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1951-03-15 第10回国会 衆議院 厚生委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月十五日(木曜日)     午前十一時十五分開議  出席委員    委員長 松永 佛骨君    理事 青柳 一郎君 理事 丸山 直友君    理事 亘  四郎君 理事 柳原 三郎君       寺島隆太郎君    中川 俊思君       堀川 恭平君    松井 豊吉君       金子與重郎君    清藤 唯七君       堤 ツルヨ君    苅田アサノ君       松本六太郎君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局次長) 東條 猛猪君         厚生事務官         (社会局長)  木村忠二郎君         厚 生 技 官         (医務局長)  東 龍太郎君         事  務  官         (保險局長)  安田  巖君  委員外出席者         参議院議員   長島 銀藏君         参議院参事         (法制局第一部         第一課長)   中原 武夫君         專  門  員 川井 章知君         專  門  員 引地亮太郎君         專  門  員 山本 正世君     ————————————— 本日の会議に付した事件  厚生年金保険法特例案参議院提出参法第三  号)  国立光明寮設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第九一号)(参議院送付)  医療制度に関する件     —————————————
  2. 松永佛骨

    松永委員長 これより会議開きます。  厚生年金保険法特例案を議題とし、前会に引続き質疑を順次許可いたします。苅田委員
  3. 苅田アサノ

    苅田委員 これは資料手元に整つていなかつたものですから、少しくどくどすると思いますけれども、ここに書いてあります第二條以下の関係法律について簡単な御説明、つまりどういう内容のものかということの御説明をしていただきたいと思います。
  4. 中原武夫

    中原参議院法制局参事 第二條にございます厚生年金保険法第三十七條第一項、これは障害年金金額計算は、平均標準報酬月額の五箇月分または四箇月分とする。一級は五箇月、二級は四箇月、そういう規定であります。  次に出て参ります健康保険法の一部を改正する等の法律昭和二十二年の改正法律附則第四條もしくは附則五條、これは二十二年の九月一日、すなわち労働基準法施行になります前の傷病に基いて、障害年金をもらう者に対しては従前の例による。先ほどちよつと申し上げましたが、五箇月ないし八箇月分と、業務上のものについてはいい率が規定してありますので、それによつて計算をする。但し率はよろしいのでありますが、平均とり方が全期間平均をとる、こういうことになるわけです。この四條と五條で、二十二年九月一日前の傷病原因である者については前通りにやつで行く、こういう規定でございます。  次に出て参ります二十三年改正法律附則五條第一項(同法附則第八條において準用する場合を含む。)、これは業務上の事由によつて障害年金をもらつておる者については年金額を五倍に引上げる、こういう規定でございます。  それから次の昭和二十四年の改正法律附則第四項(同法附則第六項において準用する場合を含む。)、これは二十三年の改正法律では業務上の事由によるものだけを五倍にいたしましたので、それ以外の業務外のもの、それから業務上のものでも、二十三年の改正法律が出たあとに、二十四年の改正法律までの間で年金をもらうようになつたもの、そういうものにつきましては五倍に引上げる。従いまして二十三年の改正法律と二十四年の改正法律で、いずれも従前の五倍になつたわけです。但しそれは二十三年の八月一日に非常に急激な改訂をやつておりますが、それ以前の標準報酬が基礎になつておるものについてだけだ、こういうことであります。  三條に出て参りますのは、ただいま申し上げました條文のほかに、「労働者年金保険法施行令改正件別表第一に定める」こうございます。これは資料につけてありましたが、この当時は業務上の——この当時といいますのは、この改正が行われる前までは、業務上のものと業務外のものとを区別いたしまして、業務上のものは非常にいい率で規定してあつたのであります。そのときの廢疾程度を定めた別表でございます。あと障害年金関係ひつぱつてございますが、大体以上の條文でございます。七條に参りまして、遺族年金関係引用條文がございます。七條の三行目でございますが、「昭和二十二年改正法律附則第四條から附則第六條まで」これは二十二年の改正法律施行になりました二十二年の九月一日以前の業務上の傷病によつて遺族年金をもらう者につきましては、従前の例によるという規定でございます。遺族年金という制度は、現在は昭和二十二年の改正以後は養老年金をもらつておる者が死んだ場合でなければ出さないということになつておるのであります。従いまして被保險者であつた期間が二十年以上でなければ遺族年金は出ないわけであります。ですから現在はその新制度による遺族年金をもらつておる者はございません。ところが二十二年の改正法律が出る前までは、別の資料に書いてございますか、業務上の事由によつて障害年金を受ける者が死んだとき、それから業務上の事由によつて廢疾または負傷した後二年以内に死亡したときには、被保險者期間が二十年以下であつて遺族年金を出すということになつてつたのであります。それまでにそういう原因が発生したものにのいては依然として遺族年金をやる、こういう意味規定でございます。そのあとに出て参ります昭和二十三年改正法律附則第六條と第九條は、そういう経過的な遺族年金額障害年金と同じように五倍に引上げる、こういう規定でございます。  それから十三條に参りまして、「昭和二十三年改正法律附則五條第二項及び第三項」とございますのは、これは扶養者加給金に関する規定でございますが、二十三年以降は扶養者があつた場合には、それに加給金を二千四百円ずつ加える、こういうことになつたのであります。五條の二項、三項は、一級障害年金受給者配偶者または十六歳未満の子、十六歳以上であつて不具廢疾労働能力がない子供には加給金をやるという規定でございます。十三條の二行目に出て参ります「同法附則七條」というのは、遺族年金につきましての扶養者加給金をやるという規定であります。配偶者遺族年金をもらつておる場合に、十六歳未満の子か不具廢疾労働能力のない子供がおる場合には、それにも一人について二千四百円扶養者加給金をやるという規定でございます。引用條文は大体その意味内容でございます。
  5. 苅田アサノ

    苅田委員 配付していただきましたこの特例法案説明資料の第五表にあります傷病発生日が、昭和二十二年八月三十一日以前と昭和二十二年九月一日以後とによつて、この標準報酬の取り方が違つておりますし、それからこの標準報酬の取り方が違つておる点は、ただいまの御説明でわかるわけですが、最初の三百円が四百円になつておるのはどういうわけですか。
  6. 中原武夫

    中原参議院法制局参事 この標準報酬月額と申しますのは、被保険者現実にもらつておりますまちまちの給與月額を何段階かに区分をしてわくをつくりまして、そのわくによつて保險料額計算して行くという事務上の便宜からできたものでございます。その標準報酬月額が、従前は非常に安かつたというわけは、当時の貨幣価値が非常に高かつたということと同意義でありまして、現実にもらつておりました報酬月額従前は百五十円あつたとしても、それで十分生活ができておつた。ところが二十三年の八月以降はインフレ影響を受けまして、名目賃金というものが非常に上昇いたして参りましたので、実際の給與額に即応するよう標準報酬月額をつくらなければならなかつたのでこういう開きが出て来たわけであります。もつぱらインフレ影響改訂原因になつたという以外にはございません。
  7. 苅田アサノ

    苅田委員 私の質問はそうじやなくて、この五表の最初昭和二十二年八月三十一日以前傷病発生日と書いてありますね。そのあと一つ置いた次に、二十二年九月一日以後というよう発生日がかわつておりますために、この計算方式において、最初の方では全期間標準報酬というものが持つて来てあつて、その次には、これで見ると、傷病前三月平均標準報酬として持つて来てあるでしよう。そういうふうに、ここで傷病発生日の何が標準になつて法律改正になつているわけでしよう
  8. 中原武夫

    中原参議院法制局参事 その通りでございます。その平均とり方が三回かわつておるわけです。ですから、二十二年の九月一日までは全期間平均をとつて行く、それから二十三年の七月三十一日までは傷病前三箇月をとつて行く、それから二十三年の八月以降からは全期間平均か、傷病前三箇月かの平均か、それから廢疾になつた前三箇月の平均か、資格を喪失した三箇月前の平均か、そのうちで最も多額なものをとる、こういうことに平均とり方がかわつて来ておるわけであります。
  9. 苅田アサノ

