運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-03-14 第10回国会 衆議院 厚生委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月十四日(水曜日)     午後一時五十九分開議  出席委員    委員長 松永 佛骨君    理事 丸山 直友君 理事 亘  四郎君    理事 柳原 三郎君    大西 禎夫君       中川 俊思君    堀川 恭平君       松井 豊吉君    金子與重郎君       清藤 唯七君    堤 ツルヨ君       松谷天光光君    苅田アサノ君  出席政府委員         厚生政務次官  平澤 長吉君         厚生事務官         (社会局長)  木村忠二郎君  委員外出席者         参議院議員   長島 銀藏君         専  門  員 川井 章知君         専  門  員 引地亮太郎君         専  門  員 山本 正世君     ————————————— 三月十四日  委員小林運美君辞任につき、その補欠として金  子與重郎君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 三月十三日  社会福祉事業法案内閣提出第一〇二号)(  予) 同月十四日  国立光明寮設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第九一号)(参議院送付)  厚生年金保險法特例案参議院提出参法第三  号)  精神衛生法の一部を改定する法律案中山壽彦  君外四名提出参法第七号)(予) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  国立光明寮設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第九一号)(参議院送付)  厚生年金保險法特例案参議院提出参法第三  号)  社会福祉事業法案内閣提出第一〇二号)(  予)  看護婦制度に関する件     —————————————
  2. 松永佛骨

    松永委員長 これより会議を開きます。  まず厚生年金保險法特例案議題とし、審査に入ります。提案者より趣旨説明を聴取することといたします。参議院議員長島銀藏君。
  3. 長島銀藏

    長島参議院議員 提案理由説明に先立ちまして、一言申さしていただきたいと考えます。今度提出せられます法案のうち、議員提出の範囲が非常に拡大せられたのでありますが、今までは政府において立案せられ、そのことごとくが政府提出となつており、議員提出のものは非常に少かつたように承知しております。今回諸外国の例にならいまして、立法技術上多くの法案議員提出によるの方法が採用せられましたことは、一段の進歩であろうと存ずる次第でありまして慶賀にたえません。第十国会におきましては衆参両院とも多くの法案おのおの議員によつて提出せられております。厚生年金保險法特例提案に関しましては、本国会参議院として先陣を承つた次第でございます。法案の組立て並びに審議方法につきましては、これが将来の前例ともなる点を十分考慮いたしまして、先輩諸賢とも相談を重ね愼重に研究いたしました結果、各派共同提案といたした次第でございます。なお担当者としての私は浅学菲才、ことにふなれのため遺憾の点が多々あるとも考えられまするので、この点につきましてはあらかじめ御理解をいただき御了承を得たいと存じておる次第でございます。  それではただいま議題となりました厚生年金保險法特例案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  厚生年金保險におきましては、御承知のように、養老年金障害年金遺族年金寡婦年金鰥夫年金及び遺児年金の六の年金がございますが、このうち、養老年金は、いまだ給付の時期が到来いたしておりませず、寡婦、鰥夫、遺児の各年金につきましては、いずれも終戰後創設にかかる新しい制度でありますので、問題はないのでございます。  ところが、この制度創設以来比較的早い時期からその受給者が発生しておりました障害年金及び遺族年金につきましては、その年金支給計算基礎となりまする標準報酬月額年金計算の場合の平均とり方とが、今日までに数回にわたつて改訂されて参つているのであります。そのために新旧の年金の間に不均衡が生ずるようになり、従前の低い標準報酬月額によりまする年金は、受給者生活保障という目的を達することができない事態が生ずることとなつて参つたのでございます。この不均衡欠陷を是正する措置として、過去において、昭和二十三年と昭和二十四年の二回にわたり、従前の低額な標準報酬月額によりまする年金額を五倍に引上げたのであります。しかるにその後の経済情勢の変動に伴いまして、実際上の給与水準も相当高まつて参り、五倍に引上げた当時の被保險者全体の総平均標準報酬と今日の総平均標準報酬とを比較いたしますると、約二倍の開きを生じて参つたのであります。従いましてその不均衡をもう一度是正する必要が生じて参りましたのと、先般の措置から多少漏れていたものもございましたので、本案におきましては、これらのものもあわせて救済するように措置いたしました。  まず障害年金及び遺族年金年金額計算が、昭和二十三年八月一日、すなわち標準報酬月額について大幅の改訂をいたしましたとき、以前の低い標準報酬のみを基礎としておりましたものにつきましては、すべてこれらをさらに二倍に引上げることとし、さきに行いました五倍引上げを合せると、当初の十倍に引上げ年金額改訂することといたしました。次に昭和二十三年八月一日以後の高い標準報酬と、それ以前の低い標準報酬との双方が年金額計算基礎になつておるものにつきましては、同日以前の低いものを切り捨てて、改訂後の高い標準報酬だけをとつて年金額改訂を行うこととし、そのうちで標準報酬平均とり方及び年金額算出基準従前の古い制度によつてつたものにつきましては、新しい制度による方法に切りかえることとして、できるだけ不均衡を是正することといたしたのでございます。  右が本法案提出理由でございますが、何とぞ御審議の上すみやかに可決せられんことを、お願いする次第でございます。
  4. 松永佛骨

    松永委員長 本案につきまして何か御発言はございませんか。——それでは本案に対する質疑は明日の本委員会に持ち越すことにいたします。     —————————————
  5. 松永佛骨

    松永委員長 次に金子委員より看護婦制度に関する件について発言を求められておりますのでこれを許します。金子委員
  6. 金子與重郎

    金子委員 厚生次官がお見えになつておりますので、私の要望いたしたい二件のことについて申し上げたいと思います。次官承知通り、第九国会看護婦制度改正につきまして本委員会におきまして小委員を設け、非常に長い間数十回にわたりましてその改正内容その他を検討いたしまして、ようやく過日これが一応のまとまりを見まして、現在法制化されつつあることは御存じと思います。そこでぜひともこの三月中にこの法案を通過させたい、こういうようなわれわれ意見を持つておるのであります。この法制化並びに飜訳を極力急ぎましても、なおこれを本会議にかけるまでの間相当いろいろの経緯を経なければならないと思いますので、ぜひとも三月中にこの目的を貫徹されるよう御努力願いたい、こういうことをまずお願いしたいのであります。  それから第二には、たまたま看護婦国家試験が去る十日から二十日までということで、申込み期日が切れるわけであります。しかしながら、これは本委員会において第九国会から今日までこの改正法律をつくろうということで努力し、また最近その一応の成案を得たことも周知の事実でありますので、そうなりますると、もしこの法案が通過いたしますならば、今国家試験を受ける人たちが、受けてよかつたのか、受けなくてもよかつたのかという、非常な岐路に迷うわけであります。従つてこの際ぜひとも次官の方から善処いただきまして、この看護婦国家試験申込み期日を四月一ぱいまで延ばしていただきたい。そうしてこの法律がどうなるか解決のついた後でも、申込みを聞くという形をとつていただきたい。これはそうでないと、全国看護婦が迷つておる問題でありますので、ぜひともあなたから——どうしてもやむを得ない事由があれば別でありますが、これをそういうふうにおとりはからい願いたい。万一そういうようにできなかつたときは、その理由を後刻委員会で私どもに納得のつくように御説明願いたい。  以上が、二つのお願いでありますが、私どもはこの法律案改正にあたりまして——とかく最近議員提出法律というものが非常に多く出されておるのであります。しかしながらその議員提出法律たるや、何か政府の都合で、いわゆる頼まれた形によつて議員提出法律案としたものと、もう一つは、特定の地域なりあるいは特定の業界の共同利益のために、たまたま議員の中でそれが一致したという形において、裏に一つの特殊な利害を持つて、いわゆる議員提出法案なつたものが非常に多いように思つております。地域的な利害関係もなく、また政府から依頼されたのでもない、純然たる国会議員立場から、国民立場を考慮して、真劍に議員提出法律がつくられたということは、非常に数が少いのでありまして、この厚生委員会における看護婦に関する法律案のごときは、何の利権もなし、また政府から頼まれたどころか、政府自体あまり好んでおらない。しかしながら国会議員として、国民の医療の実情にかんがみて必要だと信じた、非常に熱心な委員方々によつてせつかくつくり上げたものでありまするので、私はこの法律案は、何が何でも通して行きたい、それが国会の権威だ、こう信じておりますので、蛇足を加えまして、以上の二点を必ずお聞き入れくださるようにお願いいたします。
  7. 平澤長吉

    平澤政府委員 ただいま金子委員からの仰せでございますが、先般来長きにわたつて委員諸君が、看護婦の問題について愼重審議せられておりますことを私ども承りまして、ひそかに敬意を表しておつた次第であります。もとより公式には、いまだ委員諸君成案を得ましたことを私は伺つておりませんけれども、内部においては、それぞれ御苦心のほど、また目途とせられるところを承つておるのであります。  第一点の三月中に通過せられたいという御希望についてですけれども議員諸君提出せられるものに対して協力をせよということについては、もとよりのことでありまするから、私どもその意を体することにいたします。  次に第二点でありまするところの試験申込み期日を延ばすことについては、事務上の関係も幾らかはあると思いますので、私はこの席ではつきりお引受申し上げるということは、まだいたしかねますから、おつて調査いたしまして、御希望に沿い得るようにいたしたいと思います。以上お答えいたします。
  8. 松谷天光光

    松谷委員 関連して……。ただいまの金子委員の御発言くださいました点につきましては、これはもう私ども双手をあげてその通り賛成させていただき、そしてまた重ねて、次官から今御努力くださる旨を承りましたが、なおその筋への交渉その他についても、次官初め当局の方々の、よりよき協力お願いしてやまないものでございます。  また委員長へのお願いでございますが、今次官の方のお答えを承りましたが、やはり委員会運営その他は委員長にかかつておると私は思いますので、委員長もぜひひとつ——法制局の方の見通しを伺いますと、十七日には法制化せられるというようなこともうわさに伺つておりますので、ぜひひとつできるだけ早急に、それを委員会に取上げていただいて、今金子委員の御発言通り、三月中に、休会前に何とかこれがまとまるように、委員長に特別の御努力を賜わりたい。これは委員長お願いし、同時に委員長のお考えを承つておきたいと思います。
  9. 松永佛骨

    松永委員長 ただいまの松谷委員の御発言、ごもつともだと思います。本案については長い間研鑚を重ねて、ようやく得られた成案であり、またこの成案が得られたということがどこから漏れましたか、全国看護婦会その他から感謝の電報等も多数参つておる次第でありますから、この全国看護婦さんたちをぬか喜びをさすということはしないように、できるだけすみやかに成立を見るように努力いたします。     —————————————
  10. 松永佛骨

    松永委員長 次に国立光明寮設置法の一部を改正する法律案議題とし、審査に入ります。まず政府より趣旨説明を聴取することといたします。
  11. 平澤長吉

    平澤政府委員 ただいま議題となりました、国立光明寮設置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由説明いたします。  昭和二十四年十二月に公布されました身体障害者福祉法は、昨年四月一日より施行されまして、爾来身体障害者福祉の施策はこれによつて着々と進められつつあります。これよりさき失明者保護更生をはかるために、昭和二十三年七月国立光明寮設置法が公布施行され、東京、塩原の二箇所に失明者更生施設設置されました。現在までに両施設から合せて二百十九名がすでに卒業し、それぞれ社会に復帰、更生して第一線に活躍しております。また今春卒業予定者も八十九名に上つておるのであります。しかしながらこの両施設収容定員は、合せてわずかに百名にすぎず、現在入寮希望者は約二千名を数え、年ごとに増加の傾向を辿つているのでありまして、現在これらの切なる要望にこたえるため、両施設とも非常に無理をして、定員以上の人員を収容いたしておるのでありますが、なおその大部分の要求を満たし得ない状況にあります。このように多数の失明者更生指導につきましては、現在の能力でははなはだしく不十分でありまして、ぜひともその施設の増収が必要となつておるのであります。  なお従来の国立施設は、ともに東日本に偏在しておりまして、かねてより関西方面にこれが設置を強く要望されて参つた次第もありまして、さきに御承認を得ました昭和二十五年度予算額をもつて、新たに神戸市に失明者更生施設を増設することとなり、目下これが建築を進めており、明年度よりこれを開設することを得る運びと相なつておるのでありまして、そのために本改正を喫すことが必要になつたのであります。本改正によりまして、身体障害者福祉法運営が著しく促進され、失明者福祉につきましても、一層増進を期し得られることと確信いたす次第であります。  何とぞよろしく御審議の上、すみやかに可決せられるよう希望いたします。
  12. 松永佛骨

