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1951-03-19 第10回国会 衆議院 大蔵委員会 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月十九日(月曜日)     午前十一時二十七分開議  出席委員    委員長 夏堀源三郎君    理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君       大上  司君    川野 芳滿君       佐久間 徹君    島村 一郎君       清水 逸平君    高間 松吉君       苫米地英俊君    西村 直己君       水田三喜男君    三宅 則義君       宮幡  靖君    内藤 友明君       宮腰 喜助君    松尾トシ子君       竹村奈良一君    深澤 義守君  出席国務大臣         通商産業大臣  横尾  龍君  出席政府委員         外国為替管理委         員会委員   大久保太三郎君         大蔵政務次官  西川甚五郎君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      佐藤 一郎君         大蔵事務官         (理財局長)  伊原  隆君  委員外出席者         文部事務官         (管理局教育用         品課長)    宮川 孝夫君         厚生事務官         (大臣官房総務         課長)     高田 浩運君         農林事務官         (大臣官房経済         課長)     玉置 康雄君         通商産業事務官         (通商振興局経         理部長)    石井由太郎君         参  考  人         (豊栄物産株式         会社常務取締         役)      長内  正君         專  門  員 椎木 文也君         專  門  員 黒田 久太君     ————————————— 本日の会議に付した事件  鉱工品貿易公団損失金補てんのための交付金  に関する法律案内閣提出第二四号)  農林漁業資金融通特別会計法案内閣提出第六  三号)  外国為替資金特別会計法案内閣提出第八一  号)  在外公館等借入金の返済の準備に関する法律案  (内閣提出第八七号)  緊要物資輸入基金特別会計法案内閣提出第八  八号)  保税倉庫法及び保税工場法の一部を改正する法  律案内閣提出第一〇一号)  公庫の予算及び決算に関する法律案内閣提出  第一〇三号)  農業共済保険特別会計法の一部を改正する法  律案内閣提出第一〇四号)  企業再建整備法の一部を改正する法律案内閣  提出第九四号)(参議院送付)     —————————————
  2. 奧村又十郎

    奧村委員長代理 これより会議を開きます。  ただいま農林委員会に付託されておりまする農林漁業資金融通法案につきまして、本大蔵委員会において左の通り修正いたしたいと思いまするので、御異議なければ委員長の手において農林委員会に諮りたいと思います。すなわち同法案の第三條の利率の表のうち三項の「林道の開発又は復旧に必要な資金」そのイ「公共事業費による補助事業に係るもの」の「年一割五厘」を「年一割」に、「年九分五厘」を「年九分」に、五項の「塩田の改良、造成又は復旧に必要な資金」のイ「塩田等災害復旧事業費補助法による補助事業に係るもの」の「年一割五厘」を「年一割」に、「年九分五厘」を「年九分」、以上のような修正を交渉いたしたいと思いますが、これに対し異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 奧村又十郎

    奧村委員長代理 異議ないようでありますからさよう決定いたします。     —————————————
  4. 奧村又十郎

    奧村委員長代理 次に鉱工品貿易公団損失金補てんのための交付金に関する法律案を議題といたします。本案につきましては小委員会において愼重に検討した結果、参考人及び政府関係者出席を必要とするに至りましたので、本日はこれらの方々より関係事情を聽取し、審査を進めることといたします。ただいまお見えになりました政府側関係者文部省管理局教育用品課長宮川孝夫君、農林大臣官房経済課長玉置康雄君、厚生大臣官房総務課長高田浩運君、通商産業省通商振興局経理部長石井由太郎君、以上四名であります。これらの方々に対しまして御質問があればこれを許します。
  5. 宮腰喜助

    宮腰委員 本件の問題についてはもう長い間審議を続行して来たので、私から二、三点お伺いしたいと思うのでありますが、本来この貿易公団は、輸出を中心とする団体であつたのでありまして、国内に放出するのは例外であります。従つてこの例外の場合でも、一応会計法規定によりまして入札原則であります。そうしてまたこの例外として随意契約の対象になつたものもあるはずであります。ところが厚生省関係通産省関係で、最悪の事態至つて回收不能の金が相当出ておりますが、原則として入札または随意契約でやる場合は、金の回收は確実であつたと思うのであります。そこでまず文部省の方に伺いますが、どうしてこういうような未收金だとか、そういうとれないような契約が残存して、公団に迷惑をかけているのか。その一端をお伺いしたいと思います。
  6. 宮川孝夫

    宮川説明員 お答えいたします。私どもの方といたしましては、小学校の六年生に自転車組立て構造ということを教えることになつております。そのために教材の自転車をぜひともほしいということで、割当て方を骨折つてつたのでございますが、幸いに貿易公団からの払下げがある、こういうことを承りまして、事情を具しましてお願いいたしたようなわけであります。契約いたしまして配給いたしましたところが、予想に反しまして若干クレームもございまして、そのために配給がわれわれの考えましたように円滑に運びませんで、取りかえとかそういうようなことをいたしておりますうちに、だんだんと時期的にも経過をして参りました。その間また一般自転車値下りとかいうこともだんだん出て参りまして、そういうのがからみまして配給上に非常な支障を来しました。その結果こういうことに相なりまして、これはわれわれの力の足りないところで、まことに申訳ないと考えております。
  7. 宮腰喜助

    宮腰委員 ほかの団体に比べてまだ文部省の方は成績がいいようでありますが、これは値下りとか、あるいは若干クレームがついたとかの理由でとれないと言いますが、受けた団体はどういう団体でしようか。
  8. 宮川孝夫

    宮川説明員 ただいまの御質問ちよつとよくのみ込めないのでございますが、扱つた団体という御質問でございましようか。
  9. 宮腰喜助

    宮腰委員 そうです。
  10. 宮川孝夫

    宮川説明員 私の方は国庫の予算をもつて購入して配分をするということではございませんために、いわゆる事業者の代表といたしまして、当時は教育施設局長でございましたが、管理局長契約担当官になりましたために、どうしても配給業務代行業者を選ばなければなりません。そのために当時私の方で特にこの面に経験を持つたもので、お願いして大丈夫だと認めましたものを五社ほど選びまして、入札をいたしました結果、荒川商事ほか二店にこの代行業務を頼むことになつたわけであります。
  11. 宮腰喜助

    宮腰委員 そうすると現在荒川商事債務を返済しなければならない責任がありますが、荒川商事はほかの方の通産省か何かの手を経て、その後にもこういうような仕事をやつておられますが、文部省では代行機関を選定するのに、荒川商事なるものは確かであるという御信念のもとに選定されたのでございましようか。
  12. 宮川孝夫

    宮川説明員 御質問の通りでございます。
  13. 宮腰喜助

    宮腰委員 そうすると現在それだけの責任があるものについての弁済状況、あるいはまた文部省として代行機関を選定した以上、この公団の整理上必要である債務取立てについて、御協力願つておるのでしようかどうでしようか。
  14. 宮川孝夫

    宮川説明員 その点につきましては、私の方も代行業者と一緒になりまして、教育委員会その他と十分の連繋をとりまして、一刻も早く解決をしたいというので努力をいたしまして、遅ればせながらこの程度まで持ち込んで参つたようなわけであります。
  15. 宮腰喜助

    宮腰委員 そうして最後どん詰まりに行きまして、これを回收不能などというような項目で落すことになると、国民に対して申訳ない。結局国民の血税においてまかなうという事態でありますが、こういう最後事態を予想しておりますか。それともこれは回收できるものと見ておられましようかどうでしようか。
  16. 宮川孝夫

    宮川説明員 現在では九百五十台の地方にばらまいておりまして配給辞退になつておりますものを、公団の方へお返しすることになつております。これは全国にございますために、時期的には相当に遅れると思いますが、回収はでき得ると考えております。
  17. 宮腰喜助

    宮腰委員 それは回收しても全然使用のできないものでしようか。それとも何かスクラップとしなくとも、解体なんかして部品方法で売却する方法があるかどうか。その点を伺いたいと思います。全然使用不能であつて今後とも回放しても売却できないものであるかどうか。
  18. 宮川孝夫

    宮川説明員 個々のものにつきましては、現実に当つておりませんのではつきりと申し上げかねますけれども、大体におきましては若干の部品の入れかえとか、あるいは相当時期的に経過いたしておりますために、多少の補修を要する点はあると思いますが、使用にたえるものだと考えております。
  19. 宮腰喜助

    宮腰委員 文部省にはあとからほかの方からも質問があると思いますので厚生省の方にお伺いしたいと思います。厚生省の方も回收不能というものは厖大金額になつております。この厖大金額はどうして生じたか。あるいはまた買受け会社に対してその後どういう処置をしておりますか。その点をお伺いしたいのであります。
  20. 高田浩運

    高田説明員 私の方の関係について申し上げたいと思います。厚生省関係医師会末端団体でありますとか、あるいは食品衛生の各団体でありますとか、あるいは国民健康保險関係の各団体でありますとか、そういつた団体等から自転車がほしいという話は前々からあつたのでありまして、当時の状況におきましては、自転車がそういう末端機関に得られますことは、厚生行政のために裨益するところ大なるものがあると考えておつたのであります。そういう状況にありますときに、ちようど公団の方から払下げがいただけるというようなお話がございましたので、私の方におきましてはそういつた数字をまとめまして、公団の方に割当をいただくようにお願いをしたわけであります。そうこういたしておりますうちに、公団からの現品発送等も遅れましたし、当時の経済情勢からして、契約当時と大分自転車についての経済事情がかわつて参りましたし、一般の市価も値下りをするという場面に逢着いたしましたので、私の方で割当てました末端需要者のうちには、相当多数辞退をするものが多かつたようであります。その辺に関連して、輸送でありますとか、代金取立てないし公団べの代金支払い、そういつたことを担当いたします、今文部省からお話もありました荒川商事、その他の関係の方のいろいろな手違いもあつたかと思うのであります。要するにそういつたいろいろな経緯等によりまして、多くの返品があり、代金回收が遅れておつたというふうに了解をいたしておるのであります。その間に処しまして、私の方といたしましては、地方関係機関を督励いたしまして、需要者の方からの自転車引取りないし代金支払い等については、いろいろ手を盡して参つてつたのでございます。何しろ客観情勢が、御承知のように変化をして参りましたので、この辺の努力も十分の効果を発揮することができなかつたことは、非常に遺憾に存じておる次第でございます。それからなお回收不可能というお話がございましたが、需要者からの代金取立て公団への支払い一切は、荒川商事その他が担当することになつておりましたので、直接私の方でタツチはしていないのでございますが、回收不能とおつしやいますのは、この委員会に配付になりました刷りもののうちに書いてあります回收不能の欄のことを、おつしやつておいでになるのかとも存じますが、その点につきましては、私の了解しております範囲におきましては、そういつた仕事担当いたしておりました大成通商関東産業という二つの商事会社の方の関係が、ただいま公団訟務委員会の方にまわつて、いわゆる訴訟関係になつているのです。その辺の関係をこういうふうな見込みをもつて書かれたものだと、私の方は了解をしておるのでございますが、その辺の訴訟関係は両者の関係になつておりますので、現在私の方は詳細を承知いたしておらないのでございます。
  21. 宮腰喜助

    宮腰委員 おそらく公団でも厚生省という国家機関の看板を信用して品物を渡し、また厚生省のあつせんして来られた場合は、渡しておるのではないかと考えるのですが、当時会計法規定からいつても、当然に随意契約である場合は、現金と引きかえでなければならないというのが原則であります。そういつた場合に、厚生省ではそういう関係現金回收確実と見てやつたのですか、どうですか。もしこれの回收見込みが立たない、あるいは何パーセントか見込みがつかないということで、代行機関と組んでこういうことをしたということに、往々にして世間で間違いが起り、世間でも誤解をいたしますので、厚生省として、その当時やるときは、金を確定的に回收してやり得る自信があつたかどうか。その点をお伺いしたい。
  22. 高田浩運

    高田説明員 お答えいたします。先ほど申し上げましたように当時自転車末端機関べの確保ということは、厚生行政のために非常にけつこうなことである、そういうふうな考え方でございましたし、なお自転車配給ということは、それまで私どもの方で取扱つた経験もございませんが、そういう事情におきまして、契約といつたような形式につきましては、実はあまり重きを置かなかつたのであります。一面において文部省にも同じような事例があるということになつておりましたし、公団の方からも多少その辺の示唆もありましたし、一面契約内容につきましては、今お話になりましたように、厚生大臣官房総務課長自体代金関係するということは、役所のしきたり上もちろんあり得ないことでございます。その辺の関係もございまして、契約自体につきましては、お手元に書類が参つておると思いますが、代金関係役所の方としてはタツチしないようなかつこうに、実はなつておるのでございます。従つてこの辺の代金関係について役所が直接タツチしないということにつきましては、公団の方でも十分御承知になつてつたことだと、私の方では承知いたしております。また私の方自体としても、もちろん代金関係にタツチするということになりますれば、これは厚生大臣官房総務課長でなしに、別個の機関がその衝に当るべき性質のものだと心得ておりますし、私の方も従つてその辺の関係がないという前提のもとにおいて、こういうふうな取運びになつた承知いたしております。承知いたしておりますというのは、ちようど私途中からかわりまして、当時の責任者でございませんので、そういうふうに承知いたしているのでございます。従いまして経済事情相当変化したとはいうものの、割当てた割当先が十分の引取りを示さなかつたという点につきましては、相当考えなくちやならぬ点があると思うのでございますが、代金の点につきましては、今申し上げましたように、公団の方もかように御承知の上で、この関係が成立したものと思つておりますし、私の方もそういうふうに考えておる次第でございます。
  23. 宮腰喜助

