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1951-05-25 第10回国会 衆議院 行政監察特別委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十五日(金曜日)     午後一時五十二分開議  出席委員    委員長代理理事 内藤  隆君    理事 佐々木秀世君 理事 島田 末信君    理事 小松 勇次君 理事 山口 武秀君       井手 光治君    大泉 寛三君       鍛冶 良作君    志田 義信君       田渕 光一君    中川 俊思君       野村專太郎君    福田 喜東君       大森 玉木君    坂本 泰良君       梨木作次郎君    高倉 定助君  委員外出席者         証     人         (元大安丸事務         長)      有馬  敬君         証     人         (東京警視庁刑         事部長)    古屋  亨君     ————————————— 五月二十五日  委員加藤充君辞任につき、その補欠として梨木  作次郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  証人出頭要求に関する件  不正入出国に関する件     —————————————
  2. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 会議を開きます。  委員長事故がありますので、指名によりまして私が委員長の職務を行います。  この際御報告申し上げますが、五月二十三日桜木町国電事故に関する件について出頭した証人白木龍夫君より、証言訂正したいと訂正願が出ております。  証言訂正願について昨二十三日貴委員会において行いました桜木町国電事故に関する私の証言中、中村電車運転士事故発生当時のドアースイツチ取扱つた時期について、私は暗転士が一旦車外に下りた後扱つた証言致しましたが、これは係員からの報告に対する私の誤解であつて、事実はパンタグラフを降下し且つ電車が停止しても火花の連續発生が止まず、客室乘客が騒ぎ出しているので乘客を出さなければならないと思つてパンタグラフ上昇の紐を引張り、パンタグラフ上昇用電磁弁取扱い(但し電磁弁扱いについては運転士の記憶は判然としていない)ドラムスイツチを後位置にしてドアースイツチ扱つたが、ドアーは開かず、最後に客室に入つてコツクを切ろうとしたがこれも駄目だと思われたので、運転台から海側ドアーをあけて飛降りたものでありますので、右箇所訂正下さるよう御願申上げます。   昭和二十六年五月二十四日          白木竜夫マル印   衆議院行政監   察特別委員会    委員長 篠田 弘作殿  こういう証言訂正願でありますが、これを許可いたすことに御異議ありませんか。
  3. 梨木作次郎

    梨木委員 そういう証人から申出があつたものをただちに受入れるということは——ここで行つた証言について不審な点があれば、すべて委員からまた質問をいたしまして、そしてこの証言の真実性ついてわれわれがこれを検討する、こういう過程を経て、初めて国会における証人証言の価値をわれわれは判断することができることになるわけであります。しかるに、それが一方的にそういう訂正申入れをして来ましても、われわれがその点について不審な点があるからといつて質問をいたします機会がないわけであります。従つてそういうものを無條件に受入れるということは、今後当委員会における証人証言について、あとからあとからと訂正を申し入れた場合にわれわれがどう扱うか、これは非常に重大な問題であります。従つてどもはこの訂正をそのまま承認するということについては反対であります。
  4. 島田末信

    島田委員 この申入れに対しましては、すでに宣誓して証言した事項をわれわれがここで訂正するとかせぬとかいうことになると、重大問題であります。但しそういう訂正方について申入れがあつたということを本委員会で了承し、かつまたこれを速記録にとどめておくということで、さらにいろいろ前例もあることでありますので、その取扱いについては前例を勘案した上でいろいろきめる方法もあろう思いますから、本委員会におきましては、ただいまの申入れを了承するということにとどめたいと思います。
  5. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 梨木君、どうですか。
  6. 梨木作次郎

    梨木委員 それならいいです。
  7. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 それではただいま島田委員発言通り取扱いをすることに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 御異議なければさように決しました。     —————————————
  9. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 次に本日不正入出国に関する件につきまして。椎野悦郎君の出頭を求めておいたのでありますが、椎野君の奥さんから——原文を読みますが。    届出   不正入出国に関する件について五  月二十五日証人として出頭するよう  にとの通知をうけましたが椎野悦郎  は目下旅行中のためこの通知を伝達  できないことをお届けします   昭和二十六年五月二十三日      澁谷区幡ケ谷本町      三丁目七一三番地         椎野悦郎妻           椎野シゲ子 印   衆議院行政監   察特別委員会    委員長篠田弘作殿との届出がありますので、椎野君の本日の不出頭は、正当な理由があるものとしてこれを認めまして、さらに二十八日午後一時本委員会証人として出頭を求めることにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 鍛冶良作

    鍛冶委員 その点は異議ありませんが、ただ旅行というのでは、旅行の行先がわかつておるのかどうか、それは見届けてないのですか。わかつておらぬで、旅行と称して行方がわからないものであるとすれば、二十八日にやつても効力はありませんが、その点はどうですか。
  11. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 その点は、午前中の理事会におきましても、さような議論も出ましたが、要するに正式に奥様からかよう届出があるのでありまするから、一応これを善意に解して、そうして旅行中なりと認めて——さらに四日間の期間をおいたのは、たとえば九州すみからでも、北海道すみからでも、日本の交通の関係におきましては、三日すれば当然ここに到着できる。それで一日間をおいて、四日ということにして、二十八日の午後一時に出頭することをさらに求める、こうなつております。
  12. 鍛冶良作

    鍛冶委員 その処置に異論はありませんけれども、やはり一応手を盡すだけ手を盡して、ほんとうに旅行しておるのかどうか、それから旅行しておつて遠いところに行つておれば、そこへできるだけの連絡の方法をとらせるとか、こういう方法をおとらせにならなければ、ただ旅行しておるからといつて、ほうつておいたのでは帰りません。遠くで届きませんでは、われわれが二十八日にあるものとして出て来ることが意味をなさない。でき得る限りの手續を盡されることをここに條件として承認いたします。
  13. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 承知いたしました。さようにとりはからいます。
  14. 山口武秀

    山口(武)委員 椎野悦郎君の喚問の問題でありまするが、私はこの喚問基礎になりました江川文彌の先日の証言、それからその後われわれが速記録によつて調査した点、それからさらに別な方法における調査の点から見まして、江川証言による椎野証人喚問並び有馬証人喚問というものはきわめて不当なものである、かよう考えるわけであります。と申しますのは、せんだつて江川交彌証言によりますと、大衆の目を開かせてやるのだというような、積極的な意図をもつて新聞発表行つたのでありまするが、それは速記録によりまして詳細に調べましたところ、本人はその新聞発表におきましては、二十年の十一月に日本共産党に入党したということを言つておる。さらに二十年の夏に、当時日本共産党本部構成員である椎野悦郎氏に会つて密貿易云々ということを言つておる。ところが本委員会における証言によりますると、入党は二十二年六月と言つておる、さらに椎野悦郎氏に会つたのは二十一年の春とも言い、また二十二年の夏とも、きわめてあいまいな証言をしておるのであります。これは單に日にちの違いという問題ではありません。この日にちが違いますると、今回の問題の基礎となりましたところの新聞発表というものは、根底からその内容がくつがえされるという重大な違いを持つておる。しかもこの委員会におきまして明らかになつたところによりますれば、この新聞発表記事矛盾というものについて、江川文彌は、本委員会で指摘されて初めてその矛盾がわかつた、間違いがわかつた、このようなあいまいなことを言つておるのであります。ところが、本人大衆の目を開かせるのだ、そういうような積極的な、自発的な意図をもつて行われたものである以上、当然これは発表についても愼重を期したのでありましようし、なお新聞発表されてから、その発表記事というものがどういうよう発表されておるか、これは大衆に対して責任を感じているから、このよう行動をするという以上、当然この記事に対しても、目を通さなければならない、それにもかかわらず、本人はこの新聞記事というものは見ていない、これはとうてい常識をもつて考え得られないよう証言をしているわけなんであります。  それからさらに、共産党内強制結婚がある云々というようなことを言つておりまするが、この事実を当委員会において明らかにしたところによりますと、單に夫婦生活者が仲が悪かつたという事実をもとにして言つておる。しかもこの仲が悪いということも、本人から直接聞いたのではなく、間接によその人が話していることを強制結婚云々というところまで、とんでもない飛躍をさせて結論を持ち出して来ておる。そういうよう発表をしておる。しかも密輸問題というような本委員会の中心問題につきましては、具体的内容については何も知らない、だれが何を言つたかも、何を持つていたかも知らない。こういうようなことを言つておる。こういうようなことになりますると、椎野悦郎氏が本人に密輸の問題について依頼したというよう根拠も、きわめてあいまいになつてしまう。さらになお本人が強制的な監禁云云言つておりましたが、この強制的な監禁云々ということも、これは精神的な異常の問題があつたために、そのような問題が出て来たのだというようなことを、われわれは聞いたわけなんであります。さらになお本人は、大衆に対して責任云々——共産党に入党させた者に対して、責任を果さなければならないから、その発表した新聞記事を書いたというようなことを言つております。ところが本人はそれほど責任を感じると言つていながら、実はある船舶会社に、本年の春になりまして、共産党員を密告してやるからこれを買わないか……。
  15. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 山口君、それは要するに証人の陳述に信憑性がないということを言いたいのですか。
  16. 山口武秀

    山口(武)委員 結論はそういうことになります。そうしてしかも日本共産党責任者である椎野悦郎氏、それからなお、ここにきよう呼ばれておりますところの有馬敬氏にいたしましても、このような問題でこの席に出させられて、あるいは新聞に当然発表されるというようなことは、日本共産党あるいは有馬君個人にとりましても、容易ならざる問題であることはもちろんである。そういうようなきわめてあいまいな点で、あいまいな証言もとにして……。
  17. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 山口君、証言があいまいだということは、あなたの一方的な考えです。証人は宣誓をして、そうして責任をもつて述べておるのだから、われわれとしてはこれを真正面から信ずるよりしようがない。
  18. 山口武秀

    山口(武)委員 責任をもつて証言したといつても、かりに本人精神病者であつたというような場合には、この証言というものは全然成り立たない。そういうような場合には、当然せんだつて証言、それから最近における本人行動、これを見ましたときに、私は本人江川文彌に対する精神鑑定をする必要があるのではないか。当委員会はこれを取上げてもらいたい。それから、さらにこれを明らかにしようするなら、せんだつて委員会における証言にもきわめてあいまいな点があるのであるから、これは当然再喚問をすべきである。その結果に基いて椎野証人喚問をするもしないもきめる、有馬君に対する喚問も決定する、このようにしてもらいたい。従つて椎野有馬両君に対する召喚というものを取消してもらいたい。それよりまず精神鑑定本人の再喚問をやつてもらいたい。このことを望みます。
  19. 梨木作次郎

