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1951-03-23 第10回国会 衆議院 厚生委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十三日(金曜日)     午後二時三分開議  出席委員    委員長 松永 佛骨君    理事 青柳 一郎君 理事 丸山 直友君    理事 亘  四郎君       高橋  等君    田中  元君       寺島隆太郎君    中川 俊思君       堀川 恭平君    山村新治郎君       金子與重郎君    堤 ツルヨ君       井之口政雄君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 黒川 武雄君  出席政府委員         厚生事務官         (社会局長)  木村忠二郎君         厚生事務官         (保險局長)  安田  巖君         厚 生 技 官         (公衆衛生局         長)      山口 正義君         厚 生 技 官         (医務局長)  東 龍太郎君  委員外出席者         厚生事務官         (保險局船員保         險課長)    牛丸 義留君         厚 生 技 官         (公衆衛生局結         核予防課長)  小川 朝吉君         専  門  員 井川 章知君         専  門  員 引地亮太郎君     ――――――――――――― 三月二十三日  委員井之口政雄辞任につき、その補欠として  苅田アサノ君が議長指名委員に選任され  た。 同日  委員苅田アサノ辞任につき、その補欠として  井之口政雄君が議長指名委員に選任され  た。     ――――――――――――― 三月二十二日  船員保險法の一部を改正する法律案丸山直友  君外二名提出衆法第二二号) 同日  遺族援護強化に関する請願青柳一郎紹介)  (第一四五三号)  理容師の免許に関する請願山本久雄紹介)  (第一四八九号)  生活保護法の一部改正に関する請願野村專太  郎君紹介)(第一四九〇号)  保健所法及び同法施行令の一部改正に関する請  願(野村專太郎紹介)(第一四九二号)  児童福祉法の一部改正に関する請願野村專太  郎君紹介)(第一四九三号)  社会福祉事業基本法案の一部修正に関する請願  (野村專太郎紹介)(第一四九四号)  結核患者作業療法に関する請願苅田アサノ  君紹介)(第一四九五号)  医療法による看護婦及び医師増員等に関する  請願苅田アサノ紹介)(第一四九六号)  アフター・ケア施設確立に関する請願苅田ア  サノ君紹介)(第一四九七号)  国立療養所における給食費増額等に関する請願  (苅田アサノ紹介)(第一四九八号)  社会保障制度審議会勧告案立法化に関する請  願(苅田アサノ紹介)(第一四九九号)  生活保護法による扶助基準引上げ請願苅田  アサノ紹介)(第一五〇〇号)  国立療養所入所患者診療費に関する請願(苅  田アサノ紹介)(第一五〇一号)  国費によるストレプトマイシン、パス、テイビ  オン等支給請願苅田アサノ紹介)(第一  五〇二号)  結核病床増設に関する請願苅田アサノ君紹  介)(第一五〇三号)  入院患者に強制退所指示の撤回並びに作業療法  完全実施等に関する請願苅田アサノ紹介)  (第一五〇四号)  医療法による医師及び看護婦増員並びに完全  給食に関する請願苅田アサノ紹介)(第一  五〇五号)  結核病床増設等に関する請願苅田アサノ君紹  介)(第一五〇六号)  生活保護法等運用に関する請願増田連也君  外一名紹介)(第一五三六号)  熱海市の下水道及び処理場事業費国庫補助等に  関する請願畠山鶴吉紹介)(第一五五一  号)  熱海市の上水道事業費国庫補助等に関する請願  (畠山鶴吉紹介)(第一五五三号) の審査を本委員会に付託された。 同日  差別言動取締法制定に関する陳情書  (第四三八号)  医薬分業に関する陳情書  (第四三九号)  国民健康保險経費に対する国庫負担増額陳情  書  (第四四五号)  理容師法改正反対に関する陳情書  (第四七二号) と本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  結核予防法案内閣提出第一一五号)  船員保險法の一部を改正する法律案丸山直友  君外二名提出衆法第二二号)  社会保障制度に関する件     ―――――――――――――
  2. 松永佛骨

    松永委員長 これより会議を開きます。  まず結核予防法案を議題として、前会に引続き、通告順質問を許します。丸山君。
  3. 丸山直友

    丸山委員 前会は逐条的にこまかいことをお伺いしたのでございますが、きようはもう少し広い意味で、運用の面についてお伺いしたいと思います。先般金子委員からも運用面について相当質問が出ましたので、重複する部分は全部省略いたしまして、私が心配している点を一点だけお伺いしたいと思います。  この改正になりまする予防法内容を見ますると、保健所がなさなければならない業務が、非常にたくさんあるのであります。ところが現在ありまする保健所Aクラス保健所であつても、定員は五十二名にはなつておりまするけれども、その保健所が現在やつておりまする仕事は、非常に多岐多様にわたつておるのであります。保健衛生関係のない人口動態の統計に関係することまで、及び台所のこと、下水道のこと等合せますると、約十一項目の仕事を持つておるわけでございますが、そのほかにこの結核予防法による仕事がまた加わつて参りますので、事務分量というものは、非常に厖大になると思います。しかるに五十二名の定員であるAクラス保健所でさえも、その事務分担人員の割振りを見ますと、総務課は係が三つ、衛生課が係が二つ、保健予防課が七つの係、普及課が五つの係というふうになつておりまして、おのおののセクシヨンセクシヨン人員が割振つてございます。結核係を受持つ者は医師が二名、レントゲン技師が一名、事務員が一名——今度事務員は御増員になるわけでございますが、それが專門に結核にとりかかるかどうかということもありますが、今まではAクラスでさえも結核に関する正式の係は四人でやつておるわけであります。そのほか保健婦が十五名、これは保健所外に出動する者が大多数であろうと考えるのであります。そうすると、このくらいの五十二名の定員Aクラスでさえも、この法律に規定しておりまする事務分量が、はたしてこれだけの人間でやつて行けるかどうかということに対して、私は非常な疑念を持つておる。その意味におきまして、現在ではたしてやつて行けるだけの見込みがあるか。ましてBクラスCクラス保健所において、これだけの事務量がこなせるかどうかということと、それから将来この保健所定員を、さらに定員法改正という形で増員なさるような御意思があるかどうか。それについて見通しを承りたいと思います。
  4. 山口正義

    山口(正)政府委員 保健所定員に比較して、保健所に課せられました事務員が、非常に多過ぎるという御意見でございます。この点につきましては、私ども常に反省いたしているわけでございますが、全般的に申しまして、保健所に対して各方面からの事務が要求されますために、非常に過重になるという声を聞いているのでございます。その点につきましては、私どもの方で、先般来保健所に対して、各方面からやや重複していろいろな事務を課しておる部面も見られますので、重複を避けてできるだけ負担を軽くするようにということを努力しているのでございます。なおただいま御指摘のように、結核関係職員に対しまして、たとい二名増加しても相当過重になるのではないかという御配慮でございますが、私どもといたしましては、保健所定員増加ということについては、先般も御説明申し上げたかと存じますが、二十六年度におきましては、とりあえず二十箇所の新設と、八十一箇所の格上げをいたしまして、保健所全体としての定員増加して、事務をできるだけ円滑にやつて行きたいと存じておりますが、将来保健所定員増加につきましては、とりあえずAクラスを目標といたしまして、逐年CクラスBクラスから格上げをいたしまして、定員増加をはかつて行きたい、そういうふうに考えております。なお現状におきまして、相当過重になつておるという声はしばしば聞きますので、その点は現在の定員において、事務重複をできるだけ避けて、負担を軽くして本法施行に遺憾のないようにやつて行きたい、そういうふうに考えております。
  5. 丸山直友

    丸山委員 BクラスCクラスを漸次Aクラス引上げて行くという御方針はわかるのであります。私の申しますのは、Aクラスでさえもその事務が過重でないかということを申し上げたのでありまして、Aクラス定員増加するように将来なさるおつもりはないかということと、それからもう一つ、先般九州地方をまわつたときに見たのでありますが、医科大学の卒業生が、公衆衛生方面インターンをこの保健所でやつております。それも予算を大してもらわないでやつておられて、手伝いをしてもらうのではなくて、そのためにかえつて負担相当多くなつておるということを見て参つたのでありますが、それらに対しての何か御調節をなさるような考えありませんか、いかがでございますか。
  6. 山口正義

    山口(正)政府委員 Aクラス定員増加する意思はないかどうかというお話でございますが、保健所定員につきましては、とりあえずAクラスはそのままにしておきまして、下から上げて行つてすべての保健所Aクラスに持つて行きたいという方針でございます。しかる後にAクラス増員ということを考えて行きたいというふうに思つております。なお保健所医師充足状況が不十分という御指摘をしばしば受けますが、この点につきましては、先般議決していただきました予算の中にも、二十六年度から保健所医師に対して研究費を出すということをいたしまして、医師充足をはかつて参つて、現在与えられております定員をフルに活用するように努力いたしたいと考えております。
  7. 丸山直友

    丸山委員 クラスを御増員になる意思が、ただいまおありにならぬようであります。これはやつてごらんになればすぐにわかると思いますが、必ずこれでは足らないということを感ぜられると思います。従つてつてごらんになつてからでもいいと思いますが、私はAクラス定員もふやすように御努力あることを希望するのであります。  それからインターンのことについては御答弁がなかつたのでありますが……。
  8. 山口正義

    山口(正)政府委員 失礼いたしました。インターンの件につきまして、インターンを引受けることが保健所相当負担になるのではないかという御指摘でございますが、その点につきましてはインターンの運営につきまして医務局の方と十分相談いたしまして、インターンそのもの保健所業務に、大きな負担にならないように運営して行きたい、そういうふうに考えております。
  9. 丸山直友

