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1951-02-22 第10回国会 衆議院 水産委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月二十二日(木曜日)     午前十時四十分開議  出席委員    委員長 冨永格五郎君    理事 鈴木 善幸君 理事 二階堂 進君    理事 松田 鐵藏君 理事 林  好次君       石原 圓吉君    小高 熹郎君       川端 佳夫君    川村善八郎君       角田 幸吉君    田口長治郎君       平井 義一君    小松 勇次君       水野彦治郎君    井之口政雄君  出席政府委員         内閣官房長官  岡崎 勝男君         外務事務官         (條約局長)  西村 熊雄君         水産庁長官   家坂 孝平君         水産庁次長   山本  豐君  委員外出席者         参議院水産委員         長       木下 辰雄君         專  門  員 杉浦 保吉君         專  門  員 徳久 三種君     ――――――――――――― 二月十九日  北上川の魚てい改善に関する請願鈴木善幸君  紹介)(第六七六号)  水産金融対策確立に関する請願鈴木善幸君紹  介)(第七〇七号)  集魚燈漁業制限に関する請願鈴木善幸君紹  介)(第七〇八号)  岩手県下の漁港及び船だまり施設拡充に関する  請願鈴木善幸紹介)(第七〇九号)  機船底びき網漁業整理促進並びに取締強化に  関する請願鈴木善幸紹介)(第七一一号)  荒廃漁場復旧請願鈴木善幸紹介)(第七  一三号)  輸出水産物産業奨励助成請願鈴木善幸君紹  介)(第七一四号)  水産用石油増配に関する請願鈴木善幸君紹  介)(第七一五号)  漁業経営費増大及び魚価低落防止対策に関す  る請願鈴木善幸紹介)(第七一六号)  崎山漁港築設の請願西村久之紹介)(第七  七五号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  水産業協同組合法等の一部を改正する法律案(  参議院提出参法第一号)  水産資源に関する件     ―――――――――――――
  2. 冨永格五郎

    冨永委員長 これより水産委員会を開きます。  参議院より提出されました水産業協同組合法等の一部を改正する法律案議題とし、審査に入ります。まず提案者より提案理由説明を願います。  水産業協同組合等の一部を改正する法律案   水産業協同組合法等の一部を改正する法律案水産業協同組合法の一部改正)第一條水産業協同組合法昭和二十三年法律第二百四十二号)の一部を次のように改正する。  第百條の十一第三項後段を次のように改める。  この場合において、第三十四條第七項中「組合員准組合員を除く。)」とあるのは「会員たる水産業協同組合を直接又は間接構成する個人(第十八條第三項又は第九十四條第二項の規定による組合員及びこれを構成する者並びに第八十八條第三号又は第九十八條第二号の規定による会員構成する者を除く。)又は会員たる水産業協同組合理事たる者」と、同項但書中「漁民」とあるのは「水産業協同組合を直接又は間接構成する個人(第十八條第三項又は第九十四條第二項の規定による組合員及びこれを構成する者並びに第八十八條第三号又は第九十八條第二号の規定による会員構成する者を除く。)又は設立の同意を申し出た水産業協同組合理事たる者」と、第三十九條、第四十四條、第四十七條、第五十條及び第五十二條中「准組合員」とあるのは「準会員」と、第四十八條第三項中「第六十三條第二項、第六十四條及び第六十五條」とあるのは「第六十三條第二項及び第百條の九」と読み替えるものとする。第百條の十一第五項中「(第十八條第三項又は第九十四條第二項の規定による組合員及びこれを構成する者並びに第八十八條第三号又は第九十八條第二号の規定による会員構成する者を除く。)」の下に「又は会員たる水産業協同組合理事たる者」を加える。  第百條の十一第六項中「、第八條及び第九條」を「及び第八條」に改める。   (農林中央金庫法の一部改正)  第二條農林中央金庫法(大正十二年法律第四十二号)の一部を次のように改正する。    第五條第一項中「水産加工業協同組合、」の下に「水産業協同組合共済会、」を加える。   附 則   この法律は、公布の日から施行する。但し、改正後の水産業協同組合法第百條の十一第三項の規定のうち、同法第三十四條第七項に係る部分は、この法律施行前にした理事の選任についても、適用する。
  3. 木下辰雄

    木下参議院水産委員長 水産業協同組合法等の一部を改正する法律案につきまして、提案いたしました理由を簡單に御説明申し上げます。  この法律案は、衆議院の委員長とも十分懇談いたしまして、その結果参議院から提案することに決定いたした法案であります。この前の第九国会におきまして、水産業協同組合法の一部を改正いたしまして、水産業協同組合共済会をつくり得ることにしたのであります。しかるに現行法におきましては、共済会理事がその四分の三はいわゆる正会員漁業者でなければならぬということに相なつております。しこうしてこの共済会は、その構成分子水産業協同組合またはその連合会でありまする関係上、その協同組合及び連合会理事は、やはり正会員として四分の三以内に置くことが共済会運営上非常に便宜であります。それで共済会理事は、正会員のほかに協同組合理事たる者もその資格があるというように改正いたしましたのが、その第一であります。  それから第二は、この共済会も普通の協同組合同様、農林中央金庫出資者たり得るように改正いたしたのであります。これは共済会運営上中央金庫出資者となり、また金を借りる、そして共済会運営を円滑にいたすということにいたしたのであります。この二点が今度の改正の主眼でありまして、これは共済会あるいは協同組合方面からも切なる要望があつた事項であります。どうか慎重御審議をされまして、御協賛あらんことをお願いいたします。
  4. 冨永格五郎

