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1951-03-28 第10回国会 衆議院 水産委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十八日(水曜日)     午前十一時二十八分開議  出席委員    委員長 冨永格五郎君    理事 鈴木 善幸君 理事 二階堂 進君    理事 松田 鐵藏君       小高 熹郎君    川端 佳夫君       田口長治郎君    永田  節君       平井 義一君    福田 喜東君       岡田 勢一君    椎熊 三郎君       淺沼稻次郎君  出席政府委員         水産庁長官   家坂 孝平君  委員外出席者         農 林 技 官         (水産庁生産部         漁港課長)   林  眞治君         專  門  員 杉浦 保吉君         專  門  員 徳久 三種君     ————————————— 三日二十七日  委員森幸太郎辞任につき、その補欠として田  渕光一君が議長の指名で委員に選任された。 同月二十八日  委員越智茂君及び林好次辞任につき、その補  欠として川端佳夫君及び椎熊三郎君が議長の指  名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  漁業法等の一部を改正する法律案永田節君提  出、衆法第一四号)  見返資金融資問題に関する件     —————————————
  2. 冨永格五郎

    冨永委員長 これより水産委員会を開きます。  政府当局から発言を求められております。これを許します。林説明員
  3. 林眞治

    林説明員 災害法律に関します問題につきまして、御説明を申し上げておきたいと思います。  災害は御承知通り、二十五年度におきましては、特例法と、それから農林水産業施設暫定措置に関する法律、この二本建でやつておるわけであります。特例法は御承知通り、二十五年度におきまして全額国庫負担、これは市町村といいますか、地方公共団体が維持管理いたしますもので、地方公共団体災害復旧工率を施工いたしますのについては、全額特例が出ておるわけであります。漁港の問題といたしましても、これに該当いたしますものは、この法律によりまして実施して来たわけであります。それから水産業協同組合管理いたしますもので、水産業協同組合が施工いたしますものは、暫定法の方でやつて来たわけであります。この特例法は実は二十五年一年限りの特例法でありますので、この二十六年度の措置をどうするかという問題が、関係各省でいろいろ協議されたのであります。ずつと古く、明治四十二年からある土木施設災害復旧法律改正しようという案も、前からございまして、そういつた関係から大蔵、安本、建設、運輸、農林、こういう関係各省でいろいろ協議をいたしまして、その改正といたしまして、公共土木施設災害復旧事業費国家負担法案というものをまとめ上げたわけであります。この内容として、やはり市町村以上の管理に属する漁港で、市町村以上が災害復旧をやりますものについては、これに載つております。従つて河川道路あるいは港湾、こういうものと一緒に漁港、それから林野関係荒廃林地復旧、こういうものが載つておるわけであります。従いまして、農林水産業災害復旧に関する暫定法の方に残りますものは、昭和二十五年度の通りに、水産業協同組合関係だけが残ることになるわけであります。この公共土木施設災害復旧法律につきましては、建設省が中心となりましていろいろ、進めておるわけであります。今国会提案になるはずになつておりまして、建設省で今盛んにやつております。  その内容といたしましては、従来の法律とはあまりかわつたことはないのでありますが、補助率の点につきましては、地方財政との関連におきまして、重点が置かれております。従つて補助率はいわゆるスライドシステムをとつております。当該年度標準税収見込み額一つの基準といたしまして、その半額までの災害については大体三分の二、それから標準税収見込み額の倍額に達するまでの災害に対しては四分の三、二倍以上の場合は全額、大体こういうことになつております。それから北海道といたしましては、これはあとになりまして特例が一応案としては入つて参りまして、内地の三分の二に相当するものが五分の四ということになつております。それから災害復旧対象あるいは取扱い等につきましては、大体従前とあまりかわつたことはないのであります。各種の事業別一つにとりまとめまして、全体といたしまして、府県災害町村町村ごとというふうに集計をいたしまして、おのおの地方公共団体に属する標準税収見込額と対比いたしまして、それらのスライドシステムによつて補助率をきめて行くことになつております。従つて農林水産業の方におきましては、先ほど申し上げました通り水産業協同組合関係だけが残るわけであります。この公共施設災害復旧に関する問題は、おそらく建設委員会にかかると思います。従つてこちらへは直接かかつて来ないと思います。内容につきましては、ただいま申し上げたようなあらましの数字であります。われわれといたしましては、従来から主張して参りました他の道路河川あるいは港湾等との均衡論は、一応とつておるように考えております。これでさしつかえないと個人的には考えております。  それから農林水産業の方におきましては、従前府県の、何と申しますか義務負担と申しますか、こういう問題があつたのでありますが、これは今度の一部改正におきましてはなくなつております。従来は四割五分を国が負担いたしまして、二割を府県義務負担というような形にしておつたわけであります。今度の一部改正におきましては、六割五分を国が補助いたす。府県関係におきましては、これを拘束しないで、自由裁量にまかせてある。これは地方財政法関係と、勧告の線に沿いまして、そうようふう決定を見たわけであります。この方の法律につきましては、実は機会を失しまして、あらかじめ御説明を申し上げないで、はなはだ申訳なかつたのでありますが、実は法律は通過いたしまして、公共施設の方はこれから出るわけであります。この点につきましては、一応おわびを申し上げておきます。  それからなお一つ漁港法関係についてちよつと申し上げておきたいと思いますのは、漁港の指定の問題であります。これは第一次の指定といたしまルて、約千三百ばかりの港につきまして、最終的に、法律に定あられております運輸省との協議をしておるわけであります。大部分につきましては、いろいろ折衝の結果、了解を得たわけでありますが、残りの二十ばかりの問題につきまして、目下まだ折衝中でございます。この問題は、主として大きい港につきまして、分割の問題になつておるわけであります。これはわれわれといたしましては、最善の努力をしてやつておるわけであります。いろいろな点につきまして問題がありますので、研究を要すると思つております。一応御報告申し上げておきます。     —————————————
  4. 冨永格五郎