    宮腰委員 医師会だとか、食品衛生団体だとか、国民保險の各団体に、自転車をほしいという要請があつて、あつせんした、こう申されますが、どうしてこの団体に対して直接取引をしないで、代行店を設けてやつたか。代行店となると営利団体ですから、そこに手数料なり中間搾取の欲望がなければ働きかけない。代行店を設定するのに、厚生省として指定してやつたものでありますか。それとも公団の方から代行店をこれこれにしてくれということであつたのか。その点をお伺いしたい。
  24. 高田浩運

    高田説明員 御承知のように、私の方で直接品物引取つて輸送し、あるいは代金取立てることは、現在の役所の機構をもちましてはできないことでございます。と申しますのは、輸送機関もございませんし、代金取立ての方途もございませんし、従つて直接私の方の責任において輸送をし代金取立て、これを公団に支払うということは事実不可能なことでございます。従いまして私の方としましては、どこそこに大体どの程度の数量といつたような割当については、もちろん関與すべき筋合いのものでございますけれども輸送とそれからそういつた代金関係のことにつきましては、私の方で取立てすることが事実できませんので、そういつた商事会社担当することが至当だと考えた次第でございます。
  25. 宮腰喜助

    宮腰委員 この代行店はどういう範囲——法律関係で言えば代理権を授與されてやつた代行店であるか。あるいはまた商事会社を直接に媒介させまして、そうして商事会社責任において処理したものか。おそらく代行店となる以上は、厚生省代理権を受けてやつておるに相違ないと思う。そうなつた場合は、厚生省は当然責任があると思うのですが、いかがでしようか。
  26. 高田浩運

    高田説明員 お話荒川商事その他の役割と申しますのは、自転車——当該物品公団から引取りまして、それを需要者輸送をし、そしてその代金取立て、その代金公団に支払う、そういつたような仕事担当する性質のものでございます。
  27. 宮腰喜助

    宮腰委員 もう一点。荒川商事というのは何回も関係しておるようでありますが、これはどういう理由でいろいろな払下げに関する代行店として入つておるのですか。特別な政府関係のある機関でしようか。
  28. 高田浩運

    高田説明員 私の方の厚生省関係におきましては、これは自転車関係だけでございますが、これにつきましては文部省の方で相当つて、従来成績が上つておるという話でございました。しからば同じ自転車関係で、文部省と同じようなかつこうのものになるから、やつてもらつた方が適当であろう、かような判断のもとにやらしたわけでございます。
  29. 竹村奈良一

    竹村委員 今宮腰委員から伺つたのですが、厚生省のお方に二、三お伺いしたいと思います。契約は大体金には関係ない。そうして割当自分の方がやつておる。代行機関にやらしたのだ。こういうことになつておる。契約書は不幸にして手元にないのですが、そこで私ひとつお聞きいたしたいのは、今の話を聞いておりますと、厚生省が金に全然責任を持たないということは、公団知つてつた、こういうことを言われたと思うのですが、それは事実ですか。その点ひとつ聞きたいと思います。公団の方は、厚生省が金に責任を持たないものだということを知つて契約したのかどうか。その点どうですか。
  30. 高田浩運

    高田説明員 さように承知いたしております。
  31. 竹村奈良一

    竹村委員 それではもう一つ。これは言われたことですが、大体代行機関としてこの商店指定されたのは、それは公団側示唆、つまりこういう商店に特約されたならばいいのだというような、たとえば荒川商事なら荒川商事という推薦を受けて契約されたのか。あるいは厚生省が独自にその商店自分の方から指定して、それと契約されたのか。この点はどうですか。
  32. 高田浩運

    高田説明員 商店指定厚生省責任においてしたことでございます。
  33. 竹村奈良一

    竹村委員 それではもう一つお聞きいたしたいのでございますが、厚生省責任においてその商店指定した。そういたしますと金は責任を持たない。そうして代行機関厚生省責任を持つておる。公団との契約は、もちろん厚生省は金に責任はないと言いますが、それでは厚生省が推薦いたしましたたとえば荒川商事というようなものを、あなたの責任においてやられて、厚生省が金の責任を持たれない。保証人が金に責任を持たない。その商店公団がどういうわけで品物を渡したのか。この点がどうもあいまいで私どもにはわからないのです。厚生省が一切の金の責任を持つておるというのならば、どの商店指定されても公団は喜んでその商店品物を渡すはずだ。ところが金にあなたの方は責任を持つておらない。保証しないで公団はそのまま品物を渡す。この辺が私納得行かないのですが、この点はどうなつているのですか。
  34. 高田浩運

    高田説明員 商事会社指定につきましては、私今申し上げたのがあるいは間違つてつたのかもしれませんが、公団の方に協議をしまして承認を得ております。
  35. 奧村又十郎

    奧村委員長代理 ただいまの御質問に対して、公団を管理しておる側の通商産業省通商振興局経理部長石井君に御意見を聞きたいと思います。石井由太郎君。
  36. 石井由太郎

    石井説明員 ただいまの竹村委員の御発言の中にも、契約書がどうなつておるかわからないかという御発言がございましたから、念のために申し上げておきたいと思います。契約書昭和二十四年八月三十一日に、買主厚生大臣官房総務課長森本潔売主鉱工品貿易公団機械部長杉原武之助との間で、締結されておるのであります。そうして契約の総台数は一万五千台、金額といたしまして一億一千百三十万七千円余ということになつておるわけでございます。この契約條件の第一に、昭和二十四年九月十六日をもつて厚生省現品引渡しのことということが明瞭に書いてございます。第三項の代金決済といたしまして、一台百五十円内金として契約と同時に公団納入のこと、それからbとして昭和二十四年十月十五日に五分の一、十一月十五日に五分の二、十二月十五日に残金ということが書いてございます。と申しますことは、会計法から申しますとあと払い契約でございまして、あと払い契約をいたしますのは、会計法上にそれぞれ担保でありますとか、あるいは相手が官庁でありますとか、はつきりしたものがない場合はやらないということに——これは解釈でございますが、なつておるのでございます。なお第五項に代金決済引取り、その他実務一切は厚生省通牒によること、ということが書いてございますが、この通牒内容代行業者とこのような契約をしておるから、代行契約による引取りをなさしめることにしたから、昭和二十四年九月十六日より現品を引渡されるようにお願いするということを、厚生省総務課長さんから、機械部長のところに通知参つておる。従つて公団といたしましては、相手方は品物引取ることと、金を集めて来て納入する実務をやるだけであつて、ほんとうは代務者ではないというように了解しておつたと報告が参つております。これを参考のために申し上げます。
  37. 竹村奈良一

    竹村委員 厚生省の方に伺いますが、どうも今の契約内容から見ると、先ほど答弁されたのとは大分違うと思うのです。少くとも買主であり、現品を引渡されるときに、たとえば手付を一台について百五十円としても、それを支払つた。その後において代行機関ができたから、実務はこれに当らす、こういう通知で片づけられる。そうすると代金決済の実際できない責任は私は厚生省にある、こう考えるのですが、厚生省はどういうふうに考えておられますか。
  38. 高田浩運

    高田説明員 今最後お話のありました代金決済引取り、その他実務一切は厚生省通牒によるということで、これが契約内容になつておるのでございます。しかもその具体的な事柄は、今もお話がありましたように、引取り、保管、輸送納入代金取立て納入、そういつたことは一切関係業者担当ということになつておるわけでございますので、私の方としましては、先ほど申し上げましたように、了解をいたしておるわけでございます。
  39. 竹村奈良一

    竹村委員 そういうことが日本に通用しますか。あまりなめた答弁をせぬでください。大体買主であつて品物引取責任を持ち、手付金払つた責任を持つておりながら、あとから、そういうふうに契約をした品物引取ることを、荒川商事に取扱わせたというのは、通牒だけ出して、自分の方は責任ございませんというふうな答弁である。これが日本で通用しますか。もつと真劍に答弁しなさい。国民の金で損失を補わなければならない。少くともあなたの方の今の契約書から行くと、私はここでは法律的にどうとかこうとかいうことではないのですが、良心的に厚生省は、自分下部機関であるところの医療機関その他に自転車が必要だ。だから現在公団にあるところの自転車配給するのだ。このことが本旨であつたわけです。従つてこれに対して買主としてあなたの方は契約をした。ところがたまたまその荒川商事に扱わすということを、あとからあなたの方はやつた。事実問題としてはそうじやないですか。そうして問題は、その金が集まらない。そこでもう一つ聞きますが、私は單に責めておるわけではない。あなたの方の下部機関であるところの医療機関、あるいは厚生省配給した先、これは一体自転車を買うのに金を払つていますかいませんか。これはあなたの方でやつておるから調査しておるはずです。この調査の結果を聞きたい。
  40. 高田浩運

    高田説明員 先ほどから申し上げておりますように、私の方としましては、末端需要者が自転者を引取代金を支払うということにつきましては、厚生省関係地方庁を督励いたしまして、その目的を達成するように、過去においても十分努力をいたして参つてつたのでありますが、今後といえども、そういう努力は続けて参りたいと考えております。なおそういつた商事会社に、先ほど来申し上げましたような仕事をやらせるということにつきましては、これは公団との話合いと同時でございまして、公団と私の方と契約をして、爾後私の方が別個にそういう商事会社仕事をやらせた、そういうことではございませんで、時間的な事実関係を申せと言われれば、同時でございます。それから需要者引取関係につきましては、そういつた商事会社の方から報告をとるようになつておりますし、またその方も督励をいたしております。また私の方の関係地方庁を通じても督励をいたしておるのでありますが、ただいまここに御報告を申し上げるような段階に至つておりませんことを、はなはだ遺憾とする次第でございます。いずれにいたしましても、私の方としましては、一旦公団の方とそういうような話合いをいたしましたし、それからその後状況がかわつたにいたしましても、当時私の方としては、厚生行政のために非常にけつこうなことであるというふうな考えのもとに始めたことでございまして、いろいろの事情はございますが、私の方としては、地方庁等を督励しまして、十分努力もし、それから代金回收等が円滑に行くように、御協力も申し上げておるような次第でございます。この点は今後といえども、そういうような態度をもつて進みたいと思う次第であります。
  41. 竹村奈良一

    竹村委員 協力しておるとかなんとかいうことですが、協力ということ自体がおかしい。しかし言葉にこだわりませんが、あなたの方で一切各地方団体割当てられたのだから、この割当てられた数字、それに対して下部から現品引取つてその金を払つた数字、また払わない数字、これは品物割当てられたときには、必要だからということで割当てられたのだから、そういうようなことは、もうごの公団の問題があれだけ大きくなつておるときに、少くとも自分関係の分については詳細に整理をし、あるいは下部から未納金はどれだけある、しかも荒川商事その他の代理商人に下部から集まつた金を、どれだけ公団に払つているか、いないかという点は、詳細に調査されておるはずです。されていないというならば、あなたの方は無責任です。だから至急にこれを出してもらいたい。委員長に特に要求しておきます。これがなかつたならばはつきりしない。たとえば商店に金が残つておるのか、下部のものが金を払つておるのかおらないのか、これをあなたの方から調査をして出してもらいたい。
  42. 川野芳滿

    ○川野委員 私途中で参りましたので、質問がダブるかと考えますが、簡単にお伺いいたします。代行店をもつてやらせた、こういうお言葉があるわけでありますが、その代行店厚生省において御推薦になつたものであるか。この点をお尋ねいたします。
  43. 高田浩運

    高田説明員 その点先ほど御質問がございましたが、私の方で一応選定をいたしまして、それについて、公団の方に協議いたしまして、承認を得てきまつたものでございます。
  44. 川野芳滿

    ○川野委員 そうしますと、推薦されたということになると私は考えます。そういたしますと、先ほど文部省の方でも、品物を取扱わせておつたから、自分の方でもやつた、こういうお言葉がありましたが、厚生省が推薦する以上は、荒川商事の信用を御調査の上、御推薦になつたと考えます。その信用の実情がわかりますならば、御報告を願いたいと思います。
  45. 高田浩運

    高田説明員 厚生省関係につきましては、そういつた会社は五社を指定したわけでございます。荒川商事はその一つでございますが、そのほかの四社につきましては、従来の実績等を調査いたしまして、厚生省関係に一、二頼んだこともございますので、そういつた関係を調べまして、適当と考えまして指定したわけでございます。荒川商事につきましては、この自転車関係は初めてのことでございましたが、文部省における実績等も調べました結果、適当であると考えまして、その五社の中の一社として指定した次第でございます。
  46. 川野芳滿

    ○川野委員 文部省における実績等も御調査になつた、こういうお話に承つたのでありますが、その文部省における信用状態がどういうふうにあるか。こういうふうなことは、ただ文部省品物を取扱わせておるから、自分の方も取扱わせるのである。こういう程度の信用調査であるか。あるいはまたその他詳細に御調査になつてやられたものであるか。これはひとり荒川商事だけではございません。ほかに四、五の店に取扱わせておられるならば、多分他の代行店についても相当の信用調査をやられたものだと私は確信いたします。あるいは銀行方面について御調査になつたかどうか。そういう点を承つてみたいと存じます。信用調査をしないとおつしやるならばそれでけつこうですから、端的に御答弁を願いたいと思います。
  47. 高田浩運

