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1951-02-01 第10回国会 衆議院 水産委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月一日(木曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 冨永格五郎君    理事 鈴木 善幸君 理事 二階堂 進君    理事 松田 鐵藏君 理事 林  好次君       石原 圓吉君    小高 熹郎君       角田 幸吉君    川端 佳夫君       川村善八郎君    田口長治郎君       永田  節君    平井 義一君       小松 勇次君    水野彦治郎君       佐竹 新市君    井之口政雄君  出席政府委員         農林政務次官  島村 軍次君         水産庁長官   家坂 孝平君         農林事務官         (水産庁次長) 山本  豐君  委員外出席者         大蔵事務官         (主税局調査統         計課長)    藤田  茂君         農林事務官         (水産庁漁政部         長)     松任谷健太郎君         農林事務官         (水産庁生産部         水産課長)   水野  榮君         通商産業事務官         (通商企業局商         務課長)    倉八  正君         通商産業事務官         (資源庁鉱山局         油政課長)   吉岡  格君         経済安定事務官         (物価庁第三部         動力課長)   藤田  勇君         專  門  員 杉浦 保吉君         專  門  員 徳久 三種君 一月三十日  委員田渕光一辞任につき、その補欠として保  利茂君が議長指名委員選任された。 同月三十一日  委員保利茂辞任につき、その補欠として森幸  太郎君が議長指名委員選任された。     ————————————— 一月二十九日  水産業協同組合法の一部を改正する法律案(内  閣提出第二三号)  の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員及び小委員長選任  水産業協同組合法の一部を改正する法律案(内  閣提出第二三号)  漁業経営安定に関する件  水産資源に関する件     —————————————
  2. 冨永格五郎

    冨永委員長 これより水産委員会を開きます。  先日の委員会におきまして五つの小委員会を設置することに決定いたしましたが、各小委員並びに小委員長選任につきましては委員長に一任されておりますので、これより小委員並びに小委員長指名いたします。漁業制度に関する小委員   石原 圓吉君  小高 熹郎君   角田 幸吉君  川端 佳夫君   川村善八郎君  鈴木 善幸君   田口長治郎君  永田  節君   二階堂 進君  平井 義一君   福田 喜東君  松田 鐵藏君   森 幸太郎君  小松 勇次君   林  好次君  水野彦治郎君   上林與市郎君  佐竹 新市君   井之口政雄漁業経営安定に関する小委員   石原 圓吉君  小高 熹郎君   川端 佳夫君  川村善八郎君   五島 秀次君  鈴木 善幸君   田口長治郎君  永田  節君   二階堂 進君  原 健二郎君   平井 義一君  松田 鐵藏君   森 幸太郎君  岡田 勢一君   小松 勇次君  林  好次君   水野彦治郎君  上林與市郎君   井之口政雄水産行政充実に関する小委員   石原 圓吉君  小高 熹郎君   角田 幸吉君  川村善八郎君   五島 秀次君  鈴木 善幸君   田口長治郎君  永田  節君   二階堂 進君  原 健三郎君   松田 鐵藏君  小松 勇次君   林  好次君  上林與市郎君   佐竹 新市君  井之口政雄水産金融に関する小委員   石原 圓吉君  小高 熹郎君   川端 佳夫君  川村善八郎君   五島 秀久君  鈴木 善幸君   田口長治郎君  永田  節君   二階堂 進君  平井 義一君   福田 喜東君  松田 鐵藏君   森 幸太郎君  岡田 勢一君   小松 勇次君  林  好次君   水野彦治郎君  上林與市郎君   佐竹 新市君  井之口政雄水産資源に関する小委員   石原 圓吉君  角田 幸吉君   川端 佳夫君  川村善八郎君   鈴木 善幸君  田口長治郎君   永田  節君  二階堂 進君   原 健三郎君  平井 義一君   福田 喜東君  松田 鐵藏君   森 幸太郎君  岡田 勢一君   林  好次君  水野彦治郎君   上林與市郎君  井之口政雄君 以上を指名いたします。  次に各小委員長は、漁業制度に関する小委員長川端佳夫君、漁業経営安定に関する小委員長永田節君、水産行政充実に関する小委員長石原圓吉君、水産金融に関する小委員長田口長治郎君、水産資源に関する小委員長川村善八郎君、以上を御指名を申し上げます。  次にこの際皆様にお諮り申し上げます。ダレス特使閣下に対する懇請文委員長において作成いたしましたので、これを読み上げることにいたします。    講和條締結について漁業問題並漁業協定締結等に関する懇請   特派大使閣下におかれましては、対日講和促進のため予てから多大の御高配を頂き、今回再度の御来朝を得ましたことは講和條実現に向つて固い御決意の具体化であり吾々日本国民として洵に感激に堪えない所でありまして茲に深甚なる謝意を表する次第であります。  此の意義深い機会に、我々水産業者が最も関心を抱いている我が国水産業における主要事項につきまして、閣下の絶大なる御盡力によりこれが実現いたしますよう衆議院水産委員会決定にもとずき懇請いたします。   御承知の如く我が国水産業終戰以来漁区制限其の他によりまして漁獲高は激減し其の後漸次回復しつつありますが戰前の六〇%にも満たない現状であります。   然るに四面環海である日本におきましては国民栄養基本的要素である動物性蛋白質給源としては古来よりその八〇%以上を水産物に依存している次第でありまして水産業振興こそは我が国国民生存上最も重大なる関心事であります。   而して吾が国水産業貴国並マツクアーサー元帥の適切なる指導と援助によりその基本制度である漁業法其の他諸制度を改革して旧弊を刷新し漁業民主化により科学的見地に立つて水面の総合的高度利用による漁獲の増進を図る一方水産資源に対しては積極的なる保護措置を講じ資源培養適策を立て特に公海漁場においては国際的道義の高揚に努め適正なる漁獲量恒久的確保を期する等漁業取締制度に関しても画期的なる整備を図るため水産資源保護法の制定を期している次第であります。   閣下におかれましては、斯かる国民の熱意を諒とせられ左記事項実現のため御努力下さいます様重ねて懇請する次第であります。    懇請事項  一、講和條約の内容としての漁業問題について  (1)公海における漁業について水産資源は人類が公正に享受すべきもので、公海における漁船の航行及び漁業の操業は、原則的には絶対的に自由であるという根本的理念を確認し、漁業に関する国際会議等へも平等に参加出来る様希望いたします。  (2)漁業協定締結について漁業協定締結する場合においても、水産資源臨海関係国が協力してその繁殖保護を図り、最も効率的なる漁獲永続的確保を期する趣旨協定締結されますことを希望いたします。  (3)歴史的民族的に関係の深い領土の帰属について此等の領土ポツダム宣言に言う侵略によつて獲得した領土ではないから講和條締結にあたつて日本に帰属する事を希望いたします。特にこれ等の諸島は水産業の上からは漁業根拠地として、或は漁業資源の点から極めて重要でありますから本問題につきましては格別の御配慮をお願いいたします。  二、講和條締結前における漁区問題について前述の通り我が国においては、漁獲物国民栄養基本的要素である蛋白質主要給源であると言う特殊的重要性に鑑み水産業振興のため、支那東海黄海等につき現在における漁区制限を大巾に緩和されます様希望いたします。  大体以上の通りでございますが、御異議ございませんか。
  3. 川村善八郎

    川村委員 大体趣旨にはわれわれはもちろん異論のあるはずはございませんけれども、これは衆議院水産委員会要望事項として懇請するのでありますが、参議院水産委員会はこれまでとかく衆議院水産委員会と異なつ見解を持つている向きもないでもないのであります。従いまして、この懇請事項を提出するということにつきましては、われわれは参議院水産委員会とも密接な連絡をとつて協議をした上で、これを決定したかがいいのじやないか、かように過去にも意見を述べたこともあつたのでありますが、これは参議院水産委員会と何らかの形で協議をした上で決定したものであるかどうかということを、委員長にお伺いいたします。
  4. 冨永格五郎

    冨永委員長 お答え申し上げます。ただいま川村委員から御注意かたがた質問に相なりました点につきましては、衆議院水産委員会を代表して、理事諸君と一緒にいろいろ参議院協議いたしたのでございますが、根本の精神においては何らかわるところはございません。字句その他取上げる事項につきまして、いささか相違する点がございますが、衆参両院において必ずしもかわつた主張ではない。こういう了解のもとに、それぞれの立場において、ただいま読み上げましたような案文の内各で衆議院は提出し、面会を懇請してある次第であります。この点御了承を願います。
  5. 川村善八郎

    川村委員 委員長の申されることを考えますと、大体に趣旨は同じである、案文についてはいささかかわつておるというような言葉でありますが、できれば本委員会において、その案もここに提示を受けまして、十分審議をした上で、成案を得て、懇請する方がいいのじやなかろうか、かように考えております。実は私たち常々考えておることでありますけれども、ただぽかんとここへ出て賛成するといつても、これは日本水産にとつては非常に重要な問題がありますので、私はよくこの委員会練つて、つけ加えるものはつけ加えて懇請した方がいいじやないかと考えております。たとえて申し上げますと、水産貿易のことについては何も触れていないようであります。将来の日本漁業は、国内消費だけではとうてい消化し切れないという部面もたくさんあるのであります。また外貨獲得の上からいつても、水産貿易を旺盛にすることは、われわれ当然はからなければならぬことであるし、また連合国に対しましても、特にダレス公使に対してはこれを要望しなければならぬ事項だと思いますので、もう少しこれを研究して、次の委員会——明日か明後日の委員会でこれを決定したらどうかと考えております。そのときに——今日でもよろしゆうございますが、参議院の案を提示されまして、われわれ十分練つて懇請したい、かように考えております。
  6. 石原圓吉

