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1951-03-06 第10回国会 衆議院 水産委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月六日(火曜日)     午前十一時六分開議  出席委員    委員長 冨永格五郎君    理事 鈴木 善幸君 理事 二階堂 進君    理事 林  好次君    石原 圓吉君       小高 熹郎君    川端 佳夫君       川村善八郎君    田口長治郎君       永田  節君    平井 義一君       小松 勇次君    水野彦治郎君       井之口政雄君  出席政府委員         農林事務官         (水産庁次長) 山本  豐君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  石井 昭正君  委員外出席者         衆議院参事         (法制局第三部         長)      鮫嶋 眞男君         專  門  員 杉浦 保吉君         参議院水産委員         会專門員    岡  尊信君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  参考人招致に関する件  連合審査会開会要求に関する件  水産業協同組合法等の一部を改正する法律案(  参議院提出参法第一号)  水産物運賃に関する件     ―――――――――――――
  2. 冨永格五郎

    冨永委員長 これより水産委員会を開会いたします。  議題に入る前にお諮りいたします。ただいま大蔵委員会において関税定率法の一部を改正する法律案審議いらしておりますが、水産業重油軽油等炭化水素油を最も多量に使用する産業であり、その全量の約三〇%を使用している現状であります。その上燃油は水産業においてはその漁獲高を左右する重要要素でありますので、これが高騰はただちに漁獲高の低減を惹起するおそれがあり、国民生活に及ぼす影響はまことに大であります。現下の水産業は、その他の輸入資材においてもいずれも高騰し、資材費はますますかさみ、今やその経営は危殆に瀕しており、これが打解策を講じなければ、崩壊するおそれさえあることは、さきの司令部よりの勧告にもある通り、明らかな事実であります。しかもこのたびの炭化水素油関税をかけようとする趣旨が、その一割を産出するにすぎない国内産油保護対策であるということにつきましても、われわれとしては納得いたしかねますので、以上の趣旨からして、関税定率法の一部を改正する法律案の附則として「炭化水素油の項中、原油、重油及び粗油の税率は当今の間関税定率法別表税率にかかわらず無税とす。」といたすべきであると考えますので、この件につきまして大蔵委員会合同審議を中入れることに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 冨永格五郎

    冨永委員長 御異議なしと認め、さようにとりはからいます。  なお日時等につきましても委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 冨永格五郎

    冨永委員長 御異議なしと認め、さようとりはからいます。
  5. 冨永格五郎

    冨永委員長 次に水産物運賃に関する件を議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。川村委員
  6. 川村善八郎

    川村委員 鉄道運賃は昨年の四月一日に改訂になりまして、大体平均八割の値上げとなつたのであります。しかしながら水産物特殊事情から、これを特殊扱いにしなければならぬということで、遠距離に対しても割引をなし、さらに水産物の品種その他いろいろ差別をつけまして割引をしておる現状でありますが、これは一年の暫定期間になつておりまして、来るべき三月三十一日にはその特例が解消されまして、このままで行きますと、全部八割の値上げをしなければならぬことになるのであります。かくては当時の水産物価格と、今日の価格を対照いたしますと、相当に安値になつてつて、むしろより以上に運賃割引をしなければならぬ実情になつておるのでありますけれども、これをこのままにしておきますと、結局普通の貨物扱いとなつて、八割の値上げをしなければならぬと思いますので、一応運輸当局にその事情を御説明願つて、さらに御質疑を申し上げたい、かように考えます。
  7. 冨永格五郎

