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1951-03-29 第10回国会 衆議院 大蔵委員会 第45号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十九日(木曜日)     午前十一時十一分会議  出席委員    委員長 夏堀 源三郎君    理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君       有田 二郎君    大上  司君       川野 芳滿君    佐久間 徹君       清水 逸平君    高間 松吉君       塚田十一郎君    苫米地英俊君       西村 直己君    三宅 則義君       水田三喜男君    宮幡  靖君       内藤 友明君    宮腰 喜助君       田中織之進君    松尾トシ子君       竹村奈良一君    深澤 義守君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 池田 勇人君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      佐藤 一郎君         大蔵事務官         (銀行局長)  舟山 正吉君         大蔵事務官         (銀行局預金部         資金課長)   高橋 俊英君  委員外出席者         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 三月二十八日  石油及び石油製品に対する関税撤廃請願(田  中不破三君紹介)(第一五六六号)  漁業用石油類に対する関税撤廃請願奧村又  十郎紹介)(第一六二八号)  関税定率法の一部改正に関する請願三木武夫  君紹介)(第一六二九号)  とうもろこし、こうりやん及び種卵に対する関  税撤廃請願千賀康治紹介)(第一六四五  号)  とうもろこし及びこうりやんに対する関税撤廃  の請願千賀康治紹介)(第一六四六号)  公務員の新退職給與制度確立に関する請願(青  木正紹介)(第一六五六号)  資金運用部資金法制定に関する請願外一件(早  稻田柳右エ門紹介)(第一六五八号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  国家公務員等に対する退職手当臨時措置に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出第  三九号)  農林漁業資金融通特別会計法案内閣提出第六  三号)  資金運用部資金法案内閣提出第七一号)  郵便貯金特別会評法案内閣提出第七三号)  会計法の一部を改正する法律案内閣提出第七  五号)  資金運用部特別会計法案内閣提出第七六号)  資金運用部資金法施行に伴う関係法律整理  に関する法律案内閣提出第八六号)  公庫予算及び決算に関する法案内閣提出第  一〇三号)  日本開発銀行法案内閣提出第一二八号)     —————————————
  2. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 これより会議を開きます。  資金運用部資金法案郵便貯金特別会計法案会計法の一部を改正する法律案資金運用部特別会計法案資金運用部資金法施行に伴う関係法律整理に関する法律案、及び日本開発銀行法案の六案を一括議題といたします。資金運用部資金法案について政府委員より概略の説明を求めます。
  3. 舟山正吉

    舟山政府委員 資金運用部資金法の各條項につきまして、主要点を御説明申し上げたいと存じまするが、その前にこの法案の御審議につきまして、いろいろ御心配を願つておるのでございますが、実は二十五年度もあさつてまでとなつております、そこでこの会計年度のかわりに際しまして、早くこの資金法が成立いたしませんと、いろいろの事務的な支障あるいは経済的な支障があることを、一言申し上げさしていただきたいと思うのでございます。  今回この資金運用部資金法を提案いたしました経過につきましては、すでに再三申し上げておるのでございますが、現在大蔵省預金部制度におきましては、二十一年の司令部指令に基きまして、その資金運用がきわめて限定されております。すなわち国債及び地方債に対する投資を中心としておるのでございますが、この預金部資金産業界に還流せしめることの必要性緊要性ということにつきましては、天下をあげての要望でございまして、これを再三司令部に折衝いたしました結果、預金部をこの際根本的に改組いたしまして、ドツジ氏から授けられました方針にのつとつて資金運用部改組する、こういうことを前提といたしまして、金融債引受を認められることになつておるのでございます。そこで昨年の暮れ、二十五年度の資金計画といたしまして、もしこの改組に関する法律案が通るなら、二十五年度においては、二百億の金融債引受を認めよう、さらに来年度におきましては、四百億の金融債引受を認めようという内約があるわけでございます。この指示に基きまして、今年度におきましては、すでに金融債は昨年の暮れの二十億から始めまして、発行を見ておるわけでございまして、ただ三月分の六十七億というものが残つてつたのでございます。ところがこの資金運用部資金法案審議が進みませんために、との三月分の金融債発行分六十七億につきましては、まだ引受承認が参つておりませんので、この月末に興業債券勧業債券等引受を予定しておつたのでありますが、それも実行不可能になりまして、ごく僅少の市中消化分発行のみをいたしたというようなことになつておるのでございます。さらにこの状態のままで進みますならば、四月になりまして大体四月、五月、六月、各月三十億内外の金融債引受を予定しておるのでございます。その費途といたしましては、たとえば興業債券勧業債券等におきましては、目下緊要とされております船舶の建造資金、あるいは農林債券関係におきましては、国会でも非常に問題になつております農業災害共済保険つなぎ資金——預金部資金でもつて農林債券引受けまして、農林中金からつなぎ資金を出すということになつておるのでございますが、これらがすべて実行不可能になるのでございます。これらは経済問題といたしまして大きな重要問題でございまして、現に三月分の金融債発行ができなくなることに対しまして、銀行方面でも非常に狼狽いたしまして、この資金計画に大きな齟齬が来たことにつきまして、善後措置と申しましても、ほとんど手の打ちようがないような状態で、各方思痛いたしておるような次第でございますので、この資金運用部法案の御審議につきましては、これらの点も十分御参酌願いたいと存ずるのでございます。  さてこの法案のおもなる内容につきまして、便宜上ごく簡単におもなる條項を拾いまして御説明申し上げたいと存じます。預金部改組根本眼目につきましてはすでに申し上げましたが、大体全部と申しますのは、郵便貯金の金を主として運用する、こういう建前で、明治初年から参つたのでございます。この際政府の各特別会計にありまする資金は、一箇所に統合管理いたしまして、確実かつ有利な方法運用し、国民経済全体の利益を増進するという建前をとろうとしておるわけでございます。そこでこの資金運用部には、法制上必ず預託しなければならない資金、それからその他の余裕金につきましても、資金運用部預託する以外の方法では、運用を認めないというものとわかれて来るのでございます。  第二條にはこの資金運用部預託しなければならない資金規定したのでありまして、第一項は郵便貯金の金でございます。細目につきましては、この法文をごらんいただけば、文字通り判明いたすと思いますので、そういう点は説明を省略いたします。それから第二項に参りまして、政府特別会計積立金は、これを必ず資金運用部預託しなければならないということになつておるのでございますが、ただ簡易生命保険積立金等保険契約者等に貸し付ける場合には、資金運用部への預託は不要としたわけでございます。  それから第三條は、従来国庫余裕金は日本銀行に預入するか、あるいは短期運用するかにとどめまして、預金部預託することはなかつたのでありますが、ここに資金運用部預託することができることといたしことでございます。第二項は、特別会計余裕金資金運用部預託する方法以外には、運用してはいけないということをうたつたものでございます。但し国債整理基金特別会計国債を保有するのは、この特別会計本来の目的でありますので、これを除外したのでございます。こういうふうにいたしまして、資金運用部預託せられました資金につきましては、今度預託方法を従来に比べまして改善いたしまして、預託いたします側の各特別会計に、非常に有利なようにいたしたのでございます。すなわち現在の大蔵省預金部におきましては、普通預金方法と、それから六箇月以上の定期預金方法とございました。定期預金におきましても、年三分五厘の利率をつけておつたのでございますが、これらの預託金性質上非常に長期な金が多いと思うわけでありますが、現行のような制度では、預ける側にとつて不利益な点がありますので、今度は預託期間の長短に応じまして、最低三分五厘から最高五分五厘までの利率をつけるということにいたしたのでございます。それでありますから、郵便貯金とか簡易生命保険の側に立ちますると、それらの資金相当性質長期なものでありまして、最高五分五厘の運用利益を得るという恩典に浴する場合が非常に多くなつたのでございます。こういうふうに預託期間を限りますが、もし当初約束いたしました期間以前に払いもどします場合には、その本来の運用利率から幾分低目に利子を付するという趣旨を、四項にうたつておるのでございます。  それから次に重要なる事項は第七條でございまして、「資金運用部資金は、左に掲げるものに運用することができる。」といたしまして、「国債」、「国に対する貸付、」これは御説明を要しないと思います。それから次に「法律の定めるところにより、予算について国会議決を経、又は承認を得なければならない法人発行する債券」、及び第四号の「前号に規定する法人に対する貸付」でございまして、いわゆる政府機関に対するものでございます。国鉄とか専売公社とかその他公庫の類、すべてこれに入るわけであります。それから次に「地方債」及び「地方公共団体に対する貸付」、これも御説明はいらないかと思います。それから第七号に参りまして、特別の法律により設立された法人でありまして、国とか政府機関また地方公共団体以外の出資のないものであつて、特別の法律により債券発行し得るものの発行する債券、並びに「前号に規定する法人に対する貸付」、「これはたとえば土地改良区域のごときものが入るのでございます。預金部の昔からの行き方から申しまして、公共組合といつたようなものに類似する法人でございます。大体以上申し上げました運用範囲は、現在でも認められておるところでありますが、さらにこの際改組を機会といたしまして、第九号におきまする金融債引受が認められたのでございます。その経済的意味につきましては、ここに御説明を省略いたしますが、ただこれらの金融債引受と申しますものは、国または地方公共団体に比べまして、その安全性において若干の逕庭がございますので、運用総額というものを二項、三項において制限をいたしたのでございます。すなわち金融債運用する資金運用部資金の額は、資金運用部資金総額の三分の一を越えてはならないといたしたのでございます。大体戦前におきましても、金融債等公共団体以外に対しまする債券引受あるいは貸付金は、預金部資金の三分の一程度の実績を持つてつたのでありまして、この程度ならば安全性を確保しつつ、相当の需要をまかなえると思うのでございます。なお第三項にもう一歩進みました制限があるのでございまして、一つ金融機関発行する金融債につきましては、五割を越えてはいけない。興業銀行とか勧業銀行とか各金融機関別に、その発行いたします金融債総額の五割以内ということになつております。さらに一つ金融機関の一回に発行する金融債の六割を越えてはならない。言いかえますれば、一回に発行いたします金融債の四割は、市中消化をしなければならないということであります。これは資金運用部資金でもつて、普通では発行できない金融債を全額引受けることによつて資金運用部にはからざる危険を与えてはいけない。市中でも円滑にある程度消化せられ、その安全性について市中もこれを確認するというものについて、資金運用部もそれにつき合つてよろしいて、こういう趣旨規定であります。なお資金運用部が持ちます金融債は、市中條件並でなければならないということを、後段にうたつておるのでございます。  次に第八條は、資金運用部資金運用審議会設置の点でありますが、これも従来の預金部時代におきますよりは、非常に改善されたのでございます。すなわち大蔵省預金部資金運用審議会は、大蔵省内に設置せられまして、大蔵大臣諮問機関であつたのでございますが、これを政府資金がすべて資金運用部に統合せられ、これが国民経済全体の利益のために、運用せられなければならぬということになりましたにつきましては、この審議会内閣総理府付属機関として、設置するということにいたしたのであります。それは第八條規定するところであります。なおその構成員は、第十條の示す通りでございますが、十一條におきまして、内閣総理大臣会長となり、大蔵大臣及び郵政大臣審議会の副会長となつて会長を輔佐するということになつております。この審議会は、大蔵大臣資金運用に関する諮問機関でございます。  その他の規定は手続的な規定が多いので、特に御説明は要しないかと思いますが、附則におきまして、若干の経過規定等を設けております。大体第九項におきまして、この法律施行の際、政府特別会計積立金運用にかかる有価証券及び貸付金は、この統合管理趣旨に照しまして、資金運用部に一括帰属するということになるのでございますが、ただこの際におきましても、簡易生命保険郵便年金特別会計の便宜をはからいまして、十項におきまして、現在そちらに属しております有価証券の保有、及び保険契約者等に対する貸付等につきまして、この資金運用部にただちに移管することをいたさない。それらの運用が終了いたしますまでは、そちらの特別会計に置いて参るということにいたしまして、そちらの特別会計におきまする関係人員の急激なる減少、その他によりまする不安というものを除いた次第でございます。それからなお十八項におきまして、先ほど来問題になつておりまする簡易生命保険独立運用の問題につきまして、これはこの簡易生命保険法に、その資金にそちらの特別会計運用するという趣旨規定がございますのを削りまして、統合運用の精神を明確にいたしたいと考えてるのでございます。十九項は郵便年金法に関するもので、十八項の簡易生命保険に関しまする問題と同一でございます。  以上資金運用部資金法案の、主要点につきまして、簡単に御説明申し上げた次第でございます。
  4. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 御質疑はありませんか。
  5. 田中織之進

