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1951-05-19 第10回国会 衆議院 人事委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月十九日(土曜日)     午前十一時八分開議  出席委員    委員長 田中伊三次君    理事 田中 重彌君 理事 藤枝 泉介君    理事 淵上房太郎君 理事 平川 篤雄君    理事 松澤 兼人君       加藤隆太郎君    塩田賀四郎君       西村 久之君    今井  耕君       中曽根康弘君    八百板 正君       林  百郎君  出席政府委員         人  事  官 山下 興家君         人事院事務官         (事務総局給与         局長)     瀧本 忠男君         人事院事務官         (事務総局給与         局次長)    慶徳 庄意君         人事院事務官         (事務総局法制         局長)     岡部 史郎君  委員外出席者         專  門  員 安倍 三郎君     ――――――――――――― 五月十九日  委員加藤充君辞任につき、その補欠として林百  郎君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 五月十八日  泉南郡下の地域給指定に関する請願外一件(平  島良一紹介)(第一九九五号)  宮崎市外五市及び高千穗町の地域給指定に関す  る請願渕通義君外五名紹介)(第二〇〇二  号)  別府市の地域給引上げ請願金光義邦君外六  名紹介)(第二〇〇三号)  五條、野原両町地域給指定に関する請願(前  田正男紹介)(第二〇一五号)  有田東有田両町地域給指定に関する請願(  中村又一紹介)(第二〇四三号)  岩内町の地域給指定に関する請願岡田春夫君  紹介)(第二〇四四号)  深堀、香燒両村地域給指定に関する請願(松  澤兼人紹介)(第二〇四五号)  倉吉町の地域給存続請願足鹿覺君外一名紹  介)(第二〇四六号)  中村町の地域給指定に関する請願田嶋好文君  紹介)(第二〇八三号)  芦原町の地域給指定に関する請願松澤兼人君  紹介)(第二〇八四号)  郡山市地域給存続請願八百板正紹介)(  第二〇八五号)  北見市の地域給引上げ請願松澤兼人君紹  介)(第二〇八六号)  土生町の地域給指定に関する請願前田榮之助  君外一名紹介)(第二〇八七号)  新潟市外三十一市町村の地域給指定に関する請  願(三宅正一君外二名紹介)(第二〇八八号)  八百津町の地域給指定に関する請願加藤鐐造  君紹介)(第二〇八九号)  粟賀村の地域給引上げ請願佐々木盛雄君紹  介)(第二〇九〇号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  一般職職員勤務地手当支給地域区分に  関し説明聽取の件     ―――――――――――――
  2. 田中伊三次

    田中委員長 それではこれから人事委員会を開会いたします。  議事に入るに先だつてお知らせ申し上げます。この委員会予備審査中でありました国家公務員災害補償法案が、昨十八日参議院修正議決になりまして、本院に送付され、昨日この委員会に正式に付託となりましたのでお知らせ申し上げておきます。なお参議院における修正の箇所を明瞭にするために、印刷をしてお手元に配付をいたしておきましたから御参考にごらんおきください。     ―――――――――――――
  3. 田中伊三次

    田中委員長 それではただいまより、昨日に引続いて一般職職員勤務地手当支給地域区分に関して、政府に対して質問を継続することにいたします。松澤兼人君。
  4. 松澤兼人

    松澤委員 人事官にお尋ねいたしたい問題と、技術的と申しますか、個別的な問題とあるわけでありますが、給与局長に最初にお伺いいたします。  昨日平川君から質問がありました勤務地主義居住地主義の問題であります。この問題について重ねて御質問申し上げたいと思うのであります。現在は勤務地主義をとつておられまして、実際勤務地に居住しておらなくとも勤務地手当をもつらているわけであります。これは将来は、やはり居住地主義に直して行く必要があると思うのでありますが、この点につきまして少し詳しいお話を承つてみたいと思います。
  5. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 昨日人事院総裁から答弁がありましたように、われわれは勤務地主義が現在われわれのとり得る最善のものであるというふうに考えておるのであります。ただし総裁からもその節お話申し上げましたように、勤務地主義というものにさらに居住地主義利点も取入れますように、たとえば大都市周辺を、大都市に準じまして漸次ならして行くというような方針をとつておるのであります。現在のところ、われわれは勤務地主義最善のものであるというふうに考えております。
  6. 松澤兼人

    松澤委員 その点もう少し詳細に承りたいと思うのでありますが、きのうも淺井総裁からお話がありましたように、勤務地手当というものは、やはり生活給の体系に属するものであつて、これはもちろん能率給とか、あるいは職務給といつたものと違つた意味のものだろうと思うのであります。そういたしますと、詳しく申し上げる必要もなく、勤務の都合上、たとえば東京に住んでおつて浦和勤務しておるというような人たちは、非常な不利益を受けるということは当然なのであります。かつまた私どもが心配しておりますことは、そのためにいなかに居住しておつて、しかもまた勤務地手当が高いために大都市に通勤するといつたようなことも、交通上もしくは心身疲労という意味から考えてみましても、やはり居住地において十分な生活ができるように生活補給という、そういう意味から勤務地手当というものを考えてみますならば、もちろん名前は違つて来るわけですけれども、どうしても居住地主義でなければならない、将来はどうしても居住地主義に切りかえるべきであるという感じを持つのでありまして、この点もう少し利害得失ということをお話願えればけつこうであります。
  7. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 勤務地主義居住地主義とどちらがよろしいかという問題になつて参りますと、いろいろ両者に利害得失があるかとも考えるのであります。ただいま御指摘のように、一応生活給ということに立ちますならば、居住地主義が一見よろしいように見えるのでありますけれども、しかしながら非常に遠隔の地から通勤うるということはあまり多い例ではないのであります。ことにそういう例がかりにあるとすれば、大都市あたりにあるのでありまして、地方都市等におきましてはあまり遠隔の地から通勤するという例はないのではないかというふうに考えます。  それからまた現在の物価事情というものが、それほど地域的に差を設けなければならないような――地域的に差を設けるという意味は、地域をこまく区分いたしまして、差を設けなければならないような状況ではないというふうにわれわれ考えておりますので、今回行いました処置におきましては、相当大まかな地域区分をいたしておるのであります。居住地主義利点ももちろんあるわけでありますけれども、またこれの欠点もあるわけでありまして、言いかえれば勤務地主義利点もあるわけであります。すなわちかりに居住地主義によりまして地域給をつけておるということにいたしますれば、同じ東京の官庁に勤めながら、生活費という問題でそれぞれ差等のある給与をいたすということは、同一勤務場所勤務いたしております場合には、なかなかこれは給与行政上困難な問題があるというふうに考えます。また居住地というものはなかなかはつきりした認定が困難である。この問題は居住地主義の非常な欠点であろうというように考えております。現在の場合におきましては、勤務地主義を生かして行く、しかもなおかつこの居住地ということも相当考慮に入れて行くということが最善方法であるというようにわれわれは考えております。
  8. 松澤兼人

    松澤委員 ただいま大都市では、いなかの方から都会に通つて来る人が多いが、中小都市においては、割合にそういうことがないというお話があつたように私聞きました。しかし実際はそうではないのでありまして、地方都市におきましても、現在の区分から言いますと、三級なりあるいはまた四級なりという地域給がついております都市周辺に、全然ついてないか、あるいはまた一級くらいの地域級がついておる村があるといたしますと、その村に、たとえば十人の学校先生がいる。そういう場合には、八人までは、四級地の地域給のついているところへ、汽車の時間からいえば三十分なりあるいは一時間なり汽車で通勤いたしまして、その勤務地手当の余分についているところへ通勤しておる。そしてその村の十人の学校先生のうちの二人くらいだけが自分の村に住んでいて、自分の村の学校に通つているという事態があるのでありまして、これが逆の場合はほとんどあり得ないと思います。つまり四級地の地域に住んでおりますものが、一級地もしくは全然地域級のついておらない村の学校勤務するという場合はほとんどない。こういうことから考えてみまして、地方におきましてもやはりそういう現象が多く見られるのでありまして、まことに人物経済の上から申しましても、あるいはまた交通その他の混雑、危険ということから考えてみましても、やはり私が申し上げますように、その十人の人たちは、その村で生活ができるような勤務地手当でなければならないのに、高い勤務地手当をもらつている。そういうところの人たちは、そこで勤務するということが適当なんでありまして勤務地が高いために、ずいぶん時間もかかるし、交通混雑している、そういうところに十人の学校先生のうち八人までが通勤しているということは、まことに不合理なことだ、こう思うので、そういう事実がないということは、私は納得が行かないのであります。この点はどうです。
  9. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 先ほど私が申し上げましたのは、大局的なお話を申し上げましたので、今松澤委員の御指摘のような点が全然ないというふうにはもちろん考えません。今御指摘のある村に十人の学校教員が住んでおりますと、その八人までが、交通混雑を冒してやはり地域給のついている大都市に就職を希望したがるという状況はもちろんあると思います。しかしながらこういう問題は、地域給が存置するという限りにおきまして、現在起つております多くの問題の中の一環であろうかというふうに考えておるのであります。今その点を特に強調して御指摘になりますと、そういうことに相なるのでありますけれども、やはりこの問題は、坤域給居住地主義であろうが勤務地主義であろうが、それにはかかわらず、地域差があるということがむしろそういう問題を起しておる根本原因ではないかというふうに考えるのであります。われわれが大局的に考えまするならば、やはり住居さえあれば、何もわざわざ遠隔の地から、心身疲労を伴うような交通を冒して通勤しようとする者は、全般的にはないのではないか。ただ現在交通事情回復状況等ともにらみ合せまして、やはりそういう状況がやむなくある程度あるのではないか、そういうことに対しましては、われわれある程度考慮を払つて行くということでございまするが、根本は、やはり居住地主義勤務地主義かという問題よりも、むしろそれは地域給があるということのために、そういう問題があるのではないかというふうに考えておる次第であります。従いましてわれわれといたましては、むしろこの地域給の幅を狭めるということが問題である。もつともこの点はやはり地方都会地との生活事情接近ということが前提條件でございまするから、その回復接近程度に応じまして、従来三割の開きがあつたものを今度は二割五分に圧縮して行こうと、漸次その方向をたどつておる次第であります。
  10. 松澤兼人

    松澤委員 私どもも、勤務地手当というものをいつまでも存続させなければならないという考えはない、この点はしごく同感であります。しかしそれだけのものはやはり本給をふくらますという形をとつて行かなければならないので、結局ベースの問題と関連して来ると思います。ベースが現在のように三円のベース・アツプだとか何とかいつたような、継ぎはぎだらけのペースである限りは、やはり勤務地手当というものも必要であるし、それが必要であるという前提で私は申し上げているわけであります。その根本的な問題になつて来ると、結局ペース七千九百八十一円で食つて行けるかどうかという問題に関連して来ると思います。先ほどお話がありましたように、今回の勤務地手当区分の一つの眼目といたしまして、比較的大ざつぱにした、ゆとりのある区分をしているということは、私どももこれを拝見いたしましてそういうふうに考えられます。特にほとんど一郡が一体化しているというような事例を所々に拝見しているわけであります。しかし私は、まだ個別的にどこがどうかということは申し上げませんけれども、一例をとつて申し上げますと、大阪及び大阪周辺というものがまだ段階的になつておりまして、必ずしも局長のおつしやるように、一体的な区分をしているということになつておらないように考えるのであります。郡を一体とするということはもちろんけつこうでありましてそれと同時に、大都市周辺にいまだに段階も設けておられるという意味がよくわからない。ほとんどこれは大阪市の延長である、その間にどこが大阪市であつて、どこが何々市であるというような、地理的にも、生活的にも、経済的にも、区分ができないような所、こういう所をまだ段階を設けておいでになるということは、必ずしも先ほど給与局長がおつしやつたように一体化しておらない、こういうふうに感ぜられるのでありますが、その点はいかがでありますか。
  11. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 大都市周辺段階が設けてあるということは、むしろわれわれの方から申しまするならば、従来の大都市周辺で非情に段階がありましたものを、でき得る限りならして行つたということでございます。従いましてわれわれは、府県から出ております順位表ももちろん非常に重要視しておりますが、CPSあるいは特別CPSから求めております地域差指数というようなものに重点を置きまして、漸次段階をなめらかにして行くという作業を行つておる次第であります。
  12. 松澤兼人

    松澤委員 私大阪の場合を申し上げたので、これは必ずしも具体的に深く掘り下げるという考えはございませんけれども、しかし御提出になりましたこの表によつて見ましても、ほとんど周辺都市というものが差がないような特別CPS数字になつております。これをなおいろいろと段階をつけられるという、そういう点がよくわからないのであります。
  13. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいま松澤委員から、われわれが提出いたしました資料につきまして概括的なお話があつたのでございまするけれども、われわれは特別CPS資料を丹念に検討いたしまして、この指数を根拠にいたしまして、そうして漸次ならして行くといと作業をやつた次第でございます。
  14. 松澤兼人

    松澤委員 それでは人事官もお見えになりましたので、別の観点から御質問申し上げたいと思います。さて一応地域給改訂ということが行われたわけでありますが、これが現在のベースの中において占める割合というか、あるいは現在の給与実態から見ますと、八千二百円ないし三百円というお話でありましたが、この中で改訂されました地域給はどのくらいの割合になつておりますか、または全体の公務員の中でどのくらいのパーセンテージの人たちがこの地域給を受けるようになつたのであるか、ベースとの関連におきましてそういう点をひとつ基本的にお話願いたい。
  15. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 今回の地域給改訂によりましてわれわれが当つてみましたところによりますと、大体年間を通じまして、八億ないし九億程度予算の増加を来すのではないかというふうに考えております。従いまして、これは公務員一人当りにいたしますならば、今回の地域給の改正によりまして、七十円ないし八十円程度増額になるのではないかというふうに見当つけておる次第であります。またどれほど公務員の中の割合がこの勤務地手当を受けるかという御質問でありますが、まだ詳しい数字を当つておりませんけれども、従来といえども国家公務員の七割ないし八割程度勤務地手当支給を受けておつたわけでございますから、今回は相当それがふえておりますから、その勤務地手当を受ける公務員の全公務員に対する割合というものは相当ふえておる、こう考えております。
  16. 松澤兼人

    松澤委員 これは個人的の会見の際に淺井総裁が言われたのでありますが、今回の改訂によつて七十五、六パーセントの者が地域給を受けることになるだろうという話を承つたのであります。そうしますと、多少そこに局長との間に数の上で違いがありますが、そんなものでありますか。
  17. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 先ほども申し上げましたように、この詳しい数字は当つておりませんから、いずれ詳しい数字を算出しまして御報告いたしたいと思いますが、総裁が言われましたのも、大略の見当をおつしやつたのだろうと思いますので、その間の見当を申し上げた次第でありますから、十分詳しい数字計算して申し上げたいと思います。
  18. 松澤兼人

    松澤委員 先ほど私が御質問申し上げました現在の給与実態から申しまして、公務員ベースというか、平均給与八千二百円から八千三百円、この中において新しく改訂されました地域給を含めましての給与内容というものはどういうふうな区分になりますか。これをひとつお教え願いたいと思います。
  19. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 八千二百円ないし八千三百円と申しましたのは、本年の一月一日現在におきまして、すなわち給与ベース改訂がございました直後に、その程度に相なつておるのではないかという大体のところを申し上げたのであります。ところがその後におきまして、三月末あるいは四月一日現在で昇給ということが行われております。従いましてそのためにどれほど全体の水準が上つておるかということは、ただいまのところまだ見当がついておりません。そういう事情がございますので、なかなか詳しいお話が申し上げにくいのでございますけれども、大体におきまして、本俸が一月一日現在で申しますれば、六千四百円ないし六千五百円くらいに相なつておるのではないかと考えるのであります。また勤務地手当がおそらく七百円ないし八百円程度であろう。これは一月一日現在でありますから、さらにそれから七十円ないし八十円は増額しておるのであろう。しかし四月の昇給によりまして、本俸がある程度増額になつておりますし、そういうことになりますと、また勤務地手当が自動的に動いて来るということもございますので、詳しいところは現在はつきりいたしません。大体の見当はそういうところであります。
  20. 松澤兼人

    松澤委員 次に一月から勤務地手当が五分引きになつたのでありますが、この五分引きになりましたものは、今回の改訂によりまして多少とも埋められておりますか、あるいは五分引きというものはそのままになつておりますか、平均的に考えてどういうことになりますか。
  21. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ちよつとお尋ねいたしたいのですが、勤務地手当というわくをひとつ考えて、それの予算がふえておるかどうかというお話でありましようか。
  22. 松澤兼人