    松永委員長 次に日程を追加いたしまして、新たに本委員会に付託されました社会福祉事業法案議題として、審査に入ります。まず政府より趣旨説明を聴取いたしたいと存じます。
  13. 平澤長吉

    平澤政府委員 社会福祉事業法案提出理由について説明申し上げます。  現下の社会情勢により、社会福祉事業は、公的扶助制度確立とその専門技術化の促進が強く要望せられ、さき生活保護法全文改正及び社会福祉主事設置に関する法律が制定せられたわけであります。しかも約二百億円の経費を要する公的扶助その他兒童及び身体障害者等福祉に関する行政は、今やその一層の強化を要請されつつありまするし、その運営合理化能率的組織の整備がますます要求せられているのであります。他方民間社会福祉事業分野においても、刷新拡充の必要が痛感されていることは、御承知通りであります。一方社会保障制度審議会からの勧告のうちにも、社会福祉事業を能率的、科学的に運営する民生安定所設置がうたわれ、特別法人制度確立により、民間社会事業自立性を与え、公共性を高めることが述べられております。  ここに、昭和十三年に制定せられた、社会事業法を廃止して、新しい社会福祉事業の全分野における共通的基本事項を定め、生活保護法等既存立法と相まつて社会福祉事業が公明かつ適正に行われることを確保し、もつて社会福祉増進に貢献したいと存ずるのであります。これが本法案提出した理由であります。  以下本法案内容について、その要点を概略説明申し上げます。  第一に社会福祉事業をわけて第一種事業及び第二種事業とし、そのおのおのについて、その事業内容を具体的に定義いたしております。なお更生緊急保護法に基く事業及び一定基準に達しないものは、この法の対象から除いてあります。  第二に、社会福祉事業経営主体規定でありますが、第一種事業は、国、地方公共団体または社会福祉法人経営することを原則といたしましたが、宗教法人その他個人であつても、許可を受ければ経営することができる道を開いてあります。  第三に、事業経営準則を定め、国、地方公共団体社会福祉法人その他社会福祉事業経営するもののそれぞれの責任を明確ならしめ、公私関係確立する準則を定めたわけであります。  第四に、中央に社会福祉事業に関する重要事項を調査審議するため、社会福祉審議会を設けることがあります。  第五に、福祉に関する事務所規定を設け、都道府県及び市は、福祉に関する地区を定め、その地区ごと生活保護法児童福祉法及び身体障害者福祉法に定める援護、育成または更生措置に関する事務をつかさどるものとするものであります。地方行政調査委員会議勧告を尊重して、町村及び一部事務組合も、福祉に関する事務所設置することができるようにされております。  第六に、社会福祉主事に関する規定を設け、社会福祉主事設置に関する法律を吸収いたしました。  第七に、指導監督及び訓練の規定を設け、行政効果的遂行を企図いたしました。  第八に、社会福祉法人制度創設し、その組織及び運営について一定基準を定め、災害時における緊急復旧に際しては、公の支配に属する社会福祉法人に対しては、補助の道を講じ得るよう規定してあります。  第九に、社会福祉事業経営寄付金募集規定を設けて、これが適正に行われるようにいたしました。  第十に、共同募金及び社会福祉協議会組織及び運営について規定し、共同募金会と、その区域内の公私社会福祉事業関係者協力による社会福祉協議会との密接な連絡によりまして、社会福祉事業組織的活動をはかることといたしました。  第十一に、従来の各種の課税除外に加えて、新たに登録税課税除外規定を設けようとするものであります。  以上法案要点について御説明申し上げましたが、何とぞ愼重御審議の上、すみやかに可決あらんことを希望いたす次第であります。
  14. 松永佛骨

    松永委員長 次に、ただいま説明を聴取いたしました両案についての質疑を、通告順に許します。金子委員
  15. 金子與重郎

    金子委員 この法案につきましては、まだ詳細に勉強する機会が与えられておりませんので。こまかい条文事柄は、後ほどよく研究いたしましてがら質問いたしたいと思いますが、次口がいらつしやいますので、この社会福祉事業法案の重点の幾つかにつきまして、この法案考え方という総括的ばことでお伺いしたいのであります。  まず第一に、前国会におきまして福祉司を置くということがきまりましたが、この法案を見ますと、この福祉司がややもするとますます官僚的な形になつて行くように、法案全体として感じられるのでありますが、これは非常に重要な問題でありまして、かつて民生委員というものが主体をなしておつた生活保護法運用等におきまして、とかくの弊害が一面あつたということも認めまするが、しかしながら今度は民生委員のようなものが、民間の方の、生活保護法その他この社会福祉事業を受ける側の方に立つておる。それから官の立場におる福祉司のようなものが、官制ががつちりいたして参りまして、これは施す側の方へまわるというような方向へ、この法案が参ると思うのでありますが、そういうことになつて参りますと、どうしても国費を濫費するというような傾向が出て来るのではないかということを、私は憂えるのであります。と申しますのは、私ども福祉事業施設を、国会の名におきまして視察、調査いたしましたときにも、いつも感じたことは、国家福祉事業の恩典に浴されておる方々が非常に不満を持つておる。しかもその福祉事業内容を見ますると、なるほど常人に比べては不満はもつともであるが、しかしながらその福祉事業の恩沢に浴していないほかの社会には、もつともつと悲惨な社会がたくさんあるにもかかわらず、その中に入つておる人たちに常に不平と不満が多い、そういう感覚が、養老院におきましても、あるいはいろいろなところにおきましても、非常に強く出ておるのであります。従つてこれを民生委員が、おれの村でもあれを出せ、おれの町内でもあれを出せというような要求が強くなつて来る。一方ではそれに対して役人であるがゆえに、一つの規格に当てはめて、これはだめだ、これはいいというふうな形になりますと、この事業の運行上非常にまずい結果が来る、こういうふうな感覚が私は出るのであります。これはどうしてそういうふうな質問を申し上げるかと申しますと、憲法条文によりまして、国民最低生活保障するというようなことをいつておりますけれども日本のようにこんな貧乏な国でそういうことをいつても、これはそう考えたいという程度でありまして、実行上経済的に不可能ではないか。従つてこうした社会福祉事業にいたしましても、あるいは社会保障の今般的な問題について、たとえば今の憲法保障の問題にいたしましても、まだまだそれらの運用の上には、隣保共存、それと同時にお互いが隣り合つて戒め合つても行く隣保共戒、こういうふうな機構の中に国民を訓練して行かなかつたならば、病気になつたけれどもなおさないのは国家が悪いのだ、おれは食えないけれども、食わせないのは国家が悪いのだ、こういう形に行くならば、とうてい日本社会保障制度というものは発展して行かない。何でも年をとつた養老院へ入ればいい、そして入つてみたら待遇が悪い、こういう形に行くならば、この事業の将来というものは非常に恐ろしく考えられる。従つてつて民生委員のやり方に対しては、一面に欠陥もあるけれども、やはり実情に通じた人たちがそれに参画し、しかもその経費の一部分は市町村もまかなつて行くことになりますと、そこに正しい意味の再吟味も自然に行われて行くということが、私は非常に健全な発達をするのに役立つんじやないかと思うのであります。これは私の申し上げたことがはつきりと意思が通じたかどうかわかりませんが、私はこの法案を見ましてますます官僚的な方向へ入つて行くようなにおいがするということを考えるのでありますが、それに対してそうでないのか、あるいはやはり自然そういう方向へ行くことになるのか、その点の見解をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  16. 平澤長吉

    平澤政府委員 ただいまのお尋ねはまことに私共鳴いたします。隣保共助ということはぜひともなくてならないことであつて、いかなる場合も隣保共助で行きたいと私も思うのでありますが、半面また現在の社会情勢から行きまして、たとえば生活保護の面の場合でも、児童の問題でも、その他身体障害者の問題におきましても、これを効果あらしめて、しかもそのねらいをすみやかに効果的ならしめるためには、やはりその道の専門技術化という方向をもあわせて進んで行くことは、一向さしつかえないことじやないかと、かように思つておるのであります。もとより携わる人は制度もとにおけるところの専門技術に携わつておる人でありますけれども、基盤となるものはやはりそれらの人々の心構え、仰せられるごとく隣保共助精神からそれらの事柄が生れて参るということに御解釈を願いまして、御了解を願いたいと、かように存ずる次第であります。
  17. 金子與重郎

    金子委員 この問題は質問自体が具体的な問題でありません。ただ法案を概括的に見ました考え方であつて、もちろん現在の段階において隣保共助によつてこの社会福祉事業が遂行されるというのではなくて、この社会福祉なり社会保障という仕事は、まだまだお互い隣同士人たち隣保共助して行くという社会連帯感覚なり考え方制度の上に上手に組み合せて行かなければ、貧乏であるがゆえに国家要求する、足がなくなつたがゆえに国家要求するといつて一々国家要求されたんでは、日本のような国ではこういう事業は健全に発達しないというのが私の見解でありますので、その点を特に申し上げた次第であります。  なお次にそれに関連いたしましたことで局長にお伺いいたしますが、市町村が社会福祉事業に対する一部の負担をするのだと思つておりますが、そうした場合に、その村の委員がこの人を収容するかしないかということをきめるような立場に幾分発言権があるならば、あの人は、形はこうであるけれども、実質的に生活はこうであるというようなことを承知しておりますが、それを社会福祉施設の方へまわしましたときは、一つの箇条書に当てはめて、相当いい人も入る可能性がある、まずい人も入れないというふうな結果が、えて無機的に見解をとりますと起りやすいのでありますが、その点市町村に置いてもよろしいし置かなくてもよろしいというような今度の制度考え方はどこから出ておるのか伺いたい。
  18. 松永佛骨

    松永委員長 時間がないそうでありますから、堤さんの政務次官に対する質疑を許します。
  19. 堤ツルヨ

    ○堤委員 ちよつと政務次官にお尋ねいたします。ただいまの国立光明寮設置法の一部を改正する法律案の御説明で、次官は昨年四月一日から実施されておりますところの身体障害者福祉法がこれでさらに強化拡充されたかのごとき御説明があつたのでありますが、私から言わせますならば、地方に行つて身体障害者のいろいろな声を聞きますと、身体障害者は、なるほどこしらえてもらつた方が、ないよりはましであるけれども、むしろわれわれの立場から言えば、手帳を交付してもらうに対して写真代を使つただけぐらいが落ちであつて、実際のところ大してありがたくないという声を聞くのであります。これは他の委員も地方にまわられて身体障害者の声を聞いておられると思うのでありますが、この予算的裏づけのない身体障害者福祉法にはなお幾多の欠陷がございまして、たとえば私の紹介でこのたびの国会に請願を出しておりますが、運輸省との関係のある乗車運賃の問題にいたしましても、一人付添がついておれば、失明者半額、付添半額ということになつて、結局一人前の汽車賃をとるということになつております。そういたしますと、結局のところ、この障害者に対して汽車賃を割引いたことにはなりません。と申しますのは、盲の方は一人で、汽車に乗れないことははつきりいたしておるのでありますから、汽車賃を負けるならば二人ながら引いてやらなければ盲一人分引いたことにならないのであります。こういうことがはつきりしておりますから、私たちはこの身体障害者福祉法審議いたします場合に、運輸省に何とかということで迫つたのでありますが、これが予算的な関係でそのまま受入れられず、今日通過いたしまして失明者からそういう怨嗟の声が出ておるということは事実でございます。政務次官はお急ぎのようでありますから私は例を一つつただけでございますが、たとえば課税の問題などにいたしましても、一体身体障害者福祉法によつて救おうとしておるのか、また一人前に扱つて、まともな人たち並に税金をとつて保護を加えない建前をとつておるのかわからないような矛盾したものがたくさんあるのであります。この上にかてて加えて国家施設に対する昨年度の予算は微々たるもので、今度神戸に失明者の厚生施設一つつくられたといたしましても、北は北海道から九州までの問題を考えますと、ただいまの次官の御説明のような認識を持つておられたのでは、私は身体障害者福祉手帳をもらつた人人に対してまことに相済まぬと思うのでありますが、この点政務次官はどういうふうにお考えになつておりますか、ちよつとお伺いいたします。
  20. 平澤長吉

