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1951-03-13 第10回国会 衆議院 図書館運営委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月十三日(火曜日)     午後三時十五分開議  出席委員    委員長 東井三代次君    理事 圓谷 光衞君       青木 孝義君    尾関 義一君       多田  勇君    水谷  昇君       村瀬 宣親君    三宅 正一君       山口 武秀君  委員外出席者         国立国会図書館         長       金森徳次郎君         国立国会図書館         参     事         (管理部長)  中根 秀雄君         国立国会図書館         参     事         (経理課長事務         取扱)     武内時之助君     ————————————— 二月八日  委員早稲田柳右工門辞任につき、その補欠とし  て村瀬宣親君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月六日  委員中西伊之助辞任につき、その補欠として  山口武秀君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  国立国会図書館組織規程の一部を改正する規程  案  国立国会図書館職員定員規程の一部を改正する  規程案  国立国会図書館支部上野図書館組織規程の一部  を改正する規程案     —————————————
  2. 東井三代次

    東井委員長 それではこれより会議を開きます。  公報をもちまして御案内申し上げました通り図書館側から国立国会図書館組織規程の一部を改正する規程案国立国会図書館職員定員規程の一部を改正する規程案及び国立国会図書館支部上野図書館組織規程の一部を改正する規程案の三案が、本委員会の承認を求めるために提出されて参りましたので、本日はその審議を願いたいと存じます。  審議の方法といたしましては、三案を一括議題とし、とりまとめてまず館長の御説明を聞きまして質疑に移りたいと存じますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 東井三代次

    東井委員長 御異議がないようでございますから、そのように決定いたします。  それではまず各規程案につき、図書館長説明を求めます。金森図書館長
  4. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 今日御審議をお願いいたしまする三案のうち、第一の案は、これは国会図書館組織規程の一部を改正するものでありまして、御承知のようにこれは図書館組立て、いわば各省組織規程のようなものに該当するものであります。そこで案文の中にはいろいろの字句が使つてございますけれども、要するに支部図書館を二つ設けるというのが趣旨であります。私どもの方の図書館では、今まで支部図書館を二十幾つ持つておりまして、それの大部分は、各省あるいはその他の行政官庁の中に設けられておるものでありますし、それからごく少数は、各官庁に設けられてあるのではなく、独立に外に向つて働くものであります。たとえば静嘉堂文庫あるいは東洋文庫がこの例であります。今回加えようといたしますのは、一つは今の静嘉堂文庫のように、外に向つて一般図書館のような仕事をするものであります。それがその中の十一号として掲げてありますところ国立国会図書館支部大倉山文化科学図書館であります。この図書館は従来民間のものとしてでき上つておりまして相当の年月を経ております。場所は横浜市の港北区にありまして、大倉山という山の上に孤立して設けられております。この図書館はやや特別な図書館でありまして、中に所蔵しております書物は大体宗教、哲学、倫理、教育、心理、歴史というような面に限定せられておりまして、一口に言えば精神文化に関するものであります。建物もはなはだ堅牢な不燃質のものでありまして、所蔵しております書物も約十万冊あります。その中に含まれておりますのは、一粒よりというのも大げさかもしれませんが、偶然に集めたものではなくて、よい本を和漢洋を通じて選択して集めたものでありまして、たいへん役に立つもののように思われます。