    冨永委員長 質疑次会より行います。     ―――――――――――――
  5. 冨永格五郎

    冨永委員長 次に水産資源に関する件を議題といたします。  この場合委員各位にお知らせ申し上げます。外務省條局長西村熊雄君、大蔵省調査統計課長藤田茂君、水産庁からは山本次長水野水産課長が出席せられております。  この場合質問の通告があります。これを許します。鈴木委員
  6. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 先般ダレス特使とわが吉田首相との間に交換されました公海漁業に関する書簡につきまして、西村條局長にその経過お尋ねいたしたいと思うのであります。  講和会議が間近に迫つておるような情勢下におきまして、公海におきますところの国際漁業につきましては、漁業関係者のみならず、国民全般が大きな関心を拂つておるところであります。また国際間におきましても、わが国戰前における漁業事情からいたしまして講和会議後、しおける日本漁民国際漁場への進出ということに対して重大な関心を拂つておることを、私ども承知いたしておるのであります。このときにあたりまして、吉田総理が自発的にダレス特使に対して漁業問題について書簡を出され、それに対してダレス特使から、吉田総理書簡が送られておるのでありますが、日本政府がこのように自発的に束太平洋漁業問題について、出漁自粛措置をとられるに至つた経過をまずお尋ねいたしたいと思います。
  7. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 御説明申し上げます。漁業問題につきましては、対日講和に関しまするアメリカの七原則の第五項に、日本は麻薬及び漁業に関する多数国間條約に加入することに同意するという一項がございます。これによつて見ましても、講和の一環といたしまして、日本漁業問題が連合国において重要視されておることは、御了解願えると思います。今回の会談におきましても、先方から、漁業問題について日本の方ではどう考えておるかということをただされまして、特にその際東太平洋さけ漁業――これは皆様御承知通り戰前に三箇年ほど農林省の方で試験船を出されたことがあります。また日本の一漁業会社も川船を出したことがありまして、それがため非常にアメリカで問題となりまして、外交交渉となり、日本側から自発的に漁船を出さないということを声明することによりましておちついた経緯があります。この問題を、やはりアメリカ西海岸地方の業者が中心となりまして非常に問題にして、そうして成行きによつては、対日講和の場合に障害になる懸念すらあるという点を指摘されたのであります。それでありますのでわが方といたしましては、公海における漁業の自由の原則など、漁業問題の根本的な考え方を披瀝いたしまして話合いました結果、平和條約ができましたあと漁業協定締結されるまでの間、自発的に次のような措置をとる用意があるという返事をいたされたのでございます。返事内容は後日公表されました書簡に盛つてありますが、繰返し申しますと、日本政府の方では、国際漁業協定に忠実に参加する方針を確認して、またあらゆる水域における漁業資源侵犯をしないようにする。そうしてこの侵犯禁止というものに違反するような者があつた場合には、これを嚴重取締ることにしたいというのが第一点であります。第二点は、そういうふうな取締り嚴重にすること。これを実効的にするために、日本政府の方で官民合同委員会を設けます。そうしてその委員会に、今申した禁止が励行されるようにさせる。これが第二点であります。第三点は、外国政府が希望されるならば、その政府が指名される人をオブザーヴアーとして今申しました委員会に出席されるようにこちらの方から招請するという、大体この三つの事項であります。先方ではこの日本側申出を非常に多とされました。そうしてこの話合いを確認するために、往復文書の形にして、おきたいという意向が、ございまして、二月七日付で総理ダレス氏との間に往復されたあの文書なつた次第でございます。以上が経緯でございます。
  8. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 書簡の具体的の内容につきまして、西村局長から詳細な御説明があつたわけでありますが、東太平洋及びベーリング海水域におきますところのさけハリバツト、こういう魚種につきましては、アメリカ及びカナダ国が、多年にわたつて増殖に多くの費用を投じて、官民一体になつて真剣にその増殖をはかつて参りました関係から、この資源に対してたといそれが公海であろうと、日本漁民はその資源を尊重し、これを保存することに協力することは当然でありまして、わが国漁民も、今日資源問題につきまして真剣な考慮を拂つておるのでありますから、今後この書簡の精神に沿いまして、国際的な完全なる協力が行われることと思うのであります。ただこの書簡の中に、回遊性魚種であり、繁殖保護等につきまして積極的な人為的措置を講じていないところのまぐろ等漁業につきまして、書簡内容におきまして、この点についても日本が自粛するような点が触れてあるように思うのであります。このまぐろ漁業につきまして、さけ及びハリバツトと同じような措置を講ぜなければならない理由につきまして、当局にその間のいきさつをお尋ねいたしたいと思うのであります。それが第一点であります。  次に、日本政府及び業界代表者をもつて委員会をつくるということに約束いたしておられるのでありますが、この委員会所管は、外務大臣所管に属するのであるか。農林大臣所管に属するのであるか。また委員会の具体的な構成運用等につきましてこの際お尋ねいたしておきたいと思うのであります。
  9. 山本豐

    山本(豐)政府委員 ただいま鈴木委員お尋ねの、まぐろのいわゆる資源保護という観点については、書簡の中に触れておるわけでありまして、それらについての水産庁としての考え方お尋ねなつたと思うのでありますが、これは御承知のように、昨年来新しく南方区域まぐろ操業が許可されまして、現在船団が出られるようになつたわけであります。わが国としても、まぐろ漁業については、すでに関心が深いわけであります。しかしながら、これもやはり平等な立場ではありますが、国際的な資源保護協定その他には協力をする、こういう意味でなければ相ならぬと思うのでありまして、その一例として予想されますことは、一九四九の五月一日にワシントンで調印になりました全米熱帶まぐろ委員会設置のためのアメリカとコス・タリカの間の條約というのが一つあるわけであります。この内容はつまびらかではありませんが、しかしながら目的とするところは、最高限度持続的漁獲が毎年行い得るような水準に維持するため、実情に関する情報の收集及び解説に協力する目的をもつてこういう委員会を置く。こうあるわけであります。従つて現在では数量的に押えるとか何とかいう動きまではまだ至つておらないわけでありますが、将来またそういうふうな方面に入つて参るかもしれないのであります。しかしわが国としましても、これらの趣旨に即応して国際的に協力しなければならない、こういう意味かと思うのであります。  それからもう一点、いわゆる資源保護濫獲防止とい意味で、現在も御承知のように、アメリカ当局のいろいろな示唆に基きまして、以西その他取締りはやつておるわけであります。しかしながら、これはやはり今日の段階に至りましては、国際的にもなるほどとうなずかれるような方法を考えることも、非常にけつこうなことではないかという意味で、こういう関係取締りをさらによく徹底し、また国際的にもよく納得の行くような意味合いにおきまして、政府及び業界のおも立つた人人で構成いたしまする委員会を設置したらどうかということでありまして、これはまだ構想はきまつておりませんけれども、至急に相当な民間人あるいは水産界の相当な人に入つていただきまして、また場合によりましては、それらのことに最も関係のありまする、アメリカのいわゆるさけその他の業界権威者も招請いたしまして、そうしてきわめて自主的にその運営を監視して行く、こういうふうな考え方を持つておるわけであります。
  10. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 大体吉田総理ダレス氏との間に交換されました書簡趣旨につきましては、当局の御説明で了承いたしたのであります。ただこの際当局に対して、今後の国際間における漁業協定が、講和條締結後において当然結ばれることに相なると思うのでありますが、その際におきまする基本的な考え方につきまして、政府の御所見をお尋ねいたておきたいと思うのであります。私ども考えるところによりますれば、公海における漁業はあくまで公海自由の原則基調といたしまして、距岸何海里であとかいうぐあいに、公海に線を引いてそこに操業禁止するとかいう行き方をとるべきでなくて資源の育成、漁猛毒の恒常的な確保をはかります見地から、漁船の隻数を協定するとか漁獲量協定いたしますとか、あるいは操業の期間、すなわち漁期の制限協定いたしますとか、そういう漁獲上における制限協定をはりまして、資源維持保存をはかるという行き方を内容とした協定であるべきであつて公海に線を引いてこれから中に八つはいけないというような措置は、公海自由の原則に背馳するものと私どもは思うのであります。ゆえに今後国際間の漁業協定をなさる場合に、あくまでこの公海自由の原則は嚴として日本政府としては主張する。ただ資源保護の面につきましては、日本は積極的にこれに協力し、その協定をあくまで尊重するという方針で進むべきもの思うのでありますが、この漁業協定締結いたします際における基本的な考え方につきまして、当局考えお尋ねしておきたいと思うのであります。
  11. 冨永格五郎