    梨木委員 関連して。実は皆さん御承知のように、江川君の証人調べをするということにつきまして、なるほど江川文彌君を証人として調べるということは、たしか去る十日の理事会で決定したと思うのでありますが、一体どういう内容について調べるかということにつきましては、過般の委員会の当日、われわれに尋問事項を渡されまして、それでしかも北海道新聞に出された記事を見せられたわけなのであります。ところが非常に奇怪なことを当委員会発言したわけであります。そこでわれわれはその後どうもおかしい供述をするというので、私たちの可能な範囲で調べたわけであります。ところがますます奇怪なことが、調査によつて明らかになつて来ている。たとえば江川君は昭和二十三年中に舞鶴で官憲に逮捕されておるのであります。逮捕された後釈放されまして、九州の若松へ行きまして、その直後彼が語つたところを聞いた人の話によりますと、実は共産党関係舞鶴で逮捕された。そしてそのときに、盛んに共産党の内情についてしつこく追究せられた。お前さんが共産党のいろいろなことを話さないならば、いつまでもこのところに逮捕しておいて釈放しないぞ、というぐあいにおどかされた。さらにどうだ、生活を保障するから、今後ひとつ共産党情報を提供してくれないかという勧告も受けた、かように話しておるのであります。こういう事実があるのであります。そしてその事実があつた以後、間もなく北海道へ立つておるという事実が、われわれの調査によつて発見されました。これが一つ。  それからもう一つは、彼はこの委員会におきましても、昨年の六月、例の第三旭丸事件に関連して密貿易事件が発覚した、これが新聞記事になつて出た、ところがそれに自分共産党に推薦した才門君が関係しておつた。それがアカハタで共産党関係がないというよう発表がされた、こういうことを陳述しておるのであります。ところが彼は昨年札幌刑務所に入つておるという事実を、われわれは証人によつて聞知したのであります。これは結局刑務所に入つてつたということは、何か悪いことをしなければ刑務所に入るわけがない。しかもこの刑務所に入つているときに、北海道新聞発表したような、これらのいろいろな事実を全部ぶちまけてしやべつたというようなことも、われわれは証人によつてよう情報を得ておるのであります。こうなつて来ると、彼がこの委員会において発表したいろいろなことは、徹底的に共産党の内部を暴露するために脱党したのだというような経緯から見ましても、ここに何か特定考えもと委員会において証言したのではないかと疑われることが一つ。  もう一つは、この北海道新聞に出ておりますように、彼はからだが悪いから、病院に入れというようなことを勧誘されたということを言つておりますし、また当委員会におきましても、お前からだが悪いそうだから、病院に入れと勧誘されたということを言つております。だがわれわれの調査によりますと、彼が北海道行つた後の行動が非常に奇怪であります。普通人では考えられないことをいろいろ言つておる。すなわちそこで彼に会つた人には、君少し頭が悪いのではないか、ひとつ病院に入つて治療したらどうか、ということを勧誘した事実があるということを、われわれの調査によつて発見したのであります。こういう事情を総合いたしますと、どうもこの証人言つたことを、そのまま当委員会においてこれをたてにとつていろいろな人を呼ぶということは——それより先に、この証人は普通でないよう証言行動があつたというこの事実に徴して、これはひとつ精神鑑定をする必要があるということが一つ。  もう一つは、非常に彼の行動が奇怪である。従つて彼の素性、彼の今までやつて来た奇怪な、不審な、納得の行かない行動について十分調査した後において、もう一ぺん調査する。そうしてさらに必要とあらば再喚問する。そういう段階において必要とあらば、今言われているよう椎野君や、あるいは有馬敬君を証人として取調べ段階に移つて行くということが、むしろ当委員会権威を保持するゆえんであろうと私は思うのです。單に異常な精神の持主がいろいろなこと言つて、それを一々取上げて証人として調べ行つたら、これはとんでもないことになると思います。そういう観点から、今の椎野君の再喚問や、それから有馬君を調べる前に、われわれは、その後の調査によつて明らかにされた江川君の行動をさらに調査し、彼の精神鑑定をする、その後においてさような措置をとるべきである、こういうことを要求するのであります。
  20. 中川俊思

    中川委員 どうも私はわからないのだが、もし先般行つた江川君の証言に、今共産党諸君の言われるようなことがあつたとするならば、なおさら今椎野君を呼んで来なければならない。推野君の証言によつて先般の江川君の証言がくつがえされることになるのであります。それらはわれわれが冷静に判断して、聞いてわかることなんだから、それをことさらに椎野君を呼ぶのを阻止されるような態度に、ますますわれわれ不審を抱かざるを得ない。だからそんなわけなら、なおさら椎野君を呼んでもらわなければならぬ。これは共産党諸君のやぶへびなんだ。これはますますその必要を痛感するから、呼んでもらわなければならぬ。
  21. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 山口君にちよつと聞きますが、椎野君を二十八日の午後一時に喚問するということには賛成なんでしよう
  22. 山口武秀

    山口(武)委員 いや、反対です。椎野君を呼ぶことを阻止しよう、そういう意図言つておるのではない。少くともあいまいな証言もととして当委員会行動し、それに基いて証人を呼ぶというのは、当委員会権威の上からいつて好ましくないと思う。少くとも椎野君は一党の責任者だから、そういうあいまいな証言もとにして召喚するということについて、われわれは反対である。
  23. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 あいまいとか信憑性がないということは、これは共産党皆さんのお調べの立場でおつしやつておることで、当委員会としては正式に証言を求めてやつた以上は、これをまず信頼することは当然のことである。だから、要するに重大な発言があつたのだから、それに対して椎野君を喚問して、椎野君を尋問することによつて、明瞭になつて来るのじやないか。
  24. 梨木作次郎

    梨木委員 私たちは、椎野悦郎君をこの委員会において必要な場合に証人として喚問されることに、決して反対しておるわけではない。ただ皆さん方考えていただきたいことは、少くとも椎野悦郎君は今共産党の最高の責任者である。一党の総裁に匹敵すべき議長を、われわれが常識的に考えて、この証人はどうもおかしい、精神異常じやないかと疑われるような節がたくさんある場合に、しかも非常に奇怪な行動がたくさんある場合に、さよう証人証言を一々取上げて、当委員会調べるということは——諸君、ここへ気違いを呼んで来て、気違い吉田総理が賄賂をとつているということをここで証言した場合に、諸君一々調べますか。だからこそわれわれその後の調査によつて、先ほど言つたように、奇怪なことがはつきりして来ておる。そこで……。
  25. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 梨木君、それならば、正式に証人として江川君を再喚問することを理事会に申し込む手續をとれるでしよう理事会にあらためて江川君を再喚問してくれということを請求すればいいじやないか。
  26. 梨木作次郎

    梨木委員 だから動議を出しておる。
  27. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 だから今は、二十八日に椎野君を呼ぶか呼ばぬかということを決定すればいい。
  28. 梨木作次郎

    梨木委員 ところが私たち江川文彌君をこの委員会調べました。あれは突然あの当日出されたわけです。ところがこの人の証言を聞いてみますと、非常に奇怪なことがたくさんあるわけであります。そこで私どもは不審だから、その後調べたのであります。調べてみると、ますます奇怪なことがたくさん出て来た。しかも精神的な点においても、彼は北海道において、あなたは頭が悪いから病院で治療したらどうかと言われた事実があがつておる。それに類するよう証言をここでしている。こういうことがはつきりして来た以上は、この精神病者的な存在と疑われるような人の証言を一々たてにとつて、そして一党の総裁をここで取調べるということになりますと、当委員会が單なる無責任なる証人片言隻句をとらえて、これをやるということになりますならば、私は当委員会権威にもかかわると思う。そういう点におきまして、どうしてもこの江川文彌君の精神鑑定をする必要がある。もう一つは、彼の奇怪なる行動について、当委員会調査事務局でもよろしい——そこで、われわれが今具体的な事実をあげております。彼が舞鶴で逮捕されて、さようスパイとして行動するような勧誘を受けた事実、これはちやんと証拠があがつております。それからもう一つは、札幌におきまして何か悪いことをして刑務所に入つてつた。そのときにいろいろスパイの事実をばらした。そういうことがきつかけになつて北海道新聞記事になつた。そういうことになれば、ある先入感特定の目的のために、当委員会証人として証言しておるということは明瞭になつておる。さような意識的な証言根拠にして、当委員会が活動することになれば、当委員会を反ソ反共の宣伝の道具に使うようなことになりはしないか。その点を当委員会のために惜しむものであります。だから発言しておるのです。
  29. 鍛冶良作

    鍛冶委員 椎野君を二十八日に呼ぶということは、私の希望的意見を入れてもう決定したことですから、これは済んだことですから……。  それから今梨木君や山口君の言うことを聞くと、自分の方の気に入らない証言をすると、あれは気違いだとか精神鑑定を要するとか言う。こういうことでは仕事が進めようがない。おそらく梨木君、山口君以外の者はそういう感じを持つておりません。従いまして、これによつていろいろ言われることは、われわれはとりあうべき筋合いのものではないと思う。もしそういうことで、証人に呼んでもらいたいとか、精神鑑定をしてもらいたいということならば、いつもの通り書類をもつてその手續をして、理事会でやつてもらえばいい。本日はかようなことがあつたということを承つておいて、すみやかに進めてもらうことをお願いいたします。
  30. 梨木作次郎

    梨木委員 今鍛冶さんはそういうことを言われますが、私たちは決して共産党に不利な証言をしたから、気違い扱いにするというようなことはない。これは具体的な事実をあげておる。われわれの調査によりますと、彼が北海道において、あなたはどうも頭がおかしい、変なんじやないかということで、病院に入つたらどうかということを勧められたという事実が、証拠によつて明らかになつておる。しかも彼はそれに類したことを言つております。彼は病院に入れということを言われた。諸君、われわれ普通の常識からいつても、お前は気違いだから病院に入れと言われたら、何だおれを気違い扱いにするかと怒つて、強制監禁するんじやないかということで、精神病者でありながら憤慨して訴えるということは、われわれはしばしばそういう事例にぶつかる。こういうことは当委員会証言によつても明らかになつておる。決して私たちは、共産党の不利益なことを言つたから、気違い扱いにしておるということはない。明瞭な証拠がある。しかも奇径行動があつたということは、その後のわれわれの調査によつて明らかになつております。
  31. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 それは君の方で明らかだ明らかだと言つておるが、あらためて正式に理事会にその請求をすればいいじやないか。
  32. 梨木作次郎

    梨木委員 だから正式にその動議を出しておるのです。
  33. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 だから、要するにその前に椎野君を二十八日に証人として喚問することの採決をすればいいのだ。
  34. 鍛冶良作

    鍛冶委員 そういうことは、いつもの通り書類を出して、理事会にかけてもらえばいいのだ。議事進行、議事進行。
  35. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 それでは異議なきものと認めて、さように決します。
  36. 梨木作次郎

    梨木委員 異議はあるぞ。     〔「多数決、々々々」「もう決したんだ」と呼び、その他発言する者あり〕     —————————————
  37. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 これより不正入出国に関する件について、有馬敬証人より証言を求めることにいたします。  有馬敬さんですな。
  38. 有馬敬

    有馬証人 はい。
  39. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 ただいまから不正入出国に関することについて証言を求めることになりますが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師、歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて、黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証書を拒むことはできないことになつております。しかして証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。  では法律の定めるところによりまして証人に宣誓を求めます。御起立を願います。その宣誓書の朗読をしてください。     〔証人有馬敬君朗読〕    宣誓書   良心に従つて、真実を述べ、何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います。
  40. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 では宣誓書に署名捺印してください。   (証人宣誓書に署名捺印)
  41. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 これより証言を求めることになりますが、証言は、証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際には、その都度委員長の許可を得て御発言をお願いいたします。なお、こちらから質問しておるときはそのままおかけになつていてよろしゆうございますが、お答になるときは起立をしてお答えを願います。  有馬敬君ですな。
  42. 有馬敬