    高田説明員 指定するにつきましては、経歴書等もちろん資産関係も含めまして経歴書をとりました。この関係につきましては、ほかにもあつたのでございますが、いわゆる経歴も確かであるし、それから取扱いの手数料と申しますか、こういつた関係も安いものを選びまして指定したわけでございますし、荒川商事につきましても、今申しましたように、経歴書等も調査をして指定した次第であります。
  48. 川野芳滿

    ○川野委員 先ほど通産省の方のお話を承つてみますると、自転車契約書によりますると厚生省へ渡す、こういうことに相なつておるというお話でございましたが、厚生省自転車を受取つた、こういうことになりますると、当然自転車を受取つたところの厚生省側に責任があるのではなかろうか、こう私は考えまするが、この点について重ねて御答弁つておきたいと存じます。
  49. 高田浩運

    高田説明員 その契約自体が多少かわつておるということはお話の通りでございますが、代金関係につきましては、先ほど来申し上げましたように、代金引取り、それから代金納入については、すべて商事会社がこれを担当するということで始まつたことでございます。従つて厚生省としましては、代金関係を扱うというような心づもりは、その当時なかつたのでございます。もちろん契約の一応の相手方になつておりますので、その辺についての行政上の責任については、これはもちろん負わなければならぬ点が多々あつたと思いますが、代金の点につきましては、先ほど来申し上げているような次第であります。
  50. 川野芳滿

    ○川野委員 私は行政上の責任を問うとか、法的の責任を問うとかいう考えのもとに質問をしておるのではありません。しかし常識上から考えまして、どういうふうな責任になつておるか、この点につきまして私はお尋ねいたしておるわけであります。そこで私は契約書の通りに当然実行さるべきものであり、契約書の通りに御実行にならない場合には、重ねて契約書のとりかわしをされまして、そうしてその契約書によつて次の実行面に移られるもの、こう考えるわけでございまするが、その後における契約書のとりかわし等がございまするならば、御答弁を願つておきたいと存じます。
  51. 高田浩運

    高田説明員 まさしくお話の通りでございまして、私の方におきましてもその後契約の更改の必要を感じまして、公団側ないし商事会社の方ともお話合いをいたしまして、一部につきましては両者の直接の関係になるような契約に更改いたしまして、そういうふうなことにいたした次第であります。
  52. 川野芳滿

    ○川野委員 その後一部の問題については契約書のとりかわしがあつた、こういうふうな御答弁でございますので、どうかひとつその契約書の案文を御発表願いたいと存じます。
  53. 奧村又十郎

    奧村委員長代理 川野君に申し上げますが、先ほど売買契約書の案文を読み上げたのですが……。
  54. 川野芳滿

    ○川野委員 いや、その後にまた一部の契約書のとりかわしがあつたという御答弁だから、それを読んでいただきたいというのです。
  55. 奧村又十郎

    奧村委員長代理 先ほど通産省の方で読み上げたそのほかに契約書があるのですか。それではそれを朗読してください。
  56. 高田浩運

    高田説明員 今お話のものは、厚生省向け払下げ自転車整理に関する覚書ということで、公団厚生省側と、それから業者でありますところの豊栄物産、そういうものの関係でございますが、そういつた商事会社、すなわち丙の甲に対する昭和二十五年十一月十四日現在の債務金額は左記の通りであり、丙はこれを承認する。自転車台数五百三十九台、債務金額三百六十五万四百五十円也、そういうことになつております。今申し上げました丙と申しますのは商事会社、それから甲と申しますのは公団、すなわち商事会社公団に対する二十五年十一年云々現在の債務金額は左記の通りであり、商事会社丙はこれを承認するということです。
  57. 川野芳滿

    ○川野委員 ただいま読み上げられました案文は、これは債務の確認であると私は拝承するわけであります。先ほどの契約書は、代金支払いの点が明確に契約書のうちに書いてある。こういう点から考えますると、当然自転車を受取つたところの厚生省に、金銭の問題等においても責任があるのではなかろうか、こう私は考えまするが、先ほど来厚生省には責任がないないとおつしやいますので、この点について重ねて御答弁を願いたいと存じます。厚生省側の意見といたしまして、厚生省側に責任がないということであるならば、はたしてその責任はどこにあるのか。公団にあるのか。はつきりとひとつ御答弁を願いたいと存じます。これは重要な問題でございますので、ここで御答弁が願えなければ、あとでもけつこうでありますので、この点をはつきり明確にさせていただきたいと思いまする
  58. 高田浩運

    高田説明員 私の方の了解いたしますところによりますと、法律上の債務関係公団会社との関係にあるのであります。さればこそ今申し上げましたように、初めの契約というものは誤謬を生ずるおそれもありまするので、当時今朗読いたしましたような内容のものに更改をして参つて来ておるわけであります。
  59. 小山長規

    ○小山委員 川野委員の言われたことその他の問題につきまして責任の問題をいろいろ論議されております。そうして答弁が非常にあいまいなんです。これはどなたか答弁できる者がおりますか。たしかこの荒川商事その他に関する代金回收の問題については、訴訟になつてつたのじやないですか。訴訟になつておるかどうかを、ちよつと記憶が薄れておりますから、お伺いしたい。
  60. 石井由太郎

    石井説明員 ただいま御指摘のございました荒川商事につきましては、訴訟になつておる案件はございませんが、爾余の会社については一部分訴訟になつておる部分がございます。
  61. 小山長規

    ○小山委員 そういたしますと、私どもが非常におかしいと思うことは、この契約書を見ますと、買主はこの場合でいえば厚生省大臣官房の総務課長、あるいは文部省課長ということになつておる。ところが訴訟の相手方はその取扱者になつておる。もし責任が厚生大臣にあるものならば、私は法律関係はよく知りませんが、訴訟の相手方は買主でなければならぬ。買主でなければならぬにかかわらず、その取扱者に対して訴訟をしているのはどういうりくつから出ているのか。それをひとつ御説明願いたい。
  62. 石井由太郎

    石井説明員 ただいま訴訟になつておるのがあると申しましたのは、間違いでございました。訴訟の提起を考えて検討中である。訟務委員会というところでその法律関係を、御指摘のございましたように、どちらにしりを持つて行くかということの検討をいたしておるどいうことでございまして、これは私の記憶違いでございましたから訂正しておきます。
  63. 小山長規

    ○小山委員 だからほかの委員の方々が、一体責任者はだれなのかということをはなはだ疑問にされる。訟務委員会もおそらく疑問にするだろうと思う。その取扱者が買主なのか、こつちが買主なのか。もし厚生省なり文部省なりが買主であるならば、その取扱者に対しては、通産省なり厚生省代金取立ての内部関係における委任事務の処理を誤つたということでやるべきものであつて公団がじかに取立ての訴訟を起すべきものではない、われわれはそう考える。そこで公団の監督者である通産省の方では、一体それをどういうふうに解釈されておるか。かりに訴訟を起すとすれば、公団が取扱者である荒川商事その他に対して起すのか。あるいは厚生省が、自分が取扱わしたところのものが委任事務を忠実に実行しなかつたために、厚生省に損害を及ぼしたから、お前が損害賠償をやれといつて訴えを起すのか。どう処理しようとするのか。それをひとつお聞きしたい。
  64. 石井由太郎

    石井説明員 通産省の考え方といたしましては、先ほどお話がありました通り買主厚生省であり、代金支払い厚生省品物を受取つた後において、いわゆるあと払いで出すということを約束いたしておるわけでございます。但し代金支払い実務、つまり金を持つて参りますとか、品物をかついで参りますとかいうような実務関係だけは、業者がいたすものと了解いたしておるのであります。この点厚生省側の説明と食い違うと思うのでありますが、私ども厚生省了解しておりますのと同じ意味におきまして、われわれは了解事項というよりも確信いたしておるわけでございます。ただしかし代行業者である荒川商事になぜ訴訟したかということになりますと、これは民法四百二十三條にあります債権者の代位権、こういうものを使いまして——現に下から金を回收しておりますのは、たとえば豊栄物産であり、荒川商事でありますから、この場合債務者である厚生省が適当な措置をとらないで、代位権をもつて行使する非訟事件手続法の割合簡單な手続でできますので、そういうことでやる、こういうわけであります。
  65. 小山長規

    ○小山委員 では厚生省に伺います。厚生省の方では、自分の方には代金支払いの義務はないのであつて、取扱い機関である荒川商事その他のものに代金支払いの義務があるのだ、こういうふうに言つておるのですが、その点を明確にしていただきたい。
  66. 高田浩運

    高田説明員 私の方では、金銭上の債務を負担しておるとは実は考えていなかつたのでございます。
  67. 小山長規

    ○小山委員 そういたしますと、売買契約書に署名した人は、自分自転車を買つたのではないのだ、だれかの代理人で買つたのだ、こういうふうなおつもりだつたのですか。つまりあなたの方が荒川商事の委任を受けて、公団に対してこの自転車を買いたいと言つて申し込まれたのですか。それでなければ今の説明はちよつとわかりかねる。
  68. 高田浩運

    高田説明員 代金関係につきましては、当時私が先ほど来申し上げておるような事情にあることを、公団の方でも十分御承知の上で、こういうふうな経過になつたと考えておる次第でございます。従つてその辺の突き詰めたことは、当時十分研究をいたさなかつたようでございます。
  69. 小山長規

    ○小山委員 私が伺いたいのは厚生省荒川商事の内部関係を聞いておるのではなくて、自転車を買うという申込みをした。そうして代金取立て事務を荒川商事に頼んだだけなのか。荒川商事厚生省自転車を買つてくれと言つたから、厚生省が申し込んだのかどつちなのか。もしも厚生省公団自転車を買いたいと言つて申し込んでそれを買い受けたならば、これは厚生省が出さなければいけない。その代金支払い担当者が違つたということは、厚生省荒川商事との間の関係であつて、これは厚生省公団の間の問題ではない。訴訟関係は別です。訴訟関係は債権者の代理による代金取立てということもありますから、これはできますが、その買つたのは売買契約書厚生省総務課長と書いてあるのだから、これはこういうことをどこからか頼まれてあなたの方で一括して買つた、こういうことですか。またあなたはこう言われる。自分の方で買つたんだが、代金取立て事務が忠実に実行されなかつた。債権契約は売るとか買うとか、代金を払う払わぬということでありますから、その代金をだれが払うのか。もし荒川商事が払わなければならぬ義務があるならば、荒川商事公団との間に売買契約ができていなければならぬはずである。その契約厚生省公団との間にとりかわされておるならば、この買主は法律上の代金支払い義務者ということです。従つて法律上の代金支払い義務者は厚生省でなければならぬはずだとわれわれは思う。ところが内部関係において、ただ荒川商事代金取立て事務を委託したということは、これは公団知つていようがいまいが、こんなことは公団厚生省との法律問題ではなくて、厚生省荒川商事との間の問題だと思う。これは自分が買つたのか、荒川商事が買つたのか、どつちですか。
  70. 高田浩運

    高田説明員 自転車を買つたのは一応私の方ということになつておりますが、同時に代金支払いにつきましては、そういつた商事会社担当するというような、いわゆる一体になつている、そういう契約だと考えております。
  71. 小山長規

    ○小山委員 そうすると、この契約支払い義務がない契約なんですね。自転車は買つた、買つたが、金はおれは払う義務はないという契約なんですか。厚生省公団から自転車を買つたけれども、金を払う義務はないのだ、金を払う義務は荒川商事なんだ、こういう契約ですか。それを聞いているわけです。
  72. 高田浩運

    高田説明員 ちよつとあるいは食い違つているかもしれませんが、代金支払いは先ほど来申し上げておりますように……。
  73. 小山長規

    ○小山委員 代金支払いを聞いているのではない。あなたの方で金を払わぬでいいのかどうかを聞いているのです。自転車を受取つたけれども、金を払わぬでもいいという契約なのかどうかを聞いているのです。——それではこういうことなのですか。要するに自転車を買う契約厚生省公団とやつた。ところがその金は荒川商事から金が来たときに初めて払う、こういう契約つたのですか。荒川商事から金が来ようが来まいが金を払うのですか。荒川商事から金が来なければ払わぬという契約つたのですか。どつちです。
  74. 高田浩運

    高田説明員 私の方では、たとえば荒川商事から代金を一応受取つて、それを公団の方に払う、そういうような考え方は実はしていなかつたのでございます。
  75. 奧村又十郎

    奧村委員長代理 ちよつと小山君にお諮りいたしますが、要するに公団厚生省との売買契約書を、これは間違いないということを確認すれば問題はもうはつきりするのだから、しかも高田君はあとからかわつて来られたらしいので、契約当時の責任者ではないらしいので、その点ひとつ……。
  76. 小山長規

    ○小山委員 それから売買契約書参考資料として出されておりますが、これをちよつと読みます。買主厚生大臣官房総務課長森本潔、売主は鉱工品貿易公団機械部長杉原武之助——買主厚生省であり、売主は鉱工品公団であります。その條項に『通商機械局長より厚生大臣官房総務課長宛「公団保有輸出用完成車国内配分の割当について(昭和二十四年七月二十一日二四機第二二七九号)」通牒により下記の通り売買契約を締結します。』として、自転車(完成車)一万五千台、こう書いてある。これは厚生大臣官房の総務課長として押されたのか。個人として押されたのか……。これをひとつあなたが答え得なければ、厚生省議を開いてお答え願いたい。
  77. 高田浩運

