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1951-03-07 第10回国会 衆議院 大蔵委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月七日(水曜日)     午前十時五十四分開議  出席委員    委員長 夏堀源三郎君    理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君       佐久間 徹君    島村 一郎君       清水 逸平君    苫米地英俊君       三宅 則義君    水田三喜男君       宮幡  靖君    内藤 友明君       宮腰 喜助君    勝間田清一君       竹村奈良一君    深澤 義守君  出席政府委員         大蔵政務次官  西川甚五郎君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      佐藤 一郎君         大蔵事務官         (管財局長)  吉田 晴二君         大蔵事務官         (銀行局長)  舟山 正吉君         農林事務官         (大臣官房長) 塩見友之助君         農林事務官         (大臣官房農林         金融課長)   富谷 彰介君         通商産業事務官         (大臣官房会計         課長)     伊藤 繁樹君  委員外出席者         大蔵事務官         (管財局国有財         産第一課長)  松永  勇君         大蔵事務官長  谷井 輝夫君         農林事務官   遠藤彌豊治君         通商産業事務官         (通商局物資調         整課長)    榊原 二郎君         農林中央金庫理         事       山下 利義君         農林中央金庫総         務部長     杉野精一郎君         農林中央金庫経         理部長     沼部 園春君         專 門 員   椎木 文也君         專 門 員   黒田 久太君     ————————————— 三月六日  外国為替資金特別会計法案内閣提出第八一  号)  同日姫路税務署庁舎新築請願堀川恭平君紹  介)(第九二八号)  彫刻に対する課税免除請願前田正男君外三  名紹介)(第九二九号)  たばこ民営反対請願外一件(中村寅太君紹  介)(第九三〇号)  果実エツセンスに対する物品税撤廃請願(上  林與市郎紹介)(第九三一号)  積雪地方の減税に関する請願三宅正一君紹  介)(第九三二号)  旧漁業権に対する補償金免税に関する請願(  南好雄紹介)(第九三七号)  国家公務員等に対する退職手当臨時措置に関  する法律の一部改正に関する請願松澤兼人君  紹介)(第九五八号)  たばこ試験場及び肥料工場設置に関する請願(  圓谷光衞紹介)(第一〇〇四号)  朝倉病院医療施設に対する免税等請願(大  石ヨシエ紹介)(第一〇〇五号)  未復員者給與法適用範囲拡大に関する請願(  大石ヨシエ紹介)(第一〇〇六号)  同(多田勇紹介)(第一〇〇七号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件鉱工品  貿易公団損失金補てんのための交付金に関す  る法律案内閣提出第二四号)  農林漁業資金融通特別会計法案内閣提出第六  三号)  関税定率法の一部を改正する法律案内閣提出  第六六号)  旧軍用財産貸付及び譲渡特例等に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出第六九  号)  不正保有物資等特別措置特別会計法等廃止す  る法律案内閣提出第七二号)  外国為替資金特別会計法案内閣提出第八一  号)     —————————————
  2. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 これより会議を開きます。  議案審査に入ります前に、報告かたがたお諮りいたします。本委員会におきましては、毎会期のことではありますが、最近重要法案が山積して、議事の進行上困難を感じますので、昨日の理事会におきまして、一応お手元に配付いたしております印刷物のごとく、重要議案審査日割を決定し、これによつて重要議案審査を進めることにいたしましたので、この点御報告いたしておきます。  次に重要法案中、関税定率法の一部を改正する法律案につきましては、公聽会を開いてはどうかとの御意見もありましたが、時日の関係もあり、参考人を選定して公聽会と同じ意味を持たせて審査参考に資することに、意見が一致いたしましたので、この際お諮りいたします。本法案に関し、参考人を選定し、参考意見を聽取する御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 御異議がないようでありますから、さよう決定いたします。  それから昨日小委員長審査報告を聽取いたしました鉱工品貿易公団損失金補てんのための交付金に関する法律案につきましても、参考人を招致してほしい旨の要求がありましたが、本案に関しましても、参考人を招致して参考意見を聽取するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 御異議がないようでありますから、さよう決定いたします。  なお参考人の選定につきましては、委員長及び理事に御一任を願いたいと思います。     —————————————
  5. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 次に昨六日本委員会に付託されました外国為替資金特別会計法案議題として、まず政府当局より提案趣旨説明を聽取いたします。
  6. 西川甚五郎

    西川政府委員 ただいま議題となりました外国為替資金特別会計法案提出の理由を御説明申し上げます。  政府の行う外国為替等の集中のための売買につきましては、従来それに関する経理を行うため外国為替特別会計を置き、同会計において為替取引に伴う一切の收支を予算に計上して、経理して来たのでありますが、今回さらにその円滑を期するため、これを改正いたしまして、新たに外国為替資金を置き、外国為替等売買を本資金運用として行うこととし、その運営に関する経理一般会計と区分して特別に行うため、外国為替資金特別会計を設置することとし、もつて政府の行う外国為替等売買、及びこれに伴う取引円滑化に資することとしようとするものであります。従つて、本会計は、外国為替等売買に伴つて生ずる利益、外国為替資金運営に基く收益金借入金の借入れ及び融通証券発行による收入金決算上の不足補填のための一般会計からの補填金をもつて歳入とし、事務取扱費事務委託費外国為替資金運営に要する経費借入金及び融通証券償還金融通証券発行及び償還に関する経費、及び外国為替等売買に伴つて生ずる損失補填金等経費をもつて、歳出といたしますとともに、特別会計に必要な措置規定いたそうとするものであります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。     —————————————
  7. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 次に旧軍用財産貸付及び譲渡特例等に関する法律の一部を改正する法律案、及び不正保有物資等特別措置特別会計法等廃止する法律案の両案を一括議題として、質疑を続行いたします。
  8. 深澤義守

    深澤委員 不正保有物資等特別措置特別会計法等廃止ということでありますが、不正保有物資というのは終戰以来非常にたくさんあつて、これは全国的に問題になつたと思うのですが、その概況をまず承りたいと思うのであります。
  9. 伊藤繁樹

    伊藤(繁)政府委員 お答えを申し上げます。不正保有物資特別会計決算は、三月末で確定いたすわけでありますが、大体三月末におきましての推定の結果を申し上げますと、不正保有物資特別会計におきまして買い上げましたものは、非常に雑多な種類にわかれておりますが、鉄鋼くず鉄非鉄金属繊維その他におきまして大体一万件見当に達しました。その取得価額は大体九億五千万円見当になろうかと存じます。これに対しまして売り拂いは大体十四億万円くらいには達するという見込みでおります。
  10. 深澤義守

    深澤委員 どうもわれわれは、不正保有物資等特別会計廃止するのだといつてこれだけのものを出されても、実は見当がつかないわけです。従つて今まで処理されました決算資料等を御提出願わなければ、了解に苦しむわけであります。その資料をお願いしたいことと、もう一つお伺いしたいことは、すでに特別会計法廃止されるということになりますれば、不正保有の問題はもうなくなつたというぐあいに考えられておると思うのでありますが、その点に対する考えはどうですか。また実情はどうでありますか。
  11. 伊藤繁樹

    伊藤(繁)政府委員 御承知のように不正保有物資特別会計は、終戰後の混乱と当時のインフレのまつ最中におきまして、物資退蔵傾向が非常に盛んでありまして、かつ物資需給関係が非常に苦しかつた当時におきまして、これが制定せられたものでございますが、その後インフレ傾向は是正せられまして、さらに物資需給関係もだんだん緩和せられまして、その結果昨年におきましては、過剰物資規定を全面的に廃止いたしまして、ただ不正保有物資についてのみこの規定を存置しておつたような次第でございます。朝鮮動乱以来やや経済情勢の変化は見えておりますが、物資全般需給関係といたしましては、かような特別会計を設置して置い上げるというまでの必要はないと考えておる次第でございます。なお不正保有物資特別会計廃止した後におきましても、それが物調法等違反によつて取得せられたような物資につきましては、刑法並びに刑事訴訟法規定運用する道もございますので、われわれといたしましては、現在の情勢におきましては、この特別会計法廃止しても支障がないと考えております。
  12. 深澤義守

    深澤委員 なおお伺いしたいのでありますが、終戰直後において隠退蔵あるいは穏匠と言われるようないろいろの物資がございまして、各県にも相当あつたわけですが、そういうものは全部この特別会計に集中して、処理されて来たということになつておるのですか。
  13. 伊藤繁樹

    伊藤(繁)政府委員 終戰直後にはいろいろの形のものがございまして、不正保有物資特別会計法扱いますものは、物資調整法等違反によつて取得せられた物資でございます、一般に常識的にそれらのものと混同せられますものには、ほかに軍返還特殊物件等がございますが、これらは全然系統が別でございまして、不正保有物資に該当する以外のものは建設省所管で処理されておる状態でございます。
  14. 深澤義守

    深澤委員 そういたしますと、経済違反等による不正な物資がこの特別会計によつて処理されたということで、終戰後における軍関係隠退蔵物資は全然別だというぐあいに解釈していいわけですね。
  15. 伊藤繁樹

    伊藤(繁)政府委員 さようでございます。
  16. 深澤義守

    深澤委員 そういたしますと、二十三年にこの法案が実施されましてから今日まで買い上げたものが九億五千万円、売り拂つたものが十四億、これは全部総括してそういうことになつておるのですか。それとも二十五年度の会計年度決算がこういう状態になつておるのですか。その点を伺いたい。
  17. 伊藤繁樹

    伊藤(繁)政府委員 すべて総決算の数字でございます。
  18. 深澤義守

    深澤委員 そういたしますと、例の列車等によつて取締まつておりますところの米とか、炭とかいうもの、ああいうものもやはりこの特別会計で処理されて行くのですか。
  19. 伊藤繁樹

    伊藤(繁)政府委員 それは一般の警察の取締りの方の所管になりまして、活用規則運用上この特別会計扱いとはなつておりません。
  20. 深澤義守

    深澤委員 そういたしますと、経済統制違反不正物資というものをこれで処理するということになつておるのですが、われわれはどうも限界が明確にわからないのであります。どういう事案のものがこの不正保有物資特別会計で処理されるのか。その点をひとつ明確にお伺いしたい。
  21. 伊藤繁樹

    伊藤(繁)政府委員 不正保有物資基礎になつておりますところの過剰物資等在庫活用規則には、不正保有物資の定義といたしまして、物資入手所有または占有に関し、臨時物資需給調整法、それから物資需給調整に関する法令の違反というふうに書いてございまして、これは臨時物資需給調整法根拠を置くものであります。食糧の方は、私ちよつと詳しくないのでございますが、特別会計取扱うものを除きおそらくその取扱い食糧管理法その他のもので、法的基礎を異にするものではないかと考えます。
  22. 深澤義守

    深澤委員 そうすると、買上げ件数が約一万件、その価格が九億五千万円であつた売拂いをした場合には十四億であつたということで、これは相当もうけたわけですが、これはやはりそういう不正物資として処理する場合には、マル公でこの特別会計が買い入れることになるのですか。
  23. 伊藤繁樹

    伊藤(繁)政府委員 不正保有物資買上げにつきましては、その物資が不正に入手された当時における入手価格、あるいは入手時におけるいずれか低い価格によつて買い上げることに法的にきまつております。それから売拂い価格は、売拂い当時における公定価格によつて販売することになつております。従つてその間に利ざやが生ずるわけでございます。
  24. 深澤義守

    深澤委員 これは資料をいただいてから明確になりましようが、二、三の代表的な物資の御説明を願いたいと思うのです。相当数量が多く、しかも相当重要物資を、どの程度不正物資としてこの特別会計で扱つたかという、その代表的なものを二、三御説明願いたいと思います。
  25. 伊藤繁樹

    伊藤(繁)政府委員 おもなものにつきまして申し上げますと、鉄鋼関係が二千七百四十九件でございまして、取得価額が三億一千六百万円、売拂い価額が四億四千四百万円、これは鉄鋼と申しましても、御承知のようにイレギユラーなソースから出て参るものですから、規格的に統一して整理するということは困難であります。くず鉄が一千九十五件、取得価額が四千六百万円、売拂い価額が五千五百万円、それから非鉄金属が一千百四十五件、取得価額が一億四千八百万円、売拂い価額が二億六千二百万円、それから繊維関係が二千六百五十六件、取得価額が二億五千二百万円、売拂い価額が四億二千四百万円、その他の一般指定生産資材が千八百二十件、取得価額が一億五千万円、売拂い価額が一億七千五百万円、おもなものは大体そういうところでございます。
  26. 深澤義守

    深澤委員 朝鮮事変特需関係で例の糸へん関係で相当問題があつたようです。あれも経済事犯として摘発されておつたようでありますが、あれなんかも不正保有物資特別会計で処理されたことになつておりますか。
  27. 伊藤繁樹

    伊藤(繁)政府委員 不正保有物資特別会計は、昨年度におきまして大体廃止の内意をきめまして、今二十五年度は新しい経済違反に対しまして、特に新しく買上げをするということは、差控えて参つたのであります。従つて最近問題になつております経済違反につきましては、この会計では取扱つておりません。
  28. 深澤義守