    石原(圓)委員 ただいま委員長より発表された懇請案は、日本漁業の将来に対して要望すべき大筋のきまりをここにつけたいという案であると見るのであります。参議院の案はそれを解剖して、部分的なやや具体案があるように心得るのでありまして、川村委員の仰せのように、参議院の案を検討することはよかろうと思うのでありますが、やはり衆議院といたしましては、国家を代表するところの一つの全般的な点を要望する。具体的な案は、さらに審議をそれぞれの部門で適切な案を立てて要望することが合理的のように考えるのでありまして、一応ここで参議院の案を審議することには異議はないのでありますが、大体においてただいま委員長の朗読の案は妥当と心得るものであります。
  7. 松田鐵藏

    松田委員 ただいま委員長から示されたこの問題は、最も重要な事柄であり、しかも農林政務次官も出席しておられるのに、水産庁長官はどういう理由で、十時から開会するにいまだに出席されていないのか、この点に対して私は非常に遺憾に思うのでありまして、單に次長がおいでになつたからといつて、こういう問題を取上げて論議する必要はないのじやないか。何のために水産庁長官はここに出席されていないのか、この点に対して水産庁にお伺いいたします。
  8. 山本豐

    山本政府委員 詳しくは伺つて参らなかつたのでありますが、十時に人に会う用事があるということで、今外出されているのですが、三十分もすればこちらへ参るということでございますので、間もなく見えると思います。
  9. 松田鐵藏

    松田委員 今日は昨日から重要案件があるということを水産庁に通告してあるのであります。しかもそれがために二日も延ばしておるのであります。それにもかかわらず未だに出席しないというのは、国会軽視もはなはだしい。かようなことで水産長官は一体水産行政をやつて行けるかどうか。ただちに長官を出席させるように。それまではあらゆる問題に対して論議する必要がないと考えるものでありますが、次官はどういう見解を持つていられるか伺います。
  10. 島村軍次

    島村政府委員 ただちに出席させるようにとりはからいます。
  11. 冨永格五郎

    冨永委員長 この際暫時休憩いたします。     午前十時五十七分休憩      ————◇—————     午前十一時五分開議
  12. 冨永格五郎

    冨永委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  ただいま読み上げましたダレス特使閣下に対する懇請案文に、水産貿易を一項入れることにいたしまして、この通り決定しても御異議ありませんか。     〔「異議なし」「異議あり」と呼ぶ者あり〕
  13. 冨永格五郎

    冨永委員長 御異議なしと認めます。(「異議あり、記録に入れておけ」と呼ぶ者あり)なお案文につきまして、その趣旨を失わない程度字句の修正をする場合があるかもしれませんから、その点御了承願います。
  14. 川村善八郎

    川村委員 開会劈頭に小委員会の設置並びに小委員選任、小委員長選任等があつたのでありますが、私は漁業制度改革共産党井之口君を入れることをまつこうから反対いたします。わが日本漁業制度共産主義政策で議するということは不可能であります。私は時間がありますれば、いろいろ共産主義自由主義の相違を申し述べて、反対の理由といたしたいのでありますけれども、一番大事なことは漁業制度の問題であります。これが基本となつてあらゆる法律が定められておるのであつて、こうした日本の重要な漁業制度を確立する委員会に、共産主義で立つておる井之口君を入れることは反対いたします。皆さんにお諮りして委員長考え方を是正すると同時に、漁業制度改革等委員会から抹消されんことを希望いたします。というのは、井之口君は特に共産党でありながら、委員長はきげんをとつておるかのごとくに見えます。五つ委員会があるのに、五つに入れておる。與党議員でも三つとか、四つとかで、五つつておるというのはそうたくさんないのであります。しかるにわれわれと旗幟の最も違つておるところの共産党井之口君を五つ担当させるということについても、私は遺憾の意を表すると同時に、委員長において、一任されておるのであるから、この委員会のうちから、特に漁業制度改革の小委員会から抹消することを希望いたします。
  15. 冨永格五郎

    冨永委員長 川村委員に申し上げます。国会議員として共産党員井之口君が水産委員会に席を連ねておられます関係上、各委員会においてその発言の自由を與える。但し、その発言に必ずしも委員会が従うとは限らないと考えておりますので、そういう考え方から一応委員として入れたわけでございます。但しこの場合御安心願いたい、井之口君はそうどこにも出ておるような実績はございませんから、そう被害はないと思いますから……。
  16. 二階堂進

    二階堂委員 小委員会設直の問題で、今ここに五つばかりの委員会が出ておりますが、私は、貿易重大性にかんがみて、特に水産加工貿易振興の点から考えてみて、こういうような重大なる問題を審議する委員会を設置された方がいいのではないかというようなことを、従来から特に主張して参つておるのであります。これを見てみましても、貿易の問題がどこにも取上げられていないということは、私といたしましては、きわめて不満に考えておる点でありますが、もし特に貿易に関する委員会を設置することがいけないというならば、どこかこの中にひとつ貿易振興に関しての問題を審議するような條項をぜひとも加えていただきたい。貿易振興は申し上げるまでもなく、日本経済再建の上から考えてみて大きな政策一つであるべきであります。私は今回アメリカを視察してまわつて来ましたが、特に水産貿易に関するいろいろな意見が出ております。従つて日本といたしましても、今後貿易をいかにして振興させるかということについて、わが国自体が、いろいろな角度からこれを考えて行かなければならぬ、研究して行かなければならぬ問題がたくさんあるわけであります。ゆえに委員長におかれても、この問題をぜひとも取上げられて、どこかに入れていただきたいということを、特にお願い申し上げます。
  17. 石原圓吉

    石原(圓)委員 ただいまの御発言はしごくごもつともであります。賛成であります。よつて第二の漁業経営安定に関する小委員の部類に差し加えられんことを希望いたします。
  18. 冨永格五郎

    冨永委員長 ただいま二階堂委員並びに石原委員がお述べになりました水産貿易の点に関しまして、近い機会に、あるいは小委員会皆さんの御同意を得て設置することにいたしたいと考えますが、それまで漁業経営安定に関する小委員会水産貿易に関する件を一項追加いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 冨永格五郎

    冨永委員長 ではさよう決定いたします。     —————————————
  20. 冨永格五郎

    冨永委員長 次に水産業協同組合法の一部を改正する法律案議題として審議に入ります。質疑に入る前にまず政府より本案に対する提案理由説明を聽取いたします。
  21. 島村軍次

    島村政府委員 ただいま上程になりました水産業協同組合百法の一部を改正する法律案提案理由説明いたします。  水産業協同組合法が施行せられましてから約二年を経過いたしたのでありますが、その間全国四千六百余の組合が設立されまして、その事業もまた漸次本格的な軌道に乘つて参りましたことは、まことに御同慶にたえないところであります。しかしながら全般的に組合現状を観察いたしますると、組合出資金が非常に少く、ために新組合結成後の借入金並びに旧団体より継承いたしました負債の重圧を受けて、その経営はかなり苦難の道をたどつておるのであります。このように組合経営基礎が薄弱な上に、その経理の組織の整備に十分でな。さらに信用事業については、その整備発達の必要がきわめて大きくありますので、今回水産業協同組合法の一部を改正いたしまして、組合自己資本目標額信用事業運用等に関する基準を定める政令の根拠規定を設ける、さらに組合の業務または会計について、年一回の定例検査を行う、かようにいたしまして、組合の自力によつてその強化を期待しようとするものであります。  これが本法案提案のおもなる趣旨でありますが、どうぞ愼重に御審議の上、すみやかに御賛成のほどをお願い申し上げる次第であります。  以上簡單に提案理由説明を申し上げます。
  22. 冨永格五郎

    冨永委員長 質疑は次回より行うことにいたします。     —————————————
  23. 冨永格五郎

    冨永委員長 この場合漁業経営安定に関する件を議題といたします。この場合香港政庁食糧品輸入禁止の問題について当局より伺います。
  24. 水野榮

    水野説明員 最近の香港貿易についてごく簡単に御説明いたしたいと思います。  去る二十六年一月二日附の外電の報ずるところによりますと、香港政庁は爾後日本品輸入に関する従来の制限をさらに強化するということでありますが、わが国水産物輸出といたしまして、古くから最も関係の深い香港市場がこのような状況に立ち至りましたことは、非常に注目しなければならないことであります。香港貿易中国並びに南方、近東方面輸出入貿易の重要なる中継地といたしまして、戰前はもちろん、戰後においても重要性を持つてつたと思うのでありますが、最近、これは去年の十二月八日でありますか、香港政庁日本品の再輸出制限をしたのであります。これによつて輸出入のバランスをとろうとしたのであります。すなわち輸入超過を防止しようという目的であるのでありますが、それについてはスターリング地区だとか、欧州、近東、アフリカ、アメリカ地域への再輸出禁止したのでありますが、そのときは中国とか朝鮮とか台湾、フイリピン、インドネシア等への再輸出禁止しておらなかつたのでありまして、その関係上、このときには水産物については何ら影響はなかつたのであります。そうこうしておるうちに、その次に昨年の十二月二十七日に、また制限をきつくいたしたのでありまして、輸入許可制を布いたのであります。そのときは工業用の原材料と、工業用の機械と建設資材、こういうことになつてつたのでありますが、食糧品については何らの制限を加えておらなかつたのであります。たとえばするめに例をとつてみますと、そのときまで大体八十万ドルの輸出実績があるのであります。ところが今年に入りまして、一月に第二次の輸入制限をやつたのであります。たとえば重要物資について輸入証明制度を必要としたのであります。これは結局において、すべての重要な輸出品に限られるということでありますが、水産物も当然われわれは入ることと思つていたのであります。一月三十日の時事通信では、香港商社から内地の商社にもたらされた情報によると、香港政庁は現在なお日本からの海産物の輸入に対しましてはライセンスを発給しておつて輸入禁止した食糧品としては、現在のところしいたけといわしの二品目だけであるということであります。しかしながらするめとか、貝柱についても、これは将来また禁止が行われるかもしれませんので、このするめの国内消費という点につきましては、われわれとしても十分にこれ考えておかなければいけないと思いますので、このするめの国内消費、つまり農山村への消費を旺盛ならしめるために、全購連あたり連絡をとつて、この消化に努めたいと思つている次第であります。
  25. 冨永格五郎

