運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-02-22 第10回国会 衆議院 厚生委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月二十二日(木曜日)     午前十一時二分開議  出席委員    委員長 松永 佛骨君    理事 青柳 一郎君 理事 丸山 直友君    理事 柳原 三郎君 理事 福田 昌子君       大西 禎夫君    高橋  等君       堀川 恭平君    松井 豊吉君       山本 猛夫君    堤 ツルヨ君       苅田アサノ君    松谷天光光君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 黒川 武雄君  出席政府委員         厚生事務官         (大臣官房会計         課長)     太宰 博邦君         厚生事務官         (大臣官房国立         公園部長)   森本  潔君         厚生事務官         (社会局長)  木村忠二郎君         厚生事務官         (児童局長)  高田 正己君         厚生事務官         (保險局長)  安田  巖君         厚生事務官         (引揚援護庁援         護局長)    田邊 繁雄君         厚 生 技 官        (医務局長)   東 龍太郎君  委員外出席者         議     員 金子與重郎君         厚 生 技 官         (公衆衛生局         長)      山口 正義君         專  門  員 川井 章知君         專  門  員 引地亮太郎君         專  門  員 山本 正世君     ————————————— 二月八日  鹿兒島県立鹿屋病院拡充費国庫補助請願(中  馬辰猪紹介)(第四二一号) 同月十九日  はり師及ゆう師生活保護法医療機関中に  加入の請願土井直作紹介)(第六六五号)  国民健康保險事業救済対策確立に関する請願(  大森玉木紹介)(第六六六号)  同(玉置實紹介)(第六六七号)  同(大石武一紹介)(第六六八号)  同(川崎秀二紹介)(第六六九号)  同(園田直紹介)(第六七〇号)  同(木村公平紹介)(第六七一号)  同(川野芳滿紹介)(第六七二号)  同(石川金次郎紹介)(第六八八号)  同(松岡駒吉紹介)(第六八九号)  同(福田昌子紹介)(第六九〇号)  同(小林信一紹介)(第七〇六号)  同(三木武夫紹介)(第七四四号)  国民健康保險事業救済対策確立等に関する請願  (飛嶋繁紹介)(第六七三号)  同(清藤唯七紹介)(第六七四号)  同(堀川恭平紹介)(第六七五号)  同(中崎敏紹介)(第六八七号)  同(羽田野次郎紹介)(第七四三号)  遺族援護強化に関する請願福田喜東紹介)  (第七六八号)  同(堤ツルヨ紹介)(第七六九号)  国立病院医師待遇改善に関する請願金子與  重郎紹介)(第七七〇号)  国民健康保險に対する給付費国庫負担等に関す  る請願堤ツルヨ紹介)(第七七一号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十六年度厚生省関係予算に関する件     —————————————
  2. 松永佛骨

    松永委員長 これより会議を開きます。  まず昭和二十六年度厚生省関係予算に関し説明聽取の件を議題とし、前会に引続いて、各局長より局別予算の詳細なる説明をお聞きしたいと存じま
  3. 木村忠二郎

    木村忠政府委員 社会局の昨年度予算の重要な点について、御説明申上げます。  昭和二十六年度におきましては、第一が社会事業従事者、これを專門職員としての素質を向上するという点に、重点を置きたいというふうに考えまして、これに関連しましての経費といたしましては、社会福祉時報をつくりまして、これを教養の資料に使う。それから現在訓練職員講習会査察指導現任訓練講習会社会福祉事業職員研修委託費、それから地方現任訓練講習会補助といつたような各種経費見込みましたほかに、身体障害者の問題につきましては、身体障害者福祉司等教養訓練経費を見込んであるわけでございます。そのほかに社会事業従事者の養成のために、従来と同様に東京及び大阪に社会事業学校経営いたすための経費を合計いたしまして、五百三十四万円ほど組んでおります。次に生活保護に関する経費でございますが、生活保護に関する経費といたしましては、明年度は合計でもつて大体二百十億ばかりの経費を組んでおります。本年度の百五十億と比べまして、補正予算でもつて十億ふえておりまするから——約五十億の増額になります。こういうふうに増額いたします理由は、一昨年の四月以降、逐次生活保護対象となりまする被保護者の数が増加いたして参りまして、一昨年の一月には百五十八、九万という、百六十万を割つた数字つたのでありますが、その後昨年の夏ごろから急激な増加を示しまして、昨年の十月現在で、約二百万を少し突破するというような状況なつております。そういうように対象がふえて参りましたことが一つと、もう一つは米価がこの一月からかわりましたのに伴いまする飲食物費増加のほかに、一応飲食物費以外の経費につきまして、大体五割の増額ということを目標にいたしまして、各種補助單価を改訂する見込みをもつて予算を組んでおるわけでございます。従いまして、生活扶助費につきましては、従来本入五千三百円單価でありましたものが、二十六年度は、五千八百八十円ということになるようなつもりで、予算を組んだのであります。住宅扶助費につきましては、現在の單価がはなはだしく不合理でありますので、昨年度予算におきましては、二倍半に引上げるということにいたしたいというつもりで、予算を組んでおるわけであります。それから教育扶助につきましては、全体といたしまして、單価の五割増しというぐらいの目標を持つております。ただ明年度からは、小学校の一年生にだけ、教科書の一部が無償配付になるようでございますので、その点が若干減りまするけれども、全体としまして内容を豊富にするというつもりでおるわけであります。増加見込みは、大体毎月平均二四%の上昇率で計算しておるのでありまして、それらの諸経費を合せますると、ここにございまするように、大体二百十億ということに相なるわけでございます。なお明年度におきましては、そういう保護経費のほかに、生活保護法施行事務経費補助するようにという、地方からの強い要望に基きまして、本年度補正予算で千八十余万円ほど、その経費を組んだのでございまするが、明年度は当初予算に三億二千五百五十八万円計上いたしまして都道府県庁事務費及び福祉に関する事務所を今度設けようと思つておるのでございますが、この事務費に対して補助いたしたいというふうに考えております。なおこの事務費補助の中には、もちろん査察指導と申しまして、地方生活保護が適正に行われておるかどうかという点を検討いたしまする経費も、この中に含まれるのでございます。なお生活保護に関連いたしまして、保護施設の補修及び増設の経費が会百計約三億ばかり補助金として計上いたしてございます。  次に、身体障害者に関する経費といたしまして、先ほど申しましたように、身体障害者更生に関しまする職員指導訓練をいたしまする経費のほかに、身体障害者保護更生に必要な経費といたしまして、明年度におきまして一伊五千三十六万六千円予定いたしております。二十五年度におりましては、当初予算が五千四百七十六万九千円補正予算でもつて五千百六十六万五千円を計上いたしまして、二十五年度総額一億を少し越えるのでありますが、それと比べまして、総額四千三百万円ばかりの増額ということに相なつております。この内訳は、第一が身障害者手帳交付経費、それから身体障害者更生援護措置費——更生援護措置費と申しますのは、身体障害者にその身体障害を克服するに必要な各種補裝具、これを自分で支弁できない人に対して無償交付するための経費で、ございまして総数約六万二千人ぐらいの対象に対しまして、盲人安全つえ補聽器、義肢、車いす、收器、コルセツト、こういつたものの交付は八割補助をすることになつて、これが約一億四千万円になつております。そのほかに新たに診査巡回相談指導事業を行いますところの経費補助見込みました、また身体障害者更生援護施設の整備のための補助金——これは施設をつくる経費でございまするが、明年度におきましては、八箇所の経費を組みました。その他従来からやつておりまする相模原の国立身体障害者更生指導所経営並びに国立光明寮経費でございますが、この経費が組んでございます。国立光明寮につきましては、従来塩原と東京の二箇所にあつたのでありまするが、明年度は新たに神戸国立光明寮を開始するようにいたしたいと思いましてその経営経費が含まれております。それが新たに三百九十万円ほど組まれております。神戸国立光明寮は、現在建設中でございまして、大体年度内にこれができ上る見込みでございます。  それから次は、公益質屋の件でございますが、これは従来なかつた経費でございまして、公益質屋を整備拡充いたしまする経費といたしまして、約一千万円を予算に新たに組みました。これでもつて現在国民生活資金の金融のために、非常に要望されておりまする公益質屋を、整備拡充いたしたいというふうに考えておるのであります。その他災害救助に必要な経費、あるいはララ救援物資処置に必要な経費、それから婦人保護に必要な経費というものが、従来と大体同程度に見込んであります。なお災害救助に必要な経費は五千万円ほど計上いたしたのでありまするがこれは応急的に出さなければならないというものについて、一応組んだのでございまして、もし災害がたくさん起りまして、これで足りない場合におきましては、別途措置するということに相なつております。  以上まことに簡單でございましたが、社会局関係明年度予算のおもな点について御説明を申し上げた次第でございます。
  4. 松永佛骨

    松永委員長 ただいまの御説明について何か御発言はありませんか。
  5. 堤ツルヨ

    堤委員 ちよつと局長にお尋ねします。生活保護法関係でございますが、なるほど総額から見ますれば、二百十億になつておりますので、非常にふえたかのごとき観を呈しておりますが——これは六大都市五千八百八十円という標準でございまするが、これに何らかかわりなく二百十億になつたものでございまして、今御説明がありました通りに、世帶数がふえたこいうところに原因があつたのでございます。しかし、これは御存じの通り、昨年の大月から今日までの物価騰貴を計算してみますと、約四割方上昇しております。でありますから、そこに私は標準支給額というものに対して検討を必要とするのではないかと思いますが、その辺局長はどういうふうにお考えなつておりますか。
  6. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 この生活扶助基準でございますが、生活扶助基準に使つておりまする各種の資材につきましての物価騰貴につきましては、一応従来から調査いたしておりまして、ここで五千八百八十円というふうに計算いたしました際には、最初つくりましたときの單価と、それからこれをつくりましたときの單価との間におきまして、物価の変動があまりないというのが、そのときの状況でございました。その後最近になりましてこの予算を組みました後になりまして、物価が相当上つておるようでございまするが、これにつきましては、なお四月までの間に十分検討してみたい、かように考えております。
  7. 堤ツルヨ

    堤委員 これは昨年の暮れ、十一月ごろの仮案でございましようから、十分検討していただかなければ、とうてい私は生活困窮者ほんとうに救つていただくことはできないと思います。都市におきまして玉千八百八十円というところの單価が出ておりましても、今給与生活者官公労あたりは、地域級を非常に問題にいたしておりますが、ことほどさように、六大都市と、それからいなかの何流都市かを比べて、物価の違いはないように拝見いたしますので、全国的に六大都市五千八百八十円單価から順番に繰下げられました今までの支給率では、私たちが国内を歩きましたところ、実際には生活保護法が、むしろ金を捨てたような感じなつているんじやないかというような実態を見ますので、このわくに縛られずに、物価騰貴いたしました今日をよく勘案されて、これをもう少し訂正していただかなければならないのではないかと考えますが、ただ考えるだけでなしに、訂正を考えられるようなお考えまでお持ちになつておりますか、どうでしようか。
  8. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 これは一応予算單価といたしまして私の方で計算いたしましたところの五千三百円を五千六百八十円にいたしました根拠につきましては、飲食物につきましての單価の増も若干見込んでありますが、主として内容充実という万で一応計算いたしております。しかしこの保護費の執行の面から見ますと、要保護者増加の趨勢というものが、必ずしも予定通りには行かない。最初増加するであろうというふうに考えておつたものが、途中で増加しなくなるというようなこともございますし、また予定よりも非常に増加して来るというようなこともございまして、実際には私の方といたしましては、必要な経費は払わなければならないというふうになると思います。従つて今後の生活保護法施行状況を十分勘案いたしまして、われわれといたしましては、できるだけ内容充実を見るように努力いたしたいと考えております。われわれとしまして、は、これをつくりますのに、五千八百八十円という單価が適当であろうというふうに考えるわけでありますけれども、実際にこれを施行します場合におきまして、はたしてそれが妥当であるかどうかという点は、また問題になつて来るじやないかと思います。これにつきましては、財務当局とも十分折衝いたしまして、必要な措置を講じて参りたいと思つております。
  9. 堤ツルヨ

    堤委員 私局長にここでお尋ねいたし、なお私の希望を述べたいのは、昭和二十五年度生活保護法わくの中において、第三国人生活保護法を受けている者が総額の何パーセントに当つているか、そういう統計が出ておりましようか。
  10. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 私の方の統計としましては、国籍とかなんかを区別して統計をとりませんので、何パーセントが第三国人であるかということは、特別に調査をしない限り、わかりません。特に全国的にはわからないのでありまして、実際に各地が別にそれの非常に著しい部面については拔いて調べることはできますけれども、全体的にどうなつておるかということは、現在の統計のとり方ではわかつておりません。
  11. 堤ツルヨ

    堤委員 私はちよつとふしぎに思うのでありますが、私たち地方に行きますと、これが非常に問題になつております。ことに朝鮮の方々の、動乱事件がありまして以来の各地方生活保護法適用のパーセンテージを調べてみますと、たとえば、私の方の滋賀県の四日市におきまして——県内におきましては、かなり大きな町でございますが、そこで生活保護法適用を受けておる者の、八〇%は韓国の方であるというようなことで、実際統計も出ておりますし、町民はこれに非常に大きな関心を持つております。これは至るところに見られる実態であろうと思います。この生活保護費の二百十億、これは国民の血税でありまして私たちはこの人たちを守るという点において、大きな関心を持つと同時に、またその使い道に対しても、慎重でなければならないと思うのであります。こういうことを考えましたときに、一応私は、局の方から、第三国人生活保護法適用をしていらつしやる統計くらいは出していただいて、そしてこれにまじめな検討を加えて、国民の納得の行くように、生活保護費使い道というものを明らかにすることが、ほんとうではないかと思いますので、この点局長に特にお願いしておきたいと思います。
  12. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 生活保護法建前といたしましては、原則として外国人保護しないのが建前であります。現在の生活保護法を見ますると、国民だけを対象にいたしておりまして、その他の者につきましては、事実上緊急な必要によりましで保護をするということになつております。ただ韓国人並びに台湾籍人、これは現在はまだ外国人というふうに扱えないのでございまして、現在の状況では、やはり内地人と同じ扱いをするということになつておりますので、これにつきましては、特別にその方についての調査をするということは、保護法の精神からいたしますると、適当ではないのでしあります。ただ、たとえば集団的な生活保護の申請でありまするとかいつたようなことになりますると、これは生活保護法が、個人を対象としている、個々の家庭対象としているということからいたしまして、適当でありませんので、その取扱いにつきましては、一般的に韓国人でありましても、日本人でありましても、同様な扱いでもつてそういうことがないようにいたさなければならぬというので、そういう事務扱い方、仕事の運び方というようなものにつきましては、十分監査をいたして、不当あるいは不正なことのないようにいたしたいと考えて、そのことについては努力いたしておるのであります。
  13. 堤ツルヨ

    堤委員 なお、この中にある教育扶助費の問題でございますが、私たち地方を歩きまして教育扶助というものが單独に設けられたけれども、実際に老人家庭母子家庭貧困家庭において、教育扶助を申請しても、なかなかもらえないという声が強いのでございます。私今度のこの額を見ましても、やはり前年度と同じく、そういう声を聞くのではないかと思い、ほんとうに子供の教育扶助はできておらないように思うのですが、この予算をお組みになつ局長、どうでございましようか、前年度あたり対象してみてのお考えちよつと伺いたい。
  14. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 教育扶助基準の額につきましては、現在見込んでおりますものは、従来の約五割増でございます。これは非常に少いようでございますけれども、たとえば中学校の一年という数字を見ますと、今度もし五割増額になると、年額四千円くらいになります。従いましでその金額といたしましては、妥当な数字なつておるといえるのではないかと考えます。なおそのほかに、学校の給食の費用は別途出すことになつておるのでありまして、従つて教育扶助費といたしましては、これが適正に運営されて行くならば、この増額ができれば、今度は割合問題は少くなるのではないかというふうに考えております。今お話のように、実際扶助しなければならぬ人が、申請しても、扶助されないということのないようにするために、われわれといたしましては、このケースの取扱い方について、今後事務的にもう少し指導いたしまして、あとから見てはたして申請して扶助しなければならない者が、扶助されなかつたかどうかということを、具体的に書面の上ではつきり証拠を残しておくというふうにいたさせるつもりでおります。その点につきましては、従来有給專任職員が足りないために、うまく行つておりませんでしたが、明年度におきましては、有給專任職員を全面的に置きまして、これを訓練いたしまして、事務はつきりさせるようにやつて参りたいと思つております。
  15. 堤ツルヨ

    堤委員 大体私地方をまわつてみまして、非常に本省からきびしいお達しが行つているのではないかというような感じを、県庁市町村役場などへ行つて、受けるのであります。というのは、これが改正になつて單独教育扶助を受けるようになつたからといつて、どれもこれもやつていけないというような一つ圧力が、本省からかかつているような気がしてならないのでありますが、あなたの方からそういう指令をお出しになつたことはありませんか、どうもあるように思うのですが……。
  16. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 私の方といたしましては、適正に仕事をやれということは言つておりますけれども、むやみに削れというようなことを言つたことはございません。濫給もいけない、漏給もいけない、どちらも仕事はつきりさせる。つまり漠然と勘でもつて仕事をするのはいけないから、正式にしつかり調査した上でやれということを言つております。そのほかに経費を削れとか、少くしろとかいうようなことを達したことは、全然ございません。
  17. 堤ツルヨ