    有馬証人 はい。
  43. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 あなたの簡單な経歴を述べてください。
  44. 有馬敬

    有馬証人 神奈川県出身。昭和十五年鎌倉中学校卒業。昭和十六年無線電信講習所卒業。昭和十六年四月東洋海運株式会社船舶運信士となる。昭和二十六年一月三十一日商船管理委員会において船員退職です。
  45. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 船員退職したのは……。
  46. 有馬敬

    有馬証人 昭和二十六年一月三十一日です。退職しても今後船員として就職の希望は持つております。目下失業中でありますが、就職の運動はしております。
  47. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 それはどうでもいいが、証人昭和二十四年の春ごろ、邦人引揚げのため大安丸が樺太に回航したときに、事務長としてその大安丸に乗つておりましたか。
  48. 有馬敬

    有馬証人 二十四年春確かに大安丸に乗つておりましたけれども、引揚げはやつておりません。また二十四年春には樺太に行つておりません。
  49. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 そのときの職務は何でしたか。
  50. 有馬敬

    有馬証人 事務長です。
  51. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 やはり事務長として乗つてつたことは間違いないですか。
  52. 有馬敬

    有馬証人 間違いないです。
  53. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 けれども、大安丸というのは引揚げの船でなければ、またその時分に樺太へ行つたこともないのですか。
  54. 有馬敬

    有馬証人 ないです。このことは商船管理委員会あるいは東洋海運株式会社にロング・ブツクの写しがありますから、それを見ればよくわかると思います。
  55. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 証人昭和二十四年の七月から八月にかけて樺太へ行つた覚えはありませんか。
  56. 有馬敬

    有馬証人 昭和二十四年の七月の中旬から八月の上旬にかけて、北樺太のマカリエフカというところに石炭を積むために行きました。
  57. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 その大安丸というのは、客船じやなく貨物船ですか。
  58. 有馬敬

    有馬証人 貨物船です。
  59. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 証人はその航海中、樺太から日本共産党政治局あての文書を託されたことがありまするか。あればどういう人からその文書を託されて、その文書はどういう性質のものであつたとお考えになりますか。
  60. 有馬敬

    有馬証人 そういうことは一切私は存じません。
  61. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 その七月より八月の間に樺太へ行つたという事実は認められるが、そういうことはなかつた、こうおつしやるんですね。
  62. 有馬敬

    有馬証人 ありません。
  63. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 ところが先日調べ江川という証人は、確かにあなたとその文書についていろいろどうするかという処置方法などを講じたという証言をここでしておるのですが、もう一ぺん記憶を呼び起したらどうですか。
  64. 有馬敬

    有馬証人 私は今までずつと船に乗つていた間、江川という人間と交際したこともありませんし、口を聞いたこともありません。全然知らない人間なんです。
  65. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 顏を見たこともありませんか。
  66. 有馬敬

    有馬証人 見たこともありません。
  67. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 おかしいね。顏を見たこともない、口を聞いたこともない者が、あなたとこういう重大な関係を結ぶなんということは想像できぬことですがね。
  68. 有馬敬

    有馬証人 私もその点非常に不可解に思つて、きようここへ来ること自身が、きつねにつままれているような感じがするのです。新聞を見て非常に驚きまして、私の友だちはみな心配してくれましたし、私個人非常に迷惑しております。事実ないことをこうまで書かれたら、私は江川という人間を偽証罪並びに名誉毀損罪で訴えよう思つております。
  69. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 それから証人は、北海道地方会議長の西館仁という人を知つておりますか。
  70. 有馬敬

    有馬証人 存じません。
  71. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 それも知らない……。
  72. 有馬敬

    有馬証人 知りません。
  73. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 証人は樺太から帰還後、北海道地方委員会発行の機関誌に、樺太に対する所感という一文を載せた記憶にありませんか。
  74. 有馬敬

    有馬証人 私は樺太から帰つて来たとき、私たちの東洋海運の会誌に、小樽から樺太とかいうので、そういう寄稿をしたことはありますが、もしかしたらそれが載つていたのかもしれません、転載されて。
  75. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 転載されて載つたことがあるかもしれないということは……。
  76. 有馬敬

    有馬証人 あるかもしれません。私直接出したことはありません。東洋海運の方には出しました。私たちの親睦機関誌には出しました。
  77. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 東洋海運という海運会社に機関誌があるのですか。
  78. 有馬敬

    有馬証人 東友会という親睦団体があります。
  79. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 そこで機関誌を発行しておるのですか。
  80. 有馬敬

    有馬証人 出しております。
  81. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 そこでやつたことはあるが、しかし北海道地方委員会の機関誌に出したことはないというわけですね。
  82. 有馬敬

    有馬証人 ありません。
  83. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 その北海道地方委員会の機関誌を見たことはありますか。
  84. 有馬敬

    有馬証人 見たことはありません。
  85. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 その東友会という機関誌に出した樺太に対する所感というものの内容を、簡單に述べてください。
  86. 有馬敬

    有馬証人 佐世保を出帆してから小樽に行き、小樽から昭和十六年以来十年ぶりで樺太へ行くものですから、そのときの風景、それから向うへ着きまして、私事務長をしている関係上、向うの官憲との折衝とか書類の作成、そういうことに対して、今後向うに行く人たちの参考になるように、どういうものは何通いるか、どういうものは何通いるかということを書き、また向うの人たちの作業するときの状態、それから向うの官憲の人たちが来て、サロンで船長とか通訳、一等航海士などといろいろ事務的に話したときの状態を書き、また向うの風物を書いたにすぎません。
  87. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 それはどういう目的で書かれたんですか。
  88. 有馬敬

    有馬証人 私たち親睦団体の機関誌は、毎号々々、遠くに行つたたちはみなそうやつて、お互いにその航海を知らせ合つたり、またお互いの親睦をはかるために、書ける人はいろいろ書いて出していたわけなんです。私も樺太だけでなく、ほかの航海についても書いたことがあります。また私だけでなく、ほかの大勢の人もたくさん寄稿しているわけです。
  89. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 そういう実情は樺太で聞かれたわけですな。
  90. 有馬敬

    有馬証人 そうです。
  91. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 樺太のだれに聞かれたのですか。
  92. 有馬敬

    有馬証人 樺太の通訳を通して向うの官憲に聞きました。
  93. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 官憲と会つたんですね。
  94. 有馬敬

    有馬証人 官憲と会いました。
  95. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 どういうことで会つたのですか。
  96. 有馬敬

    有馬証人 官憲と言いましても、船が行きますと医務官と税関の人がすぐ来ます。それから荷役している間は荷役関係の人たちが船に来ていて、荷役の作業の状態を見ているわけです。そういう人たちだけなんです。
  97. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 その渡航の手續なんかを書いたんですか。
  98. 有馬敬

    有馬証人 私が日本語で書きまして、それを通訳がロシヤ語に直して、それで提出するのです。
  99. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 あなたは日本共産党の組織で、海上区というものがあることを御承知ですか。
  100. 有馬敬

    有馬証人 海上区のあることは知つております。
  101. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 その海上区というのは、一体どういう組織、機構になつておりますか。
  102. 有馬敬

    有馬証人 それは存じません。
  103. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 海上区のあることを知つておるんじやないですか。
  104. 有馬敬

    有馬証人 海上区というのはビラなんかで名前はよく見ました。
  105. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 ビラというのはどういう……。
  106. 有馬敬

    有馬証人 船員大会などのあるとき、各港に大会の掲示をするとき、海上区という名前を方々の港でよく見受けます。
  107. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 そうすると、海上区というものがあることだけは知つておるけれども、その機構とか組織等は知らない、こうおつしやるんですね。
  108. 有馬敬

    有馬証人 そうです。
  109. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 あなたは今の証言で、江川という者と面識がないということをきつぱり言われたが、そうですが。
  110. 有馬敬

    有馬証人 間違いはありません。
  111. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 江川証人言つておるところでは、あなたと札幌まで同行したと言つておる。そうすると、この前の江川証人証言が偽証か、あるいは知らぬというあなたが偽証か、どつちかが偽証をしておるということに考えざるを得ないのです。  あなたは船舶通信士協会の横浜支部というものがあることを御存じですね。
  112. 有馬敬

    有馬証人 船舶通信士協会の横浜支部はございません。
  113. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 横浜にないんですか。全国のどこにありますか。
  114. 有馬敬

    有馬証人 東京と神戸にあるようです
  115. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 船舶通信士協会というものがあることは間違いないですね。
  116. 有馬敬

    有馬証人 ありません。
  117. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 そこの横浜の支部長だということを聞いておりましたが、そうじやないんですね。
  118. 有馬敬

    有馬証人 違います。
  119. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 その船舶通信士協会というのは一体何をするのですか。
  120. 有馬敬

    有馬証人 船舶通信士の親睦団体です。
  121. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 親睦団体というと、單なる社交的なクラブのようなものですか。
  122. 有馬敬

    有馬証人 そうです。それに技術の研究です。
  123. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 今おつしやつた神戸とどこですか。
  124. 有馬敬

    有馬証人 東京です。
  125. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 その船舶通信士協会の主要な役員等を御承知ですか。
  126. 有馬敬

    有馬証人 私は今役員をやつておりません。
  127. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 あなたはやつておらぬけれども、どういう人がその協会の会長をして、どういう者が理事長なら理事長をやつておるか御存じですか。
  128. 有馬敬

    有馬証人 今は委員制度で、だれも理事長はいないはずです。
  129. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 委員制度で、会長もないわけですな。
  130. 有馬敬

    有馬証人 いないです。この一年間はたしか欠員になつております。
  131. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 それは東京はどこにありますか。
  132. 有馬敬

    有馬証人 芝です。
  133. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 芝のどこです。
  134. 有馬敬

    有馬証人 金杉です。
  135. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 番地等は記憶ありませんか。
  136. 有馬敬

    有馬証人 金杉浜町四番地。
  137. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 神戸の方は。
  138. 有馬敬

    有馬証人 神戸はちよつと記憶ありません。
  139. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 親睦あるいは技術の研究ですな。
  140. 有馬敬

    有馬証人 そうです。
  141. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 活発に活動しておりますか。
  142. 有馬敬

    有馬証人 別に労働組合じやないですから、そういうことはやつておりません。
  143. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 他に御質疑はありませんか。
  144. 鍛冶良作

    鍛冶委員 証人共産党へ入つておられますか。     〔「関係ないじやないか」と呼びその他発言する者あり〕
  145. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 静粛に。
  146. 有馬敬

    有馬証人 私は日本共産党へ入つておりません。
  147. 鍛冶良作

    鍛冶委員 初めから今日まで入つたこともないですか。
  148. 有馬敬

    有馬証人 入つたこともありません。
  149. 鍛冶良作

    鍛冶委員 入つたこともない……。この点も江川証人は、明確にあなたが共産党員であるということを言つておるのだが、そうすると、これも委員長が言われた通り、いずれかに偽証が出るわけですが、間違いありませんか。
  150. 有馬敬