    冨永委員長 重油の輸入関税引上げにつきまして、質問の通告がありますのでこれを許します。林委員
  26. 林好次

    ○林(好)委員 輸入関税の調整に伴いまして、石油類輸入関税を大巾に引上げるというようなことを新聞記事、あるいはその他で仄聞をいたしているわけでありますが、この点につきまして、どの程度主務官庁大蔵省はお考えになつているか。ひとつお伺いをいたしたい、かように思うわけであります。
  27. 冨永格五郎

  28. 藤田茂

    藤田(茂)説明員 まだ関税改正案は、新聞で御承知のように昨日関税率審議会通つたばかりでありまして、今後いろいろな手続を経て国会へ提出される運びになるわけでありまして、完全に固まつたというところまで参つておらないのでありますが、ただいまの進行しているところにおきましては、原油、粗油に対しまして一〇%の関税を課するという案で進行しております。
  29. 林好次

    ○林(好)委員 昨日の審議会におきまして、輸入石油に対する関税は、大体上げるということに決定なつたわけでありますか。その点をお伺いしたいと思います。
  30. 藤田茂

    藤田(茂)説明員 昨日の関税率審議会におきましては、諮問せられました原案通り原油、粗油に対しましては一〇%の関税を課するということで通過いたしました。
  31. 林好次

    ○林(好)委員 もちろん審議会決定によつて輸入関税決定されるものでなく、当然国会にかけて決定されるものでございますが、大蔵省考え方といたしまして、かりにこの石油類輸入関税引上げになりましたときにおきまして、水産業に使われております油の問題でありますが、御承知のように、水産生産資材はことごとく輸入に依存をいたしております。すなわち油、あるいは綿糸、綿網ロープ類、これらか生産資材の根源をなしているものでございますが、御承知のように、世界の客観情勢からこの水産資材はいずれも非常に値段が高騰いたしております。ことに油におきましては、先般の値上げにおきまして大巾な一五%の値上げになつております。ことに今日の社会情勢から参りまして、労働賃金におきましても非常に上る傾向にあります。従いまして、水産の生産に対しまするコストは非常に高くなつておるわけでありますが、現在の水産物の需給状況から見ましても、資材あるいは労働賃金が上りましても、漁民が生産いたしました水産食料品は、それにマツチして価格が上つておらぬことは、皆さんも御承知通りであります。従いまして、今日の漁業経営の内容というものは、ほとんど破滅に近い状態にあるのでありますが、この場合におきまして、石油類輸入関税引上げられて、水産用の油がこれ以上に値上げになるということになれば、まつたく首つりの足をひつぱるような状態であると私は考えるのでありまして、もし石油類関税引上げになるときにおきまして、水産業に使われる油に対しましては、大蔵省は何らか特別の措置を講ぜられる御意思があるかないかということを、お伺いいたしたいと思います。
  32. 石原圓吉

    石原(圓)委員 ちよつと関連して……。この油の関税の問題につきましては、農林省はここに至るまでの間にどういう手続をとつたか。この漁業用油は、漁業用塩と一緒に、あるいはそれ以北に重要性があるものでありまして、すでに化学用塩と漁業用塩は同率にせよということをやかましく言つているときもあります。そういうときに、農林省いわゆる水産庁及び大蔵省は、どういう考えを持つておるのか、また水産庁はどういう手続をとつたか、それらもあわせて御説明願います。
  33. 冨永格五郎

    冨永委員長 この場合お知らせ申し上げます。物価庁第三部動力課長藤田勇君、資源庁油政課長吉岡格君の両君が出席しております。それでは藤田説明員
  34. 藤田茂

    藤田(茂)説明員 ただいまの御質問に対しまして御説明申し上げます。漁業に対しまして、その使用する油の関税を免除する考えはないかという御質問と解釈いたしましたが、関税率をどうするかということにつきまして審議決定をせられますのはもちろん国会でございますから、そこでいろいろ御審議いただくことと存じますが、一応原案をつくりました心組みから申しますと、関税率につきましては、用途によつて免税するという考え方はとつていないのでありまして、品目によつて一本の関税で行くのであつて、それをどういう用途にするからその税率を引下げるという考え方は、現在の原案においてはとつておらないのであります。もちろん漁業を奬励いたしますために、いろいろな保護奬励策とるということは、きわめて重要なことであると存じておりますが、関税においては、その用途によつて税率を左右するということは、現在の原案におきましてはとつておりませんので、この点は他の奬励方法によつて漁業を保護育成して行くというふうにお考えいただいて、関税率におきましては、やはり一本の率で参りたいというふうに、原案の作成の場合においては考えております。
  35. 松田鐵藏

    松田委員 私はただいまの御説明で非常にピンと来ない、ところがあるのであります。二十五年の七月から今までかかつて、二十六年度の大体の予算というものが本国会に提出されたものであります。その予算の内容は、この関税引上げることを前提として国家の歳入が見込まれておつたかどうか、この点に対してお伺いをいたします。
  36. 藤田茂

    藤田(茂)説明員 昭和二十六年度の歳入予算を編成いたしますにつきましては、昭和三十六年度から関税の改正を行うということを前提として、関税収入の予算を組みました。
  37. 松田鐵藏

    松田委員 ただいまはこの関税引上げというものを前提として明年度の予算を組んでおるというような御意見でありまするが、しからば大蔵省及び安本にお尋ねいたしますが、現在の日本の経済というものはどのようになつておるか、あらゆるものは外国においては大体三割の高騰を来しておる。日本においては大体において二割の高騰を来しておるのだということが、大蔵大臣の演説の内容にもあるのであります。しかして年内において一割五分という重油に対する価格の高騰を見たのであります。今また、その一割五分の高騰を見て、それに一割の関税がかかるということになりますと、合計いたしまして三割七、八分はこれにかかることになる。かような点について、現在の漁業の実態というものを安本当局はどのように見ておるか、東京市場における鮮魚及び乾魚の販売の価格はどのようになつておるか、おそらく昨年、一昨年から見たならば、三割から四割の低下を来しておるという現実の姿である。それに先ほど林委員からお話のあつたことく、綿糸であろうが、マニラ・ロープであろうが、こうしたあらゆるものは高騰しておる。これは物価庁においても、調査庁においても、また安本においても、はつきりと認識されておることだろうと私は考える。またそれならば賃金はどのようになつておるか、昨年よりもあなた方の俸給でさえ上つておるのだ。賃金もその通りつておる。こうした物価の高騰を示しておるのに、漁業者に最も重要な重油において、二割七分から八分という高騰をさせなければならないという予算案に対しては、これはいま少し前に—昨年あの一割五分上げなければならない事情のときに、なぜ国会に対してこの理由説明しないか、その意思を説明しないか、この点に対してまことに遺憾とするものである。この点に対して、あらゆるものが含まれた大蔵大臣の説明の中では、はつきり言うておるのであるが、二割くらいより上らぬということを言つておる。それを漁業者の負担において二割七分も八分も上るようなことを、大蔵当局及び安本がやることに対しては、漁業者の名においてこれは反対しなければならぬのじやないか。また実態を調査して、この点に対する深き理解をもつて、もう一度検討してもらわなければならぬのじやないか。漁業者に割当てられる重油はわずかに四十八キロよりないのだ。しかも現在のその需要から言つたならばわずかに六割か七割よりないものを、あらゆる漁業者はこれに対して創意とくふうをもつてまかなつておる今日において、こうした関税引上げなどということは、いやが上にも漁業というものを衰退させるものである。また御説明の中に、別な方法によつて水産業者に対して恩典を與え得る方法があるような御意見があつたが、もしそれがあるなら、具体的にここに示していただきたい。その点をどうかあなた方も、その場限りの話でなく、具体的にその方法を説明していただくならば、われわれも、それとこれとを対比して初めて納得することもでき得るのである。われわれは国民から選ばれた国民の代表として、ここにあらゆる問題の政策を考えて行かなければならぬ、論議して行かなければならぬ。あなた方自体でもつて、ただ一方的にきめる、また審議会というものの構成はどのような人でもつてなしておるか、そういうような人によつてきめられるということは、国会軽視もはなはだしいことである、この点に対するあなた方の御説明を願いたい。
  38. 藤田勇

    藤田(勇)説明員 今の御質問はまことに私どもといたしましてごもつともに存じております。従いまして物価庁といたしましては、昨年の十二月十三日に重油の値上げをいたしました関係もございますので、今回の審議会の案に対しましては極力反対をして参つたのでありますが、遺憾ながら私の方の次長審議会委員ではございませんし、その他の関係で昨日通過したような事情になつておりまして、物価庁はあげてこの製品に対する一割あるいは二割の課税に対しては反対をして参つたのでございます。そういう関係もございまして本日も実は運輸省に参りまして、自動車関係その他についても、今後議会その他の方面において極力これが阻止をするという方に御努力願いたいということを申しております。大体そういうことで、いろいろの物価の値上り、その他の問題もございますが、私のみの主観ではございませんで、一応経過を御報告申し上げておきます。
  39. 石原圓吉

    石原(圓)委員 先刻私が質問したのは、漁業にとつてはこの重油は食塩より重要である。よつてこの関税値上げ等に対しては、水産庁及び農林省は特設なる努力をもつて阻止すべきであるというのであるが、どういう手続をとつたかということを尋ねたが、それに対する説明がないのであります。私の聞くところによれば、農林事務次官もその審議会委員の一人であるということである。そうしたなちば農林省の水産庁を代表するところの審議委員、今の農林事務次官はこれを承認したのか、あるいは知らなかつたのか、無視したのか、またそこに至るべき間に、水産庁長官を初め係の役員はどういう手続をとつたのか、その経過を詳しくここに説明を求めるものであります。
  40. 山本豐

