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1951-05-24 第10回国会 衆議院 厚生委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十四日(木曜日)     午前十一時八分開議  出席委員    委員長 松永 佛骨君    理事 青柳 一郎君 理事 丸山 直友君    理事 金子與重郎君 理事 福田 昌子君       佐々木秀世君    高橋  等君       田中  元君    田渕 光一君       寺島隆太郎君    寺本  齋君       柳原 三郎君    岡  良一君       堤 ツルヨ君    今野 武雄君  出席政府委員         総理府事務官         (地方自治庁財         政課長)    奧野 誠亮君         大蔵事務官         (主計局長)  河野 一之君         厚生政務次官  平澤 長吉君         厚生事務官         (医務局次長) 久下 勝次君         厚生事務官         (社会局長)  木村忠二郎君         厚生事務官         (児童局長)  高田 正巳君         厚 生 技 官         (公衆衞生局         長)      山口 正義君  委員外出席者         参議院議員   中山 壽彦君         参議院議員   谷口弥三郎君         文部事務官         (大学学術局技         術教育課長)  腰原  仁君         参議院法制局参         事         (第一部第一課         長)      中原 武夫君         専  門  員 川井 章知君         専  門  員 引地亮太郎君         専  門  員 山本 正世君     ————————————— 同月二十四日  委員堀川恭平君、亘四郎君及び渡邊良夫君辞任  につき、その補欠として寺本齋君佐々木秀世  君及び田渕光一君が議長の指名で委員に選任さ  れた。     ————————————— 五月二十三日  遺族援護強化に関する請願山口喜久一郎君紹  介)(第二二六七号)  医師法歯科医師法及び薬事法の一部を改正す  る法律案反対に関する請願小野孝紹介)(  第二二六八号)  同外五件(早川崇紹介)(第二二六九号)  同(北村徳太郎紹介)(第二二七〇号)  同(早川崇紹介)(第二二九二号)  同(足立篤郎紹介)(第二三〇〇号)  同(鈴木明良紹介)(第二三〇一号)  同外六件(丸山直友紹介)(第二三〇二号)  同(小玉治行紹介)(第二三一九号)  同(關内正一君紹介)(第二三二〇号)  同(船越弘紹介)(第二三二一号)  同外二件(中村清紹介)(第二三三五号)  同(福永一臣紹介)(第二三八三号)  同外一件(淺利三朗紹介)(第二四〇四号)  医師法歯科医師法及び薬事法の一部を改正す  る法律制定請願村上勇紹介)(第二二七  一号)  同(圖司安正君外一名紹介)(第二二七二号)  同(淺香忠雄紹介)(第二二七三号)  同(小林運美紹介)(第二二七四号)  同(前田正男紹介)(第二二七五号)  同外二件(早稻田柳右エ門紹介)(第二二七  六号)  同外一件(塚原俊郎紹介)(第二二七七号)  同外四十四件(椎熊三郎紹介)(第二二七八  号)  同外五十一件(苫米地英俊紹介)(第二二七  九号)  同外五十一件(田中萬逸紹介)(第二二八〇  号)  同外三百三十六件(有田二郎紹介)(第二二  八一号)  同外三百十三件(押谷富三紹介)(第二二八  二号)  同(早稻田柳右エ門紹介)(第二二九三号)  同(塚原俊郎紹介)(第二二九四号)  同(久野忠治紹介)(第二三〇三号)  同外二件(前田正男紹介)(第二三〇四号)  同(千賀康治紹介)(第二三二二号)  同(有田二郎紹介)(第二三二三号)  同外二件(中野四郎紹介)(第二三二四号)  同外十一件(田嶋好文紹介)(第二三二五  号)  同外十二件(前田種男紹介)(第二三二六  号)  同外九件(若林義孝紹介)(第二三三三号)  同外百六十二件(有田二郎紹介)(第二三三  四号)  同外一件(飯塚定輔紹介)(第二三五九号)  同外八十三件(吉田安紹介)(第二三六〇  号)  同(石田博英紹介)(第二三六一号)  同(河原伊三郎紹介)(第二三六三号)  同(西村英一紹介)(第二三六四号)  同外三件(田中重彌君紹介)(第二三六五号)  同外六十三件(藤田義光紹介)(第二三六六  号)  同外二十一件(小川原政信紹介)(第二三六  七号)  同(根本龍太郎紹介)(第二三六八号)  同外八十七件(坂田道太紹介)(第二三六九  号)  同外九十二件(原田雪松紹介)(第二三七〇  号)  同外七件(井手光治紹介)(第二三七一号)  同外八件(石田一松紹介)(第二三七二号)  同外八十二件(松谷天光光紹介)(第二三七  三号)  同外二件(早稻田柳右エ門紹介)(第二三七  四号)  同外三件(河野金昇紹介)(第二三七五号)  同外百四十八件(前田種男紹介)(第二三七  六号)  同外八十七件(坂口主税紹介)(第二三七七  号)  同外百件(園田直紹介)(第二三七八号)  同外八十四件(坂本泰良紹介)(第二三八一  号)  同(金原舜二君外一名紹介)(第二三八八号)  湯郷温泉の開発に関する請願大村清一君紹  介)(第二三三二号)  児童保護費地方財政平衡交付金から補助金制  度に切替の請願青柳一郎紹介)(第二三三  六号)  同(田中伊三次君紹介)(第二三八九号)  同(門脇勝太郎紹介)(第二三九〇号)  同(大石ヨシエ紹介)(第二三九一号)  国立療養所における給食費増額等に関する請願  (岡良一君外一名紹介)第二三八二号)  結核患者作業療法に関する請願福田昌子君  外一名紹介)(第二三八六号)  アフター・ケア施設確立に関する請  願(福田昌子君外一名紹介)(第二三八七号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  生活保護法の一部を改正する法律案内閣提出  第一七一号)  児童福祉法の一部を改正する法律案内閣提出  第一七二号)  身体障害者福祉法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一七三号)  診療エックス線技師法案参議院提出参法第  一四号)  理容師法の一部改正に関する件看護婦制度に関  する件     —————————————
  2. 松永佛骨

    松永委員長 これより会議を開きます。  児童福祉法の一部を改正する法律案生活保護法の一部を改正する法律案及び身体障害者福祉法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質議を續行いたしたいと存じます。青柳委員
  3. 青柳一郎

    青柳委員 私はこの際、児童福祉事業に必要な経費が、平衡交付金制度によつてまかなわれております問題につきまして、大蔵当局並びに地方財政委員会の御当局に御質問をいたしたいと存ずるものでございます。  私の考え方をもつていたしますれば、平衡交付金費用がまかなわれる前提といたしましては、その行われる事業が、大部分地方団体の行う行政であり、内容的にも地方団体事務に同化されておるものであるということがまず第一に必要であると存ずるのでございます。第二には、基準財政需要の算定が容易で、年間における変動があまりないことが必要であると存ずるのでございます。こういう観点に立ちまして、児童福祉事業考えてみまするのに、この行政がその進歩充実いたしつつありますことは、地方住民の輿論または地方当局の熱意によつて、ひとりでに盛り上つて、この児童福祉事業が次第々々に発達しておるものではなく、あるいは連合軍司令部指導により、あるいは中央政府の育成によつて児童福祉事業が次第々々に発達しておるものと存ずるのでございます。しかも日本文化国家たるためには、いまだこの行政は不十分であります。一層の進歩の必要があると存ぜられるのであります。発展途上にありまするために、各地方によりましては、きわめて不均衡にこの事業が行われております。従いまして、私はいまだこの児童福祉事業は、地方団体事務に同化されておらないと存ずるのでございます。  第二の点から申し上げますると、児童保護事業は、社会的経済的変動によりまして、地方における貧困者あるいは要保護児童などの発生に、増減が常ならないものであると思うのございます。この増減によりまして、児童福祉事業に要する費用は非常な変動を受ける。この変動は、予測することができないと存ずるのであります。しかるに政府当局におきましては、平衡交付金をもつてまかなう額を、その年の四月三十日現在の児童福祉施設入所者数測定單位といたしておりまするが、あらかじめ一定時期をもつてその人員を測定することは無意味であり、さらに不可能であると存ずるのであります。この要保護児童生活保障制度は、一定の水準から本人負担できる額を差引いた額を保護費として出しておる点は、生活保護制度と同じであります。従いまして、個々の場合の保護費は、千差万別をきわめておるのであります。しかも憲法の二十五条によりますると、国家は、国民の健康にして文化的なる最低生活を保障する義務を持つておるのでございます。従いまして、不正確な測定單位財政需要を算定して、そのわく内に仕事を押え込んでしまうというようなことは、憲法の上から見ましても、許し得ない点であると存ずるのでございます。こういうふうに私が申し上げておりまするのは、結局は児童福祉事業に必要な費用を、平衡交付金をもつてまかなうことをやめて、従前と同じように、補助金制度をもつてこれをまかなつていただきたいという熱願に出るものでございます。憲法の二十五条は、さらに国に社会福祉社会保障及び公衆衞生向上、増進に関する責任を負わせておるのでございます。この国家責任を全うするためには、少くとも地方団体に対しまして必要最低基準額の支出を義務づけるようにいたして、主管大臣監督権を明確に認めておかなければならないと存じます。しかるに、現行平衡交付金制度におきましては、かかることは、地方自治をそこなうものであるとして排除せられるのであります。国の責任をいかにするお考えであるか、その点を承りたいのであります。今後なお発展させなければならないこの児童のための事業を、現行平衡交付金制度による運用に一任しておきますならば、今日の地方自治段階では、児童行政に関する国民の認識がなお浅く、政治的色彩の強い土木産業等行政が、とかく先になりがちでございます。政治的発展力のない児童福祉行政のごときは、そのままにしておきますならば、進展向上はおろか、逆に退歩するであろうと存ずるのでございます。先般当委員会におきまして、各地方につきましてその実情を調査いたしたのでございまするが、その報告によりますると、この児童保護費平衡交付金に入つたという理由だけで、全面的の予算の縮減を受けたところもあります。さらに、これを内容的に申しますれば、児童福祉関係施設の新設、拡充等、いわゆる新規事業は、大・体において認められない。特に純県費負担分事業、すなわち児童福祉事業に必要な啓蒙宣伝慰安等、これらは削除されている傾向が十分に見えるのであります。さらに年間におきまして実行予算を編成する際には、児童福祉行政に必要な予算は一率に天引きせられておる現実を見受けるのでございます。さらに数回にわたりまして單価引上げを行いましたが、この引上げにつきましては、四箇月も遅れて実施するというところもありますし、ことにはなはだしいものに至りましては、二十五年の二月に実施いたしました單価引上げ以後、現在まで全然引上げが行われておらないところもあるということも、事実であるのでございます。最もはなはだしい事例といたしましては、国庫補助金が来ましても、他の費用に押されまして、児童福祉に関する県費負担分を出しきれない関係から、むなしく補助金の返納をやつたという府県もあるのでございます。さらに、せつかく中央でもつて苦心いたしまして、児童福祉関係職員の増員を行つたのでありますが、第一線におきましてはこれが認められておらぬ。はなはだしきに至つては、減員されておるというような現実を見るのであります。さらに、あるいは一般財源に対する見通し難から、児童福祉施設設置などを躊躇する傾向も生じました。特に年度の中途において、認可はほとんど押えられているという府県が、十数府県上つておるのでございます。さらに予算的に制限せられまして、新規收容申請が制約せられる、さらには回転をすみやかにするために、すでに收容しておる児童につきましても、その收容の解除を余儀なくせられておる事例もあるのであります。また、本来ならば收容すべき児童を、本人の誓約、保護者の引取り、訓戒ないし福祉司指導等にゆだねざるを得ない場合も多い。たとえば性行不良のごときものも、相当重くならないと收容できないというような傾向も現われておるのでございます。さらにまた、要保護児童措置費が非常に遅延しております。はなはだしき例は、一箇年間にわたつて措置費を出しておらない事例も発見するのでございます。これはある府県寺院経営私設保育所でありますが、予算通り平衡交付金が来なくなつたために、村からの措置費が未払いとなつて職員の俸給遅滯はもとより、商人への支払いさえも不可能となつて、遂に一部負担金増額とか、給食の質を落すとかいう措置をとつております。それでもなお不足の分は、結局経営者個人負担となつて、その割合も総経費の一〇%ないし一五%にわたるというような事例も見受けるのでございます。さらに措置児童の父兄の資産調査を厳重にして、過重に措置費を、すなわち保育料徴收を強化するところも出て参ります。さらにこの調査によりますと、地方々々によりまして、児童福祉行政に不均衡が生じて参りまして、たとえば隣の村との間に、負担費が大きな開きを持つているということも現われて参りました。県当局から児童福祉施設設置勧告をいたしましても、平衡交付金がないという理由で、無理解な市当局によつて、あつさり拒否せられた事例もあるのであります。  この調査の語つておるところは、すべてがそうであるとは言えませんけれども、大部分府県におきまして、まことに望ましからざる事態がかなり起つておることは、明らかでございます。そういう現実をいかにして本然の姿に返したいというのが、われわれの熱願であるのであります。明日の日本を背負う児童、ことに児童憲章が制定せられた今日、地方財政委員会当局並びに大蔵省当局から、これらの問題に関する政府の意見、対策につきまして、詳しくお聞きいたしたいと存ずる次第であります。
  4. 河野一之

