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慶松政府委員 仰せまことにごもつともでございます。ございますが、私が申しましたことは、これは現在の
日本のあり方のゆえにかくあるということを申し上げる次第でございます。しかしながら、たとえばただいま申されましたように、薬の規格というものには全然放任されておる次第ではございません。また製薬業というものがまつたく放任されておる次第ではございませんことは、
薬事法をごらんくださればよくおわかりになることと存じます。すなわち
薬事法におきましては、製薬をいたしますには厚生大臣の許可がいります。また
登録をする必要がございます。しかもそれには一定の
基準がございまして、その
基準に適合しないものに対しましては、
登録あるいは許可が與えられておりません。また許可と申します
意味は、結局薬といたしましてこれがきくということが認められたい限りは、これを売りますと、つくりますことを認められておりません。また
薬事法の中には薬の規格に対しまして厚生大臣がこれを定めることができまして、しかもその定められました規格のものにつきましては、厚生省におきましてこれを検定することができます。また事実その規格に合いませんものにつきましては、販売の停止あるいはその破棄あるいは回収等を命ずることもできますし、事実今日におきましては、大部分の薬につきましては厚生省におきましてその品質について
試験検査をや
つておる次第でございます。従いましてそれらの点から申しまして薬の規格については嚴重な制肘がある次第でございます。
なお価格の点につきまして、現在価格に対しまして、特に予防接種等に使いますところのワクチン等につきましては、マル公価格の設定がある次第でございますが、これは
国家が法令によりまして予防接種をやらしておる。従いましてその
意味におきまして適正なる価格をも
つて供給する必要があるからでございますが、今日価格の統制に対しまするところの法令は臨時的なものでございますから、これにかわる
法律が出ません限りにおきましては、原則といたしましては薬の規格は野放しになる次第でございます。しかしながら薬におきましてはまず良貨が悪貨を駆逐するということが大体原則であると存じます。と申しますわけは、きかない薬あるいは悪い薬につきましては人々がだんだん使わなくなります。従いましてその
意味におきまして薬の品質というものが一番重要なものになる次第でございます。なお一面薬につきましてはひとり国内の問題ばかりではなくして、比較的少量で
相当な価格をも
つて輸出ができるという点から申しまして、
わが国の産業におきましてその薬自身がにな
つております使命がまた
相当大きいものがある次第でございます。それらの点から
考えまして、先ほど私が申しましたように、輸出の点から申しましてもこの価格が
外国の価格との差がきわめて小さくなる、あるいは
外国のものに比べまして安くなるということが必要でございます。ところが戰争前におきましては、
わが国の薬はその品質が非常によく、まだ価格が低廉であるという
意味をもちましてヨーロッパまでも輸出されておつた状態でありますが、今日は先ほど私が申しましたように、原料高等の原因によりまして、あるものによりましては
外国品に比べまして高いものもございます。しかしながらそれをいかして安くするかということにつきましては、私
どもはできるだけの
努力を続けておるものでございますし、また将来ともその点につきまして
努力を続けたいと存じておるものでございます。
なおただいま
福田委員がおいでになりませんが、先ほど
福田委員の
お話では、アメリカの薬に比べて
日本の薬が大体において高いという
お話でございましたが、どの
程度の御資料をお持ちか存じませんが、私はそれにつきましては新聞あるいは
日本医師令の機関誌等に、米国と
日本の薬の比較の表を出しております。それによりましても、
日本の薬とアメリカの薬とを比べまして、
日本の薬がもちろん高いものもございます。それらにつきましては先ほど来申しておりますように、原料高のため等の
理由がはつきりしたものでございまして、そういう点から申しましても、
日本の薬が特に
外国品に比べて高いということは言えません。しかし現在の
国民生活の水準から申しますれば、このものがより安くなることがもちろん望ましいのでございまして、その線に沿いまして私
どものみならず、製薬業界に対しましてもその点の
努力を要望いたしたいと存ずる次第でございます。