    高田説明員 個人としてではなくて、厚生省の役人としての話でございます。
  78. 小山長規

    ○小山委員 それではもう結論をつけておきますが、売買契約書を否認されているわけですね。そういう契約書をとりかわしたけれども、これは錯誤があつたのだ。おれの方は重大な錯誤があつたのであるから、この契約は無効であるということを主張されるわけですか。法律的に言うと……。
  79. 高田浩運

    高田説明員 法律的に言うと、私おつしやる意味がよくとりかねるのでございますが、その同じ契約契約條件の一番末項に「代金決済引取その他」云々ということになつておりますが、その内容によりまして、代金等につきましては、厚生省総務課長としては扱わない建前になつておりますので、そういう内容を含んだ売買契約である、かように実は了解をいたしておる次第でございます。
  80. 深澤義守

    ○深澤委員 今の契約の問題ですが、これは文部省厚生省も同じケースのようです。それで私は文部省の方と厚生省の方にお伺いしたいのですが、今の契約によつて、売買契約の当事者になつているわけですが、今の契約によつて売買契約の当事者になつたその責任範囲は、どの程度のことを考えておられるか。それをひとつ文部省の方と厚生省の方の両方から、その契約の当事者としての責任は、どの程度のことをやればその責任を果すことになるのか。その点をひとつ明確にお答え願いたい。
  81. 宮川孝夫

    宮川説明員 お答えいたします。文部省といたしましては、教育施設局長契約担当官になつております。これは実際に使いますのは学校でございますが、二万何千からある小学校が、一々契約の相手になるということは実際上不可能であります。それで資材の確保の面から教育施設局長需要者の代表という立場で、契約をいたしておるわけであります。従いまして内部的には代行業者にいろいろなことをしてもらいますが、表面上は施設局長が責任者として公団に対する責任を負う、かように考えております。
  82. 高田浩運

    高田説明員 厚生省としての契約につきましての責任は、結局契約書に書いてあります諸條件に従いまして、これを履行することだと思つておるのでございます。従いまして代金等の点につきましては、契約の中の條件としまして、厚生省がタッチしない建前になつておりますので、法律上の債務は負わないわけでございますが、実際上ないし行政上といたしましては、十分公団の方が代金取立てその他契約條項が円滑に行われるように盡力をする、そういう責任があると思つておる次第であります。
  83. 深澤義守

    ○深澤委員 それならば、今の答弁を伺いますと、あなたの方は代金支払いの義務は負わないが、それを円滑にやる行政上の責任は感じているということであります。それであなたの方の代行会社は四社ということでありますが、その四社がどのくらい公団自転車の未納金があるか。その点はつきりつかんでおられるか。
  84. 高田浩運

    高田説明員 お答えいたします。約四千七百万円でございます。
  85. 深澤義守

    ○深澤委員 その内訳はどういうことになつておりますか。
  86. 高田浩運

    高田説明員 各社別に申し上げますと、大成通商が約四百九十三万円、荒川商事が千八百四十二方円、それから関東産業が約千九百十二万円、豊栄物産が約三百三十五万円になつております。
  87. 深澤義守

    ○深澤委員 この四社にこれだけ現在未納金がある。この原因はどういうところにあるかということを御調査になつておりますか。
  88. 高田浩運

    高田説明員 自転車に関しまする経済事情が、この契約当時とその後と相当変化がありまして、従つて初め需要者として割当てましたところで、後に不要として自転車引取らないところも相当多数出て来ましたし、その間における商事会社としての現品のやりとり等のいろいろな経緯から、今申し上げましたような結果が出て参つたものと考えております。
  89. 深澤義守

    ○深澤委員 現品の引渡しは二十四年一ぱいで引渡されているわけです。経済上の変化ということももちろんあるであろうと承知いたしておりますが、おそらくこの経済上の変化は、二十五年の下半期のころだと思うのです。従つてこの現品が引渡された当時は、そんなに経済上の変化は来ていないと思う。そういうことは全部の経済界にあつたわけです。そういう経済上の変化の中で、あなた方が行政上の責任を負うという義務を負担されるならば、この四つの会社の未納になつている具体的な原因を十分突き詰めて、明確にされる責任があると思う。ただ一般的に経済上の変化が来て需要者が不要になつて引取らない、クレームがついた、こういうことでこれを解釈しているというのでは、少しも行政上の責任を負担しておる立場の方のお答えにはならないと思う。もつと具体的に調査されて、大成はどう、荒川はどうという具体的な説明がなければ、あなた方の行政上の責任を感じておるという立場でのお答えでないと思うが、その点はどうですか。
  90. 高田浩運

    高田説明員 お話のように契約が締結されましたのは、昭和二十四年の八月末でございましたので、私の方といたしましては、九月の中旬には現品地方発送が行われるものだと、その当時考えておつたのでございますが、当時公団の倉庫に現品がない等の事情もございましたし、現実に地方発送に着手されましたのは、十二月ごろと記憶いたしております。その間自転車に関するいわゆる統制の撤廃が、二十五年の三月に行われておるのでございまして、それに非常に時期的に近くなつたというようなことが、客観的な事情としては考えられると思うのでございます。その後私の方におきましては、地方庁を督励いたしまして、その辺の具体的な解決処理に努力いたさせて参つたのでございますけれども、何しろ地方との連絡不十分等のこともございまして、個々の具体的な事情について、ここで的確にお答えできませんことは、私としてはなはだ遺憾に存じておる次第でございます。
  91. 奧村又十郎

    奧村委員長代理 深澤君にお諮りいたしますが、ここで休憩して、午後に継続質問をいたしたいと思いますが、いかがですか。
  92. 西村直己

    ○西村(直)委員 運営上の問題ですが、実はさつきから御議論を聞いておりますと、この契約自体の法律解釈の問題が一つ、それから行政上の責任の問題が一つ、こういう二つの問題があるように思つております。この法律解釈は、官庁たる厚生省と、それから官庁的性格を持つた鉱工品貿易公団との間の契約であつて、しかもその契約條件というものは、厚生省通牒によつて契約内容一つ付随されております。これは通産省文部省厚生省公団の間でよく法律解釈について休憩時間中に話合いを願つて、はつきりしていただきたいと思います。普通の債務契約なら、さつき小山君の言われたように、官庁的な性格でありながら、しかも通牒によつてその條件を異にしておるということが、一つ問題として残つておる。これは法律解釈です。小山委員の言われるような意見もあるいは成り立つかもしれない。あるいは厚生省課長の言われる意見も成り立つかもしれない。そこらを休憩時聞によくお話合いを願いたいと思います。  行政上の問題は、一つ公団の性格がコマーシャル・ベースに乘つた運営をされていなかつたという公団責任もあり、また厚生省文部省には買主的な——実体はあつせんであるかもしれません。あつせんか買主かはつきりしませんが、それにしまして、これは行政機関としても責任のある問題だ。そこに経済上の変化、経済統制の排除というものがからんで来て、こういう問題が起つて来たのだろうと思う。そこらのことについて、政府の方でも十分この休憩時間中に意見をかわされ、午後に臨まれたいと思います。
  93. 奧村又十郎

    奧村委員長代理 政府にお願いしますが、ただいまの西村委員の発言のように、十分休憩中に打合せをせられて、午後に明確な御答弁をお願いいたしたいと思います。  暫時休憩いたします。     午後零時四十八分休憩      ————◇—————     午後二時五十五分開議
  94. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  午後はまずすでに質疑を打切りました在外公館等借入金の返済の準備に関する法律案、及び保税倉庫法及び保税工場法の一部を改正する法律案を一括議題とし、討論採決に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。竹村奈良一君。
  95. 竹村奈良一

    竹村委員 私はただいま議題となりましたところの在外公館等借入金の返済の準備に関する法律案に対しまして、日本共産党を代表いたしまして、遺憾ながら反対の意見を表明するものであります。  まずその第一点といたしましては、大体この法律は借入金の返済の準備に関する法律——おそらく従来から考えましても、こういう準備をするところの法律というようなものが出されまして、しかもその法律の内容には、これによつて一つの審議会を設けるということが、本案の本旨となつておるのでございますが、しかしこの借入金をほんとうに早く返そうとする政府の方針であるならば、従来までにずいぶん調査され、そうして確認された証書が交付されておるのでありまして、わざわざ準備に対するところの法律を制定する要は、私はないと思うのであります。これがまず第一点。  第二点といたしましては、しからばこういう準備の法律を出して、そうして審議会をわざわざ設けなければならないということは、考えまするに、それはどういうところに原因があるか。まず私たちの考えますところによりますならば、海外におきまして引揚げに際し公館が借り入れて、しかもこれは、多くの大衆から零細な金を借り入れた分に対しましては、これはもう確認書を渡されただけで、返済しても何らさしつかえないところのわずかな金であります。ところが問題は、その金を返済するというところに問題があるのじやなしに、これは当然早く返さなければならぬのでありますけれども、本日のこの資料にも出されたように、たとえば、儲備券一億円以上を在外公館に貸したという人が三十一件もある。あるいは連銀券が一千万円以上の人が十九件もある。また法幣五百万円以上を政府に貸したという人が十八件もあるというように、大口に借り上げた人たちに返すところの問題について、あるいはまた今後出るであろうそういう人々に返還するという問題について、この審議会を通じて、いろいろな方法においてこれを行おうとするところに、問題があるのだと私は考えるのであります。少くともわざわざこういう準備のための審議会を設けますならば、実際におきましては往々従来行われたごときいろいろな政治的な運動、政治的な含みが持たれて、大口な貸付に対して、しかもその貸付が正しく行われたかどうかということを審議する際における、いろいろな動きとなつて現われて来たことは、従来の例に徹して明らかなところであります。従つて私たちは在外公館が借り入れましたところの問題、その借り入れた中における零細な借入金に対しましては、こういう準備の法律をつくるまでもなく、すでに確認書が渡されておるのであるから、政府責任においてただちにこれを返済すべきこと、但し借入れの際においてこういう大口なものを政府に貸すというものにおきましては、いろいろな問題が残つておる。しかもこういうものをもし返済するというのであつたならば、戰争で国内において家を燒かれ、零細な自分の住居を燒かれた人に対しても、当然返済しなければならない。ところがこれをほうつておいて、海外において一億以上の大きな借入れをせられ、もし正当にこれを貸したとしても、こういうものに対してのみ返済するということは、われわれは賛成できない。従つてわが党は、少額貸付の貧困者に対する返済は、この準備の法律をまたずして、すでに渡した確認書によつてこれを返済すべきこと、しかも大口に対してはこれを切り捨てるということを考えますがゆえに、この準備の法律は必要がないと考えまして、本案に反対するものであります。
  96. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員長 討論は終局いたしました。  これより右両案を一括して採決いたします。右両案に賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  97. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員長 起立多数。よつて右両案はいずれも原案の通り可決いたしました。  なお報告書の件につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じます。     —————————————
  98. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員長 次に企業再建整備法の一部を改正する法律案を議題として討論採決に入ります。
  99. 奧村又十郎

    ○奧村委員 ただいま議題となりました企業再建整備法の一部を改正する法律案につきましては、すでに質疑を打切られておりますので、本案につきましては、討論を省略し、ただちに採決に入られんことを望みます。
  100. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員長 奧村君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員長 御異議がないようでありますから、本案につきましては、討論を省略いたしまして、採決に入ります。  本案に賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  102. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。なお報告書の件につきましては、委員長に御一任を願います。     —————————————
  103. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員長 次に公庫の予算及び決算に関する法律案を議題といたします。
  104. 奧村又十郎

    ○奧村委員 本委員会に付託されておりまする公庫の予算及び決算に関する法律案につきましては、質疑は十分盡されておりまするから、この際質疑を打切られんことを望みます。
  105. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員長 奧村君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員長 御異議ないようでありますから、奧村君の動議のごとく決します。     〔委員長退席、奧村委員長代理着席〕     —————————————
  107. 奧村又十郎

    奧村委員長代理 午前中に引続き鉱工品貿易公団損失金補てんのための交付金に関する法律案を議題といたしまして、政府関係者並びに参考人に対する質疑を許します。竹村奈良一君。
  108. 竹村奈良一

    竹村委員 午前中自由党の西村委員から、われわれ各委員の質問に対する食い違いの点、たとえば厚生省の問題、そういう約束の食い違いの問題についてまとめて答弁を要求されたが、これに対して一応休憩中にまとまつた御意見等をひとつ聞かしていただきたいと思います。
  109. 石井由太郎