    松澤委員 個人的に、平均してお聞きしたいと思うのであります。あの当時たしかいわれていたことでありますが、二人当り給与の中において、千円のベース・アツプというけれども、しかし勤務地手当の五分引きが三百八円程度のものが含まれている。そして調整号俸のほとんど半減が、百七十八円ほど計算される。四百八十六円程度のものは、そういつた調整によりまして減額されているのだという話が種々伝えられておつたのであります。そういう点がもしあるといたしますならば、給与内容は、実際は千円のベース・アツプではなくて、もつと少いベース・アツプであろうと考えられる。それを今度は七十円から八十円ベース・アツプなつたといえば、そのまま七十円、八十円というものはプラスになつて、幾分かこれによつて千円ベース・アツプのときに受けた職員の犠牲が回復せられて行くかどうか、そういう点をお聞きしたいのであります。
  23. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 今のお話でございますが、千円ベース・アツプのときにそういう削減を受けておつて、実際は千円ベース・アツプになつていないのではないかというお話でありますが、しかしそれはやはり本俸増額しておるということで、もちろんそれだけ削減して考えなければならないようなものではないというふうにわれわれは考えておるのであります。しかもあの法律が通過いたしましたあとで、半号俸調整ということを人事院においてやつておるのでありまして、これはそれだけまたプラスになつておるものがあるというふうに思つております。なおかつその調整をやりましたために、全体のバランスをとります必要上、ある種のものにつきましては昇給期を早めて昇給させておるという事情があるのでありまして、そういうことがおそらく本年の一月から四月までの間に行われておるでありましようから、そういうことのためにも、実質的にはある程度、あの切りかえの当時にいわれました金額よりも、ふえておるのではないかというふうにわれわれは考えております。従いまして今回の七十円ないし八十円というものは、実質的にそれだけふえておる、こうふうに考えておる次第であります。
  24. 松澤兼人

    松澤委員 そういたしますと、その後における昇給やあるいは特別昇給等方法が講ぜられたために、実質的に千円のベース・アツプなつたというお話でございますが、そういうふうに了解してよろしゆうございますか。
  25. 山下興家

    山下(興)政府委員 そこが私もはつきりしないのでありますが、千円アツプというものの中には、地域給も入つておりますし、扶養手当から何から全部くるめまして――ただ入つていないのは超過勤務が入つておりません。それから年末給というものは入つておりませんけれども、それ以外のものは全部含めて計算をしまして、約千円アツプという話であつたのでありますが、そのときでもすでに八千円になるだろうと思つてつたのが、切りかえたら八千三百円くらいになつておりますから、はつきりは言えませんが、千三百円くらいはアツプになつておるわけなのであります。何もかもくるめて言うのでありまして、その中のあるものは少くなつたり、あるものはふえたりしておりますけれども、それは総計算上つたということで御了解願いたいと思います。
  26. 松澤兼人

    松澤委員 そういたしますと、総計算お話があつたわけでありまして、八千三百円に本年一月一日現在においてなつていた。そういたしますと、これは千円ベース・アツプなつた場合の計算であろうと考えますが、それ以前におきましては、七千三百円の平均と申しますか、ベースというわけには行かないと思いますが、七千三百円であつたというふうに了解してさしつかえないのですか。
  27. 山下興家

    山下(興)政府委員 あの千円アツプとか何とか申しましても、法律に切りかえ表があります。あの切りかえ表でやつてみたらそうなつたということであります。結局十二月末に幾らになるだろうという予想のもとでつくりました切りかえ表があるわけであります。その切りかえ表でやつてみますと、上つたということは、十二月末の平均がそれだけ予想よりも多かつたということなんでございます。なぜその予想と実際とが違つたかと申しますと、統計が遅れて来ます。それで切りかえ表というものは、大体こうなるだろうという予想のもとでつくつてあるわけであります。それですから八千円になるといつても、なかなかそうぴしやつと八千円になるものではない。結局一月のときに八千三百円になつた。それからまたあと月々平均は少しずつと上つておるわけでございます。それで今はつきり数字を申し上げます。
  28. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 先ほど山下人事官からお話がございましたように、超過勤務手当と年末給を除きまして、平均給が月々どう動いて来たかと申しますと、昨年十二月が七千二十三円という数字になつております。従つて今の御指摘の点は、一月一日の切りかえにおきましては、八千二百円ないし三百円程度ベースになつておるわけでありますから、その間千二百円ないし千三百円程度給与ベース改訂に伴いまして平均的な引上げがあつたというふうに一応了承いたしております。
  29. 松澤兼人

    松澤委員 そうすると、その後いろいろ昇給等やあるいは特別昇給などがありまして、さらにさらに上つておる。そういたしますと、三月末あるいは四月一日ではどのくらいになつおりますか、わかりますか。
  30. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 その点はまだ報告が全部集まつておりませんので、ちよつと見当がつけがたいと思います。
  31. 松澤兼人

    松澤委員 発表し得る最近の数字というのは一月一日でありますか。
  32. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 そうでございます。
  33. 松澤兼人

    松澤委員 案外人事院で押えたと思つております給与の総平均というものが、それよりも上まわつておるという事実があるということを私聞くのでありますが、そういう点はないのでございますか。と申しますことは、人事院が八千五十八円の勧告をいたしましたときに、この当時ですでに七千三百円程度の――給与簿から計算すると、そのくらいの総平均になつておるということを私は聞いたのでありますが、これは人事院としては予想外に高い平均になつていたということで、驚いていた方もあつたように私は思います。そういうことは、もちろんやみ昇給というようなことなのか、あるいはまたその他の理由によることでありますか。とにかく人事院がこの程度思つているものよりは、給与簿によつて計算してみるともつと高い、予想外の数字が出ているという事実があつたように考えるのであります。そういう事実がありますかどうですか、あるとすれば、どういうところからそういうことが起つて来るのでありますか。
  34. 山下興家

    山下(興)政府委員 幾らになつているかということがはつきりしておらぬのは、不正確のようにもお考えでありましようが、実は統計に相当時間がかかりまして、この前昨年の八月九日に勧告いたしました当時のあの切りかえ表は、これがいつ実施されるかわからない。あの時分に、書きそえてありますように、でけ早い機会において実施してもらいたいということになつておりますから、切りかえ表は、その当時すぐ実行したとしたらぐあいよいよなるような切りかえ表がつくつてあるのでございます。ところが、それが十二月一日から実施されるということになりますと、その八月から十二月までの昇給とか何とかで、平均給がだんだん上つて来まして、それでどうしても現在の平均給というものが押え切れないのであります。今のように一月しか今のところはつきりわからないというくらいのところでありますから、それでかりに十二月に切りかえしたら幾らになるだろうかということは、予想するよりほかにないのでございます。そういうわけであつて、それは統計が遅れるということでありまして、決してやみ昇給とか何かはないのでございます。そういうものがあるかないかについては、十分注意をしておりまして、今のところやみ昇給はないと思つております。
  35. 松澤兼人

    松澤委員 私はやみ昇給を追究しているわけじやないのですが、そういう計算のずれと申しますか、金額におけるずれということが、必ずしもやみ昇給だけでなく、時間的なずれによる結果である、こういうことだけでありますならば、私どもも納得いたします。そうでなくして、八千五十八円というベースの勧告があつたときに、すでにそのときには七千三百円程度平均になつていたということ自体を考えてみますと、もしそれが実態であるとするならば、八千五十八円にベース改訂いたしましても、結局六百円かあるいは七百円ぐらいのベース・アツプにしかならない。そういうことを考えてみますと、逆に考えて、八千五十八円があの時期において、あるいは十二月に国会で成立いたしましたとすれば、現在の八千三百円あるいは八千二百円よりももつと上まわつておる数字が出ておるように考えられるのでありますが、單に時間的な問題だけであるとすれば、そういうことはないことになる。かりにもし八千五十八円が十二月に成立していたといたしますならば、給与平均は一月一日現在でやはり八千二百円か三百円どまりであつて、それ以上上まわることはなかろうというお考えでございますか。そこでやはり八千五十八円の場合と七千九百八十一円の場合と、もつと大きな開きが生じて来るでありましようか、仮定でございますけれども、この点をひとつ……。
  36. 山下興家

    山下(興)政府委員 それは私説明が下手なのかしりませんが、結局あの八千五十八円の勧告をいたしましたのは、昨年の八月のことでございます。そのときの切りかえ表があるわけでございます。その切りかえ表を少しも改訂をしないで、かりに十二月にその改訂をしたとしますと、そうすると平均給がその間に八月から十二月までの間に増しておるわけでございます。その増しだけはやはりこたえて来るわけでございます。そうすると結局どれくらいになりますか、八千五百円ぐらいか、何かそんなものになつたかもしれません。すなわちその勧告をしたときと実行したときとの間のずれというか、上り方が、物価や何かの上り方その他に比例しますと、どこまでもそれは正確なものなんでございますが、それがずれますと違うわけでございます。それですから勧告をいたします場合でも、ただ生活費が五%上つたからすぐ勧告をするということにはならないのです。結局平均給がその割合にずつと上つて行きますと、永久に改訂を勧告する必要がなくなることもあり得るわけです。その二つのカーブが並行にならなくなつたときに、初めて勧告が必要になるわけでございます。それでよろしゆうございますか。
  37. 松澤兼人

    松澤委員 それではいいことにしまして、次にこの区分の別表でありますが、これが一応できまして、昭和二十三年ごろからでございますか、十四次までの改訂があつて、十五次から多分打切られておつたのだろうと思いますが、その間三年くらい経過しております。いろいろ準備について御苦労のあつたことと考えます。そういうことを御質問申し上げるということは変なことですけれども、いろいろ個々を当つてみますと、御不満のあるところもあると思いますし、われわれとしてもちよつと公平を欠いているとこがあるのじやないか、こういうふうに考えているところもあるのであります。そこで問題は、これは国会のことでありますから、国会がそういう決議をすればできるものでありますか。修正が可能であるかどうかという問題と、それからいろいろと問題が生じて来たならば、個別的に是正をされ改訂をされるか。あるいはこれをしばらくすえ覆いて、全般的な改正でなければ個々の是正をしないというお考えでありますか、この点について承りたいと思います。
  38. 山下興家

    山下(興)政府委員 理論的に申しますと、情勢が違えばそのときに少しずつかえて行くべきだと思いますけれども、なかなか調査には金がかかりますし、骨が折れますから、できるなら今度きまりましたのである程度進めまして、そうしてどうしても情勢がこのままでは行けないというときに改訂をするようにしたいという、これはこちらの希望でございます。そうしてこの案について御審議の上で、部分的に御変更になるのは国会の方でおやりになることでありまして、私どもの方では申し上げることでないと思います。
  39. 松澤兼人

    松澤委員 たとえば寒冷地などの場合でも、追加勧告をいたしまして、あとで追加されて寒冷地給が支給されておるという実情にもあるわけでありまして、いろいろと個々の問題のある箇所については改訂されることが適当であろうと考えるのであります。大蔵省に給与実施本部がありましたときには、それぞれ何次々々といつて改訂をして来たのであります。そういう方法がいいか悪いかということは別問題といたしまして、相当長い間改訂をしたいという人事院のもし御態度であるとするならば、それは多少問題があると思います。従いまして非常に問題のあるものについてはあらためて検討し、あるいは改訂の勧告をすることもあるといたようなお考えであれば、私たちもそのつもりで審議いたしますし、絶対に当分の間はこれを改訂しないのだというお話であれば、またそういう態度をもつて臨まなければならないと思います。もう一度重ねて承りたいと思います。
  40. 山下興家

    山下(興)政府委員 実は前には割合に科学的でなくきめる状態でありましたけれども人事院としてはできるだけ科学的にやりたいというので、昨日来御説明するように、いろいろな資料をもちまして研究しておるのであります。これはずいぶん金がかかりますと同時に、時間も手数もまことにたくさんかかるのでありますから、せつかくこれだけわれわれが今考えて、この以上はやりようがないと思うくらいやりましたから、なるべくならば長い期間これで行きたいと思つております。しかしどういう情勢のかわり方があるかもわかりませんから、これでどこまでも行くということは困難でありましよう。しかし希望といたしましてはできるだけやつて参りたい。前と今とえらい動き方が違うということは、ずつと科学的にやりましたから、それで骨が折れる、また時間がかかる、お金がかかるという違いがあるわけであります。
  41. 松澤兼人

    松澤委員 お金の問題だけなら何とか解決がつくのではないかと思います。ただお金がかかるということでは、科学的な人事院の態度としてはそのまま受取れないのであります。しかし技術上、毎年一回あるいは二年に一回改訂することは非常に困難であるというならば、これは私は認めないわけには行かない。その点もう一度説明していただかなければぐあいが悪いのであります。
  42. 山下興家

    山下(興)政府委員 これは一年に一ぺんとか半年に一ぺんとかというようなことをお約束するわけにも行かないのであります。お金と申しましても少少のお金でないのでございます。何千万円とかかる金であります。(松澤委員「どのくらいかかるか、はつきり言つてください。」と呼ぶ)それはその改訂の規模にもよりますし、改訂する調査の回数にもよるわけでございます。そういうことでありますから、何とも申し上げかねるのです。ただ実際としましては、この地域給というようなものがくつついている間は生活給でありまして、これは給与の本体から申しますと正しい行き方でないのであります。どこで勤めましても、東京で勤めようがいなかで勤めようが、同じ給与で働くということが給与の本体でありますから、できるだけ早くこういうものがなくなつて、全部が本給に返る、昔の給与に返る時期が早くあることを希望いたすわけであります。
  43. 松澤兼人

    松澤委員 次に北海道の場合をとつて考えますと、北海道はいろいろと御苦心されたようでありますが、もう一息と考えられるところもあるのであります。それは人事院の方におきまして、北海道は寒冷地手当も出しているし、石炭手当も出しているのだし、この上地域給を高くつけるということはか体の平均からおもしろくないというようなお考えがあつたのでありますか。あるいは全然寒冷地手当とか石炭手当とか、そういうことを除いて、單に物価差等の関係からこれが適当だとお考えになつたのでありますか。
  44. 山下興家

    山下(興)政府委員 北海道はちよつと特殊で、寒冷地手当とか石炭手当が入つておりますが、私ども考えといたしましては、これは決して重複しているものとは思わないのであります。地域給地域給、石炭手当は石炭手当、寒冷地手当は寒冷地手当と別個なものであります。重復しておらないものと思つておりますから、決して地域給の方で値切るとかなんとかいうような操作は一切しておりません。それで相当北海道の辺は上つておるように思うのです。
  45. 松澤兼人

    松澤委員 もう一つ、何か省内におきまして、特別指定というような制度があるようにも聞いておりますが、こういう制度は人事院としてございますか。
  46. 山下興家

    山下(興)政府委員 省内で特別指定ということは私は初めて聞いたのでございますが、どういう意味でございましようか。
  47. 松澤兼人

    松澤委員 省というのは各省の関係でございます。全般的にいいまして、そこでは、今の言葉で言えば一級しかつけられない。しかしいろいろ勤務状況から考えてみますと、ほかに五分程度のものは省の予算で計上して、人事院の了解を得て一割にしている、こういつつたことなのです。
  48. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいまお話の点は、官署の個別指定ということで、そういう個別指定をしたならば、各省が予算をとればやり得るような道があるかどうかというお話でございますが、従来はそういう方法があつたわけであります。しかし今回はそういう方法は一切やめまして、官署は皆、これをとろうという方針で参りました。従いまして今後において特定の官署が個別指定を受ける。そこで地域給予算をとつて、別につけ増しをし得るという方法はないわけであります。
  49. 松澤兼人

    松澤委員 その点は、これまでそういう取扱いを受けておりましたところにおいては、やはりそういうことを希望しているところもあるわけであります。全然そういうことを認めないということであれば――たとえばこういう場合、電波監理委員会の富山電波監視局の職員で、従来その職場が地域給のついておつたところにあつたけれども、新しく移転をして、行つた先は、地域給は全然ついておらない。こういうところは、先ほど申しましたように特別指定等の方法によりまして、五分だけは何とか電波監理委員会でめんどうみてやろうということであれば、地域給はもらえるわけであります。これは全然できないということになれば、何か親元の役所の出張所等の名儀ででも特別の考慮が払われないものであろうかということを考えるわけであります。この点はいかがですか。
  50. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいま御指摘の点でありまするが、官署の個別指定ということをやりますと、人事院で権限を残すということになりますので、われわれは、われわれのつくりました最善の案を国会で御審議を願つて、国会でよろしいということになれば、これを法律できめていただきたい。その以後におきまして、人事院の権限である特定の地域を上げたり下げたりすることは、できないという方針を今回はとつておるわけであります。ただいま御指摘の点につきましては、お手元に差出してございます別表の四十八ページの一番しまいのところに入つておりますから、御承知願いたいと思います。
  51. 松澤兼人

