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川村委員 私は金融問題について、いろいろ事例をあげて、
質問いたしたいと思います。
まず、終戦後
日本はあらゆるものに対して
民主化をはかろう、まことにけつこうなことであります。産業もしかりでありまして、農業にしても
漁業にして
もさようであります。しかしながら
民主化が叫ばれて以来、すべてのものがどんどんと進んだのでありますけれ
ども、
漁業はなかなかかようには参らなか
つた、ということは、
各般についての
漁業の
民主化にめんどうな問題が横たわ
つておるからであると私は
考えたのであります。
漁業法を
制定して以来もうすでに一年半有余になります。この間われわれは
漁業制度改革によ
つてそれぞれ行くべき道を講じ、
水産庁といたしましても、
漁業法に基いて
各般の準備を進められておることと思うのであります。しかしわれわれは、当初
漁業制度改革には全面的に賛意を表して、
漁業法の
制定をでき得るだけ
民主化の線に沿うて、
漁民の
福祉をはか
つて行かなければならぬ、また
生産力の拡充もして行かなければならぬということで、日夜苦労して原案たる
漁業法案の大修正をしようと
考えたのでありましたけれ
ども、時間が許さないので、やむなくこれを第五
国会に通過せしめなければならぬことに相な
つたのであります。しかし、その後今日に至るまで数回の
漁業法の改正を見ておる、ということは、
漁業に
限つては種類も多いのでありますし、その背後に生きたいろいろな
事情が横たわ
つておりますので、法はできましても、なかなか
漁業の
民主化の線にぴ
つたり行かないというようなことや、また
漁業法制定当時、先ほど申し上げました
通り、
時日が許されないために急いだ慰があるので、今日に
至つて、もうすでに改正しなければならぬということが
はつきり現われたのであります。その中にもわれわれの一番心配いたしましたのは、はたして
政府が
考えている
通り漁業の
補償が公平に行きわたることができるかどうあということと、さらにもう
一つは、この
漁業権補償に対する
課税の問題がどうなるかということと、またもう
一つは
漁業制度改革の
裏づけといたしまして、
国家財政の許す限り
資金の
裏づけをしなければ、とうてい叫んでも容易でないということを心配しまして、それぞれ
政府当局に
質問をし、また
政府当局も
協議をして、でき得るだけ早い機会に
漁業制度改革の万全を期したいということで進んで参
つたのであります。しかし今日に至りまして、われわれは
気持の上では
水産庁とともに相協力して行かなければならぬということで進んで来たのでありますけれ
ども、
水産庁におきましては、われわれの
意思をま
つたく裏切
つて来たような感じがするのでありますし、またその事実が現われたのであります。すなわち第一の問題といたしまして、
漁業権の
補償が公平に、しかも迅速に
補償の配分ができるかどうかということを心配したのに対して、いまだに確たる案も出ておらない。先般聞いたのでありますけれ
ども、各
委員から不公平であるという
意見が出まして、
補償金の全額より一割天引して、これを不公平の
ところに、不公平な
部分だけ直さなければならぬという
意見が出て、
意見の一致を見、
水産庁に勧告したにもかかわらず、これもや
つておらない。
小松委員からも私からも、公平を期するためには
資料がなくてはならないから、その
資料をすみやかに出してもらいたいという
意見に対しましても、まだ
資料も出ておらないという
実情であります。
水産庁は、この
補償に対しては、
水産庁案をどこまでも強行しようという
意見であるとこの際申し上げても過言でない、私はかように
考えておるのであります。さきに
漁業権補償に対する
課税の問題で、
政府当局も小
委員会の
懇談会では、
補償金に対しては
課税の
対象にならない、こう言明しておる。また昨今までこれは
対象にならないという
考え方でその道をと
つてお
つた。そして
大蔵当局もあまりにこれには関心を持
つておらない。
大臣のごときは現に先般、実はわれわれもとるとは
考えておらなか
つた、こう
言つております。
ところで法の不備から、これは
漁業権証券に対してはとらなければならないという
段階が初めて現われて、
あわを
食つて今度は
阻止運動をした。
委員会にも、とられるようにな
つたからという
報告があ
つた。
委員会におきましては極力
反対して、
大蔵省がこれに対しての
協議会を開こうというときにも私は否定しております。
大蔵省当局も
あわを
食つて、それでは困る、
現行法ではどうしてもとらなければならぬので、何とかこれを軽くしたいという
気持で、今度は相談に来た。その際に私は、正式な
委員会でも申し上げた
通り、
最小限度の
課税はやむを得ないといたしましても、この取り立てた
税金をただちに
漁民の
福祉のため、あるいは
漁業施設のため、
漁業制度改革に必要な
資金に還元するとなればやむを得ないじやないか。こうしたようなことで、われわれは一応どういう案であるかとい
つて水産庁に質した
ところが、
水産庁は案を出して、当初は
漁業権証券百七十億に対して、約十億
足らずであるというまずも
つて説明をし、もう少し
大蔵省に交渉するというと、
漁業協同組合の分や、あるいはその他の分を再
評価分にまわして、そしてそれから控除をするならば五億くらいになるのではなかろうかとい
つたような
説明であ
つた。五億くらいならばわれわれも承服しなければならぬ。しかしながらそのと
つた税金をただちに
漁業制度改革に必要な