    田中(織)委員 資金運用部資金法案についてお伺いをいたしたいのでありますが、これはわれわれの聞くところでは、いわゆる預金部資金運用に関するドツジ氏の覚書に基いて、政府関係資金の一元化をねらつたものであると思うのでありますが、すでに銀行局長も御承知のように、この法案のうちで一番問題になつておる点は、郵政省所管簡易保険積立金並びに郵便年金資金運用及び預託の問題でございますが、大蔵省としては、従来たびたび国会でも、この問題はいわゆる郵政省設置法並びに簡易保険法関係規定されておる通りに、郵政省にこの運用を現在残しておるものが、従来相当の行きがかりがあつて預金部に一時的に預託することになつたものがそのまま引続き踏襲せられ、今度の法律でそれが決定的に大蔵省の方に持つて行かれるということになるので、郵政省関係、ことに保険並びに年金関係の実際の資金を集める方の仕事に従事しておるものから、郵政省関係保険事業むしろ存立にも影響するということで、猛烈に反対をいたしておるわけであります。ドツジ覚書とそれから従来の国会全会一致議決との関係、並びに郵政省及び簡易保険関係法律にありまする、郵政省にこの運用権を認めて参つたこととの間の調整については、大蔵当局として従来どういうようにやられて来たか。またこの法案提出にあたつては、この間の調整についてどういう努力を払つたかということについて、まずお伺いしたいと思います。
  6. 舟山正吉

    舟山政府委員 簡易生命保険積立金資金運用部への移管の問題につきましては、すでに当委員会ほか各方面委員総相当論議せられましたところでございまして、大蔵大臣もそれに対しましていろいろ答弁しておる次第でございますので、あまり詳しくは繰返すことを避けたいと存ずるのであります。私どもの見解といたしましては、これらの政府資金をどこかで統合管理して、むだなく最も能率的に国民経済全体のために運用する。しかもその際には政府財政政策金融政策と一体となつてこれを行うということが、きわめて適切なることであろうと思うのでありまして、その意味においてそれをだれが所管するかという問題については、財政金融当局である大蔵省がこれをやるということが、唯一の道であろうと考える次第でございます。この法案におちつくまでにはいろいろの経過もあつたことは、すでに論議せられたところでございますが、こういう簡易保険につきまして、運用面大蔵省移管することによつて簡易生命保険自体の発展ということを阻害しはしないかどうかということにつきましては、これは政府部内においてそれぞれ担当の部局において担当する仕事を、それぞれ専念してやるわけであります。また大蔵省としまして、簡易保険の発達につきましても非常に関心を持つており、必要なことであると考えておるのでございますが、運用面大蔵省においていたすということにいたしましても、決してそれを阻害するものではない、こういう考えを持つているのでございます。
  7. 田中織之進

    田中(織)委員 その点は従来から論議せられて来た点でありますけれども、国会議決いたしましたのはたしか臨時国会であつたかと思うのでありますが、議決をいたしたときの事情というものは、私何ら変更を見ていないと思う。その意味において政府が衆議院の意思を無規して、特に郵便年金積立金並びに簡易保険代金資金運用を、全部大蔵省に持つて行くということは、われわれその議決に参加したものとしてはきわめて遺憾に存ずるのであります。その意味でこれがなぜそういうことになつたかということについては、大体預金部資金運用方針について、いわゆるこの資金の成り立つて来ているものに対する還元の問題が十分に行われていないところに、根本的な原因が胚胎すると思うものであります。われわれの承知しているところでは国会議決があり、あるいは閣議決定がなされているにもかかわらず、今度のドツジ書簡が出て、このドツジ書簡の解釈の問題でも、大蔵当局考えているのと、われわれがこの書簡をそのまま公正なる立場で見る場合においては、必ずしもこの資金運用大蔵省に持つて行かなければならぬというようにい覚書の中にそういう積極的な内容が見られるかどうかということについては、私はこれは議論の多分に存在するものだと思うのであります。大体こういうドツジ書簡の出るについては、大蔵省は従来のそういう方針を、率直な言葉で言えば、哀竜のそでに隠れるような意味で、ドツジ氏に要請をしたのではないかという疑いすら持たれております。ドツジ書簡が出るのについて、大蔵省の方で、私は率直に申しますが、そういう工作をしたという疑惑相当持たれておるのでありますが、はたしてそういう疑惑が単なる疑惑であるのかどうか。この際銀行局長から明確にお答え願いたいと思います。
  8. 舟山正吉

    舟山政府委員 簡易保険積立金移管につきましては、両院議決等払つたのでございますが、しかしいろいろの論議を拝聴しておりますと、基礎的な事実について誤解もあるようであります。両院でいろいろ御意見もあり、また閣議簡易保険積立金運用独立を御計画なつたということは事実でございますけれども、しかしこの問題は、根本問題としましては二十一年の司令部指令がございまして、簡易保険積立金大蔵省預金部に預入しなければならぬことになつておるのでございます。現状までのところ、その指令は生きておるのでありまして、これを国内的にあるいは簡易保険積立金独立計画するということになりましても、この占領下におきましては司令部指令変更につきまして承認が得られない限りは、これは実現できない問題であるのでございます。大蔵省としましては、金融面からこの預金部資金運用の拡大を計画いたしまして、再三司令部と折衝したのでございますが、昨年の秋になりまして、これを金融債まで運用拡張するということが、ただ預金部改組條件として認められたわけであります。財政金融担当者といたしましては、これらの資金は全部統令して一元的に運用することが最も効率的である、こういう考えを持つておるのであります。司令部におきましても、ドツジ氏等の見解はやはりこれと同様であつたのでありまして、特にこちらから覚書発動等を要請したということはないのでございます。大体この法案に盛られておりますような趣旨で、司令部から指導せられて参りました。ただ最後の瞬間に、その司令部趣旨を明確にする意味において、覚書という形になつて出たかと存じますけれども、決してこちらから覚書発動を要請するとか、あるいはこれをたてにとつて、われわれの気持を強行しようということは絶対ないのでございます。財政金融担当者といたしましては、日本政府におきましてもまた司令部におきましても、当然こういうような考え方におちつくものであると考える次第であります。
  9. 田中織之進

    田中(織)委員 それでは次にお伺いをいたしますが、この法案の第一條目的に関連しての問題であります。これはわれわれの読み違いかもしれませんけれども、ドツジ覚書を見る場合に、結局受入れたすべての資金という表現がなされておるのでありますが、この内容については、受入れなければならない資金のいわゆる名目というものが、明確に規定されておらないと思うのであります。その点から考えまして、同時に簡易保険及び郵便年金関係につきましては、これは預金部預託すること、これは第三條の関係と関連を持つた来るわけでありますけれども、国庫余裕金預託することができる、こういうことになつておる関係との間において、どうしても一元的な運営という面を、銀行局長は強調せられるのでありますけれども、私は預託することができるという第三條の国庫余裕金に関する規定の問題と、それから覚書にありまする受入れたすべての資金という表現がありますけれども、その資金のうちどうしても受入れなければならないという資金名目が明確でない場合に、この郵便年金及び簡易保険積立金関係資金預金部に統合するという根拠が、どこから出て参るかということについて御説明を願いたい。
  10. 舟山正吉

    舟山政府委員 ただいまの御質問は、法律條項で申しますと、第二條に、特に第二項に政府特別会計剰余金を積み立てた積立金は、すべて資金運用部預託しなければならないと規定してございまして、すなわち積立金はすべて預託を義務づけられておるのでございます。ただ余裕金の方になりますと、第三條におきまするように預託することができるという任意規定でありますけれども、しかしこの資金運用部への預託以外には運用してはならない。ただ一時の余裕金として保有するということは認めておるのでございますが、いやしくも運用ということになると、資金運用部預託しなければならない、こういう趣旨をうたつてあるのでございます。
  11. 田中織之進

    田中(織)委員 そうすると、次にこの資金運用の問題についてでありますが、現在郵政省関係運用しておる三十数億の資金があるのでありますが、この法律がかりに成立をしました場合に、従来の取扱いから郵政省の方で運用を認めておる三十数億の問題も、当然これは大蔵省において一元的に運用するという建前からいたしまするならば、郵政省から大蔵省に移す御方針であるかどうか。
  12. 舟山正吉

    舟山政府委員 ただいまの御質問の点は、附則の十項に規定してございます。すなわち現在この法律施行の際に、簡易保険の方で保有しております約三十六億円ばかりになるのでありますが、これはその運用が終了するまで、大蔵省には引継がないでよろしいということに相なつております。
  13. 田中織之進

    田中(織)委員 私はそれはもちろん附則にあることは承知しておるのでありますが、そこに今度の預金部資金の一元的な統合運営という法案に出て来る不徹底さがあると思うのです。従つてこの点が、おそらくわれわれの聞くところでは、閣議でも問題になつて、一種の妥協的な産物として附則ができて来たのではないかという疑いを、われわれは持つておるわけでありますけれども、銀行局長説明せられるように、またこの法律の本條において明示しておるように、こういう資金の一元的な資金部による把握、大蔵省による一元的な運用という建前から見ますならば、現在郵政省にあるものについても、これは大蔵省へ持つて行くべきなんだ。これはもちろんこの資金の回収ができるまでとか、そういう時間的な制限はつけておりますけれども、三十数億のものが郵政省残つておるということは、私はその他の部分——約三百億以上になると思うのでありますが、そういうものも、これは郵政省関係に残しておいても、十分その点の運用について大蔵省郵政省間の連繋によつて、いわゆる国による一元的な運営方針によるところの運営は期せられると思うのであります。その点はもしこの法律が一元的な運営と統合ということをねらいとするならば、そういうことを残しておくことは私は不徹底だと思いますが、その点に対する銀行局長の所見を伺つておきたい。
  14. 舟山正吉

    舟山政府委員 統合管理運営という建前を貫きますれば、現在簡易保険運用しております三十数億円のものにつきましても、これを資金運用部に統合すべきであると考えるのであります。私ども事務当局の最初の考えといたしましては、その方針を堅持しておつたのでございますが、この簡易保険におきまする機構の急激なる縮小等は、相当不安定な状態をかもし出すおそれもあるといつたような政治的な考慮もございまして、かつ従来すでに投資せられておりますものは、そのままにしておきましても、その金額から申しましても、大勢にはあまり影響はあるまいという見地も加えまして、簡易保険の方に置いて参ることにしたのでございます。しかしこれから蓄積されて参ります新しい資金につきましては、やはり資金運用部におきまして統合いたしまして、一元的な見地から運営することが必要である、こう考えておる次第でございます。
  15. 田中織之進

