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1951-08-06 第10回国会 衆議院 水産委員会 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年八月六日(月曜日)     午前十時五十五分開議  出席委員    委員長 冨永格五郎君    理事 鈴木 善幸君 理事 松田 鐵藏君       石原 圓吉君    小高 熹郎君       川端 佳夫君    川村善八郎君       久野 忠治君    田口長治郎君       田渕 光一君    永田  節君       平井 義一君    小松 勇次君       水野彦治郎君    井之口政雄君  出席国務大臣         農 林 大 臣 根本龍太郎君  委員外出席者         議     員 中村 純一君         水産庁長官   藤田  巖君         農林事務官         (水産庁次長) 山本  豊君         専  門  員 徳久 三種君     —————————————  漁業制度に関する件  漁業経営安定に関する件  水産金融に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  派遣委員より報告聴取  濫獲漁業阻止対策費等に関する件     —————————————
  2. 冨永格五郎

    冨永委員長 これより水産委員会を開きます。  議題に入る前に一言ごあいさつ申し上げます。  今回米国政府陸軍省の招聘によりまして、国家漁業政策の立案、国際漁業厘委員会協定もしくは条約締結等に資するための水産指導者渡米視察に際し、衆議院からは不肖私と鈴木委員がその選に入り、来る十一日羽田空港から渡米することに相なりまし右。皆様にごあいさつ申し上ぐることが非常に遅れましたが、これはNRSから申し渡されたのが六月二十三日であり、外務省に通達されたのは七月十一日であつて、時たまたま国会が休会中であつたために遅れた次第でございます。渡米目的米国合衆国、上、下両院水産委員会、国務省の水産関係官業界人一般公衆と直接面接し、あるいは視察し、米国官民日本に対して抱いている態度と要望を知り、日本漁業政策の樹立あるいは国際漁業協定締結に資するためでありまして、視察もしくは研究事項の詳細は三箇月の日程を終えて帰つてから御報告申し上げることにいたしたいと思います。なお委員各位におかれては歓送会等のお催しをくだされました御厚意に対しては、この機会に衷心より御礼申し上ぐる次第でございます。  次に私が渡米後任委員長決定までの委員長代理を定めておかねばならないので、二回理事会を開いて協議いたした結果、理事松田鐵藏君にお願いすることになりましたので、御報告申し上げておきます。
  3. 松田鐵藏

    松田委員 ただいま委員長より渡米のごあいさつがありましたが、今回私が北海道調査行つた節に一番痛切に考えたことは、北海道が一番地域差のために重油の値上の高いことでありまして、この点に対する解決の方法は、小樽港及び室蘭港の浚渫でありまして、およそ両方とも二億五千万ぐらいあれば完全なる浚渫ができて、しかしてタンカーの入港ができ得るように計画されておるのであります。タンクの点に対しては、小樽は四万トンの容積を持ち、また室蘭は約二万トンの容積を持つておるのでありまして、アメリカの船及び日本タンカー浚渫さえでき得れば、そこへ重油を持つて来るのが可能なのであります。こういう点に対するアメリカ当局意向というものに対して、十分に当委員会からの意向陳情されて、おみやげとして持ち帰るようお願いいたしたいのであります。
  4. 冨永格五郎

    冨永委員長 了承いたしました。
  5. 石原圓吉

    石原(圓)委員 私はこの際水産議員連盟決議によりまして行動いたしました点を御報告かたがた委員諸君並びに水産庁当局善処を希望するものであります。それは今回吉田総理を初め講和条約のため渡米をする、その講和全権代理と申しますかオブザーヴアーと申しますか、その名前はまだきまらぬようでありますけれども水産関係の有力な人がそれに参加すべきであるということが強い要望でありまして、それは国際的に漁業以外にただいま他の何ものよりも強い関係を持つものは、運輸以外にはないと思うのであります。ことに漁業関係におきましては、諸外国が非常な注目をいたしておることは、御承知通りであります。今回の講和条約によつて外国の有力な関係者がみな一所に集まるわけであります。この際わが国より適当なる水産代表オブザーヴアーもしくは全権代理を出して、そうして諸外国の情勢をよく樽俎折衝のうちに、腹のうちをよく探つて来て、そうして漁業条約協定用意をするのに最も必要な時期であると考えるのであります。このことは水産議員連盟の全員の要望であります。ゆえに私は過日自由党の広川総務会長及び増田幹事長会つて、よくこのことの要望を申し入れたのであります。その内容は、簡単に申しますると、広川総務会長は、よく相談するということでありました。増田幹事長は、どうも短時日であるからあなたの言うような目的が達せれらるかどうか、こういうような意味のことを言うておつたのでありまするが、とにかくも目的を達するとか達せないとかいう見込み程度で、このことをよしておくということはよくないことである。よつてこの際ぜひとも参加せしむべきであるということを強要をいたしたのであります。それはあえてわれわれ参衆両院議員からでなくてもいいのでありまして、最も日本漁業のために、水産のために権威ある効果的な人を参加させたらいいと思うのであります。もしそれができないならば、幸いにも参衆両院から四人の水産委員アメリカへ行かれるのでありまするから、出先においてその講和条約オブザーヴアー参加をして、そうして十分認識を深めて来る。研究をして来るということが最も妥当であると思うのであります。私の聞くところによれば、木村内閣委員長のごときは出先において参加するということを開いておるのであります。そういうことであるならば、われわれ水産常任委員長及び委員、この諸君の全部もしくは一部が出先において参加をして、十分諸外国のこの漁業問題に対するところ意向に対して、先地において親しく調査研究をしてもらうということが最も妥当であると思うのであります。あるいはまた議員以外においては、水産庁長官とかあるいは社会のうちのだれか代表であるとか、民間の漁経連代表とか、とにかくだれかこの際行くべきものであると私は思うのでありまして、一応党の当局へは申入れておきましたが、委員長初め委員諸君もこの点に御協力くだされまして、また水産庁当局もこれに十分の御協力をあられて、そうして実現せられるように強く要望するものであります。
  6. 冨永格五郎

    冨永委員長 了承いたしました。
  7. 石原圓吉

    石原(圓)委員 次に日本機船底引漁業協会及び漁業経営者連盟その他底びき関係の各団体上り、この際漁場制限撤廃に関することを強く講和条約にあたつて要望をするという点並びに漁船操業区域制限早期撤廃に関する件等陳情連盟に対してあつたのでありまして、これも最も妥当であると思うのであります。最近の講和条約草案によりますれば、マツカーサー・ラインは解決されるようにも思われるのであります。かりに解決された場合に、日本漁業者の出漁に対する自衛的な非常な用意がいると思うのでありまして、これらは水産庁当局において非常な重大な問題として取上げる必要があると思うのであります。これがかりにマツカーサー・ライン撤廃されて、そして中共のごときは、日本の沿岸まで自分の漁場であるというような乱暴な主張をした場合に、それを黙認しておる場合には、日本のの漁業なるものは全滅するおそれがあるのでありまして、これらに対する用意は今より必要があると思うのでありますが、水産長庁官におきましては、これに対して何らか用意があるでしようか。もしこの際御説明ができるならば、その力容の片鱗でも、さしつかえない程度に御発言を願いたいと思うのであります。以上であります。
  8. 小松勇次

    小松委員 関連して。このたび委員長初め水産委員諸君渡米されるということは、いろいろ漁業協定問題等に対する意見の交換のために、相当われわれは成果を上げていただくことを期待いたしておるのでありますが、たまたま過般対日講和条約草案が発表せられまして、この草案におきまして、私ども領土の問題その他の問題、安全保障問題等、幾多の疑義があるのであります。ことに領土問題等につきまして、千島列島は全然わが領有から離れるということについては、漁業上大きな影響があることは申すまでもないのであります。そのほかこの講和条約草案の九条によりますと「日本国は、公海における漁猟の規制又は制限並びに漁業の保存及び発展を規定する二国間及び多数国間の協定締結するために、希望する連合国との交渉をすみやかに開始するものとする。」とあります。近く最終的の草案が発表されるそうでありますが、その草案はどうなつておるか存じません。この草案によりますと、私どもは今日かような条項が掲げてあります以上はただいま石原委員からの御意見もございましたことく、いずれかの国からすみやかに講和条約締結後においては、この漁業協定の申出があることと存じます。こういう際に対してわれわれは用意をしなければならぬ。水産庁としてはこういう用意があるかどうか、まず私はこのことを承りまして、お話によつて再度質問をお許し願いたいと思います。
  9. 藤田巖

    藤田説明員 お答えをいたします。まず第一点のマツカーサー・ライン早期撤廃の問題でございますが、これについては日本政府としても従来たびたびこれを要望して来たところでございます。もとより私どもも、漁業の現状からいたしまして、できる限り早くこれが撤廃を希望するものであります。ただ講和条約締結を間近に控えておりまして、それ以前にマ・ライン撤廃ということに相なりますると、極東委員会においてこれを取上げ、決定していただくというふうな問題も出て来るわけであります。ことに私どもの最も関心を持つておりますマツカーサー・ラインの問題は、実は今回の講和条約参加しない国との間に、また参加をし得ない国との間に起ることが多い。そこらに非常にデリケートな問題がたくさんあろうと思うのであります。従つてどもといたしましては、これをいかなる形でどういうふうに話をするかということについて、よほどよく考えて、それがデリケートな問題を伴うものであり、また逆効果になりまするとかえつて困ると考えますので、そういうふうな扱いをどういうふうにしたらばいいかということについて、現在私どもといたしましても、外務省方面とよく相談をしてみよう、こういうふうにいたしておるのであります。まだ機会はございませんが、十分相談をいたしまして、できる限り早く趣旨が達成いたしますように努力して参りたいと思つております。  それからその他の国との間の協定の問題でございますが、これも私どもといたしましては、当然講和条約と並行し、またはそれにすぐ引続きまして漁業協定の問題が起つて来よう、おそらくアメリカカナダ等、あるいはまたさらに進んでは中共あるいはソ連等との関係が出て来ようと考えております。それぞれ事情がいろいろ違つております。一律にも参らぬと思います。が、私どもといたしましては、あくまでもやはり公海漁業は自由な建前に立つて、しかも国際的な義務は守るという大前提で、将来日本として一番重要視しておりますところ漁業発展に支障のないような協定をつくりたい、かような根本的な考え方で、今いろいろと研究をいたしております。まだ具体的の案はこれを決定するまでになつておりませんが、その点については、今後も十分研究をいたしまして、万遺憾なきを期したいと思つております。なおそれまでの間、いわゆる講和条約が成立し、しかもマ・ラインがはずれた場合のあとの問題についての日本漁船の保護の問題、これも非常に重要な問題になつて来ようと思います。これらについても、私どもとしていろいろ考えておるところもございます。これはまた予算等にも関連をする問題であわけであります。十分慎重に研究いたしまして、遺憾のないようにやつて参りたい。この程度で御了承願いたいと存じます。
  10. 冨永格五郎

