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1951-03-03 第10回国会 衆議院 水産委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月三日(土曜日)     午前十時五十三分開議  出席委員    委員長 冨永格五郎君    理事 鈴木 善幸君 理事 二階堂 進君    理事 林  好次君       石原 圓吉君    小高 熹郎君       川端 佳夫君    川村善八郎君       田口長治郎君    平井 義一君       原 健三郎君    小松 勇次君       井之口政雄君  出席政府委員         外務政務次官  草葉 隆圓君         水産庁長官   家坂 孝平君         農林事務官         (水産庁次長) 山本  豐君  委員外出席者         参 考 人         (凾館市助役) 葛西 民也君         参 考 人         (函館商工会議         所專務理事)  北野  治君         参  考  人         (凾館市議会議         員)      行友 政一君         專  門  員 杉浦 保吉君         專  門  員 徳久 三種君     ————————————— 本日の会議に付した事件  連合審査会開会要求に  関する件参考人招致に関する件  水産資源に関する件  北海道方面水産資源確保に関する件     —————————————
  2. 冨永格五郎

    冨永委員長 これより水産委員会を開きます。  会議に入ります前にお諮りいたします。ただいま農林委員会において農林漁業資金融通法案を審査いたしておりますが、この法案は本委員会とも重要な関連がありますので、農林委員会に対して連合審査会開会の申入れを行いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 冨永格五郎

    冨永委員長 御異議なきものと認めまして、それではさようとりはからいます。     —————————————
  4. 冨永格五郎

    冨永委員長 これより水産資源に関する件を議題といたします。今日は特に北海道方面漁区の拡張の問題につきまして、幸いにここに凾館市助役葛西民也君凾館商工会議所常務理事北野治君、及び凾館市会議員行友政一郎君が見えておられますので、三君を参考人として、本問題に対する御意見を承りたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 冨永格五郎

    冨永委員長 御異議なしと認めまして、それでは三君を参考人として御意見を承ることにいたします。なお一言申し添えておきますが、三君の代表として、葛西民也君から千島及び歯舞諸島返還懇請同盟について公述を承ることにいたします。葛西民也君
  6. 葛西民也

    葛西参考人 千島歯舞返還を懇請しようという問題は、久しく道民の間に、いろいろな形をもつて運動されて参りましたが、これでは力が足りないというので、昨年の十二月二十二日札幌市において、千島及び歯舞諸島返還懇請同盟をつくりまして、第一回の会合をいたしました。また第二回目といたしましては、今年の二月三日凾館市において開催されまして、その結果に基いて、それぞれの方面陳情して参つたのであります。多分新聞によつて御存じのことかと存じますが、その際道民大会といたしまして、次のことを宣言いたしました。これから朗読いたします。     宣言   吾等北海道民は、現在ソ連軍占領下にある千島全島及歯舞諸島が来るべき講和條約締結の際に復帰返還されることを熱望するものである。  千島列島及歯舞諸島北海道本土と指呼の間に散在し、遠く昔より吾等祖先によつて開拓され其の血統を受け継いだ子孫永住の地として現在に至つたのである。之等の諸島は決して暴力により略奪し又は盗取したものではない。この事実を裏書するものは、一八五四年の日露和親條約及一八七五年の樺太クリル交換條約である。   然るに戦後の混乱により住民の多くは全財産を島に残し北海道本土引揚げを余儀なくせられ生活苦と斗い朝な夕な間近に聳ゆる千島の山々を望んで深い郷愁思いを馳せている。   又マツカーサー・ラインの設定により漁業上の境界線は暫定的に決定せられたりとはいえ、中には濃霧と潮流に禍いされ不用意の中に領海を犯して拿捕される人々もすくなくない。   吾等世界恒久平和建設念願する全人類の道義心に愬え千島全島及歯舞諸島返還を懇請することは道民の貴い義務なることを確信する。  こういう決議をいたしまして、各方面陳情いたしております。この両島は日本水産資源として非常に大きな役割をなしております。ことにここかり引揚げました人々の心情を考えるならば、一日も早く、私どもといたしましては、これを返していただいて、そうして永住の地として祖先伝来の土地を守りたいという念願に燃えておるのであります。どうかこの委員会におきましても、ひとり道民ばかりでなく、日本国民全部の念願であると思いますので、この念願をかなえてくださることに御努力くださいますよう、ここに陳情いたします次第であります。簡單でありますが、私ども意見のあるところをここに開陳いたす次第でございます。
  7. 冨永格五郎