    堤委員 それならばけつこうでございますが、私たち実際これをやつております役場の吏員の方々などと、ときどき講演会行つたあと庫談会などを持つて、この立場におられる方々お話いたしますと、これをやつているわれわれの苦しい立場も知つてくれというようなお話からして、ずいぶん本省あたり末端官吏に対して、引締め一方で行つていらつしやるような感じがして非常に残念に思います。ですから、こういう点は、そんなに引締めた覚えはないとおつしやられますけれども、その辺ひとつ局長あたりで手心を加えられまして、あまり末端官吏がちびつて、大衆の声を聞いてくれないようなことのないように、ひとつ御留意願いたいということを希望しておきます。
  18. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 ただいまのお話、私もその通り考えておるのでありまして、むやみやたらに引締めるつもりは全然ございません。私どもの方で考えておりますところでは、むしろ圧力本省からではなくして、地方的に加わつておるのではないかと考えております。明年度におきましては、社会福祉事業法が成立いたしましたならば、この仕事は、町村でできるところはやつてもらう、できないところは、この仕事を県に引上げるというつもりでおります。そういたしまして、仕事といたしましてはそういうような地方的な事情にあまり左右されないようにいたしまして適正に運営されるようにいたしたい。保護をする方におきましても、保護をしないという部面、つまり保護を拒否する、あるいは保護をすべからざる八に保護をしておるというようなことのないようにして、なるべく大きな地域でもつてこれをやるようにいたしたいというふうに考えております。
  19. 堤ツルヨ

    堤委員 今度の予算を拝見いたしますと、生活保護法施行事務費ども、新たに加えられておりますので、地方もある程度楽になるかと思いますけれども、十分の八の国家負担に対して、市町村が十分の二を持たなければならないということが非常に影響いたしまして、なるほど聞いたところ適用者である、また国の補助県庁へ行けばとれないこともないけれども、村の財政、町の財政が許さないから、この十分の二に縛られて保護し得ないというような実例が、非常に多いのでございます。この点局員は、どういうふうにお考えなつておりますか。
  20. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 これは現在きまつておらないのでございますけれども、一応明年度の途中から福祉事務所というものがもしできるように相なりましたならば、その際には福祉事務所を設置しているところの主体が二割を出す、そして八割を国が持つという形にいたしまして、自分の方で出したくないというような町村では、そういう負担をしなくてもいいようにいたしたいと考えております。そのかわり、その事務は県で福祉事務所をつくつて、面接全部そこでやるというようにいたしたいと思つております。私どもの方は法案を準備いたしておりまして、これははたしてどうなるかわかりませんが、そうしたいと思つております。
  21. 堤ツルヨ

    堤委員 なお、この生活保護法法自体についてでございますか、民生委員などと話合いましても、非法律の中に惰民をつくるという一つ欠陷を持つておると思います。それは働いただけ差引かれるから、働かないで生活保護費をもらつておる万が得だというので、みすみす勤労意欲を失うということがあると思いますが、その点局長は、この法の欠陥をどのようにお考えになりますか。またさらに、何とか方法を講じられますか。
  22. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 従来の生活保護法におきましては、なまけて働かない者は保護しないという規定があつたのでありますが、今度の新しい生活保護法では、そういう規定を除きました。むろん生活保護法施行機関でありまするから、生活の指導はできるように相なつております。その指導に従わない場合には、その保護を一旦停止されるということはありますけれども、この金をやるとかやらぬとかいうことでもつて人の生活を規律することは、人間を尊重する趣旨でないと、われわれ考えているのでありまして、そういう心構えの人に対する治療の方法というものは、社会事業における一つの分野として考えなければならぬと思つております。この点につきましては、世界どの国におきましても、精神治療と申しますか、そういう方面が逐次発達して参つております。この点をわが国におきましても十分取入れまして、そうして一つの治療方法といたしまして、そういう習癖をなおして行くようにすべきであつて、金をやるやらぬということでもつて、無理に働かせるというようなことはしたくないというつもりで指導いたしております。
  23. 堤ツルヨ

    堤委員 いかに民主政治であると申しましても、国民教養水準というものは、非常に大切でございますので、ただいま局長も申されました通り、でき得るならば、ひとつ啓蒙をやつていただきたい。これも一つ局長の御任務ではないかと考えておりますから、御同感で御同慶に存じますが、特につけ加えておきます。  それから、失業保險は御担当ではないですけれども、失業保險の費用に対しましても、こうした生活保護法の金に対しましても、これを受けておらない側の国民の層から、いろいろな批判があるようでございます。たとえば、失対費によつて雇われておるところの勤労者が働かぬ人たちだということは、東京あたりでもいろいろ実績が物語つております。私は必ずしも失業者をむちうとうとするものではございませんけれども、朝十時に出て来て、一時間働いて、昼弁当を食べて、夕方の三時ごろには行列をつくつて帰る、それでわれわれの税金を食つておるというような感じを持たれている場合が、非常に多いのであります。それから生活保護法保護者にいたしましても、いつ補助費を持つて来るのか、もうそろいろ持つて来る時期じやないか、おれはきようは昼からいるから持つ来いと、民生委員に吹つかける被保護者がある。こういうことでは、一般の与論として、同情をしておるまじめな考えを持つた人の気持をそらすことになります。これも貴重なる税金でございますから、被保護者に対する教育をなさると同時に、実態調査をされまして、陰の声というようなものも聞いてみなさつて、その調査に基きまして、勤労意欲を失つた検討を要するような被保護者、費用をもらつておる者に対しては、少し私は検討を加えることが必要じやないかと思う。私は、被保護者に対して大きな協力をすると同時に、一つの反省を持たなければ、こうした文化的な法律によつて国民の生活を助けて行き、憲法第二十五条の精神に沿つてまじめにこの金が使われて行くというふうにはならないと思います。この点生活保護法適用者に対して、検討を加えてもらうべき時期に来ているではないかと思いますので、局長にその辺にも力を入れていただくよう希望しておきます。
  24. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 御悦まことにごもつともでございます。私といたしましては、従来この方面の行政のやり方が、すこぶる非科学的であつたということを、十分認めておりまして、今後そういうようなケースの扱い方につきましては、十分慎重にやらなければならぬというふうに考えております。従いまして、そのケースの扱つた記録をいつもはつきりさせておき、またその記録によりまして、そのケースを扱う人を監督すると申しますか、指導すると申しますか、そういう職員をその組織の中に置きまして、常時査察指導する制度をはつきりさせたい、社会福祉事業法案の中で福祉事務所という考え方を持つておりますのは、そういう組織をつくりまして、常時そういうケースの扱いか妥当に行われるかどうかという点を見ながら、取扱い方を指導して行く專門の人を置きまして、その人にやらせるようにしたい。そういうふうにしてやりますれば、十分な知識技術のない人がおりましても、全体がうまくやつて行けるようになるだろうと思つて、そういう組織をこれから整備いたして参りたいと考えております。なおそういう人たち教養及び訓練につきましては、いろいろな方法をもちまして、遺憾のないようにいたして参りたいというのが、われわれの明年度の構想であります。
  25. 堤ツルヨ

    堤委員 社会保障制度に対しましては、局長として大きな発言権をお持ちになつているだろうと思いますが、一日も早く実現せんことを希望している声があるにもかかわらず、この国会におきまして、答申案についての具体的な審議さえも進められる段階に至つておらないことは、まことに残念でございます。この社会保障制度が確立されますまでは、生活保護法により保護を受けている人たちに対して、暫定的な措置がとられなければならぬと考えているのでございます。でありますから、この生活保護法施行のための予算に関しましては、三百十億というわくにとらわれないで、今後いかほどにでもこれを訂正し、補正して、政府はこの庶民階級に対して、憲法の線に沿つて生活を保護して行く、これを強く裏づけして行くという建前に立つて、まじめに、前年度あたりよりもさらに躍進した積極策をもつて望まれることを、切にお願いいたしておきます。
  26. 丸山直友

    ○丸山委員 先ほどの御説明の中に、生活保護法の施行に必要な経費の、うち、医療扶助費の御説明がなかつたのでありますが、昨年度との比較、これはどういうふうになつておりますか。
  27. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 生活保護法による医療扶助費は、昨年は五十五億三千万円、これに対しまして、本年度は大十一億三千九百万円認められております。これは六体医療扶助の被扶助者が毎月二・四ずつふえて行くという上昇率を見込んでいるわけであります。
  28. 丸山直友

    ○丸山委員 社会局予算二百一十億のうち六十一億と申しますと、約四分の一より多く。相当重点を占めておる項目だと考えております。それで医療扶助基準でございますが、この前の生活保護法の制定のときに、医療給付の基準料は国民健康保險の行われているところは国民健康保險の診療方針に従う、それが行われておらなければ健康保險に従うということになつておるようでありますが、国民保險の行われておるところの診療方針というものに、一定のものがないということを指摘して、かなりこれに対して意見を述べたことを記憶しておるのであります。実際先般来ちよつと国へ帰つてみましても、生活保護における医療というものが、医療の給付という面から申しますと、非常に制限治療になつておる事実を、はつきり見て来たのであります。たとえば、結核に対してある注射をしなければならないが、それは生活保護法ではできないというような事実がある。病気の治療に対しては、ある一つの必要な限度がきまつておるのであつて、それを経費関係から制限するというようなことが行われては、それは重大な人権の侵害になるというふうに考えておるのであります。他の部門におきますれば、これは自費をもつて自分の要求を満たすということも考えられるのですが、生活保護を受けておるような経済状態の人々にとつては、そういうことも不可能でありますから、この医療というものが、制限治療に陷らないように行われて行くことが望ましいのであります。実例をあげろとおつしやれば、私はいつでも調査して申し上げます。私は長岡市でありますが、現在行われておる長岡市の国民保險の治療の方針というものも、まつたく一定しておらない、制限が加えられておるという証拠は いつでも提出することができる状態にあります。これは本省で指令なさつてそうなつておるのか、あるいは地方で、ただそういうことをやつておるのか、治療方針に対して、どういうような指令を発していらつしやるか、ちよつと御説明願いたいと思います。
  29. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 生活保護法におきます診療方針といたしましては、昨年の厚生省告示第二百十二号で出しておるのでございます。これによりますると、ストレプトマイシン、パス及び歯科の補綴、これだけにつきましては、特別に若干の制限を加えております。ストレプトマイシンにつきましては、現在それを使えば、治療効果を著しくできるということがはつきりいたしておりまするものだけに、限定いたしております。それからパスにつきましては、現在は一般にその使用を承認しておりません。それから歯科につきましては、歯科の診療方針のうちで補綴についてある程度の制限をいたしております。これは大体現在の生活保護法の根本の考え方に基くところの最低という点で、そういう一応の限定をいたしておるわけでございます。
  30. 丸山直友

    ○丸山委員 現在結核に対して、ストレプトマイシンに非常に制限があるということも知つておりますが、ストレプトマイシンを使用する必要のある場合には、たしか厚生大臣がこれに対して許可を与えるというような条件があつたかと思つておりまするが、それを伺いたい。
  31. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 ストレプトマイシンにつきましては、結核性脳膜炎、粟粒結核、喉頭結核、腸結核それから結核性肺炎、それともう一つ肺結核について胸部の外科手術を行う前後において認められることになつておりまして、その場合には、厚生大臣が承認しなければならぬということになつてはおりません。パスにつきましては、現在厚生大臣の認可を必要とします。
  32. 丸山直友

    ○丸山委員 パスに対して、患者から使つてもらいたいという相当の要望が起つておる事実が、非常に多いのであります。その場合に、厚生大臣に申請して許可をとらなければ使えないということは、非常な手数でありまして、実際診療に当つておる者は、その手数に耐えられない。だから、そんなことなら患者が要望しておるのだから、自分の費用で施療してやろうというような事実さえ見て来たのであります。そういうことに対して診療を制限するということは、ことに生活保護における診療であるがゆえに、特に制限するようなことは撤廃しようというお考えは持つておられないのでありますか。
  33. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 パスにつきましては、現在必ず効果がある、それからこれがなければだめだという、はつきりした点につきましての衛生関係方面からの御意見がございませんので、われわれといたしましては、最低診療という点からいたしまして、これは許可いたしておりませんが、この方面のことがはつきりいたして参りまして、これもストレプトマイシンと同じように、ある種のものについて使わせるということがきまりましたならば、そのときには、私の方で認めるつもりであります。ただ現在では、まだその段階に達しておらない状態であります。
  34. 丸山直友

    ○丸山委員 医学会における決定ということをおつしやいますが、しかし、現在患者が病気にかかつておる場合においては、その経過が自分の期待の通りにいい万に向わない場合、いい方法があるなら、あらゆる方法をやつてもらいたいという熱望を持つておることは事実なんです、その場合に、パスが全然無効なものであるという決定があれば、格別でありますが、そうではない、現在無効だということは確定しておらない。ただ、今のように効力があまり確定しておらないというだけであります。しかし相当に効果があるということも言われ、また普通の国民保險の診療においては、給付が行われておるにかかわらず、また法律においても、国民保險の行われておる場合は、その診療方針に従うと規定があるにかかわらず、特に生活保護に対してそういう制限を加えられるということは、少し私にとつては納得が行かない。またこれでは、患者の精神的な考え方からしても、自分は生産保護を受けておるから、ほかの人と違う制限せられた診療を受けておるのだというひがみの根性を起して来る。こういう欠点のあることも私どもはつきり見て来たのでありまして、そういうことはあまり望ましいことではないと思います。もちろん経費の許す範囲ということも考えられますが、もう少し温情のある措置がとりはからわれないかどうかということであります。
  35. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 別に冷たい気持でもつて、そういうようにしておるのではないのでありまして、生活保護というものが最低なものだという制限から、やむを得ずそういうことに相なつておるわけであります。それは幾らでも手を尽すだけ尽した方がいいことは、申すまでもないことですが、やはり何と申しますか、現状の状況からいたしましては、その辺がはつきりいたさなければ、最低診療として使えるというふうには考えられないわけであります。
  36. 丸山直友

    ○丸山委員 これ以上申しますと、議論になりそうでありますから、中止いたしますが、今後予算をお組みになる場合、また予算を運用なさる場合においては、許す範囲においてなるべく平等の診療が受けられますように、今後その方向に向つて進まれんことを特にお願いしておきます。
  37. 福田昌子

    福田(昌)委員 ちよつとこまかいお尋ねをして恐縮ですが、住宅扶助はどのくらいの予算をおとりになつておりますか。
  38. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 住宅扶助といたしましては、九億三千八百万円という予算なつております。單価は大体従来の二倍半になつております。
  39. 福田昌子

    福田(昌)委員 二十五年度は幾らですか。
  40. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 六億八百六万円ということになつております。
  41. 福田昌子

    福田(昌)委員 それは基準額がふえたのですか。要保護者がふえたのですか。
  42. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 基準額がふえましたが、同時に要保護者増加率は、二・四%ということになつております。
  43. 福田昌子

    福田(昌)委員 額はどれだけですか。
  44. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 基準は二倍半です。
  45. 福田昌子

    福田(昌)委員 従来の基準はどうですか。
  46. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 従来の基準は五人世帶七十円。これはたびたび指摘されまして、いつも言われておるのですが、これの二倍半で百七十五円でございます。
  47. 福田昌子

    福田(昌)委員 教育扶助はどのくらいになつておりますか。
  48. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 明年度教育扶助は、十六億八千四百万円ばかりになつております。
  49. 福田昌子

    福田(昌)委員 二十五年度は、どのくらいですか。
  50. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 二十五年度は八億九千万円くらい。約倍になつておりますが、実際の中身といたしましては、毎月平均二・四%ふえるということを見込みまして、單価は五割増しという基礎でもつて計算しております。
  51. 福田昌子

    福田(昌)委員 そうすると従来の教育扶助内容は、どの程度だつたのですか。
  52. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 中学の一年生の年額が従来約二千九百円でございます。これが五割増しになりますと約四千円以上になります。
  53. 福田昌子

    福田(昌)委員 二・四%率か増加して行くわけですね。今のところは、大体どのくらいの人数なんですか。
  54. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 現在の統計のとり方が非常に不十分でございまして、教育扶助だけとしてのあれが毎月出ておりません。従いまして、現在では保護を受けておる者の総数というのが出ておるわけであります。医療扶助を除きました生活扶助だけを受けております者が、現在約二百万人おるという状態であります。そのうちで教育扶助を受けております者はどのくらいになるかということは、ちよつと資料がございませんので、月別でなしに、ある一定の調べならございます。
  55. 福田昌子

    福田(昌)委員 そういたしますと、これは現金支給でございますか。
  56. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 教育扶助は、現金支給でございます。ただ給食費だけは、直接学校に払つてもよろしいことにいたしております。これはどちらでも学校の都合によるようにいたしまして、普通の教育扶助の方は、父兄渡しになつております。
  57. 福田昌子

    福田(昌)委員 給食費だけの扶助をもらつている連中は、どのくらいありますか。また給食費だけの補助額はどのくらいになつておりますか。
  58. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 これは今手元に資料を持つておりませんから、調べまして……。
  59. 福田昌子

    福田(昌)委員 概略でいいのですが……。
  60. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 概略もはつきり覚えておりません。二十六年の四月にこのくらいふえるだろうという推定でございますが、四億八千四百万円ばかり……。
  61. 福田昌子

