運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-02-06 第10回国会 衆議院 水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月六日(火曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 冨永格五郎君    理事 鈴木 善幸君 理事 二階堂 進君    理事 松田 鐵藏君 理事 林  好次君    理事 上林與市郎君       石原 圓吉君    小高 熹郎君       川端 佳夫君    田口長治郎君       永田  節君    平井 義一君       福田 喜東君    小松 勇次君       水野彦治郎君    佐竹 新市君       井之口政雄君  出席政府委員         水産庁長官   家坂 孝平君         農林事務官         (水産庁次長) 山本  豐君  委員外出席者         議     員 門脇勝太郎君         農林事務官         (水産庁生産部         水産課長)   水野  榮君         農 林 技 官         (水産庁漁政部         協同組合課長) 曽根  徹君         專  門  員 杉浦 保吉君         專  門  員 徳久 三種君     ――――――――――――― 二日三日  魚田開発に見近資金融資請願冨永格五郎君  紹介)(第二八五号)  漁業制度改革各種委員会等経費国庫負担金  増額請願鈴木善幸紹介)(第三〇九号)  大樹村に漁港築設の請願伊藤郷一君紹介)(  第三一六号)  香深村に北方新魚田開発策源地としての諸施設  実現並びに魚田調査に関する請願玉置信一君  紹介)(第三二六号)  香深漁港修築工事促進に関する請願玉置信一  君紹介)(第三二七号)  知柄漁港に防波堤築設の請願福井勇紹介)  (第三五七号)  漁業経営費増大及び漁価低落防止対策に関す  る請願小高熹郎君紹介)(第三七四号)  旋網漁業許可制度確立請願小高熹郎君紹  介)(第三七五号)  漁船船員法制定に関する請願小高熹郎君紹  介)(第三七六号)  水産資源枯渇防止対策確立に関する請願小高  熹郎君紹介)(第三七八号)  荒廃漁場復旧請願小高熹郎君紹介)(第三  七九号)  漁業金融合理化に関する請願小高熹郎君紹  介)(第三八〇号) の審査を本委員会に付託された。 二月五日  漁業補償金現金化に関する陳情書  (第一七  二号)  水質汚濁防止法制定促進に関する陳情書  (第一八四  号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  水産業協同組合法の一部を改正する法律案(内  閣提出第二三号)  水産金融に関する件     ―――――――――――――
  2. 冨永格五郎

    冨永委員長 これより水産委員会を開きます。御参考のために申し上げておきますが、二月五日、閣議後におきまして、農林大臣大蔵大臣に対しまして鈴木委員田口委員と私が参りまして、燃油の関税の問題と漁業用塩価格引下げ等について陳情いたしました。  これより水産業協同組合法の一部を改正する法律案を議題とし、前会に引続いて審議を進めます。質疑を許します。
  3. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 政府提案にかかります水産業協同組合法の一部を改正する法律案に対しまして、二、三質疑を行いたいと思うものであります。  まず改正の要点は、財務基準を定めて、財務を適正に処理する一助にしたいというお考えのようでありまして、政府の意図するところは十分了承せられるのであります。この際この財務基準につきまして、いろいろ政令において考えておられるようでありますが、まずそのうちで組合出資額増額、それによつて組合財政基礎確立するということで、昭和二十七年から五箇年間にわたつて、一定の目標を掲げて出資増額をはかるということであります。現在における経済の諸情勢、特に漁業経営の非常に苦しい現段階におきまして、政府がよほど確固たる総合的な漁業者育成指導、特に漁業経営の安定に対して総合的な施策を行うのでなければ、漁業者はとうていこれ以上増資することができないという現状にありますことは、当局も承知せられる点であろうと思うのであります。そこで現在の高い資材少い魚をとり、安く売つておるという漁業経営のアン・バランス、鋏状価格差の問題を、どういうような政策によつて政府は解決されを御意向であるか、まずこの点をお尋ねいたしたいと思います。
  4. 曽根徹

    曽根説明員 ただいまの御質問に対しまして、協同組合の根本的な問題となつております漁業経営についての対策という広範な問題につきましては、参考資料に譲ることにしまして、今御質問の中にございました、現在の非常に困難な漁業経営の中から、このような目標を立てても出費余力がないのではないかというふうな御質問に対しまして、私ども考えておりますところを御説明申し上げます。  全国組合をながめますと、その出資は、五六%が十万円以下の非常な低い出資であるということ、なお概括して申しますと、全国平均が二十万円になつておりますが、その平均出資金に及ばざる組合が八〇%というような、非常に低い出資状況になつております。この組合の規模と出資等につきまして月標を掲げ、これが再建整備をはからなければ、とうてい漁業経営改善に資し、協同組合の機能を発揮することができないと考えるのであります。従つてこのような目標を一方において政令で規定いたしますと同時に、他方において参考資料の詳細な説明にも申し上げてございますように、農業協同組合におきましても同様な問題がございますので、農業協同組合対策歩調を一にして、協同組合再建整備をはかつて行く、そのような対策を目下検討中ございます。その対策の中でも、五箇年間を目標にいたしまして、その間最も経営重圧になつております金利等について何らかの措置をする必要があるというふうに考えておりますので、その金利の軽減をはかる一方、組合あり方財務基準に照し合せて考究し、再建整備をはかつて行きたいというような考えのもとに、一応の政令の案を立案したのでございます。なおこの前御説明申しましたように、この政令につきましては、まだ最後的な決定に至つておらないことを御了承願いたいと思います。
  5. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 漁業安定の問題につきましては、次の機会水産庁長官その他から御答弁があることと思いますので、次の点に移りたいと思うのであります。  ただいま協同組合課長の御答弁の中に農業団体においても、漁業団体においても本国会提案を予定されております農林漁業協同組合再建整備法において組合再建整備をはかる。その際において財務基準再建整備の大きな一つ基準として、組合の更生をはかるという組合再建整備と、この今回の改正との関連を御説明を受けたわけであります。そこでお尋ねいたしたいのでありますが、この基準にのつとつて組合財政確立する、あるいは組合再建整備をはかるという場合に、具体的に取上げられる問題は、現在の弱小組合統合、しかもそれは天くだり的に統合を推し進めるのではなく、組合人自覚によつてその統合が行われるということを、政府としても期待しておるようでありますが、この財務基準を円滑に目的を達するように運営する面からいつても、組合再建整備を行う面からいつても、弱小組合統合、しかも下から盛り上る自然的な統合ということが、大きな目標でなければならぬと思うのでありますが、その組合整備統合強化という面を当局においてはいかように御指導なさる御方針であるか、これは組合法実施の際においても予見されたところでありますが、政府は拱手傍観して今日のような弱小組合濫立を来したという過去の政府の実績に照しましてはたしてこの財務基準を定め、あるいは再連整備法を制定いたしましても、当局の適切なる指導がなければ何にもならないという結果が予想されるのであるが、この機会当局の確固たる指導に対する御方針を承つておきたいと思うのであります。
  6. 曽根徹

