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1951-03-28 第10回国会 衆議院 大蔵委員会 第44号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十八日(水曜日)     午前十一時十三分開議  出席委員    委員長代理理事 小山 長規君       大上  司君    川野 芳滿君       佐久間 徹君    清水 逸平君       高間 松吉君    苫米地英俊君       西村 直己君    三宅 則義君       内藤 友明君    宮腰 喜助君       田中織之進君    竹村奈良一君       深澤 義守君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 池田 勇人君  出席政府委員         大蔵事務官         (銀行局長)  舟山 正吉君  委員外出席者         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 三月二十七日  日本開発銀行法案内(内閣提出第一二八号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  日本開発銀行法案内閣提出第一二八号)     —————————————
  2. 小山長規

    小山委員長代理 これより会議を開きます。  昨二十七日、本委員会に付託されました日本開発銀行法案議題として、まず政府当局より提案趣旨説明を聴取いたします。池田大蔵大臣
  3. 池田勇人

    池田国務大臣 ただいま議題となりました日本開発銀行法案につきまして、提案理由を御説明いたします。  わが国経済基盤を育成し、その将来における自立を安定した基礎の上に招来するためには、重要基礎産業所要資金、なかんずく長期設備資金供給を円滑ならしめる必要が、つとに認識されておつたのであります。これがため、政府におきましては、将来とも長期産業資金を確保するため、種々の施策を実施して参つたのでありまして、まず第一に、企業の必要とする長期産業資金は、本来増資あるいは社債発行のごとき、自己資本の充実によつて調達すべきであるとの考えに立脚して、証券市場の育成、証券投資思想の普及などに努力して参つたのであります。しかしながら資本の蓄積も乏しく、国民所得も概して零細なわが国の実情に徴しますときは、このような施策のみをもつてしては、必ずしも全きを期しがたいと考えられましたために、第二の対策として、さき金融債発行を認め、預金部資金によるその引受を行うこととしたのであります。過去一箇年における債券発行銀行の実績に徴しますと、これらの銀行国民経済上重要と考えられる産業資金供給を行つており、今後の活動も期待せられるのでありますが、これらの銀行商業ベースにのつとつて業務を行うことを、大原則としているのでありまして、この点から見て債券発行資金による産業資金供給のみをもつてしても、これまた十分とは言いがたいといわなければならないのであります。  このような諸点並びにそのよつて来る原因にかんがみまして、政府は、このたび全額政府出資による独立の金融機関設立し、その業務としてわが国経済再建、及び産業開発に必要な長期設備資金供給せしめることとしたのであります。その運用資金としましては、昭和二十六年度においてさしあたり百億円を米国対日援助見返資金特別会計から出資いたしまして、これに充てることとしております。なお、昭和二十六年度中の一定の時期において、復興金融金庫解散し、その権利義務を承継した後におきましては、その回収金原則として一般会計からの新しい出資金となることとなつております。  右のほか、日本開発銀行業務運営に関する基本方針については、日本輸出銀行とおおむね同一であり、役職員地位大蔵大臣監督予算の編成及び執行、経理その他の面におきまして、できる限り無用の拘束を少くし、その能率的運営を期しております。  何とぞ御審議の上御賛成せられるよう切望してやまないものであります。
  4. 川野芳滿

    川野委員 ただいま議題なつておりまする日本開発銀行法案審議関係上、参考資料要求いたしたいと存じます。復興金融金庫の今日までの整理未済債務者の人名及び個人々々の債務金額債務整理進行状態、以上の三点の資料要求したいと思います。
  5. 舟山正吉

    舟山政府委員 復興金融金庫貸付金の管理につきましては万全を期しておるのでありますが、今御要求になりましたような資料につきましては、これは相当収集整理に時間を要します。またその中には公表を必ずしも適当としないものもございますので、復金貸付金現状等を御報告する程度で、ぜひとも御了承願いたいと考える次第であります。
  6. 川野芳滿

