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1951-03-20 第10回国会 衆議院 大蔵委員会 第38号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十日(火曜日)     午前十一時三十三分開議  出席委員    委員長 夏堀源三郎君    理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君       大山  司君    川野 芳滿君       佐久間 徹君    島村 一郎君       清水 逸平君    高間 松吉君       苫米地英俊君    西村 直己君       水田三喜男君    三宅 則義君       宮幡  靖君    内藤 友明君       宮腰 喜助君    松尾トシ子君       竹村奈良一君    深澤 義守君  出席政府委員         大蔵政務次官  西川甚五郎君         大蔵事務官         (主計局法規         課長)     佐藤 一郎君         大蔵事務官         (銀行局長)  舟山 正吉君         大蔵事務官         (銀行局預金部         資金課長)   高橋 俊英君  委員外出席者         專  門  員 椎木 文也君         專  門  員 黒田 久太君     ————————————— 三月十九日  国税徴収法の一部を改正する法律案内閣提出  第一二一号)  資産評価法の一部を改正する法律案内閣提  出第一二二号)(予)  保險募集取締に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出第一二三号)(予) の審査を本委員会付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員長より報告聽取  小委員及び小委員長選任に関する件資金運用部  資金法案内閣提出第七一号)  郵便貯金特別会計法案内閣提出第七三号)  会計法の一部を改正する法律案内閣提出第七  五号)  資金運用部特別会計法案内閣提出第七六号)  外国為替資金特別会計法案内閣提出第八一  号)  資金運用部資金法施行に伴う関係法律整理  に関する法律案内閣提出第八六号)  緊要物資輸入基金特別会計法案内閣提出第八  八号)  農業共済保險特別会計法の一部を改正する法  律案内閣提出第一〇四号)  国税徴收法の一部を改正する法律案内閣提出  第一二一号)  再評価積立金資本組入に関する法律案内閣  提出第一一九号)(予)  資産評価法の一部を改正する法律案内閣提  出第一二二号)(予)  保險募集取締に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出第一二三号)(予)     —————————————
  2. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 これより会議を開きます。  まず食糧配給公団経理調査等に関する小委員会の小委員長より、その審査経過並びに結果の報告をするために発言を求められております。この際これを許します。奥村君。
  3. 奧村又十郎

    奧村委員 小委員会におきまして、食糧配給公団清算経費の財源に充てるための剰余金の使用に関する法律案、及び食管の歳入不足補填のための一般会計から繰入れするための法律案、この二案を審議して参つたのでありまして、三回小委員会を開き、食糧配給公団等政府委員についていろいろ質疑行つたのであります。この小委員会としては、主としてこの食糧配給公団の今までの経理内容並びに今後の清算勘定に対する見通しということに重点を置いて調査したのであります。この食糧配給公団の今回の法律案は、十四億五百八十一万九千円の剰余金清算経費に充てるということになつておるのでありますが、昨年の国会においてわが大蔵委員会で特に取上げましたように、食糧配給公団予算はかなりずさんな予算をつくつておりましたので、特にこの経費関係のずさんな予算執行については、十分注意するように警告を発して参つたのであります。その点に重点を置いて調べてみましたところ、今回配給公団清算についての方針を見ますると、われわれが忠告いたしましたように、運賃、保管料その他の経費においては相当緊縮いたしまして、反省の態度はかなり見えるのであります。しかしまた一方において、計上すべき收入を十分に表わしていないという点もありまして十分滿足し得る点に立至つておらないのでありますが、一応われわれとしては、この十四億五百八十一万九千円を清算経費として充てるということについては認めるが、実際の予算支出においては、十分実情に即するように、不当な支出のないように、監視すべきであるということの結論に達した次第であります。  以上をもつて小委員会審議経過並びに結果を御報告いたします。     —————————————
  4. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 次に去る十七日予備審査のために本委員会付託に相なりました再評価積立金資本組入に関する法律案及び十九日本委員会付託に相なりました国税徴收法の一部を改正する法律案、同日予備審査のために付託に相なりました資産評価法の一部を改正する法律案、並びに保險募集取締に関する法律の一部を改正する法律案の四法案一括議題といたしまして、政府当局より提案趣旨説明を聽取いたします。西川政府委員
  5. 西川甚五郎