それが昨年ごろからいろいろと連絡をし、事実上は図書館運営委員の方にも御連絡を申し上げておりましたが、来年度から予算がとれるようになつたのであります。きわめて小さな規模でありまして、職員どもわずかに六人でやつて行くというような計画でありますが、これを新設するのが第一の目的であります。  次にいま一つ支部図書館を加えますが、これは官庁に所属いたしまする通常の形の支部図書館で、設けますところ特別調達庁であります。特別調達庁は、御承知のように比較的新しくできた官庁でありまして、図書館のできましたのもつい最近と申し上げられるのでありますが、書物といたしましては若干のものを持つておりまして、それは特別調達庁目的に合うような特殊なものであります。つまり調達の手続とか、あるいはその実績に関する重要な官庁資料を集めておるものでありまして、支部図書館としてこれを完備することがよさそうに考えられます。支部部局からの御希望もありまして、そこで今回これを第十七号に加えるという趣旨であります。  なおしまいのところに地名などが書いてある部分がございまするが、これは従来静嘉堂文庫東洋文庫のあり場所につきまして、非常にかたくなな規定がありまして、静嘉堂文庫静嘉堂文庫に置く、東洋文庫東洋文庫に置くというような、りくつで言えば通らぬこともございませんけれども、はなはだしろうと離れをしておるようなことでありましたので、今回はそういうわからない規定はやめまして、現実に地理上の名称を掲げまして、おのおのどこどこにあるとはつきりさせたわけであります。それが第一の議案の御説明であります。  それから第二の議案、つまり国立国会図書館職員定員規程の一部を改正する規程案と申しまするのは、かねがね国会の方に御意見がありまして、国立国会図書館の特に調査立法考査部局を改善し、かつ拡大するという御趣旨がありまして、その御趣旨に従いまして大蔵省側予算の交渉を重ねまして、それによつて六十人の定員増加が認められております。それに大倉山図書館定員増加六人を加えますると、六十六人の新しい人が、私ども図書館に加わることになるのであります。六十六人とは申しまするけれども、その中にはごく資格の軽い人、つまり雇員用人の類の人がありまして、実際この規程の中に上せまするものは、それだけはございませんが、しかしそれを今回この規程に上せようといたしますことが一つと、従来すでに中に入つておりまする職員の中におきまして、いろいろよその振合い等考えてみますと、雇員用人級に置くのではなくて、主事の級にするのがいい者も多少ございまするし、それからまた主事の級にありまする者を、参事または司書方向に上げるのが適当な者もございまして、そういう者を、普通の言葉で言えば、昇格させるということにも当りまするが、そういうことをいたしまして、そこで今回の改正はそれに必要な人員の整備をいたしましたので、純粋に新規増だけを規定いたしますると、増員三十九人でよいのであります。しかし今申しましたように、下の方から上に上げるというものを含んでおりますので、ここに現われましたように、やや大きい数字になつております。念のために申し上げますると、第一の司書ところは、今回十六人ふやすことになります。専門調査員ところは今回二人ふやす、調査員ところは十六人増加する、参事は八人、主事は五十人、これだけが従来のものの上に加わるのであります。なお附則ところがごてごてしておりますが、これは予算関係で四月以後に使える予算と、七月以後にのみ使える予算と二種ございまするので、それに合せるために附則を設けたのであります。  次に第三の案について御説明を申し上げまするが、これは上野図書館組織規程の一部を改正するものであります。上野につきましては、今回一人も増員をするという計画は持つておりません。しかしよその振合いもありまして、雇員用人の方から地位を上げるとか、あるいは主事ところから地位を上げるということが適当と思いましたから、全体の職員の数をかえない程度に、司書について二人をふやし、主事について三人を増加したのであります。かような昇格の面につきましては、予算従前通りのものを用いまするし、人も従前と同じ範囲の人を用いるのでありまして、財務当局との関係につきましては了解を得ておる次第であります。  以上が大略の説明であります。何とぞ御審議をお願いいたしたいと思います。
  5. 東井三代次

