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平田政府委員 お尋ねの関税定率法の
改正の問題は、
相当重要な問題でございまして、今
政府におきましても細部的に案をとりまとめ中でございます。実は率直に申し上げまして、関税定率法の税率が、大分最近の事情に合致しないものにな
つておりますので、今少しく早く成案を得て、
国会の御審議を煩わすつもりでいたのでございますが、各方面と関連が深くてなかなかまとまりがつかなくて、今まで延び延びにな
つて来たのでございます。しかし何としましても不合理が多いので、私
どもとしましては今度の
国会にはぜひ
提出いたしまして、できる限り最近の事態に即応した新しい関税率にいたしたいということで、目下とりまとめ中でございます。そういたしまして、その中でどういう点がおもな
改正事項かと申しますと、今
宮幡さんから御指摘があ
つたような点が、私
ども重大問題と考えておるのであります。
まず第一は関税定率法で今定めております従量税、これはインフレの結果非常にノミナルなものにな
つておりまして、関税率としての意義をほとんど果しておりません。
物価が二百倍近くにな
つたに伴いまして、関税率が
実質上二百分の一に下
つておる。こういうような結果にな
つて、ほんとうの
意味におきまして関税率としての効果を有しておりませんので、これを最近の事態に応じまして、妥当な関税率に修正するというのが第一点でございます。
それから第二点は、その反面、今の関税定率法並びにぜいたく品等に対する特別課税とい
つたようなものがございまして、最近の世界の関税率の傾向から申しますと、高過ぎるものが実は一方においては
相当あるのでございます。これは従価税方面において特にそうでございますが、そういうものにつきましてはこの際
相当引下げる。最高今まで一〇〇%ぐらいでございましたものを、五〇%ぐらいにするというつもりで引下げたいと考えております。
それから第三点といたしましては、一般的に最近の産業の実態等を考えまして、日本の産業の保護ということをやはり中心にいたしまして関税率を考えたい。その際におきましては、もちろん保護を要する産業と保護を要しない産業、それから保護育成をはかりましても見込みのあるかないか、そういう点を各品目ごとに検討いたしまして、それぞれ妥当な関税を定めたいと考えております。その際におきましても最近の世界の傾向が、やはり関税率はなるべく低くするという傾向に戦後な
つておりますので、でき得る限りそういう方針に従いまして、日本としては、しんぼうしきれる限りの低い関税率でも
つて産業の保護育成をはか
つて行こう、こういう
考え方でそれぞれ各品目につきまして妥当な税率を定める考えで、案をつく
つておる次第でございます。
それから次は、その中で食糧の問題でございますが、食糧は御承知の
通り日本の食糧事情が戦後まだ十分回復しておりませんで、むしろ食糧の
価格は公定
価格等の
関係もございまして、国際
価格よりも日本の
価格が低くな
つております。と同時に、外国からは
相当多量の食糧を入れなければならぬ、こういう事情でございますので、ここ当分のうち、実際上関税はかけない方が妥当じやないかということで、大体こういう趣旨の取扱いにいたしたい。つまり日本の主食に属する米麦等でございますが、そういうものの国内
価格が国際
価格を下まわ
つている間は、関税を免除または
軽減するというような規定を、関税定率法に入れまして
措置いたすようにいたしたい。そういうようなことを主食につきましては考えておりますが、将来の問題といたしましては、つまり基本的な問題としましては、やはり日本の農業は
相当保護の必要があるのじやないかという
考え方で、それぞれ物によりまして一割ないし二割、小麦と粉とは二割ないし二割五分
程度の基本関税率は、一般関税定率法に織り込んで行きたい、かように考えておる次第であります。
最後に各種の関税率に関連いたします国際協定との問題でございますが、これは率直に申し上げまして、いま少しく講和條約等の問題がはつきりいたしませんと、私
ども具体的にどうということは申し上げにくいと思いますが、気持といたしましては、なるべく早くそういう協定に日本としても参加し得ることが非常にいいのじやないか、そういうふうに極力進めて行くようにいたしたい。御指摘の
通り今関税及び貿易に関する一般協定、いわゆるガツトと称しておりますが、その協定と国際貿易機関に関する協定がございますが、そういう機関にでき得る限り早い機会に参加し得るように希望いたしております。そのためには関税定率につきましても、最近の事態に即応する合理的なものにな
つていなければ、非常に不合理が多うございますので、何といたしましてもそういう
前提といたしましても、この際関税定率法を全面的に
改正いたしまして、入りやすいように
措置いたすことが、当面の問題としては重要ではなかろうか。このように考えておるのでございます。