    田中(織)委員 ただいまの銀行局長の御説明でも、まだ実は納得できないのであります。やはり簡易保険関係で三十六億運用しておる分については、簡易保険関係の機構を急激に縮小するわけにも行かないから、これが区切りがつくまで郵政省関係に残しておくというならば、私は郵政省関係から参りますものを、同一の政府部内でありますから方針だけをきめて、私は金が入つて来た窓口において、十分その資金の特殊性というものを生かした運営を行つて、さしつかえないものだと考えるのであります。その点については、これは見解の相違だと言えばそれまででありますが、まだ私はただいまの説明だけでは納得できない。この点についての大蔵省郵政省との間の話合いにおいて、どうも大蔵省国会議決その他——大蔵大臣郵政大臣と連名で司令部へこの国会の決議に基いての実行を要請したこと等についての、司令部の返事が得られないという関係、その他から見た一種の妥協的なもので、その点から見るならば不徹底である。もしこういう不徹底なもので、三十六億のものがそのまま残されるたらば、私はむしろ従業員諸君が、これは従来とも相当公共団体その他の関係にこの資金が使われるのだということで、年金並びに簡易保険積立金が集められて来ておる実情から見まして、こういう無理押しをするというと、現在預金部資金の中で、いわゆる大衆的な基礎において蓄積されて来る部分が減少することは必至だと思うのであります。そういう点から見て考えなければならないと思うのでありますが、今銀行局長の御答弁を伺つておりますと、この部分だけで、新たに今後吸収されて来る部分については、現在の三十億とは別個の取扱いで、もちろん大蔵省で一元的な運営をやるのだということであります。この三十六億の現在あるものは、これはやはりどうしても簡易保険事業をやる関係から見まして、郵政省で直接出して来た金だと私理解しておるのでありますが、この三十六億限りで、あと保険並びに年金、特に保険関係で入つて来る金は、全部的に預金部で実際問題として運用できるか。この三十六億の関係は、簡易保険事業を遂行して行く過程で、どうしても必要なものだから、郵政省の所管で従来から三十六億というものが運営されて来たと思うのでありますが、その点を現在出ておる三十億だけで、今後残りの部分を全部預金部へ統合するのだということであれば、その点についてはどういう御処置をなさるお考えでありますか。
  16. 舟山正吉

    舟山政府委員 この三十六億ばかりの金につきましては、二十一年の司令部指令によりまして、簡易保険積立金預金部に一括統合しなければならぬことになります以前、簡易保険において運用した金であります。この運用につきましては簡易保険運用するということになりまして、そちらでもまた運用機構を持ち、それからまた簡易保険でも、その運用はやはり国家的な広い視野に立つてやらなければならぬことでありますので、そちらでもたとえば運用審議会のようなものでも設けなければならぬ、こういうことになると思うのでございますが、そういうふうに国家の行政機構をいろいろ重複させて存立せしめるといつたようなことが、はたして官庁機構の合理化ということの見地から見まして適当であるかどうか。これは私は議論の余地のないことではないかと考える次第でございます。それからなおこの三十六億ばかりの運用資産につきましても、十一項にございますように、回収金がありますと、これは資金運用部預託されて参る。だんだんとその簡易保険運用しております資産は減つて行くことになるのでございます。
  17. 田中織之進

    田中(織)委員 私なお運用審議会の問題その他について、二、三お伺いしたいのですが、ほかの用がありますので、その点を残しておきたいと思います。
  18. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 その他御質疑ありませんか。
  19. 深澤義守

    ○深澤委員 私はこの法案内容に入る前に、先般大蔵省からだと思いますが、資金運用部資金法案審議保留のため支障を生ずべき重要事項、こういう資料が出ております。この第二の項目の中に、たとえば資金運用部予算が成立しても、この法案が通らないと預金部のままでは非常に運営が困つて来る。たとえば俸給、手当あるいは旅費等の支弁は一切不可能となる。この空白に対して数百万円の事務費の程度を、個人の責任において銀行等からの借入れでつないでおくことをしいるというのは、国会がみずから予算に関する権限を放棄するものであるから、ゆゆしい問題を提起する。こういう文句を使つて、この法案の早期通過を要望しているがごとき意味が含まれているのでありますが、国会みずから予算に関する権限を放棄するものであるから、ゆゆしい問題を提起するという言葉を使つて、そうしてこの法案審議を強く要求しておる趣旨は、それは通したい趣旨はわかるとしても、どうもこういう言辞を使つて国会にこの予算の通過をしいるということは、非常に私は事務当局として適当な表現ではないと考えるのでありますが、この点の趣旨をお伺いしたい。
  20. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 委員長よりただいまの質問の点についてお答えいたします。これは委員長としても、この内容を十分に検討しておきたい、こう存じましたので、もしこれが今議会で通らぬ場合にはいかなる支障を来すかこれを事務的に検討せよということを命じたのであります。それで事務的にこれを検討して、こういう結果になるという刷りものができたということを聞いておりましたが、昨日私は休んでおりまして、これは委員諸君全部に配付することは、まだ時期が早いじやないかと考えておりました。ところがそれをどこから手に入れたかよくわかりませんが……。
  21. 深澤義守

    ○深澤委員 昨日配付になつたのです。
  22. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 そうですか。よくわかりませんが、事務当局の方で、御親切にあなた方にそれを徹底させるために、事務当局の責任において配付したこと考えております。これは政府の方の何ではありませんので、御了承願います。
  23. 深澤義守

    ○深澤委員 事務当局というのは……。
  24. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 専門室方です。もしそれを御検討をなさつて間違つた点がありますれば、それは政府の責任ではなくして、専門室の方で何かお考えのあることであろうと思いますけれども、私責任者でありますので答弁いたします。
  25. 深澤義守

    ○深澤委員 それではこの問題について、委員長に、専門委員室に対する十分の御警告を願いたいと思います。「国会自ら、予算に関する権限を放棄するものであるから、由々しい問題を提起する」。というような用語は、私はきわめて不穏当であると思う。この点については委員長は十分調査せられまして、ひとつ警告を発していただきたいと思います。
  26. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 まだ私何も見ておりませんので、検討して適当に処置いたします。
  27. 深澤義守

    ○深澤委員 それでは法案についていささかお伺いしたいと思います。  第四條の資金運用部に対する預託金に対する利子の問題でありますが、これは予算説明書にもありますように、郵便貯金に対する経費のコストというものは六分七厘もかかつておるわけであります。これを資金運用部預託いたしますと、期限の最高の五年以上のものでも五分五厘ということになりますと、郵便貯金の方では非常な損失をこうむるわけであります。従つてこの郵便貯金に対して、一般会計から大体十五億二千五百四十二万七千円の繰入れをしなければならぬという大きな穴が、実はすでに出ておるわけであります。これは今度の資金運用部にこの郵便貯金等を統合するための無理が、ここに一つ現れて来ていると私は思うのです。おそらく今後継続的にずつと一般会計から毎年のように、この郵便貯金特別会計に対する繰入れが行われて行く可能性があると私は思うのです。従つてここに預金部資金あるいは郵便年金その他のものを集中し、これを統合操作して行くこの運用資金運用の反面において、国民の税金の中から毎年々々このような犠牲をしいなければならぬという結果になると思うのでありますが、この点についての御見解をひとつ承りたいと思います。
  28. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 ただいまの点について、これは実はこの法案によつて預金部制度資金運用部と切りかわる際に起つた一つの現象でありますが、御質問の要旨は、郵便貯金が赤字を出すために年々繰入れを要する、一般会計の負担が生ずるという点でございます。実はただいままでの預金部の機構におきましては、郵便貯金はあたかも預金部の直営事業であるような形をとつて参りました。すなわち他の預金に対しましては、利子を支払うだけでありまして、その経費を特別に見るということはございませんでしたが、郵便貯金として受入れた現金は、これをただちに預金部預金とすることに今までなつておりました。それで預金部特別会計予算におきましては、郵便貯金の利子を直接預金部から支払うような建前で計上いたしております。それから郵便貯金関係で要しまする経費は、たとえば昭和二十六年度においては七十数億円を要しますが、その経費は預金部特別会計の歳出に掲げまして、これを郵政省のプールの会計であるところの郵政事業特別会計に繰入れるような建前をとつて参つたのであります。つまり郵便貯金は直営事業であつて、それを母体とするところの預金部が他の会計の預金を預かる。それに対しては、銀行と同じように利子だけを払う、こういう建前をとつて参りましたので、郵便貯金が一時非常に高いコストがかかりまして、一割にも達したことがございますが、そのような関係預金部がみずから赤字を出して、その赤字のためにたずいままで————つまり本年度初めて均衡したのですが、昨年度までに一般会計から繰入れを受けた赤字の累計は、七十数億円に達しておるのであります。今回はこの制度を改めまして、郵便貯金は今までの他の会計の預金とまつたく同じ取扱いをする。郵便貯金だけがいくら経費がかかりコストが高くなつても、赤字という問題は起らなかつた。それは預金部の赤字として現われておつたのであります。今度は郵便貯金独立いたしまして、郵便貯金特別会計設置いたしまして、簡易保険特別会計とまつたく同列の立場において、預金部から利子の支払いを受ける、かような関係になりました。その際にこの利子をきめる場合には、五分五厘をもつて最高といたしましたのは、国債の利子が五分五厘でございます。それで資金運用部の主たる運用は、今後においても国債地方債に重点が置かれるわけでございまして、そのようなものの金利を————運用による金利が五分五厘程度になる。ただいま地方債は六分五厘でありますが、われわれとしては一時も早く採算のとれる限りは、五分五厘まで持つて行きたいつもりでおります。そういうところから最高金利を五分五厘と定めたのでございますが、そのために生じました郵便貯金会計の赤字に対しましては、一般会計から繰入れることといたしまして、二十六年度におきましても十五億円余りの繰入れを予定しております。なるほどそれは、一方において国民の負担となるでございましようけれども、今まで三分五厘あるいは四分五厘程度しか払つていなかつた特別会計にも、今度は五分五厘を支払うということになりますので、それによる非常な資金運用部の負担増加もございます。従つていろいろコストが違い、ばらばらになつておつた取扱いを今度はみな同じように扱うというところから、そういうふうな結果が生じて来るのでございます。なおつけ加えて申し上げますれば、郵便貯金のコストは年々低下しております。それは郵便貯金の利子はあまりかわらないけれども、毎年元本が増加いたします関係で、経費率としては下つて来るのでございまして、いずれ遠からぬ時代にはこの赤字はなくなるものと思います。決して永久に継続するような性質の赤字ではないものと私は思つております。
  29. 深澤義守

    ○深澤委員 それは結果郵便貯金が年々増額するという見通しの上に立つて、初めてこの赤字が解消して行くということになると思うのであります。しかし最近における傾向といたしましては、この一般大衆の生活の困難な状況に遭遇いたしまして、郵便貯金が必ずしもふえて行くという可能性は、私は非常に少いと思います。今までふえたということは、つまり三万円かの限度の預金が許されておる。それに対して脱税の意味で非常に預金がそこに流れておつた。ところが今度は今度の所得税法の改正によつて、資本蓄積の意味において、非常に預金に対する優遇措置が行われたということで、私は一般郵便貯金に対するところの増額というものは、今後見通しはないのではないかと思う。そうすると継続的にこの赤字というものがずつと出て来る可能性があると思う。その点に対する見解はどうでありますか。
  30. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 郵便貯金が国民の窮乏のために増加しなくなるかもしれぬというお尋ねでございますが、政府としては郵政省当局の見積りにおきましても、二十六年度においては増加額四百億円を予定しております。実績から見ましても、月々の増加額としては多少の変動を免れませんが、全体としてある月が全然マイナスになつたというふうなことはございません。二十四年度は四百億円以上の増加がございました。二十五年度におきましてはそれには多少劣りますけれども、三百数十億円に達する増加があるという見込みでございます。今後におきましても、多少停滞するような時期はございましても、全体としては増加するであろうということは、過去数十年の歴史から見ましても、まずその点においては心配なかろうと思います。実際今の郵便貯金の残高は、物価の騰貴率その他から見てみますると、国民の蓄積全体が減つたと同様に、実質的には非常に小さいものでございまして、今後増加し得る余地が多分にあると私は考えております。
  31. 深澤義守

