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中原健次君 私は私の
紹介いたしましたのが一件と、今日の余儀ない用務のために出席いたしておりません
岡田春夫君の
紹介いたしました三十二件を代理いたしまして御説明申し上げたいと思います。
まず第一番に、本日の
請願の第一二にございます
小樽市の
地域給指定に関する
請願でありますが、これは今回の
地域給の改訂に伴いまして、あるいは従来支給されておりました給率が引下げられるのではないかという心配を多分に持つておるところから、この場合そういうような措置になることなく、従来
小樽市の望んだように、甲地としての二〇%の
地域給を支給されておりましたので、その現状を必ず割ることのないように維持していただきたい、こういう
請願の趣旨であるわけであります。
小樽市の現況につきましては、
請願書に詳細にこのことを御指摘申し上げてありますので、
請願書を中心に十二分の御検討を賜わりまして、少くとも二〇%の現状維持を御配慮いただくことを懇請申し上げます。
第二は、一三六以下二十八件でありますが、これは従来寒冷地手当を支給されていなかつたこれらの寒冷地が、
請願書の中に詳しく御説明申し上げておりまするような実情のもとに、最も近い機会に寒冷地手当を支給していただくことのできまするように御配慮が願いたい。これは三重県下の関係各町村でありますが、たとえばこの中の一つをとつて申しますると、三重県の員弁郡丹生川村等におきましては、現在も物価の程度が非常に高いばかりか、非常に気温が低くございまして、雪なども毎年四十センチあるいは六十五センチなどの積雪量を見ておるような状況であります。従いまして兒童が登校いたしまする場合にも、非常な交通困難のためにしばしば臨時休校をしなければならなかつたというような実情もあるわけであります。ことにその間の交通等につきましても、非常に不便な土地でありまするので、交通費も大量にかかるし、あるいは風や雪その他のために、電線等の故障あるいは停電などの関係で、ろうそくとか、あるいは石油代とか、いろいろなものを必要とする状況にあるわけであります。従いまして寒冷地としての条件を十分具備しておるものと考えますので、以下各関係二十八箇町村の実情をお汲み上げいただきまして、寒冷地手当の支給のできますように御配慮が願いたいと思うのであります。
その次に一七六でありますが、これは
公務員の
給与改訂に関する
請願であります。この
請願の趣旨につきましては、いまさらここで問題にいたしますることも不用なほどに、朝鮮動乱以後日本の全般にわたりまする経済状況の変動に伴いまして、あらゆる物資の価格が非常に高騰いたしましたことにつれまして、当然国家
公務員その他万般の
公務員につきましても、今日の給与の基準ではとうてい人たるに値するどころか、明日の任務につくすことさえ十分の用意ができないという実情であります。従いまして、この機会に人事院当局におかれまして、
公務員の
給与改訂に関する勧告を発していただきたい、こういうお願いの筋なのであります。この
請願書によつても御理解いただけまするように、現在の物価あるいは生計費の実情というものが、どのように低く推算いたしましても、一万二千二百円を最低限度として給与額の御決定を願つたという実情に到達しておるわけであります。なおきようまでの間の時間のずれもありますので、その間の補填のためには、生活補給金の臨時支給を御配慮願いたい、こういう筋合いになつておるわけであります。この趣旨につきましても、本
請願書の説明その他いろいろな参考文書を十分御判読いただきたいと思います。なお人事院当局におかれましては、すでにこのことについて十分お気づきでもございまするし、またCPS等によりましても、このことは否定することのできない実情にありますので、そういう諸点を御勘案くださいまして、ひとり政府の統計だけじやなく、一般民間各機関の研究調査に基きましてもわかりまするように、もはや寸時の猶予なりがたい状態にあるわけでございます。この点を御賢察たまわりまして、給与ベースの引上げ改訂のために積極的な御努力を賜わりたいと思うわけであります。
最後の第一八五号でありますが、これは岡山市の
地域給存続に関する
請願であります。この
請願書は私外三名、すなわち若林義孝、苅田アサノ、黒田寿男、四名の連名
紹介になつておる案件であります。岡山市は御熟知をいただいておりますように、中国地方における要衝の地点であるばかりか、海を隔てまして四国との非常に緊密な関連がある地であります。従来岡山市は、生産都市でなく消費都市であるという一つの特徴もございますので、
公務員の給与事情については、とりわけ深い理解を賜わらなければ、岡山市に勤務いたします
公務員はとうてい十分の働きをすることも困難な実情に置かれておるわけであります。この
請願の趣旨といたしましては、今回のベース改訂に伴いまして、
地域給の切下げ部分が本俸に繰入れられることになりまして、このことにつきましてはもちろん異存がございませんで、むしろこのような措置は当然だと考えるのでありますが、この機会に実質賃金の引下げになるようなことのないように十分の御配慮が願いたいというのが第一項であります。
なお岡山市の