    河野(一)政府委員 青柳委員からいろいろ詳しく拝聴いたしたのでありますが、この問題は、結局地方自治に対する中央の信頼という問題と、地方自治団体中央施策に対する協力といいますか、財源的な問題、いわゆる従来の中央に対する依存的傾向でありますが、中央からひもがついて、何か言わないとなかなかやれない、この間における相剋矛盾の問題であろうと私は思うのであります。つまり、これは行政調査委員会議勧告なり、あるいはこの前のシヤウプの勧告につきましても同様でありますが、事務実行者経費負担者とは同一でなければならぬ。これは明らかなことでありまして、人のさいふで仕事をするということはないので、仕事をするには、その経費を自分が負わねばならぬことは、すべてに通じた鉄則であると思うのであります。従いまして、地方団体がその仕事経費関係でやれない、しかしこれをどうしてもやらさなければならぬという場合におきましては、ただ金をやればいいのだという考え方もありますが、またその事務を国の事務にするのがいいのか、あるいは地方事務にするのがいいのかという問題にまで発展して来ると、私は思うのであります。現在の地方自治が、完全なものとは私も思いませんし、今後次第に発展して行くべき問題であろうと思うのでありますが、地方団体としては、この児童福祉事務が、地方自治に密接な関係を持つている以上、またその児童福祉事務を通じて地方自治が発展するという方向から考えるならば、積極的に国の施策に協力すべき筋合いのものであろうと思うのであります。もしそれが長年の因襲久しく、なかなかできないという問題であるならば、これは補助金の問題も一つでありましようし、また法律的に強制して、かくかくせよといつて解決すべき問題のようにも思われるのであります。ただ補助金だけまわして、これによつてひもをつけて場やることは、新しい自治の行き方としては、私は必ずしも適当でないと思う。ただ御案内の通り地方団体というものは数多く、自治内容というものは全般的に普通である。しかるにこれに伴う財源は偏在しておるので、自治内容財政力とが必ずしも即応しないという点については、平衡交付金という方法もあり、また若い事務については、奨励的な補助金というものも考えられるのでありますが、原則的には、そういうものであろうと思うのであります。行政調査委員会議の決議、勧告におきましても、一応児童福祉事務地方事務ということになつておりますので、今後政府部内においても、このやり方について検討し、またこの補助金制度等についても、再検討を要する点があろうかと思いますが、ただいまのところ、平衡交付金をただちに廃止して、補助事業に切りかえるというようなところまでの考え方は、持つておらない次第であります。むしろ地方自治団体に対する監督指導を積極的にやつて行くべきでないかというような考え方を持つております。
  5. 奧野誠亮

    奧野政府委員 児童福祉行政につきまして、非常な御努力を払つておられます点につきましては、深い敬意を払わなければならないと思います。また児童福祉行政が、なお助長の段階にあるという点につきましても、これを認めるにやぶさかでないものであります。もとより、私がただいまお答えしようと思つておりますような事柄は、青柳さんにおいては、十分御承知のことだろうと思うのでありまして、その点いささかおこがましいようにも思うのでありますが、一言お答えさせていただきたいと思います。  児童福祉行政が円滑に行かない点は、どういう事情から来ているのであろうかということも、ひとつ掘り下げていただきたいのであります。單に地方住民が、児童福祉行政について関心がないからなのか、あるいはまた、やりたいのはやまやまであるけれども、地方財源がないために、児童福祉行政のみにとどまらず、あるいは義務教育の問題、あるいは衞生行政の問題その他についても、同様な問題が起きているのであろうかなかろうかということも、考えていただきたいのであります。もう一つは、また單に財源が不足しているのか、あるいはまた現在の国民担税力に不相応に行政内容が広げられているのではなかろうかということも、私は政治家として、よくお考えをしていただきたいように思つているものであります。児童福祉行政のみにとどまりませず、あらゆる行政を、中央政府考えておりますようにやつて行きたいと考えましたら、端的に申しましたら、地方ごとに国の出先機関をつくつて国費でやればよろしいと思うのであります。あるいはまた地方団体仕事をさせるけれども、費用国費で持つて行く、あるいは補助金で出して行くというやり方をとればよろしいと思うのであります。しかしながら、このようなやり方は、しばしば片寄つた行政になりがちでございますし、また地方住民考え方がへその行政の上に十分反映されないというようなところから、御承知のように昨年何百種類という補助金が打切られまして、地方一般財源に振りかえられたわけであります。この際児童福祉行政の特殊な性格というものを、いろいろ御論議になつております点は、わからないわけではございません。しかしながら、地方一般財源でまかなつて行くということにいたしました場合には、なるたけ直接地方税でまかなわせるやり方をとりました方が、住民といたしましては、負担いたしますところの地方税の行方を通じて行政を監視する、行政の監視を通じて行政のあり方につきましていろいろ論議を盛んならしめ、創意工夫を凝らして行くということも考えられるわけであります。そういう意味合いから、地方財政地方税を中心にして運営して行く、地方税増額する、こういう措置もとられました結果、現に東京や大阪におきましては、特に富裕な地方団体におきましては、なすべき行政に必要な財源が、地方税だけで与えられるというような方向になりつつあるわけであります。その際に、特定事業につきまして、地方団体使つた金の五割なりあるいは八割を当然に交付して行くというような方法をとりましたら、現に地方税だけである程度経費をまかなつて行ける団体につきましては、余分な財源を与えてしまうというようなことになるわけでありまして、児童福祉行政補助金制度に振りかえ、負担金制度に振りかえました場合には、それだけからは論ぜられないで、この地方財政制度というものをどう持つて行くかということと並行して考えなければならぬのじやないだろうか。現状のままにおきましては、それだけ余分な財源特定富裕団体に与えられることになるということは、考えていただきたいのであります。それでは児童福祉行政が円滑に行かないから、昔通り補助金負担金制度に返してしまえばよろしいのだ、こういう考え方も、私はやはりなお検討する必要があるのじやなかろうかと思うのであります。御承知のように現在の地方財政平衡交付金制度におきましては、地方団体仕事をして行くのにどれだけ金がかかるか、それだけの財源は必ず確保するという方針をとつて参つているわけであります。しかしながら、特定行政につきましては、全国民立場から、どうしてもこういう程度まで推進してもらいたい、だからこういう基準は確保するようにしなければならないというふうに、個々行政につきまして基準を設定するというような方法をとつているものと考えているのであります。この基準をとります場合にも、行政内容につきまして、全国民立場から、地方住民にこれを義務としてやつてもらわなければならないという問題もありましようし、單に一つスタンダードをつくるというような意味合いで、なおほかにもつと財源を使いたいということから、そちらの方にまわされてもやむを得ないし、あるいはスタンダードを越えて、もつと充実してもよろしいし、多少下つてもよろしいという行政もあろうと思うのであります。従つて行政内容につきまして標準をつくるように、国として努力をして行かなければならないと思つております。その上でさらに、これは地方税として個々地方住民においても必ずやつてもらわなければならない問題につきましては、そういうような義務づけを法律の上において行つて行くという研究も、これはして行かなければならないと思うのであります。そういうように、法律義務づけましても、なおかつ地方住民が行わないかどうかということを考えたいのであります。しかしながら、義務づけましても、食うだけの金もなければ、なかなか行われないという問題もあるかもしれませんけれども、しかし今よりはさらに数歩前進することになるだろうと思うのであります。なお考えられる問題は、義務づけてもなお行わない場合に、それではこれを強制する別途の制裁手段考えなければならないかどうか、こういうことも、なお研究に値する問題であるかと思うのであります。私はただ、ある行政計画通りに行われないから、ただちにそれを昔にもどすという考え方じやなしに、なおそこにもう一つ前進させるようなくふう研究の余地がないものかどうかということも、同時に考えて行きたいと思つているのであります。ただ私は青柳さんのお考え方に一概に反対しているのではありません。一概に反対しているのではございませんが、なおいろいろな角度から研究する余地の非常に多い問題ではなかろうかというふうに存じておりますので、以上お答えさせていただいたわけであります。
  6. 青柳一郎

    青柳委員 大蔵当局、地財委当局から、御親切な御説明がありました。その中には、私どもといたしまても、首肯し得べきものが相当あることはあるのでございます。しかし現実の問題といたしまして、地方自治はまだほんとうに確立しているとはいわれないと思うのであります。まだ過渡期にあります。しかも、この児童福祉行政は、非常に若い事務である。まだ地方的に同化されていない事務である。しかも、政治的に見まして非常に弱い事務であるということも、現実の面において認めていただきたい。しかも、先ほど私が本委員会調査によりまして申し述べましたような、まことに憂うべき事態が現実の問題として起つている。こういうあらゆる現実をにらんでいただきまして、この現実を打開するにはどうししたらよいか。それはわれわれも考えましよう。政府当局におきましても、十分なる御熱意を持つてこの問題の解決に当らられるように、私は要望いたしまして、他の委員の御発言がありましようから、私の質問を終ります。
  7. 松永佛骨

