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1951-03-24 第10回国会 衆議院 大蔵委員会 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十四日(土曜日)     午前十一時四十三分開議  出席委員    委員長 夏堀源三郎君    理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君       尾関 義一君    小平 久雄君       佐久間 徹君    清水 逸平君       高間 松吉君    田中不破三君       苫米地英俊君    西村 直己君       水田三喜男君    三宅 則義君       宮幡  靖君    内藤 友明君       松尾トシ子君    竹村奈良一君       深澤 義守君  出席政府委員         大蔵政務次官  西川甚五郎君         大蔵事務官         (主税局長)  平田敬一郎君         農林事務官         (大臣官房農林         金融課長)   富谷 彰介君  委員外出席者         農林事務官   遠藤弥豊治君         農林中央金庫総         務部長     杉野精一郎君         專  門  員 椎木 文也君         專  門  員 黒田 久太君     ————————————— 三月二十四日  委員大上司君、島村一郎君及び塚田十一郎君辞  任につき、その補欠として田中不破三君、尾関  義一君及び小平久雄君が議長の指名で委員に選  任された。     ————————————— 三月二十三日  公認会計士法の一部を改正する法律案参議院  提出参法第一三号)再評価積立金資本組入  に関する法律案内閣提出第一一九号)(参議  院送付)  資産評価法の一部を改正する法律案内閣提  出第一二二号)(参議院送付)  保險募集取締に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出第一二三号)(参議院送付)  農林中央金庫法の一部を改正する法律案夏堀  源三郎君外四十七名提出衆法第二三号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  食糧管理特別会計歳入不足を補てんするため  の一般会計からする繰入金に関する法律案(内  閣提出第九号)  食糧配給公団清算経費財源に充てるための  剰余金使用に関する法律案内閣提出第一〇  号)  鉱工品貿易公団損失金補てんのための交付金  に関する法律案内閣提出第二四号)  関税定率法の一部を改正する法律案内閣提出  第六六号)  関税法の一部を改正する法律案内閣提出第一  一七号)  再評価積立金資本組入に関する法律案内閣  提出第一一九号)(参議院送付)  資産評価法の一部を改正する法律案内閣提  出第一二二号)(参議院送付)  保險募集取締に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出第一二三号)(参議院送付)  農林中央金庫法の一部を改正する法律案夏堀  源三郎君外四十七名提出衆法第二三号)  公認会計士法の一部を改正する法律案参議院  提出参法第一三号)     —————————————
  2. 奧村又十郎

    奥村委員長代理 会議を開きます。  昨日付託になりました農林中央金庫法の一部を改正する法律案議題として、まず提案者より提案趣旨説明を求めます。内藤友明君。
  3. 内藤友明

    内藤(友)委員 ただいま、上程になりました農林中央金庫法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由提出者の一人でありまする私から御説明申し上げます。  この改正案の骨子になつておりまする事柄は、ちようど昨年の今ごろの国会の当委員会に付託されておりました、日本勧業銀行法等を廃止する法律案を審議されました際、修正案を当委員会案として決定し、関係方面と交渉していましたときの内容と同じで、従つて皆様御熟知のことと存じ上げる次第であります。すなわちかねて懸案でありました役員民主化を実現し、時代の要求に合致せしめんとするものでありまして、このほか政府出資が二十三年四月から消滅したにもかかわらず、法文上政府出資規定が残つている等、実情に沿わない点が相当出て参りました。これも改正して実情に即するものとするとともに、新たに必要とする業務はこれを拡張する等、二、三差加えたものであります。以下改正の要点を簡單に申し上げます。  第一は、資本金の増額でありまして、農林中央金庫所属団体出資金は現在八億円となつておりますので資本金に関する規定実情に即するごとく改正せんとするものであります。  第二は、政府出資に関する規定を削除した点でありまして、農林中央金庫政府出資は、同金庫の再建整備の際全額損失補填に充当せられ、現在は零となつているからであります。  第三は、業務の拡張でありまして、所属団体のために新たに保証業務を認め、また他の法人のために金銭の出納、または有価証券の保護預かり、もしくは委託売買業務を認めんとする点でありますが、これは最近の金融事情よりして、右業務農林中央金庫使命達成上特にその必要を痛感されているからであります。  第四は、役員選任方法民主化するとともに、常勤役員の兼職を禁止し、また役員不正行為をなした場合に、役員の改選を命じ得ることとした点でありまして、従来は役員はすべて主務大臣が任命することになつていたのでありますが、今回役員は定款の定めることにより、出資者総会において選任し、主務大臣の認可を受けることといたしたわけであります。  第五は、理事長、副理事長理事任期五年を四年にしたことでありまして、従来の任期五年はやや長過ぎると考えられるからであります。  なお現行法第四章、農林債券に関する各条は実情に沿いませんが、すでに公布されております銀行等債券発行等に関する法律規定いたしてありますのでこれはそのままにいたしてある次第であります。  以上がこの法律案提案いたしました趣旨並びに改正内容の大要でありますが、何とぞ愼重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを御願い申し上げる次第であります。     —————————————
  4. 奧村又十郎