    冨永委員長 この場合、委員各位にお知らせいたします。内閣官房長官岡崎勝男君が出席されております。
  12. 家坂孝平

    家坂政府委員 ただいま鈴木委員お尋ねになりました点につきましては、私も同感であります。講和條締結後においては、各国との漁業協定をできるだけすみやかに締結したいことを望んでおるのでありますが、その場合に対処いたしまする根本的な考え方といたしましては、海洋の自由という原則基調とすることにつきましては、まつたく私ども同感であります。しかし、過去の漁業形態とただいまの漁業形態は、各国におきましては非常な進歩変革を来しておるのでありまして、いとえば漁船操業能力、あるいは漁法の進歩とか、そういつたことと、また各国それぞれの自体における繁殖保護の思想が非常に強調されまして、その施策が各国によりまして強硬に実施されておるということも考え合せますときにおいては、ただ海洋自由の原則のみにのつとつてやるわけにはなかなかいかぬと考えるのであります。そこでこの漁業協定内容としましては、その協定国の相互の利益をお互いに尊重し合いまして、海洋資源培養をはかりつつ、保護を加えつつ、お互いが人類の永遠の福祉を保存しながら、この協定内容が盛り立てられなければならないものと、私は考えておるのであります。そうした態度をもつて日本水産界といたしまても臨まなければならなぬのではなかろうか、かように考えておる次第であります。
  13. 冨永格五郎

    冨永委員長 條約局長に対する御質疑はほかにございませんか――ほかになければ、官房長官に対する質疑をお許しいたします。
  14. 石原圓吉

    石原(圓)委員 官房長官の御答弁を求めるのでありますが、首相が自発的にダレス氏に書簡を出したことは、その首相の心持、並びに日本漁業の将来の善処方については妥当なものであると考えておるのであります、しかし、それは一部のものであつて漁民大衆は、何だか日本みずからが漁業の問題には消極的だ、遠慮しておるというような意味にとれるのでありまして、そのことが、やがて遠洋漁業に進出する漁民の意気を沮衷する、また政府がさような消極的主義ならば、進出するにも非常に心細い、こういうような感じを抱くきらいがあるのでありますが、この点につきまして、日本漁民に安心を與えるような何かそこに内容があるものでありましようか。このダレス氏に差出した書簡につきまして、事情の許す限り官房長官の御説明を願いたいのであります。同時にまた、今後の国際漁場のあり方は、裏にむろん公海の自由を許されることを目途として、政府首相初め進んでおられるものとは信ずるが、この点に対しても事情の許す限りお話が願いたいと思います。
  15. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 ただいまのお話まことにごもつともであります。書簡意味も、ただいま石原委員がおつしやつた通り講和後には、公海に自由に出かけて行つて漁獲をやつてる、こういう前提のもとであります。そのかわり各国で共同に魚族の保護といいますか、そういう点はやつておるのだから、日本もそれには加わる。お互い保護して、漁護高がなるべくふえるようにしつつ、自由にどこにも出かけて魚をとつて来ることができる、こういう前提のもとにやつたのでありまして、決して消極的の方面だけというわけではないのであります。むしろ積極的に行くために一定の基準を守つて行く、こういう意味と私は解釈します。
  16. 石原圓吉

    石原(圓)委員 それにつきまして私らの察するところでは、アメリカ漁業者は、平和後に、自分たちの海岸へ日本漁業者が殺到して来るのでないかということを非常に杞憂して、その杞憂から出ておるいろいろなアメリカの輿論が日本に伝わつておると思うのであります。この問題は、日本がやはり戰争前の、いわゆる漁業者侵略主義というようなものを改めたいとうような考え方が主となつておるかと考えられるのでありまするが、日本の今の漁業者状態は決してそうでないのであつて、あくまで国際漁業上の国際信義守つて、そうして互いに相携えて増殖繁殖濫護団止資源枯渇の防禦をやろうという心構えは、零細な漁民も、上下相通じて一致した意見なのでありまして、そのために丘源培養に関する法律も、できる限りこの国会において成立せしめたいという水産常任委員会の熱心な意向によつて、ただいま立案中であります。これらのことを、アメリカ政府を通じ、または通ぜずしてアメリカ漁業者に知らせしめて、今より互いに相提携してやつて行く道を開くことが、今の政府の最も必要、妥当な事柄であると思うのでありまするが、その点に対するお考えはいかがでありましようか。
  17. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 ただいまの石原さんのおつしやること、これもまことに同感であります。私どもは、戰前においてはブリストル・べー等における問題で、日本側のやり方がアメリカ漁業家を刺激したことはあつたと思います。しかしただいまは、おそらくそういう感情もよほど薄らいでおるとは思いますけれども、もしそういうふうにまだ心配が残つておるならば、できるだけ早くその心配を解くような措置を講じなければならぬ。これは当然であります。その意味でも、総理ダレス氏との間の書簡は相当役に立つたと思いまするが、今後も必要に応じましてできるだけ変な疑惑を解くように、政府としても努力すべきは当然でありまするし、またそうするつもりでおります。
  18. 石原圓吉

    石原(圓)委員 どうかただいまの点は、政府のみならず、われわれ水産関係の議会の常任委員会、その他民間一同の一致した意見であることを、アメリカ漁業者に対して、できるだけ広く、早く徹底せしめるように、お願いをしたいと思うのであります。  次いろいろの説によるのでありまするが、講和條約の以前に漁業條約を締結するとか、せぬとかいうことが、民間では伝えられるのでありまするが、その点は、いかがでありましようか。
  19. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 一般的に申しますと、この資源保護というようなことは、講和條約の前後を問わずして必要なことでありまするから、日本が入る場合もあると思います。まだ他の問題、すなわち電信とかその他赤十字とかいうようないろいろな国際的の組織については、すでに日本側の加入しておるものもあるのでありますから、漁業に関しても、将来そういうことが講和條約前でもあり得ると思いまするが、ただいまのところ、具体的にはまだわれわれは承知しておりません。
  20. 石原圓吉

    石原(圓)委員 私の質問は、大体その程度にとどめたいと思うのでありまするが、ただいまの日本漁業状態は、燃油の高騰と不足、金融の梗塞、漁業協同組合制度変革等によりまして、まつたく生活の上にもどん底に行つておりまして、今後わが国漁民大衆がどういう方向に向うかということを思想的にも非常に心配するような時期であります。従つて少くもわれわれ水産常任委員会といたしましては日本世界一の水産国であるがゆえに、ある意味では敗戰国として連合軍水産部の指導は受けておりまするけれどもそのおのおのの心持ちにおい工世界一の水産国たるこの要素が備わつておる日本が、何もかも日本一の機構にして完全な水産の政策を確立せなければならぬという熱意を一同持つて、そのことに当つておる次第であります。従つて漁業に関する国際的な條約、その他日本としてのものを決する場合には、ぜひとも水産常任委員会意向をも十分参酌されてそうして処置せられんことを、特にこの際要望いたしておきます。
  21. 二階堂進

