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1951-03-12 第10回国会 衆議院 厚生委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月十二日(月曜日)     午後一時五十六分開議  出席委員    委員長 松永 佛骨君    理事 青柳 一郎君 理事 丸山 直友君    理事 亘  四郎君 理事 柳原 三郎君       大西 禎夫君    堀川 恭平君       松井 豊吉君    清藤 唯七君       堤 ツルヨ君    苅田アサノ君       松本六太郎君    松谷天光光君  出席政府委員         厚生事務官         (社会局長)  木村忠二郎君         厚 生 技 官         (公衆衛生局         長)      山口 正義君  委員外出席者         議     員 金子與重郎君         厚生事務官         (医務局医務課         長)      河野 鎮雄君         厚 生 技 官         (医務局国立病         院課長)    小澤  瀧君         專  門  員 川井 章知君         專  門  員 引地亮太郎君         專  門  員 山本 正世君     ————————————— 三月十日  国立光明寮設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第九一号)(予) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  予防接種法に関する件   請願  一 国立三島病院結核病舎増築請願遠藤三    郎君紹介)(第三二三号)  二 国立療養所看護婦及び医師増員請願(    福田昌子紹介)(第三二四号)  三 入院患者に強制退所指示撤回並びに作業    療法完全実施に関する請願福田昌子君紹    介)(第四八七号)  四 国立療養所給食増額に関する請願(小金義    照君紹介)(第五二七号)  五 国立療養所入所患者診療費等に関する請    願(小金義照紹介)(第五二八号)  六 国立療養所入所患者の早期退所反対等に関    する請願(小金義照紹介)(第五二九    号)  七 国立療養所入所患者診療費に関する請願    (船田享二紹介)(第五七四号)  八 同(山口好一君外一名紹介)(第六二四    号)  九 入院患者に強制退所指示撤回並びに作業    療法完全実施等に関する請願船田享二君    紹介)(第五七六号) 一〇 同(山口好一君外一名紹介)(第六二五    号) 一一 国立療養所早期退所者保護措置に関する    請願福田昌子紹介)(第六二〇号) 一二 国立病院医師待遇改善に関する請願(金    子與重郎紹介)(第七七〇号) 一三 国立療養所入所患者診療費等に関する請    願(守島伍郎紹介)(第八三六号) 一四 入院患者に強制退所指示撤回並びに作業    療法完全実施等に関する請願(守島伍郎君    紹介)(第八三七号) 一五 同外二件(福田昌子紹介)(第八五三    号) 一六 同(小松勇次紹介)(第九〇五号) 一七 国立療養所入所患者診療費に関する請願    外一件(福田昌子紹介)(第八六〇号) 一八 国立療養所における給食費増額等に関する    請願福田昌子紹介)(第八七三号) 一九 同(青柳一郎紹介)(第九〇八号) 二〇 国立療養所における完全看護    及び完全給食に関する請願福田昌子君紹    介)(第八七七号) 二一 国立療養所における給食費増額等に関する    請願多田勇紹介)(第一〇一三号) 二二 国立療養所における完全看護及び完全給食    に関する請願大石ヨシエ紹介)(第一    〇一四号) 二三 同(多田勇紹介)(第一〇一五号) 二四 入院患者に強制退所指示撤回並びに作業    療法完全実施等    に関する請願大石ヨシエ紹介)(第一    〇一八号) 二五 同(多田勇紹介)(第一〇一九号) 二六 国立療養所入所患者診療費に関する請願    (多田勇紹介)(第一〇二二号) 二七 同(大石ヨシエ紹介)(第一〇二三号) 二八 国立療養所における完全看護及び完全給食    に関する請願遠藤三郎紹介)(第一一    四六号) 二九 同(井之口政雄君外一名紹介)(第一一四    七号) 三〇 入院患者に強制退所指示撤回並びに作業    療法完全実施等に関する請願井之口政雄    君外一名紹介)(第一一五〇号) 三一 国立療養所入所患者診療費に関する請願    (井之口政雄君外一名紹介)(第一一五二    号) 三二 鹿児島県立鹿屋病院拡充費国庫補助請願    (中馬辰猪紹介)(第四二一号) 三三 県立尾花沢総合病院設置に関する請願(志    田義信紹介)(第五七五号) 三四 氷上郡竹田川流域国立診療病院設置の請    願(佐々木盛雄紹介)(第一〇八五号) 三五 看護婦既得権者に対する甲種看護婦国家試    験免除に関する請願八百板正紹介)(    第三八号) 三六 同(亘四郎紹介)(第三九号) 三七 同(田中元紹介)(第一〇〇号) 三八 同(柳原三郎紹介)(第一一六号) 三九 看護婦養成所に対する国庫補助請願(志    田義信紹介)(第四〇号) 四〇 看護婦養成所に対する国庫補助請願(柄    沢とし子紹介)(第二九六号) 四一 保健婦看護婦資質向上並びに待遇改善    の請願吉田省三紹介)(第三五四号) 四二 看護婦既得権者に対する甲種看護婦国家試    験免除に関する請願庄司一郎君外一名紹    介)(第四八五号) 四三 同(圓谷光衞君外一名紹介)(第四九二    号) 四四 保健婦助産婦看護婦法の一部改正に関する    請願青柳一郎紹介)(第八七八号) 四五 保健婦助産婦看護婦法の一部改正に関する    請願猪俣浩三紹介)(第一〇八四号) 四六 医療法第十三條の猶予期間延長に関する請    願(丸山直友紹介)(第四二九号) 四七 同(稻村順三君外二名紹介)(第四三〇    号) 四八 医療法による看護婦及び医師増員等に関    する請願船田享二紹介)(第五七八    号) 四九 同(山口好一君外一名紹介)(第六二二    号) 五〇 医療法による医師及び看護婦増員並びに    完全給食に関する請願船田享二紹介)    (第五七九号) 五一 同(山口好一君外一名紹介)    (第六二九号) 五二 医療法による医師及び看護婦増員並びに完    全給食に関する請願福田昌子紹介)(    第八五五号) 五三 同(福田昌子紹介)(第八五八号) 五四 同(青柳一郎紹介)(第九〇七号) 五五 医療法による看護婦及び医師増員等に関    する請願福田昌子紹介)(第八五六    号) 五六 同(勝間田清一紹介)(第八五七号) 五七 医療法による看護婦及び医師増員等に関    する請願大石ヨシエ紹介)(第一〇二    四号) 五八 同(多田勇紹介)(第一〇二五号) 五九 医療法の一部改正に関する請願佐々木秀    世君紹介)(第一一五一号) 六〇 医療法による看護婦及び医師増員等に関    する請願井之口政雄君外一名紹介)(第    一一五三号) 六一 結核病床増設等に関する請願小林進君紹    介)(第五五一号) 六二 結核病床増設に関する請願船田享二君紹    介)(第五五二号) 六三 同(山口好一君外一名紹介)(第六二一    号) 六四 結核患者国民健康保険全面適用に関す    る請願船田享二紹介)(第五七三号) 六五 同(柳沢義男紹介)(第六二六号) 六六 同(山口好一君外一名紹介)(第六三〇    号) 六七 結核病床増設に関する請願(守島伍郎君紹    介)(第八三八号) 六八 同外一件(福田昌子紹介)(第八五四    号) 六九 結核患者作業療法に関する請願福田昌    子君紹介)(第八五九号) 七〇 アフターケア施設確立に関する請願外四    件(福田昌子紹介)(第八七二号) 七一 同(青柳一郎紹介)(第九〇四号) 七二 結核患者に対する生活保護法適用範囲拡    大に関する請願福田昌子紹介)(第八    七四号) 七三 結核患者国民健康保険全面適用に関す    る請願外一件(福田昌子紹介)(第八七    九号) 七四 同(青柳一郎紹介)(第九〇六号) 七五 結核患者コロニー建設に関する請願(    福田昌子紹介)(第九八二号) 七六 結核患者作業療法に関する請願多田勇    君紹介)(第一〇一〇号) 七七 結核病床増設に関する請願大石ヨシエ君    紹介)(第一〇二〇号) 七八 同(多田勇紹介)(第一〇二一号) 七九 アフターケア施設確立に関する請願(多    田勇紹介)(第一〇二六号) 八〇 結核患者国民健康保険全面適用に関す    る請願大石ヨシエ紹介)(第一〇二七    号) 八一 札幌市にアフターケア施設確立請願(    柄沢とし子君外一名紹介)(第一〇六二    号) 八二 結核病床増設等に関する請願高田富之君    外一名紹介)(第一一五五号) 八三 結核患者国民健康保険全面適用に関す    る請願井之口政雄君外一名紹介)(第一    一五七号) 八四 結核病床増設に関する請願遠藤三郎君紹    介)(第一一四八号) 八五 同(井之口政雄君外一名紹介)(第一一四    九号) 八六 アフターケア施設確立に関する請願(今    野武雄君外一名紹介)(第二五四号)     —————————————
  2. 松永佛骨

    松永委員長 これより会議を開きます。  予防接種の問題について、苅田委員より発言を求められておりますので、これを許します。苅田委員
  3. 苅田アサノ

    苅田委員 ただいま資料をいただいたのですけれども、まだ十分検討しておるひまがございませんので、大体この資料につきまして、その状況とか、それの原因とか、あるいはこれに対する対策、そういうものを一応御説明願いたいと思います。
  4. 山口正義