    東井委員長 ただいまの図書館長説明に対しまして、何か御質疑はございませんか。
  6. 多田勇

    多田委員 ただいまの御説明のうち、二十六年度の予算定員人員と、この規程人員とについて、相当程度この規程の方が増員されたというふうに見られます。予算現実に執行する面で、さしつかえないという御自信があつてのことと思いますが、この点いま一応御説明を願います。
  7. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 これは従来の職員制度と、現在行われ、今後行われます職員制度とが、ちようど切りかえのときに当つておりまして、二重の考え方が入つておる次第であります。今日の職員というものは、一級から十五級までの俸給にわかれておりまして、おのおのその職員の数に応じて俸給があんばいされております。ところが古い考え方によりますと、いわば一級官、二級官、三級官、それから級の外にありまする雇員用人とわかれておりまして、それが秩序整然となつておるのでなくて、途中で重なり合つております。今回はその俸給の方はかえないで、ただ格式だけを加える、こういう形になつております。
  8. 多田勇

    多田委員 この際図書館にお願いしたい点は、専門調査員のことでございます。国会立法の補助的な役割を果す意味相当増員されるのでありますが、専門調査員並び調査員も、今後各委員会との連絡を十分緊密にされまして、委員会でのいろいろな問題について、いつでも資料を提出し得るような充実した調査機能を確立していただきたい。これは今後実際に議員立法という形で進められますと、図書館の補助的な役割に期待するところが非常に大きくなつて来ると思うのであります。現実に私ただいま一つ法律改正を担当しておりますが、この改正についてのいろいろな資料図書館側にお願いしまして痛切に感じました点は、資料に対する調査は十分に御提出いただきまして、私ども非常に感謝しておる次第でありますが、その法律改正するためのいろいろな問題、それらの問題の動き等を十分とらえるためには、どうしても各委員会経過空気というものを十分に認識していただくことが必要であるということであります。それらの点について、国会委員との連絡といいますか、委員会のいろいろな経過、あるいは委員会での審議空気というものを十分に取入れた上での立法調査仕事をされるように、特にこの点図書館にお願い申し上げておく次第であります。
  9. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 ただいまお示しのことは、まことにありがたい御助言であると考えております。今回のこの増員の案を考えまするときに、そういう点、委員会に始終列席をして、連携をとりましてお役に立つ仕事をしたいということが眼目の一つでありまして、実際増加いたしまする職員は、調査員主事とを通じますと三十六人ぐらいしかございませんけれど、しかしこれらのうちの一部分を差繰りいたしまして、今お話になりましたような点に重点を置こうと考えております。ちようど今時期に恵まれまして、私どもの方の調査立法局長等二人を含み、議会の側から四人、合計六人の人がアメリカ図書館を主として見に行つておりますので、その報告を聞きまして、今の線をひとつ実行したいと思つております。
  10. 村瀬宣親

    村瀬委員 専門調査員を二名おふやしになることになつておりますが、今までの七名という方の実際を伺つてみますと、それぞれのほんとう専門家であるようであります。この二名というのはどういう部面の専門調査員をお選びになつているのでありますか。それから将来国立国会図書館のこういう専門調査員に対し、われわれ非常な敬意を払い、また国民も国会図書館専門調査員に対しては非常な関心を持つに至ると思うのでありますが、大体何部門くらいまでに将来分類する御計画をなさつておるのでございましようか。ただ人をいくらでもふやして専門調査員にする見込みでありますか。七人を九人にした根拠を伺いたい。
  11. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 専門調査員の問題は非常にむずかしい点を含んでおりますと申しますのは、専門というものはどうしても狭くなります。狭くならなければ深くなりませんので、実際有力なる専門家間口が狭いということになろうと思います。アメリカに行きまして国会図書館の幹部に聞いてみましたら、とても専門調査員というものは数をつくることが困難であつて、たしか二十八人、はつきり覚えておりませんが、そのくらい置いておると申しました。重要な問題につきまして適材を選びますと、その人はそこだけしかできないというようなきらいがあるのであります。ところ日本の公務員の制度におきましては、よその大学の先生を借りて使うというような道は、まだそんなに十分でございませんので、私どもの方は全部の時間をここにさいて働くところ専門調査員を、ただいまのところねらつております。そういたしますと、多少無理でありましても、一人の間口を広くしてやつて行くよりほかに道はございませんけれども、現在の七人というものを確たる根拠があるというのではなくして立上りの時代に、なるべく少数の人で間に合せて行こうという計画をもつて人をとつて来ました。七人はいろいろな分野にわかれております。たとえば法律部門、外交の部門、財政の部門、農業の部門、それから内政一般とでも申しまするか、そういう部門というふうにわかれておるのであります。それで大体今までのところ間に合せてやつてはおりますけれども、問題がだんだん熾烈になつて参りますと——今手薄になつておりますのは、たとえば厚生省のような仕事、労働省のような仕事、通産省の仕事もその一つになりますが、そういうふうにまだ不足しておる部門相当あるのであります。大体から申しますと、各省の数だけあるというようにして行きますと、非常にいいのでありますけれども、そこまで行けませんので、その九人の人を今度再編成いたしまして、適当な部門にわけて、人を充実させようという考えでございます。
  12. 村瀬宣親

