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1951-08-10 第10回国会 衆議院 人事委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年八月十日(金曜日)     午前十一時五分開議  出席委員    委員長代理 理事 藤枝 泉介君    理事 田中 重彌君 理事 淵上房太郎君    理事 平川 篤雄君 理事 松澤 兼人君       加藤隆太郎君    西村 久之君       本間 俊一君    藤井 平治君       今井  耕君    成田 知巳君       八百板 正君    岡田 春夫君  委員外出席者         人  事  官 山下 興家君         專  門  員 安倍 三郎君     ————————————— 八月十日  委員梨木作次郎君辞任につき、その補欠として  加藤充君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 六月五日  公務員勤務地手当支給地域に関する件 の閉会審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  派遣委員より調査報告聽取  給與ベース改訂に関する説明聽取     —————————————
  2. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 これより人事委員会を開会いたします。委員長におさしつかえがございますので、しばらく私がその職務を代理いたします。  当委員会閉会中の審査事件である、公務員勤務地手当支給地域に関する件につきましては、各地委員を派遣いたしまして、実地にその実情調査いたしましたので、ただいまより派遣委員より、各地における調査の結果につきまして報告を聴取いたしたいと思います。なお報告を行う際、忌憚のない御意見をお述べ願うため、外部よりの傍聽を禁止いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 御異議なしと認めます。よつてさよう決定いたし、報告聴取を終るまで傍聴を禁止いたします。  それでは、まず最初に北海道班報告を聴取いたします。田中重彌君。
  4. 田中重彌

    田中(重)委員 北海道地区地域給についての調査報告を申し上げます。  調査資料北海道庁の方でとりまとめていただくようにお願いしてありましたが、まだ到着していませんので、資料分析計数整理等の詳細は後日に譲りまして、総括的に御報告を申し上げたいと思います。あらかじめその点御了承おきを願いたいと存じます。  さて先般人事院より勧告されました別表、すなわち地域給支給地域区分表によるところの北海道地区支給地域区分は、昭和二十四年五月、十一月、昭和二十五年五月の三回にわたつて行われましたS・C・P・Sの地域差指数操作、及び北海道庁より人事院に提出されましたところの地域指定希望順位表を基礎としてなされたものと思われまするが、現地調査によつて、多くの矛盾があり、不均衡があり、脱落があることが判明したのでございます。その不完全なる地域区分は、根本的には立案当事者北海道地区実情についての認識の不足、調査不十分等より来るところの無知識によるものでありまするとともに、さらに北海道庁当事者が、北海道地方事情を十分に調査した上の立案でなかつたことによるものであろうと、さように考えるのでございます。  さき希望順位表にしましても、札幌在住の各官公衙首長連絡協議会によりまして原案がつくられたのでございまするが、これは札幌を中心に地域名を拾い上げ、グループといたしましてまとめたものでありまして、順位もきわめて大づかみにA、B、C、Dと四段階に区分されているのにすぎません。それを人事院では形式的に切り捨てたので、S・C・P・Sの地域差指数では一級地となるべきところの檜山支庁管内におきまするところの江差町が指定より漏れておるようになつたのでございます。またさき首長連絡協議会連絡がなかつた地域、また関心を持たれなかつた地域は当然脱落することになつたのでございます。たとえば石狩支庁管内の手稲村、後志支庁管内の岩内町、胆振支庁管内の安平村等がその著名なる例であるのでございます。  人事院当局級地格付原則としてあげておるところの既得権を尊重する点でございまするが、当面その既得権を持たない北海道地区は、その恩恵に浴することがないのであります。