    松永委員長 次は今野委員
  8. 今野武雄

    ○今野委員 ただいま青柳委員から、具体的な例をたくさんあげられまして、そうして昨年の地方財政の改革以来、特に今まで大して振わなかつた児童保護の問題が、さらに困難を加えて来ておるということが示されておるわけであります。本委員会調査によりますと、そういうように、児童保護費措置費が未払い、または支払い遅延になつておる件数が、全国で七十四件ある。これは調査漏れもあるかもしれませんが、ともかくその程度ある。そのほか、措置費がないために、新たに児童措置したりするのを避けたり、あるいは措置費を払いもどしする、そういう件数が二十三件もある。その他の困難な事情がたくさんに調査されておるわけであります。そういうような非常に一般的な困難が、ここにおおいかぶさつて来ている。それに対して河野主計局長並びに地財委の財務課長さんのお話を聞いておりますと、いかにも冷たいりくつを言つておられるように、私どもには考えられるわけであります。そういうような、地方団体責任だ、これが原則だというようなことは、文部行政においても、あるいはまたこの厚生行政その他、一般の国民が直接に今非常に困難な状態にあつて望んでいる行政、そういう面では、もう非常に目立つて出て来ているわけでございます。そうして厚生委員会などでいつでも話になつていることは、結局厚生省の泣き言を聞くと、どうも建前としては児童憲章というようなりつぱなものをやるんだけれども、しかしながら、そういう建前であつて、おいおいやるつもりであるけれども、予算上どうもできない、それが残念である、こういうような泣き言を聞くだけのものになつてしまう。それが現地へ行けば、今言つたように、今まであつたものさえ打切つてしまう。そういうようなことになつて来ておるわけでございまして、こういうような点が、この中央行政とそれから地方行政とを区別する、そういう一片の理論によつてそれがなされているわけであります。けれども、その理論の裏には、ある程度今までの中央の統制がはげし過ぎたというような現実のことはありましようが、しかしながら、そういう弊害という点を見て、そうしてその積極的な面を見ない、そういうことの結果、こういうような拒否するようなりくつだけが横行するということになるわけでございます。しかしながら、はたして地方財政が苦しいのは、そういう地方自治団体が無自覚なためであるか、あるいはやり方がまずいためであるかというと、決してそうではないことは、これは前々から予算委員会その他の論議でもつて、十分出ているわけであります。昨年の暮れから今年にかけても、盛んに地方公務員の俸給の問題その他を中心として、ぜひとも平衡交付金を増してもらわなければならぬという陳情が全国の府県からあつたことは、御承知通りであります。地財委でもそれを取上げて政府当局勧告し、また国会にまでそういう意向を出して来ているのに、それをやはり政府は実行できない。こういうようにして、今政府のやろうとすることが、非常に現実から離れて来ているということが明らかであります。たとえば、その地方自治体を代表して、私の出身県であります神奈川県の知事の内山君が言つていることを見ましても、こういうことを申しております。それは、政府は先般承知でございましようが、たとえば神奈川県では、占領軍当局施設や何かが非常に多い。そのために進駐軍関係の労働者が非常にたくさんいる。その労働者の給料は終戰処理費から出るけれども、その労務管理に要する費用は、全部県から出るよりほかに出道がない。これは県本来の行政ではないのであるけれども、ともかく占領軍がいるという現実によつて、それだけの負担をこうむる。そのほかに、この占領軍関係の自動車やその他の軍用の車輌が非常に走るために、道路が非常にいたむ。その道路を修繕するというのも、これはどこからも金が出ない、そこでどうしても県費でもつて出さなければならない。こういうようにして、神奈川県に占領軍が非常にたくさんいるということからして、神奈川県の負担というものが非常に大きくなる。そうして内山知事がそれに續いて言うところによれば、結局、だから神奈川県というところは、特別に平衡交付金をよけい見てもらおなければ困る、こういうようなことを内山知事は言われているわけであります。しかしながら、これは私は神奈川だから神奈川県だけのことを言うとすれば、おかしいわけなんで、こういう事情は、東京においてもあるし、その他各府県においてみんなある事情であります。今日本が占領されているだけでなくて、朝鮮の戰争に手伝いをさせられております。そういうことのために非常に費用がかる。その費用が、中央にもかかるが、それが同時に地方財政をも痛めて来ておる。そのために、学校などのことだとか、あるいは保育所のことだとか、その他の民政に直接関係のある費用が出ない。こういうことは、決してこれは地方当局だけの責任であるというふうには言い切れないものがあるわけであります。しかも、今まで歴史的にも児童保護というような問題については、日本ではあまり考えていなかつた。そこへもつて来て、そういうような事情があるのでありますから、そこで昨年の地方財政の切りかえ以来、特にこういう方面の費用が足りなくなつて、金が出ない、そしてその結果は、本来は親からとつてならない金までも、寄付金その他の名目でどんどんとらざるを得ない。そればかりでなく、保育所や何かに子供を入れておくと、往々にしてあることでありますが、いろいろな品物を買わせられて、そのために負担が非常に大きくなつて、どうにもならない。幼稚園や何かにおいても、同じくそういうようなことが言えるのであります。それから小学校や何かにおいても、そういうような事情が出て来るわけでございます。こういうようなことが、財政上の問題として、財政上の困難を名として言われておりますが、行政を実行するには、予算を伴わなければできないということは、これはあたりまえのことであります。従つて、財政上の理由によつてこういうことができないということは、結局国の政策としてこういうことをやらないというのと、同じであります。りつぱな言葉でもつて児童憲章が書かれても、あるいは児童福祉法の改正が行われても、そういうものがすべて実を伴わない以上は、これは空文であるわけでありまして、従つて国の政策として、こういう方面には少しもかまつていないということを、はつきり示すものであります。そういう点から、これは根本的に考えていただかないと、これは單に大蔵当局とか、あるいは地方財政委員会とかいうだけの問題じやないわけでありますが、特にそちらの方面でもつて、この点を真剣に取上げるということにならなければ、これは国の政策が児童のことや何かは空文で飾つて、その実は与えない政策である、こういうことをはつきりさせるわけでありまして、非常にこれは困つたことになると思うのであります。日本でもつて児童の保護がなされておるかおらないかというようなことは、絶対的な意味でなされていないとも言えないし、あるいはまた完全な意味でなされているとも言えないわけであります。実際にはそれがどの程度になされておるかということになるわけでありますが、その点で、そういうような総体的な意味でいえば、結局現在においてはますます児童の保護を要する事態が多数に発生している、そういうことと比べ合せて考えてみると、それはまつたく放置されている、毎日々々の新聞の三面記事を飾るような、いろいろな極端な事件になつて現われるように、まつた児童の問題は放置されておる。厚生委員会や厚生当局、その他のいろいろな努力というようなことが言われるけれども、そういう努力はみなむだであつて、まつた児童は放置されておる。そしてそれに対して政府はまつた責任を負わない、こういうふうに言われてもしかたがないと思うのであります。そこで私は大蔵当局並びに地財委当局にお伺いしたいことは、先ほどの一応の理論上の建前、そういうものから進んでさらに実質的な現状に即して、この問題に対処する用意がまつたくないのかどうか、この点を確言していただきたいと思います。先ほどのことはよくわかりましたから、もう一度言つていただくことは必要ありませんが、ともかく現実がこうである、それに対して何とかする用意があるかないか、その点だけをお伺いしたいと思うのであります。
  9. 河野一之

    河野(一)政府委員 児童福祉行政が、なかなか所期の目的を達しないということについて、地方財政が窮乏しておる、こういうことはある程度事実であろうと思います。つまり地方財政平衡交付金が不足であるということ、それもある程度は事実であろうと思います。しかしまた、地方財政平衡交付金の配分が、はたしてうまく行つておるかという点も、考えていただかなければならぬことであろうと思うのであります。つまり地方財政平衡交付金は、一定測定單位で、各団体に対して客観的な標準で配付せられます結果、特定団体特定の需要に対して、必ずしも即応し得ないというような点も確かにあろうと思います。これを特別平衡交付金制度考えるというのでもありますが、これも必ずしも思うように行かない。何にせよ昨年度初めて実施した制度でもありますし、制度実施早々でもありますから、幾多の欠陥があることも事実であります。しかしそういう点は別にいたしまして、それならば、補助金制度をやめて地方財政平衡交付金制度にしたがために、児童福祉行政が非常にうまく行かなかつたかどうか、これが全面的な問題として取上げるべき問題であろうかどうかという点については、私ども多少の疑問を持つのであります。つまり、国が補助金を出します場合に、どういう態度で出して行くかという問題でもあるのでありますが、各団体に晋遍的にある事務、どの町村でもどの市でもあるというような、各団体に普遍、的にあるような事務、教育などは、最も代表的なものでありまするが、そういうものは、一定測定單位その他に場よつて平衡交付金として配分するのに適応しておるものだろうと思います。補助金というものは、平衡交付金制度の欠陥を是正する意味もありますが、なかなか思うように行かないといつたようなものについて、個々団体補助金が出される、つまりあの府県においてこういう仕事をしてもらいたい、食糧増産にしても、どういうものをやつてもらいたい、あるいは灌漑排水をやつてもらいたいとか、川を直してもらいたいとか、そういつたもので出されるのが、国の補助金の性質なのでありまして、どの団体にも普遍的に出すといつたようなものは、これを補助金でやるというのは適当ではない。これは建前の議論でございまして、非常に恐縮でありますが、そういうふうに私どもは考えて運用して来ておるわけであります。ただ問題は、平衡交付金でありますと、個々団体としては、これは職員の給与を上げた方がいいとか、あるいは道路をやつた方がいいとかいうようなことで、そういつた方面に使われるのでありますが、これは児童福祉法法律その他こういつたものについていわゆる地方自治事務内容としてまかされておることは、その団体の意思によつて決定する。道路を直したり、あるいは学校の先生の給料を上げた方がいいというような考え方から来ておるのであり、まあこれが妥当であるかどうかは別問題といたしまして、かりにそのことがいけないといたしましても、現在の地方自治に対して国がこれをこうせいとか、ああせいとかいう監督をし、指導して直させるという手は、現在の制度としてはないのであります。それなら補助金をやつてこれをそういうふうにするという問題は、補助金地方団体としては、もらうことは任意であり、その補助の条件によつて、やる必要がない場合は、必ずしもその義務はないのであります。従つて、そこに地方自治というものを信頼してやるかどうかという問題で、信頼ができるか、あるいはそこを実際上の指導と申しますか、そういうことで、地方団体考え直してもらうかという点が、非常に大きな問題であろうと、私は思うのであります。補助金で、これをこうせいとか、ああせいとかいうことは、新しい地方自治の行き方としては、いささかどういうものであろうか。児童福祉自体が、地方団体としてもいろいろ事務があり、特に最近ふえておりますので、この中においてどれを重点的にすべきものであるかということを、いろいろな方法によつて決底し、それに対して優先的に金をさくというような考え方をしてもらいたい、こういうふうに思うわけであります。過渡的な時代でありまするので、おつしやることもわからないこともない、十分ごもつともな点があります。けれども、建前論としては、あくまでもそういうふうに考えて行きたいというふうに思う次第であります。
  10. 奧野誠亮

    奧野政府委員 河野さんのお話で、もう尽きで、おるように思うのでありますが、一言つけ加えて申し上げさせていただきます。  補助金を持たない厚生行政がやりにくいという話が今出たわけでありますけれども、厚生行政に限らず、補助金をもつて仕事をいたして行きます場合には、即効的にその仕事を思うようにやつて行くことが可能だと思うのであります。しかしながら、そうやつて地方団体を右へ向けと言つて右を向かせ、左へ向けと言つて左を向かせることができるようなやり方がいいのか悪いのかということが、一つの問題だろうと思うのでありまして、地方自治を拡充して行く民主政治の行き方というものは、これは私はひまがかかるだろうと思うのでありますけれども、やはり調和のとれた発展ができて行きますから、ほんとうに政治を国民のもとに返して行くことができるのではなかろうかというような考え方を持つておるわけであります。  なお、先ほど青柳さんがおつしやいましたように、補助金を出しているのに、その補助金さえも返して来ている団体の例をあげられたわけであります。そうしますと、今日の時代には、補助金を出したら、すぐ児童福祉行政が非常に円滑に行くようになるということも、言い切れないのではないかと思うのであります。やはり地方団体財源を確保する問題を考えなければなりませんし、確保できる程度行政の分量をきめて行くという問題も、考えて行かなければならないだろうと思うのであります。同時にまた、今野さんがおつしやいましたように、神奈川県の特殊な例、それぞれの特殊な例にも応じ得るように、個々地方団体財源を確保し得るようなくふう努力ということを、われわれは一層努めて行かなければならないだろうと思うのであります。今後そうした方面に努力して行きたいと思つております。
  11. 今野武雄

    ○今野委員 私お答えを聞いて、たいへん失望したのであります。ともかく実際上のそういう建前は十分承知しておるのでありますけれども、それだけでは政治というものは動かない。それでは官僚行政が行われるというだけにすぎないのでありまして、少くとも政治ということにはならないのです。もつと現実をにらんで行かなければならない。今、神奈川県は特殊な例だという話でしたけれども、ともかくわれわれが率直に言えば、戰争の費用というものは非常に厖大なんです。そういうものを、今後どのくらい背負わされるのか知らぬけれども、そういうようなことをやつてつた日には、何にもできなくなることはもう明らかなんです。そういうところから考えてみても、これはやはり相当強く発言できるところから、そういうものを打破つて行くことを考えなければいけない。それには国民から支払われた税金というものを、相当民生の方によけいまわすように、これはあらゆる力——地方自治体も、中央も、みんな一緒になつて、そういう方面に力を注がなければ、これはなかなか打破れないわけなんです、非常に強い力がそとから働いているのですから。それに対してこれは地方自治体の建前だ、これは中央の建前だ、そういうことを言つていたんじや、なかなかそういう力に対しては、対抗できないわけなんです。その点からいつで、われわれとしては、名目は何であつてもよろしい、実際にこういうことが実施できるような財政的な措置を、あくまで講じて行かなければならない。だから、これがあくまでも平衡交付金ということでなければいけない。力関係がそういうことなら、それなりに、今度は平衡交付金の中で、それを増すような措置考える。その増すときに、平衡交付金のわくの中に入れてしまえば、地方自治体としてこうなるから、だめだとおつしやるかもしれませんけれども、しかしこれは必ずしもそうではない。昨年の年末のときも、やはり地方公務員の要求は非常に強くて、それが主因になつてあの平衡交付金というものが問題になつた。そうすると、地方当局としてはどうしたつて地方公務員の給与という方にそれをまわさなければならないということになつて行くわけであります。従つて、やはり厚生行政の問題が非常に大事だこういう建前からそれを増したということになれば、やはりそつちの方に振り向けられる可能性は、政治的にはあるわけなんです。ですから、そういう点からいつても、われわれとしては、強く中央地方一緒になつて、こういう問題を解決して行く態度でなければいけない。ところが今お伺いしていると、政府を代表してのお答え薫ろうと、われわれは解釈、するのでありますが、まるで中央地方とはかたき同志みたいな立場で、お互いの建前がどうだというようなことになつて、これじやとても問題が解決できない、こういうふうに思うのでありまするが、この点重ねて地財委の方々は一体どういうふうにお考えになるか、お答え願いたい。
  12. 奧野誠亮