    曽根説明員 一応財務基準の最後的な決定がきまりますれば、それに向いまして各組合とも財務整備をし、また反省のよすがとして行くわけであります。一方におきまして單に標準基準等を示すだけでは、ただいま鈴木委員からの御指摘の通り、そのまま従来のように、極端に申しまするならば放任というような形に相なりますので、第二の改正の点につきまして参考資料に御説明申し上げましたように、検査につきまして、従来は法令または法令等に基く行政庁の処分に対して違反した疑いがあつた場合にのみ検査ができるという、いわば検察的な検査制度でありまして、これでは組合財務基準にのつとつて、はたして再建整備方向へ進んでいるかどうかということについて検査をするよすががないわけであります。従いましてこの検査制度を改めまして、行政庁は年に一回必ず常例検査をする、組合健康診断をすることを行政庁の義務といたすように改正いたしました。これによりまして毎年一回健康診断をいたします。そのときに、どうしてもこの標準の域に達しないということは、基本的に協同組合濫立あり方にも問題があることを発見する場合も非常に多いかと思います。そういう場合には行政庁は、場合によりましては法令に基く命令を出し、場合によりましては勧告をし、助言をいたしまして、たとえばこれは統合する方が自然でないか、あるいはこれは解散し、このような組合に合併する方がいいのではないかというようなことを、検査データに基きまして助言をし、これを育成強化をして行きたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  7. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 政府指導に対する態度が、今までの放任主義からこれらの財務基準を定め、あるいは検査制度確立するというようなことで一歩前進するということは、私ども適切なる措置であろうかと思うのであります。ただこのことが自主的な組合運営、あるいはあくまで民主的なる組合運営をなさんとする漁民諸君に対して、検査を通じ、その他の方法によつて、強く指導の名をかりていろいろな干渉が加えられるということは、本改正趣旨にもとるものであつて、その点については、当局においても十分細心の御注意を拂つておられることと思うのでありまして、またそうあるべきものと思うのであります。ただこの機会に私から当局の御意向を承りたいのは、終戰後いわゆる各方面の民主化運動の一翼といたしまして、農業団体においてもしかりでありましたが、漁業団体におきましても、その一つの時代的な傾向に便乗いたしまして、従来の組合指導者あるいは組合中心勢力に対していろいろな反撃行われて、新しい勢力がそれにかわつた事例は多多全国に見受けられるのでありますが、それらの他方におきまして、組合経営組合運営に対して従来経験のなかつた人たちが、ただ組合民主化という観点から、一切の経営等に対して根本的な改変を加えるというような行き方からいたしまして、組合経営財政に大きな損失を與え、組合運営を誤り、あるいは組合指導について未熟であつたために、ますます組合弱体化を来したという事例も多々あるわけであります。政府は、今回のこの改正により検査等をやつて参りました場合に、そういう組合の今日の弱体をもたらしたところの理事者責任者に対して、組合大衆にはつきりと責任の所在、組合経営内容を公開して、そして組合員の自発的な意図によつて新しい、りつぱな、真の組合指導者に値する人を選任するように、適切なる指導を加え、漁業者自覚を促すべきものと考えるのでありますが、この点に対して当局はいかようなるお考えを持つておられるか、お尋ねをいたしたいと思うのであります。
  8. 曽根徹