    冨永委員長 この場合委員各位にお知らせ申し上げます。水産庁次長山本豐君国有鉄道部長石井昭正君、御両君が出席せられております。
  8. 石井昭正

    石井政府委員 昨年の貨物運賃値上げに伴いまする鮮魚運賃に対する特別措置に関するお尋ねでありますが、ただいまお話がございましたように、昨年の一月一日から貨物運賃は八割値上げをいたしたのであります。その際各種の品目についていろいろ御議論もあつたのでありまするが、特に鮮魚に関しましては、運賃負担力の面からいろいろ御意見かございまして、結局等級改正するということについて研究をいたしておるところでありまして、等級改正審議会国有鉄道の内部に設けまして、関係の官庁あるいは業者、いろいろの專門家等のお集まりをいただきまして、審議をいたしました結果、鮮魚、特に大衆的な鮮魚につきましては従来の等級よりさらにまた等級を下げ、従いましてその結果といたしまして、一般貨物値上りよりはいくらか安くするという方針なつたわけであります。さらにその上に、遠距離に対しましては何とか運賃割引考慮をしろという強い御要望がございましたが、結局七百五十キロ以上の鮮魚冷凍魚につきましてはさらに五分引きということになつて値上げ前の運賃に比べれば、もちろんある程度運賃増加はしておりますが、しかしながら八割というような高率な値上げには相なつておらないわけであります。この割引特別措置の期限が一応本年の三月三十一日になつておることはお話通りでございます。従つて運輸省といたしましては、かような特別措置をいたしましたその他の品目とあわせて、目下考慮をいたしておるわけでありますが、御承知のように、昨年六月朝鮮事変勃発以来、諸物価のうちには相当高騰を示したものもございまして、必ずしも特別措置継続するのが適当かどうかと思われるものもないではないと思うのでございます。また一方、鉄道の方の事情は、生産資材相当値上りを示しておりますので、二十六年度におきまする収入のバランスは、予算面上はきわめて健全になつておりまするが、はたしてその通りかどうかという点には大きな危惧が持たれておりまして、たとい経営費の上におきまして何とか破綻を来さずにやれるといたしましても、工事費その他につきましては、相当無理が加わつて来るのではないかという見通しなんでございます。かような点から、国鉄財政状態一般経済状態物価趨勢等もあわせまして、このまま全部継続するというようなことでなしに、今日の実情に即してこの特別措置検討して参りたい、かように考えておる次第でございます。
  9. 川村善八郎

    川村委員 ただいま御説明されたことにつきましては、大体現行法の問題について特例を設けたことを、さらに延長したいという意見は十分含まれておりますが、ただそれを今日このままに――品目検討せず、あるいは諸種客観情勢等もあるので、そのままに認められないというような意味が含まれた言葉のように承ります。そこで水産物実情を申し上げますと、他の物は朝鮮動乱契機として値上りをしたでしよう、あるいはいろいろな機構運営についての問題も、人件費その他物価値上りによつて高騰したことも事実だと思います。ただ水産、いわゆる漁業に関する限りは、かえつて朝鮮動乱契機となつて物価が安くなつておる。すなわち水産物価格は安くなつたという実情であります。一例を申し上げますと、戰争前はこんぶでも、するめあるいは貝ばしら、そうしたようなものは中国、朝鮮方面に相当行つてつた。これがぴつたり行かなくなつて、するめの価格は下る、こんぶ価格は下る、あわせて水産物いわゆる鮮魚価格等も大分落ちたというのが実情であります。鉄道独立採算制意味からいつて、当然今説明があつたようなことは心得なければならないと存じますけれども、ただいま私が申し上げましたように、水産物は逆に悪影響が大きかつた。このまま運賃高騰させられたのでは、今ですら漁業経営が成り立たないといつて方々議論が起きておる時分に、鉄道運賃がさらに加算されることになれば、これはたいへんな問題と思います。従つてこれは運輸当局といたしまして、国鉄相談をして――もちろんこれは再検討しなければならぬと思いますが、改訂の場合は、この委員会を通じて十分に懇談し、納得の行く線で運賃改訂もしくは特例を設けていただきたいと、私は念願するものであります。その点について政府当局の御意見はどうであるか、單独でどこまでも押切るか、あるいはいろいろの機関にはかつて、公正な運賃の操作をきめるという方法をとりますか、いずれにしてもこれをきめなければならぬと思いますので、この際御説明を承つておきたい。
  10. 石井昭正

    石井政府委員 この特別割引暫定措置をいかにするかということについては、ただいま申し上げましたように検討中でございまして、御説のように割引をいたしました状態と比較いたしまして、そこに状態変化がない、むしろ逆に運賃負担力の上からいえば悪化しておるようなことが事実でございますれば、さような点から考慮いたさなければならないことは、当然であろうと考えておる次第であります。ただその措置を実施いたすにあたりまして、当委員会等にお諮りするかどうかというお話でございまするが、私どもといたしましては、特別割引いたしましたときの経緯にかんがみまして、もちろん当時いろいろ御盡力になりました方方には、よく意を盡して御了解願いたいと考えておる次第でございます。委員会に正式にお諮りするというようなことは、事柄の性質上いかがかと考えております。
  11. 川村善八郎