    西川政府委員 ただいま議題となりました資本評価法の一部を改正する法律案、及び再評価積立金資本組入に関する法律案、外二法律案提案理由を御説明申し上げます。  昨年資産評価法が制定されまして、企業資産評価が実施されたのでありますが、当時の経済情勢におきましては、十分の収益を上げ得ない企業も少くなく、全体としての再評価額は、当初の予想よりかなり低目となつている実情であります。しかるに朝鮮動乱の勃発を契機といたしまして、経済界は相当活況を呈し、企業收益力も相当回復しつつありますので、この際、前回評価を十分に行わなかつた企業に対して、おおむね前回と同様の基準により、さらに再評価を行い得る機会を與え、企業経理合理化し健全な資本の蓄積をはかることが、必要と考えられるのであります。  また再評価積立金資本組入れにつきましては、現行法におきましては、昭和二十八年一月一日まではこれを行い得ないことになつているのでありますが、今日の経済界実情から見まして、このような制限はもはや不必要と認められますので、この際再評価積立金早期資本に組み入れ得ることとするのが、適当と考えられるのであります。  以上の理由によりまして、今回この両法律案提案いたした次第であります。  次に両法律案につきましてその概要を申し上げます。まず資産評価法の一部を改正する法律案におきましては、今回の第二次再評価は、法人につきましては原則として本年一月一日、または一月一日から九月三十日までに開始する事業年度の初日現在で行い得ることとし、ただ電力、ガス等公益事業を営む法人につきましては、特別の事情がありますので、再評価の時期を一年延長することを認めております。また個人につきましては、本年一月一日現在で再評価を行い得ることとしております。  次に再評価の対象となります資産は、前回評価を行うことのできた資産で、前回限度額まで再評価を行わなかつたものとしておりますが、ただ株式は今回の再評価からは除外いたしました。これらの資産につきましての再評価基準は、原則として前回通り物価倍数によることとしておりますが、前回の再評価以後に減価償却を行つている資産につきましては、前回の再評価限度額からその償却額だけ減額したものを、今回の再評価限度額といたしております。また陳腐化資産の再評価限度額につきましては、稼動率收益率等の向上に基く増額を認めることとしております。  次に再評価税につきましては、前回と同様再評価差額に対して百分の六の税率によつて課することといたしており、その納付方法につきましてはおおむね前回通りであります。ただ延納の最終期限は、これを一年延長し、今回の再評価後五年ということにいたしているのであります。  次に再評価積立金資本に組み入れ得る時期につきましては、従来の規定では昭和二十八年一月一日以後となつておりますのを、本年七月一日以後におきましては、再評価積立金の四分の三の範囲内で、その資本へ組み入れ得ることといたしているのであります。また再評価行つた会社社債発行限度につきましては、従来は再評価積立金の四分の三の範囲内で、再評価後三年間にわたりまして、毎年その四分の一ずつを社債発行限度に算入することになつているのでありますが、このような制限を緩和し、再評価積立金の四分の三をただちに社債発行限度に算入することといたしております。このほか金融機関再建整備法による調整勘定を設けている金融機関の再評価積立金取りくづしについて特例を設けるとともに、商法の一部を改正する法律施行等に伴いまして、所要規定整備することといたしているのであります。衣に再評価積立金資本組入れに関する法律案でありますが、この法律案は、ただいま御説明申し上げましたように、再評価積立金早期資本に組み入れ得ることとしたのに伴いまして、その組入れの手続及び方法につきまして必要な事項を定めようとするものでありまして、そのおもな内容は、第一に、再評価積立金資本組入れは、株主総会特剔抉議によるを要すること。第二に、再評価積立金資本に組み入れた場合には、組入れと同時に、またはその後随時に株主総会特剔抉議によつて株主に対して新株発行することができること。第三に、この新株株主に対して無償で交付することを原則とするが、株主総会特剔抉議によつて新株発行価額の一部を株主に拂い込ませることを認め、あわせて引受のない新株処理方法及び新株引受けない株主引受権讓渡、または金銭分配請求権につき必要な規定を設けること。第四に、再評価積立金資本組入れによる新株発行の場合における会社資本の金額、及び資本準備金の積立てにつき商法特例を設けるとともに、税法上所得計算に関して所要特例を設けること等であります。  以上両法律案につきまして、その大要を御説明申し上げた次第でありますか、何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことを切望してやまない次男であります。  次に保險募集取締に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、御説明申し上げます。本法は、昭和二十三年七月、当時保險募集状況が紊乱して、保險契約者不利益を與えるおそれが多分にありましたので、生命保險募集人等登録制をしくとともに、不正募集行為取締りを行うため、制定施行されたものであります。その後、本法の適切な運営によつて募集状況は漸次改善されて来たのでありますが、生命保險会社契約者との間の契約上の紛争は、今日なおその跡を絶たない実情でありまして、保險契約者の保護と保險事業の健全な発達をはかるためには、悪質募集に対する取締りを一層嚴重に行う必要があると考えます。  現行法規定には、登録制度運用上の面からも、また不正募集行為取締りの面からも、種々不備な点がありますので、今回大要次通り改正を行うことといたしたのであります。  第一に、現行法では、生命保險会社の役員及び使用人登録と、生命保險募集人登録とを区別して行つていたのでありますが、この区別を存置することは取締上の実益もないので、事務簡素化をはかるため、両者を統一することといたしました。  第二に、現行法では下請生命保險募集人届出制となつておりますが、実情は、登録をなすべき生命保險募集人等が、登録申請を怠つて届出によつている場合があり、また登録を取消された者が、届出によつて募集に従事し得る等の欠陥があるので、届出制を廃止してすべて登録制とすることといたしました。  第三に、現行法では、保險会社委託関係にある募集人等契約者損害を與えたときは、会社にその賠償責任があることになつておりますが、会社使用人等の與える損害については、民法の不法行為に関する賠償責任規定によつており、本法に特別の規定がありませんので、この際本法において統一的な規定を設けることにいたしたのであります。  第四に、既存の保險契約を不当に消滅させて、新たな保險契約申込みをさせる等の契約の不当な乗りかえ募集は、保險契約者不利益なことでありますので、これを禁止する規定を設けることといたしました。  その他登録の抹消に関する規定を設ける等、所要改正が加えられております。  次に国税徴收法の一部を改正する法律案につきまして、御説明を申し上げます。  政府は、昨年以来引続き税制の改正を断行し、国民負担軽減合理化をはかつてつたのでありますが、徴收制度につきましてもその合理化に努め、一層円滑かつ適正な納税が行われるように措置することが必要であると認められますので、ここに国税徴收法の一部を改正する法律案提案した次第であります。  以下本法案大要説明いたします。  まず、最近における滞納の発生及びその処理状況にかんがみ、納税者に特別の事情がある場合における租税の徴收及び滞納処分につき、その合理化をはかることといたしました。  その第一は、分納及び徴收猶予制度を新設したことであります。すなわち納税者災害、盗難、疾病廃業等により、または申告期限から一年以上たつて更正決定を受けたことにより、その税金を一時に納付できない場合は、その申請によりまして、一年以内の分納または徴收猶予を認めることといたしているのであります。しかしてその分納または徴收猶予期間中は、延滞加算税額を免除するほか、一定の場合には利子税額をも免除することができることといたしております。  なお昭和二十四年分以前の所得税相続税物品税及び増加所得税財産税等の旧税につきましては、その負担状況及び滯納現状等にかんがみまして、徴收猶予をなし得る場合の條件を若干緩和いたしますとともに、猶予期間を二年以内とする等の措置により、その合理的な整理に資することといたしたのであります。  その第二は、滯納処分猶予制度を新設したことであります。すなわち公売処分等執行によりまして、滯納者事業の継続を著しく阻害するおそれが強く、かつまた、その処分を一時猶予しておく方が、究極において徴税上有利であると認められますときは、二年以内において適宜その処分執行を猶予することができることとし、その期間中は延滯加算税額を免除し得ることといたしたのであります。しかして二年以内に資力が回復したとき、または新規に発生した税金滯納等の事実がありました場合は、ただちに滯納処分を続行することといたしております。  その第三は、滯納処分停止制度を設けたことであります。すなわち滯納者が無財産の場合、または著しく生活困窮に陷るおそれがある場合等におきましては、三年間滞納処分停止することができるものといたしているのであります。しかしてこの停止期間中は、利子税額及び延滯加算税額を免除することができることといたしております。  なおこの停止期間中におきましても、滯納者資力を回復したと認められる場合には、停止処分をとりやめて徴收するのでありますが、停止後三年たつてもなお資力が回復しない場合には、納税義務が消滅することといたしております。  以上三つの措置によりまして、滯納につき特別の事情がある納税者につきましては、その実情に応じ、努めて合理的にかつ適切な徴税を行うこととしている次第であります。  次は差押え禁止物件範囲を拡張したことであります。すなわち現在の国民生活実情及び滯納処分執行状況にかんがみまして、差押え禁止物件範囲を拡張し、主として自己労力による農業者事業者及び営業者につきましては、その業務上不可欠な農具、器具、材料、肥料、牛馬、種子等差押え禁止物件とするとともに、食糧及び薪炭につきましては、六箇月間の生活に必要な部分について、差押えをすることができないことといたしております。  次に、昭和二十四年十二月三十一日以前の期間に対する加算税及び延滯金につきましては、特定の場合に限り、これを軽減し得ることといたしました。すなわち加算税につきましては、申告期限から一年以上たつて行われた更正決定に基いて徴收される場合、または一度更正決定を受けた後の修正申告または更正に基いて徴收される場合には、日歩十銭のものを日歩四銭に軽減することができることとするとともに、これらの場合には、日歩二十銭の延滯金日歩八銭に軽減することができることといたしております。しかしてこの軽減措置は、加算税または延滯金を現に滯納している場合のみならず、すでにこれを納付している場合も適用するのでありますが、既納分の還付を受けますためには、本年六月末日までにその申請をしなければならないこととしております。  また納税者災害疾病または廃業等によつて、現に加算税または延滯金滯納しております場合には、加算税日歩十銭を四銭に、延滯金日歩二十銭を八銭に、それぞれ軽減することができるものといたしました。  次に、督促手数料徴收しないことといたしました。すなわち滯納者督促状を発する場合の十円の督促手数料は、今後徴收しないこととして、事務簡素化をはかることといたしたのであります。なお督促状を発する場合には、原則としてこれを発する日から十日を経過した後の日を、納付の日とすることといたしております。  次は納税者に詐害行為等がありました場合の徴税方法を改善したことであります。すなわち滯納処分実情に顧みますと、滯納者が故意にその財産親族等に移転し、あるいはその事業同族会社に組織がえをする等により、滯納処分目的達成を不可能ならしめるごとき事例が少くない実情でありますので、正当な納税者との権衡上、かかる場合には、滯納者本人について滯納処分執行しても、なお徴收すべき税金に不足するときに限つて、これらの親族または同族会社から徴税できることとしたのであります。  次は、国税地方税との間の徴收順位を同一にしたことであります。すなわち昨年四月の改正によりまして、国税地方税徴收順位原則として同順位とし、ただ納税人について強制執行等がありました場合には、国税地方税に優先することといたしたのでありますが、今回これらの場合にもまつたく同一順位といたしたのであります。  以上が今回の改正の要点でありますが、そのほか納税義務の承継、滯納処分管轄権等につきまして、規定整備をはかつております。政府は、以上の改正によりまして、今後一層適正かつ円滑な徴税を行うよう期しているのであります。  御審議の上何とぞすみやかに賛成せられるよう、切望してやまない次第であります。     —————————————
  6. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 次に昨日質疑を打切りました三案について討論採決に入ります。  まず外国為替資金特別会計法案、及び緊要物資輸入基金特別会計法案の両案を一括議題として討論に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。松尾トシ子君。
  7. 松尾トシ子