    ○深澤委員 その見通しについては、これは見解の相違でありまして、議論してもしようがないと思いますから打切りますが、第七條の「資金運用部資金は、左に掲げるものに運用することができる。」、この運用の第七号でありますが、これは今銀行局長説明によると、土地改良区等のものであるというような説明があつたのでありますが、聞くところによると、この資金運用部法案が通らないと、自分の方にその金がまわつて来ないことになるということで、幾多の陳情が来ておるのであります。その中には、地下鉄等も大体十億資金運用部資金からの融資を予定しておるのが、まわらなくなつて来るから困るというような陳情があるのでありますが、地下鉄等に対する資金運用部資金の融資は、一体どういう根拠によつてやられるのか。その点をひとつお伺いいたします。
  32. 舟山正吉

    舟山政府委員 地下鉄すなわち現在帝都高速度交通営団でございますが、これはただいま民間の出資があつたかと思います。そうしますと今ただちにこの第七号には該当いたしません。すなわち政府機関あるいは地方公共団体以外のもの、すなわち私人でありますが、それの出資があつてはいけないのであります。これが肩がわり等によりまして、私人の出資がなくなりますれば、この号の該当法人になるかと考えます。
  33. 深澤義守

    ○深澤委員 この第七号に該当するのは、現在の状況のもとにおいては、どういうものが該当するのか、具体的にひとつ御説明願いたいと思います。
  34. 舟山正吉

    舟山政府委員 現在は、先ほど申し上げました土地改良区のほかに、水害予防組合が入ります。
  35. 深澤義守

    ○深澤委員 それから第七條の第二項に、「金融債運用する資金運用部資金の額は、資金運用部資金総額の三分の一をこえてはならない。」こういう規定があるのであります。そういたしますと、結局この三分の一というものが最高ということになりますが、私はおそらくこの資金運用部資金最高の三分の一が、この金融債方面に流れる可能性が、現在の状況においてはあると思うのですが、大蔵省当局としては、この最高額の三分の一を金融債に振り向けるという計画を持つておられるのかどうか。その点をひとつお聞きしたい。
  36. 舟山正吉

    舟山政府委員 資金運用部資金運用は、第七條にございますように、国及び地方公共団体に対する貸付が主体となるのでございます。かるがゆえに金融債に対しまする運用というようなものは、第二項の制限もあるような次第でございます。しかして現在のところ国債発行は見ておりませんけれども、国の特別会計等に対する貸付はございます。それから地方債等につきましては、現在のところでは市中消化がほとんど不可能な状況にございますので、これは他のものに優先して、資金運用部資金引受けて行かなければならぬ状況にございます。よくよく資金は余剰ができまして、これが自由運用を認められるということになりますれば、金融債引受の額も相当ふえるかと考えますけれども、現在のところでは、先ほども申しましたように、資金運用部資金運用計画におきまして、二十五年度は二百億、二十六年度は四百億以内ということに目標を立てておるのであります。
  37. 深澤義守

    ○深澤委員 今討論採決の連絡がありましたので、まだ質問がありますが、一応打切ります。     —————————————
  38. 夏堀源三郎

  39. 小山長規

    ○小山委員 ただいま議題になりました農林漁業資金融通特別会計法案については、すでに質疑も盡番されたと思われますので、本案についてはこの際質疑を打切られんことを望みます。
  40. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 小山君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 御異議ないようでありまするから、本案につきましては質疑を打切り、これより討論に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。竹村奈良一君。
  42. 竹村奈良一

    ○竹村委員 私は日本共産党を代表いたしまして、本案に反対するものであります。  その第一点を申し上げますならば、わが国の現在の食糧は全体において二割不足しておるということから、この二割は外国から援助をするのだというので、われわれは完全に日本の自主権というものを、この一点において非常にはばまれておるのであります。御承知のように、この食糧輸入にあたりまして、いろいろな形で高い金で外国食糧を買い、そしてこれが援助の形で、あるいは見返り資金として積み立てられたりして、いろいろな面影いて日本の完全自立というものがはばまれておるのであります。そこで問題は、この現状をいかにして打開するかということは、日本にとつて、日本独立への第一主要目標であらねばならないのでありまして、この食糧自給のために、一体政府は現在六十億を農林漁業その他に融資をするという法案でありますけれども、実際六十億ではたしてこういうものができるかどうか。こういうことがもう全然できないことは、火を見るよりも明らかなことであります。まず現在の農林大臣であるところの廣川氏は、一体どういうふうに言明しておるか。これはもちもん一名宣伝大臣の名にふさわしい宣伝ではありましようけれども、しかし実際におきましては、この日本の現在の不足分だけを確実に増産するためには、少くとも七千億を必要とするのだ、こういうふうに言明しておるのであります。ところがこの七千億を必要とするという建前から考えまして、わずかに六十億でこの日本の農業あるいは漁業その他の資金が融通できると考え、しかもそれを出される政府自体の真意がどこにあるかということを、私は疑わざるを得ないのであります。しかも大体この六十億の内容を見てみますならば、  一般会計から二十億、見返り資金から四十億ということになつておるのでありますけれども、先ほど申しましたように、この四十億の見返り資金というものは、日本の国民が外国から入つた食糧を買つて、それを積み立てた金でありまして、少くとも国民の税金である。これを再び農村に還元してこれを貸し付けて高い利子をとる、こういう間尺に合わやない、自分の金に自分が高い利子を払わねばならぬということは、どう考えてもわれわれは納得できない。しかも政府は平気でこういうことをやつておる。一体これはどういうことかと申しますと、現在農村に起つて来たところの非常な金詰まり、しかも現在の農村政策の結果がもたらしましたところの窮乏に対して、農民は非常に現政府の農村政策に対するところの反抗を示し始めておる。これは本日参議院で麦の統制撤廃が否決されたのを見てもはつきり現われておるように、現在の農村政策に対しましては農民自身がこれに反抗を示しておる。これに対して、反抗を示されることを何とかしなければならぬ。だからまずすずめの涙ほどのわずかに六十億というようなものを、高い利子で貸し付けるのだと言つて、そうして一応ごまかそうとするところに本法案のねらいがあるのでありまして、結局におきましては、本委員会において答弁されたことくに、もしこれが回収不能になつた場合におきましては、政府は八〇%の責任を負うのだと言つていること自体は、あるいは回収不能になるかもわからない條件をはらんでいるのであります。しかもそういう土地改良等によつて回収が不能になつた場合、その土地は一体どうなつて行くのか。結局これが大きな資本家か、あるいは国家独占資本の手に握られて行くことは、火を見るよりも明らかであります。結果におきましては、結局農村のフアツシヨ支配を強化することであり、あるいはまたこのためぐるところのいろいろなボス勢力が、この資金獲得のために暗躍する一つの素地をつくるものであるという考えから、われわれは本法案には反対するものであります。
  43. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 小山君。
  44. 小山長規

    ○小山委員 私は自由党を代表して、ただいま議題になつております法律案について賛成の意を表するものであります。  共産党の諸君は、農民が長年要望しておつたところの長期資金を与えようというこの法律案について反対であります。しかしわれわれは、現在の金額がいかに少かろうとも、こういう制度を打立てたというところに非常な意義を見出すのであります。もしもこの法律案を否決いたしましたならば、共産党の諸君は六十億と言われるが、その六十億の金すら国民に流れて行かないのじやないかということを考えていただきたいのであります。わえわれはこの法律案が予定しておりますところの資金運用部資金が、まだこの中に明らかに入つて行くということが確定されないというところに、若干不満を持つものでありますけれども、これは資金運用部資金法案が可決されましたあかつきにおいては、われわれは必ずこの資金運用部に集まりましたところの金も、この特別会計を通じて農村に流れて行くであろうと確信しておる。従つて私どもは、こういうふうに農民なり漁民なりあるいは山村業者が長年要望しておつたところの農業改良の費用、あるいは漁港修築の費用、あるいは林道、塩田開発の費用というような長期かつ低利の金が、国民に流れて行くということは非常な善政であると思う。その資金が少いということは、日本の現在の財政状態がしからしめておるのでありまして、日本の資本の蓄積が進むならば、さらにさらに多額の資金がこれに注入されて行くことは、この法律ができて初めてできるのであります。その意味において満腔の賛成の意を表するものであります。(拍手)
  45. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 討論は終局いたしました。  これより本案を議題として採決に入ります。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  46. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 起立多数。よつて右案は原案の通り可決いたしました。  なお報告書作成の件については、委員長に御一任を願います。     —————————————
  47. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 すでに質疑打切りになりました公庫予算及び決算に関する法律案を議題として討論、採決に入りたいと存じますが、本案に関しましては自由党、国民民主党、社会党及び共産党各派共同挺案の修正案が提出されておりますので、まず提出者より提案の趣旨弁明を求めます。提出者小山長規君。
  48. 小山長規

    ○小山委員 ただいま議題となりました公庫予算及び決算に関する法律案に対する修正案につきましては、お手元に配布してありますので、これをごらん願いたいのでありまするが、修正の趣旨をごく簡単に申し上げますと、この法律案には、本来法律案の附則に国民金融公庫に関する條項と、住宅金融公庫に関する條項を加えるべきであつたのでありますが、住宅金融公庫に関する條項は、住宅金融公庫法の一部一改正法律案として提出される予定でありましたところ、該法律案が三月中に成立の見込みがないということがわかりましたので、ただいま議題となつておる法律案の中にこれを織り込もうとするのであります。その趣旨はお手元に配付してありまするところの修正案によつてごらん願いたいのでありましてまつたく事務的な條項であります。ただ一言つけ加えておきますと、最初用意いたしました修正案と一箇所違つている点があります。それはお手元に配付しました修正案の最後に近いところであります。「借入金」とありまして、第二十七條の二という項があります。この一項、二項は最初の修正案通りでありますが、第三項に住宅金融公庫政府貸付をする場合に、貸付利子の減免をする條項があつたのでありますけれども、そめ部分はこの住宅金融公庫が、国民金融公庫とは若干性質を異にしておりますので、それほどの優遇措置を講ずる必要はあるまいという結論に達しまして、その部分だけは修正から除いてあることをつけ加えておきます。
  49. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 修正案の趣旨弁明は終りました。  次に本案及び修正案を一括して討論に入ります。
  50. 小山長規

    ○小山委員 本案については討論を省略して、ただちに採決に入られんことを望みます。
  51. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 ただいまの小山君の動議のごとく決定するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
  52. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 御異議ないようでありますから、本案については討論を省略して、これよりただちに採決に入ります。  まず小山長短君提出にかかる各派共同提案の修正案に賛成の諸君の起立を願います。     〔総員起立〕
  53. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 起立総員。よつて本修正案は可決せられました。  次に本修正案の修正部分を除く原案に賛成の諸君の起立を願います。     〔総員起立〕
  54. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 起立総員。よつて本案は小山長規提出にかかる各派共同提案の修正案のごとく修正議決せられました。  これにて休憩いたします。     午後零時三十分休憩      ————◇—————     午後二時三十九分開議
  55. 西村直己

    ○西村(直)委員長代理 ただいまより再開いたします。  お諮りいたします。去る三月十二日、本委員会において討論採決の結果、修正議決せられました国家公務員等に対する退職手当臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、なお手続上において未了の分がございましたので、本会議上程をとどめておりましたが、手続を完了いたしましたので、この際本案を再議に付したいと存じますが、この点御異議ありませんか。     〔「異議あり」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 西村直己