    奧野政府委員 青柳さんに対しましてお答え申し上げましたように、個々行政につきまして、特に全国民立場から、どの地方におきましても、一定の水準を確保させて行かなければならないというふうな事項がございましたら、そういう部分につきましては、まず第一に個々行政基準をつくつて行くという問題があるだろうと思うのであります。第二に、さらにそれを強制して行かなければならない性質のものでありましたら、これを案行ずるように義務づけて行くということを法制化する問題があるだろうと思うのであります。第三には、さらにその義務づけを確保することができるような措置を講じて行く、言いかえれば義務違反をした場合には、何らかの制裁措置をとるというふうなことをきめて行く方法がございます。その制裁措置としましては、財政的に問題を解決する方法もありましようし、あるいはそのほかの方法考えられるだろうと思うのであります。従いまして、現在の制度では、ある特定行政は絶対にそれを強制できないのだというふうにきめてしまうことは、私はできないだろうと号のでありまして、いろいろな方法考えられるだろうと思うのでありますが、その一つ考え方として、今一例を申し上げたのであります。
  13. 岡良一

    ○岡(良)委員 ただいま特に大蔵省側の方のいろいろ御説明を承りまして、私も青柳さん同様、納得の行く点もあれば、またきわめて納得の行かない点もありますので、いささか問題の焦点を離れますが、原則的に大蔵省のお心組みを承りたいと思うのであります。  御存じのように、日本憲法によつて国民の最低の文化的な健康な生活を営む権利が認められ、国もまた、公衆衞生なり生活の福祉については、保障する義務がうたわれております。そういうような建前から、われわれ厚生行政に携わる者は、こういう一般的な福祉行政なり、あるいは衞生行政なり、保健行政なりは、あくまでも国が義務づけられた保障という建前で、ギブ・アンド・テークという大きな建前から、予算的にも常に要求しているのでありますが、どうも大蔵省当局考えは、どちらかといえば、ギブ・アンド・テークを、そろばん玉をはじいて、たとえば保険財政であれば、收支の均衡をとるというところに、常に執着していられるようでありますが、こういう考え方なり、建前なりが一般福祉行政なり、予算措置においてきわめてわれわれの不満足なものが出て来るように思うのであります。そこでお伺いいたしたいのは、現に健康保険にいたしましても、この財政が非常に赤字であるという場合に、保険財政の赤字を補うためには、あるいは労働者の負担である保険料金を上げる、あるいはまた保険を担当している医者の医療報酬を引下ることで、常に保険財政なり、福祉行政の維持は、財政的には單に收支の均衡化に努めて、その内輪のわくの中ではかれというようなことが、大蔵当局によつて、厚生省の方へ強く持ち込まれているかのような印象を受けますが、一体憲法に規定している国の保障という重大な責任が、そういう形に取扱われますならば、いつま寒つても、われわれの権利というものは国によつて保障されないのであります。こういう観点について、原則的に大蔵省のお考えを承りたいと思います。
  14. 河野一之

    河野(一)政府委員 憲法にいわゆる社会保障国民はすべて健康にして文化的な生活を営む権利を有する、あるいは国が保障するといつた場合に、その国が保障するとか、そういつた意味合いをどう考えるかという問題であろうと考えます。それが中央政府によつて保障するのであるか、あるいは国民全体としてそういうふうに努めるべき問題であるか、その点が一つあると思  います。もしこれが中央政府のものであるならば、現在の厚生行政というものは、国の負担において、全部やるという議論にまで私は発展すると思うのであります。それからもう一つは、保障の程度の問題でありまして、国が保障する、この国の意味をどういうふうに解してもけつこうでありますが、保障するということは、結局国民全体が国民を保障するということに帰着するのでありまして、それは程度の問題であり、国の経済力に合つた問題でなければならないと思うのであります。その保障する金というものは、結局国民のふところから出るのでありまして、これは御案内の通り、現在のごとく五万円以下のものについても税金がかかつておる。平均の国民の課税所得が十二、三万円程度である。昔なら千二百円から所得税がかかつておる。これは二百倍にしても二十四万円であります。そのときに、この千二百円に対して〇・八%しか税金がかかつておらなかつた、現在は平均二割程度かかつておるというような、国民のこの経済力の実情というものを考えて、結局出すには出すにしても、自分たちのふところから出すという考え方で、両方でマツチしないと、自分の実力に合わないようなことはなかなかできない。そこはやはり財政経済と全体の社会保障制度とのにらみ合せということになるわけであります。実力さえあれば、これはどの程度まで行つても、非常にけつこうなことでありますが、そこがやはり国の経済力と見合つての問題ではないかと私は考えるのであります。  それからもう一つ、先ほど今野さんのおつしやつたことに補足的に申し上げるのでありますが、別に私ども官僚行政というふうに考えておるのではないのでありまして、一方においては地方自治を発展充実させろ、国がいろいろな煩雑なひもをつけたりするのをやめろ、できるだけ国の事務というものは地方の方に委譲して、地方自治を発展させよというお声が強いのであります。また一方におきましては、それでは現在の地方自治の状態ではうまく行かないから、何かコントロールしろ、こういうお声もまた現在あるわけでございます。これをどういうふうに考えて行きますか。結局、道は中間でありまして、物事というものは一気に解決できるものではありませんので、それには地方団体の財政とうものを、積極的に充実する方法一つでありますし、また現在の地方財政の実情に合つたように、事務をあんばいするということも一つであります。また地方団体自身として、現在の地方財政の実情からして、何を重点的にやるべきかということを考えていただくのも一つであり事。こういうことをいろいろかみ合せて、そこに一つの筋道なり方法が立つ、地方自治と国の行政と、国庫財政というものが、バランスがとれてやりて行けるのではないか、こう思うのであります。はなはだ口幅つたいと考えますが、私どもとしては、そういうふうに考えております。
  15. 岡良一

    ○岡(良)委員 ただいまの御答弁は、もつともであります。従つて国が保障するというが、国の保障というものは、ひつきようすると、国民負担になる。であるからして、国民負担能力の限界というものを十分考え、あるいは担税力というものを具体的に考えて、適当に善処しなければならないというお考えのようであります。そこで昨日大蔵大臣は、予算委員会において、今後累進高率課税を実施したいということを申されておりましたが、それに蘭達してお尋ねしたい。たとえば、イギリスの社会保障制度というものは、これは呈のわれわれといたしましては、実に世紀の金字塔ともいうべき輝かしい制度でありまするが、あの予算内容を検討いたして参りますると、簡單に申しましても、昨年度の当初予算は七億六千万ポンド——七千六百億円であります。その中で、たとえば医療の徹底的な国家保障が、当初予算は一億六千万ポンドであります。その一億六千万ポンドのうち、国民の主たる支出というものは四千万ポンドにすぎません。一億二千万ポンドというものは、所得税を中心とする国庫收入から補助金としてそれをまかなつております。しかもイギリスにおける所得税は、三十万以下は免税、三十万円から五十万円までは百分の十であります。しかも一万ポンドになれば七・五%、こういうことは皆さんも一応お調べでありましようが、徹底せる累進高率課税によつて負担均衡化をはかり、ひいては国民の所得の均衡をはかり、そうして国庫收入をもつて大幅に社会保障財源として、これを補助の名目でつぎ込んでおります。従いまして、お伺いしたいのは、そういう形において国民負担均衡、所得の均衡をはかりながら、高率累進課税を徹底的にやつて、その財源をもととして、そうして苦しめる者、弱き者、生活の困窮者に対して、あるいは福祉行政に対して大幅な補助を断行する、それを国の責任においてやろうという熱意がなくては、福祉行政も保険行政も、一片の作文にすないのであります。従いまして、今申しましたことは、一応筋道は通るのでありますが、具体的にそこまでやる熱意があるかどうか。またそうしなければ、どうしたつてこれはやれるものではないのであります。これを宙ぶらりんにしておいては、今の御答弁も一片の作文にすぎないのであります。そういう点について、もう一ぺん明確に承りたい。
  16. 河野一之

    河野(一)政府委員 英国の財政が、社会保障制度に相当な金をつぎ込んでいることは事実であります。この英国の財政というものが、相当高率な課税をしており、つまり国民所得に対して四〇%程度になつていることも、私は了承いたしております。わが国の税は、国税が約四千五百億でありまして、これに地方税の二千百億、それに専売益金の千二百億を加えて七千八百億程度になるわけでありまして、国民所得がどのくらいになりますか、最近物価が上りましたのでわかりませんが、まあ三兆四千億ということになるわけでありますから、二割程度負担であり、非常に軽いのではないかという御意見もありましようが、この負担をもつてしても、現在、税金が高い、減税の声が非常に強いわけであります。昭和六年ごろの国民所得は、おそらく二百億ばかりでありましようが、それを今の物価に換算してみましても、四兆程度になるのであります。現在そこまで回復しておらない。そして人口は当時の六千二百万から八千万にふえて、国民の生活水準は戰前の八〇%にすぎないのであります。こういう状況において、国民担税力というものを国民所得に対する。パーセンテージで表わせるものではないのでありまして貧乏人の二〇%と相当金のある者の四〇%では、大分負担が違うのであります。富裕税の問題にしろ、五百万円以上の資産を持つている者について、現在富裕税がかかつているのでありますが、現在の五百万円で、二百分の一としても昔の二万五千円程度の資産であります。わが国の実情において、国民の平均課税所得は十二万円程度になつている。そういつたところで、先ほど申し上げましたように、なおまた二〇%程度負担をしていなければならぬ。昔なら、免税だつたわけであります。そういうように、国民が貧乏になつて、経済力が貧乏になつている時代において、全部満足なことができるわけはないのであります。結局右のふところから左のふところへ出す問題でありますので、ここに相当多数の所得の高い人がありますならば、そこから持つて来ることも考えられますが、現在の日本の実情は、なかなかそういうふうに参らない。従つて、そういう財政の実情でありながら、一方には終戰処理費もございますし、価格調整費も出さなければならぬ、食糧の増産もやらなければならぬ、公共事業もあれば、教育、文化の面もやらなければならぬといつたような時期におきまして、どういうふうにこの財源をさくかということが問題であろうかと私は思うのであります。決してそういう努力を怠つているわけじやありません、社会福祉国家として、文化国家として、今後日本が立たなければならぬことは、既定の方針でありまして、できるだけその方向に向つて努力して参りたい。ただ要は、テンポの問題であり、国民の経済力に合せてこれを発展充実して行くべき問題であろうと、私どもは考えている次第であります。これは私どもでなしに、皆さんの御同感を得ることであろうと思います。
  17. 岡良一

    ○岡(良)委員 大蔵省へ参りましていろいろ陳情いたしますと、いつも数字を並べられますので、数字の魔術にわれわれは眩惑をされまして、つい一本参るのであります。しかし御承知通り社会保障制度審議会の大内さんは、われわれの信頼する日本財政学のオーソリティーでありますが、その大内さん自身が、あの勧告と同時に、これは現在の国の金融財政規模において、決して困難なことではないということを言つておられるのでありまして、そういうことがうやむやのうちにたな上げになつておるということは、われわれとしてもきわめて遺憾であります。いろいろ数字に煩わされおられるようでありますが、数字よりも、ひとつ大きな決意をもつて、あたたかい気持をもつて、われわれ厚生行政に従事いたしておる者の気持を十分おくみとりいただいて、できるだけ踏んばつていただくことを希望しまして、私の質問を終ることにいたします。
  18. 堤ツルヨ