    福田(昌)委員 四億八千万というのは、十六億の中じやないですね。
  62. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 十六億の中でございます。全部ではございませんで、給食を実施している県だけでございます。これがふえて参りますと、だんだんふえます、
  63. 福田昌子

    福田(昌)委員 ちよつとお尋ねしますが、給食は昨年はどのくらいだつたのですか。
  64. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 現在数字は持つておりませんのであとで……。
  65. 福田昌子

    福田(昌)委員 昨年よりも、ことしの二十六年四月は、給食費はずつと増額される予定なんですね。
  66. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 給食費は、実際の支給額を支給する、実際にとつている額を支給するということになつております。これは地方によりまして違うようでございます。実際やつておるところに、やつておるだけの額を出すことになつております。
  67. 福田昌子

    福田(昌)委員 そうしますと、大体において額は増加されるわけですね。
  68. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 実際にふえておりますれば、自然にふえて来る。これは実際の文部省の方針とか、地方の方針がかわつて来ますれば、それに影響されまして現在予測しておらないものが出て来るかもしれません。これは払わなければならぬと見ておりますから、もし事実があれば調べます。
  69. 福田昌子

    福田(昌)委員 もう一つ、従来鉛筆や雑記帳の扶助があつたところがありますね、生活保護ということで。それはどれに入つておりますか。
  70. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 やはり教育扶助でございまして、教育扶助といたしまして、学用品費及び教科書代並びに通学用の被服でありますとか、はきものでありますとかいつたようなものが、若干見込まれております。
  71. 福田昌子

    福田(昌)委員 学用品、通学用品といいますものは、一人当り四千円のわく外でございますね。
  72. 木村忠二郎

    木村(忠)委員 すべて四千円のわく内でございます。先ほど申しましたように、給食費は別でございますけれども、学用品その他諸費を含めて四千円……。
  73. 福田昌子

    福田(昌)委員 先ほど、四千円は現金支給だというお話を聞いているんですが……。
  74. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 これは現金支給でございます。私の方ではこれを物で支給することはございません。
  75. 苅田アサノ

    ○苅田委員 最初に生活保護の問題につきまして、ほかの委員の触れられなかつたことについてお聞きしたいと思いますけれども、約五十億増額なつておつて、そうして今年度扶助基準引上げるということになつているんですが、それが実際約五十億の増額の中で、どういうふうにして出るだろうかということが、私非常に疑問なんです。というのは、今社会局長お話なつたように、昨年の一月から十月までの間にすでに四十万人の対象がふえている。そういたしますと、また十月からことしの四月までの増額というものも見込まなくてはなりますまいしするから、来年にかけて対象が非常に縮むか、増額の仕方が減るということでなければ、四十万人がふえただけでも、すでに昨年度予算よりは——四十万とすれば一人が大体一千円に足らない扶助しかもらえない勘定に、その人数の簡單な勘定だけでも、なる。それがどうして五十億円の増加で、しかも基準を上げて生活扶助がもらえるかという点、私ども非常に疑問なんですが、その点お答え願いたいと思います。
  76. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 昨年一年間で四十万人ふえているわけではございません、二年間で四十万人。その点訂正いたします。一昨年四月が最低で百五十九万、それがふえまして去年の九月が二百四万、これが一番大きく、九、十とかつております。従つて増加が今後どういうふうに続くか、私どもとしましては毎月二・四%ふえて行くと見ております。それがどうなるかわかりませんが、一応毎月二・四%ふえるという基準をもつてつております。それから、一人当り千円行くということにはならないのでありまして、收入を差引いておりますから、大体現在の支給額というものは、平均いたしますと、五百円前後になります。
  77. 苅田アサノ

    ○苅田委員 今おつしやつたのは、一月から十二月までの増加じやないのですか、二箇年間の増加ですか。今御訂正になつた方が、正確な数字なんでございますね。
  78. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 先ほど申し上げましたように、一昨年の四月が最低であります。それが百五十九万人、昨年の九月が最高でありまして、これが二百四万人、大体その数字であります。
  79. 苅田アサノ

    ○苅田委員 その点につきましても、まあ現在出ておりますたとえば給食の問題にしましても、実際いろいろ問題があろうと思うのです。たとえば、今政府の方で二十六年度の給食の予算としてとつておるのは、大体百六十円ぐらいだと私は記憶しておるのですが、予算書によりますと、東京の現在の給食の費用というものは、大体二百町から二百五十円もしておるということからいえば、ただいまのお話のように、給食は実情に応じてやるということになれば、そういうふうな費用が加算すると思うわけです。それからまた昨年の委員会局長がお答えになつたように、住宅の補助にしても、実情に応じてやるのだというような御答弁があつたと思うのですが、そういたしますと、現在東京あたりでは——これは東京でなくとも、少くとも市と名のつくところは、そんなわずかな百七十円か二百円の間借というようなことは、幾ら一間三疊でも四疊でもできない実情なので、そういう実情から考えれば、私やはり五十億の増加が、実際内容上の増額ということにはならないということは、ちよつと常識で考えてもわかると思うのです。人数がそれだけふえて、しかも内容が減るということによつて、実際的ということは考えられないのです。もしそういう点について不当なことがあれば、途中で追加予算でも大幅にとるというようなお考えがおありになるかどうか、その点もお聞きしたいと思います。
  80. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 御承知のように、生活保護費は、どうしてもいるだけの金は払わなければならないのであります。従いましてもし途中でこの見込みが違いまして、足りなくなるということになりますれば、当然補正予算をもらつて払わなければならないということになります。今年度も、現に足りなくなりまして、十億ばかりの追加をいたしたのであります。明年度は、一応われわれの方の見通しが誤らなければ、この予算でもつて行けるだろうと思います。内容充実もできるだろうと思うのでございますが、その見通しというものは、やはり経済界の変動によつて大分かわつて参りますし、たとえば物価が上るということも考えなければなりません、また一方におきまして收入がふえるということも考えなければならぬ、いろいろの要素がございます。大体年末におきましては、普通はだんだんふえて来る、要保護者が寒くなるとふえて来るのでございますが、昨年度は反対の現象になりまして要保護者が九月、十月と減つて来るということになりました。そういうふうに、必ずしも予想通に行かないということはあり得るかと思いますが、それで足りなくなつた場合におきましては、当然補正をしなければならぬということになつております。なお余裕ができました場合におきましては、われわれといたしましては、写るだけそれが内容増加になるように努力いたしたいと考えております。
  81. 苅田アサノ

    ○苅田委員 ただいま私の質問した中で、もう一ぺんはつきりお聞きしたいと思うのですけれども、それは給食費にいたしましても、住宅費にいたしましても、実情に即して、いるだけのものは出すということをおつしやつたのでありますが、これをもう一ぺん確認していただきたいことと、さらにもう一つ生活扶助の面で、この増額は、たとえば、米とか、みそとか、いろいろなものが土つておりますが、その増加した分を見込んだだけの増額でしようか。それともカロリー計算を昨年やられておるのですが、あのカロリーの数字は、非常に一般の勤労者のカロリーの攝取の程度よりも低いカロリーの計算が出ておるのです。そういうものが、本年度内容が向上して行くような計算ができておるかどうか、この二つの点をお聞きしたいと思います。
  82. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 栄養の問題につきましては、新しいきまつたものはまだ私どもの手元に入つておりません。大体従来通りの計算で持つて行つております。その内容の向上は考えておりません。大体従来のものを得るに必要な金額の上りましたそういう内容総額だけが入つております、先ほど申しました内容増加というのは、飲食物以外の点におきまして内容を豊富にしたいと考えております。  住宅の問題は、実際にどうしても入れないということがないようにいたしたいと考えております。  それから給食の問題にいたしましても、実際に必要なものを払うということに、基準はつきり書いてございまして、その通りでございます。
  83. 苅田アサノ

    ○苅田委員 会費の内容が向上しないということは、私はやはり生活扶助を受けている人たちにとつては、大きな問題だと思うのです。そこで問題は、きよう話しておりますと長くなりますので、別の機会に、この問題について委員会でも開きまして、私少し基準の問題ではお伺いしたいと思つておりますから、きようはやめます。  次にお伺いしたいことは、ことしの四月から、民生委員が全部社会福祉主事に切りかえられるごとになつておるそうですけれども、現在民生委員は十四万人ぐらいいてこの事業を切りかえるといたしますと、やはり相当数の社会福祉主事が必要になつて来ると思うのです。現在の実情を聞きますと、大体以前は民生委員が七世帶ぐらいを受持つておりましたのを、今ではたいてい百世帶以上、ひどいところになると、平均百五十から二百くらいの世帶を持つような状態で、実際的に言うとおそらくできないということになつております。こういうことに対しまして、今度四月に補充されます人員、総額といたしまして大体どれくらいの社会福祉主事を設置されるつもりで、その予算がどういうふうに組んであるかということ、それが生活保護法の実施の中に含まれておるかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  84. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 社会福祉主事の設置につきましては、現在の社会福祉主事設置に関する法律というものがどうなるかということは、ただいま用意いたしております社会福祉事業法によりまして、ちよつとかわつて来ると思います。社会福祉事業法がこの国会に提案されましてもしきまりますれば、私の方で今、一応考えておりますことは、各町村に一人の福祉主事を置くということは、現情からいつて困難であると考えられますので、これを設置し得る町村には置かせまするけれども、設置し得ない町村には、府県でもつて福祉主事というものをつくりまして、その福祉主事で仕事をやらせたいということを考えております。これにより担当いたします数が、郡部におきましては六十五世帶に一人、市部におきましては八十五世帶に一人、大体それくらいに考えております。もちろんこれは交通の便利がいいか惡いか、あるいは山間部であるかどうかということによりまして、この数は増減されなければならぬと思うし、またたとえば老人とか子供とか、あまり家庭状況の変化しないものの非常にたくさんおるところと、非常に家庭状況がかわりやすい人たちをたくさん含んでおるところによりまして、その点につきましては、かえなければならぬというように考えております。一応の基準は、今申しましたような基準で置かなければならぬということを、法律で明らかにいたしたい。しかもこの数のほかに、大体五、六人に一人の査察指導員と申しますか、査察指導をやる職員を別に置くというふうに考えております。そのほかに事務を整理するための書記を若干置くというようなことも考えておりまして、大体私の案といたしましては、それだけの人間が明年度におきまして地方で置き得るように、平衡交付金の方の算定をお願いいたしております。これは平衡交付金の中に含まれておるものであるとお考えなつてさしつかえないのではないか。ただ実施の時期は、いろいろ準備もございますので、明年の中途からやりたい。今すぐ四月からこれに切りかえるということは困難でありますので、大体現在考えておりますのは、十月ごろ切りかえを全面的に実施いたしたい。現在では大都市、市が逐次切りかえを終了しつつあります。
  85. 苅田アサノ

    ○苅田委員 そうしますと大体これに必要な予算、これは二十六年度予算の中では、本予算ではとれなくて、平衡交付金で要求をするというのですが、平衡交付金の中で要求しておありなのですかどうですか、ありとすればこれがどれくらいの経費を見込んであるかということをお伺いしたい。  それからついでに、社会福祉事業法お話か出ましたのですが、この祉会福祉事業法で、福祉主事というものが設置されることになれば、そのほかにもいろいろな経費がいると思うけれども、こういうふうな経費も見込んで、基本法の実施のために、どれだけの予算をそちらがとつておるかということをお聞きしたいと思います。
  86. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 平衡交付金の内訳につきましては、私今ちよつと数字は覚えておりませんが、その中にはつきり入つておるということになつております。これは地方財政委員会の方でも、はつきり承認いたしております。従いまして、明年度の半年分は、確実にこの中に含まれておるというよりに申してさしつかえないと思います。
  87. 苅田アサノ

    ○苅田委員 それでは生活保護法関係予算につきましては、それくらいにしておきまして、次に、婦人保護の費用についてお聞きしたいと思います。婦人保護の費用が、前年度に比べまして、少しですけれども、減額になつているわけなんです。これはどういうことなんですか、お聞きしたいと思うのです。しかもこの婦人保護の費用というものが、九百人分の婦人を対象にしているということは、どこから九百人分というような数が出て来たかということも、お聞きしたいと思うのです。
  88. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 これは従来の予算では收容定員を見ておつたのですが、その定員だけ收容が困難であるというような実情から、九百人分しか実際に收容できない。それで九百人分の人に対してやつたので、若干費用が減つたということになつております。
  89. 苅田アサノ

    ○苅田委員 社会局でお扱いになる婦人保護事業というものは、やはり私は社会の実情に即して——現在非常に婦人の問題が深刻になつているということは、御存じだと思うのですけれども、それのための保護施設に必要な予算をおとりになるのか、やはり社会局としての建前ではないかと私は思いますけれども、伺いましたら、昨年の施設に要した費用だけをもとにして減らしたというのでは、仕事としては非常に投げやりな話なんで、実情というふうなものに非常に即していないと私は考えるのです。あなたの方では、大体今入れている婦人だけの施設で費用をとつておけば、これで婦人保護事業ができるというようにお考えでいらつしやるかどうか、その辺をお聞きしたいと思うのです。
  90. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 この婦人保護仕事というものは非常にむずかしい仕事でございまして、私の方としましては、この事業を拡充して行くだけの自信が、まだつきません。従いまして、さしあたり現状維持ということになつております。これは別に減つたわけではないので、最初からこれだけしか入つておらないのであります。実際の実情に合せて、実際の数字に合せて経費を組んだということでございます。
  91. 苅田アサノ

    ○苅田委員 お聞きしますけれども、いろいろな方面で、計画とか調査とかのための費用をとつておいでになるようですけれども、こういうむずかしい問題について、現在婦人がどういう状態であるかというふうなこと、私ほんの一例ですけれども、たとえば、昨年の十一月に、東京で、全国の未亡人の大会を開かれまして、そこで九州の代表が、九州のある地区で、四千人のパンパンがいるけれども、そのうちの大部分が子供を連れた未亡人だという話が、十一月の未亡人の大会でされておつた、こういう問題もあるわけです。東京にもごく最近の話を聞きますと、北区というところでは、二十七人で未亡人の会をつくつてつた。ところが、現在では未亡人グループがたつた八人だけ残つてあとは全部おめかけさんになつたり、やはりパンパンになつた。こういうふうにやはり婦人は非常に経済的に逼迫して、そういうふうにどんどん墜落して行く道を、余儀なくとつているという実情があるわけなんで、こういう問題に対しまして、もう少し社会局としては——ほかにずいぶんくだらない費用を国では使つているのですから、ほんとうにそういうところにもつと真剣に費用を使つて、そして現在の婦人の保護というようなものを、もつと真剣にやつていただきたいと思うのですけれ倉も、今の御答弁で、むずかしいのでほつて置くというのでは、非常に酷薄なことだと思うのですが、この点どうですか。
  92. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 むずかしいのでほつて置くという趣旨ではないのでありまして、現在のようなやり方をもう少し拡充して、そして盛んにやつて行くということが、はたして可能であるかどうかということにつきましては、現在自信が持てない。そういうような施設が必要であることは、はつきりしているのでありますから、施設をやる以上は、ただ建物をつくつて、そこに人を入れておけばいいというのではないのでありまして、やはり一定の期間に一定の効果をあげるということでなければならないと思います。そのやり方をどうやるかにつきまして、現在の施設をさらに拡充して行くということの自信が十分持てないというところが、従来通りなつているわけでありまして、なおざりにしているわけではなくて、今後もできるだけ方法を考えまして、内容をよくして行くように努力いたしたいと考えております。
  93. 苅田アサノ

    ○苅田委員 その点について、やはり私はもう一ぺん申し上げたいのですが、内容を向上させるとか、施設を拡充させるとかいうことは、必ず予算がいることなんで、昨年よりも少い予算をとつておいて、そういうことをするつもりだとおつしやつても、この点は私どもとしてどういうふうに信用していいかわからなくなる。特に聞くところによりますと、現在の婦人の保護施設というようなものは、川崎の白菊寮にいたしましても、あるいは幡ケ谷の女子学園ですか、そういうものの施設へ行きますと、川崎の白菊寮なんかは、監獄と同じように、鉄格子のはまつた錠前のかかつた部屋の中に婦人が入つている。また幡ケ谷のは、それよりは多少よいでしようが、食事がひどく、連れて来た婦人の身上調査もできないうちに逃げ出すというような婦人も、ずいぶんあるというように、現にある施設の中でも、たくさん欠陷ができているのに、その内容を向上するということも、昨年まかなつ経費以下の経費で、これがどういうふうにやつて行けるか。特に食費は、これからうんと高くなると思うのですが、この点がやはりあなた方の方で見のがしていらつしやる、こういうようなものを、全然問題にしていないのじやないかと思うのですが、そういうあなたのおつしやるようなことが、こういう昨年よりも少い予算でできるとは私は考えられないのです。これは御答弁になるかどうか知りませんけれども、私はこれは非常に間違つたやり方だと思うのです。
  94. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 たいへんおしかりをこうむりまして恐縮いたすものでありますが、現在やつておりますものがうまく行かないというのは、必ずしも施設のいろいろな設備とかなんとかという上りも、むしろ問題は、どういうふうにしてやるかというやり方が大きな問題だろうと思います。それから、どういうふうな人をどういうふうにして入れるかという人の選択の仕方等に問題があると思う。その辺についての研究が十分にできていません。その方をわれわれといたしましては研究調査して行きたい。これは別にそんなにたくさんの経費が必要だとは思つておりません。それにつきましては、今のやり方、運営をよくして行くということは、現在どうしてもやらなければならないことだと思いますが、現状のままでもつては、これを拡充するというだけの自信はわれわれとしては持つておりません。
  95. 苅田アサノ

