○池田国務大臣 御
質問の第一点は、資金
運用部資金特別会計に郵便貯金並びに簡易生命
保險、郵便年金の金を一元的に
運用することになると、地方への還元が困難になるのじやないかというこの前の
質問に対してどう
考えるか、こういうことであると思います。御
承知の通り、従来の預金部資金というものは、国債と地方債に限られてお
つたのであります。地方債のわくは、自治庁その他の申出によ
つて一応きま
つております。しかるところ一方では郵便貯金、簡易
保險が非常に多くな
つて参りまして、地方債の引受だけでは金が余
つて来る。そこでわれわれは、これをできるだけ
一般経済界に還元しようという意図のもとに、
関係方面と話をいたしました。しかるところ、この簡易
保險とか郵便貯金というものは、国民大衆の零細な資金でありまするから、よほど
運用を確実にしなければいかぬ。そこでりつぱな
運用委員会を設けると同時に、簡易
保險とか郵便貯金という特別会計を設けて、資金
運用部から、国がはつきりした借用証文を出す
制度に改める。そうするなら、ば、地方債、国債以外のものにも
運用してさしつかえないだろう。しかも確実を期する
意味から、
運用部資金から各会計に出す。こういう
制度に改め、そうして金融債を引受けようということに相な
つたのであります。そうして金融債を引受けた場合におきましては、地方への還元がどうなるか。これは地方に還元するのであります。ただそれがどの程度農林中央金庫の債券を引受け、あるいは商工中央金庫の債券を引受け、また勧銀、興銀の債券をどの程度引受けるかによ
つて違いまするが、いずれにいたしましても、今国債はまだ発行しておりません。ただ国鉄とかあるいは電気通信省の方に投資をいたします。これは国の
仕事でありまするから、優先的にやります。その次には地方債の引受でございまするから、これが
動きまして、地方に相当還元できると思うのであります。しこうしてその余
つた分を金融債として農林、水産あるいは林業あるいは中小企業の方に出し、また国のために必要な長期資金にこれから出すということでございまして、資金
運用部に
なつたからとい
つて、地方への還元がおろそかになるどいうことは私は
考えておりません。地方に還元するようにするためには、こういうふうにはつきりした
制度を置いて、しかも国民大衆が安心して貯金ができ、
保險に入れるようにすることが適当であると
考えたのであります。
次に、こういうふうにいたしますと、郵政従業員は自分らが集めた金が地方に還元されずに、
大蔵省所管の資金
運用部資金特別会計に集まるので、集めた金を自分らで使えないから、集めてもあまり効果がないというので、熱意が少くなりはしないか。これがこの前の第二の
考え方であり、
質問であ
つたと思うのであります。しかしこの集ま
つた金は、今までとは違いまして、総理大臣を会長とし、郵政、大蔵両大臣を副会長とする
委員会で
運用をきめるのでありまするから、私は何も自分で集めた金を自分で
運用するというようなことは
考えなくても、国家目的に適合するように
運用されることが最もいいことではないか。これが各省各省でえてか
つてなやり方で行くよりも、金融の問題でありまするから、財政金融をあずか
つている
大蔵省で、これを適当にあんばいして使うのが、一番国家目的に沿うのじやないか。こういう
考えで、とにかく郵政大臣も副会長とし、総理大臣を会長として運営
委員会を組織して、そこで諮
つて行けば、何ら意気沮喪するものではないと思います。国民大衆の預金あるいは
保險金を、郵政省が
日本の財政金融ということを離れて、個々別々に使うことがいいか悪いかということは議論のあるところでありまするが、これによ
つて簡易
保險を募集勧誘するのに、意気が非常に沮喪するということはどうか。沮喪しないようにして、そうして国家目的に適合するように使
つて行くのが、適当ではないかと
考えておるのであります。なお意気沮喪するがゆえに簡易
保險が集まらぬというふうなことは、私は今のところないと思います。
大蔵省で一手に引受けて
運用いたします事柄は、戰争中から始ま
つたことでありまして、その後もずつとや
つているのであります。ことにマーケット指令が