    冨永委員長 この場合委員長よりお諮り申し上げます。委員外中村議員から発言を求められております。これを許したいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 冨永格五郎

    冨永委員長 それでは発言を許します。
  12. 中村純一

    中村純一君 委員外発言をお許しいただきましたことをまず感謝いたします。  去る七月に来襲しましたケイト台風に伴います水産関係被害、その公共事業面におきます被害につきましては、すでに各位承知通りでありまして、本委員会の絶大なる御援助によりまして、それぞれ復興の緒につきつつありますることは、被害地の者といたしましてまことに感謝にたえないところであります。しかるところこれに関連いたしまして、一つ特殊の被害がありまするので、この際本委員会の御了解と、また絶大なる御援助をお願いいたしたいと考えまして、ここに発言のお許しを得たわけであります。簡単でありますので、陳情書を朗読いたしましてお願いにかえたいと思うのでございます。    陳情書   去る七月来襲したケイト台風の通過に引続いて約二十日間愛媛県地方に降り続いた豪雨のわが水産関係に及ぼした被害は、予想外に甚大であり、これが復旧対策に苦慮いたしておる次第でありまして、ここにその実情を述べ、当局の御援助を仰ぎたく陳情申し上げます。   本県南部豊後水道方面は、県内漁獲の七〇%を占めるいわしの好漁場でありまして、毎年四月ごろより漁期に入るのでありますが、本年は若干時期が遅れ、しかもその初期においては回遊状況が非常に悪く、漁民も心痛しておりましたところ梅雨期に入り、漁撈の模様も漸次好調を示したので、この機に数箇年続いた不漁を一挙に挽回せんものと大きな期待を持つてにわかに活況を呈し来つたのでありました。   しかるところ、長期降り続いた豪雨のため、当地特産日乾製法による煮乾いわしの生産はまつた見込みなく、製造過程においてすべて腐敗醗酵し、肥料にするほかなく、現実に乾燥不能となつたのであります。   さらに漁具は御承知通り使用の都度天日乾燥を必要とするものでありますが、これもまた連日の降雨のため、ぬれたまま使用または積重ねたため、そのほとんどがむれ、腐敗して、漁具として使用価値のないものとなつたのでありますが、これに種々くふうを講じて、若干数の網も出漁しております。しかしこの腐敗漁網使用しているため、現在の好回游状況から推し、漁獲のあるは  ずにかかわらす、渡網は破れ、水揚皆無の状態であります。これら漁具損害は、実に五百三十四統、約三千万円の驚異的数字を示すのでありまして、去る昭和二十四年六月のデラ台風被害いまだなまなましき現在、再度その大被言をこうむり、決定的打撃のため、漁民はまつた自力更生が望めない実情であります。   つきましては、これら羅災漁民を救済し、前述の窮状打開の道として、すみやかに左記対策を講じられるように切に御願い申し上げる次第であります。  一、漁網購入資金融資の方途を講じられたい。  二、融資を受けた資金より生ずる利子補給の道を講じられたい。  三、合成繊維漁網へ転換する者に対し、購入費の一部助成の道を講じられたい。以上であります。何とぞ本委員会の絶大なる御援助をお願い申し上げたいと思うものでございます。
  13. 川端佳夫

    川端委員 ただいま中村議員から陳情の件につきまして、今ちよつと数字の点の間違いがありましたから訂正いたしておきます。それは漁具損害は実に五百三十四統、三億九千百万円でありますから、この点を訂正いたしておきます。こういう莫大な損害であります。しかも愛媛県の最も重要なる漁場損害でありますから、早急に対策を議せられんことをお願いいたしておきます。
  14. 冨永格五郎

    冨永委員長 中村議員川端委員陳情については、よく了承いたしました。善処いたしたいと思います。
  15. 石原圓吉

    石原(圓)委員 先刻の引続きでありますが、私は講和条約が成立すると同時に、一番神経をとがらせ、過敏にするものは、漁民大衆であると思うのであります。第一中国、朝鮮、ソ領方面オホツク海等いずれもが、漁業条約というものに対する問題はあとまわしであります。この問題は日本の七、八割の漁業者の重大な利害、いわゆる生活問題に直面しておりまして今日まで講和条約が成立しないから、まあ何とかなるだろうというようなことで楽しみにしておつたところが、漁業条約には大体それに対する国民が安心するような問題が織り込まれてないということになれば、そこに初めてみなが失望する、刺激を受ける、こういうことになると思うのでありまして、これに対するところ対策用意は、水出産庁におきましては重大なる問題として取上げねばならぬと思うのであります。万一政府にもての対策がなし、また関係の各国との条約にあつても、不参加の国のみが大部分漁業関連を持つというこの情勢かりいつても、水産庁は漫然としておる時期ではないと思うのでありまして、この点は強い意味こおいて私は急速なる善処方要望するものであります。ことにまたかりにマツカーサー・ラインが撤去され、そこで中共等日本漁場へ進出して来るという場合、それをどうして防禦するのか、漁船機関銃やその他をすえつけるわわけにも行かないでしよう。また日本の従来の水産庁の取滞船、海上保安庁の取締船の大体の今日までのやり方はわかつておるのでありまして、それにまかせて安心であるかどうかという点あります。あくまでも私は漁業者と官との強力なる、いわゆる共同的な漁業を守るところのひとつの設備が必要であると思うのであります。これらのことに対して水産庁はどういう構想を持つておるのか。今日ただいまその構想説明できなければ、すみやかにその案を立ててこの委員会秘密会等で発表硬いたいと思うのであります。  なお私が先刻申しました講和余約に対して、オブザーヴアーもしくは代理その他の形式において水産関係者を出すということについては、願わくば本日この委員会の御決議願つて政府当局要望するよう希望するものであります。  なおもう一つ、私はこの際水産庁当局にお尋ねがあります。それは最近琉球、小笠原勘その他が日本に帰属のために血をはくような運動をし要望をいたしておるのであります。そのうちにも奄美大島のごときは、断食をしてその実現を期するということになつております。これらはいずれも水産に重大な関係を持つところの住民が多数でありましてこれに対しては、水産庁は何らかの関心を持たなければならぬし、何らかの手を打たなければならぬと思うのでありますが、これまたいかような手段を講じておられるか。もしそれに対する手放を今日まで等閑に付しておるのならば、これは怠慢ととわなければならぬと思うのであります。よつてこれに対しても十分善処方を希望するものであります。ただいまの各件につきましては、ただいま即答を要望するわけではないのでありますが、但し答弁さえすればあとはいいというような考え方でやつてもろうては困る問題であります。いずれも重要な、緊急な差迫つた問題であります。どうか御答弁の願えるものは願いたし、願えないものは他日に讓つて、適当な機会に御発表願いたい。ただいま申し上げましたアメリカへのオブザー・ヴアーの問題は、委員長におかれても、どうかお諮りの上本席で御決議を願いたいと思います。
  16. 松田鐵藏

    松田委員 私は石原委員の動議を提出された、オブザーヴアー決議ということに対してほ賛成をするものであります。委員長においてとりはからいをしていただきたいと思うのであります。  次にマツカーサー・ラインの問題が出ておりますが、この点は、日本の国が無条件降伏をしたものでありまして、この無条件降伏の問題は、もはやわれわれ論議するに及ばないのであります。ところが誤てる考え方から、今日本国内において輿論が二つにも三つにも割れております。かようなときにおいて、先ほど長官が言われたように、非常にデリケートな問題が惹起するものでありますから、いましばらくの間このマツカーサー・ラインの問題についてわれわれが水産庁に対して、答弁を要求することは不当だ、いなすべきじやないと思う。いましばらく講和条約の推移を見て、その後においてやるべきが穏当であつて、今日本国内においてかような議論をされることは、無条件降伏をした意義がなくなることと思うのであります。最も慎重にわれわれは連合国意向をただして行かなければならぬ。その後においてあらゆる努力をしてやるべきがわれわれのとるべき道だと考えておるのでありまして、参考までに申し上げます。
  17. 冨永格五郎

    冨永委員長 自席に着いたまま暫時休想いたします。     午前十一時二十七分休憩      ————◇—————     午前十一時二十八分開議
  18. 冨永格五郎

    冨永委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  本委員会におきましてはさきに鮭鱒孵化水産養殖事業機船底びき網及び旋網漁業の整理その他に関する現地調査のため議長の承認を得まして、先般来各地に委員派遣を行いましたので、本日はまず派遣委員調査報告を聴取することにいたし、しかる後これに関連する諸問題につきまして委員の発表なり、政府当局に対する質疑に入ることにいたしたいと思います。  調査報告を求めます前に大臣から発言を求められております。これを許します。根本農林大臣
  19. 根本龍太郎

    根本国務大臣 先般の内閣の改造によりまして、不肖私が農林水産方面を担当することになりました。現在わが国はいろいろの重大問題があるのでありまするが、特に農林水産関係は最も複雑広汎な問題を控えておりますので、これが打開はなかなかむずかしい問題でありますが、私は懸命の努力をいたすつもりであります。特に水産関係におきましては、従来のマツカーサー・ラインが、さらに、講和調印、さらに批准を得ますれば、これがおのずからまた別個の問題として取扱わなければならぬ状況になるのでありまして、従いまして調印後さらに日本漁場の問題その他の問題が、種々国際会議において問題になることと存じます。批准の後におきましては、正式に漁業協定その他の問題が出て参りますので、十分それに対処すべく、これから検討いたしたいと思つております。特に水産委員会の方におきましては、従来からいろいろと御研究がありますので、国会意見をも十分に付度研究いたしまして、貴意に沿うようにいたしたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。(拍手)
  20. 冨永格五郎