    深澤委員 どうもこの問題についてはまだ十分調査しておりませんので、以上で一応質問を打切りますが、この法案を上げるにいたしましても、一応先ほどお願いいたしました決算の概要を示した資料を御提出願えれば、非常に幸いだと思います。その資料をいただきましてから、また御質問申し上げたいと思います。
  29. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 軍用財産の方の御質問はありますか。
  30. 竹村奈良一

    竹村委員 私は前の国会で質問したときに、政府からいただいた答弁がはにはだあいまいでわかりませんので、具体的な問題についてお尋ねいたしたい。  それは旧軍用地拂下げに関してですが、松山市の元海軍吉田浜飛行場用地が百五十六町九反拂い下げられておるのでございます。この拂下げにあたつてわれわれ非常に納得のできないところがあるのです。この拂下げ事情を詳しく御説明願いたい。今資料を持つておられなかつたらあとでもいいのです。
  31. 吉田晴二

    吉田(晴)政府委員 ただいまのお話の点は、結局戰時中にこれは海軍飛行場として借りておりまして、それを買い上げたかどうかという問題が一番問題のポイントになつていると思う。これが当時の事情を現在においていろいろ調べておるのでありますが、実際問題としてこれを買い上げたものでなくて借りたものである。従つて従来からの所有者所有権がある。こういうような判定になつております。そういう趣旨でございます。
  32. 竹村奈良一

    竹村委員 そうすると所有権地主にあつた。国のものではなかつた。本人の答弁書をいただいたところが、現状は水田であるものを拂下げ価格は百四十一円で拂い下げている。実際所有権が国になかつたものがなぜ有償で拂い下げられているか、この点がわからない。
  33. 吉田晴二

    吉田(晴)政府委員 ただいまお尋ねの点につきましては、非常にその権利関係はつきりいたしません。戰時中の問題でありましたので、その間の契約手続、あるいは金銭の授受等について非常にはつきりしない点がありまして、あるいはこれが買い上げられたものであるのではないかというような想像もできるような点もあつたのでございまして、一応国有というような処理を一時したときもあるようなふうに聞いております。従つてその間にただいまのような拂下げの問題とか、あるいは税金を免除するというような問題が起つたように思うのでありますが、それらの点については根本的に、とにかくそういうような国有でないというようなことがはつきりいたしますれば、それに基いていろいろの手続につきましては、調整措置を講じなければならないという問題が残つているわけであります“
  34. 竹村奈良一

    竹村委員 それでお聞きしますが、水田であつたということはお認めになりますか。おそらくいかに言を左右にしても現実水田であることば確かであると思う。この点はお認めになるかどうか。
  35. 吉田晴二

    吉田(晴)政府委員 これは私ども現場を見ておりませんが、最初は確か耕地であつたのであります。それを海軍の方でいらなくなれば、それを元の状態復旧して返す、そういう條件で借りたわけであります。ところが終或後におきまして、もちろん戰争が終りましたので海軍はいらなくなつた。そこでそれの復旧費というものは当然その契約によればやるべきだということになるわけでありますが、その間これは市の方で保管しておりました金でもつてその土地復旧をやつた従つてそれが現在の状況では、おそらくまた元の耕地に還元をしておるという状況になつているのではないかと思います。
  36. 竹村奈良一

    竹村委員 ところが飛行場水田復旧したのは事実です。それは市の金でやつたとおつしやいますが、その市の金で水田にしたのに、農民は復旧したことに対して一文ももらつておらぬ。これははつきりしているわけである。飛行場復旧するのだつたら、当然水田にして返すという約束があるのであつたならば、その約束は、たとえば海軍がなくなれば国がやらなければならない。国が水田にする復旧費を出さなければならない。それを出していない。市が出しているかというと出しておらない。そうして水田になつている。その点は調査されたかどうか。
  37. 吉田晴二

    吉田(晴)政府委員 つまり海軍の方で市の方に一応渡した金があるように聞いておるのであります。それが水田復旧費として渡したのであるか、あるいは耕地買上げ代金であるかということが非常に問題になるのでございますが、実際の扱い水田復旧費に充てられている。そこの見方にいろいろ問題はあるようでありますが、法務府あたりの見解を聞いてみたのでありますが、これはやはり買上げ手続ができていないので、所有権はやはり元の所有者の方にある。今の金は実際復旧費に充てている、こういうような状況になつております。
  38. 竹村奈良一

    竹村委員 そういたしますと農地調整法なり、あるいは自作農創設なりがあるが、一言にして言うならば農地解放のいろいろな法案とどう関連があるか。私の見解からすれば、質問書にも出しておいたので御承知と思いますが、あなたの答弁を聞いていると、それでは昔の敗或以前の方法でやつたならば、あるいは今のそのくらいの答弁で納得できるかもわからぬ。農地解放ができて、ちやんと水田になつて、大きな少くも百五十六町に相当する土地が、農地解放があるのに、いかに何でもこれは現実耕地だからそれが拡下げを受けるということになれば、農地解放も何もないではないか。その点はどうですか。これははつきり法律的問題になる。
  39. 吉田晴二

    吉田(晴)政府委員 それはおそらく別の問題でありまして、これは非常に大きな問題でありますが、もちろんそれは一人の地主が持つているわけではないので、非常に多数の地主が持つているわけでありますので、その中で農地調整法規定しております單位面積以上のものがあれば、それは当然農地調整法にかかるものであるとわれわれは考えております。その措置は別にとらるべきものではないかというように考えております。
  40. 竹村奈良一

    竹村委員 県の農地委員会解放のために、これははつきり出ているわけですけれども、たとえば昭和二十二年八月十九日の農林次官通牒、それから同月十三日の大蔵農林次官の覚書、それから同年同月の二十三日の大蔵省国有財産局長通牒昭和二十二年八月十七日の農林省農政開拓局長通牒によつては、当然これは拂い下げるとき農地委員会がこれをいろいろ農林省に移管して管理がえをして、それから農地委員会の手によつて処分し分譲されるのが当然である。この点はどうです。この点は国のものでなかつたということで片一方で逃げている。そうであれば国のものでなかつたとしても、たれのものであつても、国のものであつたならば移管してやらなければならない。国のものでなかつたとおつしやるならば、当然それは開懇をした耕作者の手にあるわけである。耕作者が当然拂下げを受けるべきだ。その点はどうですか。
  41. 吉田晴二

    吉田(晴)政府委員 そういうわけでございますから、今のお話の通りそれは国のものでない。国のものでなければこれは当然普通の農地調整法関係がもし適用されるならば、それは適用さるべきものである。しかしそれは国有財産管理しているものの手を離れておりますので、先ほど例にお引きになりました国有財産局長通牒とは関係なしに、県の農地調整委員会なり何なりで処理さるべきものであると考えております。
  42. 竹村奈良一

    竹村委員 そういたしますと拂下書を出して百四十一円で拂下げをやつた大蔵省松山財務局支部は、間違えたことがはつきり認められますね。
  43. 吉田晴二

    吉田(晴)政府委員 その点は間違いであつたわけでありますから、訂正の措置をとらなければならない、かように考えております。
  44. 竹村奈良一

    竹村委員 間違いとわかればよろしい。はつきりしている。これは間違いであつたということがはつきりされましたので、財務局松山支部が間違えた。これで私は十分だ。この点でおそらく県は別にやるでしよう。  それからもう一つ聞きたいのは、現在まで天皇御料地で、これがいろいろな面で軍用地に利用されておつたようなところにおける拂下げ、こういうものは一体どうなつておりますか。全国にあると思うが、あつた場合にはその拂下げはどういう形で拂い下げられているか。
  45. 吉田晴二

    吉田(晴)政府委員 ちよつとただいまの御質問意味がよくわかりませんか……。
  46. 竹村奈良一

    竹村委員 天皇御料地で一部軍用地に編入されたところ、そういうところがあるかないか。なかつたらいいですが、もしあつた場合においてそれの拂下げはどうなりますか。
  47. 吉田晴二

    吉田(晴)政府委員 おそらくそれはなかろうと思います。
  48. 竹村奈良一

    竹村委員 それでは国有財産処分についてお伺いしたいのでありますが、たとえば御料地拂い下げられるという場合におきましては、どういう形で拂い下げられておるのか。たとえば群馬県の群馬郡室田町の山林等拂下げに対しては、一体どういうふうにしておられるか。この点をお伺いいたしたい。
  49. 吉田晴二

    吉田(晴)政府委員 これは別に元御料地であつたからとか、あるいはどうとかということは考えておりせんで、一般国有財産処分の原則によつて拂下げをしておるわけであります。
  50. 竹村奈良一

    竹村委員 そういう場合の拂下げは、これは一つの例をとつたのですけれども、全国的な問題だと思いますが、そういうものの拂下げについての原則的なものは、やはり拂い下げる場合においてはそれを永年利用し、そこに生活の根拠を求めておつた者、これが第一の重点になつて、單に名目的な所有者ということだけで拂い下げるということはないと思うのですが、その点はどうですか。
  51. 吉田晴二

    吉田(晴)政府委員 その点、原則としては今のお話の点が相当重要な問題になると思うのです。ただその場合やはり法律の適用におきまして、随意契約ができる範囲というものは、ある程度の範囲に限られておる。その限られておる範囲の解釈の問題といたしまして、今のようなお話の点、実際にその土地を使つてつたというような人については、特別な考慮が拂われるわけです。またそれが実際の契約の当事者になるか、契約がだれと結ばれておつたかということも、これまた非常に重要な問題でありまして、それらの点について、その場合の事実の認定の問題については、個々の具体的な問題に当りませんと、はつきりしたことが申し上げられないのであります。
  52. 深澤義守

    深澤委員 今の問題に関連いたしまして、群馬県の室田町には帝室林野管理局時代に管理しておつたところ千二百町歩の山林があつたわけであります。それを一町歩一円四十銭で農民に貸しておつた。ところが終戰後これを皇室は財産税として土地を物納し、大蔵省の管財局の管理なつたわけであります。ところがその土地を、管財局の方針でありましようか、前橋の財務部長は、反当り五百円ないし六百円で拂い下げるという声明を発表したのであります。ところがこれは元帝室林野管理局の管理になる前には入会地であつて、明治十三年に帝室林野管理局にこれを無償でとられたのであります。従つてこれを拂い下げる場合においては、元入会地として管理しておつた地元の農民、それからその後継続して借りておりましたところの地元の農民に対して拂い下げるのが、当然であると常識的に考えられる。ところがこれを拂い下げた者は、その土地の農民でなくて、又借権を持つてつた石井、半田某にこれを拂い下げたという事実がありまして、長い間この土地関係しておるところの農民は非常に憤慨して、この問題について相当の紛議が起つておるということは御承知だろうと思います。大蔵省の管財局の処置は、全然この土地関係のない又借権者にこれを讓つたというような事実によつて相当問題があると思う。この事件について管財局長は何も御承知ないのか。また御承知ならば、どういうぐあいにこれを処置されたのか。その点をお伺いしたい。
  53. 吉田晴二

    吉田(晴)政府委員 国有財産処分につきましては、御承知の通り全国に十の財務局がありまして、その下に財務部なり出張所がございます。われわれの方といたしましては、ある一定の限度以下のものは、全部財務局なる財務部に処置をさしておりまして、個々の具体的の問題については本省では特にタツチをいたしませんで、処分の方針を本省から通牒するというような方法で管理をしておるわけであります。そういうわけで個々の問題につきましては、本省の方でわからない場合が間々あるわけであります。ただいまの御質問の点は、具体的な事例としてはつきりしたことをわれわれの方では聞いておりませんが、ただ最近群馬県で問題になつたのは、それとあるいは同じかというような気もするのであります。あるいは違つておるかもしれませんけれども、榛名山の山麓だと思うのですが、その辺でやはり御料地から引継がれた山林の拂下げにつきまして、いろいろと問題が起りました。この場合は一応貸付契約が町と国との間でできておつた。それがいつからかさらに分業施業者に転貸されまして、その者が山林の育成に当つてつた。それで何と申しますか、表面上からいうならば、その契約当事者である町に拂い下げるのがいいのではないかという問題もありますと同時に、一方先ほどお話のありましたように、実際に施業者として当つておる者に拂い下げるのがいいのではないかという、両方の議論があつたわけであります。これはそれらの点について事情をよく調査した上でやる。一応その契約の当事者である町の立場、分業施業者の立場も十分考えた上で、財務局の方で処置するようなふうになつたと覚えておりま
  54. 深澤義守

    深澤委員 この問題については、昭和二十六年二月ですから先月です。先月大蔵省管財局は前橋財務部長に指令を発して、これを分業権者に譲れということを指令されたという事実があるのであります。これは今あなたのおつしやるように、契約者である町自体に拂い下げるのが至当である。われわれはもう一歩進んで、実際の施業者であるその土地の人間に拂い下げるのが、当然であると考えるわけですけれども、それを仲介に立つておるところの分業権者に讓れという指令を出したということが、実際にあるらしいのでありますが、その点は局長は御存じないのでありますか。
  55. 吉田晴二