    冨永委員長 この場合委員各位に御通知申し上げます。外務政務次官草葉隆圓君、水産庁次長山本豐君漁政部長松任谷健太郎君、漁業調整第一課長高橋泰彦君、海洋課長尾崎順三郎君が出席せられております。この際委員の皆さんから政府当局に対する御質疑を許します。  まず委員長から外務当局にお伺い申し上げます。ただいまの参考人公述について、外務当局として事情の許す限り御説明願いたいと思います。草葉外務政務次官
  8. 草葉隆圓

    草葉政府委員 お話歯舞諸島に関しまする返還問題と申しますのか、この問題につきましては、外電の伝えておりますところによりますと、ダレス特使歯舞諸島返還については、強く日本国民の現在の実情を訴えて、放送をいたしておることを知りまして、まことに政府といたしましても、強くそのダレス特使声明に対しまして、感謝をいたしておる次第であります。これはいろいろな歴史的立場から申しよしても、あるいは地理的立場から申しましても、あるいは人文的な立場かり申しましても、従来何ら日本領土に関する国際的な問題の生じなんだとこつでありまして、従つて、従来から国会等でもいろいろと論議されました際にも、この点に対しましては、政府としてはつきり御答弁を申し上げておるような次第であります。ただこの終戦前後の状態から、現在ソ連軍の進駐いたしております実情でありまするので、従つてダレス特使の御承知のような放送内容なつたと存じております。御陳情の御趣旨を私ども十分理解をし、またそうであることを信じておる次第でございます。
  9. 石原圓吉

    石原(圓)委員 ごの歯舞漁区の解除の問題につきましては、昨年私ら水産常任委員会北海道現地調査に参つたときに、釧路から別動隊を設けて、現地に行こうという意見も出たのでありますけれども、予定の時間の関係上、遺憾ながら現場に参ることができなかつたのであります。従つて根室支庁長等より、その当時も相当の資料をいただいて、そうして帰りましてから政府へ、この歯舞の付近こそ、他の千島もしくは樺太琉球その他と性格が違うのであつて北海道のいわゆる本土の一部に食入つておるところの事実が現われておるのであるから、この部門は一ときも早く解除すべきである。こういうことを強く要望いたしておいた次第であります。最近のダレスさんの御声明は、最も感謝すべきであると思うのでありまするが、日本政府よりむろんこれに対して、吉田首相から強い要望があつたことと思うのでありますが、私らの考えるところでは、この地域に限つては、他の琉球その他よりは一層はつきりと強く要望すべきことである、政府においてもそういう方針を強くとつていただきたいという感じを持つておるのであります。本日の御陳情に対しても、まことに御同情にたえないのであつて、これはわれわれも何らかの漁民運動と申しまするか、国民運動のようなものを起さなければならぬと思いまするが、政府においても、これは一段と手強く、早く解除されるようなおとりなしを、特に要望するものであります。
  10. 川村善八郎

