無視されるということになれば、辞職をするというまでの覚悟でもつてやられなければならない。この点において、国会審議権尊重に対する立場と、それを占領軍にいかに具現すべく説明されたかを伺いたいのであります。
  29. 池田勇人

    池田国務大臣 私はあなた方のお考えを十分知つておりますから、今お話申し上げましたような努力をいたしたのであります。しこうして私の努力が足りなくして、国会審議権を完全に発揚なさるとすれば、ここで今御審議つておるのがそれなのであります。政府当局といたしまして、予算作成につきましては、占領治下でございますから、向うの指令を得なければなりません。その指令を得るにつきまして、今まであらゆる努力をしたということは、申し上げた通りであります。しこうしてこれをどうするかということは、あなた方のお力であるのであります。
  30. 受田新吉

    受田委員 もちろんわれわれがこれを決定するのでありますから、政府法案を出されることに対しては、われわれはけ飛ばそうとどうしようと、それは国会の意思である。しかしあなた方が閣議できめられたことが、国会決定を弊履のごとく捨てられている。国会の意思を尊重して、あなた方は行政府の責任者としておやりになるべきである。国会決議を無視して、法案をどんどんお出しになる。この点を私は申し上げておるのであつて、この点においては国会決議を尊重する方向で、行政府国会の出店として進んで行かなければならない。そういう御努力が足りなかつたということを、私は指摘せざるを得ないのであります。こういう点で大蔵大臣のその立場から、やむを得なかつたことだとおつしやいますが、少くともこの問題は、セクト主義的な郵政省の感覚でなくして、郵政官僚たちの立場のみでなくして、全国のあらゆる従業員と地方加入者の声であるということだけは、はつきりしておかなければならぬ。こういう点についても、ドツジ書簡そのものの中にも、今指摘したように資金運用部に受入れる資金としておつて、そのどれどれを受入れるという財源については、触れていないのであります。ドツジ書簡解釈は、ただ單にあなたが公表された後に出た書簡であつて、これは問題でないのだという立場をとられるのか。この書簡を知つておる国民は、この指摘されていない財源についてわざわざ大蔵大臣がこれを特に入れて、大蔵省から政府原案として出したのではないかという疑義を持つておるわけです。その点について御説明願いたいと思います。
  31. 池田勇人

    池田国務大臣 すらつとこの覚書を読んでいただけば、おのずからわかると思います。私は話合いの上で簡易保險及び郵便年金郵便貯金は、全部資金会計に入ると考えております。もし解釈が誤りだとすれば、関係方面にお聞きになるとわかると思いますが、私はそういう話合いでできておるものでありますから、話合い後にそれを読みまして、今のように結論を出したのであります。しこうして輿論の声を聞いておるか、これはもちろん聞いております。先ほど申し上げましたような特別の関係がありますので、特に私は国務大臣としても、このことにつきましては知つておる方であります。決して無視したり、独善的にやつたわけではございません。結論が輿論に反するからといつて、独善的だと言われるのは困るのであります。私はセクシヨナリズムでなしに、国のこと全体を考えて、結論に到達したのでございます。
  32. 受田新吉

    受田委員 大臣も時間があまりないかもしれませんので、私一人が発言しても他の方に迷惑でありますが、どうも私が納得できない点は、この保險事業性格が、今あなたの御説明では、どうしても大蔵省に移管された場合に、本質的に切りかえられるおそれがあると思うのであります。保險事業そのものは、民間保險と同じ性格を持つて、国営保險も本質的には、事業経営者が同時に積立金運用までまるというところまで行かなければいけないと思います。それを削り取られるということは、それを適当に大蔵省利益が多いように運用していけばいいじやないかどおつしやるのですが、その本質が失われた保險事業というものは、世界のどこにあるかということであります。商法と保險法の関係と比較しても、この簡易保險のような事業というものが、保險事業本質を失つてはならぬということは、双方の條文を対照しても、はつきりわかると思います。そういうものが今度あなたの方にひつぱつて行かれると抹殺される。保險事業本質的な性格をかえるという結論になるが、それでよろしいか。つまり運用の面を取上げたのだ。そうしたら保險事業事業経営主体というものは、大事な資金を持たない、かすを持つた経営をすることになる。これで保險事業は成り立つかどうかということ、これをひとつ保險事業解釈立場から、御説明を願いたいのであります。そこを非常に心配しております。
  33. 池田勇人

    池田国務大臣 簡易保險集められた金を、資金運用部に全部預け入れるか、あるいは集めた金の一部分を契約者貸付に充てるか、問題だと思います。私は集まつた金全部を資金運用部に入れなければならぬというのではなしに、契約者貸付の道もおいておると思つております。また五分五厘の利子をもらつた後の積立金運用につきまして、考えられないこともないと思います。しこうして資金全体の使い方の問題につきましては、先ほど来申し上げましたように、郵政大臣も関與することに相なつております。
  34. 受田新吉

    受田委員 私もこれで終りますが、もう一言申し上げておきます。契約者貸付などということは当然のことです。当然契約者が要求する場合に、その金までも積立金運用という美名でもつてやられたのでは、これはまことに赤子の手をねじるようなもので、それを何か恩恵を施すかのようにおつしやる。これがどうも気に食わない。これは当然やるべきことです。大事な本質的な積立金運用については、あてがい扶持で郵政省に返して行つて運用利ざやはごつそりポケツトに入れる。国家の保險事業であるといつて、安心して加入しておる人たちが、終戰後その長期付金ももらつておらない。そして保健衛生施設の方にまわされる金もわずかしかもらつておらない。これでは保險に加入する人が、保險事業を利用するに事を欠いておる、これでは新しく入る者はない。そんなたよりない保險に入らなくてもいいじやないかということになつて、せつかく国営の保險事業がその本質を抹殺されるために、第一線の人々に失望を與えることになる。この意味において、大臣契約者貸付ということを先ほどから五、六回言われましたが、このようなことでは説明できないような問題がある。この点世界中にいまだかつてない保險事業本質的な大変革を、大臣はおやりになるということになるのですが、それでよろしいか。
  35. 池田勇人

    池田国務大臣 この問題は、当初の根本問題から話しておるのでございます。資金の合同運用が、国家の資金計画からいつて必要だという結論であつたのであります。だから余つた積立金につきましては、これを資金運用部へ入れて、合同運用しようという考えで、御審議つている。そのことのいい悪いは議論がございましよう。しかし私は今の情勢といたしすしては、簡易保險の金であろうと、郵便年金であろうと、あるいは郵便貯金であろうと、一緒運用した方が効果的だというのであります。しこうして資金運用部の余つた金をふところへ入れるといいますが、何も大蔵省が独断するわけではございません。しこうして大蔵省は五分七厘ときめた場合におきましても、郵便貯金の方では損をいたしますので、十数億円も一般会計から、国民の拂われた税金から、郵政省の方へ入れておるのであります。何も大蔵省が金を預かつておるから、独断でふところへ入れる、そういうような気持はないのであります。大蔵省は金を預かつているので、支配しておるだけであります。大蔵省独断でやるというようなことはありません。
  36. 受田新吉

    受田委員 もう一つ、これで質問を打切りたいと思いますが、この資金運用部資金法案を出されることは、暫定的な立場から出されるということになつているのか、もしくは恒久的な立場で出されておられるのか、これをお伺いしたいのです。
  37. 池田勇人

    池田国務大臣 それに書いてあります通り、当分のうちとか何とか載つておりませんので、建前は恒久的な建前でございます。
  38. 受田新吉

    受田委員 建前が恒久的だということになつて来ると、これは本質的な場合は恒久的ということになるのですが、しかしこのドツジ書簡、それからマ書簡とかいうものを通じて見たときに、マ元帥自身でさえも、すでに日本のこの経済状勢というものに対しては、世界情勢の中から、もうすでにある程度の安定を来しておるという結論を持つている。だからそれに対して、今一時的な不安定な要素の影響を受ける経済の中で、これを出すという意味のものであつて、それが当然解消されれば、これは暫定的な措置として抹殺されるということは、私たちにはこのマ書簡を見てもわかると思います。原則として、当分ということが書いてないから、恒久不変的なものだとおつしやるのですか。
  39. 池田勇人

    池田国務大臣 普通の法律案と同じようなものでございまして、情勢がかわれば、法律を改正しなければなりません。今の情勢から申しますと、これで行こう、こう考えておるのであります。
  40. 受田新吉

    受田委員 私はこの法律案について、最後に一言大臣に伺つておいて、質問を終りますが、この法案を出した結果の情勢が、末端の加入者、従業員に、どういう影響を與えるかということは、十分大臣も御承知と思うし、そうしてすでに国会へあらゆる立場から、これを郵政省に存置することについて、何回かの意思表示をして来ておる。政府もその意思表示をしたという立場から、これに対してはわれわれとしては、こぞつてこの問題を真剣に考えようとしている。そのときに、大蔵省がこうした独善的な法案をお出しになつたために、非常に国民に刺激を與え、末端において非常な苦痛を與え、かつこれが強行される場合においては、われわれはすでに生命権を脅かされるような不安におびえておる。こういう郵政省所管の最も大事な事業の一つを抹殺させるという結果になるのでありますが、そのようなことは、経済の安定の立場から、資金の統一の立場から、平気だという先ほどの御意見は、非常に冷たい言葉を投げかけるものだと思います。大臣自身が郵政職員の御家庭に生れられ、現に郵政職員の御親戚を持つておられる立場から、少くともあなた御自身が、この際ひとつこの原案に対して非常な反省をされて見られる必要があると思うのであります。この点において、先ほどからドヅジ書簡、その他関係方面の声が、しきりに大臣の口から出されて、やむを得ないのだということに盡きておる。われわれはどこまで努力しようというお言葉がない。この点について、ぜひ大臣の責任で、国民代表たる立場から、こういう問題については、輿論を尊重するという方向をたどつていただき、今後あらゆる立場から、閣議において独善的に他の閣僚に圧力を加えることでなくして、大臣自身として常にみずからを反省されて、そして輿論の動向を察知した立場をおとりになることを要請します。ここにこれだけわれわれが誠意をもつて指摘していることが、あつさり片づけられないようにお願いを申し上げて、私の質問を終りたいと思います。
  41. 池田勇人