    山口(正)政府委員 ただいまお手元に差上げました資料につきまして、一応御説明申し上げたいと存じます。  まず最近の法定伝染病発生状況について概略御説明申し上げたいと存じます。  お手元に差上げました資料一の方でございますが、表題は「昭和二十四年、昭和二十五年伝染病患者比較表」というのがございます。そのうちの五枚目を、ごらんいただきたいと思います。その五枚目の表は、大正二年から昭和二十五年に至る間の法定伝染病患者発生数を示してございます。これの最後の欄の総計のところをごらんいただきますと、わが国法定伝染病発生状況は、その数字にも現われておりますように、昭和十九年、昭和二十年、昭和二十一年、そのあたりが、一番多数発生いたしておりまして、昭和二十年には総数が二十六万一千百五十一というふうになつております。それがその後いろいろの対策実施いたしまして、また国民各位の協力によりまして、漸次減少いたして参りまして、昭和二十二年には九万七千、二十三年には五万三千、二十四年には五万四千、二十五年にはやや増加いたしまして八万一千というふうな数字を示しておるのでございます。すなわち終戦直後に比べまして、最近のわが国法定伝染病発生状況は、ただいま申しましたようなぐあいに、漸次減少して来ておるのでございます。ただお手元に差上げましたただいまの資料の中で、昭和二十五年には、二十四年に比べまして赤痢が二倍以上の数字を示しております。また発診チフスが非常な増加を示しております。日本脳災が、これまた四倍近くの数字なつているのでございます。赤痢につきましてはあとで申し上げたいと存じます。発疹チフスは、昨年の冬から春にかけまして、京浜地区を中心といたしまして、非常に多数発生いたしました。しかしその後幸いにも終熄を来しまして、本年に入りましては、わずかに二名発生があつただけでございます。日本脳災の方は、これは従来真症のみをこの統計にあげておつたのでございますが、昨年は疑似症も含めて統計にあげましたために、こういう数になつているのでございます。  以上が、逐年に見ました急性伝染病の大体の発生状況でございますが、本年に入りましてから、昨年に比べましてどういうふうな状態なつておるかと申しますと、お手元に差上げました第二の資料の中の一番上に出ております「昭和二十六年伝染病患者発生数の前年に対する比較」というのをごらんいただきたいと存じます。第一週、第二週、第三週、第四週、第五週までとつておりまして、各週の欄の左側が本年、右側が昨年というふうになつております。その第五週までの累計をいたしましたものを昨年と本年と比較してみますと、赤痢が依然として昨年に比べまして三倍近くの数字を示しております。その他の伝染病は、幸いにいたしまして相当数減少いたしております。ことに先ほど申し上げましたように、発診チフスは昨年は約千名の発生を見たのでございますが、本年はただいまちようど流行期に入つておりますが——昨年の今ごろには、非常に猖獗をきわめておつたのでございますが、辛いにして二名しか発生していないのでございます。ただこの表に現われておりませんが、痘瘡が、これもあとで申し上げたいと存じますが、最近三十四名発生いたしているのでございます。すなわち赤痢痘瘡が昨年より増加いたしております。そのほかは昨年より全部減少いたしております。  なおこのほかに——もちろんこの数字の中に含まれておるのでございますが、最近集団的に二、三の伝染病発生しております。それは主として赤痢でございまして、そのほかにジフテリアが一件、それから先ほど申し上げました痘瘡兵庫県、福岡県に集団的に発生いたしております。赤痢の集団的な発生状況につきましては、お手元資料の第二の二枚目の「昭和二十六年赤痢集団発生状況」というのに、やや詳しく記載いたしまして、お手元に差上げたわけでありますが、私ども手元に集まつております報告によりますと、本年に入りましてから、赤痢集団発生が、そこに記載いたしましたように、全部で六件ございまして、その発生状況あるいは発生原因と思われるものをそこに記載したのでございます。この集団的に発生いたしておりますものの特徴と考えられますのは、初めの患者がきわめて軽症でありましたために、つい見のがされて、それから他へ感染いたしたというのが、非常に多いのでございます。またその原因となります菌の種類、菌の型もそこに書いてございますが、大部分が駒込B3という型でございまして、これはいわゆる赤痢特効薬として今まで言われましたサルフア剤に対して、比較抵抗の強い菌でございまして、サルフア剤によつて徹底的に治療ができない、治療がなかなか困難であるという菌種でございます。主としてそれによつて伝播されておるというような状況でございます。この赤痢がこういうふうに、昨年は一昨年に比べ、また本年は昨年に比べて非常に増加して来ております原因につきましては、いろいろな因子が考えられると思うのでございますが、ただいまも申し上げましたように、終戦赤痢が相当流行いたしまして、そのときに特効薬としてサルフア剤が登場したのでございます。一時はそれが非常に効を奏して赤痢の激減を来し、またそのほかの衛生対策どもそれに伴つて進みましたために、減少したのでございますが、ただいま申しましたように、特殊の型の菌がこのサルフア剤抵抗力が非常に強いというようなことで、しかもそれが初めは激烈な症状を出さないで、軽い症状で始まつて、次から次へ広がるというようなことのために、流行を見ているのではないかということも考えられるのであります。また食糧事情の好転によりまして、食生活が楽になり、外食の機会が非常にふえたことも、一つ原因ではないかというふうに言われているのであります。また腸チフスのように、今までのところはつきりした予防接種実施せられないというようなことも、その一つ原因ではないかというふうに考えているのでございます。  痘瘡につきましては、昨年わずかに五名でありまして、国内にごく散発的に発生しておつたのでございますが、本年兵庫県に十三名、福岡県に十九名、愛知県に一名、鳥取県に一名患者発生しております。その系統につきましてはいろいろ調べておりますが、まだ的確な系統をつかみ得ないのでございますが、昨年国内に非常に少かつたという点から考えまして、あるいは海外から持ち込まれたものではないかというふうにも考えているのでございます。  次に、これらの伝染病に対する対策、特にただいま申し上げました赤痢痘瘡というように、本年に入りまして昨年に比較して比較的多数発生しておるようなものに対しまする対策といたしましては、昨年夏の流行期に際しまして、その流行状況、ことに駒込B3というようなサルフア剤抵抗力が非常に強い菌の存在という点から考えまして、今後も相当流行するおそれがあるということを予測いたしまして、すでに昨年の秋から暮れにかけまして、全国の注意を喚起いたしまして、今年の流行期に備えるようにいたしておるのでございます。その対策のおもなものといたしましては、この伝染病の性質上、飲食店に対する指導強化、あるいは患者の家族、あるいは食品の取扱い者に対する保菌の検査、あるいは集団給食場炊事人指導監督、あるいは、最も重要なことと考えられるのでありますが、衛生教育による個人衛生、食べものを取扱うときに清潔にする、また手をよく洗う、それによつて病毒が口の中に入るのを防ぐというようなこと、そういう点につきまして、一般の人たちに十分理解させ、そうしていろいろの対策に協力してもらうということをやつているのでございます。残念ながら、今までのところ、まだその効果は現われて参りませんで、先ほど申し上げましたように、本年は昨年に比べまして、なお増加状況にあるのでございます。われわれといたしましても、今後この赤痢対策につきましては、特に力を入れてやつて行かなければならないいろいろな面を研究し、かつ効果のあると思われるものを、実施に移して行きたいと考えておるわけでございます。痘瘡に対しましては、病毒が侵入するおそれのある対象者に対しまして、種痘を励行しておるのでございます。今年の二月の初めから今日まで、すでに全国に七百五十万人分の痘苗を配付してございます。今後四月一日までに約一千万人分の痘苗が生産されるわけでございまして、これによりまして、もし発生するおそれのあるような場合には、ただちに手を打ち、あるいは発生するおそれのある場合にはあらかじめ予防のための種痘実施するということをやつて行きたいと思つているのでございます。  なお種痘につきましては、昭和二十四年に臨時種痘実施いたしまして、昭和二十四年、二十五年にわたりまして、約六千百万人に対しまして種痘実施されているのでございます。その二十四年、二十五年に実施いたしました臨時種痘効果は、現在なお相当残つておると、私どもは考えているのでございますが、それに漏れた者に特に重点を置き、あるいはまた海外から来る人に直接接触するような機会の多い者に、まず重点的に種痘実施して、今後の蔓延を防ぎたいというふうに考えておるわけであります。  はなはだ簡単でありますが、概略は以上の通りであります。
  5. 苅田アサノ

    苅田委員 赤痢に対する予防的な措置というものは、現在では、法律によつて定められておるような予防的な措置以外には、ないわけですか。
  6. 山口正義

    山口(正)政府委員 赤痢に対しましては、腸チフスのような予防接種方法は、現在まだ実施されておりません。ただ法律によつて規定されております予防措置といたしましては、他の伝染病と同じように、患者発生いたしました場合には、その患者隔離入院、あるいはそれによつて汚染された物品の消毒、あるいはその周囲の者に対する健康診断、そういうふうなことを実施しているのでございます。
  7. 苅田アサノ

    苅田委員 それから、赤痢発生いたしております場所が、昨年の夏あたりの場合も、共通点が多いと思うのでありますけれども、集団的な住宅場所が非常に多いと思います。たとえば引揚者の寮であつたり、会社の寮であつたり、あるいはそうでなくても、何世帯か一緒に井戸水あるいは水道を使つておるようなむね割りの長屋のような場所であつたり、そういうところが多いと思うのでありますけれども赤痢発生が非常に悪い住宅條件のためにできておる、そういう点があるかないかということを一つお尋ねしたいのと、それから集団的な赤痢患者の中に、生活保護適用を受けている生活困窮者がどのくらいあるかということかわかつていましたら、お聞きいたしたいと思います。
  8. 山口正義

    山口(正)政府委員 発生場所が、寮その他の集団生活を営んでおる場所に相当多い、その住居状況衛生上非常に悪いところがありはしないかというお尋ねでございますが、実際に発生いたしました場所を調べてみますと、ただいま御指摘の通り生活の様式あるいは住居施設等が、公衆衛生の観点から見まして、十分でない。たとえば便所と炊事場あるいは洗面所比較的近くにあるというような場合も見受けられます。それから炊事場を共同に使つておるというような場合も見受けられます。そういう場合には、できるだけそういうものをわけて、今後そういうことが起らないようにするという指導をいたしております。  それから、患者の中に生活保護法適用者がありはしないかというお話でございます。私は存在すると存じますが、ただいま的確な数字を持ち合せておりませんので、申しわけございませんが、どの程度存在するかということをお答え申し上げられないのでございます。いずれよく調べまして、お答え申し上げます。
  9. 苅田アサノ