    吉田(晴)政府委員 ただいまの点は、管財局から直接通牒をしたわけではないので、これは関東財務局から前橋財務部に通牒をしたものと思います。その点はなお場合によつたはつきり調べてよろしいと思いますが、分業権者というものがやはり一種の責任者でありまして、そうしてその人がまた人を使つておるということがあるかと思います。しかしその使われた人はいわゆる労働者になりますが、それはそのときどきの事情によりまして、使われておるその人が、実際問題として現在従事しておるということがあるかもしれませんが、それは一時の問題であつて、責任者というものはやはり分業施業者が責任者である。その意味においてどちらを重く見るかという問題であろうかと思うのであります。実際問題として今のような状態では、やはり分業施業者の方を重く見るべきものじやないかというふうに考えられるのであります。ただこれは、一応われわれもおそらくそういうふうなことを、財務局の方から財務部の方へ言つておるのではないかというふうに考えております。
  56. 深澤義守

    深澤委員 これはあなたの方は、もう少し実情を調査される必要があると思うのです。先ほど私が述べましたように、この土地は古くからその土地の入会地であつた。ところが明治十六年にそれを帝室に無償でとられてしまつた。その後昭和二十二年三月まで、一町歩一円四十銭でその土地の村長が借りておつた事実がある。ところがその後において、これを帝室が物納財産として大蔵省管財局に物納した。その拂下げにあたつては、その土地は当然歴史的にも重大な村民の生活の根拠になるわけであります。従つて、その土地一般村民にそれを実際に拂い下げるということが至当であるにもかかわらず、その土地の山林大地主であるところのいわゆる分業権者——実際にその土地に対する施業をやつているのじやない。中間にあるところの山林地主にあなた方はこれを拂い下げておる。そうすれば、当然昔からその土地を入会地として利用し、あるいはその後一町歩一円四十銭で借りておつた農民諸君が、この問題について文句を言うのはあたりまえだと思う。現在の農地改革の趣旨から申しましても、実際の耕作従事者あるいは施業従事者が、その土地を取得するというのが農地改革の精神だと思う。もちろん山林は農地改革とは別ではありますが、この方針に基いて、その山林と直接関係ある村民一般拂い下げるというのが当然であると考える。それを一部の、ただ二人の中間にある分業権者にこの権利を譲渡し、その者の利益をはかるような処置を管財局自身がおやりになつておるということは、まことにわれわれとして了解に苦しむ。この問題については、管財局方面に相当の有力者が直接働きかけておるというふうにわれわれはうわさに聞いておる。その点明朗に処置されたいということを私はお願いしたいのですが、どうですか。
  57. 吉田晴二

    吉田(晴)政府委員 これは先ほど申し上げましたように、契約者は町であります。それが町からまた分業施業者に転貸されておるというわけで、実際の御料地になりましたのは、おそらく明治何年かと思いますが、その後分業施業者がずつと取得しておるのであります。その土地につきましては、歴史的な事実からいえば、分業施業者が当然非常な因縁を持つておるわけであります。そこで地元の方で、一部の人は町に拂い下げろということを言われたのでありますが、その意味においては、むしろ分業施業者の方が実際その土地との関係が深い。それで分業施業者の方に拂い下げるのが当然であろうというような見解であります。ことにただいま二人というお話でありましたが、それはある二人がもちろんあると思いますが、実際には分業施業者というものは相当たくさんの人数で、その二人に限つたわけではないのであります。
  58. 深澤義守

    深澤委員 そこに問題があると思うのです。分業施業者というのは具体的に調べますと、みな山林地主なんです。山林地主というのは農村、山村における半封建的な制度の遺物なんだ。日本の民主化の精神は、こういう半封建的な支配を排除するところにその基盤がある。ところが、あなた方はこの半封建的勢力を維持し、助長し、これを育成するという方向へ、この山林の拂下げ問題については協力しているのです。これは善意かあるいは悪意かわかりません。わかりませんが、事実はそうなつておる。だから私はこの山の処分については、ずつと昔から実際にその土地に対して深い関係を持つているところの村民一般拂い下げるべきで、一部の少数の人々の独占のために、その人々の利益のためにこれが利用されるということであつたならば、本旨ではないと思う。日本民主化の精神から言つても、ほんとうにその村民の利益、生活の安定という立場から考えてみましても、少数の分業権者である山林地主拂い下げるべきものではない。こういう点を十分検討される必要があると私は思う。これはすでに決定されてしまつたのか、あるいは再検討の余地があるのか、そういう点をひとつ明確にお伺いしたい。
  59. 吉田晴二

    吉田(晴)政府委員 いろいろお説を承つたのでありますが、何と言いましても、分業施業者が非常に伝統的にその土地に対して関係が深いということは、争えない事実であると思います。ただいまの自作農法のような法律がありまして、その法律によつてやるならば、これは問題がないと思いますが、ただ従来からの深い関係を無視して処置するということは、かえつて今の措置としては当を得ないというふうに、われわれの方としては考えておりまして、大体その方針で今のところ進んでおるのであります。
  60. 深澤義守

    深澤委員 それならば、なぜ契約の相手方である町自体を相手にしてそれを拂下げしないのですか。その一段下の分業権者になぜ拂下げするのですか。町自体に拂下げするとすれば、町全体の町民がその利益に均霑することができるのです。ところがその当の契約の相当方である町を無視して、さらにその一段下にあるところの分業権者に譲渡するということは、そこに何らか私は意識的のものがあると考えるわけです。どうしてそれなら町当局に拂下げをせずして、その下の分業権者に拂い下げたのですか。
  61. 吉田晴二

    吉田(晴)政府委員 われわれもそういうことを十分考えまして、契約はもちろん、拂下げは町にすることにしております。ただ、今の分業施業者というものは、相当やはり重く見てやるべきだという意味で、町から分業者の方に拂い下げるような、何と言いますか、分割するような措置をとるということで、決して町を無視したやり方はしておらぬわけです。
  62. 深澤義守

    深澤委員 それは町自体に拂い下げて、それを分業権者に拂い下げようと一般の村民に拂い下げようと、町自体のかつてなんです。それをあなた方は町自体に拂い下げるようにしたか、あるいは分業権者に拂い下げるようにしたか、とにかくあなた方の方からその分業権者に拂い下げることを強く指令されておる。ここに問題がある。あとの処置は町自体にまかせればいいのです。ところが管財局から、分業権者を重く見て処置しろということが通達されておる。これは一体どういうわけですか。
  63. 吉田晴二

    吉田(晴)政府委員 それは先ほどから申し上げましたように、その土地と分業施業者との関係というものが、明治何年以来非常に深いのでありまして、この分業施業者の地位というものを無視するわけに行かないというところに、こういう措置をとる原因があると思います。
  64. 深澤義守

    深澤委員 そういうことがおかしいのですよ。契約の相手方である町に拂い下げたら、それでいいじやないですか。町は自主的に分業権者に拂い下げようと、あるいは村民全体にそれを拂い下げて使わせようと、町自体のかつてなんです。あなた方は町に拂い下げて、あとの処置は町自体が自主的にやるという態度をとるべきにかかわらず、因縁関係があるから、分業権者にこれを拂い下げなくちやいかぬということを強調されたところに問題があると思う。あなたは分業権者である山林の地主が、この土地に深い関係があると言つておられる。表面的にはそうであるかもしれないけれども、実際には山林地主の下にある村民一般がこの土地を育成して来た。ほんとうにこの土地に血と汗のつながりがあるのは一般村民なんだ。山林地主はその上に立つてつて、ふところ手をして村民を支配して来た連中である、その連中を育成し、その連中を重く見るということは、日本の半封建的な勢力を育成するという結果になる。それは日本の民主主義の方向じやないと私は思う。だからそこまで私は糾明する必要はないが、とにかく町自体に拂い下げて、あと自主的にあなた方が処置してくださいというのが、大蔵省の公平な態度でなければならぬ。それを、町に拂い下げる、だが分業者を重く見なくちやならぬという考え方を強く主張せられて、下まで浸透するということは、何らか意図があるのじやないかというふうに考えられても、やむを得ないのじやないかと思う。だから明確にしたいと思うが、一体拂下げは町自体になさつたのですか。それとも分業者になさつたのですか。その点をひとつ明確にしていただきたい。
  65. 吉田晴二

    吉田(晴)政府委員 まあそういう点になりますと、最初から御説明したように、つまり契約当事者というものがやはり関係あるわけです。契約当事者である町というものは、やはりその土地に対して関係がある。しかし実際何と言いますか、施業に当つてつた分業施業者も関係がある。そこで両方の立場を考えて、一応町に拂い下げはするが、実際には分業施業者に拂い下げる、こういう措置をとつたわけであります。その実際の契約はおそらくまだできておらないのではないかと思います。従つてその契約がどういうふうになつおるか、まだわれわれは聞いておりません。そこにあるいは多少見解の相違もあるかと思いますが、実際問題としては、やはり分業施業者の方を重く見る、こういう態度をとつております。
  66. 深澤義守

    深澤委員 どうも私はこだわりがあると思う。契約の相手方が町であるならば、町に拂い下げて、町自体が自主的に処置するというのが当然だと思うのです。なぜ町の裏にある分業施業者を重く見なければならぬということを強調されるのですか。契約の相手方である町自体に拂い下げて、あとは村民自体で自主的に解決すべきだということを、大蔵省は明確に言うのが当然だと思う。まだ契約が決定していないとすれば、町に対して拂い下げて、あとは町自体が自主的に解決せよという態度をとられるのが公平な立場であると私は思うが、どうですか。
  67. 吉田晴二

    吉田(晴)政府委員 われわれの立場としては、分業施業者の立場というものを全然無視するわけに行かないのであります。今のところまだその契約ができておりませんので、どういう契約の内容になるかはつきりいたしておりませんが、ただいま聞いておるところでは、町の方でいろいろとあつせんをしておられまして、町の方からこういう條件でもつてやるから拂下げをしてくれということで、財務局の方に書類で出て来る。従つて契約の表面はと申しますが、おそらく契約そのものは、あるいは町と国とだけの契約になるということになるのではないかとも考えます。その点まだ何と言いますか、事実の報告を聞いておりませんので、はつきりしたことは申し上げられません。
  68. 深澤義守

    深澤委員 最後にお尋ねいたします。どうも私ははつきりしない。その分業施業者にあくまでその権利を譲渡しようというあなた方の御意思であるように私は考えられる。ところが、先ほども申しますように、分業施業者というものは自分自身が血と汗でやつているのじやない。やつているのはその下の村民です。その上に乗つかつて支配しているのが山林業者の分業施業者です。その連中にわけて拂い下げること自体が、先ほど言つたように、日本の半封建的勢力を育成する結果になり、民主主義の方向じやないと私は言うのです。だから私はやはり大蔵省の立場は條件なしに村へ拂い下げる、あるいはその町へ拂い下げる、あとは町自身で自主的に解決すべきだという態度をとられなければ、どうも私は納得が行かない。従つて私はこれ以上申し上げることはいたしませんが、あくまでもこれは町自体に拂い下げるのだ。その下に分業者があろうと、実際の労働者があろうと、それは町自体の問題であり、町自体が自主的に解決すべきであるという態度をとるべきが当然であるということを、私は強く要求しておきます。
  69. 竹村奈良一

    竹村委員 先ほど深澤君の質問で、大体拂い下げる場合は地方の財務局がやつておる。従つて財務局がどういう考えでやつておるのかわからない。それはその通りであると思う。ここで一つ疑問がわいたのではつきりしておきたい。たとえば地方の財務局がやつて、それが間違いであつた場合には、少しの違いであつても責任はやはり大蔵省がおとりなるのでるるか。その点をはつきり聞いておきたい。
  70. 吉田晴二

    吉田(晴)政府委員 それはもちろん大蔵省で責任はとるわけであります。
  71. 竹村奈良一

    竹村委員 それさえ聞いておいたらいいわけですが、その場合先ほど私が質問したように、松山財務局支部の拂下げの通知、拂下げの方法は間違いであつたということを、先ほどもお認めなつたわけだが、その間違いに対する是正あるいはその取消し、あるいはそれに対する責任は大蔵省がはつきりおとりになる。従つてそういう点については、その間違いをどういうふうに直す方法をおとりになるのか。たとえば現在地主が生じて耕作者に田がないのですが、その場合は間違いのもとは何かというと、松山財務局地主拂い下げたいというところに間違いのもとがある。従つてその点の訂正は責任をもつて政府がおやりになるのですか。その点をはつきりお聞きしたい。
  72. 吉田晴二