    有馬証人 間違いありません。
  151. 鍛冶良作

    鍛冶委員 それじや共産党の相当の人と交際なり、懇意な人はございませんか。
  152. 有馬敬

    有馬証人 別にございません。
  153. 鍛冶良作

    鍛冶委員 あなたの大安丸の船籍はどうなんですか。いつも碇泊しておるところは……。
  154. 有馬敬

    有馬証人 碇泊と申しますと、ちよつと申しにくいのですけれども、定繋港は東京です。
  155. 鍛冶良作

    鍛冶委員 それでは横浜には始終おるのですか、たいていもどつて来れば東京におることが多いですか、どちらです。
  156. 有馬敬

    有馬証人 船は不定期ですから、一定の港に必ず入るかどうかわからないのです。外国に行つて横浜に入ることもあれば、東京に入ることもあれば、長崎に入ることもあり、また大阪に入つたりしますから、特定の港に長くおるということはあり得ないわけです。
  157. 鍛冶良作

    鍛冶委員 それはそうだろうが、主としておるところは——それじやあなたの先ほど言われた東洋海運の何かの会員であると言われたが、それはどこにあるのです。
  158. 有馬敬

    有馬証人 東洋海洋の本社の中にあります。
  159. 鍛冶良作

    鍛冶委員 東京でしよう
  160. 有馬敬

    有馬証人 そうです。
  161. 鍛冶良作

    鍛冶委員 そういう会へ出たりなんかすることはしばしばあるのでしよう
  162. 有馬敬

    有馬証人 それは船がたまたま東京並びに横浜に入つている場合とか、東京に近いところにおるときには会合に出られますが、それ以外の場合には、いつも文書で連絡をとるだけです。
  163. 鍛冶良作

    鍛冶委員 それじや今言う船舶通信士協会へも入つておりますか。
  164. 有馬敬

    有馬証人 会員としてですか。
  165. 鍛冶良作

    鍛冶委員 そうです。
  166. 有馬敬

    有馬証人 私は元来船舶通信士でありました。船舶通信士は全部入会しておりますから、私も入つております。
  167. 鍛冶良作

    鍛冶委員 そうすると、その協会で何かあるときには出られることと思うが、それは東京の協会ですか。
  168. 有馬敬

    有馬証人 東京です。
  169. 鍛冶良作

    鍛冶委員 小樽に碇泊して札幌へ往復せられたようなことはありませんか。
  170. 有馬敬

    有馬証人 そういうことはありません。私の仕事は、大安丸に乗つておるときは事務長をやつておりまして、事務長という仕事は、官庁あるいはエージエント、それから船へ来る人たちの応対をするのが役目なんですから、晝間は余裕の時間というものは非常にございませんし、また小樽というところは石炭だけ積むところですから、七千トン積むのでも、満足に二晝夜ととまつたことはありません。それでそういう時間的な余裕は全然ございません。
  171. 鍛冶良作

    鍛冶委員 西館仁という人は全然未知の人ですか。
  172. 有馬敬

    有馬証人 全然存じません。
  173. 鍛冶良作

    鍛冶委員 名前を聞いたこともありませんか。
  174. 有馬敬

    有馬証人 ありません。
  175. 鍛冶良作

    鍛冶委員 あなたは入党しておらぬけれども、いずれかの共産党の地区委員会に出入りしたことはありませんか。
  176. 有馬敬

    有馬証人 別に地区委員会に出入りしたことはありません。
  177. 鍛冶良作

    鍛冶委員 それじやいずれかが偽証であるか、突き詰めることになります。
  178. 小松勇次

    ○小松委員 お尋ねいたしますが、あなたは北樺太に石炭を積みにおいでになつたというお話でありましたが、この北樺太へおいでになるときに、どこの港から出航して、北樺太のどこの港に船がお着きになつたか。
  179. 有馬敬

    有馬証人 小樽から出まして、北樺太のマカリエフカというところ、それから小樽へおりまして、川崎へ来ました。
  180. 小松勇次

    ○小松委員 そうすると、荷物はどこへおおろしになつたのですか。
  181. 有馬敬

    有馬証人 川崎です。
  182. 小松勇次

    ○小松委員 樺太で幾日くらいその港に御滯在になりましたか。
  183. 有馬敬

    有馬証人 大体十日くらいだつたと記憶しております。
  184. 小松勇次

    ○小松委員 その十日の間にあなたは邦人にお会いになつたことはありませんか。
  185. 有馬敬

    有馬証人 これは引揚船でありません、石炭積取りでありますから、邦人は全然おりません。
  186. 小松勇次

    ○小松委員 船におらないんじやない、その土地、港でそういう人たちにお会いになつたことはありませんか、ということをお尋ねしておるのです。
  187. 有馬敬

    有馬証人 日本の船員は、終戰後外地に行つた場合は上陸禁止となつておりますから、一歩も外へ出られません。船にずつとおりました。
  188. 小松勇次

    ○小松委員 その船に邦人の方たちが尋ねて来たようなことはありませんか。あるいはまた邦人の人が、たれかを介してあなたにいろいろ郷里への便りを託したというようなことはなかつたですか。
  189. 有馬敬

    有馬証人 全然ありません。またその港に邦人がおるという話も聞いたことはありません。
  190. 小松勇次

    ○小松委員 あなたはそうすると、札幌に当時御滯在になつてつたのですか。
  191. 有馬敬

    有馬証人 といいますと、どういうことですか。
  192. 小松勇次

    ○小松委員 あなたがお帰りになつて来たときに、札幌に滯在したことが長かつたか、あるいは横浜に上陸したのが長かつたか。
  193. 有馬敬

    有馬証人 そういうのはちよつと返事に困るんですが、札幌に滯在するということは……。帰つて来てから、小樽へ行つてただ途中で検疫を受けただけにすぎませんから、朝入つて、夕方出ただけで、外との連絡はできませんでした。
  194. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 ちよつと聞きますが、家庭を持つておられますか。
  195. 有馬敬

    有馬証人 持つております。
  196. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 どこにありますか。
  197. 有馬敬

    有馬証人 横浜です。
  198. 小松勇次

    ○小松委員 あなたはこの江川文彌という方は全然御存じないというお話でありますが、この名前を聞いたことはありませんか。
  199. 有馬敬

    有馬証人 名前も今度新聞を見て初めて知つたわけです。
  200. 小松勇次

    ○小松委員 その当時は知らなかつたのですか。
  201. 有馬敬

    有馬証人 知りませんでした。
  202. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 二、三点お聞きしますが、証人の大安丸下船の理由はどういう理由ですか。
  203. 有馬敬

    有馬証人 有給公暇です。
  204. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 そのままずつと今日まで有給公職でいるのですか。
  205. 有馬敬

    有馬証人 有給公暇でありまして、それが一箇半月の期間が切れましたあと、乗船の機会がありませんものですから、一月三十一日に運営会を退職したわけです。
  206. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 それは平たく言つたら、東洋海運を首になつたわけですか。
  207. 有馬敬

    有馬証人 簡單に言えばそうです。
  208. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 その後海員にあなたが就職運動をしているとかさつき言われましたが、海員になれない理由はどういう理由ですか。
  209. 有馬敬

    有馬証人 なれないことはありません。なれると思つております。
  210. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 証人は何かレツド・パージの関係で東洋海運を首になつたんじやありませんか。
  211. 有馬敬

    有馬証人 東洋海運じやないのです。私は東洋海運から商船管理委員会に派遣ざれた船員なんです。人員過剰で二百何十名……。
  212. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 レツド・パージになつたのですか。
  213. 有馬敬

    有馬証人 レツド・パージにはなつておりません。
  214. 中川俊思

    中川委員 ちよつと二、三お尋ねいたしますが、この大安丸という船は主としてどことどこの間を航行するのですか。
  215. 有馬敬

    有馬証人 お答えします。私が乘りましてからは——私は大安丸に二回乘つたのです。初めの間は南方の帰還輸送です。それを一年間やりまして、その後はフイリピン、アンガウル、それから北海道の石炭、それから樺太、そのくらいの程度しか動いておりません。
  216. 中川俊思

    中川委員 それから、これは私がうつかりしておつてわからないのかもしれないのですが、この大安丸が北樺太の石炭を積みに行つたというのは、二十何年ですか。
  217. 有馬敬

    有馬証人 二十四年の七月か八月です。
  218. 中川俊思

    中川委員 二十四年の七月、八月ごろ北樺太へ自由に航行できたのですか。
  219. 有馬敬

    有馬証人 これははつきりしたことは私答えることができないのですけれども、いわゆる北樺太——ソ連と日本との間に通商協定が何かあつて、それで大安丸と、それからあと何か三ばいくらいの船が、北樺太へ石炭を積取りに行つたことがあります。
  220. 中川俊思

    中川委員 もう一度教えていただきたいのですが、その大安丸の船籍はどこにあつたのですか。
  221. 有馬敬

    有馬証人 船籍ですか。
  222. 中川俊思

    中川委員 どこの会社が、あるいは管理委員会が……。
  223. 有馬敬

    有馬証人 船主は東洋海運、商船管理委員会が運航していたのです。
  224. 中川俊思

    中川委員 そうすると商船管理委員会——あなたの説によると、ソ連との間に通商協定か何かあつたから行つたということですね。そういたしますと、大安丸以外に石炭を積みにどんな船が行つておりましたか。
  225. 有馬敬

    有馬証人 あと春祥丸、そのほかの船はちよつと私記憶にありません。春祥丸は大安丸が北樺太にいたとき、あとから入つて来たから知つているのです。
  226. 中川俊思

    中川委員 ちよつとふに落ちないのですが……。それからあなたが東洋海運ですか、そこを首になられた理由は、あなたの説によると人員過剩、こういうことなんですが、何か人告過剩のために整理するという申出が会社からあなたに対してあつたのですか。そのときにほかに何か理由は付記されなかつたのですか。
  227. 有馬敬

    有馬証人 東洋海運から人員整理で整理されたのではなくて、商船管理委員会です。ただ人員過剩のためというだけで、ほかに何も書いてありませんでした。そのために海員組合から相当商船管理委員会につ込んでおりましたけれども、結局過剩のためで、あと海員組合で今度の就職を世話するということを、その当時整理になつたたちに一応言つておりました。
  228. 中川俊思

    中川委員 もう一点ちよつとお聞きしておきたいのですが、船舶通信士協会ですか、この構成メンバー——さつきあなたはおわかりにならないということで、現在は役員は欠員になつているということなんですが、前の役員はどういう方ですか。
  229. 有馬敬

    有馬証人 前の会長は宮入鎭。
  230. 中川俊思

    中川委員 その宮入鎭という人はいつごろの会長ですか。
  231. 有馬敬

    有馬証人 一昨年だと思います。
  232. 中川俊思

    中川委員 二十四年ですね。
  233. 有馬敬

    有馬証人 そうです。
  234. 中川俊思

    中川委員 この人とあなたには何か御関係はありませんでしたか。
  235. 有馬敬

    有馬証人 ただ知つているというだけです。
  236. 中川俊思

    中川委員 どの程度に知つてつたのです。よほど前から懇意であつたとか、あるいはたれかを介して知つたとか……。
  237. 有馬敬

    有馬証人 宮入という人は、日本の通信士の中でおそらく知らない人はないくらいものです。そういう人ですから、この人の名前は通信士の人はだれでも知つているわけです。また人徳がありますものですから、会長に選ばれておりました。それで会員である人は、一応事務所に行けばその人と会えるようになつておりますから、それでみな会つておるのだと思います。
  238. 中川俊思