    冨永委員長 それでは調査報告を求めます。鈴木委員
  21. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 東北班国政調査委員派に関しまして御報告を申し上げます。私の担当いたしました国政調査の概要についてまず本調査のため調査地における各L、の御当局はもとより、県議会、地元市町村首脳部の方々や県漁遺連の幹部、地先漁民多数の御協力と御便宜とを得まして、まことに感謝にたえないところであります。  本班において派遣を命ぜられました委員は、小松委員林委員と私の三人でありまして、専門員室よりは加藤調査主事を随行いたさせ、水産庁よりは高橋漁業調整第二課長に同行を願つたのであります。  調査目的といたしましては、去る六月八日より十七日までの十日間にわたり、福島、岩手青森秋田山形、新潟の六県における内水面漁業、特にさけますの孵化養殖や業の実地調査に主力を注ぎ、漁業制度改革実情等について詳細にわたつて調査いたして参つたのであります。  まず本班が調査いたした結果を総括的にとりまとめて申し上げますと、次の三点に要約することができます。すなわち一、新漁業制度改革に伴い、さけます。孵化養殖事業がいかに運営されているかどうか。二、さけます孵化養殖事業の運営が技術上合理化されているかどうか。三、新漁業制度改革に伴い、内水回漁業権調整が順調に進んでいるかどうかの三点であります。  第一点について、本班は特に岩手県においては大槌川、織笠川、津軽石川、青森県においては奥入瀬川上流相坂川並び秋田県にまたがる十和田潮秋田県では雄物川、山形県においては月光川並びに日向川、新潟県では三面川の各水系におけるさけます孵化養殖場をつぶさに調査いたしましたが、いずれも関係地元漁民が、本事業について数十年来多大の犠牲を払い、幾多の障害を排除して今日までその維持、保全に努め、並々ならぬ苦労を重ねつつある姿にはまつたく敬服にたえず、深く感銘いたして参つた次第であります。  孵化場の経営については、福島県を除く各県とも県営のさけます孵化場を持つておりますが、大体に民営のものと協同組織によつて経営するものとがあつて、特に岩手県大槌川においては大槌町営をもつて運営しております。すなわち同事業の公益性を十分に認識する地元住民の熱心な協力によつて魚族の繁殖保健並びに培養に努め、永続的最高度の漁獲高を保持せんとする関心が漸次高まりつつあることを見のがせないのであります。  しかしながら青森県の奥入瀬川、秋田県の雄物川、山形県の最上川、福島県の阿武隈川等の大河川のごとき、魚族の溯上距離の広範囲にわたる水系においては、産卵期の密漁濫獲を防止することがなかなかの難事であり、この点について新漁業制度改革を契機としてこれが調整をはかる上に苦労を要している実情であります。  その一例を申し上げますと、青森秋田の両県にまたがる十和田湖のごときは、まさにその代表的なものであります。既往六十年来ひめますの孵化養殖事業を個人で経営し、同湖養殖事業の開拓者である秋田県側に住む和井内氏と青森秋田両県に住む湖畔の住民とが、新漁業権をめぐつて紛争を続け、その調整に両県当局も苦慮いたしている現状であります。その詳細な御報告は省略いたしますが、ともかくこの際、中央監督庁として水産庁においてすみやかにこれが円満な解決をはかるため適当な措置を講じられるよう要望しておきます。  また水産資源の保護、培養の見地から、河川におけるさけ、ますの孵化養殖事業については、下流、特に河口海面において漁業を営む漁民の同事業に対する深い認識と協力とが絶対に必要であります。これは同事業の成果に至大な影響がありますので、この点についても、各地において関係者と十分懇談して参つたのでありますが、下流及び河口漁民のなお一層の協力要望するものであります。  次に第二点としては、各孵化場の沿革は、新潟県の三面川さけ人工孵化場の七十二年を初めとし、秋田県花館孵化場の五十五年、青森県相坂養魚場の四十九年等、北海道のこれに劣らざる相当長き歴史を持つておるにもかかわらず、技術並びに事業の運営については、北海道とは地理的諸条件と相違するが、はるか後進の感がありますので、経営当事者並びに技術者の真撃な勉強と一層の研究とが必要であると痛感いたして参つた次第であります。特に岩手県における孵化場のごときは、今回本班の調査を契機に大いに発奮するところあり、ただちに先進の北海道に技術者を派遣して、優秀なる技術の導入を実行してくれたその熱意に対しては、まつたく感激にたえません。この点、専門家の高橋課長が終始大班の調査協力されたたまものによるもりと、特に申し添える次第であります。  次に第三点の漁業権特にさけ、ます、あゆ、こい等の人工孵化によつて増殖をはかる必要のあるものについては、「つくらざるものは食うべからず」のたとえのごとく、これら魚族の保護、培養をはからない者には漁業権を与えない趣旨を徹底する建前からして、最も真剣に考えねばならないところであり、この点については各地とも関係漁民の自覚がよほど進んでいるよりに承知して参つたのでありますが、まだまだ地方住民に徹底しておらぬうらみがあるようで、この点水産庁よりの指導が大いに必要なり思われるのであります。  なお特に申し添えたいのは、水力発電及び灌漑用の貯水ダムに真に実効ある魚梯を設け、魚類の溯上をはかるここでありますが、このためには新設ダムの場合はもとよりのこと、既設のものについても、形式に流れ、まつたくその効果なき不完全な魚梯については、その改善方策に関し、すみやかに所要の法的措置を講ずるの要切なるものを痛感いたして参つたのであります。  また沿岸漁業においても同様でありますが、内水面漁業においては、特に水質汚濁の防止に関し最も重要な問題でありますので、この点についても岩手秋田山形等の鉱毒またはパルプ工業その他の排泄物により、水質が汚掬して、年々魚族の繁殖を妨げ、著しい漁獲高の減少を来している所もあつて、内水面漁業の将来を危うくするものであり、まことに憂慮にたえない次第であります。  よつて報告の結論として、内水面漁業の健全なる発展をはかるためには、人工孵化養殖の拡充と水質汚濁防止の強化とをあわせて積極的に推進する必要があると認め、全国に国立人工孵化場を設置するとともに、水質の汚濁防止については強力にしてかつ実効のある魚族の増殖保護をはかるために、すみやかに水産資源保護法等の制定を必要とすると思うのであります。右御報告をいたします。
  22. 冨永格五郎

    冨永委員長 次に小高委員報告を求めます。
  23. 小高熹郎

    ○小高委員 国政調査九州班を代表いたしまして、調査の大要を御報告いたします。  本班の参加委員といたしましては、水野、小高の二人でございまして、地元委員として、長崎県においては田淵委員参加せられたのでありまして、随行者としては中山調査員と、水産庁安倍技官を同行せしめ、日程の関係で福岡、長崎、熊本、鹿児島、宮崎、大分の六県を七月三日より十四日までの十二日間に現地調査を実施して参つたのであります。何にいたせ調査希望箇所の多いのに反し、調査日数の少いために、時間的にはなはだ制限せられ、地元漁民要望通り調査とその百パーセントの声を聞かせていただくことができなかつたこと及び熊本県より以後は強風、特に豪雨にたたかれ、汽車、電車及びすべての交通機関は不通になり、道路も通行不能に陥り、心ならずも鹿児島県、宮崎県及び大分県の調査予定地を変更または中止のやむなきに至つたことは、本調査中最も残念に感じたところであります。しかし県当局を初め県議会、漁連の方々及び地元漁民の絶大なるお力添えによりまして順調に調査が進み、予想以上の効果をあげ得たことは感謝にたえないところあります。  以下日程順に申し上げますと、長崎県の調査は、最初長崎市の市議会会議室において県知事ほか水産部長、漁連会長ほか韓部、各漁業協同組合長及び会社代長並びに漁民の方々多数お集りの席にて、長時間話し合つたのであります。水産不振の時期だけに始終活発なる御意見か続出したのでありますが、おもなるものを申し上げますと、日韓貿易の件でありますが、これの輸入額二千万ドル中に含せれている水産加工品の煮干いわし及び乾のりの三百万ドルの輸入は、双方いずれも零細漁民とその家族の従事する生業でありまして、この点をよく考慮せられ、これが輸入にはぜひ再考をされたく、もし再考の余地がない場合においては、相当期間前に関係業者に輸入時期、品目別数量、単価等を知らせていたたき、乾のり等については相当の関税を考慮され、業者の不利を少しでも緩和されるようにしてほしいとの強い要望があつたのであります。この件は浅海養殖漁場の多い福岡、佐賀、長崎及び熊本各県共通の問題でありまして。有明海並びに不知火湾の主要漁業であるたけに、関係十万漁民の打撃は大きく、この要求も当然と考えますので、これが解決の必要性を痛感した次第であります。  次に島原地方事務所において有明海沿岸の佐賀、長崎の両県の関係漁民と海区調整委員及び県庁担当職員と、話し合つたのでありますが、瀬戸内海に次ぐ漁業の複雑な有明海だけに種々の問題もありましたが、調査目的機船底びき網漁業の件についてのみ申し上げたいと存じます。この海区の底びき船の多くは、戦争中のものではなく、戦後のものが多く、終戦までは満鮮漁業協会及び会社等に所属していた漁業者が、朝鮮及び満州を基地とし、東支那海において操業していたものでありまして、講和締結により東支那海が公海として自由に漁業ができるまでの暫定期間の漁業であると主帳しているのであります。有明海においてはえび漕網漁業がおもなものでありまして、これが漁獲物は一本づり及びはえなわ漁業等寸の餌料用として不可欠な関係があり、また御承知通り、しばえび類は一年生棲息のものでありますから、これに依存するものが多いのでありますが、しかし一方熊本県のように、たとえ小型であろうが、無動力であろうが稚魚をとる漁業は一切禁止整理しなければ、この海区の零細な一本づり及びはえなわ漁業者は破滅するとの強い意見もあつたのであります。いずれにせよ五ポイントの線に沿わねばならない現状でありますので、科学的調査と並行して、これが整理にあたつては転業資金の早急獲得は目前の主要問題として解決を迫られているわけであります。  次は大牟田市役所においてはちようど有明海連合海区漁業調整委員会が開かれていたので、各県代表委員及び大牟田市の首脳部と会談する機会を得たのであります。その席においては、関係者より有明海連合海区漁業整委委員会及び事務局を常置するための予算的措置が講ぜらてれていないから、急速にこれが実現されたく、その要望があつたのであります。熊本県においては、県庁にて本土の漁民と懇談したのでありますが、有明海関係漁民は底びき船全廃論を主張されていたことは島原市のところにて述べた通りであります。  次は他産業との関係で、解決には相当の努力を要する全国的にある問題でありますが、干潟による浅海養殖業事者と農地用干拓関係者との紛争があるのであります。この干拓事業は九州にては熊本県、佐賀県、大分県等が大きくこの影響を受け、漁民が相当の損害をこうむるか、またはこうむらんとしているのでありますが、何ら救いの手は差延べられていなく、この熊本県においては不知火湾に面する浅海及び干潟にて養殖地一万三千町歩はのりに適し、特に菊地川尻は優秀なるのりの種付場であり、のりの生産は種苗の良否により支配されるものであります。この種付場に干拓工事が数年前に計画せられたのでありますが、種付場の必要性と漁業に対する反響を了解せられ、政府当局は五箇年間の工事を中止していたのでありますが、今年より工事を強行するとのことにて、わずか五百町歩の農地をつくるために、年産三億枚ののりのほとんどは失われ、これに従事する漁民三万はその生活を脅かされるわけであります。これも大きな問題で、干拓工事の中止か、補償かの手段を考慮してやるべきであると感ずるものであります。  翌日は朝早く熊本市を出発して、有明海岸を調査しつつ三角町に至り、県監視船にて八代湾を航行、離島天草郡牛深町に到着、ただちに漁業者と懇談したのであります。この町は離島最大の漁業基地で、いわしの施網漁業を主たる漁業としているのでありますが、最近の不漁等により、漁業経営の破綻からこれが対策に転業資金として中長期低利資金を融通してもらいたいとの強い希望があつたのであります。  翌日鹿児島県の取締船に乗り、阿久根に向つたのでありましたが、折柄暴風のため波が高く、寄港危険のため予定を変更して串木野港に到着し、漁港を視察したのであります。この漁港は枕崎市と並び県下取大の漁港であり、漁業基地であるが、港の半分以上は砂に埋れているため漁港としての価価が半減し、これがため殷盛をきわめた同市も今では貧縮し、昔の面影はないありさまであります。そのため同港の改修の促進をすみやかにはかつてやるべきであると考えるのであります。  次に枕崎市における懇談中、同市においては漁業の盛んな市であるに似合わず、金融機関一つしかなく、金融的には非常に不便を感じているのでありまして、中央において強力なる漁業金融の対策及び水産倉庫を利用するところの金融を講じてもらいたい等の意見があつたのであります。  宮崎県にては青島と門川及び延岡市、土土呂の各漁港の実情調査したのでありますが、宮崎県は台風の通路になつておりますので、毎年漁船及び漁業施設の損得はなはだしいにもかかわらず、漁港として完備したるものがまことに少いというありさまで、県においても優秀なる漁港を設けて漁業発展に資する必要があると認められるのであります。  大分県においては、豊前海方面の浅海増殖についての目的で、高田町浅海漁業研究所と長州町に参りまして、研究所長の研究結末と浅海開発増殖計画を詳細に聴取し、ついで長州町にて浅海漁業関係漁民代表者と懇談したのでありまして、その内容とするところは、豊前地区は干潮時の干潟総面積は三千八百町歩で、水深五メートル線までの面積は実に七千四百町歩に達するものでありまして、現在自然発生の水産動殖物は、あさり、はまぐり、ばか貝等の貝類及びのりそのほかの海草藻類の多数に及んでいるのであります。もしこの干潟二千百町歩耕作するとすれば、最低貝類九百六万貫、また百町歩ののりの養殖をすれば、三千五百四十万枚が生産され、毎年三億六千万円以上になるわけであります。これを開拓することによつて、瀬戸内海における行き詰まつたびき漁業の転換に苦しんでおる多数漁民も救われるわけであります。この地方におきましては、特に小型機船底びきの整備問題とこの浅海漁業の開拓による解決について力点を加えたのでございます。科学的調査も完了しているこの養殖事業には、国家的援助を与えるべきであると思う次第であります。  以上で各県別の調査報告を終りたいと思いますが、最後に特に一言いたしておきたいことは、新漁業制度改革に伴い、漁業経営の円滑なる発達を期するためには、漁業権証券の早期貸金化並びに中長期低利資金の融通の実施については、本班調査各地における共通の意見並びに希望でありますので、私どもはこれにこたえるために、政府協力一致して実現を期したく考えた次第でございます。  以上で私の報告を終ります。
  24. 冨永格五郎

