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1951-06-02 第10回国会 衆議院 厚生委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年六月二日(土曜日)     午前十一時三十二分開議  出席委員    委員長 松永 佛骨君    理事 青柳 一郎君 理事 丸山 直友君    理事 亘  四郎君 理事 金子與重郎君    理事 福田 昌子君       有田 二郎君    大石 武一君       高橋  等君    寺島隆太郎君       中川 俊思君    堀川 恭平君       山村新治郎君    岡  良一君       堤 ツルヨ君    今野 武雄君       松谷天光光君  出席国務大臣         厚生大臣臨時代         理       保利  茂君  出席政府委員         厚生政務次官  平澤 長吉君         厚生事務官         (医務局次長) 久下 勝次君         厚生事務官         (薬務局長)  慶松 一郎君         厚生事務官         (保険局長)  安田  巖君         厚 生 技 官         (医務局長)  東 龍太郎君  委員外出席者         議     員 田中伊三次君         議     員 土倉 宗明君         参議院議員   中山 壽彦君         厚生事務次官  宮崎 太一君         参  考  人         (参議院議員) 石原幹市郎君         参  考  人         (参議院議員) 谷口弥三郎君         衆議院法制局参         事         (第二部長)  福原 忠男君         参議院法制局参         事         (第一部長)  今枝 常男君         專  門  員 川井 章知君         專  門  員 引地亮太郎君         專  門  員 山本 正世君     ————————————— 六月一日  医師法及び歯科医師法の一部を改正する法律案青柳一郎君外十三名提出衆法第六九号) 同月二日  医師法歯科医師法及び薬事法の一部を改正す  る法律案内閣提出第一二七号)(参議院送付)  ハイアライ競技法案土倉宗明君外一名提出衆法第七〇号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  参考人選定に関する件  医師法及び歯科医師法の一部を改正する法律案青柳一郎君名十三名提出衆法第六九号)  医師法歯科医師法及び薬事法の一部を改正する法律案内閣提出第一二七号)(参議院送付)  ハイアライ競技法案土倉宗明君外一名提出衆法第七〇号)  覚せい剤取締法案参議院提出参法第二二号)     —————————————
  2. 松永佛骨

    松永委員長 これより会議を開きます。  青柳一郎君外十三名提出医師法及び医科医師法の一部を改正する法律案議題とし審査に入ります。まず提案者より趣旨の説明を求めます。青柳一郎君。
  3. 青柳一郎

    青柳委員 ただいま議題となりました医師法及び歯科医師法の一部を改正する法律案につきまして提案理由を御説明申し上げます。  現在、医師または歯科医師になるためには、国家試験合格しなければならないことはいまさら申すまでもないことでありますが、終戰前朝鮮台湾、樺太、南洋諸島等の旧外地及び満洲国におきまして医師免許または歯科医師免許を受けていた日本国民につきましては、主として引揚者としての同情すべき立場に基きまして医師法及び歯科医師法の附則に特例の規定があり、選考または簡易なる試験によりましてただちに内地における医師免許または歯科医師免許を受ける道が開かれているのであります。ところが、これとまつたく同様の廓清にある中華民国の旧治外法権地域において領事官免許を受けていた日本国民あるいは諸外、国ことに南方英蘭仏領植民地においてその他の政庁より免許を受けていた日本国民につきましては、かような取扱いがなく、医師または歯科医師国家試験予備試験受験資格を與えられているにすぎないのであります。  従いまして、現在においてはこれらの者が医師または歯科医師になりますためにはまづ予備試験を受けてこれに合格し、さらに所定のインターンを行つた上で国家試験を受けなければならないという実情であります。  これらの者は長年外国において医業または歯科医業に従事し十分な臨床的経験を有するものであり、かつ、終戰の結果としてやむを得ず長年辛苦の末築いた地盤を放棄し、内地引揚げを命ぜられた者でありまして、引揚者として経済的にも同情すべき立場にあり、また老齢者も少くないことでもありますので、これらの者のみ特例を認めないということはまことにお気の毒といわなければなりません。また、憲法で保障された「法の前の平等」という見地からも、かような差別的取扱いは不合理なものといわざるを得ないのであります。  この法案は、以上の理由によりまして前述の者に対し昭和三十年の末まで旧外地または満洲国引揚者と同様、選考または特例試験を受ける資格を與え医師または歯科医師になる道を開き、その窮状を打開せんとするものであります。なお同時にこの法律の制定に伴いまして関係法令の整理をいたした次第であります。  何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決くださるようお願いいたします。
  4. 松永佛骨

    松永委員長 次に本案質疑に入ります。御質疑はありませんか。
  5. 丸山直友

    丸山委員 政府にお伺いしたいのは、大体この法律が通過いたしました場合に、これによつて救われるという該当者は数はどのくらいのお見込みでございますか。その数をひとつお聞かせを願いたいと思います。
  6. 久下勝次

    久下政府委員 非常に正確な数字がつかめないで困つているのでありますが、私どもの推測をいたしましたところでは、中華民国領事館関係がせいぜい二、三十名くらいではないかと思います。それからマレー半島あるいはビルマ等関係者がおつても五十人くらい、五十人以内と考えております。
  7. 大石武一

    大石(武)委員 政府ちよつとお尋ねいたします。この外地から引揚げました気の毒な医師あるいは歯科医師に対して、このようないい法案をつくつてあげるということはまことにけつこうなことでありまして、私も心から賛成して提案者の一人になつた次第であります。ひとつ政府にお尋ねいたしたいことは、このような医師方々のいわゆる医師としての技倆知識、そういう面についての政府の御見解をお聞きしたいと思います。
  8. 久下勝次

    久下政府委員 たいへんむずかしいお尋ねでございまして、結局試験をいたした上で判断をするわけでございますから、私どもとしてはあくまでもこの問題はただいま提案理由の御説明もございましたように、制度的にはわが国在来医師歯科医師免許の内容とは若干違う点があるのではないかというふうには考えておつたのであります。提案者の御説明にもございましたように、この人たちはいずれも外地医師または歯科医師として医業または歯科医業に従事しておられた方々でありますので、そういう方々のために特例を開くという意味におきまして、私どもも適当な措置であると考えている次第であります。
  9. 大石武一

    大石(武)委員 ただいまの御答弁で医療の方に関してはそう心配はないということでありますので、まことに安心する次第であります。ただ一応もう一ぺん政府のお考えを伺いたいと思うのでありますが、この中国あるいは南方諸国におられた方々に対して、このような医師免許を與えるということにつきましては、われわれも数年前からこの問題について苦労しておつたのであります。そして数々の努力をいたしましたが、昨年ようやく関係方面あるいは政府との交渉の結果、この国家試験予備試験を受けるというところまでの法案におちついて、昨年その法案が通過したはずであります。その当時政府の御意見、ことにここにおられる久下次長は強硬なる御意見をお持ちでありまして、かかる者に対しては、特例試験とか、あるいは選考によつて免許を與えてはいけないという強硬な御意見でありまして、私もやむを得ず、国家試験予備試験程度でがまんをして、そこで妥協したのであります。しかるに今回は、ただいまのお説によりますと、腕前においては何らの心配がないからこのような免許を與えてもよろしいという御意見でありますが、わずか一年足らずのうちにこのような心境の変化を来されましたことにつきましては、どのような御心境でありますか、これをちよつと伺いたいと思います。
  10. 久下勝次

    久下政府委員 実はその際にも私ども考えておりました一つの理由といたしましては、外国におきまして免許を得ました方々に対しましては、医師法歯科医師法によりまして、予備試験受験資格がすでに認められており、従つてわが国医師歯科医師となる道が開かれておつたのであります。そういう意味合いにおきまして、それだけの特例扱いをいたしました方々は、特別な立法をいたしませんと、わが国における医師または歯科医師免許を受けられないことになつております。実はさような形式論から申し上げておつたのであります。いろいろ実態的な検討をしてみますと、不合理な点もあるように考えられましたので、昨年の予備試験受験資格を認めました方々の一部につきましては——と申しますのは、具体的には、日本以外の土地におきまして医師または歯科医師としてやつておられた方々については、今回一緒特例扱いをするようにして、権衡をとるようにいたしたのであります。
  11. 大石武一

    大石(武)委員 最後に一点。日本の官吏の方が一年間にこのような長足の進歩をなさつて国民福利増進ということに対してこのようなりつぱな御理解をお持ちになつたことについて、心から敬意を表する次第であります。今後ともあまり役人としてのむずかしい型にとらわれずに、ぜひとも国民の実生活を幸福にするような方面にますます進歩されんことを心から願いまして、私の質問を終ります。
  12. 有田二郎

    有田(二)委員 薬務局長もお越しになつておりますから、政府にお尋ねしたいのですが、二年ほど前私が厚生委置をしておりました当時にも申し上げたことですが、免許状下付が非常に遅れるということで、医師免許状、あるいは歯科医師薬剤師免許状をすみやかに下付されるような努力をするような方向お願いもし、またさように努力されたように思うのですが、現状では試験通つて何日ぐらいで免許状下付されるのか。——医務局の場合は医師歯科医師薬務局の場合は薬剤師についてこの点を伺つておきたいと思います。
  13. 久下勝次

    久下政府委員 これは場合によつて若干違つておりますが、医師の場合におきまして、国家試験受験者が非常に多うございまして、今年の春の例で申し上げますと、約七千名の受験者がございます。従いましてその答案の枚数も非常に多数に上りますので、答案を整理して各委員に配分をいたします手続、あるいはその後の採点、さらにとりまとめ等相当期間を要しまして、先月の初めに三、五、六の三日間国家試験行つたのでありますが、その結果が確定いたしますのが、ただいまの見通しでは、幾ら急ぎましても七月になるのではないかというふうに見ておるのでございまして、それから各人が医師免許下付申請をやりますから、八月ごろになるのではないかというふうに考えております。相当期間を要しましてこの点はたいへん申訳ないのでありますけれども、ただいま申し上げたような事情から、医師国家試験につきましては相当な日数を要しているのが現状であります。医師試験のうち特例試験受験者の数も少うございますので、さような長期間はかかりません。また歯科医師国家試験並びに歯科医師特例試験につきましては、いずれも試験を行いましてからおおむね一箇月くらいで結果が判明し、すぐに免許下付手続ができるようにいたしております。試験後一箇月ないし一箇月半ぐらいで免許を差上げることができるように考えておる次第であります。
  14. 慶松一郎

    慶松政府委員 薬剤師につきましても、御存じの通り国家試験がやられておるのでございますが、薬剤師国家試験は、学説試験実地試験と二つございまして、学説試験に通りました者のみが実地試験を受け得る次第であります。大体学説試験につきましては、試験施行後一箇月くらいにその当落の発表がございまして、発表がございますと、ただちにその試験通つた証明書を同日に発行いたします。そうしてそれから大体二月たちまして実地試験を行いまして、実地試験成績がわかりますのが、やはり一月くらいでありまして、それに通りました者に対しましては、もしもただちに申請をいたしますならば、大体のところ一箇月ないし二箇月、すなわち試験が終りまして発表かございましてから一月ないし二月の間に免状下付いたしておるのでございます。これが実情でございます。
  15. 有田二郎

    有田(二)委員 国家試験期間が何日かかるかという問題についてそれぞれ事情があるので、一月かかる、二月かかる、三月かかるのもあるということであるが、私のお尋ね申し上げたのはその問題ではなくして、医師国家試験通つた歯科医師国家試験にパスして、合格したという発表がありまして後——薬剤師の方は今一月あるいは二月というお話がありましたが、医師歯科医師の場合は何日ぐらいで免状手元に入るかという点をお尋ね申し上げたのであります。
  16. 久下勝次

    久下政府委員 医師歯科医師の場合におきましては、合格発表免許下付が完了いたしますのはやはり二月ぐらいは要します。と申しますのは、非常に数が多うございますので、正式の免許証本人手元に入りますのには——その前に合格証書を送りまして、それに基いて各合格者から免許申請が出て参ります。出て参りましてから約一月ないし二月というふうに御承知を願います。なおこれは就職等関係もございますので、私どもとしては特別な便宜をはからいまして、とりあえず正式の免許証のできます前に、御本人の要望がございますれば、簡単な登録証明書というものを出しまして、それによつて免許証にかえて就職等の場合にさしつかえのないようなとりはからいをいたしております。これは申出がありましたならば、即日でも出せるようにとりはからつております。
  17. 有田二郎

    有田(二)委員 二年前、三年前に比べて大分成績もよくなつて免許状下付も非常にスピーディになつたことはけつこうであります。これは医務局においても、薬務局においても、よく御検討を願いまして、合格発表があつて、そうして申請をする、申請をした場合に、仮免許証をただちに出す、その仮免許証の中には、調査をした結果、不適格な場合には、これを取消すことができるという一項を入れて、国家試験合格しておりながら免許証が下らないために開局できない、あるいは医師開業ができないということは、国家の手落ちだ、従つてその合格した通知をもらつて申請をして来たときに、ただちに申請書引きかえに仮免許証を出すことによつて医師開業することができる、あるいは歯科医師なり薬剤師が開局することができるというような方向にして行くことが、国民に対する一番忠実なあり方だ。現状では、局長さんなり偉い人の話を聞くと、うまく行つているようでありますが、実際窓ぎわに行くと事務的にもたいへんでありますし、数も非常に多いのでありますし、また身元もいろいろ調査しなければならぬというので、一定の時間を必要とするのでありますが、しかしながら医師歯科医師薬剤師国家試験を受けるのには、それぞれの、過去において大学なりあるいはその他の経験を持つてそうして相当の身分についての届出があるわけですから、ただ見ず知らずの人間が急に試験を受けて通るというようなものと、歯科医師あるいは医師薬剤師の場合とは違うのでありまして、一応のことはわかつておるわけでありますから、従つて申請がありましたら、その申請書引きかえに仮免許証を與え、全部の調査が済みましたときに、本免許状を與えるというようなことにしてはどうかと思うのでありますが、政府の御所見を承りたいと思います。
  18. 久下勝次

    久下政府委員 医師歯科医師につきましては、先ほど私が申し上げましたように、お話仮免許証というものとは、若干違うと思いますが、登録証明書というものを出すことを、すでに数年前からやつておるのであります。合格者から申請がありました人たちに全部ただちにやるというのではございません。特に就職等のために取急ぎ必要であるというような方々には、それをいつでも出し得るように準備いたしておりますので、現状さして御迷惑をかけていないのではないかというふうに考えますが、なお全員にそれをやるということになりますと、どの程度の事務的な運びができまするか検討いたしてみたいと思います。
  19. 有田二郎

    有田(二)委員 証明書では医師開業はできないでしよう。
  20. 久下勝次

    久下政府委員 どこでも開業を認めてもらつております。それは医籍登録してあるということであります。医籍登録があつたということは、免許があつたということになりますので、問題なく免許証と同じように取扱つております。
  21. 有田二郎

    有田(二)委員 今の医務局次長の御答弁事務局長の御見解一緒でございますか。
  22. 慶松一郎

    慶松政府委員 薬務局におきましても、その点については非常な便宜をはかつております。医務局次長が申し上げましたように、歯科医師証明書も出しておるのでありますが、なお仰せの点、まことにごもつともでございますから、十分検討いたしまして、できるだけその線に沿いたいと存じます。
  23. 有田二郎

    有田(二)委員 最後にひとつお願いしたいのは、ただいまの医務局次長なり、薬務局長から御答弁のありました線を全国的にひとつ通達を出していただいて、証明書によつて開業ができ、開局ができるようにひとつおとりはからいを願いたいと思います。
  24. 福田昌子

    福田(昌)委員 ちよつとお伺いいたしますが、提案理由説明のところの終り書でございますが、「選考または特例試験」という、選考基準になりますのはどういうことなんでしよう。
  25. 久下勝次

    久下政府委員 従来選考基準となつておりますのは、医師または歯科医師免許外地において受けましてから、実際に医業または歯科医業に従事した経歴を見ることにいたしております。相当経験年数の長い方々につきましては、特別な選考でとりはからいができるというような扱いをしておるのです。もつともこれは少し限定がございまして、朝鮮総督あるいは台湾総督免許または地域を限られない満洲国免許というようなものを受けました人たちについてのみ経歴年数を見まして、それによつて医師または歯科医師国家試験予備試験委員が適当と判断した場合には、試験をやらずに免許を出すというような取扱いにしているのであります。
  26. 福田昌子

    福田(昌)委員 その経歴年数というのは、大体何年ぐらいですか。
  27. 久下勝次

    久下政府委員 原則としては五年といたしております。但し大学付属病院でありますとか、あるいは公立病院でありますとか、そういうようなところで、非常にりつぱな指導者のもとで修練が積まれておるというような場合には、試験委員判断によつて、三年くらいで認定しておるものもあります。
  28. 福田昌子

    福田(昌)委員 その三年以下の、経験年数の足りない範囲に入られた方に対しては、どういう処置をとられておりますか。
  29. 久下勝次

    久下政府委員 その方々には簡單試験を行うことによりまして、免許を與えるようにいたしております。
  30. 福田昌子

    福田(昌)委員 それは予備試験になるわけですか。
  31. 久下勝次

    久下政府委員 予備試験とは違うのでありまして、予備試験委員の行う試験というのが法律の名前になつておりますが、私ども簡單特例試験と申しております。特例試験は、内容的にも比較的簡単でありまするし、それに合格いたしますれば、ただちに免許を與えられるのであります。そういう意味におきまして、予備試験とは異なつております。
  32. 福田昌子

    福田(昌)委員 この特例試験は何回でも受けることができるのでございましようか。
  33. 久下勝次

    久下政府委員 それは二回だけ受けられるのでございます。
  34. 福田昌子

    福田(昌)委員 私の知合いで朝鮮から引揚げた医者でありますが、特例試験を実は残念ながら二回受けて失敗したのであります。そういう非常に気の毒な境遇にある方々がおられるのですが、そういう方々を救う道をお考えになつておりますか。
  35. 久下勝次

    久下政府委員 特例試験を受けまして二回とも落ちた方々につきましては、先ほどお話のありました予備試験受験資格を認めております。道は開かれているわけでございます。
  36. 福田昌子

    福田(昌)委員 二年ほど前に私がお伺いいたしましたときには、もうやむを得ないという久下次長からのお話であつたと思います。
  37. 久下勝次

    久下政府委員 昨年法律改正が行われまして、二回受けて落ちた方々には、予備試験を受ける道を開こうということになつているのであります。
  38. 福田昌子

    福田(昌)委員 予備試験の問題ですが、この予備試験は一体何回受けられるのですか。
  39. 久下勝次

    久下政府委員 昨年の八月二十四日、法律第二百四十六号によつて出ているのでございますが、やはり但書がついておりまして、「但し二回を超えて受験することができない。」というようになつております。
  40. 福田昌子

    福田(昌)委員 私どもはこういう受験資格に何回という制限をおつけになることを残念に思います。頭のよい人は一回でも通りましようし、頭の悪い人は何回受けても通らない、また頭が悪くなくても受験下手というものがありまして、なかなか通りにくい人があるのであります。そういう人のために、私はこういう特例試験または予備試験にこういう回数制限をおつくりになるということは非常に残念に思います。ことに民主主義の時代において、こういう受験資格回数制限をなさるということは残念に思いますから、どうか厚生当局におかれまして、この点英断をもつて回数制限を廃止していただくようお願いを申し上げます。いずれにいたしましても、外地におられましたお医者さんのために、こういう法律ができたということは、まことに同慶にたえないところでございます。私たちも終戦以来外地引揚げのお医者さんからいろいろと苦衷を訴えられまして、こういう法律が一日も早くできることを念願しておつたのでありますが、しかしただいま私が申し上げましたように、せつかくここまでできておりながら、なおかつこのせつかくの親心に非常な冷たいものを残しておるということは残念にたえないところであります。従つて、どうかそういう意味におきまして、私は受験回数制限をすることを撤回していただきたいということを希望するものであります。
  41. 今野武雄

    今野委員 政府委員にお伺いしたいのですけれども、この特例試験で今まで何パーセントくらい救われているのですか。つまり受験者選考または受験を願い出た者の何パーセントくらいか医者資格を得ているか、それをちよつとお聞かせ願いたい。
  42. 久下勝次

    久下政府委員 たいへん申訳ないのでありますが、今医師関係の方を持つてつておりません。歯科医師数字がございますから、御参考までに申し上げます。特例試験によりまして、合計で申しますると、受験者百八十八各中百三十名合格しております。パーセンテージから申しますと、六五・六%ということになつております。大体医師においても同様の数字であるというふうに御了承願つてけつこうであると存じます。
  43. 松永佛骨

    松永委員長 他に御質疑はありませんか——他に御質疑もないようですから、本案についての質疑を終局するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 松永佛骨

    松永委員長 御異議なしと認め、本案質疑は終局いたしました。  次に本案討論に入るのでありますが、本案討論に関しましては、別に通告もございませんので、これを省略し、ただちに採決に入るに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 松永佛骨

    松永委員長 御異議なしと認め、本案討論は省略し、これより医師法及び歯科医師法の一部を改正する法律案を表決に付します。本案原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。     〔総員起立
  46. 松永佛骨

    松永委員長 起立総員 よつて本案原案の通り可決いたされました。  なお議長に提出する報告書の作成に関しましては、先例により委員長に御一任願いたいと存じますから、御了承願います。
  47. 松永佛骨

    松永委員長 次に覚せい剤取締法案議題とし、質疑を続けたいと存じます。
  48. 丸山直友

    丸山委員 前回質疑を申し上げましと思います。すなわち第二十四條の2に「前項の場合において、覚せい剤製造業者であつた者、覚せい剤施用機関の開設者であつた者又は覚せい剤研究者であつた者は、指定が効力を失つた日から三十日以内に、その所有する覚せい剤を覚せい剤製造業者、覚せい剤施用機関又は覚せい剤研究者であるものに譲り渡さなければならないということがきまつておるのであります。ところが譲り渡す方の義務規定がございまして、これを買い受ける方の側の製造業者あるいは施用機関あるいは研究者の方に、買い受けなければならない義務規定は何もきまつておりません。従つて、これを無理に買わなければならぬことはないのでございまするから、いくら売りたいと言うても、この三つの業態の中に買うものがなかつた場合においては、そのものの処分は非常に困難を感ずるのであります。ことにこの法律におきまして、販売業者というものが認められておりません。現在の販売業者、つまり薬を売つておられる、いろいろな資格を持つておられる方々の現在の手持数量も相当あると考えます。この條文の面にはつきり出ておりませんが、それを所有をすることを許されない業態なのでございまするから、これも当然譲り渡さなければならぬのだと考えております。しかるに譲り渡す意思があり、いくら努力しても、買う人間がなかつた、それは何らの悪意もないのであります。しかもその品物は自分が持つ権限を持つておつたものであります。しかしこの法律が新しくできたために、その権限がなくなつて来るものであります。つまり何らの悪意がなくて、しかも自分の財産の一部分であるそのものを、同條の3によりまして、三十旧以内に売ることができなかつた場合には、当該職員の立会いを求めて、その当該職員の指示を受け、当該覚醒剤を処分しなければならない。その処分の内容につきましては、先般お伺いしたところにおいては、国庫が没収することもあるでございましようし、あるいは焼いて捨ててしまうということもあるのでございましよう。いろいろな処分の方法が考えられるわけであるということなんであります。その処分された場合に、処分を命ぜられた場合に、その損害に対する補償規定がこの條文の中に何ら盛られておらないのであります。その点について質問いたしましたところ、参議院法制局の御見解は、そういうふうなもので手元に残つたものは、不正にこれが使用せられる危険があるから、不正所持と同様にこれを没収するというようなことが考えられるのである、そういう立法の趣旨である、こういう御答弁があつたのであります。それを持つておる者は、正当な行為で自分の財産権をここに持つておる者である。しかも善意をもつてこれを処分しようと努力したものである、しかし不可抗力によつてこれが売れなかつたという者に対して、悪意をもつてつておる不法所持者と同様にこれを取扱うという立法の精神であるということを承りますと、これはその者の基本人権に関係するものであります。これは憲法に違反する立法精神だと考えます。はたして提案者は、そういうお気持でこの立法をなさつたのであるかどうか、提案者から一応その点の御返事を願いたいのであります。
  49. 中山壽彦

    ○中山参議院議員 ただいまの丸山委員からの御質問は、まことに適切な御質問でありまして、この御質問に対しまして、先般今枝部長からの答弁がありましたが、この機会に私から補足して申し上げておきたいと思います。指定を喪失した場合に、保有されておりまする覚醒剤の処分につきましては、保有者に迷惑のかかりませんように処理いたしたいと存じております。しかしながら、万一保有者に損失の起つたような場合におきましては、これを補償することのできまするような予算措置について、今後十二分に努力をいたしたいと存じておりまするから、この点において御了承願いたいと存じます。
  50. 丸山直友

    丸山委員 ただいま提案者から、先般の法制局の御意見を訂正せられると解釈できる御答弁を承りまして、事実上実害がないのではないか、かように考えまして、この点に関して私は安心いたしたのでございます。ありがとうございました。
  51. 有田二郎

    有田(二)委員 それに対する参議院法制局の御所見を承りたいと思います。
  52. 今枝常男

    ○今枝参議院法制局参事 先般申し上げましたことが、あるいは多少言葉が適当でなかつたかと思いますが、指定期間経過後は不法所持になるというふうには、実は考えていなかつたのでございます。それでただいま提案者の中山先生から御答弁のありましたことで、けつこうと存じております。
  53. 有田二郎

    有田(二)委員 参議院の法制局第一部長意見としては、中山参議院議員の今の御答弁でいい、かように解釈をいたしていいのでありますか、もう一度お伺いいたします。
  54. 今枝常男

    ○今枝参議院法制局参事 さようであります。
  55. 有田二郎

    有田(二)委員 さらに薬務局長にお尋ねいたしたいのでありますが、今の提案者説明によりまして、この法の運営に対する御意見をわれわれ聴取したのでありますが、薬務局長としてのこれに対する御所見を承りたいと思います。
  56. 慶松一郎

    慶松政府委員 薬務局といたしましては、でき得る限りこの指定がなくなりました製造業者あるいは施用者あるいは研究機関の持つておりました覚醒剤の譲渡につきまして、まず十分なあつせん努力をいたしまして、なおかつこれによりましても、この点の解決ができませんものにつきましては、その所持者に迷惑がかかりませんような措置を講ずることに十分努力いたしたいと存ずる次第でございます。
  57. 有田二郎

    有田(二)委員 国会において覚醒剤のかような法案が出ておるということは、全国の薬局においては十分知られていない問題であると思います。この法案が本国会を通過いたしまして、いよいよ法律化されますと、今の丸山委員のいろいろな御心配の点も出て来るかと思うのでありますが、薬務局においてでき得る限り全国にひとつ努力をしていただいて、丸山委員の御心配のないように、万遺漏ないように最善の努力お願いいたして質疑を終る次第であります。
  58. 松永佛骨

    松永委員長 ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  59. 松永佛骨

    松永委員長 それでは速記を始めてください。  他に本案についての御質疑はありませんか。——他本案についての御質疑もないようですが、本案についての質疑を終了するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 松永佛骨

    松永委員長 御異議なければ、本案質疑は終了したものと認めます。  次に本案討論に入ります。金子委員
  61. 金子與重郎

    ○金子委員 現在一部社会におきまして、この覚醒剤のために非常な弊害をもたらしておることは、天下周知の事実でありまして、そのためにこの覚醒剤に対して取締りの法律をつくろうという趣旨に対しては、賛成するものであります。しかしながらこの法案の内容を見ますると、その度が非常に強度に過ぎはしないか。と申しまするのは、すべてのことが、たとえばヒロポンのようなものにいたしましても、それが悪いものであるにいたしましても、存在するのには存在するような一つの環境なり自然的な要求があるということも、ひとつ認めなければならないことなので、事のよしあしは別でありまして、現実にそういう社会があるということだけは認めなければならない。そういう場合に、その法律が強度に過ぎますると、かえつて地下から地下へその犯罪なり、好ましからない行為が蔓延するということも、世の中にはたくさんありますので、従つてこの法をどの程度にどう適用するかということが、一番の問題になつて来るのだと思うのであります。従つてこの法律は、一応今の状態を見るに忍びないためにつくりましても、この法律の施行にあたりましては、常にこの影響というものを監視いたしまして、そして朝に、実際の社会の影響力を勘案いたしまして、実際の社会に適応するように改善して行く、その第一歩としてこの法案を通す、こういう見解のもとに賛成したいと思います。どうぞよろしくお願いします。
  62. 松永佛骨