    村瀬委員 重ねてお尋ねいたしますが、そういたしますと、各省の数ほどを理想とするというお考えと承つてようございましようか。  それから、これは小さい問題でありますけれども議案第一号でありますが、大倉山図書館特別調達庁図書館と出ております。大倉山の方は十一号、特別調達庁の方は十七号となつておりますが、これは規定組立ての上にこういうふうな慣例か何かあるのでありますか。あとからできるものは順順に番号をつけて行けば簡単でいいと思いますが、どういうのでしようか。
  13. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 専門調査員の数は、少くとも今の数では不足しておる。だから大体の目途といたしましては各省——各省に分類されておりますことは、理由のある分類であると思いますから、各省の数ぐらいはほしいという気持を持つております。しかし大きな法律問題になりますと、たとえば憲法の改正というようなことになりますれば、ことによりますと、それではおつつかぬということもございまして、それ以上になることを希望はいたしておりますが、予算はなかなか一足飛びに参りませんので、順次皆様方の御協力によつて、そういうところへ参るようにしたいと思つております。  それから支部図書館の位置を十一と十七にわけまして、それがために座ぶとんを動かすというような形になつておりますことは、まことにお目にとまるのも無理からぬことと思つておりますが、ただ私どもの方の支部図書館に、二組種類の違つた図書館がございます。一組はいわばまるがかえとでも申しますか、中央の図書館で全部の経費を支弁しております直属支部図書館であります。いま一つは、大蔵省とか宮内庁とかいうところにある図書館でありまして、その経費は全然その所属官庁が持つておりまして、そこの監督所属官庁の長たる人相当程度監督をしております。そこで名前は同じ支部図書館でありますが、意味の上からいつて直属支部図書館、それから客分になりますような支部図書館と、二組あるのであります。そこで今回の大倉山文化科学図書館というのは直属図書館であります。でありますから、他の直属図書館と席を並べておく方が都合がいいのであります。そこで現行の制度では、九と十が、静嘉堂文庫東洋文庫でありまして、つまり直属図書館であります。従つてそこへ座席を設けたということでございます。次の特別調達庁図書館は、先にも申しましたように、いわば間接支部図書館であります。間接というのは直接でないという意味でありますが、つまり内閣でこれを監督しておるわけであります。そこで内閣に属しております図書館の一番あとに持つて行くというわけで、わかれたわけであります。
  14. 村瀬宣親

    村瀬委員 もう一つ、先ほどの御説明ちよつとわかりかねたのでありますが、予算関係が七月一日から使うことになつております。これはどういうわけでしようか。
  15. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 今日私どものもらいます予算は、いろいろ財務当局考えがありまして、新規予算というものは、人件費は一年分もらえないのが普通であります。いきなり新しい会計年度ができても、準備に手数がかかるであろう、人を選んでとるためには若干かかるであろうというわけで、いろいろの場合によつて違いますけれども、たとえば一年のうちの九箇月分だけ予算をやる、あるいは六箇月分予算をやるというふうにして、できるだけ予算のむだにならぬように、大蔵省の方で予算を組んでくれるのであります。この場合の調査立法の方も、これだけの六十人の人をとるのだから、初め三月くらいは準備時代である、だから初年度だけは九箇月の予算でやれということで、少い予算が組んであるのであります。従つて七月からしか人が埋められないということになります。ところ大倉山図書館は、わずか六人の人でありますが、事実上これは準備ができておるのでありまして、現に非公式ではありますけれども図書館を開いて閲覧者をわずかながらも入れておるのであります。そこでここは準備ができております。また前からの計画に属するものであります。従つて四月から置いてもいいということで、十二箇月分の予算を与えられております。そこでここの附則にありますように、ある種の人は四月から、それから立法考査新規増員に関しますものは七月一日から増員を認める、こういうことで行政の中の一種の習慣のようなやり方になつております。
  16. 村瀬宣親

    村瀬委員 最後に三つの議案全部を通じての将来の御方針がもしわかれば承りたい。と思いますのは、この間ロツクフエラー氏が見えていろいろ調査をして帰られて、いろいろな報告もされておるようであります。このロツクフエラー財団といいますか、ロツクフエラー氏の来日によりまして、将来何らか朗報といいますか、図書館運営について予想される向きがありますれば、これは人員増加等についても当然関係があると考えますので、御説明していただきたいと思います。
  17. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 実はロツクフエラーさんにもお目にかかりましたし、それからロツクフエラー財団から日本に比較的よく来られますフアース博士にもお目にかかりました。ロツクフエラーさんはあまりこまかいことについては一つも問題を取扱わないように見受けられましたので、いわば社交的な立場でお話をした程度にとどまつておりまして、何とかして図書館に一ぺん来てもらいたいと言いましたけれども、ひまがないということで、実は今回は来られませんでした。これは追つてまたいろいろな御相談をいたしたいと思つております。その後フアース博士日本に来られまして、そのついでに、いろいろ新聞紙等にも何か大きな建物ができるというようなことが見えましたので、ほんとうであるかということを聞きましたら、そのときのお答えは、それはまつたく違つておる、そういうことを言つたこともなければ、考えたこともない、こういう趣旨のことを言われておりました。従つて今日のところ、新しい問題としてロツクフエラー財団と特別に話を進めておるということはございません。ただ従来からロツクフエラー財団は、われわれの図書館に非常に好意を持つておられるのでありまして、この二年間に洋書を三千八百冊寄贈してくれたのであります。それも気まぐれに選んだものではございませんで、責任ある大学または一種委員会にかけて、そこで選んで送つてくれました。その三千八百冊というものは相当より抜きの書物でありまして、私ども感謝をしなければならないと思つております。なお今後どういうような好意を持つてくださるかということはわかりませんので、ただいろいろ話だけはひそかに進めておるわけであります。
  18. 圓谷光衞