請願といたしましては、そのような御取扱いの基礎としては、あくまで科学的かつ合理的に実態の調査を願いたい。そうして現在将来にわたりまして、全国他都市との均衡を失うことのないように御処置を煩わしたい。さらにその観点から、岡山県が従来までしばしば誤解されておりました一点を指摘いたしたいと思うのであります。と申しますのは、岡山は米産県である、そういうことのために、生活費も高くかからないであろう、こういう先入観が長い間支配いたしておりました。しかしそれはとんでもない逆の見解でありまして、もちろん岡山市の外における農作地におきましては、相当優秀な米を生産することは間違いがありません。従つて俗にいわゆる備前米と申しまして、非常に優秀な米をつくりますだけに、それだけに今日のような統制のもとにおきましては、しばしば巨大なる消費地から岡山県に向けて米の買上げ——はなはだ芳ばしくないことですが、やみ取引が非常に盛んでありまして、ために隣接の京阪神地方を初めとしまして、岡山県の米を買付けるという状況が活発でありまして、そういう関係から、むしろ岡山県下の最高の消費地であります岡山市といたしましては、やみ価格が非常に高くなつて来るという必然の条件に置かれておるわけであります。そういう関係から、米産県などという見解は、巽はその逆の結果を来しておるということを御理解賜わりたいのであります。従つて生活費は安いというよりは、むしろ高いという現状に、おかれておるということを御理解願いたい。なお生計費のおもなる部分を占めておりまする主食という部分だけでなくて、その他の生活必需物資におきましても、岡山市のそういつた性格から、非常に気分的に物が高くなつて来るという現象があるわけであります。と申しますのは、京阪神の影響というものが非常に敏感に反映いたしまして、そうして不自然な物価の上昇という線が強く出て参つておるわけでありまして、こういうことは、岡山市の実情をつぶさに御検討いただきますれば御理解がいただけるわけなのであります。実はこのことにつきましてはいまさらではございません。給与問題をかつて大蔵省が管掌いたしておりました当時、大蔵省給与局におきましても、そういつた岡山市を中心とする岡山県の実情については、大体の御理解が願えておりました。従つてそれまで岡山市を中心とする岡山県下の各都市の
地域給が非常に低きにおかれ、あるいは
地域給が全然設定されておらない都市がたくさんあるわけでございますが、そういう実情について、その間の認識のあやまちが十分指摘されまして、これは考え直さなくてはいけないという実情に、もはやなつておつたわけであります。ところがたまたま大蔵省の所管事項である給与問題の取扱いが人事院に移管されましたその瞬間に、この問題を解決することができないままに実は延びておつたわけであります。そうしてようやくここに今到達いたしておるわけであります。そういうことが一つのバツクになりまして、依然として岡山市に対する認識が低いのではなかろうか、こういうことを岡山市の
公務員諸君は非常に心配しております。従いまして是正されたはずの認識を、必ずそのままにお取次ぎが願いたい、こういうのがこの
請願の最も気づかう点なのでありまして、従つてこれが
請願の趣旨なんでございます。もちろん岡山市は甲地の取扱いになつておりますが、今度のように段階がかわつて参りますと、あるいは意外に低いところへ押し下げられてしまうのではなかろうか、こういうことが気づかわれておるわけであります。従いまして、これは單なるエゴイズムから出発して、いわゆる多くの給率をもらうという考え方ではありません。岡山市におけるそういつた実情が、やむを得ずこのことを訴えさして泊るわけでありまして、今度の改訂にあたりましても、少くとも従来の二割という線は絶対に確保していただきますことができまするように、このことをお願いするわけであります。しかも岡山市は御存じのように、これもまた戰災都市の一つでありまして、これを立て直して参りますためにも、市民は非常に困難をいたしております。またなおかつ回復も十分運んでおりませんし、遅々としております状況から、焼かれた家、焼かれた住宅もまだ放置されたままで、生活物資の補給もいまだにつかない状態におることを御理解賜わりたいと思うのであります。
なお基礎資料として常に引用されますCPSの問題でありますが、われわれはCPSを軽く見ようというのではありません。しかしながらこれはもはやたいていの皆さんがお気づきのように、CPSの計数必ずしも正確を期しておるとはいいがたい点があるわけであります。そこでこのCPSの調査の基礎となつておりまするあらゆる素材がさらに再検討されて、少くともCPSにたよればすべての物価、生計の状況がわかり、妥当適切に把握することができる、こういうことのできるように、CPSの基礎的な内容を固めていただきたいということを私どもは願うのであります。従つてそれだけに、今日のこの瞬間における御決定の基礎資料としてCPSに大きく依存されるということは、実情を把握しがたくなるおそれがあるのではなかろうか、こういうことを私は気づかうのでありまして、この点もあわせて御判断が願いたいと思います。
最後に、岡山市といたしまして特別なことがございます。それは岡山市に昔編入いたしました福浜、宇野、この地区が実は岡山市並みの扱いを受けておらないという矛盾があるわけであります。この福浜あるいは宇野という地区が編入になりましたのは、今からたしか二十三年前になるかと思うのであります。編入後二十数年を経過いたしました今日、依然としてこの地区が岡山市の取扱いのらち外に置かれておるということは、たとえばこの二地区に転勤など命ぜられました場合に、
公務員としては非常に迷惑を感ずるのであります。同じ条件の中における福浜、宇野の地区において、勤務地手当が低い。こういうことはとんでもない実情との食い違いなのでありまして、これはこの機会に必ず是正していただくことのできまするよう、従いましてこの福浜、宇野地区をあらためてここに岡山市全般の給率の中に確実に繰入れを賜わりたいと思うのであります。
以上の趣旨を御説明申し上げまして、何とぞ当局の適切なる御判断によりまして、これらの諸
請願に対するお取扱いを賜わりたいと思うのであります。