    二階堂委員 二、三の点につきまして、官房長官にお伺いをいたしてみたいと思います。今回吉田総理ダレス特使との間にかわされました書簡内容につきましては、大局的立場から考えてみまして、私は非常に適切なる書簡であつたと考えております。先般私もアメリカに参りまして、向うの業界連中あるいは国務省の連中と、いろいろ日本水産の問題について懇談をいたす機会があつたのでありまするが、その際に、一番強く日本水産に対して言われておりました点は、日本水産濫獲漁業をやつておる。資源保護ということに対して水産行政の重点が置かれていない。戰前においては国際協定をふみ破り、あるいは法規を無視して、日本水産人世界の海を荒しまわつた。今講和を目の前に控えて、また自由に日本水産人世界の海に飛躍することになれば、アメリカカナダ、あるいはアラスカ方面において、非常に水産資源保護ということについて努力を拂われておるその権益が、荒されはしないかということを、向うでは非常に心配いたしておつたのであります。そこで私どもは、今日日本水産が直面いたしておりまする、深刻なる経済の諸問題を取上げまして説明をいたして参りました。食糧の観点から、あるいはまた国民栄養の観点から、あるいは失業者の立場から、いろいろな問題を、私どもは前水産庁長官飯山さんとひざを交えて懇談して参つたのでありまして、かような話をいたしております。向うの業者も、日本水産に対する認識がまだ足らないという点も、私どもは感じられたのでありますが、しかし向うの水産の行政が、水産資源保護ということについて非常な重点を置かれておるという点は、今後私どもも、日本水産国際的なレベルに引上げられて行く上においては、当然重く考えられて行かなければならぬと思う。自分の国として当然日本水産国際的に引上げて行く上においてなさなければならぬ点は、今後私どもとしても、あるいはまた水産当局としても、非常な熱意を持つて努力をして行かなければならぬと考えるのであります。かくしてこそ、ほんとうに世界水産国日本水産に対して非常なる信頼をして来る、安心して日本水産人世界に飛躍できる日が来る、その基を私どもはこれからつくつて行かなければならぬ。その基礎をつくつて行かなければならぬのが、今日われわれに課せられた重大な責任ではないか、かようなことを私は痛感して帰つたのでありますが、この観点から考えてみましても、ここにかわされましたところの書簡内容は、私は国際的な観点から考えてみまして、きわめて適切なものと考えるのであります。しかしながら、また先ほど石原委員の言われましたごとく、日本水産人立場から申しますれば、これはやや不満な点がなきにしもあらずであります。事実その通りである。それで私は、第一点としてお伺いしたい点は官房長官ダレス特使にもお会いなされたこと思いますが、そのときに、日本水産に対して食糧の点から、あるいは国民栄養の点から、あるいは漁村がほんとうに困つておる点、あるいは失業救済の点等から考えてつつ込んだ話をダレス特使にされたかどうか、かような書簡がかわされる上におきましては、きつとつつ込んだ話が当然あつたことと、私は考えるのでありますが、さようなつつ込んだ話をかわされたかどうかということについて、お伺いいたしたい。
  22. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 ダレス特使総理その他の政府側の者の話の内容につきましては、たびたび総理も発言しましてしかられておりますが、これは申し上げることを差控えておるのであります。ただお察しのように、ダレス特使の一行には、特に水産の專門家という人はなかたのであります。しかしながら、日本の自立経済という観点から、各般の問題について、ダレス特使が非常に関心を持つておられることは事実でありますし、現にこういう程度の書簡が交換されておるということは、それを裏書きするものだと見られるのであります。それで非常に具体的な問題になりますと、司令部にもその方の係もおりますので、その方とも十分話をすべもであろうと思います。一般的問題、経済自立という広い観点から、いろいろの点が話されたことは事実であろうと思います。そうしてまたこの書簡、こういうものが出るということは、すでに漁業についても双方に相当の関心があり、また将来の疑惑も解消して日本漁業家が、講和後に自由に各方面に行かれる素地をつくろうという意味も、これには含まれているのでありますから、その程度のことはむろん話合いがあつたというわけになると思います。
  23. 二階堂進

    二階堂委員 秘密で話されないという点は了承いたします。私どもは真剣に考えておる問題でありますので、当然総理お話しくださつたことと考えます。  次に漁業協定につきましては、講和條約前に細部の臨時的な協定と申しますか、そういうものをとりきめたいという意見も、向うの方から積極的に出ておつたのでありますが、先ほどの石原先生の質問に対するお答えであつたか、その点はつきり御答弁なさらなかつたように思いますが、かような見通しがあるかどうか、もしあるとするならば、向うから日本に何人かの代表者が来て、ここでそういうふうな話合いがされるものであるかどうかということについて、お尋ねいたします。
  24. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 これは私も專門家でありませんから、具体的には知りませんが、協定はすでに国際間にいろいろなものがあります。その中には、たとえば日本が加入する意思表示をすれば――むろんこれは司令部の了承を得てやるわけでしようが、加入できるものもあると思うのであります。またいろいろ話合いをしなければできないものもあろうかと思いますので、具体的に個々の問題をあげてみなければわからないと思いますが、ただいまいろいろの協定に入るかどうかということは、まだそう具体的になつておるわけではない、こう思います。
  25. 二階堂進

    二階堂委員 先ほど條約局長でありましたか、この国際協定取締る上において官民合同委員会といつたようなものを設ける意思があると申されたのでありますが、この委員会の性格なり、あるいは構成なりにつては、鈴木委員からも質問がありましたが、この委員会は、單にそうした取締り的な役割を果すための委員会であるか、あるいはもつと積極的に、たとえば太平洋における資源の調査、あるいは研究というようなものまで足を伸ばして、わが方から積極的にそういう仕事をしたいという意味委員会であるかどうか、私はこのあとの方がむしろ大切ではないかと思う。わが国の方から、ほんとうに日本水産国際的に乘り出して行くのだ、そのために日本のわれわれも積極的に、この資源保護の観点から、かような委員会まで設けて行きたいというような熱意を持つべきである、かようなところまで考えておられるものであるかどうか、これは水産庁長官にもお答え願いたい。  同時に、もう一つ関連して官房長官お尋ねいたしたいことは、なるほど今日は、私ども日本の国民も、終戰以来国際的なレベルにすべてのものを引上げようと努力しておることは事実であります。ことに水産においてしかりであります。しかしながら、われわれのこの熱意が――これは終戰以来、特殊な日本立場も当然あずかつておると思うのでありますが、アメリカのいわゆる中央政府の方々や、あるいは業界の方々に対して、日本水産の実情がほんとうに認識されておらぬ。これを私どもは、もつと積極的に向うにも行きまして、そうして向うの業界の方方と懇談し、あるいはまた政府要路の方々と懇談して、日本水産のほんとうの窮状を訴え、もつと向うの方々にも日本水産を理解していただく必要がある。私は、かような観点から官房長官お尋ねしたい点は、従来外務省の出先機関である大使館なり、あるいは領事館というものがあつて、そういうものを通して国際的ないろいろな交渉なり、あるいはいろいろな話合いをやつて来ておつた。ところが今後の日本の外交というものは、私は單にかような出先機関の人のみによつて行われるべきものではない。特に水産のことにつきまして、私は向うに参りまして、いろいろな話をいたして痛感いたしました点は、もつとかような機関の中に、ほんとうに経済人を入れるべきである。現在においても向うに出先機関がありますが、その出先機関の中に、たとえば水産業界の代表者なり、水産の問題についてもつと知識を持つておる人なども入れて、わが国水産のことについても、認識を向うの人たちに徹底せしめる必要がある。私はかようなことを痛切に考えて来たのでありますが、今後もし講和締結されれば、日本が独立の国となり、出先機関を持つことは当然でありますが、かような事態になつた場合に、やはり従前のような人事行政を維持して行かれるおつもりか、それとももつと広い観点から、ほんとうの経済人、もつと太つ腹な人間を向うに置いてそうして真剣なる国と国の交わりを結んで行かれる考えがあるかどうか、当然そうして行かなければほんとうの国民外交はできない。かようなことを痛切に考えて来たのでありますが、私の意見に対してどのようにお考えになるか、官房長官お尋ねいたしたい。
  26. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 初めの御質問の、官民の委員会につきましては、先ほどもまだ具体的な構想までは行つてないということを、水産当局からお話になりましたが、私もそう思つております。なおこまかいことは水産庁からお答えを願いたいと思います。第二点につきましては、太つ腹とか何とかということは別としまして、政府はすでにいろいろの方面の造詣の深い人をほしいと考えておるのでありまして、水産関係もむろんでありましようが、金融方面についても、船の問題についても、あるいはその他の経済一般と申しますか、いろいろの方面のエキスパートを得たいと思つて念願しておることは、前もそうであつたのでありますが、今でもそうであります。ただ具体的になりますと、給料が安いとか、あるいは役人の規則に縛られるとか、また広い視野を持つておる人といつても、專門家になりますと、どうしてもその人の特殊の点が強調されたりして、なかなか思うようには行かなかつたのでありますが、戰前でも外務省の出先機関には、業界からとつた人もおつたのであります。今後はお説の通り、ますますそういう点が必要になると考えておりまして、原則的には今おつしやることは同感であります。問題は、ただ具体的にどういう人選をやつて行くかということになろうと思います。これにはもう一つ語学という制約がありまして、いくら有能であつても、全然言葉がしやべれないと、向うでもなかなかひとり立ちはできない。通訳つきでなければならぬから不便だということもありまして、かなり選択が制約されることは事実だと思います。
  27. 冨永格五郎