    奥村委員長代理 これより昨日質疑を打切りました公認会計士法の一部を改正する法律案議題として討論採決に入ります。
  5. 三宅則義

    三宅(則)委員 ただいま議題となりました公認会計士法の一部を改正する法律案につきましては、討論を省略してただちに採決せられんことを望みます。
  6. 奧村又十郎

    奥村委員長代理 三宅君の動議のごとく決定するに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 奧村又十郎

    奥村委員長代理 御異議ないようでありますから、本案に関しては討論を省略して、これよりただちに採決に入ります。本案賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  8. 奧村又十郎

    奥村委員長代理 起立多数。よつて本案原案の通り可決いたしました。     —————————————
  9. 奧村又十郎

    奥村委員長代理 次に昨日質疑を打切りました各案について討論採決に入ります。  まず食糧管理特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案食糧配給公団清算経費財源に充てるための剰余金使用に関する法律案鉱工品貿易公団損失金補てんのための交付金に関する法律案の三案を一括議題として討論に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。竹村君。
  10. 竹村奈良一

    竹村委員 私はただいま提案されました三法案につきまして、日本共産党を代表いたしまして、反対の意見を表明するものであります。  まず第一に申し上げたいことは、鉱工品貿易公団に対するところ損失金国庫から負担する件でありますが、大体鉱工品貿易公団というものは、新聞紙上においてもいろいろ問題にされましたように、早船あるいは、ミス東京事件として喧伝された不正の魔窟であります。しかしたとえば早船あるいは、ミス東京という世人に喧伝されたニユース・ヴアリユーのある事件によつて国民の目を奪われておる裏に、もつと大きな不正が介在しておることが見のがされておるのであります。これを一々詳しく申し上げますならば切りがないのでありますが、まずその一、二の例を申し上げますならば、先般本委員会提出されました公団からの資料によりましても、一商事会社がたとえば一千五百万円に相当する品物を公団に納入いたしまして一年たつて同じ納入者が一体どのくらいの価格で払下げを受けておるか。それはわずかに五十万円くらいで払下げを受けております。この一年間における倉庫料は四百万円からかかつておる。一人の商人が一千五百万円くらいの原価で公団に売り渡して、一年間公団が保管して倉庫料が五百万円かかる。そうすると二千万円くらいかかつておるのに、その商人はわずかに五十万円で払下げを受けておる。これは出された資料によつて明らかである。こういうような商売が至るところでやられておるならば、日本商業道徳から考えましても、これは暴利取締令か何かの形で取締らるべきである。ところがそういうことが容認されてそのままになつて一おる。こういうことを見のがしておるのは、大体吉田内閣は口に何とかかんとか言つておりますけれども、事実におきましてはこういう不正を見のがしておつて、そして単なる一公団職員である早船とか、ミス東京という問題だけが新聞に出たから——これももちろん悪いのでありますけれども、このことだけに籍口いたしまして、そしてこういう不正を隠しておる。しかもそれのしりぬぐいは一体どうしておるか。これのしりぬぐいは、今度は十六億くらいの金だ、こう言つておりますけれども、この国庫の負担する金は、実に零細な賃金で働いたところ勤労者税金、あるいは破産に瀕しております中小企業者が涙をのんで納めたところ税金、こういうものによつて補おうとするのであります。そこで問題はこういうことに対しまして、これは組織が惡いのだということを政府はいつも言つておる。しかし組織が惡いとかいいとかいうことは別問題としても、こういう先ほど申しましたような不正を行わしておるところに、吉田内閣行政監督能力が欠除していることが、はつきり証明されているのであります。     〔奥村委員長代理退席委員長着席〕 今日いろいろな公団に対する惡評は——というよりもむしろ公団に対するところの不正は、もう数え切れないほどある。油糧配給公団しかり、飼料配給公団しかり、あるいはまた貿易公団しかり、産業復興公団しかり、いろいろな公団に対する不正というものに、国民のいかに多くの淨財が、いかに多くの血税が使われているかは、これはもう世人のよく知るところでありますけれども、この鉱工品貿易公団に至りましては、実に前後にその比のないほどの惡辣、乱脈をきわめた公団であるといわざるを得ないのであります。これに対して政府国民血税を繰入れて、これによつてこの公団のしりぬぐいをしようとしている。このことは一体何であるかということをわれわれは考えなくてはならない。これは單に一公団職員や、あるいはまたその他の機構の問題ではないのでありまして、事実は、これは資本主義経済の必然として起つたものであるとはいえ、しかもその根底をなすものは何であるかといいますならば、人類に一番悲劇を与えるところのいろいろの紛争の根源なすその根源をそのまま見過して、自分たち利潤追求をやろうとする政策の現われであるといわざるを得ないのであります。つまりかつての中国における蒋介石政権没落は、蒋介石政府内部におけるところの不正と腐敗によつて、あの没落を早めたといわれておりますけれども、ちようど今日日本におけるところのこの公団の不正の原因こそは、吉田内閣の世紀末的現象であるといわざるを得ないのであります。つまりこういうような不正が続く限り、やがては蒋介石政府と同じような末路をたどるであろうということを、私は確信して疑わないのでありまして、こういう不正と腐敗を見のがすところ吉田政府のこの方針に対しましては、共産党は断固として反対せざるを得ないのであります。
  11. 夏堀源三郎