    山本(豐)政府委員 石油の関税の問題につきましての今までの経過を簡單に御説明したいと思うのであります。実は昨年十二月末にこの関税問題はわれわれ初めて聞き及んだのでありまして、この点は実は農林省の内部の連絡も多少不十分であつた点があると思うのでありますが、われわれはその前に、今先ほどからるるお述べになりましたように、一五%の値上げがあつたことを聞きまして、そういうことではたいへんだというので、おそまきではありましたが、さつそく資源庁にも私自身出向きまして、鉱山局長にも大体の見通しを伺つたり、また向うと大蔵省との折衝の経過等の資料もいただきまして、急速にその現状なり見通しを検討したのであります。そうしまして大蔵省なり、あるいは資源庁、また審議会の問題もありまするので、急遽次官その他に、われわれは断固反対して参りたいということを、いろいろと理由をつけまして連絡をいたしたのであります。その結果最後的の話になりますが、昨日の審議会におきましては、次官から極力反対の意見を述べてもらつたつもりでありまするが、結果はただいまのようなお話になつておるのであります。われわれもはなはだ遺憾に思つておるのであります。この問題は、たとえば今後の方針として補給金の復活というようなことができるのであれば、われわれといたしましても、今の大蔵省の話のような方法にも承服するのでありますが、それが非常に困難な現状におきまして、次々と資材の値上りをして行くということにつきましては、われわれとしても非常に遺憾に考えておるのであります。今後のいろいろ法律問題にもなつて参ると思うのでありまするが、さらにこの反対の事情をいろいろと徹底するようにいたしたいと考えておるわけであります。
  41. 松田鐵藏

    松田委員 先ほどの私の質問に対する答弁を要求いたします。大蔵省から、どういうような水産業界に対する恩典があるか、具体的に願いたい。
  42. 藤田茂

    藤田(茂)説明員 私は他の適当な方法によつて保護育成せられたいという希望を申し述べたのでありまして、何分にも所管でないものでございますから、よく存じておらぬのでありますが、そういうふうに私ども原案を作成いたした者といたしましては希望しているというふうに、御了承を願いたいと思います。
  43. 林好次

    ○林(好)委員 本問題につきましては、委員長水産庁に対して私は希望を申し上げたいと思うものであります。先ほど松田委員からもお話がありましたように、はたして委員会の構成というものは、水産方面のエキスパートまで出ておるかどうかということは私ども承知いたしておりませんが、おそらく委員会の構成の中には、そういう水産に深い認識を持つている人がきわめて少い、あるいはないのではなかろうかというぐあいに私は考えているものであります。しかしながら、委員会決定が必ずしも決定ではないのでありまして、最後の決定国会決定権があるのでありますから、大蔵委員あるいは通産委員、その他の関係委員に、委員長は緊密な連絡をとられまして、この水産の窮状を訴えて、何らかの措置を講ぜられ、また水産庁におきましても、ただいま申し上げましたような見地から、ほんとうに熱意を持つて水産業の救済のために最善の努力をされる気持があるかどうかということであります。これをひとつお伺いいたしたいと思います。
  44. 松田鐵藏

    松田委員 こういう重大な問題に際しても、本委員会は十時から開かれているのに、いまだに水産庁長官が出席しないというのは、どういう理由によつて出席しないのか、次長から責任ある答弁をひとつしていただきたい。
  45. 山本豐

    山本(豐)政府委員 ただいまも直接役所の方に電話をかけまして催促いたしたのでありますが、おつつけ見えるとは思うのでありますけれども、おそくなつてまことに申訳ないと思います。
  46. 松田鐵藏

    松田委員 大体十時に本委員会が開かれるという通告を受けておりながら、もう十二時になつておる。それにいまだに長官の出席がない。何回も呼んでおる。一体長官は本委員会に対してどういうお考えを持つておるのか、まつたく意味がわからないのであるが、政務次官はこうした問題に対していかようなる御見解を持たれるか、それから伺いたい。
  47. 島村軍次

    島村政府委員 はなはだ遺憾に存じます。
  48. 石原圓吉

    石原(圓)委員 この重油の関税値上げは重大問題であります。よつてこの際関係の各委員会、すなわち農林委員会及び物価庁関係のある委員会、それから大蔵委員会と合同の審議を進める方法をとられるよう、なるべくすみやかにおとりはからいを要望いたします。
  49. 冨永格五郎

    冨永委員長 了承いたしました。
  50. 二階堂進

    二階堂委員 ただいま松田委員から、水産庁長官の出席の問題について再三催促を受けておられるのでありますが、一体本委員会の方が大切なのか、水産大学に行くのが大切なのか、どういうわけでここに来れないのか、遅れるのかという理由を、われわれ国民を代表し業界を代表しての委員会であるわけですから、ここに明確にすることが、長官としてとるべき態度ではないか、かように考えるのでありますが、依然として呼んでおるが来ないという。さつきは次長であつたか、だれか人に会うために少し遅れると言い、今は水産大学に行くために遅れるという。こんなあいまいな態度をもつて委員会水産長官が臨まれるということは、われわれとしては、これはきわめて不滿しごくである。従つてこの問題については、長官のはつきりした理由を述べていただきたい。同時に今後こういうことがあつては、これはまるで委員会をなめておるような態度だとぼくは考える。こういうことがないように願いたい。
  51. 冨永格五郎

    冨永委員長 長官の出席を求めて答弁をさせるようにいたします。——川村委員
  52. 川村善八郎

    川村委員 実は私の質問をすることは、かねての機船底びき網の内地から北海道の入会の問題、それから試験船の問題、その他それにからまるいろいろな関連事項がありますので、それを長官質問いたしたいと思いましたが、長官は出席されませんので、きようは保留をいたしまして、次会の劈頭に水産長官の出席を求めて質問いたします。
  53. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 油の関税値上げの問題につきまして、この機会に二、三お尋ねしたいと思います。  ただいままでの政府の御説明によりますと、水産庁物価庁大蔵省、三省間におきまして、大きな意見の食い違いを、遺憾ながら発見せざるを得ないのであります。先ほども松田委員及び石原委員等より指摘がありましたように、この重大な問題を、関係する各省において十分愼重な検討を遂げなかつたということが、はしなくも本委員会審議において露呈いたしたことを、きわめて遺憾に存ずるものであります。かかる観点からいたしまして、政府におきましても、もう一ぺんこの問題を根本的に再検討されることを、私ども要求せざるを得ないのであります。  なおこの機会にお尋ねしたいのは、先ほど物価庁の方から御説明があつたのでありますが、物価庁は先般の油の一五%の値上げをした直後において、またまた関税引上げが行われるということに対して遺憾の意を表しておるようでありますが、もしもこの関税引上げが行われた場合に、物価庁においては油の公定価格を再び改訂する所存であるかどうか。また先ほどの御説明では、物価庁は油の値上げに対しましては、魚価その他の関係から反対のような御説明があつたのでありますが、そういう趣旨からいつて関税がたとえ値上げになつても、油の公定価格はこれ以上引上げないという御見解であるのか、その点をお尋ねしたいと思うのであります。
  54. 藤田勇

    藤田(勇)説明員 お答えいたします。私どもといたしましては、この関税定率法の中で原油並びに石油製品に課税がないことを希望いたしますし、皆さん方のお力によつても、これをなるべく阻止していただきたい、かように存じております。  それから御承知通り、大体この関税というものは保護関税政策でございますから、重油の輸入が九〇%占めているものに対して保護関税をかけるということは、いたずらに価格引上げの処置のほか何ものもない、いわゆる保護政策にも合致しない、こういう理論的な根拠からも、私どもは單に石油の値上げをしないという意味ではなくて、その根本的な面からも課税しないように希望しております。かりに関税定率の方で石油品目を並べておくということであれば、これはやむを得ないのでありますが、但し額といたしましては、麦あるいは米について免税があると同様な取扱いを、石油についてもしていただきたい、こういうふうにも思つております。しかし一たびこれが皆さん方の御審議によりまして通過いたしました結果は、おそらく原価に織り込んで、石油の価格の値上げは必至だと考えております。その場合におきましては、大体七%ないし八%の値上げが予想されます。これは原価計算上のことでございますが、大体そういう計算になつております。しかしながら御承知通り、国際情勢がきわめて緊迫して参りまして、船舶の不足が相当ひどくなつております。そういう関係で、現在の価格に織り込んでおりますところのタンカーの運賃ははるかに下まわつております。現在よりも非常に低い相場、これではタンカーの運賃の値上げに件う価格の改訂は免れないのではないか、かように考えております。そういうときでもありますので、私どもといたしましては、極力課税しないように希望しておりますから、どうか皆さん方の御審議の力によつて阻止していただければ非常にけつこうだと考えております。
  55. 冨永格五郎

    冨永委員長 ダレス特使閣下懇請する案文委員長に一任せられましたが、御面会できるかどうか、また面会の申入れをするかどうかは、対外関係でございますから、諸般の客観情勢を勘案いたして取扱いたいと思いますので、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 冨永格五郎

    冨永委員長 それではさように決定いたします。  暫時休憩いたします。午後一時より再開いたします。     午前十一時五十六分休憩      ————◇—————     午後一時三十九分開議
  57. 冨永格五郎

    冨永委員長 休憩前に引続いて会議を開きます。  漁業経営安定に関する件を議題といたします。この場合質問を許します。松田委員
  58. 松田鐵藏

    松田委員 一昨日、一昨々日の二日間、水産庁の都合によつて委員会を開くことを遠慮しておつたのでありますが、本日委員会を開かれるにあたつて、家坂長官は、十時に本委員会が開かれる通告があつたはずと思いますが、午前中どういう理由でもつて委員会に出席ができ得なかつたか、この点長官の御答弁を承りたいと思います。
  59. 家坂孝平