    曽根説明員 ただいま御説明申しました際に、政府が相当に強力な命令、あるいは勧告助言等をもつてする場合には、水産協同組合の民主的な経営を阻害するおそれがある。これについて十分な注意をしろという御注意がございました。まことに私どもその点については十分に注意しなければならないと思うのでありますが、趣旨といたしましては、財務検査をいたしまして、このデータに基きまして、客観的な判断をいたし、これを組合員の前に報告いたしまして、そのデータの上に基く客観点助言によりまして漁民の真の意思を通じて組合統合なり、あるいは併合なり、再建整備なりを推し進めて行きたいと考えるのであります。しかしながらとかく官僚的な弊を起しがちと存じますので、十分にこの点は御注意通りいたしたいと考えます。  なお第二段の、従来のいわゆる民主的な考え方のはき違いのために、漁民がお互いの損失をこうむつたという点等についての御意見に対しましての考え方でございますが、やはり漁業協同組合漁民の真の民主的な意思によることが第一でなければならないと考えます。同時にその漁民意思は、漁業協同組合を十分に理解するその教育というか、協同組合理解の上に立つたその自由の意思でなければいけないと考えるのであります。従いまして、その意思を尊重すると同時に、漁業協同組合のいわゆる組合教育という点につきましては、ただいままでもあるいは組合学校委託経営あるいは教育資料配布等を、十分ではございませんが努力をして来つたところであります。なお一層この点には努力いたしまして、真に協同組合員理解のある上においての、漁民意思の結集によるりつぱな団結育成強化いたして行きたいと考える次第であります。
  9. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 長官もお見えになりましたから、曽根課長の方から御答弁がいただけなかつた重要な点につきまして、お尋ねをいたしたいと思うのであります。政府は今回の協同組合法改正によつて組合財務確立をはかり、財務基準を定め、検査制度を設けて組合財政的な基礎確立するということ、さらに農林漁業団体再建整備法を出して、組合再建整備をはかるという一連の施策をおとりになろうといたしておるようであります。ただその前提をなしますものは、沿岸漁業者経済の安定、漁民生活の安定の基盤の上に立つのでなければ、組合再建整備はおそらく不可能であろうと考えるわけであります。しかるに今日の漁業、特に沿岸漁業事業を検討いたしますと、高い資材少い魚をとつて、安く売つておるというこの根本的な悪循環、経営のアンバランス、経費收入とのはさみ状価格差という、この問題に漁業者は悩んでおるわけであります。この問題を解決しなければ、組合に対する増資もできない、また漁業の安定なくして組合販売事業購買事業もうまく行くはずがない、信用事業もまたしかりであります。そういう観点から、組合育成強化再建整備の大前提は、あくまで漁民生活の安定、漁業経営維持になければならぬとこう思うのでありますが、産庁漁業安定に対する基本的なお考え長官から承つておきたい、これが第一点であります。  それから第二点は、水産庁協同組合課中心として、地方庁組合指導官だけの力によりましては、四千になんなんとする現在の協同組合育成指導ということは、おそらく不可能だろうと思うのであります。いかに財務基準を定め、検査法的根拠をここに設けましても、官庁の力のみによつては十分の目的は達し得ないと思うのでありますが、これを今後連合会なりあるいは全国指導機関なりを設けまして、官庁と一体になつて組合育成指導に当るという必要があると考えるのでありますが、これに対して当局はいかなる御方針を持つておられるか、この二点を伺いたいと思うのであります。
  10. 家坂孝平

    家坂政府委員 現下の漁業協同組合は、非常に経済的にも重圧をこうむつておりまするために不安定な状態にあるわけであります。これを何とか育成強化いたしまして、生活の安定を得せしめて行きたい、かように考えまして、いろいろ施策を練り、かつ進めておるのでありますが、何と申しましても漁業家経営の安定というものは、とにかく漁民が結成しておりまする協同組合健全化ということが、やはり基調とならなければならぬのでありまして、まずこの組合育成強化ということが第一前提であると考えておるのであります。従いまして、戰争中あるいは終戰直後から、非常に経済的に悩んでおります組合のまず経済條件を、難点を拂拭いたしまして、そしてこれが健全なる経理のもとに出発できるように、いろいろ方案を考えておるのであります。それにつきましては、引継ぎ資産処理、これに対しましては、この国会にも提案をお願いいたしております法案によりまして、まずその経理内容を健全ならしむるということを考えておるわけであります。かようにいたしまして、まず協同組合を健全に育成強化いたしまして、これが基盤を強固にした上に、この組合を通じまして、魚価の安定また高度利用施設、こうしたものも漸次これが強化をはかりまして、そして魚価維持の安定を得まして、漁業者の、漁民生活安定に導いて行きたい、かように考えておるわけであります。  次に協同組合育成指導の件でありますが、これはただいまも組合課長から御説明申し上げましたように、組合健全化すことがまず第一義考えておるのでありまして、このたびの組合法の一部改正もそれにのつとりまして、何とかこの組合を健全なる経営のもとに置きたい、かように念じまして、まずその経理を安定させなければいかぬということから、財務基準をきめまして、それが検査に当りたい、かような方策もその一つなのであります。かようにいたしまして、組合強化をいろいろ経理の面からも、あるいは金融の面からも指導して参りたい、これがまず第一義じやなかろうかと考えておるような次第であります。
  11. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 組合検査等をこの法律改正によつて行います場合に、協同組合課中心として、水産庁にどれだけの人員整備を必要とするか、なおその増員を必要とするのであれば、人事委員会との話合いはすでに了承済みであるか、及び二十六年度予算において実施に必要なる予算措置が講ぜられておるか、この三点をお伺いしたいと思います。
  12. 山本豐

    山本(豐)政府委員 この組合検査につきまして、先ほど鈴木委員からお話があつたのでありますが、私も單に少数の役人のみでこれが円満に行くとは考えないのでありまして、どういたしましても、特に最近の国家財政から申しますと、人員予算をとると申しましても、おのずから限度がありますので、できればかねてから問題になつておりまする全指連というふうなものの発足を早く見まして、それらと相提携してやるのがいいのじやないか。またそこに達するまでにおきましては、現在ございまする漁経協等を通じまして、これらを活用いたすことによりまして、少しでも能率が上るようにいたしたいと考えておるのであります。お尋ね検査人件費並びに事務費に対する予算の問題でありますが、ただいまわれわれの手元で考えておりまするところは、大体中央の水産庁に約十二、三名、各府県に一県当り四名程度の職員を増置することによりまして、この仕事を発足したいと考えておるのであります。そういたしますと、今のところ見積りで約二千三百万円程度に相なるわけであります。この予算の点は、御注意もございましたが、いまだ解決を見ていないのでございます。法案が通過をいたしまして、政令その他実施に移す場合に、追加予算等措置によりまして、ぜひ確保いたしたいというふうに考えておるわけであります。
  13. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 今財政裏打ちの面についての山本次長の御答弁によりますと、この法律は公布の日から施行する、こういうことに相なつておりますが、この通常国会を通過いたしましても、補正予算によつて予算的裏打ちが行われなければ、十分な成果を期待することはできないということがはつきりいたしたのであります。もとより当局はその予算措置が講ぜられなくとも、現在の協同組合課人員及び地方庁の係官を増員して、この法の運営に当るという御趣旨かと思うのでありますが、本委員会としては、この法律案政府提案として御提案になる以上、この二十六年度予算にその財源を確定しておられるものと私ども期待いたしておつたのでありますが、その点がいまだ措置がついてないということを遺憾に思うものであります。私は本法律案趣旨組合育成の上から非常にいい機宜を得た措置であるだけに、政府において今後財政裏打ちについて、十二分の御努力を期待いたしまして、私の質疑を終りたいと思うのであります。
  14. 冨永格五郎