    川村委員 先ほど千島並び北洋漁業基地で、最も漁業関係のありますところの凾館市葛西助役から代表いたしまして、千島諸島返還問題についての要旨の説明があり、さらに決議文を朗読されて、大体内容はよくわかつたのであります。最も妥当なる方向に向つて進んでおるということも、われわれ十分考えますので、この線に沿つて国会として十分対策をとらなければならぬ。政府としてもこれに邁進をいたしまして、実現の一日も早からんことを希望するのであります。そこで私は本問題は、もちろんこれは最終の美を発揮するためにはどうしてもそう行かなければならぬけれども、まず歯舞諸島の問題と千島諸島の問題について、これは領土的関連もあり、あるいは漁業資源の問題もありますので、私は特に北海道出身の者は、さらにこの方面漁業に従事しておつた体験上からいたしまして、一応私の気持を政府に訴えて、この運動促進のために御参考に供したい、かように考える次第であります。  もちろん問題については私先ほど申し上げましたように、領土の問題からいたしますと、敗戦の結果、ヤルタ協定並びポツダム宣言によりまして、一応マツカーサー・ラインを引かれまして、これから北の方の島はソビエトの領土に帰属させるということに相成つたと思うのであります。そのことはよい悪いを論じましても、私らは戦争に負けたのであるから、一応やむを得ないといたしましても、しからばマツカーサー・ラインを引いたときの領土的観念はどうであつたかというようなことを考えてみますのに、私たちが千島歯舞諸島とわけて、どうしてもここで論じてみなければならぬことは、北海道人は申すに及ばず日本国民は、千島というものに対しましては、おそらく歯舞諸島というものは入つておらないということを考えておつたでありましよう。私らはもちろん歯舞諸島千島の中に入つておらないということは、多年のいわゆる漁業状態から行きましても、また概念から言つても、かように申し上げることができるのであります。申すまでもなく、千島は大体三つにわけておりまして、南千島中部千島北千島、こうわけております。戦争以前は御承知通り、全部が日本領土であつたために、あるいは行政的に色丹島のごときは千島に属するというような処置をとつてつたかもしれませんけれども漁業上から行きますと、千島とわれわれは考えておらなかつたのであります。そこで一体北千島というものはどういうふうな漁業を根幹として行かなければならぬか、あるいは政策をとらなければならぬか、中部千島はどう、南千島はどうというふうに、北海道で計画を立てたことはありますけれども歯舞諸島すなわち色丹島から以南は、これは千島としての漁業政策を立てたことはおそらくないのであります。そこでわれわれは、千島でない限りは、もちろんこの領度北海道の小島嶼として残されるものである、さように考えておりましたところが、あにはからんやほとんど北部の方は海岸から三海里離れたところにラインを引かれ、はなはだしいところでは、千五百メートルぐらいにラインを引かれたために漁船の航行にすら困難を来しておるという実情であります。こうしたことから考えますと、領土的にたとい千島返還ができないまでも——もちろん返還してもらうべく努力しなければならぬのでありますけれども最大の不幸として、講和できないといたしましても、千島に属しておらないすなわち歯舞諸島は、これはもともと北海道の小島嶼として、われわれは行政的にもまた漁業的にも政策を立ててやつてつたのでありますから、当然もとしてもらわなければならぬのであります。むしろもどすというよりも、当時のライン引き方誤りがあると申し上げたいのであります。  そこで資源に関しましては、道庁も十分お調べになつておるでありましようし、あるいは政府でも、特に水産庁はお調べになつておることと思いますが、資源もさることながら、日本漁船は、いわゆる太平洋からオホーツク海に出る場合、あるいはオホーツク海から太平洋に出る場合におきましては、どうしてもこの歯舞諸島の間を通らなければ出ることができません。ところが島と岬との間であるから潮流は非常に早いことと、それから風波の立つ時分には、潮流との闘いから非常に大きな波が出ます。漁師はこれを三角波と称しております。従つて遭難があるのみならず、ややもすればこのラインを越して航海をしなければならぬ。それがいわゆるラインを侵害したのであるから、これはどうしても拿捕しなければならぬというので、すでに、六十隻以上の拿捕船があることも、この方面に最も多いのであります。従つて資源の問題と、さらにこの航海の問題からいたしましても、この色丹島までの歯舞諸島というものは、講和條約以前といえども、ぜひとも司令部に交渉して、その当時の誤りを十分にわきまえていただいて、返してもらうことをまずもつて考えなければならぬ。講和條約後におきましては、もちろん千島樺太との交換條件の問題もありますので、いわゆる戦争で掠奪した島ではないのでありますから、当然日本領土として返還し帰属してもらわなければならぬのであります。政府におかれましては、これを講和條約前に強く取上げて、せめて歯舞諸島日本領土として返還をしていただく方法をとり、さらにこの方面漁業の発展のために十分寄与せられんことを、切に希望をいたすとともに、これに対する御意見を、水産庁なり外務次官から伺つておきたいと思います。
  11. 草葉隆圓

    草葉政府委員 お話の点につきましては、国民の心をそのまま反映する意味におきまして、実は従来から歴史的なり、あるいは地理的なり、いろいろなすべての立場の事実を、相当詳細に関係方面にもそれぞれ陳情あるいは資料として提出する等のことも、十分いたして参つておるのであります。しかし先ほど申上げましたような終戦後の事実になつておりまして、なかなか困難な点があろうと予想されるのでありまするが、幸いダレス特使がこういう点につきまして、はつきりと声明をされましたので、私どもまことに感謝をいたしておる次第であります。あのダレス特使熱意と、日本国民熱情によりまして解決されることを、私ども衷心願つておる次第でございます。今後も政府といたしましても、あらゆる機会にこの国民熱情を訴えたいと存じます。
  12. 川村善八郎