歴史的に見まして、北海道地区においては、公務員給與内地公務員よリも相当額上まわる特別な処置がとられておつたことは御承知通りでございまして、これが全公務員が一律給與となりましたので、現実はあたかも減俸のごとき姿となつたのでございます。別途に石炭手当とか、あるいは寒冷地手当とかの特殊手当がありまして、それをカバーする形になつております。しかしながら実情は、これらの給與が十分なるものでございませんので、勢い本俸の方を食い込んで行くのであります。この北海道地区公務員歴史的既得権相当考慮されるべきものではないかと考えるのでございます。経済開発を焦眉の急務といたしておりまするところの北海道地区におきましての人材集中のことを考えますれば、北海道には特別なる措置がなされなければならないと、各地開発担当部局におきましても強くその点を力説されておるのでございます。このことは教育の面においても考えなければならないと思われるのでございます。北海道地区に無資格教員の数が非常に多いところの実情は、歴史的なこの給與特別措置を大いに反省させる点であろうと考えるのでございます。  さらに第二の原則ともいうべきS・C・P・Sの尊重でございまするが、三回のS・C・P・Sのあとにおきまして、経済変動の特別にはげしかつた北海道地区においては、その調査がすでに時期的に古きに過ぎ、実情に遠く、現実に即さないものがあるのでございます。なおこの調査を重要視することにつきましても、二つの難点がございます。その一つは、五月と十一月の調査時日についてでございます。この調査では年間実情を把握することができないのでございます。年間実態相当食い違いがあるのでございまして、たとえば釧路市並びに函館市のごときも、その経済状況が漁期と密接に関係する地域では、五月と十一月では、まつた年間経済状況を判断することは不可能視されておるのでございます。さらにその調査対象関係で、公務員経済状況とあまりに食い違いを生ずることが多々あるのでございます。室蘭市のごとき、その人口の大部分を鉄鋼業関係で構成する都市では、その調査対象もその方面の数が多くなされておるのは当然でございます。この鉄鋼業関係職員経済生活は、公務員経済生活とは相当の隔たりがありまして、この計数では公務員経済生活を示すものではないことは、十分考え得ることと存ずるのでございます。旭川市、苫小牧等パルプ工業関係職員の多い地域、その他炭鉱地帯に近接する地域は同様の事情にあるのでございます。具体的な一例でありますが、岩見沢市において、その調査対象になりました商家では、家族構成員九のところで、主食費がほとんどゼロというような例がございます。これは物交によりまして主食を得たので、数字に換算することを知らなかつたり、税金その他の理由で、きわめて消極的にこれを報告しておるという例が多々あるのでございます。地域差指数について、その標準誤差を勘案いたしますれば、札幌市は五級地となることも考えられるのでございます。この標準誤差操作することによりまして、計数的に北海道地区相当引上げが可能となつて来るのであります。元来地域給は、生計費の高い地域公務員特別手当といたしまして給與されるものでありまするが、生活水準の問題を別といたしまして、最近の北海道地区物価事情を見ますると、物価札幌、小樽、すなわち札幌地方を底といたしまして、それに輸送費が加り、地方に行けば行くほど高くなつておるのでございます。札幌地方がすでに内地よりも一割ないし二割の物価高であるのに、地方ではさらに一、二割高くなるのでございまして、この点で地方公務員生活相当に深刻なものがあるのでございます。特に主食生産のほとんど望まれない地域、すなわち道北または道東の稚内市、網走市、釧路市及びその周辺町村公務員生活は、まつた最低生活を維持することすら困難な実情にあるのでございます。  北海道本州から離れた孤島でございます。しかも地下資源に恵まれました未開発の地でございまして、さらに人口は最近急激に増加をし、その国土としての重要性を認められるに至つたことは御承知通りでございます。産業日本復興重要地帯として、最近大いに発達し、生活水準相当高くなつて参つておるのでございます。北海道は資材は豊富でありまするが、製品加工会社はほとんどないのでございまして、一般日用品はすべて本州、特に関東関西に依存しておるのでございます。そのため一般日用品は、輸送費中間商人の手を多く経まして、関東関西物価よりも平均一割ないし三割の高価になつておるのでございます。