    ○家坂政府委員 実はけさ十時から委員会が開会せられるということは前もつて承知しておつたのでありますが、前々から私の子供につきまして、東大に行つておる者でありますが、ぜひ私に直接お会いしてお話したいという話が経済学部長からあつたのであります。それで私も多忙なために今まで一度もお伺いしないでおつたのでありますが、実は昨日に至りまして、特に配達証明をもちまして、ぜひお出で願いたい、かような話で、しかもそれが十時であつたわけであります。それでどんな用向きか一応お伺いせねばならぬと考えまして、実は今朝東大の方に参りまして、お会いしたわけでありますが、相当話が長くなりまして、つい遅れたわけであります。なお、こちらへすぐさま参りましたところが、大臣からまた用談があるというので、大臣室に参りまして、大臣としばらく話合いをしておつたために、ついに午前中当委員会に出席することができなかつたのであります。実はそうした経過であるわけであります。私は最初は一時間以内で済む予定でおつたのでありますが、たまたま長引きましたので、そうした結果になりましたことを非常に遺憾に思つております。この点は当委員会に対しまして厚く陳謝する次第であります。
  60. 松田鐵藏

    松田委員 この問題は今さら私からとやかく申し上げることを遠慮いたしますが、まず水産長官の職務権限というものに対して私はお伺いしたいと存ずるものであります。私どものこの水産委員会は、主管大臣は農林大臣でありまして、農林大臣は幾多の職務を帶びておるのであります。要するに私どもは、水産庁長官は大臣にかわつてこの委員会に対して、その政策委員会練つて、しかして政策の面を実行に移すべき職柄である、かように信じておるものでありますが、この点、私の意見が間違いであつたならば、長官の御説明を承りたいと考えるものであります。
  61. 家坂孝平

    ○家坂政府委員 ただいま松田委員の言われた通りであると考えます。外局としての長官の立場は、農林大臣を十分補佐しまして、よく水産行政に関する全責任を負いまして、仕事を遂行して行くものであると考えております。
  62. 松田鐵藏

    松田委員 そこで私は長官質問を申し上げるのでありますが、先に委員会水産庁との政策の点の打合せから、北海道の小型底びきの整備ということを、漁業法の骨子を尊んで、資源維持の建前から、また戰時中においてのあの無秩序の状態を是正しなければならないという関係上、水産庁はわれわれに協力を求めたことと私は考えておるのであります。それゆえに委員会といたしましては、長官を囲んで、あらゆる点に対して協力をしたつもりでおるのであります。ところで、当初において水産庁の意思は、北海道を三つの海区、すなわちオホーツク海区、日本海区、太平洋海区、かような三つの海区に大体分類いたしまして、数において七百何十そうという、小手繰りとほぼ同数の無許可船というものを、一そうもなくするように整備転換させるという方針において、この小手繰り整備の案を、われわれ北海道選出代議士に提案されたのであります。ところで、その問題を北海道選出の代議士は、この面については水産庁に対しあらゆる協力をして参つたことと思うものであります。ところがたまたま北海道庁は、水産庁の意思をそんたくしたかしないかは存じませんが、独自の建前の整備要綱なるものを水産庁に提出して来たのであります。そこにいろいろと議論は出たのでありますが、水産庁としては、もしそのままにして明年度に移行するようなことがあつては、水産資源に対して一大脅威を来すものであるという最初からの意思に従つて、ある程度までこれに承認を與えたことであつたのであります。ところがその承認を與えたわくは百五十そうという数に局限してやつたことと私は考えておるのであります。その結果が、約三百そうという数によつてこの整備計画を実現するごとになつたからという通知を水産庁に持つて来、われわれにこれを提出されたのであります。その動機において、われわれは従来の無秩序なる方向によつて、将来ももしこの案を却下した場合においては、とうてい整備はでき得ないであろうという観点から、たとえば十そうや十五そうの過不足は、当初からわれわれはこれを承認する意思を水産庁にも申し上げておいた関係もあるので、二百そう内外のものに対しては、現在の立場からいつてやむを得ないことでなかろうかという観点で、関係代議士においては、水産庁の、道庁との板挾みになつておる案を、やむを得ないことなりとしてこれを承認することに協力申し上げたと考えておるのであります。ところがこの中にもいろいろ疑惑の点もあるし、また整備要項に違反しておる点もあるし、かような点に対しては、幾らかでも是正する方法を水産庁にわれわれは強力に具申したのであります。ところで、北海道で今年の夏において、われわれ水産議員が六名調査に参つたときにおいて、たまたま技幸であろうとか、または網走支庁管内であろうとか、また太平洋海区であろうとか、また利尻方面からも、漁業者が、今まで自分らがやつてつたのであるが、道庁の圧力が強いためにこれをやつていたというようなことを言つた場合において、道庁はどのような刺戟を受けるか。またはいろいろな立場からいつて、非常に迷惑をするようなことがあつては困るという考え方を持つてつた者もあり、玉置代議士が、小手繰り転換を二年間そのまま継続する場合においては、次の二年後においてこれを消滅することを当初の案に盛つてつたものを、二年後においてまた大手繰りに転換し得るのだという議論を後に選挙区において述べたがために、そうした言葉の行き違いから、ここに相当数の許可を整備委員会に提出することのでき得なかつたものも出て参つたことを、われわれ調査に行くて発見したのであつて、これを水産庁に向つて、当初からさような意味合いではなく、要するに小手繰りを全面的に転換することがあらゆる資源維持のためにもなることであり、当初の水産庁の目的に合致することであるがゆえに、かかるものに対しては、ただちに許可を與えて転換をさすべきであるという議論を具申したところ、長官においてはこれに対しては適当であるというお考えを持たれたようであつたのでありまするが、その後において一向にこの問題が進捗していないのでありまして、この点に対する長官の御意見はどのようになつておるのか。あなたは政策をもつてこの水産行政に臨んでおる者であり、部課長と立場の違うことを私どもは先ほどの言明によつてはつきりと認識し、また裏づけられておるものでありまして、あなたのお考えがどのようなことになつておるか、この点を承りたいと思います。
  63. 冨永格五郎

    冨永委員長 松田委員にお諮りいたします。漁政部長から一応御答弁申し上げ、長官から長官としての立場についての意見を申し述べることにはからいたいと思いますが、いかがですか。
  64. 松田鐵藏

    松田委員 とんでもない委員長のはからいであります。私は長官の立場と部課長の立場を全然別個に考えておるものでありまして、長官の御答弁を要求しておるものであります。
  65. 家坂孝平

    ○家坂政府委員 小手繰りの転換につきましては、まだ相当数未処理のものもあるのであります。それは各地域におきまして端数が出ておりまするものをいかに処理するかという点も、一つの大きな点になつておるのでありまするが、そうした点をよく調査いたしまして、その実情を把握して解決をつけたいということで目下進んでおるわけであります。
  66. 松田鐵藏

    松田委員 ただいまの長官の御意見に対しては、あなたが長官となられてからの行政の面に対して一考を促してみたい。まず北海道と内地の入会の問題は現在どのようになつておるか。第六国会において制定した漁業法の骨子を守るのが水産庁であり、われわれ漁民である。しかるに漁業法の骨子からいつても、昨年われわれは水産庁の調査によつて、百五十そうという隻数を適当なりと考えて、内地に百五十そうの入会の許可を認めることに協力した。しかるに今年当初において、私は漁業法の精神をくまざる各県に対しては、一そうたりともこれを許可すべきでないという議論をもつて進んだのである。自由党の役員会において、また総務会において、あらゆる迫害を受けたけれども、断固としてこの漁業法の精神によつて闘い取つたのである。あなたもそのことはよくおわかりのはずである。しかも私ども漁業法の精神からいつたならば、今日になつて 水産庁はわずかにそのうちの百十五そう内外の船を許可しておる。昨年の百五十そうというあなた方の基礎はどこにあつたか。私は漁業法の精神からいつて違反せる船は切つてしまえ、しかし百五十そうという数は、水産庁があらゆる角度から認めたる数である。われわれもそれを是なりと信じて、昨年あの北海道の大反対にもかかわらず、これを許可することにわれわれは協力したものである。しかるに今日において、漁業法の骨子をみずから破つたのは水産庁でないか。何ゆえに百五十そうという数を許可しないのか。三十そうないし三十五そうというところの漁民は、あしたにこの許可の来ることを待つて傍観しておる状態ではないか。現在の水産業者の苦痛というものはいずこにあるか。先ほどの午前中の委員会においても考えた油の値上りとか、関税がつけられるとか、いろいろな議論がされて、水産業界は非常な苦しみをなめなければならない。それに正式なる許可を與えちれずして毎日傍観している。一番盛漁期である今日において遊んでいる漁船さえある。政府の制定された漁業法をみずから蹂躙しているのがあなた方水産庁の立場ではないか。何ゆえにかようなことをいまだに解決しておらないのか。それと同様にまた小手繰りの整備についても未処理のものがたくさんある。何箇月かかつたら処理ができるのか。八月三十一日で締切りのものが、年内になつても処理ができなかつたのじやないか。しかもあと残つているものはわずかに十九隻のものである。われわれが調査に行つて初めてその実情がわかり、水産庁にこれの許可願を出すべきが至当でないかということで、あらゆる海区の漁民に向つて親切にわれわれはこれを慫慂して出頭させた。それに対していまだに許可を與えないということは、一体どういうところに水産庁の行政の面があるのか。どういう政策の面をあなたは担当されているのか。またそのほかにまだ一つとして実を結んで結末をつけているものはないじやないか。私が委員長代理となつて、前委員会において委員長代理のとき、永田代議士からの発言に対して、この問題もあなたの立場が困ればこそぼくは発言を停止させた。そうした問題も解決してないじやないか。あらゆる問題に対して、当初の思惑や計画についてはこれを行いつつあるが、跡始末というものを一つもしてないじやないか。またあの瀬戸内海の取締規則というものに対しても、どういう見解をもつて、どういう方法をもつてやられるかということに対して、われわれはまつたく危惧の念を持つている。しかも余談になるけれども、大きな問題として今日北海道から陳情団として出て来ている漁民の人人は、大海区制というものを発表されたがために、各地においてこの問題が議論され、今この忙しい中を陳情に来ている。そうした問題を何のために水産常任委員会にかけなかつたか。これを説明し、またこの内容に対して説明をすることの機会が幾らでもあつたはずだ。これに対しても一つもわれわれにはからずして、今日突如としてあの問題を発表したために、日本沿岸の各漁民が、こうした事柄によつたならば、どんな事態が起るかということに対して、血みどろな陳情に今日来ているような状態であります。ここにおられる方々も、小手繰り転換をまじめに考えている者が、今日こうした遠い所からやつて来ているのであります。しかも北海道において、北海道の整備委員会がどのような調査をして整備委員会なるものを形成してやつたかは存じませんが、現在太平洋海区において一隻の許可を三十五万円で一年貸しているものさえあるじやないか。またこれを売却しているものさえあるのではないか。かような利権を與える調査をあなた方はしたか。北海道庁の粗漏であるということであつたならば、この点に対しては水産庁は責任はなかろうが、こういう題問が現実にある今日において、あなた方はどのような措置をとられるか。共産党ではありませんけれども、零細漁民の立つて行くようにという意見は、共産党と同じである。零細漁民が立つて行くようにまたあらゆることに対して、漁民の生活を守るべく、あなた方に対してわれわれは協力をしたものである。われわれは漁民に対して利権を與えようなどという考えは毛頭持つておりませんが、現実の問題として、利権を與えられたものに対してはどうするのか。真実に漁業をやりたいといつてこの通り陳情に来ている者に対して、あらた方はどう考えるか。水産庁長官の正しい意見を私は要求する。
  67. 冨永格五郎