    池田国務大臣 最後にお答え申し上げますが、このことによりまして、簡易保險の伸びが非常に悪くなるとか、意気沮喪するとかいうふうな御心配でございますが、私は見たところそう考えません。最近の簡易保險の伸び方は、実にすばらしいのであります。しこうして実際問題といたしまして、今までの実態を制度化しただけであります。具体的にどういうふうな違いがあるかというふうなことは、大した違いは私はない思うのであります。もちろん繰返して申しますが、いろいろな情勢は十分考慮に入れて、しかも私一人がんばつているのではございません。私一人がんばつたつて閣議というものはそういうものではないのです。全体の御承認を得て、法案提出するに至つたのであります。
  42. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 次は飯塚君。
  43. 飯塚定輔

    ○飯塚委員 大臣に対する質問は、たくさん希望者があると思いますから、きわめて簡單に申し上げます。  結論から申し上げますと、この運用に対して、いわゆる大臣に再考を促したいこの点であります。なぜ再考を促さなければならないかと申しますと、ただいま受田君からいろいろお話がありましたように、本質的な問題を没却しておるような感じが、われわれにするのであります。これは明治の初年と申しますか、この議会政治が始まつて以来、あのような苦しい財政のときでさえも、この運用に関しては、今の郵政省の前身である逓信省にこれを統轄せしめ、しかもそれでなければならないという長い間の委員会の結論として、逓信省にその管理を預けたのであります。それ以来今日まで、非常な発展をして来ております。しかもその運用に対しては、社会政策的な方面にこれを使う、なおその余つた金は、一時的に大蔵省預金部にこれを預け入れるということになつてつたのであります。これがだんだん世の中が変化してあの太平洋戰争というような、非常なわれわれの犠牲の多い時代になつて預金部資金を統一されて、郵政省事業のある意味における犠牲というものは、これは国民のきわめて大なる犠牲から考えれば簡單なものである。これを今戰争が終つて、復活できて、しかも預金部資金のきわめてわずか一部分にすぎない保險の積立金だけを、もしも今のお考えを改めて、郵政省に還元せさるということになりましたならば、先ほど来受田君からも申されたように、一万三千の郵便局、さらに二十数万の従業員は、今日より以上の生産意欲と申しますか、保險の勧誘と申しますか、きわめて顯著なる募集もできると思います。ただいま大臣は最近の例を引用されまして決して能率が下つていない、ますますよくなるようなことをお話になりましたけれども、これはまだその運用が希望がある、郵政省へ還元するという希望がありましたために、最近の募集成績も能率も上つてつたものとわれわれは考えております。どうかこの点をお考えくださいまして、でき得べくんば郵政省をして従来のような運用立場に返さしていただきたい。これは私一人の気持ではありません。われわれのところへ毎日来ておる国民の声の代表者として、大臣の再考をお願いしたいのであります。
  44. 池田勇人

    池田国務大臣 先ほど来御答弁申し上げた通りでありまして、この法案が出ます以前におきましても、昭和二十一年一月の指令によりまして、お話のようにはできなかつたのであります。それは御承知だと思います。ずつと二、三十年前は、これは逓信省におきましていろいろな方面へ貸し付けられたり、いろいろな建物なんかを建てられた例は多々あるわけでありますが、とにかく終戰後はあの指令によりまして、お話のような事例には行かなかつた。私はそれを制度化したというだけの問題でありまして、元のように郵便省でずつとお使いになるということならば、非常にいいかもわかりませんが、これは資金量の問題から、先ほど議論があると申し上げましたように、合同して運用した方がいいという結論に自つたのであります。御承知のごとくアメリカにおきまして、郵便貯金簡易保險というものは、全体の資金量の一%にも相当しないものでございまするから、これは郵政省でやつております。しかし多分イギリスの方は、大蔵省が関與しておつたかと思います。日本のように二千数百億円に上る——銀行預金が一兆円しかない、その五分一ぐらいの金をばらばらに使うということが、金を有効に使おうとする今の状態においてとるべき策なりやいなやということは、考慮願わなければならぬ。しかし合同運用しましても、できるだけ郵政省のお考えに沿うように私はやつて行きたい。しかも今度の改正は、今まで指令によつて国債地方債運用が限定せられておつたのを、とにかく金融債で民間の方にも流したいという意図のもとに、一応折れて来て、金融債の方が大事だということになつて来たのであります。とにかく私の立場といたしましては、何といつて日本には資金が少い。だからせつかく集まつた多額の金を、できるだけ経済復興、日本再建に使いたいという念願から来ております。資金の蓄積が非常に多くて、郵便貯金あるいは簡易保險の金が、全体の資金量からいえば大したものでないということならば、ほとんど問題がない。しかし少いところへもつて来て、しかも郵政省でお集めになる金の割合が非常に多いのであります。これはやはり専門的なところに集め効果的に使つた方が、ただいまのところは国のためになるという気持で行つております。
  45. 飯塚定輔

    ○飯塚委員 これは議論のわかれるところでありますから、将来なお十分われをれも考えて、この点をどこまでも達成するような方向に向つて行きたいと思います。時間もありませんから私の質問はこの次にいたします。
  46. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 石原登君。
  47. 石原登

    石原(登)委員 私は根本の問題だけ、時間の関係もありますから、二、三点大蔵大臣に伺つておきたい。それでこれは相当時間をかけて審議せねばならぬ問題だと思いますから、この際ひとつ大蔵大臣も熱心に出席さるように、特に要望いたしておきます。  実は国会衆参両院で二回決議しまして、それからわが党内閣も国会の趣旨をくみとりまして、もちろん国民の輿論にこたえるという意味で、閣議で二回ほどこれを承認いたしました。簡易保險あるいは郵便年金積立金運用郵政省に返すということが確認されて、これははつきりと同意されております。ところが突如として今回、資金運用部資金法案国会提出された。私はこれをどういう理由だろうかと思つて、本日政府の提案理由説明を聞いたのでありますけれども、その理由を全然お示しになつていない。両院ではつきりと決議して、政府でも二回にわたつてこれを確認したことが、突如として大蔵省の提案として全然予算案を無視するような、また閣議で二回も決定確認した問題に完全に反するような方向の法案提出されておる。これは一体どういうような理由なのか、まずこの理由から私は承らないとわからぬ。さつき政務次官の説明によりましても、こういうようないわゆる国会決議を無視したような重大なる法案を提案したということの理由が、ちつとも明らかになつていない。この問題についてまず大蔵大臣からお答えを願いたいと存じます。
  48. 池田勇人

    池田国務大臣 先ほど受田委員の御質問に対しましてるるお答えした通りでございまして、お話の通り衆参両院決議もございました。閣議決定もありましたが、予算関係関係方面との折衝の過程において、こういうふうに相なつたのであります。受田委員に御説明申し上げた通りであります。
  49. 石原登

    石原(登)委員 さようにいたしますと、実は先般の郵政委員会における銀行局長答弁で、このような法案が出されるようになつたのは、実はドツジさんの書簡によつて出されるようになつたのだ、こういうようなお答えがあつたのでありまするが、このお答えとは違うわけでございますか。
  50. 池田勇人

    池田国務大臣 意味はそういう意味でございます。関係方面との折衝の結果、そういう覚書が出て、そういうことになつたのであります。
  51. 石原登

    石原(登)委員 大蔵大臣閣議で賛成された。しかも大蔵大臣郵政大臣の両大臣の要請によつて司令部当局に対しても、郵政省にこの運用を要請されたと了承しておる。それはもうはつきりした事実であります。ところが大臣が今度まつたく反対の立場で、この法案を提案されたということについては、大きくこのドツジ書簡が左右した、ドツジ書簡の要請に基いてこれを行われた、かように解していいわけでございますか。
  52. 池田勇人

    池田国務大臣 閣議で内定いたしまして、向うへ持つてつたのであります。しこうして予算の折衝において、閣議の内定案ではいかぬ、こういうふうにしたらどうかというお話が出まして、折衝の結果私もそれに従うということにしたのであります。
  53. 石原登

    石原(登)委員 そうしますと、そのドツジの書簡は別に大した影響はなくて、予算案の折衝によつてこういうふうにかえられた、こういうような意味でありましようか。
  54. 池田勇人

    池田国務大臣 予算案の折衝とドツジの覚書とは不離一体をなすものであります。
  55. 石原登

    石原(登)委員 さよういたしますと、私はこのドツジさんの書簡というものが、大体日本政府にどのような拘束力を持つかという、本質の問題について実はお伺いいたしたいと思います。もちろん日本は占領下にあることは事実であります。当然占領軍の命令でありますならば、これはたとい国民の意思がどのようにありましようとも、これに従わなければならないこことは当然であります。しかし占領軍のいかなる機関にドツジさんがおられ、そこでドツジさんはどういうような立場からこういうような書簡を出され、この書簡はどのように日本政府あるいは日本国会拘束するのか、その拘束できるところの根拠、この問題をはつきりすることが、この法案審議する上において大きな根本の問題になろうかと私は思います。この問題について大蔵大臣の見解をちよつとお伺いしたい。
  56. 池田勇人

    池田国務大臣 このドツジ氏の書簡は、覚書となつております。デイレクテイヴではございません。しかしこのもとをなします予算案につきましては、司令部の承認を得ることになつております。従いましてこういう予算案を出すということは、司令部の承認を受けたということでございます。直接にドツジ氏の覚書によつてどうこういうのではありません。予算案の審議承認ということで御了承願いたいと思います。これはドツジ氏の考えを証明するものとして、覚書をごらんに入れておるのであります。
  57. 石原登

    石原(登)委員 それで大体問題が明らかになつて参りましたが、そういたしますと、この法案に関する審議については、少くともドツジ案はわれわれは別に日本政府あるいは日本国会拘束するものではないというふうに解釈していいわけですか。
  58. 池田勇人

    池田国務大臣 私はドツジ氏の覚書は、御参考にごらんに入れたと思います。従いましてそのドツジ氏の覚書が国会拘束するものとは、私は毛頭考えておりません。しかし法律案予算案につきましての司令部政府との関係は、御承知通りのことで、説明は申し上げなくてもおわかりと思います。
  59. 石原登