    川村委員 ただいま千島列島並びに歯舞諸島のことについて、外務次官から熱意のある御答弁をいただいたのであります。さらに北海道といたしまして大きな問題になつておりますのは、御承知でもございましようが、いわゆるマツカーサー・ラインがあまり北海道領土内の岬と接近をしておるために、今日航海にも非常に困難をしておるばかりでなく、現実に北海道の海としてラインを引きかえてもらわなければ、違反船を続出し、さらに航海上非常に大きな遭難を免れることができないということを二、三指摘して、これに対する御意見を承りたいと思います。  すでに御承知と思いますが、稚内の先、ここはあの燈台にまつすぐにラインが引かれております。それから礼文島もほとんど島に近いところにラインが引かれております。従つて航海するにはもちろんのこと、違反船として違反するのでなく、事実は先ほど申し上げましたように、潮流その他風波のためにラインを越えなければならないという実情がたくさんあるのであります。それから知床半島であります。あそこは三海里といつても事実は三海里でなくて、二海里ぐらいのところにライン半円形に引いております。これら稚内の岬にいたしましても、知床半島の岬にいたしましても、ただいままで申し上げました歯舞諸島の問題にいたしましても、いずれも潮流風波等のために、航海すら困難を来しておる、こういう実情であります。ラインを十分御検討くださればわかることでありますが、かようなラインでなく、角度をもう少し取直しをするならば、あまりソ連等を刺激しなくとも、実際問題として、かようにしなければならぬと承服をさせるようなことは可能だと、私は考えておるのであります。講和條約後でなければ、もちろんこの千島返還問題や、歯舞諸島返還問題等につきましては、積極的に出られないのでありましようけれども、このラインの一部引直しくらいは、司令部お話をすれば十分了解を得られる問題だと思つております。さようなことで、われわれは北海道ラインの引直しを要請したい、かように考えておるのでありますが、これらについて、外務当局はいかなるお考えであるか。さらに水産当局におきましても、実際の実情を調査すればわかるし、もちろん現在までのいろいろな資料から見ると、当然そうした考えが起きるだろうと思いますので、この点についてどういうお考えを持つておるか、あるいは今後御処置をとられる意思があるかどうかということについてお伺いしたいと思います。
  13. 山本豐

    山本(豐)政府委員 先ほどから川村委員の申されましたように、北海道のマッカーサー・ラインが、わが国の領土に非常に接近をして引かれておるという点はわれわれといたしましても、まつたく遺憾に考えておるわけであります。そういう意味合いで先刻来のお話のように、外務省等を通じまして、今までもこれらの点に対する御認識をいただくような努力は、いろいろやつておるわけであります。その一例といたしまして、当初引かれました線は、特に千島に面しておりまする沿岸の問題がきわめて不明確であつたのでありまするが、これが二十四年の九月十九日に——これは当然のことであるとも言えると思うのでありますが、三海里の点をはつきり広げるといいまするか、引直していただいたことが一度あるわけであります。それらに関連しまして、今お述べになりましたような点も、外務省としまして、いろいろとたびたび申してはおるわけでありまするが、いまだに解決を見ないのであります。われわれといたしましては、今後とも外務当局を通じまして、一日も早く御期待に沿い得るように努力いたしたいと考えておるわけであります。幸いにしまして歯舞諸島等に対しましてのダレス特使声明もあつたわけでありますので、今後ともこの線につきまして努力を続けて参りたいと考えておるわけであります。
  14. 井之口政雄

    井之口委員 きようは幸いに外務次官もおいでになつていらつしやいますので、この問題が非常に重大でありますために、ひとつお尋ねいたしたいと思う次第であります。  今日新聞を見ますと、歯舞諸島の帰属問題に対しても、アメリカ本国からのいろいろな意見が出ているようであります。また講和條約も近く締結されるという運びにも進みつつあるわけであります。そういたしますと、北の方並びに南の方、そのほか太平洋方面にありますところの日本の各諸島がいずれに帰属するかということは、ただちに日本水産行政に対しましても非常に大きな影響を持つと思います。しかるにもしこの帰属問題に対しまして、日本政府のとる態度が少しでも誤るようなことがありましたならば、単独講和となつてしまつて全面講和は不可能となる。そうしてさらに今日の朝鮮の問題、あるいは東支那海において蒋介石政府並びに中華人民共和国政府によつて拿捕されつつある日本漁船問題等もからみ合わされまして、大きな戦争への危機をはらんでおるとわれわれは思うのであります。その意味におきましてこの問題は非常に重大である。しかも今日千島及びこの諸島返還請求に対しまして、北海道議会北海道議会議長北海道知事並びにいろいろな返還期成同盟というようなものからも請願が出ているようでありますが、こうした場合に、当水産委員会が、この問題を単に水産問題にのみ局限して考えても悪いし、これはやはり日本全体の問題とも大きな関連を持たせて考察しなければならないと思う次第であります。まず北の方歯舞諸島に対しましては、ソ同盟はすでにこれの管理をやつております。これはどういう法律によるか……
  15. 冨永格五郎

    冨永委員長 井之口君に申し上げます。本日の委員会におきましては、水産資源のみに関して議題といたしておりますから、その範囲に局限してお話願います。
  16. 井之口政雄