    松尾委員 私は社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました両案のうちまず外国為替資金特別会計法案に対して、反対をいたすものであります。  本法案は、表面は会計手続法でありますから、反対する理由がないかのように思われます。しかし、第十四條において、「この会計において、毎会計年度歳入歳出の決算上、收納済額合計額支出済額等合計額に不足するときは、これを当該年度一般会計歳出をもつて補てんする。」云々とありますので、問題のインヴエントリー・フアイナンスに通ずるものがあることは明らかであります。  政府はかくした金融措置によりインフレーシヨンを防止しようとしておる御様子ですが、輸入促進をはからずして、税金でまかなうということは、日本経済が不健全になればとて、益することはないので、反対するのであります。  次に緊要物資輸入基金特別会計法案に対して、私は條件付で賛成するものであります。  日常必需品においても、緊急輸入を必要とする物資もたくさんあることと思いますので、賛成をするのでありますが、それが軍需資材には同意できぬ次第であります。  以上で私の討論を終ります。
  8. 夏堀源三郎

  9. 深澤義守

    深澤委員 私はただいま提案されております外国為替資金特別会計法案、並びに緊要物資輸入基金特別会計法案に対しまして、日本共産党を代表して反対討論を行わんとするものであります。     〔委員長退席小山委員長代理着席〕  まず第一に外国為替資金特別会計法案でありますが、この法案は従来外国為替特別会計として行われたものを廃止いたしまして、今般外国為替資金特別会計にしたのであります。従来は外国為替売買あるいは運用の一切は、この外国為替特別会計によつて明確にされておつたのであります。ところがこのたびの特別会計によりますと、外国為替売買あるいは運用等の詳細は全然これを明確にせずに、ただ為替関係の差益だけをこの会計の上に明らかにし、そうして運用あるいは売買等具体的内容は、全然これを明らかにしないのであります。従つて外国為替売買運用等国会において公然と論議され、国民に明確にすることなしに、国会外においてこういう問題が隠密のうちに処理されるという、いわゆる祕密的な内容を持つたところの特別会計法案あるということを、われわれはまず第一に指摘せざるを得ないのであります。何ゆえにこういうような法律をつくらなければならないかという根拠、われわれは現在日本の置かれておる国際的立場から考えまして、貿易というものが、日本の置かれておる国際的な立場を非常に強化するために、強力に運用される必要があるというところに、その目的があると思うのであります。われわれが常に指摘しおりますように、現在の日本の置かれている立場は、国際独占資本の有力なる戰略基地として、日本がいわゆる戰略基地的な役割を果すという、こういう態勢の中に追い込まれておることは、もはや何人も否定することのできない事実であります。従つてこの貿易を通じまして、日本がそういう産業構造あるいはそういう経済態勢を強化する、そこに大きな目的があると思うのであります。この外国為替資金特別会計によつて、今後貿易が行われます場合において、政府は来年度におけるところの貿易関係を、輸出を十四億六千万ドル、輸入を十三億八千二百万ドル、受取超過七千八百万ドルというぐあいに計画をしておるのでありますが、最近における世界の軍拡によりまして、国際物価は上昇の過程をたどつておるのであります。従つて現在予定いたしておりますところの輸入は、必ずや大きな破綻を来すということは明らかであります。原料の値上りと、円レートが三百六十円にくぎづけされておるために、ドル価は非常に安くなつて行くのであります。従つて高い物資を現在の予定されましたドル資金によつて輸入しようといたしましても、その輸入量は非常にわずかであります。その結果として、日本における産業は非常な原料高に遭遇するほかないのであります。この原料高によつて、結局日本産業がどういう方向をたどらなければならないかと言えば、必然的にこれは労働賃金の低下であり、労働の強化であり、国民生活の圧迫であるということはもはや明らかであります。これはわれわれがすでに指摘しておりますように、いわゆる日本工業原料重要資源である鉄鉱石、粘結炭、あるいは工業塩等が安く入つて来る中共貿易を禁止いたしまして、いわゆる西欧陣営にくみすることによつて、非常な損失と国民犠牲によつて輸入しなければならないという、こういうことから原因が生れて来ているのであります。国民税金のうちから五百億をいわゆるインヴエントリー・フアイナンスという形において、この外国為替資金特別会計に繰入れて、今後国民を非常に苦しい立場に追い込み、さらに日本西欧陣営戰略基地としてつくり上げるために、この貿易が行われんとしておるのであります。こういうような意味から、われわれは国民犠牲によつて日米協力態勢を確立せんとする本法案に対しまして、断固として反対の意を表明するものであります。  第二は、緊急物資輸入基金特会計法案の反対討論であります。これも第二にこういう法案を出さざるを得なかつたということは、先ほども申し上げました中共貿易の禁止にその原因があるのであります。日本において必要なる工業資源が中共から入つて来ない。従つて三倍、五倍の高い値段で他の方面から輸入しなければならないという、この窮状に差迫つているのであります。しかもこの緊急輸入物資は、政府でなければ輸入できないものを輸入するという目的を持つているものであるということを、法案に明確にしているのであります。一体その内容はどういうものであるかということを、私は昨日も所管官庁の通産大臣に質問したところが、これが明確でない。おそらくニッケルというような程度のものであろうということを答弁しているのでありますが、これはおそらく明確に発表することができない立場にあるのではないかと、われわれは考えるのであります。  それはなぜかなれば、最近外国の新聞にも報ぜられておりますように、日本西欧陣営の軍事工場にするのだということが、はつきり言われているのであります。そのためにこそこの緊急物資輸入が必要なんであります。そうしてそれは、おそらく特需並びに新特需と称せられるところの軍需物資に役立つ生産を、これから精力的にやろうという前提の上に立つて、この物資輸入を行わんとするのであります。その輸入のために国民税金から二十五億円の繰入れをいたしまして、この運営をしようということであります。日本国民の希望するところは、完全な氏族の独立であり平和の確立である。ところがごの法案は、軍需物資輸入によつて日本西欧陣営の軍事工場にする、いわゆる戰争の方向に日本を巻き込んで行く内容を持つたものであるということを、われわれは指摘せざるを得ないのであります。この法案の実施によつて利益を受けるものは、一部の日本の特需に関係するところの大独占資本であり、平和産業と、その他全日本の勤労大衆は、重税と賃金低下と労働強化と不景気のどん底に陷れられることは、火を見るより明らかであります。この理由から、日本共産党はこの両法案に対して、まつ向から反対するものであります。
  10. 小山長規