    圓谷委員 館長アメリカ図書館をごらんになつて参りました際に、議員立法に関して、アメリカ国会図書館立法考査局と、日本で言えば今の議会における法制局、この関係がどんなふうになつていますか、ひとつお伺いしたいと思います。
  19. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 その点は、私が参りましたときには実情がよくわからなかつたのでありまして、そこで今回角倉局長その他を、差向けましたときに、特にその点を研究して来てもらいたいと言つておきました。わからなかつたと申しますのは、言葉だけで聞いておつて、私には要点が得られなかつたのであります。と申しますのは各議会におけるところの、いわば法制局に当りますところは、五人見当のきわめて少数の人でありまして、それは法律家のみであります。従つて一つ一つ法律上の、立法技術上の何か注意をするという程度のものであつて法律の中身にまで深入りするということはしていないように私には聞き取れたのであります。大体法律の案を立てるようなときに、議会の人はやらないかといいますと、それは各委員会委員長とか、あるいは有力な議員の方が、自分に自由になる立法的な調査のできる人を持つておられるようであります。いわば政府の金で支払われておつて、しかも自由に議員が個人的に使えるような職員相当ありまして、その人が準備をせられる、こういう場合が相当あるように思いました。そのほかの部分国会図書館の方の立法考査の方で準備を整える、こんなふうに聞き取つておりました。
  20. 圓谷光衞

    圓谷委員 国会図書館法立法される場合に、アメリカのクラツプ、ブラウンの両氏が来て援助されたのですが、その際日本の行き方としては、将来議員立法の場合においては、国会図書館立法考査局を活用して行くことが一番好ましいのであるという話がありまして、委員長中村嘉壽氏でしたかの当時、日本の衆参両議院の内部において厖大なる人員を持つておる法制局、これと一元化して、国会図書館をせつかくつくつたのであるから、この考査局を活用してやるようにしたらよかろうという案が出たのを私は承知しておるのです。それはその当時、なかなかなわ張りの争いがあつてできなかつたということでありますが、将来はやはり考査局人員をふやし——去年も問題になりまして、国会図書館考査局をどうしてもりつぱにして行かなければならぬということをここでも話し合いました。要するにこれは、国会図書館考査局のメンバーが、国会立法その他に大いに役に立つてくれるということであれば、自然そういう方向に行くのではないか。非常に予算面でも二重の負担を受けておるということになりますので……。ところが聞いてみますと、ただいま村瀬委員からも話しましたが、私が国会図書館の方の立法局の方に聞いてみますと、議員は実際活用していない、議員の罪もあるのではないか、あまり国会図書館のことがよくわからないのではないかという考えを持つておるのですが、議員に対しても国会図書館の方で呼びかけて、議員の方に大いに資料等——私も二、三回お願いしたのですが、非常に詳しい専門的な調査をしてくれるのでありますから、この点たしか館長もこういう考えを持つておると思うのですが、私はぜひこれは考査局——日本でやつているのは法制局でありますが、ああいう点と一致させれば、人員も非常に少くて済むし、また能率も上るのではないか。図書館資料にしても、こつちにも少しはありますが、どうもそういう点に非常に欠陥があるのではないか。国会図書館ができて四年になりますが、あまり議員の中に承知されておらないというようなこともあると思いますから、ぜひこれを国会図書館館長さんの方から、議員に大いに加勢していただくように呼びかけていただきたい。こういう希望を申し上げておきます。  もう一つここの増員の方ですが、総計九十二名増員になるわけですね——ところが実際には先ほどのお話では三十九名であつた。そこのところはつきりしませんから、もう一度御説明願いたいと思います。
  21. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 第一の、図書館の方から議員の各位にいろいろ注文を出して、あるいは図書館を見知つていただくようにということは、始終心にかけておりますが、まだ十分でございませんので、今後ともそれに努力いたします。  それから、今お話になりました正味は三十九人しか増員をいたしませんけれども、しかしここに現われている数は相当多く九十二人になつておる。この点のお話でありますが、これは従来どこの官庁でもありますけれども職員の中でいわば表立つた規則の中にはつきり現われておる職員と、それからそういう方面にはつきり現われてない職員と、二つあるのであります。身分の軽いとか重いとかいうことによりまして、給仕あるいはこれに類するような人々は規定の中には現われていないで、予算の中に現われておる、あるいはまた規定に現われますけれども、ごく軽い特別な規定に現われておる、こういうふうになつております。私ども図書館もその原理を使つております。そこで今回九十二人増員はいたしましたけれども、この規程に載せてはつきり増員をいたしますのは、先ほども申しました三十九人でありまして、その他の数の人——雇員あるいは用人というものは、この規程の外にはみ出してしまいまして、予算だけで経理して行くのであります。それが一つであります。それからまた従来私ども図書館でたくさんの職員がありましたが、その中にも、もとより規則の外にはみ出しておる人がたくさんあるのであります。つまり身分の低い人がたくさんあるのであります。しかしそういう人もだんだん閲歴を積み、また世の中のつり合いもございまして、雇員用人ところから上へ上げまして、昔の判任官、つまり三級官にするとか、あるいはそれ以上に上げる、こういう必要が出て来るのであります。そこでそれはこのケースの中にない方の数から、ここに上げたケースの方へ移して来る人数が出て参ります。それがございまして、そこで複雑な計算が出て来るのであります。今までらち外におつた人をこのらちの中に入れる、これが一つであります。それから今度新しくとるために、この表の中に三十九人を持つて来るということがございまして、それらを計算いたしますると、九十二人の増員になるということであります。つまり名前がかわつただけの人が実は八十五人ばかりあるのでありまして、そこのところを計算して、また複雑な操作、つまり減員というものを考えてみますと、その結果こういうことになるわけであります。
  22. 圓谷光衞