    川野委員 実は私はぜひ要求したいのでありますけれども、ただいまの御答弁によりますると、資料整理等に相当の時日を要するというお話でありますので、この点は機を見て参考資料要求をすることにいたしまして、実は進行途中でもけつこうですから、機を見て御説明願いたいと思います。
  7. 小山長規

    小山委員長代理 それでは復興金融金庫現状に関する資料については、至急御提出をお願いします。  質疑に入るに先だちまして、銀行局長から開発銀行法案内容のあらましについて説明を承りたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 小山長規

    小山委員長代理 御異議なしと認めます。それではさよう決しまして、舟山銀行局長説明を求めます。
  9. 舟山正吉

    舟山政府委員 それでは御審議の時間の都合もありますので、法案につきまして要点を御説明申し上げたいと存じます。実はこの銀行法條数は相当多いのでございますが、その中には手続上に属しまするものが相当部分を占めておりますので、実体的に問題となります点を拾い上げて、若干の御説明を申し上げたいと存じます。まず逐條的に申し上げた方が御便宜かと考えますので、そういたしたいと思います。  第一條目的をうたいまして、「日本開発銀行は、長期資金供給を行うことにより経済再建及び産業開発を促進するため、一般金融機関が行う金融を補完し、又は奨励することを目的とする。」となつておりますが、この開発銀行は、経済再建産業開発のために、長期資金供給を行う特殊の金融機関であるということをうたつたのであります。しかも市中一般金融機関との競合を避けますために、それらが長期資金供給をしやすいようにし、またはこれを補助するという建前とつておるのでありまして、これは後ほど申し上げます開発銀行業務條項に基いて、具体的にどういうことをやるかということが現われて参ります。  第二條は「日本開発銀行は、公法上の法人とする。」というのでございまして、大体において先般御審議を願いました日本輸出銀行に、性格は類似しておる点が多いのでございますが、特に申し上げます必要のありますこと以外は、こちらからの御説明には省略したいと思うのであります。  まず第三條であります。主たる事務所を東京に置きますが、必要な地に従たる事務所を置くのでございます。この開発銀行輸出銀行の場合とは違いまして、相当直営的に業務を営まなければならないと思うのでございまして、貸付量の多い土地には支店を設け、直轄の人員を配置するということが必要かと考えておるのでございます。  次に資本金は、第四條にございます通り、一応見返り資金から百億の出資をするのでございます。それから復興金融金庫が現在貸付をいたしておりますが、その回収のありました分は、あとで申し上げますような規定に従いまして、自動的に開発銀行資本金なつて行く建前をとるのであります。それからまお三項におきましては、大蔵大臣認可を受けて、右に申しました以上の資本金の増加ができるようにいたしておるのでございます。なおついででございますので申し上げますが、大蔵大臣認可を受ける場合は、ほとんどこの場合だけに限るのでありまして、その他の業務報告書作成とか、あるいは定款作成とかいうようなことにつきましては政府は干渉しない。事後の届出をもつて足りるという建前とつておるのでありまして、この点も輸出銀行と同様でございます。それから五項には「政府以外の者は、日本開発銀行出資することができない。」いわゆる政府機関であるということをうたつてございます。  第五條定款については、特に申し上げることもございません。それから登記、名称の使用制限も、特に申し上げることはございません。  それから解散は、第八條にございますように、「その残余財産は、別に法律で定めるところにより、国庫に帰属する。」さきに申しましたように、この開発銀行一般会計からの出資見返り資金からの出資があるわけでございまして、どういうふうに按分して残余財産を分配するかということは、そのときの法律で定める趣旨でございます。  それから第二章、役員及び職員に参りまして、第十條「日本開発銀行に、役員として、総裁一人、副総裁一人、理事七人以内、監事二人以内及び参与五人以内を置く。」と規定してございます。この銀行業務は相当広範囲にあたることが予想せられますので、理事も七人以内という比較的多数を置くことにいたしたのでございます。  その職務、権限は十一條規定するところでございますが、特にここでは参与を置くということについて一言申し上げますれば参与は、「総裁の諮問に応じ、日本開発銀行業務に関する重要事項について意見を述べ、又は日本開発銀行業務に関し、総裁に対して随時意見を述べることができる。」