  63. 今野武雄

    今野委員 私は、ヒロポンやその他の覚醒剤が弊害をもたらしているということは、よく承知しているのです。しかしながら事今日に至つてこういう法律をこしらえて、それが有効にさしとめられるかどうか、これが禁止が出たという名目だけになりはしないか、こういうことを非常に恐れるのであります。遠い例をあげますと、アメリカで禁酒法ができた、そのときに、やはりかえつていろいろな犯罪がそれに伴つてつて来ておるというような実例もあるわけであります。ヒロポンなどの場合には、特にこれが酒と違つて、犯罪的に使われておる場合が非常に多いのです。従つてそれがやはり地下にもぐつた場合には、さらに大きな弊害がかもし出されはしないか、こういうことを恐れるものであります。そればかりではございません。麻薬取締りや何かの場合においても、非常な行き過ぎのある例を私自身知つております。立川の少し向うの昭和町にある悦来莊という寮などで、午後の九時ごろから麻薬取締官が警官と一緒に押し寄せで米で、麻薬があるかもしれないという嫌疑でもつて土足でふとんの上に踏み込んだ。ちようど雪の降つたあと、道は泥棒となつておりましたかつ、どろぐつでもつて踏み込んで来し、女の人たちをシミーズ一枚でもつて三時間ないし四時間もそこへ立たせしおいて、あらゆる部屋を調べた。実にひどいことをやつた。それで実際出て来たものは、ほんとうにわずかの——医者さんが二人おつたのでありますが、そのお医者さんのところに麻薬が、しかも古いのがごくわずかあつた。泰山鳴動ねずみ一匹、そのねずみも犯罪的なねずみではなかつた。こういう実例があるのでありまして、こういう取締りの行き過ぎというようなことが、最近の警察などの行き方から見て、非常に多くなつている。そういうこともからんで、こういう法律が悪用されはしないか。さつき丸山委員も、憲法に違反するところはないかと言われましたが、そういうようなことが、単に処分という問題とからむだけでなくして、取締りの面においても行われる危険がある。そういう意味においても、どうも私どもはこの法案に賛成しがたいのであります。なおこの問題については、もつと根本的な救治方法を講じなければならないので、こういうように新聞や何かにあおられて、そして反射的にこういう法律をつくるということに対しては、その弊害の面を恐れるがゆえに、私は反対しなければならないのでございます。
  64. 松永佛骨

  65. 福田昌子

    福田(昌)委員 覚醒剤の濫用によつて、いろいろな弊害が起つておることは、天下周知の事実でございまして、一日も早く覚醒剤に対する何らかの取締法が出されなければならないということは、みな考えつておつたところであります。今日この法案が出たということは、時期的に見てむしろ遅かつたということが言えるのでありまして、法案が出たそのこと自体につきましては、私は大いに賛成であります。しかしこの法案によつて、覚醒剤の濫用、弊害が全面的に取締れるかどうかということを考えてみますと、まことに多くの疑義なきを得ない点があるのであります。ヒロポン一つをとつてみましても、青少年の犯罪、またおとなの犯罪も、このヒロポンの中毒につながる点がたくさんありまして、ヒロポンの濫用そのものから悪い環境が生れて行くというように、悪い環境、犯罪というものは、こういつた覚醒剤の濫用ときわめて密接な因果関係が存在しております。こういうような観点からいたしまして、私は覚醒剤を取締ると同時に、また特定の環境に対しては、治安上から一層熱心にその環境の善導をすることが望ましいと思うのであります。またさらに、すでに中毒になつているところの覚醒剤の中毒者に対してうもつと保護的な措置をお考えいただきたいと思うのであります。さらにまた、今今野委員ちよつと言われましたように、こういつた法律ができると、えてして官憲の権威が行き過ぎまして、非常な非民主的な態度においてこの法律が運用されるのであります。どうかこの取締りに当られます官憲の側におかれましては、そういつた非民主的な態度においてこの法律を運用することがないように、嚴に戒めていただきたいのであります。このように運営の民主化を徹底するように私は切に要望したいのであります。  こういうような希望條件を付しまして、本法案に賛成いたします。
  66. 松永佛骨

    松永委員長 以上で討論は終局いたしました。これより覚せい剤取締法案の採決に入ります。本案原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立
  67. 松永佛骨

    松永委員長 起立多数。よつて本案原案の通り可決いたされました。  なお議長に提出する報告書の作成に関しましては、先例により委員長に御一任願いたいと存じますから、右御了承を願います。  暫時休憩いたします。     午後零時三十二分休憩      ————◇—————     午後二時十五分開議
  68. 松永佛骨

    松永委員長 休憩前に引続き、会議を再開いたします。  内閣提出参議院送付にかかる医師法歯科医師法及び薬事法の一部を改正する法律案議題に供します。本案は当委員会におきまして、かねて予備審査中でありましたが、今二日参議院において修正議決の上本院に送付せられたのであります。まずこれについて政府説明を求めます。保利厚生大臣臨時代理。
  69. 保利茂

    ○保利国務大臣 ただいま議題となりました医師法歯科医師法及び薬事法の一部を改正する法律案につきましては、先般その提案理由を御説明いたしたのでございますが、この議案の先議をせられました参議院において愼重御審議の結果一部の修正を見ましたので、この際あらためて御説明をいたしたいと存じます。終戰国民医療の問題につきましては、医療の向上のため多くの施策がとられ、相当見るべきものがあつたのでございますが、明治以来懸案とされておりました医薬制度につきましては、いまだその解決を見るに至つていなかつたのでございます。一昨年アメリカ薬剤師協会使節団が来朝いたされ、関係者に対し医薬制度の合理化について勧告が行われ、その後医師歯科医師及び薬剤師の三団体からなります三志会におきまして、進んで医師歯科医師及び薬剤師のおのおのの専門分野におきまして、相互に協力すべくいろいろ御協議が行われたのでございますが、残念ながらこの協議によつてその結論を得ることができなかつたのでございます。  そこで政府医師歯科医師薬剤師の三団体の代表者及び医療を受ける側の代表者及び学識経験者からなります臨時診療報酬調査会及び臨時医薬制度調査会を設けまして、診療報酬及び医薬制度に関し諮問をいたしましたところ、両調査会は昨年八月から半年の長きにわたりまして審議の結果、それぞれ答申をいたされたのでございます。  政府は、右の答申に基きまして医師歯科医師及び薬剤師についてその專門分野をおのおの明確化いたし、それぞれの分野において国民医療の向上に寄與し、公共に奉仕するようにするとともに、一方国民のこれに対する理解あるいは関係施設の整備の実情を考慮いたしまして、その実施については、漸進的に行う方針のもとに、医師法歯科医師法及び薬事法の一部を改正することといたした次第であります。  次にその内容につきまして御説明申し上げますと、まず医師法及び歯科医師法につきましては、それぞれその第二十二條及び第二十一條を改めまして、医師歯科医師は治療上薬剤の投與が必要参と認めたときは、処方箋を交付しなければならないことといたし、例外として、省令の定めるところにより処方箋を交付することが治療上特に支障があるとされる場合には、これを交付しなくともよいようにいたしたのであります。  次に薬事法につきましては、その第二十二條を改め、薬剤師による調剤の原則に対し、例外として患者または現にその看護に当つている者が特にその医師または歯科医師から薬剤の交付を受けることを希望する旨を申し出された場合、並びに省令の定めるところにより、診療上特に必要があるとされる場合及び薬局の普及が十分でない地域で診療する場合には、それぞれ医師または歯科医師が自己の処方箋によりみずから調剤することを認めたのであります。  なおこれらの場合における省令の制定及び改正については、学識経験者からなる審議会の意見を聞いた上で行うことといたしたのであります。  さらに第二十二條の改正に伴い、薬局における調剤は正当な事由がなければ、これを拒み得ないこと及び薬剤師は、医師歯科医師または獣医師の処方箋によつて調剤すべきことを明らかにしたのであります。  以上法律案の内容について御説明したのでありますが、さきに申し上げましたように、これが実施につきましては諸般の準備もありますので、本改正規定は昭和三十年から実施することといたした次第であります。なお参議院において修正されたのは、処方箋の交付に関し、除外例を設けたこと、患者等が特に希望した場合、医師または歯科医師が調剤することができるようにしたこと、及び施行期日を昭和三十年からとしたことであります。以上この法律案提出理由を御説明いたしましたが、会期切迫の折、非常に恐縮に存じますけれども、何とぞ慎重御審議の上議決をいただきますよりにお願い申し上げます。
  70. 松永佛骨

    松永委員長 次に本案についての審査の必要上、参議院厚生委員長の山下義信君、同じく厚生委員石原幹市郎君、谷口弥三郎君の三君を、それぞれ参考人として出席を願い、参議院厚生委員会における本案の修正等について御意見を承りたいと存じますが、参議院厚生委員長山下義信君、厚生委員石原幹市郎君、同じく谷口弥三郎君の諸君に参考人として出席を求めるに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 松永佛骨

    松永委員長 御異議なしと認め、そのように決します。ただいま山下義信君を除く谷口君、石原君の両参考人の方々も見えておられますので、ただちに通告順により質疑の形式で御意見を承つて行きたいと存じます。通告順により、高橋等君。
  72. 高橋等

    ○高橋(等)委員 医薬制度の問題は、国民医療の機会均等をはかる見地から、国民が医療に関していかなる便利を持ち、あるいは不便を持ち、あるいはまたその負担におきましてこれを考慮して、低廉良質の医療を與えることを目的として、私たちは今回の改正につきまして事前審議をいたして参つたのであります。そこでまずお伺いを申し上げたいのでありまするが、このたびの改正によりまして、国民の医療費が現在よりふえるような心配はないか、また、あるいは医療費を低廉にできるのかどうか、これらの点につきまして大臣より概括的な御答弁を承りまして、あとは政府委員から詳しく御説明を伺いたいと存じます。
  73. 保利茂

    ○保利国務大臣 医薬制度の問題で一番国民の関心の焦点になつております点は、要するに医療費がこれによつて著しく上るようなことはないかという、御質問の点にほとんど集約されていることである、その点はまつたく私どもも感じておるわけでございますが、この国民医療という重要な関係からいたしまして、現在のこの医療費に著しき変動を持ち来するということは、これはゆゆしき問題でございますから、今後いろいろの手続を経て定まつて行くことでございますけれども現状とあまり変化のない医療費をねらつて諸般の準備を進めて参りたい、こういうふうに考えております。
  74. 久下勝次

    久下政府委員 医薬分業をやりますことによる医療費への影響でございますが、ただいま大綱は大臣から申し上げました通りでございます。まず最初に申し上げておきたいと思いますることは、現在の法制の建前から申しますると、私どもの責任におきまして医療費が決定できまするのは、社会保険の医療費でございます。次に直接私どもが管理いたしております国立病院におきましても、これと同様の措置がとれるのでございますが、その他のいわゆる公的医療機関につきましては、医療法によりましてその医療費の基準を定めることができることに相なつておるのでございます。以上のほかのいわゆる自由診療につきましては、制度的には何ら医療費を政府立場におきまして統制すると申しますか、きめることができないことに相なつておるのであります。さようなことを前提として御了承をいただきまして、以下申し上げる数字的なことをお聞きとり願いたいと思います。医薬分業をかりに完全に行うと仮定いたしましても、これによつて影響のありまするのは、社会保險で申しておりますいわゆる薬治料でございます。薬治料は最近の実績によりますると、一日一剤当り二十三円三十九銭でございます。これに使います薬品の原価は一日一剤につき平均五円十三銭ということに相なつております。もちろん薬品につきましては、その損耗率を見なければなりませんので、これをかりに一割ということにいたしますと、五円六十四銭か主要薬品の原価であるということに相なるのであります。そのほかに調剤におきます機械器具等のいわゆる調剤に要する経費が二円二十八銭に相なるのであります。それを差引きますと、いわゆる診察料的な経費が十三円七十五銭ということになり、調剤手数料は一円七十二銭ということに相なるのでございます。先ほど申し上げました通り、医師歯科医師が全面的に調剤しないということになりますると、これだけのものが医師の総技術料から減ずることになるわけでございます。しかしながら、今回の参議院の修正もございましたので、医師が調剤をしなくなる部分はそう広くない結果に相なるわけであります。ただいまのところ、それを数字的に申し上げる資料を持ち合せておらないのでございますが、かりに今申し上げました一圓七十二銭という調剤手数料、これが全部医師の收入から減るということになりましても、医療費に対する割合から申しますると、一・六%ということになるのでございます。くどいようでありますが、政府の当初の案によりましても、さらにはまた参議院における修正案によりましても、ますます医師が調剤をしなくなる部分が少くなるので、その一・六%という率は相当大幅に低くなるものと見てさしつかえないと思うのであります。かような筋合いでございまして、国民総医療費に対しまする考え方から申し上げますると、どういう数字を申し上げてよいかわかりませんけれども、総医療費の一・六%の何分の一かが医師の收入より減ずるという結果になるのでございます。私どもといたしましては、現在のわが国の経済の実情並びに社会保険の現状等を勘案いたしましたときには、総医療費の面におきましては、できるだけ現状に合うような程度において、全体の振割りをきめていただかなければならないというふうに考えておりますので、大した動きはないようにできるものと考えておる次第であります。
  75. 高橋等

    ○高橋(等)委員 医療費は現状と大差ないような扱いができるということで一応私も安心をいたしましたが、なおその点に十分なる御留意をお願いいたしておきます。  さらに健康保險あるいは国民健康保険の経済に対しまして、この改正案が実施せられまする場合に、悪影響を及ぼすようなことがあるかないか、この点につきまして政府当局の御答弁お願いいたしたいと思います。
  76. 久下勝次

    久下政府委員 先ほど申し上げましたように、厚生省といたしまして直接関係をすることができる問題であり、同時にまた相当影響の大きい問題でありまするのは、私から申し上げるまでもなく、社会保險の診療報酬をいかにきめるかということになろうかと思います。御承知の通り臨時診療報酬調査会の答申によりまして、あの方針で医療費の再計算と申しますか、あるいは新医療費体系と申しますか、これの立直しを考えて行きます場合においては、私どもとしては、当然まず第一に社会保険に対する影響というものを考え数字を出して行かなければならないものと思つておる次第であります。これは先ほど原則的に申し上げました数字と同様に、この問題に大きなる影響を與えるようでありましては、実現不可能になると考えておりますので、十分留意をいたす考えでおるのでございます。
  77. 高橋等

    ○高橋(等)委員 次に修正案につきまして、参議院の方の御説明お願いいたしたいのであります。  修正案の「第一條中第二十二條の改正規定を次のように改める。」その第二十二條に、「医師は、患者に対し治療上薬剤を調剤して投與する必要があると認める場合」という文句があります。政府原案によりますると、「医師は、診療上患者が薬剤の交付を受ける必要があると認める場合」こう書いてあるのであります。歯科医師に対しましても同じ規定があるのでございます。この書き方は異なつておるのでございまするが、内容は同じものであるかどうか、またどういう場合を指さしておるのか等につきまして、これは詳しく御説明を伺つておきたいと思います。
  78. 谷口弥三郎

    ○谷口参議院議員 第二十二條の「医師は、患者に対し治療上薬剤を調剤して投與する」、政府原案には「診療上」と書いてあつたのでございますが、それを特に「治療上」ということにかえました理由は、診察をします場合に、たとえばレントゲンの撮影をいたしまして胃の状況を見てもらいたいというような場合に、造影剤を飲まして、それからレントゲンを用いるというようなことがあるのでございます。そういうような場合は、どうせ診察の関係でもあるからして、それでこれは「治療上」というようにしておけば、そういう場合は容易にレントゲン診断などもできるという関係、またこれを処方箋を用いまして一々造影剤を調製してもらうというのでは都合が悪いというような関係から、「治療上薬剤を調剤して」というようなぐあいにしてかえました次第であります。  それから次に前の文章では「診療上患者が薬剤の交付を受ける必要があると認める場合」となつておりますのを、特に「薬剤を調剤して投與する必要があると認める場合」というようにかえましたのは、薬剤を調剤して渡すというのと、薬剤そのまま渡すというのはほとんど同じでございますが、幾らか違う場合があるのでございます。たとえば錠剤のごときものを與えるにしましても、やはり薬剤を投與ということになれば、錠剤を與えることはできぬことになりますので、その錠剤くらいは別に処方箋を書く必要もないというので、薬を調合して與える場合のみをさして「薬剤を調剤して投與する」というふうに改正をいたしたのでございます。
  79. 高橋等

    ○高橋(等)委員 そういたしますると、私もしろうとでよくわからないのですが、たとえばジアスターゼというようなものをそのまま與えるというような場合には、これは薬剤を調剤して與えるのではない、こういう御見解になりますか、もう二度その点をお伺いしておきます。
  80. 谷口弥三郎

    ○谷口参議院議員 單味の場合でも、あるいは劇薬などで秤量してやらなければならぬというような場合には調剤に入る。調合と申しますのは、二つ以上の薬というのがこれまでの慣例になつておるのです。
  81. 高橋等

    ○高橋(等)委員 もう少しはつきり御説明願いたいのです。あとの方で言われたことは、大分ぼやけてわからないのですが、いわゆる秤量をする必要があるものについては、これは薬剤を調剤すると解釈いたしてよろしいのですか、二種以上混合しなければ調剤と言わないのか、これは非常に重要な点だと思いますので、お伺い申し上げます。
  82. 谷口弥三郎

    ○谷口参議院議員 ただいま申しましたのは、二種以上のものを合せまするような場合、または一種でも秤量をしなければならぬというような場合を調剤というふうに言つておるのでございます。
  83. 高橋等

    ○高橋(等)委員 政府委員にこの点をお伺いいたしたいのでありますが、政府の方のこの点に対する條文の書き方に対しての御解釈を承りたいと思います。
  84. 慶松一郎

    慶松政府委員 まずその解釈をいたします前に、調剤ということははたして何であるかということを考えていただかなければならぬのであります。調剤ということは、つまり処方箋に基いて薬をととのえることと存じます。それを敷衍して申し上げますと、調剤につきましては、一般的に考えますと、これは薬剤を調製するあらゆる場合を含むことになる次第でございますが、しかしながら法律の上におきましては、調剤というものは、特定の人の特定の疾病の治療に役立たせるために薬剤を調製することを意味しておると存じます。従いまして、公衆すなわち不特定、多数人の疾病を治療するために薬剤を調製するということは調剤に入らない、すなわちこれは薬の製造ということになると存じます。また薬事法におきまして調剤と申しておりますのは、販売または授與の目的で行う調剤を対象といたしております。そしてこれを薬剤師に行わせるように規定しているのでありまして、医師とかあるいは歯科医師が患者に直接使用するために薬剤を調製すること、たとえばのどに薬を塗るとかいうような場合の薬ですが、これは別にその中に含めておらないと存じます。なお従来調剤という言葉の解釈につきましては、大正六年三月十九日の判決に示されました大審院の見解によつているのでございますが、それによりますと、「調剤とは、一定の処方に従い一種以上の薬品を配合し或いは一種の薬品を使用し特定の分量に従い特定の用法に適合するごとく特定の人の特定の疾病に対し薬剤を調製すること」こうなつております。従いまして一種の薬品でございましても、処方に基いて患者に與える場合は調剤となるのであります。しかしながらこれをさらに敷衍して考えてみますと、調剤というものはただいま申し上げましたように、特定の人の特定の疾病を治療するために薬剤を調製する行為をさすと存じます。従いまして、それは秤量とか、あるいは混合とか、溶解といつたような技術行為を指すものと解釈いたすのでございます。なお薬剤をあらかじめつくつておくような場合がございます。たとえば処置のために、ヨードチンキを傷に塗るためにつくつておくとか、あるいはのどに塗るためのルゴール液をつくつておくというようなことは、これは販売または授與のための調剤ではないのであります。しかしながらもしも販売または授與の目的のために胃散をあらかじめつくつておくとか、あるいは錠剤をあらかじめつくつておくということは、これは調剤とみなすべきであると存じます。従いまして大体この改正法案にございますところの「薬剤を調剤して投與する必要があると認める場合」云々は、政府原案にございますところの「診療上患者が薬剤の交付を受ける必要があると認める場合一と同意味であると解釈いたす次第でございます。
  85. 高橋等

    ○高橋(等)委員 ちよつと谷口さんの御見解政府見解が違つております。その違つておりますのは錠剤等に関する問題と思いますが、今大審院の判決まで御引例になつて説明でございますけれども、この二十二條を読む上におきまして調剤の定義をはつきりしておきませんと、これは将来非常ないざこざが起るのだろうと思いますので、もう一度谷口さんのお考えを伺わせていただければ非常に仕合せと存じます。
  86. 谷口弥三郎

    ○谷口参議院議員 私の申しましたのは、これは先日参議院におきまして各大学の学長などに証人に来ていただきまして、医師に調剤能力があるかどうかということを聞いたのでありますが、そのときの調剤という問題についての意見参考として申しておるのでありますが、ただいま申しましたように二種以上の薬剤を合せる場合、または一種の薬であつてもこれを秤量する、あるいはただいま薬務局長が申しましたように溶解するというような処置をしてやるのを調剤と考えておるのであります。
  87. 高橋等

    ○高橋(等)委員 私が一人であまり時間をとるのもどうかと思いますし、この問題はまた別の委員から後刻お話があると思いますので、私からはこれくらいにしておいて次に移らしていただきます。  次に同じ條文の修正案の中に処方箋を発行しない場合を規定いたされております。それは「患者の治療上特に支障があるとされる場合」に省令で定めるとなつておる。この患者の治療上特に支障ある場合の省令の内容を詳しくお聞きしたいと思うのであります。これは谷口さんからお話を承りまして、政府の方でももしお考えがあれば一緒に承ればけつこうだと思います。
  88. 谷口弥三郎

    ○谷口参議院議員 第二十二條の但書の通り、処方箋を交付することが患者の治療上特に支障のある場合と申しますのは、たとえば処方箋の内容を見まして患者がそれを知りましたためにいろいろの支障が来る場合、内容を知つたために来る場合がまず第一番にあげられる場合であろうと存じます。その場合はどういうことかと申しますと、患者はむろん十分な医学的な考えのない方が多いものですから、それで薬の名前を聞きましたために、自分はこういう病気になつておるかといつて非常に恐怖あるいは不安または誤つた断定を来すような、例を申しますと癩病の患者が大風子油というのを処方されたために自分は癩病だ、あるいは自分の家族の者が癩病になつておるということを見まして非常に恐怖を来し、近い例ではこれを見ました結果親子四人が心中をしたというような例がありますように、内容を知つたために来る場合、または暗示療法をやろうと思つておりますような場合には、内容を知らせると非常に患者に困つた状況を起します。たとえば催眠剤でございますが、催眠剤のごときは、多くは習慣性を持つものであります。それでありますから、医者といたしましてはよく、この中には催眠剤が入つておるということを特に強調してやるが、実際は催眠剤の分量を減らしましたり、または患者が非常に信用する場合は、催眠剤が入つておりませんでも、実際に眠り薬が入つておると思つてその薬を飲んで眠る場合がたくさんにあるのでございます。そういうような場合を考えております。なおそのほか診断がまだ不十分で、不確定で、病名がはつきりいたしませんとか、または診断をするために薬を用いてみたりというような場合、または救急の場合、例をあげますと、たとえばねこいらずを飲んで医者のもとへかけつけました場合に、医者はさつそくそれによく硫酸銅とかいうのを水剤にして飲ませる。それを飲ませますと、解毒いたしますと同時に嘔吐を起して来まして、そのねこいらずをなおすことができる。これがもし処方箋を出したりして時間がかかつたりしますと、そのねこいらずはずつと中の方に入つてつて、処置が遅れるというような場合があるのでございます。または病気、特に伝染病などを早期に発見しますのには、どうしても患者に処方箋を與えずに、医者が直接にやつておいた方が早期発見にもなる。処方箋をやつておきますと、よくその薬だけをいつまでも患者が飲んでおる。そして時機を失する。ことに腸チフス、ああいうものの流行を起すというのは、よくそういうような結果であると存ずるのであります。また市場に販売しておりませんような薬、言いかえますれば最近アメリカにできております、あのリヨーマチスの薬などは、ある医者は持つておる、しかし普通の薬店にはないというような場合があるのであります。特に本日通過させていただきましたヒロポンのようなものでも、処方を書きましても、薬店にはこれがないというような状況でありますから、そういう場合を考えておるような次第であります。
  89. 高橋等

    ○高橋(等)委員 おつしやるような場合は、薬店にないと思われる場合ですか。
  90. 谷口弥三郎

    ○谷口参議院議員 そうです。
  91. 高橋等

    ○高橋(等)委員 それではちよつと政府の方へお伺いいたしますが、こういう省令は各場合を相当限定しなければならない性格のものだろうと私は考えるのですが、はたしてそういう省令をつくれますかどうか、一応それを伺わせていただきます。
  92. 久下勝次

    久下政府委員 私どもの方といたしましては、この但書の規定は、その規定全体の精神から申しまして、そう広いものではないというふうに考えておりものであります。いろいろ今谷口先生から御引例がありましたけれども、これらの点につきましては、私どもとしてはただいまのところ、どれとどれというような限定的な意見は何ら持つておらないのであります。それをきめます場合には、当然改正案にございますように、専門の方々の専門的な御意見を十分拝聴いたしまして、具体的にきめて行くべきであり、またきめられると思つておるのでございます。
  93. 高橋等

    ○高橋(等)委員 この省令は私は非常にむずかしいのではないかという感じを持つておりますが、これも将来いろいろな問題を残さないように、できるだけ限定された、わかりいいものをおつくりくださるように御努力お願いしておきます。次にいろいろの問題におきまして、修正案にも、あるいは政府原案の中で修正されない部分にも、審議会というものがあるのであります。この審議会の構成につきまして、どういうような内容でおつくりになるお考えであるか。これは参議院の方の御意見を一応伺わせていただきたいと思います。
  94. 谷口弥三郎

    ○谷口参議院議員 ここに出ております審議会でございますが、私どもは実は昨日も当局にお願いをしたのでございます。政府でよくつくられておる審議会と申しますものには、その構成がどうもおもしろくなくて、ある一方にばかり多数の人々が入つておりますから、特にこういうような問題の審議会につきましては、少くとも半数以上は医療関係者を入れて——もちろん医療関係者のうちにも学識経験者などを入れるのでございますが、医療関係者を特に半数くらい入れる審議会にしてもらいたいという要望をして、賛成決議をしたような次第でございます。
  95. 高橋等

    ○高橋(等)委員 医療関係者といいますと、医薬両方面ということに解釈をいたします。  そこでこの審議会につきまして政府に要望いたしておきますが、これをおつくりになりまする場合には、十分公平なる意見が民主的に行われるというところに重点を置いて、審議会のメンバーをお選び願いたいと存じます。  なお審議会がいろいろと各條文にありまするが、これは単一の同じ審議会で扱わすのか、または別の審議会を一一おつくりになるのか、これをひとつ伺わせていただきたいと思います。
  96. 石原幹市郎

    ○石原参議院議員 これは医師法の改正條文にも、歯科医師法の改正條文にも、また薬事法の改正條文にも、別に定める審議会というのが出ているのでございますが、われわれ修正案をつくりましたものの希望といたしましては、いずれ審議会設置に関する法律等ができまして、審議会が設けられると思うのでありますが、そのときは一本の審議会でこれを審議してもらえるように、われわれ立案者としては考えておる次第であります。
  97. 高橋等