それに北海道内は交通網もまばらで、ございまして、各町村交通機関の便のないところも数多く、また極度の寒冷地であるために、被服、燃料並びに一般日用品必要度が、他の地方とは比較にならない状態でございます。物価の高いことは各種調査によつてすでに明瞭であります。一方民間会社生産者は、生活水準相当つており、また寒冷地に対する生活にふさわしい待遇を受けておりますとともに、一般物価引上げておりまするが、公務員全国一率の給與のもとにあつて道外各地とは比較にならない生活を余儀なくされておるのでございます。この実情では、特に人事行政において北海道に有能な人材が得がたいことは、公務員に対しまする給與北海道の特性に沿わないためであると極言しなければならないのでございます。級地決定の完全なる公平はきわめて困難でございます。しかしながら北海道地区においては、その特殊條件を勘案されまして、当面の問題たる経済開発に多くのよい人材を得ますために、早急にこれらの問題を決定し、解決しなければならない、かように考えて参つたのでございます。  きわめて簡單でございまするが、以上概略を申し上げまして御報告といたします。
  5. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 次に、南海と申しますか、和歌山香川愛媛徳島奈良の各県を調査して来られました第四班の報告を聴取いたします。松澤兼人君。
  6. 松澤兼人

    松澤委員 衆議院人事委員会国政調査第四班といたしまして、不肖、藤井委員及び安倍専門員三名がこれに参加いたしまして、私たちは六月二十七日東京を出発いたしまして、奈良県、和歌山県、徳島県、香川県、愛媛県の地域給指定に関しまして、十日間にわたつて実態調査をいたしたのでああります。期間は十日間というきわめて限られた短かい間に、五県にわたる各都市について詳細に調査をするということはほとんど不可能でありましたので、一つ県内バランスに精通しております県当局意見を聞き取ること、それから二つは、あらかじめ県当局に依頼をいたしまして、人事院勧告に対する修正要求を提出しております各市町村代表者と県市において懇談をいたしまして、それぞれの級地修正希望を聞き、その修正理由根拠を明らかにし、なお説明を聞くだけでは不十分であると考えられます点につきましては、資料を提出してもらい、この資料に基いて修正根拠が当を得ているかどうかということを明らかにしたのであります。第三には、特に必要と考えられる場所につきましては、現地におもむきまして、その都市実情を観察し、それぞれ各地の間の均衡ども参考のために調査をいたしたのであります。  私たちが特に今回の調査において留意いたしました点が二つあるのであります。一つは五月十七日の人事院勧告の内容が、はたして府県間のバランスがとれているかどうかということ、及び県内におけるアンバランスの点がないかどうかという点を注意いたしました。他の点は、昭和二十五年法律二九九号において、勤務地手当を支給するのは單に物価が高いところに支給するというのではなく、生計費が著しく高いところにこれを支給するということになつておりますので、その都市生活水準の高さを裏書きするような点を重要視いたしまして、これを調査し、また資料もそういう点を特に説明するような資料を提供してもらつたのであります。総理府実施のS・C・P・SあるいはレギュラーなC・P・Sは、その町の生計水準物価とのマッチしたところを表現しておりますので、特別C・P・S及び普通のC・P・Sの対象なつております都市はもちろん人事院方式による原則によつて、その地域差指数標準といたしたのでありますが、單に私的につくられた生計費調査や、あるいは自由物価指数というものは、なるべくこれを採用しないようにいたしたのであります。特別C・P・S及び普通のC・P・Sの指数のないところは、前述のごときその都市生計水準の高さを示す資料分析と、県内バランス府県間のバランスを考えて級地修正をしなければならないと考えたのであります。  各都市資料は、安倍専門員の手で十分克明にこれを分析し、ようやくこれを完了いたしましたので、文書または口頭をもつてこれを詳細に申し上げることができるようになつておりまして、各都市につきまして、人事院区分が適当であるかどうかということを各種の観点からこれを分析いたしましたので、それぞれ各都市についてわれわれの修正が適当であるという説明をする根拠として信頼の置けるものでありますけれども個々市町村についてこれを説明することは、とうてい短かい時間ではできませんので、われわれといたしましては、質問があつた場合に、あるいは市町村個々のものについて不適当であるという御指摘がありました際に、実際の分析計数等によつて説明申し上げることにいたしまして、個々市町村級地引上げその他につきましては、これはまた別の機会研究をしなければならないのではないかと考えます。