    吉田(晴)政府委員 その点については、もちろん責任をもつて政府が訂正の措置をとるということにいたしております。
  73. 竹村奈良一

    竹村委員 それではもう一つついでにお聞きするのですが、大体この軍用財産処分にあたつては、巷間いろいろ問題があるわけです。私はちよつと書類を持つて来ておりませんので名前はわかりませんが、たとえば千葉県などにおきましても元の軍用工場、その廠舎が現在一般に貸されておる。ところが、それが今度大蔵省の処分にあたつては、そういうほんとうに住んでおるものに処分せずして、いろいろな形で別なところへ処分される。従つてそこに非常に立退き問題が起つておる。こういう問題もあるわけです。またたとえば石川県なんかにもあるわけですが、石川県の金沢市の平和町では、元軍の兵舎が国有財産として民間に貸されておつた。しかもそこで引揚者等がいろいろ商売をやつておる。ところが、今度この人たちが賃貸契約の許可を申請したら、あべこべに尾山興業株式会社という商事会社に、建物の全部を一括して賃貸しをさした。賃貸さしたがゆえに、その結果実際住んでいる者に対して、今までの家賃よりも三倍ないし四倍の家賃をその商事会社が契約している。ところがその商事会社が大蔵省の財務局契約を申請するには、安い家賃でやつている。そして大蔵省からその契約の許可をもらつて、ここにその商事会社は莫大な利益を得ている。こういう問題が非常にあるわけですが、こういう人に対しては大蔵省は、私が先ほど質問したように、ほんとうに実際に住んでいる者、あるいは実際にそこで生計を営んでいる者を対象としたところの、いわゆる軍用物資の利用を原則的に考えておられるのか。考えておられるのだつたら、こういう事態は全国に起らぬわけです。この点について明確にお答え願いたい。
  74. 吉田晴二

    吉田(晴)政府委員 ただいまのような住宅の拂下げの問題は、全国にいろいろと問題が多いわけでありますが、もちろんその場合われわれとしましては、現に住んでおられる方にまず拂下げをする。それによつてなるべく処分の促進をはかりたいということで進んでおります。最近では御承知の通り、この法律案にもございますように、物納財産について延納期限三年を五年に延長する、そういうことにして多少でも割合に資力の少い人に拂下げの機会を與え、やりやすくやつて行くというような方向に持つて行きたい。またあるいは月賦拂い制度というようなものもつくりまして、なるべくそういう人が入りやすいようにするような方向に持つて行くことに、努力しているのであります。
  75. 竹村奈良一

    竹村委員 努力されていることはわかりますが、しかし実際こういうような一つの営利会社——われわれは営利会社と言つているのですが、その営利会社に契約させて、又貸しによつて莫大な利益を得ている者に対しては、どういう処置をおとりになるか。それはお取消しになつて、実際にそこで住居している者とか、あるいはそこを使用している者を対象にして、賃貸契約を結ばれるような御意思があるかどうか。これははつきりしたおいてもらいたいと思う。これは全国至るところにあつて、一々あげてやつたら三日や四日やつてもきりがないが、原則的に聞いておきたい。
  76. 吉田晴二

    吉田(晴)政府委員 われわれといたしましては、特に普通財産の処分にあたつては、国が持つているということよりも、なるべくならばこれを民間の方に移したい。管理というよりも処分ということを先行きすということで来ておりますので、先ほど申しましたように、なるべくならば今住んでおられる方に買つていただきたいのでありますけれども、そういう方は非常に資力が乏しい。ほかにまたそういう適当な価格でもつて買受けの話があるということならば、その方へ売るということもやむを得ないという方向へ進んでおるわけであります。しかしだんだんと処分の方が進んで来ておりまして、ある程度限界の点に来ておるような事情も見えますので、今回の法律の改正等によりまして、ただいま申し上げたような多少資力の薄い人にも、拂下げの機会をなるべく多くしたい、こういうふうな趣旨でやつております。
  77. 竹村奈良一

    竹村委員 それはわかるのです。ところが現在、先ほどちよつとお尋ねしたように、実際そういう営利会社が一括して賃貸契約を受けている。そうして実際前から住んでおる者に対して、三倍ないし四倍の家賃で貸しておる。そういうように今度拂い下げるという場合は、おそらく会社が拂下げを受けるであろうが、実際住んでおる者は値段の問題で拂下げを受けられない。この点はどうするか。これは東京でもずいぶんあるのです。
  78. 吉田晴二

    吉田(晴)政府委員 どうもわれわれは具体的な事例をはつきりつかんでおりませんので、はつきりしたことは申し上げられないので恐縮でありますが、おそらくその場合従来貸付をしておりました場合、地代家賃統制令の範囲内で役所としてはやつているはずであります。今度の何と言いますか、貸付者と言いますかあるいは家賃統制令なんかの範囲を相当越えておるか、あるいは昨年の八月ごろにはたしか二倍半くらい家賃が上つたかと思いますが、その関係で上つたか、そういうような関係ではないかということを想像されるのであります。
  79. 竹村奈良一

    竹村委員 それでは具体的に申します。先ほど言いましたようにこれは一つの例ですが、石川県金沢市の平和町、ここに兵舎があつたわけです。それを引揚者が多数賃貸許可をもらつて住んでおつた。ところが今度は、尾山興業株式会社という商事会社に、建物を全部一括して、大蔵省の財務局ですか、とにかく貸した。借りると同時に三倍くらいの家賃に値上げして来たという事実があるのです。こういう場合は一体どうするかということです。
  80. 吉田晴二

    吉田(晴)政府委員 これはただいまお話いたしましように、実際の具体的な事情を調べてみませんとわかりませんが、尾山興業が引揚者から非常に法外な家賃をとつておるということならば、これは今の家賃統制令等によつて当然規制されるべきものである。いわゆる経済調査庁の関係になりますか、あるいは検察庁関係になりますか、はつきりいたしませんが、その方で当然取締るようになつておる、こういうふうに考えております。
  81. 竹村奈良一

    竹村委員 私が家賃のこと言つたから家賃のことを言われたのでありますが、そうではないので、実際そのことも問題ですが、これは今のお説のように経済調査庁か何かで問題になるでしよう。なるでしようが、実際そこで商売しておる者に貸さないで、なぜ一括してそういう営利会社に契約したか。これがあなたの方の関係では問題なんです。なぜそういうふうに一括してされるか。たとえば住宅組合とかそういういろいろ協同組合等何かの方法で、法人的な借家人組合をこしらえさせて、それと賃貸契約をされる。これは国の軍用財産処分にあたつて、ほんとうに国民全体を見た正しい処分の仕方であろうと思う。ところが一括して営利会社に貸されるところに問題がある。そういう契約をなぜされたか。この点をお聞きしたい。
  82. 吉田晴二

    吉田(晴)政府委員 われわれの方といたしましては今のような場合におきましては、住宅組合なり何なりの代表をつくりまして、そこで買い受けるというようなことがありましたならば、その方をむしろ優先的に考えて、優先的に処分するということをやつておるわけです。ただいまの問題では、われわれの想像しておるところでは、そういう住宅組合もできない。住んでおる人が多いと意見がなかなかまとまらぬ。一方の人は買いたいと言うし、片方の人はそのままでもいいというようなことで、なかなかまとまらぬということが多いのでありますが、うまくまとまつてそういうことができれば、これは当然そちらの方に拂い下げる方針でやつております。もちろんその営利会社が、話をしても、そちらの方に拂い下げるようなことはしておらない。おそらく現在の事実においては、不幸にしてそういうような組合の意見がうまくまとまらなかつた結果ではないかと考えるのであります。なお必要でございましたら、事実を取調べて申し上げたいと思います。
  83. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 こういうことをお尋ねしたいのであります。軍用地で学校の農場になつたり、また特殊法人がそれを経営したりしているのでありますが、このごろ警察予備隊でありますとかいろいろな面から、それをまたほしそうに調査に来ておられるのであります。そうなると学校でありますとかあるいは法人でありますとかはどうなるのか。今まで努力して田にし畑にしたものが、また元にとられるのではないかという心配をしておるのであります。こういうところは、それは国の大きな政策からとられるのはやむを得ないところであるかも存じませんが、今まで懸命に努力いたしましたそういうものに対する補償料のようなものを考えておられるのかどうか。これは御所管でないか存じませんが、非常に心配しておりますので、それをひとつお尋ねしたい。もし何なら具体的な実列を申し上げてもいいと思うのであります。
  84. 吉田晴二

    吉田(晴)政府委員 われわれといたしましては、警察予備隊の庁舎あるいは運動場というものについては、これは国家的に非常に必要なものであるので、明いた設備があればなるべく使つてもらう。ただ向うの方としてどうしても適当な場所がなくて、現在どこかが一時使用しているところにつきまして、ほしいというような問題がありましたときに、両者のあつせんをいたしておるわけであります。しかし実際問題といたしましては、その学校なり法人なりが使つておりまして、そういう場合には補償するという條項があるときは、もちろんこれは補償しなければならぬ。またそういう場合に国の方で出ろといつたときは、すぐ出る、補償な要求しないというような契納になつておれば、これは補償の義務はないというようなことになつていると思います。
  85. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 それじや具体的なことをひとつ申し上げます。高知のすぐわきに飛行場がありまして、高知大学がそれをもとにして農学部をつくつたのでありますが、それがこのごろうろころと調べに来られたりして、農学部をやめなければならぬのかという具体的な話があるのであります。  それからもう一つは、西富士に昔の戰車学校がありますが、あそこに開拓者の子弟を集めまして、これは農林省の委託事業でありますが、開拓者の子弟の養成所があります。これはなるほどその兵舎といい、いろいろな土地のかつこうといい、警察予備隊が戰車の訓練をなさるにはかつこうなところでありますが、終戰後今日までそこを基盤にいたしまして、開拓者の子弟養成にずいぶん努力して来まして、ようやく芽が出ましてこれからだというときに、またその仕事を全部やめなければならぬということになるのであります。これは全国にいろいろあると思うのでありますが、これは一時使用であるから、そんなときには補償料の文句は言わないのだぞという約束があるのかもしれませんけれども、なかなか仕事をやつている者にとりましては大きなことだと思うのであります。こういうことはあまり簡單にお取扱いなさらぬように、またこういうことで問題が起きてがたがたといたしますと困るのでありますから、十二分にひとつ御留意いだだきまして、あまり摩擦のないようにしていただきたいと思うのであります。
  86. 吉田晴二

    吉田(晴)政府委員 ただいまの御質問に対しましては、なるべく摩擦の起らないようにしたいと思います。これはわれわれの方では関係ありませんが、警察予備隊の方でもそういう点をよく御注意をいただいておいて、なるべくそういう人の入つておらないところで利用できるところへ、なるべくそちらの方へ行つてもらうというふうにしていただければ、われわれの方も非常に都合がいいと思います。
  87. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 この際御報告いたしておきます。それは農林漁業資金融通法案に関する連合審査会開会の時日についてでありまするが、これは農林、水産両委員長と協議の結果、九日金曜日の午後一時と決定いたしましたので、御了承願いたいと存じます。  休憩いたします。午後は一時半より開会いたします。     午後零時十一分休憩      ————◇—————     午後二時十七分開議
  88. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  農林漁業資金融通特別会計法案議題として質疑を続行いたします、清水君。
  89. 清水逸平

    ○清水委員 本法案が提出されたことをわれわれは非常に善んでおるものであります。資料を午前にいただきましたので、まだ十分に検討いたしておりませんが、一、二気のついたところを聞いておきたいと思います。農林漁業資金融通法案の第二條に政府が金を貸す相手として定めてあるものがありますが、これは組織する法人だけに限られたことですか。もつと個人とかその他のものについても融資をするお考えでありますか。
  90. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 農林漁業を営む者は、第二條の前段で個人あるいは法人を考えております。法人の中にも、たとえば株式会社の形態のようなもの、これは造林とか林道とかいうものに当てはまると考えております。なお「これらの者の組織する法人」と申しておりますのは、農林業者が組織しております法人、たとえば土地改良区であるとか農業協同組合でありますとか、そういうものを予想しておるわけであります。
  91. 清水逸平

    ○清水委員 その次にここに融資をする條項が一から六にわたつてありますけれども、これ以外にお考えになつておりませんか。  それからもう一つ、これは資料をほしいのでありますが、こういう資金の今まで要求された資金量の集計とか、そういうものはございませんか。また今までそれに対して融資したとか、また何らかの方法で資金の借入れができたというような資料があつたならば、それも頂戴したい、こういうふうに考えております。
  92. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 融資対象といたしましては、第二條の一号から六号まで書いてありますものだけを、とりあえず、対象として考えております。その理由といたしましては、この法律の目的を第一條でうたつておりますが、「農林漁業の生産力の維持増進」をまず第一に考える。その資金は長期であり、かつ低利の資金でなければならないということになつておりますので、たとえば家畜の導入資金のごときは、長期という條項に当てはまらないので、この特別会計では繰入れはむずかしいのではないか、かように考えております。なお後ほど資料を差上げますが、現在この特別会計の財源は一般会計から二十億円、見返り資金から四十億円、合計いたしまして六十億円だけを対象に予算を組んでございます。特別会計法第十二條によりまして、預金部資金から借入れの道はございますが、今のところ幾ばくを借りられるかということを決定しておりませんから、とりあえず六十億ということになつております。従いまして融資対象をこれ以上広げましても、さしあたつてはこれに必要なフアンドが出て来ないということになるのでございます。  それから資金の需要量でございますが、これも大体、私どもの算定は経済復興五箇年計画、そういう国の大きな復興計画をもとにいたしまして、これに必要な資金というものを算定しております。この資金の中には財政投資によりまする公共事業費というようなもの、それから一般市中銀行からまかなわるべきような資金も、その需要の対象に考えておるわけでございます。この表もただいま印刷しておりますから、追つてお手元に差上げます。  それからそういう需要に対して、将来どの程度の供給があつたかということは、けさほどお手元に差上げました農林金融概況という資料の第八表から以後にございますので、ごらん願いたいと思います。
  93. 清水逸平