    圓谷委員 ところがここにありますのは、司書の十六人、調査員の十六人、それに参事八人、主事が五十人、それに専門員の二人を加えますと、九十二人になるわけです。そうすると、今御説明のこのらち外にある雇員とかあるいはこのほかのものでなく、はつきり出ておる数がここに九十二人ある。それだけ増員になるのでしよう。そうすると三十九というものがあれば、この九十二人の中へ入つているのですね。どうもここははつきりわからないのですが……。
  23. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 どうも数字はちよつとむずかしくて……。この表について御説明を申し上げますと、数字の上から二段目、つまり増員というところにいろいろな増員がありますが、最後に九十二名増となつておりますのは、今回の規程増員するということであります。ところがこの九十二人の増員の内訳を申しますと、今度の予算で初めて増員をいたしまするものは三十九人であります。それから従来ある人の名義をかえまして、この表の中に入つて来るような人が八十五人あります。そこでそれらを加えたものがそうなるかというと、そうも行かないのであつて、さらに三十二人減すというような計算になりまして、妙なことになるのですが、大体はそういう考えになつております。
  24. 水谷昇

    ○水谷(昇)委員 定員がそれだけふえて、予算はちつともかわらないというのは、全体の予算はかわらないが、人件費はかわるというわけですか。
  25. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 定員がかわらないと申しますのには、二つの意味がありまして、今度新しく予算をとつて増員をいたしますのは、この規程の中には三十九人だけ現われて来ます。これは現実予算をとつて現われて来ておりますけれども、そのほかの八十五人は昇格で、名義変更でこの規程の中に入れて行く。つまり雇員用人から判任官級のところへ上げて来るというのがありますが、これは一人々々の月給はかわらないのです。何級俸というのは一つもかわりません。ただ名前をかえまして、今まで別人級であつたものを三級官級にして、主事という名前をつけるのであります。そうするとこの規程の中に数が現われて来る。そうしてここに関係のない別のところから、人数が減つて来ておるわけです。ですから、名義変更から来る方には、予算には一つも影響しないということになります。
  26. 水谷昇