ただ問題となりますことは、人事院勧告におきまして、市町村字指定ということが行われているのでありますが、これは国家公務員本位に考えれば、こういうことはあり得ることでありますけれども、しかし実際地方におきましては、ある市町村字指定なつておる関係上、行政上非常に迷惑を受けているところもあるのであります。この点につきましては、指定の仕方を町村指定という形にかえるか、さもなければ別個に、地方公務員につきましては府県條例なり、あるいは市町村條例等でこれらの点は規定しなければならないのではないか、こういうふうに考えたのであります。  以上が私ども方針であり、かつまた私ども実地調査いたしました場合に受けた感想であります。特に申し上げたいことは、私ども調査いたしました所は、京都大阪兵庫という、いわば日本における重要産業府県周辺の県を調査したわけでありまして、その経済的な物資の交流関係等を考えてみまして、比較的にそういう重要産業府県に近接しておりながら、一方におきましては非常に山間部があるというようなことで、その県が著しく京都大阪あるいは兵庫などに比べまして差がついているということを、どこにおいても聞いたのであります。この問題を根本的に議論して参りますと、地域給そのものがはたして適当であるかどうかということになつて来るのであります。この問題を別といたしますと、私どもが考えております府県間のアンバランス、あるいはまた府県経済水準というものは、何とか合理的あるいは科学的に是正されなければならない。あるいはまたこれについて根本的な考慮を拂わなければならないという点を強く感じたのであります。各府県にわたつてこれを御説明いたすことになつていますが、一応各県につきまして、級地引上げ希望するもの、あるいは新しく指定をしてもらいたいという要望のあるもの、大体においてこれを網羅いたしまして、お手元に差上げてございますが、ある県などにおきましては、非常にたくさんその希望があるのであります。これを一々申し上げている時間がございませんので、これは省略いたしますけれども、いずれ最近の機会におきまして、各班の調査報告等を勘案いたしまして、現地における要望が適当であるかどうかという問題につきましては、全国的にバランスをとつて、これを委員会において決定をすることが必要であると考えますので、委員長におかれましては、できるだけすみやかな機会に、総合的にこの報告を承認していただき、かつまたその各地要望決定していただくような機会をおつくり願いたいと存じます。以上をもちまして私の第四班の報告を終了させていただきます。  なお委員長了解を得まして一言申し上げたいのは、岐阜県は今回の調査対象なつておらなかつたのでありますが、特に現地希望もございましたので、私調査に伺わしていただきました。その報告はこれもまたお手元に差上げてございますので、ごらんを願いたいと存ずるのであります。なお高知県におきましては、これも調査対象なつておりませんでしたけれども、その後高知県からは三箇所について希望が出て参つております。これはいずれ印刷いたしましてお手元に差上げたいと存じますので、この点につきましても御考慮を得たいと存じます。  なお最後に、この印刷物にもしも脱漏等がございましたならば、班の構成員であります藤井委員あるいはまた安倍専門員などと協議の上、便宜委員長の御了解を得て、つけ加えさしていただくこともあるかもわかりませんので、その点もあらかじめ御了承を得たいと存じます。以上をもちまして報告を終ります。
  7. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 次に北九州の各県を調査せられました第五班の調査報告を聴取いたします。淵上房太郎君。
  8. 淵上房太郎