    平澤政府委員 私は堤委員の御意見とまつたく同様でございます。この法律もでき、御協賛も得て実施いたしておるのでございまするから、一例を申し上げますと、このたびの光明寮のごときも、塩原と東京にありますことは御承知通りでありますが、神戸にできましても、それで決して満足するものではございません。さらに地域的に、できるならば各方面に——ただいまのところでは二千人くらいの人の要望があるのでございますが、九州とか中国、北海道等、さらに本年度は、率直に申しますと宮城県等につきましても考えをいたしておつたような次第でございます。従つてどもは決して法の趣旨から申しましても、また心構え等からいたしましても、常人と同様に取扱うなどという考えは毛頭持つておりません。各委員の御協力を得まして、政府自身といたしましては、どうしても一歩ずつ解決して参りたいという考えでございますので、心構えを今お尋ねを受けましたのですが、これを実施化して参りたい。その一歩として神戸の光明寮を設けたような次第でございますので、御了承願いたいと思います。
  21. 堤ツルヨ

    ○堤委員 そうでございますと、昭和二十六年度の厚生省予算を請求されるにあたりまして、実際はこれで終りましたけれども、どれだけ要求されたかはつきりしておると思うのでありますが、もし攻務次官より今年の御努力の数字的な説明が伺えましたらけつこうだと思います。
  22. 平澤長吉

    平澤政府委員 幸い社会局長が出て参つておりますから、この光明寮に関すること、失明者に関することをいろいろ説明いたさせます。
  23. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 社会局といたしましては、光明寮につきましてもさらにもう一箇所分、一応要求いたしました。それから身体障害者更生補導所等につきましても、さらに大きな要求をいたしておつたのであります。またさらに各所の施設運営経費といつたような点につきましても、ある程度のものを要求いたしておつたのであります。しかし現在の財政の状態からして、一応今回この国会提案になつておりまする予算のような内容というものに相なつたわけであります。しかしながら去年の金額と比べますれば、表面に現われておりますものだけから見ましても、相当な増額になつておるのでありまして、これにつきましてはきわめてまだ不十分で遺憾であるとは存じますが、一応財政方面の制約によりまして、今般提案になりましたような状況に相なつておるような次第でございます。それから計画といたしましては、これに必要なる職員の問題等の関係もございますので、逐次拡充いたすようにいたしたいと考えております。何分にいたしましても、こういうような施設が長い間空白の状態にあつたために、これに働きます適当な職員の養成という点も考えなければならぬ面もありますので、一挙に理想を達成するということはなかなか困難でございますので、われわれといたしましては、できるだけすみやかに必要な状態に達するようにいたしたい、こういうふうに考えております。  それからなお税の問題につきましては、身体障害者福祉手帳を交付せられております者の中で、きわめて軽微な身体障害者の者も若干入つております。その者を除きまして、他の者につきましては、大体全面的に免税点の引上げと申しますか、これをいたすように財務当局と今折衝いたしておりますので、大体御了解を得るに近い状態になつております。これにつきましては、近く適当な処置を加えられるのではないかと考えております。  また鉄道の旅客運賃の割引の問題にいたしましても、運輸省の事務当局におかれましては、相当な熱意を示しております。これにつきましても、そのうちに何とか解決のつく時期が来るのではないかというふうに期待いたしまして、いろいろと努力いたしておるような次第でございます。
  24. 堤ツルヨ

    ○堤委員 ただいまの御説明のように、どうかひとつたちのこの希望を今後政務次官におきましても十分了とせられまして、この福祉行政を全うされたいと思うのであります。  なお私は地方に参りまして、身体障害者のいろいろな声を聞きますが、もう一つお願いいたしておきたいことは、身体障害者の働き得る人たちの就職の問題であります。これは健康な人たちにはばまれまして、国の援助のないのと相まちまして、非常に今失業者の中に多くあるということ、これは痛切な声でございますので、この点も特に局長などにおかれまして、よく御相談になりまして、また労働省の職業安定所などとも提携されまして善処されたいということをお願いいたしておきます。
  25. 松永佛骨

    松永委員長 苅田委員
  26. 苅田アサノ

    ○苅田委員 最初一、二局長の方からお聞きしたいと思うのでございますけれども全国失明者の総数はどれくらいでございますか。
  27. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 お手元に差上げた資料に載つておりますように、全盲が十万六千二百七十九、それから強い弱視、これは大体盲と同じに考えておりますが、これが六万三十九、これは昭和二十五年三月三十一日現在の推計でございます。
  28. 苅田アサノ

    ○苅田委員 そういたしますと、全盲とごく強い障害者だけでも十七万近い者があるわけでございますが、この中から約百名の入寮の希望者をとるというわけでございますが、どういう方法希望者のあるなしを調べておいでになりますか、それも伺つておきたいと思います。
  29. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 各府県に対しまして、現在ありまする施設の状況を述べまして、そしてこれに対して入寮の希望というものを出すようにということを言つておりまして、これが全国各府県の県庁並びに県の下にありまする地方事務所、それから民生委員、また身体障害者福祉司、こういつた者を通じまして、これらの人々に十分徹底するように努めております。御承知通り身体障害者福祉司は、最近全国的に置かれるようになりまして、その任命も大体最近終りつつある。従いまして趣旨が次第に徹底しつつあるという証拠にはだんだんこの入寮の希望が年年ふえて参つておるのでありますので、これはこの趣旨が徹底しておるのではないかと考えております。従つてわれわれといたしましては、そういう組織を十分使いまして徹底するようにいたしたいと考えております。
  30. 苅田アサノ

    ○苅田委員 次にお尋ねいたしたいと思いますが、大体趣旨が徹底しているということなのでございますが、現在でも約二千名の希望者があるということでございます。この中から大体百人ぐらいの人たちがこの中に入るわけでありますが、その選択の標準はどういうところで御選択になるのですか。
  31. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 選考の順序といたしましては、申込者の中から実際に今光明寮で職業補導いたしておりまする補導に適するものを選ばなければならぬと思うのであります。人によりましては、必ずしも現在やつております補導の種目だけでは満足しない人もございますし、また現在の光明寮自身の能力もございますので、まずそれに適応する者、しかも現在のその生活の状態から見まして必要とする程度の高い者、これから順次にとつて行くというふうな方法をとつております。
  32. 苅田アサノ

    ○苅田委員 その選択はどちらがなさるのですか。
  33. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 これは寮の方でもつて出て来ました申請並びにこれについての地方からの副申というものを参考にいたしまして選考いたしております。
  34. 苅田アサノ

    ○苅田委員 よくお答えがわからなかつたのでありますけれども、申請したものについて、だれがやるのですか。
  35. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 光明寮でやつております。つまり寮に寮長と教務課長がおりまして、本人の事情その他いろいろの条件がございますから、それを聞いて審査いたしております。
  36. 苅田アサノ

    ○苅田委員 その選択が適当かどうかということですが、これはやはりいろいろな縁故とか、情実なんかによつて選択が行われるということは、ほかの事業にありがちなのでありますが、そういうことが適当に行われておるかどうかということにつきましては、どういうところで監督しておいでになるのですか。
  37. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 その監督は厚生省の社会局の更生課でいたしております。従いまして適当でないような措置をとつております実際の例がございましたならば、その場合には必要な措置をとるようにいたしております。
  38. 苅田アサノ

    ○苅田委員 入寮者につきまして、生活の保障は全面的に与えられておりますか。
  39. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 入寮者の中で、自分で生活費を出せるという人には本人から生活費を出してもらつております。あるいはその扶養義務者の方から出せる人には出してもらつております。生活保護法に該当いたしておりますような方につきましては、保護法でもつてその経費をこちらでとつて、支給するようにしております。
  40. 苅田アサノ

    ○苅田委員 既存の二つの光明寮におきまして、現在何%ぐらいが生活保護法の適用を受けておりますか。
  41. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 相当の比率になつておると私は記憶しておりますけれども、はつきりしたことを覚えておりませんから、いずれ別に調査いたしました上でお答えいたします。
  42. 苅田アサノ

    ○苅田委員 ここでは入寮者の中の相当部分の人たち生活保護法の適用を受けているということでございますが、生活保護の一般の基準によつて、もし与えられるといたしますと、ほかのたとえば身体障害者施設において行われおつたと同じようないろいろの事件が起きて来ているのではないかと私は思うのです。これは他の病院でありますとか、あるいは他の施設に入つている人たちが、現在の生活保護法基準だけではどうしても生活できないというので、中には病院の中からでも町に出まして、街頭募金をやりましたり、あるいは手内職——盲の人は手内職できないでしようけれども、他の障害の人なんかそういう内職を施設の中でしなければ、とうてい現在の生活保護だけではやつて行かれないという実情だと思うのでありますけれども、光明寮の中からそういう街頭募金なんかに出ているという実情についても、御承知でしようかどうですか。
  43. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 われわれの承知いたしております範囲では、光明寮から街頭募金に出ているということを聞いておりません。なお光明寮におきましては、人体毎日授業をやつておりますから、街頭に募金に出るような時間がございません。大体そこでもつていろいろ点字を覚えるとか、主としてあんま、はり、きゆうをやつておるのでございますが、そういう方面の技術を覚えるとか、実習等もやつておりますので、おそらく現在ではそういうことはないと思います。  それから光明寮の中に入つております者の生活保護の保護費の基準といたしましては、特別の基準を設定いたしましてその基準でもつて独立に与えるようにいたしております。経費がありますれば一応その中で生活できるというようにいたしております。もちろん御承知通り生活保護法のことでございますから、内容が十分でございませんし、また各地方から全部本人のところへもつて来るわけでありますから、なかなかこれが町村の方から支給がうまく行かないといつたような点もございまして、われわれといたしましては、実際の取扱いはそうしない方がいい、むしろ光明寮といたしまして予算を持つてつて生活援助させるという方法をとる方がいいのではないか、もし必要があるならば、必要な入寮費をとるといつたような形にして、そこで収入と支出が予算の上で出て来るといつたような形にする方が、いいのではないかと考えておりますが、現在のところまだそこまで達成いたしておりません。われわれといたしましてはできるだけ、そういうふうに予算を組むようにいたしたいと思つて、毎回努力いたしておりますけれども、なかなかやはりそういうことにならないのであります。こちらの力の足りない点を非常に残念に思つております。
  44. 苅田アサノ

    ○苅田委員 私、光明寮の収容者のことだけでなくて一般の身体障害者の事情につきまして、次官にお聞きいたしたいと思うのでございますけれども、ただいま局長の方は、ただ光明寮から街頭募金に出ている者はないように聞いているというお答えであつたのでありますが、私ども一昨年でしたか、東京の光明寮を視察いたしました。中は非常に整頓されて、一応いろいろ設備もできておるということを見て参つたのでありますけれども、後になりまして入寮者の方から伝え聞きますと、やはり非常に平生と違つたような状態を私ども見て来たということであります。光明寮の中からもそういつた募金にも出ておる者もあり、そのほかの施設からも街頭募金に出ている者がある、もちろん他の施設からはしよつちゆうなんですが、承知しておるわけです。しかも街頭募金の問題は、昨年の暮れあたりから次官も直接に立会いになりまして、御心配になつていただいたことも聞いておるわけであります。実際都条例なんかで募金は禁止されておる、街頭に立つておれば巡査あたり、あるいは汽車の中なら公安官でしようが、直接参りまして、募金の妨害、あるいは禁止もやる。特に最近ではそういう白衣で立つてもらつたのでは、一般の人たちが戰争をいやがる状態も来るのだから、そんなことしてもらつては困るということまで言つて、苛酷に追い立てるというやり方でいるように聞いておるわけであります。その人々の訴えは、決して自分たちは街頭に立つて物ごいをするのが本意じやないけれども、もしもそういうふうにして募金を禁止するなら、募金をしなくても生活ができるような方法をやつてもらいたい、それは職業を周旋してもらつてもいいし、あるいはいろいろな補助金を増加してもらう、たとえば身体障害者福祉法なんか出ておりましても、それにはさまつた補助の規定はほとんどないわけでありますから、そういう意味で、何らか生活を立ち行くようにしてもらえば、募金は自分たちの本意でないから、いつでもやめるのだということを言つておりまして、この問題がまだ解決しておらないように聞いておるわけでありますけれども、諸般の事情につきましてよく御承知でもあり、また大臣にこの問題をあつせんしていただきました次官といたしまして、この問題についてはどういうお考えを持つておいでになり、またこれがどういうふうに解決をお進めいただくつもりであるかということをこの機会にお伺いしたいと思うのであります。
  45. 平澤長吉