    ○清水委員 今、あとで伺おうかと思つておりましたが、御答弁がありましたので、資金運用部からの借入れのことについて伺います。本案の提出説明にはこれをうたつておりますが、とりあえず六十億でもつて御計画を立てられる。なおこの資金運用部からの借入れの御計画とか、そういうものはまだついておりませんか。それについて……。
  94. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 特別会計法の十二條で、借入れの最高限度は出資金と同額というふうに押えられてございます。出資金と同額を最高限にいたしまして、その範囲で予算で定める。二十六年度について申し上げますと、出資金は先ほど申し上げました六十億でございますので、借入れの最高限度は六十億円でございます。ただ先ほど申し上げました通り、ただいまのところでは資金運用部の資金運用計画がまだ固まつておりませんので、われわれとしましては六十億円一ぱいまで借りるつもりで、ただいま交渉しておるわけでございます。
  95. 清水逸平

    ○清水委員 次に三條の規定によつて利子が定められております。これが農地改良その他について最高が年七分、最低が年六分、「その他のもの」に対して五分五厘、四分五厘、さように定められておりますが、こういう面から見まして、この利率というものは法律で定める以上においては、もう少し、ゆとりのあるものにお定めになつておいた方が、運営上よろしいのじやないかと思いますが、六分と七分、五分五厘と四分五厘、一分ぐらいの差でもつて多く定められている。もう一つ林道開発、つまり三の條項におけるイは一割五厘、こういうふうにずいぶん高い。一面においては七分、こういうふうに段階をおつけになつた何か根拠があつたら御説明を願いたい。
  96. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 金利の幅は上下一分の幅を持たしたわけでございますが、この根拠といたしましては、大体現在の金利水準というものは、予想し得る近い機会にそう大幅に動くことはないであろうというつもりでやつたわけでございます。例を他のかような特別会計式のものにとつて申し上げますと、御承知の住宅金融公庫の場合には、これは年利五分五厘というわけで一率にきめてありまして、全然上下のゆとりがないのでございます。ただこちらの方は多少のゆとりを持つてやりましたわけで、この程度で大体近い将来はまかなえるのではなかろうか。もし金利水準の大幅の変動がございますれば、その際にまた法律の改正ということが考えられるのだと思つております。それから林道の一割五厘というのは比較的高く見えるわけでございますが、この各業種につきましてそれぞれ個別に金利を定めましたのは、各業種がこういう事業を行いますことによつて上ります経済効果、この経済効果を金に見積りまして、それぞれ償還可能な最高限度まで実は高めたわけでございます。そおいうようなわけで、ある業種つまり経済効果の上りやすいものにつきましては、比較的金利が高くなつているわけでございます。
  97. 清水逸平

    ○清水委員 次に第五條に「貸付の決定については、この限りでない。」その前に「貸付に関する申込の受理及び審査資金貸付」こういうことがうたつてつて、「但し、貸付の決定については、この限りでない。」決定はこれは主務大臣がやるのでございますか。それから「この限りでない。」ということは、農林中央金庫等も貸付の決定をするのでございますか。
  98. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 審査の事務は既存の金融機関、農林中央金庫以下その他の既存金融機関に委任いたしますけれども、貸付の決定はすべて政府がいたします。従いまして、受託金融機関が貸付の最後の決定はいたさないわけでございます。これは先ほど申し上げました住宅金融公庫にいたしましても、最後の決定権はいずれも政府が持つております。その理由と考えられますものは、貸付金の貸倒れの危險、この危險負担の帰属でございますが、私どもの現在の考えでは、貸倒金の二割を受託金融機関に負担していただきまして、残りの八割を特別会計が負担する。つまり金融機関としては、割に荷が軽く貸出しができるということをねらつているわけでございます。従つてそういう八割というような大きな危險を負担するわけでございますから、その決定権は政府にとつてあるわけでございます。
  99. 奧村又十郎

    ○奧村委員 関連して……。ただいまの御説明ではちよつと不満足に思います。すなわち法第五條、その五條の表現は、「資金貸付、元利金の回收その他貸付及び回收に関する業務を委託することができる。但し、貸付の決定については、この限りでない。」こういう表現で行けば、これは例外として貸付の決定は政府がやることはあるが、大体農林中金に貸付をやらせる、そういう表現になつている。しかし貸付政府がやるのだという今の御答弁ならば、なぜもつと表現をその通りになさらないか。表現が全然ただいまの御答弁と食い違つているが、その点を明らかにしていただきたい。
  100. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 なるほど御指摘のように、委任します事務の中に貸付という文字が入つておりますので、多少あいまいかとただいま存じたわけでございますが、貸付の決定だけを除きまして、それ以外の貸付に関する事務、たとえば、担保をどういうものをとつたら適当であるかとか、そういうようないろいろな條件があるかと存じますが、さようなものを金融機関に委任いたします。そういう金融機関の意見参考として、貸出しを行うかいなかという最後の判定を、政府が握つたという表現のつもりで書いた次第であります。
  101. 奧村又十郎

    ○奧村委員 それならばこれは表現をかえなければならぬと思う。なぜならば、この貸付の最後の決定は政府が行うということであれば、その回收不能その他貸付による責任は政府が負う。その責任関係が明らかになつて来るわけであるから、それならばこの條項は、貸付政府が行うという意味を明らかにしておかなければ、今のこの表現で行けば、例外として政府貸付を決定するのであつて、そうでなければ原則としては農林中金が貸付を決定するというふうに表現されておる。この條文をかえられるかどうか。今の御答弁では明らかでありませんから、重ねてお伺いをいたします。
  102. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 表現が明瞭でないという仰せでございますが、さつそく私どもも研究いたしたいと存じます。われわれこの表現で考えておりますことは、先ほど申し上げましたように、貸付の決定は受託金融機関にはやらない、政府がすべて最後の決定をするというわけでございます。
  103. 奧村又十郎

    ○奧村委員 それでは辰林金融課長としては、今のこの第五條の表現は妥当でないと思われるのか。その点をお尋ねしたい。つまり貸付及び回收の業務を農林中金に委託することができる。但し貸付の決定については、この限りでない。この限りでないという意味は、貸付は原則として農林中金にやらせるが、この限りでない、つまり政府が決定する場合もある。そういう意味に受取れるので、この表現では妥当でない、こういうふうになるのですが、金融課長としては、これでは今の御答弁とは違うから、この條項は改めると言われるのかどうか。金融課長としてはこの條項では不満足と言われるのかどうか。その点を明らかにしていただきたい。
  104. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 私の考えといたしましては、但書で除きましたのは、委託の但書になると思つております。従いまして貸付の決定については政府は委託しないというふうになりますので、私は現在の表現でいいと思います。
  105. 奧村又十郎

    ○奧村委員 貸付は、つまり委託しない。そういうことであれば、この貸付及び回收に関する業務を、貸付を除いて、しかも貸付の決定についてはこの限りでない、こういうあいまいな字句はやめられたらどうか。つまりそれということは、貸付農林中金に委託すれば、その貸付による責任というものは農林中金にかかるのか、政府にかかるのか、その責任関係が明らかになつて来ないから、この條文では私は不満足である。その点の御答弁はつきりしないからお尋ねしておる。ただいまの御答弁によれば、この貸付という文句ははずさなければならぬと思うが、その点はどうか。——どうも御答弁がないようでありますから、重ねてお尋ねいたしますが、つまり貸付政府が行う、そういうことであるならば、なぜこういうようなまわりくどい「但し、貸付の決定については、この限りでない。」——限りでないというのは、政府貸付の決定をやるのだという表現ではなしに、場合によつては、政府貸付決定をやることもあるのだ、農林中金も貸付をやるのだ、こういうふうに読みとれる。どうしてそういうまわりくどいあいまいな表現を用いなければならないか。こういう表現を使つた理由をひとつお尋ねいたします。
  106. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 第五條は、実は一項ます。貸付というものは当然審査からすべての調査まで政府がやつて、最後の決定をするのだというのが第一項の裏の意味でございますが、この表現はひつくりかえしまして、政府としては貸付の業務を、決定権を除きまして、既存の金融機関に委任するということを書きましたものですから、御指摘のような見解が出るのじやなかろうかと思います。
  107. 奧村又十郎

    ○奧村委員 どうも明らかでないと思います。この貸付による責任関係を明らかにするために、まだ私は質疑いたしたいと思いますが、関連質問でありますから、別の機会に私の時間をいただいて御質問いたしたいと思います。
  108. 清水逸平

    ○清水委員 奧村委員の御質問で、私の聞こうとしているところも聞いていただいたことになりますが、その次にもう一つ、これは中央金庫に伺いますが、ここに御提出の二十六年一月三十一日の主要勘定残高という小さいのと残高試算表、同じく一月三十一日でございますか、こちらは非常に簡略にたつておりますが、総計においてたいへん違つておるように思います。庁方は総計において七百十六億、片方は八百七十七億で、百億以上の食違いが出ております。これはどちらがほんとうなんですか。
  109. 山下利義

    ○山下説明員 時間をとりますから、ちよつと調べさしていただきまして、後ほど御返事さしていただきます。
  110. 清水逸平

    ○清水委員 農林中央金庫は農漁業方面の資金の大部分を担当されております。地方の農協などにおいては、ほとんどこの中金を通じての御融資であると思います。一昨年以来、農協関係にも非常に浮貸しがあつたり、いろいろの事件が起きて、ずいぶん農漁業者に、その経営がよろしくなかつたために、迷惑をかけておるということがたくさんあつたようでございます。しかしこれらも農協という特異性、つまり農民がみんな持つている協同組合であり連合会であるというような関係で、農協自身においてそれぞれ再建に充てられておるだろう。ずいぶん預金の支拂い停止をしたり、一時営業を中止したというようなことを承つておりましたが、それらの農協の復興状態——つまり農林中央金庫のお得意さんに対して、貸出先に対して、そういうことがたくさんあつたわけであります。それらの整理状態等についておわかりになつておることを、一応お聞かせを願いたいと思うのであります。
  111. 杉野精一郎

    ○杉野説明員 お答え申し上げます。私どもといたしましては、昨年と一昨年を比較してみますと、非常に農協の資金関係が悪くなつて来まして、貯金の支拂い資金が一昨年におきましては三月ごろから需要がありましたのが、去年は一月ごろから需要がある。こういう調子で行きますと、本年におきましては、なお早くから貯拂い資金の需要が出て来るのではないかということを憂えまして、昨年の三月に、中央金庫というふうなところだけでなしに、中央の全購連、金販連その他全指連などの地方機関が一丸となつて、これらの不振な組合の再建に努力しなければならないという意味をもちまして、経営対策協議会というものを中央につくりまして、その下部の組織といたしまして、各府県にも対策協議会をつくりまして、上級団体が結束して、不振の組合の刷新に当ろうという運動を起したわけであります。その結果中央金庫に対しては、去年は一月ごろから貯拂い資金の要求がありましたのが、本年におきましては、いまだ九州に一件そういう事態が起つただけでありまして、今後起つて来ると思いますけれども、協同組合の財務処理に関する政令なども出まして、協同組合の経営者といたしましても、非常に緊張した気持を持つておるわけであります。そういう状態でございますから、本年度におきましては、若干の困るような組合も出て来るかとも思いますが、この状態で行きますと、昨年度に比べますれば、非常にいい成績を示して来るのではないかというふうな考えを持つております。何分にも協同組合がインフレの收束過程におきましてこうむりました被害が、相当大きいものでございますから、急にこれを健全なる金融機関に育成するということも、なかなかむずかしいことだ、こう考えられるわけであります。とういう考えをもちまして、再建整備法などの案もあるようでありますが、大体申し上げますと、今申し上げましたような状態でございまして、本年度におきましては、昨年度に比べて相当にいい成績を示すのではないかというふうに、私どもは考えておる次第であります。
  112. 清水逸平

    ○清水委員 なおいただきました資料によつて——私のために御提出になつ資料もございますので、これらについては後日にまた質問を保留いたしまして、一応終ります。
  113. 小山長規

    ○小山委員 私もまだ十分に資料を見ておりませんので少しちぐはぐになるかとも思いますが、まず一番初めに伺つてみたいと思いますことは、提案理由によりますと、農林漁業の生産を維持増強する、こう書いてあるのでありますが、この費用でどのくらいの増産になり、どのくらいの生産物がふえるかというようなことが、計算されたものがあるのでありましようか。
  114. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 土地改良については約十五万石くらいの数字があります。これは後ほどでも資料として、種類別のこまかい資料をお出しいたします。
  115. 小山長規

    ○小山委員 そのほかはわかつておりませんか。
  116. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 そのほかのは、数字の方は基礎はございますけれども、こまかくなりますから、それと一緒にお出しした方がいいのではないかと思います。
  117. 小山長規

    ○小山委員 それではその方は資料で——資料もそういう非常にこまかいものでなくて、よくわかるような資料にして出していただきたい。この金を使つて、それがほんとうに有効に使われる見通しがあるのかどうか。その点を知りたいだけでありますから、その有効性という点について重点を置いて資料を出していただきたい。それをお願いいたします。
  118. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 承知いたしました。
  119. 小山長規