    ○苅田委員 この問題はこれ以上申し上げませんが、次にお聞きいたしたいのは、社会局関係の中で、これは生活保護法と離れてもいいわけですが、一般困窮者に対する施設として、住宅なんかにおのおの補助をお出しになる、そういう費目はないわけですか、どうですか。ちよつとお聞きしたいと思います。
  96. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 住宅問題につきましては、厚生省といたしましては非常な深い関心を持つておるのでありまして、明年度予算といたしまして、低家賃の住宅、つまり生活保護法で給与を受ける限度で入れる住宅をつくらなければならぬということにつきまして、強く要請いたしたのであります。ただ現在、住宅問題の所管が建設省ということになつておりまして、われわれの方で要求いたしました予算が建設省の庶民住宅の予算の中でまかなわれるということになりまして、この取扱いについては、建設省と厚生省とでもつて協議をいたして、実施するということになつております。はなはだ家の数が少いので、あまり大きな顏はできないのでございますけれども明年度の庶民住宅のうちの二割を、そういう低家賃の住宅にさくことに決定しておりまして、これの各地方への割当及びここに入りまする人の選定の基準といつたようなものにつきましては、厚生省と建設省が、協議してきめることになつております。明年度は、それで総戸数二万七千戸でございますので、全国で約五千四百というものが、そういう低家賃住宅になると思つております。
  97. 苅田アサノ

    ○苅田委員 家賃は、どれくらいのお見込みでしようか。
  98. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 家賃は四百円以下ということになつております。
  99. 苅田アサノ

    ○苅田委員 これはちよつとお伺いしたいのですけれども、実はせんだつて浅草の山谷ですか、あそこに、東京都の民生局あたりが軒等しておると思うのですけれども、三千世帶くらいの生活困窮者を入れている宿屋風のうちが建つているわけです。大体うちがないというので、東京都民生局あたりに行きますと、最後にはそこへ御紹介になるらしいのですが、そこで私ども調べまして、大体三畳のこくそまつなところで、一晩とまつて百五十円、家賃にしますと四千五百円というような、非常な暴利をしているわけです。しかも、社会事業だというので、免税になつているらしいのです。大体別なむねに行きますと、ちようど大雪のあとで、床の上にぬれたむしろ一枚でくるまつておるのですが、七十人ぐらい大部屋で頭を突き合せて寝ているのです。それでも、一晩とまるのに三十円払つてしかも三年もそこにいついている人がいるわけです。そうしますと、家賃にすると、むしろ一枚で九百円くらいの家賃になるのですね。こういうものに対して、厚生省としては監督の責任があるのかないのか、ちよつとお聞きしたいと思うのです。
  100. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 ただいまのお話は、おそらく東京都の簡易旅館組合がおやりになつている施設だろうと思います。これは最初各種施設が少かつた時代に、簡易旅館組合でもつて店舗の払下げを受けまして、そうして施設をしたい、そうして昔の木賃宿の復活をしたい。その当時、そういう收容の施設がなくて、非常に困つてつたときでありましたので、その店舗の払下げ及び、それに必要な寝具等、おもに毛布でございますが、これのあつせんを東京都がいたしたという程度のものでございます。それ以上の関係は、どこにもないわけでございまして、あとは向うがやつているものかと思つております。そのやり方等につきまして、適当でないという面があるようでございますが、われわれといたしましては、もしも現在のような状態であるならば、これに対しましては、適当なる処置を講じなければならぬのではないかというふうに考えております。むしろわれわれとしましては、それよりも、東京都あるいはそういう地方の公共団体におきましては、そういうもののための一泊施設というものが、どうしても必要なんじやないかというふうに考えまして、そういうものをいたしまするように、各地方に慫慂いたしております。これは経費をとるものでございますから、国の補助でなしに、大体地方でもつてつてもらうようにしたいということで、地方に進めております。東京あたりも、逐次そういうものをつくつて行くという計画のように聞いております。
  101. 苅田アサノ

    ○苅田委員 生活保護法に出ております住宅の費用から考えましても、あるいは東京都でつくつております住宅から考えましても、月に九百円とか四千五百円とかいうのは、実に生活困窮者の血を吸い上げるような高い住宅費になると思うので、こういうことに対しましては、厚生省としても、やはり監督の当局として、何らか通牒なり何なりで、こういうものに対する取締りと申しますか、監督と申しますか、これはぜひしていただきたいと思う。特にこれは、さつき申しましたように、社会事業として免税の特典を持つておるような事業なんですから、そういうような特典を持つておれば、それに相当する厚生局あるいは民生局あたりの監督がなければ、社会問題として、非常に大きな問題になると思いますので、この点ぜひ適当な措置をとつていただくことを、はつきりやつていただきたいと思う。  それからもう一つは、そういう状態にあるのが、東京の浅草の一角だけでも、すでに三千人からの人がそういう生活をしておる。それに対しまして、全国で五千四百ぐらいの低家賃の家ができる。それはできるに越したことはないにしても、これでは、まつたく二階から目薬なんで、どうしてこういう事業にもつとたくさんの予算をとつて、そうして最低の人間らしい生活を保障する施設をやつてもらえないか。厚生省としても、こうういう点について、もつと十分な予算の要求をなさつてしかるべきだと思うのですけれども、こういう点はどういうふうに考えておいでになるかということも聞きたい。
  102. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 厚生省といたしましては、非常に強硬な要求をいたしたのでございますけれども、何を申しましても、住宅問題は厚生省の所管でないというきついお達しでございまして、われわれにはこれに協議を受けるという程度だけしかやらしてもらえておらないのでございます。従いまして、われわれの方で要求した予算がよそに組まれて、しかもそれはよその方の総額の範囲内でもつて、何割というふうにきめられるというような形でございます。従いまして、そういうような矛盾がありまする限りは、いつまでたちましても、なかなかわれわれの要求するようなものにはならない。われわれといたしては、あくまでも、低家賃につきましては、所管争いをするわけではありませんが、厚生省の所管ということをはつきりきめていただかない限りは、これに対しまして満足なる御答弁をいたすわけには行かぬだろうと思います。
  103. 苅田アサノ

    ○苅田委員 それから、監督の方はいかがですか。
  104. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 免税になつておりますかどうかということは、私の方で免税になるような社会事業団体には、していないと思つております。これがどういうことで免税になつておるのか、私よく存じません。簡易旅館組合というものがやつておるわけでございますから、別に社会事業団体でも何でもないのじやないかと、私は考えております。今後社会福祉法人というようなものをつくりまして、社会事業団体の純粹性を保つようにいたしまして、それに対しまして、私の方としましては、適当な免税の恩典等につきましても、十分考慮するようにしていただきたい、かように大蔵省当局には折衝いたしております。
  105. 苅田アサノ

    ○苅田委員 そういたしますと、これは厚生省としては、社会事業施設として認めていない。ですから、もし免税があるとすれば、これは不法に行われておるものだ、こういう御見解なのですね。
  106. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 免税が不法であるかどうかということは、私の方は知りません。これはどういうところで免税になつておりますか、おそらく固定資産税が主だろうと思います。あるいは事業税というふうなものになると思いますが、大体地方税でございますので、私の方では、これにつきまして、免税してくれというふうなことの言つておりませんし、また、したということもないのであります。われわれは全然それには関係がないわけでございまして、ただああいう施設がああいうようにやつておるということにつきしましては、むしろこれを押えるよりは、公共団体でもつてこのようなものをつくつて、ああいうものが存立しないようにする方が、正しい道だろうというふうに考えまして、その点を各地方には慫慂いたしておるわけでございます。
  107. 松永佛骨

    松永委員長 他に御発言はございませんか。——なければ次に高田児童局長
  108. 高田正己

    ○高田政府委員 時間の御都合もあると思いますので、児童局の関係を、ごく簡明に御説明申し上げたいと思います。  私どもの方の局といたしまして、来年度予算の重点といたしまして考えましたものの点だけにつきまして申し上げます。五つございますが、一つは、児童福祉行政の中心をなしておりまする相談所の内容に若干の変更を加えまして、拡充をいたしたいということでございます。それはお手元にありまする資料といたしましては、九十五番の児童福祉事業に必要な経費の中と九十九番の児童福祉施設整備に必要な経費——経営費の方は前に入つておりまして、臨時費の建物の費用の方は九十九番の費用の方に入つております。なお増員につきましては、平衡交付金の中に入つておりますが、現在五百十六人おりますものを八百八十四人にいたしまして、三百六十八人だけ増員になるということか、財政委員会の方とも協議がつきまして、平衡交付金の中に計算の基礎として算定いたしております。それが第一点でございます。  第二点といたしましては、これは相談所と相並んで児童福祉行政の眼目となるわけでありますが、やはり人の問題でありまして、児童福祉の増員をいろいろ折衝いたしました結果、これは全部人件費でございまして、平衡交付金の方に入つておりますので、この予算面にはその人件費が現われておりませんけれども、現在四百五十五人おりますものを三百二十九人、約八割を増加いたすということに、これも話がきまつております。  それから第三点は、施設費の問題でございます。御承知のように、児童福祉行政の非常に大きな重点が、施設の拡充ということに置かれておるわけでございますので、この点につきましても、いろいろと予算の編成途上におきまして、折衝いたしました結果、九十九番にごらんいただくように、前年が四億三千九百二十二万九千円、これが一億二千二百八十万円ほどふえまして、五億六千二百二十万三千円ということに相なつております。この内容につきましては、天体本年度も、昨二十五年度とほとんど同じような仕事をやつて行きたいと思つております。重点は母子寮、保育所というようなものに向けられるはずでございます。なおただいま説明を申し上げましたように、この中に児童相談所の拡充の経費ももちろん含まつておるわけであります。なお技術的なことでございますが、本年の四億三千九百万円のうちで、三億三千九百万円は公共事業費に計上してございまして、厚生省所管としては一億だけでございましたのですが、来二十六年度におきましては、総額五億六千二百万円を厚生省所管の方に計上いたすことに相なつておるわけであります。それが第三点でございます。  それから第四点は、百一番の経費、これは新規の項目でございますが、これでごらんいただきますとわかりますように、肢体不自由見の措置につきましては、非常にわが国として遅れております。しかもその子供さんが相当数あるようでございまして、非常にお気の毒なことでございますが、この面につきまして、今まで何ら——何らと申しては語弊がありますが、大したことをやつておりませんので、それをしつかりやりたいということで三千二百万円ほど——わずかな経費でございますが、計上してあるわけであります。このうちで特に申し上げたいのは、肢体不自由見の施設のモデルというようなものを、国の経費で建てまして、それを肢体不自由協会という団体がございます。これはもとそういうことをやつておりました整肢療養院という団体の後身でありますが、その団体に実際の経営は委託して、一つのモデル・センターみたいなものをつくつて行きたいというので、経費が約二千万円計上されております。その他は子供さんで補聽器を要する者とか、補裝具を要する者とか、そういう経費補助金が計上されておるわけであります。  以上四点が、ただいま御説明申し上げましたように、私ども児童福祉行政の重点といたしまして考え、なお不満ではございますが、ある程度予算に盛り込み得た経費でございます。  第五点は、非常に重要な経費で、私ども予算の重点として折衝いたしまして成功をいたさなかつた経費で、この予算に計上されておりません。ちようど生活保護法に当りますいわゆる児童の保護費の問題でございます。これは平衡交付金の中に額といたしましては、本年度が約十五億、来年度が約二十億で、五億の増加でございますが、計上されておりまして、平衡交付金の中でそれだけのものは確保される大体の道筋にはなつております。しかしこれを補助金として厚生省所管に計上いたしたいということで、私どもだけではなく、いろいろ大臣にも御協力をお願いいたしましたが、遺憾ながらこれは実現を見ておらないのであります。  以上五点でありますが、大体重点といたしました前四点は、ある程度の満足を得る程度に予算に計上されております、非常に簡單でありますが、説明を終ります。
  109. 松永佛骨

    松永委員長 ただいまの説明について、何か御発言はありませんか。
  110. 苅田アサノ

    ○苅田委員 昨年度から児童保護の費用か大幅に平衡交付金に切りかえられたのでありまするか、それに対しまして各地方では、地方財政の窮乏から、実際予定されておつたところのいろいろな施設にいたしましても、あるいは措置費にいたしましても、実際は渡つていないということか、方々から訴えられているわけです。そこで昨年度予定されておりました施設の中で、どれだけのものが実現されているか伺いたいと思います。現に東京あたりでは、簡易保育所が百箇所できるというお見込みであつたものが、現在十箇所しかできていないという実情にありますので、その実情についてお聞きいたしたいと思つています。
  111. 高田正己

    ○高田政府委員 本年度約四億四千万円の事業費でつくろうと予定いたしました施設は、全部できております。むしろ数といたしましては、予算よりはたくさんできております。と申しますのは、地方の要望が非常に強うございますので、予算予定いたしました箇所だけに押えることができなかつたわけでございます。その結果、予定した以上にできております。
  112. 苅田アサノ

    ○苅田委員 新設はどのくらいありますか。
  113. 高田正己

    ○高田政府委員 これは補修にも新設にも使つておりますので、新設だけについて申し上げますと、養護施設が十一、教護院三、精神薄弱児に対する施設が十四、保育所が三百三十二、母子寮が百二六七、乳児院が七、助産施設が五、肢体不自由見に対する施設が一、以上合計五百箇所ということに相なつております。
  114. 苅田アサノ

    ○苅田委員 そういうような御報告を承ると、予定以上にできているというわけなんですけれども、実際からいいますと、東京都でも、昨年あたり、たとえば職安の人たちに対しまして、あるいは民間の保育施設を得ようとしておる人たちに対しまして、百箇所以上保育施設をつくるということをたびたび放送されております。しかし実際には十箇所しかつくられていないということなんですね、公立のものであなたの方で予定なすつた数は、実際はふえているかもしれませんけれども、民間へ方々の各係でお約束なすつたもの、しかも一般新聞紙あたりにもほとんど報道されたけれども、おひざ元の東京で、すでにそういう実情にあるわけです。これからしますと、そういつた平衡交付金がまわつて、各地方でしなければならない施設が、予定通りにできているとは私は考えられないのですけれども、その点どうなんですか。
  115. 高田正己

    ○高田政府委員 東京都で、最初百箇所ばかりの保育所を計画しておつたけれども、できたものは十箇所であつたということは、平衡交付金の関係と申しますよりも、私ども補助予算総額が、東京都に百箇所分やれなかつた東京都は、中央の予算がきまらない先に、そのくらいのものをやろうということで、一応計画を立てたけれども補助金がそれだけもらえなかつたということと、もう一つは、御承知のように、地方負担分は、起債で行く場合か相当ございます。その起債がわくで締められて、結局自分の方だけでもやれなかつた補助金ももらえなかつた、こういう事情があつたのでございます。それから、今苅田委員の御質問の中に、公立のものとプライヴエートのものとのお話が、ございましたけれども、実は御承知のように、現在の福祉法の建前といたしましては、国から補助金を出しまするものは、公立のものだけになつております。従つて地方公共団体のプライヴエートのものには、補助金を出しておらないことになつております。それからプライヴエートのものは、現在の法の建前では——これは私個人としては若干考えるところがあるのでございますけれども、野放しになつておりまして、民間から金を集めてやるよりほか、しようがないという建前なつております。御了承を願います。
  116. 苅田アサノ

    ○苅田委員 兒童局あたりにも、相当陳情があると思うのですけれども、今おつしやつたように、單に予算の額が足りないというだけじなくして、実情として、こういつた児童の福祉事業に対する予算が、同じわくの中で出ている関係上、どうしてもほかの方へ流れておる。そのためやりたいそういう子ども施設なんかに、経費がまわらないということを、私どもしばしば聞いておるわけですけれども、こういうことに対して、児童局として、そういうぜひしなければならない子ども施設——特に児童局あたりは、今年は児童憲章をつくるというようなお話もあるわけで、こういうものに対して、そういう必ずとれる金として、たとえば以前のような国費でもつてやるとか、平衡交付金の中でも、ひもをつけて、これは必ず使うという性質の金にしなければならないというようなお考えはおありになるのですか、その点をひとつお伺いいたします。
  117. 高田正己

    ○高田政府委員 率直にお答えいたしますが、私は今苅田委員がお話なつたようなことにいたしたいと思つて最初説明のときに申し上げましたように、来年度予算の折衝におきましても、そこに最も重点を置いたのであります、従いまして、私といたしましては、さようなことの方がよろしいと考えおります。しかし、いろいろこういうような観点のかわつたものもありますし、そのほかにいろいろな事情もあることでありますので、結局それが実現をいたさなかつた。この点は、私といたしましては、非常の遺憾に存じております。しかし将来の問題といたしまして、あくまでも努力はいたすつもりであります。
  118. 苅田アサノ