    井之口委員 将来の日本水産資源の問題は、これは非常に重大でありまして、それと同時に講和とも密接な関係を持ち、そのために今日これが取上げられておる。今日この問題が重大な政治問題となつて来ているゆえんは、これが講和関連するがゆえに、各委員の方々においても、この問題を重要視しておられるのであります。そこでこれをよく考えていただきたいのは、この千島並び歯舞諸島に対するソ同盟管理はなぜ始まつておるかと申しますれば、これはヤルタ協定によつて、さきのアメリカルーズヴエルト氏の提案によつて日本帝国主義が、ここを基地としてアメリカハワイ方面を……
  17. 冨永格五郎

    冨永委員長 井之口委員に申し上げます。要点をお話願いたいと思います。
  18. 井之口政雄

    井之口委員 重要問題だから、そうあわてるな。しつかり聞いて、われわれの主張が道理に合わないならば、道理に合わない点をついてもらえば、それで日本国民は納得すると思う。道理に合うか、合わないかを聞きもしないで、すぐ発言を封ずるということは、国会においてわれわれのとるべき態度ではないと思う。そこでもし今の状態をかえて、千島並び歯舞諸島日本への返還ということを要求するといたしましたならば、ルーズヴエルト氏の提案したところのヤルタ協定の否認ということになつて来るのであります。これははたしてソ同盟がこれを聞くでありましようか。今日南の方を見ますると、琉球諸島がございます。この琉球諸島に対しては、ヤルタ協定ポツダム宣言も何もない。それでありまするのに、これの返還同盟はなお出ておらぬ。しかもこれは東支那海を控え、南支那海を控える非常に大きな漁場である。にもかかわらず、その方面のいろいろな問題は当委員会において取上げられずして、ここの問題が取上げられるということは、これは将来日本ポツダム宣言従つて独立国として真に日本独立を全うするためにならないとわれわれは思うのであります。
  19. 冨永格五郎

    冨永委員長 井之口君に申し上げます。議題外のように考えられますので、御遠慮願いたいと思います。議題についてのみ御質問を願います。
  20. 井之口政雄

    井之口委員 この問題は、外務次官がおられますので、外務次官から明瞭なる御返事を願いたいために、われわれも発言しているの塔あります。
  21. 冨永格五郎

    冨永委員長 領土に関しては外務委員会でお取上げを願います。
  22. 井之口政雄

    井之口委員 いずれ外務委員会においてこの問題も合同審査になるとのことでありますから、そのときにも、さらにこの問題は引続いてお尋ねしたいと思うのでありまするが……
  23. 冨永格五郎

    冨永委員長 水産資源に関してのみ発言を許します。
  24. 井之口政雄

    井之口委員 この水産資源に対して、千島並び歯舞諸島水産資源に対しまして、すでに終戦直後は、このマツカーサー・ラインつて北海道のごく岸から境されております。これは今川村委員からも言われた通りで、今まで四年間の間、ほんの岸からマツカーサー・ラインが引かれておつたという意味は、ソ同盟に対して十分連合軍としての考慮が払われていたためである。そういたしまして、間に何と言いますか……     〔発言する者多し〕
  25. 冨永格五郎

    冨永委員長 靜粛に願います。
  26. 井之口政雄

    井之口委員 このマツカーサー・ラインというものは、なぜああいうふうなところに引かれておつたかというのは、ソ同盟との摩擦を起さないためである。われわれ日本の将来が平和な国家として立つて行くために、そういうことがなされておつた。ですから政府といたしまして、この点十分考慮された上で、この国際の軋轢の中に耐えて行くために、十分考慮してこうした千島列島返還問題なども考慮されているのかどうか、もしこれを一たび誤ることになりますれば、われわれはある一定国の手先となつて日本独立を危うくすることは、目に見えて明らかなのである。のみならず、日本国民戦争にまたひつ込むような危険が目の前にぶら下つている。これを考えるがゆえに日本共産党といたしましては、実際今深甚なるところの外交問題に考慮払つて日本独立のためのこうした北千島方面漁業問題も、全日本の将来の観点から考えてもらいたい、こういう希望を持つているのですが、これに対して外務次官の方では、もつと根本的な問題として御返事が願いたいと思います。
  27. 草葉隆圓

    草葉政府委員 水産資源の調査には、もちろん水産委員会は広い立場から考えて、十分その立場に立つて御審議を願つておると私は存じております。従つて井之口委員お話になるような意味ではなしに、十分それを考えながら御審議になつていると思います。  次にヤルタ協定にいわゆるクリール諸島意味につきましては、ただいまの井之口委員の御意見と私どもは所見を異にいたしております。
  28. 鈴木善幸