    冨永委員長 二階堂委員に申し上げます。実は官房長官はたいへん時間が制約されておりますので、簡單に……。
  28. 二階堂進

    二階堂委員 先ほど人の問題について私はお尋ねしましたが、こういうことがあつたから私は申し上げるのであります。去る十一月サンタババラにおきまして、太平洋の沿岸の業者二百四、五十名が集まつて大会をやつて、当時水産協定問題につきましては、大きく向うでも論議されておるときであります。なお私ども意見も聞きたいというような業者間の要望もありまして、参つたのであります。そこで私は、ロスアンゼルスの出先機関の人も出席していただきたい。同時にサンフランシスコにある出先機関の人も出席していただきたいということを申し上げたところが、そのうちの一箇所の人が――人の名前は申し上げませんが、それは困ります。管轄違いだから困る。私も行きたいのですが、二階堂さん、外務大臣の許可を得てくれないか、こういうことを申される。私はそこでテーブルを叩いて怒つたのであります。昔の外務省の役人ならいざ知らず、これから外交の基礎の第一歩を築こうという、大きな使命を帶びてここに来ておられるあなたが、海を越えて外務大臣の許可を得なければサンタババラの大会に出席ができないのか、あなたが出て広く沿岸の業者の意見を聞いて、日本の国のために盡そうという熱意があるならば、私に対して外務大臣の許可をくれと言われるのは、私はその気持をはなはだ疑わざるを得ない。そんな小さな法規にとらわれて、一体国の政治や仕事ができるか、私はこういうことを申し上げたのであります。今までの役人のように、たいへん失礼でありますが、そんな小さな法規にとらわれ、規則にとらわれて重大なる国家の仕事はやりきれない、まかないきれない。私はかようなことを考えたから申し上げるのであります。今後少くとも、これから日本の外交を復活して、真剣なる外交をやつて行こうとするときに、かような小さな規則にとらわれた考え方の者がおつたのでは、日本のためにならぬ。かような法規、規則というものは、少くとも私は改めて行つていただきたい。そうしてほんとうに日本のためになり、世界のためになると思うことであつたならば、一つく法規にとらわれず、外務大臣の許可を太平洋を越えて得なくても、仕事はできるはずである。私はかような人が海外にたくさんいたのでは、日本のためにならぬ。かような意味において、今後政府がこの人事の問題につきましても、かような点を考慮されて改善される意思があるかどうか、少くともそうされるべきであると考えるのでありますが、この点について、もう一応官房長官のお答えを願いたい。
  29. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 ただいまのお話は、実例でありますから、外務省を通じまして、実情を調べてみないと何とも申し上げられませんが、原則的には今おつしやつた通りで、できるだけ規則にとらわれずに、国のためになるような仕事をする者を選ぶべきであることは当然であります。よくその点は、外務省等において人選を注意いたすようにしたいと思います。
  30. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 官房長官お尋ねいたします。先般総司令部の天然資源局長のスケンク氏から、吉田総理に対しまして、日本沿岸漁業の危機に対する五ポイント計画というものが勧告されております。この総司令部の天然資源局長の勧告は、わが国の沿岸漁業が直面しております諸情勢を、長い期間にわたつて愼重に調査し、分析いたしまして、日本の各界の代表者の意見をも徴して、勧告されましたところの重大な内容を持つておるのであります。これが農林大臣に対する勧告の形をとらずに、総理大臣に対する勧告として行われたところに、重大な意味があると思うのであります。農林大臣は、わが国漁業の振興発展のために、水産諸問題の解決のために、日夜努力いたしておりますが、農林大臣所管の権限のわく内においては、どうしても解決できない問題が多々あるわけでありまして、政府全体が、わが国漁業の実情を把握し、三百万漁業者の生活の安定と漁業経済の安定維持のために、政府の全機能をあげてこれを解決するという熱意がなければ、沿岸漁業の対策は立たない、こういう観点に立つて、スケンク天然資源局長から、吉田総理に対して特に勧告が行われたものと、私ども承知いたしておるのであります。これに対しまして、政府は、勧告を受理しましてから閣議等において、政府全体の責任において、この勧告に対処すべき日本政府としての具体的方策について、御協議が行われておるかどうか。またその勧告の内容につきまして、国民全般に、少くとも全漁業者に周知徹底せしむるような、しこうして政府協力せしむるような措置が、いまだに講ぜられていないということは遺憾であります。官房長官は、閣議の幹事役として、総理に対するこの勧告を全閣僚に十分徹底し、協力を得しむるような御措置をとられておるかどうか。また今後政府全体として、特にあの中には、漁業取締り制度の強化の問題あるいは水産金融の確立の問題、こういうように財政措置漁業金融確立の問題等、重大な内容を含んでおるわけでありまするが、これらに対しまして、政府全体として、どういう措置を講ぜられておるか。この点をお尋ねしたいと思うのであります。
  31. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 われわれも閣僚御一同も、五ポイントといいますか、この勧告は承知して、おります。そして、これは実際上の措置を要するものでありまして、たとえば濫獲防止につきましても、あるいは金融方面につきましても、具体的に考究して実現しなければならぬ問題でありまするから、主管であるところの農林省と水産庁におきまして、具体案をただいま急いで練つておるわけであります。具体案をつくり上げる時期は、全部一ぺんにというわけには行きますまいが、少くともある部分は、ごく最近の閣議にかかる予定と承知しております。漸次これを実現して行きたいと思いまするが、金融の問題につきましては、農林省だけでやるわけにも行かない、また取締りの面におきましても、農林省だけでやれるわけでもないのであります。政府の各部門と相談をしなければできませんものですから――決してなまけておるわけではないのです。今まではまだはつきりした具体案がつくり上げられなかつたのでありますが、これは問題がかなり重要でありまするから、多少の時日がかかることはやむを得ないと思います。しかし今申しましたように、一部は最近の閣議にかかるだろうと了解しております。またそれがだんだんはつきりいたしますれば、国民、ことに漁業家に対してもこれを周知させ、納付をさせるだけの措置をとるのが当然であります。そういう事情でありますので、いましばらく御猶予を願いたい、こう考えております。
  32. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 ただいまの官房長官お話によつて政府はこの勧告を聞きつぱなしにしているのではなくて、各閣僚にも十分御了承願つて協力してこの問題を解決すべく努力しておられるということを承つて、安堵いたしておるのでありますが、今後ともこの五つの計画は、ぜひとも実現しなければ、わが国の沿革漁業の安定、建直しということは、絶対に期せられない基本的な問題と考えるのでありますから、総理に対するこの勧告の精神を、できるだけ早く実現いたしますために、官房長官において各国閣僚を督励、御連絡をいただきまして、実行をすみやかにせらるることを、特に官房長官にお願い申し上げる次第であります。  なおあの勧告の内容は、ただに政府が努力いたしましても、漁民全般が、広く申しますならば、国民全体が協力をするということでなければ、実効が期せられない点が多々あるのでありまするから、あの勧告の内容政府から公表されるような措置をとりまして、あわせて政府としての、あの勧告を実行に移す確固たる所信を表明すべきものと考えるのであります。この勧告の内容の発表、それにあわせて政府がとるべき方策についての所信を、御発表になる御意思があるかどうか。この点をあわせてお導ねいたします。
  33. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 そういう点になりますと、私は主として、これは主管省である農林省方面の御意向が一番重要であり、またそれによつてきまると思いますが、その趣旨につきましては、これはもうはなはだけつこうなことであり、日本の国民たれしも異存はないことと思いますから、この勧告そのものをどうするということでなく、この趣旨につきましてはこれを発表し、周知徹底せしむることが当然だろうと思います。具体的にどういう形でどういうふうにするかといことは、主管省の方からお答えを得た方がよろしいかと存じます。
  34. 小高熹郎