    冨永委員長 ただいま水産委員会を傍観された方は、ダレス特派大使の随員マルグルーダー氏であります。
  68. 家坂孝平

    ○家坂政府委員 ただいま松田委員から数点にわたるお尋ねがありましたので、お答えいたしたいと思います。北海道の入会漁区に対しまする許可船問題につきましては、その後正しい仕事をして参りましたものをよく調べた結果、大体現在におきましては、百三十五そうを許しておるのであります。なお今後も調査いたしまして、正しいものにつきましては、これを許可して参りたいと考えておるのであります。  それから小手繰りの点につきましては、早急にこの問題を解決したいと考えておるのであります。  それからなお海区制の点でありますが、実はこの案は一応底びき協会に対しまして、水産庁は大体かような考えを持つているということを披瀝いたしまして、それに対する反応を待ちまして、そうして私どもの十分なる案を固めまして、委員会の方にお諮りしたいと考えている次第であります。
  69. 松田鐵藏

    松田委員 私ども国会議員は、各選挙区から選挙区の人々の投票によつて国会議員として今日国会に出ているものであります。これが民主主義の真の姿である。日本の行くべき道は民主主義国会であります。また国是は、民主主義国家として立つて行かなければならないことは、長官もはつきりおわかりのことと存じておるものであります。この民主的に選ばれたる国会議員が、それよりも民主的な方法というものはいずこにあるか。あなた方は今までの世の中の行き方について考え違いをしておつたのではないか。日本の国の政治の状態というものは、三つに分類されている。戰争以前は、上御一人統治の民主主義日本であつた。戰争から終戰までの間は、官吏万能の全体主義国家の時代であつた。終戰後において、初めて選挙され、すでに三回選挙されて今日の世の中になつた。国是が民主国家となつたのである。ここにおいて議会政治の確立ができて、民主主義国体として発足しておる今日、三つの階段になつておるのであるが、全体主義の日本の国是の当時と、今の民主主義のこの世の中の移りかわりの潮だまり、泡だまりを、あなた方はいまだに官僚として全体主義的な考え方をもつて、官吏の手によらずんば何事もでき得ないというようなお考えを持つておられるのではないか。現在の世の中に、われわれおよそ日本のこの国会に代議士として出席しておる者は、棄権投票と無効と他党に入れた投票を入れたら八万票以上の代表として民主議会を今日つくりあげてやつておるものである。かる観点に最もふさわしい民主国家としての発足に対して、これ以上に民主化される御方法はいずこにあるか。もしこの国会意見が足らざる場合において、われわれにおいて、また政府において審議委員なるものを制定している場合もあるが、あらゆる機関をもつて、また公聽会も開いて国会内できめることが唯一の事柄として、日本の国の政治として今日まで行つて来ておるものである。あなたが今日自分の子供の私用のために委員会に午前中出席しないという考え方は、われわれ国会議員を軽視している。反響がどの程度あろうかという、かような考え方は、あなた方の水産庁内で百年放言をやつておる思想と何もかわらないことである。かようなことで大海区制なんというものがあなたの手によつてでき得ると考えておられるか。今までのあらゆる問題が——底びきの小手繰りの問題であろうが、入会の問題であろうが、民主主義に生きんとする漁業法を骨子として、日本政府がみずからつくつたこの漁業法さえ、あなたはあなたの手によつてこれを破つておるのじやないか。しかしてまたもその方法をあなたがやろうとするか。かようなことで国会軽視もはなはだしい。まことに失礼な話をするようであるが、與党代議士なるがゆえに、あなたに対して辭職勧告もできなければ、あなたに対して不信任もでき得ない立場にある。かつて飯山長官はどのようであつたか。水産業界のために、身を挺して大臣とけんかまでして罷免されるまで水産業界のために盡したじやないか。今までのこと一つとして結論を結んだものがあるか。これはあなたを攻撃するのでないが、ただ政策をまじめに実行して行きたいがために、われわれ委員会委員として私は申し上げたいのである。また未処理のものを早急に処理しようというお考えで——今でも仕方がない、おそくなつてもやむを得ないが、一日も早くこれを急速に処理しなければならないとわれわれは考えておる。またこれに対してあらゆる協力を惜しむものではありませんが、どういう方法をもつて、どういうお考えをもつて、事務的でなく、政策としてあなたはこの問題の処理をなされるのか、御答弁を願いたい。
  70. 家坂孝平

    ○家坂政府委員 ただいま国会を軽規しておるのじやないかというお話がありましたが、私の考え方にはそうした点は毛頭ないのでありまして、常に国会、特に私どもが直接接しております水産常任委員会に対しましては、よく意思を疏通いたしまして、この水産行政の円滑なる運営をはかつて参りたい、かように考えてやつておるものであります。それから小手繰りの急速なる解決問題でありますが、これは大体の実態の調査もほぼできかかつておりますから、これに基きまして急速に実施したい、かように考えておるのであります。
  71. 松田鐵藏

    松田委員 まだ答弁において不満を持つております。まず第一に、私がこの前水産庁といろいろ論議をいたしました、また本日先ほどここから発言をいたしました、利権に伴うがごとき問題に対してはあなたはどのようにお考えなさるか。
  72. 家坂孝平

    ○家坂政府委員 利権をあさるような目的を持ちましたものにつきましては、私といたしましては法に基いた適当の措置を講じたいと考えております。
  73. 松田鐵藏

    松田委員 現在許可されておるものでも取消す意思はありますかどうか。
  74. 家坂孝平

    ○家坂政府委員 もしほんとうに法にそむきました利権あさりのものがあるといたしますれば、これを阻止するにやぶさかでないのであります。
  75. 松田鐵藏

    松田委員 今後許可される十九隻の中で、もしそのようなものがあつたならば、これを許可する意思があるか、許可しないというお考えであるか、この点をお伺いいたします。
  76. 家坂孝平

    ○家坂政府委員 これはその内容を十分検討いたしておりますので、そうした法に背反するような事実が含まれておりますれば、その適当なる措置をもつてこれを処置したいと考えております。法に基いたものでなければそれを許可しない場合も考えられるのであります。
  77. 松田鐵藏

    松田委員 水産庁整備委員会がこうした問題に対して、北海道に自主的に行つた行為に対して、それを信用するかどうか。私はもしさような決定をされた不法なる整備委員会というものであつたならば、たとい自主的なものとしても、それらの意見というものはとるに足らざるものと考えておるが、水産庁はどのようにお考えになるか。
  78. 家坂孝平

    ○家坂政府委員 たとい自主的なものでありましても、法にそむいて議決するような場合には、私としてもそういつた処置に対しましては許せないのであります。
  79. 松田鐵藏

    松田委員 まことに明快なる御答弁を得たのであります。もう一つ私は先ほど申し上げたように、某議員の誤まれる考え方発言からこの二箇年間そのまま着業し、将来二年後においてこれがまた大手繰りに転換でき得るという考え方をもつて整備委員会に入らなかつた漁業者があつた場合においては、整備委員会などというものと関係なく、水産庁においてその実態が判明しておるのならば、これを許可するかどうか、この点を承りたい。
  80. 家坂孝平

    ○家坂政府委員 この点漁政部長から説明いたさせたいと思います。
  81. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 ただいまの御質問に対しましては、先ほど長官からお話がございましたように、北海道庁の方とよく連絡をいたしまして、実情を調査把握した上処置したい。かように存ずる次第であります。
  82. 松田鐵藏

    松田委員 まず北海道庁のあり方というものに対して、私は非常な不滿を持つておる。私は北海道庁のやり方が是なりとは決して考えておりません。まずその一例を申し上げれば、私の選挙区である網走支庁管内においては、網走支庁長がこの整備委員会委員長となつてこれを行つたものである。ところがこの中において、私があなた方に指摘したるがごとく、利権をもつてこの整備に向つたということを、支庁長が承認をしておる。かような実態にある北海道庁であり、支庁長であつたとしたならば、あなた万はこの整備委員会、いな北海道庁というものに対して信頼を置けるかどうか。この点に対してはつきりした御答弁を伺いたい。
  83. 家坂孝平