    ○高橋(等)委員 次に修正をせられておらない部分につきまして、政府原案の第二十二條の二のところに「調剤に従事する薬剤師は、調剤の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。」この「正当な事由」とはいかなる事由を指さすのか、この点を詳しく御説明願いたいのであります。
  98. 慶松一郎

    慶松政府委員 この正当な事由と申しますことは、医師法歯科医師法に現に規定されております場合の正当な事由と同様に考えていただけばいいわけであります。なおこの点につきましては、かつて薬剤師法にも、その通りの條文があつたのでございますが、その点同様にお考えいただいてけつこうだと存じます。なおこの法律によりますれば、販売または授與の目的でする調剤権能というものを、原則として薬剤師にだけ認めておるのでありますから、従いまして薬剤師が自分の都合だけでかつてに調剤の求めに応じないとしますれば、それによりましてこうむるところの患者の不便あるいは迷惑というものは、たいへんなことであります。その意味におきまして、公衆保健の見地からいたしまして、薬剤師に対しまして応需の義務を課しておるのでございます。従つて正当な事由の解釈は、きわめて厳格でなければならないと存じます。すなわち薬価の支払いが悪い人だから調剤をしない、そういうようなことは、もちろん正当な事由にはならない次第でございます。
  99. 高橋等

    ○高橋(等)委員 もう一つ、これは非常に重要な問題でありますから、ほかの法律と応じように解釈すればいいという、その解釈をここで一度はつきりお話を願いたいと思うのであります。
  100. 慶松一郎

    慶松政府委員 すなわち正当な事由とは、これを具体的に申しますれば、薬剤師がおらないとか、あるいは薬剤師が病気であるとか、そういうことは正当な事由になると存じます。しかしこれを実際に行いますには、今回の法律改正によりまして、調剤のために薬局をおとずれる人々も、現在に比べまして非常にふえる次第でありますから、従いまして必ず薬剤師は常時薬局におらなければならない、あるいは夜間といえども調剤を求められましたならば、当然起きなくてはならない次第であります。しかしながら実際問題といたしましては、薬剤師といえども外に出ることもございますし、また病気のこともございますし、あるいは旅行中のこともございますでしよう。そこでこれを実際に行いますには、地域によりましては薬局の当番制というようなことも諸外国等において考えられておる次第でありますから、そういうこと等によりまして、昭和三十三年から実際に施行されます地域において、調剤の求めに対しましては、その一円の薬局におきましては必ず調剤をしてもらうことができる、こういうような措置をとることができると存ずる次第であります。
  101. 高橋等

    ○高橋(等)委員 非常にこまかくなつて恐縮ですが、たとえば医師が処分箋を発行した。ところがその処方が誤つておるかどうかというようなことを薬剤師が認定をして、もし誤つておると思い、あるいはあぶないと思うものは、これを拒むことができるというようなことも含まれておるかどうか。その点をちよつとお話願いたい。
  102. 慶松一郎

    慶松政府委員 改正法におきまして、も、第二十四條の三項におきまして、「薬剤師は、処方せん中疑わしい点があるときは、その処方せんを交付した医師歯科医師又は獣医師の承諾がなければ、処方を変更し、又は修正してはならない。」こういうことがございますので、従いまして、疑わしい場合におきましては、当然薬剤師はその処方箋を発行いたしましたところの医師歯科医師もしくは獣医師に対しましてただす次第でございます。従いまして、そういう際には、たとい処方箋が出ておりましても、もちろんその通りの処方に従つて調剤をするということは許されない次第であります。
  103. 高橋等

    ○高橋(等)委員 この問題から実は今度薬剤師の調剤の範囲が広くなりますと、相当の設備と申しますか、相当の種類の薬剤を薬局へ備えねばならないことになると考えます。従つて薬剤師が調剤を拒否する場合が多くなりますと、一般の大衆が非常に迷惑をすることになります。どうぞその辺の御指導も十分お願いしておきたいと思います。  さらにもう一点だけお伺いをいたしたいのでございますが、この法律の施行期日は、原案によりますと、一部は二十八年の一月、他は三十三年の一月となつております。薬事法関係は三十三年一月、これを修正でいずれも三十年ということになつておるのでありますが、この点はどういうような理由——これはお聞きするのははなはだ無理かと思うのですが、どういう目安でこの施行期日の修正をされたのか、参議院の方の御説明を承りたいと思います。
  104. 石原幹市郎

    ○石原参議院議員 ただいま新医療費体系によりまして、適正なる診療報酬が研究制定されつつあるのであります。現在日本医師会の医学教育委員会におきまして、その診療報酬の基準をつくつておるのでありますが、将来專門医の毒とか、やはりいろいろの医師にも個人的差等を設けまして、適正な診療報酬をきめなければならぬ場合も生じて来るのでありまして、大体二十九年一ぱいにその案ができるであろう、こういう見地からいたしまして、医師法歯科医師法の改正案の施行期日が二十八年一月一日となつておりましたのを、三十年と改めたのであります。なお今回薬事法の修正案も、医師法の方の強制処方箋の交付の点も但書がつきましたので、三十三年からこの薬事法の改正規定は実施されることになつてつたのでありますが、今回の修正案でありましたならば、同時に三十年の一月一日から施行しても支障なかろうということにたりまして、あわせて三十年一月一日と改正したような次第でございます。
  105. 高橋等

    ○高橋(等)委員 政府原案の第三條によりますと、省令の定めるところにより薬局の普及が十分でないとざれる地域で診療を行う場合に例外の規定が設けられておる。そこで昭和三十年になりましてこの規定を適用せねばならない地域というものが、全国的に見ましてどの程度のものであろうか、一応この見通しを承つておきますとともに、できるだけ早く全国的にこれが施行できるような政府の御指導をお願いいたしたいのですが、それに対しまして政府はいかなる方策を持つておられるか、この二点を最後にお伺いしておきたいと思います。
  106. 慶松一郎

    慶松政府委員 薬局の分布につきましては、現在薬局は大体において市部に非常に多うございまして、村部あるいは郡部においてはきわめて少いということが言えるのでございます。すなわち日本全体における薬局は市部に六三%、これに対しまして、町部におきましては二六%、村部におきましては一〇%、こういうような状態になつております。なお今日無薬局町村とも申すべきものは七千余あるのでありまして、これからいたしましても、薬局の分布はほとんど市部に限られておる、市部にきわめて密集しているということが言えるのであります。なお現在日本における薬局の総数は一万四千ございますが、一万四千のうちの六三%、すなわち八千八百というものは市部にございます。従いまして市部におきましては、現在といえども、この法案を施行いたしましても、まずそう御不便をかけることはないのでありますが、町部あるいは村部におきましては、この点拡充をせなければ困難な点がございます。すなわち市部においては人口三千に対して一軒の薬局があるのに比べまして、町部におきましては約五千人に一軒、村部におきましては二万四千人に一軒という次第でございます。従いましてまず市部の大部分、並びに町部の一部に対しましては、これを施行することはさしつかえないのでございますが、村部におきましては、きわめて困難な点がございます。従いまして、私ども考えておりますことは、大体において市部あるいは町部の一部においてはこれが行えるが、郡部におきましてはこの点困難であろうと存じます。しかしこれにつきましては、薬局の分布状況を全体として勘案いたしまして、できるだけ僻陬の地にも薬局を設置されますように指導並びに督励をいたしたいと存ずる次第であります。
  107. 高橋等

    ○高橋(等)委員 この法案を実施することは、政府といたしましても、国民の医療上これがよろしいとして御提案なつたことだろうと思うのであります。そこで薬局の普及につきましても、また薬局の内容の改善という問題につきましても、ことにその内容の改善等においては、零細な業者が相当な負担をかけねばならない状況になつております。そこでこれらの薬局の普及整備について、今指導とか奨励と言われましたが、何か金融その他の方法等をお考えになつておられるようなことがあるかないか、また将来どうなさるおつもりであるか、この点を伺わせていただきたいと思います。
  108. 慶松一郎

    慶松政府委員 薬局につきましては、現行薬事法に基きますところの薬局の基準が定められまして、それに従いまして薬局は整備いたさねばならないことになつております。大体におきまして昨年の十二月一ぱいに整備を完了するということになつておりまして、その点はほとんど完成いたしたと私どもは存じております。なおこれのあつせんにつきましては、厚生省並びに各地方庁の関係部局で努力したのでございまして、なお今後におきましても薬局の整備につきましては、金融上の援助その他につきましては、あつせんその他十分な手を打ちたいと、私どもは存じておる次第でございます。
  109. 松永佛骨

    松永委員長 丸山直友君。
  110. 丸山直友

    丸山委員 まず政府にお伺いしたいと思いますが、いわゆる分業と称せられている法案提案せられましたる理由は、医師歯科医師及び薬剤師について、その専門分野を明確化しということが主なる目的であるように思われるのであります。專門分野を明確にするということは、はたしてどういう意味でございましようか、少し具体的にわかりやすく御説明を願いたいのであります。
  111. 久下勝次

    久下政府委員 私が申し上げるまでもなく、医師医業に従事し、薬剤師は薬業に従事する、一口に申せばさようなことになるのでありますが、さらにくだいて申し上げますれば、医師歯科医師は疾病または傷疾の診断、治療のことをつかさどるのが本来の意味であります。これに対しまして、明治初年以来薬剤師制度ができておりまして、薬品の製造、鑑定並びに調剤に関する仕事を本来の天職として生れたわけであります。その間もちろん調剤の面におきましては、参議院の修正にもございますように、観念的な重複はございますけれども、それぞれの主たる任務といたしますところは、ただいま申し上げたところにあると思うのであります。私どもといたしましては、この本来の任務にそれぞれの専門の方々が専心従事することによりまして、わが国民の福祉が増進せられるのではないかということを考えました次第であります。
  112. 丸山直友

    丸山委員 普通私どもが申しておりまするあるいは法律面に現われておりまする医療という言葉がありますけれども、医療とはどういうことをさすのか、医療というものの種類を少し御説明願いたいと考えます。どういうことを含んでおるか、私がこれをお伺いする理由は、医療というものは薬品をもつて治療するものは、医療という観念に入るか、入らないとお考えになるか、それを伺いたいのであります。
  113. 久下勝次

    久下政府委員 薬品をもつて疾病または傷痍の治療をいたしますことは、医療のうちに入ると考えております。
  114. 丸山直友

    丸山委員 さよういたしますると、医師法の第一條に「医師は、医療及び保健指導を掌る」とあります。そういたしますと、医者の専門分野の中には当然薬品をもつて治療する権限があると考えておりますが、間違つておりますればお教えを願いたい。
  115. 久下勝次

    久下政府委員 医師の行います仕事の中に、薬品を使用することによつて、疾病傷痍の治療をするということが入つていると解釈いたします。
  116. 丸山直友

    丸山委員 そうしますと専門分野を明確化いたすということは、分業という意味ではない、当然医者というものは、薬品をもつて治療する権限を持つている、しかも薬品をもつて治療する場合においては、調剤というものも伴わないという除外の例がちつとも書いてございませんから、これは当然医師の権限の中にある仕事であると、こう解釈してよろしゆうございましようか。
  117. 久下勝次

    久下政府委員 私どもはただちにさような結論にはならないと思つているのでございます。と申しまするのは、漸次学問が進歩発達して参りまして、その結果医業のほかに薬業というものが新たに生れて参つております。このことは医業のほかに歯科医業が独立して参りました例とも軌を一にするところがあろうと思うのであります。さような考え方に基きまして、明治初年以来わが国にも薬剤師制度というものができ、薬剤師は先ほど申し上げましたようなまた薬剤師法に定められているような仕事に従事し、その仕事の重要な部分として調剤のことが荒められているのであります。そういう意味合いにおきまして、制度的にそういうものができております以上、それぞれの本来の主たる任務に邁進をしていただく方が相互のためにまた同時にそれが国民全般の福祉のためによいであろう、そういう考え方に出ているのであります。
  118. 丸山直友

    丸山委員 参議院の修正案を拝見いたしますると、除外例が多少設けてございますが、最初に私どもが予備審査で拝見いたしました政府原案は、医師の調剤、投薬権を全面的に禁止する、第二十二條の「必要があると認める場合には、患者又は現にその看護に当つている者に対し、処方せんを交付しなければならない。」という書きつぱなしのものであつたのであります。これが政府の基本的なお考えだと思いますが、先ほどの御答弁医師の治療をする医療というものの中には、薬剤の投薬、調剤等を含むものである、こういうふうなお考えである。しかも一方においては医師法の解釈で、これは全面的にその権限がないのであるということをここに明確化せられようとした、そこに私はお考えの中に矛盾があるということを拝見するのであります。なぜこれだけのことをお書きになつた場合に、医師法の第一條に、医師は医療のうち投薬、調剤等を除くもの及び保健指導をつかさどるというように、その部分をなぜ改正なさらなかつたかということをひとつ承りたい。
  119. 久下勝次

    久下政府委員 お尋ねに少しはずれるかと思いますが、政府原案によりましても、私から申し上げるまでもなく、薬局の普及の十分でない地域には、先ほど申し上げた考え方に基きまして、医師にも調剤を認めることにいたしておりますし、また診療上の必要のあります場合には、やはり同様の措置がとられておるのであります。ですから問題は、権能のあるなしということよりも、その事柄の判断をいたします場合に、特に私どものとりました考え方は、医師のほかに薬業を専業とするところの薬剤師制度というものが生れておりますので、この人々に本来の職務に邁進し、しかも実際上薬局が普及しておりますような地域におきましては、治療上の必要のない限りは、薬剤師の本来の職務に邁進していただくような制度をとることがよいじやないかという考え方であります。
  120. 丸山直友

    丸山委員 さよういたしますると、こういう意味なのでございましようか。専門分野を確立するということは、医者にも当然専門分野として調剤、投薬をやる権利はあるのである。けれどもそれを他に専門とするものがあるから、従つてそれだけはそちらの方にまかしたらよろしい、こういう意味でありますか。
  121. 久下勝次

    久下政府委員 大体法律的に申しますと、それは一般法と特別法の関係になると思うのであります。別に医師法の中に歯科医業はできないと書いてございませんけれども、しかしながら歯科医師法という別な法律ができて、それに規定があります以上は、現在の法律の解釈としては、医師歯科医師免許を受けなければ歯科医業はできないということになつていると同じように、いろいろと薬剤師関係におきましても、薬事法という特別な法律ができまして、その中にそうした特別な規定が設けられますならば、一般法と特別法の関係におきまして、私の申し上げているような解釈は成り立ち得ると思つておる次第であります。
  122. 丸山直友

    丸山委員 それでは調剤権の問題に関しましては、その程度にいたしまして、これを拝見いたしますると、薬事法の二十二條で[患者又は現にその看護に当つている者が特にその医師又は歯科医師から薬剤の交付を受けることを希望する旨を申し出た場合」には調剤することができることになつております。しかし当然の規定によりまして、この場合は医師は処方箋をつくり、それを保管し、そうして薬をやらなければならぬ、これは当然でございます。と同時に医師法の二十二條の規定によりまして、「医師は、患者に対し治療上薬剤を調剤して投與する必要があると認め」たのでありますから、その場合にはその看護に当つておる患者に処方箋を交付しなければならぬということが生きて参るのであります。当然処方箋は二枚書かなければならない。一枚は法律上の規定に従つて自分が調剤するために書く、一枚は医師法の規定によつて交付しなければならぬ、こういうことになると思いますが、さようで間違いございませんか。
  123. 石原幹市郎

    ○石原参議院議員 われわれの考えといたしましては、医師法第二十二條の改正規定によりまして、その場合は一応処方箋を交付いたしまして、患者がどうしてもそのお医者さんから薬をもらいたいというときは、その処方箋に基きましてその医者から薬をもらう、こういうふうにわれわれは考えておりまして、一枚で済むのじやないかと思います。
  124. 丸山直友

    丸山委員 それはこの法律のどこを読むと、そういうことがはつきりわかるように書いてございまするか。あなた様の御修正の意味はわかりましたが、この法律のどこを見ると、そういうふうに解釈することができるのか、それをひとつ御説明願いたい。
  125. 石原幹市郎

    ○石原参議院議員 第二十二條によりまして、薬をやる必要があると認めた場合には、処方箋を交付しなければならないという原則があるのでありまするから、例外の場合にあたらなければ、必ず処方箋をやらなければならない。それから今度は薬事法の第二十二條の例外によりまして、「医師若しくは歯科医師が左に掲げる場合において自己の処方せんにより自ら調剤するとき、」原則としては調剤はできないけれども、自分の処方箋で調剤するときはかまわない、例外であるという規定によりまして、医師がその処方箋によつて調剤するものである、かようにわれわれは考えておるのであります。
  126. 丸山直友

    丸山委員 そういう御趣旨でございますと、薬事法の改正の場所に、この法律によつてつくる処方箋は、医師法の三十二條によつて交付した処方箋によつてつくるということが明記してございませんと、さような解釈はできないのであります。なぜかと申しますと、法律が違うのであります。片方は薬事法で、片方は医師法でございます。医師法の規定によつて交付するのであります。薬事法の規定によつて調剤するのは、薬事法の規定によつて自然発生的にできる義務であります。その処方箋を使うということは、ちつともこの法律に表われておりません。また一度交付したものは患者に所有権がございます。処方箋が有料になるか無料になるかわかりませんが、有料になる場合も考え得る。その場合に、それを没収するという権限はどこで規定せられておりまするか、それをひとつ御説明願いたい。
  127. 石原幹市郎

    ○石原参議院議員 大分むずかしい御質問でありまして、むしろ政府からの方がいいかと思うのでありまするが、患者が医者からもらつた処方箋によりまして、どうしてもそのお医者さんから薬を調剤してほしい、その医者を信頼するがゆえに、どうしてもその医者から薬をもらいたいという意味で、その処方箋を医者に出してやるのでありますから、私は当然この薬事法第二十二條の例外によりまして、医者か処方できると思うのであります。  それから、先ほど医師法の処方箋、薬事法の処方箋というお言葉があつたのでありまするが、私はこれは間違つておればあとで訂正いたしまするが、処方箋というものに、医師法による処方箋、薬事法による処方箋ということはないと思うのでありまして、第二十二條に出ておりまする「自己の処方せん」は、やはり医師法から出て来る処方箋であると、かように思うのであります。間違つておれば訂正し、さらに政府委員からも補足してもらいたいと思います。
  128. 丸山直友

    丸山委員 私の質問の意味が徹底いたしませんでしたので、さように誤解なさつたものと思います。私は処方箋の内容や形式が違うということを申し上げたのではございません。薬事法の規定によりまして、医者が自分で調剤するときには、当然処方箋というものを自分でつくらなければならぬのであります。それは元来患者に交付する義務のないものであり、そうして五箇年間なら五箇年間の保存義務を負わされておるその処方箋であります。前の医師法によつて示された処方箋は、保管義務も規定してございませんし、患者に交付してしまう処方箋でございます。そういうふうに処方箋そのものが、当然取扱い方においても異なつておる処方箋でございますので、これが一枚であるということが、この法律の中のどこに表われておるかということをお伺いするのであります。
  129. 久下勝次

    久下政府委員 この問題は、医師法歯科医師法の解釈になる部分が多いようでありますから、私からその点申し上げますが、お答え申し上げる内容は、大体今、石原委員から御説明のありました通りに私も考えておるのであります。参議院におきまして、薬事法第二十二條の改正が行われまして「患者又は現にその看護に当つている者が特に」というような言葉を使つているこの「特に」というところに、ただいまの御質問とは逆の結論が出るように解釈いたすものであります。すなわち医師法歯科医師法の規定に基きまして処方箋を出した場合、患者がその処方箋を持つて、やはりあなたから薬をもらいたいという申出をしました場合に、この処方箋を出す、そうしますと、それが薬事法第二十二條の本文の「自己の処方せんにより」という言葉にそのまま当てはまつて参りますので、私どもそういう関連から考えまして、処方箋は一枚でよろしいというふうに解釈するものであります。  それから私が申すまでもなく、医師が診察治療をいたします場合には、診療録に書き入れなければなりません。診療録の中には、処方の内容等も当然書かれておるわけであります。その意味からも、診療録のほかにさらに処方箋を二枚つくらなければならぬというようなことは、條理上も考えられないのじやないかというふうにも思われるのであります。
  130. 丸山直友

    丸山委員 これ以上になりますと意見になりまするから、申し上げることもできないのでありますが、そういう立法の御趣旨でございますならば、それがこういう二つに解釈のできるような法律の文面であつては困ると思いますので、これに対しては何らかの修正を加える必要があるのではなかろうかというふうに私は感ずる次第でございます。  それから先程高橋委員からも質問があつたのでございますが、この審議会というものの内容でございます。先ほど御答弁はあつたのでございますが、今までの厚生省にありますいろいろな審議会というものの内容を拝見いたしますと、どうもまつたく一方的に片寄つて審議会の委員がきめられる傾きがある。それがこういうふうなことをやりますることは、はなはだおもしろくないとも考えますが、それに対しても御答弁があつたと思います。しかし厚生省設置法の一部改正が、この法律の改正と一緒について出なければならぬはずだと考えますが、どういうわけでそれをお出しにならなかつたのでしようか、それをひとつ伺いたい。
  131. 久下勝次

    久下政府委員 一緒に出しませんでしたのは、施行期日までまだ相当の余裕がございますので、後におきましても国会に提出いたしまして、御審議をいただく余裕が十分あると思いまして、同時に出さなかつた次第でございます。
  132. 丸山直友

    丸山委員 後に国会に出してとおつしやいましたが、厚生省設置法の一部改正は、もちろん国会に出るわけでございますが、これは急がないというようなお言葉を実は承つた、確かに三十年でございますから急がないのでございますが、この急がないという法律をなぜ至急この国会に出さなければならないのか、そういう最初の御決意はどういうところから起つたのか、それを一つ御説明を願いたい。
  133. 久下勝次

    久下政府委員 最初の政府原案と申しますると、審議会で審議をいたします事項は、昭和三十三年以後に行われますところの薬事法の改正部分について御審議をしてもらう審議会のことを指しておりました。そういう意味合いにおいて、まだ十分なる余裕がありまするし、その間におきまして事務的にも多少御審議をいただく材料のとりまとめ等もいたす必要もあろうかと思つて、先ほど申したようなことをお答えいたしたのであります。しかしながら、それは法案全体を急がないという意味で申し上げているのではないのでございまして、処方箋の発行に関する規定は、昭和二十八年から施行することになつておりますし、さような意味合いにおきましては、この方針を国会におきまして御決定を願つて、ただちにそれを実施する準備に、と申しますか、具体的に申しますと、診療方法の新しい仕方をきめて行くという大きな仕事がございますので、さような意味合いにおきまして、この方針をおきめいただくということは非常に急を要するというふうに考えていた次第でございます。参議院の修正によりまして、ただいまの施行期日の点が一括して昭和三十年ということにかわつて参りましたけれども、ただいま申し上げました趣旨と大差ないことが言えると思うのでありまして、今御方針をおきめ願つて、そうして診療方針の問題は原案よりも一年間の余裕があることにはなりましたけれども、これはただちに着手しなければならない重大な問題であるというふうに考えております。但し昭和三十年でありますので、まだ若干の余裕もありますので、これと同時に出しませんでも十分間に合うものと考えておる次第であります。
  134. 丸山直友

    丸山委員 何かただいまの御説明によりますと、昭和三十年から施行する部分は薬事法だけであるという、こういうお話は、聞き間違いでございましたでしようか。
  135. 久下勝次

    久下政府委員 私は政府原案のことを最初申し上げました。それは、薬事法の改正は昭和三十三年からというのを、今度参議院の改正によりまして、一括して昭和三十年からということになつたわけであります。医師法歯科医師法薬事法、いずれも昭和三十年ということに改正になりましたので、……。しかしながら政府原案につきまして私が申し上げました趣旨は、いずれにいたしましても、そう大した変化なく考えることができる、こういう意味で申し上げたのであります。
  136. 丸山直友

    丸山委員 先ほども御質問があつたと思いますが、薬局の普及というようなことは、これはたいへん問題になつております。先般私が、たしか公聴会でございましたか、何かでも聞いたように思うのでございますが、六大都市の中の東京都のような部分でも、多摩川の付近でございまするか、どこか、あの付近へ参りますると、薬局へ参りまするのには一里ぐらいある地区が非常に多いそうでございます。そういう地区が相当たくさんある。人口割というような数で、こういうことが端的に割出されるということであつて、たとえば地区で適用になるのは——六大都市が除外せられるようなことになれ、全面的に実施できませんから、当然六大都市のようなものが入ると思いますが、六大都市でもその地区によりましては非常な不便を感ずるという地区がある。そういうようなこまかいことまでも考えて、この普及の十分でない地域というものの中に入るのでございまするか。あるいはそういう意味ではなく、少しくらいの不便なところがあつてもかまわないから、そういうふうなものは、一括して指定するというような御趣旨でございましようか。
  137. 慶松一郎

    慶松政府委員 そういう問題をきめますために審議会を持つわけでございまして、当然その点を考慮いたしておる次第でございます。すなわち同じ市部におきましてもただいま仰せになりましたように、薬局と人々の住んでおります地域との距離が、非常に遠いというような所もございまするからして、従いましてそういう点ももちろん考慮いたしまして、地域の指定ということをいたす所存でございます。すなわち地域の指定は、行政的な関係のみならず、薬局あるいは診療機関との距離の点等も十分考慮いたしまして規定いたしたいと存ずる次第でございます。
  138. 丸山直友

    丸山委員 医療費に関係した問題でございますが、この法律が適用せられまして、地域によりまして、指定せられる場所と、その法律の適用にならない場所ができると思います。そのときに待つて診療費の新医療体系と申しまする言葉ですか、何らかの差ができて来なければならないと思います。その場合に健康保険の関係で、これは保険局長にお伺いするのでありますが、保険の点数表が種類というか、いろいろなものがなければ、適用になつておる地区のものと、適用にならないものとの地区の調節が完全に参らぬと思いますが、そういう点についてはどういう御用意がございますか。
  139. 安田巖

    ○安田(巖)政府委員 そういう細部の点につきましてはまだ十分に考えておりませんが、かりに今お考えのような案が通るといたしまして、地域的に医薬分業を実施いたします所としない所があるといたしましても、技術的に診療報酬を支払うという上においてはあまり因らないのではないか、かように考えております。
  140. 丸山直友

    丸山委員 診療費の値上りの問題あるいは値下りの問題でございます。これは先ほど高橋さんからも御質問があつたのであります。これは現状と変化はなかろうということは、臨時診療報酬調査会の中にも取上げられておると思います。しかし、あの臨時診療報酬調査会ですか、あれの審議は元来医療費というもののわくを変更せざることを前提として、それをいかに医者の技術面と薬品の面をわけようかということに主点を置いて検討せられたものであります。そういうふうに上げないことを前提としてせられたものであります。しかし、あれに出されました諮問の内容は、一応医療の向上ということがうたわれておる。医療費を何ら上げないという前提で、医療の向上ができるということをお考えになつておるかどうか、それをまず第一。  それから前に保険局の示されました一、三パーセントの医療費の上ることが起るだろうという文書を私拝見しております。それに対して今でもさようにお考えになつておりますかどうか。もし上るということが今でもお考えになつておるとするならば、年に三十数億の赤字を出しておる健康保険経済を保険料の値上げをしないで、それで完全な支払いかてきるというお見通しが立つておるかどうか、それもひとつ承りたい。
  141. 久下勝次