    ○西村(直)委員長代理 御異議があるようでございますから、採決をいたします。  本案を再議に付することに賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  57. 西村直己

    ○西村(直)委員長代理 起立多数。これによりまして本案を議題として討論、採決に入りたいと存じます。  自由党小山長規君より修正案が提出せられておりますが、本人がおられませんので、代理の方からまず修正案の趣旨弁明を求めたいと思います。宮幡委員
  58. 宮幡靖

    宮幡委員 ただいま再議に付せられました国家公務員等に対する退職手当臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案に対しまして、小山長規提出にかかります自由党修正案について、かわつてその趣旨を弁明いたします。  まず修正案を朗読すべきでありますが、お手元へ配付いたしてありますから、それをごらん願いまして、省略さしていただきます。  この修正案の趣旨はきわめて簡単でありまして、現行国家公務員等に対する退職手当臨時措置に関する法律一條第三項の規定によりますところの、恒久的な退職給与の制度がいまだ制定されておりませんやさき、本年度に引続きまして、昭和二十六年度におきましても、定員法の定むるところによりまして、おおむね行政整理に近い人員の整理があろうと思います。これを二十五年度と画然たる区別をいたしまして、待遇を落すということは、この際公務員の立場を考えまして、無理な行き方ではなかろうかと存じますので、昭和二十六年度も昭和二十五年度と同様に、やはり行政整理に準じた退職給与の支給ができるようにいたしたい。それが本修正案を提出いたしました理由でございます。  何とぞ皆さんの御賛成を賜わらんことを、お願いいたす次第でございます。
  59. 西村直己

    ○西村(直)委員長代理 修正案の趣旨弁明は終りました。  これより本案及び修正案を一括議題として討論に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。田中織之進君。
  60. 田中織之進

    田中(織)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、修正案並びに本案に対しまして強い希望條件を付して、賛成の意思を表示するものであります。  ただいま採決によりまして本案が再議になつたのでありますが、一旦国会委員会におきまして、修正案並びに原案とも満場一致で議決されたものが再議に付されるということは、国会の自主権尊重の建前から見て、前例になることは非常によくないことだと考えるのであります。詳しい事情は夏堀委員長並びに本委員会理事諸君の非常な御努力を知つている者といたしまして、詳細な理由については私は申し上げなくてもわかると思うのであります。そのうちで特に先般私が自由党、民主党、社会党を代表いたしまして提案いたしました修正案のうち、重要なる公務員退職手当について、きわめて些少ではありますけれども、従来の廃止された、行政整理によつてやめた公団あるいは閉鎖機関等の職員あるいは国家公務員等について、若干の退職手当の率を引上げるということが、いわゆる既定予算のわく内におきましても人件費のみでは無理でありまして、約一億四千万円足らずの新たな予算がいるわけでありますが、これは人件費だけではもちろん足りませんけれども、他の費目の流用あるいは予算の節約の過程において、十分捻出せられることが大蔵当局によつても確認せられながら、なおこの修正案が、われわれが本案を審議するまでの間において通らなかつたということは、非常に遺憾でございます。この点につきましては、その後の大蔵大臣の、もちろん非公式ではありますけれども、言明によりまして、大蔵当局においても率の修正の問題については、今後国会の修正案に現われた線に向つて、積極的な協力と努力を得られることのお約束を得ましたので、きわめてすみやかな機会にそれが実現するように、さらに政府当局に一段の努力をしていただくということを、希望條件としてこれを述べまして、この三月三十一日で失效になりまする法律を、とりあえず一年延ばそうというこの趣旨、並びに修正案は、二十六年度において行政整理のため退職する者に、この退職手当規定を適用するための修正案でございますので、われわれはもちろん行政機構の簡素化等のために出る整理人員はやむを得ないと思いますが、いわゆる首切りのための整理にはもちろん反対の立場でありますけれども、現実にやめて行く者のための利益を擁護する。ことに最近就職事情が悪く、また失業中における生活苦等の関係から見まして、率もわれわれとしては不満ではございますけれども、それらの人にこの規定の適用がなされるということは望ましいことであると思いますので、修正案並びに修正案を除く原案に対しまして、ただいま申し述べました希望條件を付して賛成するものであります。
  61. 西村直己

    ○西村(直)委員長代理 討論は終局いたしました。  これより本案並びに修正案の採決に入ります。  まず小山君提出にかかる修正案に賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  62. 西村直己

    ○西村(直)委員長代理 起立多数。よつて本修正案は可決せられました。  次に本修正案の修正部分を除いた原案に賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  63. 西村直己

    ○西村(直)委員長代理 起立多数。よつて本案は修正議決せられました。   なお報告書の作成及び提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと思います。  それでは暫時休憩いたします。     午後二時五十分休憩      ————◇—————     午後五時五十六分開議
  64. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  日本開発銀行法案を議題といたします。田中君。
  65. 田中織之進

    田中(織)委員 開発銀行法案について若干お尋ねしたいと思います。  まず会期がまだ十分残つておるわけでございますが、御承知のように近く案件の処理が終れば休会に入ろうというまぎわに、こういう重要な法案提出されて、審議に十分の時間的な余裕を持ち得ないことは非常に遺憾でありますが、この点特に大蔵省関係から毎国会多数の案件が出るのでございまして、法案提出の準備等については、もう少しわれわれに時間的余裕を与えていただくように、大蔵当局の勉強を願いたいと思うのであります。そこで法案内容についてお伺いする前に、この開発銀行法案が今国会提出せられるということを、新聞紙等でわれわれ承知をしたのでありますが、国会提出せられる前に、開発銀行の総裁がやれ小林中であるとか、あるいは工藤昭四郎であるとかいうことがいわれ、新聞紙の伝えるところによりますと、総裁は小林中氏に決定を見たーもちろん内定の意味であろうが————ということが伝えられるのでありますが、法案の成立しない以前に総裁の決定を行われたかどうか。ひとつ大蔵大臣からまずお答えを願いたいと思います。
  66. 池田勇人

    ○池田国務大臣 予算委員会におきましても、こういう話が出たのでありますが、えてして新機関ができます前には、だれがなるとかなんとかいうことが新聞に出やすいのであります。これは私はいけないことだと思うのでありますが、輸出銀行の場合におきましても、法案提出以前からいろいろなことが新聞に出ておつた。今度もそういうことがありまして、私は嚴にそういうことがないようにいたしておるのであります。総理からこういう人はどうかという話が、内々あつたことは事実でございます。しかしこれをきめるのは、内閣総理大臣閣議にかけておきめになることでございまして、まだしかと確定というところまでは行つていないと私は了承いたしております。
  67. 田中織之進

    田中(織)委員 大体そういう状況だろうということは推察しておつたのでありますが、私特に今総裁の有力候補に上つておる小林中氏については、日発の総裁に擬せられて以来、現内閣のいろいろの人事の問題のときにいつも下馬評に上るので、世間からは現内閣と小林氏との関連、特殊関係を非常に問題にされておるのであります。私の最近聞いたとこいによりますと、もちろん富国生命の社長という金融方面関係されておる人であり、その意味で生命保険を通じて、証券業の方にもタツチせられておることを聞くのでありますが、実は最近こういうことを聞いておるのであります。それは小林氏あるいは国策パルプの副社長でありますか、水野成夫君らで鳴門商事という証券会社ができておる。証券会社であるか商事会社であるかわかりませんが……。そこで山一証券とタイアツプして、東邦レーヨンの株式の操作に何か関連をされて、相当多額のいわゆる差益金をもうけておる。その金額は三千万円だと伝えられておるのであります。そういうことでこの東邦レーヨンの株式の買占めと、値段のつり上げによる売逃げに成功したことになるのだろうと思いますが、このことが証券取引委員会等でも問題になつて、山一は処断され、鳴門商事はその問題があつたので解散することにきまつた。さらに証券取引委員会では、事務局長の湯地謹爾郎君がその責任を負つて最近やめたのだ、こういうようなことが伝えられておるのでありますが、証券取引委員会大蔵大臣の所管下にあるのであります。これは別に刑法上の問題であるとか、どうとかいうことではないのですが、こういう形でもうけた金が、あるいは現内閣との何らかの橋渡しの問題になつて、そこで最近何か現内閣できめる人事の問題のときに、ひんぴんと小林氏の名前が出るのだと、実はこういうまことしやかな報道が行われておるのであります。こういう人を総裁にするということ、ことにまだ法案が成立していないのに、新聞紙等が決定的な報道をせられるということは、私はその意味法案審議の上にも影響を持つて来ると思うのでありますが、大臣は、これはあるいは町の流説である、事実を調査してみないとわからないと言うかもしれませんけれども、こういう問題は相当————証券取引委員会の事務局長の湯地君が責任を負つてやめたのだということまで言われておるのでありますが、何かこのことについてお聞きになつておられるかどうか。
  68. 池田勇人

    ○池田国務大臣 東邦レーヨンの株の売買につきまして、よくないことがあつたことは確かであります。しこうして山一証券と鳴門商事との関係も知つております。しかし鳴門商事と小林中君とか水野何とかという人との関係は私も知りません。しこうして取引所法から申しまして、価格維持の度を越えまして行つた点につきましての不始末は認めまして、山一証券に対しまして適当を措置を講じたのであります。すなわち小池社長は理事を辞任する。そうして今後そういうことのないように、権利株の売買を当分やめる、こういうような措置を証券取引委員長がとつたという報告を受けております。私もその措置を適当な措置と是認いたしました。しかるところ証券委員会の事務局長の湯地君が、これに責任を負つてやめたということはこれは全然無根でございます。これは大蔵省の人事の異動につきまして————まだ発令はいたしておりませんが、前から計画しておつたところでございます。この鳴門商事との関係においてどうこうとかいうつむりでは全然ございません。この問題以前大体私の腹はできておつたのであります。しこうして鳴門商事につきましては、解散を命じたようでございます。
  69. 田中織之進

    田中(織)委員 はたしてそういう不始末に小林氏が関係しておるかどうかということは、まだ詳細に調査してみなければいけないことと私も考えるのでありますが、われわれの聞くところでは、相当密接な関係があつたやに聞いておるのでありまして、そういう点で疑惑を持たれておることは、小林氏の人格にも影響することでもありいたしまするので、りつばな人であるから最近ひんぴんとあらゆる最高級の人事の問題に、下馬評に上ることは当然のことであろうとわれわれも思うのでありますが、そういう問題と何か結びつけて考えられると、かえつて政府考えられる人事の公正という面において、曇りを持つて参りますから、そういう点は総理大臣の任命するところでありましようけれども、主管の大蔵大臣とは当然御相談せられるところであろうと思いますので、小林氏が就任するしないの問題は別問題として、こういう点については、大蔵大臣として特に愼重にしていただきたいことを、私の希望として述べておきます。  次に法案についてお伺いをいたしたいのでございますが、まずこの日本開発銀行の構建つきましては、われわれ社会党といたしましては、いわゆる日本の経済自立を達成するという見地から見まして、こうした構想、特に長期の産業資金、設備資金の調達のこうしたものをつくるべきであるという考え方において、同一の方向にあるのでありまして、本案に対しても、われわれはそういう意味運用その他の問題について、われわれの党の希望意見を申し述べまして、賛成をいたしたいと考えておるわけであります。  そこでまずその資本金の問題は、さしあたりの問題といたしましては、対日援助資金から二十六年度において百億円、それはまあ金額がはつきり確定いたしておりますけれども、それと、いわゆる四十七條第一項または第三項の規定により、政府の一般会計から出資があつたものとされる金額との合計額、この後の部分は、いわゆる復興金融金庫を継承し、それからまた一般会計へ還付すべきものをこの方へ振り向けるという意味合いだろうと思うので、これは今ただちに金額を確定することは、事実問題としてむずかしいことは私も理解できるのであります。しかし一応こうした金融機関としての資本額というのは、少くとも出発にあたつては確定したものでなければ、その資金運用計画を立てる上においても、不都合が生ずるのではないかと思うのでありますが、大体見返りの資金から出まする百億のほか、いわゆる復興金融金庫の引継ぎ関係から出て参りまする一般会計からの出資と見なされる部分は、本年度においてどの程度を予想しておるか。この点をまずお伺いしたいと思います。
  70. 池田勇人