    淵上委員 私は崎川調査員と同行いたしまして、先般九州調査に当つたのであります。ただ九州につきましては、宮崎県と鹿児島県は一応調査対象からこの機会には省略することにいたしまして、福岡佐賀長崎熊本大分、この五県を調査したのであります。調査につきましては、先ほどもお話のありましたように、まず県庁に行きまして県庁意見を聞き、われわれの意見、また方針も述べたのであります。まず福岡県につきましては、御承知のように全国の金の一割が毎日働いているといわれている県のことでありますので、福岡周辺人たち県庁に集まつてもらつて、それぞれ具体的に陳情あるいは意見を聞き、それから飯塚市におきましては、その地方と、東の方の豊前地域との八市六郡の公務員関係の人に集まつてもらいまして、さらに同様に意見を関き、調査を遂げたのであります。久留米市におきましては、二市六郡の筑後地方関係者に寄つていただいてやつたのであります。次には佐賀県庁に行きまして、県内の御関係の人に寄つていただきました。長崎市においても同様にやりました。それから熊本県、大分県におきましても同様の調査方法でやつたのでありますが、何しろ時間が十分でないのでありまして、私自身十分な調査ができたという確信は持つに至らなかつたのであります。大体の結論としましては、先ほど田中松澤委員よりの御報告の中にありました点と、非常に共通した点が相当あるのであります。その点はこの機会に省略させていただきます。ただ問題は、朝鮮事変が起きましてこの方、非常に情勢がかわつておることは各地とも同様であろうと思うのでありますが、ことに九州地区は、連合軍作戦第一線基地でもあるといわれておる所でありまして、昨年五月のCPSの調査以後の状態は著しくかわつておるということを、まず根本において念頭に置かなければならぬということを感じておるのであります。事実また非常な相違を来しております。県庁のかねがねれの報告なり、内申なり知事の推薦等につきましても、先ほど北海道について御報告がありましたように、県庁自体におきましても、いろいろそのたびごとにかわつて来ておるのであります。かわつて来るというのは、調査研究の結果がかわつておるのでありまして、まことにけつこうなことでありまするが、ここにわれわれ衆議院としまして、またわれわれ衆議院自身の独特の責任をもつて調査しなければならぬということを感じたわけであります。各市町村別級地を何級にするかという問題につきましては、先ほど希望がありましたように、私も別な機会をおつくりいただきまして、それぞれ他の地方、各市町村級地と照合勘案いたしまして、御協議、御決定を願いたい、かように希望しておる次第であります。詳細につきましてはその機会報告させていただくことにいたしまして、以上特に感じましたことの一、二を申し上げて、報告を終ることにいたします。
  9. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 残余の二つの班の報告聴取は、後日に延期いたしたいと思います。なおこの残りの報告を聴取した後に、委員各位の御希望にありましたように、全国的な検討を加えるための委員会を開催いたしたいと思います。  それでは外部傍聴を禁止いたしておりましたが、報告が終りましたので、これをもちまして傍聴を許すことといたします。     —————————————
  10. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 この際松澤委員より、勤務地手当に関連いたしまして、給與改訂問題に関し、政府当局説明を求めるための発言要求がありますので、これを許します。松澤兼人君。
  11. 松澤兼人

    松澤委員 山下人事官はただいまお見えになりましたので、私ども地域給の問題につきまして、各地国政調査に参りましたそのいろいろのくの報告につきましても、お聞きにならなかつたのでありますが、私ども現地に参りまして、いろいろ地域給の問題を掘り下げて議論いたしておりますと、結局国家公務員の諸君は、給與がほんとうに生活を維持するに十分であるならば、こういうむずかしい地域給の問題は、やめてしまつた方がいい、こういうような意見が非常に多く出て参つたのであります。この前の委員会におきましても、あるいはまた本会議におきましても、公務員ベース・アツプの問題が種々論議されまして、八月になつたならばベース・アツプ勧告をするということを、人事官は言つておられたのであります。承るところによりますと、一応は計算ができたというような話でございますが、もしさしつかえがないならば、ベース・アツプ勧告の時期及びその金額などにつきまして、できる限りの御発言を願いたい、こう存ずるのであります。特に私たち承りたいことは、すでに政府といたしましては電燈料金なり、あるいは主食、あるいはその他ほとんど軒並に、物価値上りを押え切れずにやつているようなわけでございまして、この下半期における公務員生活は非常に苦しいものになることが想像されるのであります。人事院計算が、いつの資料使つて、あるいはこれらの物価値上りの傾向をどの程度まで勘案せられているか、これらの実情につきましてもあわせて御説明を願いたい、こう存ずるのであります。