    久下政府委員 全面的にできるかどうかはまだ検討いたしておりませんので、私ども考え方は医療費を上げませんでも、現在一般に行われております、特に社会保険等の薬治料等の中に言われておる内容を是正することによりまして、内容の向上が期待できる部分が相当あるのではないかというつもりでございます。医療費を上げないで、何でもかんでも内容向上ができるとばかりは考えておりません。今申し上げましたような内容をしさいに検討いたしまして、全体としての配分を是正することによつて、総額は上げることなしに是正ができるのではないか、こういうつもりでおるのであります。  それから社会保険から若干値上りするであろうという資料が出たということでありますが、これは臨時診療報酬調査会の方から提出いたしました資料にあることをさしてのお話であろうと思いますが、これを出しました趣旨は、いわゆる薬治料と称しまするものを分析して見ますと、医師の現在社会保險としてとつておる薬治料のうちから、総医療費に対して一・六%分だけが、徹底的な医薬分業をやると薬剤師の方に行くことになるという意味のことを申さんがために出した数字でございます。そうしますとかりに全額を国民に負担していただくということになれば、一六%になるかもしれない、こういうことを申しておるのであります。一・六%の数字はさような意味を表わすために使つたものでありまして私どもといたしましては、これは具体的に検討してみなければ何とも今確定的なことを申し上げかねるのでありますけれども事情の許す限り、わが国現在の経済情勢を勘案いたしまして、医療費総額としては値上りのないようなきめ方をするように努力しなければならないものと考えておる次第であります。
  142. 丸山直友

    丸山委員 先ほどの御答弁の中で、いわゆる調剤手数料が医師手元から失われる、一・六%あるいはそれの一部分であるかもしれないというようなお話でございましたが、しかし今度の分業の形になりますと、同一の処分箋で引続いて長く薬剤師の方から投薬をしてもらうという現象が当然起つて来ると思いますので、今までのものと医師の失う部分というものは予想外に大きいのではないかどいうふうなことも考えられるのであります。たとえば再診料でございますとか、診察料の値上りというようなことが起るかもしれません。再診料の設定というようなことが起るかもしれません。そういう場合に、たとえば健康保険でございますと、家族診療の場合にはその半額を負担しなければならないということが当然起ると考えます。なるべくその負担を減らすために同一の処方箋で、長く薬屋さんの方からもらうということが起り得ると思います。従つて医師の失うパーセンテージはもつと多くなるのではないかということも考えられ得るのであります。そういう場合に、私どもから申しては医師に対して非常に侮辱でございますけれども医師の中にもなかなか悪い者がおりまして、自分の収入をカバーするために、いたずらに法律に触れない注射というような現象がふえて来るということが世間では言われたことがあるのであります。事実それが行われるか行われないかはやつてみなければわかりませんが、世間ではそういうことが行われておるということを言われたことがあるのであります。そういうようなことによつて、多少国民に迷惑がかかるようなことが起るのではないかということはちつともお考えになりませんでしようか。医師は絶対に正しいものだからそういう現象は絶対に起らない、こうお考えでしようか。
  143. 久下勝次

    久下政府委員 ただいま二、三具体的な御引例をされての御質問でございますけれども、私は御引例になりましたようなこと以外に、反面におきましては逆な現象の起きるようなことも考えられないことはないと思うのでございます。実はさような点につきまして考慮しなかつたわけではないのでありますが、そういうことをいろいろ仮定を置いて議論をして参りますと、結局結論が出て来ないのでありまして、私どもとしては今お話の通りに、医師歯科医師薬剤師の専門の職業の方々のいわゆる倫理性に十分なる信頼をかけておりますし、そういう点におきましてはいろいろそうい懸念をすれば限りないのでありますけれども、そういう点は大体現状で行われておるようなことがそのまま続いて行くという仮定のもとに、数字をはじいてみたり考えてみたりする以外に、ただいまのところ手がないのではないか、こう考えておる次第でありまして、何かそういう前提のもとに出ました実際の数字を適用してみまして、お話のような懸念が実際問題として起りましたならば、またそのときの問題として考慮しなければならないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  144. 丸山直友

    丸山委員 薬事法の「二十四條を同條第二項とし、同條に第一項として次の一項を加える。薬剤師は、医師歯科医師又は獣医師の処方せんによらなければ、販売又は授與の目的で調剤してはならない。」という箇條が新しく入つたように考えるのでありますが、これは従来は医師歯科医師、獣医師等の処方箋によらないで販売授與の目的で調剤しておりましたから、こういう條項をお入れになつた、こういうことなんでしようか。
  145. 慶松一郎

    慶松政府委員 この條項は現行の薬事法の以前の薬事法には載つておりまたし、またそれ以前の薬剤師法にも載つておつたところでございます。ただ現行の薬事法におきまして、この條項が削られましたことは当然なことであります。すなわち調剤ということは当然医師歯科医師並びに獣医師の処方箋によつて行うものであるという意味で除かれたものと私は記憶しておる次第でございます。従いまして従来といえどもここに改めて入れましたことの精神は、従来の薬事法においても当然生きておつた次第でございます。
  146. 丸山直友

    丸山委員 これはちよつと妙な質問かもしれませんが、医師歯科医師の対象となるものは人なんであります。獣医師というのは対象は獣なんです。それが一緒にこの箇條の中に取入れられておるわけであります。そういうふうに対象となるものの全然違うものをここに一緒に入れておられますが、なぜ植物をお入れにならなかつたか、植物と申しますとはなはだふしぎのようにお聞取りになりましようが、硫酸銅とボルドー液の除虫剤あるいは除虫菊のようなものは例の毒物、劇物の取締法ですが、あれに別に規定しておるのでありますが、さようなものをこの中にお入れにならなかつたのはどういうわけでありますか、それをお伺いいたします。
  147. 慶松一郎

    慶松政府委員 これははなはだ妙な答弁になるのでありますが、植物医師というものは世界的にもないように私は考えておりますので、そういう意味で入つておらぬと存じております。
  148. 丸山直友

    丸山委員 植物医師という言葉があるかないかということをお伺いしたのではありません。これは医師法でも獣医師法でも何でもない、薬事法なんです。薬を扱う法なんです。でありますから何をこの中にお取入れになろうとも、薬を取締る対象は全部入れて一向さしつかえないと私は考えるのであります。そういう意味において何も植物医師というお名前を無理に使いたがらなくとも、植物の防虫その他に関する劇物等がありますから、それも何かの処方箋とか、あるいは何らかの形のものを示されなければつくつてはならぬ、当然考慮に入れなければならぬと私は考えてお力ます。それは他の毒物、劇物取締法にあるのでありますか、そういう意味からいうと、獣医師という言葉を入れたのがすでにおかしいと思う。そういうふうな除外するという意味ならば、これは大体人を対象にしてお考えなつ法律ではないのでございましようか。
  149. 慶松一郎

    慶松政府委員 薬事法の第二條におきまして、「この法律で「医薬品」とは」云々ということがございまして、その中には「公定書に攻められたもの」二は「人又は動物の疾病の診断、治ゆ、軽減、処置」云々という言葉がございます。すなわち医薬品の中には「動物の疾病の診断、治ゆ、軽減、処置」云々ということがあるのであります。従いましてその意味におきましてことに獣医師の分を取上げられたものと思います。なおこれにつきましては、従来も明治の時代からそうなつておつた次第であります。また外国におきましてもこの通りの書き方になつておると存じておる次第であります。
  150. 丸山直友

    丸山委員 この前の私の方で証人に来ていただきましての御証言の中にあつたことなのでありますが、それは薬剤師協会の代表者の中の一人でありまして、当然薬剤師免状をお持ちの方であります。しかも協会を代表して国会においでになるような非常にお偉い方なんです。そのお偉い方の御証言の中に、顕微鏡を備えて虫卵を検査し、虫がおるということがはつきりした場合にはサントニンをやるのが、薬剤師の当然の義務であるというような御証言があつたのであります。そういうことを考えますと非常に私はふしぎに思いましたので、はたして虫卵に関する診断能力がおありになるのかどうかと思つて、試みに蝸虫卵の形態について二種類あるということを承知しておりますので、御承知かと思つて開いてみましたら、かくのごとき質問に対しては答える必要を認めないという、えらいけんまくで御答弁なつた、それで何も御承知ないということが判明したのであります。こんなことは小学校へ参りますと、学校の先生がちやんと図に掲げて説明しておることで、世間の常識である。蝸虫卵には受精卵と不受精卵の二種類の形態があることを知つております。それを国会に薬剤師を代表して来られるようなおえらい方が、そんな簡単なことを御承知なくて、それをやることが権利だと御主張なさつた。今度は処方箋によらなければ調剤できないということで、こんなことは当然禁止せられると思いますが、私どもから言うと、これは無診投薬が横行しておつたのであります。こういうことで、この法律ができました場合に十分の取締りができるという御自信がおありになりますかどうか。
  151. 慶松一郎

    慶松政府委員 この点につきましては、従来といえども無診投薬などは当然禁止されておることがございまして、その点は薬剤師たちも深く戒心いたしておるところでございます。もちろん仰せのごとく、これらの点につきまして、すなわち薬剤師並びに医師あるいは歯科医師の専門分野がこの法律によりましてますます明確化されます。ならば、当然薬剤師道、いわゆる薬剤師の道徳律も高まるべきでございます。その点薬剤師みずから高く持ち、また政府といたしましても十分その点の監督督励をいたす所存でございます。
  152. 丸山直友

    丸山委員 虫卵を検査して駆虫剤を與えることは、これは無診投薬ではないというような通牒を医務局からお出しになつたということを聞いておりますが、それは間違いございませんか。
  153. 久下勝次

    久下政府委員 お話のような通牒は出したことがございませんが、実際問題といたしますと、実際に出しましたのは、御承知の通り各病院等にもいわゆる技術者がおりまして、診療上必要な検査の下働きと申しますか、こういうことをしている者もある実情でありますので、こういうような意味において、医師以外のものが虫卵の検査をすること、それ自身はさしつかえないということは言うたことがあるはずであります。しかしながらこの結果を判断し、これは確かにこういう状況であるという報告を聞いて、あとは医師判断をし、そして医師が処方すべきものである。お話のようにそうした検査の結果を判断して、治療の方針をきめ、薬剤を処方するということは、医師以外の者にはできないというように考えております。
  154. 丸山直友

    丸山委員 私先ほど事実を申し上げましたが、薬剤師の中の非常におえらい代表になつていらつしやる方が国会の席上で確かにそういうことを御発言になつた、そのときに私がお伺いいたしまして、これは重大な問題ですということを私の方で申した。それは通牒にあるのだからさしつかえないのだということを確かに言われたと思うのです。それで私は特にお伺いしておる。これは非常に誤解を生じておるように考えますが、事実そういうことは行われておる。薬剤師の代表者と言われるおえらい方がそういうことを国一において言つておられる、これは重大なことでありますので、今後御注意願いたいと思います。  なおこの法律の改正に関しましては、お伺いしたいこともたくさんあります。七十年来の問題でありますから、これを短かい半日やそこらで盡すわけに行きません。これを一々私ばかりで申し上げておりますと、あまり時間をとりまして失礼でございますから、この辺で一応遠慮したいと考えております。
  155. 堤ツルヨ

    ○堤委員 議事進行に関して……。
  156. 松永佛骨

    松永委員長 議事進行に関して堤君から発言を求められておりますからこれを許します。堤君。
  157. 堤ツルヨ

    ○堤委員 本日は第十国会の最終口でございます。今晩の十二時まではもう八時間ほどあるのでございます。ただいま議題になつております法律案に対しまして、委員長はどういう御計画をお持ちになつておるか、さらにきようの運営進行に関しては、各党から出ました理事の間においてすでにお打合せになつて、この委員会をお進めになつておるものであろうと思うのでございますが、それをちよつとお知らせ願いたい。
  158. 松永佛骨

    松永委員長 この委員会に臨むまでにはまだ本付託が遅れておりましたので、理事の打合せはいたしておりません。質疑を続行いたしておりますが、大体この参議院の修正案なるものは、聞くところによりますと、関係医師、楽剤師ともに満足すべきものではないか、まあこの辺でおちつけたいという御希望もあるやに承つておりますのと、国会では予備審査もかねてからやつて来たことでもあります上、参議院の方でも長く御検討なつたことでもありますから、何とか本日これを通過せしめて七十六年間の抗争にピリオドを打ちたい、こういう考え方でおりますが、ただいま質問の通告があと四、五人ございます。質問は順次お進めになりましたので、反覆御質問なさるといういじわる質問を委員諸君がなさらない限りはそう時間はとらぬ、こういう考え方で進行しております。
  159. 有田二郎

    有田(二)委員 ただいま丸山さんからいろいろ御質問がありました。丸山さんはお医者さんであるので薬剤師に当りが非常に強い。私は薬屋の関係から幾分希望を申し述べてみたい。私は二十三年八月に出ました新薬事法を当時厚生委員として審議して参つたものでありますが、そのときに第二十二條の、調剤に当つて医師歯科医師又は獣医師が「自己の処方せんにより自ら調剤し、」みずからという点を特に強調いたして久下医務局長にこの監督方を十分依頼を申し上げておいたのです。しかもこの処分は第五十六條によりまして、第三十二條に違反する者はこれを三年以下の懲役または三万円以下の罰金に処するという罰則すら当時設けておるのであります。もちろん薬を包むということは別でありますけれども、調剤に当つて医師が十分責任を持つてやるということであつたのでありますが、今日まで私どもの承る点では遺憾の点が全然ないとは言えない。この二十三年八月一日新薬事法が発布されまして以来今日まで、これによつて処罰された者がありやいなや、医務局長の御答弁を承りたい。
  160. 松永佛骨

    松永委員長 有田君に申し上げますが、質問の通告順は金子さんになつておりますが、ただいまのは丸山君の質問に関連してですか。
  161. 有田二郎

    有田(二)委員 丸山君の質問に関連してです。この一点で終ります。
  162. 慶松一郎

    慶松政府委員 仰せの点はまことにごもつともなことでございましてただ私どもはこの点はむしろお医者さん方の道徳的な自省にまつべきものと存じます。この点につきましてはしばしば通牒等もいたし、また機会あるごとに地方の取締官に対しましてその点の指示はいたしておるのでございますが、実際問題といたしまして、この事実行為をつかまえますことは、取締りの点におきましてきわめて困難な点がございます。その意味におきまして、私はまずこの点はお医者さん方の道徳的自制にまつということが望ましいことと存じます。しかしながら現在ここに上程されておりますところの法律案が成立いたしますならば、ますますその点につきまして、医師薬剤師の専門分野がはつきりする次第でございますから、その点、先ほど私は薬剤師側に対しまして、自粛を希望する旨申しましたと同様に、医師側に対しましてもあるいは歯科医師側に対しましても、この点今後ますます自粛されんことを、機会あるごとに申したいと存ずる次第でございます。
  163. 有田二郎

    有田(二)委員 医務局次長の所見をひとつ伺いたいと思います。
  164. 久下勝次

    久下政府委員 ただいま薬務局長からお答え申し上げたことと同一でございます。
  165. 有田二郎

    有田(二)委員 今日までの間に、この罰則に触れた者があるやいなや、これをひとつ伺いたい。
  166. 慶松一郎

    慶松政府委員 実際問題といたしまして、この点に関しまして、送検された者も、幾らか私どもの方に報告がございます。
  167. 丸山直友

    丸山委員 医師みずからの調剤の問題は、前にも実は問題になりましたが、これは、結局調剤というものの定義に非常に関係して参るのでございます。調剤というものの範囲であります。この前たしか国会にその話が出たと思います。調剤は、薬をまぜるまでで調剤が終るのか、それをわけて包むのは調剤の中に入るのか入らぬのか、わけて包んだものを袋の中に入れるのは、まだ調剤の部分であるかということが、たいへん問題になつたことがあるはずであります。それでお伺いしたいのでありますが、これは医者もみずから調剤するという問題が起つて参るのでありますが、薬剤師もみずから調剤しなければならぬ。それについて、薬剤師が調剤する場合に、薬剤師以外の者が調剤して処罰されたことがございましようかどうか、その点をひとつ伺いたいと思います。
  168. 慶松一郎

    慶松政府委員 今日におきましては、薬剤師医者の処方箋によつて調剤する例は、きわめてまれでございます。またいま一つの点は、薬剤師の調剤をいたしておりますところは、今日どの薬局をごらんになりましても、おわかりになります通り、全部ガラス張りでございまして、道路からも見えるところでやつている次第でございまして、従いましてその点につきましては、薬剤師が当然みずから調剤をいたしておると私は存じております。
  169. 丸山直友

    丸山委員 医務局の方にお願いしたい。国立病院、結核療養所等の薬局において、薬剤師のみで薬局へ入つていらつしやいますか、その他の助手等を使つて、どの程度まで調剤をやつていらつしやいますか、それをひとつ御説明願いたい。
  170. 久下勝次

    久下政府委員 国立病院におきましては、大体医療法施行規則に定まつております薬剤師の定員はすでに確保いたしておりますので、本質的な問題は薬剤師がやつております。補助的な仕事は、あるいは他の者をして手伝わしておるところもあろうと思いますけれども、調剤の本質的な仕事は薬剤師がやつておるものと存じます。
  171. 松永佛骨

    松永委員長 次は通告順によりまして、金子與重郎君。
  172. 金子與重郎

    ○金子委員 時間に非常にあるようでありますけれども、質問者が非常に多いようでありますから、私はきわめて簡単に要点だけを御質問申し上げます。この法案が、ことに参議院におきますところの修正の問題を中心にして考えますと、かつての長い間の医薬分業問題が、現行におきますところの任意分業を、より一歩前進した、しいて申しますれば、完全任意分業といいますか、その緑に近寄らしたというふうに、私見解をとつておるのでございますが、そういう観点から二、三御質問申し上げたいと思うのであります。  まず第一番に問題があがつて参りますのは、医師法の二十二條、歯科医師も同じでありますが、患者に対し診療上薬剤を調剤して投與する必要があると認める場合は、患者または現にその看護に当つている者に対して処方箋を交付しなければならないということにいたしてありますがここに除外例といたしまして、先ほど参議院の方から御説明がありましたような、病名を知らしたるために、非常に別な弊害が出て来る場合、あるいは暗示療法の場合、あるいは診断のために特別に投薬をする、ないしは救急用ないしは伝染病、こういうようなことを考えて参りますと、一応そういうことも私どもは納得できるのでありますが、しかしながらこの線を非常に広くとりますというと、はたしてどこが限界であるかということに対しては、非常にりくつの上にりくつを重ねるという結果になるのであります。従つて、どの投薬までが応急だから、おれは診断書を出さないのだ、どこまでが診断のための投薬だから診断書を出さないのだ、ということになりますので、この線に対しては、今後施行する上に対して相当問題になる点だと思います。省令で定めるということによつて、これを決定いたそうとしておられるのでありますが、この点は十分考えなければならないと思いますが、これは省令ではつきりと、抽象的な字句を入れずに明示できるのか、あるいはその他云々というような形で行くのか、その点この際はつきりと念を押しておきたいと思うのであります。その点はどういうふうに見解をとつておられますか。
  173. 谷口弥三郎

    ○谷口参議院議員 修正をいたしました場合に、むろんお話のように、あまり拡大し過ぎてもならぬと存じまして、それでただいまこの法律にも審調会でこれを決定していただくよう、ただ審議会が先刻来何度も申しますように、一方的の審議会をつくつてつてはいかぬから、よくそういう点を考え、構成分子をよく考えて、審議会でこれを十分に検討していただいて、省令で定めていただきたい、こういうふうに思つております。だからやはりなるべくしぼつてやらなければならないと思つております。
  174. 金子與重郎

    ○金子委員 結論として申し上げます。もう一度伺いますが、なるべくしぼつて行くということが、この法令の原則を生かす一つのゆえんでありまして、その点は了承いたしましたが、これを第三者のしろうとがその條項を読みましても、疑義の生じないような、はつきりしたものとして行ける自信がありますかどうか、それをお伺いしたい。
  175. 谷口弥三郎

    ○谷口参議院議員 構成分子が、しつかりした構成分子を選んで、そうしてやつていただいたならば、必ず安心していいところの効力があがつて来るだろうと存じておりますが、ここはどうしても厚生省の方で十分構成人員などを検討していただいてやればよろしかろうと存じます。
  176. 金子與重郎

    ○金子委員 どうもその点が、断言していただけないことは、はなはだ遺憾でありますけれども、それではお願いしておきますが、この点につきましては、そういう杞憂が多分にあるということはお認めのようでありますが、これは第三者がこの條文を読みましても、はつきりと限界がつくようなあり方にお願いしたいと思うのであります。それからその次に、第二十二條の問題で、この処方箋を発行しなければならないという法律をつくるのでありますが、そのとぎの処方箋料というような形のものを将来とるおつもりなのか、ないしはそうではなくして診察料なり相談料なりというふうな形で、いわゆる診察料金に含めるというお考えであるか、どちらの見解をとつておりますか。
  177. 久下勝次

    久下政府委員 処方箋料を、将来新しい診療報酬体系をつくる場合にとりますかどうかということにつきましては、実は結論的に申し上げれば、まだきまつていないと申し上げるのが正しいのでありますが、私ども考えといたしましては、これは医師の技術を証明するものでありますので、いわゆる技術料の中に含めてとるようにするのがよろしいのではないか。大体はそういう見通しで進みたいと思う次第であります。
  178. 金子與重郎

    ○金子委員 この処方箋料をとるか、医師の診察料の中に包含して、その中で義務づけるかということは、この法律の第二十二條が生きるか死ぬかという問題に関して重大な関係があるのであります。たとえば処方箋料を非常に高くとるということになりますと、その薬の代金のほかに処方箋料をとりますと、前に処方箋を出さない場合があるのでありまするから、処方箋を出さない場合と、処方箋をいただいて薬をもらつた場合に対して、患者の料金に非常に影響がありますので、この点はどうしてもこの法律をきめる以上は、処方箋料というものを特にとるという形でなく、含まれたという形に将来持つて行くという方に御決心していただきたいと思いますが、その点は私の見解が違うかどうか。
  179. 久下勝次

    久下政府委員 先ほど申し上げました通り、私どもも金子先生のおつしやつたように趣旨としては考えておるのです。ただ何分にも処方箋は紙という若干の物質を使うわけでありますから、その辺のところにつきまして何か御意見があるかもしらぬというふうに考えておる程度であります。それから同時にまた処方箋料をとるといたしましても、これは診療報酬の構成がどうなつて行くかということにも若干影響がありますので、とることにしたら絶対にこの精神に沿わないというようなことには、必ずしもならないのではないかと考えますが、これはきわめて例外的な考え方を申し上げたのであります。私どもの大筋としては、お話の通りに、処方箋料というものは別にとらないで進むのが趣旨だというふうに考えております。
  180. 金子與重郎

    ○金子委員 医務次長のお話を伺いますと、一応そういうふうに考えられるが、また別の考え方も幾分できないでもないというふうな非常に広い御見解を持つておるようであります。これは少々意見になりますが、私はこの二十二條を一歩前進する意味において、医薬内容の公開、いわゆるそれによつて一般に対する医療知識の啓蒙にも非常に役立つと思うのであります。また患者自体の自由選択の立場を尊重するという点からいつても私は賛成するところでありますが、ただ遺憾なことに、先ほど申し上げました出さない場合という特例のものがぼやけておつたり、あるいは処方箋料というものがとられるということになりますと、現実の患者といたしましては、そうでなくても当分は、法律をつくりましても、処方箋によつて、自分の見解によつて自由裁量するという患者はなかなか少いのでありまして、まだまだ惰性で流れて行きます。その上にかてて加えて処方箋料が相当高くとられるということになりますれば、この二十二條の改正というものは大した効果はないということになると私は思うのでありまして、この点特にこの法律を生かそうとするならば、処方箋料をとつて行くという考え方はとるべきでない、こういうふうに信ずるものでありますが、重ねてその点に対してもう一度はつきりと医務局長考え方を御答弁願いたいのです。
  181. 久下勝次

    久下政府委員 実は多少例外的な場合を考えてお答え申し上げたので、ああいう妙なことになつてしまつたのでありますが、臨時診療報酬調査会におきまして、いろいろの問題についてお話が出ましたときの皆さんのお考えは、新しい診療報酬体系のもとにおいては、処方箋料をとるべきでないということであつたようであります。従つてどもとしても、最初から申し上げたように、方針としてはとらない建前で進む。また処方箋料はとらない方が、お話の通りこの規定の精神から申せばよろしい、こう考えておるわけでございます。
  182. 金子與重郎

    ○金子委員 それから、問題は非常に大きな問題ではございますが、條項といたしましては、結局医師法におきましては二十二條だけの問題でありますが、その次に薬事法の問題につきまして、この改正條文の中で、患者または現に看護に当つておる者が特に医師または歯科医師から薬剤の交付を受けることを希望する旨を申し出た場合というのを第一項に入れる、そうして現在の第一、第二を第三という項に織り込むというふうに見てよろしいわけですか。
  183. 石原幹市郎

    ○石原参議院議員 そうでございます。
  184. 金子與重郎

    ○金子委員 すると、この場合だけ獣医師をどうして拔かれたのでありますか。
  185. 石原幹市郎

    ○石原参議院議員 獣医師の方は関係がないから入れないのであります。
  186. 金子與重郎

    ○金子委員 そうしますと、薬事法の第二十二條に、「薬剤師でない者は、販売又は授與の目的で調剤してはならない。但し、医師若しくは歯科医師が左に掲げる場合において自己の処方せんにより自ら調剤するとき、又は獣医師が自己の処方せんにより自ら調剤するときは、この限りでない。」これを生かすのだとするならば、ここに條文を入れなくてもりつぱに生きていると思いますが、その点は私の考え違いですか。たとえば第二十二條の本文の中の但書に、医師歯科医師、獣医師というものは、みずからの処方箋なら例外規定としてここにきまつておるわけであります。本文の但書に獣医師はきまつておるのだから、今度さしはさもうとする第一項に獣医師を拔いてもよろしいという見解ならば、第二十二條の但書に医師歯科医師は入つているのだから、特にこれを加える必要はないのではないかというのです。
  187. 石原幹市郎

    ○石原参議院議員 どうも御質問の趣旨がぴつたりしないのでありますが、薬剤師でない者は薬事法の二十二條によりまして、販売または授與の目的で調剤してはならない。しかし医師もしくは歯科医師が左に掲げる場合は、自己の処方箋で調剤することができるとして、その左に掲げてあるわけでありますので、獣医師は全般的に自己の処方箋で調剤することができるというように、逆に読めばなつておるのでありまして、御質問の点がちよつとふに落ちないのであります。
  188. 金子與重郎

    ○金子委員 もう一ぺん申し上げます。医師歯科医師、獣医師というこの三つは、原則として、薬剤師でない者は、販売または授與の目的で調剤してはならないという原則の除外例になつておるわけですね。それでありますから、この法律において医師歯科医師だけに対して患者から要求があつた場合には云々というこの修正は、蛇足ではないか。
  189. 慶松一郎

    慶松政府委員 第二十二條の但書でございますが、すなわち「但し、医師若しくは歯科医師が左に掲げる場合において自己の処方せんにより自ら調剤するとき、」これはここで切れるのでございます。切れまして、その「左に掲げる場合」が一が「患者又は現にその看護に当つている者が」云々、二が「省令の定めるところにより診療上」云々、三が「省令の定めるところにより薬局の普及が十分でない」云々、その三つの場合に限つて医師もしくは歯科医師が自己の処方箋によりみずから調剤することができる次第でございます。しかしながら獣医師につきましては、別に限定された條件がございませんので、すべての場合に獣医師は自己の処方箋によつてみずから調剤することができる、こういう意味でございます。従いましてただいま仰せになりまたように、「左に掲げる場合」のとこであげましたことは、これは医師もしくは医科医師にのみ適用されるべきことなのでございます。
  190. 金子與重郎

