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今枝参議院法制局参事 今
修正案の話でございましたが、
修正から少し話がそれますけれ
ども、
先ほどお話の
財産権の
保障との
関係でございますが、法理的な私
どもの
考え方を一応申し上げてみたいと思います。と申しますのは、
仰せのようにもし
損害が生ずるような場合には、実際問題といたしましては、そういう
損害を與えないようにいたしますことが必要であると思います。従いまして、なるべくそういうことの起らないような
指示をし、またそういうことの起らないような
措置をして参ることが必要と
考えております。ただ法理的な問題といたしましては、この
覚醒剤というものは、その
性質上、この
法律で
規定いたしましたような種類の
業者しか
所有することができない。こういう
性質のものとして、この
法律で
規定いたされまして、またそうい
つた法律で一定の
地位を與えられた
地位がなくなりました場合には、これを適当な
方法で
処分しなければならないとい
つたような
制限を持
つた内容の
所有権としてのみ認められる。つまり
覚醒剤というものの
性質上、
公共の
福祉に適するように、この
覚醒剤の
所有権というものの
内容をきめて行かなければならないのだ、こういう要請から参
つておりますので、これは一応
憲法論といたしましては、
憲法二十九條の第二項で認められておりますところの
財産権の
内容は、
公共の
福祉に適合するように
法律で定める、この方に該当すると
考えられるのではないか、かように
考えておる次第でございます。つまり
覚醒剤の
性質上、普通の
所有権のように、無
制限な形の
所有権は、認めがたいものである。こういう
趣旨からいたしまして、この
法律でその
内容を限定して参る、こういう
趣旨でございます。従いまして、純粹の
法理論といたしましては、この
憲法で認められましたわくの中でこの
制限を置いているのである、このように
考えている次第でございます。最終的な
法理論といたしましては、許される
制限ではあるまいか、このように
考えております。ただ実際問題といたしましては、たとい
法理論として許されましても、さような
損害をなるべく與えないような
方法で処理して行くということが、ぜひとも必要なことであろうとは
考えておる次第でございますが、一応法理的な面の
考え方を申し述べました。