    冨永委員長 次に松田委員の御報告を求めます。
  25. 松田鐵藏

    松田委員 川村委員、田口委員と同道して、七月二十日に東北海道、それから膽振地方の調査に参りまして、昨日帰つてつたのであります。漁業制度改革に伴つてどの程度漁業が進んでおるか、漁業水産施設がどの程度の容貌を持つておるか、協両組合の育成強化の点に対してどういうようになつているかということの調査に対して主力を注いだのであります。  第一に、漁業制度改革実施に対して、今や漁業権証券の交付の時期も定まつて、定置漁業権の認可申請も出ておるのでありますが、北海道におけるおもなる制度改革に対しては、ほとんど認識があやまつておるのでありまして、法の精神がいまだ認識されていないのであります。またボス的存在が多分に含まれていることを強く感じたのであります。北海道に限つては、もう一度これをよく徹底させてやらなければならない、かように考えられる点が多々あつたのであります。  第二は、漁業権証券に対する考え方は非常に真剣で、この証券を有意義に使用するという意見が各地ともほうはいとして進んでおるのでありまして、非常にうるわしいことと考えられるのであります。  第三は、漁港に対しての早期完成と新規の着手ということに対しては、御承知通り北海道はまことに漁港の数は不足でありまして、一町村といえども十里から十五、六里の沿岸を持つておる町村がたくさんあるのでありますが、これらに対しては急速にこの実施完成をさせてやらなければならないと考えて参つたのであります。また最近われわれが調査に行つたとき、漁民に対して政府及び道当局にまかせ切りであつては、とうてい漁港というものは完全なる修築はでき得ないのである。漁民みずからの手によつて、あらゆる協力をすることによつて初めて漁港ができ上るものであるという指導を昨年やつてつたために、本年は各地に行きましても、二年振り、三年振りにハラストを勤労奉仕によつてつており、その予算をできるだけ補うようにしようという考え方をもつて協力されておることを非常に強く感じたものであります。  次に協同組合の強化の問題に対しては、われわれは強く要望して参つたのでありますが、いまだに漁業違反をあえてする者があり、また漁港に対しても協力をしないような点に対しては、あらゆる面から言つて漁港の修築もしてやらない、予算面においてわれわれは削るであろう、何をおいても漁業違反をしないようにということを強く言つてつたのでありまして、漁業違反もたいへん少くなるような傾向にあつたことを非常に喜ぶものであります。それゆえに漁業協同組合の育成強化も成り立つこととわれわれは考え、またそれを強調して参つたものであります。  次に北海道国立試験場の予算は、ほとんどゼロにもひとしきようなわずかの予算が計上されておるのでありまして、一例を申し上げるならば、あすこの国立試験場の水族館は物置きになつておるような状況であります、そうして非常に参考になるいろいろな魚族を見ることもでき得ないような状態になつておるのであります。また大体において八海区が均等された予算でまかなわれておるというようなことは、国立試験場を建てた理由が一つも意味をなさぬのでありまして、従来の行き方からいつたならば、その活用は三分の一にも減じているような姿であります。この点農林大臣水産庁長官はよく調査をされて、ここに重点を置いて考えていただきたい。さようにわれわれの調査の結論が出ておるのであります。  次にさけの孵化事業については、北海道漁民は、この点は徹底した程度まで孵化事業の重大性、有意義なること、またこれをやらなければならないということに対して、非常に大きな期待と協力をしておるのでありまするが、これに対する政府のいま少し強力なる裏づけをしてやつていただきたい、かように考える点が多くあるのであります。  次にはまことにまずいことでありまするが、北海道におけるあらゆる漁業に対して、内地漁船が非常なる乱暴な方法をもつてつて来ておる。たとえて言うならば、これは漁船の船名もわかつておりますが、さけの流し網に対しては塩だけを持つてつて北海道漁民の網を夜間において取上げる、そうしてその綱をもつて漁業をしておつた、それがつかまつた。こういうような実例もあり、また網に対して、とつたあと大きな石をつけて海の底へ沈めてしまつて、またそれが発見されて捕せんとするときには、石をぶつつけて逃げ去つたというような漁船もあるということを聞かされておるのであります。かような行き方はほとんど宮城県の漁船であると言われておるのであります。われわれはこの点に対しまことにまずいことと考えて参つたのでありまして、かような県の漁民に対しては、あらゆる施設に対して、金融に対して、漁港に対して、港湾に対して、予算をつけべきじやないという考えを持つているのであります。かような点がたくさんあるのであります。  またもう一つは北海道の小手繰網の転換でありまするが、これらも内地の漁船に貸したものに対しては、その船らが今でも操業して、幌泉沖に来ており、しかもしけになれば、幌泉沖には入港せずに、沖合でとまつているという無暴なやり方をしている漁船がたくさんあるということが報告されておるのであります。  次は制度改革に伴つて定置漁業の認可申請に対して、大資本、大会社の進出が相当あるのであります。林兼、日魯、日水等の資本が相当北海道に流れておるのでありまして、これを善意に持つて行く場合においては、私どもは非常にいいことだと考えまするが、たいていは非常なあくどい方法をもつてこれを経営しておる。かような点は制度改革を阻害するものではなかろうかという考え方を持つてつたものであります。また大会社が北海道の沿岸漁業まで進出しておる例がはつきりと現われて参つたのであります。たとえば林兼が小樽において、釧路において、自己が直接経営しておるさばの旋網が六箇統であり、傍系会社にやらしているのが三箇統こうした方法によつて沿岸漁業の領域まで大資本漁業が進出しておるということは非常にまずいことではないかという考え方を持つてつたと同時に、各地における漁民もこれに対しては反対の意向を持つているようであります。北海背けに対しても十分とこのことを警告を発して来たような次第であります。  それから次には各漁業協同組合の長期にわたる資金を築磯漁業に対して融資をしてもらいたいという要望がたくさんあるのでありまして、沿岸漁民に対する最もいい方法と考えておるのでありますが、農林漁業特別融資のあの制度においては、この築磯漁業に対しては融資の道が絶たれておるのでありまして、こういう点に対して農林大臣水産庁長官においてはこれもその中へ入れていただくように善処をしていただきたいと考えるのであります。  北海道を全般的にながめる場合において何といつて取締船が不足であるということを痛感され、またそれが輿論であつたのであります。水産行政の最も重要なる点は、取締船の増強でありまして、本年度の予算に対しては、特に農林大臣はこの点に対して強力なる政治力を発揮して、取締船の新造と強化をはかつていただきたいと思うのであります。  次に、知床半島の状況調査いたしましたが、羅臼、ウトロという所はほとんど人が行かない所でありまして、調査などということはほとんどあり得ない所でありますが、幸いにして非常な天候に恵まれ、ことにあの知床半島の迂回をやり、つぶさにその調査をしたものであります。この点に対して、この地方は漁業に対する発展の道は非常に多いのでありますが、ただ道路がついていないことによつて、そのとつた魚も無価値の安値に売られるような傾向にあるのでありまして、羅臼、ウトロの間にはルシヤという所がありまして、ルシャを通ずる迂回道路をつくることによつて、初めてあの地方の開発ができる、しかもその所は千五百町歩の農耕地であり、またウトロのわきに千四百町歩の農耕地あり、現在住民が農業を営むときにおいて、北海道にかつて見られない反当り六俵、七俵の麦ができる。それから硫黄山があるために非常に地熱が高い。北見市、網走市などの地方よりも暖かい、かようなことが言われているのでありまして、この迂回道路ができることによつて初めて開拓者も入ることができ、魚もただちにトラツクによつて運搬することもできる。かように北海道開発のためにこの羅臼、ウトロの迂回道路の必要ということの認められる点がたくさんあるのであります。  次に、北海道全体の問題といたしまして、地域差による重油の高いことでありまして、この点は小樽室蘭の港には、小樽には四万トンのタンクがあり、室蘭には二万トンのタンクがあり、外油を輸入してもただちにこれに対する輸入ができ得る設備があるのでありますが、両港とも一万トン級の船をつけ得ることができない浅い所になつておりまして、双方とも二億五千万くらいの浚渫すれば、ただちにこの両港の設備を利用することができ得るということでありまして、一年の重油の値ざやが約九億北海道にあるのでありまして、急速に両港の浚渫をしていただきたいという大きな要望があつたのであります。  次に太平洋沿岸において、また北見沿岸において、小にしん網が立つために、せつかく養殖したさけの子が相当漁獲される。かようなことは、一方において繁殖保護及び孵化事業をやつておるのに、混獲されるために非常なる迷惑をしておる。漁民そのものも、とんでもないことだという考え方は持つているが、網に入ると、弱い魚なるがためにすぐ死んでしまう。かようなことを苦慮されておるのでありまして、一定の期間だけこの小にしんの漁獲を禁止する方法を考えたらどうかという考え方を私どもは持つたのでありまして、この点御研究をしていただきたいと考えるものあります。  次に、各地におけるほたて貝等の養殖事業は、真剣に考えられておるような次第でありまして、各漁業協同組合もわずかな資本をもつてこれを行つておるような次第であります。例年の水産庁の予算の中にも、こうした養殖に対する補助の面が講ぜられておるのでありまして、こうしたことが、零細なる漁民を救う唯一の問題であり、またこうしたことがほんとうに漁業発展を期することであるがために、養殖事業に対する予算というものを大幅に拡充する必要があると認められるのでありまして、農林大臣水産庁長官は、十分これに対する御研究を願いたいと存ずるものであります。  次に、北海道におけるさんま漁業の問題であります。本年は八月の二十五日という期間の制定を見たのでありますが、われわれはこれに対して俸受網の禁止ということを北海道においても力説し参つたのであります。資源維持の建前からやらなければならないという考え方を持つたのでありますが、根室だけがこれに対して反対の意向を持つてつたのであります。あとの釧路や粛舞や落石の漁民は、秘魚を濫獲し、資源維持を妨害するような今日の建前であるから、棒受けを禁止するのが自分ら漁民としてもなすべきことだという結論を申しておつたのでありますが、根室だけはこれに対して反対の意向を持つてつたのであります。われわれは全国の漁民がかように真剣に考えておるのに、一地方のものだけがこれに反対するようだつたならば、その地方のものだけは、十月一日まで期間を与えないでやる方が、最も理想的な考え方だと結論をつけて来てやつたのであります。大体これなりば承服するだろうと思います。  次に新聞にも出ておることでありますが、稚内において漁船が拿捕され、その漁民が三十人ほど初めて帰されたという記事を見て参つたのでありますが、これらは何のために拿捕されたかということであります。これらは完全にマツカーサー・ラインを越えて行つた者でありまして、かような漁民がおつては、日本漁業集約も非常にめんどうな段階になるのでありまして、日本全体の漁民のためには、さような者に対しては漁業許可の取消しをすべきがほんとうでないかと考えられる点があるのであります。これは林兼の船が支那海において船団を組んで出漁したと同じ意味合いでありまして、かような漁民に対しては、強く戒めなければ、日本漁民の真の姿が現われて来ないとわれわれは考えておるものでありまして、この点は水産庁長官、農林大臣において、この政策に対する強行をしていただきたい、かように考えておるものであります。  また洞爺湖において、発電会社が、洞爺湖の水の落し口に対して電気網を使用して魚の流出を防禦しようというまことに愚かな考え方をしておるのであります。かようなことは北海道庁へ呼びつけて、そうして、電気網の使用を禁止するように会社に対しても申し渡して参つたのでありますが、洞爺湖の漁民が完全に魚を取り得るように、水の落し口に入つて来ないように、われわれはその防禦の方法を指示して参つたのであります。これはむしろ金がかからないでそうして完全に落し口に落ちない方法を、私と川村代議士がよく注意をして参つたのでありますが、ただ大会社が金を出すからかんべんをしてくれとか、かような考え方を持つようなものが多いのでありまして、かようなことでなく、徹低した技術において養殖事業の保証を行つてやらなければならないと考えておるのでありまして、これは全国にあることだろうと思うのでありますが、水産庁としても十分考慮を払つていただきたい、かように考えるものであります。  大体かようなことでありますが、私の結論は、漁業制度改革に伴つて北海道はまだこの精神をはつきり認め得ないで、保守的存在によつて相当まじめ制度改革ができていないように見受けられる点が一つと、北海道国立試験場の事業に対する予算をもつともつと強力にやつて行かなければならないということが一つと、取締船の増強が一番大事であるということ、大体この三つが一番重要な点と考えられるのでありまして、調査報告をすると同時に、幸い農林大臣もおいでになつておるのでありますから、水産庁長官とともにこの点に対する絶大なる政治力を発揮されて、善処あらんことを要望しておきます。
  26. 冨永格五郎