    苅田委員 それから痘瘡の場合ですけれども、この患者の中に、当然種痘を受ける時期が来ておつて、受けていなかつた人たちがあるかどうか、そういうこともお聞きしたいと思います。
  10. 山口正義

    山口(正)政府委員 痘瘡患者の中に、以前種痘を受けましたときは、いわゆる免疫反応と申しまして、免疫のあるような反応を呈しておりました者が、その後病毒に感染して発病した者もございます。また当然種痘を受けなければならない時期にありながら、それから漏れておりましたために発病した者もございます。この点はまことに遺憾なことでございまして、今後そういう当然受けなければならない者が、漏れておつたために、感染発病するというようなことのないように、今回の種痘実施につきましても、特に従来の定期種痘該当者で、漏れておりました者につきましては、優先的にまずそつちに先に実施するという方法とつて、今後そういうようなことの起らないようにいたしたいと思います。
  11. 苅田アサノ

    苅田委員 現在の伝染病蔓延状況、あるいは原因とかにつきましては、ただいま大体御報告がありました。しかし、これに対する対策は、単に飲食店清潔法実施するとか、あるいは新聞紙上に伝えられておりましたように、はえとかねずみの駆除をやるということは、すでに累年多くの予算を使いましてやつていながら、なおかつ、こういうふうな状況が出ておるので、これはどうしても、もつと他の方面からも、こうしたものの対策は考えなければならないと思うのです。たとえば、先日も私は問題にしたのですけれども、現在生活困窮者住宅の問題というものは、非常に悲惨な状態なつておる。私は上野のどやの例なんかも申して、社会局長にも御返答願つたのでありますけれども、やはり今年度も、国なり、都なりでつくる、そうした生活困窮者に対する住宅予算というものが、まことに貧弱なのであります。ただいま局長の御返答にもあつたように、やはり住宅等の不備というようなことからも、こういう状態が現われて来たのだと考えられるので、私はこの問題につきましては、さらに他日厚生次官なり、あるいは大臣がおいでになつたときに、住宅の問題についてもつと質問したいと思うわけなんです。  それからまた、天然痘なんかの蔓延状態を考えてみましても、ただいまの御答弁にありましたように、予防注射を受けなければならない人が受けていない。これはその原因を調べてみますと、単にうつかりしておつて受けなかつたというだけでなくて、経済的な原因もあるのじやないかと思います。私はせんだつて東京都内の主婦の人たちの懇談会の席に出ましたが、現在では、予防注射がいろいろ各所で行われておるけれども、これが有料であるために、予防注射が受けられないのだ、少くとも法定の予防注射は無料にしてもらいたいという、強い訴えがあつたのであります。私はこういう点からも、今回伝染病予防対策一つとして予防接種法が出るにつきましても、ぜひ国で定めました予防接種は、無料でやつてもらいたいということをお願いしたいわけなんです。そういう点につきまして、私はさらに関係当局の十分な御配慮をお願いしたいということを申しておきます。
  12. 山口正義

    山口(正)政府委員 諸種の伝染病、すべてとは申しませんが、急性伝染病生活環境によつて発生するということは、発疹チフスの例を見ましても、それから先ほど申し上げましたところの例を見ましても、御指摘の通りでございまして、私どもといたしましては、伝染病予防という立場からも、住宅の改善ということについて、その方の担当の方に対して常にいろいろお願いをし、また要望をいたしているのでございます。今後もこの線は依然として続けて、住宅改善という方面からも、伝染病予防ということの成果をあげて行かなければならない、そういうふうに考えております。  なお法で強制しております予防接種の費用を、無料にするようにというお話は、以前からしばしば苅田委員から御指摘を受けておりました。私どもといたしましても、でき得るならばこれを無料でやつて、その普及をはかりたいということを考えておるのでございまして、常にその気持で財政当局とも折衝いたしております。まだなかなかその実現に至りませんが、今後もその線に沿つて進んで行きたいと思つております。
  13. 松谷天光光

    ○松谷委員 ただいまの苅田委員の質問に関連して、伺わせていただきたいと思います。  ただいま苅田委員が御指摘になられたように、赤痢その他の伝染病予防措置としてなされております、あの飲食店その他の衛生上の指導強化、もちろんこれが主眼ではございませんけれども、しかしこの衛生面の指導強化が、一つの役割を果して来ておるということも、また考えられます。私ども長崎その他の視察をいたしました際に、この点に相当注意していろいろ見て参りましたが、各地区で叫ばれておりますことは、指導員その他の人件費が非常に足りないために、指導強化かまだ十分行つて行かれないという点か、出先機関の相当の悩みになつておりました。本省とされて、この点——そろそろ夏も近づいて参りますので、これに対して、そうした指導強化の面で、新しい試みを今お持ちであられるかどうか。去年は秀優良でございますか、そういう一つの標識をなすことによつて指導強化を進めておられたが、それをなお続けて行かれるおつもりか、あるいは他に何か新しいお考えをお持ちになつておられるか。あるいはまた、そうした人員の面等で、昨年と今年との相違が、幾らかでもそこに示されておるかどうかというふうなことを、こまかな点でございますが、お伺いいたします。
  14. 山口正義

    山口(正)政府委員 食品衛生監視を十分実施いたしまして、そちらの面からの伝染病予防をやつて行くようにということでございますが、ただいまおつしやいましたように、昨年来私どもは、飲食店に対しまして等級付をいたして、そして少しでも飲食店衛生状態を向上させて行くというふうに、努力いたしておるのでございます。それは現実には、ただいま御指摘のように、食品衛生監視員に実施させているのでございますが、食品衛生監視員の数が足りませんために、ただいま申し上げました等級付、それに基く飲食店指導が、十分行われないといううらみがあるというお話でございました。その訴えは、私ども今まであちらこちらから指摘されているのでございます。従いまして、食品衛生監親員の増加につきましては、二十五年度は千五百二名かと存じますが、二十六年度は——ちよつとはつきりした数字を記憶いたしませんが、二千五、六百名、そういうふうに大体増加を認められそうな状態なつておるのでございます。もちろんこれは平衡交付金でまかなわれるようになつておりまするが、県の事情によりまして、なかなか所期の通りに増員の行われがたいところもございますが、各県からの報告を受けておるのによりますと、各県とも来年度は食品衛生監視員の数を相当増加し得るという見込みでございます。  なお等級付による食品衛生指導のほかに、何か新しいことを考えておるかというお尋ねでございますが、ただいまのところでは、この等級付に根拠を置きまして——ここにあいにく数字は持ち合せておりませんが、今までまだ十分等級付も全部実施されておりません。それをさらに全部普及させますと同時に、監視の回数もふやし、また単に監視ということだけでなしに、監視に参りました際に、先ほど申し上げました公衆衛生の面につきまして、業者そのものを指導して、そしてこういう飲食店を介して伝染病発生ということのないように努めて行きたい、そういうふうに考えております。
  15. 松谷天光光

    ○松谷委員 これは行政面のことになるので、ただお願いをして御配慮をいただきたいと思います。各地のいろいろな話を聞いてみますと、全部がそうだとは決して申しませんが、それは人と人との問題でございまして、業者対監視員との間のいろいろな問題が出て、地方によつては複雑化しておるところもあるようでございますので、本省は、ひとつ人員配置その他の点で、なお十分な検討をして、その効果を十二分にあげていただくように御配慮いただきたいと思います。具体的なことは、別の機会に申し上げることにいたしますが、そうした特別な問題の起つておりますところは、特に御配慮いただきたいと思います。  それから先ほど苅田委員がやはり御指摘になりました、法定伝染病に対する無料予防接種、これも私どもぜひお願いしたいところでございまして、次の機会にでも、これを無料にした場合に予算はどの程度のものを必要とするかということを、具体的な数字資料としていただきたいと思います。
  16. 山口正義

    山口(正)政府委員 ただいま松谷委員の御指摘になりました第一の問題、これは私どもとして特に注意しなければならない問題であると存じます。私どもといたしましても常に業者対監視員の特定ないろいろな関係の起らないように注意をして、指導をいたしております。従いまして、住宅その他の面で、なかなか思う通りには参らない面もございますが、そういううわさがある場合には、すぐ監視員の勤務場所をかえるというような処置もとらせるようにいたしております。今後できるだけその点に注意して参りたいと思います。
  17. 堤ツルヨ

    ○堤委員 ただいま、私がお尋ねしたいと思つておりましたことを、松谷委員が今御要求になつたのでありますが、もう一つ私はつつ込んで聞かせていただきたいのは、今年の予算要求に、局長はやはりある程度の数字を立てて、今の法定伝染病予防接種について、国庫負担の予算の要求をなされたかどうか。なさつたならば、今すぐでも大体どれくらいいるかということがおわかりになるのではないかと思います。
  18. 山口正義

    山口(正)政府委員 ただいまお尋ねの点は、もし全部無料にすればどれくらいという数字かと存じますが、その数字をここに持ち合せておりませんので、後刻調査いたしまして御報告申し上げたいと存じます。ただいま一応御審議を願つております予算案の中には、定期の予防接種につきましては、大体生活保護法対象者を対象といたしまして、全体の二%程度無料で実施し得るという予算並びに臨時の予防接種の場合には国と都道府県の半々に負担するというような予算をお願いしているわけであります。
  19. 苅田アサノ

    苅田委員 資料として、せんだつてお願いしておいたわけなんですけれども、つまり現行の法定伝染病予防接種にあげられておりまする予防薬の原価と市場価格と、それから予防のときに負担する費用、その資料をお願いしておいたわけでございますけれども、まだいただかないので、この次の機会に、それもあわせていただきたいと思います。
  20. 山口正義