    ○池田国務大臣 初めの人事の問題につきましては、極力慎重にやつておるのでございます。御了承願います。  それからこの資本金の問題につきまして、復興金融金庫の新規貸出しを停止して、今その回収に專念いたしておるのであります。しこうして今の貸付残高が八百六十億程度だつたと思います。これは期限がございますので、これが将来に向つてつて来るのであります。従いまして普通の例ならば一般会計に入れて、一般会計からまた繰入おるという方法が普通のやり方だと思うのでありますが。そうしますと予算もふくれることになりますし、大体その回収の期限があるものですから、元金と利子は大体の見当がつくのであります。従いまして一般会計に繰入れてまた出資に充てるということよりも、大体の見当がついておりますから、こういう規定を置いて、四半期ごとにたまつたものをここに入れる、出資にしよう、こういうふうにいたしておるのであります。御承知の通り昭和二十五年度におきまして、復興金融金庫からは元利合計百八十億円を繰入れております。二十六年度には百二十億円の繰入れ予定に相なつておるのであります。従いまして百二十億円を繰入れますと、二十五年度におきまして回収予定額以上のものがございますので、二十六年度においては百二十億円を一般会計に繰入れましても、なお大体三十億円余り入つて来るのではないか、こういう目途がついております。しこうして二十七年度からになりますと、今年度の回収の分を引きますと七百二、三十億になりますが、大体七、八十億円毎年入つて来るのではないか。これはだんだん減つて参りまするが、そういう予定でおるのであります。
  71. 田中織之進

    田中(織)委員 そうしますと二十六年度における資本金の額というものは、その両者を合計すれば出て来ることになつて、ややはつきりして来るのでありますが、第四條の第三項にありまする「必要があるときは、大蔵大臣の認可を受けて、その資本金を増加することができる。」という條項は、今後の問題でありますけれども、本年度においては復金関係から政府出資として合算されて来るもののほかに、いわゆる出資の資本金の増加で二十六年度中に何される計画が、現在から立てられておるかどうか。これは全体としての二十六年度における事業計画といいますか、資金運用計画というものの構想が示されると、その点もはつきりして来るのではないかと思うのであります。大体従来この種の金融機関の資本金の増加の問題につきましては、毎期法律できめることに相なつておると思うのであります。この第三項によりますと、この点が大蔵大臣の認可にゆだねられるということになるので、われわれ関心を持つておるのでありますが、その点はいかがでしようか。
  72. 池田勇人

    ○池田国務大臣 ただいまのところは百億円の出資で、しこうしてまた復金の回収金の予定以上のものを充てておりまするが、今後の長期資金の需要の状況によりまして、見返り資金の方から出した方がいい場合が想定され得るのであります。出すか出さぬかは別問題でありますが、そういうような道を開いておいた方がいいのではないかと考えまして、こういう規定を置いたのであります。
  73. 田中織之進

    田中(織)委員 あと二点ばかり伺いたいと思いますが、そういたしますと、特にこれが見返り資金からさしあたり百億が出る、こういうことになると勢いこれは日本の自立経済に関係のある面でありますけれども、最近特に問題になりますのは、月米経済協力の問題が出て来ておるのであります。ともすればこういう見返り資金関係で、ある意味において向うのひものついておる資金からやられるという関係から見ますと、日本の本来の立場から見ると、自立経済のための長期資金の調達ということではなくして、いわゆる日米経済協力の関係の面に、多くこの金がつぎ込まれるようなことになりはせぬかという危惧の念が持たれるのは、当然だと思うのであります。それは日米経済協力のあり方の問題については、政府考えておるのとわれわれの考えておるものとの間には相当の懸隔があるわけで、それ自体をここでお尋ねしようとするわけではございませんけれども、少くともそういう点について見返り資金との関連において、この開発銀行の資金運用の方向が、いわゆる日米経済協力関係の面に、重点的に向けられるような懸念があるのではないかということを一応考えるのでありますが、その点はいかがでありましようか。
  74. 池田勇人

    ○池田国務大臣 今の田中委員の御質問は予算委員会においても受けまして、私は意外に感じておるのであります。もともと開発銀行の構想は、昨年の十月ごろから私は持つてつたのであります。それはなぜかと申しますと、わが国の金融制度がいたずらに商業金融を主眼といたしまして、長期金融を専門にやつているというものはほとんどない状態で、どうしても産業開発は長期資金がいるということから出発いたしまして、そうしてこの発表は一月十日ごろいたしたのであります。何も日米経済協力の関係からこれが起つたのでは全然ございません。しかもまた日米経済協力の具体的問題については、私は何も承知しておりません。従いまして私の気持では、そういうこととは関係なしに開発銀行を出発いたしたのであります。きよう、きのうの他の委員会でそういうことを聞きまして、実は驚いておるような状態でございまして、日米経済協力のためのものでは全然ございません。しからば今後において開発銀行がこれだけの資本金をもつて、新しい事態の日米経済協力態勢に寄与するかという問題につきましては、私はこれだけの金ではそんな大それたことはできない。それよりも日本の産業開発にはまだまだこれでも足らぬ。こういうような気持を持つておるのであります。
  75. 田中織之進

    田中(織)委員 大蔵大臣説明は一応理解できるのでございますけれども、たとえば先般本院を通過いたしました緊要物資輸入のための特別会計法案等にも現われておる関係から見まして、どうもそういうことを申し上げることは、少し言い過ぎになるかもしれませんけれども、やはりわれわれは経済政策、特に財政金融政策におけるいわゆる日本の自主性という点を非常に熱望することは、われわれ日本国民として当然なことであります。まだ講和会議も開かれていないのでありますから、それがいろいろな形において制約されておることも、われわれ認めるにやぶさかではないのでありますけれども、講和会議が近づいて参れば参るだけ、実質的にやはり自主権というものが回復されなければならないにもかかわらず、われわれいろいろ国会に現われて参ります面だけを見ても、なかなかそういう自主権の回復という方向が、われわれの期待するようには行つておらないのが現実だと思うのであります。そういう意味で日本の自立経済のほんとうのあり方から見て、必要ないわゆる日米間の経済協力態勢というものの設立されることが必要であるととは、わが党もこれを認めておるのであります。もちろんこの程度資金では、はたしてそういう大がかりなものができるかどうかという大臣の御答弁で、ある意味から見てわくがはめられておるような形になりますけれども、私が御質問申し上げるのは、やはりこうした資金によつてまかなわれるところのいわゆる長期資金の方向というものは、ほんとうの意味における日本の自立経済達成のために必要な、本来の立場から考えた方向に向けるように、この資金を運営されたいという熱願から申し上げておりますから、この点は十分今後御留意願いたいと思うのであります。  なおもう一点お伺いをしておきたいのでありますが、これは先般復興金融金庫に関する事務的の改正法案のときにも、大蔵当局にお伺いしたのでありますが、大体この開発銀行が発足いたしましてから、現在の復興金融金庫を解散いたしまして、この開発銀行に引継ぐ時期の問題は、この法案が出て参りまして、しかもできればこの法案を今月中に成立を期するということになりますと、発足の日時もおのずから目途がついて参ると思うのであります。この開発銀行が発足をいたしましたならば、復興金融金庫は大体いつごろ開発銀行に債権、債務を承継するお見込みであるかという点が一点、もう一点はこれまた先般お伺いしたのでありますが、大体大臣がただいまお述べになりましたように、八百六十億ばかりの復金の貸付金の未償還分があるわけであります。中には貸出しを受けたけれども、すでに会社はなくなつたというようなものも若干あるやに聞いておるのでありますが、なおそういう資金貸付を受けておるようなところが、今後やはり開発銀行からの貸付の対象になると思うのであります。そういう点でこの復金の貸付金の回収の問題と、それから開発銀行から新たなる資金の融通の問題との調整をどういうようにされる心組みであるか。この二点についてお伺いをしたいと思います。
  76. 池田勇人

    ○池田国務大臣 ただいま最初にお話になりました日本の経済自立、自主性、この問題から考えまして、私は非常な躍進だと思うのであります。御承知の通り見返り資金からは電力、それから造船に出ております。しこうして私企業としまして鉄鉱、石炭あるいは水産物の高度利用に出ておるのでありますが、こういう場合におきましては、個々の会社について個々の事例を関係方面に申請して金が出て行く、こういうかつこうになつてつたのであります。今度は総括的に百億円ぽんと出しまして、どこの会社に貸す貸さぬは、開発銀行の総裁が関係方面との交渉なしに、独自の考えでできることに相なりますので、時間的にも手続的にも、また日本の経済を自主的に動かす意味におきましても、よほど進歩したと考えておるのであります。しこうして御質問の点のいつこの復金の開発銀行が一緒になるかという問題につきましては、私は情勢を見て適当な時期ということにいたしております。すなわち昭和二十六年度中に適当な時期にやりたい。ではいつごろになるかと申しましても、開発銀行が今月末までに両院を通過いたしましても、一箇月くらいはかかろう。それからスタートいたしまして、復金の貸付の状況、回収の状況等を復金の投資者と開発銀行の投資者とがよく検討の上、適当な時期にやるのが一番いいのじやないか。初めはできましたら、すぐ引継ぐというふうなことも考えないことはなかつたのでありますが、それはいかにも実態に沿わぬというふうな気がいたしますので、昭和二十六年度中の適当なときに債権債務を引継ぎたいと思つておるのであります。  次に復金の貸付回収金と新規の開発銀行の貸付が、同一会社に行われることがあるかという問題でございます。これは一つのみそでございまして、今まで貸している会社に、新たに今まで貸したものでできた設備を補強するとか拡張するとかいう場合に、新たに貸し付けるということは、債権確保の上からいつても非常にいい場合があるのであります。また市中銀行の貸しているのに肩がわりをするのも、一つの業務の範囲でございますが、復金が貸しておるところに新たに貸出しをするということも、あり得ることであると考えておるのであります。とにかく債権の確保と同町に、産業の開発ということを主眼として行きたいと思います。
  77. 田中織之進

    田中(織)委員 特に最後の復金の貸付金の回収と新規の貸出しとの関係の問題でございますが、私の希望する点は、同一のところで現在復金から借りてまだ未償還の分があるというようなところが、新規の資金の需要を受けるということになる。いわば復金債務を開発銀行が肩がわりするというような実質的な結果になると、それだけ積極的にこの資金でわれわれが生産増強を期待する面が、非常にぼけて来ると思いますので、そういう点から十分貸付対象については——もちろん復金の貸付残つておるようなところに、あらためて資金を注入しなければならぬところも出て参ることは了解できるのでありますが、これまた私どもとしましては、大体この法案に賛成の立場に立つておるわけでございますから、希望を述べて終ります。
  78. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 松尾君。
  79. 松尾トシ子

    ○松尾委員 日本開発銀行法案が二、三日前に出ましたので、私はこれをよく検討して質問の材料をまだつくつてないのですけれども、一応お聞きしてみたいと思います。  大臣が今田中委員にお答えした内容を聞いておりますと、私がお尋ねしたいところをちよつと御返答があつたかのように思うのですが、なお一層深くお尋ねしてみたいと思うのであります。  大臣は長期貸出しをすることができない現状にあるので、こういうものをお出しになるとおつしやることはよくわかるのです。また同時に今の金融界を見てみますと、貸出しは形の上では短期で貸し出しても、書きかえに書きかえで事実上は長期になつてしまつた。また預金の方はどうかというと、長期預金というものはあまりないので、こういう結果にたつたと思うのですけれども、この開発銀行をつくらなければならぬようになつた事実と、もう少し産業界、金融界の面でお話を願いたいと思うのであります。
  80. 池田勇人