  12. 奧村又十郎

    奥村委員 私は自由党を代表して、ただいま提案の三法案に対して賛成の意を表明するものであります。  まず鉱工品公団に関する法案であります。なるほどただいま共産党竹村奈良一君がるる述べられた通り、鉱工品公団には過去にかなり不正の事実があつた。また経理その他にはなはだ遺憾の点が多かつた。それがために相当の赤字をつくつて、これをこの法案によつて国民血税で補うというような、遺憾な状態に陷つたということは事実であります。しかしその責任なりあるいは理由はどこにあるかということを、われわれが十分糾明いたしみましたところ、その理由として、まず第一に、これは公団機構に不備があつたということをわれわれは認めるのであります。すなわち公団法律的によく調べてみますると、責任の所在が明らかになつて来ない。つまりこの公団法律的に最初に生み出した国会責任があつた。あるいはその当時の政府責任があつたというふうに、われわれはまず考えざるを得ないのであります。次に第二の理由としては、経済情勢変転、それに由来するところの統制の撤廃、こういうふうなことに原因があると思うのであります。すなわち公団の発足以来、たとえば竹細工その他のものを輸出用として買い入れた。ところ輸出が思わしく行かなかつた。その間に竹細工品が、倉庫の中で虫に食われて腐つたというようなことで非常に損があつた。しかしこれは最初から損がわかつていて買い上げたものではなくて、いろいろな情勢変転によつてそういう欠損が起つたのであつて、これはやむを得ない。第三番に、やはりこれは公団関係者あるいはまた公団を監督すべき政府重々落度があつたということも、われわれは認めるのであります。しかしすでに公団は廃止しているのであつて、現在は清算中である。そこでわれわれはこの豊において十分にこの跡始末を善良な注意をもつてやらすべきである。また十六億九千万円の金が、はたして全部必要であるかどうかということをいろいろ検討したのであります。しかしこれについてはまだ裁判中あるいは訴訟中等いろいろな係争事件もあつて確たる金額を確かめ得ないのは残念であるが、一応これだけの金額は必要として認めまして、今後の清算経理において、十分政府において、また公団清算人において御注意を払われることを要求いたしまして、そういう条件をつけて賛成いたすものであります。  次に食糧公団に関する法律案であります。この食糧公団につきましてもかなり不正事件があつた。あるいは経理において遺憾な点があつたということは、これまた事実であります。最近においてもわれわれは新聞紙上において、食糧公団に七千万円の不正事件があつたということを見ました。まことにこれは遺憾に考えておるものであります。しかしこれもいろいろ検討してみますると、われわれ大蔵委員が、昨年の四月に、この食糧公団の放漫な予算について十分の注意を与えました結果として、かなり放漫な予算を反省して訂正した跡がよくうかがえるのであります。一方において経費の支出あるいは收入の見積りについてまだ遺憾な点がありますが、われわれはこれも一応原案賛成いたしまして、今後の処置において、十分の注意を払われんことを希望いたしまして、賛成するのであります。  そのほか食糧管理特別会計に関する法律案について、これは一応事務的な法律案と言えば言えますが、賛成するのであります。  以上をもつて私の賛成理由とする次第であります。
  13. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 討論は終局いたしました。次に右三案を一括議題として採決いたします。右三案を原案の通り可決するに賛成諸君起立を願います。     〔賛成者起立
  14. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 起立多数。よつて右三案はいずれも原案の通り可決いたしました。     —————————————
  15. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 次に関税定率法の一部を改正する法律案議題として、討論採決に入りたいと存じますが、本案に関しては修正案提出されておりますので、まず修正案趣旨弁明を求めます。宮幡君。
  16. 宮幡靖