    平澤政府委員 お尋ねでございますが、この事柄は單に政府はもちろんでありますけれども、一般国民諸君が非常に関心を持つております、のみならず関心と申しますよりもこのままでははなはだいかぬじやないかということは、ひとしく考えておることだと思います。政府が特別な意図のもとに、何か別途のことをしているというようなことでなしに、国民全体がそうした姿をそのままにしておくわけにも参るまいということが、一般的な御意見だと思います。そこで政府としますればその輿論に聞くというよりも、政府自体の責任において、これをひとつ解決して参りたい、もとより今のお話にもありまする通り、光明寮等についても、社会局長が先ほど申されましたが、あるいは特定の例といたしまして、いわゆる外に出てアルバイトというようなことをする人もないとも限らぬのでありまするが、その他の諸君が問題だろうと思いますが、光明寮に入つておられます方々は、相当程度の、生活保護法による費用、あるいは自分の費用でやつておりますし、二年ないし三年の修業をいたしますので、一つ希望を持つて寮へ入つておる者でありますから、この面はよほどよかろうと私は思つておりますが、かえつてそれらの人以外の人の立場を、そのままにしておくわけにも参らないという実情でないかと私は推察いたすのであります。従つて身体障害者福祉法ができまする基本的な事情にかんがみましても、——私は身体障害者福祉法ができたということは一進歩だと思つております。ただこれをいかにして予算措置を講じまして、当初立法をいたしました趣旨を具現化して行くかということが、今の段階であろうかと思いまするが、末端におけるところのたとえば税の問題でございますとか、あるいは汽車賃の問題だとか、そういうようなことももちろん大事なことでありますけれども、やはりこれはただいまのいろいろな社会情勢から見まして、基本的な問題としては、どうしても重要度をもう少し各方面から——国民各位もその通りでありますが、認識してもらいまして、その想定のもとに、いろいろな予算をとつて参らねばならぬ、かように思つておるのであります。政府としましては、たとえば政府の各省間の関連している方面に対しては、重要度の認識というものが、まず根本であろうということで、担当省でありますところの厚生省は、その面にまず第一に努めておるつもりであります。同時にこれを予算化して参りまするために、先般来いろいろ努力をしておるのでありまするが、何とかして身体障害者の問題、これと関連したところの、この法律ができまする場合におけるところの基本的な面をも、当時の事情にもかんがみまして具体化するために、まだまだ努力して参らねばならない、これで決して私ども満足しておりませんから、解決して行くように努めたいと思つておるような次第であります。
  46. 苅田アサノ

    ○苅田委員 どういう御趣旨を持たれたかということは、それで身体障害者福祉法の実施についての一般的なお考えはよくわかつたわけなんですが、私がただいま伺いました街頭募金は禁止する方針かどうか。そして現在そういうふうな実質上非常に大きな制限ができておるのに対して、厚生省としてはそういう身体障害者福祉を守るために、この問題にどういう処置をとるかということについては、お答えがいただけなかつたと思うので、この点を御返答願いたいと思うのです。
  47. 平澤長吉

    平澤政府委員 次官というお示しでございまするが、具体的なことでございまするから、ひとつ社会局長から……。
  48. 苅田アサノ

    ○苅田委員 それは具体的でなくて省の方針だと思うんです。それをただ現在そういうふうな制限があるのについて厚生省としては、これが実際都条例なんかで禁止されておるのを、そのままにしておくつもりかどうかということで、これはこまかいことでなくて、大きな方針だと思つておるのですけれども……。
  49. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 私からお答えいたします。都条例で募金を禁止しておりますのは、一般的に募金を禁止いたしております。特に身体障害者に対して禁止をしておるのではない。一般的に街頭募金というものを禁止しておりまして、特に許可を得たものはやむを得ないというふうにいたしておるようであります。これは社会福祉法の面とは全然別個のものであります。われわれといたしましては社会福祉の面以外の面につきまして、地方公共団体が何を出されましても、これに対して干渉する資格はないわけであります。それでは厚生省といたしましては募金についてどう思うか。これについては一般の福祉のための募金でありますならば、これは社会事業のための寄付金の募集でありまするから、その方で処理しなければならぬということになります。これにつきましては、一般の福祉増進のために役に立ちまする募金でございまするならば、これに対して何らの制限をする意思は持つておりません。適当にやらしたいと思つております。ただいま御質問の点はそういう点だろうと思います。そういうふうにお答えいたします。  なお身体障害者の問題につきまして、白衣の募金を区別して考えなければならぬと申し上げねばならぬことは、身体障害者の中で募金をいたしておりますのは、これは元傷痍軍人だけでございます。その他の者が通常募金をいたしておるという例は一切ないのであります。すなわちこの街頭募金の問題は傷痍軍人問題でございまして、これにつきましては、厚生省といたしましては一般の身体障害者と同等の取扱いをするということで現在来ております。これにつきましてはいろいろな条件がございまして、それ以上のことができないというのが現在の実情でございますので、そういうふうにいたしておりますが、ここで問題にしなければならぬと私どもが考えておりますのは、これは身体障害者の中で傷痍軍人の恩給の問題であると思つております。これにつきましては、もちろん現在も、先ほど提案になりました厚生年金の増額というようなものと関連いたしまして、恩給の増額を当然考え、恩給でもつて一応生活ができるような態勢をつくらなければ、この問題は解決しないのじやないかというふうに考えるわけであります。その方面につきましては厚生省の所管ではなくて恩給局の所管でございまして、そちらの方で御検討になつておるはずだと思います。
  50. 苅田アサノ

    ○苅田委員 私やはり身体障害者福祉法というものを厚生省が出したならば、この条項はほかの所管だから、それに対して何とも言えないというような無責任な形でなくて、身体障害者の生活を守るという立場から、はつきり責任を持つた行政をやつていただきたいと思うのです。たとえばさつきの募金の禁止にいたしましても、これは厚生省の管轄でないから、その点はどうもいたし方がないといつても、片方ではその募金ができないということが、直接生き死にの問題になつておるような一部の身体障害者、これはおつしやるように傷痍軍人だと思うのですけれども、そういう者があるわけなんでありまして、そういう人たちの生活の問題が片方で大きく妨害されておるのに、福祉法を出した省の方が、この問題については、どうも自分の管轄でないのだといつたようなことを言われておることは、私はやはりほんとうに障害者の福祉ということを考えられておる行政官庁のやり方ではないと思うわけで、そうであるならば、むしろ厚生省の方からあつせんなり何とかの方法なりに乗り出すようなことをしてこそ、初めてこの法律精神が生きると思うのですけれども、そういう点について、厚生省としてはお考えが違つて、やはり自分の省の間のことだけをやつておればよろしいのだというふうにお考えですかどうですか。
  51. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 生き死にの問題と今お話があつたのでありますが、生き死にの問題になる場合には、必ず生活保護法でもつて保護いたしております。これにつきましては生き死にの問題ではないの査あります。私の考えまするところでは、生き死にの問題というよりは、むしろ傷痍軍人というものの取扱いの問題であるというふうに考えております。先ほど申しました通りに、生き死にの問題でありまするならば、一般の身体障害者、傷痍軍人以外の場合でも同様であろうと思います。これはそうではなしに戰争のために、身体障害した者に対して、一般の生活保護だけでいいかどうかという点が問題なのでありまして、その点につきましては、ただいま申し上げました通りに、恩給法でもつて解決しなければならぬ問題であるというように考えまして、その点につきまして、私の方はほつておいてもいいというつもりではございません。そちらの法律というものがあるのでございますから、その法律の方を適正にするように、われわれといたしましては、関係方面に申しております。努力はいたしております。そういう状態にあるということを御了解願いたいと思います。
  52. 苅田アサノ

    ○苅田委員 それではお聞きいたしますけれども、寒い寒空の中で街頭に一日立つておるのと、生活保護を受けて家でじつとしているのと、どつちが楽だ。もしも選ぶとすれば、普通の常識を持つた者であれば、私はやはり生活保護を選ぶと思うのです。ところが、それでも、そうでなくて、やはりああいうふうに街頭に立つておるというのは、これは物好きだというふうにあなたはお考えになるのでしようか。
  53. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 私は物好きだと申したわけではないのでございまして、先ほど申し上げました通りに、もし生き死にの問題であつて、生活だけの問題でありますならば、それは生活保護法でやり得るわけでございます。そしてまたやつておるわけでございます。これは一般にその他の身体障害者につきましては、そういう方法でもつてつておるのでありまして、ただ傷痍軍人の問題につきましては、それでは解決のつかぬ面がある。これはどうしても恩給の問題で解決しなければならぬじやないか。これにつきましては現在の恩給額はきわめて低額である。これについては是正をする必要があるのじやないかというふうに私ども考えておりまして、そういう面につきまして、その方面の当局に考慮するように内面的に折衝はいたしておるということを申し上げておきます。
  54. 苅田アサノ

    ○苅田委員 もちろん傷痍軍人が国家の要請のために負傷したからだについて、これを養うだけの年金を受けるということは、これは私当然だと思うのです。もしもこれによつて生活が保障されるということができれば、もちろん問題は一番早く解決できると思うのですけれども、現在は御承知のように、兵隊というような階級ならば、月に三百円ですか、二、三百円程度の保障しかできていないので、これではとうてい何の足しにもならない現状なわけです。ですからこれを改正するということは、もちろん傷痍軍人の生活を守るためには根本的な問題ですけれども、それと同時に、それがいろいろな総司令部あたりとの関係もあつて、早急に十分なこれに対する保障が得られないという現状であれば、どうしてもそれにかわつてその人たちのめんどうを見るのが、やはり厚生省がそういう身体障害者福祉法なんかを出した建前だと思うのです。ですからほかで救われなければ、やはりこの法律でなり、あるいは今おつしやつたように生活保護法なり、どの法律でもいいのですが、そういう人たちが、ほんとうに生活が救われるということであれば、私は何も好んで、あの人たちが、そういう世の人たちの反対あるいは冷たい迫害の目を受けながら、ああいう苦しいことをやつている必要は私はないと思う。これはやはり局長にお考えいただかなければならないことは、生活保護法というものは、ほんとうにまあ病人かあるいは年寄りか、せいぜい家の中でごろごろしているくらいのことしかできない人ならば、これで何とかやつて行けても、まだほんとうに人間らしい生活をして、何とかしたいという人たちにとつては、決して生活保護法というふうなものは、十分の保障になつていないと私は言つたと思うのです。ですからこの点については、まあ基準等につきましても、あるいはこれらの適用の点等につきましても、私はまだ問題があると思うのですけれども、さしあたつて、そういうふうなもので解決されない人たちがたくさんあるのだということ、生活保護法あるいは身体障害者福祉法、こういうものだけでは——今の法律だけでは、決してそういうたくさんの人たちの生活が保障されていないのだということを、社会局長が、やはりもつと十分御了解いただかないと、あの街頭募金の問題などについて、積極的に厚生省が何か働くということが出て来ないと私は思うのですが、現在木村局長は、生活保護法身体障害者福祉法があれば、街頭募金なんかはする必要がないのだということを、お考えになつているかどうか、ひとつお考えをお聞きしたいと思います。
  55. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 私は生活保護法身体障害者福祉法があれば、街頭募金なんかはほつておいてよろしいということは、さつきから申しておりません。当然これは恩給法の改正で、恩給を増額すべきものであるということを、さつきから申しております。私は、これはほつておいていいとは、一つも言つたことはありません。生活保護法身体障害者福祉法とは、それぞれの目的がありまして、身体障害者福祉法でもつて、それを救済すべきものではない。身体障害者福祉法につきましては、これは先ほど申し上げましたように、身体障害者の保護、更生——更生の面が非常に重点が置かれておるのであります。その点についての各種の施策をするのが、身体障害者福祉法であります。それから生活保護法につきましては、生活の面はこれで見るということになつております。これはいかなるものでありましても、生活の保護について、生活保護法で見るということになつております。最後は大体ここでもつて救済しなければならないということに、国は責任づけられております。今お話がありましたように、生活保護法基準が低い、これは全般的に低いわけであります。これは御承知通り、現在の日本の段階といたしまして、これ以上のものは出ないというようなことで、こうなつております。われわれといたしましては、これでもつて満足のものとは思つておりません。従つてこれにつきましては、できるだけ増額になるように鋭意努力しておるような次第であります。そういうわけでありまして、これだけでもつて街頭募金の問題は解決できない。ほかに方法を講じなければ絶対解決できないものであると私は確信しております。
  56. 金子與重郎