    ○金子委員 これは常識的に見ますと、だれが見ても間違うのでございます。「又は」という字が一つ入つておるために、獣医師だけは別だ、こういう法文の解釈なのでありますが、そうなると、私は法理学者でないから、これでも正しいかもしれませんが、一般常識から見たならば、「又は」という字が入つておるだけで、全然これは除外例だというふうな見解はとりにくいと思いますが、そういう解釈であるとするならば、一応それで了承いたします。  それからもう一つ問題があります。これは薬務局長に質問するのでありますが、この薬事法の二十二條の原則によりますと、医師は左のごとき場合のみに限り、獣医師は自己の処分箋の場合だつたらよろしいというようでありますが、これは平たい話ですが、実際私のように自分のからだにやかましい者は、同じ薬をもらいましても、非常にやかましく言うのでありまして、出先に行つてからだのぐあいが悪くなつた場合には、医者に見てもらうよりも、自分の持つている処方箋でやつてもらつた方が効果ですが、それは今後できないことになりますが、これはどういうふうに処理したらよろしいのでありますか。現実問題ですが……。
  191. 慶松一郎

    慶松政府委員 それに関しましては、御旅行等の際には、当然自分のおかかりになつておるお医者から処方箋をおもらいになつて、お持ちになつた方がいいのじやないかと思います。
  192. 金子與重郎

    ○金子委員 そうすると、その処方というものは、診察料を払わなければもられないというふうなことになりまして、非常にそれは健康上からいつて不便でありまして、むしろこの点に対しては、この際の問題でありませんが、これは一般の医療知識が進めば進むほど要求される問題であります。それならば、売薬を飲めばいいじやないかということになるのでありますが、売薬で適当しない場合もありますので、この点は今日の問題とは少し離れておりますが、薬務局長は将来この薬事法の改正というときには、この点も相当考えておいていただきたい、こういうことをお願いしておきます。  それからその次は、この法律改正によつて一番問題になつて来るのは、保険経済にどう及ぼすかということでありますが、安田局長がおりませんし、まだたくさんの質問者がありますからして、私これで一応打切ります。
  193. 松永佛骨

  194. 有田二郎

    有田(二)委員 医務局次長にお尋ねいたしますが、医師法を参議院が修正なさいました但書について、政府が御提出になつて、参議院が御修正になつた、これに対し、政府としての御所見を伺いたい。
  195. 久下勝次

    久下政府委員 参議院の修正につきましては、参議院厚生委員会におきまして、全般的に厚生大臣臨時代理から、この改正には何ら政府としては異議はございませんということを申し上げておるのでございまして、私ども同様に考えておるものでございます。
  196. 有田二郎

    有田(二)委員 しからばこの立法をしたときに、かまいませんというのではなくて、立法したときにこれがいいとするならば、なぜこれをお入れにならなかつたか、この点をひとつ承りたい。
  197. 久下勝次

    久下政府委員 政府といたしましては、御承知の通り、臨時医薬制度調査会の答申に基きまして、政府原案提出したのであります。当時私どもといたしましては、この制度としては、政府原案のような行き方でやつていただくことがいいと考えておつたのでございます。しかしながらその後参議院におきましては、御承知のような非常に愼重な御審議をされまして、結局この制度を円満に実施して行きますためには、かような修正を行うことが、適当であります、同時にまたかような修正をすることが、わが国現状に適合するものであるというような御判断のもとに、修正をされることに相なつたと承知いたしておるのであります。そうした御審議の状況を承知いたしております私どもといたしましては、当初はああいう案を差出し、またその案がよいとは思つておるのでありますが、しかしその後の情勢の変化——というよりも、参議院におきまする御審議の経過を拝聴しておりまして、こういうふうな修正によりましても、別に異議を申し上げないという程度考えておる次第であります。
  198. 有田二郎

    有田(二)委員 大体御趣旨はわかつたのですが、今の医務局次長の御答弁では、調査会では、こういう但書がなくてもよい、かような見解をおとりになり、かつまた当時厚生省としては、政府提出法案としてこういう但書については必ずしも必要としない、かような見解をとつておられたけれども、参議院の議事の進行上、そうされても異存はない、かように御答弁なつたように思うのであります。この但書によりまして、二十二條の政府提出法案の意思は左右されていない、さように解釈いたしてよろしいのでありますか。
  199. 久下勝次

    久下政府委員 政府原案に対しまして、医師法歯科医師法の改正につきましては、参議院修正は但書がついておるのでございます。もちろんこれは参議院の修正をせられました方々の御説明にもございましたように、狭く解釈すべきものであるというようなお話でございます。私どももまたさように考えておる次第でございます。そういう意味から申しますと、政府原案は、狭く解釈されるにしましたところで、但書がついたということによつて、実質的にはかわつておることになつていると思います。しかしながらまた反面から申しますと、この但書は、くどいようでございますが、狭く解釈をし、運用をすべきものであるという限りにおきましては、政府原案の原則的な趣旨は御了承を願えておるものと考えておる次第であります。
  200. 有田二郎

    有田(二)委員 よく御趣旨はわかつたのでありますが、しかし今度この法案がもしも通過いたしまして、できまする審議会におきましては、今までお述べになりました参議院側の御意見なり、ただいま医務局次長からお話がありました趣旨を、審議会は十分承知して、この但書によつてこの二十二條の義務発行の骨拔きにならないように十分注意していただきますと同時に、医師側においても十分これを尊重していただくことが私は妥当だと思います。それに対する医務局長の御答弁をさらに伺つておきたいと思います。
  201. 久下勝次

    久下政府委員 お尋ねの御趣旨と全然同感でございます。私どもも、さように各方面の御協力を得まして、また医師会におきましても、私どもの希望として十分強くそうした点を申し述べるつもりでございます。
  202. 有田二郎

    有田(二)委員 今度は薬務局長にお尋ねいたします。薬事法の改正で、患者が特に要求した場合に医師の調剤を認めることというのがあるのですが、医師がこれを悪用するというようなことは、万々ないと思うのでありまするが、万一そういうような場合がありまして、調剤をこの二十上條の今度の義務発行の線にもとるというようなことがあつてはならないと思うのでありますが、薬務局長の御所見を承りたいと思います。
  203. 慶松一郎

    慶松政府委員 これは今回の改正法案でごらんになります通り、現行薬事法におきましては、医師歯科医師は、自己の処方箋によりみずから調剤し、または薬剤師をして調剤させる場合には調剤できるのであります。しかしながら今回の改正によりましては、医師がみずから調剤するということは、三つの場合に限定された次第でございまして、この点におきまして、従来やかましく言われておりましたところの薬剤師医師の専門分野がきわめてはつきりした次第であります。従いまして、ただいま申されましたところの、今回参議院において御修正いたされましたところの第一項は、患者またはその看護にあたつている者が、そのみずからの意思によりまして特に申し出た場合にのみ限ること、これが当然であります。しかしながら、一方この法案を実際に施行いたしますには、患者あるいはその看護にあたつている者に対しましての教育のこと、啓蒙のことが必要でございます。その意味におきまして、この第一項が特に修正案として加えられたものと存ずるのであります。従いましてこの点につきましては、医師歯科医師薬剤師がともに協力いたしまして啓蒙、教育にあたり、もつて医療の向上を期せしめたいと私は存ずる次第でございます。
  204. 有田二郎

    有田(二)委員 医務局次長にお尋ねいたしたいのでありますが、患者が特に要求した場合に医師の調剤を認めるという問題について、参議院側においてこの除外例をお置きになつたのでありますが、これは決して任意分業の方式を認めたものではなくて、あくまでも特別の場合を予定したものであると私は考えるのでありますが、医務局次長はそれに対していかなる御所見でありますか。
  205. 久下勝次

    久下政府委員 任意分業という言葉がございましたが、任意分業をどう定義するか、どう考えるかということによつて、おそらく御質問に対する答えが違つて来るかと思います。しかしながら、あくまでもこの薬事法第二十二條の精神は、私ども考えるところによりますれば、やはり政府原案にございましたような精神を生かして行こう。しかしながら国民のたつての希望のありました場合、それまでも押えることは適当でないという考え方のもとに挿入せられた規定であると理解いたしておりますので、さような意味合いにおきましては、御意見の御趣旨と大体同様に考えております。
  206. 有田二郎

    有田(二)委員 医務局次長の御趣旨よくわかつたのですが、これに対して薬事法の、患者が特に要求した場合に医師の調剤を認めるというこの除外例に対して、特に十分医務局において御指導願つて、そうして誤りのないように願いたいと思いますが、医務局としてはどういう方法で御指導願えるかどうか。この点も伺いたいと思います。
  207. 久下勝次

    久下政府委員 私から申し上げるまでもなく、一応形式的には、法律によりまして、厚生大臣及び各都道府県知事は医業または歯科医業を行いまする者に対する行政上の監督権を持つておりますので、その線に沿いまして、ただいまお述べのような指導の徹底を期したいと考えておるのであります。しかしながら、それだけではただいまお話のような趣旨を十分達することはできないと考えられますので、むしろ実質的には日本医師会、日本歯科医師会の御協力を得まして、本改正法律が実施されましたあかつきには、この精神を十分生かすように、自主的にまた民主的に実現をはかるように御協力を得たいという考えでございます。
  208. 有田二郎

    有田(二)委員 医師法の二十二條の但書、あるいは歯科医師法の但書、あるいは薬事法の患者が特に要求したる場合に医師の調剤を認めるというような問題は、一般患者の利便を基礎として参議院においてお考え願つたものと私は考えておるのであります。この点につきまして、今医務局次長からも御答弁がありましたが、むしろこの法案が通りましたならば、政府においてもこの点を十分愼重に努力していただきたいということをお願いいたしたいと思います。さらに谷口参議院議員薬務局長との間において、調剤の問題について見解を異にしておるように私は仄聞したのであります。大体調剤は、特定の患者に対してその特定の疾病に用いるものならば、錠剤をやる場合でも調剤であると私は考えるのです。一錠飲めとか二錠飲めとか、あるいは用法、要領を特別に指示しなければならぬのであるから、これは当然調剤行為と見なすべきであつて、谷口参議院議員の錠剤であればいいという見解は当らないと思いますが、これに対する谷口参議院議員の御所見を伺いたいと思います。
  209. 谷口弥三郎

    ○谷口参議院議員 錠剤につきましては、先刻もお答え申し上げましたように、これは数名の大学の学長並びに薬科大学の学長などに証人として来ていただきました場合に、調剤ということについて質問をしたのでありますが、調剤学、処方学の本まで出して、調合というのは二種以上の薬剤を混合する場合、あるいはたとい一品であつても秤量、溶解などをする場合と言つておりますので、錠剤の場合は調剤にはならぬと思つております。
  210. 有田二郎

    有田(二)委員 ただいまの谷口氏の御意見は、谷口氏個人の御意見であるか、それとも提案者全体としてのこの法案を貫いた御精神であるか、責任ある御答弁いただきたいと思います。
  211. 谷口弥三郎

    ○谷口参議院議員 錠剤は調剤には入らぬと思つております。
  212. 有田二郎

    有田(二)委員 谷口参議院議員の御意見はよくわかるのですが、私はこれは当然調剤行為である、かような見解を持つものですが、厚生省当局の御所見を承りたい。
  213. 慶松一郎

    慶松政府委員 私が先ほど高橋委員の御質問に対しましてお答えいたしました通り、調剤の定義につきましては、ただいま有田委員のおつしやつた通りであります。従いまして、調剤ということは、そういう特定の人の特定の疾病を治療するために薬剤を調製する事実行為を申す次第であります。
  214. 松永佛骨

    松永委員長 この際暫時休憩いたします。     午後四時四十八分休憩      ————◇—————     午後五時十四分開議
  215. 松永佛骨

    松永委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  医師法歯科医師法及び薬事法の一一部を改正する法律案議題とし、質疑を続行したいと存じます。有田委員
  216. 有田二郎

    有田(二)委員 ただいま申し上げました点につきまして、石原参議院議員の御所見を承りたいと存じます。
  217. 石原幹市郎

    ○石原参議院議員 ただいまの問題につきましては、実は私も先般参議院におきまして、錠剤を交付することは調剤行為であるかどうかということを薬務局長に質問いたしたのでありますが、そのときの薬務局長答弁と、本日本委員会におきまして有田委員よりの御質疑に対する薬務局長答弁とは若干の食い違いがあるのでありますけれども、私は薬務局長が本委員会において新しい見解を表明されたものと思いまして、一応薬務局長見解を了承いたしたいと存じます。
  218. 有田二郎

    有田(二)委員 薬務局長見解が衆参で幾分違つておつたという石原参議院議員の御所見でありますが、この際それをはつきりいたすために、もう一度慶松薬務局長からこの問題についての政府見解を述べていただきたいと思います。
  219. 慶松一郎

    慶松政府委員 従来、調剤に関しましてはいろいろな見解があつたようでございますが、しかしながら政府見解といたしましては、先ほど私が申し上げた通りでございます。
  220. 有田二郎

    有田(二)委員 しからば錠剤の場合においても、特定の患者に対し、その特定の疾病に用いるものならば、錠剤をやる場合でも、調剤である、かように解釈してもよいのでありますか。慶松薬務局長の御所見を求めます。
  221. 慶松一郎

    慶松政府委員 その場合におきましても、用量、用法等を示しまして、はつきり特定人の特定の疾病に対して用いるものは、調剤と見るべきであると存じます。
  222. 有田二郎

    有田(二)委員 医務局次長にさらにお尋ね申し上げたいのでありますが、先刻石原参議院議員より、新医療費体系は目下医師会で研究調査しており、それが二十九年度までかかるので、三十年施行としたのであるという御答弁であつたのでありますが、先般政府はこのために調査会をつくつて二十七年までに完成する、かように述べられておるのでありますが、必ずしも三十年まで待たなければならぬのか。二十七年でできれば、二十八年にこの時期を早めてはどうか、かような考えを持つのであります。これに対する医務局次長の御所見を承りたいと存じます。
  223. 久下勝次

    久下政府委員 お話の通り、私は参議院の厚生委員会におきまして、新医療費体系の計算は二十七年末までにはできる確信があるということを申し上げたのでございますが、参議院の方で御審議をいただきました結果、参議院におきましては、臨時診療報酬調査会の答申にも、個人の技術者についても別途考慮することが望ましいとありまして、これらの点につきましては十現在日本医師会の医学教育委員会におきまして専門医制度に関する検討はされておりますが、個人差をつけるために、こういうものもあわせて考える方がよろしい。しかしながら、その結論を得ますまでには、もう二年猶予をいたした方が安全であるというような御見解でございましたので、私どももかような問題につきましては、たびたび申し上げておりますように、非常に重大な影響のある問題でありますから、愼重の上にも愼重を期することがよろしいと考えまして、この参議院の方の修正に賛意を表しました次第でございます。
  224. 有田二郎

    有田(二)委員 それで了承したのでありますが、石原参議院議員並びに谷口参議院議員最後のお尋ねをいたしたいのであります。参議院で御修正になりました点は、非常に特定な場合に限つてでありまして、必ずしも私個人としては反対理由はないと思うのでありますが、これが悪用されますと、せつかくの今度の政府提出法案の精神に反する向きが非常に多いのでありまして、この運営については、あくまでもこの参議院の修正というものは今度の法案の趣旨を曲げるものでない、かように解釈いたしてよろしいものでありましようか。承りたいと思います。
  225. 石原幹市郎

    ○石原参議院議員 ただいま有田委員からのお尋ねであつたのでありますが、これは昨日の参議院の厚生委員会におきましても、各委員よりそれぞれ希望を付して討論が行われたのでありまして、大体有田委員が述べられた御趣旨とわれわれも同様に考えておる次第であります。
  226. 有田二郎

    有田(二)委員 最後に一言希望を申し述べて、私の質疑を終りたいと思います。先般来丸山委員から薬剤師側に対する御所見もいろいろあつたようでありまするが、新薬事法が二十三年度につくられましたときにも、薬系を代表して私と、医系を代表して榊原委員との間にいろいろ論議が盡されたのでありますが、最後においてお互いにそういうどう試合はしないということで話合いをつけたのであります。どうかひとつかような問題で本委員会において双方もめることのないように、医師会においても薬剤師会においても、お互いに不十分であるけれども、一応この段階において話合いがついたというように私どもは承つておるのであります。本委員会においてもいろいろ速記録にとどめられておりますので、結論として医師薬剤師は車の両輪のごときものである、かような見解を私はとつておるのであります。その意味合いにおいて、本法案の審議あるいは採決にあたつて、双方の円満なる妥結ということにわれわれとしては最善の努力をいたさなければならぬ、かように考えておるのであります。どうかひとつそういう方針でわれわれは審議を進めて採決に入るべきだという所見を申し上げて質疑を終る次第であります。
  227. 松永佛骨

    松永委員長 次は通告順によりまして福田昌子君。
  228. 福田昌子

    福田(昌)委員 参議院の改正案第一條の医師法第二十二條の修正の但書のところでありますが、「省令の定めるところ」というこの省令を、先ほど谷口参議院議員から御説明があつたようでありますが、この省令の定める範囲というものを私は厚生省当局からお伺いしたいのであります。厚生省当局の御見解をお伺いします。
  229. 久下勝次

    久下政府委員 処方箋を交付しますことが「患者の治療上特に支障があるとされる場合は」とはどういうことになるかということは、申すまでもなく省令で定めて行くのであります。従いましてこれは先ほど来申し上げておりますように、結論的なことは今ここで私どもだけの考えを申し上げるのは適当でないようにも考えるのでありますが、典型的な例として考えておりますのは、いわゆる緊急治療の場合、すぐその場で患者に薬をやらなければ、患者の治療上非常な支障があるという場合が考えられるのであります。あるいはまた谷口参議院議員お話の中にもございました、睡眠剤の投與のような場合には、その中毒も考えまして漸次その量を減し、あるいは睡眠剤そのものとしてはゼロとして他の薬を睡眠剤と称して與えるというようなことが治療上必要な場合として、あるいはそれをやらないでおることが治療上支障があるという場合に該当する典型的な例であろうと考えておるのであります。何分にもこの問題は医学上の専門的な事項にわたりますので、私どもとしては審議会の構成にも十分意を用いまして、公正な決定のできるように処置をいたしたいと思つております。ただ結論的に全般的に申し上げますると、先ほど来申し上げておりますように、この但書の規定はあくまでも例外的な措置でありまして、従つて原則の精神が殺されるような解釈をすべきはでなく、そこにはおのずから運用上制限があるものと考えておる次第であります。
  230. 福田昌子

    福田(昌)委員 この但書の條項はあくまでも但書であつて、愼重に規定しなければならないという御意見はまつたくごもつともと存じます。私もさようにあつてほしいと願つておる一人でございますが、ままこういう審議会で医療関係のことを御決定いただきます場合に、——審議会とはちよつと行き過ぎましたが、省令で御決定いただきます場合に、私ども医療に多少でも関係がある側からいたしますると、非常にその判定がしろうと的な判定でありまして、処置いたしまする場合に非常に困る場合がたくさん出て参るのでございます。簡単に申し上げますと、厚生省の省令なるものが技術的な専門的な御意見を聞くことが少くて、しろうとでおきめになつた御意見が強いという感がこれまで多々あつたのでありますが、そういう意味におきまして、久下次長殿はたしかお医者さんでおありにならないと思いますが、しかしこういうような厚生省の御関係にありまして、こういう省令のもとにおいて久下次長も御参與になると思いますから、もう少し久下次長の御見解において専門的に知つておられる範囲のことを具体的に御答弁願いたいのであります。
  231. 久下勝次

    久下政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、この問題を専門的に、具体的に今ここで私ども立場から、こういう場合、こういう場合ということを申し上げることは、私は適当でないと考える次第でありまして、御指摘の通りに、この問題は専門的な事項にわたる事柄でもありまするので、御注意のありましたように、審議会の人選にも十分意を用いるような構成をいたしまして、そうしてそれらの専門の方々の御意見によりまして、具体的にきめる方がよろしいと思います。大体私が相談をいたしまして、この程度なら問題はないであろうというのが、先ほど申し上げました二つの例でございます。これは医者でない私の個人の考えではなくて、医師である人たち意見も入れまして、とりあえず事務的には、これならば典型的な例として申し上げてよろしいではないかという意味で申し上げた次第であります。
  232. 福田昌子

    福田(昌)委員 東医務局長の御見解をお伺いいたします。
  233. 東龍太郎

    ○東政府委員 ただいま久下次長医者でないとおつしやられましたが、その通りでございますが、私は医者でございます。これは私個人の見解になりますが、私は医者としての自分の知識と良識から判断いたしまして、どうしてもそうしなければならぬというような場合は、私は非常に少いという考えを持つておる次第でございます。従つてただいまこれから扱われます省令がどういう形になりますか、その場合に私自身が見解を述べる議会がありますれば、私は先ほど谷口さんの言葉を借りれば非常にしぼるというふうな立場にいるものであることだけは申し上げておきます。
  234. 福田昌子

    福田(昌)委員 あまりこういうことにこだわつて時間をとりたくないのでございますが、常識としてこういう場合にはどういうお考えであるかというようなことをちよつとお伺いしたいと思います。たとえばやぶ医者が診断がつかない場合は当然かもしれませんが、名医でも診断がつかないような場合には、処方はどうしたものでございましようか、出すのでございますか、あるいは医者の投與にした方がよいのでございましようか。
  235. 東龍太郎

    ○東政府委員 私は医者でございますが、臨床の医者でないので、専門が薬理学であります。従つて考えがきわめて学問的でありますが、診断のつかない場合なら何も薬を出す必要はないというのが私の考えでございます。
  236. 福田昌子

    福田(昌)委員 こまかい質問になりましてたいへん恐縮でございますが、まことにごもつともなことでございます。しかし医者の中には対症療法というのがありまして、症状によつて診断がつかなくても処置をする場合がございますが、そういう場合の投薬のことをお伺いしたい。
  237. 東龍太郎

    ○東政府委員 私自身はそういうふうな自分の専門の立場からあまり患者に対して薬をやるやらぬでいろいろ影響を與えるような、そういうやり方というものを信用しないし、そういうことをやるべきでないという考えであります。大体薬理学者として、薬というものにあまり重きを置いておりません。従つてそういういらぬものはやらぬ方がいい。なるほど一時はそれでさしつかえあるかもしれませんが、大衆がそういうことになれて行くことが、やがて医学の向上であると考えます。
  238. 福田昌子

    福田(昌)委員 薬理学の専門の先生に、どうしたことかさような御意見をお吐きになる方が多いような感じがいたします。薬理学者は、神経痛には何も薬がきかないから、お灸をすえておけというようなことをよく聞くのでございます。いろいろ御研究になつた薬理学者は、そういう御見解になられることもあるかと思うのでございますが、しろうとは、なかなかそこまではさとつていないのでございます。そういう意味で、しろうとをそこまで教育して来るということは必要でございまするが、教育の過程におきまして、やはり薬剤を與えなければならないという場合が出て来やしないかと思うのでございます。そういうときの処置はどのようになさるおつもりでございますか、ということをお伺い申し上げたつもりであつたのでございます。非常に高邁なる御答弁じやなくて、もう少し世間並の御答弁を私はいただきたかつたのでございます。これは薬理学者としてお考えなつた場合に、そういう高い学者的な見地からでなくて、ごくしろうと的なお考えけつこうでございますが、たとえば症状が非常にかわりまして、薬剤の用い方に因つている場合が出て参るといたしますと、そういう症状が非常にはげしく変化して参りまする場合の投薬というものは、これもやはり一々処方箋によらなければならないものでございましようか。それともこういう場合は、そのはげしい症状に応じて医師が投薬してよろしいという御見解でございましようか。
  239. 東龍太郎

    ○東政府委員 ただいまのような場合は実際あると思いますが、そういう場合に、投薬をするについて、自分が確信を持つと申しますか、こうすべきだということが決定した上でならば、それは処方箋を出して調剤をやるべきものだと思います。しかしああもすべきではなかろうか、こういうことでやつてみてはどうかというような場合、いわゆる試みでやろうというふうな場合には、医師がみずから正規の処方箋によるのでない但書の中に入るような場合が多くあると存じます。
  240. 福田昌子

    福田(昌)委員 薬剤の試験的使用というような観点に立つて使いたい場合がございます。たとえば、まだ市販に出ておりませんでした時代のパスの応用などの場合がそれでありまするが、そういつた場合、パスを使いたいと思いましても、医者が処方箋を出して薬局から買おうと思つても買えないのですが、何らかの形で手持ちのパスはあるというような場合においては、医者がみずから調剤してもいいのでございましようか。それともまた処方箋によらなければ、こういう場合もいけないのでございましようか。
  241. 久下勝次

    久下政府委員 御引例のような場合は、この問題には該当しない、つまり処方箋を出さなくてもよろしいと考えております。
  242. 福田昌子

    福田(昌)委員 レンドゲン撮影などいたします場合に、ときたま診断的に投薬をする必要があるときがございますが、そういう場合の処方は、一々処方箋を書いて、薬局からもらわなくともいいものでしようか、あるいはそうしなければならないものでしようか。
  243. 久下勝次

    久下政府委員 御質問は、レントゲン撮影の造影剤投與の場合だと考えます。私どもはこれは処置の一種であると解釈すべきでありましてさような場合は、当然処方箋の交付は必要ないものと思つております。
  244. 福田昌子

    福田(昌)委員 政府の御見解は大体了解できたのであります。私どもといたしましては、先ほどの東局長のような非常に高邁なる学者の御答弁が通用するような世の中になることを望ましいと存ずるのでございまするが、その過渡的段階といたしまして、開業医の立場といたしましては、当面して困難な場合がたびたび起つて来る思うのであります。たとえばそれこそ診断が未確定の場合、毎度投薬の内容をかえなければならないというようなことも起つて参りましようし、症状がはげしい場合も、投薬に非常に影響が及ぼされて来るのでありますが、そういう場合に、一々処方箋を出して、外の薬局で薬を求めるということよりも、私はむしろ医者自身の投薬においてこれを治療した方が、疾病の経過におきまして、非常に研究的な、責任の持てる治療ができるのじやないかということを考える一人であります。従いまして、こういう省令でおきめいただきます場合におきましては、どうかこういうようなことも十分御勘案の上おきめいただきたいと思うのであります。もちろん私どもは、このことによりまして非常にルーズな、省令のわくを広げてくれというようなことを毫も申し上げておるつもりはないのでございまして、その点実に厳重なわくをおつくりいただきますことは、たいへんけつこうでございますが、学者的でなく、もう少し大衆の一般開業医の立場に立つての御見解のわくをお考えいただきたいということをお願い申し上げておく次第でございます。  次に審議会につきましてのお尋ねでございますが、この審議会のメンバーは、大体どういうような形において御決定になられるのでございましようか。
  245. 久下勝次

    久下政府委員 実は審議会の構成につきまして、まだ具体的に何もきまつておりません。昨日参議院の厚生委員会におきましても、本法律案討論におきまして、多数の委員の方から、審議会の構成について相当具体的な御要望がございましたが、私どもはこれらの御要望を尊重いたしまして審議会を設けるようにいたしたいと思います。なお審議会を設けますにつきましては、別に定むることになつておりますが、これは法律上の形式としては、厚生省設置法の改正ということになつて、また御審議をいただくことになろうと思います。ただ設置法でありまするので、あまりこまかいところまでは入りませんが、審議会の目的なり任務なり、また構成の基本という程度のことは、設置法の中におそらく盛られることになろうと思います。従いましてその際にまたいろいろと御審議をいただく機会があろうと思いますが、私ども考えとしては、本委員会におきましても、また昨日の参議院厚生委員会にお冒してもいろいろと御要望のありました点は十分尊重いたしまして、これに沿うようにいたしたいと思つておる次第であります。
  246. 福田昌子

    福田(昌)委員 先ほど丸山委員も質問しておられましたように、こういう審議会をおつくりになります場合におきましては、この法案と設置法も一緒にお出しいただきますことを、私どもは強く希望しておるものでありまするが、期間的にそういうような余裕がなかつたと、善意に今回は解釈しておるのでございますが、しかしこういう審議会というものを一応お考えになつておられまする以上、その間におぼろげながら何らかの構想をお持ちであろうと私ども考えるのであります。その概略のお考えを承りたいと思います。
  247. 久下勝次