  12. 山下興家

    山下説明員 今の松澤さんのお尋ねについてお答えいたします。勤務地手当というものは、おつしやいますようにまことに不徹底でありまして、理想的のものはどんなに骨を折つてもできないのでございます。それで前にこしらえてありました地域給というものがぐあいが悪いから、いくらかこれを理論に合うようなものにしたいというので、この一年半も努力をいたした結果、五月に勧告したということになるのであります。何としても川一つ隔てて五%違うとか何とかいうことになりますと、どうしても理論がつかないのでございます。私どもとしても、こういうものは極力早くやめたいと思つておるのでありますが、それには相当な費用がかかる。今もらつておるものを減らして、簡單に減らし得るならともかくも、それが不可能であるとなると、これを一つのものにして、それを給與に繰込んで行くという操作をするのには、相当金がかかりますから、その時期について私どもは見合つておるのでありますが、まだうまい案が出ないのでございます。  それで給與ベース改訂の問題でありますが、この前勧告いたしましたのは、御承知のように昨年の五月の調査の結果、八月に勧告をいたしまして、それが実施されたのが、御承知通り本年の一月からであるのでございます。それからあと物価がだんだん上つて来ますし、また民間給與もどんどん上昇して来ますから、これはどうしても十分に研究しなくちやならぬというので、研究をしたのであります。ところでその勧告の時期と申しますと、これはなかなかむずかしいのでございまして、補正予算なり、とにかく予算が編成され、国会で審議される、その予算の中に繰込むのに十分な時間がなくちやならない。それで内閣においても、人事院勧告が正しいか正しくないかということを十分消化して、それを予算に繰入れなくちやならぬわけで、それには相当な期間がそこに必要であるということが一点。しかしそこに掲げました資料というものは、できるだけ最近の資料であることが望ましいのであります。私どもは想像によらないで、すべてりつぱな統計を基礎としてやるという方針を立てておりますから、その資料はできるだけ新しい資料を使わなくちやならぬということで、その間にはさまれまして、いつ勧告をするかということは相当むずかしい問題になつておるのであります。しかしいろいろな情勢から考えまして、この次の補正予算が出るのに間に合うようにといえば、まず今ごろが適当ではないかというふうに私どもも思うのでございます。今松澤さんがおつしやいますように、八月に入つたらなるべく早く出したい、こう思つて研究しておるのであります。その使いました資料はそれじやいつかと申しますと、民間給與調査いたすのが基礎でございますから、その元はこういうことでございます。公務員給與は民間の給與に合わすのだ、それをモツトーとしておるのでございます。という意味は、公務員は国民に対して奉仕をするのだ、それで国民は公務員に対してその代償として給與を支給するのだという建前に立つてつて、一方公務員の方は争議権を奪われておるのだということから、人事院公務員の方も満足さす、同時に納税者である国民も十分これを満足してくれるという数字を出さなければいけない。その出すのは何によつておるかといいますと、国民全体の平均の生活水準公務員を持つて行くということについては、国民はこれに対して反対をとなえる人はないであろうという考え方からいたしまして、民間の給與をまず調べて、それに合わすのだという方針をとつて来ておるのであります。その調査はいつのでやつたかと申しますと、五月のでございます。すべて五月の基礎によつてそういう調査を全部いたしまして、できた結果を今度勧告しよう、そう思つておる次第でございます。  それでは金額は幾らか、こういうことになりますと、どうせ近いうちに、数日中に国会並びに内閣にこれを勧告するのでありますから、そのときに金額はお譲り願いたいのでありますが、大体の見当を申しますと、まず一万一千三百円見当とお考えくだされば、大した間違いはないだろうと思います。それがいつ実施になるのかということでございますが、ある人は五月で調査をしたから、五月にさかのぼるべきだという考えをしておる方もありましようが、私どもとしては、これは勧告をする時期によるべきだと思います。なぜかといいますと、何号は幾らになるという切かえ表をずつと出さなければなりませんから、その切りかえ表はいつの切りかえ表になるかということできまるわけでございます。