○
佐橋説明員 松田委員の御
質問に対してお答えいたします。
先ほど民貿に切りかわる云々という
お話がありましたが、現在のところ、ほとんど全部もう
民貿に切りかわ
つております。わずかに
政府の
買付済みの
米綿が、まだ
政府で若干輸入しておるという程度でありまして、全
部民貿に切りかわ
つておるわけであります。それで現在
政府が持
つております綿は、
内需用に放出し得る
数量は、九万俵そこそこの綿しか持
つておらないのであります。この
数字は、この一—三月の
内需用の
割当に対しまして約七割の
数字でありますが、これだけのものを今まで
政府が
一定の
値段で
紡績に拂い下げておりました
関係上、その
原綿値段を
ベースにして
糸値あるいは
漁網の
値段がきま
つておりました
関係上、この九万俵につきましては従表のような
やり方で行けるわけでありますが、それがなくな
つてしまいました
あとは、
紡績がか
つてに買いました
民貿綿を
ベースにして
価格も構成される、こういうことになりますので、今までの
統制方式は、何らかの形において変更がされるのではないかと考えておるものであります。
一応綿の
需給状況について簡単に御
説明を申し上げたいと思いますが、御
承知のように、昨年の七月に、
紡績につきまして
設備の
制限を
司令部から撤廃されたのであります。それまでに
平和産業で
設備の
制限を受けてお
つたのは
紡績だけであります。これが四百万錘のわくに押えられてお
つたのであります。それが解除を受けました
あと、
増錘計画は順調に進捗しておりまして、現在までにすでに四百三十万錘以上の
設備にな
つております。今年の秋口には大体五百万錘の線に達する、こういうふうに考えております。
設備は
かくのごとく非常に順調に
増錘計画が進んでおります。これに対して、はたして
原綿がくつついて来るかどうかということが一番の問題になるわけでありますが、現在までのところ、この
設備をフルに動かすだけの
原綿の手当は十分に可能ある、こうわれわれは確信いたしておるのであります。と申しますのは、この
設備を大体フルに動かしまして、
年間百七十万梱くらいの
生産になるわけであります。これに要します綿は、ランニング・ストツクを加えますと約百九十万俵くらいいるわけであります。これに対しまして、昨年の十二月末のストツクは四十二万八千梱、これが
紡績及び
日本の港に着いている綿であります。これに対しまして、現在までに買い付けました綿が八十一万九千梱あるわけであります。
綿花は一月以後
自動承認制で輸入しておりますが、その後
アメリカの
日本に対する綿の
割当がふえまして、それに四月以降のブラジル、
パキスタンあるいは
ビルマ、
インド、その他からの
買付を入れますと、六十七万三千梱は大体今後
買付の
見通しがついておるのであります。それでその
数量を全部寄せますと約百九十万梱という
数量になるのでありまして、本
年度の
増錘に見合う
生産計画は十二分に達成できると考えております。なおこの
数字の中に若干のゆとりが持たしてありますのは、昨年は、
日本で使いました綿の大体八割までを
米綿に依存してお
つたのでありますが、本年は大体六割以下の
数字を
アメリカに依存しまして、そのほかは世界中のあらゆる国から
買付をしております。中南米、
インド、エジプト、
パキスタン、
ビルマ、その他であります。
アメリカへの綿の
依存度が非常に減
つているのは、
アメリカは昨年は非常に綿が不凶でありまして、一昨年千六百万俵とれましだのが昨年は一千万俵を割
つたのであります。これは一昨年の豊作に対しまして
アメリカが
作付面積を
制限いたしまして、
生産を
制限したのであります。本年は
綿花の
作付を
制限しないことにな
つておりますので、本
年度の
生産はよほど天候その他の
状況に激変がない限り、少くとも千三、四百万俵の
数字はとれるのじやないか、こういうふうに考えております。今年の
綿花の予想は、
アメリカが来