  15. 石原圓吉

    石原(圓)委員 この協同組合財務処理政令案でありますが、これは時宜に適した案であると考えるのであります。協同組合の根本の使命というものは、共同購買共同販売、この二つが根源をなすものである。それに対して団体法改正で、ただいま全国協同組合窮境陷つておる。その場合にこの政令が出てその窮境をどの程度に脱することができるのか、当局はその点をどう考えておられるか、どういう見込みをつけておられるか。またこれ以外に今全国協同組合が窮地に陷つてつて共同購買をするにも、共同販売をするにも、全然資金枯渇をしておる。その上なお出資の拂込みも大部分は実行できないという状態にあるのでありまするが、その場合にこの政令のみに政府は依存するのか、その他に二十六年度の予算の面において、何らかこの協同団体育成しかつ活気を添えて行くところの方策が立つておるのかどうか、この点をまずお伺いする次第であります。
  16. 山本豐

    山本(豐)政府委員 現在の協同組合が非常に窮境にあることは石原委員のおつしやる通りでありまして、この際にいわば上から押しつけるような行き方で、財務基準を設けるとか、あるいはまた検査をやるとかいうことのみでは、かえつて組合を苦しめるだけで終ると思うのであります。しかしながら今日漁業協同組合におきまして、その今日に追い込まれて参りました一つの原因は、やはり大福帳でもいいというような、ごく大ざつぱな気持経営に当つておるという点も、これは看過すべからざる一つの重要な事項であると思うのでありまして、それらをひとつ自主的に、組合員自身が、やはり自分たちのためにやらなければならぬという気持を持たせる意味におきましてこの今回の法律もぜひ必要であると考えるのであります。しかしながら、その他のいわゆる金融改善方策等につきまして、いろいろの対策を総合あんばいしてかからなければ、とうていこの今日の組合再建はできないと思うのであります。で一つには、先ほども協同組合課長からも申したかと思うのでありますが、今日協同組合が非常に弱つておりまするのは、過去の引継ぎ資産等固定化等による負担も非常に多いのであります。これらを何とかいた  したいと考えまして、現在のところ農業協同組合との歩調を合せまして、この焦げつき資産を整理する機関を設けまして、今後五箇年間にそれを順次健全化をはかつて行く、その間の金利負担だけを免除してやろうというわけで、大体五分程度利子補給案をただいま政府当局でいろいろ整備をしておるわけであります。これ等によりまして、過去の負債の一つ安定化をあわせて行いますと同時に、災害の補償制度でありますとか、あるいはまた漁業手形制度強化助長でありますとか、これらの策と並行して、今後の問題もだんだん明るい方向に持つて参りたいと考えておるのであります。特にこの際また問題になりますのは、漁業証券資金化の問題でありますが、これらをうまく持つて参りますことによりまして、今後の経営資金の面におきましては、ある程度目途がつくのじやなかろうか、既往の面と今後の経営の面と、この両面にわたりまして、並行的にいろいろな施策を総合あんばいいたしまして、できるだけ組合健全化をはかつて参りたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  17. 石原圓吉

    石原(圓)委員 ただいまの御説明によりますと、非常に消極的でありまして、五箇年計画に利子補給等で何とかしようというのでありますが、積極的な面が見当らないのであります。ただいまの全国の單位の漁業協同組合は、それでは行き詰まるものが大部分であろうと思います。私はあえて非難とか、攻撃とかいう意味ではないのでありますけれども家坂長官は従来の御経歴、御出身の上から、全国沿岸漁業者、零細なる漁民、いわゆる漁業協同組合育成するために、どの辺まで御理解、御熱意を持つておるかということにつきまして、はなはだ判断に苦しむものであります。私の考えといたしましては、今や水産省にしようかというような重大な輿論がここに勃興しておるのでありまするが、その大部分をなす漁業者はいわゆる大衆漁民であります。大衆漁民をおいては何ものもできないのであります。この大衆漁業者が今ほとんど危殆に瀕しておるのであります。特にこれ以外の何らかの対策がここになければならないということを痛感するのであります。ことにまた水産庁には漁業協同組合課というのがありますが、この一つの課の課長は非常に熱意を持つて努力をされていますが、課という制度でよろしいか。少くも水産省ができれば、一局にすることは当然であるし、できるものと思うのでありますが、現在の制度におきましても、これを水産漁業協同組合部というものに昇格せしめまして、そして省の設置いかんにかかわらず、全国の大衆漁民の安定をはかつて行くということに邁進すべきときじやないかと思うのであります。先刻来水産に関する漁業協同組合指導教育方面に、幾らかの力を入れて来たことは認めるのでありまするけれども、しからばその教育を受けた者を、水産庁みずからが最も適切な方面に使つて行くというところの処置をとつているか。またそういう機関を増強するところの急速なる施設に対する意思を持つているかどうか。それとほんとうの生産物、消費物、いわゆる資材と生産物との共同販売共同購買というものに対して水産庁としては具体的な指導をしているのかどうか。こういうことを私どもは非常に不安を感ずるものであります。それらの諸点につきまして、長官のお考えをこの際伺つておきたいのであります。ことに協同組合課協同組合部に昇格せしめるという点に、私は大きな期待を持つているものであります。以上に対して御答弁を願います。
  18. 家坂孝平