    ○堤委員 ただいまの岡委員の質問に関連いたしまして、もう少しお伺いいたしたいと思うのであります。私は前の委員会におきましても、ただいまの今野委員と同様に、児童福祉行政に対する、今の地方財政平衡交付金の中に入りましたところのこの財政から、国庫補助への切りかえの御意思ありやいなやを、そこにおいでになる大蔵政務次官にもお伺いしたのであります。また各委員からも御質問があつたようでございますが、私たちが質問いたしますと、どうもピントはずれのような御答弁をなさつて、何だかこの福祉行政について熱意がないような感を、いつも受けるのであります。ただいま岡委員は、社会保障制度に少し触れられましたが、この勧告に対して、大蔵省は根本的にどういうお考えを持つていられるか、局長から一応お伺いいたしたいと思います。
  19. 河野一之

    河野(一)政府委員 大内さんの出されました社会保障制度審議会の勧告につきましては、できるだけすみやかに、その方向に向つて努力いたしたい。一ときには参りませんので、できるだけ国民の経済力を充実させ、そうしてそういう社会保障制度も充実させて行くように、できるだけその方向に向つて進んで行きたい、こういう考え方でございます。
  20. 堤ツルヨ

    ○堤委員 御存じのように、非常に若い厚生行政というものが、この講和を前にいたしまして、幾多の社会問題を含みながら、輿論の的になりつつあります。たとえば遺家族の問題にいたしましても、未復員者家族の問題にしましても、傷痍軍人の問題にしましても、また母子福祉の問題につきましても、また児童福祉の問題につきましても、非常に大きな問題を投げかけておるのでありますが、今この社会保障制度勧告を前にして、しかも現段階のような社会福祉行政を目の前に見ながら、大蔵省が今までのごとく厚生省を押えながら、熱意ある財政的裏づけをなさらないならば、大きな一つ国家施策のミステークとして、後々までも大きな暗影を投げかけろと思うのであります。大蔵省の方々は、たとえば今私が申し上げました幾多の問題に関しまして終戰処理費などというものも、来年の予算からはうんと減るはずでありますが、こういうものも十分勘案して、福祉行政の面にまわすというような意思を持つておいでになるか。もうすぐ来年度の予算の編成にもとりかからねばならないのでありますが、御意向を承つておきたいと思います。
  21. 河野一之

    河野(一)政府委員 先ほど申し上げました考え方に、かわりないのでございまして、できるだけ社会福祉行政というものを、充実させて参りたいという考え方でおります。
  22. 堤ツルヨ

    ○堤委員 できるだけという言葉の中には、非常に官僚的な御意思があるようでございます。いつも御答弁に立たれますところの局長級並びに次官級、大臣級の方々の御答弁は、できるだけとか、目下考究中でございますとかいう言葉でございまして、私がこの委員会に出ましてから二年何箇月、たびたびそういう答弁を承つておりますが、そのできるだけという程度が、たとえば委員会があるごとに、あるいは国会が新しく開かれますごとに、それじやどれだけできるだけの努力をされたかという検討をしますと、およそ厚生行政に関する限り、できるだけという答弁に終つて、そのできるだけは、いつ同もじ意味のできるだけであるということを、私は体験しておるのであります。今度の二十七年度の予算編成にあたりましては、私たち委員会におきましても、厚生委員として十分厚生省に御協力を申し上げたいと思つておるのでありますから、どうかひとつ大蔵省の方々は、あまりこの若い厚生行政に対して、無慈悲な冷たいやり方をなさらないように、ひとつここでお願いいたしておきます。
  23. 青柳一郎

    青柳委員 私が本日の委員会の当初に申し上げた点につきまして、大蔵省御当局並びに地財委御当局から、他の委員の方々の発言に対しましてお答えがあつたのでありますが、そのお答えに関連して、私は児童福祉行政を現在よりも現実に即していいものにしたいという熱望の上に立つて、なお少しくただいまの政府当局の御答弁の中で、まだ御理解いただいておらぬと思う点を加えてみたいと思います。  第一点は、河野主計局長のどなたかに対する御答弁にあつた点でありますが、各種の地方団体に普遍的に必要な経費は、平衡交付金で出すべきで、補助金で出すべきでないという御答弁、私はそれを肯定できるのであります。ただしかし、先ほど私の述べた中にもございましたように、児童福祉に関する保護費、ことに保護費生活保護法によります各種の扶助金額と同じように、各与えられる人々の状況によつて、多少が非常にあるのであります。一律に出されるものではないのでありまして、しかもこの各個人あるいは各世帶に与えられる金額は、そのときどきの事情によつて、非常な変化をするのでございます。一年間におきましても、各種の経済上の変化、あるいはその人の身のまわりに起る変化によりまして、増減常ならぬものでございます。局長の言われることが、そういう世帶なり人なりに対して、全部一律に出されるものであるというならば、肯定できるのでございますが、年間におきまして、非常に変異を生ずるものであり、また各個に与える金額がおのおの千変万化であることを、なおじつくりとお考え願いまして、御決断を得たいと思います。  さらに、そういう観点からいたしまして、平衡交付金の中に、児童福祉に関する費用がどれだけということを、大蔵当局でございますか、地財委当局でございまするか、計算をされておるのでございますが、これがはつきりすることによつて、先ほど来御議論がありましたように、厚生行政の保障の面において、十分なる努力をしているということが、現実にはつきりするものと思います。そういう意味から申しまして、いろいろ地財委方面におきまして御研究の点、私よく了解しましたが、やはり補助金的なものにすることが、千変万化であるという現実の面からいい、また国家の保障義務という点からいつて、適当なものであろうと存じております。その点をなお考えいただきたいと思います。  それからもう一つ、私が申し上げた中で、奥野課長は、補助金を出しても返す市町村、府県があるという点を見ても云々というお話があつたのでありますが、国から補助金をいただいて施設をすると、それに必要な経常費がかかるのであります。この経常費が平衡交付金から出る。そうすると、その経常費に対して出そうか出すまいかということを心配して、その前に施設費をお断りする、こういう状況であると、私は考えておるのでございます。その点もつけ加えてお願い申し上げておきます。当局の善処方をお題いいたしておきます。
  24. 今野武雄

    ○今野委員 先ほど岡委員社会保障のことについて申されましたが、ここに大蔵当局もおられるのですが、根本的にその点は考えていただかなければならないと私は思つております。一体国の政治がいいか悪いかということは、その政治によつて、大多数の国民が幸福な生活を営めるかどうかということによつてきまるのでありまして、決して中央地方との別がちやんとしているということによつてきまるわけじやないのです。その一番の根本の目標というものを忘れないでほしい。たとえばソビエトなどでは、第一次大戰の前の一九一三年には、児童保護施設の乳児のベツドの数がわずか五百ぐらいであつた。ところが一九四九年になりますると、それが八十五万にふえております。こういうことは、政治上の変革によることでありまするので、そういう一つの点だけ見ましても、政治の内容というものがわかるわけです。イギリスの場合でも、社会保障が完全に実行されているということは、やはり日本よりもりつぱな政治が行われているということを明らかに示すわけでありまして、それがこの間ベヴアン労働相が、社会保障の点にわずかひびが入つたということ、それも戰争のためだということで辞職するというようなことが起つた。このことは、いかに社会保障の問題が重視されているか、従つて国民のためを思う政治が、政治上の通念になつているかということを、はつきり示すものであります。そういう点をやはり考えなければならない。一体大蔵省として、そういうような建前、つまり国民の福祉を増すことこそが、政治上の一番根本的な問題だ、そういう観点から仕事をしておられるかどうか、この点をはつきりさせてもらいたい。その上で本年度の予算とか、いろいろな問題にかかつてもらいたい、こういうように思うわけでございます。その点切望しておきます。
  25. 河野一之

    河野(一)政府委員 青柳さんから先ほど御質問のありました点にお答えいたします。おつしやるような点はあろうと思いますが、現在児童福祉平衡交付金の配分は、市と町村で、かえておると思うのであります。それで妥当するかどうかという問題は、おつしやる通りあろうと思います。私は、この問題には平衡交付金制度の根本の問題も、ある程度あろうと思うのでありまして、つまり従来の国費地方費の負担区分の制度をつくるのがいいかどうかという問題にまで、発展するのじやないかと思います。奥野財務課長も言いましたように、補助金をやつても、東京都のごとくいらないものもあるということでありまして、そうなりますと、結局地方財政制度自体をどうするかという問題にもなつて来るのでありまして、児童福祉経費負担だけでなしに、そういう問題とあわせて研究せらるべき問題であろうと思うのであります。それで行政調査委員会議から、事務配分に関する勧告も出ております、国庫補助金の整理に関する勧告も出ております。これにあわせて、地方財政制度自体をどうするかということについても、十分検討していただきたい。そうしてまた政府としても、現在の地方自治と申しましても、過渡的なところもあるのでありますから、実情に沿うようにやるべき問題じやなかろうか、こういうふうに一応私は考える次第であります。建前は建前でありますが、そういう点もよく了承できる次第であります。  それから今野さんのおつしやいました点でありますが、私ども別に政治をいたしておるのではないのでありまして、政治は国会なり内閣によつてつていただいているので、私どもといたしましては、事務的な案を作成しておるだけであります。またその案について、いろいろ御検討をいただいておるのでありまして、財政の配分その他について、非常に片寄つたところがあるようでありまするならば、この点は十分御検討いただきまして、是正していただいてけつこうであろうと思うのであります。私どもといたしまして、福祉行政ということの大切なことは、よく存じておりますので、事務的な範囲といたしましては、できるだけの努力をいたしておるつもりでもありまするし、また今後もそれを續けて参りたい、こういう覚悟でおります。
  26. 松永佛骨

    松永委員長 他に本案に対する質疑は、ございませんか。——なければお諮りいたします。三案に対する質疑を終局するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 松永佛骨