    石原(登)委員 そのドツジ書簡が占領下にある日本拘束しない、もちろん政府拘束しない、こういうようなただいまの御答弁でありますが、少くとも国会が両院ともこれを決議し、閣議で二回も決定したものを、それに反対するようなこの法案を出されたのは、どうも先ほどの御答弁とまつたく妙なふうになりはしないかと思います。私どもは従来わが党の政府が、また大蔵大臣が、国会決議を尊重されて、いろいろ努力されたことを知つておるのでありますが、この問題に関する限り、国会決議を無視してこういうような法案を出された、しかも社会一般的にドツジ書簡があたかも命令のごとく流布され、あたかも命令のごとく認識されておる、この点をはつきりと解明されたい。また政府国会決議に反してこの法案を出したという、その理由が明らかになつて参りませまんと、私どもはこの法案の取扱い上において、非常に重大な問題になろうと思つております。これはただ單に郵政省だとか、あるいは大蔵省だとか、そういうような問題だけではなしに、実に国権の最高機関でありますところの国会の権威の問題であります。この国会の権威に関する問題が、政府の一部局によつて左右される、しかも政府の一部局によつて国会決議が無視され、蹂躙されるということになりまするならば、これは與党、野党を問わず、重大なる問題である。この点に関するところの大蔵大臣の所感をしかと承つておきたいと思います。
  60. 池田勇人

    池田国務大臣 国会決議があつた、これは事実でございます。閣議でその決議に沿つて意向を内定したのも事実であります。しこうしてその後におきまして、簡易保險郵便年金郵便貯金運用に関しまして、関係方面と折衝したことも事実でございます。またその結果によりまして閣議決定したのも事実であり、しこうして閣議決定した法案を最高権威である国会で御審議つておるのであります。
  61. 石原登

    石原(登)委員 私にはどうも大蔵大臣答弁が、一々非常に気に食わなくなつて来るのです。それは少くともこの法案を出されるわずか数日前に、あなた方は内閣の責任によつて閣議決定され、しかも現大蔵大臣と現郵政大臣とが責任を持つて司令部に対して、郵政省にこの運用を還元してくれという懇請をされておる。それから国会に対しても、国会決議に対し満腔の賛意を表明されておる。しかしながらそれがわずか数日を出でず、このような法案を出して来られる。その間に日本の国の中には、さよう重大な変化はない。しかもこのような大きな転換をしなければならぬところの理由を、何ら示されてない。従いまして国民はすべてドツジ書簡によつて、このような結果になつたのだ、かようにしか考えていないわけであります。そこのところが私は今日の占領政策、今日の日米親善その他に関して、大きな国民的な疑惑を生む原因ともなろうと思う。私はこれが出されるまでになつたところの事情というものがもつと明らかにされて、どういうわけでこのように重大な国会決議が無視されて、わずか数日の間にこの法案提出されなければならなかつたかという事情というものを、もつと国民的に明らかにされなくてはならぬと思う。あなたのただいまの説明によると、わずか数字の文句によつて、このような重大なことを簡單に説明された、これでは私どもわかりません。おそらく本日説明を聞きましたところの同僚議員諸君も、わからないだろうと思う。さようになりますると、すべての国民自体もこれはわからない。今まで認識した通り、ただ單にドツジさんの書簡によつてこういうふうになつたのだ、こういうふうに解釈して行くと思いますが、それでも一向国務大臣としてさしつかえないと思いますか。あるいはさらに積極的に進みまして、国民に納得の行くように努力しようというようなお考えがあるかどうか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  62. 池田勇人

    池田国務大臣 この問題はドツジ氏の覚書にありますように、十一月の中ごろ以前にきまつた問題でございまして、しこうして第九国会におきまして、昭和二十五年度内に金融債二百億円を引受けます説明の際にも私は申し上げております。しこうしてその後におきまして、予算編成のときに各新聞にも載つております。これは金融債を出す出さぬのキイ・ポイントになつた問題でもあるのであります。御承知通り預金部の金は使わしていただくことが、なかなか許可せられなかつた。そこでこういうふうな資金運用部をこしらえまして、そうして各会計に信託商事的の借用証文を出して、これを一般大衆が安心し得るように有効に使つて行くという條件のもとに、今年度の二百億円の金融債も認められたのであります。数目前突如として出した問題ではないのであります。前の国会におきましても、各委員会でたびたび申しておるのであります。ただその後の折衝におきまして、あまり郵政当局の強い要望もありましたので、私はドツジ氏と話をしたときのこともむし返しまして、郵政省に置けるものは置いてもらいたいという十数度の交渉は、受田委員にお話した通りであります。法案として出すのが遅れましたのは、そういう折衝が長く続いておつたからであります。
  63. 石原登

    石原(登)委員 少くともこの問題に関するところの予算的処置は、これは政府決定として当初の案には郵政省に還元する、こういう案で作成されたと私は聞いておるのであります。しかもそれがそういうふうに日本政府で組まれたということについては、これはもちろん閣議大蔵大臣あるいは郵政大臣も、その他の閣僚の諸公も、十分確信を持つてつくられたものであると私は思う。しかしその後司令部との折衝によつて、これがいけないということになつた、そのいけないという理由がほんとうに明らかに示されていない。ただいまの御説明によるといわゆる金融債発行のための取引として、この法案が出て来たというような印象を深く受けるのでありますが、さようにすると、金融債を出すことによつてこの国営の簡易保險事業というものに、根本的な大きな動揺が来る。これはいろいろ議論がありましようけれども、少くともこの事業に従事しておるところの三十万の従業員諸君、あるいは各地からこの問題には御承知通り、すでに九百件になんなんとする陳情書が来ております。一つの問題について九百件に及ぶというような陳情は、これは全然ありません。このくらい国民的な熱意を示された問題があやふやの中に、しかも閣議でも確信を持つて出された予算案であつたにもかかわらず、ただ單に司令部側の意向によつて、あるいは金融債のための取引の道具として、これが簡單に始末される、かようなことになりますと、これは事重大である。くどいようでありますが、この問題は国会において一人の異存者もない。今日ある党派ではことさらに反対する党派もありますが、この問題に関する限り、全国会あげてこれには異存がない。どうかこういうような問題は、大蔵大臣としてぜひもう一度お考え直しが願いたい。  私は以上の問題だけを一応本日は承つておきまして、詳しい問題については後日論議をしたいと思います。ただ先ほど申しました通り大蔵大臣はこの間の事情については、国民に納得するような説明を少しもいたしてないが、これを積極的にさらに解明するところの御意思があるかどうか、このことだけを承つておきたいと思います。
  64. 池田勇人

    池田国務大臣 何も金融債の発行のための取引という意味ではございません。あなたも御承知通りに、昭和二十一年一月二十一日だつたかと思いますが、簡易保險郵便年金一緒にして運用しなければいかぬというデイレクテイヴが出ておるのであります。国会決議閣議の内定のものは、そのデイレクテイヴを訂正するように出したのであります。しかるところそれが受入れられなかつたのであります。かかる場合におきまして、お話の通りにわれわれはあなた方の意向を参酌いたしまして、一応は郵政省の方へ組むようにいたしたのでありますが、デイレクテイヴもまだ存しておることでありますし、また今の金融情勢からしたら、こういうふうにした方がいいのじやないか、しかも大衆の零細な金を、こういうふうにしつかりした組織のもとに運用することが適当であるという考え方のもとに折衝の結果、私もそういうふうになつたのであります。決してうそを言つたり、ごまかしたりするわけではありません。事情につきましては、受田委員に対しまして昔からのことをずつと述べておりますから、あれ以上のことをただいまのところ申し上げられません。
  65. 石原登

    石原(登)委員 少くとも大蔵大臣閣議でも承認されて、連名で先ほど言一つたように司令部に要請した。しかしながら司令部説明を聞いて、あるいは司令部説明の間に、自分のそういうような考え方は間違いであつたということを確認されたわけである、あるいはまた日本政府司令部意見を闘わしている間に、日本政府決議もあるいは決定も間違いであつた、こういうような考え方に基いて、司令部側のいわゆる案というか、方法というか、それに服されたわけでありますかどうか。それから同時に司令部側の意見国会決議よりも正しかつた、かように認識されて、閣議決定も全部破棄されて、このような法案を出されることになつたのでありますか。この点は非常に重大でありますから、ひとつお伺いいたしたい。
  66. 池田勇人

    池田国務大臣 国会決議も間違つておる、閣議決定も誤つておるという言葉では現わせられないと思います。事情の変化によりまして今の情勢から行つたならば、こういうふうにした方が経済自立のためになるということは、そのときどきに考えなければならぬのであります。従いまして今御審議つておりまする法案は、さきの御決議とは趣旨が違うかもわかりませんから、一応お諮りしておるような次第であるのであります。私はこれが間違いで、これが正しいのだという問題でなしに、こういうこともあろうし、ああいうこともあろう、そういう意味で御審議を願つておるのであります。
  67. 石原登

    石原(登)委員 私はさつきの決議が間違つたとか間違わないということでなくて、それをさらに改める、こういうような御意向でありますが、少くとも国会で一応決定し、決議したものは、一応実施するのがこれまでの建前であります。このことはただ決議したものであつて、建前にしていない、これは何も実施もしていない、それでこのほど突如としてこうなつたというように、私は率直に言つてもらいたい。これは司令部からの要請に基いて努力したがこうなつたのであるということであるならば、私どもはこのドツジ書簡についても十分検討し、あるいは批判しなければならぬ問題である。ところがドツジ書簡大蔵大臣に出された書簡であつて、少くとも大蔵大臣国会決議を尊重されるならば、このドツジ書簡が出されたことに対して、国会に対してこのような書簡が来ておる、ついてはこれは国会決議と相反するような面もあるから、これをいかようにするかということについての、一つのお諮りがなければならぬと思う。そういうようなこともなしに、いきなりこのような法案を持つて来られた。これは少くとも国会としてはまことに不満足であろうと私は考えるわけであります。私はいろいろりくつを言うわけではございませんが、この手続の間に、あるいはこの法案が出されるまでの間に、非常におかしなものが感ぜられる。どうも国民的に釈然たらざるものがある、かようなことも皆言つておるわけであります。先ほど社会党の受田君がこの点を強く言つてつたのも、私はそういう面であろうと思うのでありますが、私どもはこういうような問題が正しく審議されまして、国民的な誤解が一掃されない限りは、これは当然政府與党の自由党としてもまことに遺憾にたえないわけであります。くどいようでありますけれども、少くとも当該の大臣でありまするところの大蔵大臣は、この間の誤解を一掃するためにもつと積極的にこの問題の本質、この問題の経過、こういうものについては十分納得するような御説明がどうしてもなければいかん、かように考えている。いろいろな問題については後日さらに論議いたしたいと思います。きようは他の議員の質問もあると思いますから、この程度で承つておきまするが、大蔵大臣においてもこの問題には、このような意見が與野党を問わず十分にあるということをどうか御認識をいただきたい、かように考えます。私の本日の質員は一応これで打切つておきます。
  68. 池田勇人