年度に繰越すために二百五十万俵くらい
国内に使わない綿をストツクしておるのでありますから、
アメリカの今年の
作付状況によ
つては、これを売
つて来るということは十二分に予想されます、この
数字もまだわれわれの方としては見込んでおりませんので、こういうのがまたプラスになる。それから、
アメリカにおいては九月ごろから新しい綿がとれるわけでありますが、これがまた本
年度かなりの
数量入
つて来る、これもほんの内輪にしか見ておりませんが、昨年
あたりも約三十五万俵ばかりその年の新綿が入
つて来ておりますので、今年もそれくらいの
数字はとれる。こういうことになりますと、
原綿の
見通しについての
数字は今のところ少しも
心配はない。ただあれば、
国際情勢の変化によりまして船腹がとれるかどうかという問題がありますが、一月、二月
あたりには、
神戸の埠頭へ
月々約二十万俵以上ずつ入
つておりまして、これが
工場へ送りつけられないようなうれしい悲鳴をあげておる。そういう
状況にな
つておりますので、現在のところ綿の
見通しについては一応
心配がいらないとしまして、百七十万梱の
生産が本
年度にできますと、一体どういう糸が振当てになるかと申しますと、大体在われわれの方から
司令部に交渉しておりますのは、
月々内需へ五万五千梱出してくれ、こういう
要請をしておるわけでありますが、御
承知のように現在までの
国内への
売渡し数量というのは三万七千五百梱というふうに押えられておるわけであります。
国内への
綿糸の放出を押えまして
輸出に振り向けておるのでありますが、今申しましたように、昨
年度に対しまして五割以上、六割ないし七割の増産ができるということになりますと、
輸出も十二分にいたしまして、なおかつ
国内に
相当数量出してもさしつかえないというわれわれの
見通しでありますので、この三万七千五百梱に押えられております
数量を五万五千梱にふやしてくれ、こういうことを申し入れております、今
司令部と
折衝中であります。この百七十万梱の
生産のうち、
内需に約五万五千梱
月々出して参ります、そうしますと六十五万梱くらいの
数字になるかと思いますが、そういたしましてもなおかつ
輸出に対しましては十四億ヤード近くのものが出るのであります。そのほかに
綿糸あるいは
メリヤス雑品とい
つたような、
綿布以外で出るものを十二万梱見込み、さらに発展いたします特需の
要請に応ずるために九万五、六千梱のものが保留できる、こういう
状況にな
つておるのであります。
輸出の
見通しでありますが、御
承知のように綿は全
貿易量の約四割近くのものを
綿製品で
輸出しておりまして、これで外貨をかせいでおるわけでありますが、昨年の
輸出が約十億五千万ヤードであ
つたわけであります。これは世界の全
輸出量の二割三、四分に当るかと思います。それだけの
数量を
輸出しまして、世界一の
輸出国にな
つておるわけでありますが、十億五千万ヤード
輸出いたしまして、すでに
イギリスあたりから
日本の
綿布の
輸出が多過ぎる、
イギリスの販路を侵しておるということでお小言をちようだいしておるような
現状でありますので、一体どこまで
日本が売
つて行けるかということについては、いろいろ疑問がありまして、われわれの現在の
見通しでは、十四億出し得たならば、これは最上の
数字ではないかというよう気がいたします。その
数字をと
つて、なおかつ
内需に五万五千梱確保できるわけであります。五万五千梱の
数字は、
ポンド計算にいたしますと、二億六千四百万ポンドという
数字になるわけであります。この中から、いわゆる
衣料にまわるものと
漁網その他の
生産資材にまわるものとがあるわけでありますが、また
委員の御
質問のように、一億六千五百万ポンドから
漁網だけの必要な
数字だけをとられても、一割になるか、ならぬかの
数字であります。やみに流れるということは、御
承知のように、
内需で月三万七千五百梱というような限られた
数字を出しましても、
生産資材につきましてはほとんど一ぱいの