とありますように、総裁に対する意見具申機関でございます。これはこの開発銀行業務が、日本産業経済の非常に広汎な面にわたりまして関係を持つております点にかんがみまして、産業界等から参与を選任いたしまして、適宜意見を具申せしめるということが、業務運営上適当であろうと考えた次第であります。これは往年の特殊銀行にも参与理事等の制度もあつたのでございまして、それらも参酌した次第でございます。  それから役員任命は十二條にございますが、総裁、副総裁及び監事内閣総理大臣任命にかかつております。この総裁、副総裁がきまりました上で、総裁理事及び参与任命する建前とつておるのでございます。  それから十三條は、その任期規定でありますが、これは附則にございますように、このうち一部分、最初の任期はこの例によりません。短かくいたしまして、いわゆる任期が重なり合つて行くような仕組みをとつておるのでございます。  それから代表権制限、代理人の選任、職員任命役員及び職員地位等につきましては、大体輸出銀行の場合と同様でございまして、特に申し上げることはございません。  第三章の業務でございますが、第一條にうたいました本銀行目的からいたしまして、十八條に「左の業務を行う。」ということをうたつてございます。すなわちこの開発銀行法案が最後的に固まります前には、たとえば開発銀行リフアイナンスの仕事だけをするといつたような構想もあつたのでございますが、それから比べますとずつと広くなるのでございます。新規の融資もするのであります。一号は「経済再建及び産業開発に寄与する設備(船舶及び車両を含む。)の取得、改良又は補修に必要な資金」でありまして、銀行その他の市中金融機関から供給を受けることが困難なものに貸し付ける。「但し、その貸付に係る貸付金償還期限は、一年未満のものであつてはならない。」といたしたのであります。言いかえますれば、一年以上の長期設備資金でありまして、市中金融期間からは通常なかなか出にくいものを供給するのでありまして、ここに市中金融機関業務との間に、はつきりした一つの線を画しまして、無用競合その他がないようにしたわけであります。第二号は同じような趣旨をもちまして、開発資金の調達のために発行される社債あるいは特殊法人債でございまして、証券業者等が普通の場合には応募引受が困難であるというものにつきまして、この銀行応募だけをいたすのでございます。引受を省きましたのは、これは銀行業務証券業務と分離するという最近の考え方に基きまして、銀行証券引受をすることは必ずしも適当でない。これは証券業者にゆだねるべきであるという考え方に基いて、応募だけにいたしたのでございます。それから第三号は、いわゆるリフアイナンスでございまして、すでに金融機関が貸し付け、または社債等発行されておる場合にその返済資金をこの銀行貸付または社債応募するということを、規定しておるのでございます。それから二項に参りまして、ただいま申し上げましたような「資金貸付又は社債応募は、当該貸付に係る資金償還又は当該応募に係る社債償還が確実であると認められる場合に限り、行うことができる。」と特に規定いたしましたゆえんのものは、この前各号におきまして、市中金融機関ができないことをやるのであると書いてありますので、しからば返済等が困難であるものも、この銀行があるいは救済的に、あるいは政治的に金融するのであるといつたようなことを規定しておるのでございます。市中金融機関が融資することは困難でありますけれども、その貸付または社債応募は、あくまでペイイソング・ベースに乗つておるものでなければならぬという趣旨をうたつたものでございます。  それから貸付利率、十九條の規定におきましては、これまたこの趣旨といたしますところは、この銀行貸付利率等が不当に安くて、市中に対して圧迫を加えるということを避けしめる意味でございます。すなわちこの資金貸付利率は、当該利率によつて収入する貸付金利息、それから社債利子が、日本開発銀行経費、あるいは政府に対して支払うべき利子、この点はあとで出て参りますが、これらの諸経費を償うに足るようにしてこの銀行採算制を確保いたし、かつ市中銀行貸付利率も勘案して、適当な利率をきめることになつておるのでございます。それから二項は、これも輸出銀行の場合にございましたが、特殊の場合に特殊の利率上の恩典を与えてはいけないということをうたつておるのでございます。  業務方法書につきましては、先ほど申し上げましたように銀行においてこれを作成することになつておるのでございます。  業務委託につきましては、先ほども申し上げましたが、大体開発銀行は直営的な行き方で行きたいと思うのでございますが、しかし店舗の設置その他の関係から、相当他の金融機関を利用する場合も考えられますので、委託規定を置いたのでございます。