    石井説明員 厚生省並びに文部省と、鉱工品貿易公団の間においてとりかわされました契約の法律的性質、これにつきましては、契約締結になりました当時の事情と、それから文章といいますか、文面の問題と、それからその後における履行の状況、この三つからいたしましてこれを解釈いたさねぱならぬと思うのでございます。当時自転車につきましては、臨時物資需給調整法による配給統制が実施されておりまして、その販売あるいは割当ということが、一つの国家的な統制に従つて行われておつたわけでございます。従いまして、厚生省あるいは文部省といつたようなところがほしいままに台数を割当て、あるいはその取引をいたすということはできなかつたわけでございまして、関係庁の間で協議をしたところに従つて、これらの業務を行つたのでございます。この場合厚生省文部省がその直轄学校あるいは国立療養所というようなところに配給いたしたのでございますれば、これはもちろん予算の裏打ちがございまして、この予算の裏打ちによる国家の購買契約担当官という立場で、契約が行われたと思うのでございますが、実は厚生省文部省のありました立場は、たくさんの管下の実際の需要者の利益の代表者という立場であつたのが、経済的、実態的に見た場合の立場でございます。すなわち実態的に申しますれば、厚生省あるいは文部省自身は一台の自転車もいらないのである。但し管下の兒童であるとか、あるいは医師会、薬剤師会といつたようなものの利益を代表した立場でものを考えますれば、この自転車がいるということになつたと思うのでございます。これを処理いたします法律的形式といたしまして、厚生省ないし文部省が直接の契約の相手方になつて、明らかに契約を締結いたしておるのでございます。この契約の形式に関しまする限り、これは有効な明らかな売買契約でありまして、従つて契約上の債務、物品の引取りあるいは代金支払いというものは、厚生省文部省みずからこれに当るということが、文面上は明らかになつておるのでございますが、経済的な実態関係はただいま申し上げましたような事情がございましたわけでありますから、法律的に解釈いたしますれば、あるいは権利なき社団あるいは団体の利益代表者、ないしは管理人という立場に立ておつたことに相なるかと思うのであります。その後の契約の実施状況はしからばどうであるかと申しますと、公団の側にありましては、あたかも文部省ないし厚生省それ自身が契約の相手方であり、契約に対して全部の責任を負うものとこれを認めまして、金の支払いがないにもかかわらず品物を渡しておるという、契約の履行が行われておつたのであります。これに対し文部省ないし厚生省におきましては、大体の立場といたしまして、権利なき社団の利益管理人、利益代表者というような立場から物事を処理されておつたのではなかろうと思うのであります。それが答弁の端に現われました、あるいは責任なしと言われ、あるいは金銭について無関係というような発言になつたところかと思うのであります。しかしながら実態関係におきまして物事を考えますと、厚生省に対しましては約一万五千台の契約を行いまして、九千台余のものが現物で返つて参つておるのでございます。これは相手がただいま申し上げましたような経済的な立場にあることの認識の上に立ちまして、單なる一片の売買契約として物事を律するわけに参らない。従いまして当初の契約がいかにもあれ、物が返つて参るのでございますれば、まずこの点につきましてはその範囲において、当然契約の数量その他が減縮されたものとして考えよう。経済情勢の変動もございます。従つて元のきめた値段でとれないというのも、話としてわからないことではございませんので、大体におきまして品物で返してもらうという線に沿うて、問題を考えておるわけでございます。実際やつておりますことは、ただいままで申し上げました文部省厚生省等が契約を締結いたしました経済的実態に即し、同時に文言上に書かれました契約書あるいはその他のとりかわし文書というようなものにも一致し、かつ会計法、財政法といつたような原則にもマッチし符合するごとく、これを処理いたしておるのでございまして、厚生省関係について申し上げますと、約五千九百十五台という自転車相当するものが、まだ返つて参つておらないのでございます。この金額が先ほど申し上げました四千七百万円余に当るわけでございます。このうち約二千三百万円程度のものは、この三月一ぱいで品物公団に返ることになつておるのでありまして、それぞれの先から物を收集いたしておるのであります。残りの二千四百万円ばかりのものが、物で返つて来るか、あるいは物が滅失したり毀損したりしておつたならば、金で賠償させるかという問題に相なるわけでございますが、中には、実は実務代行を受けましたものが詐欺盗難等にあいまして、品物を紛失しておるという事件等もからんでおります関係上、この九月末までには問題が解決しそうもないのであります。その金額を見積りましたものが、二千四百万円余の九月までに回收不能に陥る金額と相なるわけでございます。文部省について申し上げますれば、約一万一千台の契約のうち、総額といたしまして九百五十台ばかりのものが、物として返つて来ておらないと申すことができるのであります。これをこの九月までに可及的に物で返させる。かつ爾余のものは金銭の債務の形で、文部省を通じて弁償させまして解決いたそうというのが、われわれのとつておるところでございまして、法律上の性質というものにつきましては、先ほども申し上げましたように、かかる契約を締結する必要のありました経済的実態と、それから書面あるいは文書の出ました形式、それからこれの会計法上、財政法上の処理の大要というものの三つの間に、正しい解決をいたさんといたしておるのが、われわれの現在とつておる態度であります。
  110. 竹村奈良一

    竹村委員 今大体いろいろ話し合われた話合いの経路と、そういう経路を経てそういう結論に達したというお答えを得ましたが、私たちの考え方では、それは政府部内のことでありますので、これは勝つても負けても同じだから、そういうことにしておこうじやないかということでありましよう。しかし国民一般としてはそれでは納得できない。公団厚生省の間では、先ほど言いましたように、どちらがどうなつてもいいのだということでしようが、しかし国民は少くとも厚生省責任をもつて解決し責任をもつて金を払う。もちろん初めの契約はそうなつておるけれども、同時に朝から聞いておりますと、代行機関でやらしたことは厚生省のかつてである。だからもちろん品物をこの者に渡してくれ、これを事務的にどういうふうにしてくれということを、公団が了承された。公団として責任のどちらかということは別問題としても、一番問題になりますのは、そういう契約をして、現在聞くところによりますと、二千四百万円余りがこの九月になつてもまだ何ともわからない。つまり品物が返るか返らないかわからぬというようなことでございますが、しかしはたして厚生省割当てたところで、そういう品物が返らないとか、あるいは紛失したやつはどこでどういうふうに紛失したとか、こういう点が明らかになつて、しかも責任を痛感されるならば別でありますけれども、それが明らかにされていないということになりますと、おそらく国民は納得しないと思うのでありますが、厚生省の方ではそういう点について、いつごろまでに明細がはつきりできる御予定ですか。たとえば紛失したものがどれだけであつて、こわれたものがどれだけであつて、そうしたわけだから代金が未收になつておるのがどれだけである、こういう点を明らかにいつごろできますか。この辺をお尋ねいたします。
  111. 高田浩運

    高田説明員 先ほど通産省の経理部長からお話がありましたように、債権債務関係の処理につきましては、荒川商事という会社が千八百万円、豊栄物産というものが三百三十万円、こういうことになつておりますが、この両者につきましては、債務を確認いたしまして、三月末までに支払うという契約ができております。目下その線に沿つて努力中のようでありますから、さように御承知願いたいと思います。  その次に大成通商という会社は、不幸にして破産をいたしておりまして、目下訟務委員会で訴訟の準備中でございますので、その辺の関係は今後の模様によらないとわかりません  その次に関東産業につきましては、売掛のうちに約二千台倉庫業者の詐欺にかかつたわけでありまして、その点の損害賠償につきましては、その当事者間に係争中でありまして、その関係がきまり次第、公団のに方に支払われるものと考えておる次第であります。大体以上のような次第であります。
  112. 竹村奈良一

    竹村委員 この問題についてははつざり了承はできませんが、一応この点はやめます。  もう一つ農林省大臣官房経済課長がおいでになつておりますが、農林省関係は一体どうなつているか。これをひとつ伺つておきたいと思います。
  113. 玉置康雄

    玉置説明員 農林省関係につきましては、二十四年四月のまだ自転車相当きゆうくつなころ、全国購買組合連合会、全国養蚕農業組合連合会、こういうところから非常な自転車の要望がありましたけれども、なかなか手に入らなかつたわけであります。たまたま金木商店というのが鉱工品貿易公団お話を持つて参りまして、あそこの自転車をもらえぱいいじやないかということで、農林省の方から通産省の方にお願いしまして二万五千台——二万五千台と言いましても部分品でございますけれども、それのわくをもらいました。しかし、もらいましたのはただわくだけでありまして、あと金木商店には全部その事務をやつてくれという通知を出し、通産省の方にも公団の方にも、事務は一切金木商店にやらせるからということで通知を出しまして、契約書も金木商店と鉱工品公団の間で結んでもらい、やつて来たわけであります。ところがその後、金木商店契約を結びましたあとで、協同組合の方で全購連の方も全養連の方ももういらないということになりまして、金木商店は非常な苦境に立つたわけでございます。そこで私ども非常に心配いたしまして、私も通産省の方と数回打合せをし、また農林省の官房長も通産省の経理部長の方にいろいろお願いし、実際の金の支払いにつきましては、金木商店支払い銀行である中央信託銀行にも農林省の官房長が行かれまして、いろいろ金の融通の面も頼み、昨年の十二月でございましたか、やつと金木商店公団の間でとりきめができたわけでございまして、その内容は全体の契約金額が最初に一億二千幾らの金であつたのでありますが、それを一応解除いたしまして、その違約金として千二百三十八万何がしの金を払う。それはすでに去年の十二月に払つております。それからちよつと申し遅れましたが、その前に五千数百万円はすでに払つているのであります。これは昨年払いまして、あと七千数百万円の債務が残つていたわけでありますが、それを解除いたしまして、但し違約金として千二百三十八万何がし払う。それから当初の金額で申しますと、あと七千五百万円ほどのものがまだ残つているわけでありますが、それは金木商店に再払下げしてもらいまして、その代金といたしまして二月末に千五百万円払う。これもすでに払つております。それから三月末に一千万円払う。こういうことで公団の方も通産省の方も了承していただいて、解決したわけでございます。
  114. 竹村奈良一

    竹村委員 金木商店があなたの方に、大体自転車公団にあるということを持ち込んで来た。従つて、それを持ち込んで来たから、それでは公団からこちらがわくをもらつたならばお前が一切やれ、こういうことに御契約になつた。こういうことですか。
  115. 玉置康雄

    玉置説明員 実は私昨年の八月から経済課長をやつておりまして、その当時のことを私直接やつておりませんのですが、前の課長からの引継ぎではそうなつております。
  116. 竹村奈良一

    竹村委員 そうすると金木商店を信用されたというのは、結局公団の出入り商人である、こういうことで信用されて、農林省はそれに代行をやらした、こういうふうに解釈していいですね。
  117. 玉置康雄

    玉置説明員 金木商店はその前から公団とあまり取引があつたとは聞いておりません。金木商店がその公団自転車の話をどこで知つて来たのか、私よくわかりません。何しろそこが話を持ち込んで来たものでありますから、農林省の方から通産省にお願いしてわくをとつて、そこにまかしたわけでございます。     〔奧村委員長代理退席、西村(直)委員長代理着席〕
  118. 竹村奈良一

    竹村委員 そういたしますと、金木商店に関する限りは、現在公団との仲で、損失を與えるようなことなく一切解決がついている、こういうふうに了承していいですか。
  119. 玉置康雄

    玉置説明員 そう了解しております。
  120. 深澤義守

    ○深澤委員 石井理部長にお伺いいたしますが、この自転車関係の官庁を通じての払下げのケースが二つあるわけです。一つは官庁自身が契約担当官になつて、下へ払い下げたものと、もう一つは、今農林省にありましたように、農林省、通産省のあつせんという形で業者に払い下げたという、二つのケースがあるわけですね。これは官庁がそういう形で下の関係団体自転車配給する場合において、公団としては一定の方針をきめてやるべきであつたと私は思うのですが、それが一つは官庁の中のある責任者担当官になる、一つは官庁は直接の契約の当事者にはならずに、あつせんをした、こういう形になるわけですが、その間に方針の統一はなかつたのですか。
  121. 石井由太郎

    石井説明員 その点につきましては、当時一貫した方針というものはなかつたように思われるのでございます。つまり官庁が表に出て参りまして契約の当事者になる。これはほんとうは予算の裏打ちがなければおかしなことでございますが、一般的に農林省の場合あるい通産省のごとく、民間の配給担当業者自身が契約の当事者となりまして、金を納めて品物引取つて参るということになるべきものであつたろうと考えております。
  122. 深澤義守

    ○深澤委員 どうもその辺にやはりこういう大きな赤字が生れて来る根本の原因があつたと思うのです。そこで農林省の玉置さんにお伺いしたいのでありますが、この金木商店の処置については、これは会計検査院もきびしく批難事項の上にあげておるわけですが、その後の整理の問題についても、われわれはどうも納得しがたいことがあるのであります。その中で特にお伺いしたいことは、契約残の七千三百五十万円というものが残つたわけですか、それを二千五百万円に実は整理しておられるわけです。その評価の場合に、部分品の評価をする場合において、農林省の申出価格というものが大きな力を持つておるように思われる。農林省はどういう見地から七千三百五十万円という契約残を二千五百万円に切下げたか。一体どういう根拠によつてそういう評価をされたのか。その点をお伺いしたい。
  123. 玉置康雄

    玉置説明員 ただいま二千五百万円とおつしやいましたが、確かに再払下げ金額は二千五百万円でございますが、そのほかに違約金が千二百万円あるわけでございます。その評価のことでございますが、私ども自転車のことは一向しろうとでわかりませんので、私どもがたよりにいたしましたのは自転車検査協会の評価をたよりにしたわけでございます。
  124. 深澤義守