    丸山委員 現在保健所における医師充足率はどのくらいになつておりますか。保健婦充足率はどのくらいになつておりますか。お手元数字がございましたらお知らせ願いたい。
  10. 山口正義

    山口(正)政府委員 御質問保健所職員充足率は、正確な数字手元に持ち合せてございませんで申訳ありませんが、医師以外の職員につきましては大体充足いたしております。医師につきましては、現在なお三分の二程度しか充足いたしておりません。
  11. 丸山直友

    丸山委員 充足率がたいへん悪いようでございますが、その返もう少し御勘案くださいまして、この法律運用に万全を期せられるように、御努力あらんことを望むものであります。  次に療養所及び国立病院その他における看護婦及び医師充足率はお手元ではわかりませんか。——それではこれは医務局の御管轄と考えまして、きようお見えになつておりませんから、これで質問を一応終了いたします。
  12. 松永佛骨

  13. 井之口政雄

    井之口委員 ちよつと御質問申し上げます。六四九号「入所患者の退所処置について」という指令が、政府から各療養所に出されておるのでありますが、その内容、またこれに対する政府の御意見ちよつと承つておきたい。
  14. 山口正義

    山口(正)政府委員 ただいま御質問通牒医務局関係通牒かと存じますので、医務局長の方から御答弁願つた方が適当かと存じます。
  15. 井之口政雄

    井之口委員 昨日の御答弁では、たとい患者の病気がいい方に向つて強制収容を必要としないということが決定しても、ただちに退院はさせないというようなことが言われた。しかしまたどなたでしたか、そつちの方の御意見では、退所についての諸規定がある、そして退所させるというふうなことも言われていたようであります。ちよつとその辺が矛盾するように考えますし、それから事実強制収容することは必要ないという意見当局者がお持ちになつても、それをただちに実行に移して、強制的に退院させられるように事実上なつて行くのではないか。これに対して、まだ療養が十分でない、特に後保護関係から、もつと療養して行かねばならぬということを本人希望するならば、やはり引続いてその希望を満たしてやるような何らかの保障を、この法案並びに施行法その他の指令なりによつて達成しようというお考えはないですか。
  16. 山口正義

    山口(正)政府委員 ただいま御指摘になりました強制入所の点は、本法におきましては、他に感染のおそれがあるという場合は、住居の関係上他に感染させるおそれが非常に多いという場合に強制入所を命ずるのでありまして、病状が他に感染するおそれがなくなつたという状態に達した場合には強制入所という義務をはずすというわけでございます。ただ医師の立場から見て、引続いて療養を続けて行かなければならないという状態にありますれば、そのときは強制退所を命ずるというふうなことはあつてはならないと思いますし、そういうことは起り得ないと思います。ただ療養が順調に進みまして、医師判定して退所してさしつかえないという状態になりまして、いろいろな関係で退所を要求するということはあり得ると思います。ただ私ども強制入所と申しますのは、他に感染をさせる状態であるという場合を指しておるのでありまして、それから退所というまでには、まだ相当のギヤツプがあるというふうに感ぜられるのであります。
  17. 井之口政雄

    井之口委員 結核患者は空気伝染によるものであつて、やはり他に対する伝染ということを考えます場合に、たとえば脊髄カリエスとかなんとかいうものは直接伝染しないだろうと思うが、やはり空気によつて伝染する危險性のあるものは、ごく初歩のものでも収容さるべき性質のもののようにも思われるのですが。その辺の限度をどういうふうな基準をもつて決定して行くか承りたい。
  18. 山口正義

    山口(正)政府委員 本法で他に感染するおそれがあると思いますのは、居住の関係上、たとえば一つの部屋に三人も四人も一緒になつて寝ておる、しかも菌を排出している者があるという場合には、他に感染させるおそれが非常に多いと考えられますが、そういう場合に強制入所を命ずるのでございます。ただ他に感染させるかどうかというようなことは、現在の医学におきましては、再三繰返して、嚴密なの検査、あるいはそのほかの検査をいたしまして、菌が証明されるかどうかということによつて、他に感染のおそれがあるかどうかということを決定いたしているのでございます。
  19. 井之口政雄

    井之口委員 ところが山口県の清風荘では、百七十名中二十六名を、先ほどの六四九号というふうなものの適用によつて、まだ排菌危險性のある者を強制退所させておる。それから兵庫療養所におきましても、やはりそういうことが行われておりましたし、千葉埼玉等でも同様にこの処置が行われております。これが事実でありまして、いろいろな人からその点を委員に申し述べて来ている。こういうような不当なことが行われているということが、現実に訴えられて来ております。してみますと、今申しまする通り、その辺が明確なる基準を欠いている。医師が大体常識的に判断されるように受取れるのですが、そういうことになつて来ますと、きわめてその辺の適用がルーズになつて、いろいろな政治的意図にも、あるいは関係者の憎悪等々によつても、それが決定されるような結果に立ち至りやしないかということを顧慮するのであります。そこに明確なる基準を決定して、この認定に対しても、だれしも病院なんかにいつまでもいたくはないのですから、本人希望が十分にいれられて、療養が徹底し、そして後保護方針もむしろそれによつて援助されるというふうな点を十分考慮されて、この法案の中に織り込むような意思はないでしようか。
  20. 山口正義

    山口(正)政府委員 繰返して申し上げますが、他に感染させるおそれがあるかどうかという判定は、先ほど申し上げましたように、繰返して咯痰検査その他をいたしまして、菌を排出していることが証明されるかどうかということによつて、決定いたすことと存じております。なお続けて療養所において療養の要があるかどうかという点につきましては、医師判定にゆだねたいと考えております。
  21. 井之口政雄

    井之口委員 清風荘並び兵庫療養所、それから千葉埼玉等で行われた大量の退所ということについて、政府の方ではこれを調査していらつしやいますか。その事情等をお聞かせ願いたい。
  22. 山口正義

    山口(正)政府委員 御指摘療養所国立療養所と存じますので、医務局の所管になつておりますから、医務局長の方に尋ねまして、医務局の方からお答えしていただくことにしたいと思います。
  23. 井之口政雄

    井之口委員 医務局においてこれが明らかになるとしましても、法案をつくられる場合には、当然そういうことは一貫的に非常に関心の対象になつていなければならないのであります。法案だけつくつてしまえば、あとはそれの適用の実際が現実に合わなくても、それはもうはかの者の責任だというふうにやられるのか。これは療養所一貫性を欠くことで、従来の非常な欠陥であつた。この欠陥に対して依然としてやはりこの法案は何らの進歩も示していないと思いますが、そういう場合、ダブつてもいいから責任を両方で持つというぐあいにしてやつて行つたならば、法案の目的を達することができるだろうと思うのですが、どうですか。
  24. 山口正義

    山口(正)政府委員 御指摘の点は、先般も松谷議員から御質問がありまして、お答え申し上げたのでありますが、なお入所療養の要ある者を無理に退所させるというようなことのないように、私どもの方と医務局の方とは、十分連絡をとりながら今後運営して行くつもりでございます。
  25. 松永佛骨

    松永委員長 井之口委員に申し上げますが、先ほどの御質問の中に、医務局長答弁されるのがあつたのですが、今ちようど医務局長がお見えになりましたから、御答弁願います。
  26. 東龍太郎

    東政府委員 強制退所の問題についての御質問かと存じます。各所の療養所から強制退所の命令を受けたが、それが不当であるという一種の抗議と申しますか、訴えがわれわれの方へも参つております。その内容についてはわれわれの方でも十分検討はいたしておるつもりであります。またこちらといたしましては、先日も申し上げましたように、療養の必要のなくなつた方々で、ベットをあけてもらいたい人に退所を願う。それともう一つは、療養等関係ではなく療養態度の問題がありますが、これは別個といたしまして、療養の必要のなくなつた者に退所させる場合の判定は、その当該受持ち医師が一番よく知つているわけでありますので、その医師判定によつて所長療養の要なきものとして退所させろという道をとつておるものと私どもは信じております。厚生省といたしましては、さような指示をいたしているわけでございません。
  27. 井之口政雄

    井之口委員 「入所患者の退所処置について」という指令六四九号の内容を、原文について明瞭に御説明願いたいと思います。
  28. 東龍太郎

    東政府委員 私ここに原文を持合せておりませんが、御要求でありますから、今取寄せて内容を全部申し上げてもよろしいかと存じます。
  29. 井之口政雄

    井之口委員 療養態度のいかんによつて下の方で自由にやることになつているのだから、上の医務局においては、ちよつとも責任がないというふうに聞えますが、その療養態度というものは、一体どういう療養態度がお気に召さないのか。患者でありまする以上は、専心病の根治のために、注意もしておりましよう。しかしそうかといつて、この人たち政治生活並びに社会的な生活、それにいだくいろいろ思想というふうなものは、これは何ら人権として剥奪せらるべき性質のものではないのであります。そういう点について療養態度で誤解を院長に起さしめて、そして強制退所を奨励するような、そうした指令が出されているのではないか、こう思います。現に山口県の清風荘では百七十名のうちから突如として二十六名が勧告を受けて、強制退所をやらされている。あるいは兵庫療養所においてもまだ排菌しているにかかわらず強制退所を命ぜられた。あるいは千葉埼玉等においても同様の大量の勧告が行われて、これを街頭に出しております。今度の結核予防法のねらう精神というものも、こうした排菌者伝染社会一般にさせるのはいけないから、これを本人のためにも、また社会のためにも隔離し治療する。そして結核を根絶するという点にあるだろうと思います。それであるのに、いまだ排菌をしているような人たちを、どしどし大量的に出している。しかも山口県の清風荘においては、そのあとに三十もの室床ができたということを聞いております。まつたく先日のお話ではもつとそれ以上に収容をしなければならない人がふえて来るために、軽症者の人に床を明けてもらうのだというようなことを言つておられたようですが、もうここら辺になつて来ますと、意識的に、患者がまだ全治してない、全治どころではない、まだ当然収容療養してやらなければならない性質のものも、大量的に追放せられておる、こう思うのです。ひとつ現実上今とつておりますところの政策はどうなつているか。この点を聞きたいと思います。
  30. 東龍太郎