しかしその場合は、相手は銀行に限るという趣旨はつきりさせたものでございます。  それから二十二條には、特に市中金融機関圧迫を加えることを警戒する意味において、「業務運営により、銀行そり他金融機関と競争してはならない。」という趣旨うたつたのでございます。  第四章の会計につきましては、手続的な規定が多いので、特に御説明申し上げる必要はないかと考えますが、二十四條におきまして「毎事業年度収入及び支出予算作成」するとありますが、その内容は、第二項に規定してございますように、収入支出の全部についてこれをいたすのでありませんので、いわゆる経費予算大蔵大臣提出し、閣議の決定を経てから国会に提出して承認を求める、こういうことをうたつたのでございます。  予備費予算の議決、予算の通知、追加予算及び予算の修正、暫定予算予算執行というようなことにつきましては、特に申し上げることはないかと思います。  ずつと参りまして三十六條の利益金の処分でございますが、毎事業年度損益計算利益金を生じたときは、これを国庫納付することをいたしませんで、準備金として積み立てて行くという趣旨はつきりさせたりでございます。この準備金は、損失の補填に充てる場合を除いては、とりくずさないことになつておるのでございます。  三十七條は「日本開発銀行は、資金の借入をしてはならない。」と規定してございます。この点に関しましては、開発銀行は、あるいは社債発行し、あるいは借入金ができるようにしておいた方が、開発銀行の将来の業務運営上適当ではなかろうかという見地をもつて、検討いたしたのでありますが、今回は一応資金の借入れはできないということで、発足せしめたいと考えた次第でございます。  三十八條業務上の余裕金運用につきましても、これは国債の保有、資金運用部への預託金日本銀行への預金というように限定されておるのでございます。  それから第五章の監督のところに参りますと、第四十條におきまして、この開発銀行大蔵大臣監督に属するということを明らかにいたしております。以下は輸出銀行の例もございますので、説明を省略させていただきます。  第六章の補則では、復興金融金庫との関連をいろいろ規定してございます。この開発銀行が発足いたしますと同時に、復興金融金庫を吸収するような考え方もあり得るのでありますけれども、ここにおきましては、四十三條に規定いたしましたように、復興金融金庫昭和二十七年三月三十一日まで、すなわち二十六年度のうちにおいて政令で定める日に解散いたしますので、その権利義務開発銀行が承継することにいたしたのでございます。しばらくの間は開発銀行復興金融金庫とが並立状態になるのでございます。しかしその最終期限は、黙つておきましても来年度一ぱいということに相なるのであります。第二項におきまして、復興金融金庫解散のときにおける積立金は、開発銀行が引継ぎまして、開発銀行準備金となるという趣旨うたつたのでございます。  それから第四十四條は、実は開発銀行業務が先ほど申し上げましたように制限せられております。しかし復金から引継ぎました債権債務については、その制限以外の業務ができることをうたつたものでございまして、二項には、現在復金が商工中金に業務委託しておりますので、その関係は今後も持続せしめますために、この規定ができておるのであります。  それから第四十五條は、復興金融金庫解散のときの資本金金額はつきりさせますために、この規定を設けたのでございます。これは本年度末に復興金融金庫を引継ぐということでありますれば、資本金の額は比較的はつきりするのでありますが、復金吸収の時期が未確定でありますので、特に詳細な規定を設けたわけであります。すなわち復金昭和二十五年度末における出資金の額、これは九百五十四億でありますが、この額から昭和二十五年度分の復興金融金庫国庫納付金納付額のうち、復興金融金庫法第三條但書規定によつて切り捨てられた額、これを実態的に申し上げますと、復金回収金があります都度、その資本金を切つて参るわけでありますが、但しこの第三條の但書規定によりまして、一億未満端数につきましては、回収金でありましても減資をしないことになつておるのであります。これは実際上は国庫に納めたものでありまして、減資すべきものが端数切捨てという技術的な理由から、そりまま残つておるのでありまして、復金を引継ぎますときには、これを資本金から落す必要があるわけでございます。それから二十六年度において、復興金融金庫がその解散のときまでに、これこれの法律によりまして国庫納付した納付金額、この最後のところに続くのでありますが、これは従来の行き方を続けますれば、国庫納付したから資本金から落すという建前になるのでありますが、これも資本金から落すという趣旨うたつたのであります。それから未払込みを落すこともまた当然でございます。