    小山委員長代理 次に三宅則義君。
  11. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 私は自由党を代表いたしまして、ただいま議題となりました外国為替資金特別会計法案、並びに緊要物資輸入基金特別会計法案の両案に対しまして、賛成の意を表する次第でございます。  この外国為替資金特別会計法は、従来の外国為替特別会計を廃止いたしまして、新たに外国為替資金特別会計法を制定いたしたものでありまして、今日の段階といたしましては、わが国の国際的観点から見ましても、当然この改正案には賛成をいたすのでありまして、ただいまの共産党のお話でありまするが、これはまことに共産党自身の宣伝でありまして、何ら日本の大衆諸君の要望を代表いたしておるものではないと、私どもは確信する次第であります。今までのお話によりますと、共産党諸君は——あえて私は闘いをいどむものではありませんが、ただちにわが国を西欧独占資本に追い込むなどと言つているが、とんでもないことでありまして、わが国の今日の立場というものは、これを解決するには第一にわが国の経済の復興にまたなければなりません。しかるにわが国の資材は少く、また現今の情勢におきましては、やはり国際連合諸国から強力なる援助と、またこれに対しまする物資の交流を得なければ、わが国の経済の回復はでき得ないのでありまして、私どもは本法案に対しまして、満腔の敬意を拂いまして賛成いたしておるのであります。  もう一つつけ加えて申しまするが、緊要物資輸入基金特別会計法につきましては、先ほど来共産党の諸君が御説明になりましたが、わが国経済の復興と産業の隆興には、いわゆる外国で生産せられた緊要なる物資は、当然これを確保いたしまして、内地において加工いたし、あるいは生産をいたして、わが国の疲弊いたしておりまする経済の回復に貢献することは当然であります。こういう意味合いにおきまして、緊要物資輸入基金特別会計については、特に通産大臣が重要なる役割をもつて監督いたしておりまして、その必要に応じてこの基金を使つて、わが国の物資の融通をはかる点につきましては、当然なる改正であると思うのであります。  両法案を一括して、私は心強くこれに対する賛成の意を表したいと思うのであります。わが国の国際的立場におきましては、この外国為替資金特別会計法といい、内閣総理大臣が嚴重に監督し、また為替管理委員会において、詳細なる手続をいたしておるのでありまして、これについては万遺憾なくその処置をいたすことになつておりまするし、私どもは現今の改正によりまして、安心して外国為替に対する仕事をまかし得られると考えておりまするから、現内閣の勇猛果敢なるこの改正案に対しましては、心から賛成の意を表する次第であります。先ほど深澤君の言われましだ中に、戦争態勢という言葉がありましたが、これは共産党が本会議もしくは委員会等において、しばしば宣伝せられておるのでありまして、吉田総理のごときは、そういう言辞は取入れない、くみしあたわざるものであるということを言つておるのでありますが、わが党といたしましても、そういう宣伝には乘らないということを、この委員会を通じて嚴重に申し上げておきたいと思うのであります。  かような意味合いにおきまして、外国為替資金特別会計法案並びに緊要物資輸入基金特別会計法案に対しましては、自由党を代表し、全幅の信頼を拂いまして、賛成するものであります。
  12. 小山長規

    小山委員長代理 討論は終局いたしました。  これより右両案の採決に入ります。  まず外国為替資金特別会計法案の採決をいたします。右案に賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  13. 小山長規

    小山委員長代理 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。  次に緊要物資輸入基金特別会計法案の採決をいたします。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  14. 小山長規

    小山委員長代理 起立多数。よつて法案は原案の通り可決いたしました。     —————————————
  15. 小山長規

    小山委員長代理 次に農業共済保險特別会計法の一部を改正する法律案議題として討論に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。西村直己君。
  16. 西村直己

    ○西村(直)委員 ただいま議題となりました農業共済保險特別会計法の一部を改正する法律案に対しまして、自由党を代表して賛成の意見を申し上げます。  農業共済再保險は、御存じの通り農業共済保險の再保險制度でありますが、日本の農業の性格から申しまして、この共済保險が将来に向つて拡充されて行くべきことは当然であります。ことにややもすれば、日本の農業には性格の弱い面がまだ多分に残されており、これに対しまして、共済保險を拡充して、天変地変から来る損害を補償するということについては、前国会大蔵委員会その他におきましても活発に論議されております。今般の改正案におきましても、新たに再保險金の支拂基金勘定を設けまして、これが支拂いについての円滑化をはかつておる点であります。この点は一歩前進でありまして、何人もこれに対して異論はないと私は信じております。特に農業共済保險につきましては、前回大蔵委員会等においても、連合会の赤字補填の問題がございます。これらにつきましては、政府当局におかれましても、できるだけすみやかにこれが解決の方法をはかられると同時に、この農業共済保險制度においての運用におきまして、農民とこれらの団体ないし政府機関との関係について、一たび天変地変があつたときの事務処理の敏活化、言いかえれば支拂いの敏活化等については、格段の意を拂われんことをお願い申し上げる次第であります。  以上をもちまして、簡單でありますが、賛成の意を表するものであります。
  17. 小山長規