    宮幡委員 ただいま議題となつております関税定率法の一部を改正する法律案に対する修正案につきましてその趣旨弁明を行いたいと存じます。  まず修正案を朗読いたします。   関税定率法の一部を改正する法律案に対する修正案  関税定率法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。関税定率法改正別表輸入税表番号第千四百十七号中「アンチモニー及び」を削る。   附則第二項中「食糧輸入税免除する法律昭和二十二年法律第百八十八号」を食料の輸入税免除する法律昭和二十二年法律第百八十八号)」「つむぎ等の輸入税を  免除する法律昭和二十五年法律第百九十二号)」に改める。   附則第四項及び第七項を削り、第五項を第六項とし、第六項を第七項とし、第三項の次に第四項及び第五項として次の二項を加える。  4 南西諸島生産に係る物品で、政令をもつて定める原産地証明書を添付するものの輸入税は、当分の間、免除する。この場合において南西諸島とは、関税定率法第十二条の規定によつて外国とみなされる北緯三十度以南南西諸島をいう。  5 関税定率法別表輸入税表に掲げる物品で、この項の別表甲号に掲げるものの輸入税は、昭和二十七年三月三十一日までの輸入については、これを免除し、この項の別表乙号に掲げるものの輸入税は、昭和二十七年三月三十一日までの輸入については、関税定率法別表輸入税表によらないで、この項の別表乙号税率を適用する。  別表甲及び別表乙は当委員会において、各委員のお手元に配付せられておると思いますので、この際朗読を省略させていただきます。  この修正案に対しまする趣旨は、今回の関税定率法改正は、後刻討論の際申し上げますが、画期的なものでありまして、大体におきましては時宜に適するものであります。しかし国際事情が非常に変転いたしておりますし、また国内産業にいたしましても、いまだ再建過程にあり、あるい自立の過程にある段階におきましては、いささか税率その他において不適当の面があるように考えられますので、暫定措置といたしまして一、二のものにつきまして軽減免除の方策を考え、かつ時宜に適しないと考えられますものにつきましては、一部の税率を変更いたした次第であります。  まず第一はアンチモニーでありますが、これは国内生産が非常に乏しいのでございまして、硫化アンチモニーすなわち鉱石につきましては、無税措置をとることが妥当でありますが、製品につきましては、課税いたしまして、国内産業保護育成ということに志すべきであり、その他の銅とかいろいろな同一の非鉄金属類と比較いたしまして、これを無税にする原案は妥当でないと思いますので、この際これを課税することにいたしたい、かような趣旨修正であります。  その次の北緯三十度以南南西諸島に対しますものは、おおむね従来沖繩貿易と称しまして、特別な取扱いを行つて参りました。そのことを承継いたした修正であります。  なお内容の一、二について具体的に申し上げますと、五一九番の炭化水素、これは一般に油と言われておるものでありますが、このうち原油重油、粗油につきましては、国内生産が全消費量に対しまして大体一割程度、さような状況でありますので、原油重油、粗油は海外から仰がなければならない立場で、あえて一割程度生産国内産業保護育成する必要もなかろう、かような議論もありますが、将来を考えてみますと、やはり一応関税定率を定めておきまして、時宜に適しました操作をするのが妥当であろう、かような考えから両面を勘案いたしまして、一年間を限りましてすなわち昭和二十七年三月三十一日までの期間を限りまして、これを無税とする、こういうような取扱いをいたしたいというのが修正趣旨であります。これに準じまして、同項の二の甲、乙たとえばおもに石油製品でありまして、ガソリンあるいは航空用ガソリン等も入つておりますが、そういうような製品に対しましては、一割、二割、三割という段階税率が設けられておりますが、原料の一割を零といたしましたにならすためと申しますか、やはり均衡を保つ意味と、原料無税である場合においても、製品には課税する、製品には課税すべきであるという趣旨をも明らかにする意味で、一割減じまして、二割を一割、三割を二割に一年間だけ軽減いたして行きたいというのがこの案であります。  さらに食糧面におきましては、二〇九番のとうもろこしでありますが、これは飼料として輸入されますものは他の項目において無税となつておりますが、食糧としてのとうもろこしは一応課税になるようになつております。この処置におきましていろいろ実務的に錯誤が多くて困る、かようなお申出でありましたので、とうもろこしも他の食糧臨時措置になぞらいまして、これを軽減いたすことにいたしたいとする趣旨であります。  次に二一一番の豆類でありますが、その一のうちの大豆、これは国内産が非常に少いのでありまして、かつて中共方面と申しますか、満洲、北支等から供給を受けておりましたが、この面もさしあたりましてはやや輸入困難の情勢もありまして、遠くアメリカの方から輸入しなければならぬ、こういう立場にありますので、これらに課税いたしまして、輸入をはばむようなことになることは、国内の諸事情と照し合せまして妥当でない、かような考えからこれを一応軽減するという趣旨をとつております。  次は豆類の三でありすが、この落花生についての軽減措置をとりましたことも、大豆輸入について多少危惧するところがあるとするならば、落花生輸入を促進いたしまして油の調達、大豆油を落花生油に置きかえる、かような形をとられることも予想せられますので、この際落花生も同一意味におきまして、輸入促進立場から軽減をしたらどうか、かような趣旨になつております。  次は一二二八番、コークスのうちの石油コークスの問題でありまするが、これはおもに鋼管等の製造に使われるものでありまして、現在はこの種産業を育成すべき段階にありますので、これを軽減する方向をとつたらどうか、かような趣旨軽減措置を講じております。  その次は航空機並びに船舶内燃機関、これらにつきまして、航空機も最近は民間航空が開始される事態となつておりますし、日本航空機工業は、いまだ再開を認められておらぬわけでありまして、外部から入つて参りますものに一切を依存するという状況でありますので、この際これに対しまする税の軽減をなすべきである、かように考え修正いたしたいと思うものであります。  次の一六四八番の船舶でありますが、これも現在の状況におきましては、船腹の増強が叫ばれておりますけれども、国内の造船の状況その他を考えますとなかなか容易でない。そこでいろいろな意味において、具体的に上つておりますリバティ型の船を輸入するというような場合には、やはり関税をかけられる。これは船舶増強趣旨に反しますので、この点についても同様な考慮をいたしまして、この際税の免除をいたそう、かような考え方をとつて修正をいたしたのであります。  次の一六五八番、内燃機関につきましても、航空機用のものについて同様なことを考えたい、こういう趣旨でいたしております。  なお七〇五番の合成染料の六のうちの建染染料、そのうちの乙の「その他」、これは原案は二割五分の税率でありまするが、ただいま、この「その他」の分に入ります染料の大部分は、これを使用して輸出綿布等のプリントを生かす染料になつております関係上、他の染料と同様に、たとえば人造藍と同じ一割五分に取扱うことはどうか。若干軽減いたしまして、輸出促進の一助になるようにという考え方から一割五分に軽減いたそう、かような趣旨であります。  何分にも原案そのものが複雑であり、しかも修業案自体もなかなか複雑でありまして、ここで御説明を申し上げましても、十分御了解をいただけるかどうかはなはだ心配いたしておりますが、お手元に配付いたしました修正案をお熟読の上、ぜひともこの修正案に御賛成賜わらんことをお願いする次第であります。
  17. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 修正案趣旨弁明は終りました。  これより本案及び修正案一括議題として討論に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。竹村君。
  18. 竹村奈良一