    苅田委員 今度立案されました特例法案によりますと、年金額受取りの額の二万四千円ですか、最高額がきまつております。これはどういうところからそういうふうにおきめになられましたか。
  10. 中原武夫

    中原参議院法制局参事 お手元に差上げました資料横開きの分の最初の第一ページをごらん願いますと、その第一表の二番目に、平均標準報酬月額、こういうのがございます。これは現在の被保險者全体につきまして標準報酬月額を総平均したものであります。その平均の欄をごらん願いますと、六千百九十四円という額が出ておるのであります。これを六千円と押えまして、その六千円の障害年金一級は五箇月分、二級は四箇月分、それを五倍いたしました三万円、四倍いたしました二万四千円、これを最高頭打ちといたしたわけであります。この法案は不均衡を是正するというのが目的でございますので、総平均より上にぐつと上つて行くことになりますと、その目的を逸脱します関係から、頭打ち制度を設けまして調整をはかつたわけでございます。
  11. 苅田アサノ

    苅田委員 あなたがさつきおつしやつたように、これはこの法案限つて特例法だから、一般の標準から、特に均衡を保つ以上の改正はできないという御趣旨はよくわかるわけなんですけれども、しかし年金としての三万円あるいは二万四千円というものが、厚生年金趣旨には、今度の提案理由にもありましたように、その人の老後あるいは廢疾になつたときの生活保障ということがうたつてあるわけなんで、そういう点から言えば、その元の基準になる額——特例法は、おつしやるよう均衡をよくしたいということなんですけれども、その点から言えば生活保障という点において、この金額はやはり非常に不満なものがあるんじやないか。これは私参議院提案者の方にお聞きしたいのですけれども、こういうはなはだしい不均衡を是正するという点はけつこうな御趣旨だと思うのでありますけれども、もつと厚生年金そのもの障害年金そのものに対して、やはりもつと提案の御趣旨に沿うよう改正をなさるようなことは、これをなさいますときにお考えになりましたかどうか。またその問題は、私どもはやはりそういう点で大きな疑問を持つているわけなんですけれども、いかがですか、その点をお伺いしたいと思います。
  12. 長島銀藏

    長島参議院議員 御趣旨ごもつともだと思います。ところが、ただいまの財政状態その他を考えますると、今のところの支拂い予定になつておりまする予算から行きますと、これが精一ぱいなんでございます。そこで将来予算措置が講ぜられましたあかつきには、実際に即しまして、もつと増額するように是正して参らなければならないと考えておる次第でございます。ただいま申し上げました通り、現在の歳入歳出面から考えまして、これが精一ぱいのところ、かように御了承願いたいと思うのであります。
  13. 苅田アサノ

    苅田委員 この厚生年金の基本的な支拂いはまた昭和三十七年以降になるはずなんで、それまでは一部の支拂いであるわけで、現在の状態では、厚生年金積立金というようなものは、この表にもありますように、三百二十五、六億もあるわけなんですから、そういう点から言えば、ほんとう年金を拂うようになれば、現在の額では足りないといたしましても、そう十年も二十年も先のことよりも、やはり現在障害年金を受ける人の生活——せつかく積立金があつて、これが預金部資金の方へまわつて来ているのだから、これでもつと豊富な障害年金を出すことは、私は一時的な措置としてできないことはないと思いますけれども、その点いかがでしようか。
  14. 中原武夫

    中原参議院法制局参事 現在はインフレ影響によりまして、名目賃金だけが非常に高くなつておりますので、厚生年金保險法本来の保險料率をとつておらないのでありまして、三分の一に切下げまして、保險料を非常に安くしてまかなつているのであります。今苅田委員がおつしやいましたよう趣旨ほんとうに達成するのであれば、その保險料率も本来の二倍の姿にもどして行く、こういうことにせざるを得ませんし、それからまた厚生年金保險法長期積立金式やり方自体につきましても、今検討中なのであります。社会保障制度全般の動向がはつきりとわかりませんので、そういう進むべき大きなわくがはつきりしましたときに、厚生年金保險法保險料とり方検討を要するのじやないか、そのときにはあらためて再検討よう、こういうように、事務をやつておられるところでは考えておられるようであります。従いまして今根本的にこの法案をいじくることは、事実上不可能な情勢にありますから、とりあえず不均衡の是正だけを行うわけでございます。
  15. 苅田アサノ

    苅田委員 それでは当局考えておられる長期資金運用の面についてどういう計画を持つておいでになるかということですね。今お話になつた、それをもう少し具体的にお聞きしたいと思います。
  16. 安田巖

    安田政府委員 今中原課長が話されましたのと大体同じことになるのでありますか、年金保險は御承知のよう長期積立金式になつておりまして、だんだん積み立てて行つて、そうしてその積み立てた金の運用によりまして、先に行つて金をもらうときに財源にするというやり方になつておるわけであります。ところがさつきお話がありましたけれども最初は三十円とか、四十円とかいうふうな俸給に対して保險料を拂い込んでおつたわけでありますが、インフレによりまして、そういうものはほとんど無価値になつて来たわけです。そこで積み立ててある積立金というものは、そういう三十円なり四十円時代に、それに対して何%という保險料が積み立ててあるのですから、その全期間平均しで積立金が拂えないわけです。全期間平均すると、今言つたように非常に安いもので、今どき適用しないような額になつて来るわけです。そこでこういうふうな措置をとるにいたしましても、先のことを考えますと非常に危險な措置になるわけです。ですから今の苅田委員お話ように、三百三十億積立金がございますけれども、それを使えばできるじやないかということは、結局現在あるだけの金でも使つてしまつたらこうかということになるので、先に行つてだんだん給付が始まつたときに、その保障として積み立ててある金を今使つてしまうということになれば、そのときになつてどうするかということを同時に考えておかないと、今そういう措置はとれない。そこで二万四千円なりあるいは三万円という額の問題でありますが、これは低いといえば低いのです。しかし社会保障制度審議会で答申されました勧告の中では、大体月二千円ということを言つておるわけです。これは今度定額制にしたいというような意向のようでありますけれども、月二千円ということになりますると、年で二万四千円でございますから、それを普通の障害にして、一級の特に程度の低いものは三万円で押える、こういえばそのわく内で納まるわけです。そこで将来どういう制度になりますか、今いろいろ考えられておりますけれども、かりにどういう制度になつても、まあ二万四千円ぐらいのところなら、先へ行つてそれより低いというような案は出ないだろうというのが、この案のつくられた一つ要点になつているわけです。そういうことでひとつ御了承を願います。
  17. 苅田アサノ

    苅田委員 今私がお聞きしたのはそれではなくて、さつき御答弁なすつた中に、長期積立金運用については、当局の方でもいろいろな計画があるので、そういう全般のことがきまらないと、やはりこの問題について根本的な変更ができないとおつしやつたのです。私が言つたのは、この長期積立金運用の点についてどういう計画を今持つておいでになるかということをお聞きしたわけだつたのです。
  18. 安田巖

    安田政府委員 長期積立金運用につきましてどういうふうにするかということについては、お答えをいたしますけれども積立金運用がどういうふうになるかということと、将来年金制度給付額をどうするかということは、一応関係ないといつてもいいのじやないかと思うのであります。つまり運用方法をどんなにうまくやつてみたところで、予定利率よりはるかに上まわるということもないのでありますし、また予定利率から非常に下るということもないのでありますから、その程度の額ならば、大したことはないので、問題は被保險者から保險料をとつて参りまして、その保險料を積み立てて行つただけで給付資金に間に合うかどうかということの方が問題なんです。一口に言いますと、結局被保險者から積み立てただけの金で将来給付をして行くのか、あるいは国庫かどれだけ持てばいいのかという問題なんです。ですから年金の拂い方をどの程度の額にするかということは、そういつた今の国庫負担の問題と大いに関係しているわけですから、そういう二十年も三十年も負担が続くようなことは、よほど愼重にやらなければならぬ、こういうふうに考えております。それからまた積立金運用についてはたびたび御質問がありましたし、私もお答えいたしましたように、今のところでは預金部資金の中に全部入つておるわけであります。その預金部資金が国の財政計画その他に従いまして使われておる、こういうことであります。ただ私どもといたしましては、その資金の一部を福利施設に還元して使いたいというのが、従来の希望であつたわけであります。その額は大した額ではありませんけれども、戰争中はそれが許されておつたわけであります。その額が千五百万円ぐらいになつております。戰後はそれが今のところできなくなつておる、こういう状況であります。
  19. 苅田アサノ