    松澤委員 これはよろしゆうございますが、今申しました出張所とかいうようなことでは、全然だめでございますか。
  52. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 勤務場所ということに主眼を置きましてわれわれ作業をいたしておりますので、必要な官署は全部当りまして、調べてあるはずであります。ただ特定の場合におきまして、一つの研究所で、自分の構内にそれがございませんので、離れたところに分室を持つておるという場合があり得るわけでございます。そういう場合には、研究所がその人の勤務場所であるという解釈をとりまして、当然この人も研究所のあるところに勤務しているということにいたすつもりであります。
  53. 松澤兼人

    松澤委員 私まだ質問することがございますが、保留しておきまして、またあとで。
  54. 藤枝泉介

    ○藤枝委員 松澤委員に関連して……。先ほど松澤委員の御質問に関しまして――山下人事官からこの区分表の問題ですが、当分これでやつて行きたい、いろいろ調査をされるにはお金がかかるというようなお話でありましたけれども給与法の二條の第五号には「勤務地手当支給地域及び支給割合の適正な改訂につき、国会及び内閣に同時に勧告するため、常に全国の各地における生計費の科学的研究調査を行うこと」これが人事院の権限になつておりまするが、権限である以上、また当然これは人事院としておやりにならなければならぬ義務があるのだろうと思います。お金がかかるからというような意味で、当分やらないような御答弁でございましたが、これは少しくだけ過ぎた御答弁で委員会の答弁とされては、十分今後も人事院としては研究をされ、そうして是正すべきものは是正すべきように勧告されるのが当然であると思いますが、この点について。
  55. 山下興家

    山下(興)政府委員 まつたくくだけ過ぎたことを言いまして、まことに相済みません。むろんできるだけ研究はいたします。ただ今までのように、人事院規則か何かで、ぱつと追加とか何とかいうようなことはいたしません。先刻局長から申しましたように、全部国会で御審議を願うのでありますから、少々大げさになるとは思いますが、研究をして、どうしてもこれはかえなくちやならぬという情勢になつたときに、また新たに法律案として提出して御審議を願うということでございます。
  56. 田中伊三次

    田中委員長 山下人事官にちよつと申し上げますが、今の御質問の趣旨は、法律はでき得るだけすみやかに調査研究をして勧告をする、こういう趣旨なのだ、やむを得ざるときにはという消極的な態度では困るという意味なんです。その点はどうでしよう。
  57. 山下興家

    山下(興)政府委員 研究はむろんいたします。ただ一箇所、二箇所のちよつとした変更というようなこで、わざわざ勧告をするというようなことは、なるべくしたくない、なるべくまとめて変更はしたいという意味でございます。
  58. 藤枝泉介

    ○藤枝委員 今の御答弁ですが、できるだけまとめておやりになりたいという趣旨はわかるのですが、調査された中でその後非常な事情の変化がありまして、一箇所、二箇所でも、どうしてもやつてやらなければならぬ、あるいは変更しなければならぬというものが生じないとは言えぬと思うのであります。地域給の問題につきましては、二十三年以来ストツプになりまして、今やるやると言つて、結局二年間過ぎたわけです。その間当然上げられるべきものも上げられずにいたという事情もありまして、大げさな調査が非常にお金がかかり、あるいは手数がかかるということは、十分わかるのでありますが、常に研究の結果、たとい一箇所でも二箇所でも、どうしても是正する必要ができたというものは、手数がかかるとかいうようなことでなくて、当然勧告されるべきものだというふうに考えるのですが、その点いかがですか。
  59. 山下興家

    山下(興)政府委員 その通りであります。
  60. 林百郎

    ○林(百)委員 関連して、簡單ですから……。今こちらに同僚議員もお見えになつていますが、今度の都道府県別支給地域区分ですね、これの等級について、かえてもらいたいという意見が強い。たとえば広島の近接地で、五日市町というのがあります。五日市町には造幣庁があるのですが、この造幣局の職員のごときは、広島市の延長であるから、やはり広島並にしてもらいたいという希望いろいろあるわけです。こういうことについては、近々再調査して訂正される意思があるのか、あるいは国会の方の自主的な訂正を待つて人事院としてはそれを素直に受入れられるのか、この点についていろいろ意見があるのですが、その調整は将来どういうふうになされるつもりか、まず人事院の方のお考えを聞きたい。
  61. 山下興家

    山下(興)政府委員 ただいま藤枝さんからのお話と関連すると思いますが、どうしてもやらなくちやならぬものが見つかりましたら勧告をいたしまして、御訂正を願うという順序になると思います。
  62. 林百郎

    ○林(百)委員 委員長にお聞きしたいのですが、これは法律ですから、国会の方でも自主的に訂正案を出してかえることもできると思いますが、これは念のためにお聞きいたしておきます。  それでは次の点をお聞きしておきます。地域給改訂のために要する経費ですが、先ほど局長の御説明を聞きますと、大体八億か九億の増額になるという説明だつたと思いますが、これは財源はどこから出されるのですか。予算の中の一般職員の本年度、昭和二十六年度の人件費の中にこういうものが含まれるとおるというのか、新たに財源を求めるのか、その点をお聞きしたいと思います。
  63. 山下興家

    山下(興)政府委員 われわれはこれを勧告いたしましたが、いつから実施するということは申してないのでございます。それで予算の許す範囲内において、できるだけ早くこれを実施していただきたいという希望でございます。
  64. 林百郎

    ○林(百)委員 私はこの前の説明を聞いていませんので、もしすでに説明済みのものをお聞きしたらたいへん失礼ですから、やめていただいてけつこうですが、実は私予算委員をやつているものですから、予算との関連でお聞きしたいのです。それでこの勧告によつていくらかでも公務員給与が潤うのでありますが、それは本年度の予算の中には含まれていないというのか、あるいは含まれて、これだけの弾力性は本年度の職員給与予算の中にあると考えるか、これは人事院考えをお聞き、たいと思います。
  65. 田中伊三次

    田中委員長 林君にちよつと申し上げますが、御質問の御趣旨はたいへんごもつともな疑念のあるところと思いますが、これは実は勧告がありました、その勧告案そのものの説明に関連して質疑応答をやつております。そこで政府は、この勧告を参考にして法律案の立案をいたしまして、それを今明日中に国会に提出して、この委員会に付託される見込みでございます。それでその付託をされました場合には、官房長官も大蔵大臣も呼びます。そのときにこの財源はどこから捻出する考えとか、新たなる財源を補正して追加予算を出す考えか、あるいは現在の二十六年度にきめた給与財源から一応支出しておいて、足らなくなつたころに補正をする考えか、その見通しはあるのかないのか、GHQの意向はどうかというような点の御質問は、そのときに政府、特に大蔵省が詳細に御答弁を申し上げるという順序になろうと思います。それで、申し上げてはなはだ恐縮ですが、人事院はこの勧告のみの責任で、こういう立場で勧告をしたという線でしか権限がないので、財源にはあまり関与しないのです。
  66. 林百郎

    ○林(百)委員 よくわかりました。そうすると、ここに御出席になつている方は人事院人事官だと思いますが、人事院としてはこれを予算的にどう処置されるか、また政府は、これを実行する可能性があるというようなことを事前に打診して出されたとかいうことでなしに、人事院の規則や、公務員法に基く制度の権限を人事院として行使しただけであつて、これは実際行使するかどうか、どういう財政的な裏づけをするかどうかということは、政府の責任だというふうに解釈してよろしゆうございますか。
  67. 山下興家

    山下(興)政府委員 その通りでございます。
  68. 林百郎

    ○林(百)委員 わかりました。ではいずれ場所をかえて御質問したいと思います。  もう一点、これもすでに他の委員から聞かれたと思いますが、基本的な給与改訂に関する勧告については、人事院が幾度勧告しても、政府の方はなしのつぶてで不能だと思いますが、その後さらに根本的な給与改訂に関する勧告をなさる意思があるかどうか、その後調査を進められて、何らかの結論を持つておられるかどうか、その点についてお聞きしておきたいと思います。
  69. 山下興家

    山下(興)政府委員 法律できめられておりますように、人事院としましては、始終生計費その他を調査いたしまして、必要があると認めたら、給与改訂を勧告しなければならぬということになつておりますので、これは間断なく研究を続けておる次第でございます。
  70. 林百郎

    ○林(百)委員 研究を続けて、現在の段階では再勧告をする時期が到来しているというような判断に到達しているのか、していないのか、またどの程度の結論を今人事院としては持つておられるのか、これは政府の財政的な措置もいろいろありますが、人事院としてのお考えをお聞きしておきたい。
  71. 山下興家

    山下(興)政府委員 これは先刻も申しましたように、なかなか統計が早く出て来ませんで、われわれの方の研究は、予想をいたしませんで、過去の統計に表われたものを基礎としての判断になつているのでございます。昨年の十二月までのところでは、勧告をするような必要を認めておらなかつたのでありますが、今は一月、二月くらいの情勢を見ますと、物価が相当上つているようでございます。それであるいは勧告をしなければならぬようになるかもしれません。それと物価と、先刻申しましたように給与平均がどういうふうに上つているかということを見比ぺまして、そうしてその必要ありと認めたらできるだけ早く勧告したい、そう思つております。
  72. 林百郎

    ○林(百)委員 これで終りますが、大体公務員の諸君からいいますと、生活が非常に窮迫しているようでして、生活の実感からいうと、どうしても上げてもらいたいという希望が強いのです。それが人事院の統計の上ではどういう統計が出ているかしれませんが、われわれはあの非常にむずかしい統計はよくわかりませんが、しかし公務員生活の実感からいえば、やはり何とか根本的な改訂の希望が強いと思いますから、人事院の方も十分その希望をくみとつていただきたいと思います。  委員長にもう一つお聞きしたいのは、私の解釈するところによりますと、これは一般職職員勤務地手当支給地域区分に関する法律案というものができまして、人事院の今出されているこの勧告に基いて――これが別表になると思うのですが、先ほど聞きました通り、地域の中で、各地方でぜひこれをどの地域に入れてもらいたいというような希望がある場合には、この法律案の修正とか、法律案の中の別表の修正として出すわけですね、そう解釈してよろしいわけですね。
  73. 田中伊三次

    田中委員長 そういうことになります。  それではこれで休憩をいたします。一時三十分から正確にお集まりを願います。     午後零時十九分休憩      ――――◇―――――     午後二時一分開議
  74. 藤枝泉介

    ○藤枝委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。  委員長にしばらくおさしつかえがありますので、私が委員長の職務を行います。  一般職職員勤務地手当支給地域区分に関して質疑を継続いたします。塩田賀四郎君。
  75. 塩田賀四郎

    ○塩田委員 今回の人事院勧告案の御説明につきましては、昨日給与局長の御説明を承りました。それによりますと、大体今回の勧告案は特別CPS、それから府県庁からの希望順位表、また第三にはそれぞれの陳情、第四には実地調査、第五には朝鮮動乱などによるところの影響などを考慮して、十分勘案して、最も合理的につくつたものである、こういうお話であつたのであります。御苦心のほどは万々よくお察しできるのでありまするが、昨日御配付いただきました支給地域区分表を拝見いたしますと、見当違いをしておられるように考えられる節が二、三あるのであります。これにつきまして、どういう程度からさようなことになりましたか、一応御説明をいただきたいと考えるのであります。  まず第一番に、兵庫県川辺郡川西町、長尾村、この両町村のことでありまするが、この川辺郡の両町村は小さな川一つ置いてお隣の大阪府の池田市と隣接しております。地続きであります。またずつと隣接しては兵庫県の伊丹市があります。それから同じく宝塚、良元村、こういう村々があるのであります。大阪の池田市と伊丹市は五級地をもつて今回勧告されておるのであります。宝塚町と良元村は四級地をもつて勧告されております。ところがただいま申し上げました川西町と長尾村は今度三級地になつております。この間までは大阪の池田市を抜きますと、これらは全部甲地に指定されていたのであります。しかもただいま申し上げましたこの市町村は、大阪から宝塚に至る京阪神急行電車のそれぞれ沿線でありまして、ただいま申し上げました川西のごときは、池田駅という国鉄電車の駅が川西町にある。こういうふうに、まつたく一つの都市と見てさしつかえない場所であるのであります。これが三級地になつておる。しかももう一つ大阪を中心にして申しますれば、遠く離れた川西、長尾よりももう一つ山の方に入つた宝塚と良元村が四級地になつておる。しかも川西、長尾両町村は、大阪の池田、伊丹、宝塚、良元村という四箇市町村に三万囲まれておる。そうであるのに、今まで全部甲地であつたのが、伊丹が五級地になつた。それから宝塚と良元村が四級地となり、ただいま申し上げた川西、長尾村が三級地になつておる。どういう角度からそういうことになりましたか、一応御説明願います。
  76. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 先ほど申し上げたような原則に従いまして作業を進めておる次第であります。ただいま御指摘の点がございましたが、われわれは県の意向というものを十分尊重いたしまして作業を進めておる次第でございます。それともう一つは、県の区分表並びに、たとえばある特定地域におきましては、エアー・べースがあるというような事情があり、またそのために格段にその土地が生計費等において高くなつておるというような所は特別の取扱いをしたのでございますけれども、大体は府県の意向というものを十分尊重いたしまして、作業をやつておる次第であります。ただいま御指摘の電車の沿線というものも十分尊重いたして、作業を進めておる次第であります。
  77. 塩田賀四郎

    ○塩田委員 ただいまの御説明ですが、川西町、長尾村に関する限りは、ただいま申し上げました大阪府の池田市以外はみな私の選挙区であります。始終行つておりますので、実情をよく存じております。ただ府県の言い分だけに準拠されてのお話は納得が行かないのでありますが、もう一度後刻御説明を願います。  第二番は、昨日平川委員から、また先ほど松澤委員からもお話がありましたが、地域給勤務地よりも居住地を主体として作成した方がいいのではないかという質問に対しまして、淺井総裁は、いろいろ勘案したけれども、結局勤務地主義でやつた方がいいと思つて作成した。但し大都市周辺勤務地はよく勘案しておる、よくこれを考慮した、こういうお話であつたのであります。なるほど兵庫県の有馬郡におきましては、神戸市の周辺ということが言える土地であります。この有馬郡におきまして、五つの町村が二級地になつている。四つの村が一級地になつております。みな級地手当を受けることになつて、まことに感謝にたえないのであります。しかるに同じく有馬郡と隣合せの郡であります川辺郡においては、川辺郡の全町村は有馬郡の神戸におけるよりも大阪に近いところであります。また全町村が神戸に近い土地であります。むしろ有馬郡のへんぱなところから比べましたならば、ずつと大阪に近い。従つてまた神戸には非常に近接しておる土地であります。それにもかかわらず、中谷、西谷、六ノ瀬という三箇村が一級地にもなつていない。全部除外されておる。川辺郡の隣の大阪府は全部級地手当を受けておる。それなのにこの三箇村が除外されておるというのは、御答弁はそういうことになるかもしれませんが、私には納得できないのであります。これはどういうわけでしようか。
  78. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 昨日総裁から答弁いたしましたように、現在われわれが作業をいたします上から、居住地主議よりも勧務地主義がよろしいということを申し上げた、次第でありまして、なお勤務地主義によりまする場合、居住地主義利点もこれを取入れていたす。そういつた意味におきまして、都市周辺ということについても考慮を払つておるということを総裁が申されたのであります。ただいま御指摘の川辺郡にいても、やはりそういうような考慮をわれわれは加えて作業をいたしておるのでございまして、たととえば川辺郡の多田村、それから東谷村は従来ぜロの地域であつたわけであります。これを今回一級地に編入いたしておるのでございます。そういう考慮は、川辺郡全体と申しましても相当奥地になつておる地域もございまして、都市周辺のいわゆる居住地考慮するという程度の範囲に入らないところが多々あるのであります。従いまして、われわれはただいま申し上げました多田、東谷ということを考慮する。これは県の順位でも相当考慮していいという順位になつておるのでございますが、そういう程度におきまして、川辺郡の中から特に隣接地と考えられる多田村、東谷村につきましては考慮を加えておる次第でございます。
  79. 塩田賀四郎

    ○塩田委員 ただいまの給与局長お話は非常に不満でありまするが、かりに給与局長のおつしやることを了承したといたしまして、それでは次に神戸市の乘水区、ここは四級地になつております六有馬郡の一部であつた兵庫県の山岳地帶で、非常に辺鄙といつてさしつかえない所が五級地であります。明石ともとの重水との間は、先ほど申しました川西町、良元村、長尾村と同じ京阪神における高級地であります。この重水区が四級となつておる。これは県の順位やCPS、あるいは実地調査において兵庫の一部より悪かつたかどうか、あるいは下位に置かれなければならなかつたどうか、はなはだ了解に苦しむのであります。察するにこの重水区を四級にしなければ隣接の明石を三級にしておくわけにいかない、そのために四級にしたのじやないか、私はそう邸推するのであります。明石を三級にしておかないと目と鼻の淡路島の岩屋町、これを一級にしておけぬ。しかし今度は一級に編入していただいてたいへんありがたいのでありますが、ひいては淡路島全体を一級地の対象にしたらたいへんだ、これがいやだということで、こんな矛盾を犯したのじやないかと思います。この重水などははなはだどうもふに落ちない問題ですが、これはどういうようにお考えになつておりますか。
  80. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 明石市はわれわれ今回特にこの地域を上げたということはないのであります。明石はもともと甲でございました。従来ならば一割五分ついておる地域でございます。これを今度三級地にしたということは、何ら考慮を加えていない。指数の上から見ると、明石は大体三級地が妥当な数字を示しているのでありまして、これにつきまして特に上げたとか下げたとかいうことはございません。従いまして、この重水区を四級地にするために明石を操作したというようなことはないのであります。われわれといたしましては、県の順位表、並びにCPSというものに重点を置きまして操作いたしただけでございます。
  81. 塩田賀四郎