    松永委員長 御異議なしと認め、三案の質疑はいずれも終局いたしたものと認めます。  次に三案を一括して討論に入ります。通告順により、岡委員
  28. 岡良一

    ○岡(良)委員 私は社会党の立場からこの三案に対して賛成いたします。この三案は、本来立法上の技術から来た改正が、主たるものでありまするので、われわれは異議ありません。しかしながら、この機会に二、三強く希望を申し述べたいと思います。  その第一点は、最近リツジウエイ声明によつて、各種のポツダム政令が改正を見ようとし、政府においても、その諮問委員会等が設置されて、目下逐次その準備を進めているようであります。御存じのように、厚生行政に関しましては、昭和二十一年二月十七日付の覚書が出ております。この覚書によりますると、結局戰争の犠牲者というような、ある特定な方々の生活保護に対して、特に優先的に手が差伸べられぬような解釈が成立するのであります。これは未亡人、母子福祉の問題等につきましても、われわれがいろいろ関係方面に交渉いたしまするときに、大きな抵抗力となつてつたのでありまするが、こういう覚書につきましても、政府の方では、強く戰争犠牲者の援護のために、できるだけこういう覚書の解釈等についても、戰争犠牲者のために有利になるような交渉をお願いをいたしたいと思います。  さらにまた、社会保障制度審議会の昨年七月下旬のあの試案要綱に対しましても、関係方面の意見なるものが発表されておりましたが、これがやはり、あの制度そのものの実施、予算化については、大きな障害となつたかのごとき印象を受けておるのでありまして、われわれは昭和二十一年二月二十七日付のあの覚書並びに社会保障制度審議会の試案要綱に対する関係方面の意見等についても、政令の改正というこの機会に、どうか政府当局といたしましても、意のあるところを十分に述べられて、関係方面との間に強力な折衝をお願いいたしまして、戰争犠牲者への徹底せる援護、あるいは社会保障制度実現への道を切開いていただきたいことを、まず第一点として強く要求いたしたいのであります。  次には、この三法、身体障害者の福祉、児童の福祉並びに生活保護法の運用について、ごく原則的に二、三の希望を申し上げておきたいのであります。その一点は、これらの諸制度の運営にあたりましては、できるだけ広く民生委員あるいは児童委員等の盛り上る民主的な創意を活用せれましてこの制度の運営にあたつては、官僚化的偏向のないことを特に戒められたいのであります。現に生活保護法が改正されてから、町に村にしばしば制度の運用において、官僚化されたということが、被適用者の側からも耳にいたしますので、特にこの点を御注意申し上げたい。  第二点といたしましては、この運用の範囲あるいは施設等についても、いま少しく充実されたいのであります。特に児童福祉法施設等におきましては、まつたく福祉法の名に値しないような貧弱なものであります。先ほど大蔵当局にも、各委員がそれぞれ申し述べましたが、予算的裏づけというものについては、厚生省も現在のようなまつたくみなし子のような取扱いに対して、断固たる決意を持つて、昭和二十七年度の予算においては、大蔵省と強硬に談判いたされたい。われわれもまた、その驥尾に付して大いに努力するにやぶさかではありません、どうか徹底的にやつていただきたいと思います。  なおさらに、われわれはこの機会に特に厚生行政上重要なる題目となろうと思いまするのは、生活保護法の適用漏れではありまするが、ボーダー・ラインに彷遑する人々の生活援護の問題であります。具体的な政策は申し上げませんが、何しろ電気が七割も値上りになり、お米も今の調子で行くならば五割二分の値上げになるかもしれないと言われております。こういうようなことでは、生活保護法の一隻手前において、まつたく生活困窮のために非常にいためつけられておるボーダー・ラインの階層というものが、現在の推定では七十万と伝えられておりますが、急激に増加するのではなかろうかという懸念もあります。これに対しまして、物的に、あるいは個人信用において、何らか生活の道を開く措置が、当面の急務であろうと思いますので、この点できるだけ急速に、これが具体的対策を樹立されたいのであります。  またなお第三点としまして、さきに社会保障制度審議会が勧告を発しましたその結果、それを受取つた政府は、林国務大臣を責任者といたしまして、関係閣僚の大臣が懇談会を持つたということは聞いております。その懇談会の運営は、各省の次官が幹事役としてこれに当るというようなことも聞いておりまするが、林国務大臣は、その後衆議院議長になられて、一体関係閣僚懇談会なるものは、その後どういう経過をたどつておるか、まつたく私ども知ることができないことは、非常に遺憾であります。社会保障制度の実現は、国民大衆のひとしく早天の慈雨のごとく待ちもうけておるのでありますが、これが社会保障制度審議会の勧告をつくるにあたりましても、そのセクシヨナリズムのために最も大きな抵抗力となつた各省次官を幹事役とするところの関係閣僚の懇談会の手にゆだねられたということは、まつた社会保障制度そのものが、審議会が発足する以前に逆行したものとわれわれは考えざるを得ないのでありまして、この点厚生省当局は、特に責任ある立場におられるので、この問題については、あくまでも善処されまして、社会保障制度審議会の関係各僚懇談会が再編成されて、昭和二十七年度の予算においては、あくまでもこの予算措置責任を持つて講ぜられることをあわせて希望いたします。  以上三点を強く希望いたしまして、われわれは本法案に賛成をいたす次第であります。
  29. 松永佛骨

    松永委員長 次は今野委員
  30. 今野武雄

    ○今野委員 私は日本共産党を代表いたしまして、この三法案に対して、反対の意を表明せんとするものであります。  共産党といたしましては、前に社会福祉事業法案がここに出されました際にも、やはり反対の態度をとつたのでございます。なぜ反対の態度をとつておるかといえば、こういうような法律がいろいろと制定され、また改正されるにもかかわらず、それを完全に実行しようとする意思が、少しも政治的に現われていない。それを何よりも示すものは、すなわち予算上の困難という名目であります。この厚生委員会あるいは厚生省関係では、どこでもここでも、非常にりつぱな作文がなされ、しかもそれを裏づけるための予算がないというこぼし話ばかりがなされておる。こういうことは、結局現在社会福祉事業の対象として考えられておる人々が非常に多いので、それを実行する意図はないのだけれども、実行しないというわけには行かないから、看板だけは掲げる、こういうような非常に欺瞞的な態度をとつておる。こういう点から反対いたしたわけでございまするが、今回の改正を見ましても、現実に昨年度以来の平衡交付金制度の実施その他のことによりまして、地方財政が非常に困難になつて来て、そして一番弱い児童保護その他の措置が、一年前に比べてずつと困難になつて来ておる。こういうような点を見ても、法律の面でもつてよくやるやると言つている事実とは、まさに逆行しているわけでございます。そういう点から、総括的にこの問題に対しては反対せざるを得ないわけでございます。  ともかく先ほども申しましたけれども、社会福祉というようなことを、日本では何かよけいなことのように考えている、そういうことが予算の上にはつきり現われていると言えるわけでございます。しかしながら、この社会福祉という問題は、政治にとつては一番の根本問題であろうと、私どもは考えるわけであります。なぜならば、先ほど申した通り、政治がよいか悪いかということは、その政治のもとで国民の大多数がりつぱな幸福な生活を営めるかどうかということに、かかつて来ておるわけでございます。ところがその点から考えると、今までの日本の政治は、残念ながら、戰前においても悪かつたが、戰後においてもさつぱりよくなつていないということが言えるわけでございます。そういう点から、いつでも引合いに出されるのはイギリスでございまするが、イギリスでは御承知のように、前の厚生大臣であつたベヴアン労働相がこの間辞職された。その辞任の名目は何であつたかというと、社会保障にごくわずかなひびが入つたということで辞職、されたわけでございます。しかも、なぜひびが入つたかといえば、それは結局、アメリカとともに戰争に協力する、こういうような財政経済政策をとり、そのために社会保障の面がないがしろにされた。この方向を見きわめて、それに抗議するためにやめたのだということが、はつきりと言われております。このような点を考えてみますると、現在の日本でもつて社会福祉の面が非常にきゆうくつになつて来ておるということは、やはり同じ事由によるのだということは明らかであります。戰争後今までなかつた赤い羽や白い羽が現われて来た。結局われわれの税金ら、ああいう社会事業関係への補助がなされなくなつたのでああいうものが現われたわけでございまするが、それと同時に、中央から出すものをさらに引下げて、地方財政責任を押しつけ、しかもその他の責任も押しつけられる。このためにそれができない。結局そのしわは個人生活にずつと寄つて参りまして、子供が、学校へ行くにしても、あるいは生活に困つて託児所に預けるという場合ですら、非常な費用を要する、こういうような事柄が現われて来ておるわけでございます。それはなぜかといえば、結局日本がいわゆる国連協力という名のもとに、ほとんど日本全国にわたつてアメリカの軍事基地がつくられ、そのための費用さえも受持たされておるということ、また日本の貿易その他の方面においても、どんどん大きく拔けて行くところができる。そのために、われわれは戰争前には経験したこともないような重い税金を払いながら、寄付金をたくさん募られ、そして個人生活においてその費用を受持たされるというような事態が起きている。こういうような戰争に協力する政策をやめて、そしてほんとうに平和を確保するすべての国と講和を結んで、そうして平和を確保する、こういうような方向の政策をとらない以上、どうしてもこの社会福祉というものは、看板だけのものになつてしまつて、かえつて国民をまどわす有害なものになる。こういう見地から、私どもといたしましては、現内閣のもとにこういうような政治が行われても、これは單なる官僚統制を強化するのみであつて、決して児童その他の困窮した者の福祉にはならない、こういう見地から私どもは絶対に反対するわけでございます。
  31. 松永佛骨

    松永委員長 これにて三案の討論は終局いたしました。  これより児童福祉法の一部を改正する法律案生活保護法の一部を改正する法律案及び身体障害者福祉法の一部を改正する法律案を一括して採決をいたします。三案を原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者成立〕
  32. 松永佛骨

    松永委員長 起立多数。よつて三案は原案の通り可決いたされました。  なお三案の議長に提出する報告書の作成に関しましては、先例により委員長に御一任願いたいと存じますから、さよう御了承願います。     —————————————
  33. 松永佛骨

    松永委員長 次に、診療エツクス線技師法案を議題として、質疑を行いたいと思いまする丸山委員
  34. 丸山直友

    丸山委員 診療エツクス線技師法をつくりますことは、この前の第七国会であつたかと思いますが、結核対策を強化いたします決議案の中に入れてあつたことで、これは当然つくらなければならないと、私ども考えておつたのでございます、その問題に、私も関与しておつたこともあるのですが、大体にエツクス線技師法案の提案の理由の説明を見ますると、エツクス線の照射せられる患者の側の障害を主として除きたい、こういう意味の提案理由の説明をなさつておるわけでございます。しかし法の第一条を拝見いたしますと、従事するものの資格を定めるとともに、その業務が適正に運用されるようにということでありまして、このレントゲン障害というものは、必ずしもこれを照射せられる患者のみが、障害を受けるわけではないのであります。これを取扱うものその人、技術者そのものも、かなり強い障害をエツクス線によつて受けるわけなんであります。これも同時にこれを保護する面が、この法律の中に織り込まるべきであると、私は実は考えておつたのでございまするが、法案を拝見いたしますると、さらにそういうような条項が見当らないのであります。レベル・アツプを考えるということと、そのほか患者を保護するのみであるように思うのでありますが、そういうことに対して御考慮になりませんでしたかどうか。ならなかつたとすれば、なぜ御考慮にならなかつたか。私の考えまするところによれば、これは業務の制限の形において保護を加えなければならぬと、実は考えておつたのであります。たとえばこれを取扱う技術者の白血球の減少がどの程度なつた場合には、業務を休まなければならないとか、あるいは一箇月を通じ、あるいは一週間を通じての業務の時間制限をするというようなことを、この法案の中に織り込みまして、これを取扱う者そのものの身体の障害を保護してやるというような面が、織り込まれなければならないと考えておつたのですが、どういうわけでそれをお入れにならなかつたのでしようか。あるいはこれをお入れになる御意思があるのかないのかということを提案者にまずお伺いいたします。
  35. 中原武夫

    ○中原参議院法制局参事 エツクス線技師自身の障害に対する保護の問題につきましては、全然配慮しなかつたわけではないのでございます。ただ、現在労働基準法によりまして、エツクス線による障害は、業務上の障害ということに指定をされております。従いまして、労働基準法によりまして、療養補償なり、休業補償なり、障害補償が確保されておるわけでございます。そういう基準法との交錯の問題がございましたので、一応そういう補償の問題は、労働基準法、その裏づけになつております労災保険法でまかなつて行こう、こういうように考えたわけでございます。また医療法の施行規則の第四章には、病院、診養所におけるエツクス線装置についての取扱い規定がございます。そのうちの第二十七条、第二十八条、第二十九条、三十条の四箇所にわたりましても、エツクス線操作に当つておる技術者を、有害エツクス線から守るための保護規定がございます。その程度のことで、一応この法案では、技師自身に対する保護規定は他にゆだねることにして、もつぱらエツクス線照射を受ける患者からの立場で、障害が発生しないように考慮することを主眼として考えたわけでございます。
  36. 丸山直友

    丸山委員 労働其準法その他によりますことは、これは障害を受けた結果現われた、すでに障害が起つたものに対するものであつて、これを防止するような方面の規定は、何もございません。それから医療法の問題は、それは装置等に関する問題でございまして、もちろんそれはやらなければならぬのでありますが、当然身分法をつくります上においては、そういうことが考慮せらるべきではなかつたか、これを擁護する意味において考えなければならなかつた考えたので、実はお伺いしたのであります。  それはそれといたしまして、次に、今度これによつて資格を取得いたします者の問題、これは看護婦の問題においても、ああいうふうなやかましい問題が起つたのでありますが、單純にレベルを上げるというようなことをのみ考え法律をつくりますと、数の確保ができないということが、必ず起つて来るのであります。その意味におきまして、エツクス線を取扱う技師となり得るような人の数は、現在どのくらいあるか。またこれが経過規定において、五箇年間でありましたか、試験を受けることになつておりますが、この試験を受けて、当然その中で問題にならないような人もあると思いますが、その総数の中で、大体どのくらいの数がこの中へ入つて来るというお見通しでございますか。
  37. 中原武夫