    ○鈴木(善)委員 北部北海道方面水産資源の確保の問題につきまして、共産党の井之口君を除く各委員の御意見はきわめて明瞭であります。そこで本委員会といたしましては、この北部北海道方面水産資源確保の問題について、委員会としての多数の意見をもちまして、当局に対して要望をいたすべきだと思うのであります。委員長において文案等を御用意のことと思いますが、それをお示しを願いまして、本委員会としての要望をおとりきめを願いたいと思います。
  29. 冨永格五郎

    冨永委員長 委員各位にお諮りを申し上げます。ただいま鈴木委員からの御発言もございましたが、北海道方面水産資源確保について参考人より意見を聴取いたしたのでありますが、この問題は委員各位の重要な御発言通りこれが一日も早く解決せられるよう政府に対して次のような要望をいたしたいと思います。   北海道方面水産資源確保について   歯舞諸島色丹島及び花咲半島よりわずか三マイルの距離にある水晶島等五つの離島からなり、地理的には花咲半島の延長であり、つとに根室の一部として古来より日本人が居住していたのである。   行政区域からしても、明治二年(一八六九年)色丹島は根室国花咲郡とせられ、また色丹島以外の五つの離島は、根室国花咲郡歯舞村に含まれ、明らかに北海道本土の一部をなしていたわが国固有の領土であり、南千島においてもこれと同様なる天然的歴史的環境を持つものである。   これらの諸島はわが国国民特に漁民の永年の努力により開発され、本土と一体不可分のものとして経営されて来た領土である。   ことにこれらの諸島は、わが国水産業の上からは過去における漁獲高を見てもわかる通り、その平均漁獲高において歯舞諸島は約四千万貫、南千島においては一千八百万貫あり、千島列島全体の漁獲高の半量を越えていた次第である。   すなわち歯舞諸島及び南千島の近海は寒流と暖流が交流し、魚族は非常に多くたら、さけ、ます等の魚類のほか、かに、ほたてかいその他こんぶ、のり等の海藻などの水産資源が豊富である。   かくのごとくこれらの諸島は歴史的、民族的に関係の深い領土であり、わが国国民蛋白質の重要なる給源としての水産業にとつてはまことに重要であるから、政府においては本問題解決に万全の努力を払われるよう右要望する。  この要望書にきめたいと思いますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」、「修正意見」と呼ぶ者あり〕
  30. 冨永格五郎

    冨永委員長 御異議なしと認めます。  なおこれを議長に報告するとともに、関係各大臣に参考送付いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」、「異議あり」と呼ぶ者あり〕
  31. 冨永格五郎