    久下政府委員 政府原案の場合と本日議題になつておりまする修正されましたものとは若干違つておりまするので、言いかえますと、具体的には審議会の任務が修正によつて広がつておりますので、そういう点につきましては、また改めなければならぬ点が多いと思いますが、私どものごく大ざつぱな考え方といたしましては、この審議会の性質上、医師歯科医師薬剤師というような医療関係者は、当然相当多数入つていただくことが必要であると考えます。同時にまた、一般の大衆にも影響の多いことをきめて行くのでもありまするから、そういう意味合いにおきまして、医療を受ける立場にある人、あるいはまたこういう方面に御造詞の深いいわゆる学識経験者というような者も、この審議会の構成メンバーとして、お入りをいただくようになろうかと思つております。ただいまのところは、それ以上具体的なことを申し上げる段階に至つておりません。
  248. 福田昌子

    福田(昌)委員 このこともあまり詳しくお伺いするにも及ばないことかと存じますが、念のためにお伺いしておきたいと思うのでございます。大体人員はどれくらいにお考えになつておられるか。それから医療担当者あるいはまた医療を受ける側、学識経験者というような方をお入れいただくということでございますが、そういうような方たちの人員の按分などにつきましても、概略の御見解をお伺いいたしたいと思います。
  249. 久下勝次

    久下政府委員 人員については、事は結論的に申し上げると、何もきまつていないという段階でありますが、しかしながらこの問題は、先ほど来お話のありまするように、相当専門的な事項にわたつて検討をいただく必要がありますので、そういう意味合いにおきましては、あまり少人数でもいかぬことは当然だと思います。各方面の専門の方にできるだけお集まりをいただくようなことも必要であります。さりとて、またこの種のものは、あまり多数お集まりを願いましても、適当な結論に到達しないきらいもありますので、その辺のところを考慮いたしまして、今後人数の点などもきめて参りたいと思つております。
  250. 福田昌子

    福田(昌)委員 この審議会のことはこの一点で終りますが、外国では医療関係の審議会というものは、医療関係人たちが過半数を占めておるということを聞いております。ところが日本のいろいろな医療関係の審議会を見ますと、よくつて三分の一程度の医療関係者の人員でございます。私は、今後こういうような点を改めていただきまして、医療関係の審議会におきましては、医療関係の担当者、こういう審議会においては、もちろん医師歯科医師薬剤師というような人たちで、委員の定員の過半数を占めていただきたいと思うのでございます。ことにこういう医療担当者におきましても、開業医の立場、あるいはまた開業しておられる薬局の立場に十分理解ある人たちをお入れいただくように御勘案いただきたいものであります。この点を強く要求いたしておきます次第でございます。  次にお尋ね申し上げたいのは、私どもは二十三年七月、ちようど有田委員と御一緒薬事法医師法の今行われております法律案を審議さしていただいたのでありまするが、それからまだ満三年もたつていない今日、またこういう法案の修正をやらなければならないというこのこと、しかも国民生活というものを考えてみますると、あのころと今日とは、こういう法律案の修正をぜひやらなければならないというほど、非常なる国民生活の変動を来しておるとは、私ども考えられないのでございまするが、それにもかかわらず、今日、厚生当局が参議院に出されましたようなああいう修正案をお出しになつて、しかもその修正案たるものが、二十三年七月に法律でおきめいただきました場合は、医師法におきましては、ことに医者の調剤権なるものは、従来附則にあつたものが、あの二十三年の改正によつて、本文に入つて来たのであります。ところがこのたび参議院にお出しになつ政府案というものは、医者の調剤権を本文に移したどころかそれとはまるで百八十度回転いたしましたあべこべの、調剤権は医者が持つてつてはならないというような御見解であるかのごとく、医者の調剤権を取上げて、しかも医者が調剤でもいたしましたような場合においては、三十三年からは三万円以下、三年以下の懲役に処するというような罰則規定があるような調剤権剥奪の法律案をおつくりになつたのであります。私どもといたしましては、第一に、なぜ国民生活の変動がないこの二、三年の間に、こういう正反対の法律案改正をなされなければならなかつたかということの一点と、一体厚生省当局は、医者に調剤権があるとお考えになつておられるのかどうか、こういうような点について、政府の御見解をお伺いいたしたいと思います。
  251. 久下勝次

    久下政府委員 そういう面からおつしやいますと、たしかにわずかな三年ぐらいの間に、あまり根本的な改正ではないかと言われれば、その通りであります。しかしながら今度の改正のきつかけになりましたのは、アメリカ薬剤師使節団の勧告というのが一つの転機になつておるのであります。その後、御承知のような経過を経まして、厚生省といたしましても、二つの調査会を設け、そうして長期間にわたつていろいろと審議していただき、厚生省自身もまたこの中に参画いたしまして、いろいろと検討を続けて参りました結果、今日こういうふうにすることが適当であるという結論に到達いたしたわけであります。  国民生活の実情に変化がないというようなお話もございましたけれども、当時、私は薬事法を御審議いただきます際に、御質問に対してお答えをいたしたものでございますが、その当時、ああいうふうな薬事法の二十二條の規定を設ける一つの理由として、言いかえますると、医薬分業をなぜやらないのかという御質問に対するお答えといたしまして、当時は戦後のことでもありまして、医薬品が統制をされており、薬局に参りましても、必ずしも医者の処方した薬があるということが言えないという実情があるということも一つの理由として申し上げたのであります。少くともそういうような点におきましては、国民生活ということは当らないかもしれませんが、わが国実情におきましては、大きな変化を今日来しておるものと思うのであります。それと同時にまたこの法律案は実施の時期を相当先に予定をいたしております。このことは、その間におきまして、国民一般にこの制度の精神を普及徹底することによりまして、十分理解せしめ得ると考えた次第でありまして、前の改正が三年前に行われました、けれども、三年後の今日におきまして、こういう方針を御決定いただくということは、いろいろな点から考えまして、決し七無理なことではないというふうに考えておる次第であります。     〔「うまいことを言うね」と呼ぶ者あり〕
  252. 福田昌子

    福田(昌)委員 まあ有田先生からおほめがありましたように、ある意味では非常にうまい御答弁であつたと思います。しかしそういうことは追究いたしませんが、ただ私のお尋ね申し上げました、医者に調剤権があるとお考えになつておられるかどうか、この点について御答弁を承りたいと存じます。
  253. 久下勝次

    久下政府委員 調剤権という言葉はいかがかと存じまするが、少くとも医者には調剤能力はあると考えております。
  254. 福田昌子

    福田(昌)委員 そういたしますと政府原案としてお出しいただきました法律案というものは、少しただいまの御趣旨にもとるかの感を持つのでございますが、その点いかがでございましようか。
  255. 久下勝次

    久下政府委員 その点は先ほどからいろいろと重ねてお尋ねがございましたので、お答えを申し上げた通り、医者に調剤能力があるとは申しまするけれども、しかしながら医師の主たる任務は、患者の疾病、傷痍を診断し、治療するということにあるのでありまして、一方におきまして、わが国がすでに七十年以前から薬剤師制度というものを、医師と併立して設けておりまして、薬剤師が調剤をやる、あるいは薬品の鑑定製造等に従事するという制度を、法において設けておるのであります。これは医学、薬学の進歩の結果、ますますその必要が感ぜられておるのであります。そういうような専門の業態が生れております限りにおきましては、そういう専門の方々が、専門の仕事に従つて行くということを、いつかははつきりときめなければならないのではないかと考えておつたのでありまして、そういう意味いにおきまして、薬剤師という専門の職業の方々がおられるわが国の医療制度のもとにおきましては、今日かような制度をとることがよろしいのではないか、こう考えた次第であります。
  256. 福田昌子

    福田(昌)委員 調剤能力云々の問題に対しましても、私これ以上お尋ね申し上げたいとは思わないのでございます。しかし厚生省当局が医者の調剤権、調剤能力というような問題をめぐり、外部的にはいかにも医者の調剤能力に対しましても、ある場合には調剤能力を医者が持つておるかのごとき御答弁もあるし、ある場合には調剤能力がないような御答弁もある。その厚生省当局の場合々々によつて非常に御答弁の内容に食い違いがあることに対しまして、私どもは非常に遺憾の念を持つておるということだけを申し上げておきたいのであります。どうか今後におかれましては、厚生省当局におきまして、そういうようなこまかな問題に対しましても、しかし重要でございますから、場合々々によつて見解の異なるような御答弁のないことをお願い申し上げたいのでございます。  それから私といたしまして、もう一つお尋ね申し上げたいのは、ただいまこの三年間の間に法律を大分、角度の違つた法律改正をやらなければならないということになつたのは、占領下でもある上、アメリカの薬剤師協会使節団の勧告にも基くことで、しかるべき筋合からのお言葉によるのも多分にあるという御暗示でございましたが、さようであるということを了承いたしますると、——しかしながらそういう前提に立ちましても、この法案だけではありませんが、占領下におきまする外部の力に対しまして、これは当然占領治下といたしまして、そういう姿において法案考えられるというような場合におきましても、私どもは厚生省当局とされましては、いかに敗けた国でありましても、少くとも自主権というものは持つておるはずでございますから、もう少し骨のある、自主性のある態度をこれからの法案に対してはとつていただきたいということも、あわせてつけ加えておきたいのでございます。  その次にお尋ねいたしたいのは、サムズ准将がこの医薬分業に対しましては非常に御熱心でございまして、サムズ准将の示唆によりまして、こういう分業のきざしが生れて参つたのでございます。日進月歩の世の中でございますから、サムズ准将の御意見に対しましては、私この際何も申し上げないのでございますが、ただサムズ准将の御意見に私どもが従順でありたいと思いまして、その御意見考えて行つておりますと、厚生省御当局におかれましては、そのサムズ准将の御意見の中でも、あるものは採択し、あるものはこれを踏みにじつて顧みないというような点がちよちよいあるように見受けるのであります。この点占領治下といたしまして、非常に私は遺憾に考える次第であります。たとえばサムズ准将の御意見によりますと、この医薬分業をやるべしの示唆を初め出されましたがそのころの御意見によりますと、現在の社会保険を改正することが望ましいことだということを言つておられるのであります。日本医者というものは、その専門家としての適正な報酬を受けていない、薬治料の名において、薬を売ることに、その商売の収入の主体があるような感を受ける、このことは医者が専門家としての待遇を受けていない、専門的な技術に立つての当然な報酬が規定されてないからだ。従つてこの医者の専門技術に対する当然の報酬の規定をまず考えてやらなけばならない、そういうことに関連して、社会保険も改正することが必要であるというようなことを、おつしやつておられるのでございます。政府当局におかれましては、この医者の専門家としての当然の技術報酬に対するこの点の改正、ひいてはまた社会保険に対しまする改正に対しまして、サムズ准将の示唆に対して、どういう御見解をおとりになつておられるのか、また今後どうなさるおつもりであるかということを、お伺いいたしたい。
  257. 久下勝次

    久下政府委員 最初は、御要望の点でありましたから、お答えする必要はないかと存じますが、私どもはサムズ准将から示唆を受けたことはありますけれども、占領下なるがゆえに、これに盲従したというようなことは毛頭ございませんことを御了承願いたいと思います。  それから診療報酬のきめ方でございます。医師の技術を生かして医師が技術によつて正当な報酬を受けるようにするということは、先ほど来問題になつておりますいわゆる新医療費体系を立てて行くのは、その点に重点を置いて考えておるつもりであります。臨時診療報酬調査会の答申も、さような精神が盛られておりますし、私どもとしても、今御指摘のありました問題を、公正に決定をして行くのが新しい医療費体系の任務であると考えておる次第であります。
  258. 福田昌子

    福田(昌)委員 ただいまの御答弁をお伺いしまして、まつたく私どもも同感に存じます。非常にけつこうな御答弁をいただいたのでございますが、同じサムズ准将のお言葉の中で、たとえば医者の報酬として薬代は百円、手術料は五円というようなことでは、これはおかしいじやないか、これは早急に訂正しなければいけないのじやないかということを申しておられますが、現実はすでにそういうふうにおかしな事態があるのであります。薬治料の方におきまして、サムズ准将の言われた百円、あるいはまた手術料の五円というような、これほどの開きがある場合もあり、ない場合もあるかもしれませんが、とにかく医者の正当な技術に対しては、相当安く評価されておるという点は、これは外人が見れば歴然とした点になつておるわけであります。ただ私どもは国内において麻痺した姿でいるから、その点はあまりふしぎに思わないのでありますが、こういう点を厚生省当局においては、早急に改正するお考えがあるかどうかということを承りたいのであります。
  259. 久下勝次

    久下政府委員 お尋ねの問題も新しい医療費体系をつくります問題として考えて行きたいと思つております。その主眼とするところは、やはりその点にあるのございます。ただ早急に改正をいたしたいのでありますけれども、何分にも非常に大きな、何百種類、何千種類という診療行為一つ一つにつきまして、それぞれ相互の技術の難易、あるいは所要時間、あるいはそれに要する材料費、その他万般のことを検討して参らなければなりませんので、できるだけ早い機会にいたさなければならないとは思つておりますが、結局は先ほど来申しておりますように、相当な日子を要するのではないか、言いかえますれば、愼重に検討をいたしまして、新しい法律が実施されますまでには、必ず結論を得まして、合理的な報酬を、医師歯科医師あるいは薬剤師が得られるようにいたしたいという考えでございます。
  260. 福田昌子

    福田(昌)委員 非常にありがたいお言葉でございますが、どうかそのお言葉を早急に実現できますように、なお一層の御努力お願い申し上げたいと存ずるのでございます。久下次長もたびたび御説明の中にお言葉がございましたように、新医療費体系というものを厚生省当局においても早急に実現するように考えておられる。その新医療費体系ができるまで、今日問題になつておりますこの医薬分業法案の実施は延ばしたい。その意味で三十年からの実施になつておるというようなお言葉に、今までの質問から私ども了承いたしておるのでございますが、この新医療費体系というものの検討、その逐一の具体的な解決こそ、まず第一に一日も急いでやらなければならない問題でありまして、その新医療費体系なるものができ上つたあかつきにおいてこそ、私どもはこの分業法案をお出しいただいても十分であつたと思うのでございます。それがいかにも本末転倒いたしまして、具体的なやらなければならないことがあとまわしになつて、今日こういう法案が出たということは、非常に手まわしのよい、準備がよろし過ぎた法案と、私ども考えておるのでございます。こういうりつぱな法案をお出しいただいておるわけでございまするから、厚生省局におかれましても、その中途の段階でありますところの新医療費体系、技術者に対しますところの適正なる待遇報酬、また諸般の事情に対しまする新医療費体系なるものを一刻も早く形づくつて、その姿を見せていただきたいと熱望するものであります。この点くれぐれもお願い申し上げておきます。ことに今日の社会保険は、いろいろな点におきまして不備が叫ばれており、改正が願われておるときでありまするから、この社会保険の改革にあたりましては、もうあすといわず、あさつてといわず、今日から即刻改革にとりかかるくらいの熱意を持たれまして、厚生省当局がこの新医療体系のためにあたつていただくことを熱望するものであります。  次にお尋ね申し上げたいのは、これは有田先生にはちよつとぐあいが悪いかと思いますので、ちよつとお耳をふさいでおいていただきたいと思います。先ほど調剤する場合に、薬剤師医者が調剤しないで、看護婦あるいはその他の補助の八が調剤しておるというようなことがあつたかどうか、これに対して取締つたかどうかというような御尋ねがあつたのでありますが、私どもといたしましては、同じような観点からいたしまして今日薬局に参りまして、たとえばお腹が痛い、あるいはまた頭痛がする、咳が出るということを申しますと、すぐに調剤をその症状によりましていたしておるのであります。これはいわゆる無診投薬であると私ども考えておるのでございます。こういうような薬局の親切な態度に対しては、やはり法律的には間違いであろうと思いますが、これに対して薬務局におかれましては、今までお調べになつたことがございますか。あるいはまた処置をおとりになつたことがございますか。
  261. 慶松一郎

    慶松政府委員 もちろん仰せのような点は、十分改めるべきことでございまして、それにつきましては、でき得る限りの取締りをやつておる次第でございます。
  262. 福田昌子

    福田(昌)委員 今度の薬事法の改正によりますると、薬剤師の方は処方箋によらなければ調剤することができないようになつたのでございますが、こうなりますと、当然今日の国民処方は御廃止になるお考えでございましようか。
  263. 慶松一郎

    慶松政府委員 国民処方につきましては、いろいろな機会で私御説明しておるのでございますが、これは従来ございました薬局売薬なるものの処方をまとめたものでございまして、これは一つの基準でございます。従いましてその国民処方に盛られましたところの薬を薬局におきましてあらかじめつくつておきまして、こういうものをほしいと言われますときにこれを販売いたすことは、法的に認められておるところであります。但し国民処方におきましては、非常に多くの種類がございますが、これの整理をしてはどうかという意見が、臨時診療報酬協議会あるいは臨時医薬制度調査会においてありました。これにつきましても厚生当局といたしましては、愼重に考慮いたしたいと存ずる次第でございます。
  264. 福田昌子

    福田(昌)委員 慎重に御考慮くださるという御答弁で安心いたしましたが、私どもといたしましては、現行のままの国民処方を存置されるということにつきましては、きわめて不満であるし、またきわめて不適当であると考えておるのでございます。そういう見解でございまするから、どうかこの意味厚生当局におかれましてもお考えになりまして、国民処方に対しましては、もつと厳格なる処置をおとりいただきますよう要望いたしたいのでございます。  それからもう一つお尋ね申し上げたいのでありますが、今日社会保険も赤字でございますし、国民の医療費の高低ということが、国民生活の非常に大きな問題になるわけであります。このことは、治療費の一つの経済的な分野を占めます製薬の値段にも、ある程度高い安いの影響が及ぼされて来なければならないと思うのでございます。そういう意味合いから申しまして、今日自由企業、営利的な企業になつておりまする、またさらに言葉をかえて申しますと、医者の企業とはまつたく違いまして、利潤がその間に入ります営利企業の製薬業なるものを、このままほうつておいては、私どもはいつまでたちましても、真に国民に利便を與えるような医療費になり得ないのではなかろうかということを、非常に懸念いたしておるものの一人であります。従つてどもといたしましては、製薬業に対しましても、ある程度の社会的な措置を御配慮願つておるものの一人であります。この点を強くお願い申し上げたいと思うのでございます。むだかもしれませんが、薬務局長の御見解をお伺いいたします。
  265. 慶松一郎

    慶松政府委員 それは国全体が社会主義的な進み方をするか、あるいは自由主義的な進み方をするかによつて、定まることであると私は存じます。現在医薬品の産業をまつたく国家的にやつておるのは、ソビエト・ロシヤを除いてはイギリスにおいてであります。それはイギリスにおきましては、社会保障制度が行われておりますがゆえに、その意味におきまして、製薬産業につきましても、相当高度な社会主義的な統制が行われておることを承知いたしております。しかし現在のわが国におきましては、御存じの通りの国家状態でございますから、従つてこの産業に対してそういう点において国家の統制を行うということは、これはできないことと存じます。しかしながら当然薬というものは、国民の病気に対しますところの診療部面に占めますそのウエイトが大きいのでございますから、でき得る限り安く、また正当な値において供給ざれることが望ましいのでございます。それには今日わが国の薬が、はたして世界的に見まして世界市場の価格に一致するやいなやということが、一番問題であると私は思います。その意味から見ますると、ある種の薬は、世界市場において比較いたしましてもきわめて安いのでございますが、ある種の薬は世界市場の市価に比しますれば高いものもございます。しかしこの原因は、必ずしも製薬——私は製薬会社のまわし者ではないのでありますが、製薬会社が、利潤を追求しておりますがゆえに、そうであるということは言えません。大体製薬の内情を見ますると、原料費その他がほとんど五〇%以上を占めておる次第でございます。従いまして今日薬の価格を支配いたします最も大きな点は、原料費の点にあります。従いましてわが国の化学工業が世界的水準に達し、大量かつ安いものが原料といたしまして供給されることが、薬を安くする上におきまして最も大切なことでございます。その意味におきまして、私ども関係の化学工業方面あるいは通産省とも連絡をいたしまして、原料をいかに安くするか、あるいはまた一面企業の合理化によりまして、いかに薬を安く生産するかということにつきまして、努力いたしておるつもりであります。なおわが国におきまして原料の高いものにつきましては、これを輸入するというような措置も考えておるのでございまして、お話の通り薬をできるだけ安く、また正当な価格でもつて供給されることにつきましては、できるだけの努力をいたしたいと存ずる次第であります。
  266. 福田昌子

    福田(昌)委員 そういう政策的なことになりますと、どうしても多少の見解の相違が出て参りますから、そういうことにはこの際触れないでおきたいと存じますが、ただ私が考えますことは、医療の社会化というものは、世界各国でやらなければならない状態にあり、日本もまた医療の社会化の方向に進まなければならない状態であるにかかわらず、その基礎の一部になる製薬業というものが今日のような状態では、たとえて申しますと砂上の楼閣のような感を持つのでありまして、非常に残念に思つておるのであります。これは政策上の問題になりますから、詳しく申し上げたくないのでありますが、ともかくも医療の社会化の一つの基礎を固める意味におきまして、いろいろな工夫勘案によつて、医薬品が少しでも安い価格において製造できるよう極力御配慮を願いたいのであります。今のお話によりますと、アメリカの薬品に比べて安いものもあり、高いものもあるということでありますが、たまに安いものがありますが、ほとんどアメリカの製品に比べますと高いのであります。こういうような状態でありますから、この点に対して薬務局員に一層の御配慮をお願いしたいと存ずるのであります。私ども国民の医療をあずかりますこの医療関係の仕事におきましては、何と申しましても、医者薬剤師歯科医師が協力し仲よくして国民の健康保全にお役に立つていただきたいと思つておる次第でありますから、今後ともこういうような仕事に対しては三者協力して仲よくやつて行くことを念願しております。そういう意味において厚生省当局におきましても、三者が気持よくこの仕事ができるような方向に今後とも一層御努力していただくことを希望いたしまして、私のただいまの質問は終りますが、あとからもう一、二点追加して質問させていただきたいと思います。
  267. 松永佛骨

  268. 青柳一郎

    青柳委員 いわゆる医薬分業問題を審議するにあたりましては、私は医師歯科医師側あるいは薬剤師側の観点からだけでなく、もつと広い国民一般の立場からこれを審議しなければならないと思うのであります。そういう意味におきまして、本日も医療費の問題がたびたびお話に上りましたが、これにつきましてまず最初に承りたいと存じます。  医療費につきましては、本日も大臣から現状と変化がないようにいたしたいというお話もありましたし、また医務局次長からもそう医療費に増減のないようにしたいというお話があつたのであります。私この問題を考えてみますのに、国民の医療費につきまして減るということは絶対ない。同じであるということもないし、やはり上ることだけしか考えられないと思うのであります。政府御当局におかれましては、この問題の審議を無事に進め国会を通過せしめんがために医療費の増減はないように努めると言われているとしか思えないのであります。医薬分業を実現させるのに一番熱心であつたあのサムズ准将でさえも、一%なり三%の値上りが行われるということを言つておるのであります。こういう大きな問題を取上げる際は、政府御当局の責任において、国民の医療費はどうなるものであるかということをまず考えてから、こういう案を出すべきであると思うのであります。はたして政府御当局におきましては、そこら辺につきまして、確たる御研究はなさらなかつたのであるか、これは根本問題でありますので、承りたいと思います。
  269. 久下勝次

    久下政府委員 お尋ねの点につきまして、かような席上におきまして確定的なお答えを申し上げるまでの検討は、今日までいたしておりません。しかしながら、すでにお聞き及びのことと思いますが、臨時診療報酬調査会におきましては、数千ページにわたる厖大な資料が各関係団体並びに厚生省から提出いたされまして、これらの資料を一つの材料といたしましていろいろな計算をいたしてみたのでございます。もちろんこれは調査会におきまして正式な検討を経た決定版と称するようなものにはなつておりませんけれども、先ほど私が申し上げましたように、一つの計算の措置でございます。要するに、結論として申し述べますと、国民の総医療費というものは今日出ているのであります。これを大幅に上げるということになりますと、多くの方々から御懸念のあるような社会保険の崩壊という危險もあるでありましようし、またひいては一般国民の医療負担に甚大な影響を與えることになります。私どもとしては、臨時診療報酬調査会の答申書の末尾にもございますように、今日の段階におきましては、医療費の額を上げないように、その範囲内におきまして医療費の合理的な配分をすべきである、こう考えておる次第でございます。但し、今申し上げたような関係でありますので、個々の診療行為につきましては、社会保険診療報酬体系などを十分検討いたしまして、そこに配分上の差別が出て参る、従つて個々につきましては、高い低いが出て来ることはやむを得ないかと思つている次第であります。
  270. 青柳一郎

    青柳委員 ただいまのお答えは先ほど大体承つたのであります。ある程度考えられたことがあるとすれば、またほかの方の設備についてでもよろしいのでありますが、医療費が上る場合に最高どの程度上るという計算が出ておりますが、その点につきましてお知らせを願いたいと存じます。
  271. 久下勝次

    久下政府委員 医師会の方からは、臨時診療報酬調査会に相当大幅に上るであろうというような御意見が出たのでありますが、これはしさいに検討いたしてみましたところ、現在相当広く行われております社会保険診療を、一般慣行料金並に上げるというようなことを前提にしての御意見のようでありました。そういうようなことでありますれば、医療費が総額において相当大幅に値上りを示すことは当然であろうと思います。私どもとしましては、先ほど来申しているような意味からなすべきではないというふうに考えております。総医療費の一・六%というものは、完全に医薬分業をしてしまつた場合のことを考えますと、医師の収入からそれだけのものが薬剤師の方に移るかつこうになります。どの問題をどうするかということが一つの問題でございます。実際問題として、医師としましてはそれだけの収入を得て今日まで生活して来ているわけでありますから、そういう点につきまして何らかの考慮を払うとすれば、幾分国民診療費の負担の増加が起るではないかというような程度には考えている次第であります。
  272. 青柳一郎

    青柳委員 政府御当局の御意見によりますと、値上りをしてもこの一・六%以上は絶対に上るはずはないという結論と承つてよろしいでございましようか。
  273. 久下勝次

    久下政府委員 上るはずがないというのではございませんので、先ほど来申し上げておりますように、社会保険の実情等から勘案をいたしまして、上げないようにやらなければならないという意味でございます。
  274. 青柳一郎

    青柳委員 先ほど来努力するするというお話は耳にたこができるほど聞いておるのであります。しかしこういう案を出された以上は、政府御当局としてもいろいろな観点から計算をしておられると思うのであります。そういう計算を通じまして、上るとしてもどのぐらいの程度までしかしらぬというようなことを承りたいと存ずるのであります。
  275. 久下勝次

    久下政府委員 これはあるいは申し上げ方が足りなかつたのかもしらぬと思いますが、こういう問題を検討いたします場合には、個々の場合の検討と同時に、全体の場合の検討をするというような立場が当然必要であろうと思いますが、実は私どもとしては個々の場合——個々の場合というのもいろいろの立場があります。個人々々の負担がどうなるか、これはおそらく実際問題として検討することはできない問題だろうと思います。しかしながらたとえば医師立場考えました場合に、内科の医者と小見科の医者、産婦人科と外科、そういうようなものはどうなるであろうか。これは私どもが新医療費を計算いたします場合には当然考慮しなければならぬことであります。実はそこまでは検討いたしておりません。と申しまするのは何回も申し上げて恐縮でありますけれども、要するに全体のわくがきまつておりまする以上は、そのわくの中においてこれを合理的に配分をするということ以上には考えられないわけでありまして、私どもといたしましては、そういう見解に立ちまして検討をいたしました結果、事実数箇所の国立病院などで実際につきまして個々の診療行為にまで検討を加えて見ておるのであります。そういうような点から考えまして、新医療費体系をその全体の国民医療費を上げない限度において十分できるであろうという相当の見通しは持つておるのであります。そういう限度で御了承をいただきたいと思います。
  276. 青柳一郎