    ○中原参議院法制局参事 現在エツクス線技師の業務に従事しております人員は、四千名でございます。この四千名のうちには、今度の法案で要求しておりますか、学歴以下のものが相当数を占めておりますので、必ずしも全部が全部ただちに試験に合格するとは予定できませんが、少くとも五年間の余裕を置きますならば、その業務を継續させて行くにほとんど支障がないと考えております。
  38. 丸山直友

    丸山委員 結核予防法が全面的に改正になりまして、レントゲンを扱わなければならない機会が、今後非常にふえて来るということが、当然考えられるのであります。これを取扱いますのが、全部資格者でなければならぬということに自然相なつて来るわけでありますが、そういうものの増加の見通しと申しますのは、今後ごの資格をとります者は、文部大臣の指定する学校、あるいは厚生大臣が指定した養成所で、二年以上エツクス線技師としての必要な知識技能の修得を終えた者が試験を受ける、こういうことに相なるのであります。そういたしますと、その需要を満たす上におきまして、文部省といたされまして、文部大臣が指定した学校をつくり得るというふうなお見通しであるかどうか。もしつくり得るとすれば、どのくらいの数で、どういうふうな予算でやれるというふうなお考えがありましたら、承りたいと思います。
  39. 腰原仁

    ○腰原説明員 レントゲン技師の養成の、文部省関係の分について、御参考のために概略御説明申し上げたいと思います。例を国立大学にとつてみますと、現在おおむね一年ないし二年、短期のものもございますが、放射線学科あるいはその教室、あるいはまた病院の施設等を利用しまして、養成いたしておりますが、人員は二、三名から多くて十名ぐらいの間になつております。この養成の目的は、その大学において必要とする需要を満たすという程度になつている現状でございまして、その大学において将来必要とするものを、そで養成して行くというような気持でやつておるのであります。これは公立の大学、私立の大学におきましても、ほぼ同様でございまして、なお私立あるいは公立の大学においては、養成しておる箇所がさらに少いようなおります。それで、この法律によりまして、将来文部省関係の大学において養成するとしますならば、まずさしあたり予算関係考えなければならないのでありますが、それには、教員の定員とか、あるいは設備、施設、特にレントゲンは相当高価なものでもございますし、また最新技術に遅れるようなことがあつてはなりませんので、絶えず新しい型の設備を補充して行かなければならないということが考えられるのであります。従いまして、この法案にもございますように、いずれ審議会というものができまして、文部大臣が指定し、あるいは厚生大臣が指定するという、指定の標準とか、目安とかいうものができるだろうと思います。この標準なり、指定の目安が、あまり現状から離れたものであるならば、非常にこの点は困難になるのではないかということが予想されますので、もしそういう場合には、関係の官庁と協力しまして、その指定の基準については、相当現状に即するようやつていただくように、文部省としましては希望するところでございます。  なお、先ほどお話の状況から、相当人数が必要になるということが考えられるそうでございますが、これを大学が、全部というか相当部分養成するということになりますと、以上申しましたような現状から、設備なり、定員の関係で、相当ふやさなければならないということになりますので、その需要の関係の見通しによりまして、その施設につきましては、われわれとしまして、その養成にできるだけのことはいたしたいと考えております。
  40. 丸山直友

    丸山委員 提案者にちよつとお伺いしますが、文部大臣の指定した学校という意味は、たとえば東京大学であるとか、あるいは何々大学というように、学校全体を御指定になるという意味に使つてあるのでしようか。あるいはレントゲン技術者を養成するのみの、特別な文部大臣の指定した学校をおつくりになるという意味でしようか、そのどちらですか。
  41. 中原武夫

    ○中原参議院法制局参事 ただいま御指摘になりました、どちらでもよろしいという意味で、法文は書いてございます。
  42. 丸山直友

    丸山委員 次に、二十四条でございます。「医師、歯科医師又は診療エツクス線技師でなければエツクス線を人体に対して照射することを業としてはならない」とありますが、今まで私どもが実情を見ておりますと、いわゆる柔道整復師、俗間に申します整骨医というものでレントゲンを用いておるものが実際上あるのであります。こういうものは、この法に従いまして当然禁止せられることに相なると考えますが、そういう意味でございますか。実はきようは医務局の御出席を願つて、これに関する今後の取締り方針をお伺いしたいと思つておりましたが、見えておりませんので、それだけ提案者に伺います。
  43. 中原武夫

    ○中原参議院法制局参事 二十四条の「業としてはならない」という解釈は、ただいま御指摘になりましたような、柔道整復師がその業務の手段としてやる場合を、当然含むのであります。
  44. 金子與重郎

    ○金子委員 この法案を私まだよく勉強しておらないのでありますけれども、きよう採決するらしいので、二、三お伺いしておきます。  まず最初に、このごろこういうふうに、医者の試験から始まりまして、近くは看護婦の問題、すべての問題につきまして、学校をたくさん出さえすれば資格があるのだというふうな考え方によつての立法が、非常に多くなつております、本来ならば、敗戰しておるのでありますから、教育程度が下りますのに、敗戰しておつて、六・三制を初めとして、あらゆる部面が学校教育の程度を増しておる。そういうことを許されるのは、非常にけつこうでありますが、ここで問題になりますのは、やはり以前の獣医あるいは看護婦、すべての問題と関連いたしまして、既得権者の問題が必ず問題になると思うのでありますが、この既得権者をどう扱うか、それに対する再教育はどういうふうな方法をとつて行くかという点について、御説明願いたいと思います。
  45. 中原武夫

    ○中原参議院法制局参事 既得権者につきましては、附則に書いてあるのでありますが、届出をさせまして、五年間は従前通り業務継續を認める。そうしてその五年間に別個の試験を行う。五年後になつてその試験に合格しなかつた者は、初めてその業務が禁止されるということにいたしてございます。
  46. 金子與重郎

    ○金子委員 試験によつて認めるということは、既得権者を扱う場合に、いろいろの面において行われておるのでありますが、問題は法案よりも、実施上の内容であります。御承知のように、試験というものは中等学校、高等学校を出ましても、卒業試験をりつぱにパスした者であつても、卒業後それに相当する試験を厳正にやつたならば、おそらく八〇%以上受からないのが原則であります。そういう意味から、その試験は、部門は違いますけれども、最近行われました獣医師やその他の者と同じように、ある程度まで、できるだけ既得権者を認めてやるというふうな考え方でやつて行く考えなのか。それとも、今度の看護婦試験等のように、親心を加えますとパスの率が非常によくなりますし、ほんとうに資格を正しく持たせようという意味で厳正にやるならば、おそらく大部分が脱落すると思うのでありますが、その見解について——法案の問題ではありませんけれども、心組みをお聞かせ願いたいと思います。
  47. 中原武夫

    ○中原参議院法制局参事 これは実施官庁の所管でございますので、私からお答えするのはどうかと存じますが、法案をつくります際に、主管省と打合せを行つて参りました方向は、必ずしも現在業務に従事しておる者を、厳格な試験をやつて落そうという意思はございませんでした。といつて、逆に非常にルーズな試験をやつて、みんなパスさせようという方向でもございませんでした。ただエツクス線技師として必要な技術は、どうしても確保する必要がありますので、現在は医師会を中心として、技術者自身が自発的にいろいろな講習をやることによつて、みずからの知識と技能を向上させております。そういうような赳勢から考えまして、おそらく先ほど申し上げましたように、大部分が試験に合格するであろということが予想されます。
  48. 金子與重郎

    ○金子委員 それから、これはちよつと先ほど丸山委員から御質問があつたのでありますが、相当重大な問題だと思うのであります。整形をやる医者が、広い意味でなく、大体自分の專門の範囲内におきまする骨の状態や何かだけをみるためのレントゲンを、大規模なものも、あるいは小規模なものも、相当使つておりますし、結核專門のお医者さんが、それ專門のレントゲン等を診療に使つておるのもあるのでありますが、これを特定の技術者を雇わなければできないということになりますと、それは相当医療費にも影響すると私は思うのであります。この点医療費に影響するかしないかということについての見解を、お聞かせ願いたい。
  49. 中原武夫

    ○中原参議院法制局参事 法案の二十四条に書いてありますが、医師、歯科医師は、当然照射ができるのでありまして、この法案ができたために、必ずエツクス線技師を雇わなければならないということにはならないのでございます。
  50. 松永佛骨

    松永委員長 ただいま久下次長が見えましたから、丸山君。
  51. 丸山直友

    丸山委員 今の二十四条の問題ですが、この法案が成立いたしますと、資格を持つたエツクス線技師でなければ、エツクス線を人体に対して照射することを業としてはならないことに相なるわけであります。従つて、柔道整復師、いわゆる整骨医と世間で言つております人たちの中には、レントゲンを持ち、これを使用している者が相当数あるはずであります。それに対して、今までどういうような取締りがありましたか。またこの法が成立しました場合においては、これは禁止せられるわけでありますが、それの行政面におけるあなたのお見通しをひとつお聞かせ願いたい。
  52. 久下勝次

    ○久下政府委員 柔道整復師に対する取締りに関してのお尋ねでありますが、この取締りは、私が申し上げるまでもなく、都道府県知事が直接やつておりますので、今ただちに、この実情について詳細にお答え申し上げる資料を持つておらないのでありますが、一般的な私どもの考え方といたしましては、あん摩、はり、きゆう、柔道整復等営業法第五条にもございますように、柔道整復師は脱臼、骨折の患部に対しては応急手当をなし得るのみということになつておるのであります。そういう観念から申しまして、レントゲン照射をして骨折その他の状況をいわゆる診断をするという能力も権能もないものと考えております。従いまして、実際にレントゲンの機械をもつて柔道整復業をやつておりますかどうかにつきましては、実は迂遠な話で申訳ないのでありますが、私どもそうあるべきでないとも思つておりますし、またさような実例は私どもとしては聞いておりませんが、お話の点もございましたので、さつそく取調べをいたしたいと思つております。さような考えでございます。
  53. 丸山直友

    丸山委員 柔道整復師や、あんま、はり、きゆうがレントゲンを持つてつてはならぬとか、使つてはならぬという禁止規定は、今まではなかつた、今度ここでできるのだと思います。今までは事実において持つているものを、私は承知しているのであります。それが事実上禁止せられておらなかつたのでありますが、そういうものが禁止せられることになりますから、その辺はどういうふうにおやりになるお覚悟であるかということを、行政の面からお伺いしているわけであります。
  54. 久下勝次

    ○久下政府委員 確かにお話の通りに、私がただいま読み上げました規定以外には具体的に、レントゲンの機械を持つてはならないということは、法規上ございません。ただ、ただいま申し上げました規定の精神から考えまして、少くとも、それは本来の柔道整復師の権能の範囲外に属するものである。従つてさようなことをいたしますことは、国民の医療の立場から申しまして好ましくないというのが、私どもの基本的に持つておる者をどうするかということにつきましては、さような考え方でありますので、実情をつまびらかにいたしておりませんから、今ただちにお答えをいたしかねるのでありますが、さつそく調査をいたします。筋道といたしましては、やはり私どもは、この法律によつて許されております者以外が、人体に相当の被害が及ぶおそれのありますレントゲン照射をするということそれ自身、相当警戒をしなければならないことと思つておる次第であります。
  55. 丸山直友

    丸山委員 もう一点、先ほどお見えになりませんでしたので、お伺いいたします。第二十条の「厚生大臣が指定した診療エツクス線技師養成所において」云々ということが、今度は必要になつて来るわけであります。先ほども一ぺん申し上げたのでありますけれども、今度は結核予防法の全面改正等によりまして、レントゲンを取扱わなければならぬので、機械が非常にふえますから、この技術者の数は相当数当然確保しなければならぬと考えます。それが、しかも今度は養成所あるいは指定した学校を出なくちやならぬことになりますので、年々落ちて行きますから、現在あります数では足らぬと思います。また五年間に試験を受けましても、落第する者もありましようから、若干減ると考えております。そうした増員しなければならぬときに、減るのであります。しかも二年間の教育を受けるのでありますから、二年間は絶対にふえて来ないわけであります。そういう意味で、このエツクス線技師養成所というものを、大体どのくらいつくられるか、この数の確保について何らかのお覚悟がございまするかどうか、その御用意の点についてお必構えを承りたいと思います。
  56. 久下勝次