    ○水谷(昇)委員 格付けだけして、実質はちつとも見ていないというわけですね。それはあまりひどいような気がします。やはり名実伴うようにしてもらわなければ……。
  27. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 こういうことは昔は起らなかつたのです。ところが今日俸給の方の関係では、雇員級の人が主事級の人よりも上の俸給をもらつておる例も珍しくございませんので、俸給というものは資格に関係なく、一級から十五級までの間にずつと分配せられまして、同じ五級俸のところをとつてみましても、雇員であつて五級俸をもらつておる人もあれば、主事であつて五級俸をもらつておる人もありまして、従来の雇員用人と三級官、二級官という区別が非常に鈍くなつて来たわけであります。これは今度の人事院制度ができた結果として、そういうふうになつて来たのであります。そこで今名前をかえましても、ただちに実利が伴わぬではないかということは、そうはつきりは言い切れません。同じ月給をもらつてつても、そこにはいろいろ副作用がありまして、今思いついただけでも二つくらいあるのであります。それは第一、気持が非常によくなるのであります。仕事をいたします上におきまして、非常に喜ぶのが通常でありまして、この気持は職務を勉強する上に活用する価値がある。それから第二は、恩給制度のわくの中に入るか入らないかということがありまして、名義がかわりますと、共済組合の掛金ずつと減るのでありまして、そうして恩給の恩典が行くのであります。非常にかすかでありますが、そこに実利が生じて来る。それから上の方へ上つて行く道がついて来る。直接の利益はございません。
  28. 多田勇

    多田委員 ただいまのあれですが、全体の人員からすれば六十六名の増員になるので、今の御説明だと、総体の給料にはかわりないと申しますが、予算の一般職と雇員俸給、一般職が三百十三名で、一般職の予算が、二十六年度の国会を通過した予算を超過するということになるのではないかと思いますが、その点いかがでしようか。
  29. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 それは予算の範囲を寸毫も越えてはおりません。つまり俸給単価はどちらのクラスの方もまつたく同じ単価で計上してありまして、人員がかわらない限りは、予算の面には影響を及ぼしません。ただ今申し上げましたように、これが間接に、たとえば恩給の方に響いて行くということはございますけれども、これは予算の問題ではなくて、非常にまわりまわつて行くわけであります。
  30. 多田勇

    多田委員 予算の範囲内でできるというお話ですが、一般職と雇員俸給用人俸給と三つにわかれているようであります。雇員俸給のわくから一般職に振りかえるというような形をとらないと、一般職の予算の総額を超過するのではないかと思います。超過しなければ、これだけの人員をふやすことは困難だというようなことに考えられるのですが、その点一般職と雇員俸給用人俸給と、この三つの俸給をそれぞれ動かさずに、こういつた操作ができるということなんですか。
  31. 武内時之助

    ○武内国会図書館参事 予算の方で申しますと、俸給の単価はみな同じでございまして、月額で申しますと、一人が七千八百九十円、それから年額で九万四千六百八十円、こういう単価でもつて全部を計算をいたしまして集計したものが、図書館俸給額の総体になるわけであります。そこでもし俸給を上げる場合になりますと、結局どれだけの金額が余るか、その金額の余つた範囲内において、大蔵省と相談をして上げるということになります。
  32. 多田勇

    多田委員 今の御説明よくわかりますし、趣旨もよくわかるのですが、二十六年度の予算を見ますと、一般職は定員が三百十三名で、今お話のように俸給単価が九万四千六百八十円、総計二千八百七十八万二千六百円ということになつておるのです。これを見ますと、予算では三百十三名の予算でございますが、現実にはきようの改正案で見まして三百二十九名ということになりますと、一般職の人員がふえます関係上、どうしても一般職の総体の給与額が予算よりふえる。それに反しまして、雇員俸給なりあるいは用人俸給なりからそれだけが削られることになりますので、総体の職員俸給から見ますと、かわりはないという御説明はよくわかりますけれども、実際には一般職の俸給はふえるのではないか、こう思うのは常識だと思うのです。それで取扱い上さしつかえないとすれば、別にこれ以上お聞きしなくてもいいのですが、さしつかえございませんか。
  33. 武内時之助

    ○武内国会図書館参事 さしつかえないことになつております。
  34. 水谷昇

    ○水谷(昇)委員 それは予算の範囲内でやらなければならぬという制約があるので、やむを得ずやつていることで、本心はやはり人数をふやしたら、俸給も増額したいというのが本心ではないですか。
  35. 中根秀雄

    ○中根国会図書館参事 お答えいたします。予算の方は級別に定員が出ておりまして、級別の定員は乱らないことになつております。官庁では三級官、二級官、一級官の別は今日ないわけであります。人事の経費を支出する上においては、級別の定員によつてその範囲に納めればさしつかえないわけであります。
  36. 村瀬宣親