    川村委員 昨年の運賃改訂をする場合におきましては、他の党は別といたしまして、自由党では政調会で取上げて、ずいぶんもみにもんだのであります。大体その当時の意見といたしましては、運賃改訂はしない、いわゆる鉄道全体の経営について検討をする。極端に言えば、戰前の五倍の人員を擁しておるが、しかしながら戰争の影響一つ鉄道は延長されておらない。であるから、内容検討すると、必ず経済が浮いて来るという議論が起きて、改訂には不賛成な意見相当に強かつたのであります。しかしながら、いずれにいたしましても、その当時は一般会計から相当に補助をしてやらなければ、鉄道採算、つまり経営ができないということで、やむを得ず認めたのでありますけれども、当時院議を尊重しなければならないという付帶決議があつて、そして通過したという経過があるのであります。もちろん水産委員会にはかるかどうかという局限した問題は、それはできないまでも、やはり院議というものがあるので、それぞれのそうした機構にはかつて決定しなければ、またぞろ大きな政治問題として、取上げられる憂いもあるので、私はここであらためて希望申し上げますことは、特例を設けずとも、さらにあるいは運賃改訂をいたすにいたしましても、愼重にお考え願つて院議を尊重してそれぞれはかられる方が、むしろ無事平穏に行くと思いますので、その点特に御留意を願いたいと思うのであります。
  12. 石井昭正

    石井政府委員 私の言葉が足りなくて誤解をいただいたことを恐縮に存じます。ただいま川村先生のおつしやつた意味のように私は申し上げたつもりであります。決して御相談もおはかりもしないでやつたという意味ではございません。当時いろいろのお話もありましたし、当該機関等了承は十分に得てからやつた、こういう意味で申し上げたわけであります。
  13. 川村善八郎

    川村委員 そこでこれは、あなた方の運営内容に入ることは、私欲するところではありませんが、当時私らが説明を受けたときに残された言葉でありますので、この点も確かめておかなければならない。というのは、当時運賃値上げするという理由の中に、もちろん鉄道独立採算制ということはお考えになつて、その議論は持ち出されたのでありますが、先ほど申し上げた通り、こういう説明があつたのであります。鉄道はできるだけ今後建設をして、言いかえれば客車増加するし、また内容改善をする、サービスも十分にするということと同時に、鮮魚輸送については、鮮度保持のために冷蔵車相当増加する、さらに氷等運賃については、今後特例の上の特例も研究して設けるつもりだというような、いわゆる内容改善について相当力を入れた説明があつたのでありますが、こうした点について、御承知のように客車相当改善されたことは事実であります。ただいなかに入りますと、いまだに板の腰かけがある。しかもがたがたで、ガラスが破れて風が入つて、雨が漏るというような客車がまだあります。これらはいずれは改善されるでしよう。しかし貨車については、冷蔵車相当増加するという話もあつたが、どうも状態がそれと相反して、さつぱり貨車が入つて来ない。大漁の時分には、鮮魚輸送に非常に困つておるというようなことは、われわれずいぶん聞かされるのでありますが、こうした点において、もしそこに資料がありますならば、冷蔵車は今年はどうする、鮮魚輸送についてはどうする、あるいは水産物輸送についてはどういう処置をとるというようなこともお伺いできたら、たいへんけつこうだと思います。
  14. 石井昭正