    東政府委員 療養態度と申しましたのは、療養所医師の診断、指示のもとに患者療養生活を送るところであります。従つて医師指示いたしました通り療養生活をしない人は、その療養所におる必要がなければ、おることもむだであります。従つてそういうような場合には、これは療養態度がよくないということで、退所してもらうという結果になると存じます。あくまでも療養が主でありまして、療養にさしつかえのあるような行動をすることは、その人の行動がいかなる種類のものであるにしろ、これは療養所患者として受入れておけないものでありますので、そういう場合にはやむを得ず退所を命ずることもございます。ただいまのお話は一方からはさようなお話も聞いておりますが、事実を調査いたしますと、必ずしもそれだけの事実ではない、ほかに当然退所させらるべき理由を見出すこともしばしばあるのであります。私もすべてのケースを覚えておるとか、存じておるというわけには参りませんが、全体として私どもは不穏当な処置がとられておるのを、そのまま見のがしておることはないつもりであります。しかし結核患者だからといつて排菌しておるからといつて、いかなる行動をしても療養所に入れておかなければならないということは、はなはだ迷惑な話でありまして、その他の患者にとつて非常な迷惑を及ぼす場合もありますので、ごく例外的な場合にはそういうことがあつたかもしれません。あるいは将来も起るかもしれませんが、やはりその人一人よりも療養所患者全体のことを考えて、所長あるいは院長としては、本省の指示に基いて適当な処置をとつておる。そしてその本旨は間違えていないと思いますが、その個々の場合には所長が適当な処置をとるということは、所長に許されておる権限だと思います。
  31. 井之口政雄

    井之口委員 いかなる行動をとろうとも、必ず収容しなければならぬというふうな義務はないというふうにちよつと聞えるのですが、それはもとより人殺しをしたり、あるいは人の物を詐欺したり、かつぱらつたり、そういうふうなことをやる人間をも、なお療養所が刑法上の問題、いろいろな点を無視してやるということは、それはいけないでしよう。しかし私の質問の中心は、この患者に対してここへ入院したがために、この人が政治的な権利並びに社会的なこの人の要求、そういうものまでも剥奪されるのかどうか。たとえば一定の政党、共産党のごとき政党を労働者はみな支持しておる。農民も支持しておる。社会党に対してもそういう見解を持つておる。そういう場合に、その支持するところの政党のいかんによつて、この患者に対して治療態度がどうこう、云々ということを言われるつもりなのかどうかということを聞いておる。あるいはそこの待遇が悪い、または医療のやり方が悪い、こういうふうにしてもらいたい、ああいうふうにしてもらいたいということを、患者自身がみな意見をまとめまして、そうして代表を送つて陳情する場合に、これも療養態度が悪いというふうに断定されるのか、その点をひとつ明瞭にしていただいて、もしそうでなかつたならば、そうでないということを、一般の療養所に向つて指令をもつて、決して政治上の意見によつて処遇を甲乙にしてはならぬ、あるいはその人のいろいろな待遇改善の要求に対して、これを理由として強制退所を命ずるようなことはあつてはならぬというふうな、一般的な告知を出される意思があるかどうか、この点をひとつお伺いいたします。
  32. 東龍太郎

    東政府委員 患者の政治的な心情その他を理由にして、患者を差別待遇するというふうなことは絶対にございません。もしそういうことをするとすれば、現在の国立療養所患者の数は何割か減らなければならぬはずだと思つております。それからまた患者がいろいろなことを訴えるとか、病院の改善について意見を開陳する、これも私どもは何も禁じたこともございません。またさようなことをする意思もございません。ただしかしながらその訴えとか、あるいはそれに対する要求とかいうものには一定の限度と、そしてまた守るべき規範があると存じます。たとえばまだ外出してはならぬと院長からも、受持医からも言われておる患者が、患者の代表だと称して院長の許可も得ずに、数百マイルの汽車の旅をして本省まで来て云々するというようなことは、その要求がかりにいかに正当でありましても、患者としてなすべからざることでありまして、かような患者に対しては、嚴重な警告を発することは当然だと存じます。それからまたそういうふうなことについて指令を出す意思がないかというお話でありますが、ただいま御質問にありましたようなことは、これは本省から指令いたしますまでもなく、当然の常識であります。各所長院長が当然それは心得ておることでありまして、私はそういうことについては指令を出す必要は毛頭ないと思います。患者が文化的な自分たちの療養生活内容を豊富にし、病気療養のために役に立つような団体的のいろいろな集まりをもつてやられるということに対しては、われわれは何も干渉がましいことは申しませんが、いわゆる団体交渉というふうな形で、患者病院の経営者とが対立するというような形の患者行動は、本省としては許しがたい。これは絶対にやめてもらう。療養所は、療養所性質上、患者がまるで労資相対するがごとき形のものであるべきでない。それは療養所の姿ではないという意味において、これは私どもの方では許しておりませんが、その他のことにつきましては、こちらから指令を出すというような必要性を実は認めておりません。
  33. 井之口政雄

    井之口委員 入所患者の退所処置についてという六四九号もこれ自体は、もし今のお説をもつていたしますならば、おそらく当事者はわかり切つたものだろうと思う。しかるにこういうものを特別に出される場合、この特別の内容についてあるいは行き過ぎた解釈をしやしないか、こういう考慮を払うべきが当然であろうと思う。そういうふうな考慮を払つて、当然過ぎるほど当然なことを、政治的な意見によつて処遇を別にしてはならぬとか、あるいはその患者の経営に対するところの要求に対して十分な考慮を払つて、それを通してやるということが、患者に対するところの親切だろうと思う。一方的な退所処置については嚴重なるところの指令を出していただきたい。何割かの人間が一ぺんにみんな退所しなければならなくなつ——現に百七十名のうち二十六名というものが、一ぺんに退所させられたという事実があるのでありまして、こうした事実が起らぬようにされるという親切なお考えはないですか、これが一つ。  それから第二番目に、団体交渉はいかぬというふうなお話でありましたが、患者自身が意思の疏通をはかる、そうしてある人を代表にして、こういうふうなことが患者として願わしいことだということを申し出たとしても、これは何も団体交渉でありようはずはない。あなたのいう忌むべき団体交渉でもない。これは民主主義の国において当然のあり方だと思う。療養所としてはこれを理由として強制退所をさせられているとすれば、まことに心外の至りだと思いますので、まずその点について承りたい。
  34. 東龍太郎

    東政府委員 患者の退所についてのいろいろの通牒、その他のものの解釈が行過ぎの結果にならぬか、そういう場合には注意すべきじやないかというお話、それはわれわれとしましても、通牒の仕方によりましては、誤解を招くようなものがないとは申しません。ありました場合には、その個々の事実についてそれに対して十分注意を換起し、あるいは扱いについての方法は指示いたしております。従つて現在の六四九号の内容の一々について、こちらから指令を出す意思はないかということに対しては、私としてはその必要はないとお答えいたしましたが、事実何か間違いがあつた場合には、そういうふうな処置をとつております。  それから団体交渉のお話でありますが、私は何も団体交渉のごときものをやつたから、すぐ退所を命じたとか、命ずるということを言つたのではなくして、患者としてはそういうことをなすべきではないという意味で、これを禁ずるようにしております。しかしながら患者がいろいろ病院に対してやつてほしい、こうしてもらいたいということがあつた場合に、病院との間に懇談会というふうな形で、患者病院とが意思の疏通をはかつておる。これはすべての療養所でそうであると思います。そうして円満に要求を入れられ、また医者として何がゆえに要求が入れがたいかということを、納得が行くまで話をする、そういう機会を持つことまで私はいけないというのではないのでありまして、いわゆる行き過ぎた団体交渉でぶつかる、こういうふうな激しい形になるようなことは、私は患者としてはなすべきではないということを言つておるだけでございます。
  35. 井之口政雄

    井之口委員 そうすれば、それは団体交渉をやつてもさしつかえない、懇談会をわれわれは大いに開いて、そうして患者意思も聞くつもりであります、こういう御返事であれば、これはわれわれは承認できるのであります。団体交渉的になつて、みんなの意思を代表してかけ合いに来ることはいかぬというふうなことを言われると、どうもどちらが方針であるか、われわれは判断しかねる。団体交渉であろうと、みんなの意見がそういうものであつたならば、懇談会を開いて聞くようにしておりますというふうに、あなたの方の方針を明瞭にしていただきますならば、患者としてもこれは承認できるのであります。またわれわれとしても承認できる。ところがその人たち意思をまとめて、ひとつ何とか院長の方において考慮してもらいたいということを交渉すれば、これは団体交渉だ、こういうふうに押えつけられて来ますと、そこに行き過ぎが必然に起つて来はしないか。懇談会を開いて、意見を聞くようにするという御方針なんですか、どつちですか、これが一つ。  それからもう一つお聞きしたいのは、患者がたとえば遠い所に行くなというのに汽車に乘つてつた。そしていろいろなところで訴願をしたり何かした。そういうのは療養態度としてあるべき態度ではないというふうに言われますけれども、もし現在のような療養を続けて行つたならば、自分の療養ができない。たとえば現に草津の場合もあるのですからしてその悪い条件を改めるためには、病院だけでは解決できない場合は、上級機関に対してやはり訴願の形が起つて来ると思う。手紙で出せない場合とか、あるいはもつと徹底してやりたいと思えば、一時医者に許可を得て上京することもあり得るでしよう。そうしてその悪い条件が取除けたならば、すべての人たちがよくなつて行くのだから、そのためにはその人は病院を出て訴願をしなければならぬ。それを医者が禁止するというふうな場合に、そこおに期せずしてあなたのきらわれるところの労資間の対立というふうなことが生じ、それが強制退院の措置になり、しかも上の方では何らこれを周知しないというようなことになつたら、患者は立つ瀬がなくなるではないですか。この点はどうですか。
  36. 東龍太郎