    ○苅田委員 予算総額は、昨年度よりも大体一億ほどふえていることになつていると思うのですけれども、これは大体人件費関係に使われておつて施設とか必要な保護の方の分にまわつているものは昨年度と大してかわつていないように思うのです。そうしますと、昨年度でもすでに予算が足りなくて、計画していただけのものができていないというようなところへもつて来て、今年度は諸物価も高騰しておりますし、それから、たとえば不良児だとか孤児だとか、浮浪見だとかいうようなものも、現在のような社会情勢では減るとは思われないわけですから、そういうものに対しまして、この予算総額では、昨年度以上不完全なものしかできないではないかというふうに考えるのでありますけれども、児童局といたしましては、この程度の予算で、そういういろいろな問題を解決できるとお考えなつておるかどうか、御答弁をいただきたいと思います。
  119. 高田正己

    ○高田政府委員 人件費はふえたが、いろいろな施設をつくつたり、あるいは子どもの世話をしたりする経費があまりふえていないというお言葉でございますが、これはお言葉を返すようでございますけれども、そうではございません。予算増額のおもなるものは、厚生省におきましては、施設費が非常に増額されたということと、それから平衡交付金の分野におきまして、今の保護費が、十五億のものが二十億になつて約五億ふえている。これが予算増額の重点でございます。人件費は、本省におきましては一文もふえておりません。地方庁におきまして、先ほど申し上げましたように、相談所の人間を増す費用と児童福祉司を増す費用がふえているだけでございます。従いまして、お言葉を返すようでございますけれども、実際はそうなつておりません、二十五年度と同じ程度のことかやつて行けるか、むしろ後退するのではないかという御質問でございますが、前申しましたように、私が来年度予算で重点としてやりたいと思いました項目の四つまでは、不完全ながら実現をいたしております。従つて、私ども仕事が、言葉をかえて申しますれば、子どもさんのお世話が、三十五年度より惡くなるということは、全然考えておりません、よくなると確信いたしております。
  120. 苅田アサノ

    ○苅田委員 大体本年度措置費として約二十億ですが、その措置費の内容は、昨年度に比べまして向上している点がありますでしようかどうですか、その点もお伺いいたしたいと思います。
  121. 高田正己

    ○高田政府委員 私、今詳細に記憶いたしておりませんか、一口に申しますと、昨年度より惡くなつておりませんで、内容充実いたしております。と申しますのは、生活保護法でも、先ほど木村さんから御説明がありましたように、内容充実が企図されておりまするが、私どもの方でも、單価の値上げとか、里親手当の増加とか、医療費の増額とか、連れもどし費、葬祭費の追加とか、いろいろこまかい事項でございまするけれども内容は少し向上しております。
  122. 苅田アサノ

    ○苅田委員 わかつておいでになればごく簡單に措置費あるいは給食費、事務費、それから里親、その程度でよろしいですから、どのくらいになつておるかお知らせ願いたい。
  123. 高田正己

    ○高田政府委員 それは施設によりまして、私どもも非常に区別がありますので、表にいたしまして、お手元にお届けいたすことにいたします。
  124. 青柳一郎

    ○青柳委員 一点、児童局長または会計課長にお尋ねいたしたい、児童保護費が平衡交付金になつた理由、厚生省はどういう理由でもつてこれを補助金としようとされたか。その要求に対しましては大蔵省は、どういう論拠からこれを平衡交付金にしたか。大蔵当局はおられませんか、厚生当局で御承知の程度でよろしいから……。
  125. 高田正己

    ○高田政府委員 ちよつと速記を…
  126. 松永佛骨

    松永委員長 ちよつと速記をとめて。     〔速記中止]
  127. 松永佛骨

    松永委員長 速記を初めて。
  128. 青柳一郎

    ○青柳委員 ただいま事情を伺つたのでありますが、将来において、平衡交付増額が実現される場合もあるかと私は思うのでありますが、そういう時期をとらえて、でき得るだけ今後とも当局か御努力せられるよう、われわれとしてもこの点については努力をしなくてはならぬこう存じている。
  129. 堤ツルヨ

    堤委員 それに関連してでございますが、事情を承りますと、ますます私たち心配になるのでありますが、局長はどうでございますか。今青柳委員の御発言もありましたが、児童保護費の平衡交付金二十億の使いわけの、各地方における実情については、絶えざる関心を必要とするのでありますが、今日何か特別なお考えをもつて当られますか、そのいい方法がありますかどうか、ちよつと伺いたい。
  130. 高田正己

    ○高田政府委員 先に堤さんの方の御質問にお答え申し上げます。私どもの現在やりますることとしては、地財委と十分連絡をいたしまして、單位費用なり、測定單位なりというものを、私どもの要求するような基準にまで持つて行くということが、一つの平衡交付金の中で、私ども経費、に確実にまわるという目的を達成する唯一の道なのであります。その点は実は目的を達成いたしております。私どもの大体満足すべき單位費用なり、測定費用なり、向うの平衡交付金の費用の計算の基礎に算入していただく、それが地財委の指示として流れて行くということにつきましては、目的を達成しております。なお今後実情というものは、私ども常に注意をいたしまして、実情を十分把握する努力は続けて参る次第であります。  それから青柳さんの方のお尋ねでございますが、これは私どもあらゆる機会をとらえまして、全力をあげて努力いたしたいと思います。
  131. 苅田アサノ

    ○苅田委員 先ほど民間のものに対する補助は、ないとおつしやつたのですか、今度児童福祉法が改正されまして、これが一定の条件のもとで、たとえば福祉法人というような形になれば、当然法律の建前では補助か出ることになると思うのであります。今年度この法案を出そうとしておいでになるわけでありますか、これに対する予算措置は、大体どれくらいのものをそういう方面にまわそうという内容になつているか予算はどのくらいとつてあるかということを、ついでにお聞きしたいと思うのであります。
  132. 高田正己

    ○高田政府委員 ただいまの五億六千万円のものは、全部公を対象として公立のものを一応計上いたしてございます。それから法律案の改正の問題でございます、プライヴエートのものにも、一定の制限のもとに、実際に必要とする、しかも非常によくやつており、それがために必要であるというようなものについては、補助金が出せるようにいたしたい、さような改正案をただいま準備をいたしつつございます。従いまして、この法律案がいつ国会の方に御審議願えることになるか、まだ見通しはつかないのでありますが、国会の方の御審議をいただきまして、成立いたしましたということになりますと、率直に申し上げまして、予算の問題といたしましては、この五億六千万円のうちから、やはり流用するということに、現実の問題としてはなるのじやないか、さように私は考えております。
  133. 松永佛骨

    松永委員長 午前中はこの程度にとどめ、午後二時まで休憩いたします。     午後一時休憩      ————◇—————     午後二時四十四分開議
  134. 松永佛骨

    松永委員長 休憩前に引続き、会議を再開いたします。  昭和二十六年度厚生省関係予算に関し、安田保險局長より、保險局の予算説明をしていただきたいと思います。安田保險局長
  135. 安田巖

    ○安田政府委員 こまかい数字は資料にございますので、要点だけを大体御説明申し上げたいと思います。社会保險で、この予算に載つておりますものは、健康保險と船員保險、厚生年金保險、それから国民健康保險で、それぞれ被保險者の数でありますとか、標準報酬でありますとか、あるいは料率の上つたものもありますが、そういうような点で若干ずつ費用がふえておりますから、これはいわば自然増加であります。そのほかでかわつた点を申し上げますと、健康保險におきましては、昨年事務費が五割の国庫負担でございましたのが、二十六年度におきましては八割になつておることが一つでございます。それから船員保險におきましても同様疾病保險の分については、十分の五が十分の八になつております。それから国民健康保險におきましては、事務費か、従来を七といたしますと、今度は大体十の割合でございます。これで全額というふうには申し上げられませんが、こういうような数字なつております。  それで、大体健康保險の方で問題になつておりますのか、例の昨年からいろいろ御審議願つております医療費の赤字の問題でございます。これは本年末におきまして百パーセント保險料が入るといたしますと、大体八億ぐらい赤字が出るわけでありますが、この赤字は、来年度におきまして診療報酬が上ることと、それから千分の五十五の保險料率を六十にいたしますことによつて解消して、なお若干の余裕があるという予算なつております。それから国民健康保險におきましては、かねて皆さんから御要望がございました医療費に対する国庫補助は、計上されておりませんけれども、先ほど申し上げましたように、事務費がふえましたということと、従来直営診療所に対しまして二億五千万円の補助でありましたものが四億にふえている、これがかわつている点でございます。  それから、これは予算とはあまり関係ございませんけれども、もう一つの問題は長期保險、つまり年金でございます。この年金で、昭和十六年ないし十七年あたりから始まりましたものは、当時の掛金あるいは標準報酬が、インフレになりました今日におきましては、ほとんどとるに足らぬ数字なつております。そういうような掛金なりあるいは標準報酬を基準にいたしました給付を、今日いたすということになりますと、非常に貧弱な給付になつて来るので、これを何とかしなければならぬという問題が、現在残つておるのであります。御承知のように、すでに発生いたしております障害年金でありますとか、厚生年金でありますとかというようなものにつきましては、一昨年、従来の額を五倍にする措置をとつたのでありますが、それをさらに二倍にするという措置をとりましたので、やや解決をいたしておるわけであります。しかしながら根本的には、そういつた掛金なり、あるいは標準報酬につきまして、貨幣価値のかわつたそのギヤツプをどうするかという問題が、またあと尾を引いておるわけでありまして、これは将来大きな問題でございます。現在のところでは、まだ養老年金が発生しておりませんので、この問題はしばらく遅れると思いますが、二、三年後には何とかいたしませんと、これは重大な問題になつて来ると思うのであります。  それから国民健康保險につきましては、これはいつもおしかりを受けているのでありますけれども、今度保險料を保險税にするということ——これは收入を確保する道でございますが、同時に、今度は支出の面におきまして医者に対する支払い、つまり医者から請求がありました場合の審査を正確にやるために、医療報酬支払いの審査委員会をつくるというような案が、議員提出でされるように聞いておりますので、そういうものができますと、現在の国民健康保險経済の苦難に対して、役立つのではないかというふうに考えております。  それから、もう一つ予算的に大きなことは、健康保險におきまして、結核べツトをふやして行く。これは政府管掌、つまり政府でやつております保險におきましては四千ベツド、それから組合の方におきましては三千ベツド、これに対しまして三分の一の国軍負担がございますが、この経費が計上されておるのであります。大体一ベツド平均いたしますと十五万円ちよつとになると思いますけれども、それだけの金が計上されておるというのが一つの特徴でございます。  大体以上が保險局の所管であります行政の予算の概要であり、また同時に、問題になつておる点であります。
  136. 松永佛骨

    松永委員長 ただいまの御説明について、御発言ございませんか。
  137. 青柳一郎

    ○青柳委員 ちよつと伺いたいのですが、国民健康保險事務費増加、これはわれわれ全額国庫補助というふうに思つてつたのでありますが、ただいまの御説明によりますと、それが少し違うようであります。従いまして、この十四億何千万円かの内容に関しまして單価といいまするか、それらについて御説明を伺いたいと思います。
  138. 安田巖

    ○安田政府委員 実は全額という言葉を使わなかつたのは、従来七割補助だということでございまして、各方面九ら全額補助ということが強く望まれておつたのであります。従来の七割という金額に対しましては、現在の額は十割に相当するわけでございますから、一応は満たされておるということになります。大体一人当りが四十七円ばかりになつておるかと思いますが、しかし全額国庫補助だということになりますと、これは平衡交付金の方によるべきだという議論が出て来るわけであります。そこで実際個々の場合には、全額である場合もありますし、ない場合もありまして、私どもといたしましては、定額の補助だという御説明にいたしたいと思います。
  139. 青柳一郎

    ○青柳委員 そういたしますと、ただいま最後に言われたように、一人当り四十七円の補助である、そういうふうに解釈して、そういうふうな積算から出ておる、こういうのでしようか。
  140. 安田巖

    ○安田政府委員 さようでございます。
  141. 高橋等

    ○高橋(等)委員 国民健康保險について、若干お尋ねをいたしたのでありまする近来国民健康保險を廃止するといいますか、組合を解散するところが、相当出て参つておるように聞いておるのですが、それらの事情を少し御説明願いたいと思います。
  142. 安田巖

    ○安田政府委員 国民健康保險の、大体の現在の保險者の数は、昨年の十月でもつて五千二百くらいの市町村なつております。そこでお話のように経営が苦しくなりまして、だんだん休止あるいは解散するというような傾向も見えておりますけれども、われわれが調べてみ、またわれわれの耳に届きますのは、案外数が少く、わかつておりますのは大体二百ぐらいだろうと思います。同時にまた、新しく始めますのが、大体二百ぐらいありますので、全体的に見ますと、大体安定をしておるということでございます。しかし、そういう数字があるからといつて、別に楽観をいたしておるわけではございません。各個々の保險者は、相当苦心をいたしておると存じております。
  143. 高橋等

    ○高橋(等)委員 ただいまの御説明によりますと、大体安定をしておるという御説明でありますが、事実私たち地方へ参りまして、いろいろと調査いたしたところによりますると、国民健康保險を継続いたしておりまするところにおきましては、その市町村長が非常な苦境に立つております。国民健康保險をやめたり、あるいはまた国民健康保險組合を設立することをしない町村長は、非常に賢明な町村長であつて国民健康保險にかじりついておる町村長は、実は先の見えない町村長だというような風評まで、町村長仲間で起つておるような状況であります。この経費の捻出につきましては、町村長は非常に苦労いたしておるように承知いたしております。余談でありますが、近く地方選挙も行われるのでありますが、この国民健康保險関係から、非常に苦境に立つておる人々もたくさんあるのであります。しかし、この国民健康保險の制度というものは、これはどうしても普及させねばいけない、りつぱなものであると考えるのでありまして、結局これが收支が償うように、拔本塞源的に、何か万策を考えねばならぬじやないかというように、私は考えておるのであります。ただいまの保險料を、保險税のようなものでとるとか、あるいは医療審査を嚴重にするとかいうような法案が出るという御説明もあつたのでありますが、なお一層つつ込んで、将来どういうようなことをやろうと考えておられるか、この点について政府のお考えを伺つておきたいと思うのであります。
  144. 安田巖

    ○安田政府委員 この機会に私先ほど国民健康保險事務費補助が一人当り四十七円と申しましたが、四十二円の間違いでございますので、訂正させていただきます。  なお、この国民健康保險の保險経済の安定につきまして、高橋委員から御質問があつたのでありますが、私どもこの点については、非常に悩んでおりますと申しますのは、保險経済が、大体政府單位であり、あるいは健康保險組合におきましては、事業体が一つの單位になつておりますが、国民健康保險の場合には、各市町村経営の主体でございますために、いろいろ条件、事情が千差万別であります。そこで、私どもこれをきわめて抽象的に申すならば、たとえば、收入につきましては、保險料の徴税を完全にやることが一つ、これに対しては保險税というものが若干貢献するだろうと私は思います。それから支出につきましては、医療費の支払いがある程度安定し、むだの費用がないように、底の拔けたバケツでないように、つぎ込んだ金が役に立つようにやつて行きたい。これが医療費の審査委員会の現在の考え方でありまして、これも私は役に立つだろうと思います。しかし、何と申しまとても、根本的には人の問題だということを、私は常々考えておるのでありまして、町村民のこの仕事に対する理解なり、熱意の程度というものが一つと、それからこの経営の衝に当ります理事者の方々の努力が、非常に大きな関係をいたしております。こういうふうに、人の問題によりまして、ある制度が伸びたり、あるいはうまく行かなかつたりするということは、実はまだこの制度が、ほんとうに軌道に乘つていない、まだ啓蒙時代の域を脱することができないということか言えるかもしれません。そこから国民健康保險が、国民の切実な要求として、端的に市町村民に反映することが望ましいと考えるのであります。たとえて申しますと、甲の村と乙の村とを比べてみまして、いろいろ条件が違つておるような場合におきましても、条件の惡い甲の村ではよく行き、条件のいい乙の村ではうまく行かないということがたくさんございます。そういう点で、納得のできるような徴收をやる。それから支出につき達しても、むだがないように、医者がほんとうにこれに対して協力してくれる。どうしても協力ができないところに対しては、直営診療所を設けるということについては、少くともその村の受診率ということも考えて、大体どの程度の医療費でできるかという見通しを立てる必要がある、こういうことで、個々にいろいろ違つております。さらに概括的に言いますと、とにかく昔と違いまして医者にかかる率が非常に多くなつた。でありまするから、結局医療費に若干の国庫負担をもらうということは、どうしても私としては必要なことじやないかと思う。しかし医療費を国庫負担でもらいましたところで、うまく行かない村は確かにあると思います。そこらをいろいろ考え合せまして指導して参りますけれども、医療費の国庫負担という問題は、私は当面の問題としては、ぜひお願いしたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  145. 松永佛骨

    松永委員長 他に御発言はございませんか。——ただいま委員外金子與重郎君から御発言を求められましたが、これを許すに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  146. 松永佛骨

    松永委員長 御異議なしと認め、これを許します。金子與重郎君。
  147. 金子與重郎

    金子與重郎君 最初にお聞きしたいのは、これは私が聞き漏らしたのかしりませんが、健保の赤字が大体八億くらいできて、来年度はこれが解決できるというのは、どういう意味で解決できるという御説明つたのですかその点を聞きたいと思います。
  148. 安田巖