    小山委員長代理 深澤義守君。
  18. 深澤義守

    深澤委員 共産党を代表いたしまして、本法案には賛成せざるを得ないわけであります。  日本の現在置かれておる農業は、徹底的な国家の補助なしには成立し得ないのであります。特にモンスーン地帶にありますところの日本農業が、毎年天災的な被害を受けることは甚大であります。これに対して、政府はもつと根本的な農業救済をやらなくちやならぬということは当然であるにもかかわらず、この救済がはなはだわずかであります。しかしわずかではありますが、本法案によつてその救済が一歩前進するのでありまして、これに対してわれわれが反対する理由はないのであります。ただ問題は、現在農業共済組合が、全国的にこの農業共済のために二十億余の大きな負担を背負つているのであります。こういう問題も根本的に解決しなければ、日本農業共済目的が達せられないのであります。従つてわれわれは、現実に当面しておるところの農業共済組合のこの非常に困難なる状態を解決すること、もう一歩進んで、日本の農業が毎年受けるところの天災的な被害を百パーセント補償する、こういうようなところまでつつ込んで行かなければ、当面重大問題でありますところの日本食糧自給自足の態勢は、とうてい不可能であります。従つてわれわれは、こういう徹底的な共済をやるべきであるということを條件といたしまして、一応本案に対しましては賛成の意を表するものであります。
  19. 小山長規

    小山委員長代理 以上をもつて討論は終局いたしました。  これより右案の採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  20. 小山長規

    小山委員長代理 起立総員。よつて本案は原案の通り可決いたしました。  なお報告書の作成の件につきましては、委員長の御一任を願います。     —————————————
  21. 三宅則義

    ○三宅委員 私は小委員会設置の動議を提出いたしたいと存じます。今度の国会に対し、税務代理士法の改正案が提出されることになりましたので、本委員会に税務代理士法改正に関する小委員会を設置し、小委員及び小委員長委員長において指名せられんことも望みます。
  22. 小山長規

    小山委員長代理 ただいまの三宅君の動議のごとく決定するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 小山長規

    小山委員長代理 御異議ないようでありますから、三宅君の動議のごとく税務代理士法改正に関する小委員会を設置することに決定いたしました。  なおただいまの動議のごとく、小委員及び小委員長委員長において指名することにいたします。税務代理士法改正に関する小委員会委員として       川野 芳滿君    三宅 則義君       宮幡  靖君    宮腰 喜助著       松尾トシ子君を任命いたします。小委員長は川野芳滿君を指名いたします。  午前中はこれをもつて休憩いたします。午後は一時半より再開いたします。     午後零時二十分休憩      ————◇—————     午後三時四十五分開議
  24. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  資金運用部資金法案、郵便貯金特価会計法案、会計法の一部を改正する法律案資金運用部特別会計法案、及び資金運用部資金法施行に伴う関係法律整理に関する法律案の五法案一括議題として質疑を継続いたします。深澤君。
  25. 深澤義守

    深澤委員 まず第一番に、資金運用部資金特別会計を創設された根本的な理由についてお伺いしたいのであります。
  26. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 預金部の制度はその名の示しますがごとく、当初郵便貯金で集まりました金を運用する機関として発足して参つたのであります。その後いろいろの政府機関がこれに預入せられまして、政府資金の管理運用の機関となつてつたのであります。しかし終戰後はいろいろの金融政策の一環といたしまして、預金部の資金の運用には嚴重なる制限を付せられて参つた次第であります。そこで早晩預金部の制度も根本的な再検討、制度改正等をしなければならない時期にあつたのでございますが、今回一つの統一した理念のもとに、この改組が企てられました。そして名も資金運用部とかえて発足することになつたのでございます。その名の示しますがごとく、この郵便貯金のほかに、簡易生命保險とか厚生保險積立金とか、その他の政府資金、つまり国民から政府に対して信託せられました資金の運用は、この資金運用部におきまして、一括して統合運用するという建前のもとに、この資金運用部の制度が考えられておるのでございます。これらの国民から信託せられました資金は、まず第一の運用に関しまする根本方針としましては、安全、確実ということを第一としなければならぬ、こういう思想のもとに出ておるのでございまして、今般この資金の運用先としましては、国並びに政府機関、地方公共団体、次に金融債ということに相なつたのでございます。御承知の通り、終戰後昭和二十一年の司令部の指令によりまして、預金部資金は国債と地方債とに運用原則として限るということに相なつてつたのでございますが、今度の改組を機会に、その運用が金融債にまで広げられたということに相なつておるのでございます。改組の経緯並びにその根本的な考え方というものを、簡單に申し上げた次第でございます。
  27. 深澤義守

    深澤委員 今の御答弁によりますと、国民から信託された資金をここに全部統一する、そうして安全確実な処理をするというような趣旨でありますが、もう一つは各特別会計の余裕金積立金等も、これに集めるということも言われているのであります。大体この資金運用部資金というものは原資と申しますか、その総額ば大体どのくらいになりますか。
  28. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 最近二千五百億見当になつております。
  29. 深澤義守