    池田国務大臣 まことに失礼でございまするが、受田委員に対しましての質疑応答を初めからずつとお聞取りくださいましたら、前からのいきさつは私は一応お話申し上げたはずでございます。あれ以外にないのでございまして、またあれ以外の点は、あなたとの質問応答、あるいはほかの方との分であるかと思いますが、足りなけば今度またの機会にいたしますが、大体は、決議があつたり、閣議の内定があつたり、予算を組んだり、そうして折衝をしたり、その途中でこうなり、そうして金融債の発行になり、新聞にもいろいろなことが出まして、そうしてあとから今年度に入りましてどれだけ郵政省の方へ、ドツジ氏の方の意向がこうで、どれだけ郵政省も努力した、その結果遅れたことも逐一申し上げているはずであります。
  69. 石原登

    石原(登)委員 私は打切るつもりであつたのでありますが、もう一点だけぜひ聞いておかなければならなくなりました。私はきようはこまかな問題には触れたくなかつたのでありますが、大蔵大臣はしきりに客観情勢の変化と仰せられる。少くともこの問題は閣議決定して、郵政大臣大蔵大臣が連名で司令部に対して要請されたのは、昨年の七月二十四日であります。それから今日までの間に、こういうような重大な問題を完全に三百六十度転換しなければならないような事態が出て来ておりまするか。その問題を御説明願いたい。本日の説明の中には、そういうような説明は全然触れておりません。私もそういうような転換をしなければならないような客観的事実というものを、実ははなはだ残念ながらまだ認識しておりませんので、これはぜひ参考までにこの問題を聞かせていただきたいと思う。
  70. 池田勇人

    池田国務大臣 お話の通り昨年七月下旬に郵政大臣と私とで、国会決議を尊重いたしまして出したのであります。しこうして予算におきましても、当初郵政省の方に組むように出したのであります。しかるところ朝鮮事変の影響も織り込んだ予算関係方面と折衝する間におきまして、どうしても今までのような預金部資金運用ではいけない。民間の財政資金として流し込む必要があるということになりまして、そうすることになれば、しつかりした資金運用部を置いて、各特別会計にはしつかりした借用証明を出して、確定的にして引きかえてやる、そうして片一方で資金運用部を設け、あるいは地方債、進んでは金融債を持つようにする、こういうことに相なつたのであります。
  71. 石原登

    石原(登)委員 資金運用部ができることについては、先刻そういうふうになるということを承知しましたが、この資金運用部は、大蔵省資金運用部を持たなければならぬというような理由がまだはつきりしない。しかもこの資金運用部資金になるところの金のほとんど七十数パーセントというものが、郵政省の仕事である。しかも郵政省の仕事の中の保險と貯金の事業は、大きな事業であります。その事業の、しかも大きな分野のものを、大蔵省でどうして扱わなくちやならないか、どうして郵政省でやつたらいけないか、こういうような議論も実は出て来るわけなのであります。こういう問題は何も議論されていない。従来貯金が大蔵省預金部でやつてつたからその通りだ、これはまつた議論になりません。そういうことになりますと、少くとも事業というものは一貫して行われるのが正しいのである。こういう手をもがれたような事業は成り立たないわけであります。私はこういう問題に対しては法理的に議論はありまするけれども、とにかく本日はこれで打切りますが、こういう問題について大蔵大臣は、郵政省がやつたらいけない、あるいは大蔵省でなくてはいけないというような理由があるかどうかということを、次の質問でぜひいたしたいと思いますので、この点についてもぜひお考えおきを願いたい、かように考えております。私の本日の質問はこれで打切ります。
  72. 夏堀源三郎

  73. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 今までにすでに重要な点は論じ盡されておるように考えるのであります。この問題を大観してみると、現在の銀行、また金融界の資金難、また資金を供給しなければならない点、こういう面から申しますならば、大蔵大臣がるる説明せられておるように、一手に集めて運営して行くということが、現在の状況下においてはわれわれの適切であると考えざるを得ないのであります。同時にこの簡易保險業務形態から申しますならば、この行き方は非常に理論的にぐあいが悪いことは、先ほども指摘されている通りであります。しかしてこの問題の重要な点は、衆参両議院で決議をして、その郵政省業務形態を維持しよういうことを、国民代表としてきめておる点にあるのであります。そこで私考えますのに、大蔵大臣もこの院議を軽視しようというお考えはないと思う。また内閣も決定をされたのでありますからして、この院議尊重ということは十分に心にとめて置かれるものであると私は考えるのであります。そこで具体的の問題になりますと、現在の情勢は、今の行き方を要請しておる、また業務形態はそれではいけない、その業務形態を確立しようというのが決議案である。それで現在の情勢下において、こういう方途をとらなければならないといたしましても、院議を軽視するという考えは、大蔵大臣はお持ちになつておらないものと考えるのであります。でありますならば、これは先ほども含みのある御答弁がありましたが、今大蔵大臣のお立場としては言いにくいから、含みのある立場で言われたものと私はこう想像いたしたのでありますが、大蔵大臣は院議はどこまでも尊重するが、院議通りに今運ぶ時期ではないから、院議を尊重して院議通りに持つて行くためには、時をかしてもらわなければならないというようなお考えであるかどうか、二十四年の暮れに百億のひもつきの預金銀行にされて、中小企業の金融をはかられた。それ以来このオーバー・ローンの問題もあるのでありますから、そういう事情が解決されたときには院議尊重によつて大蔵大臣はその先の考え方を実施されるという決意を持つておられるのであるかどうか、この点をお伺いいたしたいのであります。
  74. 池田勇人

    池田国務大臣 将来の問題につきましては、将来事態の発生した場合に考うべきことで、軽々しく申し上げるわけには参りませんが、御承知通り今は合同運用をなすべしという指令が出ておるのであります。その指令は昭和二十一年、しかしその後におきまして衆議院、参議院で決定されたので、われわれはそれを尊重いたしまして、できるだけのことをいたしました。予算までそういうふうに組んで持つてつたのであります。しかし指令が生きておりますし、またその指令を殺すことも相ならない、しかも指令通り強くやつて行けという、いわゆるドツジ氏の話もありましたので、こういうことに相なつたのであります。私は国務大臣として、また代議士としてできるだけはやりましたが、こういう状態になつたということは、今日の速記をごらんくだされば十分おわかりだと思います。
  75. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 大臣のその立場はよくわかるのでありますが、院議を尊重して時期の変化を待つという約束は、今できない問題でしようか。そういうような條件をつけても政府はさしつかえないものと私は考えますが、その点はいかがでありましようか。
  76. 池田勇人

    池田国務大臣 私も国会議員の一人でございます。院議を尊重する気持にかわりはございません。しかしこういう問題はここでお約束しなくてもいい問題じやないか。あまりかたく申し上げますると、法律案自体ということについても関係がありますので、私は十分過去の歴史、将来の見通しにつきましては一応持つておりますが、ここで申し上げる段階に至つておりません。
  77. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 それはわかりますけれども、それではどうも国民が納得しないのじやないかと思うので、何とかもう少し国民が安心するような御答弁は願えないものでございましようか。
  78. 池田勇人

    池田国務大臣 国民が安心するということよりも、これはあなた方がいかようにもなされることなのでございます。あなた方がどうぞ御自由になすつたらけつこうだと思います。
  79. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 椎熊三郎君。
  80. 椎熊三郎

    椎熊委員 受田君から系統的な質問があつたようですが、私はあまり皆様が触れないような点で二、三点伺います。主として政治家たるの大蔵大臣の所信について伺います。あなたは国会議員であるということをただいま言明されました。われわれも同僚にあなたのような人もおつたということを発見いたしまして意外に思いました。あなたは国会議員たると同時に、政党に基盤を持つ政党内閣の国務大臣にして、行政官庁の最たるの職責にあります。長きにわたるあなたの官僚生活は、いまだにあなたの身体ににじみついておる。選挙によつて光栄ある当選をしておりながら、国会議員たるのにおいてははなはだ乏しい。私ははなはだ遺憾に思います。われわれ国会議員は、ただ單に自己一身一家の名利栄達のために出ているんじやない。敗戰以来今日の日本をいかにして再建復興せしむるかは、実に今日のわれわれの重大なる責任である。あなたはそれなるが故に官僚生活を打切つて、非常な責任を感じて国会に入つて来られたのである。国会は、新憲法に規定するところ、国家最高の機関であります。しかるにあなたはみずから国会に議席を有し、さらに政党内閣の閣僚として、この重大なる国会決議に相反するがごとき行動を、みずから所管の役所においてなさしむるがごときは、私は国会議員たるあなたとしてとるべからざる態度をとつた、そういうことを国会のために嘆きつつ、あなたの心境を聞きたい。すなわち結論的に申しますならば、あなたは国会議員たる職責を重しとするか、行政官庁の長たるの今日の立場を重しとするのか、いずれでありますか。
  81. 池田勇人

    池田国務大臣 国会議員たる資格を持つ国務大臣としております。従つて前の国会において御決議なすつたことは、十分身をもつて承知しております。しかし今の情勢から、その決議通りに行かなかつたということを、あなた方の前に披瀝して御審議つておるのであります。
  82. 椎熊三郎