    金子委員 ただいまの苅田委員と局長のお話につきまして、関連いたしますことを、ちよつと真中で失礼でありますが、質問したいと思います。それは苅田委員のおつしやるのも、ほんとうに私どもうなずけますし、局長は局長の立場からのお話で、これもなかなか私は解決の道はないと思います。そうしますと、この問題は、大体社会情勢が今日こうなりまして、だんだん思想も個人主義になつて、一体国家観念というようなものもだんだんなくなるという傾向を憂えておる人たちが多いのでありますが、それはもう当然のことでありまして、ほんとうに国家のために死ぬという覚悟をした人が、こじきをしなければ食えぬということを目の前に見れば、この次国家のために死のうという人が出て来ないのはあたりまえであります。このことは、今の時局において、りくつは抜きで解決しなければならぬということを私はかたく信じております。でありますから、そういうような見解の問題よりか、現に街に行きますと、ちやんと立つておりますから、あれがほんとにはたして酔狂で立つておるか、あるいは生活保護法で幾らもらつておる、恩給を幾らもらつておる。そうして生活にどれだけかかるかということ、こういうことにつきまして、われわれもやる機会があればやりたいのでありますが、一応厚生省では、調査だとか取締りだとかいう立場でなく、平たい気持で、あの実態をお調べになつて、そうして統計に出して見ると、どこにそのりくつ以外のところがあるか、それともあの人たちが、ああした方が割がいいからやるのだというふうな結果が出るか。それを何らかの方式で、現実の問題を取上げて、この問題を解決するように努力したらどうですか。その点に対する御意見はどうですか。
  57. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 街頭の募金で幾ら金が集まりまして、それがどうなりましたかということは、いろいろ資料を出して、もらうように言つておりますけれども……。
  58. 金子與重郎

    金子委員 私は街頭募金で幾らもうかるかということでなしに、街頭へ立たなければならない理由を、一人々々に、あなた方は幾らもらつておるのだ、恩給を幾らもらつておるのだ、生活保護法によつて幾ら給与を受けておるか、そうして生活費が幾らかかつておるのだ、こういうふうなことを、今ごろはもうとうにこれは調査してなければならぬはずだと思いますが、そういうふうに実態からこの問題を考えてみる気持はないか、こう言うのであります。
  59. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 生活保護法によります生活費をごらん願うとわかるのでありますが、これは、現在きわめて低い。  御承知通りに五人世帯で五千四百五十円ぐらいというのが、現在の生活費であります。それが十分な生活費であるかどうかという点につきましては、私どもといたしましても、これが十分であるということは申されません。特にこれが一般の労働者の平均の生計費というものに比べまして、三七%、約四〇%弱ということになつております。それらの点から見ましても、これがあまりに低いということは、はつきり申し上げられるのであります。それでははたしてこれでは生きて行けないかと申しますれば、これでもつて生活すれば生きて行けないという生計費ではございません。そういうような状況でございます。それで現に街頭に立つておられる方がもらつておるかもらつていないかと申しますと、街頭に立つておる間だけは、そういう行為をする場合には、つまり街頭に立つということになりますると、それを生活費に入れるということになりますれば、それで生計を立ててもらうということになりますので、これに対しては生活保護はしないという建前になつております。従つて現在それを調査いたして見ましても、実際のことはわかつて来ないというのが実情でなかろうか。われわれといたしましては、それではそれ以外の人でもつてそんなもので生活しておる人がおるかと申しますれば、実際にそれだけでもつて生活しておる人も日本にはたくさんおるということは、実際の統計上出ておるわけでございます。そういうようなわけでございまして、ただ傷痍軍人に対する気持といたしましては、先ほど皆様方のお話になりました通りに、われわれはこれはそういうような面でもつて保護すべきものではないのだという気持が非常に強いのでございます。だからやはり一応普通の生活ならば、傷痍軍人に対しましてはそれが生活できるだけのものを出さなければならぬ。これは出すべきものであるというふうに考えまして、その方面でもつてできるだけ解決いたすように努力いたしたいと考えておるわけでございます。
  60. 金子與重郎

    金子委員 りくつを言つているのじやないのだ、ぼくは。
  61. 松永佛骨

    松永委員長 ちよつとお待ちください。松谷委員
  62. 松谷天光光

    松谷委員 私、次官にお尋ねいたしとうございますが、今回神戸に光明寮が増設されるということは、非常に喜ばしいことであり、非常に遅々としてはおるけれども、一歩近づいたということであると思います。私どもたびたび経験いたして参りました注意すべき問題は、先ほど堤委員も一点触れておられましたけれども法律はつくり、そして実施に踏み出しはしたものの、やはりそこに十分な具体的予算的措置というものがなければ、かえつてつて弊害があるような結果さえ出て来ることがなきにもあらずでございます。先ほどから承つておりますと、社会局長の御説明の中でも、厚生当局からの要求予算は、ここに示されておりまする今年度に盛られた数字に出て来ておるものよりももつと多くのものを要求したにもかかわらず、他の振合いその他の予算の内容からいつて、こういうものに打切られたというふうに私どもつたのでございますが、そういたしますと、初め本省が要求された額がどのくらいであつたか。そしてここに決定されたものとの差はどれだけあつたかということを伺わせていただきたいと思います。それによつて、厚生省が当初御要求なつた額をもつて初めて厚生省の理想が達成できる、責任が果せるというお考えの上にもちろん要求なさつたものと考えますが、その予算的措置がそれだけの減少を来した今日、厚生省としてどれだけの責任をこの新しく増築される光明寮に果してお行きになることができるのかどうか、そういう点のお見通しなどを次官から承つておきたいと思います。
  63. 平澤長吉

    平澤政府委員 厚生省の予算についてお話がありましたが、御承知通り当初厚生省だけではなくて、国全体といたしまして政府といたしまして要求いたし、審議いたしました予算の総額が、それぞれの省におきましても全部その要望が財政的措置からいれられたということではないことは、皆さん御承知通りであります。ただそれが厚生省の要求を大蔵省あたりと折衝した結果、どつちの省がよけいいつたとか、どの省は何パーセントであるとかというようなことで御批判等もあるわけでございますが、光明寮のこの問題につきましては、ただいまの神戸のことは収容人員から申しまして、同時に二十五年度の予算で建設をいたしておるのでございまするから、二十六年度の予算はその一部の費用と、二十六年度の経費と申しますか、経営費でございまするから、大体当初私どもが考えた予算と大した違いがないと御了解願いたいと存じます。
  64. 松谷天光光

    松谷委員 そういたしますと、何か先ほどの局長のお話と幾らか食い違いが来るのではないかと私は思うのでございます。あるいは私の聞違いであれば訂正をいたしますが、具体的な数字が局長の方にはわかつておいでになると思いますので、あとで局長から数字をひとつ伺わせていただきたいと思います。  そういたしますと、次官にくどいようですが重ねてお尋ねいたしますが、厚生省が少くともこの光明寮に関しては当初お考えになつただけの計画を推進できる予算は、ここに示されております予算で十分であるというふうにお考えになつておられるのでございましようか。
  65. 平澤長吉

    平澤政府委員 お答えいたします。厚生省といたしましは、先ほど私お答弁申し上げましたように、計画としては他に持つているのでございます。たとえば九州あるいは中国、北海道というようなぐあいに。しかしながら私どもの方のこれらの事業をやつて行きますためには、各方面との間を勘案いたしまして、具体的にできるものから措置して参らなければならぬことは、私から申し上げるまでもございませんが、神戸だけは昨年度二十五年度だけの予算を御協賛いただきまして、現に建設しているのでございますから、これだけはぜひとも完全に遂行できるようにという——十分な予算と申し上げてははなはだ済みませんが、たとえば塩原あるいは東京等がありまして、これらの光明寮は既存の建物でございましたから理想的にはできておらぬのでございます。しかしながら神戸にできます光明寮は、その目的に沿うような新しい建設をいたしまして、十分私どもの企図しておるような建築をいたし、そうして塩原あるいは東京の欠陷のあるところも直して、この程度で間に合うということを研究いたしまして、予算に要求し、大体この程度に相なりまして、皆さんの御協賛を得たい、こういう順序でございます。何とぞさよう御了承願いたいと思います。
  66. 松谷天光光

    松谷委員 次官のお話了承いたしました。なお数字を局長から伺わせていただきたいと思います。
  67. 苅田アサノ

    ○苅田委員 予算に関連して次官に聞きたいのです。それは厚生省予算につきまして大体平衡交付金に関係するものなのですけれども、二十六年度の予算を見ておいたのですが、これによりますと地方財政委員会の査定というものと、それから大蔵省当局の査定というふうなものと比べてみますと、地方財政委員会で当初大体これくらいの予算を割振りしようというふうなものが、大蔵省の予算の決定のときに非常に削られておるわけなんです。その削られております割合が、先ほど次官がちよつとおつしやつたのですけれども、農林省だとか、文部省だとかで削られておる予算はそうはなはだしく削られてはいないのですけれども、厚生省関係の予算は、地方財政委員会で決定したものが、さらに大蔵省の決定では非常に削られているのです。特に今年度は、今問題になつております身体障害者関係の予算が非常にたくさん削られておるというのを私は資料で見ておるわけです。きようはその資料は持つておりませんので、具体的な質問ができませんのですけれども、そういう関係、さらにこれを私ども委員会の方に資料として提出されました平衡交付金の本年度予算から見ますと、さらに大蔵省予算よりももつと削られているのが最終予算として来ている。厚生省の予算がこういうふうに他の省よりも非常に大幅に削られておつて——これは私は他の委員会に出ている人から注意を受けまして、なぜこんなにひどく厚生省予算は削られているかという質問を受けているわけなんですが、こういう折衝に関しまして次官の方ではおそらく何らかの御感想があると思うので、この点につきまして率直にこの委員会の方に御説明を願いたいと思うのです。
  68. 平澤長吉

    平澤政府委員 ただいまお尋ねでございましたが、予算全体のことは御承知通りであります。そのうち私ども見解をもつてすれば、ただいまの御議論は他の省の削られ方の大小ということが中心でございますけれども、私どもは厚生省の担当しておりまするところの行政上の地位について、一昨年あるいは昨年よりも政府並びに議員諸君あるいはまた国民多数の諸君が非常に認識を深うし、かつそれに御援助をいたしてくださる傾向になりつつあると了解しておるのでありまするが、要求いたしましたものから削られた程度はどちらが多いかという御議論になりますれば、これは他省との間に検討を加えて見なければならぬのでありますけれども、少くとも昨年度予算よりも、全体といたしますれば他の省に比べまして増額比率は決して少くなかつた。厚生省の昨年の予算に比べまして多少いろいろな政策の変更等もあるかも存じませんけれども、私ども厚生省を頂かつております者から見ますと、いかにも自讃らしいことを申し上げますけれども、昨年よりは厚生省の予算が増額されております。他との比率において減額せられたる数字は大であるか小であるかということはしばらく別といたしまして、厚生省の予算は、特に今度は結核の法案ども出ますが、それの裏づけをいたしますもの、あるいはまた社会保障制度と申し上げますと、はなはだ大ざつぱで広汎な範囲でありまして、その限界は奈辺にあるかという御議論も出ると思いますが、厚生省の予算は増額の比率が昨年よりも比較的に多いと了解いたしております。もとより私ども当初要求いたしましたものよりも、著しく減額せられたということは仰せられる通りであります。しかしながら厚生省といたしますれば、決して満足はいたしておりませんけれども、他省に比べまして昨年よりは相当増額せられたというふうに了解しておるつもりであります。
  69. 苅田アサノ