    冨永委員長 なお瀬戸内海方面の調査につきましては、調査報告かまとまり次第、適当な機会委員会に発表なり、また会議録に掲載方とりはからいたいと思いますので、御了承願います。     —————————————
  27. 冨永格五郎

    冨永委員長 次に濫獲漁業阻止対策費等に関する件でありますが、現下水産業における重要問題といたしまして、漁業制度改革に伴う諸施策、濫獲漁業の阻止対策水産業協同組合の再建整備等々、解決を要する問題が多多あるのでありますが、目下政府においては来年度予算の編成と並んで今年度予算の補正を検討中でありますので、これら対策の裏づけどもなるべき予算措置について、まず当局の方針を承りたいと存じます。——その前に川村委員より発言を求められておりますので、これを許します。
  28. 川村善八郎

    ○川村委員 私は松田委員とともに北海道の北端を調査して参つたのであります。大要につきましては、松田委員から報告になわましたから、重ねて申し上げません。ただ幸い農林大臣が御出席でありますので、農林大臣に特に要望意見を申し上げたいと思います。  先ほども問題になりましたが、領土の問題あるいは将来講和条約締結公海漁業の問題については特段の配慮を願いたい。これが一点。  さらに私が今度調査に行つて一番感じましたことは、まだ北の海には、ラインが狭まつたといえども、相当に開拓する余地があるのであります。それには漁港の修築と、先ほど松田君が言いましたように道路の問題であります。それらを開発いたしますれば、相当の農耕地の開拓ができる。特にあの知床半島は、先ほど松田君が言われました通り、われわれは農耕地になるところは一画所もない、かように考えておつたのでありますが、今度行きまして三千町歩以上の農耕地の開発が、わずか二十四、五キロ道路をつけることによつてできるということを見て来まして、非常な有望な地である。従つて機会がありますれば、この方面の漁業調査と、それから農耕地の開発の調査のために、大臣もしくはそれ相当の技術員なり、あるいはその他の方を派遣してもらいたい。これが私の要望であります。これを全国の漁業に結びつけて考えましたときに、一方では瀬戸内海は今大整理をしなければならない。それから北海道にはまだまだ資源が不足になつたといえども開拓の余地がある。こういう点において、北海道と、整理する段階にありますところの地方との漁業の結びつきが非常に大事だということを感じましたので、この点も大臣におかれましては十分御考慮なされて予算措置なりあるいは調査を早くお進め願いたい、これが私の大臣に対する要望であります。
  29. 藤田巖