    山口(正)政府委員 御指摘の資料、早速整えてお手元に差出すことにいたします。     —————————————
  21. 松永佛骨

    松永委員長 次に、本日の請願日程の審査に入ります。  なお現在委員会に付託せられておりまする請願は約百八十件ほどございます。これを一々愼重に審査することは、時間の関係上余裕がございませんので、大別いたしまして要旨なり御説明なりをお聞きした後、同じ趣意の請願についての御発言は、あとでまとめてしていただきたいと存じます。さよう御了承願います。本日はまず国立療養所及び国立病院についての各請願の審査に入ることにいたしまして、まず一通り紹介説明をお聞きいたしたいと存じます。  日程第一、国立三島病院結核病舎増築請願、文書表第三二三号。まず紹介議員より請願の説明をいただきたいと存じますが、紹介議員が見えませんので、青柳委員に代理の御説明をお願いいたします。
  22. 青柳一郎

    青柳委員 この請願は静岡県三島市役所内、佐藤喜作外七十四名からの提出にかかるものであります。その要旨は、現在三島市の結核患者は、千五百省に達しているにもかかわらず、国立三島病院の結核病床はたつた四十床で、常に満員で、療養が長期にわたるため、新患者の入院はほとんど不可能な状態であり、従つて罹病者はやむを得ず家庭での療養を余儀なくされている。ついては、国立三島病院に結核病棟を増築されたいというのであります。     —————————————
  23. 松永佛骨

    松永委員長 日程第二、国立療養所看護婦及び医師増員請願、文書表第三二四号。紹介議員福田昌子君がおられませんので、堤委員にかわつて御説明を願います。
  24. 堤ツルヨ

    ○堤委員 この請願は、北海道の龜田郡七飯村、国立北海道第一療養所の患者代表の竹内肇外二百四十三各から出されておるのでございまして、請願の要旨は、御存じの通り国立療養所における看護婦及び医師の不足は、全国的な傾向であり、このため現在の看護婦及び医師は労働過重となつて、結核に倒れておる者が非常に多いのでございます、発病する看護婦増加の傾向をたどつておる今日、これら療養所従業員の待遇を改善して、すみやかに医師並びに看護婦を増員しなければならないというのが、この請願の要旨であります。これを私がかわつて説明申し上げました。     —————————————
  25. 松永佛骨

    松永委員長 日程第三、入院患者に強制退所指示撤回並びに作業療法完全実施に関する請願、文書表第四八七号。紹介福田昌子君がおられませんから、かわつて堤委員に御説明を願います。
  26. 堤ツルヨ

    ○堤委員 これもただいま御説明いたしました北海道亀田郡七飯村国立北海道第一療養所の竹内肇外四百八十三名によるものでありまして、その要旨は、ベット廻転を理由に、いまだ治癒に至らない患者に対し、半ば強制的に退所指示を行つている施設が各地に出ており、療養生活者に不安を抱かせているのでありますが、これは昭和二十五年十月九日の医発第六百四十九号による療養所入所患者の早期退所措置に基き行われているものと思われます。この措置は、入院中の患者を初め入院する自宅療養者にも暗い影を投げている現状でありますから、医発第六百四十九号に基く退所指示をすみやかに撤回するとともに、結核患者作業療法の完全実施を行われたいというのが、この要旨であります。     —————————————
  27. 松永佛骨

    松永委員長 日程第四、国立療養所給食費増額に関する請願、文書表第五二七号。紹介議員小金義照君にかわつて丸山委員に代理の御説明を願います。
  28. 丸山直友

    丸山委員 本請願は国立神奈川療養所療友自治会委員長山口敬次外五百四十九名から提出せられたものでありまして、本請願の要旨は、現在国立療養所給食費は、一日一人当り平均六十七円で、その残額約十七円九十銭が一日の副食費であるため、栄養を攝取することができず、生活保護法で辛うじて療養生活をささえている状況であるから、給食費を八十円に増額されたいというのであります。      ————◇—————
  29. 松永佛骨

    松永委員長 日程第五及び第一三、国立療養所入所患者診療費等に関する請願、文書表第五二八号及び第八三六号。紹介者小金義照議員にかわつて、亘委員に御説明を願います。
  30. 亘四郎

    ○亘委員 本請願者は、国立神奈川療養所療友自治会委員長山口敬次外五百四十九名から出されておるのでありまして、要旨は、現在、生活保護法には、扶養義務者の範囲が広過ぎることと、最低生活基準額が低過ぎるという不備があり、このために適用を受けることができなかつた患者に対して、国立入所規定第三條、第四條による減免規定があつて、入所料が減免されていたが、昨年八月三十日厚生省通達でこの範囲に制限が加えられた。従つて、もし減免規定により自己負担額を減免されなければ退所しなければならず、社会上ゆゆしき問題になりつつある。ついては左の点を考慮されたいというのである。一、減免規定に関する厚生省通達の行き過ぎた解釈の是正。二、自己負担の減免は、患者の実態に即して、親心をもつて実施されたい。三、入所料外の患者生活費を最低千二百円に認められたいこと。以上であります。     —————————————
  31. 松永佛骨

    松永委員長 日程第六、国立療養所入所患者の早期退所反対等に関する請願、文書表第五二九号。紹介議員小金義照君にかわつて青柳委員に代理御説明を願います。
  32. 青柳一郎

    青柳委員 本請願は、国立神奈川療養所療友自治会委員長からの提出にかかるものであります。その要旨は、この療養所は、近時入所待機患者が多くなり、政府でも結核病床の増床計画が発表されているにかかわらず、いまだ実施されておらず、病床の回転率を大にする必要があると称して、早期退所勧告をやつており、すでに勧告を受けて退所し高熱に倒れた者もある。ついては、まず第一に、結核病床の増床以外に解決ができないから、適切な増床計画を即時実施してもらいたい。第二に、退所後療養生活が不可能な場合には、早期退所勧告を行わないようにしてくれ。第三に、アフターケア・コロニーの施設を早急に建設してくれ、こういうのであります。     —————————————
  33. 松永佛骨

    松永委員長 日程第七、第八、第一七、第二六、第二七及び第三、国立療養所入所患者診療費に関する請願、文書表第五七四号、六二四号、八六〇号、一〇二二号、一〇二三号、一一五二号の六件を一括して議題といたします。紹介議員苅田アサノ君。
  34. 苅田アサノ

    苅田委員 本請願の要旨は、結核は長期間の療養を必要とするが、生活保護法による療養費は、最低基準一人千三百円というきわめて非現実的な金額であるため、療養者は人間並の生活をすることができず、社会保障生活制度の確立されていない現状においては、療養者の重大な死活問題となつておりますので、このことにつきまして、国立療養所入所費等取扱細則第三條の大幅な適用をはかられたいというのが要旨であります。     —————————————
  35. 松永佛骨

    松永委員長 次に、日程第九、第一 ○、第一四ない第一六、第二四、第二五及び第三〇、入院患者に強制退所指示撤回並びに作業療法完全実施等に関する請願、文書表第五七六号、六二五号、八三七号、八五三号、九〇五号、一〇一八号、一〇一九号、一一五 ○号、以上八件の請願を一括して議題といたします。苅田アサノ君。
  36. 苅田アサノ

    苅田委員 この請願の趣旨は、昭和二十五年十月九日付をもつて公布されました。医発六百四十九号による療養所入所患者の早期退所措置は、全国的に結核患者の療養生活を不安に陷れ、かつ結核の悪化と再発及び悪循環を助長するものであります。ついては医発六百四十九号をすみやかに撤回するとともに、結核治療に有効な作業療法を各施設に確立し、あわせて結核病床の増床をはかる等の道を講ぜらられたい、こういうものであります。     —————————————
  37. 松永佛骨

    松永委員長 次に、日程第一二、国立病院医師待遇改善に関する請願、文書表第七七〇号を議題といたします。紹介議員が見えませんから、堤委員に代理説明をお願いいたします。
  38. 堤ツルヨ

    ○堤委員 本請願は、国立東京第一病院長坂口康蔵外十八名より提出されましたもので、要旨は、現在国立病院に勤務している医師の待遇は、国家公務員のわく内にあつて生活の困窮その極に達し、子弟の教育、新刊書の購入は不可能であり、待遇不良のために退職する者も多く、採用難は刻々とその度を増しつつある。ついては、国立病院に勤務する医師の使命の重要さを考慮されて、その高い職務にふさわしい品位を保持し、職責を完遂するに足る待遇を与えられたいというのであります。     —————————————
  39. 松永佛骨

    松永委員長 日程第一八、第一九及び第二一、国立療養所における給食費増額等に関する請願、文書表第八七三号、九〇八号及び一〇一三号、以上三件を一括して議題といたします。紹介議員が見えませんので、青柳委員に代理説明を願います。
  40. 青柳一郎

    青柳委員 本請願は、清瀬村日本患者同盟代表の提出にかかるものであります。その要旨は、現在国立療養所においては、その地域によつて給食費に差異があるが、主食は統制され、副食においては、たとえば肉、魚等は都会で安く、地方で高い反面、野菜は都会で高く地方で安い等、全体としては地域差は認められないばかりでなく、患者は都市、地方あるいは療養所病院を問わず一様であるから、国立給食費の地域差を撤廃されたい。また患者が熱量、蛋白質、脂肪を完全に攝取するために、国立給食費の増額、すなわち少くとも社会保険並に引上げられるとともに、患者と職員とでは給食に差異があるから、患者用、職員用の調理設備を分離されたいというのであります。     —————————————
  41. 松永佛骨

    松永委員長 日程第二〇、第二二、第二三、第二八及び第二九、国立療養所における完全看護及び完全給食に関する請願を議題といたします。紹介議員苅田アサノ君。
  42. 苅田アサノ

    苅田委員 本請願は、国立中野療養所から出されたものでありまして、請願の要旨は、昨年十二月から国立中野療養所では、完全看護と称して、看護はすべて看護婦の資格のある者に扱わせ、附添婦による患者の取扱いを中止し、附添婦四〇%を減らし、直接当局の監督のもとに、もつぱら病室内外の清掃に当らしめております。また従来一日六十七円の給食以外に、附添婦によつて行われていた補食を中止して、完全給食と称して、結核に必要な栄養の攝取を不可能にしております。同療養所では看護婦百三十七名のうち実際に勤務している者は百八名で、三交替制勤務を行つており、病舎に常勤している者は二名程度で、とうてい完全看護の理想は実現されておらないのであります。ついては、実質的に不足な看護婦の手を補うために、補助婦を増加し、完全看護に先だつて完全給食実施するよう、予算措置を講ぜられたいというのが、この請願の要旨であります。     —————————————
  43. 松永佛骨