    ○苅田委員 私が申しましたのは、厚生省の要求額じやなくて——もちろんそれもあるでしようが、そうじやなくて、問題といたしましたのは、地方財政委員会が査定したものを大蔵省が非常に削つている。これが他の農林関係とか文部関係とかいうようなところに対して、地方財政委員会が査定した額に比べてあまりにはなはだしいので、私は実情をどういうふうにお考えになるかということを申し上げたわけです。ですからこれは厚生省が要求したのじやなくて、地方財政委員会でも当然このくらいは適当であるというふうにして出したものが大蔵省でそういうふうな扱いを受けているということに対して私たちは疑問を持つたわけなのです。
  70. 平澤長吉

    平澤政府委員 私もはなはだ不敏でございますが地方財政委員をしておつたことがございます。今御指摘の地方財政委員会と大蔵省との折衝において、厚生省が要望いたしましたことをそのまま受入れなかつたというようなことの経緯についてはまだ研究いたしておりません。これらの事情が、他と比べましてはたして何らかの見解の相違がありますれば、厚生行政のためにはなはだ遺憾なことでありますから、私ども十分研究してもし不当なることありとせば、是正するにやぶさかではないと思います。
  71. 苅田アサノ

    ○苅田委員 ただいま次官が言われましたように、厚生省の予算が総額としてふえているということ、これはたとえば生活保護一つ考えてみましても、ほかの省で労働者を首切つたのがだんだんこちらへ流れて来るとか、いろいろなことがありまして、当然出さなければならない支出がふえているというわけなのです。それもないよりはふえた方がよいというわけなのでありますけれども、私はやはり予算全体をにらみ合せてみまして、減税だとかなんだとかいうことをやれば、必ずこれのしわ寄せば厚生省関係になつて来ると結局これは生活困窮者でありあるいは病人でありあるいは婦女子という、非常に生活上の弱い立場、保護を要する立場であるところへみんなそういう予算のしわ寄せが来ておるということは、私は現在の国の行政面から考えて、相当これは考えなければならぬ問題だと思うわけなのです。半面におきまして、次官も御承知のように、新しく警察予備隊であるとか、公共事業の名のもとに、いろいろいかがわしい出費もふえておるのですから、そういう点をにらみ合すならば、厚生省の予算というものはもつと大胆な要求がなされているのじやないかと思うので、私はもし次官がその点についてまだ十分な御研究が出ていないのでございましたら、さらに御研究くださいました上で、本委員会ででも御答弁をお願いしたいと思うのです。
  72. 平澤長吉

    平澤政府委員 ただいまの苅田委員からのは、御意見として承つておきます。
  73. 堤ツルヨ

    ○堤委員 議事進行について……。私は政務次官がたいへん先をお急ぎになるとおつしやいましたので、もつともつと御質問申し上げたいことを残しておいて、ただ国立光明寮設置法の件だけに触れたのでありますが、まだ次官が先をお急ぎにならなくて、長くおいでのようでございますが、もしそうでございましたならば——このように苅田委員が長く質問なさるのなら、私ももつとすればよかつたと思つておるのです。この辺少し議事進行についてはつきりしていただかないと、たまに政務次官がおいでになつたときには、私たちは聞きたいこともお願いしたいことも一ぱいあるのです。それを遠慮して抜いておるような始末で、苅田さんが何時間もやられるというのならば、こつちも何時間でもやりたい。ですからその辺はつきりしておいていただきたい。
  74. 松永佛骨

    松永委員長 ただいま堤委員の御意見ですが、さきほどから平澤政務次官は何回も席を立つておられるのです。まだ金子委員松谷委員等順次発言があつたために、無理やりにお引きとめしておつたわけであります。その点御発言は公平にいたしておりますから御承知を願います。あなたの中座中にも幾つかの質問があつたわけです。  それでは続きまして木村社会局長に対する質疑に入ります。金子委員
  75. 金子與重郎

    金子委員 私はああだとかこうだとかりくつを言つているわけではないのです。ちやんと法律はわかつておる、給与額もわかつておる、それなのにどうしてあれが足りないか、一つの例で申し上げますと、かつて私は前厚生委員長と国政調査に出ましたときに、四国の汽車の中でああいうふうな形態をとつております者を前厚生委員長が注意をした、そのときに非常な憤懣の色をもつてつてつたということを思い起しましても、ああいう姿は、りくつを別として、あつていいことはないのです。だから私どもはそういうはずだとか、はずでないということをここでごねることよりも、もう一度下に下つて、その人たちがどうしてああせざるを得なかつたかということを、法律の上からでなく、下の実情からもう少し調べてみたらどうか、そういうお考えはないか、こういうことを尋ねたのです。
  76. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 これには私どもでいろいろ調査いたしましたこともございまするし、一部のものをもつて全部を律するわけには行かないということもございまするので、いろいろな事情もあり、いろいろな経緯もあつて、ああいう状態があつたようでございます。特に先ほどから何べんも申し上げておりますように、この問題につきましては、生活に困るということも一つの事実でありましよう、仕事のないということも事実でありましよう、またいろいろな点もございます。ただ先ほどから申し上げまする通りに、傷痍軍人は国のために働いて来た、それが何ら特別に扱つてもらえない、それに対して何ら特別な手を差延べてくれないという点に対する不満が、非常に大きいということを、私は痛感いたしております。従いまして私といたしましては、各種の施設をいたしまして、実際にあたたかい気持でもつて処理しなければならぬということはよくわかりますが、これよりも先に必要なことは、特別な取扱いをしなければならぬ、それをやらなければ、いかなる方策をやりましても効果が大して出ないということは、事実じやないかというふうに現在では考えております。
  77. 苅田アサノ

    ○苅田委員 そういたしますと、生活保護法を受けるよりももつと納得の行くような、つまり恩給で国がその人の生活を保障するという当然の措置が、局長のお考えでは近いうちに実現される、そういうお見込みをもつての上の御発言だろうと思うのでございますけれども、そうなんでしようか。
  78. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 これは私に尋ねられましてもお答えがいたしかねるのでありまして、私といたしましてはそうするように努力しなければならぬ、特に恩給の点につきましては、私が恩給を上げてやるというわけに行きませんから、これは頼みましてその方面につきましていろいろこつちも盡力いたしましてお話を申し上げるというような段階でございます。ただ現在の段階からいたしますれば、そういうような状態——これは特に傷痍軍人だけではないのであります。たとえば傷痍軍人は手足をなくしたのでございますが、遺族といたしますと、その当座の働き手を失つて完全にゼロになつたという状態のところもるあわけでございます。これらの点を合せまして、国といたしまして相当考えなければならぬ点があるというようなことはあたりまえのことであります。あたりまえのことを実現し得るのはそう遠くないのじやないかというふうに私は考えております。しかしこれは私個人の考えでありまして、そういうふうに私としましては努力いたしますけれども、私はその地位にあるわけではございません。努力いたすという以上にはちよつとお答えいたしかねるわけであります。
  79. 苅田アサノ

    ○苅田委員 それでは結局自分の方じや世話をしないから向うで世話をしてもらいたいというだけの話であるわけです。それではわれわれの率直な質問を聞いてもらつて政府としての責任ある答弁をしていただける人はどの地位の人ですか。ここに吉田総理を呼んで来ればそれは言つてくださるかもしれませんが、一体たれにお聞きしたらいいのですか。
  80. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 これもなかなかむずかしい御質問でありまして、やはりそういうような措置をする根拠になるのは法律でございますから、一番頼りになるのは立法機関である国会ではなかろうかと思います。
  81. 苅田アサノ

    ○苅田委員 議会でこういうふうに質問していても、どうも一向にわれわれの要求していることがいれられそうもないので、それじやわれわれの方でそういう主張を出して、そしてまた議員提出法案でもつくらなければ、傷痍軍人の差追つた問題は解決できないということになる。そうなればまた問題は別なわけです。政府の方でやつてくれないということになれば、それはそういう方法もとるしかしかたがないと考えますが、そうでなくて、これはもう先ほどから金子委員も言つておいでになるように、やはり傷痍軍人の問題はほつておけない大きな問題だと私は思うのです。実際戰争後五年たつた今日、もちろん遺族の問題も大きな問題ですけれども、直接戰争のために、自分の私利私欲でなしに、ああいうふうに不具になつ人たちが、食べて行かれないというような扱いを国から受けているのです。人がいやがるのに、一日寒い吹きさらしの中に立つているのは、これは決してだてや酔狂じやないと思うのです。あなたは生活保護法があるのだから、ああいうことをやつているのは、本人が特別の目的でやつているのだ、あるいはあれは一種の反戰デモでもやつているのだというようにお考えになるのかもしれませんけれども、私は決してそんなものではないと思うのですよ。ですからあれはほかの省でやるのが当然だと言わないで、せつかくここに議員が出した法案ではありますけれども身体障害者福祉法というものがあるのですから、これに当然傷痍軍人も含めて、その範囲でこれを解決するような方法を講ぜられるのが当然だと私は思うのです。ただいまみたいに、恩給法以外に解決の道がないということになれば、これはもう身体障害者福祉法というようなものでは、どうにもならないのだというように私どもは考えなければならないわけです。あなたのさつきからの答弁を聞いておりますと、この身体障害者の問題は、恩給法の改正ができない以上は、厚生省としては、現在のまま、ああいうふうに街頭に立つて募金をすることを、やむを得ないこととして認めるというお考えを持つておいでになるのですか、どうですか、この点だけお聞きしたいと思います。
  82. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 厚生省として何ら打つ手がないということは申しておりません。たびたび申し上げておりまする通りに、生活の問題につきましては、生活保護法は全面的に適用しなければなりませんし、適用するにあたりましては、十分なるケース・ワークをしなければならないことは、これは言うまでもないことであります。ところが実際に百人が百人、千人が千人、一人残らずうまく行くかどうかという点につきましては、これはうまく行かなければならぬものであり、そのためにはいろいろの措置をしなければならないので、これがわれわれが日夜しておるところの仕事であります。それでは全部一人残らずうまく行つているかと言われますと、うまく行つているということを断言申し上げることは、良心が許しませんからできません。身体障害者福祉法なり、あるいは生活保護法なりをそれぞれ全面的に適用いたしましてうまくやりましても、傷痍軍人の問題は解決しないのだ、傷痍軍人の問題を解決するには、それだけではだめなんだということを申し上げたのでありまして、傷痍軍人の問題は、身体障害者福祉法でもつてある程度解決がつくというふうに考えますが、ただこれだけでは解決がつかないということを申し上げておるのであります。私どもといたしましては、身体障害者福祉法なり、生活保護法なりは、今の傷痍軍人には全然関係がないのだというのではありません。それは関係があるのでありますが、それを全面的にやりましても、今申したような状況でございますから、それではまだ解決しない点があるわけでございます。その点については、やはりそちらの方面をどうしても解決しなければいかぬ。たとえば先ほど申しましたように、五人世帯で五千何百円というのが生活保護法基準になつております。これがたとえば恩給の場合に三千円というふうにきまりますれば、三千円程度でもつて十分食べられるという世帶につきましては、恩給だけで食べられます。しかし生活保護法のように、世帶の人員が多ければ多いように処置するといつたようなものにつきましては、今申しましたように、傷痍軍人が三千円の恩給をもしもらえることができるようになつたとしても、五千円の生活保護法の該当世帯と同じような世帶構成であるということになりますれば、やはり残りは生活保護法でしなければならぬのは当然のことであります。ただその場合に、三千円という恩給が出るか、出ないかということであります。もう一つは、生活保護法におきましては、収入があれば全部差引くことになります。しかし傷痍軍人が恩給を得まする場合には、収入があつた場合には収入にプラスになるわけであります。従つてその辺で非常に気持の違いが出て参りますし、また取扱いも違いますが、そういう処置は、私どもは必要であると思つておるわけであります。従つて生活保護法なり、身体障害者福祉法なり、こういう一般の人を相手にしますところの社会福祉のものを、傷痍軍人にも適用し、遺族にも適用して行くのは当然であります。その方は徹底的にやることはやりますけれども、それだけでは、あの街頭募金の問題は解決しないのだという感じを現在では私は持つております。これをずつと上げまして、日本国民の半分くらいが生活保護法の適用を受けることができるのならば、これは解決するかもしれませんが、それはできないことでありまして、せいぜい上げましても、一般生活費の半分より上げることはおそらく困難であろうと思いますが、そうした場合におきましても、今の街頭募金の問題は解決しない、それについてはやはり恩給の面で解決する以外には手がないのだということを申し上げたのが、先ほどの答弁でございまして、私の方は何もしない、こつちには全然責任はないのだということを申したのではないのであります。
  83. 苅田アサノ