    東政府委員 患者の要求あるいはその希望病院当局に知らしめる方法は、いろいろあるわけでありますが、私が患者が団体交渉をやることをいけないと申しますのは、団体交渉と申しますのは、団体で交渉するという事柄でなく、団体交渉ということによつて、ちやんときまつた一定の行動のあるものだと存じますが、患者病院人たちと懇談会を開いて、懇談のうちにいろいろ意思を疎通する方法があるのでありますから、さような方法を私は何もいけないと言つておるのではありません。ただその場合のそれらの患者の訴えるやり方と申しますか、そのものにわれわれとしては認めがたいものがあるということを申し上げておるだけであります。  それから遠方へ旅行する場合も、今のお話通り医者が許しますれば、私は何もそれに対して異議をさしはさむわけではありません。また上級の官庁、あるいは上級の機関、あるいは国会等にこれを訴えることをとめるという意思は、まつたくないのでありますが、医者がそういう長途の旅行をしてはならぬと言うにかかわらず、しいてそれを冒してやるようなことがあつたりするのはいけない。それから長途の旅行を自由にやつてさしつかえないというからだの方は、退所していただいてもさしつかえない状態の方だと存ずるのであります。
  37. 井之口政雄

    井之口委員 本人が遠いところに旅に行つた。しかも医者がそれを不適当だと認めた。そうした場合にはこれを強制退所させるのではなく、よく説得して、お前さんは十分に療養しなさいと言うべきが当然であつて行つてはならぬと言うのに出て行つたのだから、お前は医者の言うことを聞かぬのだから出て行けということは、理由にはならぬと思いますが、その点はどうですか。
  38. 東龍太郎

    東政府委員 その人個人を考えますと、あるいはそういうようなことになるかもしれませんが、おそらくその人は初めて医者の言うことを聞かないでやつたのではないのでありまして、そういう人の前歴を調べますと、さような人は何十回と同じようなことを重ねている人に限つております。従つてそういう人は、それまでに他のおとなしい人たちに、どれくらい迷惑をかけているかということは、実例について私どもが調査いたしますと、いつもそういう結果が現われて来るのでありまして、そういうふうな方につきましては、われわれとしても決してわずかなすきと申しますか、ちよつとしたあやまちに対して嚴罰をやるというような無慈悲なことはやらしておりません。所全体のためにやむを得ず退所させるというのが事実であります。
  39. 堤ツルヨ

    ○堤委員 ただいまの共産党の井之口委員の御質問でございますが、これはもう少し医務局長もはつきりおつしやつてもいいと私は思うのであります。われわれの考えからしてもどうかと思う患者があつたことは確かなので、それに対する処置が、十分両方の間に了解がついておらないあたりから、この辺の質問が出ておるのではないかと思います。私は今の結核対策に決して満足いたしておりませんから、非常に熱心な陳情をなさる、イデオロギーを背景としたところの患者に対しましても、これを押えつけようと思うものではございません。政府にも十分落度があるということは知つておりますけれども、しかし厚生行政の結核対策の面から見れば、どうかと思われるような患者等もなきにしもあらずである。これをよく考えますときに、特定の例があつたゆえにこういう質問が出るのではないかと思われますので、この質問は対共産党の問題ではないかと私は考えますから、医務局長井之口委員とがまた後日日をあらためられまして、この質問について納得の行かないところは、現場の係官なども呼んでお調べになつたら納得が行くのではないか、私たちはやはり国民全体の結核予防法案の審議を今やつておりますから、その点時間のこともお考えになつて、局長も言いにくいでしようけれども、はつきりとおつしやつて、円のまわりをまわつておるようなことを繰返さないようにしていただきたし。
  40. 井之口政雄

    井之口委員 ただいま社会党の堤さんが、これは共産党対国立療養所の問題だというふうに言われましたが、つまり社会党を支持するような人たちは、そういう委員の中でも患者の利益を代表して、強硬に交渉するということはないのだからというふうに聞こえるのであります。私は何も社会党のあげ足をとろうとは思いませんけれども、しかしとにかく身に振りかかる火の粉は払わなければならぬ。共産党は、不当なことをして、当然強制退所を命ぜられるような者を、それが正しいとしておるというふうな主張に対しては、われわれは承服しかねるのであります。しかし今医務局長のいろいろなお話で、あなたの御意見はたいがいわかつたのでありますが、共産党といたしましては、あくまでも今日の患者の利益は代表して、たとい場合によつては共産党員が病に伏するとも、皆の利益になるように働いておるのは事実なのだ。しかしそれはその人個人の問題ではなくて、やはり医療機関全体の問題である。もし医療機関の中において、こうした民主主義的な運動を一切禁止するということになれば、これこそ官僚的な療養生活になる。現にここへ出て来ております結核予防法案のごときも、取締法案になつておる。あるいはこういうふうにして皆強制的に検診し、強制的にこれを登録し、さあ戦争だというふうな場合には、こういう者を抜いてしまつたあと人間は、皆持つて行つて戦争につぎ込むということに使おうと思えば使える。こういうふうな法案の審議に対しては、徹底的に、すみからすみまで審査し、今日行われているところの療法が、真に患者のためになつておるか、なつていないかということを検討することが、最も必要なことであつて、堂々めぐりどころか、最も深刻に批判しておるものであるといわざるを得ないのであります。それに対して当局の満足な答えが得られないのは残念でありますが、これは今日の政府に対して、われわれが徹底的に反対しているゆえんなのでありますから、われわれの意思はこの点でわかつただろうと思いますので、この程度にしておきます。
  41. 金子與重郎

    金子委員 時間が大分来ておりますから、私は質問いたすことがありますけれども、こまかい問題でありますし、なお意見にわたる問題もありますが、それは討論のときに十分意見として当局に申し上げたいと思いますから、こまかいことはここでは申し上げません。ただこの法案が結局健康診断の強制と、予防接種の強制という程度であつて、実際問題として病床の問題となると、非常にむずかしい問題が出て参りまして、この法律が法文に書いてあるようなぐあいにはなかなか行かないということをおそれるものであります。ただいま井之口委員から非常に御熱心に強制退所の問題が出ておりますが、確かに強制退所ということはいけないことであり、また患者の立場から行けば考えなければならぬ問題である。いけないところはやはりいけない、欠陥のあることも事実であります。それからもう一つの見方としては、逆な見方もあるわけであります。というのは、かねて私は県内における実例を見ましてもそうでありますし、先年前委員長と四国から中国にわたりまして、国立病院やあるいはらい療養所を視察して参りましたときに、公正な立場からいつて、一番不愉快に感じたのは国立結核療養所なのであります。そうしてあのらい患者法律によつて社会に出ることをまつたく禁じておるのであります。あれこそ人権も何もありやしない。それでさえもあの患者たちが何を言うかというと、せめて私ども結核療養所程度の待遇にしていただきたいということを陳情しておるのです。涙がこぼれるのです。一面今度は四国の山の中の農村に行きますと、厚生省からわずかの助成金をもらつて、杉皮で屋根をふいた、ベッドもないような組合病院をつくつて、そこに入つておる人たちは、ありがたいと言つて感謝しているのです。そうすると、今の井之口さんのようなお話も一理あることであるが、それを逆に考えると、今の国立病院に入つている方々は、非常に安い価格で入れるわけです。下宿屋よりよほど安いでしよう。私ども関係しておる病院でも、結核というものは外科と違つて、どこがどの程度だということはなかなかわかりませんから、もうこの患者はいいのじやないかと思つても、なかなか出てくれないのです。それは一つの思想とかなんとかいうものを持たなくても、そういう傾向は持つのであります。そういう一面には、こういう農山村の組織を持たない国民層というものは、健保にも入つておらないということにもなると、まつたく金もなく、そうして納屋の中で血を吐きながら死んで行くという人たちが、たくさんあるわけであります。一方におきましては、たといいろいろの不足がありましようし、不満があつて、設備も医者の要員も足らないというふうに、権利の主張をするならば言い分はたくさんありますけれども、国民全体から考えたときに、国立病院に入れた人たちは、入れないで血を吐きながら死んで行く山の中の百姓から見れば、はるかに神様のようなものだと思う。こういう点も、要求する人は同じ国民でありますから、国民はだれもが一緒に笑つているということでなかつたならば、日本は立たないのであります。そういう点から申しまして、国立病院に入つて、医者が幾人あるべきなのにいないのは不届きだ、食い物のカロリーが足りないから不届きだということでは、やはり日本の国にたくさんの金があつて、満足されるだけのペットがあつて、国民だれもが惠まれておれば、そういう要求もよろしゆうございますけれども、今の国民全体の立場からいつて、あの国立療養所に対する患者組合の要求を見て、遺憾ながら非常に気の毒であるという気分よりも、むしろあなた方は惠まれておるという気持の方が余計出て来るということを、井之口委員に申し上げたいのであります。ただいまは討論でありませんから、一つの話として申し上げておきます。この結核予防法案内容については、丸山委員からこまかく検討がありましたので、私は質問はいたさないで、二、三の意見を討論の際に申し上げたいと思います。
  42. 堤ツルヨ