    椎熊委員 あなたは衆議院において絶対多数党たる自由党に所属しておられる。そうしてこの自由党の單独内閣である。このような重大なる案件は、政党内閣の本来のやり方としては、必ずその党の政調会、党の本流との間に了解をつけて、重大政策を決定して行かなければ、政党内閣ではない。そういう手続をふまれて、この案が生れたものであるかどうかをお伺いしたい。
  83. 池田勇人

    池田国務大臣 閣議で留保になり、その後閣議決定になつておりますので、政党の方は十分承知しておると思います。また政党幹部は承知しておることを私も了知しております。
  84. 椎熊三郎

    椎熊委員 たいへん妙なことに発展して来たのですが、自由党の諸君の質問からいうと、全員これ反対だという、あなたの今の言明からいうと、党は十分承知しておると確信しておるという、それはおかしいですね。そうすると、今日この会議における自由党の諸君のやり方というものは、世間体をつくろうため、腹の中では賛成だが、表面反対のごとく見せかける態度をやつておるように聞えて、同僚諸君の名誉のために、私はただいまの大蔵大臣の発言は非常な重大な責任を持つことになると思う。事実において、それは政党との間にほんとうに了解を遂げて出したのかどうか、端的にお答えを願いたい。
  85. 池田勇人

    池田国務大臣 吉田総理以下、自由党の党員であります。自由党の出身の閣僚全部知つております。そして自由党の役員も十分知つておるのであります。
  86. 椎熊三郎

    椎熊委員 閣僚は知つておることは確かでしよう。閣議できめたのですから——。自由党の幹部が了解を與えておるという、ただいまの発言はもう消えませんよ。これでは自由党の態度というものは、すでにきまつていることになる。われわれとともに協同的な立場をとつて、これに反対せんとしておるその行動は、遺憾ながら同僚諸君の真意を私は疑わざるを得ない。これで間違いないか。あなたも国会議員なんですよ。あなたと同じ国会議員が、非常に不名誉なことにならざるを得ない。そういう発言でいいのですか。閣議では知つておるが、党はあるいは知らなかつたかもしれぬというようなくらいのことは言わぬと、自由党の諸君はいたたまれないことになる。
  87. 池田勇人

    池田国務大臣 私は党の幹部の方にも話をしております。また閣議決定し、しかも国会へ出す法案でございますから、当然御存じであろうと思つております。しこうしてだれが知つていてだれが知らないかということは、私としてここで答弁の限りではありません。
  88. 椎熊三郎

    椎熊委員 あまり突き詰めたことを聞かない方がいいと思います。それではあまり気の毒になるから聞かないだけのことです。そうすると、今日この席に列しておる自由党の諸君というものは知らなくて他のこの席に出て来ておらぬ幹部は知つてつたということに私は了承して、さらに進んで別の問題から聞きます。あなたは衆参両院が、過去においてあれほどの決議をして、閣議においても二回、三回にわたつて申合せもあつたというのに、それにさからつてこの法案を、あえてドツジ書簡に名をかりて出しておる。このままでこの法案が通るという確信があつて出したのかどうか。
  89. 池田勇人

    池田国務大臣 私は閣議決定し、通るものと見込んで出しております。
  90. 椎熊三郎

    椎熊委員 通つた方がいいと思われますか。
  91. 池田勇人

    池田国務大臣 これはお答えするまでもございませんが、閣議決定をして御審議つておるのでありますから、通つた方がいいということはもちろんのことであります。
  92. 椎熊三郎

    椎熊委員 それで私は非常にあなたの政治的信念に悲観を感ずる。ほんとうはドツジさんの書簡もあるし、あなたの今までの交渉の結果から出さざるを得ないはめに立ち至つて出したのだが、腹の底では、修正してもらつたり、審議未了になつた方が、ほんとうはいいのだと思つておられるのかと実は思つて、私はそういうことを聞いた。心からこれを通すことをほんとうに信念的に歓迎するというなら、あなたは一国の国民代表たる衆議院議員としてはおかしいですよ。矛盾するとは思いませんか。あなたの議員たるの自覚とその信念とは——
  93. 池田勇人

    池田国務大臣 矛盾しておりません。私が本案を出すに至りました経過は、今日初めから今までに申し上げた速記をごらんくださればわかると思います。
  94. 椎熊三郎

    椎熊委員 あなたは口で矛盾しておらぬと言うが、あなたの言うことはことごとく矛盾だ。それが矛盾でなくて何だ。国会議員たるものが国会の議決権を尊重しないで、それと相反したる法案をみずから独断で出して、それがいいのだということは、矛盾でなくて何だ。けれども、それもあなたの心境がわかつたから、次に移る。  あなたの先ほどからの答弁によると、この問題を関係方面と折衝の間に、向うからそういう指示があつたけれども、自分はそれには自信が持てないということを向うに言つたら、それじや書簡を出そう、こういうことだということを先ほど受田君に答弁した。そうすると、あなたは実は書簡がなければ、これは出してもだめだというので、自信がなかつたわけなんだ。そこでちようど例の日発の問題と同じように、政府も苦しいし、国会がああいう決議もしておるのだから、どうか書簡を出してもらいたいというあなたの懇請によつて、書面ができたものと解釈してよろしいか。
  95. 池田勇人

    池田国務大臣 この問題は重大な問題でございますので、折衝中も最も力を入れたところであります。しかして折衝の結果、この案がいいと決心いたしまして、閣議に付して、閣議の承認を得まして出したのでございます。独善的のものではございません。しかして問題が重大でありますので、ドツジ氏のはつきりした意見を覚書きされた方が適当だと思はまして、こう申し上げたところが、それじや自分の意見を君あてに出しておこうということで、もう一ぺん私どもの折衝をレビユーされたことになるのであります。
  96. 椎熊三郎

    椎熊委員 どうも先ほどの受田君に対する答弁とやや違つて来ている。あなたは、そういう折衝があつたが、自分は自信がありませんぞと申したということをさつき言われた。そんな自信のないものを一片の書簡によつて出すということは、政治家の信念としてはおかしいじやないか。あなたの今自信があつて出したということと、さつきの答弁とは食い違いがあるじやないですか。
  97. 池田勇人

    池田国務大臣 案のいい悪い、自分の決心したことにつきましては、自信があります。ただ大きい問題であるので、私はあなたの意向がこうだということをはつきりみなに申し伝える自信がないから、レビユーされた方がいい、こう言うたのであります。
  98. 椎熊三郎

    椎熊委員 それではあなたはもしドツジ書簡が出なかつたら、この案は出されなかつたのですか。
  99. 池田勇人

    池田国務大臣 ドツジ氏の覚書が出なくても、私はこの案を出すつもりであります。
  100. 椎熊三郎

    椎熊委員 それは驚き入つたことだ。あなたは先ほど来国会決議も尊重するといい、それも知つているといい、党の意向も知つているといい、そうして国民の輿論も聞いているといい、それで書簡が出なくしてもそれをやるというのはどういうわけだ。どういう信念からやろうとされたのか。
  101. 池田勇人

    池田国務大臣 折衝の過程におきまして、こういう法案制定した方がいいという決心がつきましたから、やつているのであります。国会の前の決議も知つております。閣議決定も知つております。しかしその後におきまして、財政経済の運営上これがいいという決心をしたので、提案いたしたのであります。
  102. 椎熊三郎

    椎熊委員 先ほどのあなたの答弁の中に、あなたは郵便局長さんの御令息であると聞いて、私は驚いたのです。全国何十万の逓信事業関係者の中から、あなたのような優秀な秀才が生れて、その秀才によつて逓信従業員が毒殺されるような行動を受ける。おそらくあなたを生んだ逓信従業員であつたお父さんは、嘆いておることだろうと思う。あなたは少し人情を解して、そうして政治の上にも人間のあたたかい感覚が通うような政治をしなければいけません。ただ單に一片の書簡によつて、自分の良心に反して、自分の党に反逆して、国会決議を蹂躪しててんとして恥じざるあなたの傲慢なる態度は、立憲政治のあり方ではない。民主政治をやるところの政治家の態度ではない。民主政治とは、およそ民の声を聞いて、その大多数の意見に従うのが民主政治である。あなたはあなたの独善——長きにわたる官僚生活が、いまだあなたのからだにしみついておるというのはそれだ。自分がよいと思えば、国民の多くが反対しても押し切ろうとするその傲岸さが、民主主義の国会でははなはだ遺憾千万なことである。幸いここにわれわれの同僚である郵政省の政務次官がおられる。先ほど来の問答を聞いて、郵政政務次官は、この問題に対してどういう確信を持つておられるか。
  103. 山本猛夫

    ○山本(猛)政府委員 すでに閣議決定を見たのでありますが、閣議決定法律の生れる最後の決定ではないと考えております。
  104. 椎熊三郎

    椎熊委員 閣議決定法律の最後の決定であるとか、そんなことを私は聞いておるのではない。こういう提案を大蔵大臣の責任においてなされたことは、ただちに郵政省に大なる影響をもたらす。そこであなたのこの法案に対するところの確信を披瀝してもらいたい。これが通過することに賛成しておるのか、あるいはこれは通過しない方が郵政省によいのか、率直なる信念を吐露してもらいたい。
  105. 山本猛夫

    ○山本(猛)政府委員 これは国会がおきめになることと考えております。
  106. 椎熊三郎

    椎熊委員 あなたも国会議員なんです。だからこの法案に対する、郵政大臣にかわつて郵政政務次官の確信を聞いておかないと、わからぬじやないですか。大蔵大蔵は一生懸命、いいにつけ悪いにつけあれほどの心情を吐露しておる。あなたは郵政大臣にかわつて郵政省としてはこう思いますということを言わなければだめです。
  107. 山本猛夫

    ○山本(猛)政府委員 郵政大臣閣議に列席をいたしまして、法案の最後決定に参画をいたしました。法案は、法律の案としては閣議決定を見たのでございます。あとは国会がこの法案をおきめになるのであります。
  108. 椎熊三郎

    椎熊委員 国会がきめないでだれがきめる。そんなことは初めからかわつておる。出て来たこの法案に対するあなたの確信はどうだということです。この法案が通過した方が郵政省のためによいのか、郵政省のために悪いのか、あなたはどう判断されるかということを聞いておる。これは私ども審議の上に非常に重大な参考資料になるから聞いているのです。
  109. 山本猛夫

