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1951-05-22 第10回国会 衆議院 大蔵委員会 第53号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十二日(火曜日)     午後二時六分開議  出席委員    委員長代理理事 小山 長規君    理事 奧村又十郎君 理事 内藤 友明君    理事 田中織之進君       大上  司君    佐久間 徹君       清水 逸平君    高間 松吉君       塚田十一郎君    苫米地英俊君       三宅 則義君    宮幡  靖君       宮腰 喜助君    松尾トシ子君       深澤 義守君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局次長) 石原 周夫君         大蔵事務官         (主税局税関部         長)      北島 武雄君         大蔵事務官         (主税局調査課         長)      泉 美之松君         大蔵事務官         (理財局次長) 酒井 俊彦君         農林事務官         (水産庁次長) 山本  豐君  委員外出席者         参議院議員   山本 米治君         大蔵事務官   長谷井輝夫君         農林事務官         (水産庁漁政部         長)     松任谷健太郎君         建設事務官   国宗 正義君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 五月二十二日  委員河野金昇君辞任につき、その補欠として早  稻田柳右エ門君が議長の指名で委員に選任され  た。     ————————————— 五月二十一日  証券投資信託法案山本米治君外八名提出、参  法第二〇号)(予) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  租税債権及び貸付金債権以外の国の債権整理  に関する法律案内閣提出第一五九号)  租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣  提出第一六〇号)  証券投資信託法案山本米治外入名提出、参  法第二〇号)(予)  地方自治法第百五十六条第四項の規定に基き、  税関支署及び出張所並びに支署出張所及び  監視署設置に関し承認を求めるの件(内閣提  出、承認第六号)     —————————————
  2. 小山長規

    小山委員長代理 ただいまより会議を開きます。  昨二十一日本委員会に付託に相なりました山本米治君外八名提出にかかわる証券投資信託法案議題とし、提案者提案理由の説明を求めます。参議院議員山本米治君。     —————————————   証券投資信託法案    証券投資信託法  目次   第一章 総則(第一条—第五条)   第二章 委託会社登録(第六       条—第十一条)   第三章 委託会社業務(第十二       条—第二十条)   第四章 監督(第二十一条—第二       十四条)   第五章 雑則(第二十五条—第二       十八条)   第六章 罰則(第二十九条—第三       十八条)   附則     第一章 総則   (目的)  第一条 この法律は、証券投資信託   の制度を確立し、証券投資信託の   受益者保護を図ることにより、   一般投資者による証券投資を容易   にすることを目的とする。   (定義)  第二条 この法律において「証券投   資信託」とは、信託財産委託者   の指図に基いて特定有価証券に   対する投資として運用することを   目的とする信託であつて、且つ、   その受益権を分割して不特定且つ   多数の者に取得させることを目的   とするものをいう。  2 この法律において「有価証券」   とは、証券取引法昭和二十三年   法律第二十五号)第二条第一項及   び第二項に規定する有価証券をい   う。   (証券投資信託以外の有価証券投   資を目的とする信託禁止)  第三条 何人も、証券投資信託を除   く外、信託財産を主として有価証   券に対する投資として運用するこ   とを目的とする信託契約を締結し   てはならない。但し、信託受益   権を分割して不特定且つ多数の者   に取得させることを目的としない   ものについては、この限りでな   い。   (証券投資信託委託者及び受託   者)  第四条 証券投資信託契約(以下「信   託契約」という。)は、証券取引委   員会に備える証券投資信託委託金   社登録原簿(以下「登録原簿」と   いう。)に登録された会社(以下   「委託会社」という。)を委託者と   し、信託会社又は信託業務を営む   銀行受託者とするのでなけれ   ば、これを締結してはならない。  2 資本金額五千万円以上の株式   会社でなければ、委託会社となる   ことができない。   (受益証券)  第五条 証券投資信託受益権は、   均等に分割し、その分割された受   益権は、受益証券をもつて表示し   なければならない。  2 証券投資信託の分割された受益   権の譲渡及び行使は、記名式の受   益証券をもつて表示されるものを   除く外、受益証券をもつてしなけ   ればならない。  3 証券投資信託受益者は、信託   の元本償還及び収益分配に関   して、受益権口数に応じて均等   の権利を有するものとする。  4 受益証券は、無記名式とする。   但し、受益者請求により記名式   とすることができる。  5 記名式受益証券は、受益者の   請求により無記名式とすることが   できる。  6 受益証券は、左に掲げる事項及   び番号を記載し、取締役がこれに   署名したものでなければならな   い。   一 委託者及び受託者商号   二 信託契約締結当初の信託の元    本の額及び受益権の総口数   三 信託契約期間   四 信託元本償還及び収益の    分配の時期及び場所   五 受託者及び委託者の受ける信    託報酬その他の手数料の計算方    法並びにその支払の方法及び時    期     第二章 委託会社登録   (登録申請)  第六条 委託会社となろうとする会   社は、左に掲げる事項を記載した   登録申請書証券取引委員会に提   出しなければならない。   一 商号及び資本金額   二 本店、支店その他の営業所の    名称及び所在の場所   三 取締役の氏名  2 前項の登録申請書には、左に掲   げる書類を添附しなければならな   い。   一 定款   二 会社登記簿の謄本   三 取締役履歴書戸籍抄本又    は戸籍法昭和二十二年法律第    二百二十四号)第十条第一項に    規定する証明書及びその者が第    九条第一項第四号イからホまで    に掲げる者に該当しないことを
  3. 山本米治

    山本参議院議員 ただいま上程されました証券投資信託法案提案理由を御説明申し上げます。  今日のわが国経済において、資本蓄積の促進が必要であることは申すまでもありませんが、本法案はこの要請に応ずる重要な一施策となるものでありまして、すなわちこれにより証券投資信託制度を確立し、証券投資信託受益者保護をはかることにより、中小投資家による証券投資を容易にし、ひいて証券市価を安定させ、産業資金の調達を順便ならしむることを目的とするものであります。  その内容のおもなる点を申し上げますと、第一に、本法において「証券投資信託」とは、信託財産委託者のさしずに基いて特定有価証券に対する投資として運用することを目的とし、かつ、その受益権を分割して、これを不特定多数の者に取得させることを目的とする信託でありまして、かくの如き証券投資信託によらなければ、右のような目的信託契約を締結してはならないことといたしております。  第二に、証券投資信託委託者は、資本金五千万円以上の株式会社であつて証券取引委員会に備える登録原簿登録されたものでなければならないこととし、その受託者信託会社または信託業を営む銀行でなければならないこととしております。  第三に、証券投資信託受益権は均等に分割し、その分割された受益権は一定の事項を記載した受益証券をもつて表示しなければならないこととし、かつ、受益証券は原則として無記名式としております。  第四に、証券投資信託委託会社信託契約を締結するには、あらかじめ証券取引委員会承認を受けた信託約款に基かなければならないこととし、同委員会は、承認申請があつた信託約款内容が、法令に違反し、または公益もしくは投資者保護のため適当でないと認めるときは、その承認を拒否することとしております。信託約款の変更または信託契約の解約についても同様であります。  第五に、証券投資信託委託会社信託財産の運用について受託会社にさしずするにあたつては、受益者保護に欠けることとなるような行為のさしずをしてはならないことにしております。  第六に、証券投資信託委託会社が、信託契約に関する業務以外の業務を営もうとするときは、証券取引委員会承認を受けなければならないこととし、同委員会はその兼業が公益または投資者保護のため適当でないと認めるときは、その承認を拒否することとしております。  第七に、証券投資信託受託会社が、証券投資信託の引受により株式取得または所有する場合には、私的独占禁止法株式取得または所有に関する制限規定を排除することとしております。  第八に、証券投資信託収益分配に関しては、源泉において二割の所得税を徴収し、総合申告をした場合においては一割五分の配当控除をすることとしております。  以上がこの法案の要点でありますが、証券投資信託制度を確立することの重要性を御勘考くださいまして、何とぞすみやかに御審議の上、御賛成あらんことをお願いする次第でございます。
  4. 小山長規

    小山委員長代理 本法案に関する質疑はあとまわしといたすことについて、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小山長規

    小山委員長代理 異議なしと認めまして、次の法案に移ります。     —————————————
  6. 小山長規

    小山委員長代理 次に、地方自治法第百五十六条第四項の規定に基き、税関支署及び出張所並びに支署出張所及び監視署設置に関し承認を求めるの件、及び租税債権及び貸付金債権以外の国の債権整理に関する法律案の、両法律案一括議題といたしまして、前会に引続き質疑を行います。
  7. 田中織之進

    田中(織)委員 税関支署及び出張所増設に関して承認を求めるの件について、一、二点伺いたいと思うのですが、これは直接今度の承認を求める件と関連がないわけでありますが、この中に日向市に細島税関支署新設するということがございます。この細島税関支署新設ですね。
  8. 北島武雄

    北島政府委員 細島税関支署新設でございますが、現在は鹿児島税関支署細島出張所ということになつておりまして、出張所税関支署に昇格させるという意味合いでございます。
  9. 田中織之進

    田中(織)委員 これを税関支署に昇格させることの、何か特別な理由がおありなのでしようか。
  10. 北島武雄

    北島政府委員 御存じのことと存じますが、細島地理的条件にたいへん恵まれておりまして、宮崎県下の唯一の開港でございまして、最近におきまするところの沖縄との通商協定等に伴いまして、宮崎県並びに地元において非常に細島港の振興対策を目下画策中でございます。なおかつ近所にございまする延岡の旭化成の工場等におきまする原料塩とか、あるいはその製品などが、将来は関門を経由しないで、直接に細島から出入りするというような見通しがついておりまして、相当今後貿易振興が期待されておるわけでございます。なお依然として沖縄方面に対するところの密貿易が、この附近に相当ある模様でございますので、こういう点も勘案しまして、税関出張所支署に昇格させたいということでございます。
  11. 田中織之進