    深澤委員 この国家財政資金の大きな統一をされて、そうして大蔵大臣がこれをがつちり握られるに至つたということは、私はさもありそうなことであると考えております。ところがそこまで行く過程において、政府部内におきましても郵政省関係からかなり反対がある。そうしてなお国会でこれを決定し、さらに閣議でも一応この郵政省方面の主張するような形に、この預金部資金の運用をやつて行こうとする、こういう方針ががらりとかわつて、こういう大きな国家財政資金を全部統一して握つて行くという形を出して来たというところに、私は非常な大きな無理をされていることを、先般から大蔵大臣の答弁を通じて感ずるのであります。しかも大蔵大臣は先般の合同委員会におきまして、自分はこの方針に対しては確信を持つに至つたけれども、しかしなお国会並びにその他の人々を説得するために、ドツジ・メモランダムを出してもらつたということすら言つているほど、大きな転換をやつたわけであります。そこで私がお伺いしたいのは、こういう国家財政資金を一手に握り、そうして大蔵大臣がこれを独占的に握つて行くという形をつくり上げたところに、大きな日本の置かれている国際的立場と言いますか、そういう立場に対応したところの国家財政資金の運用の問題についての要請があつたというぐあいに、私は理解しておるのでありますが、その点はどうでございますか。
  30. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 終戰後昭和二十一年以後の預金部資金の運用方法、特に簡易保險積立金の独立運用というような問題につきましては、いろいろの議論がありましたことは御承知の通りでございまして、さらにこの簡保資金の独立運用をめぐりまして、内閣の方針にもいろいろ考え方がかわつて来たということにつきましては、先般大蔵大臣が御説明申し正げたところであるのであります。そういう経緯は別といたしましても、私どもの事務当局においてはやはりこれらの政府資金というものは統一して運用さるべきである。しかもそれは財政金融の行政の責任者でありまする大蔵省に統合されることが、最も適切であると考えておるのでございます。すなわちこの日本の現状におきましては、財政と金融と分離して政策を立てることは非常に困難であります。金融の部面におきましてこれら政府資金の占めるウエートというものは非常に大きいのであります。これらは統一して財政とにらみ合せ、なおほかの金融政策とにらみ合せまして、これらの政府資金を運用することが適切であると思つたのであります。事務当局は理論的にはそういう考え方を持つておるのであります。途中の経過におきましてはいろいろの政治上の論議があつたことは、すでに御承知の通りと思いますが、それにつきましては、私が今日あらためて申し上げるまでもないと考えております。
  31. 深澤義守

    深澤委員 今の事務当局の考えておられるところの理論的根拠というものは、おそらくこの国家財政資金の統合、そうしてそれを大蔵省が握るということが、日本の金融財政の実権をはつきり握つたということに私はなると思うのです。従つてこれは一切の日本の金融財政が、この大蔵省の権力的な支配のもとに全部統合されて来るという、そういう結果になると私は思うのですが、その点はどうですか。
  32. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 この政府部内におきます職務の分担によつて、財政金融は大蔵省が担当いたしておりますけれども、大蔵省が権力を握りまして、ただ大蔵省の指示のままにその政策を実行するということは毛頭考えないのでございまして、現にこの資金運用部資金の今後の運用につきましては、諮問機関として審議会がございます。これは預金部時代におきましては、大蔵省内に設置せられておつたのでありますが、今般の改正によりましては、特にこの資金の運用について、運用の重要性にかんがみまして内閣にこれを置き、そうして内閣総理大臣が会長となり、大蔵大臣、郵政大臣が副会長となるというような仕組みをとつておるのであります。
  33. 深澤義守

    深澤委員 そういう点は一応法律中に明らかになつておりまして、まことに合理的になつておるのであります。しかし問題は主観的にどうであろうとも、結局この金庫のかぎを握つている人が、実権を握るという結論になりますので、この点は議論になりますからあえて深めて追究はいたしませんが、その次に問題にしますのは、この預金部資金の運用の面で、今度新しく金融債四百億ということが予定されているのであります。最近の新聞によりますと、この四百億の金融債の問題について、関係方面のリード課長と渡辺財務官かの間にいろいろ折衝がありまして、この四百億が二百七十億に削られるというようなことが、新聞に報道されておるのでありますが、これが真偽はどういうことでありますか。この点伺いたい。
  34. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 来年度の預金部資金の予算におきましては、金融債の引面は四百億になつております。しかしこの預金部資金も、見返り資金その他の政府の手元にあります資金の放出とにらみ合せて、預金都資金の運用も考えて行かなければならない。これは資金の放出が適当の度合いを越えますると、いけないという考え方でございます。そこで金融債の四百億というのは、これは総額というふうに理解しておるのでございまして、その範囲内でどの程度の金融債の引受をするかということにつきましては、今後の実際上の情勢の推移にかんがみましてきめらるべきものと考えます。
  35. 深澤義守

    深澤委員 そこで私は金融債の問題について少し深めてお伺いしたいのでありますが、すでに昭和二十五年度におきましては、二百億の金融債を出したということを大蔵大臣が言われておりますが、これはどういう方面に出されたのでありますか。その点を……。
  36. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 現在金融債を発行します金融機関は、興業銀行を筆頭といたしまして勧業銀行、北海道拓殖銀行、そのほかに農林中央金庫、商工中央金庫だけでございます。二十五年度の金融債の実績も、これらの五つの金融機関に限られているのでございます。
  37. 深澤義守

    深澤委員 私はこの金融関係についてはしろうとでよくわかりませんが、そこでお伺いしたいのは、金融債というものにいたしますと、それは一体どこへ流れ込んで行くのですか、最後の資金の需要者はだれになるのですか。その点を伺いたい。
  38. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 金融債の預金部資金による引受は、いわゆるひもつきではやつておらないのでございまして、当該金融債を発行いたしました金融機関が、その判断によつて適宜取引先に貸し出すわけでございます。
  39. 深澤義守

    深澤委員 その金融債を引受けました金融機関がやることになりますと、金融機関は一応やはり商買ですから、焦げついたり、損をしたりする方へはまわさない。従つで結局現在惠まれた産業にそれがまわつて行く結果になると思うのです。今年度金融債を出したところは、もちろん今申しました勧業銀行あるいは興業銀行、北拓、商工中金、農林中金というものでありましようが、その行先については大蔵省はある程度御調査なさつていると思うのですが、どういう方面へそれが多く行つているか。大体産業別でもよろしゆうございますから、その点おわかりになりましたらお伺いしたいと思います。
  40. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 ただいまも申し上げましたように、金融債の引受はいわゆるひもつきではやつておりません。それで金融債発行によりました資金は、これは性質上長期資金でありますから、長期の方に投資するわけでありますが、しかしそれは金融機関が元来持つております自己資金と一緒になりまして、融通せられるわけでございます。預金部の金がどことどこへ行つたかということは、必ずしも押えることができない問題でございます。
  41. 深澤義守

    深澤委員 私はその点はどうも承服しがたいのであります。少くとも日本の金融財政の中心を握つておられるところの大蔵省には、何巨億という金融債が発行せられて、その金が一体どこへ行つているかという点は、ある程度やはり見きわめがおつきになつてつておると思うのです。むしろ私はそうでなくて、計画的にどこへ流さなくちやならないか、どこへこの資金を長期資金として役立てなくちやならないかという方針が、一応きまつているはずだと思うのです。ただこれらの銀行へ流して、あとはお前さんたちのかつてにどこへでも流しなさいという形でやつていることは、どうも了解に苦しむのですが、この点どうですか。
  42. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 金融債を発行いたします金融機関の種類によりまして、大きく産業方面とか、あるいは商工中金の場合でありますれば中小の商工業者に対し、また農中債の場合でありますれば農業関係の方面というふうに、大体において流れる道がきまつておるわけでございます。それ以上のことになりますると、これは市中金融には政府は干渉しないという建前のもとに、資金のおちつく先までかれこれ干渉するということはいたさないのでございます。
  43. 深澤義守