    ○堤委員 重複した質問がありましたらお許しを願いたいと思います。医療費負担の問題ですが、あるいは他の委員から御質問があつたかもしれませんが、平衡交付金千百億円という額は、地財委の要求に対して少い。昭和二十六年度は、地方財政は前年度よりも困窮いたしますが、地方財政が成り立つて行かないところへ向けて、半額だけを国が負担してこの法律を推進して行う。また新しいベットの増設にいたしましても、国庫は二分の一しか負担しないということは、非常に私は遺憾だと思います。これは全額国庫負担であるべきだというところの所信を持つて、大蔵省に交渉されたろうと思いますが、そのときの大蔵省の見解だとか、それから交渉経過を、ちよつとあとの参考のためにお伺いいたしたいと思います。
  43. 山口正義

    山口(正)政府委員 医療費の負担の点につきまして、私どもといたしましては、これを公費負担、あるいは国庫負担ということで交渉しましたが、大蔵省といたしましては、現在の国家財政上やはり国が四分の一、地方が四分の一、本人が二分の一というところへ落着かされたのであります。これは大蔵当局といたしましては、もつぱら現在の国家財政上の理由によりまして、そういうところへ落着いたのでございます。  なお三十五条の強制入所、あるいは就業禁止を受けた者に対する医療費は、国と都道府県が二分の一ずつ持つという点につきましては、地方の負担が非常に大きくなりますので、地方自治庁とその点十分打合せをいたしまして、地方自治庁の方でも、平衡交付金に十分見込むという了解のもとに、こういうふうに規定させていただいたのでございます。
  44. 堤ツルヨ

    ○堤委員 これは来年度はどういう構想を持つていらつしやいますか。
  45. 山口正義

    山口(正)政府委員 二十七年度におきましては、公費負担の増額を要求するつもりでございます。
  46. 堤ツルヨ

    ○堤委員 このままでこの法律を持つておりましても、これは非常に架空的なものになると思います。本人負担し切れない、地方は負担し切れないというので、実際手当しなければならない患者の数を、削減するよりしかたがないという結果になつて、この法律の目的を達して行かないのではないか。ですから来年も同じような態度で、同じような交渉しか厚生省がなさらないとするならば、非常にこれは私は考えものだと思います。でありますから、大幅の国庫負担の増額を要求するというくらいの程度では困る。私はもつと厚生省に強くなつていただかなければいけないと思うのですが、どうでしよか。
  47. 山口正義

    山口(正)政府委員 保險の加入者につきましては、健康保險の場合でございますと、その被扶養者は保險の方で半分、これが半分持つのでありますから、本人負担はなくなります。なお二十七年度につきましては先ほども申し上げましたように、公費負担の増額を強く要求するつもりでおります。
  48. 堤ツルヨ

    ○堤委員 そこで先ほどの共産党の井之口委員とは立場を異にいたしまして伺いますが、退所後の患者の問題です。要するにアフターケアーの問題が、この法律では片がつかないのでありますが、療養所療養しておつた人たちの後の状況について、調査のようなものを良心的に医務当局がなさつておるかどうですか。
  49. 山口正義

    山口(正)政府委員 退所後の患者の追求につきましては、療養所あるいは病院によつて、個々に現在やつておるところがございますが、全体的にまとまつた成績は、まだ私どもの方で持ち合せておりません。
  50. 堤ツルヨ

    ○堤委員 医務局長もおいでになりますので、この点私は特にお願いやら質問などしておきたいのでありますが、退所すべき人ではない人がやむを得ず退所している。これは共産党の今の質問とは違いますが、(笑声)ベットを回転させなければならないので出たけれども、私たちの見たところでは、まだ入りたがつておる患者が多い。それに対して一応烙印を押して出したけれども、それが完全なる治療を完成したものではないという者が一般社会に出て、職にもありつけず、失業者の状態でぶらぶらしているということは、これは大きな国の国策の欠陥だと私は思うのですが、その点について、これは予算的な裏づけだとか、ベットの増床の問題になつて来るわけですが、私はもう少し厚生省あたりで良心的に出た人に対する統計をお出しになつて、今後の長い目で見た対策をお立てになる必要があると思うのですが、医務局長はどうでしようか。
  51. 東龍太郎

    東政府委員 療養所を出てしまえば、あとは知らぬというふうな態度は、これはいかなる病院療養所としても、あるいは医師としてもとるべき態度でないと存じます。ことに今のような病床回転の必要上から、退所せしめ得る状態の最も低い状態で退所させておる患者も事実ございます。そういう人については、良心的な考えを持つております、療養所並びに医師でありますならば、必ず連絡を切つておりません。また事実連絡を切つていないところが、国立療養所でも私は多いと存じます。これは私の医学常識から考えての話で、当然のことと存じます。従つてそういう人が万一不幸にして再発した場合には、優先入所と申しますか、再びその療養所に帰つて来る場合には、無理をしてでも入れて、そして再び治療を開始するという方法はとつておるはずでございます。これは私どもの方としてもそういう指示はいたしております。しかし全部のものについて退所後の成績、ことに遠隔成績等の統計を、現在私どもが持つておりませんことは事実でございまして、ただいまの御注意はありがたく拝聽いたして、何らかの方法を講ずるごとにいたします。
  52. 山口正義

    山口(正)政府委員 退所後の患者の保健指導につきましては、今回御審議願いました法案の第二十三条にも、退所いたしました患者保健所に届出まして、保健所に登録して、それに従いまして、保健婦による家庭訪問その他の指導を行うというふうにいたしたいと存じております。
  53. 堤ツルヨ

    ○堤委員 なお私たち全国的に歩いてみますと、この結核対策の国策を非常に補つている府県と、それから補つておらない府県と、これは知事の色合いによつて差があると思う。よくやつておるなと思う府県と、それからあまりにもひどい府県というものを、私ははつきり見ることができるのですが、こういう点も、もう少し本省から何かの方法で、よくやつておる府県にひとしい施策を各都道府県に講じ得るような、いろいろな施策なり、それから指令なりする方法があると思いますが、その点どういうふうにお考えでしようか。
  54. 山口正義

    山口(正)政府委員 各府県における施策が、まちまちになつておるという御指摘でございますが、私どもといたしましては、結核対策を遂行いたして参りますのに、国全体としてできるだけレベルを向上させて行くという方針で、できるだけ統一してやつて行きたい、そういうふうに考えておりますが、何分にも地方自治等の関係がございまして、必ずしもすべてが同じように行き得ないという状況でございますので、御指摘の点は、今後会議なり、あるいは通牒なり、あるいはその他の方法によりまして、できるだけ高いレベルの方向に持つて行くように努力したいと思います。
  55. 堤ツルヨ

    ○堤委員 私の方は農業県でございますが、農山漁村の中に潜伏している患者の数というものは、この法律によつて今度ははつきりして来ると思います。また法律でこれをやらなくとも、われわれの常識から見て、相当惨状患者がおると思います。こういう潜伏していて、はつきり統計の上に現われておらないところの患者に対して、特にこの法律を通じて参透させられるように、厚生省は技術的に考えていただきたいと思います。
  56. 丸山直友

    丸山委員 医務局長がお見えになりましたから、ちよつと伺いたい。今度の結核予防法が通過しますと、療養所及び国立病院のベットは、これによつて相当利用せられることになるわけでございますが、現在結核を扱つておる療養所及び国立病院医師の待遇が、号俸調整等がなくなつたような結果かと思いますが、どうも充足率が足らないのじやないかと私には考えられる。定員の欠員の充足率が不足であるということが起つておる。また看護婦法律等の改正も、私どもは現在計画しておるのでございますが、看護婦等の充定率も、たいへん不足しているように考えられるので、この際その数字をお持ちでございましたら、お知らせ願いたいのでございます。もしお持ちでございませんでしたら、後ほど御調査を願いまして、この法律運用が支障なく参るようにしたいと思いますが、いかがでありましようか。
  57. 東龍太郎

    東政府委員 ただいまの御質問数字は、今持ち合せておりませんが、医師並びに看護婦充足率が不十分であるということは、私ども御同様に非常に心痛いたしております。いかなる方法でこれを充足するかということにつきましては、頭を悩ましており、あらゆる努力を払つておりますが、十分ないい成績を収めておりません。しかしこれは結核対策上、最も大事なことでありますので、今後とも最善の努力は続けたいと思います。その的確な数は後ほど差上げます。
  58. 松永佛骨

    松永委員長 他に本案についての御質疑はございませんか。——他に本案についての御質疑もないようですが、本案についての質疑を終了したものと認めるに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 松永佛骨