    石井政府委員 輸送サービス改善についてお話が出まして、旅客輸送についてはおしかりがございましたが、支線方面におきましては、いまだに客車の悪いのがまわつて、たいへん御迷惑をかけております。この原因は、御承知のように木造車にあるわけで、これらを全部なくしたい、全部鋼造車に改造しようということで、それを五箇年計画鋼体化する計画を立てておりまして、計画通りただいま実施しているわけであります。そういたしますと、結局現在の木造車にあまり多額の費用を投じて修繕いたしましても、すぐ鋼体化しなければならぬというようなことがありますので、たとえば雨漏りを直すとか、ガラスを直すとか、座席を直すという点についての考え方を、多少稀薄にすると申しますか、そういう点に考え違いがあつたような情勢もございました。その点につきましては至急に注意を促しまして、昨年末から本年度にかけまして全部木造車特別修繕計画を立てさせてやつたのであります。おそらく年度末までには座席ガラス、あるいは屋根等の修理は一応でき上るかと思うのであります。それから先のことにつきましては、一応新造車基幹線に入れて、逐次支線の方にまわして行くという順番にいたしたいと思います。特に三等の木造車鋼体化が進んで参りますれば、ただいまのような御迷惑をおかけしないで済むというような状況でございます。一斉にするというわけには行かないので、この点は御了承を願います。  次に冷蔵車の問題でございますが、冷蔵車は本年度は大体百両つくる計画を立てまして、ただいまのところ、十二月末までには八十九両完成しております。もちろんこれで十分とは思つておりませんので、特に来年度におきましては、一般貨物輸送逼迫によりまして、貨車新造計画を非常にたくさん立てたのでありますが、国会に御承認を願つております予算によれば、基礎数字といたしましては、来年度は四百五十両の冷蔵車計画を立てているのであります。ただこの点が先ほど申し上げました資材値上り等によつて相当單価が狂つて参りますので、実行上はたしてこれが全部完成できるかどうか。それからして、多少重要でないところを省いても、こちらにまわさなければならぬというように考えているのであります。そういうふうに冷蔵車増加につきましても、他の貨車に比較しますと、特段手配をいたしている次第でございます。また輸送径路につきましては、時刻改正の際にも、鮮魚輸送列車の運行については、絶えず改善をはかつて、各業界の方々の御要望にできるだけ沿うように処置いたしておるつもりでございますが、なお一段と御指導をお願いいたしたいと思います。
  15. 川村善八郎

    川村委員 ただいま客車の今後の増加あるいは貨車増加についての御説明があつたのでありますが、本年は百両の計画で八十何両ができておる。まあ大体百パーセントまで行かぬでも、九十パーセントに近いということで、まことにけつこうでございます。来年度は四百五十両の計画であるが、材料の値上りその他いろいろな事情から、はたしてどうかといつたようなお話があつたのでありますが、予算措置においては、大体四百五十両という冷蔵車増加するべく通過したかどうか、つまり衆議院予算は通過しておりますので、あの予算に織り込んであるかどうかという問題を、お伺いいたしたいと思います。
  16. 石井昭正

    石井政府委員 予算は、冷蔵車大体四百五十両という数字で、車両費の中は組み立てておるのであります。ただこれを組み立てましたときの單価と、いただいまこれから発註いたしますときの單価と、おそらく大分違いが出て来るのではないか、その点の数量がはたして計画通りできるかどうか。われわれといたしましては、もしできないとなれば、情勢変化に応じて、また別途の予算措置をお願いするなり、あるいは他の費用を節減してまわす、その他いろいろ方法もあろうかと思いますが、予算には一応、ただいま申し上げました通り、四百五十両という内容で、衆議院の御可決はいただいた次第であります。
  17. 川村善八郎

    川村委員 そこで結論を申し上げますが、まず運賃については、水産物は、先ほど説明申し上げたように値下りをしておる現状でありますので、特例については特段措置を講ぜられんことを希望いたします。さらに客車、特に冷蔵車の建造については、万全の努力を払つて、ぜひ四百五十両を建造するように、しかしてこのサービスも十分に改善をするように要望いたします。
  18. 小高熹郎