それは七月末現在での切りかえ表を使いました。それで結局八月一日から実施されるものということを期待しておるわけでございます。それの中に、松澤さんが今御指摘になりましたように、主食、電気料金、税、その他はどう考慮されておるかということでございますが、米の値上りということだけは、これは確かに八月一日からになつたのでありますけれども、電気料金とか税がどれだけふえるか、減るかというようなことは、はつきりまだわからないのでございますから、私どものとつた策としては、主食だけを考えに入れたのでございます。その主食は、どういうところを勘定に入れたかと申しますと、今の給與は民間の給與に合わすということを土台としておりますが、しかし一方われわれが給與研究をした初めからとつて来た策は、独身の約十八歳の男子がどれだけの摂取カロリーを必要とするか、どれだけの生活費があればよいかという計算をまずすることになつております。理論生計費の中へ主食がどれだけ入るかということを計算いたしますが、それは約十八歳の成年男子が水準のカロリーを摂取するといたしまして、幾らの金が必要かということになるのでございます。それを大体計算いたしましたところ、勤務地が、いなかにくつついていないところにおきましては、約四千二百円程度になるのでございます。それで実はこの前の勧告のときは、その点と十四級の六号のような高いところをとりまして、それの間を等比級数で結びつけたのであります。今度はそれよりももう一層合理的にやろうといたしまして、七級はどういう仕事をしているか、八級の人はどういう仕事をしているか、民間の仕事と公務員の仕事をぴたつと合うように職務内容を調査いたしまして、七級はどこ、八級はどこというようにずつと点をとりまして、それの平均を出して、それに合わすようにしてあるのであります。それですから、今までよりもそれはよほど合理的になつているとうぬぼれているわけであります。大体そういうことでお答えといたしたいと思います。
  13. 松澤兼人

    松澤委員 大体勧告の時期は数日中ということがわかりましたし、金額も大体わかりました。十八歳の独身の男子が四千二百円でなければならないということもわかつたのであります。そこでお伺いいたしたいことは、この前の八千五十八円の勧告の場合も、上下の幅というものは、政府の千円ベース・アツプによつて大分かえられているわけであります。政府がこの一万一千三百円というものを全面的にのめばいいのでありますが、これがもしかりにこの前のように千円なりあるいは千五百円なりというこま切れ的なベース・アツプになりました場合には、せつかく御苦心をなさいまして、上と下との中間にあります各職務の内容というものを、民間と比べて合理的にカーブをおつくりになつても、結局そういう合理的な面がまた非常にそこなわれるのじやないかということを心配するわけであります。この点いかがなことでございましようか、この点をお聞きいたしますことと、それからもう一つ給與準則の関係であります。これはベース・アツプに当然関連して来るわけでありますが、ベース・アツプ勧告と同時に、給與準則というものについての御構想を発表なさるお考えがありますか。あるいは給與準則の方は遅れるということになりますか。あるいは現在それぞれの職務につきまして、特別俸給表の適用を受けておつたり、あるいは調整号俸の支給を受けたりしております人々に対しましては、これはどういうふうなお取扱いになりますか、その点につきましてお伺いいたしたいと思います。
  14. 山下興家

    山下説明員 八千五十八円の勧告をいたしましたときに、御承知のように国会に提出せられました案は、私どものと違つてつたのでございまして、まことに残念に思つたのでございます。あのときは御承知のように最高の十四級六号と、それから今の十八歳の男子のとの、この二つ給與の点を結びつける曲線を引いたのでありますが、それが内閣の方といたしましては、私どものこしらえた数をとつて、そして私どもと違う曲線ができたので問題になつたのでございます。なるほどそういうこともできますから、私どもの方としては、もう少し精密にやらなくてはならぬ。今度はもう少し精密にやらなくてはならぬということから、すべての点を、たとえば七級はどうだ八級はどうだとずつと点をとつて行きまして、その中を数字的にまず正しいと思う曲線を引いていつたのであるから、同じ資料からもう一つ別の曲線ができるとは想像できないのでございます。