    田中(織)委員 私ここへ支署を設けるということ、現在出張所があるのを支署に昇格させろということについては、反対の立場から御質問しておるわけじやないのでありますが、ここに現在、いわゆる占領軍関係のもので、日本側保管管理をしておるというふうな施設がございましようか。実は最近この細島関係で、これは外務省の用員か何かになつておると思うのですけれども、一種の進駐軍労務者が、ここで何名か三月三十一日限りで実は整理なつておる問題があつて、そういう人たち国家公務員のうちで、定員外の人員になつておるのでございますけれども、やめる場合に公務員退職の場合のような退職手当等がもらえないということで、先般それらの人たちの所属している組合の委員長から、私のところへ相談に来られたことがあるわけでございます。これは税関支署に、最初にお断りしたように直接関連がないわけでありますが、そういう関係のもので、一面現在おる用員すら整理するようなところに、新しく税関支署が設けられるということは、ちよつと結びつけて考えると矛盾するように感じましたので、もし事情がおわかりであればお聞かせ願いたいと思いまして、伺つたわけであります。
  12. 北島武雄

    北島政府委員 ただいまお話がありました進駐軍労務者整理という問題につきましては、私寡聞にして存じませんで、まことに申訳ございませんが、税関自体として考えてみますと、ただいま申し上げましたように、この出張所は最近、相当将来にわたつて貿易振興されるという見通しがございますので、定員は増加いたしませんけれども、出張所でありますと、権限の問題につきましてぐあいが悪いので、税関支署に昇格させるという考え方でございます。別にこれによつて定員を増すということは考えておりません。
  13. 田中織之進

    田中(織)委員 それはまた別の方で事情を調べますからけつこうでございます。もう一点私お伺いをしておきたいのでありますが、今度門司の税関大村市に佐世保税関支署出張所を設けるということになつておるのであります。これは大村市に例の出入国管理庁大村収容所がある関係から、設置されるのではないかと想像しておるのでありますが、その通り理解していいのですか。
  14. 北島武雄

    北島政府委員 仰せの通りでありまして、昨年までは針尾出入国管理庁収容所がありまして、そこに税関支署出張所もあつたのでありますが、昨年の暮れに針尾収容所警察予備隊の機関になりまして、その関係出入国管理庁収容所大村に移転いたしまして、それに伴いまして税関出張所大村に移転するという関係でございます。
  15. 田中織之進

    田中(織)委員 これも税関出張所仕事の上のことについて、私希望を述べておきたいのでありますが、出入国管理庁関係で、不法入国しましたり、あるいは国内で第三国人としての登録を受けていない、主として朝鮮の人のようでありますが、本国へ送還されるために大村収容所に入れられておるわけであります。ところが私最近取扱つただけでも、本国へ送還されるということでここに収容されておる人たちの中には、事情を聞けば、非常に気の毒な人があるわけでございまして、私も送還されるばかりになつておつた人たちを数名、内地にとどめてもらうように交渉いたしまして、承認を得た場合もあるわけであります。もちろん出入国管理庁で行うことと税関出張所との仕事には、直接の関連がないわけでありますが、こういうことで本国へ送還される人々の中にも、私は相当個別に調べて参りますれば、気の毒な人たちもあると思うのです。事情から見てあると思いまするので、税関出張所において、当然本国へ持ち帰る品物等検査をやられるだろうと思うのでありますが、こういうように送還ざれた人たち本国帰つて、どういう運命をたどるかというようなことも、私伝え聞きますると、相当気の毒な結果が予想されるようであります。そういう点は、かりに犯罪行為というものがあつたといたしましても、罪を憎んでも人を憎まないという建前が、これは民主主義のルールであると思いますので、こういう特に大村出張所税関関係取扱いにあたりましても、これは当然、税関行政立場から行いまする検査でありますけれども、送還されて行く人たちの中には、それぞれやはり同情に値するような気の毒な事情も包含されている。私が最近二、三取扱つただけでもそういろ事情が察知されまするので、これは出張所を設けるという点は私も異議がないのでありますが、出張所において取扱う面におきましては、特にそういう、あそこの特殊な事情にかんがみましてもちろん各税関すべての場合でありますが、接する人々に、あくまで私は親切な立場で臨んでいただきたいという希望だけを申し述べておきます。
  16. 深澤義守

    深澤委員 この提案理由によりますと、外国貿易及び密貿易趨勢に対応して、税関支署増設をやるのだということが提案理由でありますが、外国貿易については、これは国民の前に明らかにされておるわけであります。しかし密貿易趨勢という問題については、これはなかなか明確になつていないのであります。そこえわれわれはこの密貿易趨勢に対応するために、支署増設するということであるならば、これは密貿易趨勢がどういう状態なつているかということを、一応ここに承知する必要があると思う。その点についてひとつ御説明願いたいと思います。
  17. 北島武雄

    北島政府委員 私どもでは密貿易検挙しておりますが、はたしてそれが密貿易の全体であるかどうかにつきましては、これは確信はないわけでございまして、実際の密貿易の何パーセントを検挙いたしておるか、これはちよつと具体的に申し上げるわけに参りませんけれども、今までの検挙したところで申しますと、まず検挙件数で申しますと、大体昭和二十一年から二十四年までは毎年増加になつておりまして、密輸出密輸入は、トータルで申し上げますと、昭和二十一年におきましては検挙件数が百五十一件、昭和二十二年におきましては四百八十件、昭和二十三年におきましては六百九十六件、昭和二十四年におきましては飛躍的に増加いたしまして千七百七十四件でございます。これに対して昨年はどうかと言いますと、大体保合いの数字でございまして、千七百七十二件という検挙件数なつております。それからまた密輸物件価格から申しましても、昭和二十四年までは漸増いたしておりまして、二十五年はまた二十四年とほとんど同程度価格なつております。密輸につきましては、私ども並びに海上保安庁、各警察その他関係方面協力をいたしまして、件数の極力多からんことを期しておるわけでありますが、ただいままでの状況を見ますと、昨年の朝鮮事変の勃発以来は、多少朝鮮方面密輸が少くなりましたために、全体の最近の件数としては多少減つておるのではないかと考えられます。試みに今年の一月から三月までの件数と、昨年の一月から三月までの同じ期間件数を比較いたしました数字がございますが、それによりますれば、大体昨年の一—三に対しまして今年の一—三は六割ないし七割程度件数なつております。但しこのような状態朝鮮事変が一段落いたしますと、また朝鮮方面密輸がふえて参りまして、相当増加して来るのじやないか。われわれといたしましては、この一時的な現象に気をゆるめないで、今後の対策を十分考慮しなければなるまいと思つております。また密輸方法につきましても、手をかえ品をかえてますます巧妙になる。ときにはまた暴力も振うという傾向になつておりまして、税関官吏は一致協力して密輸検挙に当つておるわけでありますが、さらに一層がんばつ検挙いたして参ろうと思つております。
  18. 深澤義守

    深澤委員 この密輸合計が千七百七十二件となつておりますが、これを密輸出密輸入に区おけをしますと、どういうことになりますか。昭和二十五年度だけでけつこうです。
  19. 北島武雄

    北島政府委員 さつき昭和二十五年の密輸合計千七百七十二件と申し上げましたが、これを密輸出密輸入とにわけて申しますと、密輸出二百四十二件、密輸入が千五百三十件ということになつております。
  20. 深澤義守

    深澤委員 それから密輸出物件はどういう性質のものが多いのか。それから輸入の方はどういう物件が多数を占めているか。そういうような点がおおかりになりましたらひとつ……。
  21. 北島武雄

    北島政府委員 昨年中の密輸出物件のおもなものを申しますと、木材、電気器具食料品、文房具、繊維製品等でございます。これに対して密輸入のおもな物件薬品類、スクラツプ、砂糖、サツカリン、海人草、食料品タバコ等でございます。
  22. 奧村又十郎

    奥村委員 ただいま議題なつております地方自治法第百五十六条第四項の規定に基き、税関支署及び出張所並びに支署出張所及び監視署設置に関し承認を求めるの件につきましては、すでに質疑も尽されたと思いますので、本件につきましては質疑を打切り、討論を省略し、ただちに採決に入られんことを望みます。
  23. 小山長規

    小山委員長代理 ただいまの奥村君の動議のごとく決定するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 小山長規

    小山委員長代理 御異議がないようでありますから、ただいま上程されております地方自治法第百五十六条第四項の規定に基き、税関支署及び出張所並びに支署出張所及び監視署設置に関し承認を求めるの件につきましては質疑を打切り、討論を省略し、ただちに採決に入ります。  採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立
  25. 小山長規

    小山委員長代理 起立総員。よつて本案承認すべきものと議決いたしました。  右の件に関する報告書の件につきましては、委員長に御一任をお願いいたします。     —————————————
  26. 小山長規

    小山委員長代理 それでは租税特別措置法の一部を改正する法律案、これを議題といたしまして質疑を継続いたします。内藤君。
  27. 内藤友明

    内藤(友)委員 ただいま議題なつております租税特別措置法の一部を改正する法律案は、漁業権制度の改正に伴いまして、漁業権等が消滅する場合交付する補償金は、これは漁業権証券で出すことになつておるわけでありますが、それの課税に対する特別な措置を講じようというのであります。そこで今までの委員会におきましていろいろ審議いたしたのでありますが、実はこの漁業権証券の条件なるものの内容を、政府はいまだ不明確にいたされておりますので、この法案審議にたいへん支障を来しておつたのであります。昨日ももいろいろ大蔵農林両省関係官お話を聞きましたけれども、この点だけがまだきまつておらぬというお話でありますので、この法案審議にまことに困るのでありまして、政府の怠慢と申しまするか、政府がいけないのじやないかと思います。そこでお尋ね申し上げたいことは、この漁業権証券の条件なるものはどういうようになつたのか、金利はどうなつておるのか、期間はどうなつておるか、記名式か無記名式か、普通の国債と同様な取扱いを受ける性質のものになつておるのかどうか、そういうようなことにつきまして、関係当局からきまつたことをひとつお話いただきたいと思います。
  28. 酒井俊彦

    酒井政府委員 お答えいたします。漁業権証券発行条件等につきましては、その後いろいろ調査研究を遂げました結果、額面額をもつて発行価額といたします。利率は五分五厘、償還期限五年ということにいたしております。もちろん無記名式ということでございまして、担保に差入れる、あるいは譲渡するというような場合に別段の制限はございません。一般国債と同じような取扱いをするということに決定いたしましたから、御了承願います。
  29. 内藤友明