資金にまわしていいんだ
つたならば、これはやむを得ないというようなことで、われわれが
休会で帰らなければならなか
つた。
ところが来てみるというと、再開後の
説明は、ここに表もある
通り合計で十四億七千七百万円、こうしたようなものを出しておる。
大蔵省では大体十億
足らずである、しかしながらわれわれの方でもう少しこれを検討してやるというと、五億くらいになるのじやなかろうか、それを信じて安心して
郷土に
行つて、選挙に臨み帰
つてみると、十四億七千七百万円にな
つておる。これらも完全に
委員会を欺瞞しておる、
はつきりした数字に現われておるのであります。さらに
漁業権の
資金化の問題でありますが、当初からこの問題は一番大きな問題でありました。すなわちいかに
りつぱな法律をつくりましても、いかに
漁業制度改革の促進をはかろうといたしましても、いわゆる
財政の
裏づけ、すなわち
資金がなければとうてい
漁業制度改革の万全を期すことはできないことを知
つているのは私ばかりではないでありましよう。各
委員はもちろんのこと、
水産庁といえ
どもこれを十分お
考えにな
つたことと私は
考えるのであります。しかるにこれらについても、いろいろ苦労されたことにつきましては私は了承もしますし、また感謝もいたしておるのでありますけれ
ども、さてその苦労は
一つも今日といえ
ども芽に出ておらない。
農林大臣が
水産銀行を設置して、そして
漁業金融の円滑を期すると
言つたことも、いつか消えてしま
つて、今日では問題にな
つておらない。
水産金融公庫の問題も
水産庁で
考え、これはすなわち
漁業証券を基盤として立
つて行く
といつた案もいつしか消えてしま
つて、今は何も問題にな
つておらない。さらに
水産金融の
特別会計、これも
水産庁で計画を立てた。これは私が申し上げるまでもなく、すでに
休会前に現に
水産庁長官をまん中にしてわれわれは聞いておる。当時私はこれに対して、
ほんとうにできるのか、容易でないのではないか、われわれも一丸とな
つて、いわゆる今度こそ真剣にかからなければできないのじやないか、こうしたようなことを雑談的に話した、
時分には、いやちよつと待
つてください、これは世間に漏れると非常にわれわれは
仕事がしづらくなる。
新聞なんかに書かれたら一回でだめにな
つてしまうから、もう少し待
つてくれ、いずれわれわれはこの手で行かなければならぬ。この手でいかなければあの手、あの手でいかなければこの手とい
つたようなことで、必ずやるというふうなことを
言つて、われわれの活動を阻止してお
つた、これらもできない。さてもう
一つの手として
農林漁業資金特別会計、これから
わくを増して、そしてこの方の
漁業制度改革に使おう、これも
趣旨が違うからだめだと
言つて、もうすでに断わられておる。このことについて、私たちは
大蔵大臣に直接
委員長を
中心としてぶつか
つておる。全然
見込みないと断わられております。その
特別会計の六十億の中から、
農林省において
水産金融にはこれだけ、あるいは林業にはこれだけ、あるいは
塩業にこれだけというふうにわけるならば、これは
農林省内のことであるから、
大蔵省としては
反対するものではないけれ
ども、
増わくをして、それを
ひもつきで今度の
漁業制度改革による
資金に流すとい
つたようなことは、全然これは承服することができない。また
増わくすることですら今日のいろいろな
客観情勢からできないのだ。いろいろこの
内容も話しておりましたが、時間の
関係上その
内容についてはお話申し上げません。二時間にわた
つていろいろ話をしたのであるから
相当長い。こうしたようなことを
考えますときに、もうすでに
漁業金融というもののつるは切れておる。もちろん
最小限度の買上げと、さらに
漁業制度の
改革にかかわらず、
農林漁業の
資金特別会計からは、漁港、港湾の
補助費に対する
ところの、
地元負担等の問題はできるでしよう。あるいは
魚田開発の一部の
資金は出るでありましよう。しかしながら全国にわたる
ところの、
漁業制度改革によりまする
ところの
資金については、
水産庁案というものは根底からくずれておるということだけは
はつきりしております。久宗君のごときはまだできるのだ、それだからもう少し
時日をかしてくれというような
意味のことを
言つております。しからば
時日をかすとして、一体いつできるか、三年越し、四年越しにできたのでは何もならぬ。
今期国会にできるのだということになりますれば、あなた方の
努力が実を結んだのであり、またさらにわれわれ
委員といたしましても、今度故郷に帰りますというと、
水産庁の
努力とわれわれの協力によ
つてできたのだということの
報告も
漁民にできるでありましよう。しかし一体今日このなりに投げられて、
水産庁がまだ時間をかしてくれというようなことでどうしてわれわれは
郷土に帰りまして
漁民に
報告ができましよう。でありますから、できなか
つたらできないでよろしい。われわれは、できなければ別の
方法で食い下
つても、何とか
大蔵大臣を口説き落し、あるいは
大蔵当局を口説き落してやらなければならぬのであるが、われわれがやろうとする
時分に阻止してお
つて、まだできぬからとい
つてつるしておくようなことは、われわれはとうてい許しておくことはできません。
従つてその局に当る
ところの
水産長官を
中心とした
各部課長は、
ほんとうにできる
確信があるか、
確信あるとするならば、一体どの
程度の金がとれるか、その
期日がいつごろに確定するかということをまずお伺いして、さらにそのお答えによ
つては
質問をいたしたいと存ずるのであります。