    ○安田政府委員 千分の五十五が従来の健保の率だつたのですが、それを千分の六十にいたして千分の五増したわけです。結局二十五年度におきましては、十二億ばかりの赤字が出る。ところが三箇月の間に約三億何がし余分なものが入りますから、それで八億ぐらいになつたわけであります。そういうふうに余分なものが入つて来ると同時に、また来年度におきましては、政府職員の賃金ベースの改訂なんかの影響がありまして、現に標準報酬が上つておりますから、その上つたものに高い率をかけますから、結局その八億の赤字をまたカバーして、同時にバランスがとれるまで行くという計算になつておるわけです。
  149. 金子與重郎

    金子與重郎君 これは予算説明ですから、こまかいことは申し上げませんが、ただ国保の状態につきまして、ただいま局長説明も、人によると言われ、人のいかんということが非常に大きく影響しているということは、私どもわかるのでありますが、しかしながら、人のいかんによつて、その制度が伸びたり縮んだりするというようなことは、法的に根拠かまだ弱体ではないか、あるいは予算的にまだ弱体じやないかというふうに考えるわけです。こういう点に対して、お考えなつたことがないかどうか。国保と健保は——国保は主として農村地帶でありますので、農村自治という観点から出発しておる。従つてその自治体の運営というものが、非常に自主的に行こうとする村長、あるいは村の指導者のおるところはよく行くが、上からの依存主義で、ただ行政上頼まれてしているんだという感覚の強い町村においては、こういう事業は振わないというふうに考えております。もう一つの原因は、その自治という面から離れて、健康の保障をしてもらえるところの共済なり、あるいは健保の所属員が村民におると、逆にそれらの人たちは、その自主的な運動なりあるいは建設には、何も影響力を持たない。こういうことも非常に大きな原因だと思いますが、その点に対して局長はどういうふうにお考えなつておりますか。
  150. 安田巖

    ○安田政府委員 仰せの通り、私どもがこう言つたからこうやるんだということでなく、これは町村民の保健のためにぜひ必要だからということで、自主的にお考えなつている所は、どうしても伸びるようでありまして、これは仰せの通りだと思います。  それから今の健康保險の方の被保險者の家族の問題が、一つの原因じやないかということでございますが、これは確かに一つの原因だと思うのであります。しかし、そういうような村もございますし、そうでないところも多いのでございます。ことに村と名のつくところは、割合にそれが少くて、町とか市とかいうところは、そういうものが非常に多い、確かにそういうことがございます。一応そういつた健康保險と国民保險の被保險者がばらばらであります場合に、その家族は、私どもは入れても入れなくてもいいという立場をとつているのであります。ほんとうは入れた万がよいのでありますけれども、たまたま健康保險の家屋、健康保險の方では半額の負担をしなければならぬので、国民保險に入つてまた半額にしてもらえるためにただになる。片一方の村の方は、国民保險の方は半額負担しなければならぬというので、受診率がどうしても違つて来る。そのために、昨日も実は熊本の市の人が来て話しておりましたが、そこは窒素の大きな工場なんかありますので、四割ぐらいは健康保險の家族がおるのであります。健康保險の家族の受診率が一八〇、それに対して国民保險の方は一二〇だということです。そのために相当圧迫を受けておるということも聞いております。でありますから、私ども、としては、そういう点は自由にまかす、入れるなということは言えないわけであります。しかし同時に、そういう事実があるために、国民健康保險がつぶれるということになりましたならば、これはそういつた健康保險の方の被保險者を外に出すということも、あるいはやむを得ない場合もあるかもしれない。そうすることによつて健康保險の被保險者は、出されたにしても、五割は医療補償ができるけれども、もしつぶれれば、国民保險の人はゼロになるということでありますから、その辺のところは、市町村のそういつた実情にまかせて行きたい。おそらく金子さんの御質問は、それならば国民保險と健康保險とを統合したらどうかというようなことになるんじやないかと思いますけれども、現状はそういうことでございます。
  151. 金子與重郎

    金子與重郎君 局長は私のいつもの一体にしろという一本やりの主張を想像して、ただいまお答えになつたと思うのでありますが、それは議論になりますからやめます。結核ベツドの増床によつて保險経済に及ぼす影響、こういうふうなことが言われておりますし、ただいまの局長説明にもそういうことがあつたのでありますが、中央の全体の数字を見ましても、また県におきまする部分的な結核ベツドのトータルを見ましても、国保関係の患者は一割以内でありまして、大体において、共済、健保、それと生活保護法によるものとありますが、こういうものが結核ベツドの大体九割を占めておるわけであります。従つてこういうふうな結核ベツドができましても、おそらく国保の患者は入り得ないのじやないか。そうすると、この結核ベツドが増床されましても、ほかの保險には役立つけれども、国保の方への影響力は、非常に少いのじやないかと思いますが、その点はどうですか。
  152. 安田巖

    ○安田政府委員 先ほど私が申し上げましたのは、実は健康保險の方の結核ベツドでありまして、これが政府管掌が四千、組合管掌が三千ばかりふえるのであります。そのほかに結核対策として、ベツドの増床計画として、来年度は今の三千、四千、つまり七千を加えまして一万七千四百ばかりのベツドがふえるわけであります。これをだんだんふやして参りまして、大体四箇年か五箇月のうちに、現在り二十五年度における十万何がしのベツドが、十九万までになつて行く。十九万あれば、一応日本の結核のベツドとしては、いいのじやないかという計画のように承つておるのであります。そこで、そういつたようなベツドが健康保險ででき、あるいは公立病院ででき、あるいは国立病院にできることになりますと、その利用方は、別に国保の八に利用させないで、健保を優先させるということはないと思うのであります。しかし実際は、あるいは金子さんのおつしやるようなことになるかしれません。というのは、五割負担関係がございまして、これは結核のような長期療養を要する疾病になりますと、大きな問題になると思います。それらは、あるいは一つの大きな原因になりはせぬかと思うのでありますが、そういう点につきましては、まださして対策はないわけであります。
  153. 金子與重郎

    金子與重郎君 そのことにつきまして五割負担の問題が大きな影響を持つだろうということは、確かにあるのでありますが、もう一つ、この問題は政府が——主として国保戸、ありますが、国保の一般大衆の保障制度に対して、予算がとれなかつた一つの言いのがれのような形において、結核病床がふえる、それは関接的には国保経済にも大きないい結果をもたらすのではないか、こういうことを言つておるのでありますが、現段階の状況は、国保の関係者、一般国民というものは、一割ないし二割しか利用しておらない。それから将来の問題といたしまして、ただいま安田局長お話では、ベツド数がふえて来るから、その以外の人たちも利用できるじやないか、ただ一つ将来問題になるのは、五割負担の問題だ、こういうふうなお話でありますが、そのほかにもあるのであります。そのほかにあるという重大な問題は、農民や中小企業者、あるいは一般国民というものは、その業につかなかつたときには、無收入になるのであります。ところがそのいい惡いは別といたしまして、ほかの組織労働者とか、あるいは公務員が、その制度のために、病後も一定の期間給料をいただける、そこに大きな原因があるのであります。従つてその根本的な問題があるのでありますが、それにかてて加えて五割負担の問題がある。従つて、ベツドの問題が解決いたしましても、それは国民健康保險に関する限り、さほど大きな恩典にはならない、こういうふうに私は見ておりますので、その点を今後のいろいろの計画の上にお考えを願いたいということを、この際お願いいたします。  それから最後にもう一つお伺いしたいのは、国民健康保險業務の経済団体への代行の問題であります。この代行の問題について、私どもは従来——これは都市においては別でありますが、農村地帶における農業生産物の販売、あるいは生活資材の購入ということをやつております、いわゆる農家経済の六割なり七割なりの経済をキヤツチしております経済団体が、保險の支出に対してもこれを見てやる、それを代行して行くことが、一番スムースに行くという観念から、実際に国保という制度が始まつて第二年度から、自分の県で八割以上を代行にやらせたことは、安田局長も御存じだろうと思うのでありますが、その後こういうような税の問題にも移行するに従つて、だんだん協同組合の経営のまずいこととあわせて、これが町村経営になろうとして、そうして代行機関がだんだん少くなる傾向にあるのであります。これに対して安田局長の将来のお考えを、ひとつお伺いいたしたいと思います。
  154. 安田巖

    ○安田政府委員 代行機関の問題は、お話通りでございまして、たとえば農業団体にやらせる場合に、売掛代金のうちかち保險料を差引くというようなことで、非常に便利な点もあるわけであります。しかし二十三年に市町村公営主義をとりました趣旨は、いわば保險というものが市町村自体の仕事だというような考え方に、大きく軽換して来たわけであります。そこで一つの例を申しますと、そういつた農業協同組合のような場合には、全村なり全町が同じ業者で、それに入つておりますればよろしゆうございますけれども、そうでなく、八割は入つておるけれどもあと二割は自由業者である、あるいは勤め人であるということが間々あります。あるいはその割合が五割々々というようなこともあるわけです。そういつたような場合に、最近の実情といたしましては、一つの病院をつくるときに、町の起債で金を出している場合には、そこの財源の負担関係において、不公平なことが出て来るわけであります。もう一つは、最近はだんだんそういう傾向になつておりますけれども、やはり保險料でとつただけではまかなえないので、市町村の一般会計の予算から金をつぎ込むという傾向が非常に顯著になつておる。これは極端になりますと、保險料というものはとらないで、一般財源からまかなつて行くということになるわけでありますけれどもちようどそこの半分々々くらいのところに来ておるような町村があるのであります。そのために、実はまたうまく行つているというようなところもありますので、そういうことは、実は市町村公営に切りかえたときの一つのねらいでもあつたわけであります。そういう点から考えまして、農業経済団体に代行していただくのはけつこうでありますけれども、将来の見通しなり傾向としては、だんだん市町村の方へ移つて行くだろう、こういうふうに見ております。
  155. 金子與重郎

    金子與重郎君 大体それで質問を打切ろうと思いますけれども、ただいま安田局長お話の中に、一つ重大な問題がありますので、これは私個人の意見になりますが、一応お話申し上げたいと思うのであります。  それは農業協同組合法が改正されましたときに、農業協同組合というものは、農民のための組合だ、漁業協同組合は漁民のための組合だ、こういうふうな向うの考え方が非常に強く出ておる。従つて国民健康保險の代行が益んに行われた当時の産業組合とは大分かわつておる。もちろん、その当時の産業組合というものも、組合員のための組合だという原則の上に立つておりましたけれども昭和の初年の農村救済の当時から、私ども指導者は、その法律を曲げて方法をとつておる。それはその村の産業組合は、農民だけの組合じやない、その村の一つの経済機関だというような見解のもとに、昭和八年以降ずつと奨励して参つて、そのねらいが成功いたしまして、産業組合が発展したわけであります。それが今日向うさんの、日本農業をフアーマーとしての見方、いわゆる企業者としての見方から、農民だけの協同組合だという見解をとつたところに、今のような問題も、あなたの見解の通りのものが出て来たわけであります。しかし、これは今後の問題として、現段階の法律と、今占領下においてはそうでありますが、私どもは、日本農村の経営の上からいつて、今の農業協同組合の考え方はいけない、これは占領下でなくなれば、私どもは日本の農村というものは、一つ地域的な、自然発生的な総合体だ、有機体だ、そこに自治があり、教育があるとするならば、必ず経済的な一つの村の機関というものがあるべきだ、そういうふうな見解で、協同組合というものがおのずから再発足する。少くとも指導方針がそうなるならば、やはり準組合員というものは、たとい商人であろうと、あるいはサラリーマンであろうと、なるのでありまして、その村の人たちの経済機関として、村民即その経済機関を利用するならば、單に百姓ということだけでなく、たまたまその協同組合が、農業地帶においては、農業にウエートが大きくかかり、林業地帶においては林業に大きくウエートがかかり、あるいは一般のサラリーマンの多い場合には、生活消費組合としての性格が大きく出て来る。こういうふうにして、地域的なウエートが違うだけであつて、経済的に見ますならば、村民の経済機関だ、こういう方向に持つて行くことが、私は信念として、日本の地方のあり方だろうと思います。そういうような場合になりますと、この大きな経済力を必要とします保險事業のようなものは、そういうふうな考え方を持たなければならぬ。これは蛇足でありますけれども、私の信念でありますし、将来の日本の農山漁村の行くべき道だと思いますので、それと密接な関係がある保險問題についても、そういうことも一応お考えいただくことをお願いいたしまして私の質問をやめます。
  156. 松永佛骨

    松永委員長 昭和二十六年度厚生省関係予算に関連して、高橋委員より厚生大臣に対する発言を求められておりますので、この際これを許します。高橋委員。
  157. 高橋等

    ○高橋(等)委員 厚生大臣にお伺いをいたしたいと思います。ダレス特使一行が日本へおいでになりまして、今講和の輪郭と、またその時期等につきまして、明るい見通しを持ちまして、国民は非常に活気づいておるように私は聞いておるのでございまするが、その国民の中で、割り切れない気持でこの講和問題をながめておる人々があるのであります、そのおもな人々を申し上げてみますと、第一は、未引揚げの留守家族の人々。この人々は、終戰後五年になりますが、まだ夫や子供、あるいは父が異境にありまして、いつ帰つて来るかわからない。ことに昨今は非常に寒い時であります。この寒い冬を、異境に自分らの肉身が過しておるという希望のない状況のもとに現在置かれております。この人々の心情を察しまするときに、私は何ともいえない衝動を感ずるのでございます。またいま一つの人々は遺族の方々であろうと私は考えるのでございます。つえとも柱ともたよるところの息子を失つた老人、あるいはまた夫を失い父を失つたところの妻や子供、こういう人々が、このたび講和をまさに控えんとする場合に、割り切れない気持を持つておられるであろうと私は察するのであります。終戰後五箇年、この遺族援護に関しましては、あらゆる角度から、あらゆる努力がなされて参つたことは承知いたしております。また遺族の人々も、非常に高い理性に立脚せられまして、むしろ非常に遠慮深くその主張を続けて毎年毎年その主張が実現せられることを、本日まで念願して参つておられるのであります。その叫びがいかに内輪でありましても、この人々の心の底から出まする叫びは、私たちの胸をつくものがあるのは、皆様と同じであろうと思うのであります。その人々の要求は、申し上げるまでもなく、遺族に対してすみやかに弔慰金を支給してもらいたい、また場所によりましては、遺族扶助料を支給してくれという要求もあります。また戰歿者は、公務のため死歿したものであることを確認して、国家として慰霊の行事を行い、また戰歿者に対する葬儀その他の行事につき、一般文民同様の取扱いをされたい、遺族のうちの困窮者にあたたかい援護の手をのべられたい、遺族子女の育英に関し、特別の考慮を払われたい、こういうような項目につきまして、爾来五箇年間要求が続けられて参つたのでございます。衆議院の厚生委員会におきましても、これらの問題は、超党派的に取上げまして、従来ともにこれが解決に力をあわせて参つたことは、申すまでもありませんし、また第五国会におきましては、衆議院の会議におきまして、ちようどただいま読み上げまして内容と同じ内容を、院議をもちまして遺族援護の決議といたしたのも、われわれの記憶に新たなところでございます。ちようどただいま講和も間近に迫つております。いろいろと政府におかれまして、従来遺族の援護のためになされました御努力を、この際御説明をお願いいたしたいのでございます。そしてできますれば、関係方面との折衝の経緯その他につきましても、一応大臣より大綱の御説明をお願い申し上げまして、微細にわたりましては、政府委員の方からでも御説明を承れますれば、非常に幸福だと思います。どうぞ丁寧に詳しく御説明をお願いしたいと思います。
  158. 黒川武雄

    ○黒川国務大臣 お答えいたします。終戰後六年、戰死者であるから、あるいはまた戰死者の遺家族であるからといつて、国家から何らかそれに報いる手段をとつたかと申しますと、何らそれに報いることはないのであります。しかしながら、国家の犠牲になつた遺家族の方々が、従来とも叫びたいことをがまんして、押えて、隠忍して今日に至つておられます心境に対しましては、私は国民として、敬服のほかないのでございます。私といたしましては、就任以来、何らかしてこの戰死者に対し、遺家族に対して、国家として報いるべきことがなくてはならぬと思いまして、いろいろと考究中でございます。講和条約もまさに近く結ばれんとしておりますし、私は講和条約後に報いるところがあり得ると、今までは信じておりました。しかしながら、講和条約を待たず、その前にとりあえず何らかの方法で、物質的には報いるに足らない額でありましても、国家として、精神的に十分にその犠牲に対して応じなくちやならぬという考えでおりまして、ただいま実は厚生省におきましても、厚生省所管のことはもちろんでありますが、遺族年金とか、恩給とか、そういうことにつきましては、たとい管轄は違いましても、私どもは、実施ができますように、その方面へ厚生省として働きかけたい、こう考えております。具体的に今案ができておりませんことは、まことに残念でございますが、このたびは、従来のごとき関係方面の気持も、相当にかわつておると思いますし、関係方面に対しては、従来と違つて思い切つて積極的に、これから案ができましたならば働きかけて、その御了承を得たいという決心でおります。  なお第五国会におきまする院議に対して、その後の施策等につきましては、児童局長からお答えいたします。
  159. 高田正己

