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奥村委員 大体われわれの聞くべきところは聞いたので、水産庁と
大蔵省に要望を申し上げておきます。
まず水産庁に。大体漁業法実施に伴う
制度改革に尨大な資金が必要であるということは今始まつたことではない。漁業法制定のときにこれはわか
つてお
つたので、もう少し早くこれを取上げてほしかつた。ことしの券、この三月か国会が休会に入る前に、大蔵大臣、農林大臣に大蔵
委員会にお越し願つたが、
漁業権証券の金融については大蔵大臣は責任をも
つて引受けてくれた。それで、それについては買上げ
償還の
方法その他でも
つて、大体われわれの
希望通り行くものと思つた。しかし
制度改革に伴う
漁業権証券の金融以外に尨大な金がいるということ、これは寡聞にして今日まであまりわれわれの耳に入らなんだ。本来ならば
昭和二十六年度の予算
審議の際にこれは持ち出すべき問題である。かりそめにも五十億の金というものを
一般会計から特別会計に繰入れるのならば、二十六年度の予算をつくるときになぜ待ち出さなんだというふうに、私は問題を持
つて行かなくてはならぬ。その点水産
銀行の問題がこの春以来いろいろ騒がれておつたときに、
漁業権証券の金融以外に、
制度改革に伴う金が必要だということの線がはつきりしておらぬということを、私は私の感じとして申し上げた。これは水産庁に対しての一つの要望であるが、
大蔵省にもひとつ申し上げておきたい。
政府として漁業法実施の責任があります。これは
政府提案でつくつた。しかもこれは日本民主化の大きな命題であります。すでに土地改革が大体片づいて、漁業の民主化はことしこれから実施するので、その経済的な裏打ちである
制度改革に伴うこの資金、これを
大蔵省がもし冷淡に考えられるとするならば、この漁業法は全然空文に帰します。これは水産庁からたびたび説明があつたことを思いますが、私からもひとつ申し上げる。なぜならば、私はこの漁業法に対して賛成申したから、ひとつ耳に入れておきたいと思うのだが、これは農地改革と同じようで同じではない。農地改革は不在地主から土地を
政府が買い上げて耕作者に渡す。買い上げて耕作者に渡せばそれでよかつた。ところが漁業の改革はそう簡単には参らぬ。定置網とか、あるいは旋網その他の漁業は、一統の施設に一千万円以上の資金がいる。あるいは小規模の漁業でも二百万円、三百万円の資金がいる。そういう莫大な資金のいる漁業を、従来の個人的な
資本家あるいは
会社から漁業権を取上げて、零細漁民の団体である協同組合に漁業権を渡そう、これが真に沿岸漁業の民主化になるということで、われわれはこの
法律に賛成したわけです。そこで本来ならば
漁業権証券の資金は従来の経営者のふところに入るのが多い。まあ漁業会にも入りますが、漁業会に入らない分もある。従
つて制度改革に伴
つて新たに零細漁民が団結して、そういう尨大な漁業をやろうという場合には、資金の裏づけがなければ全然この漁業法は空文に帰する。そこに水産庁の苦心がある。従
つて漁業権証券の金融だけでなしに、もう一つ漁業
制度改革のための資金が別にいる。これは非常に困難なことではあるが、これを実施するために、特に日本民主化の最後に残された点であるからして、どうぞこの点は
大蔵省も御理解に
なつていただいて、何とか金融の
措置を講じていただかなくてはならぬ。もしこの金融の
措置が講じられないとするならば、おそらく漁業法は空文に帰するだろうし、そういうことになれば、おそらく自由党
内閣は社会党あるいは共産党の諸君から、非常な攻撃を受けることになるのであるからして、その点は十分ひとつ御認識に
なつていただきたいと思うのであります。まだこまかい点はありますが、私は聞くべき点は聞きましたので、要望を申し上げて私の質問を終ります。