    内藤(友)委員 ただいまのことは、それは大蔵省として正式におきめになつたのですか。
  30. 酒井俊彦

    酒井政府委員 大蔵省としてそういうふうに決定をいたしました。
  31. 内藤友明

    内藤(友)委員 実は昨日銀行局長から承りますと、期間はできるだけ短かくするということを、非常に強調せられたのでありまして、初めは五年かと思つてつたのでありますけれども、そのできるだけ短かくするという力強いお言葉でありましたから、三年か二年と考えておつたのでありますが、それが五年とできるだけ長くせられた理由はどこにあるのでありますか。それをお尋ねしたいと思います。
  32. 酒井俊彦

    酒井政府委員 期限につきましてはいろいろ議論がございました。しかしこの漁業権証券を発行いたします法律的根拠といたしまして、前の法律によりますと、この漁業権の補償なるものは公債をもつてする。その公債をもつてする。その公債は年々の免許料と申しますか、その収益をもつて返して行くということが建前になつております。そういたしますと、現在の漁業権の免許料から推算いたしますと相当に長い期間を要する。しかしながら、あまりに長期の国債にいたしますと、金融の面で相当問題が起るではないかということで、ある程度期限は縮めざるを得ないのではなかろうかと考えまして、いろいろ審議をしたのでありますが、三年というような短かいことにいたしますと、法律の趣旨から申しまして、むしろ現金で交付するのとそれほど差がなくなつて来る、趣旨がはなはだ不明確になるというようなこともございましたし、かたがた現在の国債の発行条件は五年の五分五厘、今まで五分五厘というのが標準でございます。従いまして、この際特別のそういう国債を出すよりは、一般国債並に扱いまして、他の国債の現在の発行条件であります五年の五分五厘というところがよろしいのではなかろうかということで、五年におちついたわけであります。
  33. 内藤友明

    内藤(友)委員 理財局がそうおきめになつたのでありますから、いまさらどうにもしかたがないと思うのでありますが、そこで主計局にお尋ねしたいと思います。当然これは予算的措置が伴つて来るものと思うのでありますが、償還はもう二十六年度からおやりなさいますか。
  34. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 償還は定期償還ということになつておりますので、今年中に発行されるといたしますると、昭和三十一年、そのときに償還をいたすということになるわけであります。
  35. 内藤友明

    内藤(友)委員 そうしますと、そのときにあれは百七十億全部償還なさるのですか。それとも年々買上げ償還というような形で行かれるのですか。
  36. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 昨日あるいは前前会に銀行局長その他から申し上げたかと思いますが、目下のところ本年度の予算に計上してございます。債務償還の経費のうちをもちまして、三十億程度償還をいたすということに、大体話合いをしておるわけであります。従いまして百七十億のうちから、少くとも本年度にそういうような買上げ償還をいたします金額は当然出る。明年以降の問題につきましては、これは先走つて申し上げられませんが、そういうような債務償還の経費の計上が可能であるかどうか、あるいは財政法の規定によりまする前々年度剰余金の半分とか、償還をいたす金額がどういう金額になるかということに関連いたしますので、二十七年度以降のことはちよつと今日申し上げがたいのでありますが、でき得ればもちろん買上げ償還をして参りたいというように考えております。
  37. 深澤義守

    深澤委員 三十億償還の予定を立てられているその償還方法ですが、百七十億のうちからどういうものを選択して、まず優先的に償還するかということが問題になつて来ると思います。そういう問題について何か腹案をお持ちでありますか。
  38. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 これは銀行局、あるいは農林省の方からお答えをするのがよろしいかと思うのでありますが、便宜私の方から承知しております範囲内のことだけお答えいたします。  買上げ償還ということに相なりますと、こういうものに償還をすることが可能かどうかという問題が起るわけであります。従いまして、現在買上げ償還をいたします方法といたしましては、仲介に預金部を使うつもりでございますが、現在のところでは、これはなお農林省の方といろいろ御相談をいたし、いろいろ御意見を伺わなければならぬ点もあると思うのでありますが、農林中金並びにその系統機関を通じまして償還の金が流れて参ります。その際には農林中金というような金融機構におきまして、この漁業制度改革に伴います所要の漁業資金のうちで、優先的に扱う必要のあるようなものをねらいまして、そこら辺で一応スクリーンをやりまして、それが預金部に買上げ償還の形で流れる、こういうようなやり方をいたしたいと思つております。その方法で、無差別な抽籖償還というものに伴いますいろいろな非能率、あるいは不十分な点を補いたいという意味であります。
  39. 深澤義守

    深澤委員 どうもそれでは不明確であります。たとえば漁業会が持つておるもの、会社が持つておるもの、あるいはまた漁業権の種類別によつて、定置、専用その他いろいろなものがありますが、こういうぐあいにして証券が出されているわけです。こういうものをどの観点からどういうものに優先的に償還するかという何らかの方法、基準がなければならないと思うのであります。その基準がおありになりましたら、明確にしていただきたいと思います。
  40. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 その基準につきましては、先ほど申し上げましたように、関係部局の間で相談もしまた今後もして参りたい。大体におきまして、定置漁業あたりを中心といたします作業の共同化という点に中心を置きまして、それ以外のいろいろなものも優先順位を考えながら、そういうようなところに金が流れるように、今申しましたような金の動かし方でやつて参りたいと思つております。
  41. 内藤友明

    内藤(友)委員 ちよつと関連して……。これは山本さんにお尋ねしなければならぬと思うのでありますが、今深澤さんからお尋ねになりましたどれを先にやるかという問題なんです。これは漁業計画が立つて、次の漁場をこれからやろうとするものは当然資金がいるのでありますから、それはやつて行かなければならぬと思うのであります。それから今までねむり口銭をとるために権利を持つておつたようなものは、これは少しあとまわしになつてもいいかと思うのでありますが、これは水産庁としてどういうお考えを持つておられますか。これは石原さんにお伺いしても御無理かと思うのでありますが、水産庁としてどうお考えになつておられるか。それをひとつはつきりしていただきますと、深澤さんの御心配がなくなるのではないかと思います。
  42. 山本豐

    山本(豐)政府委員 この問題につきましては、われわれとしては大蔵省といろいろ折衝しておるのでありまして、大蔵省の方では買上げ償還一本で行こう。大体部内ではそういうような方針がきまつておるようであります。しかしそれにしましても、ただいま問題になるような点もいろいろありますので、これはわれわれとしてはぜひ特別会計か何か、そういうふうな方法でもつてつて行かないと、ほんとうにこちらで考えているような指導はできないのではないか。もちろん農林中金は農林省の監督下にあります。従つてその面のある程度の指導は可能であろうと思うのであります。しかしながらこれはどこまでも負債の買上げという一つの方式でありますので、立ち入つた指導はなかなか困難でなかろうか。特別会計のようなものでありますれば、これはやはり農林省の直轄事業ということにもなりますので、いろいろ融資の条件その他について、ある程度こちらの考え方の通り立ち入つた指導ができるという点で、われわれとしましてはいろいろと意見があるところであるわけであります。もちろんこれはまだ大蔵省で具体的に係の間で相談しておる程度でありまして、今の償還買上げの関係は、はたしてどの程度のものができるかという結論には達しておらないのであります。
  43. 深澤義守

    深澤委員 今の水産庁次長の発言はきわめて重大な内容を含んでいると思います。そこで大蔵省当局にお聞きしたいのは、日本の漁業の復興という面から、この証券融資の問題、あるいは償還の問題は、漁業資金が散逸しないという一貫性を持つた方針でやらないと、せつかく償還をいたしましてもその資金が散逸して、漁業に返つて行かないという危険性が多分にあると思う。だから私どもは単にそれを償還するというこの問題を解決することだけでなしに、漁業資金が他に散逸せずに、現在疲弊困憊の状況にある日本の漁業を復興させるというところに、この資金を集中する必要があると思う。そういう一応の御計画があつて、初めて償還の問題が重要になつて来ると私は思うのでありますが、そういう点はどういう構想を持つておられるか。その点をひとつお聞きしたい。
  44. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 私の申し上げたのがはつきりしなかつたので、はなはだ恐縮でありますが、先ほど申し上げましたのはまさにお尋ねのように、金が所要の方角に流れることを何とかして確保したいというふうに思つております。その点は農林省もわれわれも同様でございまして、この債務償還の大きな金がだれに入るかわからないというようなことでやつで参りますことでなく、私どもとしてはそれが所要の資金に流れるように金の方角をつけて行きたい、ひもをつけて行きたいというように考えております。そこでひもをつける方法として、一案として農林中金を仲介にしてはどうか。それに対しまして水産庁側のいろいろ要望もあるのでありまして、現在どういう方法が一番適当だろうかということにつきまして相談しております。そのねらいはまさにお尋ねのようなことを考えております。
  45. 深澤義守

    深澤委員 そこでもう一点つつ込んでお聞きしたいのは、長い間漁業金融金庫の問題や特別会計の問題が問題になつて、行き悩んでおる状態であります。この問題については、そういう形で漁業資金が散逸しないように、統一的な指導ができるようにという方針については、政府部内においても賛成される方々があるわけであります。ところがそれが今国会の初めから問題になりつつも、いよいよ国会が末期になつているにかかわらず、まだそれが具体的に発展せずに、まだ相談しなければならないという過程にあるのでありますが、一体そういうことができないという根拠はどこにあるか。政府部内の意見の対立か。それとも関係方面の意見と食い違つているのか。どういうところにこの相談のまとまらない根本原因があるか、われわれは不審にたえないのでありますが、一体どういうところにこの漁業金融金庫や特別会計の具体化ができない根本原因があるか。その点を明確にしていただきたい。
  46. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 水産の特別会計をつくりたいというお申入れが最近農林省からあつたのであります。それに対しまして私どもの考えております点を申しますと、農林漁業の資金融通特別会計というものを先般つくりまして、この系統から農林漁業関係の、普通の金融を通じましては融通の困難というものに対しまする金融を行うわけであります。従いましてこの新しい水産特別会計をつくります場合におきましては、一般会計の資金にいたしましても、あるいは預金部の資金にいたしましても、おのずから新たなる資金を調達するわけであります。その必要な資金をどこから捻出をいたしまするか。これは補正予算の全体の問題と関連を持つわけでありまして、もしかりに何らかの資金が捻出せられるといたしましたならば、私どもといたしましては、せつかく農林漁業という名前におきましてつくつておりまするところの会計でございまするから、その会計を通じて流すべきである。ただそれと相並行いたしまして、本年度は相当巨額の債務償還の金もございますから、この金が漁業証券の償還に使われまして、この方で相当程度必要な資金が流れるということを並行して考えております。この農林漁業特別会計の方で将来どの程度の増額がなされるかということは、全体の補正予算の問題と関連しまするので、申し上げにくいのでありますが、さしあたりできますることは、債務償還の金のうちから三十億程度さくということがまず考えられます。従つてその線をどういうふうにお尋ねのように有効に流すかということを、今研究しているわけであります。それからなお農林漁業特別会計の方はどうであるかということは、これはもう少し先になりませんと何ともお答えをいたしかねる、こういうことでございます。
  47. 深澤義守

