○深澤委員 もう一点お伺いいたしますが、
高橋長官はいろいろな御
説明の中に、善良なる
納税者に対しては、できる限り寛大の処置をとるというような意見を言われたのであります。つまり納める、納めないということ、そういうことを道徳的に善良であるかあるいは不良であるかという観点から、あなたはお
考えにな
つておりますが、そうでなしに、現実の問題は税金が非常に重くて、一般の生活は非常に苦しくな
つておるというのが問題なんであります。
政府の方では
所得が非常に増大したと見るが、しかしこれは一部の特需
関係の人たちの
所得の増額であ
つて、全般の国民はむしろ物価高騰によ
つて非常に苦しんでおるわけでございます。
従つて税金を納める、納めないは、道徳的に善良、不良という観点から
考えるべきではなくて、国民生活の実態を私は
考えなければならぬと思うのであります。この点はどういうふうに
考えておられるか。ややもすれば納めない者は不良である、納める者は善良であるというような言葉が出るのでありますが、私はそういうところへこの税金問願についての
基準を置かれると、非常に
実情に即さない
やり方になるのではないかと思うわけです。私の聞きたい焦点は、国民
所得は全般的には五、六千億増加したという観点を持
つておられるのですが、しかしそれは国民のごく一部の人々であ
つて、国民全体はかえ
つて賃金はくぎづけにな
つておる、物価は上
つておる、こういう
状態の中で非常に苦しんでおることは
間違いない事実であります。
従つて税金が今度の税法改正によ
つて多少免除されたといたしましても、これは大蔵大臣がこの席上で御
説明にな
つておるように、国民生活が安定するか安定しないかということと、税金が安くなるかならないかということは、
関係はないのであります。とにかく国民生活がたとい苦しかろうとも、今度の税法においては減税ということには
間違いない。しかしそれによ
つて国民生活が楽になるか、あるいは非常に苦しくなるかということは、別な問題だというふうに言われておるのであります。私はまず国民生活の実態は、国民
所得が上
つたとは言いながら、個々の特に中小企業あるいは農業等の一般の人々については、物価高と収入がくぎづけされておるというような
状態の中で、生活は苦しいのだ、だから税金が納められない者は全部不良である、納める者は善良であるという観点から
考えられると非常に
間違つておるのではないかと
考えておるのですが、その点についてはどのようにお
考えになりますか。