    苅田委員 現在の額の高い低いの問題が一つつて、それは社会保障制度審議会勧告が二千四百円だから、この程度が適当じやないかというお考えようで、私どもからすれば、提案理由にあるように、ほんとう生活保障するというふうな問題であれば、実質的にもそれに近いものを出すのが当然である。しかも厚生年金保險はまだ十年先の支拂い予定してたくさんの積立金もあるし、それから社会経済状態の困難なことも、この先このまま十年も二十年も続いて行くということも、それは第一続き得るはずがないので、そういう臨時の措置としてこうした労働者積立金年金の形でなり、あるいはあなたのさつきおつしやつたような何らか福利施設の形なり、どちらにしても私はもつとほんとう労働者福祉のためにこれは使わなければならないということから御質問したわけです。私はこの厚生年金の問題も、増額するということだけは簡單けつこうだと思うのですけれども、この問題についてはもう少し勉強さしてもらつて、そうして厚生年金は現在国会内でも、郵政省あたりが持つております郵便貯金簡易保險に関連して、厚生年金はやはり加入者の方へもどすべきたというよう主張が行われておるわけなのであります。どういう意味かでこれは還元すべきだという主張が行われておつて、現在大蔵省が考えておるように、これを金融債なんかの方にどんどん使つて行くということは、昭和二十一年に出たマーカツト指令趣旨にも違反しているという見解を私は持つておるので、これは厚生省としましても、現在厚生年金の積立てが三百三十億近くあるわけなんですから、この問題はやはり厚生委員会としてももつと愼重検討しなければならぬと思いますので、きようの私の質問はこれでやめますけれども、このままで質問は打切らないで、あと少くとももう一回これについて十分な質疑をさしていただきたいということをお願いしまして、私の質問はやめます。
  20. 安田巖

    安田政府委員 今のお話の中で給付額が安いというようなことから、積立金運用をもつと考えたらどうかというお話もあつたようでございますが、その観点から言いますと、労働者福祉施設の方に還元して融資するということは、実は不利なんで、有利確実ということになれば、むしろもつといい方法があるかもしれません。ですからその話とは一応切れるのじやないかという気がするのです。問題は国庫負担の問題なんです。ただ給付の額の問題は、将来の長年にわたる財政計画というものを立ててみて、どのくらいの金か出せるかという国庫負担の問題になつて来るのであります。けれども福利施設の問題は、これは被保險者の零細な金を集めたのたから、若干を還元融資したらという問題でありますから、一応さつきおつしやつた有利な運用ということとは別な問題じやないかと思いますので、それらのことにつきましては、私ども長年研究いたしておりますけれども、なかなか国庫負担という点で問題はつかえて来ておるような次第でございます。
  21. 松永佛骨

    松永委員長 ちよつと速記をやめて。     〔速記中止
  22. 松永佛骨

    松永委員長 それでは速記を始めてください。  他に本案についての御質疑はございませんか。——なければお諮りいたしますが、本案についての質疑は終了したものと認めるに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 松永佛骨

    松永委員長 なければ本案についての質疑は終了したものと認めます。  次に本案の討論に入ります。通告順によつてこれを許します。青柳一郎君。
  24. 青柳一郎

    青柳委員 私は自由党を代表いたしまして、この厚生年金保險法特例法につきまして、賛成の意を表さんとするものでございます。簡單にその理由を申し上げますれば、第九国会におきまして、船員保險において障害年金遺族年金給付の額の引上げが行われたのであります。それに対応して、今回厚生年金におきましても同様の引上げを行おうとするのが、本法案の大体の要点であると思うのおりますが、その点につきましては何ら異議をさしはさむべきものでなく、かえつてこの日の来るのがおそかつたのをうらむものでございます。ただ先ほど休憩中にもお話がありましたが、厚生年金につきましての論議が行われる際に、絶えず厚年年金によつて積立てられておる多額の金の労働者福利施設への還元方を、この厚生委員会としてはいつも機会あるたびに政府当局に要望しておつた次第でございますが、今回の国会におきましては、資金運用部資金法というよう法律ができまして、われわれの意図と反する方向にこの問題が行くというようになつておるのでございます。われわれといたしましても、この資金運用部資金法に関しましては、厚生年金の面からいろいろ論議をしなければならない点があるのでございます。この点につきましては、委員長のおとりはからいによりまして、後日において十分の討議をいたしたいと存ずる次第でございます。以上をつけ加えまして賛成をいたします。
  25. 松永佛骨

  26. 金子與重郎

    金子委員 私は民主党を代表いたしまして、本法案に対しまして賛成の意を表するものでありまするか、ただここに一言、法案が通過するにあたりまして、政府考えなければならない大きな問題があるということを申し上げたいと思うのであります。  最近の物価上昇によりまして、生活費が当然高まつて来る。そこで本法律案もその通りでありまするが、また別にかかつております船員法のうちの養老年金の問題も同じ意味において当初の法律を変更いたしまして、時代物価上昇に即応するよう支給額を高めようということになりました。これはこのことだけで考えますならば、なるほどかつての低率では、養老年金障害年金もその使命も果せないという現実はその通りでありますから、上げること自体は惡いことはないけれども、ここに一つ考えてみなければならぬことは、最近の情勢といたしまして、先国会の恩給の変更、あるいはこの種のものを見ましたときに、これは国民の中の特殊な階級、あるいは特殊な職業分野に入つておる人たちだけに関係した法律なり規定なりが、物価上昇によつて改正される。しからば一般の国民でこれに準ずるような仕事はどういう方面かと申しますならば、郵便年金あるいは簡易保險であるが、こういう一般国民が所属しておるこの種の同じ性格を持つたものにおきましては、物価が百倍になろうが、二百倍になろうが、それに対しては政治は一向顧みていない。そしてなお申し上げるならば、最近、ことに新憲法になつて以来というものは、国家に対する国民層の政治的な圧力が相当強まつておる。その圧力は一体どういう方面から強まつて来るかというと、国民の中の組織を持つた機関、あるいは組織を持つている人たちの政治力というものが、非常に強くなつて来ておる。従つて一般の組織力を持たない国民層の厚生施設なり社会保障方面に対する考え方が、非常にへんぱに不公平になることはむしろ拍車をかけておる。これが現段階の政治の実態だと私は思うのでありますこの点は、この種の法案考えるときに、政府は相当考えなければならぬ問題であります。なぜならば、国家を維持しているものは、何と申しましても無から有を生ぜしめておる国民層が基本なのでありまして、その他の何々労働者というよう一つの形をかえる立場におる人、あるいはものを移す商行為の立場におる国民層、これらの人たちもみな必要な存在であるけれども、何と申しましても、土から食糧を生れふして行く、あるいは海の沖へ出て船底一枚下は地獄の生活で魚をとつて来る、地下何千尺の下へ入つて金を掘る、こういつたような原始産業に従事しておる人たちが生産の基礎をなしておる。しかもこれらの人たちは組織力と国家に対する政治圧力が一番弱い。こういうことで、最近の年金、あるいは保險、あるいは恩給の改正につきましても、国民のうち特殊な立場に立つておる階層だけの制度が、時代に即応して恵まれ来るが、一般の国民に対しては何ら考えられておらないということが現段階において言われると思うのであります。従つて政府はこういうものを考えることはけつこうなことであるが、もつとスケールを広く根本的に国民全体の社会保障の問題を考えて、国民が機会均等に公平に国家の恩典に浴し得るような施策を一日も早く進めねばならない。従つて現段階において、社会保障制度審議会から出ております勧告が妥当だということは私も考えておりませんけれども、しかし一応出ておる勧告案に対しても、もう少し熱意を持つて積極的に検討いたしまして、国民全般を通しての社会福祉、あるいは社会保障の面に対して検討されて行くべきだということを考えておるものであります。本法案によつて予算の許可範囲でできるだけこの時代に即応したよう遺族年金なり障害年金が支給されるということ自体は、当初に申し上げましたように、別に反対するものではありませんが、特殊な組織を持つた階層だけが惠まれるよう法律改正がなされ、発言力の弱い階層に対する社会保障的な考え方が一向に実現してないことを、はなはた遺憾に思うものであります。どうぞこの法案と同じような気持で一般国民に対する社会保障制度の推進を真劍に考えていただきたいということをつけ加えまして、本案賛成するものであります。
  27. 松永佛骨