    深澤委員 そこで私は、もう少し先にならないとお答えができないということでございまするが、すでにその考慮の期間は相当長い期間あつたはずだと思うのです。この漁業の金融の問題についての具体的な機構をつくるということは、相当長い期間の問題としてあつたわけであります。それが会期の終る今日におきまして、まだ具体化しないということはどこに原因があるか。もちろんあなたが今おつしやるように、流す方法についていろいろ考慮を払われているというこの考慮の問題はわかつておりますが、こういう強い要望があるにもかかわらずそれができない根拠は、政府部内に問題があるのか。あるいは関係方面との折衝に問題があるのか。その点をひとつ明確にお聞きしたい。
  48. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 前の方の、債務償還の金をいかに有効に流すかという問題につきましては、これは先ほども申し上げましたように、まつたく事務的な問題でありまして、事務的にどういう方法が最も有効に行くかということにつきまして、これは両方むしろ協力をいたして相談をしなければならない。それから農林漁業特別会計の方でどの程度——これは漁業ばかりであると申しません。それ以外の農業林業の問題も同様に御要求が強いのでありますが、それと合せてみましてどの程度までの余力を持つているかという問題は、これはちよつと先ほども申し上げましたように、なるほど相当長い問題でありますが、しかし率直に申しまして、前国会以来長い懸案と申しまするか、御要請のありまする問題は相当にたくさんございますので、これらを全体の均衡予算の行き方をくずさないで、どう持つて行くかという問題は非常にむずかしい問題であります。これは具体的な計数をもちまして、補正予算を決定しまする際に一括してきめられる問題でありますので、ただいま農林漁業の関係だけにどの程度金額を融通するか、あるいは優先的にとるかということは、財務当局としてはちよつとお答えいたしかねる問題になつております。
  49. 深澤義守

    深澤委員 それは私の質問の要旨がまだ明確になつていないのでありますが、この行き悩みの原因は、つまり財政上の全体的なにらみの上において、補正予算を組むときでなければこの問題は明確にならないのだ、そこに行き悩みの根拠があるのだ、というふうに承知してよろしゆうございますか。
  50. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 まあそうだと申してもよろしいかもしれませんが、若干補足して申し上げますと、債務償還に限りますものについては、先ほど申し上げましたように、事務的にどこにどういうふうに配分するかということが片づけば問題は片づきます。ただそれでは足りない部面があると思いまして、その部面を農林漁業の特別会計というような財政資金で、処理をいたそうということになつて参りますと、今おつしやつた通り、全体の見通しのもとに決せられる問題である、こういうことになります。従つて前半の新につきましては、これは今日からでも事務的にずつと話を進めておりますので、事務的に話がきまり次第進み得ると考えております。
  51. 深澤義守

    深澤委員 そういたしますと、漁業金融金庫あるいは漁業金融特別会計というものは設けない、農林漁業金融特別会計でまかなつて行くことが適当であるというぐあいに、大蔵省も現在考えられておる、こういうぐあいに承知してよろしゆうございますか。
  52. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 われわれ部内においてそういうような相談をいたし、そういうような趣旨において農林省と折衝いたしております。
  53. 深澤義守

    深澤委員 それではなおお伺いしたいのでありますが、先般の国会において農林漁業金融特別会計を設置する場合において、預金部資金の問題が相当問題になつておつたのでありますが、あのときはまだ預金部資金が幾ら農林漁業金融特別会計に流れるかという問題については、明確になつていなかつたわけなんであります。現在はそれが検討されて何らか明確になる時期になつているのではないかと、われわれは考えているのであります。あるいはもう決定されているのかもしれませんが、私は寡聞にしてまだ聞いておりませんが、その点はどういうぐあいになつておりますか。
  54. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 現在のところまだ決定をいたしておりません。今までの計画の中で、あるいはこの程度のものは考えなければいけなくなりはせぬかというような面もございます。それからこれではとうてい足りないからということで、私どもの方にもぜひ預金部の方からふやしてくれという話が、農林漁業の例の六十億でございましたか、あの話が相当熾烈な御要求がございます。それらを現在は配置をしておりますので、どうするかということは決定をいたしておりません。
  55. 奧村又十郎

    奥村委員 同僚委員各位からいろいろ御質疑がありまして、それによつて次第に政府の方針も明らかになつて来たのでありますが、私は同じような質問でありますが、なおつつ込んでお尋ねをいたしたいと思うのであります。  ただいま提案租税特別措置法改正案の問題は、これは主として漁業権証券の問題でありますが、この漁業権証券の資金化の問題、これに関連して、漁業制度改革に伴うところの水産資金の手当の問題、これが委員会で一番大きな問題になつている。実は、ほかの水産委員会においても、衆参両院ともこの問題を非常に重要視しておりまして、これが十分明らかにならなければ、この法案審議できないというふうな意気込みでいるようであります。特にできる限り政府対策を明らかにしていただきたいと思うので、なお進んでお尋ねをいたすわけであります。そこで先ほど水産庁の山本次長から、この漁業権証券の金融に関連しての制度改革の金融は、どうしても特別会計の行き方でやつて行かねばなららぬ、こういうことであります。大蔵省の方ではまだそこまで考えていない、こういうことであります。さて、そこでこれは私は資金量の問題じやないかと思うのです。一応漁業権証券の買上げ償還の形で、今年度は三十億余り債務償還費の中から主計局としては金を出すわけです。この三十億余りの金は重点的に、漁業制度改革の立つたところから、農林中金及び預金部を通じて流せば、水産庁の思う通りに行くのじやないか。こういうようなことで、なるほどその通りであつて、それならば特別に特別会計というものをつくらなくてはならぬわけはなくなる。つまり三十数億の金が水産庁の思う通りの方面に流れるとするならば、それでいいじやないかということになる。そこでそれでもなお水産庁として困るのだというのであれば、三十数億じや足らぬのだ。つまり証券の買上げ償還だけでは足らないのだ。そのほかに金融的な措置をしてもらいたい、こういう意味が含まれているのではないかと私は思うのであります。そこで少し根本的な話でありますが、今年八月から実施されるところの漁業法の実施に伴うところの制度改革は、従来の漁業経営者から漁業権を取上げて、主として零細漁民の団体である漁業協同組合、あるいは漁業生産組合の共同経営にやらして行こう。それならば新たにそういう資金が相当その方面に必要になり、またその資金の裏づけがなければ、漁業制度改革は全然進まぬということになつて、水産庁の方も御心配になつておられることと思うので、ごもつともと思うのでありますが、そこで特別会計の御構想でもつて漁業券証券の買上げを幾らと見込んで、そのほかに一体資金をどのくらい水産庁として制度改革のために必要なのか。その水産庁としての制度改革に伴う資金必要量の全般について、ひとつ概略御説明願いたいと思います。
  56. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 お尋ねの制度改革に伴いまして、資金の裏づけを必要とする事業量なりその資金量は、どの程度を予算されるかという問題でございますが、目下水産庁がいろいろと各地の事情を総合いたしました、推定いたした数字につきまして総括的に申しますと、事業内容といたしましては、制度改革の中心部門である経営の切りかえ、すなわち生産部門における共同化資金といたしまして、三箇年間の見通しをもちまして計画をいたしてみますると、大体百三十三億の資金量、それから第二番目としまして、内水面関係、鮮魚介も入りますが、増殖の組合経営というような施設を考えてみますると、三年間で一億六千五百万円、それから制度改革による経営の切りかえによりまして、漁獲物を、現在の政令その他の問題を考え合せまして、どうしても鮮度を維持して有利にこれを処理せしむるというような意味合いの施設といたしまして、各地で希望しておりまする製氷、冷凍、冷蔵施設といつたような施設につきまして、二十二億四千七百万円、大体この大きな三つの事項をとらえて考えてみましても、総計百五十七億二千八百万円の資金量を要するというふうな見通しを立てているわけであります。なおこれ以外にいろいろと各地の組合におきまして、制度改革の切りかえに伴いまして、ぜひやつて行きたいという個々的な施設もあるわけでありまするが、そういう部門も、われわれといたしましてお世話をしなければいかぬ、こういうふうに考えているわけでございますが、大体中心になる三つの事項を考えまして、推計いたした次第でございます。  それから、それによりまして、その事業資金をいかなる形において調整するかといつたような問題につきましては、お話の点にございました証券をもとにして、ぜひともこの資金の調達をお世話しなければいかぬというふうに考えている次第でございまして、個々の組合によりますれば、単なる証券の買上げといつたようなことで、自己資金を調達するというような面では足らない。経営切りかえによつて基礎施設を整備いたしまして、今後の経営の安定をはかるというような問題につきましては、ぜひとも長期低利の資金を何とか世話しなければ、この態勢が確保されぬというような問題もございますので、先ほど次長からお話申し上げましたような構想のもとに、ぜひとも特別会計といつたような国家資金を導入することによりまして、制度改革の資金的裏づけを確保して参りたいと考えている次第でございます。
  57. 小山長規

    小山委員長代理 次に租税債権及び貸付金債権以外の国の債権整理に関する法律案議題といたします。
  58. 田中織之進

    田中(織)委員 租税債権及び貸付金債権以外の国の債権整理に関する法律案について、一、二お伺いをしてみたいと思うのであります。別途いただいた資料によりますと、この法律によつて今後回収しようとする債権の総額が千七百三十三万円余りでございまして、その点からみまして、金額は大したことはないようにも見受けられるのであります。これは現在一般会計並びに特別会計で、この法律によつて処理する債権の現在額として資料は出ておるわけでありますが、このほかにこの種の未収債権が残つているということは、絶対にないかどうかということをひとつ確かめておきたいと思います。
  59. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 この法律の前にございました、この法律によつて廃止をいたしまする租税以外諸收入金整理に関する法律、この法律の適用を受けまして、定期貸、すえ置き貸、その二つの貸付金になつておりますものは、今資料でお読みを願つた金額でございます。この第一条にございますように、定期貸、すえ置き貸しという判定をいたしまする以前の債権としてまだ滞つておりまするが、まだ従来定期貸あるいはすえ置き貸というような整理をしておりませんものが相当あるわけでございます。ちよつと今手元にその金額がございませんのでわかりかねますが、その債権が相当あるというふうにお考え願いたいと思います。
  60. 田中織之進