    松永委員長 次に、日程第三二、鹿児島県立鹿屋病院拡充費国庫補助請願、文書表第四二一号を議題といたします。青柳委員に代理御説明を願います。
  44. 青柳一郎

    青柳委員 本請願は、鹿児島県議会議長の提出にかかるものであります。その要旨は、鹿児島県立鹿屋病院は、旧医療団経営のものを、昭和二十四年十二月から引継いだもので、建物も腐朽し、二十二床のうち十八床しか使用できず、来年度より医療法が施行されるとすれば、人口の割合より見て、入院患者の収容に多大の支障を来す結果になる。ついては、同病院を改築増床して、住民の福祉をはかるため、国庫補助されたいというのであります。     —————————————
  45. 松永佛骨

    松永委員長 日程第三三、県立尾花沢総合病院設置に関する請願を議題といたします。紹介議員が見えませんから、丸山委員に代理説明をお願いいたします。
  46. 丸山直友

    丸山委員 本請願は、山形県北村山郡尾花沢町長、竹中清三郎外十九名から提出されたものでありまして、その要旨は、山形県北村山郡尾花沢町、大仁田町を中心とする十箇町村は、最近呼吸器系その他の疾患による虚弱者が激増しているが、完全な医療施設がないため、患者の大部分のものは個人診療所において基本的治療を受けている実情である。ついては、同地方民の健康増進と、生活安定のため、尾花沢町に県立総合病院を設置されたいというのであります。     —————————————
  47. 松永佛骨

    松永委員長 日程第三四、氷上都竹田川流域国立診療病院設置請願を議題といたします。提出者佐々木盛雄君にかわつて、亘委員に代理説明をお願いいたします。
  48. 亘四郎

    ○亘委員 本請願の要旨は、兵庫県氷上郡竹田川流域には、医療機関なく、まつたくの無医村であるため、結核で死ぬ者続出し、また各種伝染病蔓延による一家全滅など、まことに憂慮すべき状況にあるから、同河川流域に国費をもつて、すみやかに国立診療所を設置されたいというのであります。請願者は兵庫県氷上郡上鴨庄村長、荒樋栄実外九名であります。     —————————————
  49. 松永佛骨

    松永委員長 日程第三五ないし第三八、第四二及び第四三、看護婦既得権者に対する甲種看護婦国家試験免除に関する請願、文書表第三八号、三九号、一〇〇号、一一六号、四八五号及び四九二号、以上六件の請願を一括議題といたします。紹介議員亘四郎君。
  50. 亘四郎

    ○亘委員 本請願は埼玉県入間郡新津町、国立所沢病院、佐藤栄子外百五十九名より請願されておるのでありまして、その要旨は、現在の看護婦は、労働過重であり、経済的にも保障は困難であるから、新制度に基く甲種看護婦の受験準備も十分にはできない。しかし、長年の経験によつて、新制度による甲種看護婦比較して、技術的にも、学理的にも、はるかにすぐれているにもかかわらず、資格の点では常に劣等感を受けている。新法令の目的が、あくまで看護婦の質の全体的向上にあるとすれば、恵まれた環境にある一部の人のみを対象とする試験制度のみにたよることなく、補習教育制度を設けて、計画的に長期にわたつて実施すべきである。ついては、看護婦既得権者に対する甲種看護婦国家試験を免除する特令を制定されたいというのであります。     —————————————
  51. 松永佛骨

    松永委員長 次に、日程第三九及び第四〇、看護婦養成所に対する国庫補助請願、文書表第四〇号及び第二九六号の両請願を一括して議題といたします。紹介議員が見えませんから、青柳委員に代理説明を願います。
  52. 青柳一郎

    青柳委員 本請願の要旨は、新看護婦法の制定により、看護婦の資格が向上されたため、現在の養成施設では教育不能となり、従つて法的内容の設備を有する養成所の設置が必要となつた。しかも、これらの條件を具備して認可となつているものは少く、急速に完全養成所の設置を見ない限り、医療施設の円滑なる運営は望めない。ついては、看護婦養成所に対して、相当額の国庫補助をなし、養成施設のすみやかなる整備拡充を実現されたいというのであります。     —————————————
  53. 松永佛骨

    松永委員長 次に、日程第四一、保健婦看護婦資質向上並びに待遇改善請願、文書表第三五四号を議題といたします。紹介議員が見えませんから、松谷委員に代理説明を願います。
  54. 松谷天光光

    ○松谷委員 本請願は、富山市の富山県療養者同盟理事長小田誠氏からの請願でございまして、本請願の要旨は、保健婦看護婦の資質を向上せしめるため、何らかの施策を講ずるともに、身分、待遇、給与その他について根本的に改善されたいというのであります。     —————————————
  55. 松永佛骨

    松永委員長 日程第四四及び第四五、保健婦助産婦看護婦法の一部改正に関する請願、文書表第八七八号及び第一〇八四号の両請願を一括して議題といたします。紹介議員青柳一郎君。
  56. 青柳一郎

    青柳委員 本請願の要旨は、既得権看護婦に対しては、国家試験なしで新しい免状を与え、より以上資質を向上させるため、国家の責任で補習教育を実施し、また甲、乙両種看護婦の区別を廃止し、看護婦一本にまとめ、新制中学校卒業後四年、新制高校卒業後二年の養成所を設けることができるよう、保健婦助産婦看護婦法の一部を改正されたいというのであります。     —————————————
  57. 松永佛骨

    松永委員長 日程第四六及び第四七、医療法第十三條の猶予期間延長に関する請願、文書表第四二九号及び第四三〇号の両請願を一括して議題といたします。紹介議員丸山直友君。
  58. 丸山直友

    丸山委員 本請願は、長岡市議会議長田村仁之助外一名から出された請願でございまして、その要旨は、医療法の定めるところにより、昭和二十六年十月三十日以降は、病床を二十床以上有しない医院または診療所においては、入院患者を四十八時間以上収容し得ないことになつているが、本法に規定する施設の急速整備と医療態勢の確立をはかるためには、今後相当期間が必要であり、従つて現実の医療態勢とわが国経済事情において、何の施策もなく本法を強化することは、わが国の医療態勢を根底より崩壊させ、国民に大なる打撃を与えることになる。ついては、これらの不測の事態を未然に防止するため、医療法第十三條の発動を、わが国社会の情勢が適当とする時期まで猶予されたいというのであります。     —————————————
  59. 松永佛骨

    松永委員長 日程第四八、第四九、第五五ないし第五八及び第六〇、医療法による看護婦及び医師増員等に関する請願、文書表第五七八号、第六二二号、第八五六号、第八五七号、第一 ○二四号、第一〇二五号及び第一一五三号、以上七件を一括して議題といたします。苅田アサノ君。
  60. 苅田アサノ

    苅田委員 本請願は、宇都宮市外、中丸国立療養所梅花寮内瀧山邦天外二百二名の連署により請願されたものでありまして、その要旨は、医療法による看護婦及び医師は、国立療養所の病床増加に反し、医療従業員が減少されたため、はなはだしい労働強化を余儀なくされ、しかも賃金においては依然として六千三百円に押えられて、その生活は窮乏をきわめている。ついては、医療法による看護婦及び医師の増員をはかるとともに、医療従業員の賃金ベース改訂等の道を講ぜられたいというのであります。     —————————————
  61. 松永佛骨

    松永委員長 日程第五〇ないし第五四、医療法による医師及び看護婦増員並び完全給食に関する請願、文書表第五七九号、第六二九号、第八五五号、第八五八号及び第九〇七号、以上五件を一括して議題といたします。紹介議員にかわつて堤君に御説明を願います。
  62. 堤ツルヨ

    ○堤委員 本請願の要旨は、医師看護婦の定員が、医療法の規定よりはるかに不足している療養所が多い現在、いたずらに完全看護完全給食実施することは、患者に不安を招く結果となる。ついては、医師看護婦を増員し、雑役を看護婦の定員法に認め、現行四点を七点に引上げ、有料患者に対して減免制度を設けられたい。またこれが解決できるまでは、現行の附添婦制度を認められ、完全給食も、国立まかない費を社会保険並の八十円に引上げ、重症者用の特別調理、炊事場の改善その他内容のある完全給食実施されたいというのであります。     —————————————
  63. 松永佛骨

    松永委員長 日程第五九、医療法の一部改正に関する請願、文書表第一一五一号を議願といたします。紹介議員が見えませんから金子與重郎君に代理説明を願います。
  64. 金子與重郎

    金子與重郎君 この請願は北海道留萌市明元町五丁目、留萌医師会長浅野修君外二十五名から提出されたものでありまして、本請願の要旨は昭和二十三年七月三十日改正された医療法は、種々なる不備欠陷があるから、同法の一部を次のごとく改正されたいというのである。一、医療法第十三條の規定に関連して定められた附則第四十七條第四項の「この法律施行の日から三年間は第十三條の規定によらないことが出来る」とある條文の三年を八年に改めること。二、医療法の診察所と病院との中間的な規格を設けて中間病院(仮称)とするような規定を設けること以上であります。     —————————————
  65. 松永佛骨