    冨永委員長 次に、漁業法等の一部を改正する法律案永田節提出衆法第一四号を議題といたします。本案に対しましては、漁業経営安定に関する小委員会におきまして、種々議論を盡くされた問題でありまして、すでに質疑も盡きておるのでございますから、これにて本案に対する質疑終つたものめ認めたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 冨永格五郎

    冨永委員長 御異議ないものと認めます。  先般、本法案に対する修正案委員長手元まで提出されております。その修正案文は、各位のお手元に配付いたした通りでありますが、一応、内容説明をしていただきたいと思います。鈴木善幸君。     —————————————  漁業法等の一部を改正する法律案に対する修正案  漁業法等の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。  第一條中漁業法第六十六條の二の改正規定を削り、同法第九十四條の改正規定中「規定を除く。」及び」を「規定を除く。)、第二百七十條の二(選挙に関する届出等の時間)及び」に改め、同法第百四條の二及び第百三十八條の改正規定を削る。  附則第一項但書、附則第二項及び附則第三項を削る。     —————————————
  6. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 漁業法等の一部を改正する法律案に対する修正案は、お手元に配付いたしておりますから、案文の朗読は省略いたしまして、その修正案につきまして、趣旨及び内容の御説明を申し上げます。  このたびの漁業法改正のおもな点は、許可を受けない小型機船底びき網漁業禁止等につきましては、当水産委員会あるいは小委員会におきまして、しばしば検討され、調査研究をして参つておる次第でありまして、最近におきましては、司令部からいわゆる五ポイント勧告の中で勧告を受けておる点でもございまして、わが国水産業にとつてはまことに重大な問題でございます。そこでこれらの点につきましては、なお愼重に検討いたしまして、その対策を確立しなければならぬと存ずるのであります。ただいまお手元に配付いたしました案の通り、第六十六條の二の、小型機船底びき網漁業規定を削り、あるいは今般改正になつた公職選挙法選挙に関する届出等の時間に関する規定を準用することにし、なおまた第百四條の二の、海区漁業調整委員会の開会不能の場合の特例規定を削除し、その他の関連事項を整備しようとする次第でございます。  以上が修正案の概要でございます。
  7. 冨永格五郎

    冨永委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、別に討論の通告もございませんので、討論を省略して、ただちに採決いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
  8. 冨永格五郎