    田中(織)委員 そうなると、なかなかこの法案を簡単に通すわけに行かぬことになるわけでありますが、それではこういう点をひとつお答えを願いたいと思います。特に一般会計で現在定期貸とすえ置き貸の二つに整理いたしまして、この法律に引継いで参りまする分が千五百六十九万円出ておるのでありますが、この債権が発生した原因は、大体どういうところにありましようか。
  61. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 差上げてあります資料に、債権内容という内訳があるかと思いますが、弁償金、違約金及び返納金というそれぞれの欄がございまして、それにごらんになりますように、返納金と弁償金が多い。弁償金の主たるものは、不法行為によりまして政府に損害をかけました場合の弁償類、そういうものがこの区分に属しまするので多いかというふうに見ております。返納金は過払いになりましたものの返納金でございまして、これもごらんになりますように、件数が非常に多うございまして、一件当りの金額は比較的少い。大体弁償金と返納金が大部分であるというふうに考えております。
  62. 田中織之進

    田中(織)委員 私の伺いたいのは、一般会計のうちで各省にまたがるもの等があると思うのでありますが、できればそういうようなものもお調べ願いたいと思うのであります。そうしますと、この種の国の租税債権及び貸付金債権以外の未収債権というものは、予算書の上から見れば、どの部分に出て参つておるのでしようか。
  63. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 債権そのものがどれだけあるかということは、予算書の添付書類のうちにもなかつたと記憶します。これから入りまする収入は、雑收入の中にございますので、この債権がどれだけあるかということは、また別に必要でございますれば、資料を整えまして差上げたいと思います。
  64. 田中織之進

    田中(織)委員 そうすると、定期貸とすえ置き貸に整理をして、この法律に引継ぐものが千六百万円ほどでありまして、それ以外にまだ定期貸にするかすえ置き貸にするか、未処理の分の債権が相当ある。しかしその金額がわからないというのですが、ごく概括的にでも額はわかりませんでしようか。
  65. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 数字のことでありますので、あまりいいかげんなことは申し上げられません。ちよつとわかりませんので、調べて……。
  66. 田中織之進

    田中(織)委員 未処理になつておるものが、各省関係においてどういうようになるか。これは私大蔵省に全部こういうものを集中いたしまして、処理して行くという考え方には賛成をしたいと思うのでありますが、この金額をよく何しておかないと、こういう形で整理するということで、当然回収できる——まさか国民全体の血と汗のかたまりでありまするから、そういうことはあつてはならないのでありまするが、回収できないということでほうり出される。どうもこれは特に戦争中からの引継ぎの関係から見ますと、別の名前でちよつと形をかえたぐらいで、りつぱに息を吹きかえしておりますけれども、前のやつが相当国民に迷惑をかけたままでほうりつぱなしになつておるという実情を、われわれたびたび聞きまするので、そういう点からこれは的確な資料を出していただきたい、かように考えるのであります。そこで提案理由の第三に述べられておりますように、この債権の管理者が特に必要と認めた場合には、債権の貸付条件の変更をすることができる道を開こうとされておるようでありますが、特に必要と認めた場合という認定の基準はどこに置かれるつもりでありますか。これは実は全体の未牧債権の額がわかりますると、大体目途がつくのではないかと思うのでありますが、返済期日から定期貸の場合は十年、すえ置き貸の場合には二十年を経過した後に、資力に回収の見込みがないという見通しをつけて、債権を免除するということになるわけであります。それまでの間には定期貸で十年、すえ置き貸で二十年という期間がございまするから、回収の資力があるかどうかという見通しをつけるまでには、相当の経過期間があるわけでございます。でありますから、そういうように管理者が貸付条件を変更し得るようにするについては、その認定の基準を大体どこに置かれるつもりであるか。
  67. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 条件の変更の内容につきましては、第六条に、資力が回復した、あるいは資力の状況が悪化した、そういう場合に債権の保全あるいは收入金の納付を容易ならしめるため必要がある——こういうようなよくなりました場合、悪くなりました場合、その両方の場合におきまする条件を書いておるわけであります。具体的にこれらの資力の状況が回復いたしまして、むしろ繰上げて払わせたらどうか。あるいは資力が悪化したので、もう少し延ばしてやる必要がある。極端な場合は免除しなければならない、こういうようなことはこれは管理者、現在は大蔵大臣になるのでありますが、それに対しまして大蔵大臣所轄のものにつきましては、地方部局でありますところの財務局の方に、どういうふうなことを調べておけという業務取扱い要領を出しましてその取扱い要領に基きまして、債務者の状態のいわば帳簿をつくつておく。それらの時々に動きます状況に基きまして、今申しました判断をいたすわけであります。今お尋のようなこれらの条件というものをできるだけ的確につかみ、それらの変更が決して国の損害にならないようにやつて参るということについては、今回は、先ほど御指摘になりましたように、地方の知事から大蔵大臣に切りかえをいたしましてそれによりましてその点相当努力によりまして、改善すべき余地があります。なお申し上げておきますが、それらの債権の中には相当古く、金額においても相当小さいものがありまして、場合によりましては管理の手数等とも関連いたしまして、債務者の資力が現在非常に悪いというものにつきましては、結局国としては免除した方がよいというようなものもありますので、そこら辺はやはり免除をしない方がいいというわけにも参らないのであります。
  68. 田中織之進

    田中(織)委員 もう一点お伺いをいたします。今お話を承りますと、この種の債権というものは発生して相当古いものもあるようでございます。債権の発生の原因としては、弁償金、違約金、返納金というような三種類があげられておるのでありますが、このごろのように年間六千億、七千億というような尨大な予算となつて参りますと、予算の執行過程において、相当こういうような事故の発生する場合もあり得ると思うのであります。過去に発生したものはこういう形で回収するような努力は、積極的に続けて行かなければならぬと思うのでありますが、最近の予算の執行過程においては、こういう債権が残るような事故と申しますか、そういうものがないのでございましようか。その点についてこういうことが発生しないような予算執行上の管理というか注意というか、そういうようなことは最近はどういうようになつておりましようか。
  69. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 先ほど申し上げましたように、最近も弁償金の類におきましては、相当不法行為に基きますものが多い。新聞あたりで御承知のように、遺憾ながら政府の役人で不法行為の結果、金銭を亡失したりする者もございますので、こういう事件が相当にありまするし、金額も先ほど来申し上げておりまするように、数字は今持つておりませんが、相当になつておるかと思います。これを一体どういうふうにして防ぐかという点でございまするが、これはいろいろな点があるわけでございまして、もちろん法規の面からばかり申すわけにも参りませんが、法規の面といたしましても、財政法、会計法というような法規を従来しばしばそのときの必要によつて改正して参つたのであります。制度としてはなかなかいい制度でございますが、実行におきましては必ずしもそうでもないという面もございますので、財政法、会計法というものを、おつしやつたような不法行為などがなかなか生じにくいような法規にいたす。それはただむずかしく手続を煩雑にするという方法でなく、むしろ手続をできるだけ簡素にする。むしろすつきりした形にすることによつて、かえつて不法行為が減るという面もあるというようなことも考えまして——その点ばかりでもございませんが、財政法、会計法の改正の案を準備しております。なおそれ以外におきましても、不法行為の生じまする理由は、法律あるいはその運用精神などというような面から来ると思いますので、そういう点につきましては、適宜に措置をとり、そういうことによりまして今後不法行為から生じまするこういう損失を、できるだけ防止したいと考えております。
  70. 田中織之進

    田中(織)委員 これに直接関連してお伺いしたい点は大体済んだわけでありますが、資料にいただきまする場合において、特に終戦後の終戦処理費の関係から出ておるこういう未収債権というものが、相当あるのじやないかということが予想されますので、そういうようなものは別に前の法律に従いまして、定期貸またはすえ置き貸として整理をされておる未整理の分で未収債権がありまするならば、特に終戦処理費の関係のものを——そういう数字はつかめるだろうと思いますが、ひとつ出していただきたいという希望が一つ。  それからもう一点お伺いをしてみたいと思うのであります。たとえばこの前早船事件で問題になりましたような鉱工品貿易公団等で、やはり一種の不法行為によつて穴を明けておるような場合、それの弁償というか、そういうような関係は十数億のものでありまするから、そのうちで事業場の損失として出て来る分もあると思うのでありますが、浮貸等の不法行為関係で出ておるものは——あれも裁判が完結してみないとわかりませんが、あの種のものも私は出て参ると思うのであります。それはやはりこの法律に従いまして処理をして行く御方針であるかどうか。この点をお伺いしておきます。
  71. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 お尋ねの前半の定期貸、すえ置き貸の債権のうちに終戦処理費関係のものがあるかというお尋ねの点につきましては、これは正確に調べておりませんので、多少間違つておるかもしれませんが、大体先ほど申し上げましたように、これらの債権は古いものでございますから、終戦処理費関係のものでこういうものがもし入つたとしますれば非常に例外的である。そういうものは原則としてこの中には入つていないというふうにお考えになつてよろしい。それから第二のお尋ねでありましたところの鉱工品公団の件につきましては、現在鉱工品公団は清算中でございますが、鉱工品公団の清算が結了いたしますると、それらの債権債務の関係はあげて国へ引継がれることになります。従いましてこれらの公団の清算の結了とともに、それらの債権はすべて国の債権になる。従いましてそれらの今後の処理につきましては、やはりこの法律に基いて処理をいたすことになつております。
  72. 深澤義守

    深澤委員 この表にあげられておりまする厚生保険特別会計、失業保険特別会計、これは事業主並びに従業員がともに負担しておるのでありますが、定期貸、すえ置き貸になつております部分は、これは従業員の方からは給与の中から差引いて渡されるというようなことで、おそらく私は滞納がないと思うのであります。これは事業主の方の債務になつておるのではないかと考えるのでありますが、その点はどうですか。
  73. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 内訳をこれ以上持ちませんので、お尋ねの点につきましては何ともお答えをいたしかねまするが、従業員の者も入つておるかもしれません。先ほど来申しておるような、もし不法行為関係でございますれば、その人たちの身分は一応はずれておりますから、俸給から差引くということはできないわけでございます。そういう点から申しますと、従業員の分も入り得るわけでございます。その点は内訳を持ちませんので、何ともお答え申し上げかねます。
  74. 深澤義守