    ○深澤委員 今あなたのおつしやる千二百万円というのは、これは契約を不履行したという違約金としてとつておるので、自転車代金ではないのです。その契約残の七千三百五十万円を二千五百万円に切下げたという問題について報告があるわけですが、もちろん自転車検査協会の評価もあつたようです。そのほかに農林省の申出価格、自転車業者及び自転車検査協会の評価というぐあいに、農林省も申出価格があり、自転車検査協会の評価もある。こういうものを総合して二千五百万円に切下げたということになつておるわけですが、あなたの今の御答弁によりますと、それは自転車検査協会の評価をそのままとつたのだということと、少し一致しないようですが、それはどうでもいいのです。どうでもいいのですが、先般石井理部長からわれわれ聞かされたのですが、こういう赤字が出て来たということは、官庁があつせんした商店、商社というものが非常に不確実である。ところがその内容の調査については一々公団関係ではできない。従つて各官庁があつせんして来れば、官庁のあつせんであるということを信じてやつたというところに、大きな問題を起しておる。赤字の原因もそこにある、こういうことを言われておるわけです。従つてどうも官庁の方々は、商社をあつせんしたけれども、しかし先ほどから問題になつておりますように、その代金支払い等についてはあまり責任を持たれずに、あつせんのときだけは強力にあつせんされる、こういうところに私は大きな問題があると思うのです。この金木商店のごときは、農林省はほとんどこれを代行会社としてやつておられまして、これは相当の大きな額が問題になつておるのであります。現在残つておりますところの收金並びに違約金については、責任をもつて回收できるという見込みがあるかどうか。金木商店の現在の実態はどういう状態になつておりますか。その点をお伺いしたい。
  125. 玉置康雄

    玉置説明員 最初のお話にありました、官庁が会社を使う場合に、不確実なものを使つたという話でありますが、その点につきましては、まことに申訳ないことと思つておわびする次第でございます。しかしながらこの二千五百万円につきましては、これは確実だと思いますのは、農林省の方からも話しまして、金木の取引銀行である中央信託銀行が相当力を入れておりますし、今まで払いました手形についても、全部裏書きのある手形でございますので、この支払いについては間違いないと思つております。
  126. 深澤義守

    ○深澤委員 それから本日おいでを願つております商社の方にお伺いしたいのでありますが、豊栄物産の常務取締役の方に対してお伺いいたします。お宅は厚生省関係の代行商社として自転車配給に御盡力を願つたようでありますが、その結果として現在三百三十五万円の未納金がございまして、この頂権を最近確認されたようでございます。その債権の問題については、もちろん御履行願えると思いますが、あなたのところばかりではなくて、全体の商社が、この自転車配給の問題については、経済上の大きな変化やいろいろなものにぶつかつて、未收金を出しておるわけであります。ところで一体この未收金の原因は、経済上の変化とかあるいは需要者引取らないとか、そういうようなところに原因がありますのか。あるいはまた末端需要者代金を払い込んだが、いろいろな経済上の事情で、中間の商社がそれを経営の資金に消費してしまつたとか、あるいは事業が非常に不振の状態で、その金をつぎ込んでしまつたとかいうような幾多の問題があると思うのでありますが、この際この赤字を生んだ原因がどこにあるかという問題を中心として、商社側の御意見を拝聽したいと思います。
  127. 長内正

    ○長内参考人 今の御質問にお答え申し上げます。私は豊栄物産のものでございますが、私の方でお引受いたしました厚生省関係自転車は八百六十九台でございます。これは厚生省全体で約一万五千台ほどでございますが、その一部でございます。そのうち私の方で全部地方へ発送いたしまして、大部分が返品になつております。その事情はこれが二十八インチの自転車であつて、内地の方が使うのに不向きな点があつたというのが第一、同時にこれは昭和二十四年の八月に配給されたものでありますけれども、その後非常に自転車界の事情がよくなりまして、日本人に向く二十六インチの自転車が自由に手に入るようになつた。この二つの原因が考えられます。それで私の方としましては、代金回收に努めるとともに、代金を支払う意思がなくて物を返すというものは、送り返せということを指令しました。その結果公団に対して現在までに第一回目に百七十五台、その次に百五十五台、合計三百三十台お返ししました。それから一部分は各需要者品物引取りまして、代金を送つて来ております。その台数は百八十一台であります。さらに残りのものにつきましては、現在なお代金あるいは現物によつて引取ることを交渉し、あるいは出張してこれを折衝いたしております。それによつて現物で公団の方へお引取りを願うか、あるいは品代金によつてこれをお返しするということになつております。その支払いの計画は先ほど厚生省の方から申し上げた通りでありまして、その間に地方の業者が代金を集めたけれども、それをこちらに払つて来ないというような事情は、私の方の会社に関してはございません。
  128. 深澤義守

    ○深澤委員 それから文部省の方にちよつとお伺いしたいのでありますが、文部省関係の未收金六百三十二万九千円という問題であります。これは先ほどの御答弁によりますと、小学校の教材として下の方へ流したのだ、こう言われておるわけですが、この未收金は小学校の教材でありますれば二十八インチ、二十七インチという問題はあまりないと思うのですが、この処理はどういうぐあいにつく見込みがございますか。その点をお伺いしたいと思います。
  129. 宮川孝夫

    宮川説明員 午前中に申し上げましたように、教育委員会を通じて、それから地方教育委員会代行業者でございますが、そういう面からもつぱら回收方法を講じておる次第でございます。われわれとしてはできるだけ早くこれを公団にお返ししたい、かように考えて努力いたしております。
  130. 深澤義守

    ○深澤委員 それは代金回收するという意味ですか。現品回收するという意味ですか。
  131. 宮川孝夫

    宮川説明員 現物を回收しましてお返しをするということになつております。現品でございます。
  132. 深澤義守

    ○深澤委員 そうしますとこれは各小学校の教材として、全部下の方の、小学校からずつとあると思うのですが、それを全部回收して返すということになるのですか。
  133. 宮川孝夫

    宮川説明員 学校によりましてクレーム関係とかそういう関係で返したい、いわぽ配給辞退、こういうような学校だけであります。現に教材として使つておるものを回收してという意味では、ございません。
  134. 西村直己

    ○西村(直)委員長代理 よろしゆうございますか。次の御質問もあるようですが……。では松尾トシ子君。
  135. 松尾トシ子

    ○松尾委員 通産省の経理部長さんに一点だけお伺いいたしたいと思います。今自転車で、非常に長い時間問題になりましたけれども、同じ乗物でもずつと高価な自動車をお取扱いになつたことがありますかどうか。その点お伺いしたいと思います。
  136. 石井由太郎

    石井説明員 自動車と申しますと、公団で扱いました自動車は、占領軍から払下げを受けました自動車を各所に配給いたしたものが約二万台、これはすでに配給を完了しております。それから緯国その他へ輸出の分として扱つたものが若干ございますが、政府貿易時代には、そう大きな量ではなかつたと思います。
  137. 松尾トシ子

    ○松尾委員 どのくらいでありますか。
  138. 石井由太郎

    石井説明員 ちよつと数量の点は記憶にございませんが、そう多くの数量を輸出したことはないわけでございます。
  139. 松尾トシ子

    ○松尾委員 そういたしますと進駐軍の払下げの二万台分は、どのくらいにお払下げになつたのでしようか。それからまた輸出用というのは、台数はわからなくても、金額がもしおわかりだつたらお伺いしたいと思います。
  140. 石井由太郎

    石井説明員 進駐軍から払下げになりました自動車と申しますのは、都内でよくお見かけの三本の白線を引きました自動車でありますが、あれは国家地方警察でありますとか、あるいは自治警察、その他警察方面あるいは運輸省方面に配給いたしたのでございますが、払下げを受けました時期が昭和二十一年の二月から二十三年の暮れごろまでの間でございまして、当時機械類は大体五十円くらいのレートで、払下げをいたしておつたわけでございます。大体一台が千二百ドル見当についておりまして、二トン半のトラック一台が大体六万円ないし七万円くらいの価格であつたと記憶いたしております。もつともこの価格は物価庁、運輸省等と連絡いたしまして決定された価格でございます。
  141. 松尾トシ子

    ○松尾委員 官庁とか警察ばかりでなく、これらの二万台の中で民間にお払下げになつたことがあるのですか。     〔西村(直)委員長代理退席、奧村委員長代理着席〕
  142. 石井由太郎

    石井説明員 大部分が地方自治団体あるいは国家警察、そういつた方面でございますが、一部民間の運送業者、あるいは事業用に、トラックを使用いたしますものにも配給いたしたのがございます。なお価格の点につきまして先ほど六、七万円と申し上げましたが、これは二トン半積みのトラツクでありまして、価格も一、二回かわつております。つまり初めて払下げを受けました当時は、三万円程度の価格がしておつたのでありますが、その後改訂いたしまして七万五千円程度まで、二トン半のトラックを上げておるのでございます。なお輸出のトラックがどれくらいしたかという点は、ただいまの記憶では三十万円見当、台数にいたしましては数両のものを韓国等に輸出しておる。この程度の実績でございます。
  143. 松尾トシ子

    ○松尾委員 決済はもう全部ついているのですか。
  144. 石井由太郎

    石井説明員 大体の決済はついております。但し六大都市の交通局が金払いが悪くて、目下催促をいたしておる最中でございますが、主たる原因は、先ほど申し上げましたが、当初三万円程度のレートで換算いたしましたものを、七万円程度に値段を上げて行きましたので、非常に苦情を言つておるというので、現在交渉中でございます。
  145. 松尾トシ子

    ○松尾委員 交渉しておとりになるのでしようけれども、もしどうしてもとれないときには値引きでもするのですか。
  146. 石井由太郎

    石井説明員 現在のところ、これは文部省、農林省に対する自転車と事かわりまして、それぞれの県庁等で、あるいは六大都市の市役所の交通局等で、予算を要求いたしてもらつておるのでございまして、これがなかなかとれません大きな理由は、今になつてそんなに値上げをされても、実は予算がないからだというような返答が多いのでございますが、これはどこの交通局にいたしましても、あるいはこれをバスに改造して使つておりますとか、あるいは清掃車に使つておるとか、生産的に使われておるわけでありまして、しかもその値段の関係も決して無理な値段ではないのでございますから、七万五千円という値段は納得願えるところだと考えておりますので、値引きといつたようなことは考えておりません。なお従来神戸市、名古屋市といつたようなところが、支払いについて異議を申し立てておつたのですが、来年度予算か成立いたしておるそうでありまして、年度がかわりましたら払つてもらえる、こういうことに相なつております。
  147. 松尾トシ子

    ○松尾委員 さつきほかのお話をしておつたので、聞き漏らしたのかもしれませんけれども、大体未收というのは、少しとおつしやるけれども、どのくらいになつておるのでしようか。
  148. 石井由太郎

    石井説明員 払下げトラックの取扱いは、二十五年の三月まで公団において代金取立ての業務をしておつたのでありますが、二十五年の四月から通商業務局の方で直接取立てをいたしておるわけでございますので、はつきりいたしました数字を記憶いたしておらぬのでございますが、神戸、名古屋、東京、横浜、大阪等の六大都市の交通局関係だけが、問題に相なつておるわけでございます。
  149. 松尾トシ子

    ○松尾委員 お話ちよつと何になりますけれども、結局のところ各省べお払下げになつたときのことは、まあ大体常識でわかるのですけれども、そうした民間の公共団体へお払下げになるとか、あるいはその他の民間の方々払下げになられたときの手続ですね。その方法はどういうふうにおやりになつたのですか。
  150. 石井由太郎

    石井説明員 各官庁の直接の需要ないしは警察、地方自治団体といつたようなものは、当時それぞれの官庁を通じて需要を調査して、その先と公団契約して配給いたしたわけでございます。それから民間業者に対しましては、所管官庁でございました運輸省に各業者が申請いたしまして、その台数の割当を受け、その劇当てられました台数に従いまして、それぞれの業者に払下げいたしております。
  151. 松尾トシ子

    ○松尾委員 進駐軍の方からこれをもらいましたときには、有料だつたですか。無料だつたですか。二万台の分
  152. 石井由太郎

    石井説明員 本件につきましては、実は当時アメリカ合衆国の方に、フオリン・リクイデーシヨン・コミテイ、対外債務清算委員会というのがございまして、各占領軍が、日本のみならず、西独等おきまして、軍の不要品あるいは不使用品を払い下げます場合には、国務省の所管としてこれを所管しておつたわけでございます。この価格は当時政府が受取りますときは、有償であるか無償であるか明らかにされなかつたのでございますが、四十八年の九月になりまして、これはすべて有償である。有償と申します意味は、その対価額を日本政府が国務省の在外事務所、在日事務所とかあるいは教育施設とかいうような施設に必要といたしまする円を、それぞれの施設を買取りあるいは設営をいたしまして、これを償還するという契約が外交局長との間に締結されまして、その形で現在債務を償還いたしておるわけでございます。従いましてお尋ねの無償であるかということになりますと、これは無償ではないわけであります。
  153. 松尾トシ子

    ○松尾委員 そうすると大体その債務を支払うという方はわかりましたけれども、有償の場合に、一台当り七万五千円で払い下げましたこの分ですが、買入れはどのくらいになるのでしようか。
  154. 石井由太郎