    冨永委員長 御異議ないものと認めます。  まず修正案について採決いたします。本修正案通り決するに御賛成の方の御起立を願います。     〔総員起立
  9. 冨永格五郎

    冨永委員長 起立総員。よつて修正案決定いたしました。  次に原案について採決いたします。ただいま決定いたしました修正部分を除いた他の部分について御賛成の方の御起立を願います。     〔総員起立
  10. 冨永格五郎

    冨永委員長 起立総員をもつて本案は修正議決せられました。  なお本案に対する報告書作成等に関しましては、委員長に一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 冨永格五郎

    冨永委員長 御異議なきものと認めまして、さよう決定いたします。     —————————————
  12. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 ただいま魚業法等の一部を改正する法律案委員会において決定を見たわけでありますが、この機会におきまして、瀬戸内海におけるます網魚業経営に関しまして、要望意見を述べたいと思うのであります。  瀬戸内海におきますます網でありまして、水深二十七メートル以上のものもこのたび第二種共同漁業になつて協同組合管理下組合員が各自行使するということになつたのでありますが、二十七メートル以上のます網行使につきましては、従来の経営者に固定することなく、小型機船底びき網漁業整理その他漁業制度改革実施により整理転換を必要とする組合員に対して特に重点的に考慮を加え、その他共同経営を推進する等、政府は適切な行政措置を講ずべきだと思うのであります。この点につきましては、特に瀬戸内海の今後の漁業調整上、また制度改革上重要な点でございますので、本委員会の決議によりまして、政府に対して強く要望しておきたいと思うのであります。提案をいたします。
  13. 冨永格五郎

    冨永委員長 それではただいま鈴木委員から瀬戸内海におけるます網漁業規定について希望提案されておりますので、一応それを文書にして、これを読み上げます。  瀬戸内海におけるます網にして水深二十七メートル以上のものも第二種共同漁業となり協同組合管理下組合員が各自行使するところとなるが、二十七メートル以上のます網行使については従来の経営者に固定することなく、小型機舶底びき網漁業整理其の他漁業制度改革実施により整理転換を必要とする組合員に対して特に重点的に考慮を加えその他共同経営を推進する等政府は適切なる行政指導をとることを要望する。  以上の通り政府に要請します。     —————————————
  14. 永田節

    永田委員 昨日水産庁長官に向つて、私は旭冷蔵工業不正融資幽霊会社に対して融資をするということは穏やかでないから、閣議を取下げて善処する考えはないかと申し入れたのでありますが、その意思がないということをはつきり発言になつた。引続きまして昨日の閣議には、この不正融資不実記載をなした幽難会社をそれぞれの所管大臣が認証いたしまして、閣議の通過を見たのでございますが、私は本委員会におきまして、水産庁長官に対してもはやとやかく申し入れる段階でない、かように考えております。自由党はかつては日発問題あるいは五井産業、ひいては小滝炭鉱不正融資、さらにまたここにわれわれ与党議員が前もつて数時間にわたつて忠告し、警告を発しているにかかわらず、その刑事上の罪をあえて犯すのみならず、権威ある見返り資金を一種の私情にわたつて放出する、かような内閣は、われわれは信任するわけに行かない。つきましては……。
  15. 冨永格五郎

    冨永委員長 永田委員に、御発言中御注意を申し上げておきますが、今の問題は小委員会付託し、小委員会調査いたしてありますから、それは小委員会で話し合いたいと思います。
  16. 永田節

    永田委員 それは小委員会は小委員会だ。委員会委員会でやれ。  従いまして、農林大臣総理大臣を本委員会へ呼べ。そうしてその責任のあるところをただそうじやないか。かようなことは、絶対多数党なるがゆえといつて、おおいかぶせ得るものではない。ここに絶対多数の悪政の原因がある。貴君は与党であるから、与党のことを心配して、速記にとどまることを心配されるその御精神はよくわかる。しかしわれわれは自由党の党員であると同時に、日本人であり、国民代表である以上は、この事実を隠蔽するということは許されない。どうか本委員会内閣総理大臣並びに所管大臣廣川弘禪君を呼ぶことを決議してもらいたい。議論はそれからだ。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  17. 冨永格五郎