    松永委員長 ただいままで上程されまして御説明を願いました請願について、何か御発言がございますか。
  66. 松本六太郎

    ○松本(六)委員 簡単に二、三お尋ねしたいと思います。ただいま議題になつておりまする請願の大部分は、結核療養所に関する問題でありますが、これはどの請願を見ましても、今日の施設が非常に不十分であるということ、さらに予算があまりにも貧弱であつて、十分なる療養の実をあげることができないという点、あるいはこれに関連して、内部の人事的な方面の改善も、すみやかにやらなければならぬという点が、指摘されておると思うのであります。私ども実際に地方の実情を見ますると、この請願は一々もつともな主張であり、またすみやかにこの請願の趣旨に対処して、改善をいたして参らなければならぬと痛感するわけでありますが、まず第一に、医師待遇改善の問題、これは結核療養所に勤めておる方々は、実は非常な犠牲を払つておられると思うのであります。そこでかようなことを申し上げることは、一地方に偏した問題になりますが、私は北海道の出身でありますが、北海道の結核患者は、全国的に見てその率が非常に多い。詳しくは知りませんが、大体全国一位を占めておるというようなことも聞いておるわけであります。そういう事情でありますが、療養所における医師の待遇が非常に悪いため、有能な、あるいは熱心な人たちが職に耐えられなくて、漸次ほかに転出してしまうという現状であります。こういう物的な方面の施設は、ある程度できましても、人的な要素が欠けてしまうという現状では、どうにもならないと思うのでありまして、特に寒冷地帶の、生活費の非常にかさまる地帯等におきましては、特別の考慮が払われなければならないと思うのであります。それに対して、当局としてもある程度のことはお考えになつておるようでありますけれども、それは実際とはまだまだ非常に遠いのでありまして、これに対して何かお考えになつておりますかどうか、その点をひとつお伺いしたいと思います。
  67. 小澤瀧

    ○小澤説明員 尾村療養所課長が渡米中でありまして、私が療養所課長を兼務いたしておりますので、お答えを申し上げます。  ただいま御指摘の点は、まことにその通りでございまして、結核療養所につきましては、医師の配置定員が約一千五百名であります。これに対して現在数が約一千名でございまして、三割の欠員になつております。これの第一の理由は、医師の待遇が世間一般に比べて低いということであります。どうしてもこれを改善いたしませんと、医師が得られませんので、従来待遇改善につきましては、私どもといたしましては最も努力いたした点でございまして、従来とも大蔵省に対し、あるいは人事院等に対しまして、しばしば折衝しておりました。ひところ人事院の方では、この点相当理解いたされまして、特別な待遇も一応考慮されたのでありますけれども、今回のベース・アップの上に、さらに特別給与制をしくことは困難な事情があるということで、現在特に待遇をよくするという問題は、困難な状況なつて来ております。ただいまといたしましては、医師の職階制がきまるときに、給与準則におきまして、医師の待遇は特に考慮しようじやないか、そうしてもらいたいという心組みで話合いを進めております。何にいたしましても、医師その他のかような特殊勤務者に対する待遇を十分にいたしまして、優秀な人員を確保したいと考えておる次第でございます。
  68. 松本六太郎

    ○松本(六)委員 ただいまの御答弁で、かなり困難であるということはわかつたのでありますけれども、しかしこれは困難であるからとして、解決しないでおくべき問題ではありませんので、さような職階制の問題であるとか、あるいは人事院のいろいろな法規であるとかいうものがありましても、そういうものがありましても、そういうものは国家の必要性から十分検討を加えまして適正な改善、改正は、すみやかに行わなければならぬということを痛感するものであります。それと同時に、今のお答えのうちにちよつと漏れたのでありますが、そういう特殊な事情を持つ地域に対しまする、本俸によらざる、地域の差によるところの手当というような名目でも、あるいはそういう性質の給与でもいいわけでありますが、そういう点について、地方の特殊事情というものに対する措置を、何かお考えになつておるかどうか、この点について伺います。
  69. 小澤瀧

    ○小澤説明員 寒冷地手当あるいは石炭手当は、他の一般公務員と同額の支給になつておりまして、医師なるがゆえに石炭手当並びに寒冷地手当を特によけいもらうということは、困難でございます。従いまして、医師という特別なる職業に対する特別給与体系ということで解決いたしたいと、考えておる次第でございます。
  70. 松本六太郎

    ○松本(六)委員 医師、あるいはこれに関係いたしまする他の職員も同様でありますが、今のお話で、これらの待遇改善につきまして、大体当局の考えておられますることは、わかつたのであります。しかしながら、わかつただけであつて、まだ実行可能であるという御説明でも御答弁でもないのでありまして、実情はわかるけれども、非常に困難だというだけの答弁になつておるわけであります。これは、そういう困難だということは、確かにありますけれども、その困難を排除して、すみやかに適正な待遇ができますように、今日のごとく、だんだんお医者さんが逃げ出してしまつて、定員の半分ぐらいしかとどまる人がいないというようなかつこうでは、いかに法律をつくつても、あるいは与論を喚起してみましても、その実際の効果は、期待できないと思うのでありますから、この点は、すみやかに待遇改善を徹底的になさるように、お骨折りをお願いしておきます。  それから設備の問題でありますが、今日の設備というものは、どこを見ましても、これで十分だと思われるところはないのであります。特に寒冷地帯等におきましては、燃料の費用が非常に不足であつて、ややもすれば、軽い患者が、もう冬中にかぜ引きをやつて、病気がたいへん悪化したというようなことも、ずいぶん多く見受けるのであります。従つて、これらは燃料の予算を増すと同時に、設備そのものが根本的に改善されなければならぬと思うのでありますが、そういう点について、どういうふうにお考えになつておりますか、あるいはまた本年度における予算の上にも、そういうことの改善に対する考慮が払われておるのでありますかどうか、そういう点をお答え願いたい。
  71. 小澤瀧

    ○小澤説明員 先ほど御返事を落しましたので、追加して申し上げますが、医師の待遇だけではございませんけれども、お医者さんに学問的良心を満足させるという意味におきまして、研究費を大蔵省に要求いたしました。医師に対しては、十分ではありませんけれども、研究費を支給する。それからなお調整号俸——今度は調整額という名前に改められますが、特殊勤務というゆえをもちまして、他の職員よりも若干給与額を上まわるようにいたすべく、これは実は昨年の給与改正のときに落ちたのでありますが、今回これを復活いたすべく努力いたしておりますが、大体この話は順調に進んでおります。  次に、施設の問題でありますけれども、まことにごもつとものことと存じております。来年度の施設改善につきまして、まだ具体的な計画はきまつておりませんが、御趣旨を十分取入れて、できるだけその方面の改善を進めて行きたいと考えます。  なお、石炭の不足につきましては、昭和二十四年度におきましては、配賦予算額が実情に沿わなかつた点もあることを認めまして、昭和二十五年度——この冬につきましては、それを是正して配賦いたしました。北海道だけで、計画全体につきまして二千六百万円ほど、普通の配賦額以上の石炭予算をやりまして、昭和二十五年度の冬は、十二分とは申されませんけれども、まずまず冬を越すに必要な限度のものは支給していたのではなかろうか、かように考えます。なお近く職員を派遣して実情を調査いたしまして、今後の予算配分の裏づけをして行きたい、かように考えます。
  72. 松本六太郎

    ○松本(六)委員 結核に対しまする新たな法律も制定されようとしておりまするし、結核の根本的な対策を国がやろうとしておるわけであります。この法律の審議はまだあとになると存じますけれども、大体かような点をめぐつて、今後結核療養所ないしこれと同じような目的を持つ医療施設、そういうものの増設の計画、あるいは病床をふやすとか、新たに建築をするとかいういろいろな手段があろうと存じます。そういう増設に対しまするお考えは、一つは国が直接経営するもの、その反面、一方では都道府県が施設をやるもの、あるいは市町村がやるもの、いろいろあろうと思いますが、国はどのくらいの部分を受持つてやるか、都道府県にはどれくらいのものをやらせるかというような、当局のおよその考え、これに対する費用分担の面においては、大体どれくらいの割合で国がこれを分担し、どれくらいの割合のものは都道府県にやらせる、あるいは市町村にやらせるというお考えであるか、その1点をひとつ……。
  73. 小澤瀧

    ○小澤説明員 昭和二十六年度におきましては、国の結核療養所の増床分は千五百病床でございます。国以外のものにやらせる結核ベツト数とを比較いたしますと、十分の一以下であります。しからば、今後ともこの数の割合でやるかどうかという問題になりますが、そのことについては、まだ厚生省としては根本的な態度は決定しておりません。
  74. 松谷天光光

    ○松谷委員 ただいま課長の御答弁の中にございました、こまかいような点ですが、伺つておきたい。医者に対して研究費が出るというお話でございますが、これは大学附属病院に勤務する医者でございますね。特別研究の場合は、やはり厚生省の予算として研究費が出されるのでございましようか。その場合は文部省関係の予算でございましようか。
  75. 小澤瀧

    ○小澤説明員 国立病院、療養所におきまする研究費は、国立病院並びに国立結核療養所に勤務しておる、その病院における研究だけにいたしますので、それ以外のものは出しておりません。従来は、文部省が研究費をとつておりまして、これに加えまして、私どもの方の施設の職員が、文部省から研究費をもらつてつておつた分もございます。これにプラスしてやつておつたものもございますが、二十六年度から、これは各省別にはつきり区分いたされまして、本年度の厚生省の研究費予算は国立病院、結核療養所のそれぞれ持つておる研究費に加えまして、従来文部省の持つておりますところの研究費の厚生省分が、厚生省に所管されることになつたわけであります。
  76. 堤ツルヨ