昭和二十一年に出ましてから後は、非常に簡易
保險の伸びもいいのでございまして、幾何級数的とまでは行きませんけれ
ども、相当ふえているのであります。今年なんかも百数十億円、おととしの倍以上にな
つて来ておるのであります。しこうして、これはやはり今までも
大蔵省に集中してや
つてお
つたのでございます。私は今後も相当伸びて行くと
考えておるのであります。
次に資金
運用部資金特別会計に一手に集めてしま
つては、
運用利益が少いから、従業員その他の福利施設がどうがという問題でありまするが、今までは簡易
保險の建前といたしましては、大体三分五厘か四分程度の
運用利回りを予定して、
料率を計算してお
つたと思うのであります。しかるところ、今回は三年以上は五分五厘ということにな
つておりますので、今までよりも相当の高收益に相な
つて来ると思うのであります。あるいは、いや自分らでか
つてにしたならば、相当利回りもよく、いい
運用ができるだろう、こういう
考え方も起るかと思いまするが、これは
先ほど来繰返して申し上げますように、国民大衆の零細な血の出るような金でございますので、
運用利回りの方ばかりを
考えて、損をするような
危險なところに
運用することは、絶対禁物だと思うのであります。従いまして
運用部資金特別会計に預け入れ、しかも従来の三分五厘とか四分というよりももつと高率に、長期の資金でありますから、五分五厘程度に金がまわ
つて行くならば、これは相当正確に積立金がふえて行くと思うのであります。しこうしてこの金の
運用利回りにつきましては、まず第一に、やはり契約者等に還元すべきものであります。これを従業員の福利施設にまずまわすというようなことは行き過ぎでございまして、まず契約者に恩典を十分施すように
考えて行かなければならぬ。また従業員の方もないがしろにするわけではございませんが、とにかく確実で、今よりも有利であるということだけは言い得ると
考えるのであります。
第三に、何ゆえに資金
運用部資金特別会計に郵便貯金その他を吸收して集中してやるか。これは司令部の指令に基くものかどうか。こういうのでありまするが、これは従来簡易
保險その他の資金の分量が、国の資金計画から申しまして非常に小さく、この金がどこへ使われようが、
日本の経済金融におきましては大して影響がないというふうな場合におきましては、
大蔵省へ何も集中する必要はなくて、昔の逓信省独自の
考えで、ある程度おやりにな
つてお
つたのであります。しかるところ、戰争中から資金を特別な計画のもとに集中して、有効に使わなければならぬという要請が強くな
つて参りました。しかも最近におきましては、敗戦後非常な金詰まりで、国もあるいは民間の方にも金が非常に少い、こういう場合におきまして、集中津川ということは経済再建に最も必要なことであるのであります。しかし片一方では、
保險の本質として、やはり金を集めた人が使うことが理想的だという
考え方もあります。私は
両方の議論が立つと思うのであります。郵政省の方に資金を置いて、そうして大蔵大臣その他と相談の上使うことも
一つの方法でありましよう。しかしこれを相談の上使いましても、今のところでは地方債と金融債以外に——あるいはごく小部分として契約者の貸付もありまするが、大体の方針としては国債、地方債、金融債以外にはなかなか
運用できぬのじやないか。今株の値段がいいからと言
つて株へ貸したり、あるいは役所の建物を建てることに使うことは、いかがなものかと思いまするから、たといこれが郵政省に残りましても、やはり大蔵大臣その他と話合いをしてやらなければならぬ。しかも金詰まりの今日でありまするから、やはり効果的に使うという議論が相当立
つて来ると思うのであります。そこで私はいろいろ
考えました上で、あるいは
国会の決議を尊重して、郵政省においておやりになることも
一つの方法かというので、賛成もいたしましたが、その後の
事情を
考え、とにかく資金を有効に一元的に使うということが、ただいまの場合では適当であるという結論に到達いたしましたし、片一方では指令もあることでありますし、また予算編成におきまして、
関係方面の強い指示もありましたので、
両方から
考えまして、御審議願
つておるような法案を提案いたした次第であります