    冨永委員長 きのうの永田議員発言の問題は、小委員会付託することを議決して、小委員会付託されておりまして、小委員会審議中であるととを申し上げます。
  18. 松田鐵藏

    松田委員 昨日は小委員会付託をすることに決定したのでありまするが、今日の公報には小委員会を招集しておりません。会期は二十八日とかで終ることになつておると聞いておるのでありますが、二十八日は今日であります。今日まだこの小委員会を招集していないという責任はどなたにあるのか。委員長があえてこの小買会を招集しなかつたことについて、私は委員長責任を問うのでありまして、どういう理由によつてこれをやられたか、これをひとつ御説明願いたい。
  19. 冨永格五郎

    冨永委員長 小委員会を招集する、しないの権限は、もちろん小委員長にあることは説明をまつまでもないのであります。しがしながら小委員長のみに責任を転嫁して、委員長はこれを回避するものではありません。しかしながら昨日ただちに小委員会を招集して、その書類の内容検討いたしまして、それぞれの方面と打合せをいたしており、まだ結論を出しておりませんから、あらためて小委員長協議して小委員会を招集して、その席上秘密会を開いて検討し、本委員会報告の上、ただいまの御希望に沿うようにとりはからいたいと思います。
  20. 松田鐵藏

    松田委員 昨日は小委員会として懇談会をやつたのでありまして、その懇談会をやつて、今日小委員会を招集することになつてつたのでありまするが、委員部はこれをあえてしなかつたことに私は疑惑を持つものであります。小委員長はつきり今日は小委員会を招集するということになつてつたのであります。私どももその委員として出席したものでありまして、どういうわけで委員部は今日の公報に小委員会の招集をしていないか、この点をただしたいと思います。
  21. 冨永格五郎

    冨永委員長 委員部にかわつて委員長からお答え申し上げます。委員部は小委員長からの指令がなければ、委員部独自の立場で、委員会で取上げられておつたからというだけの構想公報に掲載することは許されません。
  22. 松田鐵藏

    松田委員 しからば本日をもつて会期はもはやなくなることと思うのでありますが、ただいま永田委員から発言されたように、これは重大なる問題でありまして、小委員会付託はしてありますが、野党の方々もおられるのでありますから、ここで議論を進めて行きたいと存じますが、この点を動議として提出いたします。
  23. 冨永格五郎

    冨永委員長 委員の皆さんにお諮り申し上げます。ただいま松田委員から動議提出がありましたが、委員長見解としては、小委員会に昨日付託に相なりましたので、小委員会審議をし、本委員会にその結論を出すことにいたしたいと考えておりますが、松田委員動議は皆様にお諮りをいたします。     〔「賛成」「小委員会付託したつて委員会付託したつて悪くはない」と呼ぶ者あり〕
  24. 冨永格五郎

    冨永委員長 悪くはないが、私の見解はさよう考えておりますので、賛成者少数と認めまして(「同数じやないか」と呼ぶ者あり)否決になりました。小委員会審議いたします。
  25. 永田節

    永田委員 そういうべらぼうな採決はない。それは与党が横暴だ。君はにこにこ笑つているけれども野党ならば君、ぶち殺されるぞ、そんな不謹愼な議事運営をやると。ここをどこだと思つているのか。自由党政調会と違う。いかに隠そうとしても本人がそこにおるじやないか。すでに、わが党の内閣はさようなあやまちを犯さないようにと、しばしば注意しおるにもかかわらず、何がゆえにかような危険を冒したのか。問題は厳重に調査をして、当然見返り資金の性格に適格する所へ融資すべきものである。しかも非適格と称されている五十数社の中には、すでに冷凍施設を営んでおる数会社もあれば、堅実なる歩みをしておる会社も多々ある。それらのものをさしおいて、来る二十九日に創立総会が行われるという幽露会社に対して、何ゆえに巨額の融資をしたのか。それを所管大臣大蔵大臣も知りつつ、何ゆえ閣議を通過して決定を見たのか。ことにわれわれが国民代表として徹底的に糾明しなければならぬ理由がある。一方においては、法的の解釈で行けば、会社側旭冷蔵工業なるものは、不実記載をなして公文書を偽造して、詐欺に値する。これを取扱つた水産庁公文書偽造だ。そうして閣僚おのおのはこれ業者と共謀だ。かような事実を、われわれは与党なるがゆえといつて与党を愛するがゆえに見のがすわけに行かない。従つて委員長、君は個人の情をもつてゆえに私の発言を封じんとするのか。私は個人冨永格五郎個人永田節関係はよくわかるが、事いやしくも善悪のたぐいにおいて一歩も譲るわけには行かない。私の発言をして君が説得し得る理由があるならば言つてみたまえ。この私の正しい堂々とした論陣を、君が押える理由があるならば言つてみたまえ、私は総理大臣大蔵大臣廣川農林大臣を呼ぶというその案を撤回しますから。
  26. 冨永格五郎