    ○山本(猛)政府委員 これ以上は答弁の限りではありません。
  110. 椎熊三郎

    椎熊委員 答弁の限りではない。答弁できないというのでしよう。お許しくださいとなぜ言わぬ。限りでないなどという僭上な言葉を使つてはいけません。答弁すべきは政府委員の責任なんですから、できなければ、できませんと頭を下ぐべきである。そこであなたの心境は私ども察することができる。あなたのように、限りでないとなれば、けんかしなければならぬ。君とけんかすることは私はいやだ。もう少し率直に答弁できないですか。できなければ聞きません。  そこで私はこの際同僚のお許しを得て、三十秒ばかり自分の意見をつけ加えて、きようの質問は打切りたいと思います。それはすでにこの議場で展開しているように、大蔵大臣郵政省当局との間には、まつたく食い違いがある。閣議では一応一致してこの法案は出したかもしれぬが、郵政大臣も、うちへ帰つて静かに考えてみて、非常に煩悶しております。苦しんでおるのです。これは罪なことをやつているわけです。これは一応の閣議決定をみて提案になつたのだろうけれども、現に與党たる自由党においても、一人残らずと言つてもいいほどこれは反対なんです。そうすると、この法案というものは無事にこの国会を、大蔵大臣が望まれるように通過できるものとは思われません。また国会決議を蹂躙したようなこの法案を通すことは、国会の名誉にかけてわれわれ国会議員としてはできないわけです。それを無理に政治上の情勢を無視してまでやられるということは、大蔵大臣におかれましては、これは政党内閣の将来のためにも、あなたはよほど御反省なさらなければいかぬと思う。あなた自身は一行政官庁の長ではありましようけれども、あなたの党籍は自由党にある。あなたは国会議員でもある。それをあなたは、国会のすべての人々の精神を蹂躙したり、同僚にあのような恥をかかせたり、われわれ委員にまるで八百長のような態度ではないかなどと、同僚を誹謗するがごとき形容詞を使わなければならぬような場面にまで追い込んでいるのは、あなたの独善から来ていると思う。どうかこの点については深く御反省あつて、政党政治のために、政党内閣制のため、民主主義国会のために、あなたはもう一段の反省あつてしかるべきだと思いますが、本日は他の同僚諸君の発言もあるようですから、私は後日別な観点からあなたになお重ねて深い質問をしたいと思います。本日はこれをもつて打切ります。
  111. 池田勇人

    池田国務大臣 ただいま椎熊君は、逓信職員であつた者の子供として慚愧にたえないではないか、あるいはいろいろな陳情、要請があるにもかかわらず、これを出すということは、非民主的ではない、そういうお言葉がありました。私は日本の財政経済に携わつております以上、私の信念によつて立案し、しかして閣議を経てあなた方に御相談申し上げるのが、民主的だと思うのであります。私は自分の信念によつて、国務大臣とし、あるいは一人の代議士として、自分のよいと信ずることを正式の議を通して、そうして国会のあなた方に御相談申し上げるのが、民主主義と考えておるのであります。
  112. 椎熊三郎

    椎熊委員 せつかく私はやめようと思つたが、けんかを売られるならば買わなければならぬ。あなたは信念とおつしやるが、おかしいじやないか。それほど信念のあるものが、関係方面との交渉において、私は自信がないということをなぜ言わなかつたか。信念なき者の発言でしよう。自信がないと言つたでしよう。そうして書簡を出してもらつたのじやないか。どこに信念がある。ごまかしたようなことを言うものじやない。
  113. 池田勇人

    池田国務大臣 案につきましては信念を持つておるのであります。しかし事が重大でございますので、ドツジ氏の意向を伝えてもらいたい、こういう考えのもとに出してもらつたのであります。速記をお調べ願いたい。
  114. 椎熊三郎

    椎熊委員 自信がないからということによつて書簡が出たということを明らかに答えておるじやありませんか。自信がないということは信念がないということなんですよ。信念があるということは、自信があるということなんです。言葉じりをとらえるわけじやないけれども、あなたは国会というものをそう軽んじてはいけません。あなたは国会議員じやないですか。言つたことには責任を持たなければいけません。
  115. 池田勇人

    池田国務大臣 私は案の内容につきましては自信を持つております。しかし事重大で、論議のあつた問題でございまして、あなたの意向を十分伝えるだけの、すなわち郵政大臣等につきまして納得の行くような方向に自信がないから、一応あなたの意向としてお書き願つた方がよい、こう言つておるのであります。この点ははつきり申し上げておきます。
  116. 椎熊三郎

    椎熊委員 はなはだ遺憾千万です。それほど案の内容に自信があるなら、日本国会の名誉のために、自主性を喪失するような、GHQに頼んで書簡をもらうような卑屈なことをなぜなさる。それほど案の内容に自信があるなら、あなたは一国の国務大臣であり、国会議員であるのだから、堂々とわれわれと論争して、あるいはわれわれを納得せしめて、あなたの主張を通すのが、政治家として当然なすべき態度だ。それを了解せしめる上において、外国人たる関係方面の人の書簡などを背中にいただいて——位牌を背中に背負つて戰争しておるようなものである。まことに私は遺憾千万で、そういうあなたのふしだらな行動が、日本の政治の自主性を常に喪失せしめつつある。あなたは内閣では非常な功績もあつたでありましようけれども、国会の権威を傷つけ、日本国の政治の自主性を売つておるという点については、私どもは非常な怒りを感じておるのですぞ。何ですかあなたは——、一国の国務大臣であり、代議士たるものが、法案を通すのに、書簡をもらわなければできないという、どうしてそんな卑屈な考えで、敗戰後の日本を復興させることができますか。あまりに便宜主義です。
  117. 池田勇人

    池田国務大臣 先ほど来繰返した通りでございまして、ドツジ氏の意向をはつきり言つてもらいたいために、レビユーして書いた覚書です。何も位牌を背負つて国会に出るようなふしだらなことはいたしません。私は自分の信念によつて法案を出して、御審議つておるのであります。この法案に対して黒か白かは、あなた方の御自由でございます。
  118. 椎熊三郎

    椎熊委員 ますます挑戰的だから、言わざるを得ない。内容に自信があつたら、ドツジさんの心境などをここで明らかにするとかしないとかいうことは、日本の政治のために、今国会では何の必要もないことです。あなたがほんとうに自信があるなら、なぜドヅジさんの心境を聞かなければならぬか。ドツジさんの意向は事務折衝の方で聞けばいい。われわれはドツジ氏の心境ということで、圧迫せんばかりの審議方法は、日本国会の自主性を喪失するものであつて、政治家たるあなたのとるべき態度でないということを指摘するのです。きようは私はこれで打切ります。
  119. 夏堀源三郎

  120. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 大蔵大臣に御質問申し上げますが、国会の自主性に関しては、ただいま椎熊委員からございましたので省きまして、私ども郵政委員会郵政大臣に、あれほど大蔵大臣を説得し、閣議決定に従い、参衆両院の決定従つて郵政省に返還運動を熱心にせられておつた郵政大臣が、どうして今度の閣議で賛成せられたか、この点がどうしても納得できませんので、御説明願いたいということを申しましたところが、郵政大臣は、これは議事録にも載つておりますが、はつきりとこう申されたのであります。ドツジ・メモランダムが出たので、一時的な処置としていたし方なく承認したのだというのであります。ところがただいま大蔵大臣の御説明を聞きますと、まつたくその経過というものはそのようなものでないということを、特に強調なすつておられまして、椎熊委員との質疑応答によりますれば、大蔵大臣の方から要請された、そうして自信を持つた案ではあるけれども、自信を持つた案を実施するのに要請をして、ドツジ・メモランダムが出たのだということがはつきりなつたと思うのでございます。そういたしますと、郵政大臣が所管のこの事項につきまして、私どもに納得させるために、額に汗して、冷汗をかきながら陳弁これ努めておられますところの唯一の根拠たるこのドツジ・メモランダムというものが、根拠ではないということになりまして、食い違つておるのでございます。一体どうしてこのような食い違いが生じたのでございましようか。その点で郵政大臣にきようぜひ出ていただきたいと思つたのでございますが、大蔵大臣と山本郵政務次官の御答弁をいただきたいと思います。
  121. 池田勇人

    池田国務大臣 事情は先ほど来申し上げた通りでございまして、食い違つていないと思います。ドツジ氏が私に言われたその意見をレビユーして書面にしただけのことであるのであります。田村郵政大臣がどういう御答弁になつたか存じませんが、事実は私が申し上げておる通りでございます。
  122. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 閣議意見が一致しない限り、そのことはきまらないと思うのでございます。郵政大臣が私ども、申されております理由というものは、ドツジ・メモランダムだ、これ以外にないということを言われておるのでありまして、ただいまの大蔵大臣の御答弁郵政大臣がどう言われているか私はわからないというのでは、非常に無責任だと思うのでございますが、山本政務次官にひとつ御答弁を願います。
  123. 山本猛夫

    ○山本(猛)政府委員 閣議はすでに決定せられておりますが、閣議決定の前におきましては、私ども郵政省側といたしましては、ドツジ書簡なるものは、過渡的現象下における占領当局の施策として日本政府に示唆せられたものだ、こう考えておりまして、これは暫定的なものであつて、やがて私どもは七月二十五日の閣議決定通り、いずれは郵政省にその運用権が返つて来るものと、こういう観点に立つて郵政大臣は、閣議で折衝せられておつたものと解釈をしております。しかしすでに閣議では、法律の案といたしまして決定せられたのでございますから、私ども郵政省といたしましても、決定せられました案に基いて、国会の御審議がこれからなされるものと考えておる次第でございます。
  124. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 大蔵大臣にお伺いしたいのでございますが、私どもこの前郵政委員会でも、ただいま山本郵政次官から御答弁がありましたように、たしか郵政大臣は一時的だということと、ドツジ・メモランダムという、この二つだけがただ一つの頼みの綱のようにして、答弁をなすつておられたのであります。ところが大蔵大臣は、これは恒久的なものだというふうに御答弁になつたように思うのでございますが、この点もう一応御答弁願いたいということと、どうしてそのように郵政大臣が違つた考えで承認されるような立場になつたか、その経過について大蔵大臣から御説明願いたいと思います。
  125. 池田勇人