    ○苅田委員 いろいろお聞きしたわけなんですけれども、それでは私のお聞きしたことを、一つ一つ具体的にお聞きしたいと思います。  現在街頭に立つているのは生活の問題じやなくて、傷痍軍人としての特殊な事情なんだと言われることは、私には意味がよくわからないのですが、それをのみ込んだとしても、あの問題は恩給のこと等が解決しない限りはやむを得ないのだというお考えであれば、ああいう募金をやつているということを認める、こういうことにならざるを得ないと思うのですが、そういうお気持でおいでになるのですかどうですか。
  84. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 やむを得ないとか、認めるとかいうのではないのでありまして、それでは解決できないということを申し上げておるのであります。それではあそこに立たなければ生活ができないのかと申しますれば、これは立たなくても生活保護法身体障害者福祉法を適用すれば、生活はできると私は思います。ただ生活ができるなら立つなと言えば立たないかといいますと、これは決してそうは行かない。実際の状況がそういう状況であるから、これはいたし方がない。ただそれを認めていいかどうかということになりますれば、私の方といたしましては、認めていいとは決して申し上げません。
  85. 苅田アサノ

    ○苅田委員 私はこの問題はどうしても納得が行かないのですが、それではつまりこういうことになるのですか。あの人たちは街頭募金をしてはいけない、していることはよくない、生活保護法を受ければ、ああいうまねをしなくてもいいのにしている、それは率直に言つてそういうことになるのですか。恩給の問題は、現実にはあなたのおつしやるように、よその省がしてくれることですから、いわばたなから落ちて来るぼたもちを待つようなもので、厚生省から言えば、それは問題にならないでしよう。そうするとあの人たちを救う道は、生活保護法よりないのだというのが、縮めて言えば、社会局長としてのお考えのように思うのですけれども、そういうように承知していいわけですか。
  86. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 私といたしましては、それでもつて一応生活はできるというふうに考えております。これは現在二百万の人がこれでもつて生活いたしておるのでありまして、生活はできないということは言えないと思います。
  87. 堤ツルヨ

    ○堤委員 関連して………。それは私は、局長はもつとはつきりおつしやられればいいと思うのです。というのは、あの街頭に立つている傷痍軍人を見た人が、実際われわれに衆議院の厚生委員だと言つてどのつら下げているかと言われるのです。ですからこれは委員会で検討しなければならないことははつきりしているのです。そこで、一ぺんあそこに立つている人のリストをあげてみたらどうかと思います。そしてそのリストによつて調査して——あの汽車の中でやつている人たちなんか演説はうまいものです。それは選挙演説に雇うて来ようかしらと思うほどうまい。音楽をやつている方なども特技でしよう。しかしああして集めて、それを傷痍者の人たちに施しておるかといえば、大体においてそうじやない。やはりあの人たち個人のポケットに入つていることははつきりしている。これは大衆も知つていると思います。だから局長はそこにもう一つ手を打つて、リストによつて調査してこの委員会に出るようにしてもらいたい。今のような堂々まわりをするような答弁では、いつまでたつても問題は片づかないと思いますが、どうですか。
  88. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 私も募金に立つていることにつきましては、一応のことは存じております。ただそれらの者はいろいろな状況の者がございますから、一概にこうなつておるのだということは御答弁いたしかねます。また生活状況を調べろと申しましても、これを実際に調べようとしますれば、それは相当な時日を要するのではないか。特にその生活状況を調べると申しましても、個人の生活を調べるのは、そう簡單にできるものではありません。それは千差万別であり、各所各所に散らばつておる状況でありますから、なかなか簡單に行かない。しいてそれを調査いたしました結果、それではどうなんだということを出しましても、それがすぐに問題の解決になるかどうかというと、むろん解決になるわけではないと私は確信いたしております。だから先ほど申し上げましたような方法をとるのが、一番いいのだと考えております。
  89. 松谷天光光

    松谷委員 関連して……。ただいま堤委員の御意見のように、先ほどの苅田委員と局長のお話を伺つてつて、私もそう思いました。やはりこれはこのままでは、どこまで行つても堂々めぐり、水掛論で解決ができないと思います。私も今堤委員が言われるように、あるいは金子委員がおつしやつたように、もう少し厚生省が熱意を持つてその調査に乗り出すべきだと思います。そういう姿があるということは、これは少くとも厚生省の責任であり、また私は厚生委員の一人として、委員会の責任であるとさえ思つております。苅田委員が言われるように、ほんとうに生きるか死ぬかという、生活のためにあそこに立たなければならない者があるとするならば、これは厚生当局、また国の政治の大きな手落ちでございます。言われるように、生活保護法あるいは身体障害者福祉法で十分でないことは、これはもちろんのことで、これに対する増額を一方においてなすと同時に、また局長がたびたび繰返しておられるように、恩給法の適用ということも、あわせやつて行かなければならないのは当然ですが、それと同時に、やはりそういう一つの安易な道を求めて、傷痍者自体、あるいはそうした同僚を傷つけて行くような者がなきにしもあらずだということは、これは万人の知るところなんで、そういう者に対しては、ある程度の処置をしなければならないことも当然だと思うのです。そうしなければけじめがついて行かないと思う。その上で、今度は当局が十二分に責任を果して行かなければならないと思うのです。その場合に、今局長は、あれは調査するのにもなかなか困難だ、こうおつしやいますけれども、いつまでも困難だ、経費がかかるということで、これを放任しておかれては、解決ができないと私は思いますので、その点局長は本腰を入れて御調査いただき、徹底的な措置をとつていただきたい。それと同時に一つつておきたいことは、先ほどから局長は恩給のことをおつしやつておられますが、私も局長の御意見に大いに賛成でございます。そこで伺いたいのは、そこまでお考えくださつておられる局長が、これは大蔵省恩給局の責任であるというふうに、ただそれを投げやりになさるのではなくて、十二分に交渉してくださるものと私も考えておりますが、その交渉が、一体どの程度に進められておられるか、でき得る限り具体的な交渉内容を聞かせていただいて、私どももなおそれに対して、委員の方からまた法案でも提案するような機会をつかみたい、協力して一つ目的を達成させて行きたいと思つておりますが、そういう交渉経過についてひとつ伺いたいと思います。
  90. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 身体障害者の全般的な生活の諸問題等について、これの調査は当然しなければならないと思つておりますが、特に街頭募金に立つている者だけを調査するということは、おそらく困難ではなかろうかと思います。そういうふうな身体障害者の対策を十分立てます上におきまして、そういう資料を持たずに、対策を立てるわけには行かないのでありまして、これにつきましては、地方には地方の身体障害者福祉司の配置、これの訓練を十分いたしました上で、逐次その実態をとらえる、こういうふうな措置をいたしたいと考えております。これは、ただいまお話があつた通り、全般的なそういう資料を持たずにやるということはできないことであります。それからもう一つの問題は、そういうような個々に対するケース・ワークの問題でありますが、これがうまく行つておるかどうかという点は、従来うまく行つていなかつたというのが、おそらく事実だろうと思います。従つて今後われわれといたしましては、このケース・ワークがうまく行き、個々の人についていつでもその実態がわかるようにし、そして皆さん方が、御質問になりましたならば、たいていのことは答えられるようにいたさなければならぬというふうに思いまして、われわれとしまして、今後その方面については、十分技術的な面を伸ばして行きたいと考えております。  それから、今御質問がありました恩給方面の交渉の状況でございますが、われわれとして希望いたしますことは、一般公務員並の障害手当が出るのが一番適当である。それがもしできない場合におきましては、現在の厚生年金でやります程度のものに、少くともしたらいいじやないかというように考えております。これらにつきまして、関係方面と話合をいたしておるわけであります。
  91. 松谷天光光

    松谷委員 なお重ねてお尋ねいたしますが、そういう厚生省からの一つ希望に対して、大蔵省当局の現在の出方というものはどんなものでございましようか。これは特に大蔵省にも来ていただいて、伺う機会を持ちたいと思いますが、一応交渉の結果を伺つておきたいと思います。
  92. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 それはやはり、その関係の当局にお聞き願つた方が、間違いがなくていいじやないかと思います。私が答えまして、もし誤解を起すような答弁をいたしますと——私はさつきから皆さんの誤解を招くようなことばかり答弁しておりますから、直接お聞き願つたらいいと思います。
  93. 堤ツルヨ

    ○堤委員 今のリストの問題ですが、これは相当久しきにわたつて問題になつているのですから、常識で考えても、もうリストはできておらなければならないと思います。それは局長の怠慢だと私は思います。これははつきり申し上げます。でありますから、これは至急やつていただき、そしてここに報告していただくということをお約束願いたいのであります。  もう一つは、これは苅田委員がおいでになるので、まことに恐縮でございますが、あの街頭に出てやつているところの傷痍軍人の中の、あの一つの物ごいは、思想的なデモの一種であるというふうな御解釈をなさつている人もありますし、私の常識でも、あるいはそういうふうに解釈できないこともないと思いますが、その点どういうふうにお考えになつておりますか。
  94. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 私は堤委員のお考えのようには思つておりません。別に思想的なことをやつているものとは考えておりません。
  95. 苅田アサノ

    ○苅田委員 ただいま委員の皆さんから、もう少し実態を調査して、当局として適当な処置をとつてもらいたいというふうな要望がございましたので、私はこの問題につきまして、もつといろいろ伺いたいと思つたのですが、そういう実態調査の結果を得てさらに御質問申すことにして、この点きようはこのくらいでやめておきます。ただ私は、厚生当局としては傷痍軍人の方からしばしば訴えを聞いておられると思うのですが、実は先ほど松谷委員からも発言のありました、傷痍者を実は食いものにして、傷痍者でない人が募金なんかに立つというような実情があるので、実際まじめな傷痍者が非常に迷惑をしておるから、これについて当局としてはできるだけの措置をとつてもらいたいということの要望が、傷痍者の団体からも再三あつたと私は思うのです。それには板橋のある会社で、具体的にこれは名前も言つていたと私は思うのですが、そこには傷痍軍人記章というものがたくさんストックがあるのだ、これは政府の命令によつてつくつたのだけれども、それがいらなくなつたというので、それが不正に流れ出ているような傾向がある、こういうものは印刻政府の方で処置して、買い上げるなりあるいは取上げるなりして、そういうところから不正なにせ傷痍軍人のようなものが出ないようにしてもらいたいというような、具体的な陳情を次官に言つておるのを、私も一緒に行つて聞いたわけですが、この問題について厚生省の方ではどういうような措置をなすつたのか。今あなたがおつしやつたように、あの中には相当いかがわしいものもいるということであれば、当然こういうものについては、ほんとうに生活困窮者とそうでない人とをわけることは、やはりやつていただかなければならぬと思うのですが、この問題をどういうふうに取上げられておるのかということについて、この際お伺いしたいと思います。
  96. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 お話の通りに、実際に生活に困つております事情のあるものにつきましては、私どもといたしましては、それぞれ措置をしなければならぬと考えまして、そういう陳情があつた場合におきましては、生活にすぐ困るというものについては至急その場で名前と住所を出してもらいたい、すぐ徹底的にやるからと申しましたが、名前も住所も知らせていただけませんでした。従つてどもといたしましてはその点で、明日からすぐ困られると言われるほど困つているのではないということが言えるのではないかと思います。もちろんそれはそうかといつてほうつて置いていいものではありませんので、十分調査いたしまして措置したいと思いますけれども、これらの人々が必ずその住所をはつきり言うかどうかということはわかりません。私実はある汽車の中で拝見いたしましたものについて、住所と氏名を聞きましたけれども、そのところにはその人はおりませんでした。そういうような状況で、その人について家へ行つてみなければならぬということになりますので、この調査は相当困難だと思うのであります。従いまして私どもといたしましては、街頭というよりかむしろ各世帯につきまして、十分な調査をしたいと考えております。身体傷害者につきましては、そういう特別な全面的な調査を執行いたしまして、遺憾なきを期して行きたいと考えております。
  97. 苅田アサノ