    ○小高委員 岡崎官房長官お尋ねしたいのであります。物を持たざる日本を、どうして物を生み出す日本につくりかえて行くか、経済建設をして行くかということに関しまして、海をたたいて水産日本の実をあげようということは、けだし国是でなければなりません。かような意味におきまして、今回吉田首相ダレス使との間に書簡のとりかわしとなり、講和條約後におけるわが国の視野広き水産界が展開されんとすることを思いまするとき、まことに海に住む一員として欣快にたえないのでありまするが、これにつけても思い当ることは、わが国水産行政の完璧を期しておられなければ――これは今後講和條約の際、あるいはその後における水産業界の態度を明らかにする意味においても、水産行政の確立ということを、どうしてもしつかりとここで期しておかなければならないという気がしてならないのであります。昨年四月米国から漁業使節団としてエドワード・アーレン氏以下の一行が参られまして、つぶさに、国を遍歴してわが国水産状況を調査してくだすつたのでございます。その結果報告書を払出してくれたのでありまするが、この報告中において、日本水産省がないのがむしろふしぎであるということを勧告されておるのであります。私は現在水産庁がいろいろ事務の煩雑及び各省との交渉、これらに悩んでおるという事実を思いますとき、その悩みは單なる悩みにあらずして、水産業振興における大なる支障である、かように考えざるを得ないのでごいます。こういうことから考えますと、行政簡素化の声はありますけれども、当然海をたたいて、そうして海によつて立たなければ、日本が将来経済的に建設できないのだということを思いますとき、政府は何ゆえに水産省設置に対してすみやかに措置を講ぜないかということは、けだし米国の漁業使節団の勧告を待たなくても、考えなければならないことであると私は信じておるのでございます。さような意味しおきまして、かような重大なる国際問題をはらんでおるときに、国内の行政機構を完備するという意味において、水産省設置は緊喫の問題であり、またそうして行かなければ答えが出ないであろうという気がするのでございますが、これに対して政府考えとして、岡崎官房長官はいかがお考えになつておられるか、承りたいのであります。
  35. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 お話の点は、水産の問題から見ますとまことにそうであります。ただわれわれの困難に感じておりますのは、実は戰前の広い領土であつたときに、しかも人口が今ほどないときに政府の機構ができておつた。今度は領土が狭くなつて、人口がふえて来ていて、非常に苦しい中で、やはり同じような大きな政府の機構を持つておるという実情でありますので、これを現状に沿うように、むしろ省などをなるべく減らして行つて、税金の負担などもできるだけ軽減して行かなければならぬという、原則的な議論はあるのでります。そこで今いろいろなものを減らそうというときに、ものを大きくしようというのは何ごとだという議論もどうしても起るのであります。従いまして、財政の面、税金の面、いろいろの面も考えませんと、結論は出て来ないのでありますが、こういう問題のために、特に政府部内におきましても、行政管理庁という庁を設けまして、しかも水産関係に特に関係の深い農林大臣がその長官を兼任いたしまして、いろいろ研究しておるのでありまして、こういう重要問題ですから、すぐに結論というわけにも参りますまいが、そう遅くなく結論が出て来ることと思います。われわれは、ただいま行政管理庁長官の研究の結果を待つておるわけであります。
  36. 小高熹郎

    ○小高委員 ただいま官房長官の御答弁を伺いますと、海が狭められておる、働く面積が狭められておるのに省をつくるのはどうかと思うというように、私は聞きとつたのでございますが、そういうことはただ軍に水産面だけでなく、わが国の貿易の面においても、商工業の面においても、一様に受けておる一つの国際的な制約でございます。ところでそういうことに相なりますと、どこを重点に国家の経済再建をして行くか、建設をして行くかということに相なるのでございまして、私の言わんとするところは、総体的のわが国の総合計画における一つの経済建設というところから、水産へのウエートをもつと盛り込まなければいかぬぞということを指摘しておるのでございます。世界の経済環境を見まするに、簡單に講和條約後といえどもわが国の貿易が急に全世界にわつて活発に動けるとは思えません。一部には引合うけれども、一部には引合わないかもしれない。かようなことを考えると、海をたたいて、この水産資源を開発することによつて外資の獲得をやつて行かなければならないということは、総合計画からいつて、経済を研究しておる者はだれでもわかることなんです。そういうことから押し進めて参りますとき、どうしても行政機構を確立するという意味において、水産省の設置を願いたい。これはただいまの御答弁によりますと、いろいろ内部的のお打合せもあるようでありますから、これ以上の答弁は求めませんが、希望意見として、官房長官はお帰りになられましたら、閣議の際に、水産委員会全体の意見として、強烈に水産省設置が要望されておることと、衆参両院の過半数が、この水産省設置に賛成して署名調印しておるという事実、それから全国から七十万の漁民の署名調印が、水産省設置を要望するあまり一つの動きとなつて現われておる事実、これらをよく御説明いただきまして、水産省の設置がすみやかに実現でき、同時に国際社会に復帰せる際に、行政上まごつかない、堂々たる姿をもつて相まみえられるようなことが実現できますよう、強く要望いたしまして、私の質問を打切ります。
  37. 田口長治郎