    冨永委員長 永田委員にお答え申し上げます。先ほどもしばしば申し上げている通り、もちろん、小委員会付託してあるから、本委員会で論議することはいけないとは申し上げておるのではありません。しかしその他時間の関係等もあつたりいたしまして、それぞれの手配をすることは今日の情勢においては困難であるから—あなたの論陣を押えている事実はありません。あなたのおつしやることは十分拝聴いたしております。おりますが、あなたの要求の通りに応じ切れないものがあるから申し上げているわけであります。
  27. 椎熊三郎

    椎熊委員 ちようど水産庁長官がおられるようでありますから、関連してお伺いします。これは驚くべきことを初めて聞いたので、実は愕然としたのですが、そういう事実があることを今まで知りませんで、はなはだうかつ千万でしたが、事は小委員会付託されておるそうですから、内容はいずれ小委員会で詳細に検討になることと考えますが、われわれは党を代表して、このことだけを責任ある当局から聞いておきたい。ただいま永田議員発言せられたるお言葉の中に、驚くべき不穏に感ぜられる言辞がある。たとえば水産庁官文書を偽造した、内閣閣僚詐偽行為関連がある、共謀しておる、こういうことは国会としては聞捨てにならぬことでございます。国家の威信の上からは見のがすことができません。そこであらためて私は、小委員会検討とは別に、政治問題としてこのことをあなたにお伺いする。旭冷蔵工業株式会社というものは存在するのかどうか。存在するとすれば、どこに、いかなる人が責任をもつて、いつ政府の認可を得たものであるか、これがいつ水産庁を通じて見返り資金融資を願い出たか、水産庁はいかなる検討をもつてこれを主務大臣に答えて閣議にまで持ち込むに至つたか、その経緯について詳細にお答えを願い、続いてそれに対する質疑をいたしたい。
  28. 家坂孝平

    家坂政府委員 実はこの問題は昨日本委員会でいろいろ御説明を申し上げたわけでありますが、今御質問になりましたので、また繰返し申し上げる次第であります。実はこの旭冷蔵工業株式会社見返り資金を割当てられるべき会社として指定いたしたことにつきましては、その前に、東京魚類株式会社という魚市場荷受け会社があるわけであります。社長は樋口寅太郎という人で、この会社が昨年以来見返り資金申請をしておつたわけであります。それでこの魚市場荷受け機関である東京魚類という会社は、今度荷受け機関会社が相当整備される過程に今入つておるのでありますが、戦時中から財政的もなかなか苦難の道をたどつて来ておつたわけであります。それでむしろこの会社自分自体でこの見返り資金を受けて冷蔵庫を建設するよりも、新しい会社建設して、そうして負債のないりつぱな健全な会社でもつて運営して行つた方がよろしいという考えになりまして、また日銀あたりからもそうした慫慂もあつたようでありますが、考え方をかえまして、自分が発起人の主要な役割を務めまして、実は三月の十日に私どもの方に、東京魚類としては旭冷蔵株式会社というものを創設して、その方に今の見返り資金を借り受けて建設するという権利を譲渡して運営して行きたい、かような申請書が出て来たわけでございます。私どももそうした東京魚類とのつながりがあるものですから、日銀あたり慫慂もある、この旭冷蔵株式会社の出発は、資本金一千万円と予定しておりすが、それをほんとうに健全に建設させて、それに見返り資金を充てて行くということはさしつかえないだろう。かような考えをもちまして、各関係省にも申達して参つたわけであります。それモ大体この会社は明二十九日に創立総会を開いてでき上る段取りになつておるわけであります。払込み資金ども順調に出るやに聞いておりますが、そうしたいきさつでこの旭冷蔵株式会社に割当をして進んで来ておるわけであります。
  29. 椎熊三郎