    ○小山委員 それからもう一つつておきますのは、二十六年度農林漁業融資計画という表をただいまいただいたのでありますが、これで見ますと事業費が総額で二百八十五億六百万円、そして補助金が百五十五億六千百万円で、融資額が六十億と、こうなつております。そうしますとこの足りない部分は、この事業費を何によつてまかなう計画になつておるのか。それをひとつお伺いします。
  120. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 この項目の中で、ある部分は八割全額を融資で見ておる部分と、それから見られなかつた部分とございまして、今のところは中金での一般的なあつせんか、あるいは自己資金かのいずれかで、あとの不足分はまかなわなければならないようなことになつておるわけでありまするから、従来の政府部内での交渉の経過から申しますと、ある程度預金部資金の導入を考えておりますので、そういうふうな点でも解決ができる部分もあるだろうと存じます。
  121. 小山長規

    ○小山委員 それではただいまの御説明によりまして、この事業量の部分は、八割までは一応この長期資金で見るが、残りは農林中金の短期融資金あるいは自己資金による。また場合によつて資金運用部の金をまわせばそれで十分である、こういう御説明であるようでありますが、しからばこの事業量というものはどういうふうにして決定され、それからこの貸出しといいますか、この事業量に応ずる貸出しの金額、事業費の金額というものは、どういう筋道を経て決定されたものでありましようか。
  122. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 その資料も、個々にわたりますと非常にこまかくなりますから、後ほど資料として御提出した方がいいと思いますけれども、大体は、土地改良ならば農地局、造林の方の関係ならば林野局というふうなところで、従来から五箇年計画とかあるいは十箇年計画とか、地方庁の方から提出された資料がありますので、その中からその資金量の関係で圧縮されたものを取出して、計上してあるのでございます。
  123. 小山長規

    ○小山委員 それでおよそわかつたのであります。そうしますと、希望者の資金分量を一応査定した数字がこの数字であると、こういう意味でありますか。つまり希望分量はこれよりはるかに大きいのであるが、ここで一応の資金計画を立ててみて、その資金計画にはめ込むようなこういう表ができておるのであるか、こういう意味でありますか。
  124. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 このうちで助補事業に関する部分は、予算の方で、補助金の方が認められた部分です。その部分に査定して限つております。その他の被補助事業については、要求はもつとあつたわけでありますけれども、全体の六十億のわくの中で量を査定いたしました。それで計上したものでございます。先ほどの説明ちよつと不足した部分でございますけれども、二割の部分はこれは必ずしも金融機関であつせんするというふうなことを言つているわけではなくて、このうちで相当地元の労力に依存する部分が多いわけでして、そういうような部分についてはかなり地元の方の労賃をもらつて、それをまた出すという形の部分を考えられます。ただこの融資額のうちで八割見ていない項目があるわけですが、八割までも見るといいながら、資金量が足りないために八割まで見ていない。その点についてはできるだけ八割までは見るようなことは、先ほど申し上げましたように、先になれば預金部資金の導入であるとか、その他一般的な融資の援助というふうなことで解決して参りたい。かなりの部分は労賃部分が相当ありますので、自己負担ができはしないか、こう考えておるわけであります。
  125. 小山長規

    ○小山委員 ただいま申し上げたことは、なおあとで資料を調べまして、さらに追加質問を留保いたしておきます。  次に聞いておきたいことは、この法律によりますと、その他政府の政令でもつて定める金融機関、こういうふうにありますが、これはたとえば農業協同組合であるとか、あるいは農業協同組合の上部機関である信用組合の連合会でありますか、そういうものも含めるおつもりであるのか、そうでないのか、それをひとつ伺つておきたい。
  126. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 農業協同組合及び信連というような系統機関については、ここの表示の中には入れて考えておらないわけでありまして、事実上の問題として中金等が仕事をやつて行く場合に、信連というふうなものとの契約によつて、業務の一部を委託するというふうな形態は考えられますけれども、政府から直接ということは、ただいま考えておりません。條文中でも、そういうような意味で理解せられております。
  127. 小山長規

    ○小山委員 そうしますと、実際問題としては信連が扱うかもしれないが、それは農林中金と信連との契約によるのである、こういう趣旨ですか。
  128. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 そういうふうな趣旨でございます。
  129. 小山長規

    ○小山委員 信連を金融機関としてではないというふうに御解釈になつ根拠は……。
  130. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 これは系統機関でございますので、農林中金に金融機関としてこの業務を委託すれば、ここの第五條で、この最後の貸付の決定は政府で行うというふうなことにもなつておりまして、それで中央で決定するというふうな点においては、中金一本でやつても、事務的にもその他の点においても支障はないというふうに考えておりますので、系統機関というふうな意味でもつて農林中金だけをここでは考えておるわけであります。
  131. 小山長規

    ○小山委員 そうしますと信連は農林中央金庫の窓口である、こういうふうに解釈してよろしゆうございますか。
  132. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 その点については信連と農林中金との間において、そういうふうなことが考えられる。事務の一部を委託するというふうなことを考えれば、そういうふうな形になると思います。
  133. 小山長規

    ○小山委員 次にこの貸付の対象として、農地改良であるとか漁港の修築等がありますが、その他共同施設というのは、これはどういうものを予定されておるのでありますか。
  134. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 ただいま関係方面と大体下打合せをして了解が遂げられておるものとしては、小水力発電、それから北海道における魚田の開発、それから農業倉庫というふうなものでありまして、農業倉庫の中には乾繭倉庫であるとか、木炭倉庫というようなものが入るわけでありますが、そのほかに畜産物の共同処理場あるいは加工場、あるいは製氷冷蔵施設、畜産共同飼育施設というふうなもの、協同組合が行うそういうふうな施設については、農林省としては、この共同施設の中へ入れてもらいたいという意見を持つておりますが、なおこの点については、大蔵省その他関係方面と折衝中でございます。
  135. 小山長規

    ○小山委員 大蔵省のこれに対する御意見があれば承りたいのでありますがが、その前にちよつと農林省の方に聞いておきたいのは、この昭和二十六年度の事業計画の中には、ただいまおつしやつたような小水力であるとか魚田であるとか農業倉庫であるとかいうのは、入つていないように見受けるのでありますけれども、どういうところに入つておりますか。
  136. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 小水力の方はここに融資額二億四千万円というものが一応計上されております。それから北海道魚田開発融資額として九千三百万円計上されております。この二つだけは六十億の資金のわくの中で処理されておるわけでございます。農業倉庫の方は計上されておりません。その他の項目は、預金部資金でも導入の見通しがついたときには、それぞれわくをきめたい、こう考えておりますけれども、ただいまのところ資金の裏打ちがないわけでございます。
  137. 小山長規

    ○小山委員 銀行局長が見えておりますが、預金部の資金法案も提案になつておりますし、それからただいまの農林漁業資金融通法案の提案理由の説明を見ましても、預金部資金を六十億ばかり使いたいという前提で提案されておるのでありますが、これは預金部資金で六十億出すということで資金計画を立てておられるのかどうか。銀行局長からお答えを願いたいと思います。
  138. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 預金部の来年度の資金計画は大体きまりまして、関係方面の了承を得ておるのでありますが、その中にはまだこの特別会計に融通する資金は入つておりません。しかしこの特別会計法にも資金運用部から借入れをするという規定がうたつてありますので、今後の問題としましてできるだけ骨を折りたいと考えております。
  139. 小山長規

    ○小山委員 それはいつか大蔵大臣が説明されたところと非常に違うような気がいたします。いや農林大臣でありましたか、この農林漁業資金の融通については、大体六十億見当は預金部資金からくるものである。それでもつて大いに増産をやるのである。これは農林大臣が本会議説明しているはずです。ただその金額を言わなかつただけであります。でありますから、今銀行局長が言われておるように、何とかこれからひねり出すというのではなしに、もつと積極的にこれには何とかするのであるという決意がなければならぬはずだと思いますが、この点についてはどういうふうに考えておるか。ただ何とか余裕がつけばやりたいという程度でありますか。何とかしてこれだけのものはひねり出すという決意のもとにやられておるのであるか。それをひとつ伺いたいと思います。
  140. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 ただいま申しましたふうに、現在認められております資金計画の中には入つておらないのであります。これはいろいろの政治的関係もあるようでありますから、十分努力いたしたいと考えております。
  141. 山下利義

    ○山下説明員 先ほど御質問の数字を申し上げたいと思います。お手元に差上げました小さな方は私どもの内部で速報と申しまして、できるだけ早く支所、出張所から集まつたものを生のまま出したわけでございます。従つて左の方の借方、右の方の貸方に、本支所勘定というものが両方にございます。残高試算表の方は、その本支所勘定の方を相殺した残高だけをあげてございます。従いましてこの小さい方の本支所勘定二百四十六億から、右の方の百六十億をお引き願つた残りが、残高試算表の支所元金と出張所基金に相当するわけであります。さようなわけで、小さい方が数字がふくれておりますから、御了承願いたいと思います。
  142. 小山長規

    ○小山委員 先ほどの清水委員からの質問に対する答えとして、貸倒れを八〇%は政府が負担し、二〇%は金融機関が負担するという御説明があつたのでありますが、それは法律上どこに書いてありますか。
  143. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 これは第五條の第四項ですが、こういうふうに書き放しになつておりまして、そのうしろの方にそういうふうな二割を農林中央金庫に補償させるということを、明文でうたうかどうかというふうな問題が、法案としては残つておるわけであります。ただいまのところは、一応農林中金と政府との契約によつて、そういうことを明示するという考え方で行つておるわけであります。
  144. 小山長規

    ○小山委員 いやしくも一つの会社なりあるいは個人なりに、義務を負わせるということを法律に明定しないで、それができますか。農林中金はあるいはそれに応ずるかもしれませんが、ほかの金融機関は応じないというようなときには、非常にへんぱな取扱いになつて来はしないかとおそれるのでありますが、それをなぜ明示しないのか。明示しないで、これがうまく運用できるお見通しなのか。その辺のところを御説明願いたいと思います。
  145. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 その点、明示した方が問題ははつきりしていい、こういうふうに考えておりますので、この項は、これははなはだ私たちの手落ちをあれするような形になりますけれども、その点今から政府の提案を変更して、そして再提出という形もとりにくいわけでありまして、その点明瞭にしておく方が法規的にもはつきりするし、すべての取扱いにおいても間違いがないということであれば、御修正を願えれば、非常にはつきりしていいのじやないかと私は考えております。
  146. 小山長規

    ○小山委員 そうしますと、この貸倒れはこのままで行くとどういうことになりますか。このままの法律で行くと、貸倒れがあつた場合にはだれが損失を負担をするか。立案者としては、どういう根処によつてだれが負担するということは、どこかの條文に出ておるはずであるというお考えでおられるか。それはさつきの第五條と関連して来るのであります。その点をひとつ御説明願いたいと思います。
  147. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 第五條の二項に、受託業務に関する準則を定めなければならないという規定があるのでありますが、業務を委託する場合には、業務委託後の業務の執行方法、あるいは損失の負担方法等を規定するのが通例でありまして、二項にありますように主務省令でこれを定める。これによつてその法律関係は、政府と委託を受ける金融機関との間の約款ということになるのであります。
  148. 小山長規

    ○小山委員 しかし法律上明示されないで、ただ今偶然に質問があつたから、貸倒金を八〇%なら八〇%は政府が負担する、あるいは取扱い金融機関が二〇%を負担するという説明があつたから、われわれはわかつたのだけれども、説明がなかつたとしたならば、法律そのものを読んで行く場合には、全額負担ということになるのではないかと思うのでありますが、その点について銀行局長がせつかく答弁されたから、局長の答弁をひとつ……。
  149. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 準則によりまして、政府と受託者との間に一つ契約ができるというふうに解釈いたします。
  150. 小山長規

    ○小山委員 それは契約はできましようが、法律を読んでおるときには、契約の内容に、二〇%はお前の方が負担するのだということは、どこからも出て来ないのですけれども、法律の上でそういうものが出て来ないのに、卒然として議会側から聞かれればそういう約款が出て来るのは、法律上妥当であるか妥当でないのかという問題になつて来ると思いますが、その点どうですか。
  151. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 二割は受託者が負担するということは、これは運用方針を農林省の方から説明されたわけでございます。法律のこれだけの條文からは当然には出て来ない問題であります。
  152. 小山長規

    ○小山委員 これだけの條文で行くと、全額政府が負担すべきだという結論になりますか。
  153. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 金額政府が負担するとも、あるいは一部負担するとも、出て来ない問題であります。
  154. 小山長規

