○竹村
委員 大臣は、物価が上
つたから賃金が上
つた、そういうふうに
考えたくない、一応物価は横ばいで賃金が上
つた、こういうように言われるのですが、この問題について議論をいたしましても、おそらく
大臣と私との
考えは一致しないだろうと思います。私は現在では物価は非常に上
つておる。昨年の十二月と現在と比べるならば、消費者物価は相当上
つておる、こういうふうに
考える。しかも消費物価の上りと賃金の値上げとは、物価が上
つただけ賃金が上げられているかというと、必ずしも上げられていない。たとえば給與ベース一つにいたしましても、私はその
通りであろうと思う。おそらくこの三月、四月になりますならば、このままの賃金、このままの給與ベースでは、おそらくその人たちの生活は非常に苦しくなる。
従つて私は、当然給與ベースも改訂されるべきものである、あるいは賃金も上るべきである、こういうふうに
考えるわけですが、その場合におきましても、今
大臣が源泉
所得で四、五十億
予算よりも多くとれると言われましたが、むしろもつと多くとれるのじやないかと
考えるわけでございます。そういたしますと、たとえば勤労
所得で、
予算上におきましては、昨年度と比べまして百三十二億減税にな
つておる、こう説明されております。しかし税法上から見たならば、
政府は三百何億か減税になる、こういうように
言つておられますが、これはこの間平田さんともずいぶん問答をしたわけでありますけれ
ども、たとえばかりに物価は二割上
つた。二割上
つたといたしまして、この二割だけの賃金が上
つたとしますと、一万円の給料取りは一万二千円とれるようになる。そうすると今まで一万円の給與
所得者は、現在の改正税法によりまして四百五十円の
税金を払う。つまり夫婦と子供二人で四百五十円払うことにな
つておる。ところが今度物価が上
つたがゆえに、一万二千円の給料をとるようになると、結局改正税法によりましても、七百九十円の
税金をかけなくちやならぬ。一万円のものが一万二千円にな
つて、これはもちろん二千円多く給與をとるようにな
つたんだから、
税金は改正しても七百九十円かけるのがあたりまえで、前の税法では一万円で六百八十三円であ
つたものが、今度は一万二千円で七百九十円になる。つまり百七円多く
税金をかけなくちやならぬことになるのでありますが、そういたしますと、税法上でとかその他の問題でなしに、実際上労働者の生活から見ますと、一万二千円と
つたならば二千円
所得が多くな
つた、こういうように
考えますけれ
ども、結局と
考えますと、物価の上
つただけ給料がよけい上
つて、税法では改正されても、改正しないところの一万円もら
つたときよりも、百七円
税金を多くかけなくちやならぬ。もちろん税法上には七百四十何億か減税にな
つておると、先ほどから
言つておられますけれ
ども、実際勤労者の面から行きますと、物価が二割上
つて賃金が二割ぐらい上
つたといたしましても、実質上には減税にはならぬ。
税金は安くならぬ。これが議論の中心なんです。先ほどから松尾さんにもいろいろ御
答弁されておりますが、つまり減税とは、
政府がこの
予算書でも説明なれておるように、あるいは
税制改正の提案理由の説明にもありますように、結局国民負担の軽減である。これが減税の根本である。そうして資本の蓄積ということにな
つておるのですが、実際は国民負担を軽減するというものが減税でなければならぬ、こう
政府は
言つておられる。そういたしますと、私が先ほど例を引きましたように、これは実際上には減税にならぬ、実質的な減税でないと
考えるのでありますが、
大臣は一体どういうように
考えられますか。