    中川委員 そうすると、特にあなたと親しかつたというのではないのですね。
  239. 有馬敬

    有馬証人 特にという言葉はあてはまらないと思います。
  240. 中川俊思

    中川委員 それからその船舶通信士協会という会の会長は、前は宮入さんで、現在は欠員になつている。現在会長代理とでも言いますか、いわゆる中心になつて会の事務をやつておられる方はどういう方ですか。
  241. 有馬敬

    有馬証人 現在やつていますのは大体船の予備員がおもで、はつきりした会長はいません。二、三の人たちによつてあらゆることがやられているという状態です。
  242. 中川俊思

    中川委員 二、三の人とは具体的にたれとたれですか。
  243. 有馬敬

    有馬証人 具体的に言いますと、伊沢義一、大体この人がおもにやつております。
  244. 中川俊思

    中川委員 伊沢さんという人は、これも通信士として知らない人はないかしりませんが、私不幸にして知らないのですが、どういう経歴の方ですか。
  245. 有馬敬

    有馬証人 私の知つている範囲ですと、学校を出てすぐ日本郵船に入りまして、それからあと航空隊か何かにいたのじやないかと思いますが、よく知りません。
  246. 中川俊思

    中川委員 その通信士協会の組織はどういうふうになつているか、組織の概略でけつこうですが……。
  247. 有馬敬

    有馬証人 組織は先ほど述べたのだと思うのですけれども、船舶通信士によつてその会は構成されているわけです。
  248. 中川俊思

    中川委員 たとえば会費が幾らとか、あるいは会員が全国各地区に幾らおるとか、どういう仕事をやるとか、こういう協会でありますと、通信士の親睦をはかるために左の事業を行うというようなことがあるわけですが、具体的に大体あなたのわかつている範囲内でお答え願いたい。
  249. 有馬敬

    有馬証人 通信士協会の会費は月五十円です。それで先ほど申しましたクラブ組織をモツトーとしているのですけれども、現在ではそれほどの資金がないからやつてないようです。通信士相互の親睦、技術の向上、それがおもな要点だろうと私思つております。
  250. 中川俊思

    中川委員 この通信士協会で、講演会とか講習会とかいうようなことを開いたことはございませんか。
  251. 有馬敬

    有馬証人 講演会、講習会といつて別に開いたことは私記憶にございません。
  252. 鍛冶良作

    鍛冶委員 さつきの話では、あなたは有給休職でしたかになつたときに相当騒いだという言葉がありましたが、どういう人がどういう運動をやつたのですか。
  253. 有馬敬

    有馬証人 有給休暇——公暇です。船は一年乘つておりますと二十五日の休暇がもらえるわけです。私一年半乘つておりましたから、三十日の休暇をもらつたわけです。それは人間が多いものですから、一年以上乘つているとほかの人がまた乘れなくなりますので、一年乘つたらみな交代させているわけです。
  254. 鍛冶良作

    鍛冶委員 けれども、ほかの人が何か申し出たと言つたが、どういう者がどういう申出をしたか、それをお聞きしたい。
  255. 有馬敬

    有馬証人 何の申出ですか。
  256. 鍛冶良作

    鍛冶委員 あなたが休んだときに——福田君から事実上の首だろうと言つたら、そうだと言つた。そこでそのときにいろいろ申し出た者があつた言つたが……。
  257. 有馬敬

    有馬証人 それは海員組合です。海員組合が不当整理だからその人の整理を撤回せよということを言つた。ところが商船管理委員会は、御存じのように政府の予算でやつているわけです。船が何ばいで何人の人間があれば、それ以上の者は整理するということをはつきり言つておるわけです。
  258. 鍛冶良作

    鍛冶委員 その不当はいかなるところで不当と言つてつたか、それをお聞きしたい。
  259. 有馬敬

    有馬証人 それは私もわかりません。私もその理由を聞きに行きましたが、向うは明確な回答を與えませんでした。
  260. 鍛冶良作

    鍛冶委員 それはあなただけでしたか。またそうやつて組合が騒ぐからには相当の人があろうと思いますが、何人も一緒に行つてそうなつたのではありませんか。
  261. 有馬敬

    有馬証人 一ぺんに大勢でありました。百人以上が一ぺんに首になりました。
  262. 鍛冶良作

    鍛冶委員 そういうことは異例なことじやないですか。今あなたは船の都合でそういうことがある言われたが、百人以上船の都合でやるということは異例だろうと思いますが、そういうことが始終あるのですか。
  263. 有馬敬

    有馬証人 今度初めてです。商船管理委員会の船員は全部で約三千人おります。その三千人のうち約百人が過剩になつたので、百人が整理されたわけです。
  264. 鍛冶良作

    鍛冶委員 そうういう異例があつた理由はどういうことか、それをお聞きしたいのです。
  265. 有馬敬

    有馬証人 それは政府の責任ですよ。そんなことは知りませんよ。
  266. 鍛冶良作

    鍛冶委員 組合が不当だからというからには、何が不当かということを私は聞いているのです。
  267. 有馬敬

    有馬証人 不当だというのは、この理由なしに整理するというのが不当なんですよ。ただ予算がない、予算がないで首切りをさせられたら、船員はたまりはしないということをいつているのです。
  268. 鍛冶良作

    鍛冶委員 端的に言いましよう。いわゆるレツド・パージじやないですか、レツド・パージじやないとあなたははつきり言えますか。
  269. 有馬敬

    有馬証人 レツド・パージは、そんなに大勢いるはずはないと思います。     〔傍聽席にて発言する者あり〕
  270. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 委員外発言は許しません。退場を命じます。ほかに……。
  271. 島田末信

    島田委員 船舶通信士協会には船舶通信士全員が入会しているのでしようか。
  272. 有馬敬

    有馬証人 大型船に乘つている船舶通信士はほとんど全員なつております。
  273. 島田末信

    島田委員 入会しているパーセンテージは大体どのくらいですか。
  274. 有馬敬

    有馬証人 私ははつきりした数字は知りません。
  275. 島田末信

    島田委員 概略でいいのですが。
  276. 有馬敬

    有馬証人 三千人ぐらいじやないかと思います。
  277. 島田末信

    島田委員 通信士のそれに該当する数はどのくらいですか。
  278. 有馬敬

    有馬証人 大体そのくらいだと思います。
  279. 島田末信

    島田委員 それじや会員というわけですね。
  280. 有馬敬

    有馬証人 そうです。
  281. 島田末信

    島田委員 それから、あなたは労働組合に所属しておりましたね。
  282. 有馬敬

    有馬証人 全日本海員組合に入つております。
  283. 島田末信

    島田委員 役割はどういう役割でございましたか。
  284. 有馬敬

    有馬証人 現在のところ中央委員になつております。
  285. 島田末信

    島田委員 それから先日江川証人がはつきりと、あなたも知つておるし、あなたといろいろ当時出来事があつたということを申しておるのですが、先ほど証人は、そういうことは全然知らないことだ、私はそういうことに対して偽証罪で訴えるつもりだという決意をはつきり表明されておりました。私はどつちが偽証かということは、将来よほど研究しなければならぬと思いますが、その当時大安丸の事務長はあなたでしたが、事務長代理というものはありましたか。
  286. 有馬敬

    有馬証人 別にございませんでした。
  287. 島田末信

    島田委員 大安丸の乘組員の中で、あなたと同姓の人がおりましたか。
  288. 有馬敬

    有馬証人 同姓の人間は当時樺太に行つたときですか。
  289. 島田末信

    島田委員 そうです。
  290. 有馬敬

    有馬証人 きかないに有馬というのが多分そのとき乘つていたと思います。しよつちゆうかわりましたが……。
  291. 島田末信

    島田委員 有馬何というのですか。
  292. 有馬敬

    有馬証人 有馬久です。
  293. 井手光治

    ○井手委員 ちよつと伺いたいのですが……。商船管理委員会の所属船員としてあなたはお勤めになつてつたそうでありますが、その船の船主は商船管理委員会でなしに東洋海運ですか。
  294. 有馬敬

    有馬証人 そうですが。
  295. 井手光治

    ○井手委員 あなたの身分上の保障はもちろん商船管理委員会において行つてつたのでありますけれども、本来海運界の常識としまして、あなた方の身分、進退については船主が相当ものを言わなければならぬ。そういう点について、東洋海運と商船管理委員会との間において、何らの理由なくして船主の承諾を得ざる船員の馘首ということが行われたとすれば、これは異例なことだと思います。そういうことについて、あなたは自分の心の中に思い当るような、そういう不当な行為が行われて、それが常道だ、こういう考えでなしに、東洋海運とあなたとの関係、商船管理委員会が船主である東洋海運を無視してあなた方を整理したとすれば、何らか特定の理由がなくちやならぬ。そういう点、心当りがあるならばお聞かせ願いたいと思います。
  296. 有馬敬

    有馬証人 昨年の十二月に低性能船買上法案というのをやつております。そのために、各種船主において、ひどいところは半数近くの人間を整理しておりました。そのときたまたま商船管理委員会におきましても整理を発表したのです。商船管理委員会から、船員を船主にもどそうというので、冬船主に引取つてもらいたいということを申しておりました。ところが船主自身大勢の人間を整理した上に、また商船管理委員会の人間を受入れるということはでき得ないことでありまして、私個人といたしましても、また東洋海運所属の船員も行つて交渉いたしましたけれども、当時の状況としてはどうしてもできなかつたわけであります。
  297. 井手光治

    ○井手委員 そうしますと、先ほど来いろいろレツド・パージではないかとか何とかいう御質問がありましたが、ほんとうの意味においての人員過剩だつたということを、あなたわ認めておられるわけですね。
  298. 有馬敬

    有馬証人 私も長いこと船に乘つておりまして、どういう船には何人の人がいるということはよくわかります。それで船の数と所属船員の数は——商友会という船員の団体があり、東友会という船員の団体がありまして、そこで全部調べて、どれだけの人間が過剩かということは数字の上ではつきり見ました。
  299. 井手光治

    ○井手委員 そうすると、あなたの証言によると、現実に船員の過剩による馘首であつたということを認められておるようでありますが、そうしますと、おやめになつたのは。
  300. 有馬敬

    有馬証人 正式にやめましたのはことしの一月三十一日です。
  301. 井手光治

    ○井手委員 確かにあなたがおつしやられたように、船舶運営会及び商船管理委員会に所属しておつたところの日本の商船が、朝鮮事変が起るまでは横浜港だけでも百七十ばいからの繋船があつて、確かに人員過剩だということがいわれておつた。ところが昨年の七月朝鮮事変が始まりますと、日本の海運の総力をあげて運航稼働が開始された。そこで一月になつて——今日船員というものは事実上足りない。私も船主の一人だけれども、事実上足りない。そこでことしの一月になつて、人員過剩による整理をされたということと……。     〔山口委員「脱線じやないか」と呼ぶ〕
  302. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 山口君、静粛に願います。
  303. 井手光治