    青柳委員 全体の医療費総額を上げないということにあまりに急になられますると、保険診療において厳重なる制限診療を行い、あるいは生活扶助の医療保護におきまして嚴重なる制限を設けるようなことにも相なろうかと思うのでございますが、その辺につきましてのお考えを承りたい。
  277. 久下勝次

    久下政府委員 その点につきましては私ども現状とかわりなく行くと思つております。もつとも現状におきましても審査等がございまして、その意味では一部からは制限診療になるのではないかというようなお話もございますけれども、これは見解の相違でございまして、審査をするということ自身は、私どもは必ずしも制限診療とは解釈いたしておりません。そういう意味合いにおきましては現状とかわりなく行き得るという考えでございます。
  278. 青柳一郎

    青柳委員 そういたしますと政府御当局の御意思といたしましては、各方面において絶対に制限診療を行わずして総医療費におきまして増加をいたすことがない、こういうように考えてよろしゆうございますか。
  279. 久下勝次

    久下政府委員 たいへんきつい制限を置かれての御質問でありまして、そういうふうなお尋ねでございますると、ちよつとたじたじといたしまして、自信のあるお答えができないので恐縮なのでありますが、私としてはおしかりを受けるかもしれませんけれども、一面におきまして医療の実体的な向上ということも考えなければならぬし、また一面におきまして多くの場合これと正反対の国民医療費の負担の制限というようなものも考え合せて行かなければならぬので、両々相まつて考え合せた場合に、結果におきまして絶対に制限診療もない、あるいは医療費の高騰もないというようなきついお尋ねでございますると、それにはつきりしたお答えを申し上げるだけの自信が今日ございません。考え方といたしましては、大体において現在の総医療費に差のないように、しかもその範囲内におきまして、現状に比較いたしますると相当に医療内容の向上をも期待できるようなきめ方ができるであろうというような程度で御了承いただきたいのであります。
  280. 青柳一郎

    青柳委員 この問題は、後に保険局長が見えました際になお質問をいたしたい。  次の問題は、国民立場からいたしまするとよい医療を受けたいのでありますが、この医療ということでありますが、さつきは薬剤の意義でもつて問題がありましたが、医療というのは大審院の判決によると、診療と治療の全部を含むものである、こういうことになつておるそうでありますが、さように考えてよろしゆうございますか。
  281. 久下勝次

    久下政府委員 さように私ども解釈いたしております。
  282. 青柳一郎

    青柳委員 医師法の第一條によりますると、医師は医療をつかさどる、こうあるのであります。診療、治療の全部をつかさどるのが医師である。しかるに治療の中のある部分、薬剤を調剤して、それを與えるという部分が薬剤師の業務ということになる。そうしますとこの医師法第一條は、どういうふうに解釈していいのかということを悩むものでございす。
  283. 久下勝次

    久下政府委員 医師法の第一條は、医師の一般的な任務を書いてあるものでありまして、私どもはこれを医師が全部やらなければ医師ではないというふうには解釈いたしておらないのでございます。医師は医療のうちの一部だけをやるというようなことは実際問題としてもあり得るのでありまして、それだからといつてその人のやつていることはいいのではない、またその人は医師ではないという考え方はいたしておりませんけれども、これは一般的な使命を善いたものであるというふうに御了承いただきたいと思います。
  284. 青柳一郎

    青柳委員 医師は一般的に申しまして、診療と治療の全部を受持つものである。ということになりますと、薬剤師の諸君が調剤してそれを患者に與えるということは医師の仕事に付属したものであるというような解釈がとられるような気がするのでございますが、その点につきましての意見をお聞かせ願いたい。
  285. 久下勝次

    久下政府委員 私どもはさようには解釈いたしておらないのであります。先ほどどなたかの御質問にもお答えを申し上げたのでありますが、医師は一般的に調剤の能力がある。従つて調剤をすることができるというように解釈をされておるのであります。しかしながらそれは薬剤師という制度ができまして、本来調剤の面については薬剤師がするべきであるという特別法がございます。従つて医師は特定の場合だけきり調剤ができないようにするというのが、今日の法律の建前であろうと思います。従いまして決して医師に付属するものではなくて、薬剤師の本来の知識技能に基きまして法律上さような権限が與えられておるものだ、こう解釈すべきものと考えております。
  286. 青柳一郎

    青柳委員 国民の側からと申しますか、国民が病気になつた、けがをしたという際に、それをなおす責任は医師にあるのか薬剤師にあるのか、あるいは医師だけであるかあるいは医師薬剤師と双方であるか、いかようにお考えになりますか。
  287. 久下勝次

    久下政府委員 責任の問題ということになりますと、これはどういうふうにお答えをしてよろしいのか、私は一口に申せば両方に責任があるとお答えた方がいいと思いますが、そうかと申しまして、処方箋の内容に不備があつて、その結果病気がなおらなかつたというような場合で、調剤そのものには何ら間違いがなかつたということであれば、その場合は医師に責任があつて薬剤師には責任がないと言えます。こういうふうな具体的な場合について個々について研究すべき問題であります。要するに医師薬剤師法律に基きましてそれぞれ特定の権能を與えられておる以上は、それぞれの立場においてその権能を完全に適正に行つて行くようにするという意味におきまして、双方とも責任があると解釈をいたしております。
  288. 青柳一郎

    青柳委員 医療の意義につきまして今御当局からお話を一応承つたのでありますが、私は医薬分業を厳密に強制的に法律でもつてわけるとすると、この医師法第一條をいじらなければならないという気持がまたするのであります。その点は時間がありますればなお研究をいたすことにいたしまして、次の問題に進みたいと思います。薬務局長にお尋ねするのでありますが、この医薬分業の制度ができるとすると、薬局には今までよりももつとよけいな薬を備えなければならくなると思うのであります。先ほどの御答弁によりますると、薬局の基準を設けた昨年の十二月までには、その基準に合うようにすべての薬局が実行したと思うというお話でありました。医薬分業制度を実施するとなりますると、この基準をかえなければいけないと思うのでございまするが、いかがでございましようか。
  289. 慶松一郎

    慶松政府委員 この薬局の基準と申しますのは、藥局におきまして調剤か十分にできるだけの基準でございます。すなわち薬局におきまする薬局の広さ、あるいは薬局に備えるべき天秤あるいはその他の計量器あいるは薬局の清潔さ等に関しましての基準でございます。従いまして薬局におきまして医者から処方がたくさん参りますと、それに対応するだけの薬を備える、これは当然でございます。しかしながらその薬の種類というものは非常にたくさんというわけではございませんで、これは先般も参議院で問題になつたのでございますが、大体普通のお医者さんの調剤室におきましては、お医者さんの好み好みがございまして、大体八十種の薬があれば間に合うという意見もあります。またそれ以下の種類でも間に合うことがございます。しかしながらこれが一般のお医者さんから薬局に処方箋が参りますと、どのくらいのものがあれば大体間に合うであろうかということの見当といたしましては、まず百四、五十のものがあれば、大体において間に合うという見通しがついておるのでございまして、そういうものを備えますことは、大して困難ではないと私は存じております。
  290. 青柳一郎

    青柳委員 そういたしますると、医薬分業制度が確立されますと、どの薬局にも少くとも百四十ないし百五十種類の薬は備えつけられる、こういうことになるわけですか。
  291. 慶松一郎

    慶松政府委員 さようでございます。
  292. 青柳一郎

    青柳委員 それは現在よりも相当多い種類になるわけでございますか。
  293. 慶松一郎

    慶松政府委員 御存じの通り現在の薬局におきましては、これは一面におきまして医薬品の販売業をやつております。そうしてその医薬品の販売業は、もちろん一般大衆に対しますところのいわゆる家庭薬のごときものでもございますけれども、また一面におきましては近所のお医者さんに対しますところの薬の供給もやつております。もちろんこれにはいわゆる卸屋あるいは問屋のごときものから直接お医者さんのところへ薬を納めておるものもありますが、また一面におきましては、近所の薬局からその都度必要に応じてお買いになるお医者さんもたくさんございますことから考えますと、現在薬局には大体の薬がございますから、従いましてそれを調剤室で調剤がただちにできるように備えるかどうかという問題を私は申し上げた次第であります。
  294. 青柳一郎

    青柳委員 この制度が実現されますと、患者さんといいますか、国民が薬をもらうのは、お医者さんからもらうことが多いか、あるいは薬局からもらうことが多いか、私にはどうも見当がつかないのであります。ことに今度の参議院の修正によりますと、患者が請求したときは、お医者さんからもらえることにもなつております。どちらの分量が多いか、実は私にはよくわからないのでありますが、この見通しにつきまして教えていただきたいと存じます。
  295. 慶松一郎

    慶松政府委員 これはわが国の文化がいかに進むか、すなわち患者あるいは医師あるいは薬剤師のおのおのの専門分野に対しまして、いかに良識的にこれを行うかという問題になると存じます。しかしながらこれを全然法律によらずして行つておりまするところの、すなわち自然発生的に行われるようになりましたところの米国等の例によりますれば、米国におきましては大体におきまして、都会におきましては約八割がいわゆる薬剤師の調剤に属し、三割が病院その他になつている。事実私は昨年アメリカに参りまして、お医者さんの診療室等も見たのでありますが、いわゆる個人の開業医におきまして薬を調剤しておるということはほとんどございませんで、ただ病院におきまする調剤がまず二割くらいという状態になつております。またこれを法律的にやつておりますところのドイツにおきましては、大体におきまして九割が薬局に参り、一割がやむを得ざる場合といたしまして、お医者さんから渡されておる状態であります。従いましてもしも啓蒙その他が適当に行われまするならば、大体それらの点に達するのではないかと私は存ずる次第であります。
  296. 青柳一郎

    青柳委員 その哲蒙がまだ完全に行き渡らない間におきましては、そういう過渡期におきましては、お医者さんも薬を備えつけなければならない、薬局の方も薬を備えつけなければならないということになりますと、実際にいらない薬を備えつけておる分量は、現在よりも非常に増すものと思いますが、その点についてはいかがでございましようか。
  297. 慶松一郎

    慶松政府委員 私はさまで考えないのでありまして、先ほども申しましたように薬局におきましては、お医者さんに納めますために薬を実際持つておるのでございますから、従いまして特にその点につきましてむだが生ずるということはあまりないと存ずる次第であります。
  298. 青柳一郎

    青柳委員 そういたしますと、現在ある薬局につきましては、別に今までよりよけいに薬を備えつける必要がないとすると、現在ある薬局につきましては、先ほどどなたかのお話がありましたように、別に新しく金融について努力をされる必要はない、薬を買い入れるための金融について努力をされる必要はないと思うのであります。ことに薬局の基準もできたということになりますと、そういうふうに考えられるのでありますが、その点いかがでございましようか。
  299. 慶松一郎

    慶松政府委員 私が先ほど金融について努力すると申しました点は、これは先ほど申しましたように昨年の十二月末までに薬局の整備をいたしまして、今日事実皆さん方都会におきましても、あるいは相当ないなかにおきましても、薬局が非常にきれいになつたということをごらんになることができると存じますが、それらに対しましていろいろ金融上のあつせんをいたしたことを申し述べたのでございまして、大体において今の薬局はその点相当な向上をいたしたと申してもさしつかえないと思います。しかしながらもしも今後ますます処方箋等が参りまして、薬局におきましての調剤がふえますならば、なお薬局の設備をますます改良する必要があると存ずる次第であります。
  300. 青柳一郎

    青柳委員 私は医療費の問題について、政府当局の御意見を承りたい点を残しておるのでございますが、そのほかにももし時間があるならば、なお承りたい点があるのであります。しかし時間の関係もありますから、次に讓つていただきまして、一応私の質問はこれで終ります。
  301. 松永佛骨

    松永委員長 なお本件に関連しまして、寺島委員より御発言を求められておりますからこれを許します。寺島君。
  302. 寺島隆太郎

    ○寺島委員 私はごく簡単なことについて、ただいま医療内容をよりよく向上し、かつそれがわれわれ大衆に低廉に與えられる措置を善処するというお約束をしました久下さんと、ソビエト並びに英国の製薬制度を引用せられて、わが国の製薬業の将来に興味深い御判断を、同僚であります社会党の委員にお與えくださいました薬務局長にお尋ね申し上げたいのであります。私はつらつら拜聴いたしておりまして、医薬品の質の向上、しかもそれが低廉ならしめる措置の一環として、どうもふに落ちないのは、毎日の商業新聞紙上に現われておりまするおびただしい薬の広告でございます。私がかつて厚生委員長をいたしておりました当時の、きわめてこれは雑駁なる調査でございますが、ある有名なる全社に参りまして調査いたしますと、約二割というものが広告費に消えており、なお一割というものが包装費に消えておる。病院においてべツドに伸吟いたしておりまするぜいたくなる患者は別といたしまして、夕日さす裏長屋に、與えられておりますパスの一滴の中にも、あるいはビタミンの中にも、三割近いマージンがとられておるという、このわが国の医療体系なり製薬体系の骨格構造に、若干の矛盾を感ずるのでありますが、こういう問題については、すでに他の委員より質問せられたことであろうと存じますが、いささか大衆の一人といたしまして、ふに落ちませんのでお伺いしておきたいと存じます。
  303. 慶松一郎

    慶松政府委員 医薬品の広告につきまして申し上げたいと存じます。医薬品は当然ある程度の広告なり宣伝、あるいはそれに対しまするところの啓蒙をいたしませんことには、一般人並びにお医者さん方の了解を得ること、あるいは知識を得ることは困難でございます。その意味におきまして、医薬品の広告がなされますことは当然でございます。そこで医薬品の広告なるものが、はたして製造費あるいは販売費の中でどれくらいの割合を占めておるかということが、一番問題になる点でございますが、詳しい点は別にいたしまして、ごく簡単に申し上げますならば、医薬品の販売価格の六%が広告費に使われておるということが言えます。広告宣伝に使われておる次第でございます。これはアメリカ等におきましては、もつとはるかに高い率のようでございます。しかしながら一面におきまして、この医薬品が広告されますことによりまして、それに対しまする認識が使用者側にできますことによりまして、またこれが使われる量も多くなる、従つてそれによつてその価格も当然下るということも考えられる次第でございまして、それらの点から考えまして、医薬品の広告は、適正なる場合におきましては、これは当然認められることと存じます。  なお医薬品の広告につきまして、これが誇大にわたるかあるいは虚偽にわたるかというような問題は、これは薬事法によつて取締つておる次第でございまして、その点に関しましては、私どもといたしましては非常に厳重にやつておる次第でございます。今日広告に対しまして政府の取締りがございますのは、薬あるいは化粧品あるいは医療用の用具だけでございまして、特に医薬品につきましては、これが国民の治療上に與えます影響を考えまして、十分なる取締りをいたすべく努力いたしておる次第でございます。なお薬の広告が一般新聞あるいは雑誌等に出ております点で非常に目立つのでございますが、これは経済的に考えてみますると、お医者さん等のところへ宣伝文等を発送いたしますよりも、直接新聞紙等に広告いたします方が、それに費しまする費用に比較いたしまして、すなわちお医者さん等に直接宣伝いたしますよりも、はるかに安く、かつ効果が上るという数字も出ておる次第でございます。
  304. 松永佛骨

    松永委員長 質問は通告順により次は堤ツルヨ君でございますが、どうなさいますか、七時前になりましたが、暫時休憩にいたしますか、引続いて質問を続けますか。     〔「休憩々々」と呼ぶ者あり〕
  305. 松永佛骨

    松永委員長 それでは暫時休憩いたします。     午後六時四十六分休憩      ————◇—————     午後八時三十四分開議
  306. 松永佛骨

    松永委員長 休憩前に引続き会議を再開いたします。  医師法歯科医師法及び薬事法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を続行いたしたいと存じます。
  307. 堤ツルヨ

    ○堤委員 私は他の委員から相当たくさんの御質問がありましたので、なるべく重複をいたさないようにいたしたいと思いますけれども、あるいは問題によりましては重複するということを知りながら、重ねて御質問申し上げるかもしれません。その点ひとつ皆様ごしんぼう願いたいと思います。  戰中戰後を通じて日本人は実に耐乏に続くところの耐乏生活を続けて参りまして、一般大衆は今日では自分の健康保持の問題について、社会生活をいたします上に、自分の健康に自信がないというような人たちが非常に多いのでございます。ことに勤労階級の中には、自分の健康保持と経済生活というものから来るところの恐怖というものは、非常に大きな悩みになつておるのでございますが、この苦しい経済生活に追い込まれて参りました大衆の医療費負担というものは、一たび家族の中に病人を出しましたなら、もはやそこの家計は破綻に瀕する状態に相なつておるのでございます。こう考えて参りましたときに、私たちがこの法律を審議するに当りまして最も愼重を期さなければならないのは、青柳委員がおつしやいましたように、やはり一般大衆の利益擁護を中心に考えなければならないということであろうと思うのでございます。この点に関しまして医務局次長並びに保険局長などに各委員から御質問があつたのでございますが、どの局長も、また次長も、この点に関しては確たる自信を持つて答弁になつておるように私伺えないのでございます。要するに福田委員も申し上げましたが、医療報酬に対するところの具体的な結論が出されておらない、この大切な前提をたな上げして、そうしてこの圧力のかかつた自主性のないところの案を出された政府の責任を私は追究したいのでございます。先ほどからの御答弁なかなか苦しそうでございますが、政府ははたして——医務局長並びに保険局長ども大切な重任にあられると私は思うのでございますが、この点に関しまして、今の段階におきまして皆様方はこれに対して反省をなさつておられるかどうか。
  308. 久下勝次

    久下政府委員 医療報酬の問題につきまして一般的な関係を持つておりまするので、私から先にお答えを申し上げることにいたします。先ほど来申し上げておりまするように、具体的にどうなるというような数字についてのお尋ねがございましたので、若干言葉を濁しておるのでございまするが、私どもといたしましては、先ほど来申し上げておりまするように、この問題は医療報酬をいかにきめるかという、きめ方の問題に一にかかつておると思うのでございます。上げるようなきめ方をすれば上つて参りまするし、また下げるようにしようと思えば、無理をすれば下らないこともないというくらいに考えておる問題でございますが、基本的な方針といたしましては、全体の国民の医療費負担を上げないという建前で、具体的なきめ方をして行きたいという方針でおるのでございます。ただそういう場合に、つつ込んでそれじや絶対に上げないかというお話がございますので、これはもう少し検討してみませんと、絶対にというようなことに対しては、言葉を濁さざるを得ないということを申し上げておるにすぎない。方針といたしましては、これは絶対にということも可能な点がないともいえないというふうに思つている次第であります。この程度で御了承いただきたいと思います。
  309. 堤ツルヨ

    ○堤委員 それでは次長は、一般大衆のこれに対する輿論というものをどういうふうに認識なさつておるか。
  310. 久下勝次

    久下政府委員 一般の大衆は、分業をすれば医療費が上るのではないかという懸念を持つておられる方が相当多いと考えております。しかしながら、これは先ほど来申し上げておるような点につきまして十分な御理解をいただけないことに起因するのではないかと思うのでありまして、要するに総わくをきめてかかるということでありますれば、おのずからその範囲内においていかにきめるかということになるわけでございますから、その点は先ほど来くどく申し上げておりますように、上げないようにきめるか、あるいは下げるようにきめるかというような、きめ方の問題にかかつているというふうに御了承いただきたいと思います。
  311. 堤ツルヨ

    ○堤委員 少し答弁があいまいなようでございますが、非常に自信のない次長が、一般の大衆の輿論は大体において強制医薬分業をやれば、医療費というものは上るであろうというところの輿論が多いのではないかという結論を持ちながら、この案をお出しになる前に、厚生省としてはもつとデーターを持つての大衆への事前啓蒙と申しますか、そういうものをなぜなさろうとなさらなかつたか。
  312. 久下勝次

    久下政府委員 上りはしないかという懸念を持つておられる方が多いようだと申し上げたのであります。私どもといたしましては、こういう制度的な方針を、国会の意思におきましておきめいただくということが、具体的に診療報酬を定めて行くための大きな前提になると考えておるのでございます。こういう数字が出たからやれるとかやれないとかいう性質のものでなくて、そういう方針をおきめ願つて国民の医療費をそう上げないように計算をしろというような御決定をいただきますならば、私どもとしては、むしろその線に沿つて作業ができる、こう考えておる次第でございます。
  313. 堤ツルヨ

    ○堤委員 二、三日前にこの修正案が参議院を通過したのでございますが、一般大衆はこの修正案と原案とに対してどういう認識の相違を持つておるかというような見当をおつけになります
  314. 久下勝次

    久下政府委員 これはこの結果をおそらく大衆は御存じないと思います。どういうふうな批判をするかは何とも私どもとしては申し上げられないのでありますが、ただ参議院厚生委員会におきまして御審議をいただいておりまする際に、多数の方々から、また各界の方々からいろいろな御意見を私ども一緒に拝聴させていただいておりましたので、そういうところから察しますると、参議院厚生委員会におきまして修正案を提出され、それが参議院を通過いたしましたこのただいまの議案につきましては、多くの方々が賛意を表せられるのではないかという考えでございます。
  315. 堤ツルヨ

    ○堤委員 この問題は医薬両専門家の方々に重点を置くのではなくして、一般大衆というものが中心でありますので、当然盛り上る輿論というものができまして、そうしてこの法律ができ上るのが、私は順序であろうと思うのでありますが、不幸にしてその過程を踏んでおりません。でありまするので、私は一般大衆の認識に対する厚生省の御認識を承つておいて、そうして今後この一般大衆に対しては、どういう手でもつて啓蒙し、指導して行こうとしておられるか。また具体的な案がありましたならば、お示しを願いたいと思います。
  316. 久下勝次

    久下政府委員 私どもといたしましては、さきに二つの調査会を設けまして、各方面の御意見がそれに反映されたことと信じておるものでございます。と同時に、私どもなりの判断をいたしまして、あの原案提出いたしましたわけでございます。同時に、これは国権の最高機関であり、国民の意思を反映するこの国会におきまして十分御審議をいただくことによつて、私どもはその線に沿つてこの問題が決定されますことが、同時にまた国民大衆の御理解も得られるのではないかというような趣旨に理解いたしておるものであります。御決定をいただきました後、これを執行して参りますのは、私どもに與えられました責任でもございまするし義務でもございまするので私どもといたしましては、関係各機関と十分連繋をとりまして、一般の大衆に十分な御理解をいただくようにいたしますと同時に、また各関係者医師歯科医師薬剤師に対しましても、同様の措置をとることによりまして、改正されますであろう法律案が十分徹底するようにいたしたいと考えております。
  317. 堤ツルヨ

    ○堤委員 私は希望として申し上げておきますが、一般大衆の認識は、医薬専門家の方々の認識から比べますれば、はるかに低いのでございまして、この点厚生省におかれましては、相当の費用を注いでまで啓蒙運動をおやりにならなければならないのではないか。これは将来のために非常に大切なことだと思いますので、どうかこの点をお願いいたしておきたいと存じます。  次に、私は処方箋を発行いたしまして、そして患者もしくは看護人が特別にこれを要求する場合に限つて医師はこれを調剤することができるというこの條項に対しまして、青柳委員からも先ほど御質問があつたのでありますが、私自身もこの修正になりました二十二條を拝見いたしまして、現在までの百パーセント運用されておらなかつた任意分業時代と、この修正されてからの実態とがどれほどの違いができるのだろうかというところに非常に疑問を持つのであります。青柳委員に対する御答弁では、厚生省の御見解を私少し把握しそこないましたから、この点もう一度厚生省の見解を承りたいと思います。
  318. 慶松一郎

    慶松政府委員 御存じの通り、現行薬事法におきましては、「薬剤師でない者は、販売又は授與の目的で調剤してはならない。但し、医師歯科医師又は獣医師が自己の処方せんにより自ら調剤し、又は薬剤師に調剤させる場合は、この限りでない。すなわち現行薬事法におきましては、これでおわかりになります通り、医者はすべて自分の処方箋によりますれば、いかなる場合でも調剤することができるのでございます。ところが、今般の改正におきましては、これははつきりと薬剤師が調剤すること——これは昔から当然そういう原則はきまつてつたのでございますが、その原則に基きます但書、すなわち例外規定が実際土ほんとうのことみたいなことになつてしまいまして、むしろ原則が例外みたいな状態になつているのが現在までの状態でございますが、これが今般の改正におきましては、はつきりと薬剤師でない者は調剤をしてはならない。しかしながらその但書におきましては、ごく限定された場合においてのみ医師はみずからの処方箋によつてみずから調剤することができることになつた次第でございます。すなわち、省令の定めるところにより診療上必要があるとされる場合、あるいは患者もしくはその看護に当る者が特に望む場合、あるいは省令の定めるところによりまして薬局の普及が十分でないとされる地域で診療を行う場合、この三つに限定された次第でございます。ところが、この但書のろちの第一並びに第三におきましてはこの関係がはつきり省令で定められる次第でございまして、その点は確固たるものができるのでございますが、この第二におきまして、患者またはその看護に当つている者が薬剤の交付をお医者さんからもらいたいということを希望する場合におきましては、患者もしくはその看護に当ります者の意思によつてこれが定められる次第でございます。従いまして、この場合にはある程度網を張つておいて、そこにかなり穴があるということが言えないではございません。しかしながらこの法律は原則を今回ますますはつきりした次第でございます。従いまして、この第二の場合におきましても、医師、並びに薬剤師あるいは先ほど来お話のございました、政府において一般大衆を啓蒙することによりまして、その点が徐々に是正されて行く、と申しますわけは、本来の原則に近づくことになると私どもは存じておる次第でございます。
  319. 堤ツルヨ

    ○堤委員 ただいまの局長の御答弁で大体理解できるのでございますが、私はこの條項を見ましたときに思いましたのは、ちようど私たち地方選挙を終えて再開国会に来たのでございますが、あの地方選挙をやりましたとき実にいやだつたのは、今度の公職選挙法でございますが、今度再開されました国会におきましては、あれを改正されるところの特別委員会を持つておりますが、あの委員会におきまして、私たちが前の選挙法の中で地方選挙を通じて、與野党、また選挙民も立候補者も、みながあげていやだと思いましたあの連呼、それからもう一つは戸別訪問でございます。その戸別訪問が、あの公職選挙法の中にどういうふうに書かれてあるかと申しますと、第何條でしたか、但書にして、但し知己、縁者に限り候補者自体がこれを訪問することはさしつかえないという條項が、あのしきりに行われた忌むべき戸別訪問になつたのであります。今局長が申されました通り、民度の低いこの大衆を啓蒙せずにおきましたならば、これはあれと同じような道をたどるべき筋合いのものではないかという懸念を持つわけでございます。今局長の御答弁にも、その点については努力するということがございましたので了といたしますが、法律というものはともすれば損得がついて参りますと、そうした方向に流れがちのものでございますから、ひとつ特にこの点は御留意を願いたいと思うのであります。現状以上に前進しないものであるというような結果に終らないように、厚生省においては御留意を願いたいと思います。  なお先ほど寺島委員から御質問がございましたが、今日の製薬事業の問題でございます。これはかつて委員会においても、わが党の岡委員が発言をいたしておりますが、規格も価格も手放しの自由競争の中にあるところの今日の薬の問題でございます。どんどん社会化の方向に医療制度を縛りつつある今日、製薬事業が手放しの自由競争であるといつた感があるこの矛盾は、先ほどの慶松薬務局長の御答弁を聞きますと、現在の自由党内閣において行われるところの日本の政治では、社会主義をとなえても社会主義的な政策が行われないのであるから、製薬事業においても現状よりはしかたがないというような御答弁があつたようと思うのでございますが、私は何だか薬務局長としてはあまりにも無責任な御答弁のように承つたのであります。この矛盾は今後ある程度の是正はするという誠意は示しておられたようでございますけれども、私はもう少し徹底した局長の態度を望みたいと思うのでございますが、この点いかがでございますか。
  320. 慶松一郎