    池田国務大臣 郵政大臣のことは、郵政大臣にお答えをお願いなすつた方がけつこうだと思います。私はあの人の心境についてここで申し上げる自由を持ちません。  それから今度の法案が一時的であるか、あるいは恒久的であるかということは、新国会におきましては、あなた方の力でどんなにでもなることでございます。何も私にお聞きになる必要はないと思います。
  126. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 何度繰返しましても、大蔵大臣はただいまのような御返事、御態度をおかえになることはないと思いますので、郵政大臣大蔵大臣の食い違い、しかも郵政大臣が意を翻してやむなく承認された根拠になつております重大な点の食い違いが、ここで明らかにされたということだけを了承いたしまして、この点については打切りたいと思います。  次にお伺いしたいことは、この予算が検討されましてその予算決定いたしました結果、こういう法案を出す必要が出たというお話でございましたが、その主になつておるものはやはり金融債であるように承りました。その点で大蔵大臣にお伺いしておきたいのでございますが、銀行等が、預金者の預金の安全が保障されて、安心して貸すことのできる産業と申しますか、そういうものは何と何かということであります。つまり大蔵大臣が今日まで郵政大臣一緒になられまして、郵政省に返還することに努力されて参られましたことは、先ほどからるる御説明にあずかつたのであります。しかし自分の判断として、情勢の変化からやむなくこの予算を組まなければならなくなつた。やむなく資金の要求に応じて、金融債を引受けなければならなくなつた金融債というものを発行しなければならなくなつた。要求に応じなければならなくなつた。その金融債の要求に応じますところの、安心して貸せる産業と申しますか、資金の要求が熾烈になつておりますものは、どういうものであるかという点につきまして、できれば詳細な資料をいただきたい。またただいまここで御答弁を願いたい、かように思います。
  127. 池田勇人

    池田国務大臣 今までの預金部の活用円滑化をはかるという趣旨のもとに、地方債以外に金融債を引受けることにいたしたのであります。金融債の引受けは、今までのところでは、農林中金、日本興業銀行あるいは勧業銀行、商工中金、北海拓殖の各金融債を引受けております。しこうしてこの金融債は、発行した各金融機関によつて違います。農林中金は、農林水産業の方に金が出て参ります。商工中金は、中小企業の方に出て参ります。勧業銀行あるいは興業銀行は、おおむね大企業に行くようになつておるのであります。この金がどこのだれだれに行く、こういうふうなひもはつけておりません。ただ最近の市中銀行金融債引受けにつきましては、造船資金だとか、あるいはその他の資金ということは、一応こちらは了知してやつております。
  128. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 簡易保險郵便年金の建前から申しまして、やはり預金者が安心して預託できるということは、ドツジ・メモランダムにもうたつてあると思うのであります。やはり安心して貸せる金融債、かりにただいまの現実の具体的な状況を見ますれば、農村の状態というものは破綻に瀕しておる。中小企業家も破綻に瀕しておる。そういうものに対する銀行等の貸出の比率というものは、相当な比率に上つております。そういうことも私どもは承知しております。そういたしますと、政府がこの難関を押し切つて金融債の要求に応ずるために断行なさる目的というものは那辺にあるか、この点がはつきりいたしません限り、すべてを押し切つて断行なさるという根拠が、私どもには知ることができないのでございます。ただいまのようなありきたりの御答弁でございましたならば、何もことさらこういうことをおやりになる必要はないのでございまして、今ここでどうしてもやらなければならないという事態につきまして、もう少し御答弁願いたいのでございます。そうでなければ、あなたがおやりになる根拠というものは何もない。ただ従来のマーケツト指令以来きゆうくつになつておるものを、ここでひとつ何とか範囲を広げてやろうというようなことぐらいにしか、私どもには考えられない。国家的な大きな立場から、このようなことを断行なさろうとするならば、やはりそこには根拠があると思うのでございます。その点につきましてもう少し誠意のある御答弁をいただきたい。
  129. 池田勇人

    池田国務大臣 今までの預金部運用状況をごらんなすつたらわかると思います。また過去二、三年来の予算委員会大蔵委員会における議論をお聞きになつたらわかると思います。毎年郵便貯金はふえます。簡易保險郵便年金の急速なる資本の蓄積があるのであります。これを今までのように、国債あるいは地方債にのみ運用しておつたならば、集まつたお金をどうするかということは、日本として切実な問題であるのであります。しこうして私は国会において議論がありましたように、これを何とかして早く民間に還元しなければ、預金部に金がたまるばかりで、寝かしておくようなものである。そこで金融債の発行その他を考えついたのであります。従つて金融債を発行するためには、この集まつた金資金運用部特別会計のようなりつぱなものをこしらえて、運用しなければならぬということを、向うから言われておるのであります。今まで集まつた金を寝かしておいてはいかぬから、できるだけこれを活用しようという意図のもとにやつておるのであります。
  130. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 どうもそうなつて参りますと、たいへん日本の国には余裕がありまして、金をどこへ振り向けていいのか困るというふうに承れるのでございますが、その通りでございますか。
  131. 池田勇人

    池田国務大臣 金が余つて困るようなときになればいいのでありますが、金詰まりの声はちまたに聞えておるではありませんか。しこうしてその金が足りない日本の経済において、預金部に使う道のない金が集まるのがいけないから、こういう考えを起したのであります。御承知通り預金部には相当余つておる金がある。それで早く出したいというので、今年度も二百億円の金融債を引受けた。来年度におきましても四百億円の金を出すことにいたしておるのであります。
  132. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 使い道のないお金ということをもし聞きましたならば、国民はさぞ驚くだろうと思うのでございます。地方財政委員会でも、すでに予算委員会との差百億以上、これが承認されない形であると思うし、さらにあの毎年あふれます堤防、川、くずれて来る山、日本の荒れ果てたこの再建のためにだけでも、どれだけの金がいるかわからない。またあの子供たちの将来の教育のためにだつて、どれだけの金がいるかわからない。また失業者がほしいといつている。東京都でも失業者に予算がないと答えられると、預金部資金があるじやないかというところまで、預金部資金には使われない金があるのだということが、宣伝されておると思うのでございます。これに対します国民の切望というものは、ものすごく高まつて来ておると思うのでございます。ですからこそ全国の府県知事会議や市町村長会議決議がなされて、地方へ還元してくれという要求があると思うのでございますれども、どうも大臣はその辺の実情を御存じにならないのか、あまりに金融債の方を御熱心にお考えになつておるために、そういうふうになるのか、金が余つておるというようなお言葉はお取消しになつたらどうかと思いますが、その点はどうお考えでございましよう。
  133. 池田勇人

    池田国務大臣 全体の財政金融のこととをお考え願わなければなりません。金は使いたいのはだれもであります。しかしそこにはおのずからいろいろな調節をしなければならぬ。もし地方債で要求があるから、それなら三百億でも五百億でも地方債にみな出したらいいかというと、そういうわけに行かない。地方債にもほどほどにしなければいけない。そうした場合において金がたまる、そうして農林漁業とか、あるいは中小企業とか、あるいは長期資金が足りないというときには、地方債の方で余つたものをいるところへ出す、これが金融の施策の要諦でなければなりません。
  134. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 まことに要領を得ない御答弁でございますが、そういたしますと、こういう問題がきまります前に予算がきまりまして、残念ながらも衆議院は通過してしまつて、今日反対しておいでになる與党の方も、予算には賛成をなすつたわけであります。そこで大臣に伺つておきたいのでございますが、資金運用部資金計画の大要の中で、なるほど地方債には四百億やられておりますが、昨年よりも十億減つております。さらに金融債は同様に四百億になつておりますが、翌年度へ繰越すといたしまして、四百三十億使途のわからない、何にするかわからないお金が残してあります。ただいまも御承認になつたように、非常にやはり地方などからの熱心な資金の要望があるということは御承知になつたと思うのでありますが、なぜこれが四百三十億残されてあるか、その点について御答弁願いたい。
  135. 池田勇人

    池田国務大臣 特別会計におきまして、ずつとごらんくだされば、預金部には四百数十億円余つておりますし、また見返り資金特別会計にも千億円以上余つております。なぜ金が不足のときにこんなに翌年度へ繰越すか、こういう御質問だと思いまするが、これは今あなた方御承知通りに、昨年の今ごろに比べまして今年は通貨が七、八百億円ふえております。物価高を呼ぼうとしておりますし、インフレじやないかという議論が起きて来ているのであります。そこで日本銀行が輸入ユーザンスでも二千六、七百億円出しておりまするが、それを政府の方で調整するために一応のけて置くことにいたしておるのであります。しこうして日本銀行のユーザンスが非常に減つて来まして、金詰まりになつたような場合には、見返り資金をこの予備隊として使う、こういうふうに金があるからといつて、みな即座に使えるものではございません。そういうことをしておつたら国民生活はたいへんなことになるのであります。
  136. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 そういたしますと、お聞きしておきたいのでございますけれども、金融債に振り向けるために国会の反対も、すべての決議も無視して、大臣がこの方針をお立てになつたのは、大きな財政政策の実施のために、やむを得なかつたということになると思うのでございますけれども、このような国会決議権の無視などが、ただいまのような二千億近いところの余裕を持つた国家財政の予算を実施するために、今までのような各委員から攻撃になつておりますところの、要請して、日本国会の自主権をみずから捨てて、メモランダムを出してもらわなければならぬというような形で実施しなければならぬかどうか、私どもにはとうてい納得行かない。また全逓二十六万の従業員にしても、国民にしても、二千億も金が余つているのに、それだけの余裕があるのに、あの予算を通すために、われわれの預貯金がわれわれの方に返つて来ない。地方でもこれだけ困つておるのに、学校も立たないのに、橋もこわれているのに、洪水が出て来るのに、農民は資金がなくて困つているのに、二千億も政府は金をかかえておつて、そうしてなお国会決議や、閣議決定や、市町村長の決議や、府県知事の決議を無視して、これをやらなければならない。これはどうしても納得行かないと思うのでございます。大臣はその点について、そういう無理なことをなぜやらなければならなかつたかということについて、もう一度御答弁願いたい。
  137. 池田勇人