    松永委員長 御異議がなければ、本案についての質疑は終了したものと認めます。  次に本案の討論に入ります。通告順によりまして、丸山委員
  60. 丸山直友

    丸山委員 私は自由党を代表いたしまして、本法案に賛成の意見を申し述べたいと考えます。  結核はわが国の国民病と言われておりまして、その惨禍はひとり病者である個人だけにとどまらず、広く社会全般に影響するところ甚大であることにかんがみまして、さきに第七国会において、結核対策に関する決議案が提出せられ、満場一致通過を見ておりますることは、御承知の通りであります。今般政府は、この決議案の線に従つて結核病を欧米の水準まで減少せしめんとする目的をもつて、まず法律改正に着手せられ、今ここに成案を得られ、本委員会提出せられたということについて、まず私は喜びとするものでございます。  本法案が旧法と異なつておりまする点は、まず一貫した管理体系が確立せられているということでございます。さらにその内容から申しまするならば、第一番目には、定期あるいは不定期の健康診断の普及徹底を期しておるということであります。第二は、予防接種を義務づけたことであります。第三は、伝染防止の目的のための、就業禁止及び命令入院の制度を設けたことであります。第四は、費用負担について、国費、地方費の補助を確立したこと等であります。これらはすでに本院を通過しておりまする本年度予算の裏づけとにらみ合せまして、結核予防に対し、新生面を打開したと申すこともできると考えます。  ただ本法案を見まして、多少うらみと申しますべきものは、現在の病床数の充足がなお実態的に不足いたしておるということ、なお保健所等あらゆる面の定員関係あるいはその他の関係が、本法運用の万全を期する上に、なお十分でないと考えられる点であります。そのために立法の方が少しく先行し過ぎておるというふうな感じを、私は持つものでございます。しかしこれらは一般予算との均衡もあることでございまするので、一回ですぐ万全を期しがたいということは、これはもちろんでございまして、逐次本法運用面において、将来を期待すべきものであるのであります。まず法律をつくつて、その運用面はその法律従つてつて行くという形式をとる方が、将来予算を獲得する上においても、むしろ好都合であろうと考えられます。そういう意味から、私は本法案に対して賛成の意を表明するものでございます。
  61. 松永佛骨

  62. 金子與重郎

    金子委員 私は国民民主党を代表いたしまして、この法律案につきまして、二、三の要望をつけ加えまして、賛成いたしたいと存じます。  この法律は長いこと懸案になつておりましたが、とにもかくにも、不足ながらも相当の国費が結核のために出されておるということ、それからただいま丸山委員の述べられましたような、健康診断あるいは予防接種ということ、これは確かに一進歩だと思うのであります。そこで私の要望申し上げたいことは、健康診断の問題につきまして、保健所の施設というもの、制度というものを、全部活用しようというねらいを、この法律は持つておるのでありますが、しかしここに考えなければならぬことは、日本のような国費の少い、いわゆる貧乏な国で、一切官制と官費によつて一つの目的を貫徹しようということは、相当無理があるのでありまして、その点から行きますと、この保健所というふうな、何となく官制的なものを使うということは、これは国民と離れる結果になるということを、私は考えておるのであります。  それではしからばどういうふうに考えたらよろしいかと申しますると、今度の結核の予防につきましても、あるいはこの結核対策の国費におきましても、その以下の地方団体というもの、県なり、市町村というものがある程度の分担をしなければならない。そういうことになるならば、結核の予防や、あるいは結核対策全体を通して、市町村の組織なりというものと、もつと密接な結びつけをしようという考え方を持たなければいけない。今後厚生問題がだんだんに進展して参りますれば、おそらく市町村ごとに半公的な診療所なり、組織なりが必ずできなければならぬ時代が来るのではないかと思うのです。そういう半公的な機関というものと、こういうふうな国から下つて行くところの一つの組織というものが、相マッチして協力し合つたときに、初めて結核予防というものも万全を期し得られるのだと思います。国費をたくさん使うだけではいけない。たとえば一つの例を申し上げますならば、今の国保なら国保というものの地域社会保障の団体が、ほんとうに共同してやつたときには、その組織自体すら、当然事業として、結核予防対策あるいは寄生虫予防というような予防方面にまで入つて来るのであります。そういうふうな下から来る、自然性から来るものと、こういう官制的な組織が手をつないで行くということによつて、国費をたくさん使わないでもできるのではないか。そういう方向に持つて行つていただきたいということを、私は第一に希望するものであります。そういうふうな考え方にいたしませんと、先ほどからいろいろ問題が出ておるように、病院に入つておれは療養する権利があるんだ、それに対して県は、あるいは国はこれだけの待遇しかしないじやないか、こういうふうにいつも権利義務の呼ばわりだけでは、とても病人の療養なんかできるものではないのです。これは法律の問題でありませんから、法律にどう書けとか、どういうふうに直せとかいうことは、私にはできませんけれども、私どもがTBの病院を持つておりましても、決して結核患者は肉体の安静だけで病気がなおるものじやないのです。いかに肉体を安静にしておつたつて、精神的に目じりを上げたり下げたり、騒動したりするようなことでは、私は結核は決してよくならぬと思う。結局結核は心構えとからだと両方が相まつて初めて治療できるものだということを、私どもは実際に今でも信じておるのであります。それでは地方自治機関とそれから国費の運用を結びつけ合せることによつて、どうしてそれができるかと申しますと、たとえば結核患者療養しておりましても、おれは不幸にして病気になつたけれども、待遇は悪いけれども、病気であるがゆえにこういう特権を与えられておるのだ、そうして自分が一人こうして休んでいるのは、たくさんの人の税金をつかつて、おれは休養さしてもらつておるのだ、こういうふうな精神的なものが出て来てこそ、心の安静がはかれるのであります。それは決して単なる唯心的な考え方でも何でもない。結核患者療養しておるときは、おれは病気のためにこうして国費を使つているんだ、こういう謙虚な気持と、平らかな気持があつて初めて結核がなおるのであります。いかに薬をのみましても、あの中で常に不満不平だけで送るならば病気はなおらぬ。こういうふうに考えたときには、その範囲が、たとえば県の役人に世話になつたということよりも、村の村長さんが来て心配してくれるとか、あるいは隣組の人が来て心配してくれるというような形で、社会連帯の感を身近かに感ずるような組織に置く方が、世の中はよりうまく行くと私は考えておるわけです。従つてこの予防法を施行する上に、官制的な保健所だけにたよらずに、一日も早く町村なり、あるいは県なりの民間的な組織とうまく結びつけて運用して行くことが将来大切なことであり、そういうことによつて国費を比較的少く使つて行けるということが考えられると思うのであります。従つて今後の運用上に対しては、保健所という官制的な、役人的な一つのにおいをできるだけ抜いて、民間的な組織と結びついてこの問題を達成するように、運用して行かなければならない、これが第一点であります。  それから伝染防止と強制入所の問題でありますが、これは先ほど他の委員からも質問の過程に、いろいろ議論が出たのでありますけれども、実際の問題といたしまして、現在のベッドのあり方におきまして、先ほどお話もありましたが、今後農村、あるいは漁村におけるところの現在発見されてない、統計上にはつきり出ていない者が、この制度によつて数の上に上りましたときに、はたしてこの伝染防止と強制入所というふうな問題につきまして、万全が期せられるかということに対しては、遺憾ながら私はそう予期できない。なぜならば、ここに本年度病床が完全に思う通りに行きまして十二、三万床のものができましたと仮定いたしましても、なおこの法律が空文化するというふうな結果が生れやしないかということを気づかうものであります。しかしながらこの問題につきましては、一方において予算的な一つの制約もありますので、これに対しては今後十分この法律が生きるような方法をとるのには、結局予算の問題がついてまわりますので、この点厚生大臣におかれましては、今後とも新しい法案をつくるときの努力と同じような努力を、続けていただきたいということを第二に希望いたします。  それからもう一つは、今結核病院のいろいろの状態を見ますると、先ほど医務局長は退所後における患者の動向に対して、ごまかい調査ができておらないというお話でございましたが、これは非常にむずかしいことでありまするけれども、私ども病院に入りましたTB患者状態を見ますと、大体において半年なり、あるいは一年なり入所しておつて、それで退院した者で、二年なり三年なり帰らないで、健康を保持する者はそのまま行く場合が多いし、それが二度帰つて三度目に来たときは、たいてい死ぬのであります。それはもちろん退所してからの本人の攝生なり、あるいは経済的な事情によつて働かなければならないということが、原因しておるのだと思いますが、大体二度帰つて三度目に来るのはたいてい死ぬのであります。そういうことを繰返しておる者を現実によく見ておりますと、この問題は単に伝染防止、あるいは治療の意味におてい、一定期間入所させるごと以外に、予算的にはもつと困難な問題でありまするけれども、どうしても考えなくちやならぬことはアフター・ケアの問題だと思います。今この法律においてはアフター・ケアの問題に対しては触れておりません。もちろん予算がこれだけでさえも少いのでありますから、これは困難だと思いますけれども、ただここに私は希望として申し上げるのは、このアフター・ケアの問題について、現に私相談されている問題があるのであります。たとえば産婆とか看護婦で長くその方面仕事に携つてとつた連中が、もう年をとつておるから看護婦としては働けないから、ひとつ何か財団法人でもつくつてアフター・ケアの仕事に生涯を尽したいというようなことを、現に相談されたことがあるのでありますが、こういうふうな、あるいは宗教団体でもけつこうですが、その他の民間団体に国家が相当度の助成をいたしまして——アアター・ケアを国費だけでつくることは相当困難でありますから、そういう方面に助成策をとつて、そうして民間人と協力して、このアフター・ケアの問題を考える意思はないか。私はむしろこのことに対して今後研究をしてほしい。これが第三番目の問題であります。  最後に第四としてお願したいと希望することは、この予算をかりに倍とりましたところで、この法律を百パーセント満足させるわけにはいかない。そこでこの結核がどうして療養できないかと申しますと、まあいろいろの原因はあるにしても、結局経済問題でありまして、現在の組織労働者であるとか、あるいは共済組合の恩典を受けられておる国家の特別な社会層の人は、一年なり二年なり休養いたしましても、それに対する收入は裏づけてありますけれども、一般の庶民階級になりますと、あるいは自由労働者であるとか、あるいは農民だとか、そういう人たちは働けなくなつたあくる日から、無収入になるのであります。従つて療養がただできることにかりになりましても、生活の收入はまつたく断たれるのであります。そういうふうなことで、今日同じ国民でありながら、特殊な事業を選んだ人たちは、何とかりくつをつけて働かなくても金がとれる。そうして一般の国民層は働けなくなつたときと一緒に收入が絶える。そうして病気になつても入院もできない。こういう制度については、私は相当考え直さなくちやいかぬと思うのであります。そこでこの法律施行の上は、社会保障の問題と切り離すことができない結核の問題でありますから、病気をなおす、伝染を防ぐということだけでなく、どうしても国民が病気になつた場合には、生活保障という問題が出て来るわけでありますから、従つてこの法律を達成する上には、より以上社会保障の問題と関連性を強く持たなくちやいけないということをお考え願いたいのであります。  以上の四点の希望を申し上げまして、本案に賛成いたします。
  63. 松永佛骨