こういうものが復金解散と申しますか、合併のときにおける資本金となるのでございまして、それが四十六條の規定によりまして、政府開発銀行に対する貸付金に振りかわるのであります。すなわち第四十六條を読みますと、復興金融金庫解散のときにおける政府復興金融金庫に対する出資金は、日本開発銀行成立のときに、政府日本開発銀行に対する貸付金なつたものとみなすということになるのでございまして、なおこの貸付金となりましたものについては、二項にありますように、一定利子政府に対して払うということになるのでございます。出資でありますときは利子あるいは配当等を払つておらなかつたのでありますが、今度貸付金となりました後においては一定利子を支払うのでございまして、この利率につきましては大体年五分五厘、国債並程度を予想しております。  それから第四十七條は、先ほど冒頭に一言申し上げました復金回収金は、自動的に開発銀行資本金なつて行くという規定をうたつたものでございまして、第一項は二十六年度の場合を除く。二十六年度の場合は二項にございます。まず原則でありまするところの二十七年度以降の分、すなわち第一項を御説明申し上げますと、日本開発銀行復金から承継した権利のうち、その融通した資金にかかる債権、これは普通の債権であります。それから債権保証の履行により取得した債権債務保証をしておりましたものを引継いで債権なつたものであります。それからその債権を保全するため必要な経費政令で定めるものに充当した資金、たとえば債権保全のために保険料を立てかえたといつたような場合に、これを債権に振りかえる場合があるのでありますが、それを意味するのであります。これらを総合いたしまして、復興金融金庫関係回収金という言葉で表わしておるのでありますが、要するにこれら復金回収しました資金というものは、四半期ごと開発銀行出資に振りかえられるということであります。本来から申しますれば、これらは一応政府納付いたしまして、政府から法律手続によりまして、この開発銀行に対する出資をいたすわけでありますが、そういう手続を待つことなく、自動的に出資に振りかえられるということをうたつたものであります。二十六年度の場合に限りましては、第二項にございますように、実は復金納付金関係がすでに予算に計上されております。そこで開発銀行は、まずこれらの予算納付しなければならぬ額を、国庫に納めました後において、余剰がある部分を、この開発銀行出資に振りかえるという趣旨をうたつたものでございます。ここですなわち「日本開発銀行は、昭和二十六年度に限り、」第四十六條「第一項に規定する政府貸付金返済に充てるため、第四十二條第一項の規定により承継したもののうち第一号から第三号までに掲げるもの及び第四号」を、七十六億一千九百六十三万三千円の範囲内で国庫に納めなければならないということになつております。各号を読み上げてみますると、政府出資等に関する法律第三條に規定する回収金で、二十五年度において納付金予算を越えて国庫納付すべきものを、この法律によりまして二十六年度に繰越すことといたしたいと考えまして、別途法律案を御審議つておるわけであります。その分と、それから同じような建前から、農林債券償還金を今年度には納付をいたしませんで、二十六年度に繰越すのでありますが、この金額、それから二十六年度における復金回収金、それからその他の二十六年度における回収金、こういうふうにわけておるのでございます。これを数字的に申し上げますと、第三号に該当いたしまする回収金は、五十五億二千九百万円であります。第二号に該当いたしまする金額は二十億九千万円であります。この合計が七十六億千九百万円でありまして、これはまず来年度国庫納付する。それ以上に余剰を生じましたものは、特に国庫納付するを要せずして、日本開発銀行出資金に振りかえられる、こういう趣旨をうたつたものでございます。そうして第三項におきまして、この七十六億という金額を越えました場合には、来年度末においてこれを開発銀行に対して出資されたものとみなしたわけであります。  それから罰則につきましては、特に申し上げることもないと思います。  それから附則へ参りまして、第三項には、開発銀行設立につきましては、大体の例によりまして設立委員を命じ、事務を処理させるということになつております。第八項におきまして、設立登記をすることによつて銀行が成立するのでございます。それから第十項におきましては、二十六年度に限りましては、この四十五億三千二百八十万二千円というのは、これは来年度予算に計上した額であります。これは復金が存続したならば、ここに納付すべき剰余金でございます。  そのほか雑多な規定がございますが、特に大きな項目はないと存じますので、なおそれらの点につきまして、御質問を待ちまして御説明申し上げたいと存じます。
  10. 小山長規