    深澤委員 それははつきりしないからやめますが、そこで私もう一つお伺いしたいのは、電通の百三十五億と国鉄の百億、これは見返り資金で前に出したのを、今度は預金部資金が肩がわりして、そうして預金部資金が今度は見返り資金へ現金として行く、こういう形にたるのですか。この点を伺いたい。
  44. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 金額はお説の通りではないと思いますが、資金の流れ方はお話の通りでございます。
  45. 深澤義守

    深澤委員 そういたしますと、見返り資金や援助資金の減少によつてだんだん細つて行く。それを今度は預金部資金でだんだん補つて行くというような感じがするのですが、どうですか。
  46. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 先般行いました国鉄、電通の国債の肩がわりは、そういうような趣旨でやつたのではございません。現在までのところ預金部資金の運用制限せられております。一方において預金部資金については、これを適当に運用して利子をかせがなければなりません。そこで見返り資金の持つておりました国債を肩がわつたようなわけであります。
  47. 深澤義守

    深澤委員 そこでお伺いしたいのは、どうも金融債の性格がはつきりして参りませんと、非常に理解に苦しむわけであります。今までの国または政府機関、地方団体、こういう運用の仕方、さらに今度金融債に流すというところに、大きなこの使い道の変革があると私は思うのです。これに対して地方機関あるいは地方公共団体、または郵政関係等がきびしく批判をしているわけであります。従つてこの金融債を通じて流すことは、全産業に流すのでなしに、結局現在の時局に惠まれた産業に流れ込んで行くことは必然的である。そうすると惠まれない中小企業や農村関係には、この資金が潤つて来ない。ここに問題があるわけです。この点を私としては明確にしていただかないと、問題が解決しないのであります。従つて私たちがいろいろな立場から検討してみまするに、この金融債はいわゆる時局産業に流れて行く、基幹虚業に流れて行く、大産業に流れて行く、こういう見通しを私たちは持つのであります。この点に対する大蔵省の見解はどうでありますか。
  48. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 日本では郵便貯金等が、民間の金融機関に比べまして非常に大衆に利用されておりまして、それでこれらに対しましては資金の蓄積が相当多いのであります。これが民間の金融機関でありますれば、これらの資金は国債、地方債に投資するほか、産業に還元いたしまして、そうして必要な資金を供給するわけでございます。預金部という一つの金融機関につきましても同じことが言えるのでございまして、集まつて参りました資金は、適当に産業界に還元いたしませんと、産業界の資金が枯渇するわけでございます。この意味において、産業界に資金を還元することにつきましては多年の要望がございますが、ただこの際預金部が直接に個々の事業会社等に融資をするというようなことは、とうてい考えられないことでございまして、一応金融債のルートで銀行の手元に資金を流したい。それからは銀行の責任において、これらの資金をさらに産業界に注入する方法が最も適当であり、またこれが預金部資金を産業界に還流いたします方法の最大限度であろう、こう考える次第でございます。  次にお話になりました時局に惠まれた産業にだけ、預金部資金を使わすんじやないかという御疑問に対しましては、決してそうでないことは申すまでもないと思うのであります。商工中金とかあるいは農林中金なりに出して、市中ではなかなか金を得られない、苦しい企業に対して資金を供給するものであります。それから来年度の計画におきましては、住宅金融公庫にも預金部資金を五十億出すことになつております。さらに現在法律はまだ改正されておりませんけれども、国民金融公庫等にも、預金部資金を出してしかるべきものであるというふうに考えております。また現在御審議つております農林漁業資金融通特別会計に対しましても、できれば預金部資金等を流入せしめることが適当ではないかと考えるわけでございまして、一部の惠まれた産業にこの資金を出すというようなことは、絶対にないのでございます。
  49. 深澤義守

    深澤委員 なお私がもう一つお伺いしたいのは、これはまあ郵政省のセクシヨナリズム的な反対に対して、私たちはあえて追従するものではございませんが、郵政省の中央の方々の下に各地方の郵便局があつて、つまりこの預金部資金を集め、あるいは簡易保險あるいは郵便貯金等を集めるために、非常に努力をされておる。この郵便局員並びに従業員等が、この預金部資金を大蔵省で握ることに対して、非常に全国的な運動を起しておるということは、これは御承知の通りだと思うわけであります。これは私は無理もないことだと思うのです。なぜかというと、あなた方がこの簡易保險をやれば、あるいは郵便貯金をすれば、このこわれた道が直つたり、あるいは流れた橋がつくれるんだ、そのためにこそこの金が役立つんだという形で、実は金集めをやつておるわけであります。これは非常に上からの強い割当かあるいは要求によつて、ほんとうに身体を粉にして努力しているわけです。ところがこれが、現在一般の預金者やあるいは契約者に約束した方向へ流れて行かないということになりますと、大問題である。まさに今度のやり方は流れて来ないんだ、こういう前提の上に立つてこの運動が起つております。従つて預金者もあるいは保險契約者もみんなそういう心配をしていると私は思う。それに対して大蔵省は十分これを説得し、納得させるだけの方針がなくちやならぬと私は思うわけですが、どうも先般来の御説明によりますと、納得できるだけの方針が具体的に示されていないのであります。それに対してどういうお考えを持つておりますか、ひとつお伺いしたいのであります。
  50. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 生命保險を普及さすということの必要なことは十分認識しております。それからまた民間の生命保險で足らざるところを簡易生命保險で補つて、大衆に利用させることもまた必要であることは、申すまでもないのであります。しかしごの保險の必要性を説いて、そうして国民に加入さすということにつきましては、私は率直に申して、この資金の運用までもしなければ、この保険の普及ができないということについては、どうしても理解することができないのであります。この金を還元するから保險に入れといつたような勧誘の方法には、私はどうしても無理があるのではないかというふうに考えるのでございます。実際問題といたしまして、ただ保險に入つた地方から集まりました金を、必ずその地方に返さなければならぬということでありますと、貧乏な地方というものは一切この預金部資金の恩惠にあずかれないわけであります。そういうことをいたしませんで、集まりました資金を、全国的に最も効率あるように、そうして国民経済の全体の利益を増進するように使うところに、この預金部資金の運用の眼目がある、こう考えておるのであります。
  51. 竹村奈良一