    ○井手委員 あなたの言う人員過剩であつたということと、海運界の実情とが相当かけ隔たりがあるように思われる。そこであなたの不当馘首ということと趣旨が一致しないから、あなたのほんとうの姿はどうだということをお聞きしたいのですが、それでもやはり人員過剩として俎上に上つたといこうとをあなたはお認めになりますね。
  304. 有馬敬

    有馬証人 認めます。
  305. 井手光治

    ○井手委員 共産党特定用語になつている海上区ということを、あなたは、よくは知らぬが、そういう用語があつたということを承知していると言われたが私どもの平たい常識から言うと、あなたは專門の海員でありますから、海上のそういう專門用語、あるいは共産党が使おうが何党が使おうが、そういうものについては相当の関心を持たれ、また当時それがどういう内容を持つかということは、船員として当然一応知つておらなければならないところだと思うのですけれども、單に海上区ということを文字の上で知つてつただけで、それ以上深い関心をお持ちになつておりませんでしたか。
  306. 有馬敬

    有馬証人 持つておりませんでした。
  307. 井手光治

    ○井手委員 持つていない。何も知らない。何ら関係がない。レツド・パージでもない。それで猛烈な海運の稼働期に入つたが、人員過剩であつたことを認める。どうもその辺のところがふに落ちないが、それはそれにしておきましよう。  そこで先ほど、共産党諸君江川証人気違い扱いにしておつたようだけれども、あなたと江川証人とが札幌かどこかで会つて、こういう具体的な事実があるということで、しかも権威ある衆議院の当委員会において、あなたとの関連性を前回江川証人は詳細に述べております。これは常識的に言つて、何ら関係のない仮空の人物を出して来て、具体的な事実を羅列したことになるので、これこそ考えられない。あなたはどう思いますか。その点については何ら関係ない。自分は事務長として、單に石炭の荷役に従事しただけ、その間の業務に従事しただけであつて本人とは何ら関係がないということをあなたはどこまでも断言できますか。もし断言できますれば、もう一度……。
  308. 有馬敬

    有馬証人 私は江川札幌でどうこうしたとかなんとかいうことは一切しておりません。また当時そういうことを言つておる江川自身が、はたしてそこにいたかどうか私は疑問に思う。そこでそういうことを言うのは、今そちらの委員から言われましたように、私は非常なナンセンスであつて、はなはだ迷惑に思つております。
  309. 井手光治

    ○井手委員 大体わかりましたが、あなたが具体的な証人として喚問を受けるまで、江川証人が事実をここに証言をしておるのでありますが、本人は知らない。しからば何ら関係がなしに、こういう具体的な事実が現われるはずはないのだが、これに関連をして、あるいはそういうことに自分自身を利用される結果になつたのではないかなというふうな、何か別途の意味において思い当ることがありませんか、それを伺います。
  310. 有馬敬

    有馬証人 それを一応考えてみたのですが、別に江川証人を全然知つておりませんものですから、わからないのです。
  311. 井手光治

    ○井手委員 これは重大なことだと思うのです。徹頭徹尾あなたはこの問題について何ら関知しておらぬということで証言できますね。
  312. 有馬敬

    有馬証人 できます。
  313. 井手光治

    ○井手委員 これでよろしゆうございます。
  314. 島田末信

    島田委員 さつき聞き漏らしましたが、大安丸のその当時の船長はどなたです。
  315. 有馬敬

    有馬証人 上原栄枝と申します。
  316. 島田末信

    島田委員 それは船長をいつからいつまでやつて、現在どこにおるか、もう少し詳細に述べてください。
  317. 有馬敬

    有馬証人 艦長は昭和二十三年ですか——船長や乘組員のことまで全部わからないのですが、大体その前後一年くらい乘つておりまして、今商船管理委員会のLSTに乘つております。
  318. 高倉定助

    ○高倉委員 先ほど証人は、有馬久という人が食堂か何かにおつたということを言つておりますが、この有馬という人はどのくらいの年齢の人ですか。
  319. 有馬敬

    有馬証人 二十歳くらいと思います。
  320. 高倉定助

    ○高倉委員 この有馬久という人はなにをやつてつたのですか。
  321. 有馬敬

    有馬証人 司厨員です。
  322. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 他に御発言がなければ、有馬証人に対する尋問はこれにて終ります。証人には御苦労さんでした。     —————————————
  323. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 次に引續きまして古屋証人より証言を求むることにいたします。  古屋享さんですね。  ただいまより不正入出国に関する件について証言を求むることになりますが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことに相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師、歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事であつて、黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることに相なつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。  なお証人が公務員または公務員であつた場合に、その知り得た事実について、本人または当該公務所から職務上の秘密に関するものであることを申し立てたときは、その監督庁の承認がなければ、証言または書類の提出を求むることができないことになつておりますので、この点も御承知おきを願いたいと存じます。  では法律の定めるところによりまして証人に宣誓を求めます。御起立を願います。——それをお読みください。     〔証人古屋享君朗読〕     宣誓書   良心に従つて、真実を述べ、何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います。
  324. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 では宣誓書に署名捺印を願います。     〔証人宣誓書に署名捺印〕
  325. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 これより証言を求めることになりますが、証言は、証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際にはその都度委員長の許可を得てなされるようお願いしておきます。こちらから質問しておるときは、そのまますわつていてよろしいが、お答えのときは起立を願います。  古屋さんは現在官職は何でありますか。
  326. 古屋亨

    ○古屋証人 警視庁の刑事部長であります。
  327. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 証人は、外国人登録証明書不正発行または盗難事件のことを御承知でありますか。
  328. 古屋亨

    ○古屋証人 はい。
  329. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 その中で葛飾区役所の事件について簡單に御説明を願います。
  330. 古屋亨

    ○古屋証人 東京都葛飾区役所におきまして、区役所関係の吏員と朝鮮人との間におきまして、その間に不正の登録証明書を発行したという事実につきまして捜査の概要を申し上げます。  実は昨年、神奈川県の川崎市役所関係の朝鮮人の登録証明書の偽造の問題につきまして、朴商用という朝鮮人を昨年の六月十六日でありますが、検挙取調べました結果、この朴商用は、葛飾区長発行の新しい登録証明書を所持しておつたのであります。これを調べますと、この朴商用は、昭和二十五年の一月に密航船を利用いたしまして佐世保に上陸いたしまして、一月の終りに葛飾区役所の井上義利という吏員と、葛飾区のある料理屋で会いまして、これに対しまして外国人登録証明書の偽造方を依頼いたしまして、これから偽造の登録証明書を受けたのであります。この区役所の吏員の井上義利を逮捕いたしまして取調べましたところ、葛飾区役所管内の崔雲山ほか五名と共謀いたしまして、外国人登録証明書四百枚を偽造、交付したことが判明いたしたのであります。これは起訴いたしまして公判の方にまわつております。
  331. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 頼まれた吏員は、朴なる者から金銭の授受でもありましたか。
  332. 古屋亨

    ○古屋証人 金銭は受けております。金額は私ちよつと忘れましたが、大体一枚について千円ないし五千円程度で渡つているのが、区役所関係の状況でありました。
  333. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 中野、立川、杉並、川崎、板橋の各区役所にも同様な事件があつたと聞きますが、やり方はほぼこれに似ておるのでありますか。
  334. 古屋亨

    ○古屋証人 杉並の区役所におきましては、昨年の二月二十日に、区役所の渉外係長ほか二名の吏員が、一昨年の十月朝鮮から密入国いたしました李商洪というものから頼まれまして、外国人登録証明書及び主食の配給簿を偽造、交付したものでありまして、金額にいたしまして三万四千余円に相当する收賄をしております。  それから中野の区役所におきましては、これは登録証明書の盗難事件でございます。二十五年の五月二十日午後五時ごろから翌日の八時半までの間におきまして、区役所の渉外係室で外国人登録証明書が四枚、これは記載済みで交付するばかりのものであります。これと、浮出しプレス一個が盗難にあつたのであります。なお同区役所におきましては、二十五年の二月七日にも登録証明書二枚が窃取された事件がありまして、警察におきまして鋭意犯人の検挙に努力しておりましたが、この犯人が長崎県の対馬の警察で検挙された旨、国警の方から連絡がありまして、これにつきまして国警並びに立川警察の方からそちらへ向いまして、盗難品中浮出しプレス一個は区役所に返還されたのであります。  さらに板橋区役所の事件におきましては、大体前に申し上げました葛飾区役所と同じようなものでありますが、この問題については、一名は検挙しておるのでありますが、被疑者が逃亡しておりまして、現在のところ捜査を續行しております。大体のやり方等につきましては、前に申し上げたものと大同小異でございます。  なお現在捜査しておりますのは、世田谷の区役所におきましての不正発行事件であります。これは世田谷区役所の玉川支所の吏員がやつておるのでありますが、昨年の二月の登録令一斎新規切りかえに際しまして、横浜に住んであります朴英昌ほか六名の朝鮮人の請託を受入れまして、世田谷区長名義の登録証明書七十四名分を偽造したものでありまして、目下これについて捜査をしております。  次は川崎市役所の不正発行事件であります、これは昨年の四月でございますが、警現庁捜査第三課のすり係の刑事が、すりの現行犯人としてある朝鮮人をつかまえて調べましたところ、本人が川崎市役所発行の外国人登録申請済証一枚を見せましたので、登録の切りかえは三月二十日前でありまして、四月になつてそういうものを持つているのはおかしいということで、川崎市役所について調査をいたしました結果、登録証明書の偽造、変造の事実がわかつたのでありまして、これには相当たくさんの関係者がございますが、市役所の吏員の鈴木知蔵ほか三十四名というような状況であります。この朝鮮人は昭和二十四年の四月ごろ崔晩秀という朝鮮人から、茨城県新治郡志築村村長発行の日本人名の幽霊転出証明書百四十四名分を一枚五百円の割合で買い受けまして、その買い受けました朝鮮人が、これを川崎市役所の吏員でありまする先ほどの鈴木知蔵に情を明かしまして登録証明書の偽造を依頼いたしました。この日本人名の証明書を朝鮮人名に書きかえまして仮登録証の発行を受け、さらにこれを本登録証のもとにしまして交付を受けました。一枚五百円で買いましたものを一枚千円の割合で他の被疑者に売却していたものでありまして、統計三十九名を検挙いたした事案であります。  なお立川の事案につきましては、警視庁は取扱つておりませんので、警視庁で取扱いました事件につきまして、以上簡單でありますが、申し上げました。
  335. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 まだそのほかに警視庁管内ではどうです、この程度ですか。
  336. 古屋亨

    ○古屋証人 川崎市役所、それから先ほど御質問がございました葛飾区役所、杉並区役所、それから今やつております世田谷区役所、中野区役所における盛難事件、それから先ほど申しました板橋区役所、大体以上でございます。
  337. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 調べておるうちに、朝鮮人のそういう団体で本背景にあるように思われませんか。
  338. 古屋亨