    ○塩田委員 大体今まで承りますと、給与局長は、私が申し上げました市町村につきまして、県からの希望順位をたてにとられておるようであります。私はその順位がどういうふうになつているのか、概略のことは承つたことがありますが、詳細にそれを見たことがありませんので、大体そういうことをもつて了承しております。  最後に承りたいのであります。従来兵庫県淡路島におきましては州本市だけでありましたが、今回津名郡におきまして三箇町、三原郡におきまして一つの町が一級ではありますけれども、級地手当の対象にしていただくようになつており、まことに感謝にたえないのであります。従来淡路島というところはもつとたくさん級地の対象とならなければならない町村があつたが、過去三年間そういう機会がなかつたということや、いろいろのために遅れておつたと思うのであります。今回州本市以外の四箇町がとにかく級地の対象となつていることはありがたいことでありますが、淡路の津名郡におきまして假屋町、富島町、郡家町、三原郡におきましては市村、阿萬町、少くともこの五箇町は十箇町村くらいの中心地であります。兵庫県におきましては南部が大体昔から非常に発達した地方で、北部は気候の関係上非常に発達が遅れております。地域区分表を拝見いたしますと、南部地方は非常に級地手当の対象地区が多い。ことに南部の海岸地方は全部級地手当の対象になつておる。ところが南部に位置を占めている淡路島でありますが、これは京阪神地方におきましてもやみ島という異名のあるほど物価の高いところであります。今度四箇町が出るならば、私がただいま申し上げたところは当然級地の対象にならなければならないところである、こう考えるのであります。淡路島には約五十箇町村あります。人口は相当稠密でありまして、ただいま申し上げた級地の対象に全然なつていないところに新制高等学校があり、十箇町村なり二十何箇町村を統括している警察があります。これは自警ではありません。あるいは県のそれぞれの機関がありまして、相当公務員も多いのであります。こういうところに全然ない。従来兵庫県の各地方から来る者は、物が高く級地手当もないので行くのはいやだと言つているのをしばしば聞いているのでありますが、やむを得ず辞令一本で転任しなければならない公務員諸氏の利益を考えますと、これは何としても人事院のミスではなかつたか、私はこう考えておるのであります。かつてな言い分かもしれませんが考えておるのであります。淡路島は離れ島だから、物が高くても対象にはならないのだ、こうおつしやるならば、八丈島や三宅島や大島は二級地に全町村が指定されている。もしただいま申し上げた八丈島や三宅島や大島が遠く東京から離れておる、本州から離れておる、波が荒くて船が欠航した場合に非常に物価が高くなるので、公務員諸氏が気の毒だ、こういうお話ならば、阪神地方で有名なやみ島といわれておる淡路島の物価の高いことは御想像がつくと思う。公務員諸氏はまことにお気の毒だと思う。人事院の勧告案がすでに出ましたあとでありますから、私はとやかく申し上げません。結局県の希望順位が非常に低かつた、こういうことになるかもわかりません。私は人事院局長さんなり皆さんにお伺いしようと思うのではありませんが、列席の委員諸君や委員長に、可能ならば多少ともぜひ修正をしてもらいたい。人事院の方々も一生懸命御苦心なさつたことはわれわれよくわかるのでありますが、神様ではございません。人間である以上、やはりそこに多少の錯誤、ミスもあると思います。従つて今日多少むりだ、ここはもう少し何とかしなければならないじやないか、こういうふうにお思いいただきますならば、ぜひ多少とも御修正をお願いしたい。このことを一言希望いたしまして、私の質問を終ります。
  82. 藤枝泉介

    ○藤枝委員長代理 林百郎君。
  83. 林百郎

    ○林(百)委員 午前中に引続いていろいろお聞きしたいと思いますが、人事院の方にこの取扱いについてもう一度お伺いしておきたいのです。これは勧告ですから、これを施行するかどうかは法律が通つてからになると思いますが、その点まずお聞きしたい。
  84. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 私からお答え申し上げますが、これは正式に申しますと、国家公務員法の二十三條に基く法律制定についての意見の申出を国会及び内閣に対してなしたわけでありまして、これに基きまして、先ほど委員長からもお話のありました通り、内閣から正式に法律案が提出に相なる予定であります。その法律案におきまして、その法律の施行期日等を規定されることになつております。
  85. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、その法律が通るまでは、従来の地域給はそのまま施行されるわけですか。これは当然なことだと思いますが。
  86. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 お説の通りであります。
  87. 林百郎

    ○林(百)委員 それからこの勧告の区分表と法律区分表とは、その後修正があれば必ずしも一致しない場合があり得る。これは当然のことだと思いますが、念のために伺つておきたい。
  88. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 区分表と申しますと……。もう一度おつしやつていただきたいのですが。
  89. 林百郎

    ○林(百)委員 昨日いただいた地域区分表は人事院の勧告として出されたものであつて法律の別表になる場合は、これが国会において修正されるとか、いろいろな場合考えられますので、これは人事院の勧告としてわれわれが、また政府法律を制定する場合の参考としてこれをこなせばいいというように考えておりますが、いかがですか。その点は当然だと思いますが。
  90. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 大体お説の通りでありますが、念のために法律につきまして具体的に申し上げますと、支給地域区分は御承知の通り法律で五級にきまつておりますが、給与法の十二條には、その支給地域区分は、別に法律で定めるということになつております。法律で定めるにつきましては、先ほど申しました通り国家公務員法第二十三條に基きまして、人事院におきましてこういう法律案をおつくりになつたらいいじやないかという意見の申出をいたすわけであります。さらにその根拠はどこにあるかと申しますと、給与法の二條の六号に、勤務地手当支給地域の適正な改訂につき、人事院は「常に全国の各地における生計費の科学的研究調森を行うこと」これが人事院の責務になつておるわけでありまして、国会の御意思、すなわち法律をもつて表わされておる国家の意思といたしましては、地域区分については恣意に、あるいたヴオランタリーにきめるというのでなしに、人事院の科学的調査研究の結果に基いて国会で地域区分をきめ、改訂して行くのだという意思を表わしておることは明らかだと思います。
  91. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、この常に全国の各地における生計費の科学的研究調査を行つて、それから国家公務員法の二十三條に基いて意見の申出があつた、というように解釈しますが、そうするとわれわれとしては、意見の申出としてこれを参酌すればいいので、国会も政府もこれを意見の申出として受入れるのであつて、これに霸束されることはない。ヴオランタリーにしてはいかぬと言うけれども、これはやはりわれわれとしてはわれわれで、またいろいろな実情を聞いて適当に訂正する権限があるように思うのですが、その点はどうですか。
  92. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 国会が立法機関たることはお説の通りでありまして、まつたく私もその通りだろうと思うのですが、国会がこの勤務地手当支給地域につきまして立法を行うにあたつては、給与法二条の六号に基いて人事院が意見の申出または勧告をすることを尊重する、あるいはこの六号に基いて人事院が勧告をすることを人事院の責務としておるわけでございますが、もちろん国会が支給地域区分あるいはその改訂につきまして、本来の権限を持つていることは当然のことであろうと存ずるのであります。
  93. 林百郎

    ○林(百)委員 ただ私がお聞きするのは、もちろん人事院でもあらゆる機能を動員し、優秀な職員最善を盡してやつておられると思いますが、ただいま同僚議員の質問のありましたように、現地の事情からいつて少し不自然なころがあると思うし、また各地方公務員からもいろいろ熱心な陳情もあるわけであります。そういう場合われわれとしてはどういう程度の権限を持つているかということを、この際国会としても明らかにしたいので、質問しておるわけで、もちろん人事院の勧告が非常に権威あるものだというふうにわれわれも一応考えるのでありますが、国会としては国会で、やはりそれに対する修正の権限はあり得るというふうに解釈しておるのですが、念のために聞いておるのです。そういうふうに考えてよいのですか。
  94. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 まつたくお説の通りだろうと思います。
  95. 林百郎

    ○林(百)委員 次に今度は、この地域区分表をつくりました技術的な問題をちよつと聞いてみたいと思います。これは非常にこまかい技術で、われわれしろうとにはよくわからないのですが、たとえば長野県の例ですが、私は長野県の出身で、自分の県のことばかり聞いては何ですが、参考までに聞いておきたい。長野県は全部が一級地になつているわけです。この五十四ページの表によりますと、県庁の所在地の長野市その他ずつと市があつて、これとある郡の村の字、たとえば里山辺村字山下、こういう所がずつと一級地になつているのですが、こういう場合は、この指数の違いがどの程度の幅ならばどの級に入るという計算になつているのか、あるいはそういう数字的なものへプラスして何か県の要請だとか、政治的な――政治的といつてはおかしいのですが、何か数字から出て来ない要素が加味されてこういうものが出て来るのか、この地域区分表をつくる技術的な問題を参考までにお聞きしておきたい。
  96. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 長野県につきましては、地域……。
  97. 林百郎

    ○林(百)委員 これは一例として説明していただきたい。
  98. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 長野県に限りませんで全般的に申し上げますが、特別CPSを求めました指数が、われわれが作業をいたしまする基準に全然入つて来ない地域があるわけであります。そういう地域につきましては、われわれといたしましては何ともしようがないわけであります。ただ先ほど申し上げましたように、従来の、すなわち本年の一月一日から現在に及んでおりまする地域支給率であります。この率は維持することを一つの方針としておりまするので、従前そういう率を保持された所は当然残つて来る、こういうことになるわけでございます。ただその際に新しいものがまま追加されておる場合がございまするが、それはそういう地域に――それがたとい町の外でございましても、大きな官衙がありまするならば、市と同様に取扱うのが適当である、こういうふうに考えられますものは、追加しておる次第でございます。
  99. 林百郎

    ○林(百)委員 具体的で少しこまかいのですが、もし資料があつたら説明していただきたいと思います。たとえば長野県の例を申しますと、東築摩郡というのは従来の特地、甲、乙の時代には全然なかつたのが、今度一級に入つておるのですが、里山辺村というのは温泉地帶で、浅間温泉という温泉のある所で、ここに官衙とかいうものはないのですが、この温泉地が長野市とか、あるいは松本市とかいう非常に大きな都市と同じようになつているのはどういう事情ですか。
  100. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 先ほど申し上げましたように、そこが市外でありましても、官衙がありまするとか、あるいは国立療養所がありまする際には、考慮するということを申し上げたのでありますが、たまたまこの地域にそういうものがあるのでありまして、それで指定してあるのであります。
  101. 林百郎

    ○林(百)委員 参考までにお聞きしておきたいのですが、里山辺村字山下には国立病院はありますか。
  102. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 今的確な資料がございませんのではつきり申し上げられませんが、そこには国土療養所か、あるいは学校か、農事試験場かそういうものがあるはずであります。
  103. 林百郎

    ○林(百)委員 私の記憶では、浅間温泉というのは温泉では有名なところですが、そういう特に目立つものはなかつたと記憶しております。それからこれもこまかいようですが、西築摩郡福島町というのは、長野県のCPS指数からいうと最高だというように言われておるのですが、これはどういうようになつておりますか。その点ももしおわかりであれば御説明していただきたいと思います。
  104. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 福島は、長野県におきましてはCPIが一番高いのです。それから県の順位表も相当上に出ておるのです。従いまして県の順位表におきまして、福島、上松よりずつと下に、やはり五%の地域が出て来るというような状況でございまして、この指数はわれわれの基準には少し足らないのでありますけれでも、当然考慮するのが適当である、そういう判断のもとに入れたわけであります。
  105. 林百郎

    ○林(百)委員 これは一般的な問題としてお聞きしたいのですが、実際公務員としては、今のように基本的な俸給が赤字で非常に苦しい生活をしておりますと、地域給に対して非常に大きな関心を持つ、これは人事院において本関心を払われていることと思います。そこで地域給改訂ということについても今後は熱心に陳情も来るし、人事院の方にも直接陳情が行つておると思いますが、将来地域給をかえるような場合には、どういう指数がどの程度の幅が出たら、どういう事情があつたらかわつて来るのですが。
  106. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 昨日私は地域給の推移と申しまするか、そういうものについて若干言及したのですが、今の御質問に対しましても、将来人事院がどうやるかということになりますと、これはまだ答弁の限りでないと申し上げるよりしかたないと思うのであります。と申しますのは、人事院給与べースの改訂というようなことをやります際には、既存の最も新しい資料に基いて、将来の予測を加えないということになつておりますので、将来は変化が起きましたら、またそのときに適当に考えなければならないと思うわけです。ただ給与理論から申しますと、この地域給というものは漸減して行くことが好しい、そうして本給に繰入れて行くことが好しい、こういうように私ども考えております。
  107. 林百郎

    ○林(百)委員 それはよくわかります。それが基本的な態度だと思うのですが、ただそういう基本的な方針をとられなくて、変則的にベースなどが固定して来ますと、地域給を上げてもらいたいという希望が出て来ると思うのです。人事院にも直接そういう陳情が行くこともありましようし、国会にも来ると思うのですが、そういう地域給を上げるとか、地域給をかえるというような場合には、たとえばこういう指数がこうなつた場合とか、こういう條件が出た場合には変更することができるとか、上げることができるとか、そういう資料は、どういう材料が積み重なるとそういうことができるわけですか。
  108. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 将来のことはどうも何とも申し上げられないのでございますが、今回やりました基準につきましては、昨日申し上げたのであります。もしお聞きでながつたら……。
  109. 林百郎

    ○林(百)委員 昨日申された基準というのは、CPSと、府県の希望と、特定地の考慮、こういうような材料が重なつて来たら変更ができるというわけですね。
  110. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 それよりもう少し申し上げました。
  111. 林百郎

    ○林(百)委員 それから二十四年と二十五年との平均、二十四年の一月の平均、これを総平均した指数を使うということ、これだけが私のノートにあるのですが、なおそのほかに要素があつたら聞いておきたい。
  112. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 昨日もちよつと申し上げましたが、おそらく私が申し上げましたときにちようど席においでにならなかつたものであろうと思いますが、もう一度繰返して申し上げますと、特別CPS三八〇、都市地域差指数によつて格付する。これが一つの原則、それからその他の町村は府県から提出されております地域給指定順位表というものに基いて格付する、それから都市周辺町村との間は、これはなるべく均衡をはかつて行く、同一経済事情のもとにあります都市の間の均衡をはかつて行く、それから府県相互間におきまして、ある特定府県が非常に地域給が多くて、そしてある府県は少いというようなことがないようにする、もちろんこれは数を同じにするという意味ではありません。指数の低い県は、やはり少いのはあたりまえなのでありますが、その府県々々の指数に比べまして多過ぎたり少な過ぎたりしないようにする、こういうことが一つの基準になつております。それから同一の行政区画内はできるだけ均衡をはかる。たとえばなるべく市町村單位、やむを得ざる場合には、市の中を刻んでおるような場合もありますが、なるべく市町村單位、あるいはもう少し範囲を大きくいたしまして、郡單位というようなこともできるだけやる、それから朝鮮動乱の影響の非常に著しい地域につきましては特別の考慮を払う。暫定措置によりまして、現在出ております支給率以下には下げない。こういうことが大方針になつて今回の地域指定を行つたのでありますが、さらに地域差指数をどういうふうに用いたかということをもう少し具体的に申し上げまするならば、二十四年の五月、二十五年の五月、この指数平均しまして、それから二十四年の十一月と、さらにそれを平均して用いるわけでございまするが、その際に一応地域給のつかない地域指数が八四というところであります。それから八七・二、九〇・四、九三・六、九六・八というふうにずつと刻んで参りまして、そしてただいま申し上げました八四・〇から八七・二までが〇%ないし五%の間に入る。それから八七・二から九〇・四までが一級地ないし二級地、それから九〇・四から九三・六までが二級地たいし三級地、九三・六から九六・八までが三級地ないし四級地、それ以上が四級地ないし五級地、これはないしというようなことを申し上げて、いかにも漠然としておるではないかというようなお考えがあると思いますが、もともとCPSというものは、特別CPSにいたしましても全国で三百八十都市くらいしかやつていないし、一つの都市の中におきまして調査いたしまするものも数が限定されておる。これはやむを得ないわけであります。従いまして、そういうことから必然的に起つて来る標準誤差というものがあるわけであります。指数の方にいたしましても、二%ないし三%の誤差というものはやむを得ない誤差として統計上出て参るのであります。従いましてそういうところをはつきり刻んでものを申しますると、かえつて統計を正確に使用したということにならないのではないかというふうに私ども考えますので、幅を持たせてやる。こういう基準で指数は使つて行く、こういうことになつております。
  113. 林百郎