    竹村委員 私は本案並びに修正案に対して、日本共産党を代表いたしまして、反対の意見を表明するものであります。  まずわが国が現在置かれている地位から考えますならば、現在わが国は占領下にあるわけでありまして、完全なる自主権が与えられていないのであります。ところがこの完全なる自主権が与えられていないところに、突如としてこの法案提出されたのであります。もちろん大蔵大臣の本委員会における説明によりますならば、これの研究にあたつては、二箇年余を費したと言われております。しかしながら何箇年この研究に費したといたしましても、まだ自主権のないところにこの法案提出されたところに、大きな問題があるとわれわれは考えざるを得ないのであります。なぜならば、関税法というものは各国においてもその例を見るごとく、少くともその国の自主性の問題に関連するところの大きな問題であります。少くともこの関税法を成立させる場合におきましては、その国が自主性を持つておるかどうかということが、如実にこの法案の中に織り込まれ、現われるものであります。ところが現在わが国が完全なる自主性を持たない今日、この法案提出されたということ自体は、ある一つの国からいろいろな制約を受けて、この法案ができ上つたと考えざるを得ないのであります。従つてこの法案そのものが、日本の国の独立的な考えから出たものであるとは考えられないのであります。もちろん政府は独自的なものであると言つておりますけれども、実質的にはそうではない。これは、たとえば国会の議においても、いろいろ制約を受けているところの事実から考えられるわけであります。しかもそれに対するところ修正案が、今るる述べられたように提案されました。このことから考えましても、この法案提案されますと同時に、各方面から関税の減税をめぐつて、いろいろな陳情がなされておる。しかしこの陳情を見ましても、おのおの自分の立場と、自分の産業という建前から陳情がなされているのでありまして、日本の国の独立という大きな観点からなされているのではない。たとえば一つの原料輸入するのに際して、関税を高率にするならば、この産業が阻害されるというような陳情がなされておりますけれども、これはその当時の政府のやり方によつて、こういう問題は除去できる。たとえば関税を高率にとりましても、これを国内において操作をいたしますならば、あるいはいろいろその産業を保護するために、国家の費用においてこれに保護助長を与えますならば、決してその産業を萎縮せしめることはないのであります。まず問題は、各国との関税協定の上に立つて日本の国が独立を守るために、自主的な関税方策をとるということが主眼である。しかしそのことが一応でき得ないときに本法が提出され、しかも各地における陳情によつて、いろいろ修正案提案されておるのでありますけれども、そういうことは国内的な政策によつてこれがなさるべきである。しかるに提案されたところ政府原案を、いろいろな陳情その他によつて修正されるということは、これまた今度の——はつきり申し上げますならば、次の選挙をねらうところの、一つの政策的な根本を忘れたところの方針であるといわざるを得ないのであります。われわれはこの法案提出されたのを見まして、その中にいろいろな点において、たとえば政令によつて、この法が成立しても、これを無税にしたり、あるいは法律の範囲内においてこれをかけるというように、自由に政令によつて出される一項等があることから考えまして、本法案というものは、提出されても、事実においてはあまり関係のないものであると私たちは考えるのであります。従つてわれわれはもちろんこういう関税定率法というものは、成立せしめなければならないのでありますけれども、それは講和条約後において、日本が完全に自主性を回復して、日本独自の自主的な、恥じるところのない完全な関税法の成立するまでは、本法案はあつてもなくても同じことで、あまり必要でない。はなはだ言い過ぎではあるかもしれませんが、本法案はあつてもあまりさしつかえのない、なくてもいいものである。しかもこの一応のわくをはめることは、今後日本が自主性を回復いたしました後においても、これを改正するにははなはだ困難を生じ、しかもその場合に——大蔵大臣は何と言つたか。つまり講和条約を成立させるための準備的な法案であると言つている。準備的に、われわれがへり下つて日本の独立を危うくするような考えのもとに、講和条約をしてもらうがためにという考えで出された本法案こそは、植民地的な性格を如実に現わしているものであると私は考えるがゆえに、あえて日本民族の自主性と独立をかちとるためにも、本法案には絶対反対するものであります。
  19. 夏堀源三郎