    深澤委員 なおこの厚生保険特別会計、失業保険特別会計は、これは内容がわからないということになりますればそれまででありますが、大体私は事業主の債務になつている部分ではないかと思うわけです。これは失業保険の掛金とか源泉課税等の問題におきましても、一応は給与から差引いておいて、事業資金のためにやり繰りをして、掛金はかけない、税務署には払わないという問題もしばしばあつたのでありますが、そういうようなものに属するものではないかと私は思うのです。しかもそういう場合において、事業がまつたく閉鎖されているとか、あるいはまた事業が窮境に陥つているというような場合にはやむを得ないといたしましても、現在事業が継続されておるにかかわらず、そうした債務が依然としてそのままにすえ置かれているというような状況で多分にあると思うのであります。そういうような性格を持つたものではないかというぐあいに、私は疑いを持つのでありますが、そうではないのですか。
  75. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 定期貸をすえ置き貸に編入いたしますには、事実上破産に類似をいたしましたところにまで債務者の資力が減衰をいたしまして、そういうような非常に客観的な標準から見まして無資力だという場合に、初めて処置をとりますので、それ以前におきまする程度状態をもつていたしましては、編入してないのが従来の扱いであります。
  76. 奧村又十郎

    奥村委員 ただいま議題なつております租税債権及び貸付金債権以外の国の債権整理に関する法律案につきましては、大体質疑も尽されたと思いますので、この際本案につきましては質疑を打切り、討論を省略し、ただちに採決に入られんことを望みます。
  77. 小山長規

    小山委員長代理 ただいまの奥村君の動議のごとく決定するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 小山長規

    小山委員長代理 御異議がないようでありますから、本案については質疑を打切り、討論を省略して、ただちに採決に入ります。  本案につき賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立
  79. 小山長規

    小山委員長代理 起立総員。よつて本案は原案のごとく決定いたしました。  なお本件に関する報告書の件につきましては、委員長に御一任のほどをお願いいたします。     —————————————
  80. 奧村又十郎

    奥村委員 先ほどの質疑に続いてお尋ねをいたします。先ほど水産庁の政府委員の御答弁によりますと、漁業制度改革に伴う必要な資金は、三箇年間に約百五十七億、こういうことであります。そうしますと一箇年間に約五十億円ずつ必要になる、こういうことであります。ところがそのうち今年度は、漁業権証券の買上げ償還を三十億円ほどやる。来年度のことはわからぬが、償還をやるということであります。ところがさて、この三十億の買上げ償還漁業権証券の資金が、全部制度改革の方向に流れるかどうか。この点が一つ問題になろうと思うのです。その点はいかがですか。
  81. 山本豐

    山本(豐)政府委員 お答えいたします。この総額の百五十七億でありますが、これは今年は初年度でもありますので、水産庁といたしましては、今後三年と申しましても、均一に出すことを考えていないのであります。従つてこれも水産庁の一応の考えでありますけれども、年次計画を申し上げますと、第一年度がおよそ四十五億円、第二年度が六十一億円、第三年度が五十億円程度考えておるわけであります。この初年度の四十五億円でありますが、実は先ほどの大蔵省でお考え中の証券買上案によりますと、三十億まで出るわけであります。しかしこの三十億なるものは、もう一つ考えてもらわなければならぬことは、今度のいわゆる証券百七十億円に対しまして、課税がただいまの事務当局の計算では、十四、五億になるらしいのであります。その十四、五億のものはやはり現金を交付しないと、税金は払えないわけであります。これはもつとも租税法の関係では、一回に払わぬでもいいようであります。あるいは二、三回に区切つてつてもいいということもあるようでありますが、実際問題としては一時にとられるということでありますと、三十億ありましても十五億しか残らぬ。そこでわれわれの方の考えといたしましては、四十五億とその十五億、つまり証券から税を払うというものを考えますと、やはり初年度としましては六十億くらいの金がいる、こういうふうな一応の胸算用になるわけであります。
  82. 奧村又十郎

    奥村委員 漁業権証券の資金化される分が、かなり制度改革の方の資金に振りかえられるということには考えられるが、しかしただいまのお話のように税金の方へ流れるだろう、あるいはそのほかに個人の漁業権所有者に流れるということで、制度改革の方に流れる金は三十億が全部流れるとは思えぬということになる。それからいま一つの問題は、漁業権証券の手に入らない漁業会があるだろう。この点が大きな問題になるのじやないかと思う。たとえば富山県あるいは北海道、こういう方面の漁業権はほとんど個人所有であります。従つて漁業権証券はすべてそういう個人に交付されることになる。漁業法の精神としては、なるべく零細漁民の団体である漁業協同組合あるいは漁業生産組合に、優先順位をもつて漁業権を免許しよう、こういうことになつておる。さてそこで今年の八月以降新たに政府が漁業権を免許しようとする場合に、零細漁民の団体である漁業協同組合あるいは漁業生産組合に、個人の漁業資本家に交代して、新たに漁業の免許を受けようとする零細漁民の団体が、さて資金がない。特にただいま申し上げるように、富山県などのごときは漁業権は資本家が持つておつた。漁業権証券資本家が手に入れるのだ。そうして零細漁民には資金がない。そうすれば法律でもつて零細漁民に漁業権を免許しようと思つても、資金がない。そこで土地改革以上に、漁業及び漁村の民主化を目的としたこの漁業法が、現実には空文に帰する。零細漁民はほとんど資金がないということはわかつておる。漁業権証券も手に入らぬという。そういう零細漁民の協同化に対しては一体どうする考えなのか。そこでもしこの特別会計ができぬということになると、漁業権証券以外に財政資金が水産金融の方に流れないとすると、この漁業法というものの実施はどうなりますか。その点をひとつお伺いいたしたい。
  83. 山本豐

    山本(豐)政府委員 ただいまの、たとえば定置の場合などで漁業権証券が手に入らない、手に入れる者は個人の従来の資本家的な漁業者であるという場合も、これはあり得ると思うのでありますが、そういう場合には一つの方法としまして、これは富山県の実情はどうでありますか、私知らないのでありますが、そういう従前の漁業者といえども、いわゆる事業の経営というものについては、非常に経験もあるわけでありますから、そういう人がやはり共同経営というふうな方向に——これは実際問題として押しつけるわけではございませんが、行くのが一つの方法としてあると思うのであります。しかしいずれにしても、そういうふうにすべて割切れるわけではございませんので、今の御指摘のようにいわゆろ証券もないが、しかし再出発しなければならぬ。これらのいわゆる運転資金といいますか、再出発資金をどうするか。この問題につきましては、特別会計法を考えるときにおきましても、いろいろと考えたことであります。当初御承知のように、銀行案の当時におきましては、そういうふうなものを含めた、広く水産業全体の金融といいますか、中心は漁業制度改革にあつたのでありますが、若干外わく的な金融というものも考慮しておつたのであります。しかし今の大蔵当局のお話のように、いろいろと財源に関係があり、またこれをいつまで主張しておつても、もう時期もすでに最終的な段階に参りましたので、われわれといたしましてはそういうふうな点は別途、いわゆる別の金融問題として考えることにして、とりあえずぎりぎりのところの証券の資金化、従つてまたこれは漁業制度改革の最も必要な最低線を考えて行こうというふうなことで、今日のような状況になつて参つたわけであります。
  84. 奧村又十郎

    奥村委員 それじや結論として、お尋ねしますが、今年及び来年度において漁業権証券の買上げ償還の資金のほかに、財政資金として水産、特に漁業制度改革に必要な資金は、財政資金としてどのくらい必要なのかどうか。今のぎりぎりのところのお話をお願いします。
  85. 山本豐

    山本(豐)政府委員 先ほど申しましたように、第一年度は非常に控え目にいたしまして、少くとも四十五億予定されておるわけであります。この内訳、これも一応想定でございますが、大体水産庁の考えはまだよく練れていないのでございますが、特別会計から十五億くらいほしい。大蔵省のいわゆる証券買上げ用のものを二十六億くらい見まして、今これ一本で大蔵省は三十億と言つておるのでありますが、これを二十六億程度見まして、そのほかに約四億くらいは、いわゆる融資を受ける自治体にも責任を負わせよう。つまり自己負担というようなかつこうになるわけでありますが、そういうような計算をとつておるわけであります。従つていわゆるその国家財政的支出は十五億円だけはぜひお願いしたい。この十五億円も単に一般会計からのみではなかなかたいへんだろうと思いまして、われわれとしまして、さらにそのことを掘り下げて考えまして、一般会計から十億あるいは資金運用部から借り入れて五億でもいい、こういうような計算で、一応資金コストを五分五厘くらいな低利にしまして、七年ないし十年くらいの償還期間で貸してもらえないか、こういう相談をいたしておるわけであります。
  86. 奧村又十郎

    奥村委員 今年度は四十五億の資金が必要である。そのうち証券の買上げを二十六億予定してあるが、大蔵省の方では三十億ということを考えておる。しかし、そこで私が先ほどお尋ねしたのには、その証券買上げ三十億円全部が漁業制度改革には流れないのじやないか。つまり税金に幾らとられるか。そのほかにその証券は個人に償還されるものができるじやないか。これは先ほど石原次長の御答弁にもあつたが、個人に償還するのは一番あとまわしとして、これは全部制度改革に移すとかりに仮定しても、そうすれば税金の金はどこから支払おれるか、こういうことになつて来る。そこでどうも十分水産庁の方も案が練り上げられていないように思うのだが、ともかくさしあたつて今年度の漁業権証券償還のほかに、財政資金として幾ら一体金はいるのか。その点をはつきりお答え願います。
  87. 山本豐

    山本(豐)政府委員 先ほど申しました水産庁案なるものは、これは税の関係を実は抜きにして申した数字であります。従つて四十五億というのは、これはまるまる漁業制度改革に充当しなけれればならぬ資金であるのであります。従つてこのほかにいわゆる税をかりに十五億払うといたしますれば、プラス十五億の金がいるわけであります。従つて証券買上げが四十五億のうち二十六億と一応申しましたが、これには先ほど申しました、いわゆる税金の支払いの分の買上げは含んでいないのであります。
  88. 奧村又十郎