    小高委員 ただいま政府が、国内食糧自給自足体制を樹立して、そうして国民食糧の安定をはからなければいけないという線に向つて強度に動いておるということは、おそらく国有鉄道関係者においても御了承のことと思われるのであります。そういうことから思いをいたしますと、現在の水産食料が政策上はなはだ冷遇されておる。ことに最近の採算上の困難、資材値上りに対する魚価安、これらの点は、先ほども川村委員がるる述べられた通りでございますが、これにつきまして私どもは、一昨年の十二月、国鉄貨物運賃八割の値上げをせんとする際に、代議士会において、ここにおられます田淵委員とともに二日間これを議論し、政務調査会において、大屋運輸大臣の二日間の出席を求めて、運賃値上げは何ゆえにしなければいけないか、国鉄がきわめて合理的に経営して、なおかつ八割の赤字を出したのであるか、また経営上に遺憾の点があつて八割の貨物運賃値上げをしなければ相ならなくなつたのであるか、資料を明らかにしてもらわなければ、ただちにこれを決定するわけに行かぬという論旨のもとに相当つつぱつたのでございますが、その結果、諸種説明もございまして、ともあれ今の際は、すでに政府方針を決定したことであるから、一応八割の値上げをのみ込みはするが、等級引下げることによつて、事実上の値上りをある程度阻止するということでどうだというので、話がついたのでございます。その際に、ただいま国有鉄道部長の御説明によりますと、生鮮魚類は七百キロ以上を割引するということでありますが、当時二百キロ以上を割引したらどうだという意見が強硬に出ておつたのでありまして、これはいずれ四月、すなわち昨年の四月の改訂において考慮するという言葉があつたのでありますが、その後の状況を見まするに、そういうような具体的な事例が現れておらない。当時政務調査会議論においては、大屋運輸大臣及び国有鉄道局長級首脳部が全部出ておつたことと了承しておるのでございますが、本月一ぱいで、四月早々改訂を見ようとしておる際に、すでに事務当局においては、四月といつてももはや余日がないのでありますから、およそこの程度に上げようとするぐらいの腹案があるはずだ、少くとも原案に対して検討中であろうと思うのでありますが、その検討しておる内容において、二百キロ以上を割引する内容が盛り込まれておるか、またどうしても七百キロ以上でなければいけないか、この点について昨年来の私ども一つの懸案でありますので、鉄道部長からの御説明を願いたいのであります。
  19. 石井昭正

    石井政府委員 ただいま、十二月の改正にあたつていろいろ御意見があつたということは、私どもも十分了承いたしておるのでありますが、このときは等級をかえないで、いずれ等級は四月からかえるようにするから、それでひとつ暫定的措置としてごしんぼうを願いたい、こういうふうなことで、一応三月まで暫定的な措置が講ぜられた。その間に、先ほど申し上げましたように等級審議会を設けまして、そこで等級改正をいたしました。それで最終的な線につきましても、等級引下げ行つたのでございます。従いまして私は、ただいまお話のありました問題は、等級引下げと関連して、ある程度了承を得たのではないかと考える次第でございます。なお七百五十キロ以上につきましては、遠距離でございますので、等級改正でもまかないきれない点があるので、特別措置をとつた、かように考えておる次第でございます。  なおこの等級特別措置継続に関しての原案はどうかというお話でございますが、これは私ども原案というものは、ただいま行つておりますものを検討するという意味でありまして、お話がございましたような、新しい問題につきましては、別途考究いたさなければならぬかと思いますが、それはただいま申し上げました特別措置についての継続の問題と、また別個に御意見を拝聴さしていただきたいと思います。
  20. 小高熹郎

    小高委員 ただいまの御答弁でありますが、私は、二百キロ以上の、トラック輸送ちよつと骨が折れるという地点は、水産物限つて、よろしく貨物運賃割引をすべしという意見を持つておるのでございますから、これはこれ以上の質問をいたしませんから、どうかそういう意見があるということを御了承の上、原案作成の際に、その意思を盛り込んでいただきたいことを希望いたします。
  21. 井之口政雄

    井之口委員 先ほど川村委員から、鉄道運輸サービスについて質問がありましたが、ただいま水産関係運輸は、とりわけ朝鮮事変発生以来非常に停頓しているやに思われるのであります。これは明らかに朝鮮事件のためにいろいろな貨車が軍事的に使われておる。その結果そういうふうになるのじやなかろうかと思うのであります。それについてまず第一に、今どの線が大きく増車されつつあるか。どの辺に水産上の運輸について大きな支障を来しておるか。また新しい貨車の製造につきましても、水産方面に必要なところの冷蔵車などの増車がとかく遅れて、そしてほかの方面にまわされているだろうと思うのでありますが、その状態等についてちよつと御説明が願いたい。
  22. 冨永格五郎

    冨永委員長 井之口君にちよつと申し上げておきます。議題鉄道運賃に関して質疑をいたしておりますので、もちろん関連はあると認めますが、その範囲をあまり逸脱しないように御質疑を願いたいと思います。
  23. 石井昭正