    ○家坂政府委員 私どもとしましては、地方庁を信頼していろいろの水産政策を取運んでおるのでありまするが、しかし地方庁といえども、ときにはあるいは間違えたことがあるかもしれませんが、そうした場合には、私どもも十分これを指導監督して参りたい。かように考えております。
  84. 松田鐵藏

    松田委員 地方庁といえども誤れることがあつた場合においては、指導監督はもちろんけつこうでありまするが、その人々が誤れる考え方を是正するという気持をどこまでも持たずに今日まで来ておる者に対して、水産長官はどのようにお考えであるか。
  85. 家坂孝平

    ○家坂政府委員 そういう場合には、もちろんその地方の首長、たとえば知事と、よくその内容の是正について話し合つて参りたいと考えております。
  86. 松田鐵藏

    松田委員 大体十二月にこの問題が惹起しておるのに、今日までいまだに地方長官、地方知事に対して何らの処置をとつていなくて、今日この問題を私から議論されて、これからまた調査をして、また連紹をとるなどという考え方であつたならば、この漁民の方々はどのようになるか。取締り規則の中には、地方知事の推薦によつて、これの副申がなければ許可されないことになつておる。そこで水産庁として、農林大臣の名において許可をするにあたつて、かかる行為をなす北海道の係官に対しては一顧も與える必要はない。今後といえども、あなたにおいて、断固たる決心をもつて誤れるものを是正するということにはわれわれも協力するし、それはよいことと考えるが、二箇月も三箇月もかかつていまだにその手が打てない。さようなものに対して、いつの日にかこれをなし遂げんとするか。地方には地方の実情があつて、あらゆる因縁があつて、これを打破せんとするのが漁業法の骨子であるならば、いまだにその判定的なことを考えている者さえあるときにおいて、水産庁は断固としてこれらを掃除し、そしてあなた方の権限において許可するのが、水産長官として、農林大臣に対する最も忠実なる行動でないかと私は考えるのである。それをいまだに是正する意思のない者に対して、これを是正してみるなどとは何たることであるか。幾たびも上京して水産庁に陳情に及んでいる業者があるではないか。かような者の意見を取上げないという理由があなた方にあるか。部課長においては法規によつてやるのであるが、あなたは水産長官として、政策によつて農林大臣を補佐する大官として、あらゆる問題を解決して行かなければならない人である。この人の意思が優柔不断であつた場合には、いかなる問題が将来において起きるか。聞けば、部課長会議のときにおいて、まじめな課長、係官は往々にしてものを言うことを知らぬ。あなたの水産庁内でも、二、三の者の発言が一番強いと聞く。何も関係のない他の課の者でさえさような発言をする者があるではないか。そこにおられる高橋課長などという人は、官吏の模範として考査委員会から表彰せらるべき人である。長い間奧さんが病気になつた、それでも一日として水産庁を欠席もしないでまじめに働いている人だということは、水産委員会全体が知つている。さような人がまじめに努力をしておつても、その人の発言が通らないで、全然関係のない部の者が、ああだろうこうだろうという発言をする者さえあるではないか。GHQの状態はどうか、一人々々の担当官にほんとうに責任を持たせて日本の占領政策を行つているではないか。あなたはこのようなことを知つておりながらなぜやらないか。人格者であり、われわれが信頼する高橋さん、あなた方水産庁内としても、この人を信頼しない人は一人としておるか。委員会全体がこれほど信頼している人間の意見も滿足に通らないようなことがあつて、どうして水産行政が成り立つて行くか。また法規にのみとらわれて、いつの日にこの行政が成り立つて行くか。水産長官の責任というものはそんな事務的な問題ばかりではないと思う。あなたの命令によつて、あなたの指導によつて、部課長がまじめに業務を行政面を推進して行くのが、水産行政の最もよい方法であるし、それが農林大臣に対する補佐の責任を全うすることであると私は考える。この点に対してあなたの御意見を承りたい。
  87. 家坂孝平

    ○家坂政府委員 私が水産庁の運営をやつて参りますためには、部課長会議というものが非常に重要なる役割をしてくれているのであります。従いまして、私は、各部課長意見というものは非常に尊重しているのでありまして、ほとんど課長あたりの意見に対しましても、十分その意に基いて私は運営しているのであります。その課に関しましてはその課の課長意見が常に主体をなすように取運んでおるのでありまして、ただいまお話のありましたような、他の課の方からの——これは注意とか勧告のような話は出るかもしれませんが、とにかくその課の課長を主体として、課の運営を常に十分私は信頼をしてやつております。
  88. 松田鐵藏

    松田委員 水産庁長官としての委員会の答弁はそれで滿足であります。それ以外にもしあなたが部課長を信頼でき得ないとしたならば、どういう問題が起きるか、またあなたの立場としてそれができ得ないとしたならば、あなたの立場がどういうものになるか、これは明々白々たるものであります。今日の水産庁内というものは、前長官の時代とはとんでもない差がある。一時、二時になつても廊下においてピンポンをやつている者さえあるではないか、またそれを停止する部課長もないような状態ではないか、それを停止しているのは、一人寺田という女の人だけではないか、あの人が整理しているだけではないが、幾度われわれがあの現場を見ていることか、かようなことで日本水産行政というものが立つて行くか。私はあなたを攻撃するものではない、また委員会が重要であるか、子供の問題が重要であるか、これを私は攻撃するものではないが、現在の水産庁というものはまつたくだれ切つているではないか、まじめな者は一生懸命働いているが、このまじめな者は何をやつているか。あなたはあの廊下の状態というものを見たことがありますか。われわれはあれをあえて糾明するものではないが、あの状態を見るときにわれわれは唖然とするものである。(「共産党員がおればいいんだ」と呼ぶ者あり)それが水産行政のあらゆる面に影響しておることではなかろうかとわれわれは考えるのである。井之口君は共産党員がおればいいだろうというが、共産党員なんかというものは遊ぶ者の、なまけ者の張本人である。そしてまつた委員会において井之口委員なんという者はめつたに出て来ない。これと同様に共産主義者などはなまけ者が多いのである。そういう言葉に惑わされてはいけないと私は思うが、まつたくこの行政の面に対しては、われわれは今日の状態をおもんばかるものでありまして、ただいままでいろいろと御意見を承りましたので、明日から私があらゆる政策の面に対して、あなた方の所へ陳情に「また鞭撻に参りますから御了承願います。私の質問はこの程度で終らせていただきます。
  89. 家坂孝平

    ○家坂政府委員 ただいま松田委員から熱心なるいろいろの注意、勧告をいただきまして、まことにありがたく拝承いたします。私といたしましては就任以来、特に戰後のだれ切つた気分をぜひ修正しなければいかぬと考えまして、庁内でもいろいろ従業員、職員組合あたりにもよく通じまして、庁内の整頓、清潔、それから勤務ぶりというようなものにつきましても留意して参つたのであります。しかしなおまだ残滓がありまして、ただいま御指摘になるような場合もときにはあるかと思いますけれども、この点は日本水産行政のために、庁員全部をあげて粉骨碎身しなければならないということは、私の年末の職員に対するあいさつにも、また年頭におけるあいさつにも、常に私の意思を十分表明いたしまして、みんなの奮起を促している状態でありますから、今後も十分その点意を用いまして、水産行政のために努力邁進して参りたいと考えております。
  90. 永田節

    永田委員 長官にお尋ねしますが、長官委員会に出られると、いつものらりくらりと体裁のいいことを言われるのですが、われわれ今日まで長官のおやりになつたことを見ると、何ら政策的に実行のできた点が少いことを遺憾に思つている。机の整頓なんということは、小学校の修身の時間にでも言うべきことであつて、われわれはもう少し大きな意味において、長官が綱紀を守つて、さらに政治的にも大いに日本水産のために躍進をはかる、そして今日日本の国内の問題にいたしましても、電源の開発と並び称せられます水産振興が、国策として大いに取上げられているこの際において、長官は、みずからがあなたの政策を反省されて、はたしてこの程度をもつて可なりと御滿足が行つておられるかどうか。わが自由党の水産に対する対策といたしましては、いろいろの対策を政調を通じて編み出しておりますが、その逐一を追つて行けば御答弁にいとまがないでしようが、大なる問題のみをあげて行つても、今日漁港の問題を取上げてみても、この漁港の施設を整備拡充する問題こそは一体今日の段階でどういうふうになつているか、最終決定はどういう段階において決定するか、これらもまだはつきりしていない。このまま放任しておくならば、やがて一水産課長の自由かつてな、一官僚が政治色を帶びたきわめて危險な決定が行われるのではないかと、われわれは大いに危惧しているのであります。この点についてどういう大方針を持つて決定するか、ここに所信を明かにしてもらいたい。さらにまたわれわれ水産委員としまして、魚価対策の維持という問題は、かねてから委員会において活発に議論されている問題である。この魚価対策の維持という面において、水産長官とし、庁とし、いかなる対策があるか、そしてその対策をいかに具体化しておるか、卑近な例を申し上げるならば、冷蔵の施設あるいは冷凍船の設置というような点について、どういうふうなことをなされたか、また将来どういうような方針であるかというようなことを逐一御説明いただきたい。  さらにまた昨年末以来、われわれ委員会において議論をいたしておりますところの水産金融——水産銀行の設置というような問題でありまするが、もちろん日本水産業界の今日の段階においては、水産業者を救い、水産の発展を期待するという意味におきまして、特殊な銀行の設立は当然の要望でありまして、むしろおそきに失するとわれわれは私えておるのであります。この水産銀行の設立がかりに近き将来にできたとしても、過去におけるところの農中、一般市中銀行の金融、これらの業者と條件的に相いれない点をあなた方は発見しておられるか。そうして特殊銀行の運営にあたつては、かくかくの條件を改めなければならない、それを改めなければ特殊銀行の性格を現わさないものであるということを、御研究ができておるとしたならば、その案をここで示してもらいたい。  次に私かねてから申し上げておるのでありますが、浅海漁場の開拓であります。この問題は水産庁といたしまして、すでに私は耳にたこができるほどやかましく言つておるのですが、今日まで何ら具体策がない、予算的措置もないということは実に遺憾に思うものであります。この点についてお答えいただきたい。
  91. 家坂孝平