    ○古屋証人 私どもで捜査をいたしました結果、そういう集団的な背景というものはございません。と申しますのは、大体飯場等における集団の日本人の登録というものを利用いたしまして、もと区役所や役場の吏員と結びまして、この日本人の飯場の登録証明書を朝鮮人名に切りかえ、それをもとにいたしまして登録証を受けておるというのが一番もとでございまして、登録証明書の偽造を集団的に、計画的にやつておるという点は見受けられないと思つております。
  339. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 それでは外国人登録証明書につきまして、五、六点お伺いしたいと思いまするが、現在の証明書には、写真貼付により本人かいなかを証明する方法がとられてあるが、このほか指紋をとる必要はないかどうか。
  340. 古屋亨

    ○古屋証人 警察側の意見といたしましては、犯罪の防止その他で指紋採取を必要とするという意見でございます。これは外国人登録令違反者の捜査の段階におきまして、たとえば朝鮮人の名前を偽名されましても、朝鮮の本籍に照会するという便法がありませんので、本人の把握がきわめて困難であります。従いまして指紋がありませんと、容易に他人名義の証明書でも本人になり澄ましていることができるのでありまして、取扱いました事件等を見ましても、写真等は古いものを利用いたしまして、本人になり澄ましておるというふうなことでありますので、指紋の採取が認められますれば、本人であるかどうかということを一層はつきりすることができると考えております。
  341. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 それから証明書の再発行の手續があまりに簡單過ぎるから、こういうことが行われて来るのではないか、との点はどうですか。
  342. 古屋亨

    ○古屋証人 証明書の再発行手續でございますが、大体警視庁で、警察に証明書をなくしたという遺失届がありますと、役場、区役所等におきまして、警察の遺失届と同時に、本人からそれをなくした過失の理由書あるいは印鑑証明というものを提出せしめて扱つておることと存じます。数字的に申し上げますと、昨年の初めに切りかえになりまして以来、本年四月までで新証明書を交付いたしましたのが一千百件ばかりございます。ただこれは都の方で扱つておるのでありますが、発行手續が簡單に過ぎると申しましても、これを再発行するほかのいいやり方が、現在のところなかなか考えられないというように私ども考えておるのであります。ただ警察といたしましては、遺失の届がありますと、すぐに管下に通信をもちまして全部に手配をいたしておりますが、発見されましたものは遺憾ながら非常に少いのであります。先ほど申し上げましたように、一千件以上の中で、七十件程度のものが発見されておるにすぎないという状況でございます。
  343. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 証明書の失効番号の整理などが困難であるから、実際はその照合を行わないで再発行しておるというような実情なのですね。
  344. 古屋亨

    ○古屋証人 そうです。
  345. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 それから証明書の発行に対し、警視庁はいかなる協力を市区あるいは町村役場に対してやつておりますか。
  346. 古屋亨

    ○古屋証人 原則としてこの仕事は市区町村長の專管に属しておるのでありますが、区長の方で登録証を発行する場合に、どうもその人は虚偽の登録、あるいは二重登録をするおそれがある、あるいは密入国者ではないかと疑われる場合は、所轄警察署に告発していただきまして、その結果に基きまして証明書を発行することになつておりすから、告発のあつた事件については積極的に協力しております。そのほか警視庁といたしましては、告発がない場合におきましても、先ほど申し上げましたように、捜査の段階からいたしまして疑わしいよう事件についてはこれを扱つて、また遺失した場合にはよく関係署に調査をさせまして、区役所等で発行する場合、遺憾のないように協力しておるという実情でございます。ただ私ども仕事をしておりましても、不正登録を防止いたします上において、実際その人がそこに居住しておるかどうかということが警察側でわかりません。また区役所でも本人の申立てだけでわからない場合がありますので、居住証明というようなものをば行政的措置としてあわせてとりまして、居住証明のない者には登録証明書を出さないということにいたしますれば、現在でも実際問題として不正登録の防止に役立つのではないかと考えております。
  347. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 その証明書に不正、虚偽なことを申告した場合でも罰則はないのですか。
  348. 古屋亨

    ○古屋証人 これは外国人登録会の第十三條の中に、登録もしくは登録証明書の交付の申請をしなかつた、あるいは虚偽の申請をした者につきましては、一年以下の懲役もしくは禁錮または一万円以下の罰金に処するというのがございます。昨年の切りかえのときにも、その登録令の附則の第五項にそれに関連する規定がございます。
  349. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 罰則はちやんと規定してあるわけですな。
  350. 古屋亨

    ○古屋証人 はあ。
  351. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 警視庁管下におきまして、未検挙の密入国者の大体推定数はどんなものでありましよう
  352. 古屋亨

    ○古屋証人 密入国者の取締りは、現在のところ申し上げるまでもなく、出入国管理庁が所管をしておるわけでございます。それで今の委員長の御質問に対するお答えには、私のある程度の推測も含めて申し上げなければならぬと思いますが、それでよろしゆうございますか。
  353. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 それでけつこうです。
  354. 古屋亨

    ○古屋証人 一部の風説によりますれば、二千名近く入つておる、あるいはそれ以上上まわつておるということがいわれておるのでありますが、これは裏づけのない風説であります。ただ密入国者があるということだけは確かでございます。それで私ども取扱いました数字から申し上げますと、密入国者を検挙いたしましたのは、大体朝鮮人百十四名を検挙しております。この百十四名を検挙いたしましたが、このうちの大部分の記録を調査いたしますと、大多数の者は十五、六名一団となつて日本へやつて来る。少い者は三名、多い者は百二十名程度で入つておるのもありまして、大体延人員が千四百名を数えておるのであります。従いましてそういう数字から考えますと、密航船の一割しか検挙してない、率直に申し上げまして一割、百十四名程度の者しか検挙されてないというように、私は考えております。
  355. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 その百十四名検挙されましていろいろ調べられた結果、何か思想的背景とか、あるいはもつと何か団体の関係でもありましたか。
  356. 古屋亨

    ○古屋証人 この百十四名につきましては、思想的背景と申しますか、北鮮から直接入つて来ておるというのは、私どもの捜査いたしました段階においては、思想的関係というようなものは現われておりません。
  357. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 そうすると、たとえば推定数だけでも二千名というのでありまして、その一割にも満たないような検挙でありますが、この検挙するに至らないという原因を少しお述べ願いたい。
  358. 古屋亨

    ○古屋証人 大体密入国者は、直接東京港へ入つて来るのは比較的少いのでありまして、北九州、中国各県から上陸、都内に潜入しておるというのが多いのでございます。原因といたしましては、一つは言語、容貌、態度、服裝等から考えまして、日本人と識別することが非常にむずかしい。それから大多数の密入国者というものは、おそらく終戰前に日本に居住いたしまして、日本の地理に相当詳しくなつておる、日本語も相当上手にしやべつておる。従いまして、こういう人がもう一回日本へ来たのでありますから、捜査を担当をいたしております者といたしましても、なかなかそれが朝鮮人であるということを判別することがむずかしい、これも一つの理由であります。それから、由来朝鮮人は自分の住所を非常に頻繁にかえておりますので、これも居住の調査が実際問題として非常に困難であるということが言えると思います。それから昭和二十一年の六月十一日に司令部から日本政府に、日本への不法入国の抑止に関する覚書が出ておるのでございますが、これ以前の密入国というものは処罰の規定がございません。従いましてこの盲点を相当利用されており、しかもそういう前から入つていだ者につきまして、いわゆる登録の切りかえごとに、虚偽の登録等によりまして、これを捜査することができるのでございますが、虚偽の答録等につきましては、刑事訴訟法の二百五十條で、公訴の提起についての時効の完成の規定がございまして、五年未満の懲役もしくは禁錮または罰金にあたる罪については、公訴の提起の時効が三年でございます。従いまして、三年たつてしまえば、公訴の提起ができなくなつてしまうというようなことも、この虚偽の登録に対する捜査が非常に困難化しておることの、一つの理由になるのではないかと私は考えております。
  359. 井手光治

    ○井手委員 今お話がありましたが、密入国者の入国後の行動性と申しますか、そういうものについて特別に調査を進めておるようなことはございませんか。
  360. 古屋亨

    ○古屋証人 大体今申し上げましたのは、登録令の規則を守らないで入つて来た入国者で、今まで検挙いたしました者が百十四名であるということを申し上げたのであります。こういう人々が入りまして、何らか思想的な方面に画策しておるのではないかというお話でございますが、大体私どもの今まで検挙いたしました分につきましては、日本内地に残した家族に対する思慕の余りに、送還覚悟で渡航して来るというような、悲壯な方もありますし、あるいはまた日本の文化にあこがれを持ちまして、南鮮の青年が渡航しておるというのが多うございます。なお思想的背景を持つてつて来る者が検挙されていないか、また入つて来た者が思想的に活動していないかという問題でございますが、この点は、実は警視庁といたしましては、現在までそういうはつきり証拠が出て来ておるものはございません。ただ、新聞で御承知のように、今軍事裁判でいろいろの者を調べているその新聞記事等を見ますと、そういう傾向がうかがわれるのでございます。
  361. 井手光治

    ○井手委員 これは不正入国に関します重大なところだと思うのです。今お話のように、警視庁も非常な御苦心でいらつしやるようでありますが、結局登録令違反によつて生じて来た者が具体的なもので、その他につきましては、なかなか捜査上困難をきわめておるのは、ごもつともだと存じます。そこで先般来自由党の治安対策委員会において、これらの問題も別途に調査を進めておるのでありますが、現在警視庁において、これらの不正入国者に対しまするところの海上保安庁との連絡その他について何か具体的な打合せとか、あるいは申合せとかいうふうなものについて、御協議するなり、御研究を進めておるというようなことはございませんか。
  362. 古屋亨

    ○古屋証人 警視庁で申し上げますと、結局水上警察であります。水上警察と海上保安庁の横浜海上保安本部との業務の調整の問題がございまして、二十四年の十月に横浜海上保安本部と警視庁との間におきまして、業務調整についての内部的な協定と申しますか、行政措置を講じまして、結局法律違反の防止、犯罪の捜査あるいは犯人の逮捕に遺憾なきを期するために、密接に協力して、積極的に人的物的便宜をお互いに與える、というふうに協定をいたしました。そういたしまして大体警視庁といたしましては、羽田の鼻と千葉県境の江戸川河口右側突端を結ぶ線以外の海域におきましては、警視庁と海上保安本部と協力をいたしまして、犯罪の捜査に当つております。具体的には、犯罪の探知あるいは情報を得たとき、あるいは現行犯、準現行犯を現認したときには、お互いに通報をいたします。そのほか随時協議会を開きまして、特に鑑識あるいは検死等の事務につきましては、警視庁は海上保安庁の求めに応じまして、これに協力いたします。大体現在までのところ、水上警察と海上保安本部との間におきましては、同じような重複する仕事もありますが、円滑に推移を見ておるような次第であります。
  363. 井手光治