    ○林(百)委員 どうも大分こまかいことをお聞きしましたが、その次にこれは明後日さらに詳しいことを聞きたいと思いますが、生計費の調査の場合、税金だとか、その他の関係で正確な答申をしないような場合があつて、なかなか正確な指数が出ないような場合がありますが、そういうような要素、必ずしも表へ出て来た数字だけでなくて、その背後の、税金やいろいろの関係で正確な数字が出て来ないような、そういうような幅、弾力性、そういうものはどういうように考慮されておるのですか。
  114. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 今のお話でございまするが、われわれが総理府の統計局にお願いしましてやつております特別というものは、統計法に基いてやつておるものであります。統計法によりますると、この申告義務というものが生じておるわけであります。正確な申告をしなければならないということになつております。なおこれはほかの目的には使わないというような但書もしてあるわけでありますから、一応は承知しておるということになるのじやないかと思う。そうすれば今おつしやつたことは、正面から取上げますると、どうもちよつとなかなか言いにくい点になるのであります。しかしながら税金の点は、そう言つてもだれしも困つておることでありまするから、どうしてもそういうことが影響なしとは言い切れないのではないかという点があります。しかしそれは特定地域に限つた問題ではございませんので、そういう影響がもしありとすれば、全国でほぼ同様な影響があるのではないか。そうすれば、全体としてそういう影響が出て来るものならば、われわれはそれを問題にしておるのでありますから、そういうことは自然的に除去されて来るのではないか。また少しくらいの違いというものがかりにあるとすれば、先ほど私が申し上げました標準誤差の範囲に入つて来るのではないか。それからまたわれわれが非常に問題にしおりますことは、支出額ではないのであります。一つのものの価格というようなものであります。われわれが統計の結果を見ておりますると、支出額の虚偽の申告というものは、ある程度あるかもしれないと思いますが、価格の方につきましては、そういうような行為が行われておることは、割合に少いのではないかというような見当を持つております。
  115. 林百郎

    ○林(百)委員 その点はそれでけつこうですが、これは明後日政府側にはつきり聞きたいのですが、大体人事院の説明を聞きますと、年額約九億の増加ということになりますが、これは先ほども聞いたのですが、人事院の方では大体こういうものがあるのではないかという考えは全然持つておらないわけですか。財源の点です。何かやはり心当りがあるとか、大体の政府との当りがあつて、ここで勧告を出しても、これがまたなしのつぶてになるようなことはない、人事院の面目がつぶれるようなことはないというような、何か目安があつたのかないのか。大体人事院考えとしてはそれはどうなのかという意見があるのかないのか。その点は明後日池田大蔵大臣にも聞きます。われわれは十分財源があると考えておりますが、参考までに聞いておきたいと思います。
  116. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 その点につきましては、けさほど山下人事官からお話がございましたように、人事院予算のことに関与いたしておりませんので、希望としましては、こういうことは早期に実現されることは好ましいとは思つておりますが、これは予算の問題でありまするから、明後日予算当局にしつかりお尋ねいただきたいと思います。人事院は、なるべく早くわれわれが申し出ましたところが行われることを衷心希望しておる次第であります。予算につきましては人事院は何とも申し上げられないのであります。
  117. 林百郎

    ○林(百)委員 実はその点が何かはつきりしませんと、画に描いたもちになる危険があるので、人事院としても何かこういうようにしたらどうかというような希望的な意見でもあるのか、あるいは気がついた点があるなら参考までに聞いておきたいと思つて聞いたわけですが、大分愼重な態度をとられて、およそ職務の範囲を出ないようにしておられるようですから、これ以上お聞きしても出て来ないと思います。それではこれはこの程度にしておきます。  それから国家公務員給与の問題で、あと簡單ですが、四つほど聞いておきたいことがありますが、これもやはり少し政策的な問題になりますので、あるいは人事院としてはこの際答弁なさるかどうかちよつと問題ですが、この五年の七日の朝日新聞に出ておりますが、吉田総理の構想として、公務員を三割以上の大幅な人員を縮減して、給与ベースを引上げ、事務の能率化をはかるというようなことが、吉田総理の行政機構改革の構想として出ておるのでありますが、これについて人事院はどう考えておるか。それが今の行政機構、また公務員の実情として可能であるかどうか、何かこれについての考えがあつたら聞かせてもらいたいと思います。そういうことは警戒なさるなら警戒なさるでけつこうです。
  118. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 お尋ねの件は、他の政府委員が出席した際にお答え申し上げるのがほんとうであろう、こう存ずるのでありますが、お尋ねでありますから私からお答え申し上げますと、人事院といたしましては、行政機構には直接タッチしておりません。従いまして行政機構に関する改革、それに基く人員減少ということにつきましては、今のところ直接タッチしてないと考えておりますが、この程度とりあえずお答え申し上げておきます。
  119. 林百郎

    ○林(百)委員 しかし公務員の問題については、人事が一番親切にいろいろ考えて行かなければならない立場にある。公務員の味方の立場に立つて、いろいろ公務員の地位や、給与の改善のために、先頭に立つて努力する機関だともわれわれ考えておるわけでありますが、そこでそういう機構から考えて、今の人員を三割減らすということは可能かどうか、三割人を減らして給上ベースを上げるというような手段が今の公務員の労働條件、そのほかから一体可能な構想であるかどうか、こういうことです。これは労働條件あるいは勤務の條件、あるいはいろいろの一人当りの労働の量、そういうようなことから考えて、三割もの人を減らして一部べースを上げるにしても、こういうような構想が可能であるかどうか、労働條件からいつてどうかということは言えるのじやないかと思いますが、その点はどうでしよう。
  120. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 重ねてのお尋ねでありますが、実は職員がどれだけの責任及びその責任に伴う仕事の分量を負担しているかということは、今までのわが国の人事管理の面におきましては、これははつきりしていないわけであります。職階制の実施に伴いまして、それらの点が実ははつきりして参ることを私ども期待しておるわけであります。従いまして人事院の立場なら申しますると、どれだけの職員がどれだけの仕事をするのが正しいかということは、終局的には職階制の実施によつて次第に明らかになることと存じております。従いまして現在どれだけの人員が余つているとか、足りないとか、あるいはどれだけが過剰であるかということは、ただちに今つかみ得ない情勢であるわけであります。ただしいろいろな国の政策によりまして、公務員に遂行させておりますところの仕事が廃止されるというような場合におきましては、それに件う過剰人員が現われて来ることは、これは申すまでもないことであります。
  121. 林百郎

    ○林(百)委員 私のあとにまだ質問の希望者がありますか。
  122. 藤枝泉介

    ○藤枝委員長代理 あります。
  123. 林百郎

    ○林(百)委員 ではあまり深入りしませんが、いずれ政府に聞くことですが、これは各省の廃止、統合については別に項目があつて、総括的に三割以上の大幅な人員縮減とありますが、大体今の公務員の状態で三割の人員の縮減が可能であるかどうかということを聞いたので、もし各省の廃止、統合があればそれはあなたの言う通りになるかもしれません。今の状態のもとに人員の削減というようなものが可能であるかどうかということを、実は私聞いたわけです。人事院としては、いろいろ先ほどお聞きしますと、給与の問題について科学的な指数やいろいろ出されているのだから、給与指数計算する場合には、やはり労働の條件、労働の量、質、こういつたものを当然考えられていると思う。今の公務員に課せられている労働の量、質がどの程度のものであるか、これ以上また人を減らして、今だけの労働の量を今の公務員が負うことができかるどうかというような点も、当然研究なさつていると思つて聞いたわけなんです。しかしこの問題も、これは吉田首相の構想ですから、皆さんの方も遠慮すると思いますし、これ以上あまりいじめてもしかたがないと思いますから、これは程度にしておきます。  その次にお聞きしておきたいことは、これもやはり新聞に出ていたのですが、日本経済協力の條件として、アメリカの方で賃金ストツプの処置がとられて、日本の方でもその後賃金をストプするのではないかというようなことが今いわれておるわけであります。日本経済協力の一環として、それから日本の諸物価の国際的なさや寄せというような條件からして、賃金のストツプというような問題が出ております。賃金がストツプするということになると、民間産業の先がけとして、公務員の賃金に対して相当の抑制という方法が出て来ておると思いますが、人事院としては、今のところそういうことは全然考えていないと思いますが、なお人事院公務員法の二十八條によつて勧告もなさると思うのですが、その点はどうです。
  124. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 今日米協力のお話がありましたが、アメリカで賃金統制をやつていることはわれわれ存じております。しかしながら日本におきましてそういうことになるかどうかということは、われわれまだ全然知らないのであります。われわれは国家公務員法の二十八條というものを忠実に履行する義務があるのでありますから、これはやはり必要があれば勧告するということになるのであります。
  125. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、人事院としては今のところ賃金統制ということは考えておらなくて、やはり情勢適応の原則に基いて、いろいろ俸給の変更しなければならないような情勢ができた場合には勧告するというように解釈していいのですか。――そこで勧告の問題なんですが、いつも人事院の勧告は国会が終るところ――勧告してもそれが無意味のころされるのですが、今度の地域給も、二十八日までしか会期のない非常に切迫したときに出されておる。先ほど山下人事官お話によると、やはり二十八條による勧告も考えておられるというのですが、大体賃金べースの根本的な改訂についての勧告をなさる腹があるのかないのか、またいつごろしなければならないというようなことを考えておられるのか。公務員としては、やはり根本的な給与改訂ということについて非常に熱烈な関心を持つております。本年行われたメーデーにおきましても、公務員の方からは、どうしでも生活体赤字だという熾烈な要請が出ておりますので、少くともとりあえず五千円の赤字補給金を即時払つてもらいたいというような希望が今出ておるわけであります。先ほど山下人事官の話によると、まだCPSだとか、CPIの数字をいろいろとやられているようでありますが、公務員生活の実情からいうと、もう赤字が出ておることは間違いないので、とりあえず赤字の補給金を出してもらいたいという希望があるのですが、べースの改訂についての二十八條の勧告については、もう一度聞いておきたいのですが、どういう考えを持つていらつしやるですか。
  126. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 べースの勧告につきましては、山下人事官がけさ申し上げられた通りであります。われわれといたしましては、たえず生計費の事情についても調査いたしておりますし、それからまた現在の公務員給与がどうなつておるかという事情につきましても、調査いたしております。また公務員で民間と同じような職務をしております職務につきまして、大体どういうふうに推移しておるかという状況も調査しておるのでありまするが、現在は各省の資料を検討中であるという段階でありまして、必要があると人事院で判断いたしました際には、勧告するということになるのではないかというふうに考えます。しかし現在はまだ資料を收集中である、こういう段階であります。
  127. 林百郎

    ○林(百)委員 もう二、三お聞きしたいと思いますが、五千円の生活補給金を即時払つてもらいたいという希望が、公務員から熱烈に出ておりますが、これについては人事院はどういうふうに考えられますか。そういう生活の赤字は出るはずがないとお考えになるか、あるいは赤字が出ておるかもしれない、人事院としては当然であると思うが、その予算的な措置は政府がするので、政府の方にまかせるというのか、その辺はどういうふうにお考えになつておりますか。
  128. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 人事院給与ベースの勧告はいたすのでありまするが、しかしその根本精神というものは、給与体系を合理化して行くということにあるのであります。せつぱ詰まつてと申しまするか、とにかく給与体系を乱すような方法は、人事院としては考えておらないのであります。
  129. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、五千円の赤字のあることは認めるけれども生活補給金という形で出すのは、給与体系全体を混乱に陥れるからできない。そのかわりに、給与ベース全体を根本的に改訂する勧告をしたいというわけなんですか。
  130. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 人事院といたしましては、給与ベースを引上げる必要があるということを認めました際勧告いたすということでございます。
  131. 林百郎

    ○林(百)委員 五千円の赤字の生活補給金を即時払つてもらいたいという声が出ているが、まだ人事院では改訂するに至つていないとお考えになつているのか、あるいはもう少しつつ込んで申しますと、二十八條の俸給表の百分の五以上を増減する必要が生じたとお考えになつているのかいないのか。生活の赤字は出ているけれども、まだ百分の五には至つていないとお考えになるか、その点もう少し率直に遠慮なく言つてもらいたい。あなた方がどういつても、政府予算的措置をとらなければどうにもならないという人事院の性格はわかつておるが、少くとも人事院として数字が出ているものがありましたら、率直に聞かしてもらいたい。あまり警戒をなさらなくても……。
  132. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 別に警戒いたしておるわけでもないのでありまして、ただわれわれは先ほど申しあげましたように、給与ベースの勧告をする必要があるというふうに認めました際には勧告する。現在はけさほど山下人事官が申しましたように、昨年の十二月まではそういう必要は認めなかつた。しかし本年に入りまして推移を見てみると、これはやはり相当問題になるのではないかというようなことを山下人事官は申し上げた次第であります。そういうわけでありまして、われわれといたしましては、ベース算定に必要な資料を現在大車輪で收集中である、こういう状況であります。
  133. 林百郎

    ○林(百)委員 もう一点だけ。私の記憶では――もし不正確であつたら直していただきたい――この前人事院から八十幾らかの勧告が出まして、それに対して政府は全然措置をとらなかつた思つております。そういうことはあつても、人事院としては、やはりその後の情勢が変化した場合は、前の勧告に対してどうあろうとも、私は二十八條の勧告ができると思いますが、その点は幾度でも――かりに政府が不誠意であつても、人事院としては、二十八條の情勢適応の原則に基いて幾度でも勧告ができるし、またなすべきものだとわれわれは考えております。この点はどうですか。
  134. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 この点につきましては、われわれ七千八百七十七円の勧告をいたしたわけであります。そうしてそのまま推移いたしまして、重ねて八千五十八円の勧告をいたした次第であります。
  135. 林百郎

    ○林(百)委員 ですから、八千五十何円の勧告をしても、政府がそれに対して何ら具体的な措置をとらなかつたのじやないですか。
  136. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 そうじやない。
  137. 林百郎

    ○林(百)委員 われわれはそう解釈しています。もし違つていたら直してください。そういうように、せつかく公務員生活の保護のためにできている人事院が二十八條に基いて勧告しても、政府が具体的な措置をとらなければ、実際公務員生活をうるおすことにならないわけでありますが、しかし人事院としては、二十條の勧告というものは幾度でもできるし、またなすべきものだというようにわれわれは考えておるわけであります。それでお聞きしているわけであります。
  138. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 人事院が八千五十八円の勧告を昨年の八月いたしました。これがずつと持ち越されまして、本年の一月一日より給与法が改正になつたわけであります。このときには人事院が勧告いたしました給与体系というものは、ある程度取入れられてなかつた部面があるのでありますけれども給与水準について申し上げまするならば、おおむね人事院が勧告いたしました水準で、これが取入れられておるのであります。すなわち本年一月一日現在における公務員給与平均がどのくらいかということをわれわれが調査いたしました結果によりますと、おおむね八千二百円ないし八千三百円という数字になつております。われわれが勧告いたしました数字は八千五十八円であつたわけであります。これはおおむねわれわれの勧告の水準が政府によつて実現されたというふうに考えております。
  139. 林百郎

    ○林(百)委員 それは私たちの解釈するところによると、人事院が勧告したときと政府がそれを取上げたときとでは、非常に時期的なずれがあつて、実質的にやはり人事院の勧告は相当無視されていたのではないかと考えています。この点人事院の方が、政府は十分人事院の言う通りにしたとおつしやるならば、それはそれでけつこうであります。ここであなたと論争してもしかたありません。しかし、その後八千五十八円のあなたの勧告と政府給与体系に対して、さらに新たな情勢に即して二十八條の勧告がなされる情勢に立ち至つたとわれわれは考えおりますが、この点はどう考えておられるか。最後にもう一度念のためにお聞きして、私の質問を終りたいと思います。
  140. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 八千五十八円の勧告は、昨年の五月の現状に基いた勧告でございます。御指摘のように、その実施は非常にずれております。従いましてわれわれは、昨年の五月を基準といたしまして、その後物価並びに民間の賃金がどういうふうに変動しておるかということを絶えず研究しております。それによりますると、けさほど山下人事官が申し上げましたように、昨年の十二月までは、まだまだこの俸給表を改正する必要を人事院としては認めるに至つていない。ただ本年に入りまして、各種の経済指標の数字が一応注目を要するというような状況に達しておりまするので、先ほどから申し上げておりますように、われわれといたしましては、勧告に必要な各種の資料の收集を非常に懸命に急いでやつておる次第であります。
  141. 平川篤雄