    松永委員長 堤ツルヨ君。
  28. 堤ツルヨ

    ○堤委員 私は日本社会党を代表いたしまして、この法案賛成の意を表するものでございますが、ただいま民主党の金子委員から御発言がありましたように、わが党といたしましても、この特例法案自体には反対するものではございませんけれども、しかしこれはあくまでも彌縫策でありまして、零細な積立金わく内においてしか生活保障をなし得ないというところのものでございます。今日非常に問題になつておりますこの積立金の問題なども、今後の運用の面において大きな論議の余地があるのでございまして、私は国庫の補助なくして今後これを運用して行くということに大きな疑問を持つものでございます。なお社会保障制度を確立することによりまして、今金子委員から御発言がありましたように、声をあげ得ざる農民層、また山村漁村の組織を持たない人たちの福利増進のために当然とられなければならないものが、こうした特例法案によつて救われる人たちから隔離されて行くということはまことに遺憾でございます。この点を提案者も今後十分考慮に入れられることを希望いたしまして、私は賛成の意を表するものでございます。
  29. 松永佛骨

  30. 苅田アサノ

    苅田委員 私は日本共産党を代表いたしまして、本特例案に対しまして討論をいたしたいと思います。共産党といたしまして、今度の法案によりまして、多少なりとも障害年金あるいは遺族年金の額の不均衡が是正されたことに対しましては、反対はもちろんいたさないわけであります。ただこの年金趣旨であるところの受給者生活保障という点におきまして、私どもはこのたびの増額がはたしてどの程度の真の生活保障になるかという点につきまして、この年金の建て方自体につきまして、やはり私どもは大きな疑問を持つておるものでありまして、どうしてもこれはわが党として、主張しておるような全額国庫負担でたいまでも、少くとも大幅な国庫の補助なくしては、こういうものがその目的に沿うよう運用はとうていでき得たい。予算の点におきましても、多額の税金を一般人民大衆から取立てておる建前からいたしまして、当然こうした廢疾あるいは遺族年金の遺族に対する保障は、そうした国庫の收入からこれは十分な充当をしなければいけないということをこの際強く主張いたしまして、私はこの法案に対しましては、條件をつけまして賛成いたすものであります。  なお青柳委員からも御提案がありましたが、厚生年金自体の運用に関しまして、この運用が、加入者であるところの労働者の金であるという点から考えまして、正しい運用がされますように、必ずこの委員会におきまして、急速に方針を立てて政府に進言せられたいという希望もあわせてここに附言いたしまして、本法案に対しまして條件をつけて賛成をいたすものであります。
  31. 松永佛骨

    松永委員長 以上で討論は終局いたしました。  引続き厚生年金保險法特例案の採決に入ります。本案を原案の通り可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 松永佛骨

    松永委員長 御異議ないものと認めます。よつて本案は原案の通り可決いたされました。  なお本案に関する報告書の作成につきましては、先例により委員長に御一任願いたいと存じますから、さよう御了承を願います。     —————————————
  33. 松永佛骨

    松永委員長 次に丸山委員から医療法第十二條施行延期に関する問題についての発言を求められておりますので、これを許します。丸山委員。
  34. 丸山直友

    ○丸山委員 医療法の十三條の規定によりまして、施設内のベツトの数が二十床以下の診療所の病床に対しては、本年十月末をもつて一応入院患者を緊急の場合を除くほかは收容することができなくなるのであります。また緊急の場合といえども四十八時間を越えて入院を継続する場合においては、相当の手続をとらなければならないというよう規定があるのであります。この場合、現在日本におきまする二十ベツト以下のベツトの総数が約六万あります。この六万というベツト数は、日本中における総べツト数二十六万一千二十一床のうち、精神病院の一万七千百十七、結核病床の五万九千九百二、癩の八千八百八十六というような特殊の病床を除きまして、一般患者を取扱います全病床数は十七万五千百十六であります。その十七万五千百十六のうちの六万と申しますと、ほぼ三対一というような比率を占めておる相当数の病床が、本年十月末をもつて使用することができたくなるという状況に陷るわけであります。この法の目的は、日本の医療施設を完備させて、二十ベツド以上のりつぱな施設の病院に拡充して行こうというために設けられたことはもちろんでありますし、そのねらいは正しいと考えます。しかし本年度の予算を拝見いたしますと、厚生省の一般予算から見ますと、この病床の整理資金というものは、わずかに三百床しか見てございません。六万が落ちるというのに対して、国家は三百床しか見ておらない現状なのであります。そういうことではたして日本の医療制度というものが完全に運営して行けるかどうかということに対して私は疑問を持つておるものであります。しかるに第七国会において、私はこの問題をその当時から心配しておりまして、質問したことがあるのであります。そのときに、医務局の久下次長の答弁は、私はここに速記録を持つて来ておりますから申し上げます。久下次長は二十ベツト以下の病床を持つておるような診療所におきましては、何ら病院のような構造設備の制限を設けておらないのであります。そういうよう法律上の制限のないところにおきましては、必然的に今日の医学の進歩の状態から申しますれば、いわゆる適正医療、完全な医療はできないものであると断言せられたのであります。また私の、そういうよう考えから来年までに医療機関を整備して、国民医療に支障のないことをやれるだけの自信を持つてそういうことをおつしやいますかという質問に対して、病院の普及は十分であるというような地域は、わが国におきましては、きわめて限られた地域ではなかろうかと思つておりますと申されると同時に、もちろんその間にはたしてできるかどうか、自信があるかとおつしやられますと、かりに今後三年ありましても、非常に困難だと思つておりますという答弁をしておられるのであります。しかるになおそれに引続きましてこの法律は延期をする考え方もないし、この法律規定に従つて法を運用して行きたいということを、そのあとにおいて強く主張しておられるのであります。この間に非常な矛盾があるのであります。その点につきまして先般参議院におきまして医務局長はこの法律運用に関して、何らかの御発言があつたようにも聞いております。あらためてこの席でこの問題に対しては、どういうお考えを持つておられるかということを、お答えを願いたいと考えます。
  35. 東龍太郎