    椎熊委員 そうすると、会社はまだ創立総会を開いていない、すなわち会社は成立していないということなのですか。そしてきのうの閣議決定では、もしこういう構想会社が成立したら貸してもいいという條件付のようであつたが、貸すということを確定的にきめたのであるか、どういうことですか。
  30. 家坂孝平

    家坂政府委員 もちろんこの会社がまだできておらないということは、大蔵省あたりでもよく知つておるわけでありますから、会社ができればこれに割当てるということになつておると考えております。
  31. 椎熊三郎

    椎熊委員 大蔵省ではこの会社が成立していないということを知りつつ、会社が成立していない以前にそういう決定をするというようなことは違法じやないのですか。そういう前例でもありますか。何もない架空のものすね。できないものを法的にできると想定して、貸すということをきめることは少し違法じやないですか。貸すという対象が明確でない、そういうことをただ想像しただけなのでしよう。しかも単なる市中銀行の貸借などとはこれは違うのである。国家の金です。しかも見返り資金です。そういうことは不当だと言わずして何ぞやです。これは不当です。あなたはそうお思いにならぬですか。あなたはそういうことは当然でき得ることと信じられて賛成せられたのですか。
  32. 家坂孝平

    家坂政府委員 私はそうした前例もあるかどうか調べてみたのでありますが、前例はあるそうであります。これは日銀の話でありますけれども——もちろんこれが創立しなければ貸すわけはないのでありまして、もちろん創立した場合に貸せる、こういう場合に割当を決定する。そして私どもといたしましては、もちろん安本、大蔵省、日銀にもこの権利譲渡のいきさつを文書でもつて各局長あてに出しておりまして、こういう性格のものであるからということは、十分連絡はとつてあるわけでありますから、もちろん大蔵省としましてもこの点は熟知しておられる、かように考えております。
  33. 椎熊三郎

    椎熊委員 あなたのお話を今のところずつと総合して承ると、東京魚類株式会社というものは、戦争中から仕事はやつてつたが、財政上非常に困つておる。そうすると、あなたの考え方としては、これに国家的の融資でもして、これを救済してやつた方がいい、この会社救済のために旭冷蔵工業をつくるということをお考えになつたように聞えるのです。そうだとするとおそらく東京魚類と、今度できんとする旭工業と、水産庁と、日銀と、農林省と、しかして内閣と、なれ合いでこの一つの民間商社を救済するということを企てたということに考えられるのであるが、あなたの見解はどうですか。
  34. 家坂孝平

    家坂政府委員 見返り資金を割当てる過程におきましては、この東京魚類を救済するという意味には考えておりません。もちろんそれは大局的に考えますれば、東京都におきましては、非常に冷蔵庫が不足しておるのであります。氷にしましても、冷蔵庫にしましても、凍結にしましても、いろいろの会社からも申請してありまするので、できるだけ冷蔵庫の建設につきましては協力して、われわれも融資には盡力して参つておるわけでありまして、たまたま東京魚類がその選に当つたのでありまして、一東京魚類の救済をはかつてつたという考えは毛頭ないのであります。たまたま東京魚類から昨年以来申請があつたものですから、一つの適格会社考えまして見返り資金融資考えて参つたような次第であります。
  35. 椎熊三郎

    椎熊委員 東京魚類の役員、重役の中に、元水産局長であつた寺田省一君は関係しておられますか。
  36. 家坂孝平

    家坂政府委員 東京魚類にはおられません。
  37. 椎熊三郎

    椎熊委員 驚くべき事実を私どもは聞いたのです。これは天下の大問題になろうと思いますが、そのことは政治問題ですから別にいたしまして、ただいま永田委員から指摘せられたる、水産庁内部における官文書偽造ということであります。あなたはそれに対してどういう御見解を持つておられますか。
  38. 家坂孝平

    家坂政府委員 官文書を偽造したとは私は考えておりませんけれども、私はただ、ただいま御説明申し上げましたような趣旨で、この旭冷蔵工業株式会社見返り資金を割当てるべく、手続をとり進めて参つたわけであります。
  39. 永田節