  64. 堤ツルヨ

    ○堤委員 私は日本社会党を代表いたしまして、この法案に賛成するものでございますが、強く条件を附帶しておきたいと思うのでございます。  実は大正八年に結核予防法が制定されましてから三十年間、今日まで——私は農山漁村の育ちでございますので、よく知つておりますが、この三十年間の歴史を振りかえつて見ましても、依然として、富裕な家庭であるとか、または知識階級に生れましたならば、万難を排して養生をするが、山奥深く薄暗い部屋の中に閉されて、わずかおかゆを運んでもらつて、家族からも敬遠されてむなしく若い命を捨てて行つた患者が幾人あるか、思い出せばはだえにあわを生ずるのであります。この古い法律が今日改正を見ましたことは、むしろおそかつたのでございまして、なお改正されましたこの法律が、はたして満足なものかということを考えますときに、非常に不足な点が多うございます。でありますので、大臣も御出席になつておりますが、今日以後は、さらにこれに改良を加えまして、私は将来社会保障制度の中に、完成したものを見たいと思うのでございます。御存じの通り社会保障制度審議会で答申案を出しまして、私たちの希望といたしましては、この国会に審議され、昭和二十六年度の予算の中に完全予算の裏づけを見まして、社会保障制度というものは確立すべきものであり、またそうありたいと思つてつたのでございますが、私たちは与党でございませんので、いかんとも仕方がございません。この社会保障制度の答申案を今日奥に入れまして、この改正を見ましたのは、極端に申しますれば、これは一部の困じはてた彌縫策にすぎない、改めないよりはましであるけれども、彌縫策であるということを指摘しておきたい。でありますから、予算の問題につきましては、丸山委員金子委員から十分御指摘がありましたので、私はこれ以上時間を費して申し上げませんが、困難な地方財政が、はたしてこの法律を十分に生かしてくれるかどうかということも疑問でございます。でありますがゆえに全額国庫負担を、来年度は必ず実現してもらいたいということを希望いたします。さらに後保護の施設の問題でございますが、これは今金子委員から御意見の開陳がありましたが、この退所いたしましたところの患者——私は先ほど質問の中にも政府の方々に申し上げましたが、決してこれが完治しておらないのでございまして、再び病み、三たび病んで死んで行つておるのでございます。こういうことを考えましたときに、この人たちを一人前に回復させながら、なお社会的にも、精神的にも、経済的にも、生活して行ける完全な人として、あと保護を加えるところの施設がなくては、結核対策はいくら予防に力を入れましても、私は貴重な国民の税金があわになつてしまうと思うのであります。でありますから、この法律の中にその実現を見なかつた保護の施設の問題につきましても、後日の改正の中にこれを必ず実現していただきたい。またわれわれもこの委員会におきましては、今後百五十万患者のために、また農山漁村に潜伏いたしておりますところの、いまだ統計に載らざるところの患者のために、国会の委員会で、まじめな検討を加えまして、そうして今後完全なものを仕上げて、世界に恥をさらしておりました日本の国民病を完全に退治いたしたいと思うのであります。このことは厚生大臣のお仕事としては、黒川厚生大臣にかわられましてから、これは非常に大切な、意義ある法律改正をなされましたので、大臣自体非常に御愉快に思つておられると思いますが、この愉快なるところの改正を、もう一歩進めなければ、目的を達しないということを、十分御反省願うということを附帶いたしまして、賛成をいたすものであります。
  65. 松永佛骨

  66. 井之口政雄

    井之口委員 私は日本共産党を代表いたしまして、この法案にまつこうから反対をいたすものであります。  第一、さきの国会で結核防止に対する決議案が出ましたときには、結核を防止するということに対して、最も進歩的な共産党といたしまして、満腔の誠意をもつてこれを支持いたしました。われわれはこの日本の愛する祖国から一人の結核患者もなくなすということを目的として、そのためには多くの予算を組み——こんなけちな予算ではなくして、徹底的な大きな予算を組んで、あらゆる人民に対してサナトリウムを設置し、そしてそこへ入る患者にとつて徹底的な治療をするというような遠大な構想を持つておるのでありますが、しかし実際この決議案が今度法文となつて現われて参りましたこのたびの結核予防法案につきましては、これはうたたうんざりする次第であります。第一これは結核予防法案でも何でもない、これはむしろ結核患者を懲罰に付するような懲罰法案であります。第一強制的に結核患者の一般検診をやりまして、強制的にこれを登録し、あるいは一般に予防接種をやりまして、強制的に収容する。あるいはまたなおつたからといつて帰りましても、これの登録を続けて、そのあとを監視するというふうなやり方をなされておりますが、一面から見ますると、これは昔東条があの戦争最中にやつたような、彼が夢中になつたような結核対策をわれわれは思い出すのであります。何のために彼はやつたか、結核になつておる人たちを除外して、そうして肉弾を結局手ごろに早く召集するためにやつたあの状態を、われわれは思い起すのであります。決してこれが患者のためにつくられたところの法案でないということを感知いたします。その証拠には、むしろ患者として療養希望し、そうして徹底的になおしてもらいたいというふうな人間に対しては、今まで政府委員の方からもありましたが、強制退所を命ずるとか、一方においてはいやがる方法に対しては懲罰的なさまざまな規定を設けてこれをやる。他方において患者希望するような方面に対しては、むしろ予算はない、設備はない、これを拒絶するというふうな、この二面を含んでいるところの一つ法案であります。こういう法案に対してはわれわれは反対せざるを得ぬのであります。その証拠といたしましても、第一番にあげなければならないのは後保護の規定がない、結核患者を調べ上げる、そうしてそれをある程度収容するというふうな規定もありまするが、しかしそのなおつて行く者に対して、保護を加えるところのアフター・ケアの制度が、これから全然除かれている次第であります。こういう点からこの法案が決して保護するものではなくして、むしろこれを弾圧するところの懲罰法であるということを、断定せざるを得ないゆえんであります。登録いたしましていつまでもこれを追究して行く、むしろこれを保護監察みたようなかつこうで、結核患者を追究いたして行きましたならば、失業者が多くなつて来ることは明らかであります。あらゆる工場、あらゆる官庁に勤めておる人たちが、このために追究されて行きまして職を失う、しかも失業対策というものは、政府は何ら持つていない。また患者を軽いうちに収容してこれを治療する方法は、これによつて保障されているかというと、この法案によつては何ら保障されていない。むしろもうどうにもこうにもならぬような、死ぬような人間でなければ、政府はこれを収容しないのであります。現に十三万の結核患者が毎年平均して死亡しておりますが、この人たちに対して、二十六年度において十三万くらいの病床を準備しようというような考えしか持てない。結局死ぬ者だけに、このベッドを与えるというふうな計画になつておりますが、あとはひもつきで、至るところで嚴重な監督をする、いやがらせについて行く、従つて雇い主はこの人たちを使用しないということになつて、失業せざるを得ないということになります。もしこれをひがみというふうに考えるならば、それは大衆自体の生活を知らないので、その人たち生活は、もはや大衆から浮いている。現にこの法案をやつてみたら、みんなどんどん首を切られてしまう。あるいは強制収容するにいたしましたところが、その人の家族に対する何らの保障がない。家族はみんな飢え死しなければならない。今の世の中において、結核ということを聞いただけでも、一家は悲嘆の涙にくれる、これは事実である。しかもこれに一々干渉されて首を切られるような状態になる。あるいは収容されたところで、その人の家族に対して何らの保障がないといたしますれば、これはその家族をほとんど地獄に追い込むようなことに立至るのであります。われわれはこういう意味におきまして、この法案が決して結核患者保護するものでもなく、それを防止するものでもないと思う次第であります。さらに、予防審議会の組織でございますが、この予防審議会の組織も、これに対して患者自身何らの発言権がないし、あるいは民主団体からも何らの発言権がない。そして一定の大臣のお目がねにかなうような人たちをもつて、審議会が組織せられる。これでは十分なる運営ができなくなつて、結局は、この法案の予防という目的を達しなくなることは明らかだと思う次第であります。なお費用の点につきましても、国が四分の一を持ち、地方自治体が四分の一持ち、本人が四分の二を持つという制度、これでは結核にかかつた人は、強制収容されましたときには泣くでありましよう。本人が四分の二を持たされ、家族に何らの保障がない。しかも強制的に収容されてしまうという状態であります。生活の基本を考えて、その人が安心して結核を治療できるような組織にした場合に、初めてこの法案予防法案にもなるのでありますが、そういうことは費用の点において規定されておりません。この点はいろんな委員においても、地方平衡交付金の交付が少いんだからして、地方の負担が重くなるというふうに、みんな指摘されておりますが、この点はどうしても全額国庫負担をもつてまかなわなければならぬ性質のものである。なぜそれをやらないか、政府当局もこれをやりたいと言つている、やりたいと言つていながら、なぜやれないか。これは日本が全面講和を一日も早くやつて、連合軍の撤退を要求して、一千数百億の終戦処理費等も、これを早く支出面から抹殺することができるようになれば、そういう方面運用できるのであります。そのほか予算処置を一々検討いたしますれば、ほとんどはてしがありませんか、今日の政府は、こうした国民大衆のための利益になるような予算を、ごくわずかしか組んでいない、あるいは文化的な方面が、ごくわずかしか組まれていない、しかもそれは組み得ない。なお二十六年度においては、戦争準備のために多くの支出がなされておる。これは社会党でも否認はできないだろう。いろんな委員会においても、みんな言うておる。こういうような状態でありますれば、当然結核の親切なる予防という目的は達し得ないものと、われわれは思うのであります。さらに教員の方々や、国鉄に働いている労働者の方々、郵政、電通その他官庁に働いている人たちは、むしろ共済保險か何かの給与法によりまして、従来は三年間の給与期間を与えてあつたものを、二年に減らすという逆行的な方針をとつている。政府が実際金をやらなければならぬ、実際治療しなければならぬところは現実的に減らしておいて、こうしたただ空文だけをつくつて、むしろ取締りを強化するというふうなやり方をやつたら、国民はたまつたものではないと、われわれは思う次第であります。さらに、もし政府で多くの施設をこのために投じるといたしましても、その国立の療養所の運営に対して、患者自身は何ら参加しておりません。そういう規定をこれは含んでおりません。この点は先ほど政府において告白しておりまする通り、一委員の独断をもつてどうにでも患者自身の生命を左右し得るような制度になつておる。これでは患者は浮ばれないのであつて患者自身が病院の経営に対して管理権を持たなければならぬ、この点をわれわれは強く主張するのであります。さらに病室や病床、病人の栄養や、看護婦医師等の数に対しても、あるいは病室の広さ等々に対して、もつといろいろなこまかい規定を置いてやらなければならぬ。ここにおいて明確に動かすべからざるところの基準を決定してほんとうに収容するものに対しては、どしどし希望して入つて来られるという制度に広げないことには、結核予防は不可能であると思います。その最高の責任者である大臣並びに県知事その他市町村長等がこれを遂行し、実行しない場合には、これらに対して嚴重な処罰をすべきである。ところがこの処罰に対する法規は、患者に対する処罰あるいは通告しなかつた医者に対する処罰というような末梢的なことになつてつて、結局懲罰法規的になつて来ておるということを、われわれは感知するのであります。これらの点を総括してみまして、この法案はおそらく実際に現実適用される場合にはどうなつて来るかというと、やはりこれは今迫りつつあり、また準備しつつあり、挑発しつつある戦争のための一つのくさびの一環としてあらゆる方面に手を打つておりますが、その一つとして結核患者を登録して、この結核患者を分離して、そうしてやがてさあという場合に、普通の人間から兵隊でもどしどしとれるという準備のために役立つような以外に、道がないような法案になつてしまつておる。われわれはこの意味におきまして、たとえ意図がいかなる点にあろうとも、現案においてはそうなつて来るというこの強い点を指摘し、真の結核予防というものは、どうしても人民政府を立ててやらなければならぬということを申し上げて、私の反対討論を終る次第であります。
  67. 松永佛骨