    ○井手委員 もう一つだけ簡單に申し上げます。大体私どもが非常に心配をしておりますのは、不正入国者が国内に入りまして、どういう具体的な行動をとつておるかということであります。そのこと自体は別といたしまして、不正入国者が一般の国内の治安、あるいはこれに関連する一般犯罪との関連性が全然ない、言いかえますと、比較的善良性があるということでありますならば、そう極端に心配する必要はなかろうと思うのですが、最近の社会情勢等から見て、一般の犯罪性並びに思想的な行動性に非常な動きが見られるということが、漠然とした一般的な社会的な見方になつております。そういうことをわれわれは心配をしておりますが、入国者の一般犯罪もしくは思想的な不法行為に対しまする協力とか、あるいは関連とかいうことの具体的な事例が、警視庁管下におきましてはいまだかつてございませんか。ありましたら参考までにお聞きしたい。
  364. 古屋亨

    ○古屋証人 密入国者がこういう犯罪を敢行したという具体的なことは認められないのでありますが、昨年の犯罪の統計等から考えましても、大ざつぱに申しまして、大体都内に三万五千人の朝鮮人の方がおられます。このうちで犯罪で検挙いたしましたものが三千二百三十九名となつており、十一人に一人の検挙がある。これは一切の刑法犯あるいは集団犯罪の刑法犯を含んでおります。日本人につきましては、御参考でございますが、大体都内の人口を五百三十四万と見まして、被疑者が六万四千六百九十八人、数字の上で大体八十名に一人の被疑者を持つということになつております。
  365. 井手光治

    ○井手委員 たいへんけつこうなお話でありましたが、今衆議院の法務委員会において、国内の住民の所属内容生活態様を明らかにしたいというので、長年研究されておりました住民登録法が審議されております。それがもし完璧になりますと、こういつたことがきわめて明瞭になつて来ると思う。そこで住民登録法とあなたの方の犯罪捜査関係との面において、これが十分円満な協力をいたしますならば、私は将来治安上重大なる好影響もたらすことになるのではないかと思いますが、この法案について、警視庁から、刑事捜査上または治安上必要があるという特別な御意見が提出されておりますかどうか。おりませんければ、十分この法律等も御研究願いまして、将来その面の活用に資するようにできますれば、非常にけつこうではないかと思います。あなたの御意見だけを承つておきたい。
  366. 古屋亨

    ○古屋証人 お話のように、住民登録法が成立いたしますると、警視庁といたしましても、犯罪捜査の上においていろいろな実際面においての便宜が與えられ、治安の確保の見地からして非常に効果的な部面が多いと思います。犯罪の検挙、防止という観点から、十分この法案を研究いたしまして、御期待に沿いたいと思います。
  367. 小松勇次

    ○小松委員 外人登録に違反した者、密入国者に対してのいろいろの罰則のお話は、ただいま承つたのでありますが、あなたの方で発見されました密入国者あるいは外人登録を偽つてつた者等に対しまして、この條文に照してどういうような御処置をされておるか、この問題をちよつとお話願いたい。
  368. 古屋亨

    ○古屋証人 密入国で入つて来た者につきましては、いわゆる強制送還の道が講ぜられておりまして、警視庁管下の強制送還の状況は、昭和二十四年一月から本年の三月末現在で六十六名ということになつております。その他のものにつきましては、検察庁に事件を送致いたしまして、検察庁の方におきまして、それぞれ一年以下の範囲において処罰を與えておるというのが卒直な実情でございます。
  369. 小松勇次

    ○小松委員 なお伺いますが、登録証明書を偽造した者がどういう処罰を受けたかということは、あなた方ではおわかりになりませんでしようか。
  370. 古屋亨

    ○古屋証人 私の方は事件を送致いたしまして、検察庁の方から判事の方に参りまして、公判の結果でありますので、私の方では現在その資料を持つておりません。
  371. 小松勇次

    ○小松委員 それではお尋ねいたしますが、かような人たちを発見するのに非常な御苦心を要するということに承つたのであります。そこで登録証明書その他こういうものの実情について、大いに改善すべき点をあなた方は経験したくさん感じた点もあろうと思います。そうしてまたこういう発見の方法等について、どういうことをしたら最もよいかというような御研究も相当進められたことと思いますが、そういうことがあつたらお聞かせ願いたい。同時にまた密入国者には癩患者が多かつたという話も聞いておりますが、あなたの方で検挙した人たちの中でそういう人はなつたか。もし癩患者があつたら、その人たちをどういうように処置しておつたかということを伺いたい。
  372. 古屋亨

    ○古屋証人 私の聞いております範囲におきましては、癩患者があつたということは存じておりません。それからいろいろ事件を担当いたしまして、区役所等の若い吏員が、朝鮮人の請託を受けまして、たくさんの枚数にわたります偽造、変造等に携わつておりますことは、まことに遺憾でございますが、私見を申し上げますと、先ほど委員長からお話がありましたように、制度的に指紋ということはぜひやりたい、そういうことが制度化されれば非常に便利であると思います。なお現行登録令によりますと、証明書の有効期間が三年ということになつておりますが、非常に住居が転々としておりますので、実態を把握するに困難である。住居のかわつた都度届出すべき義務があるのでありますが、無届の者が多いのでありますから、この証明書の有効期間を短かいものに更新をするということが、犯罪防止の見地からすれば、一つ方法であると思うのであります。それから先ほど申し上げましたように、密入国者を除きまして、たとえば未登録、虚偽申請等の違反事件につきましては、刑訴の二百五十條の時効完成が三箇年であるという関係から、何か特例を設けられまして、時効完成をもう少し、三箇年というのを延長していただけることができれば、私どもの取締りの見地からいたしましては非常に幸いである、かよう考えております。
  373. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 証人の捜査上の御苦心とか、刑の関係等で、いろいろごめんどうなことのあることを承りまして、われわれまことに感謝にたえないものがあります。一、二点お伺いいたしたいと思いますが、あなたは先ほどの証言の中で、葛飾の支部団長崔雲山ほか五名に及ぶ登録証明偽造犯等の事実があつたということを申されましたが、こういう人たちはみんな送還になつたわけですか。
  374. 古屋亨

    ○古屋証人 密入国者であるということがはつきりしました者は、送還の手續がとられておるものと私は存じておりますが、その他の者につきましては、送環ということはできませんので、こちらの法令によつてそれぞれ処罰をしている実情でございます。
  375. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 そういうように密入国者等の発見されました場合におきまして、陳情等によつて、あなたの方では送還を希望するけれども、刑の確定の結果にもよりましようけれども、送還にならない。あるいは事件なんかも、いわゆる平たく言つたら穏便に済んで、送還にならぬというふうな事例が多うございますか。
  376. 古屋亨

    ○古屋証人 大体この送還の問題は、現在出入国管理庁が所管をしておりまして、私の方は逮捕いたしましてそれに引渡す。それで場合によりましては、協定によりまして警視庁でその被疑者を調べることがございますが、大体密入国者であることがわかりますと、出入国管理庁の入国警備官に引継ぎをいたしまして、警察が收容所まで連行するということはやつておりますけれども、私の記憶しております範囲におきましては、送還ということが、あるいはまたその処罰が、外部の勢力で云々されたということは、私の方ではまだございません。
  377. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 私が証人にお聞きしたいことは、これは警視庁管轄だけの問題ではございますまい。おそらく日本全国に関する問題でございましようが、つまり一年以下の刑ぐらいでは、処罰覚悟でやつて来たり、あるいは刑といいますか、処置というものがあまり軽微なので、つまり外国人であるがために、いろいろな処罰を受けても、そんなものは平気だといつたようなことで、この法律の目的というものに到達できないのではないか。つまりあなた方の立場からして、法律の改善ということに対して、何か御希望はないですか。こういう点に対して御意見を承りたいと思います。
  378. 古屋亨

    ○古屋証人 お話のように、一年以下の懲役もしくは禁錮、または一万円以下の罰金でありましては、これが最高の刑でございますので、このくらいの処罰では、結局処罰覚悟で登録をしない。あるいは虚偽の登録をしているという方は——覚悟と申しますか、結論から申せば覚悟と言えると思いますが、多いのではないかと思つております。実は私の方も、出入国管理庁とよく連絡をいたしまして、まだこの役所は昨年できたばかりでありますので、あるいは海上保安庁とも具体的な連繋をはかりまして、こちらの捜査の具体的経験を、もう少し先方にもお話をして、何らか法の目的が達せられるように、あるいは法を改正するなり、あるいは今の範囲において、いかに運用することが、こういう人々の犯罪を犯さないようにすることができるかという点につきましては、よく今後研究して進んで行きたいと思つております。現在のところ、私個人といたしましては、先ほど申し上げましたような法の改正点は希望しておりますが、全般的にこの法をどういうふうに持つて行くことが適当であるかという点につきましては、まだ勉強しておりませんので、今後そういう点につきましてはよく研究して、捜査の見地から、具体的に関係方面にお願いをいたしたいと思つております。
  379. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 最後に二つだけお聞きしたいと思いますが、これは密入国者だけではなく、以前から正規におつた人でも、非常に犯罪なんかを重ねまして、累犯なんかした者につきましては、送還等の処置を講ずる必要があるかないか。諸外国にはそういうことがあるのですから……。それから第二点ですが、つまり密入国者と申しますか、以前からいる人間でも、共通法の関係は、われわれ伺いますと生きているというような話でございます。ああいう点につきまして、国籍等の点は二重国籍になつているのじやないかと思いますが、その点に関する取扱いの不備というようなことは、あなたは部長としてお感じにはなりませんか。
  380. 古屋亨

    ○古屋証人 第二の問題につきましては、私まだ共通法その他の関係については、おはずかしい次第でありますが、あまり研究しておりません。第一の問題でございますが、これにつきましては、実際問題として朝鮮人の非常に大きい窃盗団等を、数箇月にわたりまして検挙して、これがすぐ保釈になつてしまうということは、捜査を担当する者といたしまして、まことに残念でございまして、こういう方が送還されるということが、やはり一つの将来の大きな問題ではないかと考えます。
  381. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 他に御発言がなければ、吉屋証人に対する尋問は、これにて終了いたしました。証人には御苦労様でした。     —————————————
  382. 山口武秀

    山口(武)委員 これは委員長の方に希望しておきたい。それから事務局の方へ巖重に申し上げておきたいのですが、証人を呼んで尋問をするときに、尋問の内容というか、その日の盾問の山をなすものが、当日の朝配られて、われわれがこれについて研究することも何もできないのであります。こういう状態では、われわれはつんぼさじきに置かれておるような状態で困るので、今後はこういうことがないようにしてもらいたい。その日の朝になつて尋問事項委員に配るということは困るから、もつと早くいただきたいと思いますが、いかがでありますか。
  383. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 山口委員の御発言は、もつともな点もありますが、大体において印刷に付するのは前日です。いろいろ証人の陳述の関係もありまして、原案をつくつて印刷に付するのは前日であります。そういう関係上お手元へ配付することが遅れる場合もありまして……。
  384. 山口武秀

    山口(武)委員 遅れる場合もあるのですか。
  385. 内藤隆

    内藤(隆)委員長代理 遅れることが今までの前例なんです。遅れると言うと語弊がありますが、その当日の朝配るわけです。これは理事会においてまたそれぞれ研究して、御期待に沿うようなことになるかもしれないと思います。それは理事会にお諮りいたします。  次会は明二十六日午前十時より、国警長官斎藤昇君、特審局長吉河光貞君、出入国管理庁長官鈴木一君、以上三君の証言を求めることにいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時十分散会