○今野
委員 ただいま
青柳委員から、具体的な例をたくさんあげられまして、そうして昨年の
地方財政の改革以来、特に今まで大して振わなか
つた児童保護の問題が、さらに困難を加えて来ておるということが示されておるわけであります。本
委員会の
調査によりますと、そういうように、
児童保護費、
措置費が未払い、または支払い遅延にな
つておる件数が、全国で七十四件ある。これは
調査漏れもあるかもしれませんが、ともかくその
程度ある。そのほか、
措置費がないために、新たに
児童を
措置したりするのを避けたり、あるいは
措置費を払いもどしする、そういう件数が二十三件もある。その他の困難な事情がたくさんに
調査されておるわけであります。そういうような非常に一般的な困難が、ここにおおいかぶさ
つて来ている。それに対して
河野主計局長並びに地財委の財務課長さんのお話を聞いておりますと、いかにも冷たいりくつを言
つておられるように、私どもには
考えられるわけであります。そういうような、
地方団体の
責任だ、これが原則だというようなことは、文部
行政においても、あるいはまたこの厚生
行政その他、一般の
国民が直接に今非常に困難な状態にあ
つて望んでいる
行政、そういう面では、もう非常に目立
つて出て来ているわけでございます。そうして厚生
委員会などでいつでも話にな
つていることは、結局厚生省の泣き言を聞くと、どうも建前としては
児童憲章というようなりつぱなものをやるんだけれども、しかしながら、そういう建前であ
つて、おいおいやるつもりであるけれども、
予算上どうもできない、それが残念である、こういうような泣き言を聞くだけのものにな
つてしまう。それが現地へ行けば、今言
つたように、今まであ
つたものさえ打切
つてしまう。そういうようなことにな
つて来ておるわけでございまして、こういうような点が、この
中央の
行政とそれから
地方行政とを区別する、そういう一片の理論によ
つてそれがなされているわけであります。けれども、その理論の裏には、ある
程度今までの
中央の統制がはげし過ぎたというような
現実のことはありましようが、しかしながら、そういう弊害という点を見て、そうしてその積極的な面を見ない、そういうことの結果、こういうような拒否するようなりくつだけが横行するということになるわけでございます。しかしながら、はたして
地方財政が苦しいのは、そういう
地方自治団体が無自覚なためであるか、あるいは
やり方がまずいためであるかというと、決してそうではないことは、これは前々から
予算委員会その他の
論議でも
つて、十分出ているわけであります。昨年の暮れから今年にかけても、盛んに
地方公務員の俸給の問題その他を中心として、ぜひとも
平衡交付金を増してもらわなければならぬという陳情が全国の
府県からあ
つたことは、御
承知の
通りであります。地財委でもそれを取上げて
政府当局に
勧告し、また国会にまでそういう意向を出して来ているのに、それをやはり
政府は実行できない。こういうようにして、今
政府のやろうとすることが、非常に
現実から離れて来ているということが明らかであります。たとえば、その
地方自治体を代表して、私の出身県であります神奈川県の知事の内山君が言
つていることを見ましても、こういうことを申しております。それは、
政府は先般
承知でございましようが、たとえば神奈川県では、占領軍
当局の
施設や何かが非常に多い。そのために進駐軍
関係の労働者が非常にたくさんいる。その労働者の給料は終戰処理費から出るけれども、その労務管理に要する
費用は、全部県から出るよりほかに出道がない。これは県本来の
行政ではないのであるけれども、ともかく占領軍がいるという
現実によ
つて、それだけの
負担をこうむる。そのほかに、この占領軍
関係の自動車やその他の軍用の車輌が非常に走るために、道路が非常にいたむ。その道路を修繕するというのも、これはどこからも金が出ない、そこでどうしても県費でも
つて出さなければならない。こういうようにして、神奈川県に占領軍が非常にたくさんいるということからして、神奈川県の
負担というものが非常に大きくなる。そうして内山知事がそれに續いて言うところによれば、結局、だから神奈川県というところは、特別に