    永田委員 長官官文書偽造を今日否認されておられますが、きのうまではあなたは認めておられる。速記をごらんになればおわかりになるのですが、本日初めて出席された委員もあるようなので、私が官文書偽造であると指摘した理由をあらためて御説明申し上げます。  そもそも東京魚類のなれの果て、すなわち幽霊会社旭冷蔵工業株式会社、今日実在していない会社閣議決定に上り、書類を作成した。三月十七日においては、公然と登記を完了したものの人格と同等に認められて水産庁が取扱つておる。しかもその情実を知りつつ水産庁が取扱つておる。ここにおいて不実記載はすなわち偽り、偽りはすなわち公文書偽造にあらずして何ぞや。しかも諸君らは一部商人と結ぶところあつて、明らかに共犯ではないか、君自体はすでに今日運命きわまつて、職務違反で覚悟はできておるだろうが、国家の大局の面からいつて、君一個の進退は問題ではない。要するに内閣の、政府の、日本の威信にかかわる問題なんです。ゆえに私は本委員会においては、野党の各位にも申し入れたいのですが、長官にこれ以上質問しても、すでにその段階でないのです。従いましてここに内閣総理大臣大蔵大臣農林大臣を喚問してその真相を糾明しなければならない、これはわれわれの責任であろうと思うのであります。委員各位にお諮りします。
  40. 椎熊三郎

    椎熊委員 永田委員の具体的な、しかも勇気ある発言には私ども恐れ入つておるのですが、ますます奇々怪々る事実だと思います。会期は余すところ一両日でありまして、この重大問題は一日や半日で片づく問題ではない。しかしすでに閣議決定は昨日終つたということですから、たまたましい事実であり、会社はまだ成立しておらぬのでまから、本日は本会議終了後にでも、われわれは党議を練つた上で、さらに材料を持つてこの会議に臨みたいと思いますし、夜を徹してもこの水産委員会を継続して真相を糾明しなければ、われわれは国に帰ることはできぬ、国会議員としての責任を果すゆえんではない。いわんや与党たる議員から、内閣官文書偽造、詐欺の行動に共謀しておるという言葉を聞くことは、私は日本政府のために、日本国家の名誉のために残念です。従つてこれがないならばない、あるならばあるように、事態を明白にしなければ、私ども国民に相済まぬと思う。よつてこの程度で今日は休憩していただいて、本会議終了後ただちに参集したい、そういうことをお願いいたします。
  41. 永田節

    永田委員 ただいまの椎熊委員のお説には賛成いたします。従いまして本日は徹宵してもこの問題を解決したいと思う。つきましては、午後の委員会にはその一件書類をここに持つて来てもらいたい。委員長、もし君がやりづらければ交代したまえ。
  42. 椎熊三郎

    椎熊委員 ほんとうは政治道義の上から言つたら、野党側に委員長を譲るべきです。事態の責任与党政府にある。そこまで私ども追究はしませんが、あなたは責任を持つてこの問題を明らかにしなければいけません。
  43. 冨永格五郎

    冨永委員長 もちろん委員長として責任を持つて明らかにするために、小委員会検討いたしております。
  44. 永田節

    永田委員 小委員会け小委員会、本委員会け本委員会だ、並行してやらなければいかぬ。
  45. 冨永格五郎

    冨永委員長 本委員会は一応暫時休憩いたします。  あらためてまた委員会を招集のときはお知らせ申し上げます。     午後零時十三分休憩      ————◇—————    午後四時四十七分閣議
  46. 冨永格五郎

    冨永委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  旭冷蔵工業株式会社に関して永田委員松田委員椎熊委員各位から発言がありましたが、休憩中に委員長がそれぞれ必要な機関に当つて調査いたしましたところ、次の通りでありますから御了承願います。  旭冷蔵工業株式会社に対する見返り資金解除の申請が三月二十七日の閣議において諮られましたが、検討の結果、審議未了のため保留になつております。  従つて委員会としては以上の事実を認め、本問題に対する質疑を打切りたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 冨永格五郎

    冨永委員長 御異議なしと認めます。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後四時四十九分散会