    ○高田政府委員 ただいまお話にございましたごとく、第五国会で両院の御決議がございましたのですが、それに対しまして、当時の林厚生大臣から政府の考え方につきましてお述べになつておるのでございますが、その後現在まで努力して、いかに相なつておるかということを、ごく事務的に御報告申し上げたいと存じます。もちろん私どもの所管でない、厚生省所管以外のこともたくさんございまするので、それらの正確なことにつきましては、それぞれの所管のところからお答えを申し上げる方が当然でありますが、私どもが承知いたしておりまする限度において、御報告申し上げたいと存じます。これらの全部にわたりまして、政府だけでなく、皆様方の直接あるいは間接の御援助をいただいて、皆様方のお力で実現した分野も相当たくさんあるわけでありまして、私がお答えするまでもなく、御承知のことも多々あると存じまするが、一応お聞きとり願いたいと思います。  社会保障制度につきましては、御承知の通りのいきさつになつておりまするので、これは省略させていただきます。なおこれに関連いたしまして、公的扶助制度の中心をなす生産保護法の問題につきましても前の国会で御審議をいただきましたので、皆様方よく御承知の通りの改正をいたされたわけでございます。決議によつて要求されておりまする教育扶助、住宅扶助の拡大等が行われるような内容のものになつたこと、それから予算等も年々増額を見ておりますることは、皆様方御承知の通りでございます。  次に、未亡人の方々等が持つておられまする子女の育英の問題につきましては、これは御承知のように、義務教育のものは、生活保護法教育扶助を行いまして、高等学校及びそれ以上の就学希望のものは、優秀性と経済困難を採用条件として国費の貸与を行つていることは、御承知の通りでございます。どの程度に行つておるかと申しますると、昭和二十四年度におきましては、新制高等学校に通つております者でこの育英費の貸与を受けまたし者の中で、父なき者が四三%を占めております。大学以上におきましては二六%という状況なつておりましたのが、二十五年度におきましては、高等学校、第一次におきまして、父なき者が増加したしまして五〇%に相なつております。短期大学の採用は、これも増加いたしまして、三二・二%を占めておるそうでございます。なおこれに関連いたしまして、予算は二十四年度九億円が二十五年度十五億円、二十六年度は二十二億円の予定に相なつております。  次は弔慰金、遺族年金というふうな問題でございまするが、この問題は、今日までのところは、遺憾ながら実現をいたしておりません。将来の問題につきましては、ただいま大臣がお答えになつ通りでございます。  生業資金制度の拡充の問題につきましては、努力を重ねておるのでございまするが、一般の社会情勢の関係上、国民金融公庫法による生業資金の小口貸付は、あまり活発に行われませんでした。しかしながら厚生省の方で予算をとつておりまする更生資金——これはやはり金融公庫の方でその事務をやつておりまするが、これは二十四年度返還金ともに七億円を貸し出し、二十五年度八億円、二十六年度も大体八億円を予定いたしております。これは国費に関係ある部分でございまするが、このほかに二十大府県におきましては、純県費をもつて、生業資金の貸付を目下実施いたしております。  次に、母子福祉事業施設といたしまして、御承知の授産所でございまするが、これは従来存在いたしましたもの、その後ふえましたものにつきまして、昨年の五月、運営の刷新をいたしまして、稼働能力の限定されたものだけに有効に使用せしめるという方針を強力にとりました関係上、母子世帶のものの利用率が七三・三%を占めておる現状でございます。なお母子寮、保育所というような問題につきましては、午前中予算に関連をいたしまして御説明を申し上げたところでございまするが、二十四年度におきましては、母子寮が二十七箇所、保育所は百二十五箇所しかなかつたのでございまするが、三十五年度には飛躍的に増加をいたしまして、保育所が三百三十二箇所、母子寮か百二十七箇所新設、修理を行いました。三十六年度も午前中に御説明申し上げましたように、二十五年度よりはもう少し力を入れて行きたいと考えておる次第でございます。  次に、課税の減免については、これも皆様方の御尽力によるところが非常に多いのでありますが、二十五年度において、地方税法のうち、市町村民税に寡婦について所得割及び均等割の相互について、非課税の取扱いをいたすように税法が相なつたことは御承知の通りでございます。なお所得税法につきまして、寡婦及び老齢者に対する特別控除制度を創設することの改正案及びこれに関連をいたしまする地方税法の改正も検討中でございます。これによりまして、負担の軽減が予想できる現状でございます。  その他農地の問題、供出の問題、職業の安定の問題等につきましても、御決議の趣旨はわかつておるわけでありますが、これらは具体的にどうこうということを申し上げるほど、私承知いたしておりませんけれども関係各省より、それぞれの通牒その他の努力をしていただいておる現状でございます。  なおこの御決議の趣旨に関連いたしまして、昭和二十四年十一月三十八日に、次官会議で母子福祉対策要綱——これは未亡人の問題を中心にいたすのでありますが母子福祉対策要綱を決定いたしまして、十一月三十日に閣議決定を経て、各都道府県知事にその趣旨を徹底をいたしまして、地方において努力を願つておるわけでありますが、その結果目下四十三県——ほとんどの府県にわたりますが、四十三県におきましては、この実施のために純県費予算をもつて、一番多いのは、母子相談事業でありますが、母子相談事業の生業資金の貸付、授職補導事業、育英福祉資金貸与、内職ステーシヨンというようなものを設置いたしまして、それぞれ努力をいたしておりますことを、つけ加えて御報告いたしたいと存じます。
  160. 高橋等

    ○高橋(等)委員 非常に詳しく承りまして、感謝いたしておりまするが、講和ができ上りました際に、結局問題になります一つの大きな問題は、申すまでもなく安全保障の問題であります。ある政党によりますれば、日本の安全保障は、外国の力にのみ依存するような主張をいたされておるところもありまするけれども、われわれ常識的に判断をいたしてみましても、国土を守るものは、まずわれわれ国民が第一でなければならぬということは、申すまでもないのであります。講和が結ばれようとしまする現在ほど、高度の愛国心の発揚が必要であることは、申すまでもないことであります。ところが、一方この前の戰争におきまして——その戰争の目的はどうであつたか、誤つていたかどうか、これは別問題としまして、少くとも戰死をしました人々の全部は、国に殉ずる非常に崇高な愛国心を発揮しまして、遂に他界した人々でございます。この人々に対しまして、これらの遺族が要求をいたしております。しかも最小限度の整え目な要求を、われわれがこの際実現をしないでおいて、片方で国民に、緩急のある際は愛国心を高度に発揮することを要求するというのは、そこに非常に無理があるように私は考えるのでありますが、今こそこの遺族の援護というものに徹底的に力を入れていただかなければならないと考えております。ただいま厚生大臣からお話いただきました弔慰金その他の関係につきましても、講和会議を待たないで、これが実現を期したいというつもりで努力をいたしてもらつておるということは、まことに私は御同慶にたえないのであります。また少くともこれらの遺族に対しましては、国が慰霊の行事を行うとか、あるいは弔慰金を出して、この戰歿者の霊を慰めるということにつきましては、講和会議までできないといたしましても、条約が締結されましたら、直後におきまして、どうぞこれが実行をぜひともお願いいたしたい、こういうふうに強い希望を抱いておるのでございまして、希望を申し上げますと、もう一つ厚生大臣の御決意のほどを承らしていただきたいと思うのであります。
  161. 黒川武雄

    ○黒川国務大臣 ぜひ御趣旨に沿いたいと、私も考えております。
  162. 青柳一郎

    ○青柳委員 私は、本日厚生省御当局から、予算の御説明を承つたのであります。ただいま高橋委員から、遺族問題を取上げての御質問があつたのでありますが、私は本年の予算においてこそ、遺族問題解決に関する予算が計上せらるべきである。当初予算という意味ではありません、今年中には必ず遺族援護に関する予算が盛らるべきである。さらには傷痍軍人の恩給について、あるいは老兵さんの恩給について、これはすべて本年度中の予算に計上さるべきものであると信ずるのであります。遺族問題につきましては、ただいま高橋委員からお話がありましたから、大して触れませんが、一昨年の第五国会におきまして、われわれが決議をいたしましたときには、政府は明らかに、あの戰争で死んだ人は、公務による死亡者であるということを、認めていただいたのであります。公務による死亡者であるということを、時の林厚生大臣は認めてくださつたのであります。政府か、公務によるものであるということを認めた以上、日本の国家として、必ずいずれの日にか、これに対して処置あるべきものと私は存ずるのであります。ただいま厚生大臣の御決意を承りまして、まことに安堵いたしました。この遺族問題のかぎは、すべてがこの弔慰金をもらう、見舞金をいただくという点にあるのでございます。年金をいただくということは、これは現在昭和二十年十一月のマツカーサー司令出目の指令もありまして、これはできないことであろうとは存じまするが、見舞金、事慰金につきましては、大臣のただいまのお言葉通り、必ず本年度中の予算に計上せられるように、御努力をお願いいたす次第であります。  次に老兵の問題戰戰私は最近国に帰りまして、年とつた老兵さんから、いろいろお話を承つたのであります。ある方は、三べんも戰争にひつぱり出されまして——それはその人の好む好まないにかかわらず、国家の強制力によつて戰争にひつぱり出されまして、そうして七、八年の長きにわたつて苦労をいたしたのであります。その結果非常にからだを弱めてしまつて、現在生活をする道がないのであります。私はこういう方々も、戰死者と同じように、やはり公務によつてからだをいためておる人であると思えるのであります。さすれば、これにつきましても、政府におきましては、やはりそういう老兵さんも、公務によつてからだを損耗することひどいものであるということをお認めになりまして、遺族と同じように、これらの人々について、現在何らの処遇がないのでありますが、これはまた必ず本年度中の予算に計上されていただきたいのでございます。  さらに傷痍軍人の問題がございます。傷痍軍人につきましては現在約五万人の人が、あの昭和二十年十一月の指令にございますように、軍事的な原因でない、他の制度によつてもらい得る年金をもらつておる、すなわち厚生年金をもらつておるのでございますが、この一人々々に与えられます年金は、平均してたつた年二千円でございます。政府におきまして、あるいは国会におきまして、最近厚生年金を三倍にするということを考えておりますから、当然この額は二倍には相なりましようが、それにいたしましても、一年に四千円平均でございます。私はこの傷痍軍人は、遺族あるいは老兵と同じように、やはり国家の公務によるけが人であると思うのであります。私はそういう点から、遺族に対する見舞金、また老兵に対する、公務によつてからだをいためた年とつておる者に対する年金の支給、またさらに傷痍軍人に対する年金も、多分現在の公務員並には引上ぐべきものであると存ずるのでございますが、この点に対しまして大臣の御意見をまず承りたいと存じます。
  163. 黒川武雄

    ○黒川国務大臣 傷痍軍人の恩給でございますが、お説の通り厚生年金の引上げによりまして、四千円ぐらいになりましたけれども、当然一般公務員と同じ額まで引上げるべきであろうと私は信じております。この点は恩給関係ではありましても、私といたしましても、できるだけの努力をいたしたいと存じます。
  164. 青柳一郎

    ○青柳委員 最近ダレス特使が来られまして、講和の問題につきまして、総理とお話合いをたびたびなさつたのであります。その際総理とダレス特使との間に、これら遺族あるいは傷痍軍人、老兵の援護の問題につきまして、何らかお話があつたかどうか。ありましたとすれば、必ず大臣は御承知のことであろうと存ずるのでございます。もしありましたら、その辺のところをお漏らし願いたいと存じます。
  165. 黒川武雄

    ○黒川国務大臣 その点につきましては、私は伺つておりません。
  166. 青柳一郎

    ○青柳委員 御存じなければ、いたし方ございません。  次に私は、講和が済めば、日本は自主独立の国になる、日本の国民考えたことほとんど全部が、政治の実際面に現われる時代が来る。ところが戰争による犠牲者はたくさんある、遺族、傷痍軍人、老兵あるいは戰災者、それらの戰争犠牲者が一時に立ち上つて、国家に対して、公務による損失の補償を要求するというがごときことに相なりました際には、それは国家の治安にとりましても、また他の経済方面にとりましても、各方面にとりまして、ゆゆしき大事が引起ると存ずるのでございます。政府におきましては、そういう大事の起る前に、それは講和談判の前であるか後であるか、私は前の方がいいとは思いますが、それにつきましては、どちらであるべきであるということは申し上げませんが、政府の腹をきめてかかる必要がある、これこそ政治の要諦であると、こう存ずるのでございますが、大臣の御意見を承らしていただきたいと思います。
  167. 黒川武雄

    ○黒川国務大臣 遺族、傷痍軍人その他につきましての対策については、先般の閣議において発言がありまして、閣僚一同一致して、何らかの形によつて報いるべきものであるということに決定いたしております。
  168. 青柳一郎

    ○青柳委員 非常に安心いたします御答弁をいただきまして、まことにうれしい限りでございます。政府におきましても、十分なる努力を払われますように、切にお願いいたしますとともに、われわれも政府の御努力に対しまして、十分なる御協力を誓うものでございます。
  169. 苅田アサノ

    ○苅田委員 関連質問の範囲内で、お伺いしたいのですが、それは青柳委員が触れられました傷痍軍人の問題をさらに具体的にお聞きしたいと思います。閣議でもつてこの問題について成案を得たので、青柳委員の方では非常に安心されたと申されるのでありますが、具体的に申しまして、これは厚生大臣も御存じだと思うのでありますけれども、昨年末以来、傷痍軍人の人たちが、しばしば厚生当局とかけ合つております。御存じのように、現在におきましては、都条例で街頭募金が禁止されておる。しかも現在いただいておる国家からの生活保障の金だけでは食べて行かれない。病院に入つておる人たちでも、千円ないし二千円の小づかいがなければ、現状ではやつて行けないというので、病院から出てまでも、街頭に立つている者に対して、講和を前にして、そういう白衣のみつともない姿で立たれたのでは、一旦緩急あるとき戰争意欲がなくなるから、やめてほしいということを言つて、街頭の募金を妨害されておる。それでは、こういう人たちはどこで生活して行つたらいいか。身体の満足な人でさえも働く場所がないのだから、自分たちが働けるような場所をつくつてもらうか、あるいは何らか目分たちが生きて行ける方法を、はつきり講じてもらいたいということを、何回にもわたつて厚生当局とかけ合つていながら、現在まだ何ら納得できちような回答が得られないという状態を聞いておるのであります。この具体的な問題は、講和後に延ばしておくことのできない、今日日の前に差迫つた生きるか死ぬかの問題なんです。これに対して、厚生当局として具体的な構想をお持ちかどうかということをお聞きしたいわけなんです。今日御説明願いました社会局予算の中では、一億五千万円くらいの身体障害者予算があるわけなんですけれども、この中には、生活保障の金がないように私ども拝承いたしておるのでありますが、これについて御説明願いたいと思います。
  170. 黒川武雄

    ○黒川国務大臣 街頭募金のことは、私の考えといたしましては、名誉あるいわゆる勇士のなさることではないと存じます。できますれば、授産をいたしまして、そうして自立生活をされるように指導いたしたいと思います。身体障害者更生指導所は、二十六年度においては八箇所ばかり増加いたしております。そうして生産の面において自立できますように指導いたしたいと存じております。  なお先ほど苅田委員は、閣議において成案を得たとおつしやいましたが、成案は得ておりません。閣僚の意見がそういう方向に向つて一致した、こう私は申し上げたのでありまして、御了承願いたいと思います。
  171. 苅田アサノ

    ○苅田委員 八箇所の施設に、大体何人くらいの人を收容なさる御予定か、ちよつと伺いたいと思います。——ただいますぐおわかりでないようですから、その点はまた社会局のお万がおいでになつたときにお伺いすることにいたしまして、八箇所に收容いたすといたしましても、十数万の傷痍軍人の人たちにとりまして、これは非常に微々たる施設でしかない。しかも先ほど申し上げましたように、施設の中に入つていてさえも、やはり千円なり二千円の小づかいがなければ、やつて行けないという現状だから、施設から街頭募金に立つている。これは大臣のおつしやるまでもなく、名誉ある元軍人が、こじきのまねはしたくないということは、傷痍軍人自身言つておることなんで、そのためには、政府の方で、それにかわるはつきりした生活の保障がなければ、やりたくなくても寒空に立つて、同情ならいいのですが、最近は特に軽蔑されながら、いやがられながら募金をしているというのは、ほんとうに死ぬよりつらいことだと思うのです。こういうことに対して、それにかわる何らかの保障がない限りは、やめろと言われても、やめられないことなので、そういうことについて、何度も厚生当局に傷痍軍人の団体の方たち行つて、あるときにはすわり込んで次官と交渉したてんまつも私知つておるので、もつと親切な具体的な方針をお伺いしたいということを、お願いしたわけであります。
  172. 福田昌子

    福田(昌)委員 遺家族の問題、傷痍軍人の問題につきましては、青柳委員、苅田委員から、十分な御質問があり、大臣からも非常に好意ある御答弁をいただきましたので、どうかその熱意を政策の上に、予算の上に、積極的にお生かしいただくようにお願いいたしたいと思うのであります。この傷痍軍人の問題や、身体障害者福祉施設の問題に対しまして、予算上はなはだ残念な点がございますので、お伺いしたいと思つておりましたが、重複いたしますから避けさせていただきます。  一つ全般的にお伺いしたいのは、社会保障制度ということは、大臣におかれましても、ずいぶん耳にたこができるくらいお響きになつておることと思うのでありますが、今回の予算を見ましても、これは必要やむを得ざるところの予算増加、たとえば生活保護法におけるところの、困窮者がたくさん出て参つたために、やむを得ずに増加したところの予算、また公衆衛生の面からするところの、結核予防に対する予算増加というようなものに、大部分が占められておるのでありまして、社会保障の本筋に立つたところの予算というものに対しては、今回の予算の全般を通じて見ますと、さほど積極的な考慮を払われていないということに対しまして、私どもはきわめて遺憾に思うのであります。従いまして大臣におかれては、社会保障というものをどのように考えて、この予算をお組みになつたかということと、また大蔵当局とどの程度の交渉をなすつたかということを、承つておきたいと思います。
  173. 黒川武雄