    ○東政府委員 医療法第十三條の問題は、目下医師会を中心とする日本の医療関係者の間に、きわゆて重人なる関心を持たれておることは私も十分承知いたしております。お話にもありました通り、現在診療所という範疇に属する病床数が、六万前後でございます。ただしかしながらこの法律が強行せられた場合に、日本全体の入院施設から一挙に六万のものが落ちてしまう。言いかえれば六万人が入院ができなくなるというふうには、数の上からは考えられないのでありまして、最大限六万でありまして、おそらく実数といたしましてはその何分の一かにあたるかと存じます。かりに昭和二十三年と申しますか、まだ新らしい医療法が強行せられておりません当時の、これらの診療所の病床の利用の数を調べましたものを信頼いたしますれば、約三分の一が入院患者の数として扱われておるというようなこともございますので、最大限六万というふうに考えればよろしいかと存じます。しかしながらこれだけのものが落ちることが、影響が少いとは考えられないのでありまして、これは著しい医療上の支障を生ずるという結果に相なることは予想されるのであります。従つてでき得る限りこの病床数の下足を来しませんように、一方病床数の増加ということに努力はいたしておりますか、政府それ自身として増加し得ます病床数は、まことに僅少でございます。そこで問題はこの法律規定をどこまで嚴格にと申しますか、嚴密に強行するか、これをこのまま強行いたしますれば、医療上さしつかえの起ることは明白であります。従つて私はさような大きな医療上の支障を起すのもかまわずに、これを強行しようというような意思はまつたく持つておりません。医療法の目的は、要するに国民医療の向上ということでありますので、この法律施行したがために国民医療に支障があるというのでは、これは惡法と申すよりしかたがないのでありますが、私どもはこの法律をして惡法たらしめるようなことは考えていないのであります。そこで具体的の問題といたしましては、ごく簡單に申せば、でき得るところにおいてこの法律趣旨をそのまま生かして行く、やることが無理であるところにおいては、決してこれを急いでやろうとは存じません。法律によりましても医療機関の施設の十分でないところにおいては、なお今後二年の猶予期間が設けられております。この二年の猶予期間の間にわれわれとしてはとくと考える余地があると存じます。まつたくこの病床数の増加が思うように参るか参らないかは、大きく申せば日本の社会情勢、特に経済の情勢と相関連しておるものでありますので、将来の見通しは右とも左とも申し上げることは困難だと思いますが、ただ現在のような状況が継続すれば、今後二年たちましても、必ずしも非常に明るい見通しになるとは考えられません。従つてこの法律が認めております猛予期間の終ります時期に至りましても、なお現在と同じような著しい病床の下足が来るというような場合には、医療に支障のないよう方法を考慮すべきことは当然であると存じますが、現在のところは、ただいまから医療法の十三條をどうするか、いわゆる通俗的な言葉で緩和するというようなことは私は考えておりません。そのために私の方では日本全国にわたりまして病院と診療所というふうなものの実情をできる限り詳しく調査いたしております。そうして診療所にかかつた患者が入院を必要とする場合、病院に運ばれる場合に、どれどけの距離あるいは時間であるならば、しんぼうができるであろうかというような事柄を根拠として全国的な病院配置の調査をいたしております。その結果に基きまして、この十三條を施行いたしましてもさしつかえないと思われるような地域に限つて、これを行つて参りたいというつもりでおるのでございます。決して無理をしてやろうという気持は持つておりません。
  36. 丸山直友

    ○丸山委員 医療施設が比較的完備しておる場所において、これを活用して行きたい、こういうお考えであるということを承りまして、やや安心するようでもございますが、実は先年東京都の中野区議会の決議をもちまして、中野区においてもこの医療法の十三條の適用はしてもらつては困るという陳情が出ておるのでございます。東京都内の中野区すでにしかりなのであります。こういうような実情で、おそらく地方においては病院までに達する距離というものからお考えになるならば、その距離内に病院はあるでございましよう。しかしそれだけのあいたベツド数をはたして持つておるか、その近所にあるところの施設に、患者を收容するだけのあきベツドを持つておるかどうかということの方が問題なのであります。その施設があるかないか、距離かどうであるかというようなことよりは、それだけのものを今までよりも余分に收容し得るやいなやということが問題なのであります。その意味におきましても、たとえば東京都内といえどもこの法律の適用を厳重にやられます場合には、相当の支障が生ずるということは明らかであろうと考えるのであります。その意味におきまして、この運用に当り、その地区を御指定になる場合においては、よほど愼重なる御態度をもつて、むしろこれを延期する地区を指定するよりは、これを適用する一小部分の地区をただ指定するというくらいの処置をおとりにならないと、かえつて支障が生ずるのではないかと思います。それをあわせてお願い申し上げます。
  37. 東龍太郎

    ○東政府委員 ただいまお話のごとく、單に病院がどこにあるかという問題ではなく、その病院が減つただけのべツドに対する收容力があるかどうかということも重大な問題だというお話ですが、まつたくその通りであると存します。私どもの調査におきましても、でき得る限りさような点をも考慮に入れて調査をいたしておるつもりであります。  それから中野区の例をおあげになりましたが、これはごく一般的に考えますれば、郡部と言われる部分においては、病院の施設が非常に不足しておるところが多いのでありますから、大体においてなかなか急にこれを適用することができないような状況にあるだろうと思いますし、市と言われる部分は、この適用を受けてもさしつかえない部分が多いであろう、こういうふうな全般の傾向ではありますが、しかし市と申しましても、やはりこれを適用しては都合が惡いところもございます。また郡と言われるものの中にも、案外これの適用を受けてさしつかえないような例外的なものもございますので、この地区の指定にあたりましては、今までのお話通り、これを適用します地区を指定いたしまして、その他の地区は従つて五年の延期の最大限まで現状のままで行けるというふうな、つまり指定はこれを適用する地区を指定するというふうに、私どもも今そういうふうに考えております。
  38. 丸山直友

    ○丸山委員 申し落しましたからなお一言つけ加えますが、現在私ども看護婦法の改正計画しております。あの看護婦法の改正に、看護婦の養成所の問題がある。看護婦の養成所は当然ベツドを持つておるものでなければできないことになるのであります。そのベツドが落ちますと、今まで私ども考えておりました看護婦の補充、数を獲得する意味において、相当の緩和した養成所をつくりたいという考え方を持つてつております。しかるにその養成所がベッドを持つておらなければ、もちろん養成所たる資格がなくなりますので、そういう点をにらみ合せてお考えを願いたいと思います。
  39. 東龍太郎

    ○東政府委員 看護婦制度の問題につきましては、参議院の小委員会において十分御研究になりました、その結論をいただいております。目下私どもといたしましても、これは慎重に研究いたしておる次第でございます。ただいまのその問題と関連して考えるというお説に対しましては、十分その意を含んでやつております。      —————・—————
  40. 松永佛骨

    松永委員長 次に国立光明寮設置法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引続き質疑を通告順によつて許します。丸山直友君。
  41. 丸山直友

    ○丸山委員 前回の質疑応答を承つておりまして、厚生省としては盲人の福祉施設である光明寮の設置は、なおここに示されましたもののほかに、北海道、東北、中国、九州等においても設けたいというふうな意向があるということも一応承つたわけであります。また今までございました二つの施設で、わずかに百名の收容人員しかないのであります。しかるにそれに関する従来の入所の希望者は、二千名を越しておるということの説明を承つたのであります。二千名の希望者に対して百名という收容人員、新らたにここに設けられますもう一箇所の收容人員は、完成した年度において定員が二百十名であつて、なお二千名に対しては非常に距離がある。従つてこの施設はもう少し増設しなくちやならぬということは、私どもも痛感するわけであります。しかるにこういうふうな生産に直接関係のない厚生的の施設というものは、予算の査定にあたりまして、大蔵官当局が割合に重きを置かないような傾向があるのではないかというふうに私どもとしては感得せられるのであります。そういうよう意味におきまして、こういうふうな非常に不幸な人間の福利施設というものは、社会保障制度審議会からの勧告にもありますように、国民がひとしく最低の生活を維持する権利を主張することのできる現段階において、この費用を見ますると、今度新しく一箇所をつくるためにわずかに三百九十五万円余、四百万円に足りない金であります。こういう僅少の金で、ともかくも初年度においては結局二百十名の者が救われるという結果になる。收容人員二百十名というふうなことから考えますると、ごくわずかの金でもう少しこういうふうなものが増設できるのではないかというふうに考えられるのであります。この点に関して、大蔵省の当局は今後この予算の査定にあたりましてどういうふうな御方針でおやりになるかということをひとつ承りたいのであります。
  42. 東條猛猪