    藤田説明員 それでは士手元に配付してあります資料に基きまして昭和二十六年度の補正予算及び昭和二十七年度の本予算に水産庁といたしましていろいろ計上し、現在折衝をいたしておりますものを簡単に御説明申し上げたいと思います。  まず二十六年度の補正予算のみにつきましてきようは御説明を申し上げたいと思つております。昭和二十六年度の補正予算は、現在すでに農林省において一応省議を決定していただきまして、これに基いて大蔵省にも話をし、現在折衝中のものでございます。大体一から五まで、つまり漁業制度改革、それから水産業協同組合の指導監督、それから漁業協同組合及び同連合会の再建整備、それから漁船の管理及び改善、漁船乗組員の養成事業、この五つは、いずれもすでに通つておりますところの法律事項を実施いたしますために、ぜひとも必要とする予算でございます。  内容のこまかい点の御説明は省略をいたしたいと考えておりますが、このうち漁業制度改革の問題につきましては、これは従来漁業調整委員会の経費が非常にきゆうくつでございまして、仕事をするにもできない。ことに今度小型底びき網の整理等の仕事も調整委員会でやることに相なりました。従つて特に小型整理に伴う事項が追加をいたされますので、それに対しまするところの事務費あるいは委員手当の増加要求、それから先ほどお話の出ました有明海における事務局、これの設置のための予算であります。あるいはそのほか漁業権証券の資金化のための協議会を設置をいたすことに相なりますが、それに対する事務費の補助、さような経費がおもなものであります。それからそのほかには、これは協同組合法が改正になりまして、定例検査を実施いたさなければならぬ、年に一回の検査を実施いたすことに相なります。それに必要な人件費、事務費であります。それから協同組合及び連合会の再建整備、これは農業及び林業と一緒に、この再建整備法によつて、今回再建整備をやりますものについて、国が増資についての奨励金なり、あるいは固定化資金利子補給の金が出るわけであります。その資金及びこれに対するところの事務費というふうなものの要求をいたしておるわけであります。  なお漁船の管理及び改善については漁船の認定の仕事でありますとか、あるいは登録検認の事務でありますとか、依頼検査の仕事、これは法律上当然行わなければなりませんものを既定予算では非常にとれておりませんので、これを完全に遂行いたしますための増加要求であります。  それから漁船乗組員養成事業は、船舶職員法が改正に相なりまして、三年の猶予期間のうちに、小型機船についての資格が非常に厳重相なるわけでありますので、それの乗組員養成のために、三箇年計画のもとに三万人という計画をもつて、さしあたり一万人の養成をいたしたい、その養成事業に対する委託費用の金でございます。  以上は法律が通りましたために、どうしてもその実現を期するために必要とする経費と考えております。  それから六及び七は、いわゆる五ポイント計画の実施に伴うのでありまして、特にそのうち濫獲漁業の問題、小型底びき網漁業についての減船整理をやるという問題、これが補正予算のうちでも金額的に考えまして一番大きい部分を占めておるわけであります。これは大体五年計画で実施いたしたいと考えておりますが、ともかく二十六年度においてまず補正予算からスタートをいたして行きたいというふうなことで考えておるのでありまして、これが船舶の買上費あるいは改造の補助金、転換補助金というふうなものを出しまして、それによりまして約三万五千そうございます小型底びき網の船を約二万そうまで五年計画をもつて整理をする。本年度においては千二百九十そうばかりを考えております。  二は機船船びき網漁業の問題、これはやはり底びきと同じように各地において問題を出しておりますが、特に広島県安芸海にいて船びきの問題が非常に深刻な問題に相なつております。本年度においては、とりあえずそれを取上げて行きたいと考えております。  そのほか水産資源の維持培養の問題であります。これはただちに整理減船をいたして行くというまでは参りませんけれども、旋網については現在において一定のわくをきめ、それについて今後入会調整及び資源関係県としていろいろ協議会をもつて漁獲力と資源と適応させて行くというふうなことをやつて参りたいと思つております。  なお、さんまの問題でございますが、さんまにおきましては、これは関係県が非常にたくさんございます。いろいろ打合せをし、また取締りの徹底を期さなければならぬわけでありますので、関係県職員の旅費の補助でございますとか、あるいは試験場の船を運航いたしますについての燃料費、かようなものを最小限度計上いたしてございます。  七は、先ほど来お話の出ておりますように、五ポイント計画を遂行し、しかも取締りを実行して行きますための取締船が、現在水産庁としてはほとんど皆無といつてもいいくらいしかございません。従つてこれに対して、小型底びき網漁業の取締り強化のため取締船五隻の建造をいたしたい。それからなお沖合漁業の取締り並びに指導調整のために、そのほかの漁業について高性能の船ととりかえる。それからまた新しく四隻用船をする、現にございます新知丸の機関をとりかえるというような経費を計上してございます。  八は、従来いろいろ国会提案で御審議になつております真珠の養殖事業、これはその大部分は業者の寄付によつてこれを出して行くということに相なつておりますが、予算的措置といたしまして、それと見合いにいたしまして、器具及び検査料と具合いにいたしましての真珠研究所建設費及び事業費を計上いたしております。  その次の海産物商品取引所、これは現在函館及び小樽に取引所ができたわけでありますが、これに対する指導監督費、旅費が計上されておりませんので、これを新しく要求したいということであります。  それから漁業協定体制の確立とございますのは、これは講和条約ができ、それから漁業協定がまだできませんその間において、漁業委員会というふうなものをつくりましてそれによつて先に発表いたしております吉田、ダレス書簡に基いての取締りをやつて行くといふうなことが約束をされておるわけであります。それに必要な経費として要求をいたしております。  それから国際捕鯨条約に加入しました結果、それに対する国際的な協力関係もございます。鯨資源の調査費というようなものも組み、さらに積極的にこの調査をいたしましてやつて参りたいと思つておる経費であります。  その次の水産研究所、これは現在研究所で持つておりますところの十二隻の船についての中間検査の経費、これは船が中間検査を控えておりまして、現在のままでは通りませんので、その修繕をいたしたいという経費であります。  それから北海道水産孵化場、これは現在北海道においては、融資によつて一応十箇所の孵化事業を逆行いたしておりますが、事業自体は将来これを国に移すというふうに考えております。それに必要な事業費として計上いたしております。これは現在北海道庁においても、これに対する道庁予算を計上になつておるわけであります。これが国の予算としてとれればその方は不要になるわけであります。また国の予算がとれません場合には、北海道の予算においてさしあたり本年度はやつて行くほかはないと思いますが、さような意味合いで要求をいたしておるわけであります。  最後に十四の漁船保険特別会計への繰入れ、これは従来以西底びきについて合手捕船が頻発いたしました。これに対する特殊な再保険金、不法拿捕に対する再保険金線線特別会計法によつてそういう喫約ができることに相なつておりますが、それに対する基金というものを一般漁船の保険金からまかなうことは、ちよつと性質上違うわけであります。従つてこれは別途に特殊再保険金の支払い基金として、これを特別会計に繰入れていただきたいという要求をいたしております。それからこの漁船保険特別会計の金とそれからなおその基金の繰入れと、さらに従来これは九割国が再保することに相なつておりますが、今回これをでき得ればその性質上からいたして十割再保に改めたいということで、それに要する国の負担部分も増加をいたしまして、基金と合せて特別会計予算の方に組んでおるということに相なつております。総計いたしまして大体二十六年度補正予算として要求いたしております金額が約十六億六千四百万円、この金額で現在大蔵省と折衝いたしております。
  30. 冨永格五郎

    冨永委員長 ただいま補正予算の説明を承わりましたが、先ほど派遣委員報告もやはり予算に関係あるものと考えましたので、質疑の申出でがありましたがお詳しいたしませんでしたが、この機会に一緒に御質疑をお許しいたしたいと思います。永田委員
  31. 永田節

    ○永田委員 豊前海の浅海漁業について、小高君の報告に附言して御報告し、かつまた大臣の御見解を伺いたいと思います。御承知通り、豊前海は干潟が三千八百町歩と、水深五メートルまでの海面を合せると七千四百町歩、かような広大な地域でありまして、この未開発地が何ら顧みられず、今日まで放置されておる実情であります。しかし昨年より大分県においては、高円町に浅海漁業研究所を設立して研究を始めたのであますが、この研究所一箇年研究結果によれば、その前途はすばらしく有望でありまして、もし五箇年計画でこの干潟を浅海増殖向きに耕耘するとすれば、浅海増殖用に必要なる機械、たとえばトラクターあるいはブルトーザーというようなものを使用いたしまして、二千百町歩が最適の貝類養殖場となり、一年に九百六万貫は軽く生産することができる、という寒情がわかつてつたのであります。市販価格の半値の程度といたしまして、一貫目につきまして三十円の割合で見積つても、実に二億七千万円となつて参るのであります。水深五メートルまでの海面三千六百町歩のうち、百町歩にのりの養殖をするとしても、三千五百四十万枚の生産は、さほどに困難ではありません。単価が平均二円五十銭といたしましても、八千八百五十万円になります。養殖面積を増加すれば、さらにこれに伴いまして増加するわけで、六億円程度の生産にまでは急速的に事業が進行することは必至と見られております。この計画及び予想は、科学的実験根拠に基いてでき上つたもので、疑問の余地のないところであります。政府当局も認められておると承知しておるのでありますが、この種の漁業は完全なる未開地の耕耘増殖漁業でありまして、他の漁業はもちろん、いかなる産業にも何ら影響はない。それはかりでなくかえつて最近の遠洋漁業の不振や濫獲のための水産資源の枯渇によるところの沿岸漁業の行詰り等から、これが打開に強力な対策を講ずる必要に迫まられておる実情であります。あるいは漁船の定数を云々したり、小型底びきの整理だのまたは旋網漁業を中央許可にして整理せねばならぬだの等を政府当局も立案し、本腰になつて乗り出して来たのでありますが、これらの整理漁民の転業は、他産業はほとんど望めず、結局未開発資源か、新規漁業の創始以外にないと思われるのであります。このような観点からして、浅海養殖の吸収するこの種の過剰漁業者等は相当大きな数字に上り、生活の安定が得られるわけであります。このような日本水産業にプラスされる漁業に対しましては、早急に事業に着手できるよう、国家的見地からも援助すべきであると信ずるものであります。水産委員各位におかれましても御賛成くだされまして、これが推進に御助力をお願いする次第であります。ただ私、これは後の機会において、委員会におきまして当局の円答を待つことといたしますが、今日この補正予算に関連いたしまして、一言前町の委員会から、私が引続いて政府に申入れていることをここに追究してみたいと思うのでありますが、真珠養殖事業に対する予算一億六百八十九万八千円というものが、真珠研究所建設及び事業費として見積られておる事実であります。藤田長官も御承知のように、この問題については、かねてからこの業界に好ましからざるスキヤンダルがある。そこでこのスキヤンダル問題を君は知つておるのかということを、私はこの委員会においてついておるところが不明にして知りませんというお答えになつております。そこで一応調査をいたしまして委員会報告して、あらためて補正予算に編成するかしないかということを決定する段階になつておる。のみならずこの法案の概要を見ますと、衆議院議員提出の予定ということになつておりまするが、はたしてこの真珠養殖事業法案というものが、このままでオーケーが来るのでありますか。もし来れば来たときの話であつて、来もしないうちから、ありもしない予算を、まるつきり麻雀でもやるように握りでもつて出すということは実にけしからぬじやないか。かようなことのないように、私は君には注意してあつたはずである。また真珠業者に対して言えば、この法案の内容から行きまして、彼らの要望するところは少し身かつてだ、わがままだ。たとえばこの第二項にありましたところ資金のあつせんということであります。助言または勧告に応ずる事業に対しては、必要と認める場合は農林大臣資金をあつせんするということが定めてある。この資金のあつせんということは、業者の希望はこうなんです。真珠養殖事業は、事業法の強力な保護のもとに金融処置の裏づけがほしいということを言つておる。これは御木本真珠店の取締役営業部長句坂という人がかような意見を述べておる。各業者もかように申しておる。考えてみますと、真珠業者の中にも大企業と中小企業と大体わかれておる。中小企業者のみに一部の国庫補助を与えて、これらの生産を育成する、これらの業者を守るというのなら事はわかる。しかし実にけしからぬ。大資本によつて営業をし、企画し、好ましからざる国際的スキヤンダルをあえて白日のもとに公然と行うような団体を、何ゆえにわれわれが国民の最も苦しい血税によつてまかなわれるところの補正予算によつてこれを守らなければならないか。この見解について責任のある答弁を農林当局に承りたい。
  32. 冨永格五郎

    冨永委員長 永田委員に申し上げます。農林当局答弁を求められておりますが、この予算の面だけの答弁で、あなたのさつきお読み上げになつた法案は政府提出でなくて、御承知通り議員提出で、まだ決定的なものではございません。それをお含み願います。
  33. 永田節

    ○永田委員 そこでもし議員提出で決定になつていないようなものなら、補正予算を何ゆえにお組みになるのですか。
  34. 冨永格五郎

    冨永委員長 その見解はまた別な問題で、ただあなたが決定的な御意見をおつしやつたから一応申し上げておきます。
  35. 藤田巖

    藤田説明員 これは私が水産庁に参ります以前からの問題と承知しておりますが、国会でこの真珠養殖事業に関する法案を議員提出として出すということで、これはすでに決定になつており、すでにその当時もGSに書類が出ておつたわけであります。これはまだあちらの方から承認が来ておりませんが、その来ておりません理由は、この予算的の裏づけがはつきりしない、予算の裏づけがはつきりしない法案を通すわけには行かないという理由で、趣旨は賛成だがということでそうなつておるというふうに聞いております。しかもその予算については、先ほど申しましたように、約一億は業者の寄付によつて出し、その他検査をいたします検査手数料によつてまかなうというふうなことで、それと見合いの予算としてこれを出しておるわけであります。私どもといたしましては、さきに永田さんからお話のございましたいろいろ業界においての問題、現在懸案の問題も承知をしておるわけでありますが、それは別といたしまして、やはり今後の重要な真珠養殖事業を発展さすための法制的の整備も、これは必要であろうというふうなことで考えておるわけであります。しかし問題は、その国会においてお取上げになりました真珠養殖事業法案を、はたして議員提出として出されるところの御決定がその後変更があるのかないのかということでありますが、私どもといたしましては、相かわらず従来通り御提案の決定が続いてるというふうな前提でわれわれとしてはその裏づけのことを考えておるわけであります。
  36. 永田節