    ○黒川国務大臣 社会保障制度の確立に向つて、私は二十六年度予算は、一歩前進していると信じでおります。ただいま、何ら考慮が払われていないというようなお言葉がありましたが、大いに考慮を払い、努力いたした次第でありまして、実は社会保障制度審議会の勧告はずつと遅れましたけれども、研究試案がすでに六月の半ばに発表せられましたので、厚生省所管の二十六年度予算につきましては、その研究試案に基いて、初め立案したのであります。勧告は、研究試案よりも、よほど緩和さてれおりますけれども、できました二十六年度の厚生省所管の予算は、勧告の線に沿うて一歩前進し、なおその一環であるところの結核については、相当に飛躍したつもりでおります。
  174. 福田昌子

    福田(昌)委員 多少見解に相違するところがございますから、重ねて御質問は申し上げないことにいたします。  次にお尋ね申し上げたいのは、ダレス氏が来朝されまして、総理大臣も何回も御面会なさいまして、いろいろと日本の講和問題について、お話合いがなされましたが、その中に、日本の人口問題に対してのお話合いがあつたかどうかということを、大臣御承知でいらつしやいましたら承りたい。
  175. 黒川武雄

    ○黒川国務大臣 輝いておりません。
  176. 福田昌子

    福田(昌)委員 二十六年度予算の上から見ますと、人口問題に関連がある予算というものは、きわめて残念な姿にあると思われるのであります。大臣は、日本の今日の非常に増加しつつある人口に対して、どういうような対策をおとりになろうとしておられるか、この予算の面からするところの大臣の人口対策というものを、お知らせ願いたいと思います。
  177. 黒川武雄

    ○黒川国務大臣 人口問題は、なかなかむずかしいのでございまして、いろいろ人口を調節するという方法はありましようが、現在といたしまして、厚生省が最も力を入れておりますことは、妊娠調節のことであります。私自身の考えとしますれば、おつしやる通り予算は至つて少いのでありますが、できますれば、妊娠調節のための避妊薬とか、その用具とかは無料で交付する、それくらいまで行かなくてはならぬと思つております。ただ残念ながら予算上は、そこまで国家の財政が許しませんので、進んでおりません。
  178. 福田昌子

    福田(昌)委員 人口問題は、大臣の御答弁にもございましたように、たいへん困難な問題でございます。しかし乏しい経済の日本の国においては、これは国内の一つの政治問題として、当然解決しなければならない緊急の重大な問題でもありまするので、大臣におかれましても、どうかそのお気持を持たれて、積極的に今後の人口対策に対して態度をおとりいただきますように、要望いたす次第であります。
  179. 松永佛骨

    松永委員長 それでは先ほどの安田保險局長説明についての御質問が残つておりますから、それを続行いたします。苅田委員
  180. 苅田アサノ

    ○苅田委員 厚生年金の積立金の現状、それから毎月大体收支どれくらいのものが残つておるかというふうなこと、それから積立金が現在どういうふうに運用されておるかという点を、お聞きしたいと思います。
  181. 安田巖

    ○安田政府委員 ちよつとこまかい資料を持ち合せませんか、大体一月末現在で積立金が三百三十億ばかりになつております。月に十億くらいふえております。それで一年の支出が二十五年度におきまして十二、三億、大体こんなものであります。  それから、これは厚生保險特別会計法によりまして、国債を買うか預金部に預け入れることになつておりますが、大部分が預金部にあると思つていただきたいと思います。現在は四分五厘の利付で出しております。
  182. 苅田アサノ

    ○苅田委員 そういたしますと、大体三百三十億のうちの大部分が、現在預金部の資金として入つておる、かように考えてよろしゆうございますか。
  183. 安田巖

    ○安田政府委員 そうであります。
  184. 苅田アサノ

    ○苅田委員 昨年黒川厚生大臣が本委員会においでになりましたときに、この預金部資金の中から、労働者の住宅等の福利施設に、来年度は相当とるというようなことのお話があつたわけでありますが そのことにつきまして、約束がどういうふうに果されましたでしようか、その点をお伺いいたします。
  185. 安田巖

    ○安田政府委員 積立金の運用につきましては、積立金を設けます当初の大蔵省との約束で、そのうちのある部分を、そういつた被保險者の福利施設に使うという話合いができております。そこで終戰前までは千五百万円ばかりのものが、そちらの方に融通されておつたわけでありますが、御承知のように終戰後預金部資金の運用につきましては、非常に嚴格な方針が堅持されておりまして、それができないような状況なつております。大臣が申されましたのは、そういう状況でありますけれども、なるべく早くそういつた方針の変更を求めまして、従来通りその一部分につきまして、被保險者の福利施設の方に融通して行きたい、こういうことをお話なつたものと思います。その後いろいろ折衝いたしましたけれども、どうも所期の目的を達せられないで終つておるのが現状でございます。大体今度国会に、大蔵省の方から政府の提出法案として出ると思いますけれども、預金部か資金運用部ということになりまして、政府の特別会計の余裕金とか積立金というものは、全部資金運用部の方に入つて参ります。資金運用部から資金運用債というような形でもつて、各特別会計がその債券をもらうというかつこうになるように私聞いております。そういうふうなことで、実は大臣もせつかく努力をいたされましたけれども、いい結果が出なかつたというのが現状でございす。
  186. 苅田アサノ

    ○苅田委員 預金部資金の運用につきましては、この問題にぶつかるたびに、私どもは労働者を代表しまして、労働者の薄給の中から取上げた金が、何百億というほど国庫の中にありながら、今非常に生活に困窮しておる人たちのために使われないという不合理を、始終言つて来ました。組合あたりでは、この厚生年金はもういらないという声までも、非常に強いわけですが、これに対しまして、せつかく大臣がそういう非常に嚴格な規定があることを御承知の上で、それをとるはずだというようなことをお話なつたものが、全然とられていないということは、私どもは、またから手形を出されたという感じが非常に深いのであります。労働者が出したものは労働者に返るように、これは何年か先の養老年金のようなものが大部分ですから、そこまででなしに、今の生活にもつと役に立つような方法を、やはり関係当局としては考えられなければいけないじやないかと思うのですが、これについて今後どれだけの努力がしていただけるか、この点お聞きしたいと思います。
  187. 安田巖

    ○安田政府委員 今後一層努力をいたしますが、当時の情勢としては、実はうまく行きそうであつたのでありますけれども、最近になりましてだんだんまた情勢がかわつて参りまして見通しが違つて来たというような状況であります。今後一層努力をしてやつて行きたいと思います。但し厚生年金の積立金の全部が、労働者の福祉に還元して使われるということは、実は積立金の性質から行きましてできない相談でありまして、やはりそれは将来厚生年金、養老年金あるいは傷害年金なりとして出して行かれるための準備資金でありますから、これが最も確実、有利に運用ざれることが必要であります。労働者に還元されるということも必要でありますけれども、もつと基本的には、これが確実に有利に運営されることが、実は労働者のためになることであります。でありますから、かりに福利施設に使われるにしましても、これはやはり一部分でありまして、全部そういう非生産的な部面に資金を投入しておいて、それで運用利率をあげようということは無理な相談であります。そういうことは考えておりません。
  188. 苅田アサノ

    ○苅田委員 もちろん、三百億全部のことが問題になるわけでなくて、この中の何割にしても、これがそういう施設になるということは、非常に労働者にとつて大きな問題だと思う。  さらに私からお聞きしたいのは、当時の情勢ではうまく行きそうであつたものが、その後情勢が変化してとれなくなつた、こういうことをおつしやつたわけですが、私ども預金部資金の中から、たとえば公共事業費等が出ているように、これは相当再軍備のための費用が出ておるのじやないかというような疑問を持つているわけです。当初の事情かかわつて出なくなつたという具体的な事情を、もう少し聞かれればお話願いたい。
  189. 安田巖

    ○安田政府委員 大体国が公共団体に融通するということは、従来の建前であつたのでありますから、再軍備というようなことは、別にないのじやないかと思つております。ただ、ぐあいが惡くなつたというのは、大体預金部資金なんかの運用の考え方が、その資金のよつて来るところの源泉一それを積み立てた人のいかんにかかわらず、これが公共の利益のために使われる、同時に、それが有利であり、確実でなればならぬ、ということが、一つのプリンシプルになつておる。そこで今度そういつたように運用いたしまして、もしそれによつて、かりに損害が出た場合には、一般会計からその損害を補填してでも確実にして行きたい、こういうような運用方針がかたくとられたということ、そういう点で若干考え方の食い違いが出て来たというのが、実情でございます。
  190. 苅田アサノ

    ○苅田委員 この三百三十億というのは、今の預金部資金の中の、大体何割ぐらいの見当になりますか。
  191. 安田巖

    ○安田政府委員 大体八%ないし九%ぐらいじやないかと思つております。
  192. 苅田アサノ

    ○苅田委員 預金部資金の本年度の使われて行く大体の内訳ですね、それはそちらの方でおわかりになりますか。
  193. 安田巖

    ○安田政府委員 大蔵省の銀行局の方でよくわかります。
  194. 苅田アサノ

    ○苅田委員 その問題につきましては、それだけにいたしまして、もう一つお伺いいたしたいのは、国民健康保險で、今年度病院の施設のために、どの程度の予算をおとりになりましたか。
  195. 安田巖

    ○安田政府委員 先ほど申し上げましたように四億円でございます。これが三分の一補助になりますから、施設といたしましては十二億ぐらいに延ばして使える。数にいたしまして大体三、四百ぐらいができるかと思つております。
  196. 丸山直友

    ○丸山委員 いろいろ承りたいことが、たくさんあるのでありますが、時間がありませんから、ごく簡單に伺います。  社会保險の健康保險の現在の保險料の收納率は、どのくらいになつておりますか。
  197. 安田巖

    ○安田政府委員 十二月末現在で——これは一月遅れでございますから、つまり十一月末までの保險料をとつておるのでありますが、八・五、六パーセント。
  198. 丸山直友

    ○丸山委員 昨年の五月は、国家公務員共済組合の支払金に対する未納が約七億幾らあつたかと思いますが、その後これはどういうふうになつておりますか。
  199. 安田巖

    ○安田政府委員 今確かな数字を持つておりませんけれども地方の課長あたりが出て参りますと、相当この共済組合関係がよくないような話をいたしております。
  200. 丸山直友

    ○丸山委員 予算説明書の参考書類の百十一番の、国民保險の直営診療所施設設置補助金、六百十四箇所、四億円というのがあるのですが、これは大体どういうふうな所に、おもに直営診療所をおつくりになるという、基本の方針でも何かおきまりになつたのがありましたら……。
  201. 安田巖

    ○安田政府委員 医者がない所、無医村でございますね、こういうようなのが、まずあげられております。それから医者がありましても、総合的ないろいろの各科の医者がなくて不自由な所、これは無医村ではありませんけれども、それに次ぐようなもの。それから最近のように医療法の改正によりましてベツドが二十なければ、四十八時間しか置くことができぬようになつて参りますと、そろそろそういつたような個人の医療機関では間に合わないから、病院にベツドをすえて行くというのがありますが、そういうようなことが、一つ必要になつて参ります。
  202. 丸山直友

    ○丸山委員 実は地方に参りますと、直営診療所の施設に関していろいろな事件が起つているところがある。詳しいことは申しませんが、ただ一点だけ、国民保險の経営をする側の方が直営診療所をつくるのに、自分負担を少くするために最初の設計及びそれに関する費用というものに、惡くいえばインチキをして、多額の補助金をもらつている。しかも事実でき上るのは、その補助金の範囲ででき上るようなものしかつくらないということをしばしば耳にいたしますが、こういうような方面に対する監督は、どういうふうになつているか
  203. 安田巖

    ○安田政府委員 今まで私どもの聞いておりますものは、ちよつとその逆な場合が多いのでありまして、たとえば三分の一補助と申しましても、ぜいたくな規格でおつくりになりますと、とても三分の一出すだけの予算がございませんので、大体甲乙丙くらいの規格をつくりまして、その規格までは実は査定いたしているわけであります。従いまして三分の一補助ということは申しますけれども、実際の場合には三分の一出なくて、五分の一とか六分の一というような場合が相当あるわけです。なお、補助金だけでもつて建てて、自分負担を免れるというようなことは、昔はあつたかもしれませんけれども、少くとも一両年前からは、そういうことはできないような状態ではないか。会計検査院なんかも、毎年まわつて調べておりますし、私ども年度末には気をつけて地方行つてまわつておりますから、大体そういうことはないのじやないかと思つております。
  204. 福田昌子

    福田(昌)委員 遅くなりましたので、簡單にやらしていただきます。社会保險の事務費というのは、総額で大体どれくらいの費用になつておりますか。
  205. 安田巖

    ○安田政府委員 健康保險が三億四千七百三十七万六千円、それから厚生年金保險が三億八千九百九十一万円、船員保險が四千百二十一万円、健康保險組合が二億九千九百万円であります。
  206. 福田昌子

    福田(昌)委員 変なお尋ねをして恐縮ですが、事務費という名目には、どの範囲のものが入るのですか。
  207. 安田巖

    ○安田政府委員 政府管掌の場合は、人件費とか、事務所の費用だとか、そういつたものか一切入ります。
  208. 福田昌子

    福田(昌)委員 一切と申しますと……。
  209. 安田巖

    ○安田政府委員 特別会計でございますから、特別会計の人件費、それから用紙の金であるとか、あるいは家を建てるとか、そういうものが全部入るわけです。これが大体三億でございます。来年度予算で八十何億に対して三億でございますから、何パーセントになりますか、そんな程度です。
  210. 松永佛骨

    松永委員長 次に、福田委員より、引揚援護丘の予算に関して発言を求められておりますので、これを許します。福田委員。
  211. 福田昌子

    福田(昌)委員 援護局長にお尋ね申し上げたいのでありますが、韓国人と結婚いたしまして子供があるような婦人が、約五百名近く、釜山で日本に帰国することを待ちわびておるということでございますが、こういつた状態の日本婦人に対して、どういう処置をおとりになられようとしておるかということを、お聞かせいただきたいと思います。
  212. 田邊繁雄

    ○田邊政府委員 鮮籍日本婦人が日本に帰つて参ります場合、これは嚴格に申しますと、引揚者には該当しないのであります。但し、こういう万が正式に入国の手続を経まして帰つて参ります場合には、従来もそうでありますが、引揚者に準じたお世話をいたす方針でおります。今御指摘になりましたようなことが実現いたしました場合には、従来の方針に従いまして引揚者に準じてお世話いたしたいと存じております。
  213. 福田昌子

    福田(昌)委員 その三百名から五百名の人たちの手続というようなものに対しましては、どういう手続によらなければならないのでございますか。
  214. 田邊繁雄

    ○田邊政府委員 これは外務省の出入国管理庁で、手続をするわけでありますが、非日本人が日本に入国する場合には、連合国最高司令官の許可がいるわけであります。お尋ねのような今度の場合には、あらかじめ、元日本に籍があつたときの日本人の名前、本人の申し立てておる元の本籍を添えまして、はたしてそれが事実であるかどうかということにつきまして、司令部の方から外務省に対しまして調査万を依頼して来るのであります。外務省の方では、それを調査しておりまして、おそらく近いうちに全部の調査が完了して、司令部の方に回答が行くと思います。そういたしますれば、それによりまして許可を与えられまして、入国するという段取りになります。
  215. 福田昌子

    福田(昌)委員 大体そういう問い合せ中の人たちの人数は、どれくらいあるのですか。私どもは五百名近くと聞いておりますが……。
  216. 田邊繁雄

    ○田邊政府委員 たしか二百三十九名であります。
  217. 福田昌子

    福田(昌)委員 そういつた方々が、当局の御配慮によつて日本に帰られる場合の便宜に対しては、援護局としては、どういうふうな態勢をおとりになつていただけましようか。
  218. 田邊繁雄

    ○田邊政府委員 二百三十九名と申しますと、舞鶴の援護局でないと、お世話できないと思います。普通朝鮮から船が入つて参ります場合は、佐世保が多いのですが、佐世保には今援護局がございませんので、これだけの大勢の方をお世話できません。それで私の方では、希望といたしまして、舞鶴に船が入港することを、向うに申し入れてございます。
  219. 福田昌子

    福田(昌)委員 そういたしますと、そういう二百三十九名の方々の大体本籍、姓名はわかるわけでございますね、そういう人たちが準引揚者として取扱われる人たちになるというお話でございますが、そういう人の中には、身寄りのない人もおりましようし、生活能力のない人も帰つて来られると思うのでありますが、そういつた人たちに対して、日本の国に帰られてからの生活の援護ということに対しては、どの程度のお考えを持つておられますか。
  220. 田邊繁雄

    ○田邊政府委員 お話のような方があります場合には、社会局、児童局と連絡をとりまして、善処したいと考えております。
  221. 松永佛骨

    松永委員長 他に発言はありませんか。——他に御発言もないようですから、次会は公報をもつてお知らせすることとして、本日はこの程度にして散会いたします。     午後四時二十七分散会