    ○東條政府委員 従来内閣の決定あるいは大蔵省の予算の決定にあたりまして、厚生施設、特にただいまは光明寮等、そういう社会施設の増設についての費用が欠けておりはせぬか、その熱意において不十分ではないかという御趣旨のことだと拜承いたしたのであります。私から申し上げるのもたいへん恐縮な次第でありまするが、実はこの予算の編成にあたりまして、関係各省といろいろ内閣内部におきまして、予算計上の経費の相談をいたします場合にあたりましては、もちろん大蔵省一省、一局の問題でございませんで、翌年度の国政に関する大問題でありますので、国会その他関係各方面の御意向を十分にくみ入れまして、予算編成方針というものを閣議において定められまして、そのラインに沿いまして予算編成の相談がいたされるわけであります。事務的に申し上げますと、結局政府部内、関係各省から予算の経費を御要求になりますについての項目と申しますか、事項の数は予算書に計上いたされますものが、大体三千ないし四千の項目に相なつたわけであります。従いまして、一つの項目、一つの事項だけを取上げて考えてみますると、比較的軽微の金額でありましても、それらのものが結局積み重なりまして、六千六、七百億の予算の一部をなしているという関係にある実情でございます。従いまして、私どもといたしましては、一つの事項といたしまして、金額はわずかでございましても、それを一つ一つにつきましてさらに再検討の余地がないか、また場合によりまして、は、経費の性質上繰延べの可能性はないかということを、十分関係各省と御相談いたすというのが、現在の予算編成の実情に相なつている次第でございます。従いまして、この厚生省の社会施設方面の経費につきまして、厚生省方面から非常に熱心な御要請がありましても、場合によつて右申し上げましたような実情から、やむを得ず財政令体の都合から、その当該年度といたしましては、経費の計上を見合せていただく、やむを得ずそういう措置を講ずることも、これまた全体としてやむを得ないというふうな場合もありますから、厚生省所管の御当局でも、政府全体といたしましてそういう実情にありますことを御承知願いまして、場合によつて計画の圧縮をお願いしましたり、あるいは計画の繰延べをお願いいたすというようなのが、実は現在の実情でございます。従いまして、ただいま御指摘の厚生施設光明寮その他の社会施設につきましても、私ども現在の社会情勢におきまして、その必要のございますことはもちろん十分認めたがらも、しばらくそれを延ばしていただくというようなことをお願いしておることも多々あるのであります。しかしながらそれは社会施設の重要性ということの認識におきましては、われわれ大蔵省側といたしましても十分に心得ておる次第でございまして、いかなる時期に、どういうぐあいに、またどういう規模において今後これらの施設の維持拡充をはかつて参るかということにつきましては、厚生省の関係当局とも十分御懇談いたし、また意見の交換をいたしまして今後とも善処して参りたい、かよう考えております。
  43. 丸山直友

    ○丸山委員 予算編成の政府の方針といつたものは、おつしやいます通り、私もその事情はよくわかるものでありますか、しかし一々こういうような小さな項目まで大蔵大臣が目を通していないということも知つておるのでありまして、やはり事務当局においてのものの考え方、ウエートの置き方によつて相当の幅もとり得るじやないか、かよう考えますから、私は申し上げた次第であります。先ほども申し上げましたように、今の行き方は、今年は厚生省の予算は相当増額になつておりますけれども、社会保障制度勧告というものから見ますと、まだ相当の距離があるということも私ども考えておりますので、こういうようなこまかいものは、政府の大方針というよりは、相当事務当局のお考え方でこれを左右することができるのではないか、かよう考えて申し上げたわけでありまして、今後も厚生省の御当局とよくお打合せくださいまして、こういうようなものに対しては十分に同情を持つて予算の査定に当られんことをお願いする次第であります。
  44. 堤ツルヨ

    ○堤委員 ちよつと関連して……。今主計局長がお見えでございますのでお尋ねいたしたいことは、実は私たち厚生委員は大蔵省を非常に恨んでおります。これははつきり申し上げることができると思います。厚生省あたりへ行きましても、これはどの課長、どの局長ということは申し上げませんけれども、大蔵省があまりにも苛酷な予算の削り方をなさるということで、怨嗟の声があるということをここに申し上げておきます。それは聞くところによりますと、厚生行政に対する批判をも加えて、厚生省あたりの行政を曲げようとなさるような向きもあるやに承つておるのでありますが、いかがでありますか。
  45. 東條猛猪

    ○東條政府委員 お言葉でありますけれども、私ども決して大蔵省の事務当局が厚生行政の大きな方向を曲げるとか、あるいはその大方針が誤つておるというようなことはないというふうに申し上げます。  それから大蔵省の事務当局のわれわれが厚生省の怨嗟の的になつておるというお話でございまするが、まあ政府部内においてもいろいろ相談をいたしまする過程におきましては、一方におきましては相当な抱負なり、御計画をお持ちになつておる。片一方のわれわれから申しますると、收入の方は租税と専売收入、言葉をかえて申しますれば、結局国民のふところから頂戴いたした金をもつて、その收入の限度においてお願いをいたさなければならぬということでありますので、そのお話合か円満にまとまりますまでの過程におきましては、夜を徹してずいぶん議論も重ねまするし、またお打合せもいたします次第でございます。従いまして、その交渉の経過におきましては、あるいは言葉がお互いに過ぎましたり、あるいは誤解もままございましたりいたしまするが、ひとたび政府といたしまして方針がきまりましたり、あるいは金額が決定を見ました場合におきましては、そういういきさつもいきさつであつたということで、あのときはどうも言葉が過ぎたが、というようなことで、お互いに笑つて水に流すというようなこともあるような実情でございまして、話の経過の途中におきましては、大蔵省のあのやつはどうも何とかいうようなことが、自然これは見受けられるのでございますから、お耳に入ることもあると思いますが、それは人間の話合いの途中におきましては、往々気を惡くするということも、これは人情の常といたしましてありますので、話合いの途中におきましては、ついお互いにその場合によつては気持を少し悪くする、お互いに批判し合うということもございますので、そういう役もだれかが引受けるというのも、これまたやむを得ないところでございまして、決して大それた厚生行政の批判とか、方向を曲げるとか、そういうことはございませんで、交渉の経過におきましては、そういうことはないでもない、言葉の行き違い等もないではないということもございますが、話がまとまれば、すべて一致いたしまして、その方向に沿うて行政が行われて参るわけでございます。そういうふうに御了承いただきたいと思います。
  46. 堤ツルヨ

    ○堤委員 私はこういうことを申し上げてまことにこれは相済まないわけでございますけれども、終戰五年後の今日、終戰後新しくできた厚生省だとか、労働省だとかいう省あたりは、古い大蔵官僚には頭が上らないと俗に言われるような言葉さえ出ておるようであります。案外さらりと水に流されるのは大蔵省でありまして、はたの、予算のもらえないよその省では水に流さないわけでありますから、これはひとつ大蔵省にお帰りになりましたら、お伝え願いたいと思います。これは速記録に残してもらいたいと思つて、わざと申し上げておるのであります。  それからこれはたくさんの請願を受理いたしておりますので、その席上次長あたりがおいでにたつて、これはお聞きになつてもらわなければならないことですが、たくさんの国立病院、国立療養所からの請願は、いずれも予算の要求でありまして、これは社会局長とか、医務局長だとか、病院課長だとか、療養所課長等にここに出てもらつて答弁を求めても片がつきません。というのは、要求しただけの予算がとれないからということに結局なります。私はこの前の厚生委員会でも申し上げましたが、私は滋賀県の選出でありますから、よく知つておるから申し上げますが、滋賀県にたつた二つあるところのたぬきの出そうな結核診療所がある。これは国立と名がついておるのですが、この診療所に行くと、患者のたんとうんこのしまつができない。というのは、それだけの予算が本省からもらえないというような国立の結核診療所であります。さようなひどい目にあわされますと、ほんとうに私たちは患者の顏も見られないような立場に追い込まれるのでございまして、私は厚生省の方々をずいぶん難詰いたしますけれども、厚生省の方を難詰しただけでは片がつかないものがあるということを近ごろ痛感いたしておりますので、ひとつ大蔵省の方をつるし上げにしたいと思つてつた矢先でございますので、私はこういうことを申し上げるのでありますか、これは至るところに大蔵省怨嗟の声が出ておりまして、この憎まれ役もまたやむを得ないとおつしやる立場もよくわかりますけれども、あまり予算編成にあたつて高圧的な態度を大蔵省がおとりになるということは、国政を曲げるものであるということをひとつ御認識願いたい。お帰りになつたならば、これをひとつ大蔵省にひろうしていただきたいということを次長にお願いいたしておきます。
  47. 青柳一郎