    ○池田国務大臣 法案に書いてありますように、長期の設備資金といつておるのであります。御承知の通り原則といたしまして、今の日本の市中銀行は短期資金を扱うということに建前がなつておるのであります。もちろん長期定期預金があります場合におきましては、実際問題としてある程度長期の設備資金を出しておる場合もあります。たとえばこのごろのように造船資金につきまして、市中銀行が出しておるのは長期の設備資金と言い得ると思うのであります。また一般の産業におきましても、長期の設備資金市中銀行が出しておることは、これにもう否定できないことであります。しかしそうすることがいいか悪いかという問題はある。銀行の制度の上から申しまして、いわゆる兼営銀行と申しますか、長期、短期の両方をやる。そうして分業主義の銀行制度とこうありますが、日本はもともと分業主義の建前でありましたが、兼営の状態だ。しかし戦争後におきましては、分業主義の特殊銀行も普通銀行になつてしまつた関係上、制度的に長期の設備資金を供給するということは実はないのであります。事実上は興銀を生体といたしまして、勧銀もある程度つておるのでありますが、制度上はない。これではいけない。特にこういう長期の設備資金を供給する銀行を置く必要があるというので、こしらえることにいたしたのであります。先般の国会におきまして、輸出のための長期資金のために輸出銀行をこしらえた。今回は日本産業開発のためのこういう制度を設けることが、適切なやり方であるといろので、見返り資金から私企業に出しておりました長期資金を、この銀行をもつて扱わすという建前になつて、こしらえようとしておるのであります。
  81. 松尾トシ子

    ○松尾委員 大体わかりましたけれども、そういたしますとそういう内容でいろいろなことをとりはからい、長期資金をもつて産業の運転に充てるということになるのですけども、これをやりながら、また先ほど大臣がお触れになつたように、銀行の分業ということもお考えになる御意思があるか。たとえば正金を為替銀行にしたり、興銀をいわゆる不動産担保で借りられるような、元のようなふうになさるお気持はあるのでしようか。
  82. 池田勇人

    ○池田国務大臣 元の正金銀行のようなものを置くか置かないかということは、一般の為替銀行がどれだけの力を持つかということによつてきまると思います。ただいまのような状態では、相当強力か為替銀行が必要ではないかと思います。御承知の通り今東京銀行は為替業務を主として取扱つておりますが、これだけでいいかということになると疑問があるのであります。外国銀行の支店がどの程度取扱うか、日本の為替銀行がどの程度やるかという問題で、将来きめなければならぬと思うのであります。しこうして一般の金融銀行の分業主義、いわゆる商業金融、短期金融専門で行くと申しましても、これはなかなか一朝一夕にかえられるものじやございません。先ほど申し上げましたように、一般の銀行でも二年、三年の長期金融をやつているのが現状でございますが、私は徐々にこの長期資金の供給につきましては、自己資本の増加とかあるいは社債の発行とかいうことをやりながら、またできれば開発銀行の業務にありますように、肩がわりということをやつて、徐々に日本の経済に沿うような形に持つて行きたいという気持を持つております。
  83. 松尾トシ子

    ○松尾委員 これをずつと見て行きますと、銀行も非常に喜ぶし、またある面では産業家も非常に喜ぶような気がするのですけれども、ずつとながめてみますと、この新銀行はかなり困難なものに対する云々と書いてあるところを見ますと、不良貸しに近いものもあるだろうし、また焦げつきの肩がわりをするというふうなものも出て来ると思うので、大臣はきつとお怒りになるかもしれませんけれども、復金の二の舞を踏まないように、これを短い期間にトライアルにおやりになるような御意見はないですか。また私はその方がよいとも思うのですけれども……。
  84. 池田勇人

    ○池田国務大臣 私は一時的の問題としては考えておりません。これは他の金融機関が貸し付けたくない、こういうふうな場合においてこれが乗り出す、こういうのですが、それだからといつて不良貸しをやるというのじやございません。回収確実なものしか貸さないのでございます。ただ見方が、日本経済再建のために必要だと思うときには大膳にやつて行く、こういう気持であります。しかし大膳にやつて行くからといつて、損の行くようなものにどんどん出すわけのものじやない。普通の銀行では恐ろしがつてできないというふうなものを検討の上、回収確実なものについてやる、こういうことでございます。しこうして日本のような資本蓄積のまだ少いところにおきましては、やはりこういう長期資金を供給する特殊の銀行が必要であるということは、いわゆる後進国のドイツの例を見ましてもこれはあることでございまして、資本を吹つ飛ばしてしまつた日本といたしましては、私は相当長きにわたつて長期資金の供給をする専門銀行があつてしかるべしと、考えておるのであります。
  85. 松尾トシ子

    ○松尾委員 そういたしますと、国会におきまして、政府はこの事業をやることになりましてから、各四半期にわれつてその内容の報告をしていただきまして、その都度だんだんにこれを修正して行くというようなことがいいと思うのです。いわゆる強力な監督というふうにした方がいいのではないかという気持がするのですけれども……。
  86. 池田勇人

    ○池田国務大臣 私はその点には賛成できません。制度として、日本開発銀行が貸し出しておる分につきまして国会が監督するということは、いかなるものかと思います。私は適当なるりつぱな人物が責任をもつて、この国会できめられた法案趣旨に従つて運営して行くのが、一番いいことと考えております。
  87. 松尾トシ子

    ○松尾委員 またあしたやりますから……。
  88. 深澤義守

    ○深澤委員 ただいま大臣が、日本開発銀行の構想は今に始まつたことじやないと言われた。それはわれわれも、昨年の十月ごろから大臣がこういう構想を発表されたことはよく承知しております。ところが、この早くから構想されたことが、予算にも間に合わなかつた。そうして最近においてようやくこのオーケーがとれて、国会に出して来たといういきさつを見ますると、もちろんこれを構想された当時においては、いわゆる日米経済協力という関係はなかつたかと思うのでありますが、最近にこれが国会に出されて来たという意味において、やはり日米経済協力の一環として、こういうことの了解がついて出されて来たのだというぐあいに、印象を受けておるわけであります。この点をもう一度大臣からお伺いをしたいと思います。
  89. 池田勇人

    ○池田国務大臣 先ほど申し上げました通りに、日米経済協力関係のためにできたのではございません。深沢君がいかに想像をめぐらされようとも、私の答えははつきりいたしております。
  90. 深澤義守

    ○深澤委員 それでお伺いしたいのでありますが、大体この開発銀行は、抽象的には日本経済再建に必要なるものというぐあいに解釈されているのでありますが、どういう業種に重点的にこの開発銀行を利用せられようとしておるのか。その構想をひとつお伺いいたしたい。
  91. 池田勇人

    ○池田国務大臣 それは総理大臣の任命される総裁にお聞きくださればよろしいと思います。これは総裁がこの法律に基きまして、日本の産業開発に必要なる方面に重点的に出して行くのであります。
  92. 深澤義守

    ○深澤委員 この法律が出て総裁がきまつてから、その総裁がかつてにやるのだという、こういうぐあいに解釈できるのでありますが、どうもそれはわれわれは理解しにくいのであります。一応こういう開発銀行の構想を持たれて、そうして国会に出す場合においては、やはり大蔵当局として日本再建のための構想を持たれて、そうしてこの開発銀行を重点的に、どういうところに使つて行くかという方針が決定せられて、初めて私はこういう法案が出て来るのが順序であると考える。それをこの法案が成立後において、決定された総裁に聞いてくれというこの態度は、いかにも私は無責任きわまる態度であると思うのでありますが、この点はもう一ぺんお聞きしたいと思う。
  93. 池田勇人

    ○池田国務大臣 これは予算委員会でも共産党の人から聞かれたのでありますが、それじや今鉄鋼に何ぼ出す、石炭に何ぼ出す、あるいは繊維関係をどうやる、化学肥料をどうやる、ということは、私は大蔵大臣としてお答えできません。その時の経済状況、金融状況によりましてこれはきめるべき問題であるのであります。私が今どこそこの鉄綱会社にどのくらい出すつもりであるというのは、これはナンセンスでございます。市中銀行も相当日本産業開発のために出すのであります。しこうして市中銀行がどんどん出すというものには、開発銀行は何も競争的にはできないのであります。初めは鉄網幾ら、石炭幾らといつてつておりましても、市中銀行が石炭の方にどんどん出すということになると、それが今度は繊維関係、化学薬品関係に出るかもしれません。そういうことはそのときの事情によつてやればいいので、私はそれを開発銀行の総裁が責任を持つて、日本産業開発に適当な時期にお出しになるのが一番いいのだと考えておるのであります。
  94. 深澤義守

    ○深澤委員 私はどういう会社に何ぼ出せ、どういう会社に何ぼ出せと、そういう具体的なことを要求しているのではないのであります。大体日本の現状として、日本経済再建のために産業の開発をやるのだ。しからばどこからこの産業開発をやつて行くのか。その場合にはどういう業種が重点的であるかというこの方針は、やはり決定されておると私は思うのです。どこの会社、どの業種へ幾ら幾らということでなくして、大体において日本再建のための重点はどこにあるか。この見通しについて、おそらく大蔵当局としては構想を持つておられると思う。その点を私は聞いておるのです。
  95. 池田勇人

    ○池田国務大臣 それはもう常識ではございますまいか。たとえば水力に最も力を入れておりまして、しこうしてその次には造船に力を入れておつたのであります。しこうしてこの二つのものは、開発銀行ができましても、やはり見返りから出るようになつておるのであります。しこうして見返り資金から造船の方は百十五億円出ているから、全然これから出せないかと、こういうことになつて行きますと、鉄鋼、石炭の方の分はあまりいらぬが、どうしても船が足りないから、この際買船の方に金が早急にいるというときには、開発銀行から出せぬこともございますまい。それからたとえば将来綿花の問題が相当高くなつて輸入困難だ、かような場合におきまして、それじやいわゆるビニロンなんかを、これから日本で石灰石なんかをとつてビニロンの繊維品をやつたらどうかというような、大きい切実な問題が起つて来ないとも限りません。鉄綱に幾ら、石炭に幾ら、化学薬品に幾ら、肥料に幾らということをきめても、これはあまり意味のないことじやないか。そのときどきの世界情勢によつてかわつて来るのでありまするから、これが一番いいのだというときにやるべきであると考えるのであります。従いまして、ものには重点産業というものがあるとわれわれは考えておる。水力、造船、鉄鋼、石炭、こういうふうなものがあることは、これはみんなわかつておることでありますから、そういうところに行くことは大体想像できますが、大蔵大臣として鉄鋼にこれだけだ、石炭にこれだけだということは言えないと思います。
  96. 深澤義守

    ○深澤委員 私は額を明確にしろというのではありません。大体今の御答弁で、重点産業をを中心としてやるのだということが明確になりました。  次にお伺いしたいことは、この業務の範囲の問題でありますが、この法案を見ますると、やはりわれわれは多少の危惧を持たざるを得ないのであります。それは十八條の第一号に「設備の取得、改良又は補修に必要な資金で銀行その他の金融機関から供給を受けることが困難なものを貸し付けること。」こういうような規定があるわけであります。これは一面の解釈によりますと普通の市中銀行が貸し出さない、そういうところへ貸し出して行くのだ。そういうところは、たとえば非常に厖大な資金を要するというようなものも一つありましよう。あるいは非常に危険負担をしなければならないというようなものも、想像せられるのであります。この場合における普通の市中銀行、金融機関から供給を受けることが困難なものを貸し付ける、こういうことについての具体的な解釈は、どういうぐあいに考えられておるか。この点をひとつお伺いしたい。
  97. 池田勇人