    ○堤委員 ただいま松本委員から御質問がありましたけれども、今日私どもが審議しましたところの請願書は、実に大事な問題ばかりでございます。単に病院課長だけここへ来てもらつてもかたづかない問題が非常に多うございます。もはや相当私どもあつちこつち見せてもらいましたけれども、国立病院とか、療養所というものは、全般的に実にどろくさい情ないものであつて、一体厚生省はこれをどう考えておるか。私は今まで終戦後五箇年の行政に対して、大きな反省を加えるべきであるということを、前々々国会あたりから叫んでおるのでありますが、善処いたすという御答弁はただいまの通りなされるのでありますけれども、一向に改善されずに参りました。今度の予算の要求についても、どういうふうに考えてこれを出されたかということについて、根本的に局長や大臣あたりにお伺いして、私は国立病院に働く人たちのために、また今後の国家の医療行政のために、十分な検討をまじめに加えて行かなければならぬと思います。たくさん並んだ請願を、一つの行事のように、すらすらと読んで、簡単にこれを通す問題ではない、こう考えますから、患者からも、従業員からも痛切な叫びが出ておりますこの問題を、病院課長だけこの席に来てもらつてども相談しても片づきませんから、次の委員会には、責任ある御答弁のできる上の方々に出ていただいて、私どもは根本的な質問をまとめさせていただく、そうしてこの委員会が、まじめな療養所、病院に対するところの検討をすべきであると思いますので、この点をお願いしておきます。私は課長さんを、まるで御答弁できないような方のように申し上げまして済みませんけれども、今日課長さんにお尋ねして、お答え願えることだけを、時間のあるだけ聞かせていただきたいと思いますから、ひとつその点お許しを願いたいと思います。  実はきようの請願を全般的に見まして、私はこの国立病院だとか、国立療養所だとかいうものが、もはや今日の日本の民間の医療水準から、何だかはるかに低いところにあるような感を与えるようになつておるという気がいたします。というのは、先ほどから問題になつておりましたところの、医者の待遇の悪い問題であるとか、施設の十分でないということとか、いろいろな問題がからみ合いまして、患者の質さえも、ある方に片寄つてしまつたのではないかという感がいたすのであります。この点病院課長は、今後長くこれを続けて前進させて行かなければならないのですが、どういう考えをお持ちになつておるか、あらためて最近の御心境を伺つて、重要な立場におありになる課長としての責任をお伺いかたがた、根本的に一度聞かせていただきたいと思います。
  77. 小澤瀧

    ○小澤説明員 御指摘のごとく、今日の国立病院、療養所の施設は、建物それ自体を見ると、水準以下のように考えられますが、これは建築年次が少し古く、しかも途中で戦争その他の事故もございまして新築工事もできず、その修築等もせられていない。そのために逐次建物の質が悪くなつて来ましたためであります。従いまして、私どもの方といたしましては、できるだけ予算をいただきまして、施設を国立病院にふさわしいものに改善いたしたいと考えております。しかしながら、国立病院、療養所の中におけるところの治療そのものはどうであるか。これは私は決して水準以下とは考えておりません。ものによつては水準以上と信じております。さらに職員の努力によつて、研究費等も適正なる運用によりまして、研究をさらにレベル以上に持つて行きたいと考えております。なお、その他病院の管理運営全体につきまして、御指摘のごとく、結核療養所は職員の数が少い。定員がありましても、看護婦等が十分補充できないということ等のために、大きな支障を来しておるのでありますが、しかしながら、全体の管理運営そのものにつきましては、必ずしも低い水準であるとは考えておりません。病院の組織なり、あるいは監督系統なり、経理系統なり、それらのものにつきましては、さらに研究する余地もあるかと思いますので、これを検討いたしまして、さらによりよき運営に持つて行きたいとは考えております。
  78. 堤ツルヨ

    ○堤委員 ただいま病院課長が、形の上においては悪いけれども、その医療の質においては、決して劣るものではないというところの信念を持つてつてつてくださることは、せめてもの慰めでございまして、けつこうでございます。名古屋の国立病院などは、特定の医者を集めて非常に好成績をあげられ、常にベツドは満員であつて、これを続けておるという状態も拝見しておりますので、否定はいたしません。そして私は、国立の療養所や病院を、今日十分でないからなくしてしまつて、全然方向をかえるべきであるという意見も持つておりませんので、そういう希望を持たれて、病院課長は今後の機構の運営や、完全な国立病院、国立療養所の運営に努力されるように、切にお願いしたいのであります。しかし、その数たるや、課長は内容においてはそう劣つていないとおつしやいますが、病院の数は実に少うございます。やはりこれは他の民間だとか、また他の地方立の病院などに比べれば、非常にきらわれている病院が数多いということを十分御認識願つて、今後の課長としての重責を果されたいと思うのでありまする。私は、地方的に偏してまことに恐れ入りますが、松本委員と同様に、滋賀県の例を言いますと、滋賀県においては、療養所が二箇所ございます。私は二回ほど参つておりますが、ここではきたない話を申し上げますが、患者さんの排泄物が処置できないのであります。なぜかと申します。と、本省から参りますところの予算がございませんので、痰や汚物の始末をするところの施設ができないというようなことでございまして、本省から御視察になつて、十分従業員や患者の声をお聞きになつておると思うのでありますが、山の方にはるか木枯しの吹く中を紙に包んで持つてつて、土に埋めてごまかしてあるというのが実情でございまして、滋賀県の国立療養所二つのごときは、まことに八幡などの非常にモデル的な療養所を持つております県といたしましては、私自体も患者に顔を合せられないような立場にあるのでございます。なお国立病院は幸い、新築移転されるようになりましたけれども、荒野の中にありまして、今日まで従業員は非常に苦労して参りました。患者や地方民はこれになじまず、まるでたぬきの出そうな辺鄙な、まつ暗がりの中に、庶民階級の患者だけがやむを得ずたどりついたというような、今日までの実情でございまして、これはお調べになれば、はつきりしている。地方末端においでになりましたならば、東京の近郊の国立病院とか、国立療養所のごとく目の届いておらないところに、いかに水準の低いものがあるかということを、ひとつ今後課長はよくわらじをはかれまして、御視察になつて、地方民の声を聞いていただきたいということを、この委員会の席上で申し上げておきたいと思うのであります。  なお、予算の関係もございますので、大蔵省あたりの認識が改まりませんと、国立病院、国立療養所の今この山積しております請願の数々を片づけることはできないと思うのであります。でありますから、この山と積まれましたところの請願を、ひとつ大臣以下鳩首されまして、まじめに今後の国立病院、国立療養所のあり万の多角形的な検討を、あらためてしていただきたいということを、私お願いしておきたいと思います。まことに課長さんが、ない予算の中から御苦労なさつていることを知りながら、悪口ばかり申すようでございますけれども、地方の実態を見てみますと、まつたくさようでございまして、大阪などへ行きましても、日赤だとか大学病院のようにりつぱなものがある。京都あたりでもある。ところがどろくさい国立病院などでは、はえのたかつている麦飯をおこうこ一つで食べているという風景も多いのでありまして、あながち六大都市を離れた山間漁村の問題だけでなしに、六大都市に近い国立病院にも、なおこうした情ない状態があるということを、私は指摘いたしまして、将来国立病院、国立療養所というものを、モデル的なものとして成長させなければならないということを力説いたしますと同時に、私たち委員会におきましても、この点につきましては、視察の結果を十分に検討いたしまして、政府に御協力を申し上げたいと思いますので、この点は十分課長におかれましても、いろいろな関係の方々と相談されて、善処されたいと思います。
  79. 苅田アサノ

    苅田委員 先ほど堤委員が申されましたように、この請願の審査にあたりましては、この次の機会に、どうぞ国の厚生行政に責任を持たれておる大臣以下の方たちの出席を願いまして、必ず審議をやつていただきたいということをお願い申し上げまして、今日はもう少し部分的な問題をお尋ねしたいと思いますけれども、それは今日たくさんの請願の中に、給食費の問題がずいぶん出ております。私がお尋ねしたい点は、現在の給食費が療養所と国立病院とでは違つております。この点の不合理を訴えた請願が多いわけであります。それから各地域でもつてつております。この点も、都会では、肉が安いかわりに野菜が高い、またいなかでは、肉が高いかわりに野菜が安いというようなことがあつて、必ずしもそういつた地域差は適当でないという訴えもあるわけであります。それから次に、現在の基準では、あまりに低過ぎる。これは御承知のように、今年になりましてからでも、副食物以下大幅に値上りをいたしておりまして、生活保護法でも基準をお引上げになりましたが、療養所並びに国立病院関係の給食費について、どの程度引上げをなさるおつもりですか、そういう点についてお聞きしたいと思います。
  80. 小澤瀧

    ○小澤説明員 国立病院と療養所の患者のまかない材料費の違いは、結核療養所におきましては、患者加配米が月百四十グラム、なお油等の特配があるための価格差によるものでございます。それで国立病院におきましては、昭和二十五年度の患者一人当りの給食費は六十三円、昭和二十六年度におきましては、ただいま七十二円としてお願してございます。結核療養所におきましては、昭和二十五年度の六十七円が二十六年度は七十七円、癩療養所におきましては六十六円が七十五円、精神病院も同様でございます。
  81. 苅田アサノ

    苅田委員 一つ一つの御答弁のようでございますので、私も一つ一つお尋ねしたいのです。そういたしますと、国立病院とか療養所とかは、標準の経費は違つておるようでも、内容は違つていないとおつしやるのですね。出す食事の内容は違つていないという建前をとつておられるように考えられますが、いかがでございますか。
  82. 小澤瀧

    ○小澤説明員 主食につきましては、特配分だけ内容が違います。副食につきましては、その地方々々の最も安く、最も手に入りやすい栄養価値のあるものを、主として選んでおりますので、同じだとも申し上げられませんし、ひどく違うとも申しにくいかと思います。
  83. 苅田アサノ

    苅田委員 主食の方はそれでよろしいといたしまして、副食の点の違いということは、ごく表面的なものなんですから、わざわざ差異をつけなければならないというほどの理由はないと思うのです。それからまた癩療養所の食費が低いのですが、癩療養所では、プロミンを使うにはどうしても栄養がよくなければだめだというので、給食費を上げてくれという要求が、非常にたくさん出ていると思うのでありますけれども、この給養費を結核の療養所より低くしてあるということはどういうわけなのか、この点もお伺いしたいと思います。
  84. 小澤瀧

    ○小澤説明員 ただいまの私の説明の言葉が足りなくて、はなはだ恐縮でございました。ただいまのまかない材料費の違いは、もつぱら主食加配があるかないかで違うのでございます。加配になつた分はそれだけ金額をふやしております。加配がなければ全部同じ金額になります。癩療養所の場合は、やはり百四十グラムの主食の加配がございますけれども、油の配給がございません。そのために結核療養費と二円の差がついております。
  85. 苅田アサノ