    奥村委員 税金を支払うとすれば、四十五億のほかにその税金の金額だけはよけいにいるのだ、こういうことであります。それで一応水産庁の方のお考えはわかりました。主計局の方にお尋ねしますが、一体今年度八月から実施する漁業法の実施について、主計局として、財政当局としてはどう考えておられるか。この漁業法は申すまでもなく御存じの通り、当時の民主党、民主党が賛成して、しかもこれは政府提案で通過したものです。政府としてはこれは万全の策を講じて実行しなければならぬ。従つてこれは財政的な裏打ちがなければならぬ。ただいま水産庁の方で申しますように、約四十五億の金が財政的に支出せらるべきだ。これは一般会計から支出して特別会計の形にするか、あるいは農林中金に流して、別途機関をつくるか、これは別として、財政資金としてどうしても四十五億いるのだ、こういうことでありますが、これは一体大蔵省はどう考えておられるか。またこの交渉はいつ初めて受取つたか。これに対して今どういう手を打とうとして考えておられるか。
  89. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 お尋ねの点のまず第一点でございます。本年度の金を大蔵省の方はどろ考えておるかということでありますが、水産庁の方からお話がありましたように、水産庁は四十五億円の所要資金を見ておられるわけであります。そのほかに税金が十五億円、合計六十億円を見ている。このうち税金の十五億円につきましては、きようの午前中水産委員会銀行局長がお答え申し上げたのでありますが、私どもの方の主税当局と打合せてみましたところ、本年度中に金の支払いを要するのは、おおむね十億程度ではあるまいかということであります。従いまして本年度の所要資金は、税金の部分といたしましては大体十億程度になるのではないかと考えております。それから総額を三十億ないし三十五億程度ということを、午前中から申しておるわけでありますが、そこら辺多少輪郭を弾力を持たせておりまするのは、四十五億と申しますのは、これは水産庁におきましていろいろ審議をせられました結果、漁業制度改革における、漁業がうまく行くための資金である。これらの資金のうち、優先順位あるいは緩急の度合いをはかりまして、なおぎりぎり本年度においてどうしてもスタートしなければならぬものが、どの程度あるかということにつきましては、制度改革の趣旨を没却することなくして、現在の財政あるいは資金の需給というような点から申しまして、圧縮をいたし得るのではあるまいかというふうに考えております。その圧縮をいたしましたる結果、三十五億から十億引きますると二十五億になりまするが、農林省側で言つておられます四十五億というものが、先ほど来申し上げておりますように、政府関係事業におきましても、物価騰貴その他の関係から、資金の追加需要は非常に大きいわけであります。そういうようなものを、今われわれいろいろ重要性を伺つておるわけでありますが、それらのものとにらみ合せながら、資金の順位あるいは緩急というものから考えまして、どの程度がほんとうに本年度にどうしても出さなければならぬものかということにつきまして、検討をいたした次第であります。それで資金の要求にはおのずから程度の違いがあるのでありまして、ここまでではつきり線が引けるということはなかなかむずかしいことでありまするが、それらの四十五億という御要求に対して、一応われわれが用意いたしまする二十五億との差というものは、それらの重要性が、今後に出て参りまする、あるいは現在出て来つつあるところの政府関係のいろいろな新しい資金需要というものとにらみ合せながら——先刻来申し上げておりまするように、農林漁業の特別会計におきましてこの資金を拡充する要求が、これは休会前の国会以来非常に強いものが出ております。そこら辺とにらみ合せて考えて参ろらというのが、われわれの現在の態度であります。現在のところは、今申し上げた三十億ないし三十五億という線におきまして、農林省側の要求せらるるところとどういうふうに結びつけて行くかということを、事務的に至急取運んでおる状況であります。
  90. 奧村又十郎

    奥村委員 それでは重ねてお尋ねしますが、資金の量の問題は抜きにいたしまして、漁業権証券の買上げ償還の資金は、もしそのほかに必要であるならば、今春すでに発足した農林漁業特別会計、これに多少の資金を流して、これを通じて融通しよう、こういうふうな御答弁のようであります。従つてそれらとは別個に制度改革のための特別会計をつくろうという水産庁の案に、大蔵省がもしも反対であるならば、その反対の理由を聞かしていただきたいと思います。
  91. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 先ほどから申し上げておりますように、農林漁業特別会計と申しまするのは、民間資金をもつてしては流れないような農業、林業、漁業の資金を、財政資金、一般会計、預金部、見返り等より、そういうものを通じまする金として流して参ろうという仕組みであります。現在この会計でやつております幅は、資金の量と優先順位ということの結果、ある程度公共事業あるいはこれに類似したものに、一応のところ限局をせられておるのであります。ただこの会計の幅といたしましては、政令でも明らかでありますように、一例をあげて申しますれば、漁業の共同施設というような農林省側から御要請の強い面につきましても、この会計から充てて参ることができるのであります。従いまして私どもといたしましては、資金全体の緩急の度合いをはかるという意味からいたしましても、幾つかの特別会計をおのおのの事業ことにただやつて参るというようなやり方をいたしませんで、できるだけこれを調整可能な方法においてとつて参る方がよろしいという意味におきまして、もしも追加の機会におきましてこういう方面に金をまわす余裕が出て参りますれば、それは新しい特別会計をつくることではなくして、既存の会計にその金を流すとか、その会計の中における優先順位によつてやるということになると思います。
  92. 奧村又十郎

    奥村委員 ただいまの主計局次長の御答弁によりますると、すでに農林漁業特別会計があるんだ、そのほかに新たに特別会計をつくらなくても、すでにあるものを利用すればいいのじやないか、こういうのでありますが、私はこれに対しては反対であつて制度改革に伴う特別の目的を持つた財政資金であるから、これは別に特別会計をつくるべきであると思う。水産庁の側は今の大蔵省の言われる説に承服ができないということを、しよつちゆう主張しておられるのですが、どういうわけで承服ができないのか。その点を明らかにしていただきたいと思います。
  93. 山本豐

    山本(豐)政府委員 先ほども申しましたように、水産庁といたしましては、特別会計制度案は最後のぎりぎりである。それで現在あります農林漁業特別会計と切り離して、水産単独の特別会計を主張している理由を簡単に申し上げたいと思います。  その一つは、先ほど奥村委員から御指摘がありましたように、資金のわくは確かにあるわけであります。もう一つは、抱き合せて特別会計から出る面——あらゆるものから出るのでありますが、これは国のいろいろの資金繰りの関係でやむを得ぬと思います。そういうものと組み合せて、そうして、しかも漁民が立てました再出発の計画なるものを十分検討いたしまして、これなら大丈夫だというものに官庁として責任ある指導をしたい。そのためには、この金庫にいたしましたところで、手放しに金融機関にまかせるということでは、どうしても親切に指導ができない。また権限の上からいつても、立入り的になる心配があるのであります。それが第一点であります。  もう一つは、農林漁業公庫と区別せぬでもいいじやないか。これはいわゆる融資の方式といいますか、そういう点におきましては確かに農林漁業公庫も特別会計であります。また今考えております水産の方も特別会計であります。従つて、おそらくこれは農林中金に実際は委託するようなかつこうで、執務がとられるということにならざるを得ないのでありまして、この点は同じでありますが、ただ現在の農林漁業公庫の実情を申しますると、発足間もないことでありますし、六十億のわくにおきましては水産についてはわずかに三億ばかりで、しかもそれは漁港関係の公共事業だけしか認められていないのであります。そこで前国会においても、それじや困る、農村方面に比べて非常に漁業が虐待されておるのじやないかということで、いろいろといたしまして、とにかく政令改正の機会に、冷蔵施設というようなものは、今度六十億があるいは百二十億になるか百十億になるかわかりませんが、六十億にプラスアルフアーが出た場合には、考えようじやないかというふうにはなつて来ております。従つてこの線で考えられるものはせいぜい冷蔵施設、これもわれわれの必要とするものの何割か、何分の一しかなかなか資金のわくから行きますと困難であると思います。しかしこれも大蔵省の理解があればある程度行くと思いますが、ただこの面を農林漁業公庫の方から出し、片方また一般の漁船であるとか、漁網の買入れであるとか、こういうような経営面全体としての資金面を、政府の買上げ償還で行くということになりますと、どこへそれを結びつけて有効適切な、効果的な指導をして行くかということに迷わざるを得ないのであります。そういう面からいたしまして、もちろん水産の特別会計法ができました場合にダブる分の冷蔵施設については、向うからこつちへ持つて来てもよいのであります。但しいわゆる制度改革というものは現在の農林漁業公庫のねらいとは違うのであります。従つてそういう面から別個の特別会計法はどうしても必要である、こういうふうに考えております。
  94. 奧村又十郎