平衡交付金をよけい見てもらおなければ困る、こういうようなことを内山知事は言われているわけであります。しかしながら、これは私は神奈川だから神奈川県だけのことを言うとすれば、おかしいわけなんで、こういう事情は、東京においてもあるし、その他各
府県においてみんなある事情であります。今
日本が占領されているだけでなくて、朝鮮の戰争に手伝いをさせられております。そういうことのために非常に
費用がかる。その
費用が、
中央にもかかるが、それが同時に
地方財政をも痛めて来ておる。そのために、学校などのことだとか、あるいは保育所のことだとか、その他の民政に直接
関係のある
費用が出ない。こういうことは、決してこれは
地方当局だけの
責任であるというふうには言い切れないものがあるわけであります。しかも、今まで歴史的にも
児童保護というような問題については、
日本ではあまり
考えていなか
つた。そこへも
つて来て、そういうような事情があるのでありますから、そこで昨年の
地方財政の切りかえ以来、特にこういう方面の
費用が足りなくな
つて、金が出ない、そしてその結果は、本来は親からと
つてならない金までも、寄付金その他の名目でどんどんとらざるを得ない。そればかりでなく、保育所や何かに子供を入れておくと、往々にしてあることでありますが、いろいろな品物を買わせられて、そのために
負担が非常に大きくな
つて、どうにもならない。幼稚園や何かにおいても、同じくそういうようなことが言えるのであります。それから小学校や何かにおいても、そういうような事情が出て来るわけでございます。こういうようなことが、財政上の問題として、財政上の困難を名として言われておりますが、
行政を実行するには、
予算を伴わなければできないということは、これはあたりまえのことであります。
従つて、財政上の
理由によ
つてこういうことができないということは、結局国の政策としてこういうことをやらないというのと、同じであります。りつぱな言葉でも
つて児童憲章が書かれても、あるいは
児童福祉法の改正が行われても、そういうものがすべて実を伴わない以上は、これは空文であるわけでありまして、
従つて国の政策として、こういう方面には少しもかま
つていないということを、はつきり示すものであります。そういう点から、これは根本的に
考えていただかないと、これは單に
大蔵当局とか、あるいは
地方財政委員会とかいうだけの問題じやないわけでありますが、特にそちらの方面でも
つて、この点を真剣に取上げるということにならなければ、これは国の政策が
児童のことや何かは空文で飾
つて、その実は与えない政策である、こういうことをはつきりさせるわけでありまして、非常にこれは困
つたことになると思うのであります。
日本でも
つて児童の保護がなされておるかおらないかというようなことは、絶対的な意味でなされていないとも言えないし、あるいはまた完全な意味でなされているとも言えないわけであります。実際にはそれがどの
程度になされておるかということになるわけでありますが、その点で、そういうような総体的な意味でいえば、結局現在においてはますます
児童の保護を要する事態が多数に発生している、そういうことと比べ合せて
考えてみると、それはま
つたく放置されている、毎日々々の新聞の三面記事を飾るような、いろいろな極端な事件にな
つて現われるように、ま
つたく
児童の問題は放置されておる。厚生
委員会や厚生
当局、その他のいろいろな
努力というようなことが言われるけれども、そういう
努力はみなむだであ
つて、ま
つたく
児童は放置されておる。そしてそれに対して
政府はま
つたく
責任を負わない、こういうふうに言われてもしかたがないと思うのであります。そこで私は
大蔵当局並びに地財委
当局にお伺いしたいことは、先ほどの一応の理論上の建前、そういうものから進んでさらに実質的な現状に即して、この問題に対処する用意がま
つたくないのかどうか、この点を確言していただきたいと思います。先ほどのことはよくわかりましたから、もう一度言
つていただくことは必要ありませんが、ともかく
現実がこうである、それに対して何とかする用意があるかないか、その点だけをお伺いしたいと思うのであります。