数字が見てありまして、国民の
衣料にまわるものを圧縮いたしておるわけであります。
内需へ放出いたします
数量がふえれば、ふえた分は
一般衣料にまわわる。だから
衣料の方はその割に潤沢になりますので、
生産資材の方から
衣料の方に流れるケースも
従つて少くなるのではないか、こういうふうに考えられておるのであります。一番問題になりますのは
価格の点であります。私は
漁網に
年間二千六百万あるいは二千万という
数字を確保することは決して困難ではないというふうに楽観をいたしておりますが、問題は今言いましたように、
値段の問題であります。現在
綿糸の
値段はニマルが一梱八万一千円であります。これは今まで
政府が手持ちまておりました綿を拂い下げまして、それでつくらしてお
つた。今までの
政府の綿は大体四十二セント・
ベースの綿を拂い下げてお
つたのであります。
綿糸が八万一千円といたしますと、そのうちの七万円が
綿花の
値段でありまして、一万一千円が
工質、こういうことにな
つておるわけであります。この八万一千円の
綿糸が一体どこまで上るかということであります。
政府の綿がなくな
つてしまいました
現状においては、全部
紡績がか
つてに
買つた綿でつくらせることになるわけですが、この綿がその後異常な値上りをいたしておりまして、安い綿で四十七、八セントから高いのは八十セントまでの綿を買
つておるのであります。八十セントの綿で
原価採算をとりますと、
綿価だけでも十四万円ぐらいになるわけであります。今われわれが安本あるいは
物価庁、
司令部と
折衝いたしておりますのは、こういうふうに
綿値が異常に高騰いたしておりますので、いずれにしろ改訂をしなければならぬのでありまして、
マル公をきめるとかあるいは
国際価格で押えるというようなことにしようじやないかというようなことで、
司令部と話を進めておるわけでありますが、
綿布を
輸出した場合、その
綿布から逆算をいたしました
綿糸価格で
内需の
綿糸の
値段を押える、こういうことでありまして、おそらく十三、四万円ぐらいのところになるかと思いますが、これにしましても現在の八万円
ベースの
綿値からいいますと、やはり六、七割ぐらいの高値になるわけでありまして、そういうふうにやむを得ず
綿花が
上つたために
綿糸が上る。そのために綱の
値段も上るということになるわけであります。今の
漁業の実情からい
つて、一体十二分にこなせるかどうかということになるわけでありますが、この
値段で
漁業者の方で買うことができれば、必要なだけの
数量を確保することは決して至難のことではないこ考えております。われわれとして、はでき得れば、今のような
国際価格の
値段にな
つて、しかもなおかつ
国内へ月五万五千梱以上のものが出せるということになりますれば、こまかい
統制はやめまして、
漁業者等
へその
輸出ベースの
値段で買い得ないというような
状況につきましては、われわれの方からあつせん
切符等を出して、
必要量だけを確保するという
方法を考えたいと思うのであります。先ほど
松田委員からの
質問の中にもありましたように、現在の
受注制度は理論的にはきわめて
りつぱでありますが、
水産庁から発券されました
切符が漁師の手元に行きましてから、その
切符を
網業者が集めまして、その
数量だけわれわれの方で
切符を切る、こういうことにな
つておりまして、どうしてもほかの
需要部門に比べますと、
切符の発券が握れざるを得ないのであります。そのために従来のように
割当量が少い場合にはどうしても
あとまわしになり、そのためにせつ
かくの
漁期を失するおそれもあ
つたわけでありますが、今言いましたように、
国内向けの
数量が非常に出まわれば、漁師の方でも、あるいは漁
網業者でもいいが、適当な時期にな
つて綿糸を十二分に見込み
生産をしておくということができることになるわけであります。ただわれわれが
心配いたしておりますのは
値段の点だけであります。一つ御研究おきを願いたいと思います。