    石井説明員 当時は為替の一体レートが施行前でありました。のみならず輸入品は、一般に五十円ないし百円というレートを適用いたしておつたのでございます。従いまして払下げをいたしますときには、それらの状況を勘案いたしまして、国内におけるトラックのマル公価格等もにらみ合せてきめたのでございまして、大体五十円という程度のレートに相なつておるわけでございます。それによりまして、日本政府が負いました債務総額は、千四百万ドルということに相なつております。それの收入金を精算いたしてみますれば、円といたしましては十億見当の円に相なつたと思うのであります。但しこれの償還は一体レート施行後に行われます関係上、その為替差損と申しますか為替差額というものは、これは国の債務として残つて参る、こういうことに相なつております。  なお申し加えますが、それらの債務を償還いたしますため、本年度は約十億八千万円の支出を貿易特別会計においていたしております。また来年度も同様約三百万ドル見当を支出いたすことを、通産省予算中に掲記いたしまして、賠償及び償還金として御承認を願つておるわけでございます。
  155. 松尾トシ子

    ○松尾委員 来年度も支出の額をきめておりますし、一体ここ二、三年のうちに、その債務の決済がつくのでしようか。
  156. 石井由太郎

    石井説明員 事務的に申し上げますと、貿易特別会計存続中に返還いたしましたもの、すでに返しておりますものが本日八億余り払いましたので、十億八千万円に相なるわけでございますが、来年度はさらに十億八千万円、と申しますのは三百万ドルずつということに相なるわけでございます。二十七年度以降がいかがになりますかは、あるいは講和條約の條項その他によつてきまることかと考えられますが、事務的に申し上げますれば、日本政府が千四百万ドルの対外債務を明らかに負うておるのでございまして、これが円の形あるいは施設の形で返されるまでは、国の債務として残ることになるかと考えられます。     —————————————
  157. 奧村又十郎

    奧村委員長代理 次に農林漁業資金融通特別会計法案外国為替資金特別会計法案緊要物資輸入基金特別会計法案農業共済再保險特別会計法の一部を改正する法律案、右四法案を一括議題といたしまして質疑を継続いたします。深澤義守君。
  158. 深澤義守

    ○深澤委員 緊要物資輸入基金特別会計の問題につきまして、通産大臣にお伺いしたいのでありますが、さきに政府は中共貿易を禁止いたしまして、鉄鉱石あるいは粘結炭等の輸入あるいは工業塩等の輸入が、はなはだ困難な状況に遭遇いたしまして、この物資の輸入については御努力をされているようであります。最近において通産省も新たなる方針を発表せられまして、特にこの緊要物資の輸入に努力せられるということをわれわれは承つております。大体この緊要物資として特に重点を入れて輸入すべき物資は、どういうものを決定されておるか。その点をひとつお伺いしたいのであります。
  159. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 中共貿易のことに関しましては、すでにたびたびお答えしている通りでございます。緊要物資輸入基金特別会計は、これは特需がいろいろと来ておりまして、それで在来の手持ちのものがそういうものに使われておりまするので、これを補うと申しますか、そういうもので日本にないものがあります。そういうものを輸入するために、民間輸入でなかなかできないので、政府みずから輸入に当ることが最もいいことだと考えましたので、緊要物資輸入基金特別会計をお願いしている次第でございます。さよう御了承願います。
  160. 深澤義守

    ○深澤委員 どうも私の質問に対して明確にお答えが願えないのでありますが、今通産大臣のお言葉によりますと、特需等の面に振り向けられる物資が相当必要であるということでございます。最近においていわゆる新特需という言葉すら出て来ているのであります。これは新聞の伝えるところによりますと、最近における国際情勢のために、日本一つの軍需工場的な役割を果されるという條件があるようであります。そのために物資を緊急に輸入しなければならないという状態ではないかとわれわれは考えます。ところが、そうなりますと、不生産的な、軍需的なものに物資を輸入する。そうすると、日本の平和的な産業については、この緊急輸入ということとは無関係の問題になつて来るのではないか、こういうぐあいにわれわれは考えるのであります。この新特需のために重点的に物資を輸入せられる、これがこの緊要物資輸入の目的であるというぐあいに考えられるのでありますが、この点はどうでございましようか。
  161. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 新特需ということをよく使われておりますけれども、私は新という言葉をつけ加えられ、いわゆる新しく起つた特需というような感じを伝えることは当らないのじやないか。在来の特需と同じものとお考え願いたいと私は思います。
  162. 深澤義守

    ○深澤委員 そうすると、在来の特需というものは、つまり朝鮮動乱を契機とする作戰的な面に使われる需要、こういうことが従来の特需であつたのであります。もちろんその内容的な問題については、新特需も私は同じだろうと思います。その点は通産大臣と私は意見が一致して来ると思います。ただ問題はこの緊要物資輸入が日本の国家財政の中で、これを国民の税金によつて負担されて緊要物資を輸入せられ、それが国民全体の幸福と日本産業の発展のために役立ち、さらに日本の平和的な発展のために役立つならいいけれども、従来の動乱を目当にする特需ということになりますれば、これは結局軍需工業であつて国民の生活と今後の平和的な日本の発展ということとは、逆の方向に行くのであります。こういうものが、あたかも日本の産業の再建と復興のために、この緊要物資を輸入するのであるというぐあいに、この法案ができ上つておるのでありますが、実際に行うことになりますると、国民は非常に不幸に陷るということをわれわれは感ずるのであります。そこで私が先ほどから申し上げましたように、一体この緊要物資というのはどういうものを重点的に輸入せられるのか。その品目を具体的にお示し願いたい。こういうことをひとつお願いしておるのであります。
  163. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 わが国が国連協力ということは、もはや御存じのことかと思います。そのことにつきまして、あなた方と意見があるいは違うかもしれませんが、私はその国連協力こそやがて来るべき幸福の第一歩じやないか、こう考えるのであります。そういたしまして、緊要物資特別会計で購入したいと思いますのは、在来手持ちし来つたものがたとえて申しますると、ニツケルのごとき、そういう日本に得られないもの、こういうものがその方向に使われておつて、まだ補充ができておりません。そういうことのために、国家が輸入することが——これは輸入してただ業者に與えるのではないのでありまして、やはり中に立つて物を入れてやる、そのことが特需のために最も都合がいい、輸入ができやすい、こういう立場からやつておるのでありまして、物品は一々ということは、今私も全部覚えておりませんが、一例として申し上げれば、ニツケルのようなものであります。
  164. 深澤義守

    ○深澤委員 まあニツケルという程度のお記憶しかないということになると、どうもこの緊要物資輸入基金特別会計という大きな構想をもつて国会に提出されて、論議されるその内容としては、われわれは安心して信ずることができないのであります。そこで私がこれと関連いたしましてお伺いいたしたいことは、最近においていわゆる日米協力態勢ということが、新聞で盛んに言われているのであります。この日米協力態勢というものは、やはり直接的には通産省も敏感にこれを感じられているやに承わつております。新聞に通産大臣が発表せられた新方針も、特にそれを十分に盛り込んで考えられていると思うのでありますが、今後の貿易関係に重大なる関係を持つておると思いますので、その点の御構想をひとつ伺いたいと思います。
  165. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 ともしますと、日米経済協力というものを軍事的に考える向きが多々あるように考えます。しかし私はこれをさように考えることはとらざるものでございます。要するにわが国の貧弱なる資源、貧弱なる財政におきましては、米国の援助と協力を求めることが私は適当なりと考えます。ただ、今申し上げましたように、日米経済協力というと何だか戰争を加味したように言われがちでありますので、私はこの点に関しましてははなはだ遺憾に感ずるのであります。通産省としてはそういうことでなしにやつて行くことが適当なりと考えます。しかしそういうことに対してどういうことが行われつつあるか、どういうことを考えておるかということになりますと、私現在においてはまだそこまでは深く考えていないし、また構想も描いていないのでございます。さよう御了承願います。
  166. 深澤義守

    ○深澤委員 通産大臣の主観的な御意図がどうであろうとも、現在アメリカが朝鮮において主として戰争をやつておることも間違いない事実であります。それに対する特需を日本が引受けていることも事実であります。さらに最近においてわれわれが新聞で見るところによりますと、仏印の方面とかあるいは東南アジアの方面に対しても、軍需に相当するトラツクあるいは双眼鏡、そういうものをもいわゆる新特需の形において日本が引受けて、それを送り出さなければならぬというような問題も出て来ているわけであります。こういうような立場も、もちろんわれわれは主観的にはどう考えられておろうとも、輸入されて来る品物が軍需的な方面にどしどし使われて行く危險性が多分にあるのであります。もちろん平和的な日本国民全体の幸福を高めるための産業の発展のために輸入し、あるいは協力を得るということに対しては、われわれは決して反対しないのでありますが、事志と違つてすべてが戰争の方向に協力させられておるというのが今日の現実大である。特に私がお伺いいたしたいのは、トラツクあるいは双眼鏡あるいは電気関係品物日本責任をもつて製造し、そうしてそれを東南アジアの戰線の方面に送り出さなくちやならぬというような、こういうことが義務づけられているように聞いているのでありますが、そういう点はどうでありますか。
  167. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 さようなことは義務づけられていないのでありますから、さように御了承願います。
  168. 深澤義守

    ○深澤委員 なお私は通産大臣にお伺いいたしたいのでありますが、先般の新聞によりますと旧呉海軍工廠のドックが、アメリカの某会社に売却せられるということが決定せられたそうであります。日本の財産が外国の会社に売却されることを日本政府自体が決定し、それを実行しているやに新聞は報じているのでありますが、それは事実でありますか。その点をひとつお伺いしたいと思います。
  169. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 その呉ドックのことにつきましては、実は私の主管ではないので、私からお答えすることは避けたいと思います。但し私が前社長をしておりました播磨造船は、その一部を拜借しておりましたから、そのことについて聞き及んだことはありまするけれども最後的の決定は私まだ聞いていないのであります。さよう御了承願います。
  170. 深澤義守

    ○深澤委員 これはあなたの御関係になつていますところの播磨造船所の関係もありますので、私は多分あなたが番御存じじやないかと思いましてお伺いしたのでありますが、それを御存じないということについては、私どうも政府のやつておることに対して疑問が解けないわけであります。これはまたの機会にお伺いしようと思うのであります。そこでなお私のお伺いしたいことは、日本の外国貿易が輸出超過のために、非常に円資金の不足を来しておるというこの問題が、インヴエントリー・フアイナンス五百億という形において処理されようとしているのであります。大体今後の貿易関係において、より以上円資金の不足を来すような見通しを持つておる者と、非常に楽観的な見解を持つている人があるのでありますが、その点通産大臣はどういうぐあいにお考えになつておりますか。お伺いいたします。
  171. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 輸出と輸入の問題であります。私は何といたしましても輸出をある程度拡張いたしませんと、輸入用の外貨が得られない。それで国内の操作のことにつきましては、多少の異論もあるでありましようけれども、私がただいま申し上げましたわが国に最も必要なる食糧のごときも、またその他のわが国に産出しないところの原料品が多々あるのでありますから、それらのものを輸入して、そうして加工して輸出をしなければ、輸入の資金も得られないじやないか。よく皆さんが質問されますが、輸入が優先か、輸出が優先かというお話を承るのであります。私は両建で行きたいと思います。さよう御了承願います。
  172. 深澤義守

    ○深澤委員 それはもちろん両建でうまく行けばいいのでありますが、それがうまく行かなかつたところに問題があるわけです。輸出は非常にうまく行つたが、輸入ができないというのが今日の現状でありまして、私は輸入の見込みについてお伺いしたいのであります。輸出の方は非常に安い賃金で非常に安い価格でつくるのでありますから、歳出の方はいわゆる飢餓輸出でどんどん出て行きます。ところが輸入の方が非常な困難に遭遇しておるようであります。ところが輸入は最近における外国の軍備拡張に基きまして、重要資材の割当という形になつて参りまして、わが国はその割当の圏外にあるやにわれわれは聞いております。従つて高い品物をあさつて買わなければならぬという、困難な状況に遭遇しておるように聞いておるのであります。また反面はいわゆる日米経済協力の形において、もしも軍需的な協力をするならば、幾らでも資材は入れてやるというような形も出ておるようでありますが、一体通産大臣は輸入に対してどういう見通しをお持ちになつておりますか。その点をお伺いいたします。
  173. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 輸入も買付も、最近におきましては相当の量が買いつけ得るようになつておるのでございます。但し輸送の面で非常に困難をしておりますので、これの打開に政府にせつかく努力中であります。これが打開いたしましたならば、輸入量も相当に入り得る、そういうふうに考えておるのでございます。
  174. 深澤義守

    ○深澤委員 船舶の不足というものが打開し得るならば、輸入が入つて来るという仮定の上に立つた御方針だと、われわれはどうも見当がつかないのでありまして、しからば船舶は確実にこの輸入をカバーすることのできるほど準備ができるのかどうか。つまり船舶の見通しについては、どういう方針を持つておられるのか。その点をひとつ……。
  175. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 仮定の上に立つてとおつしやいますけれども、物を自分の手に握るまでは、やはり仮定といえば仮定かと思います。それゆえにわれわれは努力をするのであります。  船のことにつきましては、せつかく用船であるとか買船であるとかいうものを、引合いもでき、またある程度の交渉も進んでおるのであります。また新造もあるいは修繕も改造も逐次進みつつありますので、困難のうちにも、ある程度の打開はできはせぬかと考えております。
  176. 深澤義守