  20. 松尾トシ子

    ○松尾委員 ただいま議題となりました修正案並びに本案に対しまして、社会党といたしましては一応反対の意を披瀝するものであります。  なぜならば、社会党独自の修正案を持つておりましたけれども、手続上間に合いませんので、これを参議院にまわして修正いたすことにしたわけでございます。しこうして私どもはこの委員会において、社会党独自の修正案内容をちよつと説明させていただきます。  それは、次の品目に対して、昭和二十七年三月三十一日までこれを免税とするということをうたいまして、その次に品目を掲げます。大豆並びに落花生原油重油及び粗油その他の精製油等——その他の精製油というのが修正案に落ちておりますので、これをつけ加えるのでございます。次に航空機並びにその部分品、船舶、これらも免税を望んでいるのでございます。次には合成染料に対する税率を一五%に下げることを規定した附則第四条を削除することにきめました。これはむしろ原案の二五%にいたしまして、国内産業を保護した方がよいと思つたからでございます。次に奄美大島については、輸出輸入品に課税しない、こういう大要三項目にわけまして、ある部分は議題となりました修正案と同じ品目もございますけれども、一、ニ、三点余分に免税を要望しておりますので、独自の修正案をここに提出したいところであつたのであります。しかしながら、さきに申し上げましたように、手続上間に合いませんでしたので、参議院に回付いたしますから、この委員会においては一応の反対の意を表明するものでございます。
  21. 夏堀源三郎