    ○苅田委員 傷痍軍人の記章の問題はとうですか。
  98. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 記章の問題は私今初めて伺います。全然そういうことは承つたことがございません。
  99. 苅田アサノ

    ○苅田委員 これはあなたの方ではなくて、次官のところに行つて暮れに陳再された方が、この問題を出して、そういうふうのものもあつて実は自分たちも困つているのだから、適当に処置してもらいたいというような陳情があつたので、それがあなたの方にまで伝わつていないということは、一般の陳情に対して——事務次官つたのですが、いかにいい加減にしかお聞き上げなかつたかということに対して、私は大は大きな憤懣を持つものであります。そういうので初めてお聞きになつたのでしたら、この問題につきましては、私はさらに具体的に場所も、それから会社の名前も聞いておりますから、それに対する適当な処置でその方面からも取締れる方法は多少あると思いますから、お願いしたいと思います。  なお生活保護法の問題につきましては、まだいろいろあるのですけれども、これは社会事業福祉法案の中でも十分取上げられますので、そのときにさらに御質問申すことにいたしまして、きようの質問はこれで打切ります。
  100. 松谷天光光

    松谷委員 社会局長に先ほどの続きをお尋ねいたします。二十六年度の予算額として、当局が光明寮について御要求になりました当初予算額を聞かせていただきたいと思います。
  101. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 行政の中の問題になりますので、非常に話がしにくくなるのですが、どれだけ要求をしてどれだけ切られたかといつても、切られる段階がたくさんございますので、それを一々申し上げるのもどうかと思うのであります。われわれとしては一応出したところが最後の案だということで、それでやらなければならぬものと考えております。われわれの希望としては、まず北においては宮城、西の方では福岡、大体このくらいが最初にやらなければならぬものだろうと思います。それからあと広島及び北海道の札幌だと思いますが、大体この近所にということで考えております。現在国立以外の光明寮はその他に京都と愛媛にもたしかあつたと思いますが、これはきわめて内容不完全でありまして、十分なものとは思つておりません。われわれとしては大体そういうふうな順序で、逐次拡充して行きたいと思います。ただここで光明寮の問題について一つ問題なのは、今まで盲人に対しては全部あんま、はり、きゆうばかりをやつておるわけでありますが、ところがあんま、はり、きゆうは御承知通り法律がやかましくなりまして、なかなか資格をとることがむずかしくなつて来ております。特に学校を出ただけでなしに、あとの国家試験というものもございますので、そういうような関係からいたしまして、あんま、はり、きゆう以外の分野におきまして盲人の新職業を開拓しなければならぬ。これにつきましては今度の光明寮におきましては、そういう方面の研究を至急に進めるようにいたしたいと考えております。そういう点につきましては、われわれとしては実は予算がほしいところなのでございますが、これはどこで切られたということは申し上げられませんが、とにかくこのようになつたのであります。
  102. 松谷天光光

    松谷委員 今局長のお話ですが、いろいろ機微にも触れ、なかなかむずかしい点もあろうかと思いますが、各省内でも最も弱いとされておる厚生予算を獲得して参りますためにも、どこで切られたかを伺いたい。厚生省でせつかく努力しておるにもかかわらず、この程度よりなし得られない。厚生省が考えておられるものの相当数がほとんど切られておるというような形でございますので、これは厚生省だけの問題ではなくて、当然厚生委員会も大いに活躍しなければならない分野が多分に残されておると思います。ことに政治的ないろいろな折衝面はまだ相当あるのではないかと思うのです。そういうためにも、これは公開の席で伺うのはいろいろのさしさわりがあるというならば、また適当な方法をもつて、ぜひこれは、少くとも厚生委員の知つておくべきことだと私は思います。またそれが次の場合に強力に押し得る一つの大きな基礎にもなるじやないかと思います。ですから大体外郭と申しますか、大体の線くらいまでは——局長非常に遠慮しておられますけれども、その点くらいまでは聞かせていただきたいものだと思います。  それからなおただいま御発言の中で、新しい職業分野を開拓したい、これは非常に私どもとしても願いたいところであります。また具体的に当事者の中からもそういう要求が多年出ておりましたので、せつかくそれが実ろうとする際に、その予算が削られておるということになれば、はなはだ心外だと思います。そんなことがありますと、現在の吉田内閣の性格というものが、おつしやるところと異なつて来るような点が出て参ります。こうなつて来ると、これはここにお並びになる与党の委員方々の大きな責任でもおありになる。これは与党の方々も声を大にして、委員長初め大いにそういう点は伺つていただきたいと思うのであります。なおそれはどういう分野を開拓なさろうという御計画をお立てになつたか。これはただいま伺つてもさしつかえないと思うのですが、またその予算がどのくらいの額であるか、ぜひとも伺いたいものだと思います。
  103. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 現在新しい分野につきましては、日本におきましてはあまりいい例が具体的にないのでございます。そこで一応諸外国の例を調査いたしてございますが、それをそのまま日本に適用することはできませんので、これをどういうふうに適用するかということについては、実際のものにつきましてやつて行かなければならぬというので、そのうち何を取上げるかというので、相当数多くの項目を並べて検討いたしました。たとえば電話の交換手でありますとか、あるいは牧場の乳しぼりでありますとか、その他たくさんの例がございますが、そういうような数種のものをあげまして検討いたしております。これにつきましては、予算がないと言いましても、明年度におきましてぜひともある程度の目鼻をつける方へ持つて行きたいというふうに私ども考えております。逐次そういう新職業面を開拓いたして参りたいというふうに思つております。これにつきましては今申し上げました程度のことを考えておるというふうにお考えを願いたいと思います。
  104. 松谷天光光

    松谷委員 そういたしますと二十六年度の予算の中で、こういう新事業への一歩発足ができると見てよろしいのでございましようか、それとも二十六年度予算では、これは不可能だと見たらよろしいのでございましようか。
  105. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 予算としましては、一応表に出たものはございません。しかし現在ある予算の範囲内でもつて、そういう方面の開拓をいたすというつもりで私の方では仕事を進めたい、こういうふうに考えております。
  106. 松谷天光光

    松谷委員 それでは予算の点はまた他の機会を見て当局に何らかの形で伺わせていただきたいということの要望だけをいたしておきます。  それからいま一点伺つておきたいことは、今まで光明寮を卒業された方の中で、卒業したけれども行き場がないから光明寮の中になおとどめてはもらえないかというような、そういう具体的な例が今までにございましたか。ございましたならばどのくらいの数がそういう境遇の者であり、それをどう処置しておられるか、それを参考までに伺いたいと思います。
  107. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 光明寮で、東京で出て行き場のない者、あるいはさらに生活の見込みのない者というものは若干ございまして、これらにつきましては別の寮がございますので、そちらに一応入つてもらうというような形をとつております。そういうふうにいたしまして、できるだけ働きまする場所をあつせんいたしますとか、あるいは必要なる資金の世話をするということを寮並びに通産省あるいは都道府県と連絡をいたしましてあつせんいたします。ただたくさんある中でございますので、一時就職のできないという人もあるようでございます。また中にはちようど適職がなかつたので、あんま、はり、きゆうをやりましたけれども、全然その仕事ができないという人もございまして、これらの点は最初の入れ方が悪かつたのではないか、あるいは最初の指導の仕方が悪かつたのではないかということになるのですが、そういうような例も一、二ありまして、これらにつきましてはまた別途考えなければならぬ。こういうものについてこそ新職業を考えなければならぬ、そういうふうに考えております。
  108. 亘四郎

    ○亘委員 ただいま松谷委員から野党委員立場として、予算折衝に当つて厚生委員会の与党の人たちの力がたいへん足りなかつたというお話があつたのでありますが、その点私もはなはだ申訳ないと考えておる一人であります。昨年の夏の予算編成の際にあたつて、与党の立場として私ども厚生委員会に籍を置く者が、どれだけの努力をしたかという実情に対しては、私どもは何らの報告をしておりません。しかしながらその陰にあつて厚生委員会とそれから政務調査会の厚生部会とは、ともにその点については十分の努力をいたしたのであります。しかし私がここに言いたいことは、与党である、野党であるという立場でなくて、いやしくも厚生委員であつたならば、そうした政府の重大な予算編成に当つては、どなたでも努力していただきたいのであります。ところがその予算編成の時期にあたつて、はたして野党の人たちで一人でも厚生省へ顔を見せた人がありますか。そしてその予算の編成の方針がどうだということをお聞きになつた人がありますか。今いたずらに与党委員の責任を追究するというような言辞を吐かれますが、自分が何をされたかよく反省されて、そうした意味を本委員会に公式に言われる場合には、そうした立場において発言していただきたいのであります。このことだけを申し上げておきます。
  109. 松谷天光光

    松谷委員 ただいま亘委員はたいへん誤解されて憤慨なさつたようでありますが、私は決して現在おられる与党の方々のみの責任だと申し上げたのではございません。これは初めに私がお断り申したように、厚生委員全体の責任であるということははつきり申しております。と同時に私はやはり与党の方々が十二分に——何と申しましても与党が具体的に力を持つておられる、ことに絶対多数の今日の与党は相当の力を持つておられるのでありますから、私ども協力させていただく面を私どもが十分に認識しなければならない。同時にまたここでそういういろいろな機微の点があるので発表できない、こうおつしやいますから、私は何も与党の諸君を責めたのではなくして、その発表できないと言われるその事情をここで私どもつておかなければならないのです。予算編成その他のときにおいて私どもがまた十分に働かせていただく、その面を十分に果さなければならないという意味において申し上げたのでございますので、亘委員たいへん御憤慨のようではございますが、これは亘委員の誤解だと思います。
  110. 堤ツルヨ

    ○堤委員 今亘委員がおつしやつた御意見でございますが、私は何もけんかしようとは思いません。もちろん与党の方が責任が重いことは、松谷さんのおつしやつた通りだと思つております。しかし今年の予算なんかをつくづく考えましても、夏の予算編成当時に一体何人厚生委員が厚生省に行つたかと申されますが、私は参りましたし、いろいろ医務局あたりに話を承つて、婦人議員一同集まつてもらつて、婦人議員立場から協力しようということを計画しましたけれども、どうも皆様が地方に散つてしまつて及ばなかつたことも実はあつたのであります。でありますから、今後厚生省当局は、予算編成の時期にはもう少し国会厚生委員会に合理的な連絡をなさつてはどうか。そうしてもし国会議員が地方へ散らばつておりましたならば、厚生委員を招集して、正式でなくても非公式でもいいから東京に集めておいて、いろんな政治的な折衝をするとか、持前を生かして、厚生行政全般から見た予算獲得に努力する。こういうことについて、少し努力の仕方が足りなかつたと私は思うのであります。これは過去の二箇年を振り返つて見てもはつきりいたしておりますので、この点社会局長も今日のこの委員会を生かされまして、お帰りになりましたならば横の各省の局長あたりと連絡をとられ、政務次官、大臣とも申し合せられまして、本年度はしかたありませんから、来年度からはもう少し衆参両院国会議員をうまく利用されるように考えていただきたい。おれたちはやつた、お前たちはやらなかつたということになると、それなら与党側から野党側にはちつとも連絡がなかつたということにもなりますので、これはみんなに責任があると思うのです。今さらけんかしたつて始まりませんから、今後はもつとうまく連絡をとつてやるように委員長からもおとりはからい願いたい。このことは特に速記録に残しておきたいと思つて申し上げた次第であります。
  111. 松永佛骨

    松永委員長 ただいまの御意見それぞれ、ごもつともであります。今後は当局を鞭撻し、また当局の予算獲得その他にわれわれ与野党を通じて議員が援助するということは、相当に効果があると思います。いわんや大蔵省の大臣、次官といえども、ことごとく私たちの同輩であるという意味から、局長その他が折衝されるよりは、政治的解決をいたす場合が今後は多いと思います。ただいまの御発言きわめて適切なことであつて、雨降つてより一層厚生委員会の地を固めて行きたいと私ども念願いたしております。  次会は明十五日午前十時より開会することとし、本日はこれをもつて散会することといたします。     午後四時二十分散会