    ○家坂政府委員 永田委員の御質問にお答えしたいと思います。  第一の点は、政策の実施に滿足しておるかどうかというお話であります。私といたしましては及ぶ限りのことをやつてはおりまするが、なかなか自分が滿足するだけの実施は見られないということを、深く自省しておるものであります。これにつきましては、十分今後といえども努力を続けまして滿足の点に達したい、かように考えておるものであります。  それから漁港の点でありまするが、これは一課長考え方のみにとらわれることなく、この点につきましては、法に決定されておりまする漁港審議会の権威のもとにおきましても、よく審議をいただきましてこれらを十分しんしやくして実施をはかつて参りたいと考えております。魚価対策の問題でありまするが、これは現下の水産界におきまして最も重要なる問題でありまして、漁業者の生活安定ということから考えましても、十分私どもが意を用いねばならぬ点だということを目覚しておるのであります。従いまして、この生産コストを引下げるために、資材の高騰に際しましてもできるだけこれの阻止を考え、また値下げのできるものは値下げできるように取進んで参りたい、かように考えてやつておるのであります。なお魚価を維持いたしまするために、最も必要でありまする保蔵機関の問題、あるいは加工施設の問題、あるいはその技術の問題、こういつた点につきましても、極力魚価を維持安定するために、適切なる施策を施して参りたいと考えております。水産金融の点でありまするが、これはお話のごとく、すべての水産施策を進めて行く場合に、水産金融の問題がその裏づけとならなければなかなか実施が困難だと考えておりますので、ぜひ金融の円滑化をはかりたい。ことに多年の水産界の要望であります水産特殊銀行の創設につきましては、及ばずながら、私のできる限りの熱意をもちまして、これが完成を見たいと考えておるのであります。これにつきましては、幸い百七十億の漁業権証券もできることでありますし、まずこれを資金化することを元としまして、これになお多額の財政資金の導入をはかり得るようにいたしまして、これらの資金を元として水産特殊金融機関を創設したい、かような骨組みで考えておるのであります。これはなかなか市中銀行あるいはその他の特殊銀行あたりとの接触摩擦も起きることと思いまするけれども、万難を排してこれが創設を完成して行きたいと考えておるのであります。  最後の浅海増殖の問題でありまするが、この点は去年の秋に増産計画を考えまして、資材のいろいろの難点もありてまするので、内水面、浅海増殖をもつてこの増産をはかつて参りたい、かような施策を立てて、いろいろ取運んで参つたのであります。なかなか思うように予算もとれないのでありましたけれども、二十六年度の予算の中には、相当増殖の点については施策を盛り込んであるわけであります。なおその後鮭鱒の孵化事業につきましては、特に資金を捻出いたしまして孵化施設を増設して参り、鮭鱒の増産をはかつて行きたい、かようにも考えておるのであります。大体以上の点をお答えいたします。
  92. 永田節

    永田委員 相かわらず長官の御答弁はピンぼけがいたしておりまして、われわれにはどうも納得しにくいのでありますが、水産銀行の問題に関する限りやや明確と思われるが、そのほかは全部だめであります。なかんずくこの魚価安定に必要なる処置といたしまして、昨年の暮も、われわれ塩の値上りに対しているくと委員会でやかましく議論いたしまして、当該官庁に向つて交渉いたしましたところ、またもや重油の一割五分の関税引上げの問題というものが起つておるのであります。重油の関税引上げという問題を基調といたしましてわが国水産に非常に影響するところが大きいということは、すでに論をまたないところであるが、この問題が起つてからすでに一箇月を経過しておる。この間水産庁としてはいかなる行動をなされたか、そうしてこの値上げに対してはどういう見通しのもとにおられるのか、一応御説明願いたいと思います。
  93. 家坂孝平

    ○家坂政府委員 この油の関税改正につきましては、非常に手遅れいたしましたことを、私認めざるを得ないのであります。実は去年の暮になりまして、関税定率の改正があるという話を承知いたしましたので、これはたいへんだというわけで、その後これが対策をいろいろ練り、とにかくわれわれとしては、従来通りの無税でやつてほしいと考えまして、いろいろ省議にもはかつてつたのであります。ところが、そのときにはすでに大蔵省の方では司令部との交渉も相当進捗いたしておりまして、これを無税に引きもどすということは、なかなかむずかしいのじやないかというような話も聞かされたのであります。もしそうだとするならば、これは何か特殊の取扱いによつて漁業だけを無税にすることを考えてもらいたいということで、案もまた出したのでありますが、そういう特例はなかなかむずかしいのじやなかろうかというような話もあつたのでありまして、それならばもどし税というようなことも考えられるのじやないかという案も出して練つたのであります。それでもどすということも、実際の手続からするとなかなか骨が折れるということもありましたが、こういう案もひとつ検討して行かねばならぬことを強調して参つてつたのであります。いずれにしましても、将来私どもの意を十分徹底させますには、無税が妥当であるということを大蔵省に一札申し入れておかなければならないということで、農林次官の名において出すことを約束しておつたのでありますが、この点につきましては、どうしても今の状態では一札を出すよりも、むしろ関税審議会でもつて意見を闘わして、そこにおいてこれが是正をはかつた方がよいのじやないかということになりまして審議会委員としての次官にもよく依頼しまして、これが無税を強調してもらつておるような経過になつております。
  94. 永田節

    永田委員 温泉をまわりますと、へたなあんまが来ます。もうちよつともんでくれればつぼに行くのだが、なかなかつぼに行かない。これはへたなあんまだ。ちようど長官がへたなあんまだ。いいところへ気がついている。しかしポイントがはずれておる。そういつた問題はやはり国会を通じてやらなければ——審議会というものは、われわれから見れば單なる審議委員にすぎない。われわれは、先ほどの松田君の言葉を引用するようでありますが、国家の最高機関として国会がある。ゆえにさような事水産の死活を決する重大なる問題が起つたならば、なぜ本委員会長官は諮らないか。すでに大蔵省の小役人がけさ来ておりましたが、その言うことには、もう油の値上げは決定いたしました。これを基調といたしまして法的予算の編成を終つております。お気の毒にたえませんが、何とか業者が立ち行くように育成に努力したいということでした。たいへん僭越な申し方ですが、大蔵省の小役人どもに業者の育成というようなことはできるものではない。しかしこれは責めてもしかたがない。特例を設けなければやつて行けないのだというあなたのお考えは、要するに皮相な考え方だ。もう一歩突き進んでお考えになつたならば、何ゆえに国会に諮らないか。そうして油の関税引上げについては、むしろ当初から無税の方針でなぜ進まなかつたか、もしあなたの力の及ばないときには、どうしてわれわれの力を利用しなかつたか。そういうような物の考え方が、すべてわが国水産行政を退歩に導きつつあるところの大なる原因をなしている。どうか今からでもおそくないのです。この塩と重油の問題については、これから水産庁は本委員会に諮りまして、愼重に、そうして必ず成功するような方法を検討してもらいたい。
  95. 松田鐵藏

    松田委員 ただいま永田委員から御発言があつたように、長官考え方が非常に誤つているのではないかと考えるのであります。まず永田委員質問に対して、漁港の問題は法規に基いて、しかも漁港審議会によつてこれを決定するがごとき御意見を答弁された。一体漁港審議会というものはどういうものか、大臣の諮問機関にすぎないものである。しかも漁港の予算というものはわれわれ国会議員の手によつて審議され、しかもわれわれ委員の手によつて、初期のころよりも、今年においては相当大幅にこれが獲得できたのだ。ここにおられる永田委員、田淵委員川村委員委員長、私が、大蔵大臣の私邸まで乘り込んで、この問題を七億から九億にし、九億から十二億にして、今までの港湾費との差額というものを転倒さして、今日漁港費というものを獲得した。それでまだなお足らずして、一たん閣議で決定した漁港費に対しても、なお他の部門からこれを強引にわれわれ委員会においてもぎとつて来て漁港につぎ込んだことは、あなたも御承知のはずなのだ。かようにして、先ほど永田議員の言われるように、国会は最高の機関である。その機関に対して一つの了解もなく、また協調もなくして、漁港審議会や法規によつて物事をきめるなどというお考え方は、あなたの政策がまじめにできてない原因をなしておるものである。また塩の問題にしてもしかり、また重油の問題などは、午前中にあなたはいかなかつたから、この問題はわからなかつたろうけれども、ただいまの御説明だと、年内においてほぼわかつてつたというのならば、なぜこれをわれわれ国会議員に、この委員会に御相談なかつたか。審議会でいくらこれをあなたの力によつて努力をされても、たかだか結果が立証されるではないか。国会は現在最高の機関である。この機関に協力を求めて行つてこそ、初めてあらゆる問題が解決され得るものだと私は考えておる。あなたの考えががてんでピントがはずれているがために、今日のような状況になつておることを、私は非常に遺憾と思うのであります。それが、三百万漁民が最も苦しい立場に追いやられている原因になつておることを、あなたはあなたの立場でよくお考えなさつて、これを是正してもらわなかつたならば、三百万漁民のためにまことに嘆かわしい次第になると、私は考えるのであります。私はこの点将来のことに対して御注意を申し上げておきます。
  96. 冨永格五郎

    冨永委員長 この際お諮りいたします。本日はこの程度にして、次回は、明後三日土曜日午前十一時より開会いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 冨永格五郎

    冨永委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後三時四分散会