    ○竹村委員 今の答弁によりますと、大蔵省の預金部資金に吸收して、そうして全国の国民生活安定のために、国民の幸福のためにこれを使うんだ、こうおつしやいますが、先ほどの深澤君の質問からいたしますと、結局において金融債等を発行して——先ほどの答弁によりますと、いろいろ農林中金その他にも出しておられるということであるが、しかしながら市中銀行に出すところの金融債というものは、結局において時局産業に流れて行くんではないかということに対して、大蔵省は、それは市中銀行にまかしてあるからわからない、こういう話でありますが、そういたしますと、われわれの考えでは、市中銀行に流したものは、結局におきましてはこれは時局産業、いわゆる特需的な方面にこの金が流れて行く。そういたしますならば、この特需工業といわれているものは、これはわれわれの考えでは国民生活の安定にはなつていないと考えておるのであります。少くとも日本が犯したあやまちを再びある一国のために犯すような方面に使われておる。たとえばいわゆる特需物資というものは、戰争のただ一断面として、戰争遂行の部分品のごときものをつくるような考えを、私たちに持つておるのでありますが、これに対してもなお銀行局長は、国民生活安定のためにこれを使つているんだ、こういうふうにお考えになつておるかどうか。この辺を伺つておきたい。
  52. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 金融債の引受によりまして、産業界に還流されます資金が必ず大企業、特に時局産業にのみ流されるんだという考え方については、私は同意しかねるのでございます。その他の産業につきましても、これは相当大規模な産業でありましても、これに対して必要な長期資金を供給することが、日本の経済全体をよくして行き、ひいては国民経済に利することとなると考えておるのであります。
  53. 竹村奈良一

    ○竹村委員 もう一点伺いたいのは、前の合同審査会におきましてもいろいろ問題になつたのでありまして、政策的なことは別問題といたしましても、大体大蔵省が郵政省の預金を預金部資金に吸收するという建前の中の根本的な問題は、こういう零細な金を集めて、これを安全かつ有効に管理しなければならぬ。そういう意味からいうと、大蔵省の方は專門だから、郵政省には経営においてそれをまかしておくことはできない、こういうような感じをもつて大蔵省に吸收されたように考えるわけでありますが、その辺はどうですか。少くとも郵政省にこれをまかすよりは、大蔵省の方がこれを有利有効に使用する、郵政省は大蔵省ほど資金を運用する能力を持つていない、こういう考え方から大蔵省に吸收されたのかどうか。この辺をお伺いいたしたい。
  54. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 政府の行政機構の中にはそれぞれ分担があるわけでございまして、財政金融については大蔵省に属しておるのでありますから、その意味において大蔵省が担当したらばよかろうということを、申し上げておるわけであります。かりに簡易保險の方でその資金を運用するといたしましても、これは簡易保險だけの目的のために運用されることが許されてはならないと思うのでございまして、そういう場合には、またそちらで運用審議会のようなものをこしらえなければならぬ。運用係のようなものも置かなければならぬ。こういうことは資金の全体の運用において、はなはだむだが多く、効率的でないのではないか、こういうことも考えられるのであります。
  55. 竹村奈良一

    ○竹村委員 そうなりますと問題となりますのは、大体郵政省の事業いわゆる郵政事業の根本にさかのぼつて、独立採算制を政府でおとりになつたことが問題になるわけであります。少くともそういう資金を吸收してそれを運用さすのには、やはり政府においてもいろいろ行政機構の中に專門がある、従つてそこでやる方がいいのだ、こういうように考えられますが、片一方においては、政府は郵政省を独立採算制にしておられる。この独立採算制にするのであつたならば、そこでこしらえた自己資金は、その省が当然運用しなければ独立採算制の基礎を危うくする。ところが大蔵省の方がそういう資金運用については專門に近いからといつて、資金だけは取上げることになると、独立採算制の基礎が危うくなると思うのでございます。しかもそういうような資金運用を十分やることができ得ないと考える郵政省をして、独立採算制をせしめるところに問題があると思います。この辺はどうです。そういう資金は全部取上げても郵政省の独立採算制はりつぱにやつて行ける、こういうようにお考えになつておるのか。その辺を伺いたい。
  56. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 簡易保險で集めました金は運用しなければならないのでありますが、ただ今後の行き方としては、その運用方法は資金運用部に預託するということだけにしようということなのでございます。そこでこのたび預金部を改組しまするにあたつては、各特別会計から預け入れます金につきましても、その利息のつけ方等も改善したわけでございます。簡易保險だけについて申しますと、本年度あたりは簡易保險から預金部に預けられました資金に対しましては、年四分五厘の利息がついておりますのを、今後五年以上の預託金といたしますれば五分五厘となり、簡易保險といたしましては收益は非常に改善されるのであります。
  57. 竹村奈良一

    ○竹村委員 そういうふうにして、たとえばその一部の利息を引上げたというような点で、郵政省のあの独立採算制というものが成り立つて行くと考えておられるのかどうか。もし成り立つて行くと考えておられるのだつたら、おそらく今後は一般会計等からの繰入れなどはなさらなしたろうと思いますが、その辺をちよつとお聞きしておきたいと思います。
  58. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 簡易保險特別会計の採算は成り立つて参るのであります。
  59. 竹村奈良一

    ○竹村委員 終りました。
  60. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 時間がありませんから、ごく簡單に一、二点だけお伺いいたしまして終りにいたしたいと思います。先ほど銀行局長は、資金運用部に対しまして、特に大蔵省にその運用部を置きまして、全国から集まりました資金を活用いたしたい、こういう話であります。たまたま合同審査会におきましては、郵政委員会の方から非常に猛烈な反対とは言いませんが、要望があつたわけでありますが、これに対する政府の見解を、簡單でよろしゆうございますから承りたいと思います。
  61. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 政府におきましては、ただいままで申し上げましたような思想に基きまして、ここに提案しております案の実現を期しておる次第であります。
  62. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 ごく簡單な質問でありますが、次に資金運用部資金の運用でありますが、この法案内容を見ますと、審議会というものがありまして、内閣総理大臣、大蔵大臣、郵政大臣及び委員十名をもつて組織しておるのでございます。これらにつきましては大体事務次官級の者が携わるということになつておりますが、これはやはり大臣が責任を持つておられるわけです。その内容については、そうしたような事務次官あたりの人が相当これに携わつて運用を強化するというふうに考えられるのでありますが、それにつきまして政府はどういうふうに考えておられますか。簡單でよろしゆうございますから承りたいと思います。
  63. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 この審議会の審議事項は、相当具体的なと申しますか、実務に関係することも多いのでありますから、事務次官を委員とすることが適当であると考えたわけであります。
  64. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 もう一つだけ、学識及び経験のある者三人となつておりますが、いつも学識及び経験がある者の中には、各官庁の古手官吏を挿入されるおそれがあると思いますが、今度はそういうのではなく、ほんとうに業界あるいはその他におきますところの経験のある者を充用してもらいたいと思いますが、政府はどういうふうな構想でそれをやられますか。それを承りたいと思います。
  65. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 具体的にまだ人選を進めておるわけではございませんが、できるだけ御要望に沿うような人選をいたしたいと思います。
  66. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 本日はこれをもつて散会いたします。     午後四時二十五分散会