    ○田口委員 官房長官が御出席になつておりますから、ごく簡單に漁区問題についてお伺いいたしたいと思うのであります。官房長官はかつて外務次官のときに、東支那海の漁区問題につきましては、みずから陣頭に立つて非常に努力していただきました。このことにつきましては、業界今に大いに感謝をいたしておる次第でございますが、東支那海は、御承知通り世界でも有数な漁業でございまして、現在におきましても、やせても枯れても一年に六千万貫程度の漁獲がありまして日本漁獲高の約一割五分をあの中で生産しております。ただ終戰以来、あの九州と大陸との間にマツカーサー・ラインがありまして、そうして九州寄りの方で操業をしなければならぬ、こういうことになつておます。面積から申しますと約三分の二あるのでございますが、漁場価値から申しますと、三分の一の価値もない。こういう所で非常にきゆうくつに操業をしております。そうして資源量の少い所で五箇年間操業いたしました結果、すでにこちら側は漁場が荒廃いたしまして、だんだん漁獲が少くなつて、そうして今東支那海で操業しております漁業というものは、まさに経営不可能に陷つておるものが大部分でございまして、このまま放置しておきますと、おそらくこの重要な日本漁業の上つが崩壊してしまう、こういうところまで実は来ておる次第でございます。従つて漁業者といたしましては、東支那海の資源量から計算いたしまして、そうして整理する船についていろいろ研究いたしました結果、約三分の一の漁船を減らしてしまう、こういうことで、非常に痛手でありましたけれども、これもやむを得ず出血をがまんいたしまして、実行いたした次第でございます。それから自分の力のある限り、とにかくやめさせぬようにという自粛状態にないて今日まで継続いたしました結果、もうにつちもさつちも行かない、こういう実情にまで立ち至つております。従つて漁民といたしましては、自分の力の続く限り、すでに自粛して経営をして来た。しかも資源とマツチするように船を整理した。言いかえますと、われわれとしてはやるべきことをすべてやつて来た、一体政府はこの上どうしてくれるのだろう、こういう気持でおるのが現状でございます。いろいろ国際的の事情もありまして、非常にデリケートな問題もありますから、漁区の拡張あるいはマツカーサー・ラインの撤廃、この問題に対しまして、一体政府ではいかなる努力をその後していただきましてこれから先の見通しがどうなまるのであるかということを、さしつかえない範囲内において御答弁を煩わしたいと思うのであります。さらにただま申し上げましたように、名漁業者がまさに瀕死の状態にあつて操業を停止しなければならない。こういう実情に立至つております。漁区の解放までにこの漁業を崩壊させるということは、日本の食糧問題からいたしまして、非常に重要な問題と思うのであります。われわれは、何とかして漁区が拡張するまでこの漁業を維持させたい。すでに資源量とマツチした数量になつておるのでありますから、この数量だけはどうしても維持をさせたい、こういうことを考えるのでございます。この維持策といたしましては、結局金融問題をいかにするかということでおそらく解決すると思うのでありますが、水産庁といたしましては、東支那海の底びき網に対しまして、金融問題についてどういう方法を目下講じられつつあるか、また講じられんとするか。この二点を、前者は官房長官に、後者は水産庁長官にお伺いしたいと思います。
  38. 冨永格五郎

    冨永委員長 田田委員に申し上げます。この場合官房長官の分だけ先に御答弁をいただくようにします。
  39. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 これは今田口さんがおつしやつたように、いろいろな関係があつて、なかなか実現ができないのであります。その一つのかなり大きな理由は、マツカーサー・ラインといいますか、そこを越えて行く違反というものがしばしばあつたということも、障害になつておるのであります。しかしもつと根本的にいいますと、その向う側が主義の異る政権のもとに立つてしまつたということが、はなはだしく問題を困難にしておると思うのであります。われわれもそうでありますが、水産庁方面でも、これを何とかもう少し広げたいという意味で、いろいろ努力しておることは事実でありますが、まだ何とも目鼻がつかない。その理由は今申し上げたことが主であると思うのであります。こちら側の漁獲が少い。だんだん減つて来る。以西底びき網といいますか、ああいう方面が非常に困難であるという事情は、われわれもよく知つておりまして、心配しておるのでありますが、それにつきましては、やはり天然資源局の五ポイントと申しますか、これなどがすぐ当てはまる好適例だと思います。この五ポイントというものの措置で、漁族の保護ということも一方においてやる。その他漁獲高のある程度の制限もやる。同時に漁業家の收入を増すように、カン詰工業とかいろいろのこともやる。それから金融をつける。いろいろな方面で総合的にやつて、こちら側でも漁場が荒廃しないように措置を講じて行つて、だんだん広がればもつといいのでありますから、そういうつもりでやつて行かねばならぬじやないか。私い專門家でありませんのでよくわかりませんが、五ポイントなどを見ますと、あそこらに当てはまるような気もするのでありまして、この点は水産方面でよく研究してもらいたいと思います。
  40. 冨永格五郎

    冨永委員長 この場合委員長として官房長官にお願いしておきたいと思います。総司令部からの漁業勧告五ポイント計画は、委員会においても委員諸君がただいま検討いたしておりますが、近く意見をとりまとめて実現方を政府に要望いたしたいと考えておりすから、その際は官房長官におかれましては、閣議等において何分の積極的な御協力をお願いするものであります。
  41. 川端佳夫

    ○川端委員 官房長官がお見えになつておりますので、この機会にお伺いしたい重大問題がございます。というのは、将来勧告案となるのではないかという資料を拝見いたしましても、あるいは実際に水産業の事情を見ましても、この水産業の人の問題、これが非常に重要な水産業振興の、キーポイントになつておると思うのであります。そこで私の申し上げたいのは、追放令との関係においてのことであります。先般少数の水産業界の指導者が解除になつたということによりまして、相当の活力が、大きな企業の面ではありまするが入つて来つつある。これが全般に及ぼす影響は、期してまつべきものがあると考えられておるのであります。私は協同組合運営の現状を見ましても、かつて十分に自治体において信用を持ち、地方のいわゆる有志がまじめな民主的な人でありながら、形式犯でもつて追放されて、人的資源の面において非常に制約を受けておるということは、水産業界から見ましても、大きな問題と考えなければならぬと思つておるのであります。先般、私は率直に言つて相当不公平、と言いますと語弊がありますれども、割り切れない形において追放解除をいたされておる。たとえば金光庸夫さん、個人の名前を出して恐縮でありますが、大日本政治会の総務会長であつた金光さんが追放解除になつておる。あるいはまた翼賛選挙で推薦されましたあまたの議員が解除になつておりますけれども……。
  42. 冨永格五郎

    冨永委員長 川端委員に申し上げます。質問をなるべく漁業問題に限つてください。
  43. 川端佳夫

    ○川端委員 それで同じように推薦になつておつた者でも、しかも解除の申請を出しておりながら、この方々が一律に追放解除になつておらないというような点等と考え合せまして、講和会議も目睫にあるやの感を期待されておるのでありますが、これとにらみ合せまして、追放解除の今後の見通しについてお伺いをし、水産業界の人的資源に対する期待を強く持ちたいと思うのでありますが、この点に関する御意見を、簡單にお伺いしたい。
  44. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 追放の問題は、一昨年でありますが、追放されておる、人々全部に対しまして訴題の自由を認めまして、訴願をして来た人の中から、訴願委員会が一年半あまりにわたりまして、愼重に調査をした結果、解除せらるべきものとして意見を述べた人々が解除されたのでありまして、早く言えば、あらゆる追放者に一度機会を與えて、不服と思う人は書面を出さして、それを訴願委員会は愼重に長い間かかつて、研究した上できめたものでありますから、この上どうということはできないだろうと思います。但し講和條約でもできるときになれば、相当の程度は、自然講和條約に伴つて解決されると思いますけれども、その前にまたああいう措置があるかないかということになると、私はなかなかむずかしいじやないかと思つております。
  45. 井之口政雄