    平川委員 昨日原則的な問題について少しお尋ねしたのでありますが、それに基きまして、少しばかりお聞きしたいと思うのであります。その前に私の立場は、昨日も申し上げたように、この審議をいたすに当つて限界があるということは知つておるのでありますが、残念ながら昨日から今日にかけての御説明では、十分に審議するに足るだけの材料が与えられておらないように思うのでありまして、その資料の御提出をお願いいたしましたり、あるいは不審の点を少しばかり今からお聞きてみたいと思います。与えられた資料というものが非常に目的に沿つたものであり、かつ資料の取扱いが合理的であるということがわかれば、私ども一応納得が行くと思います。そこでまず資料自体の問題でありますが、昨日CPSのランダム方式でやつたというふうにおつしやりもし、また総理府の統計局といたしては、この目的を明示してやられたというのでありますから、この調査をいたしますまでには、相当人事院の責任があると思うのであります。きのうははつきりいたしませんでしたが、きよう資料をもらつてみますと、この三百八十のものは全都市と町であつて、きのう私が質問申し上げたように、最低の村というようなものまで入つておるとは言われぬのであります。町と市だけに限られておる。これはきのうの御答弁に反しておると思うのでありますが、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  142. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 昨日の答弁で不十分な点がございましたので、御説明申し上げます。特別CPSは大体消費者を対象にいたしまして調査いたしております。しかも全国には一万を越ゆる町村があるわけでございまするから、この全部の調査ということはとしてもやれるものでないということは自明であります。それから消費地帶以外の生産地帶、いわゆる農村地帶におきましてこういう調査をやるということも、現実にははなはだ技術的に困難な問題があるわけであります。たとえば生産世帶というものは、もともとあまりわれわれの対象になりませんが、しかしそういう所における記入能力ということも問題でありましようし、そういう所が全国的に散らばつておるわけでありますから、これをやるということも効果に比べまして労力が非常に大きいというような点もございます。従いまして農村まで対象にするということは一応技術的に困難であるというふうにわれわれは考えておる次第であります。しかしながら昨日も申し上げましたように、特別CPSというものはランダム方式ではできておりますけれども指数で八六程度以上のものを示す都市におきましては、ほとんど悉皆調査になつておるのであります。それ以下の所がいわゆる抽出方式になつておる、こういうふうに考えられるのであります。しかもわれわれが各種の観点から考えまして、大体八四以下の所を問題にする必要はないのではないかというようなことも考えております。従いまして今度の調査が、地域給設定に当つて地域区分の標準としてとるということに何ら支障はない、こういうふうに考えておる次第であります。
  143. 平川篤雄

    平川委員 ところが勧告せられた別表を見ますと、相当村というものが入つておるのであるが、ただいまおつしやつたことはなるほど納得が行くのでありまして、技術的に農村なんかでは、こういう調査が不十分になるということは私どもにわかるのでありますが、わかつたからといいましても、そういう村なんかの実情は、少くともはつきりしなろということでは、どこまでも問題が残ると思います。また八四以下のものは問題にしないでいいと言われますが、調べてみないとこれはわからぬのでありまして、実除に都市周辺の村なんかというものは、一体それでは八四以上であるというふうなことは何によつてきめられたかということになるわけなのです。ですから、これはほんとうに科学的な方法をとられようとするならば、あらゆる町村までこのランダム方式でやつて政府はそういう資料を持つてつて、一方県から出ましたところの順位表というものをそこへ当てはめてみて、そうして初めて全般の順位というものがわかるのではないか、私はこういうふうに考えるのであります。そこの点について、これは当初の御計画に非常な不備がある、これでは十分な資料とは言いがたいという結論しか持ち得ないのでありますけれども、御見解を承りたいと思います。
  144. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 先ほど申し上げましたように、農村地帯ということになつて参りますると、調査記入能力というような点ももちろん問題になりまするし、またわれわれが一番知りたいことは、購入いたしまするものの物価及びその金額というようなものが問題でありまして、農家等におきまして自家生産物を消費するというような場合には、なかなかいわゆる消費者の生活事情というものは把握しがたいのであります。そういう意味におきまして、われわれは特別CPSというものをやりまする際に、純農村というような所を対象にすることは、これは今やつてみなければわからぬじやないかというお話ではございまするけれども、それはやはり原則的にはできない、やつてみてもわれわれの目的に沿わないことではないかというふうに考ております。従いましてわれわれは、ここにおいて府県の順位表というものは、これは府県における府県がいろいろと研究いたしました結果の消費形態、あるいは生活水準というようなものからつくりました順位表でありますから、両者を当てはめて、そういう指数の低い部面というようなものにつきましては、これはむしろ県から出ておりまする順位表というものに重点を置きまして作業を進めておる、こういう次第であります。
  145. 平川篤雄

    平川委員 県のつくつておる資料CPS資料とが一緒になるということがどうしても納得が行かない。さつきも言うように、上は何とかなるでしようが、下の方は何というか、順位表の方がぶら下つておるというようなかつこうになつておるわけであります。それがだんだんに出て来ておるならば、間へ当てはめて、県の順位表の第九欄、第十欄というようなものがどこにあるかということは言えるのでありますが、これでは言えないと思います。これはこの程度にしておきましよう。  そこで消費者物価指数でありますが、購入する物価がわからないと言われるのでありますが、それは自家消費のものはわずかであつて、ことに最近では衣料費などの方がずつと問題になつて来ておる。それらの点からいえば、決して農家といえどもわからないものではない。少し手を入れれば、協同組合でありますとか、村には一軒か二軒かのわずかな商店なのでありますから、そういうものについてお調べになれば、これはわからないことはないと思うのであります。一般的に見ますならば、こういう農村あるいは山間小都市では、鉄道沿線の大きな都市から物資を入れて来るのでありますから、それだけの運賃とまたマージンが加わつて高くなつておる、そういう点から見て、私は少しも調べるのはむずかしいとは思わないのでありますが、なぜそれを落したのか。
  146. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 現在衣料貴が相発問題になつておるようでありますけれども、部分的に見ますとそういうこともありましよう。それからまた都会で生産されますのが、いなかに参りますれば、いなかに参るほど運賃等も加算され、マージン等も加わりまして高くなるということは、これは経済の普通の現象であるというように考えまして、従つてそういうお話でございますれば、これはいかほどものが高いという議論になるかと思うのであります。現在のところはエンゲル係数、一般の消費者価格調査に出しております生活態様と申しますが、そういうものの中におきましては、やはり食料費の占める割合というものが非常に問題になるのであります。エンゲル係数はまだ五五%程度という状態であります。従つてそういう事情の下におきましては、主食あるいは副食物というものがやはり生計費の中心になるのであります。そういう点から申しましても、農家につきましてそういうことを調べるということは、非常に片手落ちの結果しか出て来ないのではないか。こういうふうに考えております。
  147. 平川篤雄

    平川委員 消費者物価指数内容と申しますか、それを考えてみますのに、今言われたように、おそらく個人個人の消費というものをランダム的にとりましてお調べになつたのだろうと思うのでありますが、しかしそういうような点について、もし御意見があれば先にそれを明らかにしてもらわなければならぬ問題だと思うのです。きのう御説明になつ程度では、やはり私ども十分だとは思わないというのは、一体この衣食住の生活の最低のものをやろうといたしますと、どのくらいのものが出て来るかということを、やはり大きな目安にしなければいかぬのじやないかと思うのであります。ところが個人を対象にしておやりになれば、当然それは三万円の收入のある者と一万円の收入のある者とは違うのでありまして、また現実からいつて東京都なんかからいつて、二割五分の地域給というものはすでについておる。全然ついていない地区もある。これは何と申しましても、二割五分ついた者は、ついただけの範囲において生活いたします。ついていない者は、その範囲においてでなければ生活をしないのであります。だから私は個人々々を取出して見るよりか、むしろ物価そのものを、最低生活をするに足る基礎的な物資についてその地方の物価をお調べになつて、それを資料にせられる方が正しいというような見解を持つておるのでありますが、議論はここでいたさないのですが、少くともさようなものについて人事院はどういう見解をもつてこのような方法を選んだかということをお話をいただかなければ、十分な科学的判断をしろといつてもできないのであります。これは今お話しくださればけつこうであります。
  148. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 今御指摘の点がございましたが、まず東京は二割五分ついておるから二割五分よけいな生活をしておるというお話でございます。しかしわれわれが統計局におきまして、消費者価格調査をやりますときには、その大部分は公務員が入つておりません。従いまして東京における消費者の一般的状況が出るわけであります。收入の多い者はそれに応じた高い生活をする。これもあたりまえの話であります。しかし消費世帶の抽出ということは、これはランダム・サンプリングでやつておるのでありますから、大体におきまして、その都市の代表的な数字が出て参るということになるのであります。そうしてもう一つ、われわれが給与ペース改訂を勧告するというような際におきましては、われわれはここに生活型というものを一つつくりまして、いわゆるマーケット・バスケットというものをつくりまして、そうして生活費というものを、食糧費は幾らというふうに組み立てて行くわけであります。しかしただいま私が申しましたエンゲル係数が五五%というのは、ただ事実を指摘しただけでありまして、現実に消費者が生活しておりまする状況を見ておりますると、大体その程度にしかなつていない、こういうことを申し上げたにとどまるわけであります。
  149. 平川篤雄

    平川委員 ただいま地域給がついたものと、つかないものとの差を話したのでありますが、これは一つの実例であつて、大体においてこの生活水準の高いところと低いところというものはあるわけなんです。農村といえば、大体においてこれは低いのであります。低いからそれでいいというわけではないのでありまして、やはり物価が高かつたら、それについて地域差というものをつけてやるということがほんとうだと思うのです。というのは、ちようど同じ公務員にいたしましても、自分のうちで食糧を生産しておる者もおりますし、また買わなければならぬ者もおるのです。けれども、これを同様につけてやるというのは、その地帶がそういうふうな地帶であるからなんです。私は今局長お話しになりましたところで議論をいたしておるのではない。いよいよこの原則的なはなてはつきりした御見解を聞きたいと思つたのでありますが、これはまた別個の機会に、何かお示しを願えたらけつこうだと思います。  それから資料自体の問題はそのくらいにいたしておきまして、その次にこのS・CPSを二十四年五月、二十五年五月と、これの平均値を出して、さらに二十四年の十一月と平均をしたという。三つの数字しかないのに上手に使いわけられたところはなるほどと思うのでありますが、一体どういう理論的な根拠があるのでありましようか、私は意味がわからないのであります。     〔藤枝委員長代理退席、委員長着席〕
  150. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 これは理論的と申しますより、われわれが統計を観察いたしました結果、十一月の指数の各府県の状況と、それから五月の状況とは違うわけなんです。五月というものは比較的類似しておる、十一月と非常に違つた型を示している。すなわち消費型が違うわけであります。これは物価の季節変動にもよりますし、消費生活の季節変動ということもありますので、この三つの数字を一律に加えて、三で割るというようなことをしたのでは、ある程度意味に近いものになるのであります。それよりもむしろ五月は五月で平均を出しまして、そうしてこれと十一月と平均を出すということが、三つの数字を使う上におきましては、一番適当な方法である、こういうふうに考えた次第であります。根本は、十一月と五月が、数字が各都市とも相当出遅うということであります。
  151. 平川篤雄

    平川委員 生活型ということはわかるのでありますが、それだからといつて――大体二十五年の五月を基準にして、この地域差の勧告をなさたれのであります。二十四年五月というものは、一年も前にもう過ぎ去つておるのであります。その間には非常な経済の変動というものもある。なるほど生活型というものはありますけれども、三つ数字が出ているから三つ全部使うのが科学的だとは私は思わない。その五月と五月を加えて平均せられようが、三つの数字平均ぜられようが、それは算術的な平均値を出されたというだけであつて、科学的なこの問題に対して一つの目的が示されているとは私には思われない。そこをはつきりとしていただきたい。
  152. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 幸いに二十四年から二十五年の間は、比較的平穏でございまして、指数についてみましても、資料をごらんいただきますれば大体御了解願えるのでありますが、二十四年の五月の指数と二十五年の五月の指数は、大体数字が似通つておるのであります。そうして今かりに三つの数字を加えて平均いたしますと、むしろ五月に片寄つた一つの型が出て参るわけであります。われわれは、五月と十一月というものが相当消費型が違うのでありますから、両方を平均したものがむしろ年間の平均に近づくのではないか、こういうふうに考えた次第であります。五月を二つ加えて、そうしてそれに十一月を加えて割りますと、むしろ五月に近いものが出て来る、こういうことになるわけだと思うのであります。
  153. 平川篤雄

    平川委員 どうも局長さんはときどき違われるのでありますが、私はその三つの数字平均したのがいいと言わないのであります。この三つの数字を検討せられまして、一つのものとしているとか、もう二十四年の五月というものは必要がなければ捨てるというよう場合もあろうし、あるいは全部これはだめだというので捨てられる場合もあろうと思います。出ております三つの数字をどう使うのが合理的なのかということについて、御見解を承ればよかつたのであります。そこで今全般としてどうだと言われたのでありますが、先ほどちよつと休みの時間に聞いたことでありますが、このCPS資料の四ページに新潟県の糸魚川と山梨県の下吉田町というのが、これがいずれもと申してもいいくらい三期ともに数字が高いのであります。ことに糸魚川の方は、まだ二十五年の五月は八九・五ということになつておるのでありますが、この下吉田の方は全部、九四、九〇、九二というような数字になつておりまして、これも嚴然たる事実なんです。ところでこの数字をよそと比べてみますと、めつたにこれはない型をなしておるのでありますが、先ほど申しましたように、ランダム方式でやつておるので、出る数字に何ら手を加えることができないというふうに御解釈になつておる上から申しますと、これなんかはとりわけ二級、三級地なんかに持つて行かれていい数字になつておるのじやないかと思う。これをわざわざおろされておるというような扱い方というものはこれは私は問題だと思う。なるほど下吉田の場合についていろいろな御意見がありましようが、これは全般的に触れる問題であると思いますので、この個別の問題とか、また全般的なそういうカーブ全体の高さというものについての御見解をひとつお示しを願いたいと思います。一つだけが低いというなら、これは何か間違いがあたと言えますけれども、全部が高くなつておるということは……。
  154. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 そういうぐあいに、指数が特別の数字を出して来るものがときにあるのであります。ある場合には、その調査の内容を調べてみますと、そのときに漁期でございまして、そうして非常にたくさん魚を購入しておるというような事情がたまたま出て参るというふうなことがあり得るわけであります。そういうふうに調査の根元までつきまして、そうしてそういうことが不自然でありますならば、これは除去して考えるということであります。またその特定の地域につきましては、そういう時期が非常に積雪の深い時期にあたつておるとか、あるいは寒冷のための準備をいたさなければならぬ時期にあたつておるというようなことのために、特に高い指数が出て参るというような場合には、そういうものも除去して考えなければならぬ、こういうことがあるわけであります。昨日も申し上げましたように、原則としましては指数をもちろん使うのでありますけれども、その指数のおかしいものにつきましては、それはやはりその調査の根元まで突きとめまして、そうしてその数字を信頼し得るかどうかという点を確かめております。またわれわれがそういうふうにして確かめました結果、統計局において、それではこの数字はもう使つてもらわない方が適当である、こういうふうな回答を得ておるものもあるのであります。
  155. 平川篤雄

    平川委員 それでは下吉田のような形の場合を問題にしてみたいと思いますが、ただいまおつしやつたような例というのは、いずれも季節的な意味で、なるほど魚を一時に買い込んだような場合、そういうこともありましよう。しかしこの数字というものは、先ほどからの御返答に中にありましたように、エンゲル係数の五五というものは、主食が占めておるとかなんとかいう見地から申しますと、これを得られた材料というものが、一体この数字の中の何%であるかということの御判断は、どうしてなさつたかということ、これは非常にむずかしい問題になると思うのですが、そこにはつきりした基準なんかがあるのでありましようか。
  156. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 その基準を一々示せと言われますれば、また後ほどでも適当な機会に、そういう具体的な御説明を申し上げるのに何らやぶさかではないのでありますが、この数字を見てみまして、われわれの常識に比べまして非常におかしいものが出ておる場合には、その中を調べて見るわけなんです。そういたしまして、やはりおかしい点がわかるということになりますれば、そういうものは除去しまして行くということになるのであります。
  157. 平川篤雄