    奥村委員 大体われわれの聞くべきところは聞いたので、水産庁と大蔵省に要望を申し上げておきます。  まず水産庁に。大体漁業法実施に伴う制度改革に尨大な資金が必要であるということは今始まつたことではない。漁業法制定のときにこれはわかつてつたので、もう少し早くこれを取上げてほしかつた。ことしの券、この三月か国会が休会に入る前に、大蔵大臣、農林大臣に大蔵委員会にお越し願つたが、漁業権証券の金融については大蔵大臣は責任をもつて引受けてくれた。それで、それについては買上げ償還方法その他でもつて、大体われわれの希望通り行くものと思つた。しかし制度改革に伴う漁業権証券の金融以外に尨大な金がいるということ、これは寡聞にして今日まであまりわれわれの耳に入らなんだ。本来ならば昭和二十六年度の予算審議の際にこれは持ち出すべき問題である。かりそめにも五十億の金というものを一般会計から特別会計に繰入れるのならば、二十六年度の予算をつくるときになぜ待ち出さなんだというふうに、私は問題を持つて行かなくてはならぬ。その点水産銀行の問題がこの春以来いろいろ騒がれておつたときに、漁業権証券の金融以外に、制度改革に伴う金が必要だということの線がはつきりしておらぬということを、私は私の感じとして申し上げた。これは水産庁に対しての一つの要望であるが、大蔵省にもひとつ申し上げておきたい。政府として漁業法実施の責任があります。これは政府提案でつくつた。しかもこれは日本民主化の大きな命題であります。すでに土地改革が大体片づいて、漁業の民主化はことしこれから実施するので、その経済的な裏打ちである制度改革に伴うこの資金、これを大蔵省がもし冷淡に考えられるとするならば、この漁業法は全然空文に帰します。これは水産庁からたびたび説明があつたことを思いますが、私からもひとつ申し上げる。なぜならば、私はこの漁業法に対して賛成申したから、ひとつ耳に入れておきたいと思うのだが、これは農地改革と同じようで同じではない。農地改革は不在地主から土地を政府が買い上げて耕作者に渡す。買い上げて耕作者に渡せばそれでよかつた。ところが漁業の改革はそう簡単には参らぬ。定置網とか、あるいは旋網その他の漁業は、一統の施設に一千万円以上の資金がいる。あるいは小規模の漁業でも二百万円、三百万円の資金がいる。そういう莫大な資金のいる漁業を、従来の個人的な資本家あるいは会社から漁業権を取上げて、零細漁民の団体である協同組合に漁業権を渡そう、これが真に沿岸漁業の民主化になるということで、われわれはこの法律に賛成したわけです。そこで本来ならば漁業権証券の資金は従来の経営者のふところに入るのが多い。まあ漁業会にも入りますが、漁業会に入らない分もある。従つて制度改革に伴つて新たに零細漁民が団結して、そういう尨大な漁業をやろうという場合には、資金の裏づけがなければ全然この漁業法は空文に帰する。そこに水産庁の苦心がある。従つて漁業権証券の金融だけでなしに、もう一つ漁業制度改革のための資金が別にいる。これは非常に困難なことではあるが、これを実施するために、特に日本民主化の最後に残された点であるからして、どうぞこの点は大蔵省も御理解になつていただいて、何とか金融の措置を講じていただかなくてはならぬ。もしこの金融の措置が講じられないとするならば、おそらく漁業法は空文に帰するだろうし、そういうことになれば、おそらく自由党内閣は社会党あるいは共産党の諸君から、非常な攻撃を受けることになるのであるからして、その点は十分ひとつ御認識になつていただきたいと思うのであります。まだこまかい点はありますが、私は聞くべき点は聞きましたので、要望を申し上げて私の質問を終ります。
  95. 小山長規

    小山委員長代理 深澤君、質問がありますか。——深澤君。
  96. 深澤義守

    深澤委員 建設省の方にお伺いしたいのでありますが、この租税特別措置法の一部を改正する法律案の終りの部分であります。土地収用に伴つて交付される補償金の問題でありますが、大体土地価格が未定であります。農地改革関係法によります強制譲渡の反当価格は五千円となつており、また地方税の評価によりますと、賃貸価格の九百倍程度にきめられておるわけであります。一体今後起るであろうところの土地収用に伴う補償金は、どういうところに基準を置いてその価格を割出して行くのか。この点を先般お伺いしたのでありますが、これは建設省関係でなければおわかりにならないということで、おいでを願つたのでありますか、その点をひとつお聞きしたいのであります。
  97. 国宗正義

    国宗説明員 御質問の趣旨の土地収用による損失補償についてお答えいたします。土地収用法による損失補償は、収用、使用により通常受ける損失を補償するわけでありますが、この通常受ける損失の補償の中には、まず土地の場合におきましては、土地の価格があるわけであります。土地の価格と申しますのは土地の客観的な価格でございまして、一般的に取引せられる場合におきましては、その取引市場における価格をいうのであります。そのほかに特別な事由によつて生ずる補償、たとえば移転料、残地の補償、残地にさく、みぞ、通路等の新築、改築、増築または修繕をいたします場合の損失補償、今申し上げましたほかに、収用、使用によります通常生じ得る損失補償があるわけでございます。通常生じ得る損失の補償と申しますのは、移転の期間中における営業の損失、あるいは農地の場合におきましては離作料等でございます。従いまして損失補償と申しましても、通常生じ得る損失補償でございますが、そのうちには、あたかも任意売買の場合におきましての売買の対価の性質のものと、実物弁償、たとえば移転料のようなものは実物弁償でございます。それから慰藉料に類するような離作料と称するもの、その種のものが含まれておるわけでございます。それから具体的にどのようにして評価するかと申しますと、昨年の七月三十一日までは、土地の価格が創設農地についてはきめられておりましたが、その以後につきましてはその統制がないわけでございます。ないわけでございますが、大体今までと同じ標準に従いまして、土地の価格に離作料を加算いたしまして計算いたしますし、特別の事情によつて生ずる損失補償がありましたならば、それもその実情において計算いたしております。
  98. 深澤義守

    深澤委員 その法律解釈の趣旨はよくわかるのでありますが、一番中心になるのは、その土地価格の問題であろうと思うのであります。その土地価格を標準として、移転料あるいは離作料その他の損失補償が行われると思うのでありますが、その価格の決定が非常に問題になると思うのであります。その土地価格は、法律上抽象的にはそういうぐあいに解釈されるわけでありまして、今法律の解釈がされたのでありますが、しかし具体的にはなかなかはつきりしないのであります。たとえば土地価格はその土地における売買価格を標準としてきめるのか、それとも農地改革に基く政令によつて、強制譲渡の規定によりますれば五千円ということに大体きまつておる。また先ほど申し上げましたように、地方税の特別資産税の評価の点からも、やはり土地価格が一応出て来る。つまり法律を根拠とする幾多の土地価格が現在あるわけであります。どれをおとりになるのか。そういうものは全然無視されて、その土地々々における時価によつて評価されるのか、そういう点がわかつていないので、具体的にその点をお伺いしたいのであります。
  99. 国宗正義

    国宗説明員 お答えいたします。御質問のように、農地につきましては先買いたします場合の価格、現在の強制譲渡の価格、地方税法にいう価格があるわけでございますが、具体的に申しますれば、普通の田におきましては、昨年の七月以前は、土地価格は反当り七百五十円でございまして、現在の強制譲渡の価格は五千円であるわけでございますが、それでは安過ぎるのは明らかでございまして、実情もそういうものでは売買いたしておりませんので、これは現在も昨年の七月以前も同じでございますが、それに加えまして離作料と称するものを三万五千円ないし五万円、五万五千円ないし六万円くらいの見当で払つておるわけであります。従いまして地方税法の価格で申しますと、今具体的に覚えておりませんが、前の平均でありますが、一万八千円くらいになるわけでございます。それよりもうんと高くなりまして大ざつぽに申しまして、四万ないし六万というのが総手取りの価格なつておるわけでございます。それでは何を基準にしたかと申し上げますと、結局は収用いたします場合には、その前に任意売買に応ずる人が必ずあるのでございまして、その任意売買に応じた人の価格が五万円で応ずるとすれば、大体収用審査会におきましても、五万円という採決をいたしております。これは現行収用法の建前から申し上げますと、両当事者の申し出た価格でもつて民事訴訟法の原則に従いまして、当事者主義を十分に働かすわけには参りませんものですから、ある程度職権的に収用審査会できめております。収用審査会の構成メンバーは、ただいまでは土木部長と経済部長と地元の税務署長に、三名の県会議員が加わりまして、相当官憲的色彩のある委員でもつて構成しておるわけであります。そこでただいま国会に提案中の改正法におきましては、民主化いたしまして、学識経験者から選びまして、県会の同意を得た委員七名をもつて構成いたします。  それから土地価格につきましてはまつたく当事者の責任にまかすという理論が正しゆうございますので、当事者の申し出る価格でもつて、その範囲内できめる。そういたしまして弁護士を代理人といたしませんので、ある程度職権主義を加味いたしましたところで、正当な価格できめるように改正する予定になつております。
  100. 深澤義守

    深澤委員 土地価格の点については了承いたしました。そこでもう一つお伺いしたいのでありますが、先般もちよつとお聞きしたのでありますが、道路とか河川あるいは鉄道等の関係による土地収用が、二十五年度においては三十七件かあつたということが報告されておるわけであります。ところが先般もお聞きしたのでありますが、最近飛行場の拡張であるとか、あるいはいろいろな軍事施設の拡張等によつて、土地が相当つぶされて行つているのであります。これは土地収用を適用して行つているのか、それとも特別の処置をとつて解決されているのか、その点がはなはだ不明確でございます。東京都下等においても相当問題がありまして、特別調達庁等に参りましても、この点がはなはだ不明確であります。こういう点の処理はどういうぐあいにされているのか、この点をひとつ……。
  101. 国宗正義

    国宗説明員 今の御質問の趣旨が、具体的に明確を欠くように存ずるのでありますが、飛行場のための収用は、現行収用法においては認めておらないわけでございます。それからそのほかに土地物件収用使用令というポ政がございますが、その方におきましても、直接占領軍に調達するための収用ならば考えることとは存じますが、それは私らの方の所掌ではございません。それから改正収用法におきまして今考えておりますことは、民間航空飛行場のための収用すら、収用できる理由の中には列記されておりません。
  102. 深澤義守

    深澤委員 そういたしますと、現在、たとえば東京都下の横田の飛行場の拡張のために、土地がほとんど収用されておる状態があるのでありますが、それはこの土地収用によつてはやられていない。それは占領軍の直接的な処置として行われているというふうに解釈してよいですか。
  103. 国宗正義

    国宗説明員 横田につきましては、私の方に収用の事件は必ず通つて来るのでございますが、それは私のところへ来ておりませんから、おそらく収用法においてはやつておらぬと存じます。
  104. 深澤義守

    深澤委員 そういたしますとそういう占領軍関係の土地収用あるいは強制的な立ちのき等が行われておるのは、これは建設省関係としては何ら今まで扱つたことはない、こういうことになつておるのですか。全然あなたはそういう問題については今までタツチされない。おそらく土地収用法による収用でなしに、ほかの形において解決されているだろう、こういうふうに今言われたと思うのですが、そういう状態なんですか。全然ないのですか。
  105. 国宗正義

    国宗説明員 御質問の、あるかないかにつきましても、私自身は承知いたしておりませんことを、ひとつ申し上げなければならぬと思います。  それから収用法に基く収用というものは、大臣が決裁するのでございますが、事務的には私らの方で処理を見ておりますが、その事件は最近におきましてありません。
  106. 小山長規

    小山委員長代理 本日はこれにて会議を終ります。     午後四時十七分散会