それで結局問題としましては、この前私はあの国会のときに申したように、もしも金全体がそれでまかなえないなら、何割引だとかなんとかいうことなら、国会で審議願えば、国民が一体そう思つておるのかどうか、公務員給與というものは国民の平均の給與であるべきだ、こういうことを公務員要求をしても、それはしばらくがまんしろということが真意であるなら、これは何パーセント減ということがいわれるべきではないかということを私は国会で申したのでありますが、今度はもしも引かれるなら、やはり何パーセント減というようなことで、それが国会で審議されるということになるのではないだろうかと想像するのでございます。私どもの考えでは、二つのカーブは引き得ないのではないかということを考えております。  それから準則のことでございますが、できるだけ早くこの準則を打立てたいと思つて研究をしておりますが、今度の勧告は、この時期において勧告するのは何のためかというと、予算に編成してもらうのに十分考慮をしてもらう時期に出すという意味で、こんなに早くやるのでございますけれども給與準則の方はそう早くでなくても、次の——今度はどういう国会になりますか知りませんが、十二国会になりますか、とにかく予算について審議せられます国会が開かれる場合に間に合えばいいと思つて、一生懸命に研究しておるのでございます。もしも間に合いますと、今度は給與に関する法律というもののかわりに給與準則を特に出したい。それがどうしても間に合わないときには、これは別になるかもしれませんけれども、心持としてはできるだけ早く給與準則を出して御審議を願いたい、そういうふうに考えております。  それからもう一つ御指摘になりました特別俸給表の問題でございますが、そういうものは今申しましたように、給與準則のときには全部取上げなくてはならぬ事柄でございますから、それが大体同じ国会に出る。十二国会でありますか、何か知らぬが出るという腹でありますから、必ずしも今度の中に特別俸給表を入れる必要はないと思いましたが、しかし郵政、電通、その他の現業員の方では、どうしても特別俸給表を考えてもらいたいという熾烈な要望がありましたので、それを今考えて織り込みまして、給與勧告の中に入れる計画をしております。
  15. 松澤兼人

    松澤委員 本日は山下人事官から、最近のベース・アツプに関連する問題につきまして、たいへん重要な御発言をいただきまして幸いだつたと思います。ただ一つ最後に御希望を申し上げておきたいことは、せつかく八千五十八円の勧告をなさいまして、人事院が合理的な給與体系をどこまでも維持しよう、こう考えておつたのに、政府が千円のベース・アツプというようなことで科学的、合理的な給與体系が幾分ゆがめられたという感じをわれわれは持つたのであります。このたび一万一千三百円という勧告があつたときに、また政府は千五百円なり、あるいは千円なり、ベース・アツプをするということになると、この一度犯したあやまちの上に、もう一度また非科学的な、非合理的なベース・アツプを積み重ねて行くということになるのであります。この点、こういうことをいつまでも続けて行きますと、せつかく勧告が合理的でありましても、現実給與、あるいは給與体系というものは、非常に理想と離れたものになつて行きはしないかということを、重ねて私どもは憂えるものであります。そこで願わくは政府等ともよく御連絡くださいまして、どこまでも科学的なものを政府に取入れさせるという御努力を願いたいと存じます。かつまた私は勧告の時期について、まことに皮肉を申し上げるようで相済みませんが、この十六日から開かれまする臨時国会が終了した後に勧告があるのではないか。どうも人事院は国会をおきらいになりまして、国会があるときには勧告をしない。国会が済んでから勧告をされるという慣習か何かがあるように考えますので、今回の勧告も十六日、十七日、十八日、それからそれが済みましてから、大体二十日ごろ勧告があるものと私どもは想像しておりますが、この点はいろいろ政府の方にも用意があることと存じますので、なるべく早く勧告を出していただきたいということをお願いいたします。こまかい点につきまして、現在のところ意見を申し上げる段階でございませんので、それ以上何も申し上げません。  以上希望をひとつごしんしやくくださいまして、善処していただきたいと思うのであります。
  16. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 本日はこの程度にとどめまして、次会は公報をもつてお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時十一分散会