    小山委員長代理 質疑はありませんか。——大上君。
  11. 大上司

    ○大上委員 日本開発銀行法案について、ただいま銀行局長から御説明があつたのですが、実は本日の衆議院公報を見ますと、本日本委員会に付託になつております。ところがなるほど五月まで本国会は継続せられるとはいいながら、諸般の事情から当然自然休会に入るものというように考えておるのであります。従つて本日こういう大きな法案を出されても、とてもじやないがわれわれとしてこれを研究し、あるいはこれを審議することは非常にむずかしいのじやないかと思うのです。ところでまず当局がこの日本開発銀行法案作成するにつき、それに要したところのいろいろな関係法規の改正あるいは資料等について、実働人員といいますか、本法案ができ上るのに要したところの人数を承りたいと思います。
  12. 小山長規

    小山委員長代理 大上君、ただいまの趣旨を一つ何々何々というふうに明確にもう一ぺんおつしやつていただきたい。
  13. 大上司

    ○大上委員 特に質問の中心点は、本法案が当大蔵委員会に付託せられたについての実働人員といいますか、これのいろいろな関係法律について調査せしめたところの人員、あるいはこれを立法せしめたととろの人員、これに関係した法制意見局の実働人員、これの合計を聞かしてもらいたい。
  14. 舟山正吉

    舟山政府委員 この法案作成するにあたつては、銀行局の関係者を動員いたしまして、できるだけ早く成案を得るために努力をいたしたのでありますが、その人員も関係するところは広く、またその延日数等も特に計算しておりませんので、一口には申し上げかねますが、乏しい人員をもちまして、できるだけの努力を払つた次第であります。御了承願いたいと思います。
  15. 大上司

    ○大上委員 人員が出ぬそうでございますが、もちろん乏しい人員をもつて十分おやりになつたことは認めるのでありますが、私はたびたび言うのですけれども、なるほど当局といたしましては、各末端機関の調査といいますか、各機構をお持ちである。あるいはいろいろな関係で、銀行その他についての資料の収集も可能である。しかもこれは議員提案ではない。内閣提出なつておりますが、われわれがほんとうにこれを真剣に調査しようといたしますと、国会議員には、皆さん方当局が部下を動かすような資料が寄らないのです。従つて先般も西川政務次官に申し上げておきましたが、農林漁業融資特別会計につきまして、単に塩田並びに造林関係の、いわゆる金利を引下げるにつきましても、私の経験において、資料に優に約一週間余りかかつておる。従つてあと残り少いと言つては語弊がありますが、もちろん自然休会中といえども委員会は活動し得ると思いまするが、観念的に見てこれだけの大きな問題をわずかの間に、しかも国会の末期になつて本委員会提案せられて、私個人としては十分なる審議が尽し得ないと思いますが、当局はどのように考えておりますか。(「その通り」と呼ぶ者あり)
  16. 舟山正吉