    ○池田国務大臣 この困難というのは、資金の分量的に困難な場合もありましよう。それから事業の見通としてなかなか踏み切れぬところもありましよう。いろいろな事情があると思うのでありますが、この規定の主たるところは、一般市中銀行でまかなえるところはまかなつてもらう。しかしまかなえないからといつて、産業開発がそれだけ遅れてはいけない。こういう場合にこれが乗り出すのだという気持を書いあるのであります。
  98. 深澤義守

    ○深澤委員 それから第二号にはやはり同じように、「証券業者等が応募又は引受をすることが困難なものに応募すること。」とありまして、こういう場合に社債の応募をやるとか、あるいはまた返済資金としては、普通の証券業者が応募または引受をすることが困難なものに応募するということになると、どうも相当の危険負担をやる覚悟で開発銀行がやるのだ。そうなるとまた第二の復金の性格を持つて来る危険性が、多分にあるという危惧が、当然わいて来るのであります。この第二号、第三号の場合における解釈は、どういうぐあいに考えておられるか伺いたい。
  99. 池田勇人

    ○池田国務大臣 この貸付と社債の引受というものは、経済的には大体同じで、それで書いてあるのであります。あなたはいかにも復金が非常に滞りがちであつて、回収ができないものが多いように御想像なさいますが、決して復興金融金庫は、他の金融機関に比べて貸倒れがめちやくちやに多いということは、われわれは考えておりません。復金に対する非難の点は、他の委員会においても申し上げたように、第一の点は、日本銀行の信用造出によつてやつたということが財政金融上の問題である。次は貸出しにおきまして、これが政治的に行われたのではないかという疑問が起つたのが第二であるのでありますが、このために回収不能が非常に多かつたとも私は考えていない。今調査いたしましても、そう回収不能な金額は——これは程度問題でありますが、特別に多いというふうなことには思つておりません。
  100. 深澤義守

    ○深澤委員 そこで私は復金の問題についてお伺いしたいのでありますが、たしか第七国会においては約一千億くらいの復金の未済金がある。その整理については三段階にわけて整理する。一つは近き将来において回収可能なものである。一つは回収相当困難なものである。一つは回収の見込みが非常に立たないものである。この三段階にわけて整理するのだという構想を、大蔵当局が発表されたことがあるのであります。ところが今の言葉によりますと、大蔵大臣は非常に安易にこれを考えられておるようでありますが、当時と現在とは違つて、そういう復金の回収の問題については、非常に安易な條件が出て来ておるのか。私はあの当時の印象から言いますと、相当これは焦げつき等が出ているという印象を受けておるのでありますが、第七国会当時における整理方針と、現在の事情とはどういうぐあいに違つておりますか。その点ひとつ……。
  101. 池田勇人

    ○池田国務大臣 そのときに回収容易なるもの、相当困難なるもの、それから回収不能なるもの、この三段階にわけて説明したように私も記憶いたしておりますが、あの当時回収困難なものという金額を明示いたしましたか。
  102. 深澤義守

    ○深澤委員 たしか聞いたと思います。
  103. 池田勇人

    ○池田国務大臣 私はあの当時明示したかどうか知りませんが、回収不能と思われるものがこんなに少いのか、こういうことを感じたことを感じたことがあるのであります。今私の記憶にもまだその金額は残つておりますが、会社も三つか四つの会社だつたと思います。しかし発表していないそうですから申し上げません。その後の回収状況をごらんになりましても、今年度におきましては百八十億円を越える回収がある。これは元本と金利の回収でありますが、予定の百八十億円を越えて回収になつておる。来年度におきましても、予算で御審議なすつたように、百三十億円を一般会計に入れるようになつておるのであります。私は決して非常にたくさんの不良貸しがあるとは思つておりません。順調に回収されつつあると思つておるのであります。
  104. 深澤義守

    ○深澤委員 昨日の政府委員の答弁によりますると、実は八百八十六億の未済金がある。もちろんこの中で期限の来ているものが幾らかという問題については、具体的にまだ資料がなくて聞いていないのでありますが、とにかく八百八十六億——これは必ずしも不良貸付でも何でもないが、その金額のものがあるのであります。そこで私は昨日政府委員に対して、この復金の整理の問題は、これは天下の耳目を引いたところの問題であるから、いやしくも復金の整理の問題については、国会議員の前にある程度明らかにする必要がある。従つて現在の回収困難なような状態にあるものの、具体的な資料の御提出を願いたいということでお願いしたのでありますが、回収処置を進めて行くために非常に悪影響があるから、これは発表できないということで、その資料の提出を拒否されたのであります。そこで私はなお追究したところがこれは大臣に相談してからでなければ、返事ができないということになつたのでありまするが、その後業種別によるところの現在の未済金の資料だけはいただいたのであります。ところが昨日のそういう答弁の中からわれわれが印象を受けたものは、非常に回収困難な焦げつきがある。それをどうも発表できないというような事情にあるというふうに、われわれは印象を受けたのであります。その点について、大臣は非常に安易に考えられておるのでありまするから、そういう具体的な回収困難な状況にあるものの資料を、明確にされることができますかどうか。その点をお尋ねしたい。
  105. 池田勇人

    ○池田国務大臣 これは一応は回収困難だと見るものもございまするが、経済界の状況によりまして、一旦回収困難だと思われるものが、また回収できるようになるものであります。ことにこういうことは、個々の会社の信用にかかる問題でありますから、発表することは私はいかがと思います。非常に疑念をもつて考えられておるようでありまするが、大体銀行なんかにおきましての貸倒れ準備金は、二、三パーセントぐらいを目標にいたしております。私は復金におきましてもその程度を越えることはないということを、看取いたしておるのであります。
  106. 深澤義守

    ○深澤委員 そこでこの開発銀行の貸付の場合における利率でありまするが、この法文におきましては、その利率が明確になつておらないのであります。もちろんこれは現在からこれを明確にすることは非常に困難だろうと思いまするが、大体どの程度利率でこれはお貸しになる御方針であるか承りたい。
  107. 池田勇人

    ○池田国務大臣 予算の方には収入を五億三千万円と計上しておりましたが、これは貸付利率と所有有価証券の利子代であります。しかして大体五億何千万円の収入は、今まで復金の貸付が平均九分九厘でありますので、一応九分九厘として推算いたしました。しかしてそういう所有証券の分は大体食糧証券を持つつもりでおりますので、その利子で一応計算いたしておるのであります。しかしこの貸付利率というものは、開発銀行の業務規程によつてきめることに相なつておりますが、やはり業態別に適当な利率がきめ得られると思うのであります。今幾ら幾らで貸すということはきまつておりません。
  108. 深澤義守

    ○深澤委員 現在日本の講和前の状況としては、こういうことが考えられるのであります。講和後においてのこの開発銀行のあり方の問題でありますが、これはアメリカの経済援助というものがなくなります。そのかわりに、これは新聞等に伝えられておりますが、二十億ドルの借款ということが問題になつているのであります。その場合において、その引受等をこの銀行がやるというような構想を、今から持つておられるのじやないかというようなことも聞いておるのですが、その点はどうですか。
  109. 池田勇人

    ○池田国務大臣 借款ができるかできないかわかりませんから、お答えができません。
  110. 深澤義守

    ○深澤委員 それから外資が入つて来た場合における引受場所として、この銀行が考えられているということも言われておるのですが、その点はどうですか。
  111. 池田勇人

    ○池田国務大臣 その場合になつて考えればいいことでございます。
  112. 深澤義守

    ○深澤委員 それからこれはその他の問題にも通ずる問題でありますが、たとえば預金部資金資金運用部資金特別会計にされたということは、私には一つの国家資金の総合統一であるというぐあいに考えられるのであります。もう一つは、開発銀行が日本の唯一の長期資金の銀行として、いわゆる国家資金の基礎の上にこれは運用されて行くのでありますが、こういう構想は、最近における日本の金融財政の国家的支配を強化するというか、統制強化の方向であるというぐあいに理解できるのでありますが、この方針は一体どういうぐあいに池田大蔵大臣としては理解されておりますか。その点をお伺いしたい。
  113. 池田勇人

    ○池田国務大臣 今の金融機構の状況におきまして、長期資金の調達が困難でございますので、こういう特殊の金融機関を設けることにをたしたのであります。民間の方で長期資金をどしどし供給し得るような機関があれば、何もこういうものは必要じやないのです。御承知の通り長期金融専門でやつておると言い得るものは、日本興業銀行ぐらいなものでございましよう。その他の専門銀行というものはないのであります。しかるところ産業開発のために長期資金が必要だというのでこれはやつたのでありまして、民間の方でこういうものができればそれに越したことはございませんが、今の情勢ではなかなかできにくいから、こういう考えになつたのであります。
  114. 深澤義守

    ○深澤委員 現在の市中金融のおもむくところは、結局特需の関係等による好景気の場面にこれが流れて行くのであります。ところが日本開発銀行という国家資金の上に立つたところの長期資金の運営が、またやはり重点産業を中心として流れることになりますと、結局資金に恵まれない農林漁村方面は、この恩恵に浴することが私は非常に困難であると思うのであります。もちろん農林漁業金融に対して約六十億の特別会計設置されて、この面へ流すということが今度の国会ではできたのであります。しかし現在日本の食糧問題の解決、あるいは漁業、あるいは漁業林業関係に対しましては、多額の資金が必要とせられるのであります。ところがこの農林漁業金融の六十億では、日本の農林漁村の経済自立のためにははなはだ微力であります。従つてこの開発銀行を農林漁業関係に対しましても、十分に行き渡るように利用する考えがありますか。その点を伺いたい。
  115. 池田勇人

    ○池田国務大臣 今の見返り資金からも、水産物の高度利用等に対しまして出すことにいたしております。農林漁業にも出ておるのであります。産業の開発に必要ならば、何も先ほど申し上げましたような鉄鋼とか、石炭とかいうものばいかりに行くものではございません。だから私は何に何ぼ行くとか、これに幾ら行くとかいうことは今からきめられぬ。やはりそのときの情勢によつて考えなければならぬ問題だと思います。
  116. 深澤義守

    ○深澤委員 それからこの法案によりますと、予備費を相当設けてありまして、予見しがたい事由による支出のために備えるというような項目があるのでありますが、この予備費はどのくらい準備されているのか。それから「予見し難い事由による支出予算の不足を補う」という、この「予見し難い」という解釈はどういうぐあいに考えられておりますか。
  117. 池田勇人

    ○池田国務大臣 予備費は四千万円程度つておつたかと思いますが、これ議員補充の関係その他いろいろの点が想像されますので、この四千万円程度を予備費に加えておるのであります。
  118. 深澤義守

    ○深澤委員 復興金融金庫を、一応開発銀行が近き将来において全部引受けるということに相なるのでありますが、このまま大体復興金融金庫を引受けますと、開発銀行の資本の規模が相当大きなものになると思うのでありますが、大体どの程度の構想を持つておられるか。その点を伺いたい。
  119. 池田勇人

    ○池田国務大臣 債権債務を引受けます。しかし資本に繰入れるのは、四十三條に書いてある通りであります。従いましてそれで御想像がつくと思います。現在の債権は八百六十億、それから来年度に予定しておる百二十億というものは一般会計へ入りますから、その残りが毎年々々入つて来ることになるのであります。一度に出資は多くはなりません。
  120. 深澤義守

    ○深澤委員 よろしゆうございます。
  121. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 本日はこれをもつて散会いたします。     午後六時五十八分散会