    家坂政府委員 ただいま石原委員からお尋ねの点でありますが、私も仰せの通り沿岸漁業には業界におきましてもあまり直接タッチしておりませんので、暗い点も多いのでありますが、そうした関係からいたしまして、私といたしましては、なおさら沿岸漁業のために努力をして参つているのであります。たとえば、このたびの国会にいろいろ御提案申し上げ、法案として成立をこいねがつておりますものの中でも、大体は沿岸漁業のために充足して参りたいという内容を持つておるのが多いのでありまして、極力漁獲高の大宗、すなわち八割五分を占める漁業運営しておりまする沿岸漁民のために、十分一はだ脱ぎたいと、かように私は念願しておるものであります。  それから次にただいまの最後のお尋ねでありまする組合部を設置する考えをどう持つておるかというお話でありますが、協同組合を管理いたしまする課といたしましては、今でも手不足の点を感じておるのでありまするが、将来この課を部に発展させるといういうことにつきましては、ただいまのところではまだ具体的な考えを持つていないのでありますが、今後とも充実して参りたいという考えは十分持つておるものであります。  それからなお水産学校の卒業生あるいは組合学校の卒業生というようなものに対するお尋ねもありましたが、この将来性につきましては十分考慮いたしておるものでありまして、たとえば組合学校あたりを出られた人に対しましては、私の名においてこれを就職あつせんするというようなことも、十分考えておるのであります。
  19. 石原圓吉

    石原(圓)委員 ただいまの長官説明に対しては、後日さらにただすことにいたしまして、協同組合課を部にすることを強く要望いたします。ただ種種の施設をやつておられるということは御説明にありましたが、第一は急速なる金融の問題であります。この金融の問題を、長官は先日来案を立てておるということを言われたので、いずれ御発表があることと思うのであります。ただここにこの際に委員長に希望を申したいのでありますが、数日前の参議院の質疑応答のうちに、農林大臣金融に対する処置の意見と、大蔵大臣の意見とが食い違つておるのであります。私はお互いに農林大臣の意見につきましてはよくわかつておるのでありまして、大蔵大臣を次のこの委員会に出席を求め、われわれ委員より直接大蔵大臣意向を確かめたいのであります。この点をおとりはからいを願いたい。
  20. 冨永格五郎

    冨永委員長 そのようにとりはからうことにいたします。  この際お諮りいたします。委員各位からまだ多数御質問があるようでありますが、この際これにつきまして愼重審議する必要があると思われますので、これを漁業制度に関する小委員会に移して審査いたさせたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 冨永格五郎

    冨永委員長 異議なしと認めまして、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  22. 冨永格五郎

    冨永委員長 この際質問の通告がありますのでこれを許します。田口委員
  23. 田口長治郎

    田口委員 私は昭和二十四年度の生鮮水産物出荷に対する報奨物資配給の件につきまして、政府お尋ねいたしたいと思うのであります。政府昭和二十四年度の水産物出荷を確実ならしむるために、経済安定本部と御相談になりまして、二十四年の六月九日に、昭和二十四年度生鮮水産物の出荷に対するリンク物資の配給実施要領、こういうものを御決定になりまして、作業衣その他漁業者が必要であります繊維製品を報奨物資として提供させる、こういうような通牒を各府県に提出になりまして、これを実行されたのであります。ところが二十三年の末ごろから二十四年の初めにかけまして、綿製品の価格が非常に低下を来し、また漁案者は購買力が減退をいたしまして、これらの物資が各県ともに非常に滞貨をいたしまして、そのままの価格ではどうしても供給ができない、こういうような実情に立ち至りまして、その当時漁業者の購買力及び一般市価を考慮いたしまして、各府県の合同荷受け機関あるいは登録小売商、これは非常に損をして、これらの物資をはかしておる、漁業者に渡しておる、こういうような事実がございます。これを数字的にいろいろ研究してみますと、大体全国で北海道ほか二十六府県のこれを取扱いました商業組合あるいは漁業組合、この二つの機関が相当の損失をこうむつております。私らの計算によりますと、二十四年の二月の調査におきまして、大体八千九百万円程度損失をこうむつておる。政府も御承知の通り、この農業関係の報奨物資につきましては、食糧確保臨時措置法第三條によりまして、報奨物資を出すことになつておるのでございますが、この問題につきましては、二十五年の八月十一日に法律第二百四十三号をもちまして損失額の補填をしておるのございますが、総額八億九千八百万円、そのうちで価格差益が三億三千四百万円、これを差引きまして五億六千五百万円の範囲内の損失の補填を政府でしております。この農業関係物資と水産関係の物資というものは、まつたく性質が同じでございまして、一方は臨時措置法でありますが、一方はこの政府部内で御相談されたさつき申しました生鮮水産物の出荷に対するリンク物資配給実施要領、こういうことで実施されたのでございますから、内容におきましては、私らの考えでは少しも違わない。一方において損失を補填し、一方はそのまま放置してある、こういうような不合理な、そうして不均衡なことはあり得ないと存ずるのでございます。この観点からいたしまして、私らはすみやかに農業物資と同じ方法を講ずべきものだ、こういうふうに考えるのでございますが、これに対しまして政府の御所見を伺いたいと思います。
  24. 冨永格五郎

    冨永委員長 ただいまの田口委員質問に対して、政府当局答弁する前に、関連いたしておりますので、委員各位にお諮り申し上げます。門脇勝太郎君から委員外として質問を申し出られておりますが、時間の関係もあり、要領を簡單に申し述べていただくことにして、これをお許しすることにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 冨永格五郎