    舟山政府委員 現在長期資金の確保ということにつきましては、世上いろいろ関心を持つておりまして、この法案はその要請にこたえるものでございまして、またこれはすでにあります制度をかえるというようなことと違いまして、現在の足りないところを新しい制度によつて補うということでございますので、もつぱら画策的事項に関しますこういうものにつきましては、いろいろの資料の収集ももちろん必要でございますけれども、大きなねらいどころからこれを決定していただいてけつこうではないかと考えます。
  17. 竹村奈良一

    ○竹村委員 議事進行。今大体開発銀行法の審議に入られておるわけでございますが、結局本国会も休会を前にいたしまして、非常に議案が輻輳しておるので、これを早く協力して上げてもらいたいというようなことも、議運等におきましてはたびたび問題にされ、協力を要請されておるわけであります。そこで私委員長にひとつお伺いいたしたいのは、そういうような場合にでき得るだけ早く審議を了して、議案を上げるということについては、われわれは反対ではないわけでありますが、しかしわれわれ不可能でかなわぬのは、本大蔵委員会におきまして、たとえば農林中央金庫法の一部を改正する法律案、これは夏堀源三郎外四十七名という各党各派によつて、いわゆる満場一致の形で提案されておる法案が、いたずらに遷延されておる。これはおそらく質疑もないだろうし、各党が賛成して各党が提案者になつておる以上は、これはすみやかに通すのがほんとうである。ところが一方において、政府あるいはまた与党の諸君は、議案審議をすみやかにやつてもらいたい、あるいは末期に至つてはできるだけ協力してもいたいということを言いながら、各党各派が満場一致で出しておるところの法案をいたずらに遷延さしておられる理由、この理由をひとつ委員長から承りたいと思います。もしこういうできるだけ早く通せるような法案が遷延されておつて開発銀行のような重大な法案を、こういう末期の切迫した時期になつて、早く協力して大綱だけきめてくれというようなことは、理論的にも矛盾もはなはだしい。従つて法案審議を促進してくれという与党の諸君は、党利党略によつて法案審議をされておるのかということを聞きたいのでありまするが、そういうことは別問題といたしまして、まず委員長として、この法案をどういうふうに処理されるか。この点を明確にしていただいてから、開発銀行の質疑に入りたいと思います。まずこの点を委員長から明らかにしてもらいたいと思います。
  18. 小山長規

    小山委員長代理 ただいまの竹村君の委員長に対する質問は、現在提案されておる農林中金法の取扱いをどうするかという御趣旨のようでありますが、この点につきましては、この委員会が休憩に入りましたときに、理事会で御相談申し上げたいと思つております。
  19. 竹村奈良一

    ○竹村委員 しかし先ほど申しましたように、これは非常に矛盾しておるわけです。この法案を早く上げようというならば、こういう満場一致の法案はすみやかに上げて、もう本会議を通すのがほんとうなんです。そして参議院に送り込むのがほんとうです。従つて休憩のときに理事会でというような悠長なことをおつしやらずに、今ただちに休憩されて、まず早く通せる法案は通してしまう。私は与党にも協力する意味で言つておるのですから、早く通して、通せないやつは——開発銀行というような大きな問題に関しましては、十分ここで審議を尽す。そのためにはもう異議のないものは早く通してしまう。この意味からただちに休憩されて理事会を開かれて、この取扱いについて相談されんことを特に再び提案するわけです。
  20. 小山長規

    小山委員長代理 休憩の時期については委員長に御一任願います。
  21. 竹村奈良一

    ○竹村委員 それでは本日はこれをもつてただちに休憩されんことの動議を提出いたします。
  22. 小山長規

    小山委員長代理 竹村君のただいまの動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 小山長規

    小山委員長代理 それでは午前中は、これをもつて休憩いたします。     午前十一時五十九分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた〕