    ○久下政府委員 実はこれは他の、たとえば看護婦制度とかいうものにつきましても同様でございまするが、政府が直接計画を立て、養成施設の増設についての見通しをつけるということはただいまのところでは、私どもは考えておらないのでございます。かようなものは、こういう法律によりまして一定基準が定まり、またレントゲン診療エツクス線技師としての職業が、法律によつて尊重せられるということになりますれば、おのずから社会の認識も深まつて参りますし、また一方におきまして、お話の通り相当の需要があるわけでありますから、ただいまのところはほとんどないといつてもいいくらいでございまするが、急速にかようなものが一般的に生れ出るであろうという期待をいたしておる程度でございます。
  57. 丸山直友

    丸山委員 提案者にお伺いしたいのですが、レントゲン技師養成所等の認可、指定の規格というものが、省令か何かで出るだろうと思いますが、何かお考えがあるでございましようか。それに対する見通し、どんなふうにこれができるだろうか、数の確保ができるというお見通しがあるかないかということ、養成所の規格でございますが、それをひとつお伺いしたいと思います。
  58. 谷口弥三郎

    ○谷口参議院議員 私からお答えいたします。ただいまのところは、特別にきちんとした規格はできておりませんけれども、現在、たとえば京都における島津製作所などに驚きましては、ほぼこれと同じような、われわれが考えておる程度のエツクス線技師を養成いたしておるのでございますが、そこなどもただいまのところでは毎年五十名ずつ出しておるような状況でございます。なおそのほかに、こういうのをやりたいというところもございますし、大体といたしまして、私どもが発案いたしました当時は、今後一年に二百人ぐらいエツクス線技師を養成すれば、十分間に合うのではなかろうかと存じております。規格の点におきましては、まだきちんとしたのはできておりませんけれども、大体島津などでやつております程度で、よくはなかろうかと思います。
  59. 岡良一

    ○岡(良)委員 これは希望と申してもいいのですが、最近議員提出の立法が非常に多いので、これは国会の建前上非常にけつこうなことだと思いますけれども、われわれのクリーニング師法案、やがては調理師の法案もできそうだというお話です。しかしレントゲンの技術者の法律案、われわれがあの大幅な結核予防法を改正したという責任上からも、最も時宜に適した法律案だと思つておるのですが、ただ問題は、先ほど丸山さんと提案者、あるいは文部省、また久下次長との間にいろいろお話のやりとりがありましたが、せつかくわれわれが法律案を立案し、これが通過したとして、その実施にあたつて、やはりちやんと締めくくりをつけるだけの責任がないと、非常に申訳ないと思うのです。われわれがレントゲン技術師の法律案に最初から賛成いたしておるゆえんも、やはりこの技術職員の生活の安定をはかつてやる、あるいは技術水準そのもののレベルアツプをはかつてやる、同時にまた、レントゲン技術師を結核撲滅の第一線の職員として、できるだけ多く量的に充実したいということ、これは理の当然でもあり、こういう観点から、われわれもこの案に対しては、当初から賛意を表しておるのでありますが、その生活の安定ということで、一体どういう待遇をなさるのか、またどういうような形で量的にも充実をはかられるのか、またこの資格取得のためには、どういうものをもつて具体的にレベルアツプをなさるのか。これは具体的なことは別としても、何かそこにわれわれとしても安心のできる言質と、また安心のできる筋道を、提案者なり政府当局からやはり承つておかないと、ただ立法した、通過したということだけでは、われわれもまことに相済まぬと思うのです。そういう点で、提案者の方なり久下さんなり、また教育の係の方は、何かもつと具体的にこうやろう——提案した法律案が通過したら何とかなるだろうといつたようなことではなく、もつと責任のあるお考えがあるのではないか、またなければなるまいと思う。ないとすれば、あるように仕向けて行くにはどうすればいいかというような、もつと具体的に、提案者に含みがあるかどうか、そういう点をはつきりさせていただきたい。
  60. 谷口弥三郎

    ○谷口参議院議員 私からお答えいたします。ただいまレントゲン技師などに対する身分法がはつきりしておりませんために——もちろん人事院などの俸給の規定にも出ておりますけれども、程度が非常に低いのでございます。従つて、今回これができまして、しかも教育程度におきましても、六三・三を経た者が二年間の教育を受けるという程度に上つて参りますので、それに相当しただけの身分保障、俸給その他は、ぜひやつてもらわねばならず、またやらせなければならぬというふうに考えております。
  61. 久下勝次

    ○久下政府委員 お尋ねが、私どもの方にも関連をいたしておるようでありますので、私から申し上げておきたいと思います。まず第一に、私どもといたしましては、エツクス線技術師に対してさような立法が行われますことにつきましては、当初から全面的に賛意を表すると同時に、むしろ場合によりましては、政府提案ででもというような気持を持つていたくらいでございます。従いまして、かような法律が御決定になりましたあかつきは、私どもといたしましては、これを執行する責任義務とを負うことになるわけでございます。十分この必要を感じておりまするし、法律の趣旨とするところを実現いたしますように、努力をいたしたいと思つております。先ほど丸山委員からもお尋ねのございました学校の設置にいたしましても、別に具体的に、政府が助成をしてどうこうということは、ただいまのところ考えておりませんけれども、実際問題としては、行政的ないろいろな措置を講じまして、早く所要数が満たされるように、いろいろと手を打ちたいと思つております。またお尋ねのありましたレントゲン技術師の待遇の問題につきましても、これは他の例を申し上げれば、御了解をいただけると思うのでありますが、今ただちにこの法律の制定前にいろいろな手を打つということは困難であるのでありまするが、たとえば看護婦に関する法律の御決定をいただきました後におきまして、大学程度の教育を受けた者が出て来たあかつきにはということで、普通の従来の看護婦ですと、五級の一号から始まりますものを、六級一号から採用するというようなぐあいに、人事院当局との了解も得まして、すでに実施をいたしておるような次第であります。具体的にどの程度になりますかは、そういう相手方のあることでありまして、ただいま具体的には申し上げられませんけれども、私どもとしては、十分な可能性を持ちまして、この制度ができましたあとは、その制度に基くエツクス線技術師につきまして、待遇は与えられるものと信じておる次第でございます。
  62. 岡良一

    ○岡(良)委員 待遇の件は、せつかく努力してもらわねばいかぬと思いますが、さつきの文部省の方のお話では、レントゲン技術師の養成のためには、やはりだんだん高度の機会もいるだろう。われわれも大体治療というものの趨勢を見ると、将来は物理的な医療が、医療界においては非常に大きなウエートを占める時期が来るのではないかということを思うので、やはりこれは物事の重大な初めであるから、資格取得のための規定については、よほど細心に将来をおもんばかつた決定のもとにつくつてもらいたいと思うが、それは別として、さつきのお話のように、よほどすぐれたレントゲン機械でもなければ、レントゲン技術師の教育ができないというようなことになると、すぐ予算等の問題でいろいろ困難なことが起つて来る。たとえば、ある一つの都会で大学があり、国立病院がある。国立病院はレントゲンの利用率は高いけれども、しかしレントゲンに従事しておる諸君においては、講習生に教育を与えるだけの力がない。しかしそういう力を持つておる人がたくさんそろつておるところの大学病院のレントゲン科もあれば、同じおひざ元に国立病院もあつて、相当患者を扱つておるというところもある。こういう場合に、文部省と厚生省がなわ張り争いをやつて、お互いがお互いのところだけでやろうというようなことになると、なかなか量的充実はできない。現に金沢なんかでは、国立病院と大学病院がタイアツプすれば、相互大規模にレントゲン技術師の養成ができる。そういうようなことが実際は相当あちらこちらにある。そういう点はよく現地の実情に即して、量的充実をはかるという見地からも、お互いにセクシヨナリズムを捨ててタイアツプして、レントゲン技術師の大幅な養成に努めていただきたいことを重ねてお願いをいたしまして、私の質問を終ります。
  63. 松永佛骨

    松永委員長 他に本案についての御質疑はありませんか。——なければお諮りいたします。本案の質疑を終了するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 松永佛骨

    松永委員長 御異議なしと認め、本案の質疑は終局いたしました。  次に、本案の討論に入るのでございますが、本案の討論につきましては、別に通告もございませんので、これを省略し、ただちに採決に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 松永佛骨

    松永委員長 御異議がなければ、本案の討論は省略し、これより診療エツクス線技師法案を採決いたします。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。     〔総員起立〕
  66. 松永佛骨

    松永委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決いたされました。  なお議長に提出する本案に関する報告書の作成に関しましては、先例により委員長に御一任願いたいと存じますから、さよう御了承願います。     —————————————
  67. 松永佛骨

    松永委員長 次に、理容師法の一部改正に関する件について、高橋委員より発言を求められておりますから、これを許します。高橋委員
  68. 高橋等

    ○高橋(等)委員 理容師法の一部改正法律案内容を、ごく簡單に御説明申し上げます。  まず改正の第一点は、従来理容師という名前は、ややもしますると、理髪のみを意味するきらいがあるので、美容師方面より、はつきりした名前をつけてくれという要求もありまして、この際法律の名前を理容師美容師法と改めたことであります。  第二は、理容師及び美容師につきまして、できるだけ技術及び学術が、その資格に適当な人を得たいという考え方もありまして、一応従来の法律によりますると、一年間の学校教育を経まして、あと一年間厚生大臣の指定いたしまする場所で実地習練をした人は、ただちに理容師及び美容師になることになつてつたのでありまするが、このたびの改正は、学校卒業後一年以上の実地習練は、実情を勘案いたしまして、結局厚生大臣の指定ということをなくして、どこでも習練に適するところで習練してもらう。そしてその上で、一応その適格者を都道府県知事が行う試験によつて判定をいたしたい、こういう改正でございます。  次に、理容師及び美容師は、理容所または美容所以外ではその業をしてはならない。しかしながら、例外的に、特別の事情がある場合には、この限りでないという規定を、新たに挿入いたしたのでありまするが、これは公衆衞生上の要請より、こういう措置をとることが適当と判断をいたしたのであります。  次に、従来は理容所または美容所を開設しようとする場合におきましては、届出によりまして、これを開所することができることになつてつたのでありまするが、従来届出いたしまして営業開始いたしました者に対しまして、公衆衞生上の見地から、いろいろのこれが設備の改善について指示をなす必要が生じておつたのであります。しかし一旦営業開始いたしました後におきまして、こういうような設備の変更を求められるということは、営業者自体にとりましては、非常な打撃であります。そういう意味からいたしまして、理容所、美容所を開設する日の十五日前に、一応届け出るということにいたしまして、その開業前に公衆衞生上の指導をさせた方がよかろうというので、そういう規定を挿入いたしました。  なおその他は、組合及び審議会に関する規定でありまするが、いずれも、技術の向上及び施設の改善をはかり、あるいは会員の指導、連絡に資するために、そういうものを置くことができるという規定を書いてあります。  最後に、附則におきましては、従来の資格者あるいはまた従来の法律によりまして、現在学校へ行つておる人、あるいは卒業しておる人、あるいはまた現在学校を卒業して実地の習練をいたしておる人、こういうような人々に関しまする求済のための経過規定をつくつてあるわけでございます。  何とぞ愼重に御審議を賜わりまして、御賛成いただきたいと思います。
  69. 松永佛骨

    松永委員長 ただいまの御発言に対する質疑は、次会にこれを譲ることにいたします。     —————————————
  70. 松永佛骨

    松永委員長 なお先般去る十九日本委員会におきまして看護婦制度に関する件について厚生大臣に文書による調査報告書の要求をいたしましたが、昨二十三日の午後四時に委員長の手元までこれが参つております。これは明日理事会を午後一時より開催いたしまして検討の上、さらに委員諸氏にお諮りをして、善後の処置を講じたいと存じますから、さよう御了承願います。  次会は公報をもつてお知らせすることといたしまして、本日はこれをもつて散会いたします。     午後一時三十一分散会