    村瀬委員 さつき館長は六十六人というお話ですが、どれを見ても六十六人にならぬ。それから三十九名分を今年度の予算で増してもらつたというお話でありますが、そうすると、実際は九十二名という増員で、差引五十三名でありますが、この五十三名は、二十六年度で三十九名分をふやしてもらわなくても、ふやせるような経費になつておつたのでありますか。
  37. 中根秀雄

    ○中根国会図書館参事 館長の御説明ちよつと補足いたします。職員の中に、先ほど御説明申し上げましたように、雇用人主事以上と二つにわかれておりますが、雇用人の方は職員定員規程の上に載りません。先ほど六十六名の増員と申し上げましたのは、雇用人を含んだ数でございます。従つて主事以上の数にいたしますと、三十九名が増員であります。お手元に差上げました紙で御説明を申し上げますと、一番上の人数は現在の各職別の定員でございます。その次のは今度定員改正することになつてプラスする数になります。その内訳がその下に書いてございまして、たとえば専門調査員で申し上げますと、二名増員でございまして、その二名全部新規に予算をとれたわけであります。七月一日からの増になるわけであります。それから司書について申し上げますと、現在三十四名が定員でありまして、この内訳から申しますと、新規に一名、これは予算増であります。大倉山のために増になつております。この十五名は、定員規程に載つておりません雇用人のわくの中から昇格をして、名義上十五名の増員をする、そのために形式上の増員が十五名でございます。それをプラスいたしまして、結局十六名の増、これが増の根拠数になります。同様にいたしまして、調査員につきましても十六名増でありますが、その内訳を申しますと、十名が調査立法局において新規に増員した分でございます。六名は従来調査員でありません者、ここはちよつと複雑になりますが、必ずしも主事補ではございませんで、主事の中から六名を上げることになつております。備考の方をごらんいただきますと、主事から昇格五名を、これは七月から、一名は四月から、これが昇格六名の分でございまして、それを加えまして、十六名増ということになります。参事について申し上げますと、八名増になるわけであります。その内訳は主事から昇格いたします分が十一名でございます。そうしてこの赤字になつておりますのは参事から司書の方に転換させる者が三名ございます。従つて十一名から五名を減じました八名だけがこの規程の上に現われます増員となります。主事につきまして申し上げますと、五十名の増になりますが、その内訳は、予算の上におきまして新規にとれましたのは二十六名でございました。そうして主事補の中から昇格をして持つて参りますのが五十三名でございますが、そのかわり先ほど申上げましたように、この主事の中から、さらに参事なり調査員、あるいは司書に持つて行く分がございますので、それを差引きまして、五十名が表に出て来る最後の増員ということになつております。これをそれぞれ現定員増加いたしまして、九名、五十名、四十六名、三十五名、百八十九名、こういう計数になります。
  38. 村瀬宣親

    村瀬委員 将来のためにいま一度お伺いしておきますが、たとえば参事に例をとつてみますと、予算の上では一つもふえていない、ところが実際は八名ふえておる。そうすると、こういうことが来年も、再来年も行われるのでありますか。
  39. 中根秀雄

    ○中根国会図書館参事 実は前年度もちようどこれと同じ時期におきまして、こういう意味合いにおきまする増員を御審議いただいたわけでございますが、図書館職員はその部署の要求から、大学程度、比較的高等の教育を受けた者が経歴上職員に採用されておるのです。それらの職員につきましては、各省等にもしそれらの学歴を持つた者がおる場合には、ここで申しますれば主事以上、すなわち三級官以上に取扱われるわけでございます。ところが本館の予算の建前から、これを一応主事補で採用しなければならぬような建前になつておりますので、漸次年所がたちますにつれまして、適当なる基準をもちまして、上に昇格すべく席を設けて、従つて下の席を減らしまして、上に昇格して行くという方法をとらなくてはならぬと思います。来年度等におきまして、またどのくらいそういうものが出ますか、まだ研究いたしておりませんけれども、将来にもそういうことが考慮されると思います。
  40. 東井三代次

    東井委員長 ほかに何か御質疑はございませんか。瀬瀬御質疑がないようでございます。それでは国立国会図書館組織規程の一部を改正する規程案国立国会図書館職員定員規程の一部を改正する規程案及び国立国会図書館支部上野図書館組織規程の一部を改正する規程案は、いずれもこれを承認することに御異議はございませぬか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 東井三代次

    東井委員長 御異議がないようでございます。それではこの三規程案に承認を与えることに決しました。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後四時十四分散会