  22. 宮幡靖

    宮幡委員 ただいま議題となつております関税定率法の一部を改正する法律案に対しまして、修正案に対しましてはわれわれ小山委員とともに提案者でありますので、あえてここに賛否を申し上げる必要はありませんが、修正部分を除きます原案につきまして、自由党を代表いたしまして賛成の意を表するものであります。  その理由といたしましては、けだし現在の国情のもとにおいて、この改正を断行し得ました政府、特に大蔵省当局の御努力に対しましてわれわれは国民の意思を代表して、感謝の意をささげたいと存ずる次第であります。ただいま共産党竹村委員討論の中に、自主性がないとか、あるいは選挙対策による修正であるとかいうお言葉がありましたが、このことは私ども御意見としては承りますが、まことに的のはずれました、ためにする議論であることをまず申し上げねばなりません。この自主性の問題は、毎度他の委員会においても問題になるでありましようが、敗戰の冷嚴なる現実をだれが否定できましよう。その中に自主性を論ずるということが、まずその主要なる観点において開きがあると私は存じます。しかしながら、本法案と直接関連のないことでありますので、ここで議論にわたることは避けるのでありますが、およそこの原案となつております関税定率法改正は、われわれの知る範囲におきましても、過去三箇年間、大蔵当局がまつたく夜書の差別なく努力に努力を重ねて盛り上げたものであります。御承知のように国際連合の機関といたしまして、世界の経済の三大支柱とも言われております。ブレトン・ウツズ協定に基きますところの国際貿易憲章、これによつてハバナにおいて調印されました貿易関税及び貿易に関する一般協定、通称ガツトと申しておりますが、これに参加する用意をもちまして、これらの精神を取入れまして、まず低関税主義をとり、従来ぜいたく品等に対する一〇〇%課税はこれを廃止いたしまして、ひたすら正常なる国際貿易への参加と、国内産業保護育成等に思いをいたしました点につきましては、ことごとくその努力に敬意を表するにやぶさかでありません。ことに竹村委員も言われた通りの自主性のない現在において、よくもこれまでやり得たものである。この点について、もし冷静に事を批判する人々があるならば、この言葉が先に出てよいと私は存じておるほど、この原案に対しまして心から敬意を表する次第であります。内容につきましては、もし必要がありますれば、本会議におきまして数時間を費して討論いたしますことも、あえて辞するところではありません。要旨はさような意味でありますので、委員会討論はきわめて簡潔にいたしまして、修正案並びに修正部分を除きます原案に対しまして、自由党を代表いたし、賛成の意を表する次第であります。
  23. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 討論は終局いたしました。  これより本案及び修正案一括議題として採決いたします。右案を宮幡靖君提出にかかる自由党修正案の如く修正議決するに賛成諸君起立を願います。     〔賛成者起立
  24. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 起立多数。よつて右案は宮幡提出にかかる自由党提案修正案の如く修正議決するに決しました。     —————————————
  25. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 次に関税法の一部を改正する法律案、再評価積立金資本組入に関する法律案資産評価法の一部を改正する法律案保險募集取締に関する法律の一部を改正する法律案一括議題として討論に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。佐久間徹君。
  26. 佐久間徹

    ○佐久間委員 ただいま議題になりました保險募集取締に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、自由党を代表して賛成の意を表する次第であります。  本案は、保險募集に関しまして、昭和二十三年七月制定せられたものでありますが、なお当時の経済状態から、保險募集の上におきまして、相当非難される面があつたのであります。しかるに本法の運営まことによろしきを得まして、漸次これらの点が改善されて参つたのでありますが、なお不正募集が跡を絶つたとは、遺憾ながら言いがたいのであります。そこで保險契約者の保護と、保險事業の健全な発達をはかる必要上、さらに取締りを嚴重にいたすために本改正案提出されたのでありまして、しごく時宜に適したものと存ずる次第であります。よつて本案賛成の意を表する次第であります。  次に資産評価法の一部を改正する法律案、及び再評価積立金資本組入に関する法律案について、自由党を代表し賛成の意を表する次第であります。  すなわち本案は、昨年資産評価法が制定せられたのでありまするが、その後経済状態も著しく活況を呈して参つたので、前回再評価を十分に行わなかつた企業に対して、前回と同様再評価を行つて企業経理の合理化をなし、健全な資本の蓄積をはかろうとするものであつて、しごくもつともと存じます。また再評価積立金資本組入れについても、現行法では昭和二十八年一月一日まで行い得ないことになつておるが、経済界の実情から再評価積立金を早く資本に組み入れようとするものでありまして、これまた当然であると存ずるのであります。両々相まつて一般と経済界に貢献するものと確信する次第でありまして、賛成の意を表するものであります。
  27. 夏堀源三郎