    ○小山委員 その点はあとで委員長にお諮りしてきめるといたしまして、第五條のところも、先ほど奧村君が言つておられるように、非常に表現があいまいなんです。だれが決定するのか——なるほどこれを読んでみますと、貸付の業務を委託することはできるのだというふうに読めないことはない。貸付の業務を委託するということは、法律の権利義務を規定するという建前からいうと、貸付審査と、貸すか貸さないかということを委託しておるのであるというふうに読める。ただ單に貸付の業務、つまりそのほかの点は、申込みを受理する——申込みの受理の仕事がこの前にあるわけであります。申込みの受理かあつて、それから審査があつて審査が済めば、それから普通の状態においては貸付ということになる。その貸付の業務を委託するという場合には、貸付の決定を委託しておるというふうにしか読めないのでありますが、そう思つて読んでおると、その次に「但し、貸付の決定については、この限りでない。」というふうにある。なぜこういうふうな表現をされたのだろうか。これはさつきの説明では私も十分納得できなかつたのであります。「貸付の決定については、この限りでない。」というのは、むろん政府が決定するということに読めるのでありましようが、貸付の業務を委託するという場合、貸付の業務とは一体何か。この内容をお示し願いたい。
  155. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 これは政府は十分の手足を持つておりませんので、全部貸付手続等を委託するのでありますが、但し最後の貸付の決定並びにこれに伴う責任というものは、政府が負うのであるどいう趣旨を示したものであります。
  156. 小山長規

    ○小山委員 それならば、ここで一々具体的に書いてある申込みの受理、これは一番先に起る問題です。そうすると申込みがあれば、一応金融機関として二割負担するという前提ならば、これは貸していい先かどうかという審査の決定をやる。そうしてそれから本省に申請して、今度貸してよろしいというようになつた場合に、その次には貸付の回收、この貸付の回收と申込みの受理と、それから審査、これは非常に具体的な問題です。具体的にこういう業務を委託すると書いてあるが、貸付の業務を委託するというところは、これはおそらくさつきも、奧村委員も清水委員もわからぬと言われたと思いますが、私も二十年間金融機関におつたけれども、貸付の業務を委託すると言つておりながら、貸付の決定をしないということは聞いたことがない。なぜ貸付の決定と業務委託と別に書いてあるのか、この点立案者の趣旨を聞いておきたいのであります。
  157. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 その点については、従来これの運用の仕方についての交渉の経過から申し上げますと、貸付の決定については、農林中央金庫その他の金融機関というふうなものもイエスと言い、政府もイエスと言われた場合に貸付業務を決定される。金融機関はノーと言つて政府はイエスという形では貸し付けられぬ。それから金融機関がイエスと言つても、政府の方から見てノーという場合には決定されないということで、両者の意思がイエスで合意した場合に決定される。こういう方針で貸付を決定して行くということになつておるわけであります。それで貸付の決定について、農林中央金庫その他の金融機関は全然決定権がなくて、政府が單独で決定するというふうなことにはしない。しかしながらその金融機関の方がイエスと言つただけで、政府の方はそのままのむかというと、八割の保証は政府の方でやるわけでありますから、政府もその点だけはどうしても責任を相当重く見てある程度決定をしなければならぬ、こういう形になつておる。そこを法律的に表現する場合、法制局の方でもこういうふうな表現の仕方で大体よかろう、こういうふうなことになつたのであります。今御質問のあつたように、そういう点幾らかはつきりしないところがあるかとも思いますけれども、今まではそういうふうな解釈で来たわけであります。その点文意が非常にわかりにくければ、なお法制局とも話し、私らの方も検討してみたいと思います。
  158. 小山長規

    ○小山委員 それでいきさつだけはわかりました。あくまでも金融機関が貸倒れについて一部負担するのであるという前提が、あなた方の頭の中にあるからそういうことになる。ところがわれわれがそういう前提なしに読むといかにもおかしい。その金融機関が一部負担するのであるという前提がいいか悪いかという議論が、また各委員から出るでありましようが、貸付の委託を受けた金融機関が、一部は負担するのであるという前提でなければ、この第五條の條文ははつきりして来ない。それで金融機関は全然責任を持たない、貸倒れについては全部政府が保証するのであるというならば、この文字はおかしい。一部は金融機関が負担するのであるという前提で、初めてこの文字は生きて来ると私は思うのであります。この一部を金融機関が負担すべきかどうかということについては、私はまだ意見を述べるところまで行つていないので、この点は質問を留保することにいたしまして、一応これで打切ります。
  159. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 その他御質疑はありませんか。
  160. 竹村奈良一

    竹村委員 私はまだ完全に資料を見ていないので、私の言うことは飛び飛びになると思いますが、ちよつと感じたことを聞きたいと思います。  二十六年度の農林漁業の融資計画を見てみますと、たとえば水産業においては北海道の魚田開発、こういうところに非常に重点を置かれておることを見るわけでございますが、これは北海道はそういう特別に融資をしなければならぬ何かあるのか。たとえば国家の全体の予算を見ておりましても、北海道特別開発計画とか、あるいはいろいろな面でこの方に予算がつぎ込まれておるわけでございますが、それだけ荒廃しておるのかどうか。こういう点をひとつお聞きいたしたいと思います。
  161. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 この共同施設のうちで、北海道魚田開発につきましては、過去において見返り資金の方から融資が参つてつたものが、そちらの方が打切られた関係で、これだけが優先して今度共同施設の中に入つておるわけでございます。そういうふうな経過がありますので、ほかとの関係は幾らか均衡を失している部分もございましようが、共同施設の問題は、先ほど申し上げましたように、全体として預金部資金の導入なり、何なりという形で解決するときに、その点も解決して参りたい、こう考えておるわけでありまして、従来からそういう経過があつたのであります。
  162. 竹村奈良一

    竹村委員 結局北海道のこういうふうな共同施設に対する見返り資金が打切られた。従つてそういう方面に対して少々均衡は失するけれども、ここから出した。そうしますと、そういう見返資金が打切られたものに対する見返りとしてのこういう融資計画というものが、幾分かあるというふうに考えるのですが、そういう方面はこのほかにもあるかどうか。その点も伺つておきたい。
  163. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 これは共同施設の中にある小水力発電施設もそうであります。大体そういう経過で入つて参りますのはその二つだけであります。
  164. 竹村奈良一

    竹村委員 それからもう一つつておきたいのですが、この法案を見ますと、これはまあ政策的なことになるかもわかりませんので、もしできれば御答弁願いたい。たとえば「農地の改良、造成又は復旧に必要な資金」、しかもこれに対して、年七分とか六分の利子で、その他のものは五分五厘の利子をもつて貸してやる。こういう場合、現在の政府の農業政策から申しましても、こういう復旧資金がこれだけの利子を拂つてはたして完全に償還できるかどうか。これはできないと思うのです。先ほどからの各委会の質問に対して、その場合においては、もし倒れても大体政府が八割の負担をするという、きものいいことを言つておられるので、それであるならば初めから全額を無利子で国庫負担にされる方が、当然きつばりすると考えるので、私は質問するわけですが、こういうものが返つて来る——造林あるいは漁業、これはわかりませんが、土地改良その他のものにお貸しになつてつて来ると考えておられるのか。これは少し政治的になると考えますが、その点はどうですか。
  165. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 その点については今後の農産物価格であるとか。税の関係であるとか、日本経済全体の動きによつてかなり左右されるとは思いますけれども、土地改良をやつた場合の増産の効果、現在の経済状態が一応継続するものと見て、その効果による收益、そのようなものからこのこのくらいな金利ならば償還できるという一応の研究はやつておりますので、その資料も後ほど整理してお出しいたした方がいいかと思います。
  166. 竹村奈良一

    竹村委員 私は遺憾ながら現在の農業政策、現在の農産物価格、しかも現在の経済状態のもとにおいては、このままではとても土地改良をやつて、その金が元利とも返せるものではないと思うのですが、適当な資料をお出し願えれば、そういうものを出してもらつてから検討したいと思います。  それからもう一つは造林に必要な資金で、これははつきりわかるのですけれども、これと、それからその他のものの利子が違うわけです。たとえば公共事業による補助事業にかかるものが年七分ないし六分、その他のものは年五分ないし四分、この区別は一体どういうところで区別されるのですか。
  167. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 公共事業にかかる補助事業の方は補助金をそれだけもらうわけで、その残額について融資が行われるわけですから、償還能力は幾らか高いわけで、金利を高くしても返せるというようなことは見通されるわけです。それから金利が個々に違うというような点は、先ほど申し上げたような関係で個々の事業別に一応当つてみて、このくらいの金利なら返せる、こういう見通しでおるわけでございます。
  168. 竹村奈良一

    竹村委員 これは先ほど質問があつたので重ねて聞くようですが、もしこれが返せない場合においては、大体政府の方で八割は負担するというようなお話があつたわけですが、それは確実に八割は負担される見通しがあるのですか。その点はどうですか。
  169. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 その点は、償還できない場合には、やはり政府の方で負担するというふうなことになるわけでございます。
  170. 竹村奈良一

    竹村委員 そうすると、これは二十六年度だけのことを聞いているのではないので、この法律は二十六年度でなくなるわけでないから、特にこの点ははつきりしておきたいが、もしそういうことが起つた場合には、毎年その気持で予算的措置をされるのですか。この点を重ねて伺つておきたいと思う。
  171. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 その場合はもちろん予算的措置を講ずることになります。
  172. 竹村奈良一

    竹村委員 私たちはなぜそういうことを聞くかと申しますと、戰争以前、ずつと前の話ですが、自作農創設特別措置法ですか何かで、勧銀から金を借りて、それで農家は経済的に非常に困つたことがあるので、特に私はその点を問題にするわけです。今日借りて土地改良をやると、現在の私の考えではとても利子を拂うほどのことは行政面からはやられていないので、おそらく返すことはできないだろう。そのときにはつきり今日の議事録が生きて来ると思いますが、八割程度は予算的措置をする、こういう気前のよい御答弁を願つて安心するわけです。  もう一つ聞いておきたいことは、小水力発電施設、これがここで見ますと七十五箇所予算に出ておるわけですが、これは現在までどういうように着手されておるのか。あるいはこれから着手されるのか。この点わかつておりましたらお伺いしたい。
  173. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 ただいまその経過とその資料を持つておりませんし、はなはだ失礼ですけれども、私まだ官房長になりましてから短かくて、十分そういう点を聞いておらないので、今度のときにでも御説明いたすようにしたいと思います。
  174. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 官房長にお尋ねしたいのです。資金が六十億でありまして、聞くところによりますと四十億が見返り資金、二十億が預金郎の金だという話ですが、六十億全体のコストはどれだけになつておりますか。
  175. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 趣旨として見返り資金四十億、一般会計資金が二十億——預金部資金はまだ関係官庁、関係方面との話合いが、決定していないわけです。両方ともが無利子でございますから、資金としてはただなわけであります。
  176. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 そうしますと政府資金は無利息でありますが、見返り資金の四十億は例の七分五厘のことになるのでございますか。
  177. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 いやそれも無利子でございます。
  178. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 そうしますと六十億全部無利子なのでございますから、結局この利息というものは事務費、それから貸倒れの見込みのものとの合計なんですが、それは平均してどれくらいに見積つておられるのですか。
  179. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 この特別会計の事務費としては一厘を見込んでおるわけであります。それからあと取扱い手数料として先ほどおつしやつたような保証の関係も含めて、三分というようなことにいたしております。それであと預金部資金の方は、これと同額の六十億円を借りたい。これはすぐでなくても順次借りて行く、こういう方針のもとに預金部資金の方も含めて、それをなべて計算して金利を一応考えておるわけであります。預金部資金の方が六十億入るとすれば、これは六分で入る。そして今の六十億の無利子のものと平均すると三分ということで、一応もとのものを三分として発足したいと考えております。
  180. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 今の官房長のお話はつきりいたしましたのは、三分が預全部へ返す利子、それから三分が委託料、一厘が政府の手数料、こういうことになりますね。——その六分一厘というものでこの金高に割るとこういう利率が出る、こういうことでありますか。
  181. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 個々の金利の方は、一応そういうような点については、先はどお答えしたように個々の事業について経済効果を一応測定して、それで償還期間や金利の点を考慮して、そしてこの程度ならば返せるというような決定をやつたのです。それで六分一厘というのを基礎にして、この金利その他を決定したわけではございません。
  182. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 そうすると六分一厘のネツト、それをこういうふうにして最高最低で貸し付けると、政府としてもうかる計算になるのでありますか。もうからぬ計算になるのでありますか。と申しますのは、もしもうかるのならば、この七分なり六分なりというのを、もつと下げたらいいのではないかという議論がそこに出て来る。利率が低ければ低いほど償還の成績もよくなり事業の成績も上る、こういうことになると思うのであります。それでお尋ねするわけであります。
  183. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 この利率の点は、ただいま答弁にありましたように、資金コストから割出したのではなくて、各事業別に市中金利の現状等も勘案いたしまして、最高最低をきめたわけであります。それでこの中には金利一般の問題といたしまして、貸倒れ保險的なものも入つておりすので、一定期間においては、あるいは余剰を生ずることがあるかもしれませんし、また足りないことがあるかもしれませんが、それは平均して考えて行くべきものであろうと考えます。
  184. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 そういうお答えでありますと、私どもは農林金融の利子というものははたして最高七分、最低六分でいいのかという議論になるのでありますが、私どもはこれではとてもいかぬと思う。これはどうしてもやはり昔の預金部資金を四分五厘くらいで流しておられたあのようなことに行かなければ、今日の農業收益から考えまして、今竹村君からも話がありましたように、どうしてもいかぬのじやないかと考えるのであります。現に今預金部資金を少し御心配いただいて、中金が土地改良へ流しておりますが、これは一割一分か一割二分のものになつておりまして、借りることは借りたけれども、みんな悲鳴をあげておるというのが今の状態でありまして、従つて事業が進捗しない、こういうことになつておるわけであります。でありますから、私はもし資金コストがお話のように六分一厘であつて、それを七分なり六分に貸されて、もうかる部分があるのならば、できるだけ低利なところへ持つて行かなければならないのではないかと思うのです。それで今お尋ねしたのですが、それはそれでいいといたしまして、そこで私は合同審査にかかりまするこの農林漁業資金融通法案につきましては、いずれあさつての機会にお尋ねしたいと思うのですが、今この委員会にかかつておりまする農林漁業資金融通特別会計法案の十五條について、お尋ねしておきたいと思うのであります。この十五條は経費支出についての制限であります。そこでもしこの仕事を引受けた金融機関が、どうしてもべースを上げなければならないというふうなことになつて来ますと、金利は上げなければならないということになると思うのでありますが、これは一体農林省ではどうお考えになつておられるのか。それをお尋ねしたいと思います。と申しますのは、給與を上げますと、そのはねかえりがこの金利に来るのではないかというのであります。
  185. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 今の御質問はつきりさせたいと思うのですけれども、十五條の特別会計取扱政府職員の給與が上つたりなんかした場合に、金利が上るかどうかというふうな問題ですか。金融機関ではなくて……。
  186. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 ここに「借入金の利子及び事務取扱費その他の諸費を支出する」ということがありますが、これは委託費だとか、政府農林省官房の金融課に人を置かれるわけですが、そういうものの経費全部をさされたものでありますか。まずそれをお尋ねしましよう。——委託費は委託費で頭からちやんと三分ときまつてしまうのか。それとも三分というものは標準であつて、事実はそうでないというのであるのかどうか。だからここに書いてあります諸費の内容いかんということになるのであります。——それではこれはあとでもけつこうでありますから、もう一つついでに、政府経費並びに委託費は金融機関の委託料——それがくきづけにされるということになりますと、それを縛られますと、こういうことになる場合があるのではないかと思うのであります。つまり貸付金の利子及び雑收入の收納済額に縛られるということになりますと、その費用の支拂いができないという場合があり得るのではないかと思うのですが、そういう場合はどうなるのか。これは裏からお尋ねしたことになるのですが、これは経費の制限の問題でありますから、利息に影響すると困ると思うので、はつきりさせておきたいと思うのであります。この点はあとからでもけつこうであります。
  187. 小山長規