    石井政府委員 朝鮮事変以来、非常に鉄道貨物輸送が張つて参りましたが、これは何と申しますか、国内におきまする生産活動が刺戟された結果でありまして、必ずしも軍事輸送とかばかりをやつておるわけではございません。それで鮮魚についてはどの方面輸送の隘路になつておるかということでございまするが、ただいま申し上げましたように、輸送貨車逼迫は大体全国同じような現象でございますので、おそらく鮮魚につきましても、御迷惑をかけておる程度は同じではないかと思うのです。ただ鮮魚は非常に季節的に量の違いがありまして、その輸送量に対しまして、非常に鮮魚漁獲が多い場合は、この波動に対する手配というものは、貨車逼迫して参りますと、あまり思わしく行かないということが起つて参りますので、従つてそういう豊漁のあつた場合には、非常に御迷惑をかける点が多いのじやないか、かように考える次第であります。それから冷蔵車の整備の状態につきましては、先ほど川村委員の御質問に対してお答えいたしました通り貨車の中でも、特に冷蔵車につきましては十分努力もしておるつもりでおります。
  24. 冨永格五郎

    冨永委員長 ただいま川村委員小高委員政府当局との間に質疑応答のありました、水産物鉄道運賃、並びにその特別価格に関しまして一言政府要望しておきたいと存じます。  去る昭和二十四年十一月十日の本水産委員会におきまして、鉄道貨物運賃値上げ計画された当時、水産委員会があげてその取扱い方につき、等級の適正を期するよう政府当局に申入れいたしたのであります。当時いろいろな事情を勘案いたしまして、現行鉄道運賃に相なつておるのでありますが、ただいま石井鉄道部長から述べられました内容につきまして、これが構想がまとまりました際には、ぜひ本委員会にお示しをいただいて、本委員会はこれを取上げて、十分に検討いたしたいと考えておりますので、この点政府当局に申入れをいたしておきます。  鉄道運賃に関する質疑は一応これで打切ります。     ―――――――――――――
  25. 冨永格五郎

    冨永委員長 これより水産業協同組合法等の一部を改正する法律案議題といたします。本案につきましては、提案者木下参議院水産委員長より、專門員をして詳細に説明並びに応答をいたさせたいとの申出がありますが、これを認めるに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 冨永格五郎

    冨永委員長 御異議なしと認め、さように決します。質疑の通告がありますのでこれを許します。川村委員
  27. 川村善八郎

    川村委員 先般、参議院におきましては、協同組合法の一部改正をいたしまして、員外理事を認めるということと、さらに共済組合を設立して、その会員には中金も認めるという案であつたように思われますが、この際一言承つおきたいことは、われわれは当初漁業協同組合法を検討いたしましたときに、員外理事もある程度まで認めなければならぬ、認めた方がかえつて漁業協同組合の将来の発展のためにいいのじやなかろうかという議論相当強かつたのであります。しかし当時の原案といたしましては、どこまでも漁業協同組合というものは、漁民の結集団体であるから、利害相反するものについては、絶対役員としては認めるべきではないというようなことに相なつてつたために、やむなくわれわれは政府原案を通過させて今日に至つたのであります。ところがもうすでに二周年になりまして、その運営はどうであるかというと、われわれが考え通り、漁民そのものから出ました代表の理事というものは、悪いというのではありませんけれども、漁民は、申すまでもなく日夜漁撈に挺身しておりまして、実際に組合運営の衝に当ることか比較的少いのであります。さらにまたこれまでは相当に員外理事も認めておりまして、それらが中心となつて運営をして来ましたのが、一挙に役員というものは漁民から出なければならぬということになつたために、運営になれておらないというような点から、今日の漁業協同組合は、いずれもそうした運営上に困つておる。それにはいろいろなその他の原因もありますけれども、とにかく協同組合からいうと、七〇%くらいのものは失敗に帰したというようなことが事実であります。そこで参議院ではこれをいち早く気がつかれまして、協同組合法の一部改正をして、員外理事を認めることになつたことは、まことに私は当を得たことだと思うのであります。そこでただ問題は、当時の立法の精神と、それから今日とは事情が違つておりますが、その立法の精神上において、何かピンと来ないものがありますので、でき得れば鮫島第三部長から、立法の精神とどういうふうな関係になつておるかというような、内容的な説明、さらにその点について、参議院はどういうふうに考えてこれを改正したか。以上について若干御説明を願えればけつこうと思いますので、一応お伺いいたしたいと思います。
  28. 岡尊信