  28. 松尾トシ子

    ○松尾委員 ただいま提案されました四件につきましては大体賛成でございますが、そのうちの資産再評価の点についてちよつと条件を言わしていただきます。  再評価問題は、最近において大企業は動乱後その収益が増大すること二、三倍だと思われるのであります。従いまして再評価をするのはこの意味において当然でございますが、これが中小企業の再評価の面におきましては、少しお考えをいただかないとまずいと思うのです。いわゆる世界の軍拡経済から推して、原料高の製品安というところでございますので、中小企業の再評価問題だけは、この基準を区別して取扱つていただくように希望条件を付して、この四案に賛成するものであります。
  29. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 深澤君。
  30. 深澤義守

    ○深澤委員 共産党を代表して、ただいま提案されました四案に対して、反対の意を表明するものであります。関税法の一部を改正する法律案並びに保險募集取締に関する法律案に対する反対の理由はこれを省略いたしまして、資産評価法の一部を改正する法律案並びに再評価積立金資本組入に関する法律案に対しまして、いささか反対の理由を述べんとするものであります。  第一に、この二つの資産再評価に関する法案が、いわゆる資本蓄積をねらつておるという点であります。特に日本におけるところの重工業の育成拡大を非常に大きなねらいとしておるというところに、大きな問題があると思うのであります。  第二の点は、この資産の再評価並びに積立金の資本組入れによりまして、過剰株が非常に多くなるのであります。そういたしますと各企業とも、この厖大な過剰株に対するところの配当という問題が問題になつて来るのであります。この場合において各企業はどうしてこの過剰株に対するところの配当を維持するか、その株価を維持するかという場合において、結局企業の生産コストの切下げということが当然問題になつて来る。その生産コストの切下げをどうしてやるかと申しますれば、それは必然的に労働強化と賃金低下ということによつて、労働者を圧迫するということ以外に行く道がないのであります。この意味においてわれわれはこれを第二の理由として反対するものであります。  第三は、この資産再評価並びに資本に対する積立金の組入れによりまして、日本におけるところの産業の中で、優勝劣敗の姿が現われて来るのであります。すなわち中小企業、羸弱な基礎を持ちますところの企業は破産いたしまして、資本の集中と独占がこれによつて行われて来るということが、はつきり出て来ると思うのであります。これが第三の反対の理由であります。  第四の反対の理由は、このようにして日本におけるところの産業の中に独占資本の育成を行い、その独占資本がいわゆる最近問題となつておりますところの日米経済協力態勢と結びつきまして、ひたすら特需の引受をやるという結果になるのであります。この特需の引受こそは、実は国際帝国主義のアジア侵略の一環としての立場に立たせられ、そうして南朝鮮あるいは台湾、ヴェトナム等に対するところの軍需品の供給源としての役割を果される。さらに最近問題になつておりますように、ダレス報告にも明らかになつておりますように、西欧諸国の軍需下請まで、この日本の独占資本に対してやらせるということすら、問題になつて来ておるのであります。従いましてわれわれはこの資本の再評価並びに積立金の資本組入れの問題は、日本におけるところの独占資本の強化に、そうしてそれを現在の国際的立場におけるところの国際帝国主義の一環として役立たせるという、この一つの地ならし工作である。こういうことを指摘いたしまして、本法案に対しましては断固として反対いたすものであります。
  31. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 討論は終局いたしました。  次に右四案を一括して採決いたします。右四案を原案の通り可決するに賛成諸君起立を願います。     〔賛成者起立
  32. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 起立多数。よつて右四案はいずれも原案通り可決いたしました。  なお報告書の作成その他につきましては、委員長に御一任を願います。  暫時休憩いたします。     午後零時四十九分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた〕