    ○永田委員 ただいま長官のお話では、この法案は議員提出のものであるので、議員提出が決定するその裏づけとしてお考えになつておるというふうに私は了承したのでありますが、議員提出の法案としていつ委員会が取上げて、いつ委員会が決定を見ましたか。     〔「委員長、々々々」と呼ぶ者あり〕
  37. 冨永格五郎

    冨永委員長 石原委員に申し上げますが、永田委員の質問に関連いたしておりますか。
  38. 石原圓吉

    石原(圓)委員 関連いたしております。
  39. 冨永格五郎

    冨永委員長 では発言を許します。
  40. 石原圓吉

    石原(圓)委員 真珠は今後四箇年のうちに約百億円の輸出をしようという目標であります。現在約十五億円くらいであります。今後日本より輸出するものの目標といたしましては、生糸以外にさような金額に達するものは絶対にないと信ずるのであります。この輸出をするということは、日本の外貨獲得の上に、また日本の産業再建の上に重大な問題であります。と同時に、またこ真珠の養殖にはその資材を何ものも外国から仰がないのでありまして、ことごとく国産であります。その国産の資材と漁民の労力によつて百億円の輸出ができるのであります。その間において、永田君の言うように、あるいは養殖業者がどうとかこうとかいうような問題はそれはあるかもしれませんが、そういうような問題は眼中に置く必要はないと思うのであります。ただ正しい方法において日本の真珠の輸出が百億円あるいはそれ以上に達するということをわれわれは目標として、この実現を期さなければならぬというので、私前国会に小委員長としてこの問題を取上げて、継続的な形でここに及んでおるのであります。その法案の内容につきまして不都合な点、不備な点、正しくない点がありまするならば、これはいかようにも是正してよろしいと思うのであります。私はこの際日本の産業のために、この真珠法案がすみやかに実現して、そうして増産をはかるべきは当然と考えておるものであります。一応関連して発言をいたしておきます。
  41. 永田節

    ○永田委員 ただいまの石原委員の御説はごもつともでございます。御趣旨に対して私は反対しておるのではございません。国策的の見地からいたしまして、必要欠くべからざることは私も承知をいたしておりますが、他にすみやかに救済しなければならない事業は多々あります。そこで御熟考願いたいということが一つ。もう一点は、議員提出の法案であるならば、議員がこの委員会にお出しになりまして、今国会を通過いたしましたその後で、予算の措置は何ら遅れるものではございません。法案のオーケーも来るか来ないかわからない、委員会も通過するかしないかわからないものに対して、何のはじらうこともなく、かくのごとき補正予算を出すというばかげたことがどこにあるか。そもそもこの真珠事業というものは、昭和二十五年、この暮だ、参議院選挙の直前にあたつて、持株整理委員会不祥事件中、真珠業者の贈賄問題が摘発されたのだ。そうして参議院選挙前であるからというので、一応打切られたが、さらに二十六年の一月に警視庁古屋刑事部長に対して、司令部のC—D、ミスター・カイタン調査官から、真珠の噌賄横流し事件の調査の依頼があつた。これは重大な問題なのだ。かような問題を釈然とすることなく、かような悪質業者を保護するような補正予算には絶対に反対をいたします。
  42. 川村善八郎

    ○川村委員 私は第六の濫獲漁業の阻止について、政府に御質疑申し上げます。これが予算面を見ますと、大体小型機船底びき網漁業の整理、すなわち船舶の買上げに八億四千三百九十万円余を計上しております。この問題は、かつて司令部から日本政府に勧告された五ポイントに非常に強い関連を持つております。また国会におきましても、何とかこれを阻止しなければならぬということで、法案を提出すべく準備を整えたこともあつたのであります。もちろん水産庁におきましては、この計画を遂行いたすべく、委員とも諮つて、私がその班長となつて、近畿、四国、それから中国等にこの調査に行つて来いという命を受けたのでありますが、当初から、この予算の獲得がなければ、いかにわれわれが調査をいたしましても、あるいは美辞麗言を並べて漁民のきげんをとりましても、とうてい整理ができない問題でありますので、何とかこの予算を獲得しなければならないということで、強い要求をいたしておつたところが、幸い八億余万円の第一次のこの予算が補正予算案として計上されたことは、当を得たものと考えるのであります。しかしながらはたしてこの予算がとられるかどうかということについて、本委員会漁業法の一部の改正もしなければならぬでありましようし、また整理もその実現に努力せなければならないということになるのでありますが、これはこの予算をとれなければ実行に移すことができない。われわれも最善の努力を払いますが、大臣におかれましては、ぜひともこの予算を獲得いたしまして、あの三万五千隻余にわたるところの小型機船底びき網並びにその他の機船底びき網の整理をせなければ、現在漁民はどうにかやつて行けるでありましようが、近い将来において自分の生活すらできなくなるということに相なりますので、この予算の獲得の見通しいかんをまずもつて水産庁長官にお伺いし、さらに大臣の御意見を承り、また第一次、第二次、第三次となるのでありますが、その見通しにつきましても、長官並びに大臣の御意見を承れば幸いだと存じます。要はこの予算は最大の努力を払つて獲得しなければならぬ予算だけに、大臣の非常なお力をお借りしなければならぬので、特に大臣発言を求める次第であります。
  43. 根本龍太郎

    根本国務大臣 ただいまの川村委員の御発言は至極もつともでございます。御承知のように、五ポイント政策の一番の浪目があり、しかも一番むずかしい問題は、濫獲漁業の取締り、同時に資源の維持の問題でございます。この意味におきまして、すでに第七国会当時から、小型底ひき漁船の整理のための補償が強く要求されまして、当時私は自由党の政務調査会副会長並びに政調会長として、特に水産委員諸君の鞭達を受けまして、必死の努力をしたのであります。残念ながら、これの実現を見るに至らなかつたのであります。しかし今回は御承知のように、この五ポイント政策が当時よりより強く要請せられ、なお講和を目前に控えまして、今後の日本の沿海漁業については、重大なる各方面の関心を持たれておるわけであります。みずから国際社会に加入する場合、資源の保持と濫獲に対する監督の措置なくしては、われわれは世界の漁場の開放を強く要請することは困難になると私は存じます。この意味におきまして、今回補正予算として要求するものにつきましては、私みずからもその陳頭に立つて折衝いたしたいのでありますが、しかし他面におきましたは、従来の経緯から見ますと、これは非常に難点が多いのです。大蔵省はもとよりのこと、またGHQ当局の天然資源局はみずからこれに重点を入れておるのでありますが、フアイナンスの方においては、今まで相当難色がありましたので、その折衝も非常に大事なことと存じております。多分この件であろうと思いますが、ごく最近スケンク氏から私に、漁業の問題について特に懇談したい、こういう申入れもありますので、私は近い将来に天然資源局長のスケンク氏とも会いまして、この問題については特に協力を求め、また委員各位の絶大なる御協力を得まして、この目的を達成したい、かように感じておる次第であります。
  44. 井之口政雄

    ○井之口委員 まず私の質問を発しまする前に、委員長にひとつ希望しておきたい問題があるのであります。ただいま農林大臣も、講和後の日本漁業が非常に重大なものであつて、かつその問題は各方面から関心を持たれておるということを言つておられます。しかるに当委員会は各方面どころの騒ぎでなくて、野党としてこういう委員がすつかり出ているにかかわらず、この委員に対するところ発言がしばしば制限されるということは、まことに遺憾の至りであります。委員会はどの委員会をとつてみましても、やはり野党としての共産党に対する意見は重視されておる状態である。それだのに、水産委員会に限つて与党側の発言のみをもつてこれを満載するということになりましたならば、これは与党の懇談会にしかすぎない。こういう委員会はあつてなきがごとき状態であつて、むしろ有害なるものであるのであります。もしわれわれ共産党の発言がそれほど恐ろしいものであり、漁業労働者並びに零細漁民代表しておる共産党の発言が、それほど胸にひしひしと当るものであるならば、あるいは封じてもよろしいのであるけれども、そうでない限り十分発言を許すべきだと思います。
  45. 冨永格五郎