    平川委員 そのおかしいものが、数字を八四ぐらいのところまで引下げるだけの大きな原因になつておるか、しかもこれはもう三つとも高いところにあるのであります。非常に高いところにあります。その調べられた理由が、その八四ぐらいのところまで引下げるだけのウエイトを持つておるかどうかということなんです。
  158. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 今私の申し上げましたことは、まことに漠然としておるのでありますけれども、たとえばCPS等につきましては、これはもちろん価格調査でありますから、価格を調査するのが主体であります。しかしながら世帶についてやる調査でございますから、従いまして世帶單位で出て参るわけであります。従つてこの世帶の支出という面からも、これを検討することができるわけであります。そういう際に、たとえば一般の平均に比べまして、被服費が非常に多くなつておるとか、それからまた交通費が非常に多くなつておるとかいうような、異常な状態がありますれば、これを検討する貴重な手がかりになるわけであります。そういうふうにして、われわれは検討しておるのでありまして、おかしなものと申しましたのは、そういう意味でございます。やはり標準的なものに比べまして、相当異常な形を示しておるというものにつきましては、漸次原因を調べて行く、こういうことはやつた次第であります。
  159. 平川篤雄

    平川委員 大体ランダム方式をとつてやるということは、大数というものが――全体のテソデンシーというものを見れば正しいものが見つかるという、そういう原則に立つておやりになつておるのだろうと思うのであります。しかもそれが、ただ一度だけ下吉田なら下吉田というところが、二十四年の五月なら五月に高かつたというならけつこうでありますが、全部が同じようなカーブを描いて、低いものは低いものとして現われておるということになつたら、それをあなたが御否定になるということになれば、ランダム方式でやるというこの調査の方法自体が自殺になつてしまうのじやないでしようか。私はどうもその納得が行かないのです。
  160. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ランダム方式でやるということは、全般的な問題でありまして、全般的には傾向を一つ見るということになるのでありますが、しかしながら、ここにおかしいものはやはり修正するという必要があるのではないかということは考えられます。たとえば下吉田の例をお出しになりましたが、これは山梨県について言えば、順位は二番目になつておる、そういうわけでございまするし、また一方これは非常に寒冷の土地でございます。そういうふうにいたしますれば、これは五月ごろには、そういうところに物を運びまするのに非常な高価な運賃もかかるでありましようし、それからまたそこの商店でたくわえておるものも自然高くなるというこうがあり得る。それからまた十一月ごろでありますならば、寒冷期に向いまする用意をするというためにそういう地域においていろいろと物価が比較的高くなるということもあり得るのであります。そういう地域におきまして、五月と十一月を調査時期として選んだということが、その都市については確かにおかしかつたといわざるを得ないのであります。従いまして下吉田の年間平均を見るということになりますれば、これはほんとうを言えば、その都市につきましては、別な時期を選んだ方が適当であるということにもなろうかと思うのであります。しかし下吉田だけ別の時期に調査するということは、事実上できないのです。そういうことでありますれば、そういうことを見なければならないのです。ランダム・サプリングでありますから、全般的には傾向を見ます。そのためにランダム・サンプングが持つております完全性というものが――完全性と申しますか、やはりランダム・サプリングでありますから、悉皆調査とは違うわけであります。そのためにはわれわれ標準誤差というものを入れてこれを読んでおる。これは一般に共通するものである。ただ下吉田のようなところにつきましては、これは特別にこの問題を見て行かなければならない。これは必ずしもランダム方式と矛盾するというふうには私は考えないのであります。
  161. 平川篤雄

    平川委員 今おつしやつた説明は逆にひつくり返していえば、冬の準備をするときに物価が高くなつたといえば、それから一月、二月に下るということにはならないのです。これは雪国やなんかの生活でも、何でもかんでも早くたくわえてしまつてあとに備えるのでありますから、そうすれば二月、三月の物価もずつと高いのであります。だからこれはそれだけの御説明ではやはりおかしいと思う。けれども私はそういうようなことを問題にしておるのではないので、結局さような扱いを、ある分にはなさつておるということが問題だと私う。昨日も言いましたように、この資料資料としてこのまま強行せられれば、やはり一つの態度であると思う。ところがさてこの一つのものが飛び出しているから、これは押えるという場合に、この分は五月と十一月に調べるのはぐあいが悪いのだという。そうしてほかの都市についていえば、やはりおのおの言い分があるだろうと思います。それに一々耳を傾けて行かれて、全部について耳を傾けられるような余裕があれば、これも一つの方法でありましよう。またそれにあなた方からいえば誤差らしいものが出ておれば、それを全体の数字の何パーセントと見込むかというような、はつきりした根拠があれば、これまた私は一つの態度だと思うのです。ところがただいままでお聞きしたようなところでは、そのような原則的な納得というものはどうも行かないのであります。私はやはりこれは勘でおやりになつたということを言うよりほかないと思います。先ほど茫漠として御返答になりましたが、あの茫漠としているところが真相じやないですか、結局は勘ということじやないですか。
  162. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 勘でやつたということにはならないと思うのであります。先ほど山梨県について具体的な例が出ましたから申し上げますが、これは甲府が五%になつております。そして下吉田が二番目の地域にあるわけであります。県内の消費事情というものは、甲府を一番といたして、その次が下吉田、こういうことになつておるのであります。それが一つの県内のバランスということになつております。そのときにCPS数字をそのまま機械的に用いまして、そうしてこれをかりに一〇%、あるいはそれ以上のパーセントにするといたしますれば、県内のバランスというものはずいぶん崩れたおかしなものになるのじやないか。もし今、平川委員の御指摘のような作業でありますならば、人事院が何も苦労をいたしまして今まで作業を続けるという必要はなかつたのであります。むしろCPSに現われた数字はそのまま有無を言わさず使うということでありますれば、これは一つの方法かもしれません。しかし出て来たものは非常なアンバランスなものになる。これでは必ず各地に波瀾を起すということになるのであります。従いまして、そういう観点からいろいろ検討をやりまして、そうしてわれわれは勘ではない、やはりそこに合理的な研究を進めまして、これをきめている次第であります。今下吉田の例をおつしやいまして、ずつと冬中みな高いということをおつしやつたのであります。必ずしもわれわれはそう思つていない。物価というものは購買力の大きいときに高くなる、そうして購買力の減つたときには低くなるのであります。冬の用意をいたします際には、おそらく二月なり三月分なりの用意をいたすのであります。そういたしますれば、十一月ごろが一つのピークになりまして、これが高くなり、その後におきましてはあまり購入しない、もう用意ができておりますから、従つて物価というものは、そのピークから漸次下つて行く。ところが用意というものは、万全の用意ができるというわけでもございませんから、やはり五月ごろになると不足する。しかしながら交通が積雪に閉ざされておるというような状況になりますれば、今度は物が欠乏しておりますからまた高くなる、こういう事情があるのであります。半年を通じてそれが高いということは、一概には申せないのであります。
  163. 平川篤雄

    平川委員 下吉田の例はもう打切りましよう。ただいまおつしやつたように、購売力がなくなつたということは、もう買う必要がないからであります。物価はそうでありましようけれども生活は、一緒に買込んだときのを今度は二月、三月と平均して見て行かなければならなくなるので、そうおしやつても、私の方ではやはり反駁するものがあるのですが、ただ私は下吉田の人の生活実態というものをここで権威を持つて申し上げるだけの材料がないから、これはやめたいと思います。要するに私は、その勘が悪というのではないのであります。きのうから申しておりますように、勘でもよろしいのです。とにかくその資料というものがここに出されておりますが、その資料について、私ども提出の方法、技術的な面について、十分合目的的なものと思えない節があるのです。またこれをお扱いになる場合に、いやしくも不審があるなら、それをほんとうにただしてみまして、これ以上やり方がなかつたというところで実は安心したいのです。局長さんに、あらを探しまして意地悪く言つているわけではないのでありまして、そういうような一つの露頭と申しますか、氷山の頭の出たところを問題にして、あなた方がどういうふうにお扱いになつたかということが知りたいのであります。それはどういうわけかといつたら、今回の分はやむを得ないにいたしましても、この次の地域給の調査をなさる場合に、一つの方法をお互いに見出したいと思つているから言つていのでありまして、決して下吉田の例をどうのこうのといつて拘泥しているわけではないのであります。  さて今度は問題をかえまして、順位表を作成する場合に、県当局にどれだけの指示をなさつたか、これをお伺いしたい。
  164. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 県でつくつています順位表につきましては、特定の方法を明示しなかつたのであります。ただ県内の各種の事情もありまするので、われわれといたしましては、各地の消費形態あるいは消費水準というようなことを基準にして、県内における順位表をつくつてもよろしい、こういうことを申した次第であります。しかもこれは一ぺん申して申し切りというわけではありません。われわれが納得がいかない場合に、おかしいといつたようなところは再三照会を発しまして、そうして順位表の訂正を求めておるわけであります。
  165. 平川篤雄

    平川委員 その特定の方法を明示しないということは、これは先ほどCPSの調査と同じように、やはり人事院の非常な手落ちではなかつたかと思うのです。これはもう過ぎ去つたことでありますからやむを得ませんけれども、そこのところを計画的におやりになれば、様式というものが出て来るのではないかと思うのであります。願位にいたしましても、今の政治的なものだとか、いろいろなものが入つて来まして、今度はそれを判定する資料が結局ないというようなことは、やはり最初から方法的にお考えになる準備が不足しておつたのではないかと思わざるを得ないのであります。なお昨日居住地勤務地の両方の主義について総裁にお伺いしましたところ、しごく手ぎれいな御答弁でありましたが、これらについても、はつきりした御見解を別の機会に人事院からはつきりさせられる方がいいのではないかと思うのであります。  それから最後にもう一つ、特別の取扱いについて、昨日陳情に左右されなかつたかと言いましたところが、陳情には左右せられなかつたというお話であつたのであります。ところで私は富士吉田市のような例をお伺いしたいのであります。同じく山梨県東山梨郡岡部村字石和というところの問題であります。それからもう一つは六十五ページの愛知県中島県大和町字馬引というところ、もう一つは、百十二ページの広島県御調郡向島町字小歌島、この三つの例について、どういうわけでこういう字が取上げられたかということを御説明願いたいと思います。
  166. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 あとでさつそく調べまして御説明申し上げたいと思います。今ちよつと資料を持ち合せませんので、総括的なことは申し上げられるのですが――それは、そういう地域におきまして、特別の試験所とか、あるいは国立療養所というような政府機関があります際には、指定地域からはずれておりましても、これを取入れるためにそういう字を指定しているところがございます。
  167. 平川篤雄

    平川委員 御調査になりましたでしようか。
  168. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 それは調べております。
  169. 平川篤雄

    平川委員 それでは六十五ページの愛知県の大和町字馬引の例であります。これはおそらく繊維試験所でとられたと思うのであります。ところがその隣地の苅安賀というところに郵便局がある。これも同じく国家公務員でありますが、級が一級ほど低くなるのであります。こういうところに不均衡をお感じになりませんか。私が昨日の質問におきまして、名古屋の例をあげまして、一つの町を四級と五級にするのはむずかしい問題ではないかとお尋ねしたことにこれは関連があるのであります。むしろ茫漠とお扱いになる方がかえつて合理的ではないかという例であります。
  170. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 今の馬引の問題でございまするが、馬引は一宮の隣接地域になつておる。従いまして、そういう意味かちもこの馬引を考慮いたしましたし、繊維試験所という問題が当然考慮のうちに入つているわけであります。また一方郵便局といいますのは、国家公務員とは申しましても、土地の人が多く勤務されている状況でございまして転勤というようなことも、繊維試験所に比べますれば比較的少いじやないかというようなこと、繊維試験所の方へは多くほかのところから職員が参つているというような事情考慮いたしまして、この馬引に限定してきめたわけであります。
  171. 平川篤雄

    平川委員 そのような考慮数字に現われないから私はいけないというのであります。やはり勘でおやりになつているだろうと思うのです。今おつしやつたように、よそからやつて来るだろうからどうだろうからというような事情を調べれば、これは際限のないことであります。先ほど林君の質問に対して学校をあげておつしやつたのですけれども学校なんかというものは、今どういう学校か知りませんが、高等学校ならともかく、小、中学校ならむしろ勤務地に居住しているのが多い実情であります。この地域給のために農村の教員はだんだん都市に吸收されて行くことを考えますときに、今の転勤がどうだのこうだというような要素をこれに含まれるのは合理的とは思われないのです。やはりこれは非科学的な御判断に基いていると言わざるを得ないのであります。  それからよく調べたとおつしやいますが、ただいまの山梨県の東山梨都岡部村字石和というところは、日本全国どこを調べてもないそうであります。石和町という町があつて、岡部村には石和というところはないそうであります。これは話を聞きますと、どこかの官庁の労働組合の資料をそのままうのみにせられてこれはやられたものと考えられる。こういうふうなことなんかは決して調査をしておられるとは考えられないのでありまして、昨日私が特定地区を特別な考慮を加えられる場合には、特別に御調査をなさつたかどうかと相当念を押したことにこれは反するのであります。どういうふうなものですか。
  172. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 今のお話でございますが、これはわれわれの係官が一々現地に行つて視察することでなければ調査でないとおつしやるのならば、これは調査しておらぬということになるのでありますが、こういうことにつきましては、電通省、郵政省にわれわれの方から公文書で依頼を発しまして、そうして官署の所在地を調べるということになりまするならば、これは一応調査と言い得ると思うのであります。ただいま御指摘の点につきましては、雷通省の方におきまして少しミスがございました。それでわれわれ目下その点について電通省と交渉をしておりますが、こういうことになりますならば、一つ一つ全国くまなく行脚しなければできないということにはどうも行かないのであります。ある程度はやはりわれわれ公文書を用いまして、電通省なり郵政省なりに照会いたして、また公文書でやつて来た回答であるならば、これは一応信用して使うということでなくちや、これはやむを得ないのでないかというふうに考えている次第であります。
  173. 平川篤雄

    平川委員 この案をおつくりになつているときに、研究課並びに給与局の皆様方が陳情に攻められて、とてもお忙しかつたことは私は同情をもつて見ておるのであります。しかしながら特定の今の数字を左右して、おろしたり上げたりする場合には、そう詭弁みたいなことを実際言つていただきたくないのであります。それは間違いだつたら間違いだつたとして、率直に認めてもらえばいいのであります。たとえばこういうふうに出ましたときには、岡部村というのはどうなるのでありましよう。おそらく石和町の間違いであろうと思いますが、石和町も岡部村も同様に一級地としてお扱いになるのでありましようか。それとも岡部村というのは、もう永遠に抹殺なさるおつもりでありますか。
  174. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ここに書いてございますことは、岡部村字石和になつておりまして、これは御指摘のようにまあ岡部村というのがあつたじやないかということになるのでありますが、われわれの感じでは岡部村というものがあつて、その中の字の石和だというふうに考えておつたのであります。ところがそれは御指摘のように誤りであつたわけであります。これはもちろん訂正いたします。しかしながら電通省に公文書で依頼したというようなことは決して詭弁ではないのであります。これはお見せすることもできるのであります。
  175. 松澤兼人

    松澤委員 先ほど平川委員から名古屋の問題が出ておつた。非常にこまかく町名を指定したり、あるいは町を指定したり、あるいはまた電車線路からどちらかというようなことがあるわけですが、われわれ原則的には前回二割五分もらつていたところはどんな場合でも二割五分というふうに心得ているのでありまして、町名をわけましたために、前に二割五分もらつていて、今回は四級の地区に入つているというところが生じているやに聞いているのです。そういう事実はございますか。
  176. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 従来二割五分もらつてつたところで二割になつておるというような地域があるかということでありますか。
  177. 松澤兼人

    松澤委員 ええ、そうです。
  178. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 それはないはずでございます。
  179. 松澤兼人

    松澤委員 それはやはり切り方で、たとえばこういうふうに区切つてありましたものを、何丁目とか何町とかいうふうに指定して、そこにある官公庁を入れるような形でもつて規定した。ところがそれを一本ですつと切りましたために、そこにある官庁がはみ出してしまつたというところがある。こういうことを聞いたのです。
  180. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 われわれの方の作業では、今松澤委員から御説朗がございましたが、そういう作業をやりますときに、そういうところにある官庁については十分注意を払つておるつもりでありますから、そういうことはないはずだと思うのであります。もしありますれば、御指摘願いたいと思います。
  181. 松澤兼人

    松澤委員 私もはつきりは聞いておらないのでありますが、たとえば名古屋市の六十四ページの三行目に櫻台町というのがありまして、その隣に櫻本町というところがあり、そこに郵便局がある。その櫻本町というところにある郵便局は四級の中に入つておる。これは従来は今申しましたように、非常にでこぼこに指定してあつたために、そこの郵便局は二割五分、特地をもらつていた。今度はそうではなく、すぽつと切つたために、櫻本町にある郵便局は四級地に入つたという実例がある。これは普通の地図ではわかりません。よほど詳細な地図でないとわからないと思うのです。町を切つたり町名を切つたりしてある。
  182. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 よく調べまして、お返事申し上げます。
  183. 松澤兼人