    ○小山委員 関連しまして……。今の内藤さんの質問でわかつたのでありますが、この六分一厘の利息の計算を一応確めておきたいのです。預金部の利息が三分、手数料が〇・一%、受託者の金利が三%、こういうように私は聞きましたが、それに間違いはありませんか。
  188. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 大体そういうふうな計画で今進めております。
  189. 小山長規

    ○小山委員 それでありますれば今度受託者手数料というのは、おそらく農林中金なら農林中金というものに拂う手数料だと思います。先ほどの話で農林中金なら農林中金——取扱い金融機関は、あなた方の立案者の立場からいうと、貸倒れのときには二割しか持たない、こういう前提で、これは議論の余地があるとして、立案者の考え方では二割しか持たないという前提で立案せられておるのに、貸付総額の三%ということにきめられたのはどういうわけですか。たとえば一千万円を貸し、その一千万円全部が貸例れだつた場合には、二割の二百万円しか農林中金は負担しないにかかわらず、一千万円の三分の三十万円の利息をとる。そうするとこれが二百万円になるのには、七年かかれば全部農林中金はもらつた利息で貸倒れ準備金ができるわけですが、そういう趣旨で三分とおきめになつたのですか。
  190. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 その点については農林中金に限らず、その他の金融機関——とにかく仕事をやる関係でもつて、幾らかの人件費の増加とか事務費の増加とかいろいろな点もありましようし、それから保証の方も二割保証というふうな関係もありますので、その両方を見込んで大体三%くらいというふうな幾らかの資料はございますけれども、そうきちつと説明のつくようなものではございません。まあその程度の見当であります。その二〇%の保証を持つというふうな点も十分見合つた上で、金融機関としては貸付を決定される、こういうふうに考えておるのです。そのにらみ合いでその程度と見ておるわけであります。
  191. 谷井輝夫

    ○谷井説明員 大蔵省の側から今の点を補足して御説明いたしますと、三%と申されたのですが、あれは三%以下でこれを定めるという方針で用意をいたしております。従いまして昨年度におきましては、取扱い金融機関では三%でとんとんでございますが、次年度以降これは十五年もかかりますから、三%をずつと支拂うというたらたいへんな金額になるから、逓減して行く方針にも考えておりますし、それから一つ貸付金額が、たとえば一千万円の土地改良をやる。そういう場合三%ですと非常に高い金額になる。しかし審査手続その他管理回收の処分費は小さい金額でも同じでございますから、そういう点は高い金額のときは三%以下で別に定める、こういう点はまだきまつておりませんが、そういう点で不当に高くならないように計算して定めることになつております。これを委託準則できめられるはずであります。その点補足しておきます。
  192. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 塩見官房長は新任したばかりで、まだ内容がよくわからぬそうです。明日その係の課長が出席して補足するそうですから、きようはどうでしよう。大蔵省の舟山政府委員質問を集中してもらいたいと思うのですが……。
  193. 小山長規

    ○小山委員 よくわかりました。ただこれだけ資料を準備していただきたい。全額政府が貸し倒れを負担するという場合には、一体受託金融機関には何パーセントやるのが妥当なのか。それから二〇%を金融機関が負担する場合には、何パーセントが妥当なのか。その妥当と思われる根拠を、何に幾らかかるんだという簡單な資料でけつこうですから、それをいただきたい。それから預金部の関係で舟山銀行局長にお伺いしますが、預金部利息の三%というものは、三%で預金部資金運用計画が立つのですか。
  194. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 預金部資金をこの特別会計へ貸す場合には国債の引受になるかと思いますが、その場合には大体五分五厘、それから地方債などにいたしましても年六分であります。農林省のお考えは、それを無利子の資本金、つまり見返りと一般会計から出たものとまぜると三分見当になる、こういう御趣旨であります。
  195. 竹村奈良一

    竹村委員 資料をお願いしておきたいと思うのですが、大体農業あるいは林業、水産業、小水力発電施設、この表を出されたが、これに基くこまかい計画、たとえば先ほど申しましたように小水力発電施設では七十五箇所になつておりますが、これがどこで七十五箇所か、そうして現在の状況はどうなつているか、見返り資金はどうなつているか、こういう点の資料をいただきたい。それと先ほど言われました現在の農業生産で見ても、この利子で償還できるという見通しの資料をいただきたい。
  196. 奧村又十郎

    ○奧村委員 この法第三條には貸付金の大体の表が出ておりますが、この種の貸付金については、従来農林中金から相当貸し付けられておるはずであります。そうしますとこの制度ができて、この制度から融資することになりますと、従来行つて来た農林中金のこの種の貸付はおやめになるのか。あるいは並行しておやりになるのか。その点お尋ねします。
  197. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 この融通法ができましたために、農林中金の従来の仕事を制約する情持はないのでありまして、この資金需要に伴いまして、できるだけ各方面から推進して行くというのが趣旨であります。
  198. 奧村又十郎

    ○奧村委員 この法第五條の二でありますが、「受託業務に関する準則」、これが明らかでないと十分審議ができないと思うのですが、この準則の案くらいはおそらく立案されておると思うので、この準則の案を明朝お出し願いたいと思うが、その点は準備はできておるかどうか。
  199. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 十分練れた案ではありませんが、草案はできておりますので、お目にかけたいと思います。
  200. 奧村又十郎

    ○奧村委員 法第五條「貸付の決定については、この限りでない。」この問題で先ほどいろいろ議論したのでありますが、先ほどの農林省の融資課長説明によりますと、貸付の決定については政府がやる、決して農林中金に委託するのではないということであります。それならばなぜ貸付の決定は政府かこれを行うというふうな表現をしないのか。「この限りでない。」というような持つてまわつた表現をなぜ使つたのか。この点をお尋ねしたが、明らかでなかつた。これが明らかでないと、貸付に関する責任がどこにあるのか明らかにならぬことになるので、その点銀行局長の御答弁を願います。
  201. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 この特別会計は資本は全額政府が出資いたしまして、政府の責任において融資するのでありますから、この第五條において特に委託することだけをうたいまして、但書で元へもどりますれば、その責任は政府に帰属するということは、この法文上明らかであると考えておる次第でございます。
  202. 奧村又十郎

    ○奧村委員 私がお尋ねしたのは、貸付の決定は政府が行う。これは明らかになつておる。それならなぜそれを法文に明らかにしないか。今の法文の表現であれば、「貸付の決定については、この限りでない。」この限りでないという表現では、貸付の決定は政府が行うのであり、その貸付の決定による責任は政府にあるのだという意味が十分盡されていないと思う。なぜそれをもつとはつきりと規定されないのか。その点をお伺いしたい。なぜ「この限りでない。」というような表現を使われたのか。
  203. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 それは書きようは、但書で行く方法と、これこれを除きという書き方と両方あると思いますが、私はどちらの書き方をとりましても、委託することについての除外例を設けるのでありまして、原則に帰つて政府貸付の決定について責任を負うという趣旨が、表われておるのじやないかと考えております。
  204. 奧村又十郎

    ○奧村委員 どうもまだ十分でありませんが、それじや少し尋ね方をかえてお尋ねします。貸付の決定の責任はもちろんそれじや政府にある。條文は拔きにして政府にあるとしまして、そこでこの貸付によつて将来起るべき貸倒れが起つた場合の責任はもちろん政府にある。その全額は、政府が貸倒れなどの損害は政府が受けることになるのであるか。どうも先ほど来の御答弁によると貸倒れの八〇%は政府が負う、こういうふうなことで、いかにも農林中金にすべて請負わせるような御答弁があつたやに伺うのであるが、この点はどうなのかお尋ねをいたします。
  205. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 貸付の決定は政府がするのであるますから、その貸付の回收不能等の責任は政府が負うわけであります。しかしただそれだけの方法で参りますると、たとえば情実的貸付その他によりまして、不当な貸付が行われることがあつてはなりませんので、この運用におきまして損失が起つた場合、その二割は受託者が責任を負うのである。いわばほかの場合に行われているパーテイシペーシヨンの融資の例をお考えくだすつたらよいのかとも思いますが、委託関係で責任の一半を受託者に負わす。そうすればあまりむちやな貸付は出ないであろうというふうに思います。この貸付の決定は一応第五條第一項によりまして、政府が負うのであります。しかし運用におきましてこの受託者の同意を得て、その損失の中の二割は受託者が負うということにして、運用上の適正を期しておる次第であります。
  206. 奧村又十郎

    ○奧村委員 この條文上で見ますと、あくまでも政府農林中金に委託するのである。そうすれば貸倒金は、その損害は金額当然政府が負うべきである。そういう條文の建前になつている。たとい二割であつても、その二割を農林中金がその損害を受けるという意味合いの規定は、この條文の中には何ら表われていない。その二割の損害を農林中金が分担するという規定は、この條文の中のどこに表われているか。その点をお尋ねいたします。
  207. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 その二割を農林中金が負担するという点は條文には表われておりません。これは第二項におきまして、運用政府と委託を受ける者との間の契約によつて定めて行こうということであります。
  208. 奧村又十郎

    ○奧村委員 相当これは重大な問題と私は思うのです。それを法文上に表わさずに準則に讓つておるという行き方については、私は疑問があるのでありますが、どうも同僚議員がすでに一度お聞きになつて留保されておるようですから、私もこの点は留保いたしておきます。  それから融通法案の方では、主務大臣は、農林大臣及び大蔵大臣の共管になつておる。ところが特別会計の方は、農林大臣がこれを管理するということになつておる。そうすると、責任関係が明らかでないと私は思います。特別会計における損失と申しまするか、責任は農林大臣が負う。しかもその融通法の方は、農林大臣、大蔵大臣の共管である。この点はなぜ一本になされないのか。その点をお尋ねいたしたい。
  209. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 この特別会計の方は、いわば農林省所管に属しまする事業を、特別会計を設けて実施するのでありますから、農林省所管であります。それから農林漁業資金融通法につきましては、これは農林省一つの行政事項でもありますので、また金融に関係するところが非常に大きいので、大蔵大臣がその意味において、ひとつの俗にいう片棒をかついでおるわけであります。
  210. 奧村又十郎

    ○奧村委員 そういたしますとその融資その他において、特別会計において損失が現われて、それが政府の行政上の責任を問われるということになる場合には、それは農林大臣がその責任を負うのであつて大蔵大臣はこれに対しては責任を負わぬのかどうか。
  211. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 特別会計の責任は農林大臣が負うのであります。
  212. 奧村又十郎

    ○奧村委員 私まだ農林中金のこの資金運用の今後の見通し、これはこの特別会計と関連してお尋ねいたしたい。その他質疑がありますが、明日に譲りまして、私の質疑はこれをもつて終ります。
  213. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 本日はこれをもつて散会いたします。     午後三時五十七分散会