    松永委員長 以上で討論は終局いたしました。これより結核予防法案の採決をいたします。  本案を原案の通り可決するに、賛成の諸君の御起立を願います。     「賛成者起立」
  68. 松永佛骨

    松永委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決されました。なお議長提出する本案に関する報告書の作成に関しましては、先例により委員長に御一任願いたいと存じますから、さよう御了承を願います。なおこの際黒川厚生大臣より発言を求められておりますからこれを許します。黒川厚生大臣。
  69. 黒川武雄

    ○黒川国務大臣 結核予防法案を皆様の熱誠なる御審議の結果、ただいま可決されましたことを私として感謝いたす次第でございます。結核対策に対する第一歩を進め得たということを、私は皆様とともに喜びたいと存ずるのであります。一言御礼を申し上げます。     —————————————
  70. 堤ツルヨ

    ○堤委員 厚生大臣にちよつと、せつかくお出ましでありますから……。私ただいま結核予防法案のこの改正に賛成いたすときに、一言触れておいたのでありますが、社会保障制度の問題であります。もはや第十回国会も重要な法案は、今月中に大体審議を終りまして、各党はあげて地方選挙に帰つて、自然休会に相なるような形になつております。私は御存じの通り、私たちが個人的に親しく接しておりましても、前の林大臣といい、今度の黒川厚生大臣といい、まことに自由党としてはでき過ぎのごりつぱ厚生大臣をすえてもらつたと思つて喜んでおります。私は厚生大臣にはこれ以上の好適な方々は自由党の中にはないと思つて敬意を表しておるのであります。その黒川厚生大臣をいただいておりますにもかかわらず、第十国会において、答申案を何ら審議するごとなく、社会保障制度の確立にあたつて何ら努力もされないということに対しまして、まことに不審を抱くのでございますが、その後の経過はいかようになつておりましようか。厚生大臣が本会議答弁されました以後の政府並びに与党のお考えなどを、ちよつとこの席上で、速記録に残すために御答弁を願いたいと思います。
  71. 黒川武雄

    ○黒川国務大臣 先般本会議において答弁申し上げました通り、閣僚懇談会においてなお検討中でございます。なお自由党におきましても、委員会で今審議中でございます。この社会保障制度の確立につきましては、早急に国会の御審議を願うべきでありますけれども、事なかなか重大でございます。英国においてすら勧告後五年を要して、初めて実施に移されたような状態でございます。日本のような戦後において新しく考えられたことでございますので、なかなか困難なことでございます。しかし勧告もございますから、勧告の線に沿うて現在進みつつあることを御了承願います。
  72. 堤ツルヨ

    ○堤委員 ただいまの大臣の御答弁によつて、大体政府の動きを承つたのでございますが、英国においてすらも五年を要したのであるから、日本においては何年かかるかわからないというような、またかかつてもいいというような考えをお持ちのように、ちよつと横から考えさせていただくのでありますが、それは世界に例を見ない場合に五年を要したのであつて、いいお手本や完全な資料をたくさん持つて、遅れ立ちする日本にとりましては、最初のものが五年かかつたならば、こちらはその何分の一かでやれるということが、私は常識だと思います。でありますがゆえにいろいろと申訳はございましようけれども、やはり今日生活苦から自殺するところの世帯であるとか、あらゆる福祉行政の面から見た場合に、社会保障制度というものの確立を要望する声が、大衆の中からも澎湃として沸き上つているというところのこの輿論をしつかりとおつかみになつて、英国が五年かかつたから、日本は敗戦後の占領下にあるのだから、七年かかるかもわからないというような大臣のお気持では、私が先ほど黒川大臣に申し上げたような個人的な敬意さえもまた消失せざるを得ないように存じます。その点は私個人の意見ではございません。日本社会党を代表いたしまして、忠実なる御忠告を申し上げておるのでありますから、厚生大臣はその人格に沿つて、ひとつ良心的に善処されんことをお願いいたしておきたい。     —————————————
  73. 松永佛骨

    松永委員長 次に日程に追加して新たに当委員会に付託になりました船員保險法の一部を改正する法律案を議題とし審査に入ります。まず提案者より趣旨の説明を聽取いたしたいと思います。提案者丸山直友君。
  74. 丸山直友

    丸山委員 ただいま議題となりました船員保險法の一部を改正する法律案を御審議せられるにあたりまして、本法案の提案理由を御説明申し上げます。  今回の改正の主眼とするところは、養老年金支給額の増額をはかろうとすることでありまして、現行法では、養老年金の額の計算の基礎となる平均標準報酬月額は、被保險者であつた期間の全期間の平均標準報酬月額でありますが、これにより計算した養老年金の額は、他の年金給付たる寡婦年金、鰥夫年金、遺児年金と比較して、はなはだしく不均衡を生ずることとなりますので、養老年金の額を適正な額とするため、その計算の基礎となる平均標準報酬月額を、昭和二十一年四月一日以後の被保險者であつた期間の平均標準報酬月額といたしました。この場合において養老年金の額が二万四千を越えるときは、これを二万四千円といたしたのであります。その他更生年金保險法の関係条文との調整をした次第であります。  以上が、船員保險法の一部を改正する法律案を、今国会に提出しました理由でありますが、何とぞすみやかに御審議の上、可決されますようお願い申し上げる次第であります。
  75. 松永佛骨

    松永委員長 次に本案についての質疑に入ります。——他に本案についての質疑もないようですが、本案についての質疑を終了したものと認めるに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 松永佛骨

    松永委員長 御異議がなければ本案についての質疑を終了したものと認めます。  次に本案の討論に入るのでございますが、本案の討論につきましては通告もございませんので、これを省略し、ただちに採決いたしたいと存じますが、さよう決するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 松永佛骨

    松永委員長 御異議なしと認め、討論を省略し、これより船員保險法の一部を改正する法律案の採決をいたします。本案を原案の通り可決するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 松永佛骨

    松永委員長 御異議なしと認め、よつて本案は原案の通り決定せられました。なお議長提出する本案に関する報告書の作成に関しましては、先例により委員長に御一任願いたいと存じますから、さよう御了承願います。  次会は明日午前十一時より開会することとし、本日はこれをもつて散会いたします。     午後三時五十八分散会