    慶松政府委員 仰せまことにごもつともでございます。ございますが、私が申しましたことは、これは現在の日本のあり方のゆえにかくあるということを申し上げる次第でございます。しかしながら、たとえばただいま申されましたように、薬の規格というものには全然放任されておる次第ではございません。また製薬業というものがまつたく放任されておる次第ではございませんことは、薬事法をごらんくださればよくおわかりになることと存じます。すなわち薬事法におきましては、製薬をいたしますには厚生大臣の許可がいります。また登録をする必要がございます。しかもそれには一定の基準がございまして、その基準に適合しないものに対しましては、登録あるいは許可が與えられておりません。また許可と申します意味は、結局薬といたしましてこれがきくということが認められたい限りは、これを売りますと、つくりますことを認められておりません。また薬事法の中には薬の規格に対しまして厚生大臣がこれを定めることができまして、しかもその定められました規格のものにつきましては、厚生省におきましてこれを検定することができます。また事実その規格に合いませんものにつきましては、販売の停止あるいはその破棄あるいは回収等を命ずることもできますし、事実今日におきましては、大部分の薬につきましては厚生省におきましてその品質について試験検査をやつておる次第でございます。従いましてそれらの点から申しまして薬の規格については嚴重な制肘がある次第でございます。  なお価格の点につきまして、現在価格に対しまして、特に予防接種等に使いますところのワクチン等につきましては、マル公価格の設定がある次第でございますが、これは国家が法令によりまして予防接種をやらしておる。従いましてその意味におきまして適正なる価格をもつて供給する必要があるからでございますが、今日価格の統制に対しまするところの法令は臨時的なものでございますから、これにかわる法律が出ません限りにおきましては、原則といたしましては薬の規格は野放しになる次第でございます。しかしながら薬におきましてはまず良貨が悪貨を駆逐するということが大体原則であると存じます。と申しますわけは、きかない薬あるいは悪い薬につきましては人々がだんだん使わなくなります。従いましてその意味におきまして薬の品質というものが一番重要なものになる次第でございます。なお一面薬につきましてはひとり国内の問題ばかりではなくして、比較的少量で相当な価格をもつて輸出ができるという点から申しまして、わが国の産業におきましてその薬自身がになつております使命がまた相当大きいものがある次第でございます。それらの点から考えまして、先ほど私が申しましたように、輸出の点から申しましてもこの価格が外国の価格との差がきわめて小さくなる、あるいは外国のものに比べまして安くなるということが必要でございます。ところが戰争前におきましては、わが国の薬はその品質が非常によく、まだ価格が低廉であるという意味をもちましてヨーロッパまでも輸出されておつた状態でありますが、今日は先ほど私が申しましたように、原料高等の原因によりまして、あるものによりましては外国品に比べまして高いものもございます。しかしながらそれをいかして安くするかということにつきましては、私どもはできるだけの努力を続けておるものでございますし、また将来ともその点につきまして努力を続けたいと存じておるものでございます。  なおただいま福田委員がおいでになりませんが、先ほど福田委員お話では、アメリカの薬に比べて日本の薬が大体において高いというお話でございましたが、どの程度の御資料をお持ちか存じませんが、私はそれにつきましては新聞あるいは日本医師令の機関誌等に、米国と日本の薬の比較の表を出しております。それによりましても、日本の薬とアメリカの薬とを比べまして、日本の薬がもちろん高いものもございます。それらにつきましては先ほど来申しておりますように、原料高のため等の理由がはつきりしたものでございまして、そういう点から申しましても、日本の薬が特に外国品に比べて高いということは言えません。しかし現在の国民生活の水準から申しますれば、このものがより安くなることがもちろん望ましいのでございまして、その線に沿いまして私どものみならず、製薬業界に対しましてもその点の努力を要望いたしたいと存ずる次第でございます。
  321. 松永佛骨

    松永委員長 なおただいまの質問に関連して金子與重郎君より発言を求められておりますから、これを許します。金子委員
  322. 金子與重郎

    ○金子委員 ただいまの堤委員の質問は非常に適切な問題で、かんじんなことでありますので、私関連質問と申しますか、むしろこの際お願いしておきたいと思うのであります。この薬事法にいたしましても、医師法にいたしましても、いわゆる医薬分業の問題、この問題は、国民の根本的な生活の問題であり、しかも社会保障に進む一つの段階として、医者薬剤師も、いわゆる一つの社会主義的な感覚から、どうしてもそういうふうな無理をせなければならぬという考え方が多分にまじつておると思うのでありまして、そういう点につきまして薬剤師医者がいかに努力いたしましても、一方に製薬会社が自由経済の中に立つて薬務局長の今の御説明も一応わかりますけれども、われわれが常識で基礎薬だと思われるようなものに対しましても、毎日の新聞に何方という広告料を払つて広告を出しておるという、実に自由主義的なことがあるのであります。今の経済ではどうしようもないと言うかもしれませんけれども、しかし今の経済でも、百姓はちやんと米を統制で売つておるのであります。でありますから、食糧に準ずる薬でありますからして、今の段階ではそうよりしかたがないと言うけれども、今後の行き方については、少くとも食糧等の基礎生活物資の統制をする面がある限りは、この薬の面に対しても、国家は生産費以上をむさぼらないように、ときには公定価格をつくる必要もあろうし、そういうふうな考え方で今後進んで行くことが私は大切だ、こういうふうに観測いたしておるので、はなはだじやまなことでありまして御迷惑だと思いましたが、堤委員の質問をもう少し強く裏づけるために、一言薬務局長見解をお聞きする次第であります。
  323. 慶松一郎

    慶松政府委員 仰せのことはまことにごもつともなことでございまして、それに関しまして臨時診療報酬調査会におきましても、附帯決議をいたしておるのでございます。すなわち医薬品の改善に関する決議をいたしておりまして、その趣旨といたしますところは、医薬品の品質をますます高め、そうして虚偽あるいは誇大広告をやめ、広告の低廉化をはかり、そうしてまた経営の合理化をはかり、かつ政府におきましても低利資金の融通あつせんに努める等、価格の低廉を期すべきであり、さらにまた医師歯科医師の指導のものに使用すべき医薬品を一般公衆のため広告するごときは、公衆衛生の見地から愼重な考慮が払わるべきである。こういう決議がありましたので、ての線に沿いまして、私どもといたしましてもできるだけ努力をいたす所存でございます。
  324. 堤ツルヨ

    ○堤委員 ただいま金子委員からの補足がございましたが、私たちがおもな朝日、毎日あたりの新聞を開いてざつと調べてみますと、一日に三百八十万円くらいの広告料が使つてあるというような日はざらにあるのであります。ただいま局長は、そうしたきめによつて監督を十分しておるとおつしやいますけれども、私たちの目から見れば、今日の製薬業者というものは、やはり手放しの自由競争の中に置かれておると言つても、決して過言ではないと思うのであります。御存じの通り、国民の医療負担はすでに限界点に来ております。この医療負担の軽減の問題、限界点に参りましたところの健康保険並びに国民健康保険などの問題を勘案いたしますときに、これは單に薬価の問題だけを論議するだけで片のつく問題ではございません。私に言わしむれば、これは一日も早く社会保障制度を実現することによつて、医療の国営化、社会化によつて根本的に解決しなければならない問題でございますけれども、今日の自由党内閣のもとにおいでは、答申案はたな上げされて、今日たとい最低限においても社全保障制度を実現されるというところの誠意さえ披瀝されない現段階でございます。この限界点に参りましたところの医療負担の問題を、少しでも大衆利益の擁護から救おうといたしますならば、何とかしてこの医療負担を引下げなければならない。これをつつ込んで行けば、大きな支柱身なすものにやはり薬価の問題であるという結論になりまするがゆえに、私はこの点を特に局長にも力説するのでございます。十分取締りをしておると申しておられますけれども、今日の製薬業者に対するところの厚生省の監督が現状のままでありましたならば、社会化の方向に進みつつあるところの医療制度に逆行するところの監督方法であるということを申し上げまして、私は強く今後の監督をお願いいたしておきたいのでございます。  なおたくさん質問いたしたい要項をここに持つておるのでございますが、委員長から、あまりあなたばかり質問しないで順番にまわしてやつて、そうして保留をしておいてくれという申出がございます。私はおとなしく委員長の申出を聞きまして、決して私の質問が終つたのではないということをはつきりいたし、まだ幾多の質疑内容を持つておるということを申して、ここですわりまして、次の方に譲りますが、ひとつここで質問が終つたという誤解をなさらぬように願います。
  325. 松永佛骨

    松永委員長 なお先ほど青柳委員の御質問中平澤政務次官、安田保険局長に対する御質疑が、そのとき御出席がありませんでしたために保留されております。ただいま平澤政務次官、安田局長ともに御出席でございますから、この際保留された質疑を行つていただきたいと存じます。
  326. 青柳一郎

    青柳委員 私はただ一点伺いたいと思うのであります。医薬分業の問題を審議するに際しましては、主として医療を受ける国民立場に立つてこれを考えなければならないという観点から申しまして、医療費の問題が一番大きく取上げられなければならないと存ずるのであります。ことに七十年来にわたる医薬分業の問題をこの際解決するために、政府からかかる法案を出されるに際しましては、相当の御準備があつてしかるべきである。こういう場合にはこれほどの医療費が上る、こうなれば下る、こうなれば同じであるという程度の仮定のもとでもよろしゆうございますが、その程度の計画性といいまするか、計算を出して、その上でこの法律案をお出しになるべきであると私はどうしても思うのであります。そういう観点に立ちまして、本日たびたび同僚諸君の御質問もございました。それに関連して私も御質問をいたしました。そうして大臣から得られた医療費が上るかどうかということについての答弁は、医療費は現状と変化なきようにしたい、こういうのが大臣の答弁でございます。しこうして久下次長答弁によりますると、国民が使つておる医療費総額、これにかわらないように努力をしよう。しかも私がなおお尋ねいたしますところによりますると、総額をかえないようにする。かえないようにするならば、制限診療をするのではないかと申しますると、そうではない、ますます医療はよくしよう、こう言われるのであります。私の考えをもつてすれば、あのサムズ准将でさえも、医薬分業を行えば医療費は高まる、こう言つてつたのであります。私はどうしても高まると思うのであります。しかし当局はその御準備がない。しこうして、追つてお尋ねいたしましても、同じようにする、同じようにすると、ただ医薬分業の案を通すために汲々としておられるのであります。ところで私が御質問をいたしたいのは、現在の社会保険、ことに短期医療給付——健康保險、国民健康保險並びに船員保険などの短期給付を含む短期医療保険はすべてが破綻に瀕しつつあるではございませんか。もうすでに破綻しておるのでございます。この際に医療費が高まるということは、ただいまも堤委員から御質問がありましたように、社会保障制度のどうしても一番先にやらなければならないといいますか、一番キイ・ポイントであるところの短期医療給付をますます窮境に陷れることに相なるのであります。それでもし政府がこの医薬分業を行われる際に、医療費を上げなければならないという窮境に陷つた場合には、現在社会保障制度において、われわれが要求しておりますように、医療給付費について国庫の助成を仰ぐ道がたければならぬと思うのであります。医薬分業を行われるについて、万一医療費が高まる際には、政府は必ずそれに関連して社会保険の医療給付費について国庫の助成を実現するというお約束を得たいのであります。その点につきまして政府御当局の御所見を承りたいと存ずるのであります。
  327. 平澤長吉

    ○平澤政府委員 お答えいたします。この法律の実施に伴いまする医療費の点につきましては、本委員会においてのみならず、各方面において非常に心配をしていられるということは、もつとものことだと私は存ずるのであります。この点につきましては、本委員会におきまして、先刻大臣から——ただいま青柳委員から申されましたように、答弁いたしたのは、すなわち現状と大差ないようにいたしたいという御答弁であつたことは、御承知の通りであります。同時に今青柳委員の申されますように、すなわちもしも医療費が総額において上るということになりますれば、各種の保険の問題、すなわち社会保障の問題等とも関連いたしまするところのその問題に対して、大いなる危惧の念を持たなければならないから、これは十分検討されなければならないというような仰せのように解したりでございまするが、これは現状において、青柳委員の仰せられますように、保險経済はまことに苦しいのでありまして、赤字を出しているということについても、わかつておるのであります。従つて前提といたしましては、政府においては現状と大差ないようなぐあいにいたしたいということでありますので、今の状況においても、これを何とかせねばならないということについては同様な意見でありまするが、これと関連いたしまして、この保険経済の問題に対しては、関連のあることはございまするが、別個の問題としてこれが解決に政府といたしまして実は苦慮をいたしておるというような実情は、お察しの通りであります。たとえば今仰せの給付費の一部国庫負担の問題も真剣に考えなければならない事柄であろうと存じておるのであります。従つてこれに対しては、私ども努力がまだ未完成ではありますけれども、以前の国会以来、この問題に対して関係方面と折衝をいたしておる事実は、御承知の通りでありまするので、私の答弁といたしましては、現状と大差ないようなぐあいにこれをきめて参りたい。しかしながら保険経済の面については、関連はありまするが、別個の問題としてこれを解決することのために努力して参りたいという考えでございます。
  328. 青柳一郎

    青柳委員 大体名答弁で了解せざる得ないのでありますが、次官は今現状と大差ないと言われたが、私どもは大差ないというところまでまだ譲歩しておらないのであります。大臣はかわりないと言われた。それから医務局次長は現在の医療費総額を上げないと言われたのであります。次官の今言われた大差ないということは、黙つておりますと、少しの差があつてもしようがないということを私が承認したことになる。それは私は困るのであります。少しの差でも出て参りますと、今倒れかかつているのですから、少し押しただけで倒れるのであります。どうぞかわりないというふうにおつしやつていただきたいと存じます。
  329. 平澤長吉

    ○平澤政府委員 ただいま青柳委員からお話がございました、私が大差ないと申し上げましたことは、私どもの日常使つておりまする言葉を不用意に申し上げたのであります。大差ないということは、そのときの場合におきまして、ほとんど同様なこともございましようし、仰せられるように、いささか高くなつたというようなこともありましようし、その点はひとつ私どものこういうような政治上の言葉として、あるいは常識的な言葉としてふだん使つておることに御解釈願いまして、御了承願いたいと思う次第でございます。
  330. 松永佛骨

    松永委員長 次は通告順により今野武雄君。
  331. 今野武雄

    今野委員 最初にごく簡単な問題からお尋ねしたいと思います。  政府から出されました改正案を見ますると、獣医の方は今まで通りでよろしい、それからお医者さんと歯医者さんの方は制限を受けるということになるのでございまするが、獣医と普通の医者とどうしてそういうように違える必要があるのか、その点をひとつ明確にお答え願います。
  332. 慶松一郎

    慶松政府委員 獣医と申しますものは、大体におきまして山奥あるいは農場その他に行く場合が非常に多いのであります。従いまして、その際には獣医はみずから薬を携えて行きまして、そこで飲ませるというようなことがきわめて多いのでございます。また獣医が使います薬は、その量から申しまして、また規格から申しまして、かなり違つたものがあるのでございます。従いましてこの薬の使い方等が、人間に使います場合とかなり違いますので、その意味におきまして、獣医には自己の処方箋によつてみずから調剤することを認めておるのでございます。大体これはひとりわが国の立法だけではございませんで、世界中いわゆる強制分業をやつております国々におきましても、そのような制度を持つておるのが普通でございます。
  333. 今野武雄

    今野委員 ただいまのお話よくわからないのです。地域がそういう不便なところというなら、医者の場合でもやはり制限から取除かれておるわけでございますから、そういう理由では獣医だけ別にする必要はないように思われるし、それから特別な量並びに質において云々というのですが、あまりにも抽象的過ぎてさつぱりわかりませんが、量が少いというのですか、多いというのですか。それからまた扱いが特に普通の薬剤師ではできないというのか。その点をはつきりと明快に御説明いただきたいと思います。
  334. 慶松一郎

    慶松政府委員 私が申しました意味は、獣医の関係におきまして最も問題になりますのは、結局馬あるいは牛の点が一番大きいのでございます。もちろん獣医が扱います動物は、ねこもございますし、犬もございますが、しかしながら、獣医が扱います動物として最も大きいのは、やはり牛と馬でございます。そしてこれらは大体におきまして農場あるいは牧場等の辺陬の地におるものが多いのでございます。しかもこれらのものは獣医のところに連れて行くということよりも、獣医自身がそこへ往診いたしまして、しかも獣医みずからこれに飲ませるということが普通であります。従来の習慣からいたしましても、一般の薬剤師がつくります薬や、薬局等で扱います薬よりは大体量が多いようでございます。たとえば錠剤等にいたしましても、非常に大きなものでございますし、また飲ませます量にいたしましても、非常に多い。こういう点からいたしまして、獣医みずからがこれをつくり、かり飲ませるということが普通である。しかも先ほど申しましたように、まず携えて行つてそこで飲ませる、あるいはそこに連れて行きましても、それに飲ませるということが普通である。こういうことからかくいたされた次第であります。
  335. 今野武雄

    今野委員 その点は了承いたしました。  次にやはり一番大きな問題は、これによつて一般の国民の医療負担が大きくなるかどうかという問題だと思います。先ほど青柳委員、堤委員等からいろいろ御質問があつたことでございまするが、重要な問題でございますので、重ねてお伺いしたいと思うのであります。  先ほど青柳委員心配しておられたように、最近においては健康保險などが赤字になつておる。しかもそれがじつととどまつたままであるのではなくして、料率をどんどん上げて、現在では世界的にも一番上つて、千分の六十という高い保險料率になつておるにもかかわらず、なおかつ赤字状態である。それでもなお間に合わないで、いろいろ制限診療をしなければならないということがお医者さん、患者さん両方から訴えられているわけであります。先日も保健医の方の集まりがございまして、そのときに、保険医のあの一点十円というのは三千七百円べースのころの話だ。しかも健康保險はすでに昨年から非常に多くなつておる。多いところは、八、九十パーセントも健康保険でやつておる。そのために税金もきちんきちんととられるし、とてもかなわないでつぶれて行く開業医がどんどんできている。そういうことが訴えられたのであります。その席上に自由党の吉武さんも出ておられて、そういう実情を聞きますと、十円ではかないませんから何とかいたしますということを言つてつたのであります。医者がつぶれて行き、制限診療もしなければならない。こういうような状態の中で、先ほどから聞いておりますと、幾らかでも医療負担がふえそうだ、こういうようなことが問題になつておるわけでありますが、はたしてそういうお医者さんがつぶれて行くとか、あるいは制限診療をしているという事実について、厚生省としてはどの程度に認識しておるか、そのことを重ねてお伺いしておきたいと思います。
  336. 久下勝次

    久下政府委員 御引例になりましたような事実につきましては、私どももたびたび耳にいたしておるのであります。この問題は、一方におきまして国民の医療費負担が限度に達しているという面と、同時にまた医療費関係で、特に医師歯科医師が生活に非常に困つているという両面からのお話でございましたが、私どもも実は非常にその点を苦慮いたしておるのでございまして、お医者さんの方からは、今のような医療費ではとてもやつて行けないから何とかしろと言われ、一方国民の医療負担の方からは、これ以上げることは絶対にできないというようなことで、二つの要望に対して非常に困つているのが実情でございます。あるいはまた医業に対する課税も何とか考える方法がないかというような御要望もありまして、常々そういう方面にも話合いをいたしつつあるような実情であります。実は私ども結果におきましては困つておるのでありまするか、お話の中にもございましたように、また先ほど青柳委員からもお話がございましたように、国民の医療費負担、特に社会保険が今日のように普及をいたしておりまして、その保險料がほとんど国民の負担力の限度に達している場合におきましては、先ほど来私が申し上げておりまする通り、お医者さん側からの御要望はありましても、そうした全般の立場から見まして、医療費の総額において上げないという限度におきまして診療費の採用をいたさなければならぬというふうに考えている次第であります。
  337. 今野武雄

    今野委員 大分時間も経つているようですから、今の問題だけを伺いましてあとに延ばしますので、もう少し伺わせていただきたいと思います。今のお話を聞いていると、つまり開業医の方がつぶれるような状態になつて行く、これは医療費を上げないという建前から行けばしかたがない、こういうふうに聞こえのてすが、そう承つてよろしいのですか。
  338. 久下勝次

    久下政府委員 それのみを申し上げたつもりではないのでございまして、一つには、私が申し上げた通り、医業に対する課税の問題につきまして何か特別な考慮を払えるようにできないであろうかというようなことも、この問題を打開する一つの方法ではないかと思つているのであります。開業医がつぶれて行くということは私ども耳にいたしておりますが、今この問題を究極的に解決する名案を考え出すことはできない状況で、実は苦慮いたしておる場のであります。
  339. 今野武雄

    今野委員 ただいまお話の税金のことを考慮するということは、これは真剣になつて今交渉でもなすつているのですか。
  340. 久下勝次

    久下政府委員 真剣に考えて交渉いたしております。これはもうずいぶん前から医師会、歯科医師会等と協力をいたしまして、国税庁などとも話合いをいたしているわけでありますが、結局よい結論を得られないという段階であります。
  341. 今野武雄

    今野委員 先ほど来話がありましたが、医療費を上げないために製薬会社の利潤に制限を加えるとか、そういうお考えは少しもないのですか。その点も簡単に伺つておきます。
  342. 慶松一郎

    慶松政府委員 お言葉でありますが、その点につきましては、社会保障制度その他において、何らかの考え方がされない限り、現在の状況におきましては、その利潤等に対する制限はできないと私は存じます。
  343. 今野武雄

    今野委員 製薬会社のことを申すようですが、ことしの春に天然痘がはやつたときにも、伝研ですかどこですか、たいへん天然痘の種がたくさんあるのに、それを使つてはならないと言われたことが新聞紙上にも出ておりました。なぜかというと、それは製薬会社を圧迫するから困る、こういうことであつたように承知しておりますが、はたしてさようなことがあつたかどうか、お伺いいたします。
  344. 慶松一郎

    慶松政府委員 伝研のかつての東京の問題に関しましては、当時私は国会におきましても御答弁申し上げたと記憶いたしておりますが、それは新聞その他の誤解でございまして、当時におきましては、痘苗も相当ございましたし、また伝研が持つておりました量というものはきわめて微々たるものであつたのでございます。
  345. 今野武雄

    今野委員 それではただいま明後日、明々後日もできるからというお話ですから、この程度で中止いたしまして明後日にまた続けさせていただきたいと思います。
  346. 松永佛骨

    松永委員長 松谷委員から政府当局にただしておきたい一点があるとのことでございますから、この発言を許します。松谷委員
  347. 松谷天光光

    ○松谷委員 この法案の改正について各党の委員からの御発言の中で、ほとんどの委員意見が一致を見ておると考えられまする点は、医療費をこれ以上げないということであり、この点がまたこの法案改正に伴つて出て来る結果の重要な問題だと思うのでございます。それで先ほど青柳委員あるいはその他の委員からこまかく指摘されておりましたように、少くとも現状を維持してもらいたいという希望、またそれに対しまして政府御当局もできるだけ現状を維持して行きたい、大差なしにしたいというのでさえも、青柳委員からなお正確なお言葉を要請されるほど、この問題は非常に厳密に考えていただかなければなりませんし、それだけにまた国民の生活上に及ぼして来る影響も大であると考えるのでございますが、一方また福田委員の質問だつたこ記憶いたしますが、現状を維持したいと言われる久下次長の同じ御答弁の甲で、医療費に対するところの——具体的には処方箋料を上げられまして、医療費の再検討その他の問題も、福田安貞の御質問に対して相当考慮をしたいというふうな御発言もあつたと記憶するのでございますが、そういたしますと、現状を維持したいということと、こうした医療技術に対する新しい一つり医療価格の決定というような問題、あるいはそうした福田委員の御質問にもなお意に沿うたような価格を今後決定して行きたいと言われるその二つの内容の中には、矛盾するものがどうしても現実問題として出て来るのではないかということは、これは常識から考えて、どの委員心配されているところと思うのでございますが、今それを打開して行かれるいろいろの方法として、次長もあげておられました医療費の課税に対するところの考慮であるとか、あるいはまた青柳委員から指摘をされました国庫の助成をどうするかというような、この点について当局はもう少し具体的に熱意のある御考慮がなければ、医療費を現状で維持することはとても困難であると思うのでございます。ただ一片の御答弁をいただきたいのが私どもの希望ではなくて、これが実施された場合に、実際の上において、少くとも医療費は現状を維持するという結果を生み出していただかなければ、私どもは責任を持つてこうした法律の問題を取扱えないと思うのでございます。そうした点について特に私は次長に次の機会までに御答弁をいただきたいと思いますのは、その場合の国庫の助成を当局は一体どういうふうに考えておられるか、あるいはそういうことは全然考えられないで進めるのか、あるいはその点に関しては具体的にどのような手を今打ちつつあるかということまで、ひとつできるだけ詳細に明確に次の月曜日には御答弁をいただきたいと思います。できれば数字その他もさしさわりなければあげていただきたいという希望を申し上げておきます。
  348. 松永佛骨

    松永委員長 ただいまの松谷委員の御質問に対する御答弁は、これを明後日に持ち越すことにいたします。
  349. 松永佛骨

    松永委員長 次に参考人の選定の件についてお諮りいたします。本案審査の必要上、日本医師会、日本歯科医師会及び日本薬剤師協会等の代表並びに適当と認める方々参考人として、来る四日の当委員会に出席を求めたいと存じますが、以上の通り参考人を選定し、出席を求めた上で参考意見を聴取することとし、これに対する手続委員長に御一任願うことに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  350. 松永佛骨

    松永委員長 御異議なしと認め、そのように決定いたします。     —————————————
  351. 松永佛骨

    松永委員長 次に先刻当委員会に付託せられましたハイアライ競技法案議題とし、審査に入ります。まず提案者より趣旨の弁明をお伺いいたします。田中伊三次君。
  352. 田中伊三次

    田中伊三次君 ハイアライ競技法案につきまして、その提案理由を御説明申し上げたいと存じます。敗戦直後の混乱と無秩序からわが国の国情は今やだんだんに立ち直りつつありますことはまことに慶賀にたえないところでございますが、しかしながら敗戰の社会的変革によりまして、具体的に申し上げまするならば傷痍者、引揚者、戦災未亡人、孤児、貧民、老廃者等に対する救済保護の政策とその施設は、その企画と目的におきまして現在はいまだその半ばをも達していない実情にございます。さらに結核対策等につきましても、一段とこれを強化する必要を痛感する実情に置かれておるのであります。しかしながら国家再建の重大要件としてのこれらの事態をこのまま放任することは許されないのみならず、日本国の憲法に明らかにされております慈善と博愛の精神によりまして、これらの人々をあくまでも救済するところの社会福祉事業を急速に振起具体化することを必要と考えるのでございますが、昭和二十六年度における予算に現われたこの種の社会保障的な経費は、この目的を遂行するにはあまりにも貧困であると言わなければなりません。こういう点にかんがみまして、民衆に国際的な健全娯楽としてのハイアライを普及いたしまして、これによつて得るところの税収入を社会福祉事業、慈善事業、博愛救済事業、生活保護の事業、結核対策事業等の諸経費に充当せんとすることが、ハイアライ競技法案提案理由でございます。  なおこのハイアライ競技はスペインの国技でございまして、どういう形式においてこの競技が行われて行くかというような諸般の説明につきましては、委員長の御下命によりまして各種の資料とともに図解、写真、競技の用具等をここへ持参をいたしまして、追つて詳細の御説明を申し上げたいと存じます。簡単にお許しをいただきまして提案理由の御説明を申し上げましたような次第でございます。
  353. 松永佛骨

    松永委員長 次会は明後四日午後一時より開会することとし、本日はこれをもつて散会いたします。     午後九時四十四分散会