    青柳委員 私はこの際主計局の実権者である東條さんに御研究おきを願いたい点が二つあるのであります。  一つは、戰争犠牲者の援護に関する問題であります。われわれは連合軍司令部の管理下にありますが、同じように、西ドイツにおいて英・米・仏・ソの四国の管理を受けております場所におきまして、すでに昨年以来遺族の問題、傷痍軍人の問題、あるいは老兵の問題は解決をしているのであります。日本も講和を間近に控えてこの問題は非常に大きな問題になりつつあります。従いまして、占領下にあるという関係から、あるいは連合軍司令部との関係もありましようが、近く非常に大きい問題といたしまして、われわれといたしましても大蔵当局に迫らさるを得ない状態にあるいはなろうと思うのであります。西ドイツの問題、あるいはこの問題が今までどういう形であつたか、今後どういうふうに進んで行くか、これを今から考えておかなければ、政府としても非常に困るであろうというような点から、さつそくこの問題について大蔵省御当局といたしましても調査研究を進めていただきたいというのが一つであります。  もう一つは、この厚生委員会といたしまして、何と申しましても一番大きな問題は、社会保障に関する問題であります。この社会保障の中で生活保障を妨げる一番普遍的な問題は健康の問題であります。といいますと、ただちに現在日本でやつております国民健康保険の基礎がしつかりして来なければ、社会保障の基礎はできないのであります。憲法二十五條の線に即応して、国は最低の生活保障する義務があるという面から、まず第一段階におきまして、少くとも保健に骨節を入れていただくという問題につきまして、これまた十分な御検討をお願いしたい、こう存ずる次第であります。何と申しましても、厚生行政の一番中心点は社会保障の問題、戰争犠牲者の問題、この二つの、性格は違いますけれども、いずれも相関連しながら大きい問題としてわれわれの目前に迫つている問題であります。この二つの問題につきまして、大蔵省御当局としても、財政御当局の立場において、今から調査研究を進められるように切にお願いいたしたいのであります。この点につきまして、御意見を簡單にお漏らし願えれば仕合せであります。
  48. 東條猛猪

    ○東條政府委員 ただいまの大蔵省で調査するようにという項目並びにその御趣旨はとくと拝承いたしました。両者とも非常に重大問題であります。  社会保障制度の問題につきましては、勧告がございまして、内閣にこれを專門に検討いたします機関があります。大蔵省もその一員に加わつておりまして、従来ともいろいろ検討になつておりますが、なおこの上ともよく心得まして検討いたしたいと思います。両者とも非常に重大問題でありますので、御趣旨に即応して、よく検討いたすということを申し上げまして、御了承いただきたいと思います。
  49. 苅田アサノ

    苅田委員 この丸山委員の御質問は重要な問題でありまして、さつき退席いたしましたので、あるいは重複するかもしれませんが、もし重複いたした点がございましたならば、それはまたあと速記録で拜見してもけつこうでありますから、簡單にお答え願いたいと思います。  それは一つは、昨日この光明寮の問題につきましての質疑の中で、社会局にお伺いしてわからなかつた点、ちようどきようは大蔵省からお出向きになつておりますので、御答弁が願えればと思うのです。それは傷痍軍人に関する恩給のことなんですが、答弁願えるでしようかどうでしようか。その点は、昨日も社会局長から傷痍軍への問題の解決はどうしても恩給法の改正による以外に道がない、こういうお話でありまして、社会局としましても、厚生当局としても、すでに大蔵省との間にこの問題については相当交渉している。その経緯は大蔵当局の方から聞いていただきたい、こういう御答弁だつたので、現在この実情に合つていない傷痍軍人の恩給につきまして、どういう改正の御名案を持つておられるか、このことにつきましてひとつ御答弁願いたいことが一点と、それから次にこれもやはり昨日質問いたしまして、十分な御答弁を得られなかつたのですけれども、きようも私は大蔵省がおいでになると思わなかつたので、資料を十分そろえておりません。ただ自分の記憶をたどつてしか言えないのですけれども、これは二十六年度の平衡交付金の査定にあたりまして、厚生省関係の平衡交付金が、地方財政委員会で査定されました額よりも大蔵省案は著しくこれが削減されておる。しかもその削減の度が、文部省関係とかあるいは農林省関係等で削減されておる率よりも比較にならないほど大幅な削減を受けておる。これは数字を私は今持ちませんので、はつきり具体的に申し上げられないのです。御存じだと思いますけれども、この事情につきまして以上の二点につきまして大蔵当局からの御意見を伺いたいと思います。
  50. 東條猛猪

    ○東條政府委員 傷痍軍人の恩給の問題につきましては、ただいまお話のございました戰争犠牲者と申しますか、そういう方々の処遇の問題といたしまして、きわめて重大な問題であるというふうに私ども考えております。この問題をどう考えるかという点でありまするが、恩給局といたしましても厚生省おかれましても、いろいろこの問題について考えておられますし、大蔵省といたしましても、この問題がきわめて重大な問題であるということは、まつたく同感でありまして、いろいろと検討をいたしておる次第でございます。  それから平衡交付金の金額が、地方財政委員会と内閣の決定した金額との間に相当の開きがあるがどういうわけか、こういうお言葉と拝承いたしたのでありますが、この平衡交付金の金額が違いました理由は大きくわけまして、昭和二十六年度において新たに地方財政の負担となる負担の増加額がどの程度であるかという見込み、それから地方財政に新たに財源として見込まれるものがどの程度になるかというこの見込み、つまり負担の増加額と財源の増加額の二つにわかれ、そのおのおのの財源なり負担の内訳がこれまた数項目、またその一項目を非常にこまかくわけますれば数十項目にわかれるわけでありますが、それらの各項目につきまして地方財政委員会と内閣の決定額との間に見解の相違があるということが理由であります。ただ二十六年度におきまして、国庫から地方財政に対して補助金が出ます。その補助金が出ますのは、当厚生委員会関係の施策のみならず、あるいは文部省関係あるいは農林省関係というふうにあるわけでありますが、国庫から地方に対して補助金が出ます経費につきましては、その補助金に伴いまして地方団体の経費がふえて参る。それでどの程度負担がふえるかという、いわゆる国からの補助金に伴いますところの地方財政負担額増加額につきましては、財政委員を内閣の決定額との間には意見の不致はございません。意見の一致を見ておるわけでございます。従いまして、現在政府から提案しておりますところの昭和二十六年度の予算案が成立いたしました場合、その予算案に盛られております補助金に伴う地方団体における施策につきましては、別段地方財政委員会と内閣の間に意見の不一致はないわけです。ただ地方財政平衡交付金というものが、御承知の通り法律的性格でありまして、地方財政平衡交付金を算定いたします経過、あるいはその計算の過程におきましてはこういう考え方、こういう計算方法で地方財政平衡交付金ができ上つておるぞということで計算がなされるわけでありますが、結局平衡交付金といたしまして、金額が定まりましたあかつきにおきましては、平衡交付金法の命ずるところ、並びにその他関係法令の命ずるところに従いまして、平衡交付金の配分がなされるわけでありまして、いわばひもつきの補助金が出たから、その金は必ずこういう地方公共団体の施策にまわせ、こういうひもつきにはならぬわけでありまして、これは地方財政平衡交付金というものの性格上やむを得ない、あるいは当然しからしめるところであります。詳しく申し上げればいろいろ申し上げなければならぬのですが、地方財政平衡交付金につきまして、地方財政委員会と内閣の決定額との食い違いは大体そういうことであります。
  51. 苅田アサノ

    苅田委員 内閣の食い違いの点よりも、むしろ私の質問いたしましたことは、先ほど丸山委員あるいは堤委員からも御指摘になつたように、厚生省関係予算に関する大蔵当局の経費というものが、具体的な事実としてただいま申し上げましたような、他省と比較して非常に大幅な削減が厚生省予算に加えられておる、それは厚生当局から出した予算ではなくて、むしろ地方財政委員会で大体全体の計画を見て配分したものの中でも、特に今年度は障害関係予算が大幅に創られておつたことを記憶しておりまして、一度この点につきましては十分御質問したいと思つてつたわけなんです。私の質疑の主眼はこの点にあつたわけなんです。  それからもう一つ、傷痍軍人の問題については、これは重大問題だから今愼重に研究しているという御言葉だつたのですか、私どものお聞きしたいのは、どういう審議がなされておるかということ、つまり恩給の増額は一体できるのかできないのか、できるとすれば、いつごろ大体どの程度できるのかということを、できるならはお漏らしいただきたい。もしそういうことに障害があるとするならば、どういう点が障害なのかということもお漏らし願いたい、こういうふうに考えておるわけなんです。
  52. 東條猛猪