    冨永委員長 了承いたしました。本論を願います。
  46. 井之口政雄

    ○井之口委員 そこで今の問題でありますが、非常に重要なものから徐々に二、三質問したいと思います。まず十のところ漁業協定体制の確立として、百七十万円の予算が組まれております。金額はわずかなものである、しかし先ほどの説明からでもうかがわれまする通り、講和後日本漁業が一体どうなるか、マツカーサー・ラインがどうなるか、この問題に対して、吉田・ダレス氏の間の手紙の交換によつて何らかの協定が結ばれている。それで今から準備して将来の漁業の問題に対して手落ちのないような研究をし、それぞれの役割を務める委員会の経費となつておるのであります。これは先ほど農林大臣からも言われております通り、きわめて重大な問題である。いろいろ各調査団の委員の方々の発言を聞きましても、あるいは日本海においても、現に小刑底びきを全廃しなければ漁民がやつて行けない、その中にあらゆる漁業形体がひしめいて来て、魚を取尽して、日本漁業は破滅するとういことが報告されている。また北海道におきましても、先ほど来の報告によりますと、底びき漁船のために近海を荒しめくられて、まず機帆船を取締ることが必要である。外へ出て行かないで、大資本の漁業家が内部へ内部べと入つて来る。こういう実情を見まする場合に、将来講和が成立したときにマツカーサー・ラインがどうなるかということは非常に重大な問題であります。しかしこれは外にあるラインだけじやない、日本国の内部にマツカーサー・ラインが一ぱいある。たとえば富津にいたしましたところで、富津の先に針金をずつと張りめぐらして、漁船は通適してはならぬという所がある、これは日本国中至るところにある。あるいはそこの金杉橋から芝浦台場附近まで漁船は鑑札を持たなければ通つてはならぬとか何とか、いろいろな制限がある。あるいは横浜・神戸・佐世保その他のいろいろな所にマツカーサーのいろいろな制限があるのでありますが、講和した後にこの制限が一体どうなるのか。そういう方面について近く農林大臣は天然資源局長と御相談になるそうでありますが、相談するについてはこつちの腹がきまつていなければだめなのです。向うへ行つてへいへい言つて、一々御無理ごもつともでございますで引受けて来たのでは何にもならない、こつちの腹が第一きまつて、それに対してこういう方針を持つているのだ、日本の将来の漁業に対して、日本の独立に対してどういう見解を持つているのだということを、やはり農林大臣もあらかじめ明瞭にしておらなければならぬはずであります。その点を委員会においてひとつ表明していただきたいものであります。さて吉田並びにダレス氏との手紙によりますと、これはおそらく太平洋の東沿岸、アメリカ並びにカナダダ沿岸、この沿岸については、講和が成立した後もマツカーサ・ラインから日本は行きません、もうそういう方面にはどんなことがあつて日本の船はやりませんというような比恭順の意——はたしはて日本の権利がそれで守られているかどううか、この辺がきわめて怪しいものであります。しかるに今度北洋方面の漁業の方になりますと、あるいはべーリング海並びにオホーツク海、それからカムチヤツカ沿岸、日本海並びに東支那海の方面、あるいは南洋方面等々につきましては、このマツカーサー・ラインがもしもかりに撤廃されるとすればはたしてどうなつて来るか。きようの読売新聞を見ますると、いよいよ講和が成立すれば七年ぶりで公海に出て行ける、待たれた十億の水揚げが日本に落ちて来るという希望的な観測が載つている、漁民は大きな期待を持つている、それがはたしてどうなつて来るか。しかるに実際を見て見ますと、オホーツク海、ベーリング海あるいは日本海や東支那海あるいは濠亜、地中海やオーストラリア東都並びに西部沿岸、インドの沿岸、そういう方面に対して、はたして無制限に出て行けるのか行けないのか。むしろ出て行くといたしますならば、それらの国々が今日は民族運動によつておのおの独立を回復し、そうして日本の例の侵略戦争によつて受けたところの打撃のために目がさめて、自覚してやつて来ておる。もし無制限に何らの協定なくしてそういう所に船を進めるということになりましたならば、はたして国際間の状態はどうなるであろうか。日本は昔に返つた——昔の帝国主義に返つたといわれないまでも、どこか外国の帝国主義の手先になつて遠いところへ追いやられて来るということが明らかに世界に表明されて来て、日本民族は事実独立を失つた上に外国の植民地になつて、その手先になるということになりはしないか。  なお第十四番目に、漁船保険特別会計へ繰入れが、三千万円ここへ見積られている。この内容の説明もありましたが、その説明によりますと、いろいろ国際間の紛争によつて拿捕された機船に対して十割も国家が補償して、その船主の利益を擁護し、さらにこれに何とか漁船保護という名目で日本の海運を強め、そうしてここに武装させる。もしこの船が拿捕され、損害を受けたならば、国民の血税をもつてこれをまかなわせよう、こなん案がここに頭を出して来ておる。こういうことになりましたならば、一体将来単独講和が結ばれたならば、こんらの問題は非常に大きな国際間の摩擦となつてつて参りまして、また戦争を呼ぶところのこれが道火線となることは明らかであります。現に朝鮮において今どういう問題が起つておるか、朝鮮においてのあらゆる問題、これがまだ停戦にもならない。こういう情勢のもとにおいてこういう予算を組んで、農林大臣が将来の日本漁業というものを真に憂うることなくして、この漁民を怠煽動して、南洋方面に狩り出し、外国帝国主義の——欲すると欲しないとにかかわらず、その手先になるということがあつたならば、日本漁民の破滅だけでなくして、日本全体の民族の破滅とならざるを得ないのでありまして、非常に重大なのであります。さらに奄美大島、沖縄、これは先ほど石原委員から出ておるが、それから小笠原等の帰国の問題、これが将来の漁場として非常に重大なる関心を持たなければならないのであります。ソ連からの対日講和条約の原案によりますと、これらはポツダム宣言並びにカイロ宣言の規定によつて日本に当然帰廃属すべきものである。またソ同盟から提出されておりますところの対日講和条約草案には、日本へこの領土を帰属せしめることを主張しておる。(「千島はどうだ」「歯舞島はどうだ」と呼ぶ者あり)千島、出国群島は、しからば諸君の蒙を開くために、この問題をここへ提出するでありましよう。みな疑問であるようでありますから、一応明らかにいたします。
  47. 冨永格五郎

    冨永委員長 質問を簡単に願います。
  48. 井之口政雄

    ○井之口委員 疑問のようでありますから、これは明瞭にしなければならぬ。唇のカーテンをもつてこの野党の言を封ずるということはもつてのほかである。ひとつ唇のカーテンをしばらく解いていただきたい。さて千島列島につきましては、これはすでに国際間の条約によつて前のルーズヴエルト氏が千島列島というものはここが海軍基地となつてハワイの襲撃ができる、これが日本に帰属するということは将来の国際間の摩擦の上において危険であるから、ソ同盟にこれは編入したいということがルーズヴエルト氏の提案によつてすでに決定しておるものである。だからしてマツカーサー・ラインを見るがよろしい、北海道からすれすれにここを通つておる。歯舞島は向うに入つておるじやありませんか、何の必要があつてその時分にそういうことをしたか、すでに国際間の計略を、あの当時明確に認められておつたところのりつぱな証拠であります。しかるにもし日本の将来において人民政府が樹立され、真の民主主義的方針が日本の国体においてきまりますならば、千島列島や樺太の帰属問題はぽんぽんと解決してしまう、明らかにこんなものは解決してしまうのであります。国際間の条約は、侵略を防止するためにこそ、お互いにこれは非常に大きな考慮を払わなければならぬ。外国帝国主義の手先にならないということが明瞭になりまして、日本に再運備の方針が採用されないということになりますれば、こういう問題は解決して、日本漁民は安心して北洋、べーリングベでもどこへでも行ける、南支那海へでも行ける、濠州の方へでも行ける、インドの方へでも行けるというふうなことになります。こういう点を全般的に組み合せるのが国の政治である、日本国の政治であります。われわれは今一局部の政治を論じているのではない。日本全体の政治を講じているのであります。でありますから、将来の日本の運命というものを考えますならば、農林大臣水産行政に対する明確な方針をお持ちになつていなければならないはずである、その点をひとつ聞かしてもらいたいものであります。
  49. 冨永格五郎

    冨永委員長 井之口委員に申し上げますが、農林大臣は約束の時間がありますから、その程度でおとめ願います。
  50. 井之口政雄

    ○井之口委員 最後に一項目申し上げます。小型底びきの問題でありますが、約八億四千三万円の予算が組まれております。先ほど小高委員発言によりましても、有明湾の方面においては小型磯船を全部禁止してもらいたいというような意見が出ておる。あるいは松田委員さんによつて先ほど発言されておりました通り北海道沿岸が底びき船に非常に荒されている。この取締りを強化しなければならぬというふうなことも言われておりますが、おそらくこれは有明海や北海道だけでの問題ではない。瀬戸内海においてはもつと大きな問題で、永田委員さんもこの問題については漁民と直接捜せられて、おそらくその苦衷の点はおわかりのことだと思う。あるいは田淵委員も、和歌山県の出身でございますので、あの沿岸の漁民が荒されておる、片方においては底びき業者が繁栄して——田淵委員が底びき業者の味方をするならばそれは賛成だろうが、しかしながらそうでないといたしますれば、この問題も、底びきを全面的に禁止した方がよくはなかろうかという意見がおそらく出るのではないかと思います。そのほか日本海沿岸あるいはまた千葉方面の沿岸からずつとあの辺がやはり荒しめくられて、現に銚子海岸の漁民は望遠鏡をすえて、漁業協同組合の二階から沖合いを見ていて、荒しに来ると焼き討ちみたいに船でもつて押しかけて行つて、海戦みたようなことまで日本漁民間に起るというふうな現象まで起つているのでありますが、こういうことに対して徹底的な治療を持ち、徹底的な策を講ずるといたしますれば、一方生産力を高めて来ることが、あべこべに治療をとり、あべごべに漁業を荒廃せしめるという、こういう矛盾を含んだ日本水産行政に対して、根本的な考慮を払わなければならぬ問題だと思う。もしもこれらの小機船の漁民に対して、その生業を奪うということになれば、日本全体における大きな失業問題が漁民の上に起つて来るのでありまして、それに対しては、わずかに八億やそこらの目くされ金ではどうにもならぬ。ところが片一方においては、米国軍隊はいつまでも日本に駐屯してもらいたいというようなことを、吉田総理大臣が希望している。それに一体何千億の金がかかります。あるいは警察予備隊を置く、あるいは将来常備軍を置くというようなことは、何千億の金がかかります。あるいはすでに軍事同盟が結ばれているやもしらぬ。こういうような点をやめない限り、皆さん方が漁港の改築とか災害の復旧とかいう方面にまわす金が出て来ないのは当然で、どうしても一歩踏み切らなければならぬ……。
  51. 冨永格五郎

    冨永委員長 井之口委員に申し上げます。御意見を述べるのはおやめ願つて、質問を願います。
  52. 井之口政雄

    ○井之口委員 はい。そういうふうにわれわれは考えるのでありますが、農林大臣といたしましては、この根本的な問題を解決される意思はないか。あるといたしますならば、その方法いかん。こういうふうな予算の組み方では、われわれはだめだと思うのでありますが、その点いかん。以上三項目に対して質問を申し上げます。
  53. 根本龍太郎

    根本国務大臣 ただいまのお話は、御質問にかりての、むしろ宣伝もしくは意見の陳開と認めます。従いましてこれに対する答弁の必要はないと思いますが、特に講和後の日本漁業のあり方、国際関係の問題については、これは国際漁業協定の加入の問題とともに考慮さるべき問題でありまして、まだ講和調印のなされない今日、これについて日本政府当局者として意見を申し述べる段階ではないと思います。
  54. 冨永格五郎

    冨永委員長 この場合石原委員並びに各委員にお諮り申し上げます。大体今日の私どもつております範囲では、ごく最近臨時国会が開かれるそうでありますが、その前に委員会を開いて、先ほどのオブザーヴアー決議問題を議することにいたしまして、その前に理事諸君に御協力願つて政府当局並びに党の幹部にも懇請をしておきたい、こういうふうに考えます。  本日の会議はこの程度にとめたいと思いますが、御異議ありませんか。
  55. 平井義一

    ○平井委員 補正予算につきまして要望いたしたいと思います。去る第十国会におきまして、有明海連合海区調整事務局を設置していただくことになつたのでありますが、当時予算がまつたくなかつた。今度の補正予算に出ているが、この予算だけはぜひとも獲得していただきたい。イの一の漁業制度改革の中に入つておるようでありますが、これにつきまして、水産庁長官に特にお願いしたいのは、現在各県で五万円ずつ集めて委員会を開いているような状況でありますから、特に委員会の費用をでき得る限りふやしていただきたい。これを要望いたしたいと思います。
  56. 冨永格五郎

    冨永委員長 本日はこの程度で散会いたします。     午後一時十九分散会