    苅田委員 その違いというのもおかしなものですが、地域差はやはりおつけになるのですか。
  86. 小澤瀧

    ○小澤説明員 結核療養所におきましては、都会にあるものと、ごく僻陬していなかにあるものとでは、いろいろ立地條件が違つておりますから、ひどい差がありまして、物価もたいへん違つておりましたので、従来は実際の予算配分にあたりまして一円、二円くらいの程度で、差をつけておつたのでございますが、最近は各地域ともまかない材料費がならされて参りましたので、今後はつけないで行く考えをしております。
  87. 苅田アサノ

    苅田委員 二十五年度に対する二十六年度のまかない費の値上げは、内容上の値上げになつていないで、ただ物価の値上げに伴つた値上げにすぎないのではないか。私は詳しく当つていませんけれども、どうもそれくらいに思えるのです。そういたしますと、内容上は決してよくなつていないのではないか、あるいは下つているところもあるのではないかと思うのです。まあ、検討してみなければわかりませんけれども、その点はどうなんですか。
  88. 小澤瀧

    ○小澤説明員 この予算を編成いたしますときには、実は十一月に主食が上るであろうという金額を予想して、値上げしたのでございますが、その後主食で申し上げますと、約三円弱の値上げになつております。しかしながら、予算面には十円の値上げでございましたので、従いまして、副食物について七円だけよけいにつけ足したということになつておるのでございます。さらにその後、ことに最近副食物の値上りがありましたために、私どもといたしましては、患者全体の栄養状態をよくするために、主食のほか、副食について七円増加いたしましたが、結果として、さしたる向上にはならないのではないかということを心配しております。従いまして、私どもとしましては、将来補正予算等の機会がある場合においては、この点をぜひ是正して行きたいと考えております。
  89. 苅田アサノ

    苅田委員 私はこの問題は、やはり完全給食の問題とにらみ合せて考えなければいけないと思うのです。従来は、栄養の足らない点は各自が補つていた分もあつたわけですが、今度は、これで大丈夫だ、病院の給与で栄養は十分なんだという建前で完全給食を主張しておられるのであります。それが今病院課長がおつしやつたように、やはり内容がよくない、さして改善されていないということになれば、患者の不満は一層大きくなると思うのです。これはどうしても完全給食とにらみ合せた食費の値上げということは、それでなくともしなければならないと思うのですが、この点どういうふうにお考えになつていますか。
  90. 小澤瀧

    ○小澤説明員 その点私どもも考慮いたしまして、十二分に二千四百万カロリー以上出るということを目標にして、まかない材料費の値上げをお願いしたわけでございますが、その後不幸にいたしまして、物価変動があつたために、せつかく値上げしていただきましても、われわれの素志に沿いにくいという状態に今日なつているということを、申し上げておきたいと存じます。従いまして、将来の物価趨勢とのにらみ合せの上におきまして、もしも補正すべきであるならば、適当の機会にまたお願いしなければならぬだろうと考えております。
  91. 苅田アサノ

    苅田委員 私は、ただいまの御答弁は非常に不満足なんです。なぜかと申しますと、これらの結核患者にとりましては、薬よりも栄養が第一の闘病の條件になつていることは、私どもしろうとでもよく存じております。だから、こういうように物価が上るにつれて、やはりその條件も逐次直されるということだけは、少くともしなければいけないと思うのですが、その点いかがですか。
  92. 小澤瀧

    ○小澤説明員 昭和二十五年度のあの程度の予算でも、結核療養所につきましては、すべて二千四百カロリーは確保しておつたのであります。私どもといたしましては、それ以上に質的によくするために、昭和二十六年度の予算をお願いしたのでございますが、その後食糧物価等が騰貴して参りましたので、その意図に沿い得ないというわけでございます。
  93. 苅田アサノ

    苅田委員 もう少しはつきりしたお答えがいただけないでしようか。その御答弁では、同じことになります。ただ二千四百カロリーとおつしやいますけれども、これは患者の実態をよくごらんになれば、机の上で二千四百カロリー出ていても、高熱のために患者は食欲も減退しておりますし、高熱を発すれば、それだけよけいな消耗もあるので、もし二千四百カロリーとらそううと思えば、二千四百カロリーないし三千カロリーなければだめだと思うのです。その点から考えても、非常に不合理だと思うのです。ことに厚生省の栄養課では、昨年あたりから、栄養をとるためには病院の給食費はどうしても百二十円はなくてはならないと言つているのです。同じ厚生省の中で、病院課の方で設定なさる完全給食と、栄養課の方で言つている必要な費用というものが違うということは、私どもは非常におかしいと思うのですが、その点どうですか。
  94. 小澤瀧

    ○小澤説明員 私ども患者の栄養をよくすることにつきましての熱意と努力は、決して劣らないと考えております。積極的にいい食べものを与えなければならぬと考えております。しかしながら、何と申しましても、ただいまの予算状況下におきまして、われわれの取得し得るところの限度の予算におきまして努力した結果が、結局この程度におちついているということを申し上げたいのでありますが、ただこれでもつて満足しているものでは決してないのでありまして、今後ともこれをよくするためにできるだけの努力を傾倒して行きたいと考えております。その考え方を申し上げておく次第でございます。
  95. 苅田アサノ

    苅田委員 私これ以上病院課長を責めても、この問題は解決つかないと思うので、やはりこれは大臣なり、あるいは次官なりが見えた席で、もう少しお聞きするつもりです。ただ私は、あなたにちよつと申し上げておきたいことはこの食事の問題は、ただおなかを一ぱいにするかしないかの問題ではなしに、やはり結核患者一人なおすかなおさないかの問題ではないかと思うのです。その熱意が警察予備隊の一人つくるかつくらないかというような問題よりも、今の日本としては大切だと思うのです。わずか食事を上げる上げないの問題、これをやつたところで、そんなに何十億、何百億という予算がいるわけではないのですから、皆さん方は自分の仕事の重大性を考え、もつと真剣に必要な予算だという自覚のもとに、強く要望していただきたいと私は思います。関係の所管の予算のことですから、もちろん皆さんが要求なさつたと思うのですが、要求の仕方が足りなかつた。これは日本としては、もつと本気で要求してとつていただかなくてはならぬ予算だと思うのです。ほかの方に幾らでも非生産的ないらない予算が出ているのですから、こういう問題こそ、本気になつとつていただきたかつたのです。将来のこともありますので、このことについては、私どもも御後援いたしますから、ぜひやつていただきたいと思います。  ほかにもございますけれども、これはやつてみましたところで、やはり大臣なり、次官なりがおいでにならないと責任ある御答弁が得られないと思いますので、私はこの程度にいたしたいと思います。
  96. 松谷天光光

    ○松谷委員 ただいま課長の御答弁の中で、なお具体的に伺つておきたいのですが、課長の熱意も十分了承をいたします。何分にも全予算の中で、非常に消極的に扱われる厚生予算の中で、しかもまた課長の御努力があるにかかわらず、この程度でとどまらなければならなかつたという事情もあるということを了承いたしましたが、最初病院課長が要求された二十六年度の額が、国立病院は七十二円、療養所は七十七円という水準をお示しくださいましたが、それは初めから要求なさつたのか。要求額はもつと大きくてそれが全体の割振りから、こういうところにならざるを得なかつた状態であるのか、その点を伺わせていただいて参考にし、私どもの今後の進め方の資料にしたいと思います。
  97. 小澤瀧

    ○小澤説明員 要求は、もつとたくさんいたしたのであります。
  98. 松谷天光光

    ○松谷委員 それはどのくらいですか。
  99. 小澤瀧

    ○小澤説明員 たしか八十五円程度ではなかつたかと思います。
  100. 松谷天光光

    ○松谷委員 それは病院でございますか、療養所が八十五円でございますか。
  101. 小澤瀧

    ○小澤説明員 そうでございます。それから病院の方は、材料費を引いた分ですから約五円差がございます。その程度要求いたしたのでございますけれども、全体の折衝の結果、この程度におちついたわけでございます。
  102. 松谷天光光

    ○松谷委員 なお重ねてお伺いしておきたいのは、病院課の方のお考えとしては、大体八十五円で二千四百カロリーは十分であるというお考えでございますね——これは昨年の十月当時の物価水準の上に立つての御計算でございましたでしようか。
  103. 小澤瀧

    ○小澤説明員 その通りでございます。たしか私どもこの数字をつくるときは、八月ごろから作業にかかつておりましたので、八月あたりの物価水準で考えております。
  104. 松谷天光光

    ○松谷委員 あとの質問は、次の機会に讓らせていただきます。
  105. 堤ツルヨ

    ○堤委員 ただいまの二千四百カロリーの問題、私たちが国立病院を見せていただきますと、なるほどちやんと出ているのです。出ていますので、安心して炊事場へ行つて見るのです。そうすると、なるほど二千四百カロリーであるかもしれないけれども、これでは熱のあるTBの患者には食べられないというようなやり方をやつている。実に不親切きわまる。私が申しましたようにはえもたかつておれば、まぜてごちやくちや……。なるほどにんじんとだいこんといわしをまぜれば、相当あれかもしれませんが、ごたくにまぜて、それをバケツにぽかつとほうり込んでわけて歩くという式です。もし私どもが自分の息子を入れておるとしたら、もうけつこうですと連れ出して私が朝晩長べさせたいと思うくらい不親切なやり方を、炊事場内でやつている。これも人手が足りない、定員に、縛られるということになると思うのでありますが、定員に、縛られてどうにもしようがないならば、その中においても、また方法もありましようから、そういうことは、特に御注意願つた方がいい。二千四百カロリーは、机の上ではそれはとれているのです、私どもが見ても。ところが、それを食欲のない患者にとれるような方法で与えておるかどうかということを検討したときに、ここに問題があると思う。先ほど苅田委員が発言なさつたとれないという問題も、ここにあると思いますので、ひとつこういう点も、もう少し御研究を願うなり、資料を出すなりして、不自由な中、足らぬ中でも、親切な炊事のあり方を指示してもらいたいと思います。
  106. 松永佛骨

    松永委員長 次会は明十三日午前十時三十分から開会することとし、本日はこの程度にて散会いたします。     午後三時五十六分散会