    ○東條政府委員 傷痍軍人の恩給の問題は、重大な問題でございまして、大蔵省内部におきましても、まだ研究中の段階にございます。従いまして重ねての御質問でございまするけれども、私どもといたしましては、まだお尋ねのように時期、方法内容、もし障害ありとすれば、どういう点が障害なんだという、具体的なことをこの席で申し上げるまでの運びに至つておらない次第でございます。
  53. 苅田アサノ

    苅田委員 その件について重ねてですが、この恩給の問題については、私はずいふん前から問題になつてつたと思うのですが、一体いつまでにこの研究は終ればいい。これは実際生きた人間が、御存じのように街頭に立つて、しかも都條例で一方的に禁止されて、その迫害のもとにやつておるわけなんで、そういう点から考えれは、いつまで御研究になつてその成案をお出しになるのか、これもひとつ参考のために聞いておきたいと思います。
  54. 東條猛猪

    ○東條政府委員 直接の所管は厚生省、大蔵省と申すよりは、実は恩給局の問題なんです。先ほどからお話のございました戰争犠牲者の処遇の問題という非常に重要な問題、また非常に重大な一環といたしまして、しかも国家財政に相当影響あるべき問題という意味合いにおきまして、大蔵省といたしましても、先ほど来申し上げておりますよう検討いたしております。これは対外、対内、いろいろ問題があると思うのでありますが、諸般の情勢が許すに至りますれば、なるべくすみやかなる時期に、この問題の結論を見出したいというのは、国会方面の御意向のみならず、政府部内もその結論には一致の意見と私は思いますが、それを具体化いたす時期につきましては、この席で申し上げることはいかがか、また申し上げるまでの運びに至つておらないということで御了察をいただきたいと思います。
  55. 丸山直友

    ○丸山委員 きようは光明寮のことに対してのみお伺いしでおると実は考えておつたのでありますが、さつき青柳委員から社会保險の問題が出ましたから申し上げます。私は今ここに数字を持つておりませんが、昨年の五月国家公務員の共済組合短期給付支拂い未納七億六千万円、六月になつたら八億を越したわけですが、現在どのくらいになつておりますか、これに対して主計局としては、どう処理なさるおつもりであるか。
  56. 東條猛猪

    ○東條政府委員 実は私もほかの委員会に出ておつて、この厚生委員会に出て来いという御命令で出て参りましたので、本日こういう問題を御質問いただこうとは予想しておりませんで、ただ計数その他に関することをよく申し上げられませんのは恐縮に存じますが、共済組合の短期給付関係の問題は、実は私どもも昨年来から非常に頭を悩ましておる問題であります。と申しますのは、未拂いの処理はいたさなければならず、かと申しまして、そのしりを国家公務員であるからといつて国庫にすべて持つで参るということは、これはいわば社会保險制度と申しますか、こういう制度の性質上、ほかの制度との権衡上とうてい許さるべくもない。といたしますと、また国家公務員のこの負担を増さなければならぬ次第にもなるという三つ、四つの立場をいかに調整按配をいたすべきかということで、実は昨年来非常に苦慮しておるのであります。従いましてこの支拂い資金の方面に共済組合の関係でどのよう支拂いの遅れている金があるのかという点につきましては、しばしば話にも承つておりまするし、そういうことでは何としても不都合である。またほかに御迷惑をおかけするのみならず、共済組合自体といたしましても円滑なる運営をはかつて行く趣旨では毛頭ないということから、相当国家公務員の皆様方には負担を増し、また批判も受けたのでありますが、これにつきましては、従来は御承知のように国家公務員は一律一本でありましたものを、各共済組合の実情に応じまして、余計に医療施設を利用しておる組合については余計に各組合員が負担することもやむを得ないのではないかという考え方で、その掛金率の増加にあたりましても利用度の多い、従つて未拂いを生じやすい可能性の強い組合につきましては、掛金率を引上げるという処置をいろいろと各共済組合の理事なりあるいは組合員の方々とも御相談をいたしまして、組合員によりましては、私どもは非常なる反対を受けたのでありますが、まあ支拂金に対する未拂いということをやつては結局自他ともにいけないことだということで、いろいろと御納得を願いまして、当時の計算におきましてはまあ何とかまかなえるというよう程度負担割合の引上げをやつてもらつた次第であります。なおどうもはつきりした記憶のないことを申し上げましてたいへん恐縮でありますが、それとても将来その程度の料率であるならば和とかやつて行けるという程度のことをそのときお願いしまして、従つて過去の未納につきましては、国家公務員であるという特殊性から考えまして、国家財政におきまして若干負担をいたすということもまあお認め願えるのではなかろうかということで、ある程度の過去の赤字につきましては国におきまして負担をいたすという措置もたしか講じたと思つみならず、共済組合自体といたしましても円滑なる運営をはかつて行く趣旨では毛頭ないということから、相当国家公務員の皆様方には負担を増し、また批判も受けたのでありますが、これにつきましては、従来は御承知のように国家公務員は一律一本でありましたものを、各共済組合の実情に応じまして、余計に医療施設を利用しておる組合については余計に各組合員が負担することもやむを得ないのではないかという考え方で、その掛金率の増加にあたりましても利用度の多い、従つて未拂いを生じやすい可能性の強い組合につきましては、掛金率を引上げるという処置をいろいろと各共済組合の理事なりあるいは組合員の方々とも御相談をいたしまして、組合員によりましては、私どもは非常なる反対を受けたのでありますが、まあ支拂金に対する未拂いということをやつては結局自他ともにいけないことだということで、いろいろと御納得を願いまして、当時の計算におきましてはまあ何とかまかなえるというよう程度負担割合の引上げをやつてもらつた次第であります。なおどうもはつきりした記憶のないことを申し上げましてたいへん恐縮でありますが、それとても将来その程度の料率であるならば何とかやつて行けるという程度のことをそのときお願いしまして、従つて過去の未納につきましては、国家公務員であるという特殊性から考えまして、国家財政におきまして若干負担をいたすということもまあお認め願えるのではなかろうかということで、ある程度の過去の赤字につきましては国におきまして負担をいたすという措置もたしか講じたと思つております。従いまして実は私どもといたしましては、その後の推移につきまして、この席で的確にどうなつておるという資料を持ち合せておりませんが、おおむね当初所期したような方向で動いておるのではなかろうか、最近ある一、二の組合につきまして、どうも当初考えておつたのではうまく行かぬ、実はもつと利用度が多いという組合が一、二ございまして、なぜそうなるのだ、当初の数理、計算のどこに誤りがあつたのだということを研究しておるような組合もありますが、大部分の組合につきましては、おおむね問題が初めに考えましたような解消の方向に向いておるものと、かように思つております。
  57. 松永佛骨

    松永委員長 他に本案についての御質疑はございませんか——他に本案についての御質疑もないようですから、質疑を終了したものと認めるに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 松永佛骨

    松永委員長 御異議がなければ本案質疑は終了したものと認めます。  次に本案の討論に入るのでございますが、本案の討論につきましては別に通告もありませんのでこれを省略し、ただちに採決に入りたいと存じますが、採決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 松永佛骨

    松永委員長 御異議なしと認め、国立光明寮設置法の一部を改正する法律案の採決に入ります。本案を原案の通り可決することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 松永佛骨

    松永委員長 御異議なしと認め、よつて本案は原案の通り可決されました。  なお議長に提出する報告書の作成に関しましては、先例によつて委員長に御一任願いたいと存じますが、さよう御了承願います。  次会は明後十七日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後一時十八分散会