    冨永委員長 異議なしと認めます。さようはからいます。門脇勝太郎君。
  26. 門脇勝太郎

    門脇勝太郎君 ただいまの田口委員の御発言に関連しまして、時間の関係もあるようでございますから、ごく簡單に、意見を開陳して、当局の御意向を聽取したいのであります。詳細はただいま田口委員がお話になつたと同じでありますが、要するに漁獲に対しまするリンク物資として供給しておりますところの商業協同組合なるものが、これはいわゆる中小企業者でありまして、この中小企業者の団体が、先ほど田口委員からもお話になりましたように、全国ざつと通算いたしまして九千万円、手持ちのうち、ざつと半額が、その当時値下りによります欠損でありまして、この欠損をこれらの中小企業者が現在負担しておるのであります。これがためにこれらの関係の中小企業者は今非常な苦境に追い込まれまして、営業が継続でき得ないような、惨憺たる事情に相なつておるものが多数あるのであります。こういつたような事情を当局も十分御調査願いたい。先ほどもお話がありましたように、供米報奨物資としての衣料品の当時手持ちに対しまするところの値下りに対しては、法律として五億六千五百万円、このほかに三億数千万円の差益金の給與、両方合計いたしますと、ざつと九億近いような金が、供米報奨物資の取扱い業者の部面にはすでに補償されておるのであります。片一方のそういつたような業者には補償されておるにかかわらず、この水産リンクに対しますところの取扱い業者に対しては、いまだ補償されておらぬ。そういつたようなきわめて大きい片手落ちの行政に現在なつております。こういう片手落ちな不公平な行政は、これはすみやかに政府としてもこれを是正されることがきわめて緊切である、こう考える次第であります。先ほどお話がありましたように、この水産リンク関係の全国の統計を、それぞれ各地区の関係協同組合全国連合会が仔細にわたつて調査いたしておるのでありますが、はつきりとわかつておりますもの、また今調査の途上におりますもの、それらを合計いたしまして、約九千万円、詳しい数字は八千九百三十万円ということになつておりまして、約九千万円であります。供米報奨物資の場合は、加工されましたところの衣料品は、五割の欠損が当時通産省によつて決定いたしておりまして、それを基礎にして供米報奨関係の方の計算ができ上つておるのであります。今この手元にちようだいしております参考案でありますか、これは專門員の方で御立案になつておりますが、この数字によりますと、総額三千九百六十五万円と書いてありますが、これは大分調査漏れがありまして、ただいま委員の方で、そういつた私語がありましたので、ちよつとこの機会にこの点もはつきり申し上げておきますが、これはまだ中間調査でありまして、この統計に漏れておりますのが、山口県、高知県、福島県、愛媛県、三重県、鹿兒島県、千葉県、静岡県、愛知県、こういつたような著名な水産県が、またこの三千九百六十五万円のほかであります。そういつたような関係で、私がただいま申し上げますように、大体約九千万円という数字が出るわけでありまして、その点は特に御了承願います。田口委員との重複をさけまするが、要するに中小企業者の団体が、今そういうたような甚大な欠損を負担いたしまして非常な窮境に追い込まれており、また一方供米報奨物資の扱い業者に対しては、すでに政府が九億円近いところの補償を実行済みということになつておる。こういつたことと比較いたしまして、この水産リンクによつてそういう苦境にありますところの供出担当の商業協同組合、そういつたような中小企業者を、すみやかにこの際救済されるということが、私は政府としてきわめて緊切なことである、こう考えます。あわせて私の質問といたします。
  27. 山本豐

    山本(豐)政府委員 この問題につきまして、われわれといたしましても、かつていろいろと研究もし、その持つて行き方も検討いたしたのであります。特に前国会の際にも、二、三の委員の方から強く御要望がありまして、安本、大蔵当局の方面にもこれの解決方を依頼したり、懇請したりしたこともあるのでありますが、事務的に運びました際に問題になりました点を申し述べますると、農業の方は大体基礎的な法律と申しますか、食確法によつてある程度明瞭に規定があるわけでありますが、水産の方は要項で扱われておつたという点も一つであります。それから農業の方におきましては、ただいま門脇さんからお話がありましたように、五億何千万円という非常に厖大な数字でありまして、しかもこれがほとんど全部が農業協同組合に属しておるというような事情で、いち早く大きな政治問題化したのでありますが、水産の方におきましては、大体二千万円少し出るという程度でありますのと、そのうちまた漁業協同組合分が比較的少かつたというふうな点も関連いたしまして、事務的にはなかなか簡單に運ばなかつたのであります。最後に去年の七月でありましたが、安本当局の方から、農林省の農業関係の方面と一緒に便乗して、何とか解決をはかれというふうな通牒にも接したのでありますが、これは農業自体の方でいろいろ問題が多かつたものでありますので、この点におきましても、さように運ばなかつた問題であるわけであります。しかしながらただいま田口委員その他からもいろいろお話がありましたように、この盾的に不均衡な点につきましては、水産当局としても十分認識しておるわけでありまして、ただ時期のずれ、あるいはまた先ほど申しましたような諸点からいたしまして、簡單に事務的にだけにはなかなかよい解決を見い得なかつた問題であるわけであります。われわれといたしましては、委員諸公の強い御協力等を得まして、何とかこれの解決策を考えたいというふうに考えておるわけであります。
  28. 門脇勝太郎

    門脇勝太郎君 ただいまるる次長の御答弁があつたのでありますが、お役所としてもいろいろそういつたような行きかかりはあると思いますが、しかし国民の立に場おいて公平にその結果から考えますと、先ほど申しますように、供米報奨物資関係の方は非常な優待を受けておる。水産リンク関係の方がそういつたような虐待といいますと、少し語弊がありますが、そういう恩典にあずかつていないということは、国民の目から公平に見まして、どうしても片手落ちの政治と考えられるわけです。いろいろなそういつたようなお役所としての行きがかりもあると考えますが、しかし国民が公平に見ました政治に対する御措置としては、この際勇敢に供米報奨物資と同じような扱いをされることが、政府として一番望ましいことと考えますので、切に再度希望を申し上げる次第であります。
  29. 井之口政雄