    ○岡参議院水産委員会專門員 私の方で考えておるところの関係だけを申し上げたいと思います。今度の員外理事を四分の三というものに対する改正をしたのは、一般水産業協同組合、すなわち漁業協同組合、あるいは連合会の改正ではなくて、第九国会で水産業協同組合法の中へ、水産業協同組合共済会という一つの会をつくつていただいたのでございますが、その分だけの問題でございます。それを事実上農林省の許可を受け、創立総会を開いて、役員の選挙ということになつてみましたところ、御承知通り共済会の会員は、組合員もありますが、全国約四千の組合であります。そういう関係上、県漁連の会長あるいは單位組合の会長が集まつた場合に、多くは会長は員外の人が多いのでありまして、会長、理事の選挙をしてみますと、もしこの四分の三という条項に拘束されることになると、役員の選挙のしようがないのでありまして、大部分は員外理事が会長になつている関係上これをはずしたい。従つて全部はずす意味ではなくて、県漁連の会長あるいは漁連の会長は、四分の三の中に入るのだ、こういうように漁連または県漁連の会長は役員になれるのだというように、この点を改正するということで、單に共済会のことだけでございます。
  29. 川村善八郎

    川村委員 ただいまの御説明を聞きまして十分了承したのであります。そこで私らの当初からの主張の、これは連合会の会長ばかりでなく、單協でもやはり員外に人材があつたならば、役員に入れるべきであるという議論とやや近くなつて来ましたので、私はこれ以上質問をいたしません。よくわかりましたので、私はこの案に対して、賛意を表するものであります。
  30. 冨永格五郎

    冨永委員長 ただいまの川村委員質問に関連してお尋ね申しておきますが、実際選任された理事は、現在どのような人であつて、このたびの改正のねらいである員外理事が、どのような割で選任せられておるかについて、もし御承知であれば、お聞かせおきを願いたいと思います。
  31. 岡尊信

    ○岡参議院水産委員会專門員 この点は、むしろ水産庁の方で御説明願えればいいと思いますが、実際の結果を見ますれば、もとの漁村経済協会の役員が大部分理事、監事になつたようであります。員外の者が大部分で、三分の二以上くらいは員外だと聞いております。この点はつきりした数字をここへ持つて来ておりませんので、もしお入用でしたら、あとで書面ででも申し上げます。
  32. 冨永格五郎

    冨永委員長 ほかに御質疑はありませんか。――委員長から一応法制局に申し上げておきます。  農林中央金庫法を改正して、水産業協同組合と同様共済会も農中の系統機関の中に入つて、預金もでき、金も借りられるようにすることは、共済会の運営上当然でありますから疑義ありませんが、附則において、この法律施行前にした理事の選任についても適用するということになつておりますが、これは現在では資格のない者が選挙されており、当然無効であるものを、本改正によつて有効にしようというふうに考えられるのでありますが、この点について、法制局の御見解を御説明していただきたいと思います。
  33. 鮫嶋眞男