    冨永委員長 御異議なしと認め、さようにとりはからいます。     —————————————
  32. 冨永格五郎

    冨永委員長 次に前会保留といたしました国際捕鯨條約加入の問題につきまして、水産庁より御説明を願います。
  33. 山本豐

    山本(豐)政府委員 国際捕鯨條約の説明をいたしたいと存じます。お手元に簡単な資料がお配りしてあると思います。この捕鯨條約は御承知のように、昭和六年にジユネーヴにおきまして一応條約が協定になつておるのでありますが、それとは別個に昭和十二年にロンドンにおきまして、英国外八箇国が新たに捕鯨協定を締結したのであります。それを根幹としたものが昭和二十一年に締結を見まして、これが二十三年の十一月十日から実際有効になつたわけであります。現在の国際捕鯨條約というものはそれをさしておるわけであります。これらに対しましてわが国といたしましては、昭和十二年の国際協定には代表者の出席方を要請されたのでありますが、これは派遣もしておりませんし、また加入もしなかつたのであります。翌十三年、十四年の会議に代表者を初めて派遣いたしました。この際には協定に加入したいという趣旨のもとに加入の旨を宣言いたしまして、その後国内法規の手続等を進めておつたところが、欧洲戦争が勃発いたしました。ために加入できずに戦争なつたわけであります。終戦後、昭和二十年の十一月三日に連合軍最高司令官の覚書によりまして、この本邦の捕鯨漁業が初めて許可になつたのでありまするが、この許可の條件として、右申しました国際捕鯨協定の趣旨に違反しないことを條件として許可になつたわけであります。それに基きまして、今日まで毎年船団を二つずつ南方に出しておる次第であります。  現行條約の概要について申しますると、先ほど申しましたようにこの條約は昭和二十年ロンドンで署名の議定書に定められたものに基きまして、二十一年にワシントンで米国外十四箇国によつて再び捕鯨條約として締結せられたものであります。この内容を簡単に申しますると、本文と十八項の附表と最終議定書と、この三つにわかれておるのであります。  まず本文についてでありますが、本文につきましては、この條約の加入国の捕鯨母船でありますとか、あるいは捕鯨船でありますとか、陸上の捕鯨基地、あるいは捕鯨の行われる全水域にこれの適用があるという、いわゆるこの條約の適用範囲を明確にいたしておるのであります。次にその本文の最も主要な部分を占めまする運用委員会の問題が規定してあるわけであります。それでこの運用委員会の構成でありますとか、あるいはまたその効力であり ますとか、あるいはその内容等につきまして規定がありまして、次に本文のしまいの方に参りまして、この加入国がどういう義務を負担するかというふうな点の規定があるわけであります。それで本文の最終のところでは、この條約の批准の問題、あるいは効力発生の問題、加入の問題、これらの点を明瞭にいたしておるのであります。  次に附表の問題でありますが、この附表におきまして、加入国の捕鯨母船、あるいは陸上の鯨体処理場に政府の監督官を配置すること、それからまた條約本文に規定する事項のほかに約十一項くらいのいろいろ制限禁止事項を規定いたしておるのであります。その禁止制限事項は附表をお読みいただけば大体のことはおわかりいただけるものと思うのでありますが、そういうような内容をなしておるのであります。  次にこの條約に加入の運びになりました経過をこの際簡単に御報告しておこうと思うのでありまするが、二十五年、昨年の十二月十一日に、初めて外務省から、この條約の加入方につきまして考慮してもらいたいという意味の請願を関係方面に出したわけであります。これと並行いたしまして昭和二十五年の十二月八日に、外務次官から農林次官あてにこれに加入することについて意見があるかどうか、こういう相談がありまして、同十一日に異存はないという申入れを農林次官から外務次官に出しておるのであります。その十一日に外務省関係方面にその考慮方の請願を出しておるわけでありまして、これらに対する回答として、本年に入りまして一月の十七日によろしいという許可が参つたのであります。このよろしいというのは、要するに加入文書を作成いたしまして、そうしてアメリカ政府へ伝達のために司令部へ書類を提出することが許可になつたわけであります。これに基きまして本年の二月二十日に閣議で決定になりまして、今後国会の了解を得ましてアメリカの方に伝達されることに相なると思うのであります。  以上簡単でありまするが捕鯨條約の内容を御説明申し上げました。
  34. 冨永格五郎

    冨永委員長 この問題に対しましては御質疑の方ももちろんあると思いますがこれは御承知の来る七日に開かれる予定の外務委員会との連合審査会の際にしていただくことにいたします     —————————————
  35. 冨永格五郎

    冨永委員長 この場合質疑の通告があります。これを許します。川村委員
  36. 川村善八郎

    川村委員 私はまず第一といたしまして、漁港法と港湾法の国家補助に相当に差違ができた点を見出したので、これに対する水産庁の御所見を承りたいのであります。  第七回国会に漁港法が通過し、二、三日遅れまして港湾法が通過して、現在その法律によつて国家の補助が地方に配付されておるのであります。ところで今期国会において、衆議院では先般港湾法による工事の実施に伴う国庫補助を、特例法で北海道限つては基本施設たるところの外郭施設、繋留施設には一〇〇%の国庫補助をすること、さらに機能施設に対しては百分の七十五を補助するということになつたわけであります。そこでその理由といたしましては、北海道の特殊事情数項をあげて、そうして港湾法は衆議院を通過したということになつております。申すまでもなく漁港法につきましては、私は小委員長となつて、いろいろ司令部にも折衝し、あるいは大蔵省にも折衝して、皆さんの協賛を経て通過したのでありますが、当時の大蔵省主計局長の言といたしましては、港湾法の国費の補助と漁港法の国費の補助とは差をつけたくない、どこまでも国庫補助に対しては同一の補助率で行きたい。従つて北海道の特殊事情は認めるのであるけれども、第一種から第三種までは百分の六十は現行の予算措置であるから、これでがまんしてもらいたい。第四種の漁港については百分の八十の補助であるから、現行の補助率でがまんしてもらいたい、もし港湾法が改正されて、これ以上の国庫補助の率になると、進んで補助率を改訂するように漁港法の改正をするようにしたい。かような話合いのもとに漁港法制定のときに補助率が確定したのであります。ところで先ほども申し上げましたように、今度は港湾法に対しては特例を強く認めて、そして外郭施設には一〇〇%、機能施設に対しましては七五%と、非常に漁港法との補助率が違つたのであります。従つて私は当時の漁港法の立案者として、どうしてもこれを看過するわけに行きません。従つて議員提出で港湾法同様の補助率に北海道の特例を認めるようにするか、もしくは政府提案としてただいま申し上げたような、北海道の漁港に対する補助の特例を認めるように改正するか、この二つよりないと思いますが、これに対するまず水産庁当局の御意見を承りたいのであります。
  37. 山本豐