    ○深澤委員 そういう船舶の輸入の困難な場合において、呉のドックを外国の会社へ売り飛ばしてしまつて、そうして外国の輸送船か何かをそこでもつて建造するというふうなことは、はなはだ私は矛盾したやり方ではないかと思うわけです。この点は通産大臣は御存じないということでございますから、これは御答弁を求めてもしかたがないのでありますが、もしもそういう事実がありとするならば、これは重大なる御反省を私は願いたいと思う。  なお私は一言通産大臣にお伺いいたしたいのでありますが、食糧の輸入の問題であります。この問題の見通しはどういう見通しでございますか。その点をひとつ……。
  177. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 食糧の問題に対しては、これは実は食糧庁がやつておられますので、私から御答弁申し上げることは、私も深くは存じませんので、差控えたいと思います。
  178. 竹村奈良一

    竹村委員 深澤君の質問に対する答弁の中で、国連協力は当然のことだ、従つて国連に協力するために、いわゆる特需といわれているところの原料を輸入する、こういうようにおつしやいましたが、そこで私はひとつ大臣に、簡單でございますが、お聞きしておきたいと思う。国連に協力するということは、日本の国が平和的に、ポツダム宣言に従つた平和的な国家に再建する。これがほんとうだと思いますが、それをはずしても、つまり一方におけるところの戰争の資材を日本においてつくることも国連協力だ、こういうようにおつしやられるのか、どうですか。この点を伺いたい。
  179. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 国連協力は、書いてある通りに国連の要望に協力することであります。さように御了承願います。
  180. 竹村奈良一

    竹村委員 そうすると、最近国連協力の名のもとに、日本におきましては、いろいろ特需物資の名で戰争物資が製造されている。従つてそれゆえにいろいろ国民の生活が圧迫されている。これは通産大臣御承知だろうと思う。たとえば今の物価の値上りは、朝鮮事変の影響を受けて値が上つている。これははつきりしているわけです。そこで、そのことは国民の生活を低下させていることでございますが、それでもわれわれはそういう方面に協力しなければならないのか。この点をお聞きしたい。
  181. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 あなた方のお話を承りますと、よく兵器をつくつているというようなことを言われるのですが、私は実は多少技術を学んだ者でありますが、修理ということと新造ということは、これはわけてお考え願いたい。部分品をつくるということと全体をつくるということは、これも区別を願いたいと思います。現在日本において戰車の一つでもつくり得る技術屋ありやいなや。設計者ありやいなや。その他大砲のごときものも、そう簡單にできるものじやないのでありますから、私は現在において兵器をつくつているものとは考え得ないのでございます。またそういうことは聞いてないのです。あるいは多少の修理はしているかもしれないと思います。それから特需をやるから非常に国民を圧迫しているとおつしやるけれども、特需は特需としてドルをかせいでいるのでありますから、この点はよく御了承願いたいと思います。
  182. 竹村奈良一

    竹村委員 私は何も兵器をつくつているということは、兵器そのものをつくつているというわけじやない。兵器の部分品をつくつておることも、これもまた兵器なんです。大砲をつくり戰車をつくる前に、その部分品をつくることも、私は兵器だと考えておる。これは議論になりますから、議論はやめておきましよう。しかしここでもう一つお聞きしたいのは、大体現在のこういういろいろな特需によるところの日本の生活物資の高騰に対して、一体この緊急物資を輸入するということで、はたして生活物資、消費物資というもののこれ以上の高騰を押えるようなことになるのかどうか。そういうためにこういう重要物資を輸入されるのか。あるいはそうでなしに、そういうものは別だ、これは輸出するためにそういう物資を輸入する、その原料を輸入する、こういうふうに考えておられるのか。その点はどうですか。
  183. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 特需をやつたために物価が上つた、こういうような観察は私はなさないものであります。世界情勢が物価高を招来しておる、こういうふうに承知しておるのであります。  あとの御質問国民の生活を圧迫しても特需をやるかというようなお話、むしろ特需をやつた方が仕事もふえまして、そうしてドル資金も入るのでありますから、それによつて必要な物資も輸入ができる。物が入つて来ましたならば、私は物価の上騰はある程度これによつて抑制ができはせぬか。ないときは天井なしに上つて行きますけれども、物資が豊富になれば、ある程度抑制できるのではないか。私は経済学は知りませんけれども、そういうふうに考えるのであります。だから特需によつて得たところの金を有効に使いさえすれば、何も私は国民生活を脅威するものとは考えないのでございますが、その点は私の考えでございます。
  184. 竹村奈良一

    竹村委員 それではもう一つお伺いいたしますが、いろいろな重要物資を輸入して参る。この輸入した重要物資で、つまり国内の生活物資に充てるのでなしに、いろいろな、たとえばさつさ兵器と申しましたが、それに類するような部分品をつくつて輸出してしまう。そうしてもちろんドルは獲得できますが、しかし重要物資として輸入いたしました原料で、国民生活に必要なものをつくるのでなしに、全部いろいろな形でほかのものをつくつて海外へ出した場合において、ドルはできても生活物資は日本には何も残らない。それではたして国民生活が安定して、そうして日常生活物資が値下りしますか。その点をお伺いしたい。これは議論になりますが、そこでもう一つ聞きたいことは、今後いろいろ物資を輸入して、そうして国民の生活に必要なものをおつくりになるのか。そうでなしに、外国へ出すものをおつくりになるのか。これをお聞きしたい。
  185. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 私は特需をやつてとりましたドルが、必ずしも生活物資には使わないということは考えておりません。やはりそのドルでも、日本に必要な生活物資を輸入すべきかてとなると思います。それからその輸入したところのものを日本に使わぬで、外国に出すかというお話であります。外国が必要なりといたしましたならば、なるたけ輸出をしたいと思うのであります。そうしてその輸出によつて、また再びドルをかせぎますならば、それによつて必要なるところの生活物資はいつでも入れ得るのだが、持たない金で輸入はでき得ないと思います。私はなるたけ外くの外貨を獲得することに努力したいと思います。
  186. 竹村奈良一

    竹村委員 それでは実例を申し上げて御答弁を願いたいのでございます。たとえば日本の現在の紡績業は、綿布その他織物にしても、諸外国に対して厖大な量が輸出されておるのであります。これは向うからいろいろ原綿その他のものを輸入して、それを生産して向うへ出しておるのでございます。ところが輸出が増大する反面に、国内におけるところの衣料品の値上りというものは、世間周知の事実であります。こういうような関係は一体どうですか。外国へどんどん出して、国内の必要品をつくるのだと言つておられますが、実は必要品をもさいて輸出されておる。そして国内におけるところのほんとうの必要品は値上りをしておる。これに対して通産大臣は一体どういう手を打つて国民生活の安定を期するのか。なぜ国内的なものをもう少しお出しにならないのか。この点はどうですか。
  187. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 綿布のことで、外国にたくさん出して日本には少いということでありますが、しかしながら国家再建の途上にありますならば、国民の多少の犠牲はやむを得ないのじやないか。そのために綿布をたくさん輸出いたしまして、多額の外貨を得ることが必要じやないか。日本にいるからといつて、すべてを満足させて、しかる後に残つたものということでは——私は日本の再建途上にある今日においては、多少日本国民も忍んでもらわなければならぬ部分があるのではなかろうかと思うのであります。しかしながらだんだんその再建の途上も、ある程度再建に近づきつつある今日でありますから、われわれといたしましては、綿花のごときは、来るべき時期においてはある程度増額をいたしまして、国民の需要を満たすことに努力いたしておるのでございます。さよう御承知を願います。
  188. 宮腰喜助

    宮腰委員 通産大臣に通商問題の一端をちよつと伺つておきたいのでありますが、私は経済上の機会均等並びに天然資源の機会均等が得られないというような場合に、初めて世界戰争が起る。第一次大戰、第二次大戰も、結局はそこにあるのではないかと思うのです。そういう意味合いで、今度の関税定率法の改正の内容を見てみますと、非常に今までのわれわれの考えていることと違つているような、輸入関税の高率なものが相当あるのでありまして、たとえば染料なんかも二五%、重油が一〇%、こういうものが非常に多いようであります。これは今後の国際條約、いわゆる講和條約の締結の條件として、われわれ日本は幾らか讓歩するから、君の方も引いてくれというようなかけ引の上に利用されることも想像されますが、このままで行けば、日本の関税定率法改正について英米方面からも苦情が出て参ります。こういう際に日本がこういうように高率な税をかけた場合には、あるいは保護関税という名のもとに、将来の貿易に非常な悪影響を及ぼすのではないかと考えるのでありまして、私どもの党の政策委員会でも、あなた方の自由党の政策委員会でも、これは悩みの種になつている問題だと思います。従つてこういうような保護関税的な税をやつた場合には、必ず報復される。そうして現在紡績事業が非常に順調に進んでおりますが、このまま行けば、おそらく綿布に対する外国の保護関税も必ずややつて来るのではないか。従つて現に英国あたりのブロック経済的な考え方——アメリカの自由貿易の考え方、こういうような問題から関連して、幾らか楽観はしておりますが、しかし必ずや英国方面の手で保護関税的に報復的な税をかけられ、そうして綿布や綿糸の輸出に困難な事態を招来するかも上れない。現在ではアメリカあたりでも、日本の紡績事業の発展から考えて、綿花の割当を制限しようという空気もあるようであります。従つて私は国際上のかけ引としては、通商條約上こういう税率を考える必要はあるかもしれませんが、他方将来の第三次世界大戰の原因となるような関税の仕方は、私はあまり妥当じやないと考えられます。従つて私は大蔵当局にも、この委員会でも再三これを質問して参つたのでありますが、通産大臣としては、こういう問題にはどういうお考えでありますか。おそらく大臣もこの問題で悩んでおられるのじやないかと思います。どうぞひとつお答え願いたい。
  189. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 関税問題に関しましては、これは国内のことも考え、またただいまお話のようなことも考え合せてきめるということは、お話の通りであります。しかしながら現在関税の率として上つております程度のものは、やむを得ないじやないか。けだしこれに対して特別の扱いをしなければならぬものが出て来はせぬかというようなことで、せつかく討議中でございます。まだ決定はいたしておりませんので、決定的な御返答はいたしかねます。お話の通り重大なる問題でありますから、よく考究いたしたいと考えております。
  190. 宮腰喜助

    宮腰委員 大臣の私見的なお考えでけつこうであります。この二五%とか一〇%とか一五%というものは、保護関税と同様だと思います。これに対して英国あたりの今のプロツク貿易制度という考え方から行けば、必ず報復的な手段があるのじやないかと思います。この点を大臣としての資格でなく、個人としてのお考えで、いかがでございますか。こういうものはそういう事態を招来するかもしないかということを、今から見通しをつけておかなければ、日本の貿易は将来非常に危險な状態に入つて行くと考えます。これは横尾通産大臣としての資格でなく、私見としてでも、この点ちよつと触れていただきたいと思います。
  191. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 私の私見というお話でありますが、私は現在の案になつておりまするものが、一応あれくらいな関税はやむを得ないのじやなかろうか。先刻申した通りであります。これに相手国が復讎的に出はせぬかというようなお話でありますが、私はそれを向うが無関心とは考えませんけれども、そこまで向うがまた来るというようなことまでは行かぬのではなかろうか。そのくらいならば承諾してもらえるのではなかろうか。私は個人的にはさように考えております。
  192. 宮腰喜助

    宮腰委員 この関税の問題については大蔵省でよく考えて、いろいろな税の高低を研究され、また案として持つて来られますが、これは本来ならば、通産省手元において、こういうものは国際通商上どの程度にすればいいかということを、大いに検討する必要があるのじやないか。これは通商上の関係ばかりでなく、国内的な問題にも大きな影響がありまして、たとえばパルプの五%輸入関税なんか考えてみる場合に、これは東北、北海道を通じて、化学繊維協会あたりのあつせんで厖大な数量の買込みがあります。もしもこういうめちやめちや買込みで伐採して行くと、治山治水上大きな問題じやないかと思います。そういう意味で、ことに私の方の秋田県では、パルプの製造会社がまた建てられるという評判があります。現在地方に対する平衡交付金ですら思うようにくれないというこの際、濫伐して治山、治水上大きな弊害を生じて、土地改良ができない、あるいは公共事業が思うようにできない、こうなつた場合に、私は地方農村に対する対策としてもマイナスではないかと考えておる。そういう意味合でも、濫伐にするような制度を阻止する上において、パルプ原料五%の減税、あるいは重油の問題にしてもしかりでありますから、この際大臣においても十分御検討を願いたいと思います。
  193. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 今の関税の問題で、パルプの問題を取上げられて一例としてお話があつたのでありますが、パルプの資源の濫伐というようなことについては、せつかく農林省でいろいろと立案もされ、またにそれに対しましては通産省としてもいろいろとお願いもしておるのであります。これも御心配になるようなことまでは行かぬのではなかろうか、御心配になるようなことに行つてはいかぬのではないか、こう考えるのであります。それにはすべてパルプ原料のことについては考究をされつつあるのでありますから、さよう御承知願います。
  194. 西村直己

    ○西村(直)委員 外国為替資金特別会計法案緊要物資輸入基金特別会計法案農業共済再保險特別会計法の一部を改正する法律案に関しましては、大体論議も盡されましたので、質疑を打切られんことの動議を提出いたします。
  195. 奧村又十郎

    奧村委員長代理 ただいまの西村君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  196. 奧村又十郎

    奧村委員長代理 御異議ないものと認めます。よつて質疑を打切るに決しました。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後四時四十三分散会