    ○井之口委員 ここに損失額が総額三千九百六十五万円となつておりまして、あと一千万円の増加になり四千数百万になるそうでありますが、今までの物価が騰貴して行く時分の価格差益を決算関係で調べて見まするというと、日本全国で約五十億くらいのまだ未徴収のものがある。もうけて行く場合のものは国家に入らなくて、これがちよつとでも下つて来る場合にはすぐこうした補償法が出て来るが、上る場合と下る場合、これに対して自動的なバランスをとるような規定はなかつたのか。また上つて行つた時分の漁業関係の価格差益は今までどう処理されておつたか、この点について、ひとつ明確に統計的なものをもつて当局に御返事をしてもらいたいと思う次第であります。  それから協同荷受組合においては、これらの配給品はすでに処分されているのかどうか、そうしてそれが実態的にもつと内容を詳しく出すことができるかどうか、この点をちよつと伺つておきたいと思います。
  30. 冨永格五郎

    冨永委員長 この際お諮り申し上げます。  生鮮水産物出荷に対する。リンク物資の配給に伴う損失補填に関しましては、なお愼重審議をいたしたいと思いますので、これを水産金融に関する小委員会に移したいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 冨永格五郎

    冨永委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
  32. 松田鐵藏

    ○松田委員 私は、先ほどの協同組合の一部改正の問題から、石原委員質問及びただいまのものにも関連いたしますのですが、かつて廣川農林大臣から、昭和二十六年度において見返り資金から四十億、一般財源から二十億をもつて農、漁村に対する金融を行いたいというお話もあり、また大蔵委員会においても、池田大蔵大臣からそうした発言もあつたのであります。先ほど石原委員から、協同組合に対する金融措置はどのようになるかというような強い御質問があつたが、それに対して水産庁当局は、何らこの問題に触れておらない。だが、今試案として計算されている特別会計をもつて六十億金融するというその内容を見ると、水産関係がわずかに三億二千八百万円、塩田その他に対して三億四百万円、合計六億程度のものが立てられておるが、これは全額の一割にもみたない。かつて十二月の十六日、私ども大蔵委員となつて、三億か四億より漁業関係にまわさないという原案があるようではないかという質問をしたときに、大蔵大臣より、決してさようなことを考えていない、もつともつと大幅にあらゆる面から考えて、この六十億というものは、農林中金の考え方をもつてやるのではなく、特別会計をもつて、出るところは農林中央金庫ではあるが、政府の政策を十分織り込んでそこから出すのであるという御答弁があつた。水産庁長官としても、その意向は体得されているとは存ずるのでありますが、今案として表われているものはわずかに六億、うち三億は塩田に使われるものであるので、水産関係は三億二千八百万円という五分にもようようの金額になつている。今水産関係においては、その約三割二十億を要望されている。ところが現実の問題として案はこのようなことになつている。漁価維持対策もあるだろうし、また協同組合焦げつきもあるだろうし、あらゆる面が論議されている今日、かかる原案は今までの水産庁長官の御答弁農林大臣の御答弁大蔵大臣の御答弁と非常に違つたものであるが、この案を作成したものはたれであるか、水産庁としてはこれに対してどのような意向を持つておつたか。またどのようにこれを推進して行くお気持であるか。この点に対して水産庁長官の御意見を承りたいと思う次第であります。
  33. 冨永格五郎

    冨永委員長 ただいま松田委員からの質問に対する政府当局答弁は、次回に譲らしていただきます。この場合質問の通告があります。これを許します。石原委員
  34. 石原圓吉

    石原(圓)委員 水産省設置の問題は全国的に大きな声となつて、すでに漁民の要望は署名をもつて現われて参つたのであります。今日署名をしたものは八十万人に近いのでありまするが、この八十万人は世帯主、戸主というようなものでありまして、その家族を加えたならば約四、五百万人に達する漁民意向がはつきりとなつて参つたのであります。民間においても、水産庁ではこの国際的な産業を処理する上に不十分であるという声が大きいのでありまして、その上最近の各漁業協同組合の非常な悲境、このままではとうてい水産は滅亡のほかはない。よつて省の設置によつて復活したい。この場合に省ができないということになれば、全国の零細漁民は意気消沈して、そうして左官や大工やその他のものに転職をする傾向ができまするが、その方もまた都会に出かけて、大いに困つて郷里にもどるというような傾向になりつつあるのでありまして、まことに事態は重大であります。これに対しては、衆議院におきましても、党派を超越して約三百名に近い署名捺印があるのであります。参議院も百六十名以上の署名捺印があるのであります。これらはもう全然党派を超越してこしらえられなければならぬということに、事実がそこへ現われて参つたのであります。こういう状態でありまするから、これに対して水産庁長官はどういうお考えを持つておるか、どういう御方針をとられようとするか、一応その点を承つておきたいのであります。
  35. 家坂孝平

    家坂政府委員 水産省の設置問題につきましては、私といたしましては、ただいまの状態でおりますることに比較いたしまして、これが省に昇格された場合においては、非常にわが水産界のためにプラスになるものと信じておるのであります。従いまして、省議の際にも、一回話が出たこともありました。そのときにおきましても、十分私の見解を披瀝いたしまして、これはぜひ省にして、そうして日本の水産業の発展をはかるべきであると申し上げておつたような次第であります。なお農林大臣に対しまては、これは公式の場合ではありませんけれども、折に触れ、時に触れまして、水産省というものの設置が、日本水産業にもたらす効果の大きいものであるということを陳述しておるのであります。たまたま行政機構の改革というような問題が一時出たのでありまするが、最近に至りましては龍頭蛇尾のような形に終つておりますけれども、これが将来どういうことになりますか、まだその点ははつきり私は承知しておりませんが、私自身といたしましては、水産省の設置ということにつきましては、極力陰に陽に御協力を申し上げて、この目的の完遂を水産業のためにはかつて参りたい、かように考えております。
  36. 石原圓吉

    石原(圓)委員 この問題は水産庁長官初め水産庁の部課長諸君が協力一致して、この実現に邁進してもらいたいと思うのであります。この問題をもし他の従来の例のように、何らか庁が消極的に出るというようなことがあつては、これは全国漁民意向に反するものであります。どうかその点水産庁長官及び部課長諸君が、ここに強く具体的な行動を起されんことを切に要望するものであります。
  37. 冨永格五郎