    鮫嶋法制局参事 先般第九国会において改正になりました水産業協同組合法によりますと、共済会の理事は、共済会の会員であります水産業協同組合を直接または間接に構成する個人でなければならない。言いかえると、会員たる協同組合の、いわゆる組合の個人たる組合員なり、あるいは個人たる孫会員でなければならないということになつているのであります。この理事の定員の少くとも四分の三以上は、そういうものでなければならないということになつているのであります。この場合におきまして、もしも共済会の理事の定員の少くとも四分の三以上が、今申し上げました者以外の者から選任されていたとするならば、そういう資格のない者から選任された理事、その理事の選任は、当然法律上無効になるというふうに解釈せられるのであります。ただ今回の改正法の附則におきまして、会員たる組合の理事たる者も、共済会の理事になり得るということになりまして、それは法律施行前に選任された理事についても、遡及して適用するということになつております。無効である選任行為をこの際遡及して有効にしようという附則の規定になつておりまして、これは立法的に申しまして可能なことであろうかと思います。言いかえますと、前に無効であつたことも、この附則の規定によつて有効になる、こういうふうな解釈であります。  それからこういう無効な行為をあとから有効にするというような立法例が今まであつたかどうか、早急にいろいろ調べてみたのでございますが、よい例も見当らないのでございます。ただ私の記憶にございますこれに似ている例としては、旧帝国憲法時代のことでございますが、陸軍関係の給与令におきまして、その給与は現金でなければならないというふうになつておりましたのを、いろいろな財政上の都合で、現物給与をして、その後になつて、この給与は特定の給与でございますが、特定給与は現物給与でもよろしい、そうしてそれはその現物給与でやつてもよいという規定を遡及させるということによりまして、前に現物給与をしておつたのを、後になつてから、その現物給与も適法な給与とするというような立法例が、旧帝国憲法時代にあつたのを記憶いたしますだけで、ほかにはこういう立法例は今ちよつと思い当らないのでありますけれども、法律的な解釈といたしましては、この無効な行為を遡及して有効にするということは、可能であろうと存じております。
  34. 冨永格五郎

    冨永委員長 ほかに御質疑はありませんか。――御質疑がないようでありますから、これにて質疑は終了いたしました。  これより討論に入ります。討論の通告がありますので、これを許します。井之口委員
  35. 井之口政雄

    井之口委員 共産党は、この法律案に対しまして、反対いたします。水産業協同組合法の精神に従いますれば、漁民をして、こういう団体を育成し、発達させ、その生活の向上をはかり、また水産方面における力を充実させるというのが本旨である。しかるに今理事選任の制限を緩和いたしまして、従来の漁業ボスというようなものの支配を強めるというような、非民主的な方針の改悪に対しては、反対せざるを得ぬのであります。なお農林中央金庫への出資者たる地位を認めるということも、簡單に考えれば、そこから融資を受けるというようなことも考えられますが、事実上力の弱い水産業方面に、かえつて資金がまわつて来ないという現実の結果になる。言いかえてみますと、この法案によつてやろうとしているねらいはどこにあるかといえば、法律の形でもつて、漁民の今日困つておるところの水産業協同組合を何とかしようという枝葉末節のやり方である。それよりは漁民自身の生活をもつと高め、水産業の地位を高めることによつて漁業協同組合共済会並びにその資金方面の充実をはかるという、もつと積極的な、もつと進んだ法律案を出すべきものだとわれわれは思いまするがゆえに、これに反対いたします。
  36. 冨永格五郎

    冨永委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより水産業協同組合法等の一部を改正する法律案参議院提出参法第一号について採決いたします。  本案に賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  37. 冨永格五郎

    冨永委員長 起立多数。よつて本案は原案通り可決すべきものと決しました。  なお本案に対する委員会報告書作成の件につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 冨永格五郎

    冨永委員長 御異議なしと認め、さようとりはからいます。
  39. 冨永格五郎

    冨永委員長 この際お諮りいたします。先般以西底びき漁船がひんぴんとして拿捕せられ、わが水産業に暗い影を投げていたのであります。本水産委員会は講和を控え国際的に重大なるときにあるにかんがみ、これを取上げて参考人の御出席を求め、その実情をこまかく聽取し、政府並びに関係当局にその善処方を強く要望して参つたのであります。これと同様な事件が北海道においても起きたのでありますが、漁民が細心の注意を払い、その操業にも非常に自粛して行つている現状で、特に拿捕の多い地点たるノサップ岬付近は航行さえ差控えているのでありますが、去る一月十七日またも礼文島付近において、正徳丸及び豊進丸の二隻が拿捕されているのであります。北海道におきましての終戰以来の拿捕の実情、抑留及び返還状況、その他について、参考人の出席を求めて、調査いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 冨永格五郎

    冨永委員長 御異議なしと認めます。それでは出席の人数、氏名、日時、その他につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 冨永格五郎

    冨永委員長 異議なしと認め、さようとりはからいます。  次回は明後八日午前十時より開会いたします。なお明日は午前十時より外務委員会との連合審査会を開会いたしますから、御出席を願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時四分散会