    松澤委員 私も現地の事情はよくわからないのでありますが、少くともそこに三つほどそういう箇所があるということを聞いております。いずれ私の方も地図をお届けしますけれども、原則として今まで二割五分もらつていたものが四級地になるということはあり得ない。断じてないというふうに了解いたしまして、もしそういう場合があれば、五級地に訂正してやるということを言つていただけば、私はよろしいのです。
  184. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 その点は原則として――原則じやありません。それは絶対に下げなかつたのであります。たまたまそういうところがありますれば、これはもちろん訂正いたします。
  185. 平川篤雄

    平川委員 ただいま松澤さんの御質問のことにも関連を持つのでありますが、この小歌島にいたしましても、先ほどの馬引にいたしましても、そうした国家公務員の勤めておりますところの官衙があるからという事情によつて、そこの地域が指定をせられておるという印象を与えることは非常によろしくないと思います。そのことを中心に、何と申しますか、まあ人事院の立場からいえば、国家公務員地域級のことだけ考えればいいというふうにお考えになるだろうと思いますが、これは当然地方公務員にも大きな影響を及ぼすのであります。もしも人事院地方公務員のことを全然考えずに、国家公務員のいるところだけしか考えなかつたと言われるならば、これは特別に一般の地域給の問題について何らかの措置を政府はとるべきだと思います。これはもちろん人事院の職権の中にないかもしれませんが……。それに先ほど申しました馬引の例のごとく、ごく近いところに郵便局があつて、それは一級五分だけ下るということになりますと、これは陳情というもののきき目があるという非常な悪い印象を与える。そういう何と申しますか、人事院の出された案というものが、もうどつから突いても、いくら文句がありましてもはね返してしまえるようなものになつてほしいと思うのです。けれどもただいま申しましたような点について、非情に私は愼重を欠いておられたように思う。たとえば向島町字小歌島というような問題にいたしましても、なるほどそこには一つの国家公務員がいる官庁があるからいいとおつしやるかもしれませんが、同様に同じ町の経済條件が一つも違わないところに、他の郵便局とかその他の公務員がいます。こういうようなところは全然問題になつていない。なぜか。わしら行つたが、お前たちは行かなかつたからだと必ず言うにきまつている。これは納得が行かない。範囲がどこまで広がつているかということについて、これは詳細な御調査をやはりされなければいけなかつたと思う。私どもであつたら、字なんかという小さいところを指定する場合には、なおさら愼重にいたします。郡とか何とかいう大きなものを御指定になるよりか、字という場合はもつと大きな考慮を払うのがほんとうだと思う。そういうような点について非常に私はずざんだと思う。どういうふうこれにはお取扱いになるのでしようか、ほかの今の馬引にいたしましても、小歌島の場合にいたしましてもですね。全体の町というものをどういうふうにお扱いになりますか。
  186. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 百十二ページの向島町字小歌島でございますが、これは従来大蔵省時代に、ここに個別官署の指定があつたのであります。その指定されておつた官署がありましたので、これを下げないためにやつたのであります。これはわれわれ今回のやり方では、個別指定とか、あるいは小範囲の、人事院が自由にできる指定の範囲というものを人事院に残さないということが建前になつておりますので、従来大蔵省時代に個別指定で官署が扱われておつたものは、みなその官署を含む小さい地域を指定する、こういう方針でやつたのであります。それで小歌島につきましては、現在の状況を下げないためにやつた次第であります。
  187. 平川篤雄

    平川委員 官衙というものを中心にこの問題を処理して行くという方針については、どうお考えになつたのでありますか、先ほど質問した中にも入つておりますが……。
  188. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 昨日も申し上げましたように、方針が幾つかあるわけでございます。その方針に従つてつたわけでございますが、われわれがやります際に、地方公務員のことを全然考慮しなかつたかと申しますと、そうではないので、地方公務員のことも十分に考慮しておると申し上げてもはばかりないというふうに考えております。これはどういうことであるかと申しますれば、先ほどから申し上げておりまするように、でき得るならば、一部をなるべく区別しないようにするということもやつておりますし、いろいろな考慮を加えておるわけであります。ところが従来得ておりましたものを下げるということは、やらないというのが今回の方針でございまするから、今御指摘のように、小歌島にいたしましても福島にいたしましても、そこに従来個別指定を受けておりました官署があるわけでございます。そういうところを下げないためにやつておる措置であります。
  189. 平川篤雄

    平川委員 物には比重というものがありまして、今のようにおつしやると、これは向島の小歌島以外のところは、もういかなる官庁といえども地域給をつける必要がない、そういうことをはつきり示された結果になるような御説明であります。郡全体を入れておるというのは、地方公務員考えておるのだとおつしやつた。そしてこれは特別の個別指定のものを下げないという意味でやつたのだ。それだつたらばあつさりと――小歌島というものに対する特別の指定であつて、もしこれがいけないというなら別でありますけれども、今のように私は当然なところだと思います。向島という島は一級地にしてもいいところなんです。二級地でもいいと思うのです。けれどもそれはともかくといたしまして、そのような場合には、御調査になれば向島町全体、あるいは向島なら向島には二、三の部落があるのでありますが、これを全部含めて御指定になることが当然だということがおわかりになるはずだ。それを機械的にこういうようにおやりになるところが、私の不満に思つておるところであります。まあそれはそれといたしまして、今後このような場合に、字名だけが指定せられておりますようなところがいろいろと申して参りましたときには、どういうふうに御答弁になりますか。そこの地域給の取扱いについて……。
  190. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 字名が指定になつておりまするところは、これは隣接町村で、たとえばその主体たるべき市、あるいは町と同様に扱うのが適当である。たとえばある特定の町の、そのための駅が隣接町村にあるというふうな場合には、そういう指定がしてあるということがございます。またある特定の市というものにつきまして、当然その町の続きであるというようなことから、従来落ちておつたものを拾い上げたものもあるわけであります。それからただいま申し上げましたように、従来個別指定でありましたものを、今後は個別指定をしないという方針がございますので、その官署を従来通りの地域給を維持させますために、個別指定をしておるものがあるのであります。原則はそういうことでございます。
  191. 平川篤雄

    平川委員 あまり一人で質問としても失礼でありますから、最後に一つだけお伺いしたいと思います。この全体の表をつくられる場合に、おそらく作業の過程としては、東京都を頭にしていくらか線を引いて、そこに一つのグループをおつくりになつたと思うのですが、その作業段階をつくつて、おしまいに五つにした経過というものを、もし話していただけるなら話していただきたい。
  192. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 その問題につきましては、われわれが八千五十八円ぺースの勧告をいたしました際に、二五%に地域給の幅をするのがいいということを説明資料として差上げておるわけでございます。
  193. 平川篤雄

    平川委員 いやいや。
  194. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 それで、それが五段階に刻まれたゆえんでございましよう。従来は一〇%刻みになつておりました。これをなぜ五%刻みにしたのかと申しますると……。
  195. 平川篤雄

    平川委員 いや、そうではないのです。それはわかつているのです。ただいまのように複雑なものがあるのです。今までずつと御答弁になりましたことによつて……。そこでおそらくこのグループこのグループといういろいろのグループが出るだろうと思うのです。これは特別な考慮をしなければならぬ。上に上げる、あるいは下に下げるというような……。中間にあるようなものもありましようし……。そういう最初の作業の過程というものを私はお知らせ願いたいと思うのです。具体的に申しますと、たとえば東京都を一番上にしますこれは問題ないのです。ところが東京都の様に来るもの、もうちよつと下に来るものというようなものやら、あるいは特定に扱わなければならぬものとかいうようなものがあつたろうと思うのです。それを最後にはこの五つの段階へみな押し込まれたわけでしよう。その過程というようなものを知らせていただきたい。
  196. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 われわれの方で作業をやりました際に、全国を一ぺんにやつたのではないのでありまして、府県別にやつたのであります。従いまして府県から出ております順位表と、その府県内におけるCPSをやつたものを中心にしまして、府県別に作業をいたしました。そして全体を通観するということはいたしましたけれども、たとえばあらかじめ東京都はこのグループ、それから全国的に見まして二〇%つけるのはどのグループであるというようなことはやらないのであります。府県別にみな作業をやつておるのであります。それであとでまた全体を統一をとつてみるということはいたしました。それはしたのであります。府県別に、ある特定の府県に非常に得が行つているところはないか、ある特定の府県が損をしておりはせぬかというようなことは、あとから検討はいたしてみました。しかし作業はみな府県別にやつておるのであります。
  197. 平川篤雄

    平川委員 資料自体につきましても、資料の取扱いにつきましても、また特別な考慮を払われたという実情につきましても、私率直に申せば、まだまだ不十分な点がたくさんあるような気がするのであります。これは将来にかけてひとつ御訂正を願わなければならぬという結論を持たざるを得ないのであります。こういう点につきまして、当局のほうではそれぞれ反駁をなさるでありましようけれども、秋の受けた印象では、まだ納得が行かないのであります。どうかひとつ率直に適当な機関を設けられまして、将来ともこれは是正して行くことについて、はつきりした意思表示をそれによつてしていただきたいい、こういうふうに念願をいたします。
  198. 淵上房太郎

    ○淵上委員 ちよつと一つ二つ関連してお尋ねいたしたいと思いますが、先ほど来電通省に対する照会の回答にもよつたというお話がございました。あるいはまた今までたびたび知事の推薦順位によつてその区分をきめたという御説明も聞いておるのでありますが、根本におきましては、この調査の方法は比較的きわめて公正な科学的方法によるという御方針のように承つております。その官庁に対する照会の回答、あるいは知事の推薦というようなものにつきまして、科学的の調査方法をもつて審査されて採択されたものであるかどうかを伺いたい。
  199. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 官暑があるかどうかということを、われわれが特定の官庁に問い合せました際に、それはやはり出て来ましたのはうそが書いてあるというふうには考えませんので、これは審査のしようがないわけであります。たとえば郵便局がどこにある、あるいは国立療養所がどこにあるかということを聞き合せますわれわれの照会文に対しまして、こことここにあるということが出て参りますれば、これはもう信用いたすということになるわけであります。それから府県から出て参りますものにつきましては、これは先ほどから申し上げておりますように、一応われわれの常識から考えまして少しおかしいというような点につきましては、こういう点はどうかというようなことを再三念を押して紹介いたしまして、それに対して出て参りました回答につきましては、これを信用して使うということにいたしております。
  200. 淵上房太郎

    ○淵上委員 府県知事の推薦による点につきましては、必ずしも科学的審査をやられたのではないかというふうに了承してよろしゆうございますか。
  201. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 府県知事にお願いいたしまして、府県内におきます生活水準というようなものの順位を出してもらうということにつきましては、先ほどから申し上げておりますように、われわれがおかしいと思う点につきましては、再三紹介を発して、もし必要があるならば、その必要に応じて訂正を府県の方からされておりますから、われわれはこれを信用して使うということであります。
  202. 淵上房太郎

    ○淵上委員 その点は今の御説明の限度で了承いたしました。  ちよつとこの機会に一、二の例としてお尋ね申し上げたいと思うのでありますが、八十九ページ及び九十ページにわたりまして、兵庫県の明石市並びに姫路市は三級になつておりますが、こういう区分の決定は二十五年の五月の調査によられたのでありますか。あるいは二十二年の五月、二十四年の十一月並びに二十五年の五月、三回の平均見通しを立てられて、それを基準にして決定されたのでありますか。それをまず先に伺いたいと思います。
  203. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 明石市と姫路市はもともとこれは甲の地域でありまして、一五%の地域であります。それでこれは下げないという原則によりまして下げないのであります。
  204. 淵上房太郎

    ○淵上委員 三つの平均でやられたか、あるいは最後のあれでやられたか、指数を……。
  205. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 CPS指数につきましては、先ほど申し上げましたように、五月のものを平均いたしまして、それから十一月のものとさらに平均いたしまして、そういう指数を使つております。
  206. 淵上房太郎

    ○淵上委員 私は先ほど一例だといつてつたのでありますが、伊丹が平均しますと九四・八、最後の方も同じく九四・八、しかるに明石市は平均九三・四、最後は九二・四、姫路は九二・六が平均で、最後は九〇・二になつておりますが、この明石、姫路両市が伊丹市と二級、すなわち一〇%違うことが適正であるというお考えでこういう区別をなさつたのかどうかをお伺いいたしたいと思います。
  207. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 伊丹は地域的にごらんいただきますならば、尼崎、西宮、あちらに非常に近い地域にあるのであります。そしてまたここには阪神電車も参つております。それから特別にエア・べースがありまして、ここに相当員数の日本人の労務者が就役しておるというような状況になつております。それからまた予備隊の兵舎が設けられまして、そういう特殊の事情がございますので、特に指数よりも高いところに格付いたした次第であります。
  208. 淵上房太郎

    ○淵上委員 個人のことを申し上げて恐縮ですが、私は昔あちらで郡長をしておりまして、その後引続き絶えず同地方には参つておりまして、実情はよく存じております。私が伺いたいのは、伊丹市を上げられるのはけつこうでありますが、一級飛ばして一〇%上げられたのはどういう理由か、それが適正だと思われたからというお答えをいただきますればけつこうですが……。
  209. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 伊丹につきましては、ただいま申し上げましたようにエア・ベースがございますし、また警察予備隊でございます。近い将来のことを考えてみましても、甲地にするのが適当であるというふうに考えた次第であります。
  210. 淵上房太郎

    ○淵上委員 同じ種類のお尋ねをもう一ついたしますが、御提出になりました関係資料の八十ページ、八十一ページ、八十二ページによりますれば、かりに平均だけ申しましよう、五級地の守口市が九四・四、泉大津市が九五・四であります。しかるに四級地の茨木市が九七・三でありまして、二十五年五月の調査によりましても、守口市が九一・七、泉大津市が九六・一であるのに、四級地に編入されておる茨木市は九六・四であります。そこで御提出の資料によりますれば逆になつてしかるべきだという結論が出ますが、一級下げておるのはどういう理由でありますか、その理由を伺いたい。
  211. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 守口市は従来の地域が特になつております。これを下げないために存置してある。それから泉大津等につきましては、普通の指数平均によつてつております。茨木につきましても同様に、指数平均によりましてやつております。
  212. 淵上房太郎

    ○淵上委員 御提出の資料によりますれば茨木の数字はここに出ておりますが、これをなぜ五級にお上げにならなかつたかという問題になるのであります。守口、泉大津より高いのでありますが、しかるに一級下げたのはどういうわけかという理由をお尋ねいたします。
  213. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 泉大津の平均は九九・四でございます。それから茨木市は九七・八になります。従いまして泉大津は二五%が適当でございますし、茨木は二〇%が適当である、順位もそのようになつております。守口は先ほど申し上げましたように、これは従来特地でございます。これは従来通り一級を下げないという方針でやつております。茨木は指数は守口以上でありましても、従来の級地は下げないという方針がございますから、これは特別の基準が入つております。
  214. 平川篤雄

    平川委員 ただいまの御答弁の中で、伊丹市は将来の問題を考えてという言葉がありましたが、これは聞き捨てならぬ言葉なんですが……。
  215. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 将来の問題と言いましたのは、あまり遠い将来のことではないのであります。現在すでにエア・ベースがございまして、これが非常に発展の段階に入つておりますし、警察予備隊も今設けられた段階でございますから、これから漸次ふえて参る。将来と申しましても今すぐのことでござまいす、遠い将来のことでございませんので、今将来と言いましたが、ちよつと言葉が誤りでございましたから……。
  216. 林百郎

    ○林(百)委員 ちよつと扱いのことについて……。これは政府提出の法案として出されるわけですか。
  217. 田中伊三次

    田中委員長 そのように推測しております。今のところ委員会提出の意思はございません。
  218. 林百郎

    ○林(百)委員 それから議員提出の意思もないわけですね。
  219. 田中伊三次

    田中委員長 ございません。
  220. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると将来これが政府提出の法案の別表になりますと、この地域区分の責任は、今度は政府になるわけですか。今盛んに人事院をいじめておりますが……。
  221. 田中伊三次

    田中委員長 政府になります。
  222. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると政府の方ではこれをこのまま採用するわけですか。やはり政府は今言つたように、いろいろなことがありまして、政府政府独自で修正するのですか。その辺はわかりませんか。
  223. 田中伊三次

    田中委員長 政府独自でやるようです。
  224. 林百郎

    ○林(百)委員 これはこれを参考として……。
  225. 田中伊三次

    田中委員長 偶然結果において一致することがあるかもしれません。
  226. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、主管省はどこになるわけですか。
  227. 田中伊三次

    田中委員長 やはり官房でしよう。但し財源関係におきましては、やはり大蔵省が……。
  228. 林百郎

    ○林(百)委員 財源が大蔵省で、法案の主管は総理府――わかりました。
  229. 田中伊三次

    田中委員長 それでは本日はこの程度にいたしまして、次会は明日休みまして、明後日二十一日午前十時三十分より開会することにいたします。  本日はこれで散会いたします。     午後四時二十一分散会