    冨永委員長 この際お諮り申し上げます。ただいま石原委員からお述べになりました水産省設置に関する問題は、漁業者並びに国民にとつてきわめて重大な問題と考えますので、なお愼重審査いたしたいと思いますので、これを水産行政充実に関する小委員会に付託して審議をお進め願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 冨永格五郎

    冨永委員長 御異議なしと認め、さようとりはからいます。  この場合質問の通告があります。これを許します。井之口君。
  39. 井之口政雄

    ○井之口委員 最近の新聞は、鳴戸海峡から機雷が引上げられて、徳島県の海岸で大爆発をして、漁船並びに付近の漁家がそれで破壊されたということを報じております。さらにきようの新聞は、福井県におきまして浮遊機雷が海岸に打上げられて来て、そのために付近の漁家が破壊されたということをまた伝えております。先の国会におきましても、この機雷の捜査、アメリカ軍が戰時中日本に落下して日本の海上の交通を一切杜絶させるためにやつたあの機雷を捜査するということが当委員会においても問題になり、そうしていろいろな審議も重ねられました。しかるに今日依然としてそういうものが引上げられていず、日々新聞は被害を伝えている。終戰処理費は当然こういうふうな終戰後の国民の平和なる生活を補うために使われるのが一番適当であり、また一番日本国民にとつて正しいことであると思うのであります。すでに終戰後毎年々々一千億以上の終戰処理費が使われている。今日もう二十六年まで入れますると約四千億以上、これだけの厖大なる終戰処理費が使われていて、いまだに掃海さえもできない。あるいは瀬戸内海においては、普通の旅客船がこのために沈没するというようなことも先にあつた。こういうふうではわれわれは安心して近海を航行することもできないし、漁民にとつて生命を保障することもできないという悲惨な状態であります。終戰処理費のごときは、ことしはおそらく日本にアメリカ軍の駐屯が非常に少くなつているのじやないか。また二十六年度の予算を見ますると、やはり一千億からの計上はされておりまするが、そういう方面にもこの掃海方面に転用される部分がたくさんあるのかどうか、水産庁においてはこの問題に対してどういう処置をとられているか、これをお聞きしたいと思います。なおこれらの被害をこうむつたところの漁船の補償、賠償というか、そのほか家屋の補償、そういうものに対して今日適用するところの法律がきわめて不備である。この不備のために、いたずらに漁民は大きな被害を受けておりながらどうすることもできないという悲惨な状態にありますので、これを何とか政府において法律をつくつて、そうしてこうした場合を速急に解決してこれらを救済するというような意図はないのかどうか、この点もひとつお尋ねしておきます。
  40. 川端佳夫

    ○川端委員 ちよつと関連して……。ただいま共産党の井之口委員からいろいろな掃海関係のお話がございました。終戰処理費との関連においてのお尋ねがありましたが、進駐軍関係でもこのことについてできるだけの手を用いられておることも知つております。ところが日本の方において、掃海の問題については先々国会以来あれほどまで切実な問題として水産庁当局にも十分の認識を與えておいたはずであります。しかるに二十六年度の予算においても、いまだその方向がはつきりしておらない、私はこの点においてのみ共産党とたまたま同じような主張をせざるを得ない。二十六年度の通常予算に組まないかわりに、補正予算で二十五年度に出そうということに大蔵省当局とも話がきまつたということで、大きな朗報を投げかけておつた、その折衝の過程において額の問題がいろいろと問題となりました間に、これが根こそぎなくなろうとはわれわれは全然考えないほど水産庁を信頼しておつたのであります。ところが二十六年度の予算においてその問題が一つ考えられておらないのであります。私は主計局長にもこの問題について、水産庁当局からどういう話があつたか、われわれが考えうるところによれば相当強硬なる折衝があつたはずだ、こういうふうに問いただしたのでありましたが、先般次長にも直接個人的にも申し上げましたように、このことについては主計局長それ自体が全然折衝されておらない、その下の者にはあるいは折衝はあつたんであろうけれども、主計局長それ自体に対しては、全然そういうような問題の要求が来ておらぬ、こういうふうなことの言質を得たのであります。まつたくだらしがないのにもほどがあると私は考えるのでありますが、先般個人的に水産庁当局に忠告を申し上げたその後の交渉経過並びに見通しについて、この公の席上ではつきりと言明していただきたい、この点関連して申し上げておきます。
  41. 冨永格五郎

    冨永委員長 ちよつと速記をとめて。     〔速記中止〕
  42. 冨永格五郎

    冨永委員長 速記を始めて。
  43. 松田鐵藏

    ○松田委員 ただいま井之口委員、それから川端委員から発言のあつた趣旨においては、前国会及びその前の国会からいろいろと論議されておるのであつて、これは終戰処理費などとは使い道が全然異なるものであつて、それとは別問題である、予算の上においてこれをどうして組まなかつたということに対しては、われわれは非常な不満を持つておる。そこで次の委員会大蔵大臣の出席を求めて、これも全会一致として、ぜひともこの予算案をつくるように努力をすることを、委員長に進言するものであります。
  44. 冨永格五郎

    冨永委員長 お諮り申し上げます。ただいま井之口委員、川端委員、松田委員からの御質問に対しましては、次会に政府当局から答弁を求めたいと思いますが御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 冨永格五郎

    冨永委員長 それではさようはからうことにいたします。  この場合御報告いたします。当水産委員会における決議文は、ダレス特使閣下に昨日懇請いたしました。なお御面会していただけるようにそれぞれ必要な手続を終りましたので、この点御報告を申し上げておきます。  本日はこの程度にとどめます。次会は明後八日木曜日午前十時より理事会、十時半より委員会を開会いたします。なお理事会におきましては、理事と小委員長との打合せを行いたいと思いますから、小委員長の方もお集まりを願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時二十四分散会