    池田国務大臣 金が余つておるといつても、一般会計ではございません。よく財政経済全体を見て、ひとつ御判断願いたいと思うのであります。この問題につきましての事情は、先ほど来数時間にわたりまして申し上げたことに盡きるのであります。しこうして国会決議を無視したとか何とかと申しておりまするが、私は国会決議があつたことを知つております。そうしてこういう事情になつたことを申し上げておるのでありますあなた方が国会決議通りに、これは郵政省へ持つて行かなければいかぬのだというならば、あなた方の審議権は私は拘束しませんから、御自由におやりになつたらよろしゆうございます。私は国会決議がありましたが、こういう情勢でこういうことにいたしたのであります、どうぞ御判断願いますというので、国会法その他いろいろな法規に従つてつておるのであります。あなた方の審議権を何ら拘束いたしませんから、どうぞ御自由になすつていただきます。
  138. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 国会審議を煩わすのには、やはり大臣がその立場を納得の行くように御説明できるところの、提案なさる根拠が明らかにならない限り、これは審議ができないのであります。でありますから、ただいまのような答弁をいくら繰返しましてもしようがないので、その点につきましては、私どもが今後の行動で——與党の皆様方も、今御発言になつておる方々も、行動をもつて示していただくことだと思つておるのでありまするが、さらに大臣に伺つておきたいのでありますけれども、大体大きな数字はもう受田委員からも御尋ねがありましたのでわかるのでありますけれども、この予算の見通しがまつたくなつておらないということがいわれております。これは物価高その他の最近の朝鮮動乱以来の変革でもつて、実施が不可能だということと同時に、もしただいまのような趣旨が預金者にわかりましたならば、また全逓従業員にわかりましたならば、この目標になつておりますところの簡易保險郵便年金の募集というものは、とうてい不可能になるということを私どもは懸念するものであります。大臣は、非常に御心配なさるけれども、保險や何かの伸び方がよいということを御答弁なさいました。しかしその根拠がどこにあるかということであります。ただいま保險の募集がどんな形で行われているかということであります。これは山形郵便局の例でございますけれども、官側のあなた方の態度のいわゆる官僚的な威圧によりまして、保險目標達成のために自腹を切らせまして、そうして従業員に保險勧誘をさせておる、そうしてその解約者があれば首を切ると言つておどかされる、そういうことを言つて局長や課長が暴言を吐いて、従業員にまで加入をさせておるのであります。あなたは郵便局長の家や郵政従業員の家庭にまでまわつたから、今度の方針に対して確信を持つていると、数度にわたつてそれを放言されておりますけれども、従業員がどんな思いでこの保險を募集しておるか、地方の特定局長がどんな思いでこの保險を募集したのであるか、ここにも長い手紙が来ております。これは特定郵便局長の手紙であります。このようなことを政府が実施したならば、われわれはとうてい保險募集の目標達成ということはできない。従業員は百姓家へ行つて稻刈りまで手伝つて、そこの家の力仕事までも手伝つて、この保險募集をしているのが実情であります。さらにまた家族までも加入させる、そういう募集手当も、全部加入金に振りかえるというような無理までいたしております。あなたは帳面に表われている成績はよいと思つていらつしやるかもしれませんが、現に去年あたりの例は三割、四割の失効、無効、解約があります。ですからその根拠を明らかにしない限り、どうしてもこの目標達成ということはできないのであります。そういう点について一体郵政大臣はこの金を集めさせる。割当をやつてどんどん労働を強化してやらせる。そうしておいて金融債でもつて高い利子で自分の方にそれを入れる、郵政省には恩を着せて、国民の税金で出してやるという形でもつて十五億やつたということを、さつきから何べんも言われました行れども、そんなことはあたりまえのことであります。かかつただけのものは全部郵政省がこれを一般会計から入れるべきだと思いますが、大臣は一体どういうことを根拠にして、保險募集がスムースに行くというふうに言われるのでありますか。
  139. 池田勇人

    池田国務大臣 簡易保險契約高もふえておりますし、郵便年金もふえておるのであります。先の見通上につきましては、あなたとは意見を異にしております。私は相当ふえると思つております。また解約なんかが多いのは、何も去年に始まつたことではございません。前からも多いのであります。勧誘につきましても、よほど改善を加えて行かなければならぬと思つております。
  140. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 先ほどから大臣は、ESS指令というのは多分マーカツト指令のことだと思います。昭和二十三年に出ました、このマーカツト指令によつて、統一されることにきまつておるということを繰返して言われたのでございます。しかしマーカツト指令にうたつております根本的な精神というものは、これはどこにあるかというふうに私どもお聞きいたしますと、終戰後の日本の戰争協力の体制を解いて、そうしてやはり国策会社であるとか、統制会社であるとかいうようなものには融資しないということが、あそこにははつきりとうたわれておると思うのでございます。これは大蔵省に一括して融資をするという問題と、もう一つ加えてあそこに盛られております大きな脈々と脈打つている精神は、おそらくそこにあるのではなかろうかと思うのでございます。そういたしますと、あの当時の占領政策は、この太平洋戰争をやりまして、戰争協力のために国民の零細な資金が、全部大蔵省に統一された。その状態はまだ解くことはできないが、しかし統制会社だとか国策会社というようなものには、融資してはならぬということがうたわれておると思うのであります。私が先ほど御質問申し上げた金融債の使い道であります。この金融債の硬い道が、予算委員会答弁を伺いますと、ただいまの時局、非常事態に応じて、その産業に協力させる。その要請に基くということを言われたと思うのであります。その点につきまして、大蔵大臣に伺つておきたいのでございますが、あの当時の大きな、脈々と脈打つているあの指令の精神が、今金融債ということが表面に出まして、時局の産業、今緊急に必要な産業の融資ということが問題になつて来ておりまして、そのためにこの予算が組まれているということになりましたならば、大蔵省に統一されるという点だけが強調されて、このマーカツト・メモランダムの御自分の方の都合のいいことだけをおとりになつて、あの指令の精神になつている部分が、まつたく無視されているのではないか、かように考えられるのでございます。何べんお聞きしましても、大臣は先ほどはつきりした御答弁がなかつたのでございますけれども、その点につきまして、一体金融債が今の時局、今の非常事態に協力して融資されるということの具体的な内容について、ぜひ御説明願いたいと思うのであります。それからマーカツト指今が、やはり今度のメモランダムよりも大きく生きているものであるということについてのお考えであります。
  141. 池田勇人

    池田国務大臣 マーカツト指令は、その後スキヤツプインになつております。おわかりになりますか。デイレクテイヴになつております。
  142. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 そういう英語をお使いになつてもわかりません。
  143. 池田勇人

    池田国務大臣 連合軍総司令部指令になつております。それから金融債を引受けることによりまして、その預金部の金がどこへ行つているかということは、先ほど申し上げましたように、各銀行の社債引受け、またすでに発行せられた金融債の肩がわりによつて、各金融機関が適当に貸し付けておるのであります。
  144. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 そこで一つ伺つておきたいのでありますが、マーカツト指令は現存しておるという点を先ほどおつしやつたのでありますが、それは統一するという部分ではなしに、全文が生きていることだと了承しておりますが、その点……。
  145. 池田勇人

    池田国務大臣 マーカツト指令は、私は生きておると考えております。
  146. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 メモランダムは指令ではない、さらにデイレクテイヴではないということを、先ほどおつしやつたと思うのでございます。そういたしますと、今忠実なる占領政策を実施される大蔵大臣として、指令をやはり厳守なさるべきだと思うのでございますけれども、マーカツト指令が現存しているというお考えと、今度のこの金融債引受けの御方針とは、何ら齟齬していないというふうにお考えになりますか。
  147. 池田勇人

    池田国務大臣 マーカツト指令は生きております。ドツジ氏の覚書はその後に出たものであります。しこうしてマーカツト指令、ドツジ覚書等を参酌いたしまして、今度の予算案、法案につきまして、関係方面の了解を得たのであります。
  148. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 メモランダムは、自分が要請して出していただいたというお話でございます。そういたしますと、指今に忠実でなければならない大蔵大臣、御自分の方のあなたの信念の御都合でもつて、出してもらつたツジ・メモランダムということになりますと、大分事態がはつきりしたのでございますが、大蔵大臣はきよう、三月十四日の毎日新聞に「金融債引受けは困難、危惧さる預金部資金法」という記事が出ておりまして、十三日高橋預金部資金課長、鈴木大蔵省副財務官が、この法案の取扱いについて、総司令部のリード予算課長を訪れ、懇談を行つたが、席上同課長から、郵政省方面の意向はドツジ書簡により、資金運用部は、受け入れたすべての資金の管理者であり、また投資者であつて、現在並びに将来のすべての投資を掌握するとの趣旨に反する。簡保、年金その他郵政省関係資金資金運用部資金として新しく運用するのに反対ならば、提案中の法律案を御破算とし、終戰直後に発せられた預金部資金運用についての覚書の線にもどり、——これは指令になつたとおつしやつたと思いますが、同資金運用国債地方債の所有と地方公共団体への貸付のみに限るという点が指摘された模様である。これにより政府特別会計積立金を、すべて資金運用部資金預託することを前提としての金融債の所有が、暗礁に乗上げたわけである。ということを書いてあるのでございますけれども、私どもは先ほど椎熊委員も言われましたように、日本の問題は日本国会の権威をもつて審議し、決議するという見解を持つております。これは譲らないのでありますけれども、池田大蔵大臣のように要請なすつて覚書を出しておもらいになります方々は、やはりこういうものが出ますと、相当御方針がかわるのではなかろうかと思いますけれども、こういう問題につきまして、池田大蔵大臣のただいまのお考えを聞かしていただきたいと思います。
  149. 池田勇人

    池田国務大臣 新聞に何と載つておりますか、私はそれを読んでおりません。しかし私の心境は、先ほど来数時間にわたつて申し上げた通りであります。
  150. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 まだ大分御質問ございますか。
  151. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 ございますけれども、質問を留保いたしまして打切りたいと思います。
  152. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 本日はこれをもつて散会いたします。     午後五時三十八分散会