    山本(豐)政府委員 ただいまの川村委員の申されました、港湾法の補助率の改訂法案が上程になつておる。漁港法につきましても、これにならつてやる必要がありはしないか。この点は漁港法をつくりました際のいきさつは、川村委員の申されました通りであると思うのでありまして、私どもその趣旨にはまつたく同感であります。ただ内地と北海道との均衡の問題もひとつ考えなければならぬと思うのであります。それから、特にまたこれは予算の面ともつながりのある問題でありますので、大蔵省の主計局にもなお念を押しまして、善処するのが適当でないかと思うのであります。かりに出すといたしまして、議員から出すか、政府から出すかという問題でございますが、これは漁港法の提出の関係から見ますと、議員の方から出していただいた方が適切でないかと考える次第であります。
  38. 川村善八郎

    川村委員 ただいまの御説明にもありましたように、十分認めておるのでありますが、いずれ議員提出にするといたしますれば、本委員会に十分にはかつてその措置をとりたいと考えております。  次にやはり漁船の補助率の問題でありますが、申すまでもなく、港湾の設置しておる所は、比較的人口の密度の濃厚な、しかも経済力の非常に富んでおる所に港湾が設置されております。それから漁港に至りましては、もちろん相当の経済力を持つておる所もありますけれども、僻村にあり、しかも最近の漁業者の経済状態から見ると、負担にたえられないような所に漁港の設備をしなければならぬというところが多いのであります。これはひとり北海道だけでない。全日本を通じてかような状態であります。そこで、なるほど港湾法には大体内地方面は同一の補助率で補助するようになつておるのでありますけれども、私が考えますのに、内地方面といえども、先ほど申し上げたように、港湾を設置しておる所と、漁港を設置しておる所とは、経済力その他諸種の事情が非常にかわつておる、すなわち低いと言いたいのであります。でありますから、必ずしも内地方面でも港湾法と同一であるべしとは私は考えられません。現在の政府政策から見ますと、やはり日本の全領土というものは、ひとしく開発のできるように、公平に福祉を得られるような方法で行かなければならぬというような方法で予算措置も、その他の政策もとつておるのであります。この際水産庁当局ももちろんでありますけれども委員諸君におかれましても、漁港法の補助率につきましては全面的に検討をして、惠まれざる漁村のために、国家の補助率を改訂して漁民の負担を軽くし、さらに漁業の方にも相当惠まれるような措置を講ずることが妥当と思うのでございますから、委員各位並びに水産庁当局とさらに一段と協議を進めて、すみやかに漁港法の改正、その他漁業政策に対しては全面的な再検討をして、ぜひ漁民が惠まれるような方法を講じたいと思いますので、委員長におきましても適当な措置を講ぜられんことをこの際要望しておきます。  さらにもう一点は、過般ダレス特使が参りました際、司令部から日本漁業の問題につきまして五項目にわたります重要な勧告があつたのモあります。もちろん、これにつきましては、政府当局も十分これを考慮いたしまして政策を立てておることと思いますし、直接の担当官庁といたしまして、水産庁はいろいろとこれに対する政策を立てて、実施せんとしておるのであります。過般当委員会でこれを十分関心をもつて取上げるような措置は講ぜられたと思いますけれども、これを專門に取上げてかようにするというような機構は立てておらないようであります。そこで委員長に申入れをいたしますが、他の重要部門については小委員会を設置いたしまして、それぞれ取上げて今国会にそれをはかり、そうしてできるだけこれを貫徹するような方法をとりたいということに相なつておりますが、かんじんの重大勧告については、本委員会ではあまりこれを強く取上げていないというようなことも考えますので、これらについても委員長は十分考慮いたしまして、一日も早く強く取上げて、勧告の趣旨に沿い、さらに近く講和が結ばれる際には、わが日本の漁民の意思も十分貫徹できるようにお願いしたいと思うのであります。  以上、私の質問並びに要望でありますが、ぜひこれを取上げて、委員長において善処せられんことをお願いいたします。
  39. 冨永格五郎

    冨永委員長 川村君にお答え申し上げます。第一に、漁港関係の問題、第二の勧告についての問題等につきましては、緊急理事会を開きまして検討して、御要望に沿うよう善処いたしたいと考えております。  なおこの場合、委員各位にお知らせ申し上げます。ただいま大蔵省主税局長平田敬一郎君が出席に相なりましたので、本日はこの程度で散会いたしまして、ただちに秘密会を開いて、漁業証券課税に対する大蔵省当局の説明を聴取することにいたしたいと思いますから、散会に相なりましても席を離れないようにお願いいたしたいと思います。次会は来る六日午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午前十一時五十八分散会