    ○井之口委員 吉田総理ダレス特使との間に往復された書簡は、日本漁業問題のみならず、日本の将来置かれるところの独立の問題、それに到達する講和の問題へこれに対して非常に深い関係を持つものとわれわれは考えております。日本国民は、非常に大きな注意を持つてこれに臨んでおる点であります。これにつきまして四点、簡單に質問を申し上げたいと思います。  まず吉田さんは、国際的な摩擦が将来漁業問題において起ることを非常にここに懸念して、その意を表明されております。実際に今日本漁業状態を見ますると、海岸は、底びき漁業によつて小さくみな接近して参りまして荒されて、ほとんど資源が枯渇しておるという状態、がつそれは一方においては生産力の増強でありますから喜ばなければならない。しかるに現実においては、それをむしろ悲しまなければならないような状態になつておる。外への方面は限られておる。また外へ行くためには、相当大きな資本を必要としておる。零細漁民に対する金融方面の政策というものも立つていない。こういう状態漁業行政それ自体も行詰つておりまするが、これを打開するために、将来もしも以前のような侵略的な漁業政策に推し移るということになれば、またまたこれ戰争というふうな危機が切迫して来る。そこで吉田総理大臣においても、国際間の摩擦ということを懸念されて、将来日本の完全な主権の回復の後には、でき得る限りすみやかに他の国々と日本との間にもいろいろなとりきめをしたいということを、ここで申されております。またダレス氏からの返事にいたしましても、他の国々からもいろいろ交渉を日本とする用意があるであろうというようなことを言うております。そこで吉田総理大臣は、この点につきまして、中国並びにソ同盟との関係をどう考え、この交渉の行方において、はかどらせたいというお考えでございますか。もし現在のように單独講和方針で進み、そうしてぼちぼち賛成するところだけを入れて来て、多数講和で行こうというふうなことをやつて行つたならば、はたしてこの目的を達するかどうか。たとえば、以前に日本の近在に満洲国というのがございました。この満洲国も独立国であつた。日本も独立国であつた満洲国は喜んで日本の安全保障を受ける、日本は喜んで満洲国を保護してやる、こういうふうなとりきめをやつて、どつちも独立国という形ではあつたが、その実、満洲州国をだれしも事実上独立国と思つておる人間はなかつた。もし日本にああいうような講和が実現するといたしましたならば、ソ同盟並びに中国との間に、はたして摩擦なくして、いろいろな漁業協定とかその他のとりきめができるかどうか。その点に対して首相は全面講和の線を強くやられようと思うのか。これをやらない限り日本漁民の生活、漁業問題の困難性を打開することはできないと思いますが、ダレス氏との間にこの点はどうお話なつたか。この点を一つ。  第二番目には、講和が成立するまで、それまでの間に一九四〇年に操業していなかつた漁場では、自発的な措置として日本の船舶の操業禁止する、但しこれは日本政府が有する国際的な権利の放棄を意味するものではないという但書を入れております。この但書をもつと具体的に説明してもらいたい。どういうことを具体的に意味するものであるか。しかもその例としては、べーリング海の水域の云々ということを指摘されておりますが、ここに指摘されていないような所、たとえばカムチヤツカ沿岸とか、あるいはオホーツク海、あるいはその他の樺太沿岸というふうな所に対しては、いかなる意図を総理大臣は持つておられるのか。この点をひとつ聞いてみたいと思う次第でございます。それが第二点。  第三点は、講和條約に到達しない前に、すでに委員会を設置して、この委員会に諸外国の正当に任命された代表者がオブザーヴアーとして出席することを期待するということを言つておられますが、これに対しては、ソ同盟並びに中国、あるいは今日朝鮮で内乱を起しておりまするが、統一政府というふうなものが、ここにオブザーヴアーとして参加することも構想のうちに入つているかどうか。その点についてもひとつお尋ねをいたします。  それから第四番目には、吉田首相から特使へあてたこの書簡の中には、日本海並びに朝鮮沿岸、さらに東支那海、こういう方面のことについては何ら言及されておりません。先ほど委員の方からも仰せがありましたが、また当水産委員会においても、資源枯渇防止法案による以西底びきの禁止というふうなこともやつておられますが、これは非常に重大な問題である。従来の行きがかりを見てみましても、日本漁船がマツカーサー・ラインを越えて西の方に入つて、蒋介石政権に上つて拿捕された事件も以前に大分あつた。最近またこれがちよくちよく現われて来ておる。もしこういう具体的な問題について、吉田さんがダレス氏と打合せをしていないとするならば、将来の講和問題においても、何ら漁業問題について具体的な解決に当つていないと思うのであります。非常に重大な問題がこの特使との書簡の間には拔けておる。これについては、さらに書簡以外の協議においてなされたものかどうか。もし将来以前として日本が軍国主義時代のあの政策を続けて、密漁船その他のものをどしどし西の方面に繰出すということになりましたならば、それこそ今官房長官が仰せになられた辿り、海のあなたには人民大衆の政府が打立つておる。そういうところにどしどし入つてつて、そして密漁をするということになつたならば、両国の間に摩擦を生じ、そうして日本がたまたま侵略主義を採用したということが、アジア方面の近隣諸国において反対されることは明かであります。こういう点につき著して、日本は民主々義の国として、あくまでも近いソ同盟並びに中国あるいは朝鮮等との間に、真に平和を実現し、真に日本漁民が、りつぱな協定のもとに安心して漁業ができるような方針をとるためには、これらの国々とやはり一緒に講和をするところの全面講和の方式以外にないと思う。これをやらぬ限りは実際ためなんだ。こういうことについて、総理大臣はどういう努力をなされていらつしやいますか。またダレス氏との書簡の間に、この方面が含まれておるものかどうか。含まれていないものとするならば、その間に何か相談でもあつたか。その点をひとつお尋ねしたいと思います。この四点についてお答えを願いたいと思います。     〔発言する者多し〕
  46. 冨永格五郎

    冨永委員長 御静粛に願います。
  47. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 ただいまの全面講和をやれというお話、これはけつこうでありまして、アメリカ側から提示しておりまする七原則というものがあります。日本政府もこれはしごくいい案だと思つておりますから、ソ連もこれに参加されんことを望むのであります。参加せられれば、全面講和ができるわけであります。  それから第二点は、カムチヤツカ等に出るのか出ないのかということでありますが、これはソ連側が承知すれば、出たいというのはむろんであります。  将来できる官民合同委員会に、外国のオブザーヴアーとしてソ連や中国を入れるかということでありますが、これもたとえばソ連の沿海において漁業を許すならば、入れることはもちろんであります。許さなければ入れる必要がない、こういうことになります。  最後の点は、書簡以外に何かダレス氏と話合いがあつたかどうかという点でございますが、ダレスさんとのお話内容については、申し上げることを差控えるということは、たびたび総理その他言つております通りでありますので、この点は申し上げることを差控えます。  最後にまた全面講和の点を繰返されたが、これは初め申し上げた通りであります。
  48. 冨永格五郎

    冨永委員長 官房長官に対する御質疑は、次の機会に譲ることにいたします。  委員の皆さんにお諮り申し上げます。二階堂委員と田口委員から、水産庁長官に答弁を求められておりますが、これも次会に讓りたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 冨永格五郎

    冨永委員長 ほかに御質疑もないようでございますから、本日はこの程度にとどめます。次会は明後二十四日土曜日午前十時より開会いたします。  これにて散会いたします。     午後零時二十二分散会